(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】微細構造化部品のマイクロリソグラフィ製造のための方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230615BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/30 569
H01L21/30 566
(21)【出願番号】P 2021196304
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2019522919の分割
【原出願日】2017-10-06
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102016221261.3
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】パトラ ミヒャエル
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特許第6989602(JP,B2)
【文献】特開2015-156472(JP,A)
【文献】特開2016-086042(JP,A)
【文献】特表2017-504077(JP,A)
【文献】特開2016-092208(JP,A)
【文献】特開2004-325989(JP,A)
【文献】特開2000-056476(JP,A)
【文献】特開2005-099739(JP,A)
【文献】特開平04-361525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00
7/06 - 7/07
7/12 - 7/14
9/00 - 9/02
H01L 21/027、21/30
G03F 7/38 - 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影露光装置を用いて露光されるべきフォトレジストを有するウェーハ上に生成されることができる構造の少なくとも1つの構造特性の、所定の所望の構造特性からのずれを確認するステップであって、この確認が、前記フォトレジストを露光するために使用される光視野の少なくとも1つの特性を決定することを含む、ステップと、
前記投影露光装置を用いて露光されるべきフォトレジストを有するウェーハ上に生成されることができる構造の少なくとも1つの構造特性の、所定の所望の構造特性からのずれを確認するステップの後に、前記投影露光装置を用いてマスクの少なくとも一部を前記フォトレジストの領域上に投影することによって前記フォトレジストを露光し、それにより、構造を含む露光されたフォトレジストを形成するステップと、
前記少なくとも1つの構造特性の前記確認されたずれに基づいて前記露光されたフォトレジストを処理するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構造特性のずれの確認は、設計モデルを用いるか又は前記投影露光装置に関する設計データを用いることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構造特性のずれの確認は、リソグラフィプロセスを実行する前の計測から得られる測定データの形態の、前記投影露光装置に関するデータを用いることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構造特性のずれの確認は、露光前のウェーハの特性を用いること、露光前のフォトレジストの特性を用いること、および/または光源の特性を用いることを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの構造特性のずれの確認は、
前記投影露光装置の照明ユニットによって前記マスクの位置に生成された強度分布と、
前記投影露光装置の投影レンズの位置依存性透過特性と、
前記投影露光装置の投影レンズの瞳依存性透過特性と、
前記投影露光装置の投影レンズの偏光依存性透過特性と、
前記投影露光装置の投影レンズの波面と、
前記投影露光装置内の少なくとも1つの瞳平面の照明と、
からなるグループから選択される少なくとも1つの計算もしくはモデル化を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記露光されたフォトレジストを処理することが前記露光後の前記フォトレジスト中に存在する遊離水素イオンの濃度を変更するステップを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
遊離水素イオンの前記濃度の前記変更が前記フォトレジストに酸または酸スカベンジャーを使うことを含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
遊離水素イオンの前記濃度の前記変更が前記投影露光装置の動作波長から逸脱する波長を有する光を用いた前記フォトレジストの後露光を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記フォトレジストを、マスクを使用せずに後露光することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記露光されたフォトレジストを処理することがエッチングプロセスを含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記露光されたフォトレジストを処理することが、前記フォトレジストを加熱することと、前記フォトレジストの局所的な移動によって前記構造を移動させることと、を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記露光されたフォトレジストを処理することが前記構造の平均構造サイズの10倍よりも粗い空間分解能を用いることを含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記露光されたフォトレジストを処理した後に、前記フォトレジストを化学的に現像することをさらに含む、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記処理されたフォトレジストを化学的に現像する間に、前記確認されたずれに応じて温度を修正することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの構造特性が前記構造の構造サイズを含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの構造特性が前記構造の構造位置を含む、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年10月28日に出願された独国特許出願第10 2016 221 261.3号の優先権を主張するものである。前記独国出願の内容は、参照により本明細書に付随的に組み込まれる。
本発明は、微細構造化部品のマイクロリソグラフィ製造のための方法およびマイクロリソグラフィ露光されたウェーハ(wafer)を後処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路またはLCDなどの微細構造化部品を製造するために使用される。マイクロリソグラフィプロセスは、照明ユニットと投影レンズとを有するいわゆる投影露光装置において行われる。この場合、照明ユニットによって照射されたマスク(=レチクル)の像は、マスク構造を基板の感光性コーティングに転写するために、投影レンズによって感光層(フォトレジスト)で被覆された基板(例えば、シリコンウェーハ)上に投影され、投影レンズの像平面に配置される。
微細構造化部品または回路を非常に正確に製造するために、可能な限り高い精度でウェーハ上に構造化する目的でマイクロリソグラフィ的に生成される光視野(light field)を制御するための様々な手法が知られており、これには、特に照明ユニットをできる限り安定化させることも含まれる。
この制御および安定化は、多くの点で厳しい難題を引き起こし、特に、例えば特定の照明設定を設定するために使用される光学部品の構成(例えば、回折光学素子、または多数の互いに独立して調整可能なミラー要素を含むミラー配置)に関して厳しい要求がなされる必要がある。光視野の非常に正確な制御のためのさらなる手段は、非常に正確な均一性の設定、およびまた電磁放射の線量安定性、ならびにまた対応する測定ユニットの提供を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記の背景に対して、本発明は、微細構造化部品のマイクロリソグラフィ製造のための方法、およびまた設備の点で複雑さの少ない微細構造化部品または回路の非常に正確な製造を可能にするマイクロリソグラフィ露光されたウェーハを後処理するための装置を提供することを目的とする。
この目的は、独立請求項の特徴に従って達成される。
【0004】
微細構造化部品のマイクロリソグラフィ製造のための本発明による方法は、以下のステップ、すなわち、
フォトレジストが少なくとも部分的につけられた(applied)ウェーハを用意するステップと、
結像される(to be imaged)構造を有するマスクを用意するステップと、
照明ユニットと投影レンズとを有する投影露光装置を用意するステップと、
投影露光装置を用いてマスクの少なくとも一部をフォトレジストの領域上に投影することによってフォトレジストを露光するステップと、
露光されたウェーハ上に生成された構造の少なくとも1つの構造特性の所定の所望の構造特性からのずれ(deviation)を確認するステップであって、この確認が、ウェーハにつけられたフォトレジストを露光するために使用される光視野の少なくとも1つの特性を決定することによって行われる、ステップと、
確認されたずれに基づいてウェーハを後処理するステップと、
後処理されたウェーハを化学的に現像する(develop)ステップと、
を含む。
【0005】
本発明は、特に、光視野および/またはこの露光の結果としてウェーハ上に生成される構造のずれを最初から許容することによって、ウェーハ上に生成される前記光視野の制御および安定化に関して、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明ユニットおよび/または投影レンズにおいて実施される複雑さを軽減するという概念に基づき、前記ずれは、前記光視野に関する、およびまた前記光視野の結果としてウェーハ上に生成される構造特性に関して露光プロセスにおいて生じる可能性がある。この場合、本発明は、最初にこれらの許容されるずれを確認し、この確認に基づいて露光されたウェーハまたはフォトレジストの適切な後処理を行うという概念をさらに含む。
露光されたウェーハ上に生成された構造の少なくとも1つの構造特性の所定の所望の構造特性からのずれを確認することは、ウェーハにつけられたフォトレジストを露光する光視野の少なくとも1つの特性を決定することによって本発明に従って行われる。この場合、本発明は、特に、ウェーハの特性を直接決定すること、またはリソグラフィプロセスで処理されたウェーハ上で計測を行うことを含む従来の手法とは異なる。
【0006】
本発明によると、ずれの確認は、測定によって、設計モデルを調べることによって、または投影露光装置に関する利用可能なデータを調べることによって行うことができる。特に、本発明によると、リソグラフィプロセス自体の間に(例えば、投影露光装置自体内で)ウェーハを露光するために使用される(光)視野について計測を行うことが可能であり、あるいはリソグラフィプロセスを行う前に前もって投影露光装置における計測から既に得られている測定データの形態の、ならびに/あるいは投影露光装置および/またはモデル(例えば、投影露光装置の動作中の加熱効果、いわゆる「レンズ加熱」のモデルベースの記述のための)に関連する設計データの形態の投影露光装置に関連するデータを使用することが可能である。ここでいずれの場合も、ウェーハおよび/またはフォトレジストフォトレジストが実際の露光前に呈するウェーハおよび/またはフォトレジストの特性、リソグラフィプロセス中の例えば温度または気圧などの周囲パラメータ、ならびにまた使用される光源の特性を考慮に入れることも可能である。
【0007】
なんらかの他のやり方で測定され、計算され、または決定される変数は、光視野の特性に直接関連し得る。視野(field)および/または瞳平面内の強度分布は、このタイプの例示的な変数であり、位置、方向、波長および/または偏光状態の関数としてのより高次元の強度分布と同様に、位置および方向の関数としての4次元の強度分布である。なんらかの他のやり方で測定され、計算され、または決定される変数は、光視野が投影露光装置のサブシステムによってどのように変更されるかにも関連し得る。投影レンズの瞳依存アポダイゼイションプロファイル(pupil-dependent apodization profiles)または波面プロファイル(すなわち、基準球(reference sphere)からの光視野の一定位相の領域のずれ)は、このタイプの例示的な変数である。
【0008】
この場合、本発明は、マイクロリソグラフィ製造プロセスの過程で、ウェーハ露光中にフォトンがフォトレジストに衝突する結果として、酸および/または遊離水素イオン(free hydrogen ions)が実際に生成され、これらが究極的にフォトレジストの可溶性(solubility)の変化もたらすという考察から発しており、前記変化は、フォトレジストに含まれるポリマーを切り離すことによる構造化にとって重要であるが、前記ポリマーの切り離しは、露光後の別のプロセスステップ、すなわちその後の「ベーキング処理」(=典型的には80℃~90℃の温度での「露光後ベーク(Post-Exposure Bake)」)においてのみ行われる。本発明は、ウェーハの特定の構造特性の起こり得る望ましくないずれが後処理の過程で少なくとも部分的に補償されるという趣旨で、実際のウェーハ露光と後続のベーキングプロセスとの間の残っている期間もウェーハの後処理に使用されるという事実によってこの状況を使用し、前記ずれが実際のウェーハ露光の結果として生成される。
以下でさらに詳細に説明するように、前記後処理は、例えば、追加の酸および/または遊離水素イオンの提供、さもなければ投影露光装置の実際の動作波長から逸脱した波長での後露光(post-exposure)を含むことができる。
その結果、発生する「誤差」を最初から回避する必要はなく、単に確認して(例えば、測定または評価して)、次いで上述したようにその後補正することができるため、ウェーハ上に生成される光視野の制御およびまた安定化に関して、実際の露光プロセス中に照明ユニットおよびまた投影レンズの側で実施される複雑さをしたがって著しく軽減することができる。
【0009】
本発明による方法の本質的な利点は、ウェーハの構造特性を補正するための本発明による後処理中に実行される設定が、典型的には、究極的にウェーハ上に生成される構造サイズよりも著しく長い長さスケールで実施することができるという事実にある。これは、前記構造サイズが典型的には(10~20)nmの大きさのオーダーであるのに対して、照明ユニットおよび/または投影レンズによってもたらされる構造特性の典型的なずれの長さスケールは、約1mmの大きさのオーダーであり、その結果、生成される誤差を測定するためにおよび/またはそれに影響を与えるために使用される装置も著しくより簡単にかつよりコスト効率良く実現することができるためである。
一実施形態によると、少なくとも1つの構造特性は、露光後に生成される構造の構造サイズを含む。
【0010】
一実施形態によると、ウェーハの後処理は、露光後にフォトレジスト中に存在する遊離水素イオンの濃度(concentration)を変更するステップを含む。遊離水素イオンの濃度の前記変更は、特に、フォトレジストに酸または酸スカベンジャー(acid scavenger)を使う(apply)ステップを含むことができる。さらに、遊離水素イオンの濃度の変更は、投影露光装置の動作波長から逸脱する波長を有する光を用いてフォトレジストを後露光することも含む。
一実施形態によると、フォトレジストの後露光は、マスクを使用せずに行われる。
一実施形態によると、ウェーハの後処理は、ウェーハ上の平均構造サイズの10倍よりも粗い空間分解能で行われる。
一実施形態によると、後処理されたウェーハを化学的に現像するプロセス中に設定される温度は、確認されたずれに応じて修正される。
【0011】
一実施形態によると、少なくとも1つの構造特性のずれを確認するステップは、照明ユニットによるマスクの照明中に生成される強度分布の位置依存性(location-dependent)測定、投影レンズの透過特性の位置依存性測定、投影レンズの透過特性の瞳依存性(pupil-dependent)測定、投影レンズの透過特性の偏光依存性(polarization-dependent)測定、光源の特性の測定、および/または投影露光装置内の少なくとも1つの瞳平面の照明の測定を含む。
一実施形態によると、少なくとも1つの構造特性のずれを確認するステップは、照明ユニットによってマスクの位置に生成される強度分布、投影レンズの位置依存性透過特性、投影レンズの瞳依存性透過特性、投影レンズの偏光依存性透過特性、投影レンズの波面、および/または投影露光装置内の少なくとも1つの瞳平面の照明の計算もしくはモデル化を含む。
一実施形態によると、少なくとも1つの構造特性は、露光されたウェーハ上に生成される構造の構造位置を含む。
一実施形態によると、ウェーハを後処理するステップは、エッチング(etching)プロセスを行うステップを含む。
一実施形態によると、ウェーハを後処理するステップは、フォトレジストを加熱するステップと、フォトレジストの局所的な移動によって、露光されたウェーハ上に生成された構造を移動させるステップと、を含む。
【0012】
この場合、露光されたウェーハ上に生成された構造が、例えば、原則としては既に正しいが、依然として正しくない位置にあるというシナリオを考慮に入れることが可能である。次いで、本発明によると、特に、ウェーハ表面に対して接線方向の力をフォトレジストに加えることができ、フォトレジストの流動を、例えば、フォトレジストの局所加熱(すなわち、適切な温度プロファイルおよび/または温度勾配の設定によって実施される加熱)、あるいは移動度の局所的な変更によって支援することができる。さらに、たとえウェーハ表面に対する接線方向の明示的な外力が導入されなくても、本発明に従って生成される勾配、例えば温度の勾配によって好ましい方向を達成することが可能である。
【0013】
本発明は、マイクロリソグラフィ露光されたウェーハを後処理するための装置にさらに関し、フォトレジストがウェーハに少なくとも部分的につけられ、装置は、現像/ベーキング中にフォトレジストの可溶性を変える物質の濃度を変化させるように構成され、前記濃度が後続のベーキングプロセス中にフォトレジスト中に存在する。前記物質は、特にポリマー鎖を切断するために使用される酸とすることができ、酸濃度は、ポリマー切断速度を決定する。この場合、本発明によると(ポリマーの切断速度に関連するさらなる熱力学パラメータ、例えば温度などとは対照的に)、濃度は、適切な空間分解能で局所的に影響を受けることができる。
【0014】
この目的のために、装置は、特に、ウェーハの位置依存性露光、またはウェーハの位置依存性化学処理のためのユニットを備えることができる。したがって、本装置によって、酸を生成、遊離、または除去する物質を、位置に依存した強度で露光することによって、光に基づいたやり方で活性化させることができ、あるいは例えば噴霧またはつけることによって位置に依存したやり方で導入することができる。
【0015】
一実施形態によると、上述の変化は、50μm~5mmの範囲の空間波長で行われる。これは、本発明による構造特性の補正を実施しなければならない長さスケールが、ウェーハまたはレジスト上の実際のリソグラフィプロセス中に行われる(nm範囲の)構造化よりも著しく大きいという事実を表わす。
一実施形態によると、ウェーハを後処理するステップは、露光後のフォトレジスト中に存在する遊離水素イオンの濃度を変更するステップを含む。
一実施形態によると、ウェーハを後処理するステップは、エッチングプロセスを行うステップを含む。
一実施形態によると、ウェーハを後処理するステップは、フォトレジストを加熱するステップと、フォトレジストの局所的な移動によって、露光されたウェーハ上に生成された構造を移動させるステップと、を含む。
本発明のさらなる構成は、説明および従属請求項から収集することができる。
本発明は、添付図に示される例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】露光されたウェーハ上の構造サイズの誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図2】露光されたウェーハ上の構造サイズの誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図3】露光されたウェーハ上の構造サイズの誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図4】露光されたウェーハ上の構造サイズの誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図5】露光されたウェーハ上の構造位置誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図6】露光されたウェーハ上の構造位置誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図7】露光されたウェーハ上の構造位置誤差を補正するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図8】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図9】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図10】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図11】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図12】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図13】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図14】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図15】露光されたウェーハ上の構造位置誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図16】露光されたウェーハ上の構造位置誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図17】露光されたウェーハ上の構造位置誤差を確認するための実施形態を説明するための概略図である。
【
図18】露光されたウェーハ上の構造サイズ誤差を補正するための他の実施形態を説明するための概略図である。
【
図19】マイクロリソグラフィ投影露光装置の実施形態の概略図である。
【
図20】マイクロリソグラフィ投影露光装置の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図18の概略図を参照して以下に記載される実施形態が共通に有することは、マイクロリソグラフィ露光されたウェーハ上に生成された構造の少なくとも1つの構造特性に関して、それぞれの所望の値からのずれが最初に適切なやり方で確認され、その後、ウェーハまたはフォトレジストの後処理の過程で、少なくとも部分的に補正されるということである。
この場合、本発明によると、前記ずれの確認および確認されたずれの補正の両方に関するそれぞれの手順において、前記構造特性のタイプに関して、すなわち(a)構造サイズと(b)構造位置とが区別される。
【0018】
この場合、「構造サイズ」とは、ウェーハ上に生成されたそれぞれの構造の空間的な範囲または広がりを意味すると理解され、所望の値からの関連付けられたずれは、「CD」誤差(CD=「限界寸法(Critical Dimension)」)とも呼ばれる。「構造位置」とは、ウェーハ上に生成された構造の空間的位置または位置を意味すると理解され、所望の構造位置からの対応するずれは、「オーバーレイ誤差」とも呼ばれる。
以降では、最初に、
図1~
図4および
図18を参照して構造サイズを変更するための本発明の可能な実施形態に関する説明がなされるのに対して、構造位置を変更するための実施形態は、
図5~
図7を参照して説明される。
さらに、
図8~
図14を参照して構造サイズを決定するための実施形態に関する説明がなされるのに対して、構造位置を決定するための実施形態は、
図15~
図17を参照して説明される。
【0019】
最初に、実際の露光プロセスに続くウェーハまたはフォトレジストの後処理による、本発明による構造サイズの変更に関する限り、
図1による第1の実施形態において、対応する噴霧装置11(酸を使うための)および/または噴霧装置12(酸スカベンジャーを使うための)を用いて、ウェーハWまたはフォトレジスト上に(遊離水素イオンの濃度を増加させるために)酸をおよび/または(遊離水素イオンの濃度を減少させるために)酸スカベンジャー(「塩基クエンチャ(Base Quenchers)」)を噴霧することによって、フォトレジスト中に存在する遊離水素イオンに直接影響を及ぼすことが可能である。
図1では、「S」は、走査方向を示し、「CS」は、ウェーハ平面内でこれに垂直に延びる方向(「クロス走査方向(Cross-Scanning Direction)」)を示す。
この場合、それ自体知られているやり方で、上述の酸スカベンジャーまたは「塩基クエンチャ」は、遊離水素イオンに不可逆的に結合する性質を有し、その結果、フォトレジストのしきい値依存の挙動(遊離水素イオンが、特定の光線量を上回る場合にのみ化学反応に利用可能であるという趣旨で)が達成される。酸スカベンジャーは、特に塩基が酸と結合して塩を形成することができるため、塩基とすることができる。
【0020】
図1に従って可能である酸および酸スカベンジャーの両方の添加は、利用可能な遊離水素イオンの数をここでは任意に増加または減少させることを可能とし、これは、ポリマーの切断速度、したがってその後の化学現像中の可溶性にとって究極的に重要である。この場合、既に導入部分で述べた後続の「ベーキング処理」(「露光後ベーク」)中のいわゆるポジ型レジスト(positive resist)中の遊離水素イオンの数の増加は、結果としてフォトレジスト中に存在するポリマーの切断速度の増加をもたらし、したがって、究極的に、フォトレジストの可溶性の増大をもたらすが、遊離水素イオンの数の減少は、逆の効果を引き起こす。いわゆるネガ型レジスト(negative resist)については、遊離水素イオンの数とフォトレジストの可溶性との間の関係は、ポジ型レジストのそれと正反対である。
さらなる実施形態では、構造サイズの変更のために、投影露光装置の動作波長から逸脱する波長でフォトレジストの後露光を実施することも可能である。これは、従来のフォトレジスト材料が一般により広い波長領域にわたって敏感であるという事実を利用することができ、その結果、投影露光装置の動作波長を逸脱する波長を有する光さえも露光後に使用することができる。
【0021】
単に一例として、発光ダイオード(LED)31の配置は、
図3に従って使用可能である。既に露光されたウェーハWをそのようなLEDを使用して照射することは、
図2に示されるように、酸濃度の関連する位置依存性曲線が上方にまたはより高い酸濃度値に向かってシフトするという効果を有し、その結果、曲線「B」(「後露光の前」)と「A」(「後露光の後」)の定性的な比較によって示されるように、いずれの場合もマイクロリソグラフィ的に印刷された構造の構造サイズの変更がレジストしきい値が変わらないままであるために達成される。ここで、本実施形態によると、構造サイズの変更は、いずれの場合もポジ型レジストを使用するかネガ型レジストを使用するかに応じて、「一方向にのみ」(すなわち増加の意味でのみ、または減少の意味でのみ)行われ得ることを考慮に入れるべきである。したがって、本手法では、投影露光装置によって生成される実際の放射線量が常に目標線量を下回ることが確実になるように注意すべきであるのが好ましい。
明示的には示されていないさらなる実施形態によると、
図3による発光ダイオード31は、
図1に従って酸スカベンジャーを供出する噴霧装置12と組み合わせることができ、それによって、酸濃度を「両方向に」変更することが可能になる。
【0022】
最も広く使用されているフォトレジストは、動作波長を有するフォトンの吸収が、この動作波長とは異なるある特定の第1の波長領域のフォトンの吸収と同様に、結果として酸生成をもたらす前述のタイプのフォトレジストである。米国特許出願公開第2016/0048080号は、実際の意味でのフォトレジストだけでなく、光に反応することができるさらなる物質を含む層をウェーハW上につけることを開示している。
前記層は、特に、露光下で酸スカベンジャーを遊離する物質(光破壊性塩基(photodestructive base))、すなわち特に塩基(base)を含有することができる。前記物質は、特に、実際のフォトレジストが露光時に遊離酸を放出しない第2の波長領域において敏感であってもよい。
図18に示すさらなる実施形態によると、このタイプの層が設けられたウェーハWは、第1の波長領域からの放射を放出する第1の発光ダイオード32によって照射され、その結果、遊離酸が生成され得て、第2の波長領域からの放射を放出する第2の発光ダイオード33によって照射され、その結果、酸スカベンジャーが生成される。
【0023】
さらなる実施形態によると、ウェーハWにつけられた層は、光増感体前駆体(photosensitizer precursor)を含有することができる。光増感体(photosensitizer)は、米国特許出願公開第2016/0048080号から知られている。第1の動作波長を有する放射で露光すると、光増感体前駆体は、クリーブ(cleave)されて光増感体を形成する。続いて第3の波長領域の放射光で照射すると、光増感体(光増感体前駆体ではなく)は、遊離酸の生成をもたらす。したがって、生成される酸の局所的な密度は、動作波長の強度に第3の波長領域の強度を掛けたものに比例する。
図3による一実施形態では、ウェーハW上の層が光増感体前駆体を含む場合は、発光ダイオード31は、そのような第3の波長領域の放射を放出することができる。
【0024】
図4に概略的に示すさらなる実施形態によると、構造サイズの影響は、後続のベーキングプロセス(「霧光後ベーク」)中に設定される温度を変えることによって達成することもできる。本手法は、ここで効果的な遊離水素イオンの結果として後続のベーキングプロセス中に得られる効果またはポリマー切断速度が、温度依存性がある(temperature-dependent)という状況を考慮することができる。
図4によると、全体的な温度オフセットは、フェーズ(phase)45を使用して設定することができ、赤外線照明素子41を使用して、フォトレジスト上に局所的な温度差を設定することが可能である。赤外線照明素子41は、特に、個々の赤外線源の二次元マトリックス状配置を含むことができる。さらなる実施形態では、赤外放射を1つの空間的な方向にまたは一次元に偏向させる装置と併せて一次元配列の赤外線源を使用すること、さもなければ赤外線ビームを2つの相互に垂直な空間的な方向にまたは二次元に偏向させる装置と併せて実質的に点タイプの赤外線源を使用することも可能である。
赤外線照明素子41によって放出される放射のための一次元および/または二次元の偏向装置を使用する代わりに、ウェーハW上の放射の衝突位置の変更は、ウェーハWを赤外線照明素子に対して適切に移動させることによっても達成することができる。
構造位置を変更するための(すなわち、起こり得るオーバーレイ誤差を排除するための)様々な実施形態が、
図5~
図7を参照して以下で説明される。これらの実施形態は、原則として、それぞれの構造の重心が変位する好ましい方向が原則として構造位置を変更するために区別されるという点で、
図1~
図4を参照して上述された構造サイズを変更するための手段とは異なる。
【0025】
図5によると、この目的のために、それ自体知られているやり方で、それぞれの表面に向けられたイオンの斜め衝突が、関連する構造の側壁から離れた目標とするエッチングをもたらす(構造の重心の変位または「移動」を伴う)エッチングプロセスを使用することが可能である。ウェーハWの領域内での構造位置の所望の変更に応じて、エッチングに使用されるイオンは、適合させた所定の角度で前記領域に衝突する。
図5a~
図5cによると、この場合、互いに異なる入射角でエッチングされることが意図されたウェーハWの領域は、時間的にも連続して(すなわち、時間t
1、t
2、およびt
3の異なる時点でそれぞれ)エッチングされ得る。
エッチングプロセスに起因してさらに起こる可能性のある構造のサイズの変更は、
図1~
図4を参照して上述した方法のうちの1つを用いて補正することができる。
【0026】
さらなる実施形態では、構造位置を変更するために、規定の力を発生させることによって内部に構造の変位が生成されることと併せてフォトレジストの加熱を行うことも可能であり、フォトレジストをそのフロー温度(flow temperature)(例えば、約120℃の大きさであってもよい)を超えて加熱することによってフォトレジストの流動が引き起こされている間に、この流動の非対称性をウェーハ表面に平行に作用する力によって達成することができる。この最後のことは、
図6a~
図6dに単に概略的に示されているように、例えば、ウェーハを繰返し軸外回転させることによって(いずれの場合も、接続軸「ウェーハ回転軸」に対してウェーハの異なる向きで)達成することができる(ここでは、ウェーハのそれぞれの向きは、文字「A」の向きによって示されている)。各回転中に(いずれの場合も、接続軸「ウェーハ回転軸」に対してウェーハの所定の向きで)、特定の方向への関連する構造の変位を達成することが可能であり、この移動の程度は、フォトレジストの温度によって決定することができ、前記温度は、位置に依存した加熱によって局所的に設定することができる。
図4と類似した配置を、再度この目的に使用することができる。
【0027】
さらなる実施形態では、ウェーハ上に生成された構造位置の変位は、
図3からの実施形態と類似した装置を使用して、空間的に分解された後続のIR照明によって行うこともでき、ここでフォトレジストの流動の強度は、位置に依存するやり方で同様に変えることができる。構造位置を変位させるために、これは、例えば、
図6による実施形態に従って、ウェーハWの表面に対して接線方向成分を有する指向性のある力を押しつけることと組み合わされなければならない。
【0028】
図7で単に概略的に示すさらなる実施形態によると、構造位置の位置依存性変位は、フォトレジストが加熱される(本例では直線状の)領域75によってフォトレジストの加熱領域75を、ウェーハを横切って特定の移動方向71に移動させることによって時間的に変化させることによっても達成することができる。
露光されたウェーハ上の構造特性(すなわち、構造サイズおよび/または構造位置)のずれを補正する目的で、ウェーハの本発明による後処理を実現するための種々の実施形態について上述したが、本発明の文脈では、最初に時間的に関連するずれの確認を行うことが必要である。
【0029】
この点で、様々な実施形態が
図8~
図17を参照して以下に記載され、ここでもまた、構造サイズまたはCD誤差と、構造位置またはオーバーレイ誤差との間の区別がもう一度なされる。具体的には、
図8~
図14を参照して、構造サイズに関するずれを確認するための実施形態についての説明が示され(このずれは、例えば、
図1~
図4の実施形態のうちの1つに従って補正することができる)、一方、
図15~
図17を参照して、構造位置のずれを決定するための実施形態についての説明が示される(このずれは、例えば、
図5~
図7の実施形態のうちの1つに従って補正することができる)。
構造サイズに関してずれを最初に確認することに関する限り、これは、本発明に従って、フォトレジスト中またはウェーハ上に生成された遊離水素イオンの濃度に基づいて行うことができる。構造サイズのための補正方法は、遊離水素イオンの数を変えるため、特に、必要な補正は、この目的のためにウェーハ上の構造サイズを明確にする決定する必要なしに、存在する水素イオンの実際の数を確認することによって直接決定され得る。
【0030】
遊離水素イオンの濃度は、例えば、フォトレジストのインピーダンスの変化の測定に基づいて決定することができる。これは、露光中に生成される遊離水素イオンおよび/または酸がフォトレジストのインピーダンスを変えるという事実を利用することができ、局所的な酸密度をこのインピーダンスの変化の測定から導き出すことができる。これに関しては、刊行物C. M. Berger, J. D. Byers, and C. L. Henderson, J. Electrochem. Soc., 151, G119 2004; C. M. Berger and C. L. Henderson, J. Vac. Sci. Technol. B, 22, 1163 2004 and C. Berger and C. L. Henderson, Proc. SPIE, 5753, 1076 2005を参照する。
【0031】
さらなる実施形態では、関連するレジストパラメータ(すなわち、特に局所的な酸密度および/または遊離水素原子の濃度)も赤外分光法を用いて確認することができる。いわゆるフーリエ変換赤外線分光計(FTIR分光計)は、この場合に行われる視野の強度の時間依存性の測定が、この変数を波長の関数として確認するよりももっと簡単に計測学的に実施することができるため、ここでは特に適切である。
さらなる実施形態では、フォトレジスト中に存在する遊離水素イオンの濃度の測定の代わりに、この濃度の確立の原因、すなわち、照明ユニットまたは投影レンズ内に生成される強度分布または瞳充填(pupil filling)をそれぞれ確認することも可能である。
【0032】
この目的のために、
図8に従って、DUV範囲の波長(例えば193nm)で動作するように設計されたシステムでは、局所的な照明線量は、穴あき(perforated)ミラーを用いて結合出力されている比較的小さな割合の電磁放射によって確認することができる。そのようなミラーは、
図8の「81」で示され、ここでは、単に簡略化されたやり方で、1つのレンズ要素83および84のみが、いずれの場合も穴あきミラー81の上流および下流の光の伝搬方向にそれぞれ描かれている。
図8において、「82」は、穴あきミラー81を介して結合出力された放射光のエネルギーを測定するためのエネルギーセンサを示す。部分的に透過性のミラー(原則として同様に使用可能)と比較すると、穴あきミラー81の使用は、電磁放射に使用される分割比の長期的な不変性がより大きいという利点を有する。
次いで、穴あきミラー81の機能性(光源の線量制御についてそれ自体は既に知られている)は、レチクルにおける照明の位置依存性を計算することができるように、強度の空間的に分解された測定という意味で本発明に従って拡張することができる。ここで、センサ82は、総照明線量、すなわちセンサ全体にわたって積分された線量に加えて、位置依存性線量も決定することができるように構成されるべきである。総照明線量は、光源パワーの再調整に使用されるため、比較的迅速に決定可能でなければならないが、空間分解測定は、光源パワーの再調整には役立たないため、比較的ゆっくり(例えば、1秒以上の時間スケールで)行うことができる。
【0033】
図9は、2つの別々の測定装置がこの目的に使用されるという趣旨で、2つの測定の異なる時間スケールが使用される構成を概略図で示す。レチクルRにおける照明の位置依存性は、適切な時間間隔でレチクルの近くのビーム経路に導入されたエネルギーまたは強度センサ96を使用して決定される。
図8と類似した穴あきミラーは、
図9の「91」で示されおり、ここでは単に簡略化されたやり方で、単にそれぞれ、1つのレンズ要素93が穴あきミラー91の上流の光の伝搬方向に描かれ、レンズ要素94、偏向ミラー95およびさらなるレンズ要素97が穴あきミラー91の下流に描かれている。「92」は、穴あきミラー91を介して結合出力された放射のエネルギーの(連続的かつ位置に依存しない)測定のためのエネルギーセンサを示す。
さらなる実施形態では、レチクル照明の位置依存性に関する必要な情報は、EUVで動作するように設計された投影露光装置において決定することもでき、この実施形態に関しては、
図10~
図12を参照して以下に記載される。
【0034】
原則として、照明ユニット内で生成された強度プロファイルの測定は、この目的のために時々行うことができる。
図10によると、この目的のために、例えば、照明ユニット内に設けられた、多数の互いに独立して調整可能なミラー要素101からなるミラー構成では、前記ミラー要素の中からの個々のミラー要素を、適切に配置されたエネルギーセンサを照明するために使用することができる。特に、レチクルRの位置依存性照明に対する光源の変動の影響を、このようにして決定することができる。さらなる実施形態では、
図11に従って、個々の視野ファセット(field facets)111および/または瞳ファセット(pupil facets)112の放射は、対応して空間的に分解された強度データを得るために、光強度を測定するための、レチクルRから離間されたセンサ113に向けることができる。この場合、
図11では、光源と照明ユニットとの間の中間焦点が「IF」で示されている。
【0035】
図12によると、さらなる実施形態では、電磁照明放射の一部は、それ自体知られているユニット121を用いて結合出力され、センサに送ることができ、このユニットは、近視野平面(near-field plane)内で互いに無関係にビーム経路に選択的に挿入可能な実質的にロッド状の要素を含む。
図13は、前記ユニット121の平面図を示し、このユニット121は、走査方向に対して横方向に延びる、「CS」で示される方向に沿って空間分解強度測定を実現するために使用することができる。
図12では、レチクルRに向けられた光線は、「A1」および「A2」でそれぞれ示され、レチクルRで反射された光線は、「B1」および「B2」でそれぞれ示され、センサ(図示せず)の方向に結合出力された光線は、「C1」で示されている。
図14は、EUV範囲で動作するように設計された投影露光装置の投影レンズの透過変動を確認するための構成を単に概略的に示しており、前記構成も本発明による方法において同様に使用可能である。
図14によると、光線は、最初にミラー142~145を介して投影レンズを通過して、ウェーハWに隣接して配置された格子146まで達し、前記格子146からレチクルRに隣接して配置されたセンサ141に戻る。前記センサ141は、投影レンズ内で生じる光線減衰を測定することができ、そこから投影レンズ内のガス圧に関する情報を導き出すことが可能である。
【0036】
図15~
図17は、構造位置のずれおよび/またはオーバーレイ誤差を確認するための様々な実施形態を説明するための概略図を示す。原則として、ウェーハ上で直接行われる測定を用いてオーバーレイ誤差を決定することが可能であるが、関連する構造位置および/またはオーバーレイ誤差の原因の調査は、設計の複雑さの簡易化を求める目的で、代わりに本発明による実施形態において行われる。これは、具体的には、瞳特性、特にテレセントリック特性(telecentricity property)を決定することを含む。露光前のウェーハの測定と、露光中に露光される前記ウェーハの表面に垂線な方向へのウェーハの追跡とに基づいて典型的には存在する現在の焦点ずれに関する情報と共に、構造位置特性を瞳特性から決定することができる。
原則として、この目的のために、DUV範囲(例えば約193nmの波長)で動作するように設計されたシステムでは、
図8および
図9と同様に穴あきミラーを再び使用することが可能であり、ここでは強度情報は、視野平面に対して(すなわちレチクルに対して共役的に)ではなく、瞳平面に対して導き出される。
【0037】
さらに、
図15で概略的に示されているような空間的に分解されたテレセントリック測定のための構成では、光は、
図13と同様に構成された、実質的にロッド状の要素からなる装置151によって結合出力され得て、これらのロッド状の要素は、互いに無関係にビーム経路に選択的に挿入可能であり、レチクル平面に対して共役である視野平面のすぐ上流の光の伝搬方向に対して変位可能に配置されている。「152」は、レチクルマスキングシステムのREMA絞りを示す。「E1」および「E2」で示される光線は、それぞれ、
図15に従って測定ユニット(図示せず)に進む。
図16に概略的に示すさらなる実施形態によると、DUV範囲の波長用に設計された投影露光装置においても、テレセントリック性(telecentricity)の決定(ここでは空間的に分解されない)を実現するために、瞳平面PPまたはそこに配置された視野規定要素(field defining element)162の近くに位置する拡散板161を介して、光を瞳測定用のカメラベースのセンサ(図示せず)に向けることができる。拡散板を使用する代わりに、瞳平面PPの近くに配置された光学部品での照明光の反射を使用することも可能である。
【0038】
図17は、EUVで動作するように設計された投影露光装置の照明ユニットの一実施形態を単に概略的に示し、ここでは中間焦点は、「IF」で示され、視野ファセットミラーは、「171」で示され、瞳ファセットミラーは、「172」で示されている。電磁放射は、瞳ファセットミラー172への著しい熱入力をもたらし、これは、サーマルイメージングカメラ173を使用して観察または検出することができる。他の実施形態では、冷却装置によって放散される熱量も評価することができる。瞳ファセットミラー172上の異なる位置で放散される熱量および/または偏向される放射を比較することによって、瞳ファセットミラー172上の入熱の重心の位置、したがって照明瞳の重心および/または照明瞳のテレセントリック性の大きさを確認することが可能である。
図19および
図20は、マイクロリソグラフィ投影露光装置の異なる実施形態の概略図を示す。
最初に、
図19は、EUVで動作するように設計されており、例えば、本発明を実現することができる投影露光装置100の概略図を示す。
【0039】
図19によると、投影露光装置100の照明ユニットは、視野ファセットミラー103および瞳ファセットミラー104を備える。本例ではEUV光源(プラズマ光源)101および集光ミラー(collector mirror)102を備える光源ユニットからの光は、視野ファセットミラー103に向けられている。第1の望遠鏡(telescope)ミラー105および第2の望遠鏡ミラー106は、瞳ファセットミラー104の下流の光路に配置されている。偏向ミラー107が光路の下流に配置され、このミラーに入射する放射を、6つのミラー121~126を含む投影レンズの物体平面内の物体視野(object field)に向ける。マスクステージ130上の反射性の構造担持マスク131は、物体視野の位置に配置され、前記マスクは、投影レンズを用いて像平面に結像され、前記像平面には、感光層(フォトレジスト)で被覆された基板141がウェーハステージ140上に位置する。
図20は、DUV範囲(例えば約193nm)の波長で動作するように設計され、照明ユニット201および投影レンズ208を同様に備えるマイクロリソグラフィ投影露光装置200のさらなる可能な構成の概略図を示す。
【0040】
照明ユニット201は、光源202と、レンズ要素203、204および絞り205によって非常に簡略化されたやり方で表象された照明光学ユニットとを備える。図示する例では、投影露光装置200の動作波長は、193nmであり、光源202としてArFエキシマレーザを使用している。しかしながら、動作波長は、例えば、光源202としてKrFエキシマレーザの使用による248nm、またはF2レーザの使用による157nmとすることもできる。照明ユニット201と投影レンズ208との間で、マスク207が投影レンズ208の物体平面OPに配置され、前記マスクは、マスク保持具206によってビーム経路内に保持されている。マスク207は、マイクロメートルからナノメートルの範囲の構造を有し、この構造は、例えば、投影レンズ208によって、そのサイズが4または5分の1に縮小されて、投影レンズ208の像平面IP上に結像される。投影レンズ208は、レンズ要素209~212によって非常に簡略化されたやり方で同様に単に表象された、光軸OAが規定されたレンズ要素配置を含む。基板ホルダー218によって位置決めされ、感光層215またはウェーハが設けられた基板216が投影レンズ208の像平面IPに保持されている。例えば、脱イオン水(deionized water)であってもよい液浸媒体250は、投影レンズ208の像平面側の最後の光学素子220と感光層215との間に位置している。
【0041】
本発明は、特定の実施形態に基づいて説明されているが、例えば、個々の実施形態の特徴の組合せおよび/または交換を通して当業者には多数の変形形態および代替実施形態が明らかである。したがって、当業者にとって、そのような変形形態および代替実施形態が本発明に付随して包含され、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲およびその均等物の意味の範囲内にのみ限定されることは言うまでもない。