(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-15
(45)【発行日】2023-06-23
(54)【発明の名称】研磨装置および研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 9/00 20060101AFI20230616BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230616BHJP
B24B 21/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B24B9/00 601G
H01L21/304 622Y
B24B21/00 A
(21)【出願番号】P 2019218008
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】山本 暁
(72)【発明者】
【氏名】上村 健司
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042835(JP,A)
【文献】特開2008-018502(JP,A)
【文献】特開2010-260140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/00
H01L 21/304
B24B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のノッチ部を研磨する研磨装置であって、
前記基板を保持するステージ面を有する保持ステージと、
前記保持ステージを前記ステージ面に平行な平面内でスイングさせるスイング機構と、
研磨テープを前記ノッチ部に接触させる研磨ヘッドと、
前記研磨ヘッドに連結されたテンション調整装置と、
前記テンション調整装置に接続された動作制御部とを備え、
前記動作制御部は、前記テンション調整装置に指令を発して、前記保持ステージのスイング角度が所定の範囲内のときに、前記研磨テープのテンションを増加させるように構成されており、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度を含む、研磨装置。
【請求項2】
前記研磨テープの一端に接続された第1リールと、
前記研磨テープの他端に接続された第2リールをさらに備え、
前記テンション調整装置は、前記第1リールに連結された第1の回転装置であり、
前記動作制御部は、前記第1の回転装置に指令を発して、前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記第1リールを回転させるトルクを増加させるように構成されている、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記テンション調整装置は、前記研磨ヘッドに連結され
た研磨ヘッド移動装置であり、
前記動作制御部は、前記研磨ヘッド移動装置に指令を発して、前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記研磨ヘッドを前記ステージ面に向かって移動させるように構成されている、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記研磨ヘッド移動装置は、
前記研磨ヘッドに連結されたボールねじ機構と、
前記ボールねじ機構に連結されたサーボモータを備えている、請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度の90%の角度から前記スイング角度が最大となる角度までの範囲を少なくとも含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項6】
基板のノッチ部を研磨する方法であって、
前記基板をステージ面上に保持し、
前記基板を、前記ステージ面に平行な平面内でスイングさせながら、研磨ヘッドによって研磨テープを前記ノッチ部に接触させて前記ノッチ部を研磨する工程を含み、
前記ノッチ部を研磨する工程は、前記基板のスイング角度が所定の範囲内のときに、前記研磨テープのテンションを増加させる工程を含み、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度を含む、方法。
【請求項7】
前記研磨テープのテンションを増加させる工程は、
前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記研磨テープの一端が接続された第1リールを回転させるトルクを増加させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記研磨テープのテンションを増加させる工程は、
前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記研磨ヘッドを前記ステージ面に向かって移動させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度の90%の角度から前記スイング角度が最大となる角度までの範囲を少なくとも含む、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
基板のノッチ部を研磨する方法であって、
前記基板をステージ面上に保持し、
前記基板を、前記ステージ面に平行な平面内でスイングさせながら、研磨ヘッドによって研磨テープを前記ノッチ部に接触させて前記ノッチ部を研磨する工程を含み、
前記ノッチ部を研磨する工程は、前記基板のスイング角度が所定の範囲内のときに、前記研磨テープを第1のテンションで前記ノッチ部に接触させ、前記スイング角度が前記所定の範囲外にあるときに、前記研磨テープを第2のテンションで前記ノッチ部に接触させる工程を含み、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度を含み、前記第1のテンションは前記第2のテンションよりも大きい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハなどの基板を研磨する研磨装置および研磨方法に関し、特に基板のノッチ部を研磨する研磨装置および研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造における歩留まり向上の観点から、基板の表面状態の管理が近年注目されている。半導体デバイスの製造工程では、種々の材料がシリコンウェーハ上に成膜される。このため、基板のノッチ部には不要な膜や表面荒れが形成される。このような背景のもとでは、ノッチ部に残存した不要な膜が種々の工程を経ていく間に剥離して基板に形成されたデバイスに付着し、歩留まりを低下させてしまうことがある。そこで、基板のノッチ部に形成された不要な膜を除去するために、ノッチ研磨装置を用いて基板のノッチ部が研磨される。
【0003】
ノッチ研磨装置は、研磨テープなどの研磨具を基板のノッチ部に摺接させることで基板のノッチ部を研磨する。具体的には、基板をステージで保持し、ステージを基板とともにスイングさせながら、研磨ヘッドによって研磨テープなどの研磨具を基板のノッチ部に押し付けてオシレーション動作させることで接触させることでノッチ部を研磨する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-303112号公報
【文献】特開2009-154285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、研磨テープを使用してノッチ部を研磨する場合、ノッチ部の奥部は、研磨テープを押し付けた際の荷重が掛かり難いためノッチ部の入口部と比べて研磨レートが小さくなり、ノッチ部全体を均一に研磨できないという問題があった。従来はノッチ部の奥部をより研磨するために、奥部が比較的研磨されるスイング角度であるステージのスイングが最大となる角度でスイングをいったん停止し、その位置でより長い時間研磨を実施するようにしていたが、その分だけ研磨に長い時間がかかり、スループットが低下するという課題を抱えていた。
【0006】
そこで、本発明は、従来より研磨時間を伸ばしてスループットを低下させることなくノッチ部全体の研磨レートを均一にすることができる研磨装置および研磨方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、基板のノッチ部を研磨する研磨装置であって、前記基板を保持するステージ面を有する保持ステージと、前記保持ステージを前記ステージ面に平行な平面内でスイングさせるスイング機構と、研磨テープを前記ノッチ部に接触させる研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドに連結されたテンション調整装置と、前記テンション調整装置に接続された動作制御部とを備え、前記動作制御部は、前記テンション調整装置に指令を発して、前記保持ステージのスイング角度が所定の範囲内のときに、前記研磨テープのテンションを増加させるように構成されており、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度を含む、研磨装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記研磨装置は、前記研磨テープの一端に接続された第1リールと、前記研磨テープの他端に接続された第2リールをさらに備え、前記テンション調整装置は、前記第1リールに連結された第1の回転装置であり、前記動作制御部は、前記第1の回転装置に指令を発して、前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記第1リールを回転させるトルクを増加させるように構成されている。
一態様では、前記テンション調整装置は、前記研磨ヘッドに連結された研磨ヘッド移動装置であり、前記動作制御部は、前記研磨ヘッド移動装置に指令を発して、前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記研磨ヘッドを前記ステージ面に向かって移動させるように構成されている。
一態様では、前記研磨ヘッド移動装置は、前記研磨ヘッドに連結されたボールねじ機構と、前記ボールねじ機構に連結されたサーボモータを備えている。
一態様では、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度の90%の角度から前記スイング角度が最大となる角度までの範囲を少なくとも含む。
【0009】
一態様では、基板のノッチ部を研磨する方法であって、前記基板をステージ面上に保持し、前記基板を、前記ステージ面に平行な平面内でスイングさせながら、研磨ヘッドによって研磨テープを前記ノッチ部に接触させて前記ノッチ部を研磨する工程を含み、前記ノッチ部を研磨する工程は、前記基板のスイング角度が所定の範囲内のときに、前記研磨テープのテンションを増加させる工程を含み、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度を含む、方法が提供される。
【0010】
一態様では、前記研磨テープのテンションを増加させる工程は、前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記研磨テープの一端が接続された第1リールを回転させるトルクを増加させる工程を含む。
一態様では、前記研磨テープのテンションを増加させる工程は、前記スイング角度が前記所定の範囲内のときに、前記研磨ヘッドを前記ステージ面に向かって移動させる工程を含む。
一態様では、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度の90%の角度から前記スイング角度が最大となる角度までの範囲を少なくとも含む。
一態様では、基板のノッチ部を研磨する方法であって、前記基板をステージ面上に保持し、前記基板を、前記ステージ面に平行な平面内でスイングさせながら、研磨ヘッドによって研磨テープを前記ノッチ部に接触させて前記ノッチ部を研磨する工程を含み、前記ノッチ部を研磨する工程は、前記基板のスイング角度が所定の範囲内のときに、前記研磨テープを第1のテンションで前記ノッチ部に接触させ、前記スイング角度が前記所定の範囲外にあるときに、前記研磨テープを第2のテンションで前記ノッチ部に接触させる工程を含み、前記所定の範囲は、前記スイング角度が最大となる角度を含み、前記第1のテンションは前記第2のテンションよりも大きい、方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、研磨装置は、保持ステージのスイング角度が、その最大角度を含む所定の範囲内のときに、研磨テープのテンションを増加させる。その結果、ノッチ部の奥部の研磨レートを大きくすることができる。結果として、ノッチ部全体の研磨レートを均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】基板のノッチ部を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図2に示す研磨装置を上方から見た模式図である。
【
図4】
図4(a)は、チルト機構によって研磨ヘッドを下方に傾けた状態を示す模式図であり、
図4(b)は、チルト機構によって研磨ヘッドを上方に傾けた状態を示す模式図である。
【
図5】
図5(a)は、保持ステージのスイング角度が0度のときの研磨中の研磨テープとノッチ部を示す模式図であり、
図5(b)は、保持ステージが、
図5(a)から時計回りにスイングしたときの研磨テープとノッチ部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、基板のノッチ部を模式的に示す平面図である。
図1に示す基板Wは、円形のウェーハである。
図1の基板Wにおいて、ノッチ部は、結晶方位を特定するために基板Wの周縁部に形成された符号Nで示す切り欠きである。
【0014】
図2は、研磨装置の一実施形態を示す模式図であり、
図3は、
図2に示す研磨装置を上方から見た模式図である。
図2および
図3に示す研磨装置1は、ウェーハなどの基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨装置に好適に使用される。
図2および
図3に示すように、研磨装置1は、基板Wを保持し、回転させる基板保持部10と、基板Wをノッチ部Nを中心にスイングさせるスイング機構20と、研磨具としての研磨テープ31をノッチ部Nに接触させる研磨ヘッド50と、研磨テープ31を研磨ヘッド50に供給し、かつ研磨ヘッド50から回収する研磨テープ供給機構41と、基板Wの表面に液体を供給する液体供給ノズル28と、研磨ヘッド50をオシレーション動作(直線往復運動)させるオシレーション装置60と、研磨ヘッド50を基板保持部10上の基板Wの表面に対して傾斜させるチルト機構81と、研磨装置1の各構成要素の動作を制御する動作制御部90とを備えている。
【0015】
動作制御部90は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。動作制御部90は、プログラムが格納された記憶装置90aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置90bを備えている。演算装置90bは、記憶装置90aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置90aは、演算装置90bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。
【0016】
基板保持部10は、基板Wを真空吸着により保持するステージ面14aを有する保持ステージ14と、保持ステージ14の中央部に連結された第1のシャフト15と、この第1のシャフト15の下端に連結された第1の保持ステージ駆動機構17とを備えている。第1の保持ステージ駆動機構17は、保持ステージ14を回転させるための図示しないモータを備えている。第1の保持ステージ駆動機構17は、保持ステージ14を、その軸心Cpを中心に回転させることが可能に構成されている。
【0017】
基板Wは、図示しない搬送機構により、基板Wの中心Oが保持ステージ14の軸心Cp上にあるように保持ステージ14のステージ面14aに載置される。基板Wは、表面(デバイス面)が上向きの状態で保持ステージ14のステージ面14aに保持される。このような構成により、基板保持部10は、基板Wを保持ステージ14の軸心Cp(すなわち基板Wの軸心)を中心に回転させることができる。
【0018】
スイング機構20は、第2のシャフト25と、第2の保持ステージ駆動機構27と、スイングアーム30を備えている。基板保持部10の第1の保持ステージ駆動機構17は、スイングアーム30によって第2のシャフト25に連結されている。すなわち、スイングアーム30の一端は第1の保持ステージ駆動機構17に固定され、スイングアーム30の他端は第2のシャフト25に固定されている。第2の保持ステージ駆動機構27は、図示しないモータを備えている。上記モータの一例として、サーボモータやステッピングモータなどの位置や速度を精密に制御できるモータが挙げられる。第2のシャフト25およびスイングアーム30は、第2の保持ステージ駆動機構27によって、第2のシャフト25の軸心Cqを中心に回転可能に構成されている。
【0019】
第2の保持ステージ駆動機構27は、第2のシャフト25、スイングアーム30、および基板保持部10を上下動させるための図示しないエアシリンダをさらに備えている。すなわち、第2の保持ステージ駆動機構27は、第2のシャフト25、スイングアーム30、および基板保持部10を軸心Cq,Cpに沿って上下方向に移動させることが可能に構成されている。このような構成により、第2の保持ステージ駆動機構27は、基板Wを基板保持部10と共に、保持ステージ14の軸心Cpに沿って上昇下降させることができる。
【0020】
第1のシャフト15の軸心Cpは、第2のシャフト25の軸心Cqから距離dだけ離れている。第2のシャフト25の軸心Cqの延長線上には、保持ステージ14に保持された基板Wのノッチ部Nが位置している。第1のシャフト15および第2のシャフト25は互いに平行に延びている。第2の保持ステージ駆動機構27は第2のシャフト25およびスイングアーム30を所定の速度で時計回りおよび反時計回りに交互に所定の角度だけ回転させるように構成されている。第2の保持ステージ駆動機構27が第2のシャフト25およびスイングアーム30を時計回りおよび反時計回りに交互に回転させると、基板保持部10も時計回りおよび反時計回りに交互に所定の角度だけ回転する。
【0021】
このような構成により、スイング機構20は、基板Wおよび保持ステージ14をステージ面14aに平行な平面内で所定の速度で時計回りおよび反時計回りに交互に所定の角度だけ回転(スイング)させる。
図3に示すように、基板Wは、ノッチ部Nを中心に
図3の矢印の方向にスイングする。基板Wおよび保持ステージ14のスイング角度θは、研磨ヘッド50を上から見たときに研磨ヘッド50に支持された研磨テープ31の延びる方向L1に対する基板Wおよび保持ステージ14の角度である。すなわち、スイング角度θは、研磨テープ31を上から見たときの研磨テープ31の延びる方向L1に対する直線L2の角度であり、直線L2は、保持ステージ14上の基板Wのノッチ部Nと、基板Wの中心Oを通る直線である。
【0022】
研磨テープ31は、砥粒を表面に有している。一例として、研磨テープ31は、基材テープ(図示せず)と、研磨層(図示せず)とを有している。基材テープの表面は、研磨層で覆われている。研磨層は、砥粒と、砥粒を保持するバインダ(樹脂)とを有している。研磨層の表面は、基板Wを研磨するための研磨面を構成している。
【0023】
研磨テープ供給機構41は、隔壁93によって形成された研磨室94の外側に配置されている。研磨テープ供給機構41は、研磨テープ31の一端に接続された第1リール43と、研磨テープ31の他端に接続された第2リール44と、第1リール43に連結されたテンション調整装置43aと、第2リール44に連結されたテンション調整装置44aとを備えている。
【0024】
研磨ヘッド50は、基板保持部10に基板Wが保持されているとき、基板Wのノッチ部Nを向いている。研磨テープ31は、研磨テープ31の研磨面が基板Wのノッチ部Nを向くように研磨ヘッド50に供給される。研磨テープ31は、隔壁93に設けられた開口部(図示せず)を通して第1リール43から研磨ヘッド50へ供給され、使用された研磨テープ31は開口部を通って第2リール44に巻き取られる。研磨テープ供給機構41は、研磨テープ31を支持するためのガイドローラ53h,53iをさらに備えている。研磨テープ31の進行方向は、ガイドローラ53h,53iによってガイドされる。
【0025】
研磨ヘッド50は、研磨テープ31を第1リール43から第2リール44に送るテープ送り機構52と、研磨テープ31を支持するためのガイドローラ53a,53b,53c,53d,53e,53f,53gを備えている。研磨テープ31の進行方向は、ガイドローラ53a,53b,53c,53d,53e,53f,53gによってガイドされる。研磨ヘッド50は、研磨ヘッド50の先端に配置されたガイドローラ53c,53dの間を延びる研磨テープ31を基板Wのノッチ部Nに接触させることによって、ノッチ部Nを研磨する。
【0026】
テープ送り機構52は、テープ送りローラ52aと、テープ把持ローラ52bと、テープ送りローラ52aを回転させるモータMとを備えている。モータMは研磨ヘッド50の側面に設けられ、モータMの回転軸にテープ送りローラ52aが接続されている。テープ送りローラ52aには、その約半周だけ研磨テープ31が巻きつけられている。テープ送りローラ52aの隣にはテープ把持ローラ52bが設けられており、テープ把持ローラ52bは、研磨テープ31をテープ送りローラ52aに対して押圧するように構成されている。研磨テープ31は、テープ送りローラ52aとテープ把持ローラ52bとの間に挟まれている。モータMがテープ送りローラ52aを回転させると、研磨テープ31はその長手方向に所定の速度で送られる。すなわち、研磨テープ31は、第1リール43から研磨ヘッド50を経由して第2リール44に送られる。
【0027】
テンション調整装置43aは、第1リール43および研磨テープ31を介して研磨ヘッド50に連結されており、テンション調整装置44aは、第2リール44および研磨テープ31を介して研磨ヘッド50に連結されている。テンション調整装置43a,44aは、第1リール43および第2リール44に所定のトルクを与えるように構成されている。テンション調整装置43a,44aは、第1リール43および第2リール44に与えるトルクの大きさを調整することにより、研磨テープ31のテンションを調整することができるようになっている。例えば、テンション調整装置43a,44aは、
図2の矢印の方向に第1リール43および第2リール44に所定のトルクを与えることによって、研磨テープ31のテンションを大きくすることができる。
【0028】
テンション調整装置43a,44aは、第1リール43および第2リール44に互いに反対方向のトルクを与え、第1リール43および第2リール44を互いに反対方向に回転させるための回転装置である。以下、本明細書では、テンション調整装置43aを第1の回転装置43aと呼び、テンション調整装置44aを第2の回転装置44aと呼ぶことがある。回転装置43a,44aの一例として、サーボモータとモータドライバの組み合わせが挙げられる。
【0029】
液体供給ノズル28は、連結部材29を介してスイング機構20の第2のシャフト25に接続されており、保持ステージ14と一体に基板Wのノッチ部Nを中心として所定の角度だけ回転するようになっている。液体供給ノズル28は、保持ステージ14よりも高い位置に配置されている。液体供給ノズル28は、図示しない液体供給源に接続されている。液体供給ノズル28は基板Wの中心Oを向いて配置されている。液体は液体供給ノズル28から基板Wの表面に供給され、基板Wのノッチ部N上に液体の流れを形成する。基板Wのノッチ部Nは液体の存在下で研磨される。液体は、基板Wの周縁部から下方に流れ落ち、これにより研磨屑を基板Wのノッチ部から除去することができる。また、上述の液体は、基板Wの研磨で生じた研磨屑や異物を含む液体が基板Wの表面に付着することを防止する。その結果、基板Wの表面を清浄に保つことができる。液体の例として、純水またはアルカリ水が使用される。
【0030】
本実施形態では、基板保持部10、研磨ヘッド50、第2のシャフト25、スイングアーム30、液体供給ノズル28は研磨室94の内部に配置され、研磨テープ供給機構41および第2の保持ステージ駆動機構27は研磨室94の外に配置されている。
【0031】
研磨ヘッド50は、オシレーション装置60に固定されている。具体的には、研磨ヘッド50は、支持部材71を介してオシレーション装置60に固定されている。オシレーション装置60は、支持部材71に連結されたカムフォロア64と、カムフォロア64に接触するカム61と、カム61に連結されたカムシャフト63と、カムシャフト63に連結されたモータ65を備えている。カムシャフト63の一端は、カム61に連結されており、カム61はカムシャフト63と一体に回転可能となっている。カムシャフト63の他端は、モータ65の回転軸に連結されている。
【0032】
カムフォロア64は、リニアガイド67に支持されており、リニアガイド67はチルト機構81のクランクアーム85に固定されている。リニアガイド67は、研磨ヘッド50の先端に配置されたガイドローラ53c,53dの配列方向と平行に延びている。カムフォロア64は、リニアガイド67によって、クランクアーム85の長手方向に垂直な方向に移動可能に支持されている。
【0033】
カム61はカムシャフト63に対して偏心している。モータ65を駆動することによって、カムシャフト63が回転し、カムシャフト63に固定されたカム61が偏心回転する。カムフォロア64およびリニアガイド67は、カム61の偏心回転運動を直線往復運動に変換する。その結果、カムフォロア64がリニアガイド67に沿って直線往復運動し、支持部材71を介してカムフォロア64に固定された研磨ヘッド50は上下方向に直線往復運動(オシレーション動作)する。本実施形態では、研磨ヘッド50は、オシレーション動作しながら研磨テープ31をノッチ部Nに摺接させてノッチ部Nを研磨する。研磨ヘッド50がオシレーション動作をする方向は、ノッチ部Nでの基板Wの接線方向に垂直な方向である。
【0034】
オシレーション装置60の構成は、上述した実施形態に限定されない。例えば、カムシャフト63は、クランクアーム85と同軸上に回転軸線Ct上を延び、モータ65は、クランクアーム85から離れた位置に配置されてもよい。
【0035】
チルト機構81は、クランクアーム85と、モータ82とを備えている。クランクアーム85は、互いに偏心する2つの軸を有しており、リニアガイド67は、クランクアーム85の端部に固定されている。クランクアーム85は、クランクアーム85に取り付けられたプーリーp1と、モータ82の回転軸に取り付けられたプーリーp2と、これらプーリーp1,p2に掛けられたベルトb1を介してモータ82によって回転される。モータ82を駆動することによって、クランクアーム85は、クランクアーム85の回転軸線Ctを中心に回転する。
【0036】
回転軸線Ctは、ノッチ部Nにおいて基板保持部10上の基板Wの接線方向に延びており、ノッチ部Nは回転軸線Ctの延長線上にある。オシレーション装置60は、クランクアーム85に固定されている。モータ82がクランクアーム85を回転軸心Ctを中心に時計回りおよび反時計回りに交互に所定の角度だけ回転させると、オシレーション装置60および研磨ヘッド50も回転軸線Ctを中心に時計回りおよび反時計回りに交互に所定の角度だけ回転する。
【0037】
回転軸線Ctの延長線上には、研磨ヘッド50に支持された研磨テープ31の研磨面が位置している。したがって、モータ82を駆動させると、研磨ヘッド50は研磨テープ31の研磨面を中心に時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転する。このように研磨ヘッド50を回転軸線Ctを中心に回転させることにより、研磨ヘッド50の基板Wに対する角度を変えることができる。
【0038】
図4(a)は、チルト機構81によって研磨ヘッド50を下方に傾けた状態を示す模式図であり、
図4(b)は、チルト機構81によって研磨ヘッド50を上方に傾けた状態を示す模式図である。
図4(a)では、研磨テープ31は、基板Wのノッチ部Nの下側領域に接触しており、
図4(b)に示す実施形態では、研磨テープ31は、基板Wのノッチ部Nの上側領域に接触している。このように、ノッチ部Nに対して研磨ヘッド50の角度を変えることにより、ノッチ部Nの全体を研磨することができる。
【0039】
モータ82の例として、サーボモータやステッピングモータなどの位置や速度を精密に制御できるモータが挙げられる。このようなモータを採用することにより、チルト機構81は、研磨ヘッド50を所望の角度へ所望の速度で回転させることができる。
【0040】
図3に示すように、モータ82は、基台72に固定されている。チルト機構81は、基台72を介して研磨ヘッド移動装置73に連結されている。研磨ヘッド50は、基台72、チルト機構81、オシレーション装置60、および支持部材71を介して研磨ヘッド移動装置73に連結されている。研磨ヘッド移動装置73は、研磨ヘッド50を保持ステージ14のステージ面14aに近付く方向または保持ステージ14のステージ面14aから遠ざかる方向に移動させるように構成されている。研磨ヘッド移動装置73は、基台72に連結されたボールねじ機構76と、ボールねじ機構76に連結されたサーボモータ75を備えている。サーボモータ75を駆動すると、ボールねじ機構76、基台72、チルト機構81、オシレーション装置60、および支持部材71を介して研磨ヘッド50が
図3の矢印の方向に移動する。基台72は、図示しないリニアガイドに支持されている。一実施形態では、研磨ヘッド移動装置73は、エアシリンダと圧力レギュレータの組み合わせであってもよい。
【0041】
第1の保持ステージ駆動機構17、第2の保持ステージ駆動機構27、液体供給ノズル28、テープ送り機構52、テンション調整装置43a,44a、研磨ヘッド移動装置73、オシレーション装置60、チルト機構81は、動作制御部90に接続されている。これら各構成要素の動作は、動作制御部90によって制御される。
【0042】
本実施形態の研磨装置は、1組の研磨ヘッド50、研磨テープ供給機構41、オシレーション装置60、チルト機構81、および研磨ヘッド移動装置73を備えているが、一実施形態では、2組またはそれよりも多い研磨ヘッド50、研磨テープ供給機構41、オシレーション装置60、チルト機構81、および研磨ヘッド移動装置73を備えてもよい。さらに一実施形態では、2つ以上の液体供給ノズル28を備えてもよい。
【0043】
次に、本実施形態の研磨装置の動作について説明する。研磨される基板Wは、図示しない搬送機構により、表面(デバイス面)が上向きの状態で、保持ステージ14上に搬送される。基板Wは、基板Wの中心Oが保持ステージ14の軸心Cpにあるように保持ステージ14のステージ面14a上に保持される。隔壁93の内部には、保持ステージ14に保持された基板Wのノッチ部Nを検出するノッチ検出器87が設けられている。ノッチ検出器87は、図示しないアクチュエータにより、ノッチサーチ位置と退避位置との間を移動するように構成されている。基板Wがステージ面14a上に保持された後、ノッチ検出器87によりノッチ部Nが検出される。その後、ノッチ部Nが研磨ヘッド50の方を向くまで、保持ステージ14は、第1の保持ステージ駆動機構17によって回転される。さらに、液体供給ノズル28から基板Wの表面に液体が供給される。液体供給ノズル28は、基板Wの研磨中常に液体を供給し続ける。
【0044】
一実施形態では、基板保持部10の外側に設置された図示しないアライメント装置により、基板Wを保持ステージ14に載置したときにノッチ部Nが研磨ヘッド50の方を向く方向に基板Wの向きを調整した後、基板Wの向きを固定した状態で、基板Wを図示しない搬送装置により、保持ステージ14上に搬送してもよい。この場合、第1の保持ステージ駆動機構17は、保持ステージ14を回転させるための機構(例えば、モータ)を備えていなくてもよい。基板Wのノッチ部Nは、ノッチ部Nが研磨ヘッド50の研磨位置に位置するように保持ステージ14によって保持された状態で研磨される。
【0045】
基板Wが保持ステージ14上に搬送されるとき、および基板Wが保持ステージ14から取り出されるときは、研磨ヘッド移動装置73は、研磨ヘッド50を保持ステージ14から離れる方向に移動させる。
【0046】
保持ステージ14上に保持された基板Wを研磨するときは、研磨ヘッド移動装置73は研磨テープ31がノッチ部Nに接触するまで研磨ヘッド50を基板Wに向けて移動させる。研磨テープ31は、予め研磨ヘッド50に供給されている。そして、動作制御部90は、回転装置43a,44aおよびテープ送り機構52に指令を発して、研磨テープ31に所定のテンションを掛けながら研磨テープ31を
図2の矢印の方向に所定の速度で進行させる。
【0047】
スイング機構20を駆動し、基板Wをステージ面14aに平行な平面内でノッチ部Nを中心に所定の速度で時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転させる(スイングさせる)。動作制御部90は、オシレーション装置60に指令を発して、研磨ヘッド50を上下にオシレーション動作させる。オシレーション装置60は研磨ヘッド50をオシレーション動作させながら、研磨ヘッド50は研磨テープ31をノッチ部Nに押し付けてノッチ部Nを研磨する。一実施形態では、チルト機構81によって研磨ヘッド50の角度を変化させながらノッチ部Nを研磨してもよい。
【0048】
図5(a)は、保持ステージ14のスイング角度θが0度のときの研磨中の研磨テープ31とノッチ部Nを示す模式図であり、
図5(b)は、保持ステージ14が
図5(a)から時計回りにスイングしたときの研磨テープ31とノッチ部Nを示す模式図である。研磨テープ31を使用したノッチ部Nの研磨では、研磨荷重が集中する研磨テープ31の縁部で研磨レートが大きくなる。そこで、
図5(b)に示すように、基板Wをノッチ部Nを中心に所定の角度だけスイングさせることによって、研磨テープ31の縁部をノッチ部Nの奥部rに近付けることができる。ノッチ部Nの奥部rとは、基板Wの最外縁から最も離れた部分である。
【0049】
しかしながら、研磨テープ31はノッチ部Nの奥部rに接触し辛いため、ノッチ部Nの奥部rの研磨レートはノッチ部Nの奥部r以外の部位(例えば入口部s)と比べて小さくなる。スループットを低下させることなくノッチ部N全体の研磨レートを均一にするためには、ノッチ部Nの奥部rの研磨レートを大きくする必要がある。
図5(b)に示すように、保持ステージ14のスイング角度θが大きくなるに従って、研磨テープ31の縁部は、ノッチ部Nの奥部rに近づく。したがって、上記スイング角度θが最大となるとき、研磨テープ31のテンションを大きくすることによって、ノッチ部Nの奥部rの研磨レートを大きくすることができる。
【0050】
ノッチ部N全体の研磨レートを均一にするためには、ノッチ部Nの奥部rの研磨レートのみを大きくする必要がある。そこで、本実施形態の動作制御部90は、テンション調整装置43aに指令を発して、保持ステージ14のスイング角度θ(基板Wのスイング角度θ)が所定の範囲内のときに、研磨テープ31のテンションを増加させるように構成されている。研磨装置1は、上記スイング角度θが所定の範囲内のときに、研磨テープ31を第1のテンションでノッチ部Nに接触させてノッチ部Nを研磨し、上記スイング角度θが所定の範囲外にあるときに、研磨テープ31を第2のテンションでノッチ部Nに接触させてノッチ部Nを研磨する。上記所定の範囲は、保持ステージ14のスイング角度θが最大となる角度を含み、第1のテンションは第2のテンションよりも大きい。
【0051】
保持ステージ14のスイング角度θ(基板Wのスイング角度θ)が最大となる角度とは、スイング角度θの絶対値が最大となる角度であり、保持ステージ14が時計回りに回転したときのスイング角度θの最大値と、保持ステージ14が反時計回りに回転したときのスイング角度θの最大値の両方を含む。
【0052】
具体的には、動作制御部90は、第1の回転装置43aに指令を発して、保持ステージ14のスイング角度θが所定の範囲内のときに、第1リール43を回転させるトルクを増加させるように構成されている。より具体的には、動作制御部90は、上記スイング角度θが所定の範囲内のときに上記トルクを所定の設定値から増加させ、スイング角度θが所定の範囲外のときに上記トルクを上記所定の設定値に戻させる。一例では、動作制御部90は、上記スイング角度θが所定の範囲内のときに上記トルクを所定の第1設定値から第2設定値まで増加させ、スイング角度θが所定の範囲外のときに上記トルクを上記所定の第2設定値から上記所定の第1設定値に戻させる。動作制御部90の記憶装置90aには、第1の回転装置43aに指令を発して、保持ステージ14のスイング角度θが所定の範囲内のときに、第1リール43を回転させるトルクを増加させるためのプログラムが格納されており、演算装置90bは、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する。
【0053】
保持ステージ14のスイング角度θが所定の範囲内のときに研磨テープ31のテンションを大きいままに維持する、すなわち保持ステージ14のスイング角度θが最大となる角度よりも少し小さい角度から研磨テープ31のテンションを大きくし、かつ上記スイング角度θが最大となる角度を過ぎても暫くの間研磨テープ31のテンションを大きいままに維持することによって、効果的にノッチ部Nの奥部rの研磨レートを大きくすることができる。具体的には、上記所定の範囲は、上記スイング角度θが最大となる角度の90%の角度から上記スイング角度θが最大となる角度までの範囲を少なくとも含む。一実施形態では、上記所定の範囲は、上記スイング角度θが最大となる角度のみであってもよい。動作制御部90は、保持ステージ14のスイング角度θを、保持ステージ14のスイング速度と、保持ステージ14のスイング開始時からの経過時間と、保持ステージ14のスイング角度θが最大となる角度から求めることができる。
【0054】
研磨ヘッド移動装置73は、研磨中の研磨ヘッド50の位置(ノッチ部Nと研磨ヘッド50との相対距離)を変化させることにより、研磨テープ31のテンションを調整することも可能である。すなわち、研磨ヘッド移動装置73は、研磨中の研磨ヘッド50を保持ステージ14に近付く方向に移動させることによって、研磨テープ31はノッチ部Nに強く押し当てられる。結果として、研磨テープ31のテンションが大きくなる。このように、研磨ヘッド移動装置73は、テンション調整装置としても機能することができる。
【0055】
そこで、一実施形態では、動作制御部90は、テンション調整装置としての研磨ヘッド移動装置73に指令を発して、保持ステージ14のスイング角度θが上記所定の範囲内のときに、研磨ヘッド50を保持ステージ14のステージ面14aに向かって移動させるように構成されていてもよい。より具体的には、動作制御部90は、上記スイング角度θが所定の範囲内のときに研磨ヘッド50を所定の研磨位置から保持ステージ14のステージ面14aに向かって移動させ、スイング角度θが所定の範囲外のときに研磨ヘッド50を上記所定の研磨位置に戻させる。一例では、動作制御部90は、上記スイング角度θが所定の範囲内のときに研磨ヘッド50を所定の第1研磨位置から所定の第2研磨位置まで保持ステージ14のステージ面14aに向かって移動させ、スイング角度θが所定の範囲外のときに研磨ヘッド50を上記所定の第2研磨位置から上記所定の第1研磨位置に戻させる。動作制御部90の記憶装置90aには、研磨ヘッド移動装置73に指令を発して、保持ステージ14のスイング角度θが上記所定の範囲内のときに、研磨ヘッド50をステージ面14aに向かって移動させるためのプログラムが格納されていてもよい。
【0056】
さらに一実施形態では、スイング角度θが上記所定の範囲内のときに、第1リール43を回転させるトルクを増加させ、かつ研磨ヘッド50をステージ面14aに向かって移動させてもよい。
【0057】
動作制御部90は、予め設定された時間が経過した後、スイング機構20、研磨ヘッド50、および研磨テープ供給機構41の動作を停止させ、研磨を終了する。
【0058】
上記の通り、研磨装置1は、保持ステージ14のスイング角度θが、その最大角度を含む所定の範囲内のときに、研磨テープ31のテンションを増加させることで、ノッチ部Nの奥部rの研磨レートを大きくすることができる。結果として、スループットを低下させることなくノッチ部N全体の研磨レートを均一にすることができ、ノッチ部N全体を均一に研磨することができる。
【0059】
さらに、研磨装置1は、保持ステージ14のスイング角度θに従って、ノッチ部Nの奥部r以外の部位(例えば入口部s)でも研磨テープ31のテンションを調整することができる。例えば、ノッチ部Nに不均一な膜が形成されている場合に、ノッチ部Nに形成された膜のプロファイルに従って研磨テープ31のテンションを調整することで、ノッチ部N全体の研磨レートを均一にすることができる。
【0060】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 研磨装置
10 基板保持部
14 保持ステージ
14a ステージ面
15 第1のシャフト
17 第1の保持ステージ駆動機構
20 スイング機構
25 第2のシャフト
27 第2の保持ステージ駆動機構
28 液体供給ノズル
29 連結部材
30 スイングアーム
31 研磨テープ
41 研磨テープ供給機構
43 第1リール
43a 第1の回転装置(テンション調整装置)
44 第2リール
44a 第2の回転装置(テンション調整装置)
50 研磨ヘッド
52 テープ送り機構
52a テープ送りローラ
52b テープ把持ローラ
53a~53i ガイドローラ
60 オシレーション装置
61 カム
63 カムシャフト
64 カムフォロア
65 モータ
67 リニアガイド
71 支持部材
72 基台
73 研磨ヘッド移動装置(テンション調整装置)
75 サーボモータ
76 ボールねじ機構
81 チルト機構
82 モータ
85 クランクアーム
87 ノッチ検出器
90 動作制御部
93 隔壁
94 研磨室