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特許7296456基板の縁部での向上した処理を伴う処理チャンバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】基板の縁部での向上した処理を伴う処理チャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230615BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230615BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
C23C16/44 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021524208
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019052169
(87)【国際公開番号】W WO2020101804
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】16/189,440
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, チャンハン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルワース, ミカエル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】トドロウ, ヴァレンティン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】リー, ヒーン チャル
(72)【発明者】
【氏名】キム, フン サン
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06050506(US,A)
【文献】特表2009-531858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034242(US,A1)
【文献】特開2015-138810(JP,A)
【文献】特開2007-250967(JP,A)
【文献】特開2015-181174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバ内の内部処理領域を画定するチャンバ本体と、
前記処理チャンバ内に配置されたシャワーヘッドアセンブリであって、前記シャワーヘッドアセンブリの中心区域よりも縁部区域で高い開孔密度を有する複数の区域を有するシャワーヘッドアセンブリと、
前記処理チャンバの前記内部処理領域内に配置された基板支持アセンブリと、
前記基板支持アセンブリの縁部上に配置され且つ前記基板支持アセンブリを囲むフォーカスリングとを備え、
前記フォーカスリングは、
内周と外周と、
前記外周から上側内壁へ内向きに延在する上側部であって、上面と底面とを有する上側部と、
前記内周から延在し、上側面と下側面とを有する下側部であって、前記上側面は前記上側内壁へ延在し、前記下側面は前記内周において前記底面の下方で延在している、下側部と、
プラズマ種又は反応性種を基板の斜面又は基板の縁部に近い方向へ流すための、前記上側面と交差する前記上側内壁から形成される段差と、を備え、
基板が前記基板支持アセンブリに配置されているとき、前記内周は前記基板を囲むように構成され、
前記上側内壁の高さは前記上側面の長さと実質的に同様である、処理チャンバ。
【請求項2】
前記シャワーヘッドアセンブリの上方に配置された分流器を更に備え、前記分流器は、下側プレートから0.25インチと1.5インチの間の高さを有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記分流器が、遠隔プラズマ源と連通している、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記分流器が、遠位端まで上方にテーパ付けされたベースを有し、前記ベースは1.5インチと4インチの間の長さを有し、前記分流器の遠位端は0.05インチと0.5インチの間の長さを有する、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記分流器は、遠位端まで上方にテーパ付けされたベースを有し、前記ベースから前記遠位端まで中空である、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
前記ベースが第1の寸法を有し、前記遠位端が第2の寸法を有し、前記第1の寸法が前記第2の寸法よりも大きい、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記第1の寸法が、前記第2の寸法の20倍と40倍の間である、請求項6に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記ベースが円形である、請求項6に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
前記シャワーヘッドアセンブリの前記中心区域が、開孔を有さない、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
前記段差が傾斜した側壁を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
前記下側部が、前記上側部の第2の厚さよりも大きい第1の厚さを有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
前記フォーカスリングはアルミニウムを含む材料で作製されている、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項13】
前記分流器はアルミニウムを含む材料で作製されている、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
シャワーヘッドアセンブリを更に備え、前記シャワーヘッドアセンブリが、内部に形成された複数の開孔を有するシャワーヘッドプレートであって、異なる開孔密度を有する複数の区域を有し、前記シャワーヘッドプレートの中心領域内に位置付けられた区が、縁部領域内に位置付けられた区域よりも広いオープンエリアを有する、シャワーヘッドプレートを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の処理チャンバ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、半導体基板上にデバイスを製造するための方法及び装置に関する。特に、本開示の実施形態は、半導体用途向けの基板縁部処理性能を向上させるための方法及び装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体デバイスの製造中、基板は、通常、処理チャンバ内で処理され、堆積、エッチング、熱処理が、基板に対して実行され得る。
【0003】
[0003] 集積回路の構成要素の寸法が小さく(例えば、サブミクロン単位の寸法に)なるにつれて、汚染物質の低減の重要性が増してきている。というのも、汚染物質は、半導体製造工程中の欠陥の形成を引き起こし得るからである。例えば、エッチング工程では、副生成物、例えばエッチング工程中に生成され得るポリマーが、基板上に形成される集積回路及び構造を汚染する粒状物質の源になり得る。幾つかの実施では、そのような副生成物が、基板の縁部などの基板の特定の箇所で見出されることが多い。
【0004】
[0004] 半導体処理チャンバは、一般に、基板を処理するための内部空間を画定するチャンバ本体を含む。基板支持体が、通常、処理中に基板を支持するために内部空間内に配置される。工程中、工程中に生成される反応性種は、基板面全体に均一に分布しないことがある。例えば、反応性種は、工程中に基板の縁部に向けて到達しないか、又はそれまで広がることができない可能性があり、したがって、基板の縁部が処理不足になるか、又は望ましくない汚染、蓄積、若しくは副生成物を有することになる。基板の縁部での処理が不足すると、基板の中心に対して基板の縁部でのエッチング速度又は堆積速度が低くなり得る。更に、幾つかの例では、反応性種が、処理のために基板の中心に容易に到達し得るが、処理のために基板の縁部に移動するのに十分な運動量又はエネルギーを有さないことがある。その結果、基板の中心と縁部とで異なった処理プロファイルが得られることがあり、結果として、望ましくない不均一なプロファイルが基板全体に形成される。
【0005】
[0005] したがって、処理チャンバ内の基板の縁部に対する向上した処理性能を有する処理チャンバが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の実施形態は、一般に、基板を処理するための装置及び方法を提供する。より具体的には、本開示の実施形態が、処理チャンバ内に配置された基板の縁部での向上した処理効率を有する処理チャンバを提供する。一実施形態では、処理チャンバが、処理チャンバ内の内部処理領域を画定するチャンバ本体と、処理チャンバ内に配置されたシャワーヘッドアセンブリであって、シャワーヘッドアセンブリの中心区域よりも縁部区域で高い開孔密度を有する複数の区域を有するシャワーヘッドアセンブリと、処理チャンバの内部処理領域内に配置された基板支持アセンブリと、基板支持アセンブリの縁部上に配置され且つ基板支持アセンブリを囲むフォーカスリングであって、下部幅と実質的に同様な側壁高さを有する段差を有するフォーカスリングとを備える。
【0007】
[0007] 別の一実施形態では、内部に形成された複数の開孔を有するシャワーヘッドプレートであって、異なる開孔密度を有する複数の区域を有し、シャワーヘッドプレートの中心領域内に位置付けられた区域が、縁部領域内に位置付けられた区域よりも広いオープンエリア(open area)を有する、シャワーヘッドプレート。
【0008】
[0008] 更に別の一実施形態では、基板の縁部での処理効率を向上させるための方法が、遠隔プラズマ源からのガス流を分流器(flow diverter)を介してシャワーヘッドアセンブリの縁部区域に迂回させること、及びガス流をシャワーヘッドアセンブリの縁部区域内の開孔を通して基板の縁部に向けることを含む。
【0009】
[0009] 上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に短く要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010] 本開示の一実施形態による処理チャンバの概略断面図である。
図2】[0011] 本開示の一実施形態による処理チャンバ内で使用されるフォーカスリングの概略斜視図である。
図3A】[0012] 本開示の一実施形態による図2のフォーカスリングの断面図の一部分である。
図3B】本開示の一実施形態による図2のフォーカスリングの断面図の一部分である。
図4】[0013] 本開示の一実施形態による図1のシャワーヘッドアセンブリの下面図である。
図5】[0014] 本開示の一実施形態による図1のシャワーヘッドアセンブリ内で使用される分流器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015] 理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素を指し示すために、可能な場合には、同一の参照番号を使用した。具体的な記述がなくとも、一方の実施形態で開示された要素を他方の実施形態で有益に利用できると考えられている。
【0012】
[0016] 本開示の実施形態は、処理チャンバ内に配置された基板の縁部分での処理効率を向上させるための処理チャンバ及び方法を提供する。より具体的には、本開示の実施形態が、処理チャンバ内に配置された基板の縁部での処理効率を向上させる、シャワーヘッドアセンブリと、分流器と、フォーカスリングとの特定の実施形態を有する処理チャンバに関する。一実施形態では、シャワーヘッドアセンブリの縁部におけるガス流を向上させるシャワーヘッドアセンブリを利用して、比較的大量の反応性種を基板の縁部に運ぶことを支援し得る。分流器も利用して、反応性種の流れ経路を基板の縁部に限定し、方向付けることができる。更に、所望のプロファイルを有するフォーカスリングも使用して、基板の縁部へ延在する反応性流路を提供する。
【0013】
[0017] 図1は、本開示の一実施形態による処理チャンバ100の概略断面図である。処理チャンバ100は、基板104を移送及び処理するための内部処理空間120を含む。
【0014】
[0018] 処理チャンバ100は、チャンバ本体121を含む。一実施形態では、チャンバ本体121が内部処理空間120を画定する。処理チャンバ100は、シャワーヘッドアセンブリ189と、内部処理空間120の範囲内に配置された基板支持アセンブリ153とを備える。シャワーヘッドアセンブリ189は、基板支持アセンブリ153の上に配置される。基板支持アセンブリ153は、処理チャンバ100内の内部処理空間120内で基板104を支持する。
【0015】
[0019] 処理チャンバ100の側壁103と天井128との間にプロファイル密封(profile sealing)を提供するための、チャンバ本体121の側壁103の上に配置された蓋ライナ127。蓋ライナ127は、シャワーヘッドアセンブリ189及び天井128を保持するリップ(lip)を有する。一実施例では、天井128が、ソースアダプタプレート126であってよい。ソースアダプタプレート126は、シャワーヘッドアセンブリ189の中央開口部189aと合致する中央開口部128aを有する。遠隔プラズマ源130は、石英挿入体131及びシャワーヘッドアセンブリ189を通して、内部処理空間120と流体連通している。
【0016】
[0020] シャワーヘッドアセンブリ189は、その内部に形成された複数の開孔188を有する下側プレート199を備える。シャワーヘッドアセンブリ189の下側プレート199は、その内部に形成された開孔188の密度及び数が異なる複数の区域190、191、192、193を有する。シャワーヘッドアセンブリ189内の開孔の分布及びプロファイルに関する詳細は、図4を参照しながら以下で更に説明されることになる。
【0017】
[0021] 分流器170が、シャワーヘッドアセンブリ189の中央開口部189aを通して下側プレート199の上方に配置される。分流器170は、ガス流が開孔188を通して基板104の種々の箇所に更に向けられ得るように、ガス流を遠隔プラズマ源130から下側プレート199の種々の箇所に迂回させる。分流器170は、特定の方向へのガス流を可能にするように、所定の幾何学的プロファイルを有し得る。その結果、一方向のガス流は、他方向よりも大量の流束を有し得る。図1で描かれている実施例では、分流器170が、ガス流を、遠隔プラズマ源130から、シャワーヘッドアセンブリ189の内側区域190、191(例えば、中心区域)よりもむしろ外側区域192、193(例えば、縁部区域)へ径方向外向きに流れるように迂回させる。したがって、基板104の縁部が、反応性種のより高い流束密度での向上した処理を必要とする実施例では、分流器170を利用して、反応性種の流れを基板104の所望の縁部箇所に向けることができる。分流器170の構成の詳細は、図5を参照しながら以下で更に説明されることとなる。
【0018】
[0022] 遠隔プラズマ源130は、通常、1以上のガスパネルに連結されている。一実施形態では、遠隔プラズマ源130が、エッチング後に残留物質を除去するための軽減工程のための処理ガスを提供するように構成された第1のガスパネル101と、基板104からフォトレジスト又は任意の他の残留物を除去するためのアッシング工程のための処理ガスを提供するように構成された第2のガスパネル102とに連結されている。
【0019】
[0023] 処理チャンバ100は、更に、基板104を支持するために内部処理空間120内に配置された基板支持アセンブリ153を含む。フォーカスリング160が、基板支持アセンブリ153の外側縁部上に配置され得る。フォーカスリング160は、基板104を保持するように、また、処理中に基板104の縁部エリアの周りでの処理速度を修正するように機能する。ベース支持体180が、フォーカスリング160と基板支持アセンブリ153の表面との間に挿入されて、フォーカスリング160を適切な配置で支持するのに役立つ。フォーカスリング160は、フォーカスリング160の角部に段差168を画定するように配置され、形成される。画定されている段差168は、反応性種の基板の縁部又は基板の斜面に対する反応を支援するように、プラズマ種又は反応性種が、基板の斜面又は基板の縁部に近い方向へ流れることを効率的に可能にし得る。フォーカスリング160のより詳細は、図3A及び図3Bを参照しながら以下で更に説明されることになる。
【0020】
[0024] 基板支持アセンブリ153は、処理中に基板104を支持するために、チャンバ本体121内に配置される。基板支持アセンブリ153は、従来の機械的なチャック、又は、基板支持アセンブリ153の少なくとも一部分が導電性であり、基板支持アセンブリ153に結合されたRFバイアス電源171によって、プロセスバイアスカソードとして働くことができる静電的なチャックであってよい。基板支持アセンブリ153上に配置される基板は、基板支持アセンブリ153への基板の移送、基板支持アセンブリ153からの基板の移送を容易にするために、ウエハリフトピン(図示せず)によって昇降され得る。
【0021】
[0025] コントローラ172が、中央処理装置(CPU)174、メモリ176、及び、工程シーケンスを制御し、処理チャンバ100内のガス流とそこで実行されるプラズマ工程とを調整するように利用されるサポート回路(support circuit)178を含む。CPU174は、産業用設定で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであってよい。処理チャンバ100内で実施されるような工程などのソフトウェアルーチンは、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フロッピー、若しくはハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタルストレージなどのようなメモリ176内に記憶され得る。サポート回路178は、CPU174に結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電源などを含むことができる。コントローラ172と処理チャンバ100の様々な構成要素との間の双方向通信は、信号バスと総称される多数の信号ケーブルを経由して処理される。その一部が図1で示されている。
【0022】
[0026] 図2は、本開示の一実施形態による処理チャンバ100内で使用されるフォーカスリング160の一実施例の概略斜視図である。フォーカスリング160は、中央開口部205を有するドーナツ形状の形態であってよい。中央開口部205は、基板支持アセンブリ153の周りに配置されたときに、所望の直径の範囲(例えば、200mm、300mm、又は450mmなど)を有する基板104が、その内部に配置された状態で収容されるようにサイズ決定された直径210を有する。一実施例では、直径210が、約11インチと約13インチとの間であってよい。
【0023】
[0027] 一実施例では、フォーカスリング160が、下側本体162に連結された上側本体164を有する。上側本体164は、上側外壁167及び上側内壁165を有する。上側内壁165は、開口部205の直径210を規定する。上側外壁167は、フォーカスリング160の外周を画定する。上側外壁167と上側内壁165とは、上側本体164の上面163によって連結されている。上側本体164の上面163は、基板支持アセンブリ153の上面に平行な平面を画定する。下側本体162は上側本体164に連結され、フォーカスリング160の単一本体を形成する。幾つかの実施例では、下側本体162と上側本体164とは、基板支持アセンブリ153を囲むように処理チャンバ100内に設置するときなどに、必要に応じて分離及び再組み立てすることができる。
【0024】
[0028] 下側本体162はまた、下側外壁306及び下側内壁301を含む。下側外壁306は、フォーカスリング160の上側外壁167から内向きに形成されている。対照的に、下側内壁301は、上側内壁165からフォーカスリング160の中央開口部205に向けて外向きに延在するように形成されている。一実施例では、フォーカスリング160が、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムなどのような誘電材料を含む材料から製造され得る。
【0025】
[0029] 図3Aは、断面ラインA‐A’に沿った図2のフォーカスリング160の断面図を描いている。フォーカスリング160の段差168は、上側内壁165と下側本体162の露出面315との間で画定される。上側本体164は、段差168の高さを規定する約0.25インチと約0.5インチの間の厚さ302を有し得る。図3Aに描かれている実施例では、上側内壁165が、下側本体162の露出面315に垂直な実質的に垂直面を有し得る。上側内壁165はまた、段差168の側壁も画定する。下側本体162は、基板支持アセンブリ153上に配置されたベース支持体180へのフォーカスリング160の適切な嵌合を可能にする、約0.25mmと約1インチの間の厚さ310(例えば、高さ)を有する。下側本体162の厚さ310は、上側本体164の厚さ302よりも厚い。一実施例では、下側本体162の厚さ310が、上側本体164の厚さ302よりも約20%と約50%の間だけ大きい。
【0026】
[0030] 下側本体162はまた、約1インチと約5インチの間の範囲内の幅312を有する。上側本体164によって露出された下側本体162の露出面315は、約0.5インチと約5インチの間の幅169を有し、これは段部168の幅も規定する。露出面315は、段差168の底面でもある。一実施例では、厚さ302(段差168の側壁高さでもある)は、露出面315(段差168の底面でもある)の幅169と実質的に同様であるか又は等しい。フォーカスリング160内に形成された段差168の寸法は、内部処理空間120から近くに配置された基板の縁部への反応性種の流れを支援するのに十分な空間を可能とするように、所定のものであってよいことに留意されたい。段差168は、基板の縁部又は基板の斜面を処理することができるより長い時間にわたり、反応性種を保持する助けとなり得る。下側内壁301は、基板104を所望の箇所に保持する助けとなるように、基板104の縁部と接触するか又は近接するように構成されている。下側本体162の露出面315は、上側本体164の上面163と実質的に平行である。上側本体164は、約1インチと約5インチとの間の全幅314を有する。
【0027】
[0031] 図3Bは、処理チャンバ100内の基板支持アセンブリ153を囲むために使用され得る、フォーカスリング300の別の一実施例を描いている。図3Aで描かれているフォーカスリング160と類似して、フォーカスリング300も、上側本体354及び下側本体352を有する。段差360が、上側本体354の上側内壁356と下側本体352からの露出面358との間に形成される。フォーカスリング300は、図3Aのフォーカスリング160と構造が類似しているが、フォーカスリング300の上側内壁356は、異なるように構築され得る。フォーカスリング160からの実質的に垂直な上側内壁165とは異なり、フォーカスリング300の上側内壁356は、下側本体352からの露出面358に対して角度θを有する斜面362を有する。角度θは、約20度と約110度の間である。上側内壁356の斜面362は、基板の縁部又は斜面での反応を支援するように、段差360内により大量の反応性種を保持する助けになり得ると考えられている。フォーカスリング300の上側本体354及び下側本体352の寸法は、図3Aで描かれているフォーカスリング160と同様であるか又は同じであってよい。
【0028】
[0032] 図4は、図1のシャワーヘッドアセンブリ189の下面図を描いている。シャワーヘッドアセンブリ189は、その内部に形成された開孔188の数及び密度が異なる複数の区域190、191、192、193を有する。少なくとも2つの区域は、シャワーヘッドアセンブリ189内に形成された開孔188の数が異なっている。更に、幾つかの実施形態では、異なる区域が、必要に応じて異なる材料から作製されてもよい。区域190、191、192、193は、例えば、同心円状のリング状に配置されるか、格子状若しくはスライスパターン状に配置されるか、又は必要に応じて異なる幾何学的形状の他の組み合わせで配置される、などのような異なる幾何学的形状又はパターンで形成され得る。反応性種の向上されたガス流が、基板104の縁部において所望される幾つかの実施例では、基板104の縁部に対向する縁部区域192、193が、より高い密度の開孔を有するように構成され得る。区域190、191、192、193の密度は、縁部区域192、193と比較して、中心区域190、191に供給される反応性種の量が比較的少なくなるように制御すべく、徐々に低減(例えば勾配)され得る。幾つかの実施例では、中心区域190、191が開孔を有さなくてもよい。したがって、縁部区域193から中心区域190(例えば、区域193から、順次、区域192、区域191、及び最終的には区域190)へ、オープンエリアが徐々に増していく。したがって、開孔の数及び密度は、必要に応じて徐々に低減される。一実施例では、開孔密度が、それぞれの隣接する区域に対して約2%から約20%だけ減少又は増加する。それぞれの区域内の開孔は、水平面内で整列していてもよい。異なる区域内で形成された開孔は、水平に整列していてもよいし又はしていなくてもよい。
【0029】
[0033] 図5は、シャワーヘッドアセンブリ189の下側プレート199の上方で処理チャンバ100内に配置され得る分流器170を描いている。分流器170は、下側プレート199と直接的に接触するように、又は下側プレート199から所望の間隔を置いて下側プレート199のわずかに上方に配置されてもよい。分流器170は、円錐形状を有する。分流器170は、中心に向けてテーパ502を有し、例えば、遠端又は遠位端506よりも広い下側プレート199の平面における一下端部(又はベース)504を有し、すなわち、第1の寸法508は、第2の寸法510よりも大きい。分流器170の形状又は寸法、ならびに分流器170の形状、位置、及び寸法は、チャンバ寸法、ポンピング構成、ガス流速度、向上した流れ形状などを考慮に入れて、特定の設計及び用途の必要性に応じて変更され得ることに留意されたい。特定の所望の処理速度又は均一性の結果を実現することとは別に、設計パラメータが、比較的広いマージンを有する工程を提供するように選択される。
【0030】
[0034] 一実施例では、下端部504の形状が円形である。第1の寸法508は、約1.5インチと約4インチの間であり、第2の寸法510は、約0.05インチと約0.5インチの間である。幾つかの実施形態では、第1の寸法508が、第2の寸法510の約20倍と約40倍の間である。分流器170はまた、約0.25インチと約1.5インチの間の高さ512(下端部504から遠位端506まで)を有する。分流器170は、アルミニウム含有材料を含む材料から作製されてもよい。
【0031】
[0035] 一実施例では、分流器170が、ガス流がそこを通って流れることを可能にしない中実の本体であってもよい(例えば、テーパ502は、下端部504から遠位端506まで形成された中実の本体を備える)。別の一実施例では、分流器170が、下端部504から遠位端506まで中空であり(例えば、テーパ502は、下端部504から遠位端506まで形成された空洞を有する中空本体である)、ガス又は反応種がそこを通って流れるときに、遠位端506から下端部504へのオープン流体連通を可能にする。分流器170が中空である実施例では、遠隔プラズマ源130からのガス又は反応種が、中空が置かれている中心区域190に向けられてもよい。
【0032】
[0036] 一実施形態では、ガスパネル102、101からのガス流が、分流器170に連結されたチャネル155(図1で示されている)を通して垂直下向きに流される。次いで、ガス流は、主に縁部区域193、192における開孔188へ、分流器170によって曲げられ又は再方向付けされる。したがって、ガス流は、開孔がより少ないか又は全くない中心区域190、191へは流れない。分流器170の位置、幾何学的形状、及び寸法を調整することによって、分流器170を通過するイオン、中性種、及び反応性種の空間的又は横方向の分布を制御することができ、これにより、基板縁部処理速度プロファイルが最適化されることを可能にする。図1で描かれている実施例では、分流器170が、シャワーヘッドアセンブリ189の下側プレート199上又はその上方に中心を合わせて位置付けられているが、他の用途の必要性に適した所望の流れパターンを確立するために、他の箇所に配置することもできるし、又は異なる形状及び寸法で提供されてもよい。処理中、プロセスガスは点火され、内部処理空間120に供給される遠隔プラズマ源130からの遠隔プラズマ源として生成される。
【0033】
[0037] 本開示の実施形態は、処理チャンバの用途において上述されたが、本開示の実施形態は、ロードロックチャンバや移送チャンバなどのような任意のプロセスチャンバに適用され得る。特に、本開示の実施形態は、基板の縁部での処理速度を向上させて、基板の縁部での処理効率を向上させることが望まれる用途に有用である。
【0034】
[0038] 以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5