IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリー インコーポレイテッドの特許一覧

特許7297815パワーデバイスを並列接続するための低インダクタンスおよび高速スイッチングを有するハイパワー多層モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】パワーデバイスを並列接続するための低インダクタンスおよび高速スイッチングを有するハイパワー多層モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230619BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230619BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021092381
(22)【出願日】2021-06-01
(62)【分割の表示】P 2019538212の分割
【原出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2021132234
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】15/405,520
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マクファソン ブライス
(72)【発明者】
【氏名】ロステッター アレクサンダー
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/116924(WO,A1)
【文献】特開2004-186504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0105961(US,A1)
【文献】特開2011-097053(JP,A)
【文献】特開2016-119430(JP,A)
【文献】特開2010-110065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0133199(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02317551(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103872935(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102110680(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103123919(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105957859(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールであって、
少なくとも一つのパワー基板と、
前記少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスと、
幅方向および長さ方向に延在する前記少なくとも一つのパワー基板と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第一の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第一の組と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第二の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第二の組であって、前記第一の行は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った前記第二の行とは異なる位置に位置する、前記複数のパワーデバイスの第二の組と、
複数の端子であって、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記幅方向および前記長さ方向に延在し、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った異なる位置に位置する、複数の端子と、
前記少なくとも一つのパワー基板上に配置されたハウジングと
前記少なくとも一つのパワー基板上にあり、かつ前記少なくとも一つのパワー基板から電気的に絶縁された絶縁構造と
を備え、
前記複数の端子のうちの一つは前記絶縁構造上にあり、
前記絶縁構造は、前記ハウジングに位置する埋めこまれた絶縁部品、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された二次パワー基板、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された膜絶縁部品、および前記ハウジングに位置する懸架絶縁構造のうち少なくとも一つを備える、
パワーモジュール。
【請求項2】
電流は、インダクタンスを低減するために、前記複数の端子のうち第一の端子、前記少なくとも一つのパワー基板、および前記複数の端子のうち第二の端子を通り、前記パワーモジュールを通ってループで流れる、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記複数の端子のうち少なくとも一つは板金構造を備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記パワーモジュールは少なくとも二つのパワーモジュールを備え、前記少なくとも二つのパワーモジュールは並列に配置されて構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記複数の端子のうち第一の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子は第一のバスバーに接続するように構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールはトポロジーパターンで配置され、
前記トポロジーパターンは、ハーフブリッジ構成、フルブリッジ構成、共通ソース構成、共通ドレイン構成、中性点クランプ構成、および三相構成のうち少なくとも一つを形成する、
請求項1に記載のパワーモジュールを備えるシステム。
【請求項5】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記複数の端子のうち第二の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子は第二のバスバーに接続するように構成される、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記パワーモジュールの各々は、電流が、インダクタンスを低減するために、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記少なくとも一つのパワー基板、および前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子を通ってループで流れるように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
パワーモジュールであって、
少なくとも一つのパワー基板と、
前記少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスと、
幅方向および長さ方向に延在する前記少なくとも一つのパワー基板と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第一の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第一の組と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第二の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第二の組であって、前記第一の行は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った前記第二の行とは異なる位置に位置する、前記複数のパワーデバイスの第二の組と、
前記少なくとも一つのパワー基板よりも上に配置され、かつ前記少なくとも一つのパワー基板から電気的に絶縁するように構成された絶縁構造と、
複数の端子であって、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記幅方向および前記長さ方向に延在し、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った異なる位置に位置する、複数の端子と、
を備え、
前記複数の端子のうち第一の端子の少なくとも一部は前記複数の端子のうち第二の端子の少なくとも一部よりも高位に配置され、前記複数の端子のうちの一つは前記絶縁構造に接続される、
パワーモジュール。
【請求項8】
前記少なくとも一つのパワー基板上に配置されたハウジングをさらに備え、
前記絶縁構造は、前記ハウジングに位置する埋めこまれた絶縁部品、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された二次パワー基板、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された膜絶縁部品、および前記ハウジングに位置する懸架絶縁構造のうち少なくとも一つを備える、
請求項7に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
電流は、インダクタンスを低減するために、前記複数の端子のうち第一の端子、前記少なくとも一つのパワー基板、および前記複数の端子のうち第二の端子を通って、前記パワーモジュールを通るループで流れる、請求項7に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記複数の端子のうち少なくとも一つは板金構造を備え、
前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記幅方向および前記長さ方向に延在し、
前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った異なる位置に位置する、
請求項7に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記パワーモジュールは少なくとも二つのパワーモジュールを備え、前記少なくとも二つのパワーモジュールは並列に配置されて構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記複数の端子のうち第一の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子は第一のバスバーに接続するように構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールはトポロジーパターンで配置され、
前記トポロジーパターンは、ハーフブリッジ構成、フルブリッジ構成、共通ソース構成、共通ドレイン構成、中性点クランプ構成、および三相構成のうち少なくとも一つを形成する、
請求項7に記載のパワーモジュールを備えるシステム。
【請求項12】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記複数の端子のうち第二の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子は第二のバスバーに接続するように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記パワーモジュールの各々は、電流が、インダクタンスを低減するために、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記少なくとも一つのパワー基板、および前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子を通るループで流れるように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
パワーモジュールであって、
少なくとも一つのパワー基板と、
前記少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスと、
幅方向および長さ方向に延在する前記少なくとも一つのパワー基板と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第一の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第一の組と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第二の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第二の組であって、前記第一の行は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った前記第二の行とは異なる位置に位置する、前記複数のパワーデバイスの第二の組と、
複数の端子であって、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記幅方向および前記長さ方向に延在し、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った異なる位置に位置する、複数の端子と、
を備え、
前記複数の端子のうち少なくとも一つは前記少なくとも一つのパワー基板に取り付けられ、
電流は、インダクタンスを低減するために、前記複数の端子のうち第一の端子、前記少なくとも一つのパワー基板、および前記複数の端子のうち第二の端子を通って、前記パワーモジュールを通るループで流れる、
パワーモジュール。
【請求項15】
パワーモジュールであって、
少なくとも一つのパワー基板と、
前記少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスと、
幅方向および長さ方向に延在する前記少なくとも一つのパワー基板と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第一の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第一の組と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第二の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第二の組であって、前記第一の行は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った前記第二の行とは異なる位置に位置する、前記複数のパワーデバイスの第二の組と、
複数の端子であって、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記幅方向および前記長さ方向に延在し、前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った異なる位置に位置する、複数の端子と、
前記少なくとも一つのパワー基板上に配置されたハウジングと
前記少なくとも一つのパワー基板よりも上に配置され、かつ前記少なくとも一つのパワー基板から電気的に絶縁するように構成された絶縁構造と、
を備え、
電流は、インダクタンスを低減するために、前記複数の端子のうち第一の端子、前記少なくとも一つのパワー基板、および前記複数の端子のうち第二の端子を通って、前記パワーモジュールを通るループで流れ、
前記複数の端子のうちの一つは前記絶縁構造に接続され、
前記絶縁構造は、前記ハウジングに位置する埋めこまれた絶縁部品、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された二次パワー基板、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された膜絶縁部品、および前記ハウジングに位置する懸架絶縁構造のうちの少なくとも一つを備える、
パワーモジュール。
【請求項16】
前記複数の端子のうち少なくとも一つは板金構造を備え、
前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記幅方向および前記長さ方向に延在し、
前記複数の端子の各々は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った異なる位置に位置する、
請求項14に記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記パワーモジュールは少なくとも二つのパワーモジュールを備え、前記少なくとも二つのパワーモジュールは並列に配置されて構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記複数の端子のうち第一の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子は第一のバスバーに接続するように構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールはトポロジーパターンで配置され、
前記トポロジーパターンは、ハーフブリッジ構成、フルブリッジ構成、共通ソース構成、共通ドレイン構成、中性点クランプ構成、および三相構成のうち少なくとも一つを形成する、
請求項14に記載のパワーモジュールを備えるシステム。
【請求項18】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記複数の端子のうち第二の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子は第二のバスバーに接続するように構成される、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記パワーモジュールは、電流が、インダクタンスを低減するために、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記少なくとも一つのパワー基板、および前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子を通るループで流れるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
システムであって、
少なくとも二つのパワーモジュールを備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は少なくとも一つのパワー基板を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスを備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された少なくとも二つの端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記少なくとも二つの端子のうち第一の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記少なくとも一つのパワー基板よりも上に配置され、かつ前記少なくとも一つのパワー基板から電気的に絶縁するように構成された絶縁構造をさらに備え、
前記少なくとも二つの端子のうちの一つは前記絶縁構造に接続され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子は第一のバスバーに接続するように構成され、
前記少なくとも二つのパワーモジュールはトポロジーパターンで配置され、
前記トポロジーパターンは、ハーフブリッジ構成、フルブリッジ構成、共通ソース構成、共通ドレイン構成、中性点クランプ構成、および三相構成のうち少なくとも一つを形成する、
システム。
【請求項21】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記少なくとも二つの端子のうち第二の端子を備え、
前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子は第二のバスバーに接続するように構成される、
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は、電流が、インダクタンスを低減するために、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第一の端子、前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記少なくとも一つのパワー基板、および前記少なくとも二つのパワーモジュールの前記第二の端子を通るループで流れるように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は、
幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第一の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第一の組と、
前記幅方向に沿った前記少なくとも一つのパワー基板上の第二の行に配置された前記複数のパワーデバイスの第二の組であって、前記第一の行は前記少なくとも一つのパワー基板の前記長さ方向に沿った前記第二の行とは異なる位置に位置する、前記複数のパワーデバイスの第二の組と、
をさらに備え
請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも二つのパワーモジュールの各々は前記少なくとも一つのパワー基板にわたって配置されたハウジングを備え、
前記絶縁構造は、前記ハウジングに位置する埋めこまれた絶縁部品、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された二次パワー基板、前記少なくとも一つのパワー基板上に配置された膜絶縁部品、および前記ハウジングに位置する懸架絶縁構造のうち少なくとも一つを備える、
請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の端子のうちの少なくとも一つは前記少なくとも一つのパワー基板に取り付けられる、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項26】
前記複数の端子のうちの少なくとも一つは前記少なくとも一つのパワー基板に取り付けられる、請求項7に記載のパワーモジュール。
【請求項27】
前記少なくとも二つの端子のうちの少なくとも一つは前記少なくとも一つのパワー基板に取り付けられる、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はパワーデバイスを並列接続するための低インダクタンスおよび高速スイッチングを有するハイパワー多層モジュールに関する。さらには、本開示はパワーデバイスを並列接続するための低インダクタンスおよび高速スイッチングを有するハイパワー多層モジュールを構成するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には理解されるように、パワーモジュールは様々な形態が知られている。パワーモジュールはパワー部品、通常はパワー半導体デバイスに適した物理的な閉じ込めを提供する。これらのパワー半導体は典型的にはパワー電子基板に半田付けまたは焼結されている。パワーモジュールは典型的にパワー半導体を搬送し、電気的および熱的な接触を提供し、電気的な絶縁を含む。
【0003】
しかしながら、パワーモジュール内の寄生インピーダンスにより現在の技術ではこれらのデバイスの実際の実施は制限される。具体的には、スイッチング事象中のループインダクタンスは電圧オーバーシュートおよびリンギングをもたらす可能性がある。これにより安定性が減少し、電磁妨害(EMI)が生じ、システム部品に応力が加わる。最終的には、これらの要因により最大スイッチング周波数が制限される可能性があり、これはパワー変換システムの外部フィルタのサイズを小さくするためには望ましいことである。
【0004】
したがって、必要なのは安定性を増加させ、スイッチング損失を減少させ、EMIを低減し、および/またはシステム部品にかかる応力を制限するために、ループインダクタンス等の寄生インピーダンスに対処するように構成されたパワーモジュールである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様によると、パワーモジュールは、少なくとも一つのパワー基板、少なくとも一つのパワー基板上に配置されたハウジング、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された第一の端子、第一の高位(elevation)にハウジングよりも上に位置する接触面を備える第一の端子、第一の高位とは異なる第二の高位にハウジングよりも上に位置する接触面を備える第二の端子、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された第三の端子、および少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスを含む。
【0006】
本開示の態様によると、パワーモジュールを含むシステムは、少なくとも一つのパワー基板、少なくとも一つのパワー基板上に配置されたハウジング、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された第一の端子、ハウジングよりも上に位置する接触面を備える第一の端子、ハウジングよりも上に位置する接触面を備える第二の端子、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された第三の端子、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイス、第一の端子に電気的に接続された第一の平面バスバー、および第二の端子に電気的に接続された第二の平面バスバーを含み、第一の平面バスバーおよび第二の平面バスバーは互いに上下に配置される。
【0007】
本開示の態様によると、パワーモジュールは、少なくとも一つのパワー基板、少なくとも一つのパワー基板上に配置されたハウジング、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された第一の端子、ハウジングよりも上に位置する接触面を備える第一の端子、ハウジングよりも上に位置する接触面を備える第二の端子、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された第三の端子、および少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続された複数のパワーデバイスを含み、電流は第一の端子から少なくとも一つのパワー基板を横切って第一の方向に流れ、インピーダンスを低減するために電流は少なくとも一つのパワー基板から第二の端子へ第二の方向に流れる。
【0008】
本開示の態様によると、パワーモジュールを構成するプロセスは、少なくとも一つのパワー基板を設けること、少なくとも一つのパワー基板上にハウジングを設けること、第一の端子を少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続すること、第一の高位にハウジングよりも上に位置する接触面を有する第一の端子を設けること、第一の高位とは異なる第二の高位にハウジングよりも上に位置する接触面を備える第二の端子を設けること、少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続する第三の端子を設けること、および少なくとも一つのパワー基板に電気的に接続する複数のパワーデバイスを設けることを含む。
【0009】
本開示のさらなる特徴、利点、および態様は以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲の考察から説明されるか、または明らかになるであろう。さらに、前述の本開示の概要および以下の詳細な説明はいずれも例示的なものであり、主張される本開示の範囲を制限することなくさらなる説明を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0010】
本開示のさらなる理解を提供するために含まれる添付図面は本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成し、本開示の態様を説明し、詳細な説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。本開示の基本的な理解および本開示が実施され得る様々な方法に必要であり得るよりも詳細に本開示の構造上の詳細を示す試みはなされていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示の態様に基づくパワーモジュールのハーフブリッジベースのトポロジーを概略的に示している。
図1B図1AのDCリンクキャパシタとパワーモジュールの内側のスイッチポジションとの間の電流ループを示している。
図2】本開示の態様に基づく様々な相互接続および関連するインピーダンスを示している。
図3】本開示の態様に基づく様々な相互接続およびスイッチポジションの関連するインピーダンスを示している。
図4A】本開示の態様に基づくパワーモジュールの斜視的な概略図を示している。
図4B】本開示の態様に基づくパワーモジュールの上面の概略図を示している。
図5】本開示の態様に基づく並列な構成における複数の単一の位相モジュールを示している。
図6A】本開示の態様に基づく第一のパワーモジュール構成を示している。
図6B】本開示の態様に基づく第二のパワーモジュール構成を示している。
図7】本開示の態様に基づくフルブリッジ構成における複数のパワーモジュールを示している。
図8】本開示の態様に基づく三相構成における複数のパワーモジュールを示している。
図9】本開示の態様に基づくフルブリッジ構成を有する単一のパワーモジュールを示している。
図10】本開示の態様に基づくパワーモジュールの分解図を示している。
図11図10のパワーモジュールの部分図を示している。
図12A】ハーフブリッジトポロジーにおいて各ノードが識別されている、本開示に基づいて構築されたパワーモジュールの位相レグの上面図を示している。
図12B図12Aに基づくハーフブリッジトポロジーにおいて各ノードが識別されている、本開示に基づいて構築されたパワーモジュールの位相レグを概略的に示している。
図13図12Aおよび図12Bの位相レグの断面図を示している。
図14】電流経路を含む図12Aおよび図12Bの位相レグの断面図を示している。
図15】本開示の態様に基づき、バスと共にパワーモジュールの接触面を示している。
図16A】本開示の態様に基づくパワーモジュールの様々な態様の端子を示している。
図16B】本開示の態様に基づくパワーモジュールの様々な態様の端子を示している。
図16C】本開示の態様に基づくパワーモジュールの様々な態様の端子を示している。
図17】本開示の態様に基づく並列な複数のデバイスを概略的に示している。
図18】本開示の態様に基づく有効なゲートスイッチングループの斜視図を示している。
図19】本開示の態様に基づく有効なゲートスイッチングループの上面図を示している。
図20】本開示の態様に基づくパワーモジュールを含む部分的で例示的な実装を示している。
図21】本開示に基づく例示的な積層バスバーを示している。
図22図21に基づく例示的な積層バスバーの一部分を示している。
図23図21に基づく例示的な積層バスバーの別の部分を示している。
図24】本開示に基づく位相出力バスバーを示している。
図25】本開示の態様に基づく、パワーモジュールおよび積層バスバーを含む例示的な実装の斜視図を示している。
図26図25に基づく、パワーモジュールおよび積層バスバーを含む例示的な実装の第一の断面図を示している。
図27図25に基づく、パワーモジュールおよび積層バスバーを含む例示的な実装の第二の断面図を示している。
図28】本開示に基づく例示的な単一のモジュールゲートドライバを示している。
図29】本開示に基づく例示的な単一のモジュールゲートドライバを示している。
図30】本開示の態様に基づく電流検知部品を示している。
図31図30に基づく、位相出力バスバーと共に配置された電流検知部品を示している。
図32】本開示の態様に基づく例示的な三相モニタドライブパワーを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の態様ならびにそれらの様々な特徴および有利な詳細は、添付図面において説明および/または例示され、以下の明細書において詳細に説明される非限定的な態様および例を参照してより十分に説明される。図面に示される特徴は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、一つの態様の特徴は本明細書において明示的に言及されなくとも当業者には認識されるような他の態様と共に用いられ得ることに留意されるべきである。周知の部品および処理技術の説明は本開示の態様を不必要に妨げることのないように省略され得る。本明細書で用いられる例は単に本開示が実施される方法の理解を容易にすること、および当業者が本開示の態様を実施することをさらに可能にすることを意図している。したがって、本明細書の例および態様は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、これは添付の特許請求の範囲および適用可能な法律によってのみ定義される。さらに、図面のいくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部分を表すことに留意されたい。
【0013】
本開示は窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)等の最先端のワイドバンドギャップパワー半導体デバイスに最適化された構造を含み得るパワーモジュールを説明するものであり、これらは確立された技術との比較において大量の電流および電圧の搬送ならびにますます高速なスイッチングを可能にする。従来のパワーエレクトロニクスパッケージではこれらの半導体の機能性が制限されており、シリコン(Si)デバイス技術向けの内部レイアウトを有している。
【0014】
本開示のパワーモジュールは標準的なパッケージング手法よりも著しく低いループインダクタンスを有する並列接続されたデバイスの大きなアレイ間に均一に電流を分散させるように構成され得る。段になったパワー端子を有する多層電流経路はパワーモジュールとフィルタリングキャパシタとの間のインダクタンスを低減するバスシステムとの外部接続を簡単にする。パワーモジュールのレイアウトは高度に構成可能であり、パワーエレクトロニクス業界において一般的なほとんどのパワー回路トポロジーを採用するように構成され得る。
【0015】
本開示のパワーモジュールは、よりタイトなパワーループおよび論理的な外部端子配置を追加することで、内部モジュール性能、システムレベルの実装、製造可能性、および使いやすさを著しく改善する。
【0016】
これに関して、本開示のパワーモジュールは以下に挙げるもののうち少なくとも一つまたは複数を設けるように構成され得る。
高度に最適化された低インダクタンスパワーモジュール構造。
モジュール式、スケーラブル、およびフレキシブルなレイアウトおよびパワーフロー。
高電流スイッチポジションを形成するために均等化された並列接続するための多数のパワー半導体。
多数のパワー半導体を並列接続するために最適化されたゲートおよび検知信号構造。
温度検知および過電流保護のための検知コネクタ。
最大約1700V以上の高電圧動作に適した形成ファクタ。
1700Vの動作を超えるスケーラブルな高さ。
最適化された外部システム相互接続のための多層内部導体レイアウト。
様々な最先端の材料、付属品、絶縁体および相互接続技術を収容するように設計されたモジュール式内部構造。
高性能なシステムレベル一体化のための大幅な最適化。
並列接続が容易で、より高い電流まで直接スケールアップが簡単になること。
ハーフブリッジ、フルブリッジ、三相、および同様の配置を含む多種多様なトポロジーにおいて構成可能であること。
様々なパワー処理ニーズを満たすためのスケーラブルなシステム実装。
【0017】
本質的に、本開示のパワーモジュール構成により有利なパワー半導体の能力の最大限に活用することが可能になり、パワー密度、スイッチング、効率等が著しく改善される。
【0018】
パワーモジュールのパワーデバイスは、構造および目的の範囲にある。「パワーデバイス(power device)」という用語は高電圧および高電流用に設計された様々な形態のトランジスタおよびダイオードを指す。トランジスタは(デバイスのタイプに応じて)一方向または双方向に電流が流れるのを可能にする制御可能なスイッチであり、ダイオードは電流が一方向に流れるのを可能にし、制御可能でない場合もある。トランジスタのタイプには金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)、ジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等を含むが、これらに限定されない。
【0019】
パワーデバイスは窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)等を含むワイドバンドギャップ(WBG)半導体を含んでもよく、またパワーデバイスの材料として従来のシリコン(Si)よりも多くの利点を提供する。それにもかかわらず、本開示の様々な態様によりSiタイプのパワーデバイスを活用して本明細書で説明されるいくつかの利益が達成される。WBG半導体の重要なメトリクスは以下に挙げる非限定的な態様のうち一つまたは複数を含み得る。
より高い電圧遮断。
より高い電流密度。
より高温の動作。
より高速なスイッチング。
改善された熱的性能。
より低い抵抗値(低減された導通損失)。
【0020】
ターンオンおよびターンオフエネルギーを低下させる(スイッチング損失を低減する)。これら前述したWBG半導体の重要なメトリクスが必要にならず、また本開示のいくつかの態様において実装されない可能性があることを理解されるべきである。
【0021】
WBG半導体デバイスを有効に活用するために、(パワーパッケージとも呼ばれる)パワーモジュールが用いられる。パワーモジュールは以下に挙げる非限定的な態様のうち一つまたは複数を含むいくつかの機能を果たし得る。
有用なトポロジーへのパワー半導体デバイスの電気的な相互接続を提供する。
水蒸気、振動、汚染等から影響を受けやすいデバイスを保護する。
導通およびスイッチング損失の結果としてデバイスから生じた廃熱の除去のための有効で効率的な手段をもたらす。
内部レイアウトへのロバストなパワーおよび信号電気接続によりシステムレベルの実装が容易になる。パワーおよび信号電気接続はボルトでの固定、クランプでの固定、半田付け、プラグまたはレセプタクル、および同様の実装であり得る。
業界で採用されている標準に基づき、内部誘電体封入形成ならびに外部電圧クリーページおよびクリアランス距離により電圧安全性を提供する。
【0022】
これら前述した機能が必要にならず、また本開示のいくつかの態様において実装されない可能性があることを理解されるべきである。
【0023】
図1Aは本開示の態様に基づくパワーモジュールのハーフブリッジベースのトポロジーを概略的に示している。ハーフブリッジベースのトポロジーは多数のスイッチングパワー変換器における基本的な構成要素である。モータデバイス、インバータ、およびDC-DC変換器の場合、これらのトポロジーは典型的に、それらの間を媒介する接続としてDCリンクキャパシタ102のバンクを有するDC源112に接続される。これは図1Aにおいて概略的に示されている。DCリンクキャパシタ102はライン上のリップルをフィルタリングし、電流経路におけるインダクタンスの影響を打ち消すために振る舞い得る。並列な二つのハーフブリッジはフルブリッジを形成することができ、並列な三つのハーフブリッジは三相トポロジーを形成することができる。三相トポロジーはシックスパックと呼ばれることも多く、三相レグ間の六つのスイッチポジションを意味する。さらに、他のトポロジーは共通ソース、共通ドレイン、および中性点クランプを含むパワーモジュールである場合が考えられる。
【0024】
図1Aは一つまたは複数のスイッチポジション104を有するパワーモジュール100をさらに示している。パワーモジュール100は第一の端子106、第二の端子108、および第三の端子110を含み得る。
【0025】
図1B図1Aのパワーモジュールの内側のDCリンクキャパシタとスイッチポジションとの間の電流ループを示している。パワーモジュール100の内側のDCリンクキャパシタ102とスイッチポジション104との間の電流ループ114はシステムにおいて非常に重要であり、半導体のスイッチング性能に重大な影響を有する。
【0026】
完全なシステムは無く、例えば、望ましくない寄生抵抗、容量、およびインダクタンスはあらゆる電気的なシステムに存在する。これらのインピーダンスは低減されるかまたは緩和されない限り、性能および信頼性に有害な影響をもたらす。抵抗値および容量は相互接続に関連し得るが、スイッチングパワーデバイスに対して最も影響があるのは寄生インダクタンスであり得る。より高いインダクタンスによって磁界に蓄えられるエネルギーがより高くなり、これによりスイッチング遷移中の電圧オーバーシュートおよびリンギングが発生する。
【0027】
図2は本開示の態様に基づく様々な相互接続および関連するインピーダンスを示している。図1Aで表されているパワーモジュール100のハーフブリッジ構成のようなパワー変換システムの場合、DCリンクキャパシタ102、バスシステム202、およびパワーモジュール100等を含む各部品の内部、ならびにそれらの間の物理的な相互接続にインピーダンス204が存在する。これはインダクタンスの場合が図2に描写されている。より機能的な要素および関連するインピーダンスはパワー変換器に存在することも多いが、スイッチング性能の場合はこのループは最も重要であり得る。
【0028】
ほとんどのパワー変換器では、これらのインダクタンスはシステム設計において慎重に説明されなければならない。多くの場合、これは寄生効果を打ち消すためにより多くのDCリンクキャパシタ102を追加すること、またはスイッチング速度を低下させることが必要になる。効果的である一方、(高電流および高電圧の両方が存在するより低速のスイッチング事象に起因する)より高い損失を伴うよりかさばったシステム(より大きく重いキャパシタ)が必要になる。
【0029】
Siデバイスを対象としたパワーパッケージでは、Si IGBTに典型的なターンオン時間またはターンオフ時間は本来十分に低速であり、内部パワーループにおいて遭遇するインダクタンスは十分に低い。しかしながら、SiC MOSFET等のワイドバンドギャップデバイスの極めて高速なスイッチングの場合、従来のパッケージのインダクタンスにより数百ボルトの電圧オーバーシュートが発生する可能性がある。
【0030】
これらの問題はパワーモジュール100内で高い電流レベルに到達するために多数のSiCデバイスと共に並列接続する必要があるため、さらに増幅される。様々な組み合わせのパワースイッチおよびダイオード(全てのスイッチ、全てのダイオード、インタリーブダイオード、エッジダイオード等)の並列接続されたアレイは「ポジション(position)」または「スイッチポジション(switch position)」と呼ばれる。スイッチポジション104内の各スイッチは共に単一の有効なスイッチとして振る舞い、有効抵抗値を低下させることによって回路が処理することができる電流量を増加するか、または全体の損失を低減する。
【0031】
図3は本開示の態様に基づくスイッチポジションの様々な相互接続および関連するインピーダンスを示している。スイッチポジション104において、各スイッチまたはパワーデバイス302は構造内に各々の電流経路を有する。図3に示されるように、各相互接続は関連するインピーダンス204を有する。図3にさらに示されるように、スイッチポジション104は矢印304で表される記号によって示されるような任意の数のパワーデバイス302を含み得る。パワーデバイス302間で有効な電流経路が確実に均等化され、各々が適合したインダクタンスを見るように注意しなければならない。そうでなければ、スイッチング遷移中に遭遇する電流および電圧はスイッチポジション104にわたるパワーデバイス302間で等しく分配されず、部品に不均一な応力を加え、スイッチング損失を増加させる可能性がある。これは熱の影響により悪化する。すなわち、不均一な電流負荷およびスイッチング事象により不均一な熱上昇が発生し、半導体特性におけるドリフトおよび並列接続されたスイッチポジション104にわたるさらなる不安定性がもたらされる。
【0032】
従来のパワーパッケージは典型的に単一のSi IGBT、またはこれらのデバイスの小型アレイ(通常は四以下)用に設計される。その結果、クリーンで適切に制御されたスイッチングをもたらす方法で多数のSiC MOSFETおよびダイオード(または類似のワイドバンドギャップデバイス)を並列接続するためには好適ではない。
【0033】
本開示のパワーモジュール100はワイドバンドギャップデバイス等のパワーデバイス302に適した解決策を提供し、これは以下に挙げる非限定的な態様のうち一つまたは複数を含み得る。
パワーモジュール100の内部インダクタンスを低減する。
スイッチポジション104内の並列接続されたパワーデバイス302間の均等化された電流経路を容易にする。
スイッチポジション104にわたってパワーデバイス302間の熱を等しく分配する。
DCリンクキャパシタ102との低インダクタンスの相互接続を可能にする外部構造を有する。
高電圧(≧1700V)で高電流(数百アンペア)を安全に搬送することができる。
【0034】
これら前述したパワーモジュール100の特性は本開示のいくつかの態様においては必要でなく、実装されない可能性があることを理解されるべきである。
【0035】
図4Aは本開示の態様に基づくパワーモジュールの概略的な斜視図を示しており、図4Bは本開示の態様に基づくパワーモジュールの概略的な上面図を示している。特には、図4Aおよび図4Bにおいてパワーモジュール100のハーフブリッジ構成が示されている。本開示のパワーモジュール100は均一化された低インダクタンスの電流回路を処理する各スイッチポジション104を有する最も一般的なブリッジトポロジーが容易になるようにカスタム設計されたパワーレイアウトおよび関連する構造に関する前述の懸念の各々に対処する。端子106、108、110は外部フィルタリングDCリンクキャパシタ102への経路も同様に低インダクタンスを有し得るように配置することができ、単純な積層バスバーは、以下でさらに詳細に説明されるように曲げまたは特別な設計上の特徴を必要としない。
【0036】
パワーモジュール100の単一のハーフブリッジ構成のパワー端子のピン配列が図4Aに描写されている。V+端子106およびV-端子108はDCリンクキャパシタ102への電流ループを物理的に最小化するために(電圧クリアランスのための十分なスペースを有して)意図的に互いに近接して配置され得る。
【0037】
パワーモジュール100は信号端子502、504、506、508を含み得る。信号端子502、504、506、508の特定のピン配列はモジュール式であってもよく、必要に応じて調整されてもよい。その構成が図4Aに示されている。示されるように、差動信号転送のために信号端子502、504、506、508用の四対の信号ピンがある。言うまでもなく、本開示に関連して説明した機能性を提供するために任意の数の信号ピンおよび任意の数の信号端子を実装することができる。各スイッチポジション104は最適な制御のためにゲート信号およびソースケルビン用の端子502、504を有する一対のピンを活用し得る。信号端子506、508の他のピンの対は内部温度センサ、過電流検知、または他の診断信号に使用され得る。電圧絶縁の問題が生じない限り、必要に応じてより多くのピンおよび/またはより多くの信号端子を任意の行に追加することも考えられる。いくつかの態様では、他の診断信号は振動等を検知するひずみゲージを含み得る診断センサから生成され得る。診断センサは湿度を測定することも可能である。さらに、診断センサは環境またはデバイスの特性を検知し得る。
【0038】
図5は本開示の態様に基づく並列な構成内の複数の単相モジュールを示している。モジュール性は本開示のパワーモジュールには必須である。パワーモジュール100の単相構成はより高い電流に到達するために容易に並列接続され得る。図5に示されるように、三つのパワーモジュール100が示されているが、このような方法でいくつ構成することができるかについての制限はない。これに関して、矢印510はさらなるパワーモジュール100を並列に配置し得ることを示している。並列接続される場合、対応する端子106、108、110の各々がパワーモジュール100の各々の間に電気的に接続され得る。
【0039】
図6Aは本開示の態様に基づく第一のパワーモジュール構成を示しており、図6Bは本開示の態様に基づく第二のパワーモジュール構成を示している。本開示のパワーモジュール100のスケーラビリティは別の明確な特徴であり得る。これは図6Aおよび図6Bに描写されている。図6Bに示されるように、パワーモジュール100の幅は図6Aに示されるパワーモジュール100と比較して各スイッチポジション104により多くの並列接続されたデバイスを収容するために延長され得る。パワーモジュール100の電流の増加によりさらなるファスナホール512を端子106、108、110のパワーコンタクトに追加することができる。例えば、低インダクタンス、クリーンなスイッチング、高パワー密度等を含む本開示の利益を犠牲にすることなくほとんどのパワーレベルに適合するように、図5に示されるように並列接続され得るか、または図6Bに示されるようにスケーリングされ得ることに留意することが重要である。
【0040】
図7は本開示の態様に基づくフルブリッジ構成のパワーモジュールを示しており、図8は本開示の態様に基づく三相構成のパワーモジュールを示しており、図9は本開示の態様に基づくフルブリッジ構成を有する単一のパワーモジュールを示している。いくつかの態様では、モジュール性は二つのパワーモジュール100のフルブリッジ構成に関する図7および三つのパワーモジュール100の三相構成の図8等の様々な電気的トポロジーの形態においてもみられ得る。これらのトポロジーの場合、V+端子106およびV-端子108は相互接続されてもよく、位相出力端子110は分離されたままであってもよい。図7および図8の構成は単一のハウジングに配置することもでき、図9に示されるように共有ベースプレートで構成することもでき、ユニットの複雑さとコストのトレードオフによりパワー密度が増加し得る。
【0041】
パワーモジュール100の様々な配置、構成およびスケーリングされた幅のバージョンは、様々な用途およびパワーレベルをカバーするが、核となる内部部品およびレイアウトは同一のままであり得る。これによりパワーモジュール100のモジュール性が強化される。この構造には、使いやすく、様々な顧客固有のシステムに合わせて拡張しながら高いレベルの性能を示すモジュールファミリが包含される。
【0042】
図10は本開示の態様に基づくパワーモジュールの分解図を示しており、図11図10のパワーモジュールの部分図を示している。特には、図10はパワーモジュール100内のいくつかの要素を示している。これらの要素は、ベースプレート602、ガスケット604、一つまたは複数のパワー基板606、一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608、一つまたは複数のスイッチポジション104、一つまたは複数の温度センサ610、ハウジング側壁612、中央パワーコンタクト614、信号相互接続アセンブリ616、ハウジング蓋618、ファスナ620、キャプティブファスナ622等のうち一つまたは複数を含む。さらに、パワーモジュール100は本明細書で説明されるそれらよりも少ないか、または異なる要素を含み得ることが考えられる。
【0043】
パワーモジュール100はベースプレート602を含み得る。ベースプレート602はパワーモジュール100に対して構造的なサポートを提供し、またパワーモジュール100の熱管理により熱拡散が容易になる。ベースプレート602は銅、アルミニウム等のベース金属、または熱的に生成される応力を低減させるために適合する熱膨張係数(CTE)を提供し得る金属基複合材料(MMC)を含み得る。一つの態様では、MMC材料は銅、アルミニウム等の高導電性金属と、モリブデン、ベリリウム、タングステン等の低CTE金属および/またはダイアモンド、シリコンカーバイド、酸化ベリリウム、グラファイト、埋め込み熱分解性グラファイト等の非金属のいずれかとの複合材料としてもよい。材料に応じて、ベースプレート602は機械加工、鋳物成形、打ち抜き加工等によって形成され得る。ベースプレート602は、ベースプレート602の表面を保護し、半田付け性を改善するためにニッケル、銀、金等の金属メッキを有し得る。一つの態様では、ベースプレート602は平坦な裏面を有し得る。一つの態様では、ベースプレート602はリフロー後の平面性を改善するために凸型のプロファイルを有し得る。一つの態様では、ベースプレート602は直接冷却するためにピンフィンを有し得る。
【0044】
パワーモジュール100はガスケット604を含み得る。ガスケット604は液密シールを設けることによって封入成形プロセスを改善し得る。これに関して、パワーモジュール100は内部に誘電体封入成形を含み得る。ガスケット604は射出成形、吐出等されてもよく、ハウジング側壁612の溝に適用され、ハウジング側壁612とベースプレート602との間で圧縮され得る。
【0045】
パワーモジュール100は一つまたは複数のパワー基板606を含み得る。一つまたは複数のパワー基板606はパワーデバイス302に電気的な相互接続、電圧絶縁、熱伝達等を提供し得る。一つまたは複数のパワー基板606は直接接合銅(DBC)、活性金属ロウ付け(AMB)、絶縁金属基板(IMS)等として構築され得る。IMS構造の場合、一つまたは複数のパワー基板606およびベースプレート602は同じ要素として一体化され得る。いくつかの態様では、一つまたは複数のパワー基板606は半田、熱伝導性エポキシ、銀焼結等でベースプレート602に取り付けられる。一つの態様では、各スイッチポジション104に一つずつ、二つのパワー基板606があり得る。
【0046】
パワーモジュール100は一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608を含み得る。一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608のうち一つの表面はV+端子または第一の端子106を形成し得る。一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608のうち一つの表面は位相端子または第三の端子110を形成し得る。一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608は外部システムと一つまたは複数のパワー基板606との間に高電流経路を生成し得る。一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608はエッチングプロセス、打ち抜き作業等により板金から製造され得る。一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608は最終的な組み立てをしやすくするために一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608の曲げが容易になるように部分的な厚みの曲げ補助線を有し得る。一つの態様では、一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608はキャプティブファスナ622に折り重ねられ得る。一つの態様では、一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608はパワー基板606に直接半田付け、超音波接合等され得る。一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608は表面を保護し、半田付け性を改善するためにニッケル、銀、金等の金属めっきを有し得る。
【0047】
一つの態様では、エッジパワーコンタクト608のベース636は取り付けプロセスを行いやすくするために足に分割され得る。ベース636は表面を保護し、半田付け性を改善するためにニッケル、銀、および/または金等の金属めっきを有し得る。
【0048】
パワーモジュール100は一つまたは複数のスイッチポジション104をさらに含む。一つまたは複数のスイッチポジション104は制御可能なスイッチと、電流、電圧、および効率についての要求を満たすように並列に配置されたダイオードとの任意の組み合わせを含み得る。パワーデバイス302は半田、導電性エポキシ、銀焼結材料等で取り付けられ得る。ゲートおよびソースを含むパワーデバイス302上の上側のパッドはパワーワイヤボンド628を用いてそれらの各々の場所にワイヤボンディングされ得る。パワーワイヤボンド628はアルミニウム、アルミニウム合金、銅等を含んでもよく、これらの両方の足において超音波接合等を行って二つの金属パッド間に導電性アーチを形成してもよい。信号ボンド628は類似の方法で形成されてもよく、アルミニウム、金、銅等であってもよい。いくつかの態様では、626におけるパワーワイヤボンドのワイヤの直径はパワーワイヤボンド628のワイヤよりも小さくてもよい。
【0049】
パワーモジュール100は一つまたは複数の温度センサ610をさらに含む。一つまたは複数の温度センサ610はパワー基板606に直接取り付けられた抵抗性温度センサ要素を用いて実装され得る。抵抗温度検出器(RDT)タイプセンサ、負の温度係数(NTC)タイプセンサ、光学タイプセンサ、サーミスタ、熱電対等を含む他のタイプの温度センサもまた考えられる。一つまたは複数の温度センサ610は半田、導電性エポキシ、銀焼結材料等で取り付けられてもよく、次に信号相互接続アセンブリ616にワイヤボンディングされ得る。パワーモジュール100は振動等を検知するひずみゲージを含み得る一つまたは複数の診断センサをさらに含み得る。診断センサは湿度を決定することもできる。さらに、診断センサはあらゆる環境またはデバイスの特性を検知し得る。
【0050】
パワーモジュール100はハウジング側壁612をさらに含み得る。ハウジング側壁612は合成材料で形成され得る。一つの態様では、ハウジング側壁612は射出成形プラスチック要素であり得る。ハウジング側壁612は電圧の保持および湿度遮断封入成形のための電気的な絶縁、電圧クリーページならびにクリアランス、構造的なサポート、およびキャビティを提供し得る。一つの態様では、ハウジング側壁612は強化高温プラスチックを用いた射出成形プロセスで形成され得る。
【0051】
パワーモジュール100は中央パワーコンタクト614をさらに含み得る。中央コンタクト614の表面はV-端子または第二の端子108を形成し得る。中央パワーコンタクト614は外部システムとパワーデバイス302との間に高電流経路を生成し得る。中央パワーコンタクト614はエッチングプロセス、打ち抜き作業等により板金から製造され得る。中央パワーコンタクト614は(図示されるように)ハウジング側壁612内に埋め込まれることによって土台となるパワー基板606から絶縁されてもよく、または以下で説明されるように二次パワー基板に半田付けまたは接合され得る。中央パワーコンタクト614は中央パワーコンタクト614をハウジング側壁612に留めるための対応するファスナを受けるために図11に示されるような一つまたは複数のアパーチャ632を含み得る。
【0052】
下側のスイッチポジションのパワーデバイス302は、図11に示されるように、それらの端子から中央パワーコンタクト614へ直接ワイヤボンディング640され得る。中央パワーコンタクト614は最終的な組み立てステージにおいて折りやすくするために部分的な厚みの曲げ補助線624を有し得る。中央パワーコンタクト614は表面を保護し、半田付け性を改善するためにニッケル、銀、金等の金属めっきを有し得る。
【0053】
パワーモジュール100は信号相互接続アセンブリ616をさらに含み得る。信号相互接続アセンブリ616は信号コンタクトからパワーデバイス302への電気的な接続を容易にする小型の信号回路ボードであり得る。信号相互接続アセンブリ616はゲートおよびソースケルビン接続とさらなるノードまたは内部検知要素への接続を可能にし得る。信号相互接続アセンブリ616はパワーデバイス302の各々に対する各々のゲート抵抗器を可能にし得る。信号相互接続アセンブリ616はハウジング側壁612内に配置されたプリント回路ボード、セラミック回路ボード、フレックス回路ボード、埋め込み金属ストリップ等であり得る。一つの態様では、信号相互接続アセンブリ616は複数のアセンブリを含み得る。一つの態様では、信号相互接続アセンブリ616は各スイッチポジション104に一つずつ、複数のアセンブリを有し得る。
【0054】
パワーモジュール100はハウジング蓋618をさらに含み得る。ハウジング蓋618は合成要素であり得る。一つの態様では、ハウジング蓋618は射出成形されたプラスチック要素であり得る。ハウジング蓋618は電気的な絶縁、電圧クリーページおよびクリアランス、ならびに構造的なサポートを提供し得る。これに関して、ハウジング蓋618はハウジング側壁612と共に閉じたアセンブリを形成し得る。閉じたアセンブリは異物がパワーモジュール100の内部に進入することを防ぎ得る。一つの態様では、ハウジング蓋618は強化高温プラスチックを用いた射出成形プロセスで形成され得る。
【0055】
パワーモジュール100はファスナ620をさらに含み得る。ファスナ620はねじ山形成用のねじであり得る。他のタイプのファスナもまた考えられる。ファスナ620はハウジング蓋618の取り付け、信号相互接続アセンブリ616の取り付け、(別の手段により埋め込まれていない場合は)中央パワーコンタクト614の埋め込み、ベースプレート602へのハウジング側壁612の留め等のために使用され得る。
【0056】
パワーモジュール100はキャプティブファスナ622をさらに含み得る。キャプティブファスナ622はハウジング側壁612およびハウジング蓋618に配置された六角ナットでもよく、それらが折り重ねられた後、エッジパワーコンタクト608および中央パワーコンタクト614の下に拘束されて保持されてもよい。キャプティブファスナ622を実装するために他のタイプのファスナまたはコネクタが考えられる。キャプティブファスナ622により外部バスバーまたはケーブルへの電気的な接続が容易になる。キャプティブファスナ622はパワーモジュール100がバスバーにボルトで固定されるときにキャプティブファスナ622およびエッジパワーコンタクト608がバスへと上向きに引っ張られるように配置され、より良い品質の電気的な接続を形成する。キャプティブファスナ622がハウジングに取り付けられる場合、それらはバスをパワーモジュール100へと押し下げるように振る舞う可能性があり、これはバスバーが固いために接続不良を形成する可能性がある。
【0057】
一つの態様では、ハウジング蓋618はキャプティブファスナ622が回転するのを防ぐためにキャプティブファスナ622の外部形状と一致する形状を有するアパーチャを含み得る。(図26に示される)対応するファスナはキャプティブファスナ622によって受けられ得る。対応するファスナは外部バスバーまたはケーブルとの電気的な接続を容易にするために中央パワーコンタクト614のファスナホール512を通って延在する。
【0058】
一つの態様では、ハウジング側壁612はキャプティブファスナ622が回転するのを防ぐためにキャプティブファスナ622の外部形状と一致する形状を有するアパーチャを含み得る。(図26に示される)対応するファスナはキャプティブファスナ622によって受けられ得る。対応するファスナは外部バスバーまたはケーブルとの電気的な接続を容易にするために一つまたは複数のエッジパワーコンタクト608内のファスナホール512を通って延在する。
【0059】
低い内部インダクタンスを達成するために、パワーモジュール100の電流経路は磁束相殺を達成するために可能な限り幅が広く、長さが短く、重なり合い得る。磁束相殺は、ループを移動する電流が近接して反対方向に移動すると発生し、関連する磁界を効果的に打ち消す。このモジュール手法の主な利益は実装面積の幅全体が導通のために活用されることである。モジュールの高さは電流が移動しなければならない長さを低減するために最小化され得る。
【0060】
ハーフブリッジ位相レグ用のパワーループが図11に示されており、詳細を示すためにエッジパワーコンタクト608および中央パワーコンタクト614が折り畳まれている。幅が広く、薄型のエッジパワーコンタクト608および中央パワーコンタクト614はパワーデバイス302に直接電流をもたらす。端子表面から個々のパワーデバイス302までの有効な電流経路は機能的に同等であり得る。加えて、パワーデバイス302は近接して配置されてもよく、それらの相対ループインダクタンスにおける不均衡を最小化し、優れた熱結合を確実にする。
【0061】
図12Aは本開示に基づいて構築されたパワーモジュールの位相レグの上面図を示しており、各ノードはハーフブリッジトポロジーにおいて識別されている。図12Bは本開示に基づいて構築されたパワーモジュールの概略的な位相レグを示しており、各ノードは図12Aに基づくハーフブリッジトポロジーにおいて識別されている。パワーモジュール100は一つまたは複数のダイオードを含み得る。一つの態様では、概略図中のダイオードは逆並列に配置されたディスクリートダイオード(図示されていない)であり得る。一つの態様では、概略図中のダイオードは(図示されるように)MOSFETとして実装されているパワーデバイス302のボディダイオードの表現であり得る。
【0062】
一つの態様では、電流経路はV+ノード端子608で開始してもよく、V+ノード端子608はパワー基板630およびパワーデバイス302のうち上側の一つのドレインD1に取り付けられてもよい。パワーデバイス302のうち上側の一つのソースS1は次に下側のパワー基板パッド630にワイヤボンディング628されてもよく、下側のパワー基板パッド630は下側のパワーデバイス302のドレインD2のみならず位相パワー端子608にも取り付けられる。最終的に、下側のパワーデバイス302のソースS2はV-パワーコンタクト端子614にワイヤボンディング628されてもよく、V-パワーコンタクト端子614はいくらかの重ね合わせを提供する下側のパワー基板630の上にあってもよく、土台となる基板630から十分に電圧絶縁されてもよい。
【0063】
図13図12Aおよび図12Bの位相レグの断面図を示しており、図14は電流経路を含む図12Aおよび図12Bの位相レグの断面図を示している。図13に示されるように、パワーコンタクトのタブまたは端子106、108、110はパワーモジュール100構造の最終的な構成に含まれるように折り畳まれている。層の厚みは詳細を示すために誇張されている。電流の流れを可視化するとこの図面中の全ての要素は導体とみなすことができる。
【0064】
図13は、段状になった、複数の高さまたは複数の高位の構成をさらに示している。これに関して、端子614の垂直位置は端子608の垂直位置よりも高く示されている。高さの差は矢印702によって示されている。この複数の高さの構成は以下でさらに詳細に説明される重要なループを提供し得る。さらに、複数の高さの構成はバス接続の提供を補助する可能性があり、これについて以下でさらに詳細に説明される。
【0065】
図14は、V+端子からV-端子までの電流経路の重なりを示しており、本開示の態様に基づくクリーンなスイッチングのための重要なループを表している。インダクタンスは経路の長さに比例し、導体の断面積が増加すると減少し、磁場内の磁束相殺によって減少する。識別された経路は端子608から開始し、パワー基板630を通ってパワーデバイス302を横切り、パワーデバイス302を通って二次基板630に流れ、端子614によって出力される。識別された経路は、以下に挙げる要因によりインダクタンスが低い。
モジュールの低い高さ。
端子608、614へのパワーデバイス302の近接。
全機能性要素のタイトなパッキング。
導体の広い断面積。
各パワーデバイス302に対して最適に並列接続されたワイヤボンド628。
パワーデバイス302間の均一な電流分配。
下側のスイッチポジションにおいて電流方向が逆転した時の磁束相殺。
外部V+/V-バスバーにおける磁束相殺。
【0066】
図15は本開示の態様に基づき、バスと共にパワーモジュールの接触面を示している。V+端子608および位相端子608の接触面は平面であってもよく、一方でV-端子614の上部は他からオフセットされている。図15に示されるように、この特徴により外部V+/V-積層バス802、804を曲げることなく両方の端子608、614に接触させることが可能になる。(図13に示されている)オフセット距離702はバスバー金属の厚み関連する誘電体分離膜の厚みに適合するように調整され得る。
【0067】
DCリンクキャパシタ102バンクへのバス802、804、806における最小化された外部インダクタンスと組み合わせられた低内部モジュールインダクタンスにより、電圧オーバーシュートが低く性能が安定したクリーンで急速なスイッチング事象に適したパワーモジュール100の最適化された構造が得られる。ループインダクタンスが小さいとDCリンクキャパシタ102に必要とされる総容量は低減される。
【0068】
これらの利益により、全体としてより低いスイッチング損失、より高いスイッチング周波数、改善された制御性、および低減されたEMIが可能になる。最終的に、これはシステム設計者がよりパワーの密集したロバストなパワー変換システムを達成するのに役立つ。
【0069】
図16A図16B、および図16Cは本開示の態様に基づくパワーモジュールの端子の様々な態様を示している。V-端子614がパワーモジュール100の真ん中にある積層レイアウトはこの設計に不可欠なものである。パワー基板630上の出力トレース上に直接据えられるこの端子614の好適な電圧絶縁は、絶縁構造を形成する様々な構築により実現され得る。このパワーモジュール100の設計は以下に挙げるものの各々と置き換えることが可能である。
【0070】
図16AはV-端子614の絶縁の一つの態様を示している。この態様では、パワーモジュール100はV-端子614の埋め込まれた絶縁体810を含み得る。埋め込まれた絶縁体810はプラスチックまたは他の合成材料で形成され得る。埋め込まれた絶縁体810は中央の領域を埋めるストリップ810としてハウジング側壁612に位置し得る。一つの態様では、ストリップ810はプラスチックで形成され得る。パワーコンタクト614はねじ山形成用のねじを用いる等の機械的な留め、プラスチックオーバーモールディングを通す等の直接的な一体化、プラスチックの熱かしめ作業による所定の位置へのリベット留め等を含むいくつかの方法によりストリップ810に埋め込まれ得る。
【0071】
図16BはV-端子614の絶縁体の別の態様を示している。この態様では、パワーモジュール100はパワー基板絶縁によりV-端子614の絶縁を形成し得る。これに関して、二次パワー基板812はそのセラミック等の誘電体材料の層を介して絶縁を提供するために活用され得る。この二次パワー基板812はパワー基板630に対して半田付け、焼結、またはエポキシ樹脂で接着され、一方パワーコンタクト614は二次基板上の上側の金属パッドに半田付けまたは接合され得る。この手法の利益は、二次パワー基板812が高導電性であり、パワーコンタクト614からコールドプレートまたはヒートシンクへの熱除去を容易にさせ得るため、中央パワーコンタクト614の熱伝達が改善されることである。
【0072】
図16CはV-端子614の絶縁体の別の態様を示している。これに関して、厚膜絶縁体814が活用され得る。厚膜絶縁体814はパワー基板630上に直接印刷された厚膜絶縁体を活用してもよく、電圧遮断を提供してもよい。中央コンタクト614はエポキシを介して厚膜絶縁体814に取り付けられたり、誘電体膜の上部に印刷された金属厚膜の薄い層に直接半田付けされたりする等してもよい。
【0073】
他の態様では、V-端子614の絶縁は懸架絶縁(図示されていない)を含み得る。この態様では、中央パワーコンタクト614はパワー基板630に対して十分な距離で吊り下げられてもよく、埋め込む手法と類似の方法でハウジング側壁612に取り付けられてもよい。これに関して、パワーモジュール100を充填するゲル封入形成により誘電体分離が生じる。しかしながら、中央パワーコンタクト614は下側のデバイスとコンタクトとの間のパワーワイヤボンド628の形成を妨げることのないように高剛性材料を活用する必要があり得る。
【0074】
図17は本開示の態様に基づく並列な複数のデバイスを概略的に示している。特には、図17は三つのパワーデバイス302を示している。これは単なる例示であり、説明と理解を容易にするためのものである。本開示のパワーモジュール100は任意の数のパワーデバイス302を含み得る。
【0075】
ゲート制御および検知信号はパワーモジュール100のスイッチング性能に著しく影響し、並列接続されたスイッチポジション104において特に重要であり得る。信号ループは高性能、ロバスト性、および均一な電流分配のためにパワーモジュール100において最適化され得る。パワーループと同様に、経路は長さを制限し、断面積を広くするように構成されてもよく、関連する外部部品は信号端子502、504に可能な限り物理的に近付けて配置されてもよい。
【0076】
トランジスタ、特にはMOSFET等のパワーデバイス302の並列接続されたアレイの場合、一貫したターンオンおよびターンオフ条件をもたらすために、ゲート電流のタイミングおよび大きさのバランスをとらなければならない。パワーモジュール100はパワーデバイス320のゲートに近接して配置され、ゲートワイヤボンドによってのみ分離され得る個々のバラスト抵抗器RG1、RG2、RG3を活用し得る。これらの部品は抵抗が低く、個々のパワーデバイス302に流れる電流が緩和しやすくなる。これらの部品はパワーデバイス302のゲートを分離するように振る舞い、振動を防いで並列接続されたパワーデバイス302のターンオン信号を確実に均等化するのに役立つ。有効なスイッチポジション104のターンオン速度を制御するために、単一の外部抵抗器RDRIVERを活用し、これらの並列接続された抵抗器RG1、RG2、RG3に接続し得る。
【0077】
ゲート抵抗器RG1、RG2、RG3は、用途に応じて表面実装パッケージ、一体化した厚膜層、ワイヤボンド可能なチップ等であり得る。
【0078】
図18は本開示の態様に基づく有効なゲートスイッチングループの斜視図を示しており、図19は本開示の態様に基づく有効なゲートスイッチングループの上面図を示している。信号基板または信号相互接続アセンブリ616は、信号相互接続アセンブリ616のボードのエッジでゲートおよびソースケルビンコネクタ端子502、504と接続するレール816、818を有し得る。上側のレール818は個々の抵抗器820を介してゲートワイヤボンドパッドに接続してもよく、一方下側のレール816はパワーデバイス302のソースパッドに直接ワイヤボンドしてもよい。これは、ソースケルビンボンドがパワーソースボンドの電流経路内に無いため、真のケルビン接続とみなされ得る。ケルビン接続は、クリーンで効率的な制御のために重要である場合があり、信号ループ上のソース電流への高いドレインの影響を低減する。
【0079】
図18および図19は信号相互接続アセンブリ616の左手側上の任意選択的な信号接続506、508をさらに示している。これらの接続は温度測定または他の形態の内部検知のために使用され得る。いくつかの態様では、内部検知は振動を検知するひずみゲージ、湿度を検知するセンサ等を含み得る診断センサから生成され得る診断信号を含む診断検知を含み得る。さらに、診断センサはあらゆる環境またはデバイスの特性を検知する。一つの態様では、温度センサ610は下側の位置に配置され得る。言うまでもなく他の場所または配置もまた考えられる。一つの態様では、ワイヤボンドは(IGBTの場合には不飽和保護(desaturation protection)とも呼ばれる)過電流測定のためにドレイントレースの隣(例えば、パワーデバイス302の隣)の上側のパッド上に配置され得る。言うまでもなく過電流測定のための他の場所または配置もまた考えられる。いくつかの態様では、過電流センサまたは不飽和センサはパワーデバイス302のドレインへの接続によって決定される電圧降下を感知し得る。いくつかの態様では、電流はパワーデバイス302にわたる電圧降下によっても検知することができる。
【0080】
この信号ループまたは信号相互接続アセンブリ616の実装はスイッチポジション104内の並列接続されたパワーデバイス302の任意の組み合わせにかかる品質管理および測定を確実にし得る。標準PCBボード間コネクタは外部ゲートドライバおよび制御回路への直接の接続を可能にし得る。
【0081】
示されるように、このゲート分散ネットワークはPCBを用いて実装され得る。また、一次パワー基板630上、ベースプレート602上等に直接厚膜回路として形成され得る。これによりパワーモジュール100の部品数を低減する利益と、ゲート抵抗器820を印刷する選択肢が得られる。ゲート抵抗器820は、半田端子が不要になる可能性があり、ゲート抵抗器820がコールドプレートから積極的に冷却され、部品の熱サイジングの制約が最小限になるため、PCB上の表面実装部品よりもはるかに小さくし得る。
【0082】
図20は本開示の態様に基づくパワーモジュールを含む部分的で例示的な実装を示している。これに関して、図20は高性能システムにおける本開示のパワーモジュール100を実装する代表的で例示的な構造である。この一般的な手法は他の多数の構成およびトポロジーに適用され、変換器においてパワーモジュール100を活用する方法の有用な例として機能を果たす。この特定の例は、三相モータ駆動用である。この態様では、三つのパワーモジュール100がある。
【0083】
本開示のパワーモジュール100はハーフブリッジ位相レグ(図示されるように、三つ)のアレイで構成され得る。その用途のために必要な電流を増加させるためにさらなるパワーモジュール100を並列に含めることができる。
【0084】
図20の実装はコールドプレート902をさらに含み得る。コールドプレート902は高性能液体コールドプレート、ヒートシンク等であってもよく、パワーモジュール100から別のソース(液体、空気等)に廃熱を伝達する機能を果たす。
【0085】
図20の実装はDCリンクキャパシタ102をさらに含み得る。DCリンクキャパシタ102はDCパワーのソースとパワーモジュール100とのインターフェースをとるフィルタリングキャパシタとして実装され得る。一つの態様では、DCリンクキャパシタ102は単一のキャパシタとして実装され得る。別の態様では、DCリンクキャパシタ102は負荷および/または特定の用途のパワー需要に応じてキャパシタの「バンク(bank)」を形成する複数の部品として実装され得る。
【0086】
図20の実装はコールドプレートスタンドオフ904をさらに含み得る。コールドプレートスタンドオフ904はコールドプレート902に対して構造的なサポートを提供し得る。コールドプレートスタンドオフ904は図示されるように構成され、パワーモジュール100の端子106、108を持ち上げ、キャパシタコンタクト906と同一平面内に配置することができる。この態様では、曲がっていない平坦なバスバーは部品を相互に接続することができる。より高いパワー密度または異なるタイプのキャパシタのために、コールドプレートスタンドオフ904の高さは変換器の要素に利用可能な形成ファクタを最大限に活用するために調整され得る。これには遷移的に曲げることが必要になる可能性があるため、電気的なループの長さを増やすというトレードオフがあり、システム固有の要件に依存する。
【0087】
図21は本開示に基づく例示的な積層バスバーを示しており、図22図21に基づく例示的な積層バスバーの一つの部分を示しており、図23図32に基づく例示的な積層バスバーの別の部分を示している。パワー端子レイアウトは簡潔で効果的なバスバーの相互接続を容易にするように設計され得る。DCリンクキャパシタ102とパワーモジュール100の端子106、108との間のインダクタンスを最小化するために、バスバー900は厚い導体910、912を有してもよく、またバスバー900の厚い導体910、912は重なり合ってもよい。厚い導体910、912は薄い誘電体膜914によって分離され得る。電流は厚い導体910、912の各シートを反対方向に移動し、パワーデバイス302とフィルタリングDCリンクキャパシタ102との間の有効インダクタンスを大幅に低減するように振る舞う。DCリンクキャパシタ102との合わせ面にワッシャまたはスペーサの必要性を無くす同一平面のコンタクト918を形成するために厚い導体910の上側の層をエンボス加工してもよいが、これは電気的な性能に支障をきたす可能性がある。
【0088】
上記で提示されたシステムレベルのレイアウトに適合する例示的な積層バスバー900は導体V+平面912、導体V-平面910、および誘電体膜914のうち一つまたは複数を含み得る。
【0089】
導体V+平面912はコンタクト926を介してパワーモジュール100のV+端子106をコンタクト928を介してDCリンクキャパシタ102のV+端子に接続し、さらに外部接続用の端子920を有する。
【0090】
導体V-平面910はコンタクト924を介してパワーモジュール100のV-端子108をコンタクト918を介してDCリンクキャパシタ102のV-端子に接続し、さらに外部接続用の端子922を有する。コンタクト918、924、926、928および端子920、922はそれぞれ電気的な接続を形成するためにファスナを受けるように構成されたファスナアパーチャを用いて実装される。他の電気的な接続の実装もまた考えられる。導体910、912はアパーチャ940を含み得る。導体910、912のうちの一つにおけるアパーチャ940は導体910、912のうちの別の一つのコンタクトへのアクセスを可能にする。
【0091】
誘電体膜914は導体910、912の重なり合う金属層の間に配置された薄い電気的な絶縁体として実装され得る。誘電体膜914は電気的な安全基準に従って誘電体分離を提供し得る。誘電体膜914はインダクタンスを最小化するために可能な限り薄く保たれ得る。膜はまた電気的な接続が必要とされない全ての区域において積層バスバー900の上部および底部を覆ってもよい。積層バスバー900のエッジ916は幾何学的な形状および利用可能なスペースに応じてピンチシール積層、エポキシシール、誘電体挿入等を含む様々な方法により密封され得る。いくつかの態様では、誘電体膜914材料はアクリル接着剤を用いて積層バスバー900に接着されてもよい。いくつかの態様では、積層バスバー900はポリマ材料を有するピンチシールを含み得る。いくつかの態様では、積層バスバー900は続いて圧力、熱、および時間をかけて積層を形成することができる。
【0092】
いくつかの態様では、バスバー900および導体910、912は一般的に平面構造を有する。より具体的には、バスバー900は図15に示されるように、一般に平坦な上側の表面および一般に平坦な下側の表面を有し得る。いくつかの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは、誘電体膜914と共に、図13に示されるオフセット距離702を画定する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に0.5mmから10mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に1mmから2mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に0.5mmから1mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に2mmから3mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に3mmから4mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に4mmから5mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に5mmから6mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に6mmから7mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に7mmから8mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に8mmから9mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。一つの態様では、導体910、912のうち一つの厚さは誘電体膜914と共に9mmから10mmであってもよく、これはオフセット距離702に対応する。
【0093】
図24は本開示に基づく位相出力バスバーを示している。三相モータ駆動の場合、この例のように、位相出力930はインダクタンスを最小化するために積層または重なり合いを必要としないこともある。これは位相出力バスバー930が誘導性負荷を駆動しているためであり、これにより出力経路上のインダクタンスを低減する必要性が制限される。したがって、位相出力バスバー930は独立した要素であってもよく、積層DCリンク構造よりもはるかに複雑でなくてもよい。位相出力バスバー930は電気的な接続を形成するためにファスナを受けるためのアパーチャ934を含み得る。
【0094】
各位相からの出力電流を測定することは非常に望ましい。これは(分流器(shunt)と呼ばれる)低抵抗値の直列抵抗器を追加してそれにかかる電圧降下を測定すること、電流によって生じる磁場を測定するセンサを含んでコントローラに比例する信号を供給すること等、いくつかの方法により実行することができる。図24はこのシステムのための出力バスバー930の一つと、センサが位置し得る領域内に磁場を集束させるために鉄製シールド932を追加することによって測定の正確性を改善するための構成を示している。
【0095】
位相出力バスバー930または導体は各パワーモジュール100の位相出力端子110から外部端子接続までの遷移を提供するように構成され得る。位相出力バスバー930または導体の形成および配置は、変化する可能性があり、パワーモジュール100の固有のトポロジーまたは配置に依存し得る。
【0096】
鉄製シールド932または磁場コンセントレータはセンサが配置され得るターゲット領域内の電流によって生成された磁場を集束させるように構成され得る。これは動作のために必要とされないが、ほとんどの変換器システムにおいて出力電流測定値を抽出するために非常に有利な配置である。
【0097】
図25は本開示の態様に基づくパワーモジュールおよび積層バスバーを含む例示的な実装の斜視図を示しており、図26図25に基づくパワーモジュールおよび積層バスバーを含む例示的な実装の第一の断面図を示しており、図27図25に基づくパワーモジュールおよび積層バスバーを含む例示的な実装の第二の断面図を示している。図25から図27は上記で説明された積層バスバー900構造を有するモータ駆動のシステムレイアウトを示している。図25から図27に示されるように、システムはパワーモジュール100アレイ、コールドプレート902アセンブリ、DCリンクキャパシタ102、DCリンク積層バスバー900アセンブリ、および出力コンタクトバスバー930を含み得る。
【0098】
DCリンクキャパシタの端子の断面図が図26に示されている。図26はバスバー900において特徴的であるエンボス加工された同一平面上の接続918と、あらゆる可能な場所における高度な金属積層を示している。プレート910、912間の唯一の分離は板金製造プロセス(エンボスツール、ワーク保持、公差等)および誘電体分離914(エッジシール、クリーページ、クリアランス)に必要とされる最小区域であり得る。
【0099】
図27に示されているパワーモジュール100にわたる断面はDCリンクキャパシタ102のバンクからパワーモジュール100の端子106、108までの最適化された重なり合う重要なループを示している。これにより実際の代表的な部品および物理的な設計制約を有する図15において論じられた概念が強化される。
【0100】
全体として、この低インダクタンス、高電流の相互接続構造は本開示のパワーモジュール設計に必要であり得、またそれによって可能になり得る。同時に、それらはDCリンクキャパシタ102のバンクとスイッチポジション104との間に効果的で高度に一体化された低インダクタンス経路を形成する。この構造によりワイドバンドギャップ半導体等のパワーデバイス302の、効率的で安定した、非常に高周波のスイッチングが可能になる。
【0101】
図28は本開示に基づく例示的な単一のモジュールゲートドライバを示している。ゲートドライバはコントローラと高電圧パワーステージとの間の電圧絶縁を提供しながらもスイッチポジション104に駆動電流を供給するパワー増幅器として振る舞う。絶縁はドライバ遮断とスイッチポジション104との間でも維持され得る。高周波スイッチングの場合、ドライバの出力ステージはスイッチポジション104の近くに物理的に配置され得る。
【0102】
電圧不足、過電圧、および過電流保護等の安全のためにさらなる機能を含んでもよい。ゲートドライバ回路はパワーモジュール100が常に安全な動作領域内で機能し、また故障が発生した場合には慎重にシャットダウンするように構成され得る。
【0103】
このパワーモジュール設計で、ゲートドライバは積層パワーバス900の上に直接据え付けられる。それらは単一のPCBとして形成され、パワーモジュール100と同じモジュール方式でラックアップまたはスケーリングされてもよい。あるいは、ドライバはパワーモジュール100のアレイにわたる単一のPCB上一体化されてもよく、サイズを節約しながらもボード上の複数の高電圧ノードに起因して複雑さが増加する。ドライバの出力ステージはモジュール信号ピンと接触するボード間のコネクタのすぐ隣に配置され得る。
【0104】
一例である単一のモジュールゲートドライバ400が図28に示されている。単一のモジュールゲートドライバ400要素はスイッチポジション104ごとに複製され得る。各ブロックの配置および固有のレイアウトはシステム依存である可能性があり、この図面中では一般化した例として構成されている。
【0105】
単一のモジュールゲートドライバ400要素は制御信号コネクタ410、絶縁された電源420、信号絶縁およびコンディショニング部品430、増幅器ステージ440、バルクゲート抵抗器および局所電流フィルタ450、センサおよび保護部品460、パワーモジュール信号コネクタ470、およびクリーページ延長スロット480のうち一つまたは複数を含み得る。単一のモジュールゲートドライバ400はプリント回路ボード(PCB402)上に配置され得る。
【0106】
制御信号コネクタ410は、ケーブル、ボード間コネクタ、または類似の機構を介して二つの間で差動制御およびセンサ信号が転送され得るように、コントローラとゲートドライバとのインターフェースをとるように構成され得る。
【0107】
絶縁された電源420はパワーデバイス302のターンオンおよびターンオフに必要な正および負の電圧を供給するDC-DC変換器として実装され得る。絶縁された電源420はパワーデバイス302によって必要とされる電流を供給するのに十分に高いパワーであり得る。制御ステージとパワーステージ間の分離はこの遮断の重要な機能である。
【0108】
信号絶縁およびコンディショニング部品430は低電圧制御と高電圧パワーとの間の制御信号の絶縁を提供し、ドライバの増幅器ステージ440の制御信号をコンディショニングするための回路を含み得る。
【0109】
増幅器ステージ440は、個別のまたは一体化された部品で形成され得る。増幅器ステージ440は絶縁された低パワー制御信号を動作するためにスイッチポジション104によって必要とされる電流および電圧に変換する。これはクリーンなスイッチングのために可能な限りモジュール信号端子に物理的に近くあるべきである。
【0110】
バルクゲート抵抗器および局所電流フィルタ450は出力ピン、バルクゲート抵抗器および局所電流フィルタ450への遷移の前の最終ステージであり、特定のシステムのニーズに適合させるためにスイッチポジション104のターンオンおよびターンオフ時間をチューニングするために使用され得る。これらは単一の受動要素のセット、または異なるスイッチング特性が望まれる場合にターンオンおよびターンオフに対して異なる抵抗値を有するネットワークの一部として存在し得る。局所フィルタはまたスイッチング事象中に高品質の電流源を確実に維持するために使用され得る。
【0111】
センサおよび保護部品460は回路を含んでもよく、これは過不足電圧保護、過電流保護、温度検知、および故障の発生中に安全にシャットダウンするための機構を含み得る。
【0112】
パワーモジュール信号コネクタ470はPCB402の下側に配置され得る。パワーモジュール信号コネクタ470はゲートドライバとパワーモジュール100とのインターフェースをとり、パワーモジュール100内部のゲート分散ネットワークへの直接接続を提供する。これは典型的にボード間コネクタ、直接半田接続等で容易になる。ワイヤからボードへの接続もまた可能であるが、ドライバをパワーモジュール100に物理的に近くにある必要があり得る。
【0113】
クリーページ延長スロット480はドライバステージ間の電圧絶縁を改善するように構成されてもよく、部品のよりコンパクトなパッキングを可能にする。高電圧パワーモジュールのサイズが縮小し続けているため、電圧絶縁はますます大きな課題になっている。PCB402内のスロットのカッティングは、ボードサイズを加えることなく電圧クリーページ距離を増加させるための一つの選択肢であり得る。他の選択肢はクリティカルノードの局所ポッティングおよびコンフォーマルな誘電コーティングを用いたアセンブリ全体を完全に覆うことを含む。より具体的には、PCB402を含むパワーモジュール100の様々な部品は一つまたは複数の部品の個別および/または局所ポッティングを含んでもよく、またPCB402を含むパワーモジュール100の様々な部品は一つまたは複数の部品上のコンフォーマルな誘電コーティング、PCB402全体、および/またはパワーモジュール100の他のアセンブリを含んでもよい。
【0114】
図29に示されるように共に一体化される場合、ゲートドライバ400およびパワーモジュール100は絶縁、増幅により制御ソースから最適化された低インダクタンス信号フローを有するコンパクト信号ユニットを形成し、次にゲート抵抗器ネットワークを介して並列接続されたパワーデバイス302に直接分散される。
【0115】
図30は本開示の態様に基づく電流検知部品を示しており、図31図30に基づく位相出力バスバーを用いて配置された電流検知部品を示している。電流を検知するには複数の方法がある。図30および図31に示されている本開示の一つの態様では、非接触磁気センサ980が活用され得る。非接触磁気センサ980は磁場を集束させるために鉄製シールド932を用いて活用され得る。非接触磁気センサ980は出力電流に比例する信号を生成するこの領域に配置された小型センサチップを活用し得る。三位相全てに対する単一のPCB936上のセンサの例が図30に示されており、磁気シールドを有する全出力バスバー構造が図31に示されている。
【0116】
図32は本開示の態様に基づく例示的な三相モータ駆動パワースタックアップを示している。特には、図32はこれまでに説明された機能的な部品の全てを有する例示的な三相モータ駆動パワースタックアップを示している。図32のシステムは高度に一体化されており、ピークの電気的な性能に合わせて大幅に最適化されている。キャパシタバンクの電圧検知およびEMIシールドエンクロージャ等のさらなる特徴が考えられ、この高性能コア内部に適切に一体化されるであろう。
【0117】
この例示的な手法は所与の用途に特有のパワー処理の必要性ならびにサイズおよび重量の制限の範囲内でほとんどのシステムに適用可能である。本開示で説明されるパワーモジュール設計およびシステムレベル構造により高レベルのパワー密度および体積活用を達成することが可能になる。
【0118】
したがって、本開示は安定性を増加させ、スイッチング損失を減少させ、EMIを低減し、システム部品にかかる応力を制限するために、ループインダクタンスのような寄生インピーダンスに対処するように構成された改善されたパワーモジュール100および関連するシステムを明らかにしてきた。特には、本開示のパワーモジュールは開示された配置で、いくつかの態様においてはインダクタンスを10%も低減する能力を有する。さらに、本開示のパワーモジュール100はハーフブリッジ構成、フルブリッジ構成、共通ソース構成、共通ドレイン構成、中性点クランプ構成、および三相構成を含む多数のトポロジーで実装され得る。パワーモジュール100の用途には、モータ駆動、ソーラーインバータ、回路ブレーカ、保護回路、DC-DC変換器等を含む。
【0119】
本開示の態様は本開示の態様が示されている添付図面を参照して上記で説明されている。しかしながら、本開示は多くの異なる形態で実施されてもよく、上述の態様に限定されるべきでないことを理解されたい。むしろ、これらの態様は本開示が徹底的かつ完全なものであり、また本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。全体を通して同様の番号は同様の要素を指す。
【0120】
第一、第二等の用語が本明細書を通して様々な要素を説明するために使用されているが、これらの要素はこれらの用語によって制限されるべきでないことを理解されたい。これらの用語はある要素を別の要素と区別するためにのみ使用されている。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第一の要素を第二の要素と呼ぶことができ、同様に、第二の要素を第一の要素と呼ぶことができる。「および/または(and/or)」という用語は、関連する列挙された項目のうち一つまたは複数のいくつかおよび全ての組み合わせを含む。
【0121】
本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprise)」「備えている(comprising)」、「含む(include)」および/または「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または部品の存在を明示するが、一つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。
【0122】
層、領域または基板等の要素が別の要素の「上(on)」に存在しているかまたは「上へ(onto)」延在していると述べられる場合、他の要素の上に直接存在するかまたは上へ直接延在する可能性があり、または介在する要素が存在する可能性もあることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接(directly on)」存在しているかまたは「上へ直接(directly onto)」延在していると述べられる場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続されて(connected)」いるかまたは別の要素に「結合されて(coupled)」いると述べられる場合、他の要素に直接接続もしくは結合されるかまたは介在する要素が存在し得ることもまた理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されて(directly connected)」いるかまたは「直接結合されて(directly coupled)」いると述べられる場合、介在する要素は存在しない。
【0123】
「よりも下に(below)」または「よりも上に(above)」または「上側の(upper)」または「下側の(lower)」または「上部(top)」または「底部(bottom)」等の相対的な用語は、本明細書では図に示される一つの要素、層または領域と別の要素、層または領域との関係を説明するために使用される。これらの用語は、図に描写された方向に加えて、デバイスの異なる方向を包含することを意図していることを理解されたい。
【0124】
本開示の態様は、本開示の理想的な実施形態(および介在する構造)の概略図である断面図を参照して本明細書で説明されている。図面中の層および領域の厚さは分かりやすくするために誇張されている場合がある。加えて、例えば製造技術および/または公差の結果としての図の形状からの変形が予想されるべきである。
【0125】
図面および明細書において本開示の典型的な態様が開示されてきたが、固有の用語が用いられているもののそれらは一般的かつ説明する意味でのみ使用され、以下の特許請求の範囲で明らかにされている本開示の範囲を限定することを目的とするものではない。
【0126】
本開示を例示的な態様に関して説明してきたが、当業者においては本開示が添付の特許請求の範囲の精神および範囲内での調整を加えて実施できることを認識されるであろう。前述の所与のこれらの例は単に例示的なものであり、全ての可能性のある本開示の設計、態様、用途または調整の余すところのないリストの意味を持つものではない。これに関して、様々な態様、特徴、部品、要素、モジュール、配置、回路等は交換可能であり、混在され、適合され、組み合わせられる等すると考えられる。これに関して、本開示の異なる特徴はモジュール式であり、互いに混在させ、そして互いに適合させることができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32