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特許7298079硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物及び電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/12 20060101AFI20230620BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230620BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20230620BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230620BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C08L101/12
C08L63/00 A
G03F7/027 502
G03F7/004 501
G03F7/004 512
H05K3/28 F
H05K3/28 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019018490
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020125404
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】福田 晋一朗
(72)【発明者】
【氏名】チャ ハヌル
(72)【発明者】
【氏名】槇田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】椎名 桃子
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228433(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002964(WO,A1)
【文献】特開2010-085904(JP,A)
【文献】特開2018-123320(JP,A)
【文献】国際公開第2012/098734(WO,A1)
【文献】特開2018-189851(JP,A)
【文献】特開2017-156590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
G03F 7/004-7/04、7/06、7/075-7/115、
7/16-7/18
H05K 3/28
C08F 2/00-2/60、283/01、290/00-
290/14、299/00-299/08
G03C 3/00
C09D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)ポリグリセリン系(メタ)アクリレート
C)光重合開始剤、及び
(D)エポキシ樹脂
を含む硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布乾燥してなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
【請求項3】
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物または請求項に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化させた硬化物。
【請求項4】
請求項に記載の硬化物を有する電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物及びそのドライフィルム、これらの硬化物並びにその硬化物を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板には、回路パターンの導体層を有する基材上にソルダーレジストが形成されている。このようなソルダーレジストに限らず、プリント配線板の層間絶縁材やフレキシブルプリント配線板のカバーレイ等の永久保護膜の材料としては、従来、種々の硬化性樹脂組成物が提案されている。種々の硬化性樹脂組成物の中でも、環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型の硬化性樹脂組成物が広く採用されている。
【0003】
アルカリ現像型の硬化性樹脂組成物においては、プリント配線板などの電子部品の生産性の観点から現像時間が短いこと、乾燥管理幅が高いこと、及び感度が高いことが求められ、また、使用時の品質の観点から硬化膜が耐熱性や折り曲げ性に優れることが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1では、特定のプレポリマーを使用することにより感度が向上した感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-24254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物は所定の感度を有するものの、折り曲げ性が十分とはいえず、また、乾燥管理幅が短く、現像時間が長いという問題があった。特に、感度と折り曲げ性を両立させることは難しいことは従来から知られており、感度及び折り曲げ性の双方に優れるとともに上記の他の特性にも優れる硬化性樹脂組成物の開発が望まれている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、現像時の感度に優れ、現像時間が短く、乾燥管理幅を長くとることができ、硬化後の耐熱性及び折り曲げ性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ポリグリセリン系(メタ)アクリレート、(C)光重合開始剤、及びを含む硬化性樹脂組成物により達成される。
【0009】
従来では、折り曲げ性を確保するために2官能モノマーを使用することが一般的であったが、2官能モノマーを使用すると感度が低下しやすいという問題があった。本発明では、モノマーとして、ポリグリセリン系(メタ)アクリレートを使用することにより、折り曲げ性と感度の両立を達成し、且つ現像時間が短く、乾燥管理幅を長くとることができ、硬化後の耐熱性にも優れる硬化性樹脂組成物を提供することが可能である。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物は(D)エポキシ樹脂を更に含むことが好ましい。
【0011】
本発明のドライフィルムは、前記いずれかの硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布乾燥してなる樹脂層を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の硬化物は、上記前記いずれかの硬化性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化させたことを特徴とする。
【0013】
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像性、乾燥管理幅及び感度に優れ、また、硬化後の耐熱性及び折り曲げ性にも優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。したがって、生産性、外観性及び耐久性に優れ、フレキシブル基板などのプリント配線板に利用可能な硬化性樹脂組成物の硬化物及びその硬化物を有する電子部品を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。上述したように、本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」とも称する)は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ポリグリセリン系(メタ)アクリレート、及び(C)光重合開始剤を含む。以下、各成分について詳細に説明する。
【0016】
[(A)アルカリ可溶性樹脂]
アルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液に可溶な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂やフェノール系水酸基含有樹脂を用いることができるが、カルボキシル基含有樹脂が好ましい。
【0017】
カルボキシル基含有樹脂は、光硬化性や耐現像性の観点から、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和結合を有することが好ましいが、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを使用してもよい。エチレン性不飽和結合としては、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来のものが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の中でも、共重合構造を有するカルボキシル基含有樹脂、ウレタン構造を有するカルボキシル基含有樹脂、エポキシ樹脂を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂、フェノール化合物を出発原料とするカルボキシル基含有樹脂が好ましい。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーまたはポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
【0018】
(1)2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
【0019】
(2)2官能エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、2官能エポキシ樹脂は固形であることが好ましい。
【0020】
(3)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0021】
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等の1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0022】
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0023】
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0024】
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0025】
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0026】
(9)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0027】
(10)後述するような多官能オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0028】
(11)上述した(1)~(10)のいずれかのカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0029】
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、以下他の類似の表現についても同様である。
【0030】
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40~150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、正常なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50~130mgKOH/gである。
【0031】
上記したような(A)アルカリ可溶性樹脂の配合量は、全組成物中に、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは20~60質量%、特に好ましくは30~50質量%である。
【0032】
[(B)ポリグリセリン系(メタ)アクリレート]
ポリグリセリン系(メタ)アクリレートとは、ポリグリセリン骨格及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物のことをいう。好ましくは、以下の構造式(I)を有する化合物のことをいう。
【0033】
【化1】
(式中、nは~20、好ましくは3~12、特に4~10であり、mは1~30、好ましくは5~20であり、Rは水素原子またはメチル基である)

【0034】
上記のポリグリセリン系(メタ)アクリレートは、ポリグリセリンの水酸基にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなど)を付加し、その末端の水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸と反応させることにより得ることができる。具体的には、ポリグリセリン系(メタ)アクリレートとして、阪本薬品化学製のSA-TE6、SA-TE60、SA-ZE12などを使用することができる。
【0035】
(B)ポリグリセリン系(メタ)アクリレートの配合量は、固形分換算で、本発明の課題を達成する観点から、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば、1~100質量部の割合であり、好ましくは5~50質量部、より好ましくは10~40質量部、特に好ましくは20~30質量部である。
【0036】
[(C)光重合開始剤]
(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知のものであれば、いずれのものを用いることもできる。
【0037】
(C)光重合開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4- (4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。これらの中でもモノアシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類が好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)がより好ましい。(C)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
(C)光重合開始剤の配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~30質量部、より好ましくは0.01~20質量部である。
【0039】
[(D)エポキシ樹脂]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(D)エポキシ樹脂を含んでいてもよい。(D)エポキシ樹脂は、従来から用いられているものを使用することができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などが用いられる。これら(D)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
また、本発明において、(D)エポキシ樹脂は、常温(20℃)で液状であるものを用いることが好ましい。現像性には組成物の軟化点が影響することから、常温で液状である(D)エポキシ樹脂を用いることで、現像性を補助する効果を得ることができる。20℃で液状のエポキシ樹脂としては、例えば、jER828(三菱ケミカル(株)製)、YD-128(新日鉄住金(株)製)、EPICRON840,850(DIC(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、jER806,807(三菱ケミカル(株)製)、YDF-170(新日鉄住金(株)製)、EPICRON830,835,N-730A(DIC(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ZX-1059(新日鉄住金(株)製)等のビスフェノールA,F混合物、YX-8000,8034(三菱ケミカル(株)製)、ST-3000(新日鉄住金(株)製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物中の(D)エポキシ樹脂の配合量は、(A)成分のアルカリ可溶性基当量に対するエポキシ当量の比率が、好ましくは0.2~3.0、より好ましくは0.5~2.0の範囲となる量である。
【0042】
[その他の成分]
本発明の硬化性樹脂組成物は、消泡剤を配合してもよい。消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤、非シリコン系消泡剤等が挙げられるが、中でも、現像液の汚染を低減できることや、シルク(マーキングインキ)の密着性不良を引き起こしにくいとの観点から、非シリコン系消泡剤を用いることが好ましい。消泡剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
シリコン系消泡剤としては、例えば、KS-66(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。非シリコン系消泡剤としては、FOAMKILLER NSI-0.00(青木油脂工業(株)製)等が挙げられる。
【0044】
本発明の硬化性樹脂組成物は、着色剤を配合してもよい。着色剤の具体例としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、ロイコクリスタルバイオレット、カーボンブラック、ナフタレンブラック、ソルベント・ブルー、二酸化チタン等が挙げられる。着色剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物には、更に、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、光塩基発生剤、熱可塑性樹脂、エラストマー、ウレタンビーズなどの有機フィラー、硫酸バリウム、タルク、シリカ等の無機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体、セルロース樹脂等が挙げられる。
【0047】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0048】
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10~150μm、好ましくは20~60μmの範囲で適宜選択される。
【0049】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。
【0050】
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、膜の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0051】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルム及びカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0052】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて硬化物を形成するには、その組成物を基板上に塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、もしくは、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光して、未露光部をアルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンが形成される。さらに約100~180℃の温度に加熱して熱硬化(ポストキュア)させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化皮膜(硬化物)を形成することができる。
【0053】
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの乾燥塗膜を形成することができる。また、上記組成物をキャリアフィルムまたはカバーフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、ラミネーター等により本発明の組成物の層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成することができる。
【0054】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0055】
上記揮発乾燥または熱硬化は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法及びノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0056】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
【0057】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0058】
本発明の硬化性樹脂組成物は、プリント配線板上に硬化被膜(硬化物)を形成するために好適に使用され、より好適には、永久皮膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイを形成するために、特に好適にはソルダーレジストを形成するために使用される。また、車載用途等の高温状態に晒されるプリント配線板のソルダーレジスト等の永久被膜の形成に好適に使用できる。
【0059】
また、本発明は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、及びその硬化物を有する電子部品も提供する。本発明の硬化性樹脂組成物を用いることで、外観性、耐久性、生産性の高い電子部品が提供される。なお、本発明において電子部品とは、電子回路に使用する部品を意味し、プリント配線板、トランジスタ、発光ダイオード、レーザーダイオード等の能動部品の他抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ等の受動部品も含まれ、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物がこれらの絶縁性硬化塗膜として、本発明の効果を奏するものである。
【実施例
【0060】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例、比較例により制限されるものではない。なお、配合量を表す部は、特に記載が無い限り、質量部である。
【0061】
<組成物の調製>
表1に示す成分を攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0062】
<評価方法>
(1)現像性
上記で作製した硬化性樹脂組成物をアプリケーターを用いて基板に塗布し、80℃×30分の乾燥処理を行った後、メタルハライドランプ光源を用いて露光量600mJを照射した後に、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、現像性を評価した。
現像時間が25秒未満であったものを○とし、25秒以上であったものを×とした。
【0063】
(2)半田耐熱性
上記で作製した硬化性樹脂組成物をアプリケーターを用いて基板に塗布し、80℃×30分の乾燥処理を行った後、パターニングを有するネガを介してメタルハライドランプ光源を用いて露光量600mJ/cmを照射した。この後に、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して現像し、次いで150℃で60分間加熱して硬化処理を行った。硬化処理が行われた基板について、260℃のはんだ槽で処理を行った後、テープピールを行い、剥がれの有無を評価した。
処理時間10秒で剥がれが生じなかったものを○とし、処理時間10秒で剥がれが生じたものを×とした。
【0064】
(3)折り曲げ性
25μmのPETフィルム上に、各樹脂組成物を塗布(乾燥後の膜厚:25μm)、80℃×30分乾燥させて乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を有するPETフィルムを、3cm×15cmに切り出して試験サンプルを得た後、直径3インチの円柱に巻き付けた。巻きつけたフィルムの乾燥塗膜表面にクラック(割れ)が発生していないかを確認した。
クラックが認められなかったものを○とし、クラックが認められたものを×とした。
【0065】
(4)乾燥管理幅
銅厚35μmの回路パターン基板に対して各樹脂組成物を塗布した後に、80℃に設定した熱風循環式乾燥炉に40分、50分、60分放置した乾燥塗膜を有する基板を準備した。これに対して、1wt%炭酸ナトリウム溶液に浸漬し、乾燥塗膜が全て溶解する時間を測定した。
40分放置した場合に現像時間が25秒以内であったものを罰とし、50分放置した場合に現像時間が25秒以内であったものを△とし、60分放置した場合に現像時間が25秒以内であったものを○とした。
【0066】
(5)感度
FR4基材の銅をエッチアウトした基板に上記樹脂組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉に80℃×30分放置し溶剤を揮発させて乾燥塗膜を得た。このサンプル上に、Kodax No.2のステップタブレットに置き、オーク製作所製のHMW-680、光源:メタルハライドランプ 7KWにてマイラー透過後の露光量が600mJ/cmになるようにサンプルに照射し、1wt%炭酸ナトリウム溶液に60sec浸漬して、組成物が残存する段数を読み取った。
残存感度段数が9であったものを◎とし、残存感度段数が8であったものを○とし、残存感度段数が7以下であったものを△とした。
【0067】
【表1】
【0068】
*1:下記参照
*2:日本化薬社製ZFR-1401H
*3:下記参照
*4:阪本薬品社製SA-TE6、約6官能、分子量900、
*5:阪本薬品社製SA-TE60、約6官能、
*6:阪本薬品社製SA-ZE12、約12官能、分子量3300、
*7:日本化薬社製DPHA
*8:日本化薬社製DPCA-60
*9:堺化学工業社製B-30
*10:富士タルク工業社製LMP-100
*11:東ソー・シリカ社製ニップシールL-300
*12:IGM Resin社製OmniradTPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド)
*13:IGM Resin社製Omnirad379(2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン)
*14:日本化薬社製DETX-S
*15:DIC社製N-870
*16:三菱ケミカル社製jER828
【0069】
上記*1のカルボキシル基含有アクリレート樹脂の製法は次の通りである。ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔DIC株式会社製、EPICLON N-695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6〕1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に、芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却し、カルボキシル基含有感光性樹脂溶液(A-1)を得た。このようにして得られた感光性樹脂溶液(A-1)の固形分(溶剤を除いた量)は65%、固形分の酸価は89mgKOH/gであった。なお、表1に記載の数値は溶剤を含まない固形分の質量部である。
【0070】
上記*3のカルボキシル基含有変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレートの製法は次の通りである。ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート700gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔DIC株式会社製、EPICLON N-695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6〕1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、更にトリフェニルホスフィン1.6gを追加し、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)562g、テトラヒドロ無水フタル酸684g(4.5モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート142.0g(1.0モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行い、カルボキシル基含有樹脂溶液(A-2)を得た。このようにして得られたカルボキシル基含有樹脂溶液(A-2)の固形分は65%、固形分の酸価は87mgKOH/gであった。なお、表1に記載の数値は溶剤を含まない固形分の質量部である。
【0071】
<評価結果>
ポリグリセリン系アクリレートを含んでいる場合(実施例1~6)は、現像性、半田耐熱性、折り曲げ性及び乾燥管理幅、感度のすべてにおいて優れていることが認められた。一方、比較例1~3では、ポリグリセリン系アクリレートを含んでいないためにこれらの評価の一部に劣ることが認められた。