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特許7299009多層基板、電子部品及び多層基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】多層基板、電子部品及び多層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20230620BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20230620BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F41/04 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018196854
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020065007
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】中西 元
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-028017(JP,A)
【文献】特開2018-082092(JP,A)
【文献】特開2007-157877(JP,A)
【文献】特開平04-051502(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128269(WO,A1)
【文献】米国特許第06996892(US,B1)
【文献】特開2017-069523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面及び第2の面を備え、磁性体を含む基材と、
前記基材中に設けられ、前記第1の面から露出する第1の電極を含む第1の金属層と、
前記基材中に設けられ、前記第2の面から露出する第2の電極を含む第2の金属層と、
を有し、
前記第1の金属層は、前記第1の電極に接続された導体部を有するインダクタを含み、
前記第2の電極と前記第1の電極とが接合され、電気的に接続され、
前記導体部は、
第3の面と、
前記第3の面と反対の第4の面と、
前記第3の面及び前記第4の面につながる第5の面と、
前記第3の面及び前記第4の面につながり、前記第5の面と反対の第6の面と、
を有し、
前記磁性体は、前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面に対向し、前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面を被覆し、
前記導体部は、
同一平面内において渦巻き状に形成された第1の導体部と、
同一平面内において渦巻き状に形成され、前記第1の導体部と重ね合わされた状態で前記第1の導体部と接合された第2の導体部と、
を有し、
前記第1の金属層は、
前記第1の導体部と同一平面内において前記第1の導体部につながる内周側の第1の端部と、
前記第1の導体部と同一平面内において前記第1の導体部につながるとともに、前記第1の電極に含まれる第1の電極部と、
前記第2の導体部と同一平面内において前記第2の導体部につながる内周側の第2の端部と、
前記第2の導体部と同一平面内に設けられ、前記第1の電極に含まれる第2の電極部と、
を有し、
前記第2の端部は、前記第1の金属層に向かって突出する突起部を有し、
前記第1の端部の前記第2の導体部側の面と、前記第1の電極部の前記第2の導体部側の面とは面一であり、
前記突起部の前記第1の導体部側の面と、前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面とは面一であり、
前記第1の金属層の厚さ方向において、前記第2の導体部の前記第1の導体部側の面は、前記突起部の前記第1の導体部側の面及び前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面よりも前記第1の導体部から離れており、
前記突起部の前記第1の導体部側の面と、前記第1の端部の前記第2の導体部側の面とが互いに直接接触し、
前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面と、前記第1の電極部の前記第2の導体部側の面とが互いに直接接触することを特徴する多層基板。
【請求項2】
前記基材は、前記第1の電極、前記インダクタ及び前記第2の電極の表面を覆う絶縁膜を有し、
前記磁性体は前記絶縁膜を介して前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面を被覆することを特徴とする請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記磁性体は、前記第1の電極、前記インダクタ及び前記第2の電極を埋め込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記第1の電極及び前記第2の電極の前記基材から露出した部分に形成されためっき膜を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層基板。
【請求項5】
前記第2の電極は前記第1の電極上に積層されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層基板。
【請求項6】
前記第1の金属層及び前記第2の金属層が金属板からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層基板。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層基板と、
前記第2の電極に接続された半導体チップと、
前記第2の電極に接続された受動部品と、
を有することを特徴とする電子部品。
【請求項8】
第1の電極及び前記第1の電極に接続された導体部を有するインダクタを含む第1の金属層を形成する工程と、
第2の電極を含む第2の金属層を形成する工程と、
前記第1の金属層と前記第2の金属層とを重ね合わせ、前記第1の電極と前記第2の電極とを電気的に接続しながら接合する工程と、
第1の面及び第2の面を備え、磁性体を含む基材中に、前記第1の金属層及び前記第2の金属層を、前記第1の電極が前記第1の面から露出し、前記第2の電極が前記第2の面から露出するようにして設ける工程と、
を有し、
前記導体部は、
第3の面と、
前記第3の面と反対の第4の面と、
前記第3の面及び前記第4の面につながる第5の面と、
前記第3の面及び前記第4の面につながり、前記第5の面と反対の第6の面と、
を有し、
前記磁性体は、前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面に対向し、前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面を被覆し、
前記導体部は、
同一平面内において渦巻き状に形成された第1の導体部と、
同一平面内において渦巻き状に形成され、前記第1の導体部と重ね合わされた状態で前記第1の導体部と接合された第2の導体部と、
を有し、
前記第1の金属層は、
前記第1の導体部と同一平面内において前記第1の導体部につながる内周側の第1の端部と、
前記第1の導体部と同一平面内において前記第1の導体部につながるとともに、前記第1の電極に含まれる第1の電極部と、
前記第2の導体部と同一平面内において前記第2の導体部につながる内周側の第2の端部と、
前記第2の導体部と同一平面内に設けられ、前記第1の電極に含まれる第2の電極部と、
を有し、
前記第2の端部は、前記第1の金属層に向かって突出する突起部を有し、
前記第1の端部の前記第2の導体部側の面と、前記第1の電極部の前記第2の導体部側の面とは面一であり、
前記突起部の前記第1の導体部側の面と、前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面とは面一であり、
前記第1の金属層の厚さ方向において、前記第2の導体部の前記第1の導体部側の面は、前記突起部の前記第1の導体部側の面及び前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面よりも前記第1の導体部から離れており、
前記突起部の前記第1の導体部側の面と、前記第1の端部の前記第2の導体部側の面とが互いに直接接触し、
前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面と、前記第1の電極部の前記第2の導体部側の面とが互いに直接接触することを特徴とする多層基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1の金属層を形成する工程は、
第1の金属板をパターニングして前記第1の導体部を形成する工程と、
第2の金属板をパターニングして前記第2の導体部を形成する工程と、
前記第1の導体部と前記第2の導体部とを重ね合わせた状態で接合して、前記第1の導体部と前記第2の導体部とを接続して前記インダクタを形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項に記載の多層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板、電子部品及び多層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電極パターン及びビア電極が形成された複数のフェライトシートを積層してインダクタを構成した多層基板を含むDC-DCコンバータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-98187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の多層基板の構成では、フェライトシートに低抵抗の電極パターンを形成することは困難である。
【0005】
本発明は、低抵抗のインダクタを容易に内蔵させることができる多層基板、電子部品及び多層基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
多層基板の一態様は、第1の面及び第2の面を備え、磁性体を含む基材と、前記基材中に設けられ、前記第1の面から露出する第1の電極を含む第1の金属層と、前記基材中に設けられ、前記第2の面から露出する第2の電極を含む第2の金属層と、を有し、前記第1の金属層は、前記第1の電極に接続された導体部を有するインダクタを含み、前記第2の電極と前記第1の電極とが接合され、電気的に接続され、前記導体部は、第3の面と、前記第3の面と反対の第4の面と、前記第3の面及び前記第4の面につながる第5の面と、前記第3の面及び前記第4の面につながり、前記第5の面と反対の第6の面と、を有し、前記磁性体は、前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面に対向し、前記第3の面、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面を被覆し、前記導体部は、同一平面内において渦巻き状に形成された第1の導体部と、同一平面内において渦巻き状に形成され、前記第1の導体部と重ね合わされた状態で前記第1の導体部と接合された第2の導体部と、を有し、前記第1の金属層は、前記第1の導体部と同一平面内において前記第1の導体部につながる内周側の第1の端部と、前記第1の導体部と同一平面内において前記第1の導体部につながるとともに、前記第1の電極に含まれる第1の電極部と、前記第2の導体部と同一平面内において前記第2の導体部につながる内周側の第2の端部と、前記第2の導体部と同一平面内に設けられ、前記第1の電極に含まれる第2の電極部と、を有し、前記第2の端部は、前記第1の金属層に向かって突出する突起部を有し、前記第1の端部の前記第2の導体部側の面と、前記第1の電極部の前記第2の導体部側の面とは面一であり、前記突起部の前記第1の導体部側の面と、前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面とは面一であり、前記第1の金属層の厚さ方向において、前記第2の導体部の前記第1の導体部側の面は、前記突起部の前記第1の導体部側の面及び前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面よりも前記第1の導体部から離れており、前記突起部の前記第1の導体部側の面と、前記第1の端部の前記第2の導体部側の面とが互いに直接接触し、前記第2の電極部の前記第1の導体部側の面と、前記第1の電極部の前記第2の導体部側の面とが互いに直接接触する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、低抵抗のインダクタを容易に基板内に内蔵させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る多層基板の構造を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る多層基板の構造を示す上面図である。
図3】第1の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図である。
図4】第1の実施形態に係る多層基板の構造を示す側面図である。
図5】金属層の構造を示す斜視図である。
図6】他の金属層の構造を示す斜視図である。
図7】更に他の金属層の構造を示す斜視図である。
図8図5に示す金属層の形成方法の概要を示す図である。
図9図5に示す金属層の形成方法を示す断面図(その1)である。
図10図5に示す金属層の形成方法を示す断面図(その2)である。
図11図5に示す金属層の形成方法を示す断面図(その3)である。
図12図5に示す金属層の形成方法を示す断面図(その4)である。
図13図6に示す金属層の形成方法の概要を示す図である。
図14図6に示す金属層の形成方法を示す断面図(その1)である。
図15図6に示す金属層の形成方法を示す断面図(その2)である。
図16図6に示す金属層の形成方法を示す断面図(その3)である。
図17図6に示す金属層の形成方法を示す断面図(その4)である。
図18図7に示す金属層の形成方法の概要を示す図である。
図19図7に示す金属層の形成方法を示す断面図(その1)である。
図20図7に示す金属層の形成方法を示す断面図(その2)である。
図21図7に示す金属層の形成方法を示す断面図(その3)である。
図22図7に示す金属層の形成方法を示す断面図(その4)である。
図23】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
図24】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
図25】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
図26】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
図27】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
図28】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
図29】第1の実施形態に係る多層基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
図30】第2の実施形態に係る電子部品の構造を示す斜視図である。
図31】第2の実施形態に係る電子部品の製造方法を示す断面図(その1)である。
図32】第2の実施形態に係る電子部品の製造方法を示す断面図(その2)である。
図33】第3の実施形態に係る多層基板の構造を示す斜視図である。
図34】第3の実施形態に係る多層基板の構造を示す上面図である。
図35】第3の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図(その1)である。
図36】第3の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図(その2)である。
図37】第3の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図(その3)である。
図38】第3の実施形態に係る多層基板の構造を示す側面図である。
図39】第3の実施形態に含まれる金属層の構造を示す斜視図である。
図40】第3の実施形態に含まれる他の金属層の構造を示す斜視図である。
図41】第4の実施形態に係る電子部品の構造を示す斜視図である。
図42】第5の実施形態に係る多層基板の構造を示す斜視図である。
図43】第5の実施形態に係る多層基板の構造を示す上面図である。
図44】第5の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図である。
図45】第5の実施形態に含まれる金属層の構造を示す斜視図である。
図46】第6の実施形態に係る多層基板の構造を示す斜視図である。
図47】第6の実施形態に係る多層基板の構造を示す上面図である。
図48】第6の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図である。
図49】第6の実施形態に含まれる金属層の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本明細書において、「平面視」とは、対象物を図1等の鉛直方向(図中上下方向)から視ることを言い、「平面形状」とは、対象物を図1等の鉛直方向から視た形状のことを言う。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は多層基板に関する。
【0011】
[多層基板の構造]
先ず、多層基板の構造について説明する。図1は、第1の実施形態に係る多層基板1の構造を示す斜視図である。図1(a)は、多層基板1の上面側から視た斜視図であり、図1(b)は、多層基板1の下面側から視た斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る多層基板1の構造を示す上面図である。図1及び図2には、多層基板1に含まれる金属層を実線で示す。図3は、第1の実施形態に係る多層基板1の構造を示す断面図である。図3(a)は、図2中のI-I線に沿った断面図に相当し、図3(b)は、図2中のII-II線に沿った断面図に相当する。図4は、第1の実施形態に係る多層基板1の構造を示す側面図である。図4には、図2中の矢印1Aで示す方向から視える金属層の一部を実線で示す。
【0012】
図1図4に示すように、第1の実施形態に係る多層基板1は、基材400並びに金属層100、200及び300を含む。
【0013】
基材400は下面400B及び上面400Aを備える。基材400は、例えば、略六面体形状に形成されている。基材400は、略直方体状に形成されている。基材400の厚さは、例えば、300μm~600μm程度とすることができる。基材400の上面400Aの平面形状は、4つの頂点401A、401B、401C及び401Dを備え、一辺の長さが5mm~10mm程度の矩形状とすることができる。以下、頂点401Aから頂点401Bに向かう方向をX方向、頂点401Aから頂点401Dに向かう方向をY方向、基材400の下面400Bから上面400Aに向かう方向をZ方向とする。図4では、頂点401Aと頂点401Bとの間の辺に沿って設けられた電極部、及び頂点401Cと頂点401Dとの間の辺に沿って設けられた電極部を省略している。
【0014】
金属層200は金属層100上に設けられ、金属層100に接続されている。金属層300は金属層200上に設けられており、金属層200に接続されている。金属層100、200及び300は基材400中に設けられている。金属層100、200及び300の材料としては、例えば、銅(Cu)やCu合金を用いることができる。金属層100、200及び300の材料としては、例えば、42アロイ等の鉄(Fe)-ニッケル(Ni)合金を用いることができる。
【0015】
[金属層100の構造]
金属層100について説明する。図5は、金属層100の構造を示す斜視図である。図5(a)は、金属層100の上面側から視た斜視図であり、図5(b)は、金属層100の下面側から視た斜視図である。
【0016】
金属層100は、基材400の4辺に設けられた複数の電極部120と、基材400の4辺の内側に設けられ、電極部120のうちの一つに接続された巻線部110と、を含む。
【0017】
図5に示すように、巻線部110は、同一平面内(同一平面上)において渦巻き状に形成されている。巻線部110は、例えば、同一平面内において円形状の渦巻き状に形成されている。本明細書では、巻線部110に関し、巻線部110の渦巻きに沿う方向を長手方向とし、その長手方向に平面視において直交する方向を短手方向(幅方向)とし、長手方向及び短手方向の双方と直交する方向を厚さ方向とする。巻線部110が同一平面内において矩形状の渦巻き状に形成されていてもよい。
【0018】
巻線部110の横断面形状(つまり、巻線部110の長手方向と直交する平面によって巻線部110を切断した断面形状)は、例えば、矩形状に形成されている。巻線部110の横断面形状は、短辺と長辺を有する長方形に形成されている。巻線部110は、上記長方形の短辺が厚さ方向に沿って延び、上記長方形の長辺が短手方向に延びるように形成されている。
【0019】
巻線部110は、内周側の端部111と、外周側の端部112と、端部111から端部112に向かって渦巻き状に形成された導体部113とを有している。これら端部111と端部112と導体部113とは一体に形成された単一部品である。
【0020】
導体部113は、端部111から端部112に向かうに連れて渦巻きの中心から遠ざかるように渦巻き状に形成されている。導体部113は、平面視で右回り(時計回り)の渦巻き(つまり、右回転により外周に向かう渦巻き)に形成されている。導体部113は、内周側の端部111から外周側の端部112に向けて右回りに略円形の渦巻き状に約1.5周巻かれるように形成されている。
【0021】
導体部113は、所定の隙間を有するように渦巻き状に形成されている。すなわち、隣り合う導体部113の間には、渦巻き状のスリット110Xが形成されている。また、端部111よりも内側(渦巻きの中心側)には、略円形状の開口部110Yが形成されている。
【0022】
導体部113の短手方向(幅方向)の寸法は、例えば、200μm~300μm程度とすることができる。導体部113の厚さ方向の寸法は、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。スリット110Xの短手方向の寸法は、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。
【0023】
端部111は、金属層200と接合される接合部となる。端部111の上面100A(金属層200と対向する面)は、後述の突起部214の下面214Bと接合される。端部111の上面100Aは、金属層100の他の部分(導体部113及び端部112等)の上面100Aと同一平面上に形成されている。
【0024】
複数の電極部120は、巻線部110と同一平面内に、島状に設けられている。電極部120は、巻線部110よりも厚く形成されている。電極部120の厚さの巻線部110の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。電極部120の上面120Aは、巻線部110の上面100Aと同一平面上にあり、電極部120の下面120Bは、巻線部110の下面100Bより下方にある。つまり、電極部120は、金属層100内で巻線部110より下方に突出するように形成されている。
【0025】
巻線部110の端部112は、複数の電極部120のうちの一つに接続されている。
【0026】
[金属層200の構造]
金属層200について説明する。図6は、金属層200の構造を示す斜視図である。図6(a)は、金属層200の上面側から視た斜視図であり、図6(b)は、金属層200の下面側から視た斜視図である。
【0027】
金属層200は、基材400の4辺に設けられた複数の電極部220と、基材400の4辺の内側に設けられ、電極部220のうちの一つに接続された巻線部210と、を含む。
【0028】
図6に示すように、巻線部210は、同一平面内(同一平面上)において渦巻き状に形成されている。巻線部210は、例えば、同一平面内において円形状の渦巻き状に形成されている。本明細書では、巻線部210に関し、巻線部210の渦巻きに沿う方向を長手方向とし、その長手方向に平面視において直交する方向を短手方向(幅方向)とし、長手方向及び短手方向の双方と直交する方向を厚さ方向とする。巻線部210が同一平面内において矩形状の渦巻き状に形成されていてもよい。
【0029】
巻線部210の横断面形状(つまり、巻線部210の長手方向と直交する平面によって巻線部210を切断した断面形状)は、例えば、矩形状に形成されている。巻線部210の横断面形状は、短辺と長辺を有する長方形に形成されている。巻線部210は、上記長方形の短辺が厚さ方向に沿って延び、上記長方形の長辺が短手方向に延びるように形成されている。
【0030】
巻線部210は、内周側の端部211と、外周側の端部212と、端部211から端部212に向かって渦巻き状に形成された導体部213とを有している。これら端部211と端部212と導体部213とは一体に形成された単一部品である。
【0031】
導体部213は、端部211から端部212に向かうに連れて渦巻きの中心から遠ざかるように渦巻き状に形成されている。導体部213は、巻線部110の導体部113の巻き方向とは反対方向の渦巻きに形成されている。つまり、導体部213は、平面視で左回り(反時計回り)の渦巻き(つまり、左回転により外周に向かう渦巻き)に形成されている。導体部213は、内周側の端部211から外周側の端部212に向けて左回りに略円形の渦巻き状に約1.5周巻かれるように形成されている。
【0032】
導体部213は、所定の隙間を有するように渦巻き状に形成されている。すなわち、隣り合う導体部213の間には、渦巻き状のスリット210Xが形成されている。また、端部211よりも内側(渦巻きの中心側)には、略円形状の開口部210Yが形成されている。
【0033】
導体部213の短手方向(幅方向)の寸法は、例えば、200μm~300μm程度とすることができる。導体部213の厚さ方向の寸法は、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。スリット210Xの短手方向の寸法は、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。
【0034】
端部211は、金属層100と接合される接合部となる。端部211は、金属層100と接合される突起部214を有している。突起部214は、金属層200の下面200B(金属層100と対向する面)に、金属層200の他の部分(導体部213及び端部212等)よりも金属層100に向かって突出するように形成されている。突起部214は、金属層200の他の部分(導体部213及び端部212等)と一体に形成されている。例えば、突起部214は、金属層200の突起部214の周辺の部分(導体部213等)が薄化されることで形成される。
【0035】
図6に示すように、突起部214は、端部211の下面200Bから金属層100に向かって延びるように柱状に形成されている。突起部214の高さ(厚さ)は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。突起部214の平面形状は、任意の形状及び大きさに設定することができる。突起部214の平面形状は、例えば、直径が200μm~400μm程度の円形状とすることができる。
【0036】
突起部214の下面214Bは、例えば、平面に形成されている。突起部214の下面214Bが金属層100と接合される接合面となる。
【0037】
複数の電極部220は、巻線部210と同一平面内に、平面視で電極部120と重なるようにして島状に設けられている。電極部220は、突起部214と同じ高さ(厚さ)で形成されている。つまり、電極部220は、巻線部210よりも厚く形成されている。電極部220の厚さの巻線部210の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。電極部220の上面220Aは、巻線部210の上面200Aと同一平面上にあり、電極部220の下面220Bは、巻線部210の下面200Bより下方で突起部214の下面214Bと同一平面上にある。つまり、電極部220は、突起部214と同様に、金属層200内で巻線部210より下方に突出するように形成されている。
【0038】
金属層200は、金属層100に重ね合わされた状態で金属層100に接合されている。具体的には、金属層200の内周側の端部211に形成された突起部214が、金属層200と上下(厚さ方向)に重ね合わされた金属層100の内周側の端部111に接合されている。また、電極部220が電極部120に接合されている。このとき、上下に隣接する巻線部110、210が互いに反対方向の渦巻き状に形成されている。これにより、上下に隣接する巻線部110、210が、それら巻線部110、210を流れる電流の向きが同じとなるように直列に接続される。そして、図1に示すように、巻線部110の外周側の端部112から巻線部210の外周側の端部212に至る螺旋状のインダクタ51が形成されている。すなわち、螺旋状のインダクタ51は、その一端部に電極部120が接合される端部112が設けられ、他端部に電極部220が接合される端部212が設けられている。
【0039】
図3に示すように、螺旋状のインダクタ51では、上下に重ね合わされた金属層100と金属層200との間に所定の隙間S1が形成されている。具体的には、巻線部110の上面100Aと巻線部210の下面200Bとの間に、突起部214の厚さ分の隙間S1が形成されている。
【0040】
[金属層300の構造]
金属層300について説明する。図7は、金属層300の構造を示す斜視図である。図7(a)は、金属層300の上面側から視た斜視図であり、図7(b)は、金属層300の下面側から視た斜視図である。
【0041】
図7に示すように、金属層300は、基材400の4辺に設けられた複数の電極部320を含む。電極部320には、電極部320の基部から基材400の外側に向かって突出する横突起部321が設けられている。
【0042】
電極部320は、互いに同一の平面内に、平面視で電極部120及び220と重なる位置に島状に設けられている。横突起部321は電極部320の基部よりも薄くかつ狭く形成されている。電極部320の上面320Aは平坦面であり、電極部320の下面320Bは、基部において横突起部321より下方にある。横突起部321の厚さは、例えば、100μm~200μm程度とすることができ、電極部320の基部の厚さの横突起部321の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。
【0043】
金属層300は、金属層200に重ね合わされた状態で金属層200に接合されている。具体的には、電極部320が電極部220に接合されている。
【0044】
[基材400の構造]
基材400は、図3に示すように、金属層100、200及び300の表面を被覆する絶縁膜430並びに絶縁膜430の表面を被覆する磁性体440を含む。
【0045】
絶縁膜430及び磁性体440は、下記の部分を除いて、金属層100、200及び300の表面を被覆するように形成されている。絶縁膜430及び磁性体440から露出する部分は、例えば、図3に示すように、電極部120の下面120B、電極部320の上面320A、電極部120の端面120C、電極部220の端面220C及び電極部320の端面320Cである。
【0046】
絶縁膜430は、上下に隣接する金属層100、200が磁性体440に含まれる導電体を通じて短絡することを抑制する機能を有している。
【0047】
絶縁膜430の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁膜430は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。絶縁膜430の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0048】
磁性体440は、インダクタ51、電極部120、220及び320並びに絶縁膜430を全体的に封止するように形成されている。磁性体440は、金属層100、200及び300の表面を被覆する絶縁膜430の表面を直接被覆するように形成されている。換言すると、磁性体440は、金属層100、200及び300の表面を絶縁膜430を介して直接被覆している。磁性体440は、金属層100、200及び300を埋設するように形成されている。すなわち、金属層100、200及び300は、磁性体440内に埋め込まれている。このため、磁性体440は、図5図6に示したスリット110X及び210X並びに開口部110Y及び210Yを充填するように形成されている。
【0049】
磁性体440の上面440Aは、例えば、電極部320の上面320A及び電極部320の側面を被覆する絶縁膜430の端面と面一になるように形成されている。磁性体440の端面440Cは、例えば、金属層300の側方では、電極部320の端面320C及び電極部320の側面を被覆する絶縁膜430の端面と面一になるように形成されている。磁性体440の端面440Cは、例えば、金属層100及び200の側方では、電極部120の端面120C、電極部220の端面220C並びに電極部120及び220の側面を被覆する絶縁膜430の端面と面一になるように形成されている。磁性体440の下面440Bは、例えば、電極部120の下面120B及び電極部120の側面を被覆する絶縁膜430の端面と面一になるように形成されている。
【0050】
基材400の内部において、巻線部110及び210が突起部214を通じて接続されてインダクタ51が構成されている。また、巻線部110の端部112は一つの電極部120に接続され、巻線部210の端部212は電極部220を通じて他の一つの電極部120に接続されている。そして、これら二つの電極部120の各下面120Bは基材400の下面400Bから露出している。金属層100及び200の積層体が第1の金属層の一例であり、これら二つの電極部120及び220が第1の電極の一例である。第1の電極は、後述の第2の実施形態に係る電子部品において外部電極として用いることができる。インダクタ51に接続されていない電極部120も外部電極の一例として用いることができる。
【0051】
また、金属層300の電極部320は金属層200の電極部220に接続され、電極部320の上面320Aは基材400の上面400Aから露出している。金属層300は第2の金属層の一例であり、電極部320は第2の電極の一例である。第2の電極は、後述の第2の実施形態に係る電子部品において内部電極として用いることができる。
【0052】
図3(b)に示すように、電極部120の下面120B及び端面120C、電極部220の端面220C、並びに電極部320の上面320Aにめっき膜460が形成されている。めっき膜460は、例えば、Ni膜、パラジウム(Pd)膜及び金(Au)膜がこの順で積層された構造を備える。めっき膜460は、例えば、Ni膜及びAu膜がこの順で積層された構造を備える。めっき膜460は、例えば、Ni膜及びAg膜がこの順で積層された構造を備える。めっき膜460は、例えば、Ni膜及び錫(Sn)膜がこの順で積層された構造を備える。
【0053】
[多層基板1の製造方法]
次に、多層基板1の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に多層基板1の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0054】
[金属層100の形成方法]
先ず、金属層100の形成方法について説明する。図8は、金属層100の形成方法の概要を示す図である。
【0055】
図8(a)に示す工程では、金属板10を準備する。金属板10は、複数の個別領域C1を有している。複数の個別領域C1は、例えば、マトリクス状(ここでは、4×4)に配列されている。図8(b)に示すように、各個別領域C1には、以下に説明する製造工程を実施することにより、金属層100が形成される。このとき、各個別領域C1に形成された金属層100は、例えば、隣接する個別領域C1の間に設けられた連結部11に接続されている。また、隣接する連結部11の間には、各金属層100を画定する開口部11Xが形成されている。そして、個別領域C1は、連結部11の除去によって個片化され、各々個別の金属層100となる。なお、複数の個別領域C1は、図8(a)に示すように所定の間隔を介して配列されてもよいし、互いに接するように配列されてもよい。
【0056】
金属板10としては、例えば、厚さが150μm~250μm程度のCu板を用いることができる。金属板10の材料としては、Cuに限らず、Cu合金や42アロイ等のFe-Ni合金を用いることもできる。
【0057】
次に、各個別領域C1に金属層100を形成する方法について説明する。図9図12は、金属層100の形成方法を示す断面図である。図9図10は、図8(b)中のI-I線に沿った断面図に相当し、図11図12は、図8(b)中のII-II線に沿った断面図に相当する。以下では、便宜上、一つの個別領域C1に着目して説明を行う。
【0058】
図9(a)及び図11(a)に示す工程では、図8(a)に示す工程で準備した金属板10の上面10A全面を被覆するレジスト層12を形成するとともに、金属板10の下面10B全面を被覆するレジスト層13を形成する。レジスト層12の材料としては、例えば、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性を有する材料を用いることができる。例えば、レジスト層12の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性ドライフィルムレジストを用いる場合、レジスト層12は、例えば、金属板10の上面10Aにドライフィルムを熱圧着によりラミネートして形成することができる。レジスト層13の材料としては、レジスト層12と同様の材料を用いることができる。レジスト層13は、例えば、金属板10の下面10Bにドライフィルムを熱圧着によりラミネートして形成することができる。
【0059】
次いで、図9(b)及び図11(b)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジスト層12をパターニングして、レジスト層12に開口パターン12Xを形成する。開口パターン12Xは、連結部11、巻線部110及び電極部120以外に対応する部分の金属板10の上面10Aを露出するように形成される。すなわち、開口パターン12Xを備えたレジスト層12は、連結部11、巻線部110及び電極部120に対応する部分の金属板10の上面10Aを被覆するように形成される。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、開口パターン12Xを備えたレジスト層12を形成することができる。
【0060】
次いで、図9(c)及び図11(c)に示す工程では、レジスト層12、13をエッチングマスクとして、金属板10を上面10Aからエッチングして、連結部11、巻線部110及び電極部120を形成する。具体的には、レジスト層12の開口パターン12Xから露出された金属板10を上面10A側からエッチングし、金属板10に渦巻き状のスリット110Xと円形状の開口部110Yと開口部11Xとを形成する。これにより、各個別領域C1に巻線部110及び電極部120が画定され、隣り合う金属層100を連結する連結部11が画定される。なお、ウェットエッチング(等方性エッチング)により金属板10をパターニングする場合には、そのウェットエッチングで使用されるエッチング液は、金属板10の材質に応じて適宜選択することができる。例えば金属板10としてCuを用いる場合には、エッチング液として塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液を使用することができ、金属板10の上面10A側からスプレーエッチングにて金属板10のパターニングを実施することができる。
【0061】
本例では、金属板10のパターニング(つまり、スリット110X、開口部110Y及び開口部11Xの形成)をエッチング加工により行うが、例えば、プレス加工により金属板10のパターニングを行うこともできる。
【0062】
次に、レジスト層12、13をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。続いて、図9(d)及び図11(d)に示す工程では、金属板10の上面10A全面を被覆するレジスト層14を形成するとともに、金属板10の下面10B全面を被覆するレジスト層15を形成する。レジスト層14、15の材料としては、例えば、レジスト層12、13(図9(a)参照)と同様の材料を用いることができる。レジスト層14、15は、例えば、レジスト層12、13と同様の方法により形成することができる。
【0063】
次いで、図10(a)及び図12(a)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジスト層15をパターニングして、レジスト層15に開口パターン15Xを形成する。開口パターン15Xは、巻線部110に対応する部分の金属板10の下面10Bを露出するように形成される。すなわち、開口パターン15Xを備えたレジスト層15は、巻線部110以外に対応する部分の金属板10の下面10Bを被覆するように形成される。
【0064】
次に、図10(b)及び図12(b)に示す工程では、レジスト層14、15をエッチングマスクとして、金属板10を下面10B側からエッチング(ハーフエッチング)し、レジスト層15の開口パターン15Xから露出された金属板10を薄化する。この結果、電極部120より薄い巻線部110が形成される。本工程のエッチング処理は、例えば、ウェットエッチング(等方性エッチング)により行うことができる。このようなウェットエッチングは、図9(c)及び図11(c)に示す工程のウェットエッチングと同様に行うことができる。本工程では、例えば、巻線部110の厚さと電極部120の厚さとの差が50μm~100μm程度となるように金属板10の薄化が行われる。
【0065】
本例では、金属板10の薄化をエッチング(ハーフエッチング)加工により行うが、例えば、プレス加工により金属板10の薄化を行うこともできる。
【0066】
次に、図10(c)及び図12(c)に示す工程では、レジスト層14、15をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。
【0067】
このようにして、各個別領域C1に、巻線部110及び電極部120を含む金属層100を形成することができる。
【0068】
なお、金属板10に上述のようなウェットエッチングを行うと、エッチングは金属板10の面内方向に進行する。このため、厳密には、ウェットエッチング後の金属板10の側面は、その厚さ方向から傾斜したものとなる。但し、図面の簡略化のために、図9図12等では、金属板10の側面をその厚さ方向に平行なものとしている。図1等においても同様である。
【0069】
[金属層200の形成方法]
次に、金属層200の製造方法について説明する。図13は、金属層200の形成方法の概要を示す図である。
【0070】
図13(a)に示す工程では、金属板20を準備する。金属板20は、複数の個別領域C2を有している。複数の個別領域C2は、例えば、マトリクス状(ここでは、4×4)に配列されている。図13(b)に示すように、各個別領域C2には、以下に説明する製造工程を実施することにより、金属層200が形成される。このとき、各個別領域C2に形成された金属層200は、例えば、隣接する個別領域C2の間に設けられた連結部21に接続されている。また、隣接する連結部21の間には、各金属層200を画定する開口部21Xが形成されている。そして、個別領域C2は、連結部21の除去によって個片化され、各々個別の金属層200となる。なお、複数の個別領域C2は、図13(a)に示すように所定の間隔を介して配列されてもよいし、互いに接するように配列されてもよい。
【0071】
金属板20としては、例えば、厚さが150μm~250μm程度のCu板を用いることができる。金属板20の材料としては、Cuに限らず、Cu合金や42アロイ等のFe-Ni合金を用いることもできる。
【0072】
次に、各個別領域C2に金属層200を形成する方法について説明する。図14図17は、金属層200の形成方法を示す断面図である。図14図15は、図13(b)中のI-I線に沿った断面図に相当し、図16図17は、図13(b)中のII-II線に沿った断面図に相当する。以下では、便宜上、一つの個別領域C2に着目して説明を行う。
【0073】
図14(a)及び図16(a)に示す工程では、図13(a)に示す工程で準備した金属板20の上面20A全面を被覆するレジスト層22を形成するとともに、金属板20の下面20B全面を被覆するレジスト層23を形成する。レジスト層22、23の材料としては、例えば、レジスト層12、13(図9(a)参照)と同様の材料を用いることができる。レジスト層22、23は、例えば、レジスト層12、13と同様の方法により形成することができる。
【0074】
次いで、図14(b)及び図16(b)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジスト層22をパターニングして、レジスト層22に開口パターン22Xを形成する。開口パターン22Xは、連結部21、巻線部210及び電極部220以外に対応する部分の金属板20の上面20Aを露出するように形成される。すなわち、開口パターン22Xを備えたレジスト層22は、連結部21、巻線部210及び電極部220に対応する部分の金属板20の上面20Aを被覆するように形成される。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、開口パターン22Xを備えたレジスト層22を形成することができる。
【0075】
次いで、図14(c)及び図16(c)に示す工程では、レジスト層22、23をエッチングマスクとして、金属板20を上面20Aからエッチングして、連結部21、巻線部210及び電極部220を形成する。具体的には、レジスト層22の開口パターン22Xから露出された金属板20を上面20A側からエッチングし、金属板20に渦巻き状のスリット210Xと円形状の開口部210Yと開口部21Xとを形成する。これにより、各個別領域C2に巻線部210及び電極部220が画定され、隣り合う金属層200を連結する連結部21が画定される。例えば、金属板20は、ウェットエッチング等、金属板10のパターニングと同様の方法によりパターニングすることができる。
【0076】
次に、レジスト層22、23をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。続いて、図14(d)及び図16(d)に示す工程では、金属板20の上面20A全面を被覆するレジスト層24を形成するとともに、金属板20の下面20B全面を被覆するレジスト層25を形成する。レジスト層24、25の材料としては、例えば、レジスト層12、13(図9(a)参照)と同様の材料を用いることができる。レジスト層24、25は、例えば、レジスト層12、13と同様の方法により形成することができる。
【0077】
次いで、図15(a)及び図17(a)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジスト層25をパターニングして、レジスト層25に開口パターン25Xを形成する。開口パターン25Xは、突起部214に対応する部分を除き、巻線部210に対応する部分の金属板20の下面20Bを露出するように形成される。すなわち、開口パターン25Xを備えたレジスト層25は、突起部214を除く巻線部210以外に対応する部分の金属板20の下面20Bを被覆するように形成される。
【0078】
次に、図15(b)及び図17(b)に示す工程では、レジスト層24、25をエッチングマスクとして、金属板20を下面20B側からエッチング(ハーフエッチング)し、レジスト層25の開口パターン25Xから露出された金属板20を薄化する。この結果、電極部220と同じ厚さの突起部214が形成されるとともに、電極部220より薄い巻線部210が形成される。例えば、金属板20は、ウェットエッチング等、金属板10の薄化と同様の方法により薄化することができる。本工程では、例えば、巻線部210の厚さと電極部220の厚さとの差が50μm~100μm程度となるように金属板20の薄化が行われ、突起部214の高さが50μm~100μm程度となる。
【0079】
次に、図15(c)及び図17(c)に示す工程では、レジスト層24、25をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。これにより、突起部214の下面214Bが外部に露出される。
【0080】
このようにして、各個別領域C2に、突起部214を備えた巻線部210及び電極部220を含む金属層200を形成することができる。
【0081】
[金属層300の形成方法]
次に、金属層300の製造方法について説明する。図18は、金属層300の形成方法の概要を示す図である。
【0082】
図18(a)に示す工程では、金属板30を準備する。金属板30は、複数の個別領域C3を有している。複数の個別領域C3は、例えば、マトリクス状(ここでは、4×4)に配列されている。図18(b)に示すように、各個別領域C3には、以下に説明する製造工程を実施することにより、金属層300が形成される。このとき、各個別領域C3に形成された金属層300は、例えば、隣接する個別領域C3の間に設けられた連結部31に接続されている。また、隣接する連結部31の間には、各金属層300を画定する開口部31Xが形成されている。そして、個別領域C3は、連結部31の除去によって個片化され、各々個別の金属層300となる。なお、複数の個別領域C3は、図18(a)に示すように所定の間隔を介して配列されてもよいし、互いに接するように配列されてもよい。
【0083】
金属板30としては、例えば、厚さが150μm~250μm程度のCu板を用いることができる。金属板30の材料としては、Cuに限らず、Cu合金や42アロイ等のFe-Ni合金を用いることもできる。
【0084】
次に、各個別領域C3に金属層300を形成する方法について説明する。図19図22は、金属層300の形成方法を示す断面図である。図19図20は、図18(b)中のI-I線に沿った断面図に相当し、図21図22は、図18(b)中のII-II線に沿った断面図に相当する。以下では、便宜上、一つの個別領域C3に着目して説明を行う。
【0085】
図19(a)及び図21(a)に示す工程では、図18(a)に示す工程で準備した金属板30の上面30A全面を被覆するレジスト層32を形成するとともに、金属板30の下面30B全面を被覆するレジスト層33を形成する。レジスト層32、33の材料としては、例えば、レジスト層12、13(図9(a)参照)と同様の材料を用いることができる。レジスト層32、33は、例えば、レジスト層12、13と同様の方法により形成することができる。
【0086】
次いで、図19(b)及び図21(b)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジスト層32をパターニングして、レジスト層32に開口パターン32Xを形成する。開口パターン32Xは、連結部31及び電極部320以外に対応する部分の金属板30の上面30Aを露出するように形成される。すなわち、開口パターン32Xを備えたレジスト層32は、連結部31及び電極部320に対応する部分の金属板30の上面30Aを被覆するように形成される。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、開口パターン32Xを備えたレジスト層32を形成することができる。
【0087】
次いで、図19(c)及び図21(c)に示す工程では、レジスト層32、33をエッチングマスクとして、金属板30を上面30Aからエッチングして、連結部31及び電極部320を形成する。具体的には、レジスト層32の開口パターン32Xから露出された金属板30を上面30A側からエッチングし、開口部31Xを形成する。これにより、各個別領域C3に電極部220が画定され、隣り合う金属層300を連結する連結部31が画定される。例えば、金属板30は、ウェットエッチング等、金属板10のパターニングと同様の方法によりパターニングすることができる。
【0088】
次に、レジスト層32、33をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。続いて、図19(d)及び図21(d)に示す工程では、金属板30の上面30A全面を被覆するレジスト層34を形成するとともに、金属板30の下面30B全面を被覆するレジスト層35を形成する。レジスト層34、35の材料としては、例えば、レジスト層12、13(図9(a)参照)と同様の材料を用いることができる。レジスト層34、35は、例えば、レジスト層12、13と同様の方法により形成することができる。
【0089】
次いで、図20(a)及び図22(a)に示す工程では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジスト層35をパターニングして、レジスト層35に開口パターン35Xを形成する。開口パターン35Xは、連結部31に対応する部分の金属板30の下面30Bを露出するように形成される。すなわち、開口パターン35Xを備えたレジスト層35は、連結部31以外に対応する部分の金属板30の下面30Bを被覆するように形成される。
【0090】
次に、図20(b)及び図22(b)に示す工程では、レジスト層34、35をエッチングマスクとして、金属板30を下面30B側からエッチング(ハーフエッチング)し、レジスト層35の開口パターン35Xから露出された金属板30を薄化する。この結果、連結部31に対応する部分及び横突起部321に対応する部分が薄くなる。例えば、金属板30は、ウェットエッチング等、金属板10の薄化と同様の方法により薄化することができる。本工程では、例えば、連結部31及び横突起部321の厚さと電極部320の基部の厚さとの差が50μm~100μm程度となるように金属板20の薄化が行われる。
【0091】
次に、図20(c)及び図22(c)に示す工程では、レジスト層34、35をアルカリ性の剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。
【0092】
このようにして、各個別領域C3に、電極部320を含む金属層300を形成することができる。
【0093】
[多層基板1の仕上げ]
金属層100、200及び300を形成した後、金属層100、200及び300を用いて多層基板1を仕上げる。図23図29は、第1の実施形態に係る多層基板1の製造方法を示す断面図である。図23(a)~図29(a)は、図2中のI-I線に沿った断面図に相当し、図23(b)~図29(b)は、図2中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0094】
図23(a)及び(b)に示す工程では、金属層100、200及び300を互いに接合する。例えば、端部111の上面100Aに突起部214の下面214Bを接合し、電極部120の上面120Aに電極部220の下面220Bを接合し、電極部220の上面220Aに電極部320の下面320Bを接合する。金属層100、200及び300は、例えば拡散接合によって接合することができる。拡散接合とは、接合する金属材料同士を密着させ、真空や不活性ガス等の雰囲気中で、加圧及び加熱することで金属材料同士の接合面に生じる原子の拡散を利用して金属材料同士を原子レベルで接合する技術である。
【0095】
具体的には、先ず、金属板10に設けられた4×4個の個別領域C1と、金属板20に設けられた4×4個の個別領域C2と、金属板30に設けられた4×4個の個別領域C3とがそれぞれ上下に整列するように、金属板20を金属板10上に配置し、金属板30を金属板20上に配置する。より具体的には、金属層100の上面100Aと金属層200の下面200Bとを対向させて、突起部214と端部111とが対向し、電極部220と電極部120とが対向するように位置決めされる。また、金属層200の上面200Aと金属層300の下面300Bとを対向させて、電極部320と電極部220とが対向するように位置決めされる。
【0096】
例えば、金属層100、200及び300の材料としてCuを用いる場合には、加熱温度を500℃~600℃程度とすることができ、圧力を0.005kN/mm~0.015kN/mm程度とすることができる。
【0097】
なお、拡散接合によって接合された金属層200の突起部214と金属層100とは、界面の無い状態で(すなわち、隙間が全く無い状態で)一体化され、突起部214の下面214Bと金属層100の端部111の上面100Aとが直接接合される。
【0098】
このようにして、上下に重ね合わせた金属層100と金属層200とが直列に接続され、約3巻きのインダクタ51が形成される。
【0099】
次に、図24(a)及び(b)に示す工程では、金属層100、200及び300の表面全面を被覆する絶縁膜430を形成する。絶縁膜430は、連結部11、21及び31の表面全面を被覆するように形成される。絶縁膜430は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂の電着塗装法を用いて形成することができる。また、絶縁膜430は、例えば、スピンコート法やスプレーコート法を用いて形成することもできる。絶縁膜430の厚さは、例えば8μm~15μm程度とする。
【0100】
続いて、図25(a)及び(b)に示す工程では、絶縁膜430の表面を被覆し、金属層100、200及び300を埋設する磁性体440を形成する。このため、金属層100、200及び300並びに及びそれら金属層100、200及び300を被覆する絶縁膜430は、磁性体440内に埋め込まれる。本例では、金属板10、20及び30全体を埋設するように磁性体440を形成する。また、連結部11、21及び31並びにそれら連結部11、21及び31を被覆する絶縁膜430が磁性体440内に埋め込まれる。磁性体440の形成は、特に図示はしないが、例えば、成型金型の下部金型と上部金型との間に、図24(a)及び(b)に示す構造体を配置し、磁性体粉末と絶縁性樹脂とを混練してなる磁性体粉体で当該構造体の周囲を充填する。そして、磁性体粉体を150℃~160℃程度に加熱しながら、下部金型と上部金型の各々から磁性体粉体に200MPa~250MPa程度の圧力を加えることにより、磁性体粉体を高圧成型して磁性体440を形成する。
【0101】
なお、本例では、磁性体粉体を高圧成型することにより磁性体440を形成するが、磁性体440の形成方法はこれに限定されない。例えば、トランスファー成形やコンプレッション成形などにより磁性体440を形成してもよい。
【0102】
磁性体440の材料としては、バインダー及び磁性粉末の混合材料を用いることができる。例えば、バインダーとしてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。例えば、磁性粉末としては、外周絶縁処理を施したFe基アモルファス合金粉末、外周絶縁処理を施したカルボニル鉄粉、若しくはフェライト粉末又はこれらの任意の組み合わせを用いることができる。磁性粉末のバインダーに対する配合比率は、磁性粉末の透磁率や成型方法等に応じて調整することが好ましい。
【0103】
次に、図26(a)及び(b)に示す工程では、バフ研磨等により、電極部120の下面120Bを覆う絶縁膜430及び磁性体440を除去するとともに、電極部320の上面320Aを覆う絶縁膜430及び磁性体440を除去する。この結果、電極部120の下面120B及び電極部320の上面320Aが絶縁膜430及び磁性体440から露出する。
【0104】
続いて、図27(a)及び(b)に示す工程では、ダイシングソー等により、金属板30の連結部31を維持しながら、金属板10及び20の連結部11及び21に溝450を形成する。この結果、隣り合う個別領域C1が互いから分離され、隣り合う個別領域C2が互いから分離される。
【0105】
次いで、金属板30をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、図28(a)及び(b)に示す工程では、電極部120、220及び320の露出している表面にめっき膜460を形成する。
【0106】
次いで、図29(a)及び(b)に示す工程では、ダイシングソー等により、金属板30の連結部31を除去する。この結果、隣り合う個別領域C3が互いから分離される。これにより、金属層100、200及び300の積層体を個片化する。
【0107】
このようにして、多層基板1を製造することができる。なお、個片化後の多層基板1は、天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、図28(a)及び(b)に示す個片化前の状態で多層基板1を流通させることもできる。
【0108】
第1の実施形態に係る多層基板1は、後述の第2の実施形態のように、電子部品に用いることができる。このとき、電極部120を電子部品の外部電極として用いることができ、電極部320を電子部品の内部電極として用いることができる。そして、外部電極には、実装基板等を接続することができ、内部電極には、電子部品内の半導体チップ及び受動部品等を接続することができる。
【0109】
インダクタ51は、Cu等の金属層100及び200を用いて構成されている。また、インダクタ51に含まれる導体部113及び213の厚さは100μm~200μm程度である。従って、インダクタ51の抵抗は低く抑えることができる。更に、導体部113は金属板10のエッチングにより形成することができ、導体部213は金属板20のエッチングにより形成することができる。従って、導体部113及び213は容易に形成することができる。また、突起部214を介した導体部113と導体部213との接合も容易に行うことができる。従って、第1の実施形態によれば、低抵抗のインダクタ51を多層基板1に容易に内蔵させることができる。
【0110】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は多層基板1を備えた電子部品に関する。
【0111】
[電子部品の構造]
先ず、電子部品の構造について説明する。図30は、第2の実施形態に係る電子部品2の構造を示す斜視図である。図30(a)は、電子部品2の全体を示し、図30(b)は、電子部品2に含まれる半導体チップ及び受動部品の電極と電極部との関係を示す。
【0112】
図30に示すように、第2の実施形態に係る電子部品2は、多層基板1、半導体チップ60及び複数の受動部品70を含む。受動部品70は、例えば容量素子又は抵抗素子である。複数の受動部品70に容量素子及び抵抗素子が混在していてもよい。
【0113】
半導体チップ60は、本体部61及び電極62を有する。図30(b)に示すように、電極62は、多層基板1の電極部320の上面320Aに接続されている。各受動部品70は、本体部71及び二つの電極72を有する。図30(b)に示すように、電極72は、多層基板1の電極部320の上面320Aに接続されている。なお、図30では、図示を省略しているが、半導体チップ60及び受動部品70はモールド樹脂80により封止され、電極部120の下面120B及び端面120C、電極部220の端面220C、並びに電極部320の上面320Aにめっき膜460が形成されている(図32参照)。
【0114】
第2の実施形態では、電極部120が電子部品2の外部電極として用いられ、電極部320が電子部品2の内部電極として用いられる。内部電極には、半導体チップ60の電極62及び受動部品70の電極72が接続されている。外部電極には、実装基板等を接続することができる。多層基板1は外部電極及び内部電極に接続されたインダクタ51を内蔵している。従って、電子部品2は、例えばDC-DCコンバータとして用いることができる。
【0115】
また、外部電極を実装基板に接続する際にはんだを用いる場合、はんだは基材400の下面400Bと実装基板との間から電極部120の端面120C上のめっき膜460の表面まで濡れ広がる。従って、電子部品2と実装基板との間のはんだを用いた接合の状態を容易に目視により確認することができる。
【0116】
なお、電極部120(第1の電極)が電子部品2の内部電極として用いられ、電極部320(第2の電極)が電子部品2の外部電極として用いられてもよい。
【0117】
[電子部品2の製造方法]
次に、電子部品2の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に電子部品2の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。図31図32は、第2の実施形態に係る電子部品2の製造方法を示す断面図である。
【0118】
図31(a)に示す工程では、個片化前の多層基板1を準備し(図28(a)及び(b)参照)、この多層基板1上に、はんだバンプ等の電極62が設けられた半導体チップ60、及び電極72を備えた受動部品70を実装する。このとき、半導体チップ60の電極62を電極部320の上面320Aに接合し、受動部品70の電極72は、はんだ等により電極部320の上面320Aに接合する。
【0119】
次いで、図31(b)に示す工程では、半導体チップ60及び受動部品70をモールド樹脂80により封止する。モールド樹脂80としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0120】
次いで、図32に示す工程では、図29(a)及び(b)に示す工程と同様に、ダイシングソー等により、金属層100、200及び300の積層体並びにモールド樹脂80を切断し、個片化する。
【0121】
このようにして、電子部品2を製造することができる。
【0122】
多層基板1の基材400の上面400Aから電極部320の上面320Aが露出しているため、半導体チップ60及び受動部品70を容易に接合することができる。
【0123】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は多層基板に関する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図33は、第3の実施形態に係る多層基板3の構造を示す斜視図である。図33(a)は、多層基板3の上面側から視た斜視図であり、図33(b)は、多層基板3の下面側から視た斜視図である。図34は、第3の実施形態に係る多層基板3の構造を示す上面図である。図33及び図34には、多層基板3に含まれる金属層を実線で示す。図35図37は、第3の実施形態に係る多層基板3の構造を示す断面図である。図35は、図34中のI-I線に沿った断面図に相当し、図36は、図34中のII-II線に沿った断面図に相当する。図37は、図34中のIII-III線に沿った断面図に相当する。図38は、第3の実施形態に係る多層基板3の構造を示す側面図である。図38には、図34中の矢印3Aで示す方向から視える金属層の一部を実線で示す。
【0124】
図33図38に示すように、第3の実施形態に係る多層基板3は、基材400並びに金属層100、200、300、500及び600を含む。
【0125】
金属層600は金属層500上に設けられ、金属層500に接続されている。金属層100は金属層600上に設けられており、金属層600に接続されている。第1の実施形態と同様に、金属層200は金属層100上に設けられ、金属層100に接続されている。金属層300は金属層200上に設けられており、金属層200に接続されている。金属層100、200、300、500及び600は基材400中に設けられている。金属層500及び600の材料としては、例えば、CuやCu合金を用いることができる。金属層500及び600の材料としては、例えば、42アロイ等のFe-Ni合金を用いることができる。
【0126】
[金属層500の構造]
金属層500について説明する。金属層500は、金属層100と同様の構成を備えている。但し、導体部の巻き方向が逆向きである。図39は、金属層500の構造を示す斜視図である。図39(a)は、金属層500の上面側から視た斜視図であり、図39(b)は、金属層500の下面側から視た斜視図である。
【0127】
金属層500は、電極部120と同様の電極部520と、巻線部110と同様の巻線部510と、を含む。巻線部510は、端部111と同様の端部511と、端部112と同様の端部512と、導体部113と同様の導体部513とを有している。但し、導体部513は、巻線部110の導体部113の巻き方向とは反対方向の渦巻きに形成されている。つまり、導体部513は、平面視で左回り(反時計回り)の渦巻き(つまり、左回転により外周に向かう渦巻き)に形成されている。導体部513は、内周側の端部511から外周側の端部512に向けて左回りに略円形の渦巻き状に約1.5周巻かれるように形成されている。巻線部510が同一平面内において矩形状の渦巻き状に形成されていてもよい。
【0128】
導体部513は、所定の隙間を有するように渦巻き状に形成されている。すなわち、隣り合う導体部513の間には、渦巻き状のスリット510Xが形成されている。また、端部511よりも内側(渦巻きの中心側)には、略円形状の開口部510Yが形成されている。
【0129】
複数の電極部520は、巻線部510と同一平面内に、島状に設けられている。電極部520は、巻線部510よりも厚く形成されている。電極部520の厚さの巻線部510の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。電極部520の上面520Aは、巻線部510の上面500Aと同一平面上にあり、電極部520の下面520Bは、巻線部510の下面500Bより下方にある。
【0130】
巻線部510の端部512は、複数の電極部520のうちの一つに接続されている。
【0131】
[金属層600の構造]
金属層600について説明する。金属層600は、金属層200と同様の構成を備えている。但し、導体部の巻き方向が逆向きである。図40は、金属層600の構造を示す斜視図である。図40(a)は、金属層600の上面側から視た斜視図であり、図40(b)は、金属層600の下面側から視た斜視図である。
【0132】
金属層600は、電極部220と同様の電極部620と、巻線部210と同様の巻線部610と、を含む。巻線部610は、端部211と同様の端部611と、端部212と同様の端部612と、導体部213と同様の導体部613と、突起部214と同様の突起部614とを有している。但し、導体部613は、巻線部210の導体部213の巻き方向とは反対方向の渦巻きに形成されている。つまり、導体部613は、平面視で右回り(時計回り)の渦巻き(つまり、右回転により外周に向かう渦巻き)に形成されている。導体部613は、内周側の端部611から外周側の端部612に向けて左回りに略円形の渦巻き状に約1.5周巻かれるように形成されている。巻線部610が同一平面内において矩形状の渦巻き状に形成されていてもよい。
【0133】
導体部613は、所定の隙間を有するように渦巻き状に形成されている。すなわち、隣り合う導体部613の間には、渦巻き状のスリット610Xが形成されている。また、端部511よりも内側(渦巻きの中心側)には、略円形状の開口部610Yが形成されている。
【0134】
複数の電極部620は、巻線部610と同一平面内に、島状に設けられている。電極部620は、突起部614と同じ高さ(厚さ)で形成されている。つまり、電極部620は、巻線部610よりも厚く形成されている。電極部620の厚さの巻線部610の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。電極部620の上面620Aは、巻線部610の上面600Aと同一平面上にあり、電極部620の下面620Bは、巻線部610の下面600Bより下方で突起部614の下面614Bと同一平面上にある。
【0135】
金属層200と金属層100との接合と同様に、金属層600は、金属層500に重ね合わされた状態で金属層500に接合されている。金属層500及び600内においても、上下に隣接する巻線部510、610が、それら巻線部510、610を流れる電流の向きが同じとなるように直列に接続される。そして、図33に示すように、巻線部510の外周側の端部512から巻線部610の外周側の端部612に至る螺旋状のインダクタ52が形成されている。すなわち、螺旋状のインダクタ52は、その一端部に電極部520が接合される端部512が設けられ、他端部に電極部620が接合される端部612が設けられている。なお、インダクタ51とインダクタ52との間では巻き方向が逆向きである。
【0136】
図35図37に示すように、螺旋状のインダクタ52では、上下に重ね合わされた金属層500と金属層600との間に所定の隙間S2が形成されている。具体的には、巻線部510の上面500Aと巻線部610の下面600Bとの間に、突起部614の厚さ分の隙間S2が形成されている。また、インダクタ51及び52の間では、上下に重ね合わされた金属層600と金属層100との間に所定の隙間S3が形成されている。具体的には、巻線部610の上面600Aと巻線部110の下面100Bとの間に、電極部120と巻線部110との間の厚さの差の分の隙間S3が形成されている。
【0137】
基材400は第1の実施形態のものよりも厚く、基材400の厚さは、例えば、500μm~1000μm程度とすることができる。
【0138】
基材400の内部において、巻線部510及び610が突起部614を通じて接続されてインダクタ52が構成されている。また、巻線部510の端部512は一つの電極部520に接続され、巻線部610の端部612は電極部620を通じて他の一つの電極部520に接続されている。そして、これら二つの電極部520の各下面520Bは基材400の下面400Bから露出している。また、第1の実施形態と同様に、巻線部110及び210が突起部214を通じて接続されてインダクタ51が構成されている。そして、インダクタ51に接続された金属層100の二つの電極部120は、金属層600の二つの電極部620を通じて金属層500の二つの電極部520に接続されている。そして、これら金属層500の二つの電極部520の各下面520Bは基材400の下面400Bから露出している。電極部520、電極部620、電極部120、電極部220及び電極部320がこの順で積層され、相互に接合されている。第3の実施形態において、金属層500、600、100及び200の積層体が第1の金属層の一例であり、これら、基材400の下面400Bから露出した四つの電極部520が外部電極の一例である。インダクタ51、52に接続されていない電極部520も外部電極の一例として用いることができる。
【0139】
第1の実施形態と同様に、金属層300の電極部320は金属層200の電極部220に接続され、電極部320の上面320Aは基材400の上面400Aから露出している。金属層300は第2の金属層の一例であり、電極部320は内部電極の一例である。
【0140】
図37に示すように、金属層500の電極部520の下面520B及び端面520C、金属層600の電極部620の端面620C、金属層100の電極部120の端面120C、金属層200の電極部220の端面220C、並びに電極部320の上面320Aにめっき膜460が形成されている。
【0141】
第3の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、一つの多層基板3にインダクタ51及び52が内蔵されているため、後述の第3の実施形態のように、例えば2相マルチフェーズ用電源に用いることができる。
【0142】
多層基板3の製造に際しては、例えば、金属層100及び200と同様にして金属層500及び600を形成し、金属層100、200及び300とともに金属層500及び600も拡散接合等により接合して一体化する。
【0143】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は多層基板3を備えた電子部品に関する。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。図41は、第4の実施形態に係る電子部品4の構造を示す斜視図である。図41(a)は、電子部品4の全体を示し、図41(b)は、電子部品4に含まれる半導体チップ及び受動部品の電極と電極部との関係を示す。
【0144】
図41に示すように、第4の実施形態に係る電子部品4は、多層基板3、半導体チップ60及び複数の受動部品70を含む。半導体チップ60の電極62は、多層基板3の電極部320の上面320Aに接続されている。受動部品70の電極72は、多層基板3の電極部320の上面320Aに接続されている。なお、図41では、図示を省略しているが、半導体チップ60及び受動部品70はモールド樹脂により封止されている。
【0145】
第4の実施形態では、電極部520が電子部品4の外部電極として用いられ、電極部320が電子部品4の内部電極として用いられる。内部電極には、半導体チップ60の電極62及び受動部品70の電極72が接続されている。外部電極には、実装基板等を接続することができる。多層基板3は外部電極及び内部電極に接続されたインダクタ51及び52を内蔵している。従って、電子部品4は、例えば2相マルチフェーズ用電源に用いることができる。そして、2相マルチフェーズ用電源の小型化に寄与することができる。
【0146】
電子部品4の製造に際しては、例えば、個片化前の多層基板3上に半導体チップ60及び受動部品70を実装し、モールド樹脂80により封止を行い、ダイシングソー等により個片化する。
【0147】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は多層基板に関する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図42は、第5の実施形態に係る多層基板5の構造を示す斜視図である。図42(a)は、多層基板5の上面側から視た斜視図であり、図42(b)は、多層基板5の下面側から視た斜視図である。図43は、第5の実施形態に係る多層基板5の構造を示す上面図である。図42及び図43には、多層基板5に含まれる金属層を実線で示す。図44は、第5の実施形態に係る多層基板5の構造を示す断面図である。図44は、図43中のI-I線に沿った断面図に相当する。
【0148】
図42図44に示すように、第5の実施形態に係る多層基板5は、基材400並びに金属層300及び700を含む。
【0149】
金属層300は金属層700上に設けられており、金属層700に接続されている。金属層300及び700は基材400中に設けられている。金属層700の材料としては、例えば、CuやCu合金を用いることができる。金属層700の材料としては、例えば、42アロイ等のFe-Ni合金を用いることができる。
【0150】
[金属層700の構造]
金属層700について説明する。図45は、金属層700の構造を示す斜視図である。図45(a)は、金属層700の上面側から視た斜視図であり、図45(b)は、金属層700の下面側から視た斜視図である。
【0151】
金属層700は、基材400の4辺に設けられた複数の電極部720と、基材400の4辺の内側に設けられ、電極部720のうちの二つに接続されたΩ形状部710と、を含む。Ω形状部710はインダクタとして機能する。
【0152】
図45に示すように、Ω形状部710は、同一平面内(同一平面上)においてΩの字型に形成されている。本明細書では、Ω形状部710に関し、Ω形状部710のΩの字型に湾曲しながら進行する方向を長手方向とし、その長手方向に平面視において直交する方向を短手方向(幅方向)とし、長手方向及び短手方向の双方と直交する方向を厚さ方向とする。Ω形状部710の横断面形状(つまり、Ω形状部710の長手方向と直交する平面によってΩ形状部710を切断した断面形状)は、巻線部210等の横断面形状と同様である。
【0153】
Ω形状部710は、一方の端部711と、他方の端部712と、端部711から端部712に向かってΩの字型に形成された導体部713とを有している。これら端部711と端部712と導体部713とは一体に形成された単一部品である。
【0154】
端部711は一つの電極部720に接続され、端部712は他の一つの電極部720に接続されている。端部711及び712の上面700Aは、金属層700の他の部分(導体部713等)の上面700Aと同一平面上に形成されている。
【0155】
複数の電極部720は、Ω形状部710と同一平面内に、島状に設けられている。電極部720は、Ω形状部710よりも厚く形成されている。電極部720の厚さのΩ形状部710の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。電極部720の上面720Aは、Ω形状部710の上面700Aと同一平面上にあり、電極部720の下面720Bは、Ω形状部710の下面700Bより下方にある。つまり、電極部720は、金属層700内でΩ形状部710より下方に突出するように形成されている。
【0156】
金属層300は、金属層700に重ね合わされた状態で金属層700に接合されている。具体的には、電極部320が電極部720に接合されている。
【0157】
基材400は第1の実施形態のものよりも薄く、基材400の厚さは、例えば、200μm~400μm程度とすることができる。
【0158】
基材400の内部において、Ω形状部710の端部711及び712は、互いに異なる電極部720に接続されている。そして、これら二つの電極部720の各下面720Bは基材400の下面400Bから露出している。第5の実施形態において、金属層700が第1の金属層の一例であり、これら二つの電極部720が外部電極の一例である。
【0159】
また、金属層300の電極部320は金属層700の電極部720に接続され、電極部320の上面320Aは基材400の上面400Aから露出している。金属層300は第2の金属層の一例であり、電極部320は内部電極の一例である。
【0160】
図44に示すように、電極部720の下面720B及び端面720C、並びに電極部320の上面320Aにめっき膜460が形成されている。
【0161】
第5の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、より薄化することができる。
【0162】
多層基板5の製造に際しては、例えば、金属層100と同様にして金属層700を形成し、金属層700を金属層300と拡散接合等により接合して一体化する。
【0163】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は多層基板に関する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図46は、第6の実施形態に係る多層基板6の構造を示す斜視図である。図46(a)は、多層基板6の上面側から視た斜視図であり、図46(b)は、多層基板6の下面側から視た斜視図である。図47は、第6の実施形態に係る多層基板6の構造を示す上面図である。図46及び図47には、多層基板6に含まれる金属層を実線で示す。図48は、第6の実施形態に係る多層基板6の構造を示す断面図である。図48は、図47中のI-I線に沿った断面図に相当する。
【0164】
図46図48に示すように、第6の実施形態に係る多層基板6は、基材400並びに金属層300及び800を含む。
【0165】
金属層300は金属層800上に設けられており、金属層800に接続されている。金属層300及び800は基材400中に設けられている。金属層800の材料としては、例えば、CuやCu合金を用いることができる。金属層800の材料としては、例えば、42アロイ等のFe-Ni合金を用いることができる。
【0166】
[金属層800の構造]
金属層800について説明する。図49は、金属層800の構造を示す斜視図である。図49(a)は、金属層800の上面側から視た斜視図であり、図49(b)は、金属層800の下面側から視た斜視図である。
【0167】
金属層800は、基材400の4辺に設けられた複数の電極部820と、基材400の4辺の内側に設けられ、電極部820のうちの二つに接続された蛇行部810と、を含む。蛇行部810はインダクタとして機能する。
【0168】
図49に示すように、蛇行部810は、同一平面内(同一平面上)において蛇行するように形成されている。本明細書では、蛇行部810に関し、蛇行部810の蛇行しながら進行する方向を長手方向とし、その長手方向に平面視において直交する方向を短手方向(幅方向)とし、長手方向及び短手方向の双方と直交する方向を厚さ方向とする。蛇行部810の横断面形状(つまり、蛇行部810の長手方向と直交する平面によって蛇行部810を切断した断面形状)は、巻線部210等の横断面形状と同様である。
【0169】
蛇行部810は、一方の端部811と、他方の端部812と、端部811から端部812に向かって蛇行する導体部813とを有している。これら端部811と端部812と導体部813とは一体に形成された単一部品である。
【0170】
端部811は一つの電極部820に接続され、端部812は他の一つの電極部820に接続されている。端部811及び812の上面800Aは、金属層800の他の部分(導体部813等)の上面800Aと同一平面上に形成されている。
【0171】
複数の電極部820は、蛇行部810と同一平面内に、島状に設けられている。電極部820は、蛇行部810よりも厚く形成されている。電極部820の厚さの蛇行部810の厚さとの差は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。電極部820の上面820Aは、蛇行部810の上面800Aと同一平面上にあり、電極部820の下面820Bは、蛇行部810の下面800Bより下方にある。つまり、電極部820は、金属層800内で蛇行部810より下方に突出するように形成されている。
【0172】
金属層300は、金属層800に重ね合わされた状態で金属層800に接合されている。具体的には、電極部320が電極部820に接合されている。
【0173】
基材400は第1の実施形態のものよりも薄く、基材400の厚さは、例えば、200μm~400μm程度とすることができる。
【0174】
基材400の内部において、蛇行部810の端部811及び812は、互いに異なる電極部820に接続されている。そして、これら二つの電極部820の各下面820Bは基材400の下面400Bから露出している。第6の実施形態において、金属層800が第1の金属層の一例であり、これら二つの電極部820が外部電極の一例である。
【0175】
また、金属層300の電極部320は金属層800の電極部820に接続され、電極部320の上面320Aは基材400の上面400Aから露出している。金属層300は第2の金属層の一例であり、電極部320は内部電極の一例である。
【0176】
図48に示すように、電極部820の下面820B及び端面820C、並びに電極部320の上面320Aにめっき膜460が形成されている。
【0177】
第6の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、より薄化することができる。
【0178】
多層基板6の製造に際しては、例えば、金属層100と同様にして金属層800を形成し、金属層800を金属層300と拡散接合等により接合して一体化する。
【0179】
なお、金属層同士の接合は拡散接合に限定されない。例えば、はんだ又は金属ペースト等の導電性接合材を塗布等により金属層間に設け、導電性接合材を介して金属層同士を接合してもよい。
【0180】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0181】
1、3、5、6 多層基板
2、4 電子部品
10、20、30 金属板
51、52 インダクタ
60 半導体チップ
70 受動部品
80 モールド樹脂
100、200、300、500、600、700、800 金属層
110、210、510、610 巻線部
113、213、513、613、713、813 導体部
120、220、320、520、620、720、820 電極部
214、614 突起部
400 基材
430 絶縁膜
440 磁性体
710 Ω形状部
810 蛇行部
図1
図2
図3
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図5
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