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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20230620BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230620BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230620BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20230620BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230620BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20230620BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20230620BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20230620BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20230620BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230620BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230620BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20230620BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230620BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H04N23/52
G03B15/00 W
G03B17/02
G03B17/55
G03B17/56 Z
G03B19/07
G03B37/00 A
H04N23/45
H04N23/51
H04N23/55
H04N23/60 500
H04N23/698
H05K5/02 L
H05K5/02 V
H05K7/20 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018185917
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020057870
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】築山 大亮
(72)【発明者】
【氏名】木次 康雄
(72)【発明者】
【氏名】神山 知也
(72)【発明者】
【氏名】相原 卓也
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187502(JP,A)
【文献】特開2008-98924(JP,A)
【文献】特開2017-228876(JP,A)
【文献】特開2010-130571(JP,A)
【文献】特開2014-106412(JP,A)
【文献】特開2017-152946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/45 -23/55
H04N 23/60 -23/698
H04N 5/222- 5/257
G03B 17/55
G03B 17/02
G03B 19/07
G03B 15/00
G03B 37/00
G03B 17/56
H05K 7/20
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮像素子と、
前記第1撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理チップと、
前記第1撮像素子および前記画像処理チップを囲む第1部材と、
前記第1部材の外部に一部が設けられ、前記第1撮像素子で発生した熱を、前記画像処理チップに対して前記1撮像素子が配置される第1方向側に伝導する第1伝熱部材と、
前記第1部材の外部に一部が設けられ、前記画像処理チップで発生した熱を前記第1方向側に伝導する第2伝熱部材と、
前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材に接して空気が流れるように、前記第1部材の外部に設けられた前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材を前記第1方向から覆う第2部材と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第2部材は、吸気口から排気口に向けて空気が流れる流路の少なくとも一部を形成する撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記第1伝熱部材は、前記第2伝熱部材が前記流路の空気に接する箇所から前記排気口までの区間と異なる箇所で、前記流路の空気に接する撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第1部材に囲まれた第2撮像素子と、
前記第1部材の外部に一部が設けられ、前記第2撮像素子で発生した熱を伝導する第3伝熱部材と、を備え、
前記第2部材は、前記第3伝熱部材に接して空気が流れるように、前記第1部材の外部に設けられた前記第3伝熱部材を覆う撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像処理チップの発熱量は前記第1撮像素子よりも大きい、撮像装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の撮像装置であって、
ファンの動作により、前記吸気口から前記排気口に向けて空気の流れが形成される撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置であって、
前記ファンを有する、撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第1部材は、前記第1撮像素子、前記画像処理チップ、配線、および前記第1撮像素子および前記画像処理チップに給電する電池を囲む、撮像装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材は、前記第1部材の少なくとも一部を形成する、撮像装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記第1伝熱部材は、前記第1部材の外部に表出する第1ヒートシンクを含み、
前記第2伝熱部材は、前記第1部材の外部に表出する第2ヒートシンクを含む、撮像装置。
【請求項11】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記第1伝熱部材は、前記第1部材の外部に表出する第1ヒートシンクを含み、
前記第2伝熱部材は、前記第1部材の外部に表出する第2ヒートシンクを含み、
前記第3伝熱部材は、前記第1部材の外部に表出する第3ヒートシンクを含む、撮像装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置であって、
前記第1ヒートシンク、前記第2ヒートシンクおよび前記第3ヒートシンクは、前記撮像装置の外面群の1つの外面の内側に設けられる、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全天球型撮像装置は、広角レンズとこの広角レンズによる像を撮像する撮像センサとによる撮像光学系を複数有する。全天球型撮像装置は、各撮像光学系により撮像された像を合成して4πステラジアンの立体角内の像を得る(たとえば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の全天球型撮像装置では、撮像センサなどの熱源を放熱させる構成は考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-25255号公報
【発明の概要】
【0005】
本願において開示される撮像装置は、第1撮像素子と、前記第1撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理チップと、前記第1撮像素子および前記画像処理チップを囲む第1部材と、前記第1部材の外部に一部が設けられ、前記第1撮像素子で発生した熱を、前記画像処理チップに対して前記1撮像素子が配置される第1方向側に伝導する第1伝熱部材と、前記第1部材の外部に一部が設けられ、前記画像処理チップで発生した熱を前記第1方向側に伝導する第2伝熱部材と、前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材に接して空気が流れるように、前記第1部材の外部に設けられた前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材を前記第1方向から覆う第2部材と、を備える。
【0006】
本願において開示される撮像装置は、第1撮像素子と、前記第1撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理チップと、前記第1撮像素子、前記画像処理チップ、および、前記第1撮像素子と前記画像処理チップを接続する配線を囲む第1部材と、前記第1部材の外部に一部が露出し、前記第1撮像素子で発生した熱を伝導する第1伝熱部材と、前記第1部材の外部に一部が露出し、前記画像処理チップで発生した熱を伝導する第2伝熱部材と、前記第1部材は、前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材とともに、吸気口から排気口に向けて空気が流れる流路を形成する。
【0007】
本願において開示される撮像装置は、吸気口および排気口を有する筐体と、前記吸気口と前記排気口との間を空気が流れる流路を有する放熱構造と、前記流路とは隔離されて前記筐体内に設けられた複数の熱源と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1にかかる撮像装置の斜視図である。
図2図2は、実施例1にかかる撮像装置の平面図または底面図である。
図3図3は、実施例1にかかる撮像装置の断面図である。
図4図4は、実施例1にかかるヒートシンクへの冷却ファンの配置例を示す斜視図である。
図5図5は、実施例1にかかる熱源の他の配置例を示す側断面図である。
図6図6は、実施例1にかかるヒートシンクの他の構成例1を示す撮像装置の平断面図である。
図7図7は、実施例1にかかるヒートシンクの他の構成例2を示す撮像装置の平断面図である。
図8図8は、実施例1にかかるヒートシンクの他の構成例3を示す撮像装置の平断面図である。
図9図9は、実施例1にかかるヒートシンクの他の構成例4を示す撮像装置の平断面図である。
図10図10は、実施例1にかかるヒートシンクの他の構成例5を示す撮像装置の平断面図である。
図11図11は、実施例2にかかる撮像装置の外観図である。
図12図12は、実施例2にかかる撮像装置の分解斜視図である。
図13図13は、実施例2にかかる撮像装置の断面図である。
図14図14は、実施例2にかかる撮像装置への冷却装置の装着例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
<撮像装置の外観>
図1は、実施例1にかかる撮像装置の斜視図であり、図2は、実施例1にかかる撮像装置の平面図または底面図である。図1において(A)は正面斜視図であり、(B)は、背面斜視図である。撮像装置100は、筐体101を有する。筐体101の正面板101Aには、広角レンズ102Aが設けられる。
【0010】
筐体101の背面板101Bには、広角レンズ102Bが設けられる。筐体101の上面板101Cには、通気口103Cが設けられる。筐体101の底面板101Dには、通気口103Dが設けられる。通気口103C,103Dにはスリットが形成され、スリットの間を空気が通過する。
【0011】
広角レンズ102Aは、筐体101から表出するように筐体101に設けられる。広角レンズ102Aは、筐体101外からの光を入射して後段に配置された撮像素子302A(図3参照)に出射する。広角レンズ102Bは、広角レンズ102Aが表出する方向とは反対方向に筐体101から表出するように筐体101に設けられる。広角レンズ102Bは、筐体101外からの光を入射して後段に配置された撮像素子302B(図3参照)に出射する。
【0012】
広角レンズ102A,102Bの少なくとも一方は、180度以上の画角を有する。撮像装置100は、2つの撮像素子302A,302Bを互いに逆向きとなるように配置し、各撮像素子302A,302Bの前段に広角レンズ102Aおよび広角レンズ102Bを配置することで、4πステラジアンの立体角で被写体を撮像する。
【0013】
<撮像装置100の内部構造>
図3は、実施例1にかかる撮像装置100の断面図である。(A)は撮像装置100の平断面図であり、(B)は撮像装置100の側断面図である。撮像装置100は、鏡筒301A,301Bと、撮像素子302A,302Bと、回路基板303と、回路304と、伝熱シート305と、放熱構造の一例であるヒートシンク306と、を有する。撮像素子302A,302Bと回路304が熱源である。Xは広角レンズ102A,102Bに共通の光軸である。背面板101Bから正面板101Aに向かう方向を+Xとし、正面板101Aから背面板101Bに向かう方向を-Xとする。
【0014】
鏡筒301A,301Bはそれぞれ、外部に表出する一端に広角レンズ102A,102Bを保持し、筐体101内部の他端に撮像素子302A,302Bを保持する。
【0015】
撮像素子302A,302Bはそれぞれ、広角レンズ102A,102Bの後段に配置され、広角レンズ102A,102Bで集光される光を受光し、電気信号に変換する。撮像素子302Aは、伝熱シート305を介してヒートシンク306に接続される。撮像素子302Bは、ヒートシンク306に接続される。
【0016】
また、撮像素子302A,302Bは、内部空間300に存在する図示しないフレキシブル配線基板により、回路基板303を介して回路304に電気的に接続される。これにより、撮像素子302A,302Bからの画像信号を回路304に出力することができる。内部空間300とは、撮像装置100内部において、ヒートシンク306および貫通孔306aを除いた密閉空間である。
【0017】
撮像素子302A,302Bは、たとえば、XYアドレス方式の固体撮像素子(たとえば、CMOS(Complementary Metal‐Oxide Semiconductor)センサ)であってもよく、順次走査方式の固体撮像素子(たとえば、CCD(Charge Coupled Device))であってもよい。
【0018】
撮像素子302A,302Bの受光面には、複数の受光素子(画素)がマトリクス状に配列されている。そして、撮像素子302A,302Bの画素には、それぞれが異なる色成分の光を透過させる複数種類のカラーフィルタが所定の色配列(たとえば、ベイヤ配列)に従って配置される。そのため、撮像素子302A,302Bの各画素は、カラーフィルタでの色分解によって各色成分に対応するアナログの電気信号を回路304に出力する。なお、回路304の発熱量よりも小さければ、撮像素子302A,302Bの発熱量は異なってもよい。
【0019】
撮像素子302A,302Bは各々、AFE(Analog Front End)を有する。AFEは、撮像素子302A,302Bからのアナログの電気信号に対して信号処理を施すアナログフロントエンド回路である。AFEは、電気信号のゲイン調整、アナログ信号処理(相関二重サンプリング、黒レベル補正など)、A/D変換処理、デジタル信号処理(欠陥画素補正など)を順次実行してRAW画像データを生成し、回路304に出力する。
【0020】
回路基板303は、回路304を実装する基板である。回路基板303は、撮像素子302Aとヒートシンク306との間において、光軸Xに直交する方向に沿って配置される。回路基板303は、回路304同士を電気的に接続する配線を有する。回路基板303は、不図示のフレキシブル配線基板により、撮像素子302A,302Bと回路304とを電気的に接続する。回路304は、回路基板303に実装されるデバイスであり、ヒートシンク306に直接または不図示の伝熱パッドを介して接続される。これにより、回路304で発生した熱がヒートシンク306に伝達される。
【0021】
回路304は、具体的には、たとえば、プロセッサ、メモリ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのLSIを含む。
【0022】
プロセッサは、撮像装置100を統括制御する。プロセッサは、プログラムを実行する。メモリは、プロセッサが実行するプログラム、あらかじめ用意されたデータ、および、プロセッサやLSIの実行処理で得られたデータを格納する。
【0023】
LSIは、撮像素子302A,302Bからの電気信号を用いた画像処理や圧縮伸張処理など、特定の信号処理を実行する。この特定の信号処理は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することで実現してもよい。たとえば、画像処理を実行するLSIやメモリに記憶された画像処理プログラムを実行するプロセッサは画像処理チップである。このように、回路304はさまざまな処理を実行するため、回路304の発熱量は、撮像素子302A,302Bよりも大きい。なお、画像処理を実行するLSIを画像処理チップと称す。
【0024】
伝熱シート305は、熱伝導性および可撓性を有するシートである。伝熱シート305は、たとえば、銅箔やグラファイトシートである。伝熱シート305の一端は、撮像素子302Aと直接または不図示の伝熱パッドを介して接続される。伝熱シート305の他端は、ヒートシンク306の外側面に接続される。これにより、伝熱シート305は、撮像素子302Aで発生した熱を吸収して、ヒートシンク306に伝達する。
【0025】
ヒートシンク306は、回路304と撮像素子302Bとの間に設けられる。ヒートシンク306は、アルミニウムなど熱伝導性の放熱部材である。ヒートシンク306は筒状であり、その貫通孔306aは光軸Xに直交する方向に延在する。具体的には、たとえば、貫通孔306aの一端は、底面板101Dの通気口103Dと連通し、貫通孔306aの他端は、上面板101Cの通気口103Cと連通する。
【0026】
ヒートシンク306の下端縁306cは、底面板101Dの筐体101側の面と接触し、通気口103Dを覆う。同様に、ヒートシンク306の上端縁306bは、上面板101Cの筐体101側の面と接触し、通気口103Cを覆う。これにより、筐体101は、貫通孔306aと、ヒートシンク306および貫通孔306aを除いた内部空間300とに分離される。すなわち、筐体101の内壁面とヒートシンク306の外壁面とにより、内部空間300は密閉され、空冷の際における通気口103C,103Dおよび貫通孔306aからのゴミや水などの液体の進入を防止する。
【0027】
ヒートシンク306は、直接または不図示の伝熱パッドを介して回路304および撮像素子302Bと固定される。したがって、ヒートシンク306は、回路304および撮像素子302Bで発生した熱を吸収することができる。また、ヒートシンク306は、外側面で伝熱シート305と接続される。これにより、ヒートシンク306は、撮像素子302Aで発生した熱を、伝熱シート305を介して吸収することができる。
【0028】
筐体101外の空気が、たとえば、風向きや撮像装置100の動きなどにより、底面板101Dの通気口103Dから流入したとする。上述したように、ヒートシンク306は回路304および撮像素子302A,302Bから熱を吸収しているため、流入した空気は、ヒートシンク306の内壁面からの熱で温められながら、(B)の太矢印方向に流れ、通気口103Cから排出される。
【0029】
これにより、内部空間300内の回路304および撮像素子302A,302Bが、内部空間300外(貫通孔306a)を流れる空気により冷却される。したがって、空気とともに貫通孔306aにゴミや水などの液体が流入しても内部空間300に進入しない。これにより、ゴミや水などの液体の進入による故障やレンズ汚れなどを抑制することができる。
【0030】
なお、空気は、通気口103Cから流入して通気口103Dから排出されてもよい。また、ヒートシンク306は、貫通孔306aが筐体101の両側面に直交する方向に向くように配置されてもよい。
【0031】
<冷却ファンの配置例>
図4は、実施例1にかかるヒートシンク306への冷却ファンの配置例を示す斜視図である。実施例1では、図3に示したように、冷却ファンを実装しない撮像装置100としてもよく、図4に示すように、冷却ファン400を実装する撮像装置100としてもよい。冷却ファン400は、ヒートシンク306の貫通孔306aに配置される。冷却ファン400は、たとえば、冷却ファン400とヒートシンク306とが接触する貫通孔306aの内壁面からヒートシンク306内部に引き回された図示しない配線により、回路基板303を介して回路304に電気的に接続される。また、これにより、撮像装置100は、回路304から冷却ファン400を駆動制御することができる。
【0032】
冷却ファン400は、たとえば、軸流ファンであり、一方の面から吸気して、反対側の面から排気する。図4では、(A)~(C)のいずれにおいても、冷却ファン400の回転軸は貫通孔306aの方向と同一方向であり、冷却ファン400は、ヒートシンク306の下端開口306eから吸気し、上端開口306dから排気する。
【0033】
(A)は、冷却ファン400がヒートシンク306の上端開口306dに配置された構成である。これにより、冷却ファン400は、下端開口306eからヒートシンク306内部に吸気する。空気は、ヒートシンク306の貫通孔306aの内壁面の熱を吸収する。冷却ファン400は、熱を吸収して温められた空気を筐体101外へ排出する。
【0034】
(B)は、冷却ファン400がヒートシンク306の下端開口306eに配置された構成である。これにより、冷却ファン400は、筐体101外から下端開口306eで吸気してヒートシンク306内に空気を流入させる。流入した空気は、貫通孔306aの内壁面の熱を吸収しながら上端開口306dに向かい、筐体101外に排気される。
【0035】
(C)は、冷却ファン400がヒートシンク306の貫通孔306a内部に配置された構成である。これにより、冷却ファン400は、貫通孔306a内部において下端開口306eから空気を流入させ、上端開口306dに排出する。空気は、下端開口306eから上端開口306dにかけて、貫通孔306aの内壁面の熱を吸収する。
【0036】
このように、冷却ファン400を搭載することにより、筐体101内部を強制的に空冷することができる。なお、(A)~(C)の構成では、冷却ファン400の配置位置が異なるため、筐体101内の他の部品との重量バランスを考慮して、(A)~(C)のいずれかの構成が採用される。
【0037】
<熱源の他の配置例>
図5は、実施例1にかかる熱源の他の配置例を示す側断面図である。図5では、通気口103Dを吸気口、通気口103Cを排気口とする。図3では、回路304および撮像素子302Bは、ヒートシンク306を挟んで互いに反対側の底面板101Dから同じ距離の位置に接続された。図5では、回路304および撮像素子302Bは、ヒートシンク306を挟んで互いに反対側の底面板101Dから異なる距離の位置に接続される。
【0038】
具体的には、撮像素子302Bは回路304よりも発熱量が小さい。このため、撮像素子302Bは、回路304よりも空気の流れの上流側、たとえば、通気口103Dの近傍であるヒートシンク306の下端側に接続される。一方、回路304は、撮像素子302Bよりも発熱量が大きい。このため、回路304は、撮像素子302Bよりも空気の流れの下流側、たとえば、通気口103Cの近傍であるヒートシンク306の上端側に接続される。
【0039】
このように、相対的に発熱量が小さい熱源(撮像素子302A,302B)が空気の流れの上流側となるヒートシンク306の外側面に接続され、相対的に発熱量が大きい熱源(回路304)が空気の流れの下流側となるヒートシンク306の外側面に接続される。これにより、貫通孔306aの上流側で吸熱した空気が下流側に流れても十分、回路304からの放熱を吸収し、下流側の空気からの伝熱による下流側の熱源(回路304)の温度上昇を抑制することができる。したがって、効率的な空冷を図ることができる。また、図5の構成において、図4の(A)~(C)に示したように冷却ファン400を実装してもよい。これにより、急速に空冷することが可能となる。
【0040】
<ヒートシンク306の他の構成例>
つぎに、ヒートシンク306の他の構成例について説明する。
【0041】
図6は、実施例1にかかるヒートシンク306の他の構成例1を示す撮像装置100の平断面図である。ヒートシンク306は、遮蔽部材601~603を有する。遮蔽部材601~603は、上端開口306dから下端開口306eにかけて貫通孔306aの貫通方向に延在する。遮蔽部材601~603は、ヒートシンク306を熱源ごとの区画612,613,623に分ける。遮蔽部材601~603は、ヒートシンク306よりも熱伝導性の低い材料、たとえば、プラスティックで構成される。これにより、区画612,613,623間での熱伝達が抑制され、区画612,613,623単位で蓄熱しやすくする。
【0042】
遮蔽部材601~603の位置は、区画612,613,623に接続される各熱源(回路304、撮像素子302A,302B)により決まる。発熱量が大きい熱源が接続される区画ほど、蓄熱量を増やすため領域を大きくしたい。このため、発熱量が大きいほど遮蔽部材601~603間距離を長くなるように(たとえば、熱源の消費電力に比例するように)、遮蔽部材601~603の位置が決まる。ここで、ヒートシンク306に沿う遮蔽部材601,602間距離をD12、遮蔽部材601,603間距離をD13、遮蔽部材602,603間距離をD23とする。
【0043】
たとえば、回路304は撮像素子302A,302Bよりも発熱量が大きい。したがって、回路304が接続される区画612の距離D12が、撮像素子302A,302Bが接続される区画612,613の距離D12,D23よりも長くなる。これにより、回路304が接続されるヒートシンク306の領域が撮像素子302A,302Bが接続されるヒートシンク306の領域より大きくなるように、遮蔽部材601~603が配置される。
【0044】
このように、ヒートシンク306に遮蔽部材601~603を設け区画612,613,623を形成することにより、ヒートシンクを介した熱源間の熱の授受を抑制することができ、たとえば発熱量の大きい熱源からの熱で発熱量の小さい熱源が熱せられることを回避し、発熱量に応じた効率的な空冷が可能となる。なお、図6の構成において、図4の(A)~(C)に示したように冷却ファン400を実装してもよい。これにより、急速に空冷することが可能となる。
【0045】
図7は、実施例1にかかるヒートシンク306の他の構成例2を示す撮像装置100の平断面図である。他の構成例2は、図6の他の構成例1に、さらに仕切板700を設けた構成である。仕切板700は、遮蔽部材601~603間を連結する板状部材であり、上端開口306dから下端開口306eにかけて貫通孔306aの貫通方向に延在する。仕切板700は、遮蔽部材601~603と同様、ヒートシンク306よりも熱伝導性の低い材料、たとえば、プラスティックで構成される。仕切板700により、貫通孔306aは、3つの貫通孔712,713,723に分割される。
【0046】
これにより、貫通孔712に流れる空気は、回路304から発生した熱が伝導した区画612を冷却する。貫通孔713に流れる空気は、伝熱シート305を介して撮像素子302Aから発生した熱が伝導した区画613を冷却する。貫通孔723に流れる空気は、撮像素子302Bから発生した熱が伝導した区画623を冷却する。
【0047】
このように、仕切板700をヒートシンク306内に設けたことにより、貫通孔712,713,723間での熱の授受を抑制することができ、区画612,613,623ごとに独立して空冷することができる。なお、図6の構成において、図4の(A),(B)に示したように冷却ファン400を実装してもよい。これにより、急速に空冷することが可能となる。
【0048】
図8は、実施例1にかかるヒートシンク306の他の構成例3を示す撮像装置100の平断面図である。他の構成例3は、ヒートシンク306を光軸X方向に凹ませた例である。ヒートシンク306は、回路304および撮像素子302Bの接続箇所に凹部800A,800Bを有する。凹部800A,800B間距離D1は、凹部800A,800Bが形成されていない貫通孔306aの光軸X方向の幅D2よりも短い。したがって、貫通孔306aに空気が流入すると、凹部800A,800B間の空間801は、凹部800A,800Bが形成されていない貫通孔306aの空間802よりも、空気の流れが速くなって、凹部800A,800Bの内壁面から吸熱しやすくなる。したがって、空間801での空冷効率が向上する。
【0049】
また、ヒートシンク306の外側において凹部800A,800Bに回路304および撮像素子302Bが収容されるため、その分筐体101の光軸X方向における厚みが薄くなる。したがって、撮像装置100の小型化を図ることができる。なお、図8の構成において、図4の(A)~(C)に示したように冷却ファン400を実装してもよい。これにより、急速に空冷することが可能となる。
【0050】
図9は、実施例1にかかるヒートシンク306の他の構成例4を示す撮像装置100の平断面図である。他の構成例4は、他の構成例1(図6)と他の構成例3(図8)とを組み合わせた例である。他の構成例1(図6)と同様、ヒートシンク306に遮蔽部材601~603を設け区画612,613,623が形成されているため、ヒートシンクを介した熱源間の熱の授受を抑制することができ、たとえば発熱量の大きい熱源からの熱で発熱量の小さい熱源が熱せられることを回避し、発熱量に応じた効率的な空冷が可能となる。
【0051】
また、他の構成例3(図8)と同様、空間801における空気の流れが空間802よりも速くなるため、空間801での空冷効率が向上する。また、ヒートシンク306の外側において凹部800A,800Bに回路304および撮像素子302Bが収容されるため、その分筐体101の光軸X方向における厚みが薄くなる。したがって、撮像装置100の小型化を図ることができる。なお、図9の構成において、図4の(A)~(C)に示したように冷却ファン400を実装してもよい。これにより、急速に空冷することが可能となる。
【0052】
図10は、実施例1にかかるヒートシンクの他の構成例5を示す撮像装置100の平断面図である。他の構成例5は、他の構成例2(図7)と他の構成例3(図8)とを組み合わせた例である。他の構成例2(図7)と同様、仕切板700をヒートシンク306内に設けたことにより、貫通孔712,713,723間での熱の授受を抑制することができ、区画612,613,623ごとに独立して空冷することができる。
【0053】
また、他の構成例3(図8)と同様、空間801における空気の流れが空間802よりも速くなるため、空間801での空冷効率が向上する。また、ヒートシンク306の外側において凹部800A,800Bに回路304および撮像素子302Bが収容されるため、その分筐体101の光軸X方向における厚みが薄くなる。したがって、撮像装置100の小型化を図ることができる。なお、図10の構成において、図4の(A),(B)に示したように冷却ファン400を実装してもよい。これにより、急速に空冷することが可能となる。
【0054】
このように、実施例1によれば、回路304、撮像素子302A,302B等が存在する空間への吸気によるゴミや水などの液体の混入を抑制しながら、撮像装置100内の空冷効率の向上を図ることができる。また、撮像装置100では、-X方向に向かって、広角レンズ102A、撮像素子302A、回路304、ヒートシンク306、撮像素子302B、広角レンズ102Bの順に、これらがX軸上に配列されている。広角レンズ102Aおよび撮像素子302Aの組み合わせと広角レンズ102Bおよび撮像素子302Bの組み合わせとを背中合わせで逆方向に配置したような撮像装置100は、4πステラジアンの立体角で被写体を撮像する。
【0055】
したがって、撮像装置100内部にヒートシンク306など新規な機構を追加する場合、当該新規な機構を収容するために筐体101を拡充する必要がある。たとえば、筐体101の光軸X方向の厚みを変えないまま、筐体101を光軸Xに直交する方向(たとえば、底面板101D側)に長尺にした場合、筐体101の拡充した部分の像が映りこんでしまう。
【0056】
このため、ヒートシンク306、回路304および回路基板303は、光軸X上で、かつ、撮像素子302A,302Bの間に配置するのが好ましい。このように配置することにより、筐体101の像の映り込みを抑制することができる。
【実施例2】
【0057】
つぎに、実施例2について説明する。実施例1にかかる撮像装置100は、空気の流路となる貫通孔306aを有するヒートシンク306を放熱構造とし、回路304および撮像素子302A,302Bのような熱源を収容する筐体101の内部空間300から貫通孔306aを隔離する構造とした。これに対し、実施例2にかかる撮像装置は、撮像装置内に熱源である回路304および撮像素子302A,302Bを収容ケースに収容して密閉し、撮像装置内の収容ケース外の空間で、収容ケース内の熱源で発生した熱が撮像装置外へ放熱される放熱構造とする。なお、実施例1と同一構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
<撮像装置1100の外観>
図11は、実施例2にかかる撮像装置1100の外観図である。(A)は、撮像装置1100の斜視図であり、(B)は、撮像装置1100の正面図である。撮像装置1100は、筐体を構成する、正面板1101Aと、収容ケース1101と、背面板1101Bと、を有する。正面板1101Aの中央には、広角レンズ102Aが挿入されて表出する。また、正面板1101Aの広角レンズ102Aの左右および下方には、通気口1102~1104が設けられる。正面板1101Aおよび背面板1101Bは、収容ケース1101を挟み、撮像装置1100の上面1101C、底面1101D、側面1101Eを形成する。
【0059】
<撮像装置1100の内部構造>
図12は、実施例2にかかる撮像装置1100の分解斜視図である。図13は、実施例2にかかる撮像装置1100の断面図である。図13において、(A)は図11に示したAA線での側断面図、(B)は図11に示したBB線での平断面図、(C)は図11に示したCC線での側断面図である。収容ケース1101は、箱部1200Aと、蓋部1200Bと、を有する。箱部1200Aの開口1200A0は蓋部1200Bで封止される。
【0060】
箱部1200Aは、保持部1200Aaと開口1200Ab2~1200Ab4とを有する。保持部1200Aaは、たとえば、中空円筒形状であり、鏡筒1201Aが挿入可能な貫通孔1200Aa1を有する。保持部1200Aaは、当該貫通孔1200Aa1に鏡筒1201Aが挿入されることで鏡筒1201Aを保持する。
【0061】
これにより、貫通孔1200Aa1が封止される。したがって、貫通孔1200Aa1から収容ケース1101内へのゴミや水などの液体の進入を抑制しつつ、撮像素子302Aで被写体を撮像することができる。また、保持部1200Aaは、正面板1101Aの開口1105Aに挿入される。
【0062】
開口1200Ab2~1200Ab4はそれぞれ、通気口1102~1104と対向する位置に設けられる。開口1200Ab2は、後述する第1伝熱板1212で封止される。開口1200Ab3は、第2伝熱板1213で封止される。開口1200Ab4は、後述する第4伝熱板1215で封止される。したがって、開口1200Ab2~1200Ab4から収容ケース1101内へのゴミや水などの液体の進入を抑制しつつ、収容ケース1101内から収容ケース1101外に放熱することができる。
【0063】
正面板1101Aと箱部1200Aとの間の空間には、ヒートシンク1202~1204が収容される。ヒートシンク1202は、正面板1101Aの通気口1102と開口1200Ab2との間に配置される。ヒートシンク1203は、正面板1101Aの通気口1103と開口1200Ab3との間に配置される。ヒートシンク1204は、正面板1101Aの通気口1104と開口1200Ab4との間に配置される。正面板1101Aは箱部1200Aに固定される。なお、背面板1101Bも箱部1200Aに固定される。
【0064】
また、図13の(C)において、ヒートシンク1204の近傍には、排気口となる通気口1302が設けられる。通気口1302は、正面板1101Aと収容ケース1101との間の空間に連通する。これにより、通気口1102~1104からヒートシンク1202~1204を介して通気口1302に到達するという流路F(図14を参照)が形成される。したがって、ヒートシンク1202~1204は、通気口1102~1104から流入された空気で冷却される。そして、ヒートシンク1202~1204から熱が伝わった空気は、通気口1302から排気される。
【0065】
収容ケース1101には、撮像素子302A,302B、回路基板303、回路304、第1伝熱板1212、第2伝熱板1213、第3伝熱板1214、および第4伝熱板1215が収容される。回路基板303は、不図示のフレキシブル配線基板により、撮像素子302A,302Bと回路304とを電気的に接続する。このフレキシブル配線基板も収容ケース1101に収容される。第1伝熱板1212、第2伝熱板1213、第3伝熱板1214、および第4伝熱板1215は、たとえば、銅板などの熱伝導性の板である。
【0066】
撮像素子302Aには鏡筒1201Aが取り付けられる。鏡筒1201Aは保持部1200Aaの貫通孔1200Aa1に挿入される。これにより、鏡筒1201Aの貫通孔1200Aa1が撮像素子302Aで封止される。
【0067】
第1伝熱板1212は、光軸Xに直交するように回路基板303に平行に配置される。第1伝熱板1212は、撮像素子302Aと直接または不図示の伝熱パッドを介して固着される。これにより、第1伝熱板1212は、撮像素子302Aからの熱を吸収する。また、第1伝熱板1212は、箱部1200Aの裏面に固着され、箱部1200Aの開口1200Ab2を封止する。これにより、開口1200Ab2から収容ケース1101内部へのゴミや水などの液体の進入が抑制される。
【0068】
開口1200Ab2を封止したことにより、第1伝熱板1212の一部が開口1200Ab2から表出する。これにより、第1伝熱板1212は、この表出面から、撮像素子302Aから吸収した熱をヒートシンク1202に伝導する。すなわち、第1伝熱板1212およびヒートシンク1202は、収容ケース1101内の撮像素子302Aで発生した熱を収容ケース1101の外部に伝導する伝熱部材となる。撮像素子302Aからヒートシンク1202までが伝熱経路R2となる。したがって、撮像素子302Aから発生した熱が、ヒートシンク1202を介して収容ケース1101外の空気に伝わり、その空気が通気口1102から撮像装置1100外に排出される。
【0069】
第2伝熱板1213は、回路基板303に直交するように光軸Xに平行に配置される。第2伝熱板1213の一端1213aおよび他端1213bは、回路基板303と平行になるように屈曲している。第2伝熱板1213は、屈曲した一端1213aで、撮像素子302Bと直接または不図示の伝熱パッドを介して固着される。これにより、第2伝熱板1213は、撮像素子302Bからの熱を吸収する。また、第2伝熱板1213は、屈曲した他端1213bで、箱部1200Aの裏面に固着され、箱部1200Aの開口1200Ab3を封止する。これにより、開口1200Ab3から収容ケース1101内部へのゴミや水などの液体の進入が抑制される。
【0070】
開口1200Ab3を封止したことにより、第2伝熱板1213の他端1213bが開口1200Ab3から表出する。これにより、第2伝熱板1213は、この表出した他端1213bから、撮像素子302Bから吸収した熱をヒートシンク1203に伝導する。すなわち、第2伝熱板1213およびヒートシンク1203は、収容ケース1101内の撮像素子302Bで発生した熱を収容ケース1101の外部に伝導する伝熱部材となる。撮像素子302Bからヒートシンク1203までが伝熱経路R3となる。したがって、撮像素子302Bから発生した熱が、ヒートシンク1203を介して収容ケース1101外の空気に伝わり、その空気が通気口1103から撮像装置1100外に排出される。
【0071】
第3伝熱板1214は、光軸Xに直交するように回路基板303に平行に配置される。第3伝熱板1214は、撮像素子302Bと第2伝熱板1213とを接続する。第3伝熱板1214は、撮像素子302Bで発生した熱を、第2伝熱板1213に伝導する。
【0072】
第4伝熱板1215は、光軸Xに直交するように回路基板303に平行に配置される。第4伝熱板1215は、回路304と伝熱パッド1303(図13を参照)を介して固着される。これにより、第4伝熱板1215は、回路304から発生した熱を吸収する。また、第4伝熱板1215は、箱部1200Aにも固着され、開口1200Ab4を封止する。これにより、開口1200Ab4から収容ケース1101内部へのゴミや水などの液体の進入が抑制される。
【0073】
開口1200Ab4を封止したことにより、第4伝熱板1215が開口1200Ab4から表出する。これにより、第4伝熱板1215は、その表出面から、回路304から吸収した熱をヒートシンク1204に伝導する。すなわち、第4伝熱板1215およびヒートシンク1204は、収容ケース1101内の回路304で発生した熱を収容ケース1101の外部に伝導する伝熱部材となる。回路304からヒートシンク1204までが伝熱経路R4となる。したがって、回路304から発生した熱が、ヒートシンク1203を介して収容ケース1101外の空気に伝わり、その空気が通気口1104から撮像装置1100外に排出される。
【0074】
また、第1伝熱板1212、第2伝熱板1213、第3伝熱板1214および第4伝熱板1215は、互いに接触しない。これにより、第1伝熱板1212、第2伝熱板1213、第3伝熱板1214および第4伝熱板1215間の熱の授受が抑制される。特に、相対的に発熱量の大きい回路304からの熱が、相対的に発熱量が小さい撮像素子302A,302Bに伝達されるのを抑制する。これにより、空冷効率の低減を抑制することができる。
【0075】
図13の(A),(C)において、収容ケース1101には、電池1300が収容される。電池1300は、収容ケース1101内の不図示のフレキシブル配線基板により、回路基板303を介して、回路304や撮像素子302A,302Bに給電する。電池1300は、充電式でもよい。実施例2においては、電池1300は、ヒートシンク1202、ヒートシンク1203、およびヒートシンク1204と、光軸X方向において重ならない位置に配置される。これにより、撮像装置1100の大型化を防ぐことが可能となる。また、図13の(A)において、ヒートシンク1204の近傍には、ネジ溝1301が設けられる。
【0076】
<冷却ファン400の装着例>
図14は、実施例2にかかる撮像装置1100への冷却装置の装着例を示す斜視図である。図14は、撮像装置1100および冷却装置1400の内部構造がわかるように示す。冷却装置1400は、撮像装置1100と着脱自在である。
【0077】
冷却装置1400は、筐体1401に冷却ファン400を収容する。筐体101は、たとえば、直方体形状であり、その一側面に着脱機構1403を有する。着脱機構1403は、ダイヤル1403aとその回転軸に不図示のネジを有する構造である。ダイヤル1403aを一方の方向に回転させると、ネジが図13に示したネジ溝1301に進入してネジ溝1301と結合し、ダイヤル1403aを他方の方向に回転させると、ネジが後退してネジ溝1301から離脱する。なお、着脱機構1403は、撮像装置1100と着脱自在であれば、ラッチ機構など、ネジとネジ溝1301との結合/離脱に限られない。
【0078】
また、着脱機構1403が設けられる筐体101の側面には、吸気口1401aが設けられている。吸気口1401aは、冷却装置1400が撮像装置1100に装着されることで、通気口1302と連通する。また、着脱機構1403が設けられる筐体101の側面とは異なる他の側面には、排気口1401bが設けられる。
【0079】
冷却ファン400は、ファンの回転により吸気口1401aから撮像装置1100内で熱が伝達された空気を強制的に吸気し、排気口1401bから排気する。冷却ファン400は、筐体101内の図示しない電源または撮像装置1100の電池1300から電力供給を受け、操作ボタン1404の押下によりファンを回転駆動または停止する。
【0080】
このように、冷却装置1400を撮像装置1100に対し着脱自在とした。これにより、強制的な空冷が不要な場合は、冷却装置1400を離脱させることで、撮像装置1100の軽量化を図ることができる。すなわち、空冷が必要になった場合に冷却装置1400を撮像装置1100に装着して冷却ファン400を駆動させればよい。
【0081】
このように、実施例2によれば、回路304、撮像素子302A,302B等が存在する空間への吸気によるゴミや水などの液体の混入を抑制しながら、撮像装置1100内の空冷効率の向上を図ることができる。
【0082】
また、相対的に発熱量が小さい熱源(撮像素子302A,302B)からの熱を放熱するヒートシンク1202,1203が流路Fの上流側となる通気口1102,1103近傍に配置される。相対的に発熱量が大きい熱源(回路304)からの熱を放熱するヒートシンク1204が流路Fの下流側となる通気口1302近傍に配置される。これにより、流路Fの上流側で吸熱した空気が下流側に流れても十分、回路304からの放熱を吸収し、下流側の空気からの伝熱による下流側の熱源(回路304)の温度上昇を抑制することができる。したがって、効率的な空冷を図ることができる。
【0083】
また、通気口1104を設けたことにより、ヒートシンク1204は、ヒートシンク1202,1203で温められた空気だけではく、ヒートシンク1202,1203で温められていない撮像装置1100外からの空気で吸熱される。これにより、回路304の冷却効率の向上を図ることができる。
【0084】
また、撮像装置1100では、-X方向に向かって、広角レンズ102A、撮像素子302A、ヒートシンク1202~1204、回路304、撮像素子302B、広角レンズ102Bの順に、これらがX軸上に配列されている。広角レンズ102Aおよび撮像素子302Aの組み合わせと広角レンズ102Bおよび撮像素子302Bの組み合わせとを背中合わせで逆方向に配置したような撮像装置1100は、4πステラジアンの立体角で被写体を撮像する。
【0085】
したがって、撮像装置1100内部にヒートシンク1202~1204など新規な機構を追加する場合、当該新規な機構を収容するために撮像装置1100を拡充する必要がある。たとえば、撮像装置1100の光軸X方向の厚みを変えないまま、撮像装置1100を光軸Xに直交する方向(たとえば、底面板101D側)に長尺にした場合、撮像装置1100の拡充した部分の像が映りこんでしまう。
【0086】
このため、ヒートシンク1202~1204、回路304および回路基板303は、光軸X上で、かつ、撮像素子302A,302Bの間に配置するのが好ましい。このように配置することにより、撮像装置1100の像の映り込みを抑制することができる。
【0087】
また、撮像装置1100外からの空気を供給する通気口1102~1104を吸気口として正面板1101Aに集約されている。これにより、正面板1101Aが風を受けて吸気されることで、正面板1101A側の撮像素子302A,302B,回路304をまとめて空冷することができる。
【0088】
たとえば、移動体(人や自転車、自動車)に設けられた撮像装置1100が+X方向を進行方向として移動体とともに移動する場合、通気口1102~1104から空気が正面板1101Aと収容ケース1101との間の空間に流入する。そして、流入した空気は、収容ケース1101内に流入することなく通気口1302から排気される。したがって、吸気によるゴミや水などの液体の混入を抑制しながら、撮像装置1100内の空冷効率の向上を図ることができる。
【0089】
また、図11から図14を用いて説明した実施例2では、ヒートシンク1202およびヒートシンク1203が、光軸Xを挟んで配置される。また、ヒートシンク1204が、ヒートシンク1202およびヒートシンク1203と通気口1302との間に位置するように配置される。このような構成により、撮像装置1100の大型化を抑えるとともに効率的な空冷を行うことが可能となる。
【0090】
なお、図11から図14を用いて説明した実施例2では、ヒートシンク1202、ヒートシンク1203およびヒートシンク1204が、すべて、撮像装置1100の一方の鏡筒1201A側に配置される構成である。しかし、これに限らず、ヒートシンク1202、ヒートシンク1203およびヒートシンク1204のいずれか一つ又は二つが、他方の鏡筒1201B側に配置される構成としてもよい。
【0091】
たとえば、ヒートシンク1202が他方の鏡筒1201B側に配置される構成の場合、他方の鏡筒1201B側に配置されたヒートシンク1202に伝熱されるように伝熱板1212が形成されるとともに、他方の鏡筒1201Bに吸気口を設け、この吸気口から排気口1401bに向けて形成された空気の流れにより放熱が行われる。ヒートシンク1203、1204が他方の鏡筒1201B側に配置される構成の場合も同様に、伝熱板1213、1214および吸気口が形成される。
【0092】
また、図11から図14を用いた実施例2では、ヒートシンク1204は光軸Xを挟んで電池1300と反対側に配置される構成であるが、これに限らず、ヒートシンク1204が電池1300と同じ側に配置されるように構成しても良い。この場合、収容ケース1101の図11から図14の例とは反対側の端面に通気口1302が設けられる。
【0093】
以上説明したように、実施例1および実施例2にかかる撮像装置100,1100は、撮像装置100,1100内部で密閉された熱源から撮像装置100,1100内部の開放された箇所に伝熱された熱を撮像装置外に放熱する。このため、熱源に直接風があたらず、防塵および防水性が向上する。
【0094】
なお、本発明は上記の内容に限定されるものではなく、これらを任意に組み合わせたものであってもよい。また、本発明の技術的思想の範囲で考えられるその他の態様も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
100 撮像装置、101 筐体、103C,103D 通気口、300 内部空間、302A,302B 撮像素子、303 回路基板、304 回路、305 伝熱シート、306 ヒートシンク、306a 貫通孔、400 冷却ファン、601~603 遮蔽部材、1100 撮像装置、1101 収容ケース、1101A 正面板、1101B 背面板、1102~1104 通気口、1200A 箱部、1200Aa 保持部、1200B 蓋部、1202~1204 ヒートシンク、1212~1215 伝熱板、1300 電池、1302 通気口、1400 冷却装置
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