(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】回転コネクタ装置およびその固定体
(51)【国際特許分類】
H01R 35/04 20060101AFI20230615BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H01R35/04 C
H01R13/52 A
(21)【出願番号】P 2020510800
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2019011824
(87)【国際公開番号】W WO2019188700
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2018069552
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018106005
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一輝
(72)【発明者】
【氏名】北尾 啓
(72)【発明者】
【氏名】南部 真吾
(72)【発明者】
【氏名】吉村 賢二
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170752(WO,A1)
【文献】特開2011-018618(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183930(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定体部と第2固定体部との間に空間を規定するように前記第1固定体部と前記第2固定体部とを対向配置して結合部で結合することにより構成された固定体と、
前記固定体に対して回転可能に組付けられた回転体と、
前記結合部を介して異物が前記空間に侵入することを抑制する抑制構造と、
前記空間内において前記固定体に配置された接続導体と、
を備え、
前記結合部は、前記固定体の外表面に露出し、
前記接続導体は、ケーブル導線の一端に接続され、
前記回転体は、前記ケーブル導線の他端に接続され、
前記抑制構造は、前記空間において、前記結合部と前記接続導体との間に配置された保護部材を有し、
前記保護部材は、前記結合部から前記接続導体に向かう方向に前記固定体を見たときに、前記結合部、前記保護部材、及び、前記接続導体が重なるように配置されている、
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記保護部材は、前記結合部から前記接続導体まで至る隙間経路の長さを長くするためのものである、
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記保護部材は、前記結合部において、前記第1固定体部の内表面および前記第2固定体部の内表面の少なくとも一方に接触する、
請求項1または2に記載の回転コネクタ装置。
【請求項4】
前記回転体は、第1方向に沿う回転軸周りに回転可能であり、
前記結合部は、前記第1方向から見たときの前記固定体の外周に、設けられ、
前記保護部材は、前記第1方向に実質的に直交する第2方向において、前記結合部と前記接続導体との間に配置され、
前記保護部材は、前記第1固定体部または前記第2固定体部から前記第1方向において延伸する
請求項1~3のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項5】
前記固定体は、前記第1固定体部と前記第2固定体部とを係止する係止部を有し、
前記第2方向において、前記保護部材は、前記係止部と前記接続導体との間に配置される、
請求項4に記載の回転コネクタ装置。
【請求項6】
前記第1方向に実質的に直交し、前記外表面に沿う第3方向における前記保護部材の長さは、前記第3方向における前記係止部の長さよりも大きい、
請求項5に記載の回転コネクタ装置。
【請求項7】
前記係止部は、前記第1固定体部および前記第2固定体部の一方に取り付けられた係止枠と、前記第1固定体部および前記第2固定体部の他方に取り付けられた係止爪と、を有する
請求項5または6に記載の回転コネクタ装置。
【請求項8】
前記保護部材は、絶縁材料を有する
請求項1~7のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項9】
前記固定体の外部に設けられ、前記接続導体に電気的に接続された端子を有する第1コネクタを備える
請求項1~8のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項10】
前記第1コネクタは、部分的に前記空間に配置される
請求項9に記載の回転コネクタ装置。
【請求項11】
前記接続導体を支持し、前記空間において前記固定体に取り付けられる絶縁支持体を備える
請求項1~10のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項12】
前記空間は、第1空間と第2空間とを有し、
前記回転体は、前記第1空間に対応して配置され、
前記接続導体は、前記第2空間に配置される
請求項1~11のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項13】
前記ケーブル導線と、前記ケーブル導線を被覆する絶縁性の被覆材とを有し、前記回転体および前記固定体との間の空間に配置されるケーブルを備える
請求項1~12のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項14】
前記抑制構造は、前記回転体の回転軸の径方向において前記第2固定体部が前記第1固定体部を覆うことで構成された抑制部を有する
請求項1~13のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項15】
前記径方向において、前記第2固定体部の面と、前記第1固定体部の外周は当接している、
請求項14に記載の回転コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、回転コネクタ装置およびその固定体に関する。
【背景技術】
【0002】
固定体と、固定体に対して回転可能に固定体に組付けられた回転体と、固定体側コネクタと、回転体側コネクタと、を備える回転コネクタ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された回転コネクタ装置は、固定体と回転体との間の空間に収納され、且つ固定体側コネクタと回転体側コネクタとを電気的に接続するケーブル導線をさらに備えている。
【0003】
より具体的には、特許文献1に開示された固定体は、ステータ本体とサブステータとが間に空間を構成するように、互いに結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/221820号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された回転コネクタ装置は、ステータ本体とサブステータとの間の空間に異物が侵入する虞があるので、劣化する虞がある。
【0006】
そこで、本願に開示される技術の課題は、回転コネクタ装置の耐環境性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1特徴に係る回転コネクタ装置は、第1固定体部と第2固定体部との間に空間を規定するように前記第1固定体部と前記第2固定体部とを対向配置して結合部で結合することにより構成された固定体と、前記固定体に対して回転可能に組付けられた回転体と、前記結合部を介して異物が前記空間に侵入することを抑制する抑制構造と、を備える。前記結合部は、前記固定体の外表面に露出する。
【0008】
異物は、例えば、流体である水および埃である。この構成は、異物の空間への侵入を抑制する。その結果、回転コネクタ装置の耐環境性は、向上する。
【0009】
また、回転コネクタ装置は、前記空間内において前記固定体に配置された接続導体をさらに備え、前記接続導体は、ケーブル導線の一端に接続され、前記回転体は、前記ケーブル導線の他端に接続されてもよい。
【0010】
この構成では、接続導体に異物が付着して、接続導体が劣化することが抑制される。
【0011】
また、回転コネクタ装置では、前記抑制構造は、前記結合部から前記接続導体まで至る隙間経路の長さを長くするための保護部材を有してもよい。この構成では、異物は接続導体まで到達しにくくなる。
【0012】
また、回転コネクタ装置では、前記抑制構造は、前記空間において、前記結合部と前記接続導体との間に配置された保護部材を有してもよい。この構成では、異物は接続導体まで到達しにくくなる。
【0013】
また、回転コネクタ装置では、前記保護部材は、前記結合部において、前記第1固定体部の内表面および前記第2固定体部の内表面の少なくとも一方に接触してもよい。この構成では、異物の侵入は、保護部材が結合部を塞ぐように配置されるので、抑制される。
【0014】
また、回転コネクタ装置では、前記回転体は、第1方向に沿う回転軸周りに回転可能であり、前記結合部は、前記第1方向から見たときの前記固定体の外周に、設けられ、前記保護部材は、前記第1に実質的に直交する第2方向において、前記結合部と前記接続導体との間に配置され、前記保護部材は、前記第1固定体部または前記第2固定体部から前記第1方向において延伸してもよい。この構成は、第1方向に延びた保護部材を異物が回りこむことを抑制する。
【0015】
また、回転コネクタ装置では、前記固定体は、前記第1固定体部と前記第2固定体部とを係止する係止部を有し、前記第2方向において、前記保護部材は、前記係止部と前記接続導体との間に配置されてもよい。係止部周辺の結合部において異物が侵入しやすくなったとしても、保護部材は、異物が侵入しやすい位置の結合部に対応して配置される。従って、この構成は、異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0016】
また、回転コネクタ装置では、前記第1方向に実質的に直交し、前記外表面に沿う第3方向における前記保護部材の長さは、前記第3方向における前記係止部の長さよりも大きくてもよい。この構成は、係止部周辺の結合部から異物が侵入したとしても、第3方向に長い保護部材を回り込むことを抑制できる。
【0017】
また、回転コネクタ装置では、前記係止部は、前記第1固定体部および前記第2固定体部の一方に取り付けられた係止枠と、前記第1固定体部および前記第2固定体部の他方に取り付けられた係止爪と、を有してもよい。係止枠と係止爪の係止が緩んだとしても、保護部材が係止部に対応して配置されているので、この構成は、異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0018】
また、回転コネクタ装置では、前記保護部材は、絶縁材料を有してもよい。この構成は、保護部材が接続導体に接触しても、短絡等の電気的接続の問題を抑制できる。
【0019】
また、回転コネクタ装置は、前記固定体の外部に設けられ、前記接続導体に電気的に接続された端子を有する第1コネクタを備えてもよい。この構成は、回転コネクタ装置と外部ケーブルとの間の接続性を向上させる。
【0020】
また、回転コネクタ装置では、前記第1コネクタは、部分的に前記空間に配置されてもよい。
【0021】
また、回転コネクタ装置は、前記接続導体を支持し、前記空間において前記固定体に取り付けられる絶縁支持体を備えてもよい。この構成は、接続導体の短絡等の電気的な接続の問題を抑制できる。
【0022】
また、回転コネクタ装置では、前記空間は、第1空間と第2空間とを有し、前記回転体は、前記第1空間に対応して配置され、前記接続導体は、前記第2空間に配置されてもよい。
【0023】
また、前記ケーブル導線と、前記ケーブル導線を被覆する絶縁性の被覆材とを有し、前記回転体および前記固定体との間の空間に配置されるケーブルを備えてもよい。
【0024】
また、回転コネクタ装置では、前記抑制構造は、前記回転体の回転軸の径方向において前記第2固定体部が前記第1固定体部を覆うことで構成された抑制部を有してもよい。
【0025】
この構成では、回転軸の径方向において外側から到来する異物が空間に侵入することが抑制される。
【0026】
また、回転コネクタ装置では、前記径方向において、前記第2固定体部の面と、前記第1固定体部の外周は当接していてもよい。
【0027】
この構成では、結合部から空間に至る経路が狭くなるので、空間への異物の侵入が効果的に抑制される。
【0028】
また、本願の第2特徴に係る回転コネクタ装置の固定体は、第1固定体部と、前記第1固定体部との間に空間を規定するように前記第1固定体部と対向配置され且つ結合部で前記第1固定体部に結合される第2固定体部と、前記結合部を介して異物が前記空間に侵入することを抑制する抑制構造と、を備える。前記結合部は、前記第1固定体部および前記第2固定体部の外表面に露出し、前記第1固定体部および前記第2固定体部は、前記第1固定体部および前記第2固定体部に対して回転可能に組付けられる回転体に接続される。
【0029】
この構成は、空間への異物の侵入を抑制するので、回転コネクタ装置の耐環境性を向上させる。
【発明の効果】
【0030】
本願に開示される技術であれば、回転コネクタ装置の耐環境性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る回転コネクタ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、回転体から固定体を取り外した分解斜視図である。
【
図3】
図3は、ケーブルの配置を説明するための、固定体の上面図である。
【
図4】
図4は、ケーブルと第1コネクタの接続を説明するための、ケーブルと第1コネクタの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII断面線で回転コネクタ装置を断面した断面図である。
【
図8】
図8は、保護部材の長さと係止部の長さを説明するための固定体の側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る回転コネクタ装置の断面図である。
【
図10】
図10は、抑制部を示すための固定体の断面図である。
【
図11】
図11は、抑制部を示すための固定体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
〔第1実施形態〕
<回転コネクタ装置の概要>
図1は、第1実施形態に係る回転コネクタ装置100の斜視図である。
図2は、回転体20から固定体10を取り外した分解斜視図である。
【0033】
図1および
図2に示すように、回転コネクタ装置100は、固定体10と回転体20とを備えている。回転体20は、固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能に、固定体10に組付けられている。回転体20が固定体10に組付けられた状態において、固定体10と回転体20との間には、第1空間S1が規定される。
【0034】
図3は、ケーブル30およびケーブル32の配置を説明するための、固定体10の上面10uを示す図である。
図3に示すように、ケーブル30およびケーブル32は、第1空間S1に配置される。ケーブル30のケーブル導線34(
図4および
図7を参照)は、一端が固定体10に接続され、他端が回転体20に接続される。ケーブル32のケーブル導線34は、一端が固定体10に接続され、他端が回転体20に接続される。ケーブル30およびケーブル32が固定体10および回転体20に接続された状態で、回転体20は、固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能である。ただし、回転コネクタ装置100が備えるケーブルの本数は2本に限らない。例えば、ケーブルの本数は、偶数であり、例えば、4本でもよい。また、例えば、ケーブルの本数は、奇数であり、例えば、3本でもよい。
【0035】
回転コネクタ装置100は、例えば、本体と、本体に対して回転可能な操舵部とを備えた移動体(例えば自動車)に用いられる。具体的には、固定体10は、移動体の本体に取り付けられる。回転体20は、操舵部に取り付けられる。ケーブル30のケーブル導線34の一端とケーブル32のケーブル導線34の一端は、移動体の本体に設けられた電気機器にそれぞれ電気的に接続される。ケーブル30のケーブル導線34の他端とケーブル32のケーブル導線34の他端は、それぞれ操舵部に設けられた電気機器(例えばスイッチ)に電気的に接続される。これにより、回転コネクタ装置100は、移動体の本体に設けられた電気機器と操舵部に設けられた電気機器との間で電力または電気的信号を送受信する。ただし、回転コネクタ装置100は、移動体以外にも用いられてもよい。
<固定体の構成>
図2および
図3に示すように、固定体10は、第1固定体部12と第2固定体部14とを備えている。第2固定体部14は、第1固定体部12の上に配置された状態で、第1固定体部12と結合している。第1固定体部12は、固定体10の底部10bを構成する。第2固定体部14は、固定体10の側壁10lを構成する。
【0036】
図2および
図3に示すように、第1固定体部12は、第1リング部120と、第1延伸部122と、を備えている。第1リング部120は、回転軸AXに沿う第1方向D1に回転コネクタ装置100を見たときに、リング形状を有する。第1リング部120は、回転軸AXが第1リング部120の中心を通過するように配置される。第1延伸部122は、回転軸AXの径方向において、第1リング部120の外周120aから外側に延びている。
【0037】
第2固定体部14は、外周筒部140と、第2延伸部142と、を備えている。外周筒部140は、外周筒部140の中空部140aが第1方向D1に延伸するように配置される。外周筒部140は、第1リング部120の外周120aから、第1方向D1に沿って上方に延びている。
【0038】
第2延伸部142は、回転軸AXの径方向において、外周筒部140から外側に延びている。第2延伸部142は、第1方向D1において、第1延伸部122と対向する。第1延伸部122と第2延伸部142の結合の詳細は、後述される。
<回転体の構成>
図2に示すように、回転体20は、第2リング部200と、内周筒部202と、を備えている。第2リング部200は、回転コネクタ装置100を第1方向D1に見たときに、リング形状を有する。第2リング部200は、回転軸AXが第2リング部200の中心を通過するように配置される。内周筒部202は、内周筒部202の中空部202aが第1方向D1に延伸するように配置される。内周筒部202は、第2リング部200の内周200aから第1方向D1に沿って下方に延びている。内周筒部202は、回転軸AXの径方向において、外周筒部140の内側に配置される。これにより、第1空間S1は、第1リング部120、外周筒部140、第2リング部200、および内周筒部202によって規定されている。換言すれば、第1リング部120、外周筒部140、第2リング部200、および内周筒部202は、互いに対向することで、第1空間S1を規定している。さらに換言すれば、第1空間S1は、外周筒部140の中空部140aから内周筒部202の中空部202aを除いた空間に等しい。なお、第1空間S1は、第1固定体部12および第2固定体部14の間の空間Sに含まれる。
【0039】
内周筒部202は、組付部材90(
図1を参照)に係合している。組付部材90は、第1方向D1において固定体10の下方に配置されかつ回転軸AX周りに回転可能である。回転体20は、回転体20と組付部材90とが第1方向D1において固定体10を挟むように、固定体10に組付けられている。なお、組付部材90は、省略されてもよい。
【0040】
本実施形態では、内周筒部202が回転体20に設けられている。しかし、第1空間S1を規定するために、内周筒部202は、固定体10に設けられてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、回転コネクタ装置100は、中空部202aを有する形状であったが、回転コネクタ装置100は中空部202aを有さなくてもよい。
<コネクタの構成>
図1に示すように、回転コネクタ装置100は、第1コネクタ40と、第2コネクタ42とを備えている。第1コネクタ40は、例えば、移動体の本体から延びる外部ケーブルに接続される。第2コネクタ42は、例えば、移動体の操舵部から延びる外部ケーブルに接続される。第1コネクタ40と第2コネクタ42は、ケーブル30およびケーブル32を介して電気的に接続される。
【0042】
第1コネクタ40は、固定体10に接続されている。本実施形態では、第1コネクタ40は、第1方向D1に直交する方向において、固定体10の外側に配置されている。しかし、第1コネクタ40の位置は、固定体10の下方の位置であってもよいし、固定体10の上方の位置であってもよい。このように本実施形態では、第1コネクタ40は、空間Sの外部に配置されている。しかし、第1コネクタ40は、部分的に空間Sに配置されてもよい。
【0043】
第1コネクタ40は、複数の第1端子400と、第1カバー402とを有している。複数の第1端子400は、外部ケーブルの端子に電気的に接続される。第1カバー402は、第1延伸部122および第2延伸部142に接続されている。第1カバー402は、回転軸AXに直交する方向において第1延伸部122および第2延伸部142の反対側において開放するように、複数の第1端子400を覆う。
【0044】
第2コネクタ42は、回転体20の上に配置されている。ただし、第2コネクタ42の位置は、
図1に示す位置に限らない。第2コネクタ42は、回転体20に接続されている。第2コネクタ42は、複数の第2端子420と、第2カバー422とを有している。複数の第2端子420は、外部ケーブルに電気的に接続される。第2カバー422は、第2リング部200の上面200bに接続されている。第2カバー422は、上方が開放するように、複数の第2端子420を覆う。本実施形態では、第2コネクタ42は、空間Sの外部に配置されている。しかし、第2コネクタ42は、部分的に空間Sに配置されてもよい。
<ケーブルの構成>
図4は、ケーブル30と第1コネクタ40の接続を説明するための、ケーブル30と第1コネクタ40の斜視図である。ただし、第1カバー402の図示は、
図4において省略される。また、ケーブル32の構成はケーブル30の構成と実質的に同じであるので、ケーブル32の図示は省略される。
【0045】
ケーブル30およびケーブル32は、それぞれ平坦な形状を有している。ケーブル30およびケーブル32は、それぞれ可撓性を有している。ケーブル30およびケーブル32は、それぞれ、複数のケーブル導線34と、複数のケーブル導線34を被覆する絶縁性の被覆材36とを有している。
図3に示すように、ケーブル30およびケーブル32は、それぞれ、第1空間S1において内周筒部202の外周面および外周筒部140の内周面に沿って巻回される。
図3に示すように、ケーブル30およびケーブル32は、それぞれ、巻回方向が途中で反転している。
【0046】
ケーブル30は、一端が第1延伸部122および第2延伸部142に囲まれる第2空間S2(
図2を参照)に位置するように、外周筒部140に設けられた孔を通過している。ケーブル30は、他端が第2カバー422で覆われる第3空間S3(
図2を参照)に位置するように、第2リング部200に設けられた孔を通過している。
<接続導体の構成>
図4に示すように、回転コネクタ装置100は、複数の接続導体50と、絶縁支持体54とを備えている。複数の接続導体50は、ケーブル30の複数のケーブル導線34と複数の第1端子400とを電気的に接続するために設けられる。絶縁支持体54は、複数の接続導体50と、第1コネクタ40の複数の第1端子400とを支持する。絶縁支持体54は、第2空間S2において第1延伸部122および第2延伸部142の少なくとも一方に取り付けられる。
【0047】
複数の接続導体50は、それぞれ、複数の第1端子400と電気的に接続されている。
図4に示すように、ケーブル30の複数のケーブル導線34の複数の一端は、複数の接続導体50とそれぞれ接続される。複数のケーブル導線34の複数の一端と複数の接続導体50は、例えば、溶接によってそれぞれ接続される。しかし、複数のケーブル導線34の複数の一端と複数の接続導体50は、溶接に限らず、他の手段によって接続されてもよい。例えば、複数のケーブル導線34の複数の一端と複数の接続導体50は、カバー部材によってそれぞれ圧着されてもよい。ケーブル32の複数のケーブル導線34の複数の一端は、絶縁支持体56に支持された複数の接続導体52にそれぞれ接続される(
図7を参照)。
【0048】
ケーブル30の複数のケーブル導線34の複数の他端は、第2コネクタ42の複数の第2端子420にそれぞれ電気的に接続される。ケーブル32のケーブル導線34の複数の他端は、第2コネクタ42の複数の第2端子420にそれぞれ電気的に接続される。
【0049】
なお、接続導体50の数とケーブル導線34の本数は、
図4に示す例に限らない。回転コネクタ装置100は、1つの接続導体50だけを備えてもよい。回転コネクタ装置100は、1本のケーブル導線34だけを備えてもよい。
<固定体の結合>
図5は、回転コネクタ装置100の側面図である。
図5に示すように、第1固定体部12と第2固定体部14とは、結合部16で互いに結合している。結合部16は、固定体10の外表面10sに露出している。ただし、固定体10の外表面10sは、少なくとも第1リング部120、外周筒部140、第1延伸部122、および第2延伸部142の外表面から構成される。
【0050】
図5に示すように、結合部16は、第1結合部160と第2結合部162を含む。第1結合部160では、第1延伸部122と第2延伸部142とが第1方向D1に結合する。第2結合部162では、第1リング部120と外周筒部140とが第1方向D1に結合する。
【0051】
図5に示すように、固定体10は、第1固定体部12および第2固定体部14が結合した状態で、第1固定体部12および第2固定体部14を係止する複数の係止部18を備えている。複数の係止部18は、第1方向D1から固定体10を見たときに、固定体10の外周10oに沿って配置されている。すなわち、複数の係止部18は、固定体10の外表面10sに露出する第1結合部160および第2結合部162に沿って、配置される。
【0052】
係止部18は、係止枠180と係止爪188とを有する。係止枠180は、第1固定体部12に取り付けられている。係止爪188は、第2固定体部14に取り付けられている。ただし、係止枠180が第2固定体部14に取り付けられ、係止爪188が第1固定体部12に取り付けられてもよい。
【0053】
係止枠180は、第1枠片182、第2枠片184、および接続片186を備えている。第1枠片182および第2枠片184は、それぞれ、第1固定体部12の第1リング部120の外周120aまたは第1延伸部122の外周から上方に延伸する。接続片186は、第1方向D1と直交し且つ外周10oに沿う方向に延伸し、第1枠片182の上端と第2枠片184の上端とを接続する。係止爪188は、第1枠片182および第2枠片184の間において、接続片186にひっかけられる。
【0054】
本実施形態では、係止枠180と第1リング部120または第1延伸部122は、一体形成されている。係止爪188と外周筒部140または第2延伸部142とは、一体形成されている。ただし、係止部18は本実施形態に開示の構造に限らない。また、複数の係止部18は省略されてもよい。
【0055】
第1結合部160の詳細について、
図6および
図7を用いて説明する。
図6は、回転コネクタ装置100の上面100uを示す図である。
図7は、
図6のVII-VII断面線で回転コネクタ装置100を断面した断面図である。
【0056】
図7に示すように、固定体10は、第1壁124、第2壁144、および第3壁146を有する。第1壁124、第2壁144、および第3壁146は、第2空間S2を規定する。なお、第2空間S2は、第1固定体部12および第2固定体部14の間の空間Sに含まれる。また、本実施形態では、第2空間S2は、外周筒部140によっても規定されている。しかし、第2空間S2の規定のために、外周筒部140は省略されてもよい。
【0057】
第1壁124は、回転軸AXの径方向において第1リング部120の外周120aから外側へ延伸している。第2壁144は、回転軸AXの径方向において、外周筒部140から外側に延伸している。第2壁144は、第1方向D1において第1壁124と対向している。第3壁146は、第1方向D1に平行であり、第2壁144と接続されている。第3壁146は、第1方向D1において第1壁124まで延伸する。第1結合部160では、第1方向D1において第3壁146と第1壁124とが結合している。第1結合部160は、第1壁124の外表面124oおよび第3壁146の外表面146oに露出している。
【0058】
本実施形態では、第2空間S2を規定するために、第1延伸部122は、第1壁124を有し、第2延伸部142は、第2壁144および第3壁146を有している。しかし、第2空間S2を規定するための構造は、これに限らない。
【0059】
図7に示すように、第2空間S2において、絶縁支持体54と絶縁支持体56は、回転軸AXに直交する第2方向D2において、並んでいる。絶縁支持体54は、第2方向D2において、絶縁支持体56よりも第1結合部160に近い。すなわち、絶縁支持体54に支持される複数の接続導体50は、それぞれ、絶縁支持体56に支持される複数の接続導体52よりも、第2方向D2において第1結合部160に近い。
<抑制構造>
回転コネクタ装置100は、結合部16を介して異物が空間Sに侵入することを抑制する抑制構造60を備えている。より具体的には、
図7に示すように、抑制構造60は、第1結合部160を介して異物が第2空間S2に侵入することを抑制するために、保護部材62を備えている。
【0060】
図7に示すように、保護部材62は、第1結合部160と複数の接続導体50との間に配置される。具体的には、保護部材62は、第1結合部160から各接続導体50に向かう各方向に固定体10を見たときに、第1結合部160、保護部材62、および各接続導体50が重なるように、配置されている。
【0061】
例えば、第1結合部160から、複数の接続導体50のうち第1結合部160に最も近い接続導体50Aに向かう方向に固定体10を見たときに、第1結合部160、保護部材62、および接続導体50Aが重なるように、保護部材62は配置される。
【0062】
保護部材62は、複数の係止部18のうち複数の接続導体50に最も近い係止部18と、複数の接続導体50との間に配置される。換言すれば、保護部材62は、複数の接続導体50に最も近い係止部18と第3壁146を介して対向している。
【0063】
保護部材62は、第1壁124から第1方向D1に沿って上方へ延伸している。この構成により、第1結合部160から複数の接続導体50まで至る隙間経路は、第1方向D1において長くなっている。ただし、第1方向D1における保護部材62の長さは、
図7に示す長さに限らない。例えば、第1方向D1における保護部材62の長さは、第2方向D2における保護部材62の長さと等しくてもよい。また、保護部材62は、第1結合部160と複数の接続導体50との間に位置する限り、第2壁144から第1方向D1に沿って下方へ延伸してもよい。
【0064】
図7に示すように、保護部材62は、第1方向D1に平行であり且つ互いに第2方向D2に対向する第1面64と第2面66とを有する。第1面64は、絶縁支持体54に対向する。第2面66は、第1結合部160に対向する。第2面66は、第1壁124の内表面124iと第3壁146の内表面146iとを繋ぐように、内表面124iおよび内表面146iに接触している。これにより、第2面66は、第1結合部160を塞いでいる。なお、内表面124iおよび内表面146iは、固定体10の内表面を構成する。ただし、第2面66が内表面124iおよび内表面146iと接触しなくてもよいし、内表面124iまたは内表面146iに接触してもよい。
【0065】
保護部材62は、絶縁材料を有する。本実施形態では、保護部材62と第1固定体部12とは、樹脂によって一体に形成されている。
【0066】
図8は、保護部材62の長さと係止部18の長さを説明するための、固定体10の側面図である。ただし、
図8における点線は、保護部材62を示す。
【0067】
図8に示すように、保護部材62は、第3方向D3における長さL1を有している。ただし、第3方向D3は、第1方向D1に直交し且つ第3壁146の外表面146oに沿う。第3方向D3における保護部材62の長さL1は、第3方向D3における係止部18の長さL2より大きい。この構成により、第1枠片182と第2枠片184の間の第1結合部160から複数の接続導体50まで至る隙間経路は、第3方向D3において長くなっている。ただし、第3方向D3における保護部材62の長さL1は、
図8に示す例に限らない。例えば、第3方向D3における保護部材62の長さL1は、第3方向D3における第1枠片182と第2枠片184との間の第1結合部160の長さL3より長く、長さL2より短くてもよい。また、第3方向D3における長さL1は、第3方向D3における長さL3より小さくてもよい。さらに、保護部材62は、第3壁146に沿うように、第1延伸部122および第2延伸部142の外周全体に沿って設けられてもよい。
【0068】
なお、回転コネクタ装置100は、ケーブル30、ケーブル32、第1コネクタ40、および第2コネクタ42を備えたが、ケーブル30、ケーブル32、第1コネクタ40、および第2コネクタ42は、省略されてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、接続導体50は、絶縁支持体54を介して固定体10に取り付けられたが、絶縁支持体54は、省略されてもよい。接続導体50は、固定体10に直接的に取り付けられてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、1つの保護部材62が設けられた。しかし、固定体10は、複数の保護部材62を備えてもよい。例えば、複数の保護部材62は、複数の接続導体50に近い順に配置された複数の係止部18に、第3壁146を介してそれぞれ対向するように配置されてもよい。ただし、保護部材62は、第3壁146を介して係止部18に対向しなくてもよい。
【0071】
さらに、抑制構造60は、第2結合部162を介して異物が第1空間S1に侵入することを抑制する抑制部600を有している。
図10は、抑制部600を示すための、固定体10を回転軸AXに直交する平面で断面した断面図である。
図11は、抑制部600を示すための、回転軸AXの径方向および第1方向D1に平行な平面で固定体10を断面した断面図である。
【0072】
図10および
図11に示すように、抑制部600は、回転軸AXの径方向において外周筒部140が第1リング部120の外周120aの外側になるように、外周筒部140と外周120aが接することで構成されている。抑制部600は、係止部18を避けて設けられる。本実施形態では、外周筒部140は、第1リング部120の外周120aに接する大径部602を有している。
図10に示すように、大径部602の径R1は、大径部602以外の外周筒部140の径より大きい。大径部602の径R1は、外周120aの径R2より大きい。ただし、外周筒部140の径が外周120aの径R2より大きければ、大径部602は設けられなくてもよい。回転軸AXの径方向において、外周筒部140が第1リング部120の外周120aを覆っているので、第2結合部162は、固定体10の底部10bにおいて露出し、固定体10の側壁10lにおいて露出していない。
【0073】
さらに、第1リング部120は、第1方向D1に延伸する延伸部606を備えている。第1リング部120の外周120aは、延伸部606の外周によって構成されている。大径部602の面604は、第1方向D1に延伸する延伸部606に当接している。従って、第2結合部162から第1空間S1に至る経路は、第1方向D1において長くなっている。ただし、面604は延伸部606に当接しなくてもよい。また、延伸部606は、省略されてもよい。
<第1実施形態の特徴>
回転コネクタ装置100および回転コネクタ装置100の特徴を以下にまとめる。
【0074】
回転コネクタ装置100は、固定体10と、回転体20と、抑制構造60と、を備える。固定体10は、第1固定体部12と第2固定体部14との間に空間Sを規定するように第1固定体部12と前記第2固定体部14とを対向配置して結合部16で結合することにより構成される。結合部16は、固定体10の外表面10sに露出する。抑制構造60は、異物が第1固定体部12および第2固定体部14の間の空間Sに侵入することを抑制する。この構成では、異物の侵入による回転コネクタ装置100の劣化は抑制される。その結果、回転コネクタ装置100の耐環境性は向上する。
【0075】
なお、異物は、例えば、流体である水および埃である。
【0076】
また、回転コネクタ装置100は、空間Sに含まれる第2空間S2において固定体10に配置された接続導体50をさらに備え、接続導体50は、ケーブル導線34の一端に接続され、回転体20は、ケーブル導線34の他端に接続されている。
【0077】
この構成では、接続導体50に異物が付着して、接続導体50が劣化することが抑制されている。
【0078】
また、回転コネクタ装置100では、抑制構造60は、結合部16から接続導体50まで至る隙間経路の長さを長くするための保護部材62を有する。この構成は、異物が接続導体50まで到達することを抑制できる。
【0079】
また、回転コネクタ装置100では、抑制構造60は、空間Sに含まれる第2空間S2において、結合部16と接続導体50との間に配置された保護部材62を有する。この構成は、異物が接続導体50まで到達することを抑制できる。
【0080】
また、回転コネクタ装置100では、保護部材62は、結合部16において、第1固定体部12の内表面124iおよび第2固定体部14の内表面146iの少なくとも一方に接触する。この構成では、異物の侵入は、保護部材62が結合部16を埋めるように配置されるので、抑制される。
【0081】
また、回転コネクタ装置100では、回転体20は、第1方向D1に沿う回転軸AX周りに回転可能である。結合部16は、第1方向D1から見たときの固定体10の外周10oに、設けられる。保護部材62は、第1方向D1に直交する第2方向D2において、結合部16と接続導体50との間に配置される。保護部材62は、第1固定体部12から第1方向D1において延伸する。この構成は、結合部16から接続導体50までの隙間経路が第1方向D1に延びるので、異物が保護部材62を回りこむことを抑制する。
【0082】
また、回転コネクタ装置100では、固定体10は、第1固定体部12と第2固定体部14とを係止する係止部18を有する。第2方向D2において、保護部材62は、係止部18と接続導体50との間に配置される。この構成では、係止部18周辺の結合部16において異物が侵入しやすくなったとしても、保護部材62は、異物が侵入しやすい位置の結合部16に対応して配置される。従って、この構成は、異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0083】
また、回転コネクタ装置100では、第1方向D1に直交し、固定体10の外表面10sに沿う第3方向D3における前記保護部材の長さL1は、第3方向D3における係止部18の長さL2よりも大きい。この構成は、係止部18周辺の結合部16において異物が侵入したとしても、第3方向D3に長い保護部材62を回り込むことを抑制できる。
【0084】
また、回転コネクタ装置100では、係止部18は、第1固定体部12および第2固定体部14の一方に取り付けられた係止枠180と、第1固定体部12および第2固定体部14の他方に取り付けられた係止爪188と、を有する。係止枠180と係止爪188の係止が緩んだとしても、保護部材62が係止部18に対応して配置されているので、この構成は、異物の侵入を効果的に抑制できる。
【0085】
また、回転コネクタ装置100では、保護部材62は、絶縁材料を有する。この構成は、保護部材62が接続導体50に接触しても、短絡等の電気的接続の問題を抑制できる。
【0086】
また、回転コネクタ装置100は、固定体10の外部に設けられ、接続導体50に電気的に接続された第1端子400を有する第1コネクタ40を備える。この構成は、回転コネクタ装置100と外部ケーブルとの間の接続性を向上させる。
【0087】
また、回転コネクタ装置100は、接続導体50を支持し、空間Sにおいて固定体10に取り付けられる絶縁支持体54を備える。この構成は、接続導体50と他の導体との短絡等の電気的な接続の問題を抑制できる。
【0088】
また、回転コネクタ装置100では、空間Sは、第1空間S1と第2空間S2とを有する。回転体20は、第1空間S1に対応して配置される。接続導体50は、第2空間S2に配置される。
【0089】
また、ケーブル30は、ケーブル導線34と、ケーブル導線34を被覆する絶縁性の被覆材36とを有する。ケーブル30は、回転体20および固定体10との間の空間(第1空間S1)に配置される。
【0090】
また、抑制構造60は、回転軸AXの径方向において第2固定体部14が第1固定体部12を覆うことで構成された抑制部600を有している。
【0091】
従って、回転軸AXの径方向において外側から到来する異物が、空間Sに含まれる第1空間S1に侵入することが抑制されている。
【0092】
また、回転軸AXの径方向において、第2固定体部14の面604と、第1固定体部12の第1リング部120の外周120aは当接している。
【0093】
従って、第2結合部162から第1空間S1に至る経路が狭くなっているので、第1空間S1への異物の侵入が効果的に抑制される。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る回転コネクタ装置について、
図9を用いて説明する。
図9は、
図7に示す断面図に対応する断面図である。
【0094】
第2実施形態に係る回転コネクタ装置は、第2空間S2を規定する構造、および、保護部材70(保護部材62に対応)の構成において、第1実施形態に係る回転コネクタ装置100と相違する。重複する構成の説明は省略される。
【0095】
図9に示すように、第2空間S2は、第1壁124、第2壁144、第3壁170、および第4壁172によって規定される。第3壁170は、第1壁124から上方に延伸する。第4壁172は、第2壁144から下方に延伸する。第3壁170の上端と第4壁172の下端は、第1結合部160aで結合する。すなわち、第1結合部160aは、第1方向D1において、第1壁124および第2壁144から離れている。
【0096】
保護部材70は、第1方向D1における位置が保護部材62と相違する。また、保護部材70は、保護部材62と異なり、第1壁124と別に設けられる。
図9に示すように、保護部材70は、第1結合部160aと対向するように、第1方向D1において第1壁124と第2壁144から離れている。第1方向D1における保護部材70の長さL11は、第2方向D2において第1結合部160aに対向する位置から保護部材70の下端までの長さL12と、第2方向D2において第1結合部160aに対向する位置から保護部材70の上端までの長さL13とからなる。長さL12は、長さL13より大きい。これにより、第1結合部160aから下方に保護部材70を回り込んで複数の接続導体50まで至る隙間経路は、第1結合部160aから上方に保護部材70を回り込んで複数の接続導体50まで至る隙間経路よりも長くなっている。従って、第1結合部160aを介して侵入した異物が下方に移動しやすい場合でも、この構成は、異物が複数の接続導体50にまで到達することを効果的に抑制する。
【0097】
ただし、保護部材70の長さL11、長さL12、および長さL13は、
図9に示す例に限らない。
【0098】
なお、本願においては、「備えている」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有している」、「含んでいる」およびそれらの派生語にも適用される。
【0099】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0100】
また、本開示における「平行」「直交」および「一致」の表現は、厳密に解釈されるべきではなく、「実質的な平行」「実質的な直交」および「実質的な一致」の意味をそれぞれ含む。また、その他の配置に関する表現も、厳密に解釈されるものではない。
【0101】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
100 :回転コネクタ装置
10 :固定体
20 :回転体
30,32 :ケーブル
40 :第1コネクタ
42 :第2コネクタ
50,52 :接続導体
54,56 :絶縁支持体
60 :抑制構造
62,70 :保護部材
90 :組付部材
16 :結合部
160,160a :第1結合部
162 :第2結合部
18 :係止部
600 :抑制部