(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】複数のリフトアウト針を含むチップ、マイクロマニピュレータ及びマイクロマニピュレータを調製するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20230621BHJP
B25J 7/00 20060101ALI20230621BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20230621BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20230621BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H01J37/317 D
B25J7/00
G01N1/28 F
H01J37/20 Z
H01J37/305 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019176863
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】201821605469.8
(32)【優先日】2018-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ロブ ラウス ジュニア
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0338076(US,A1)
【文献】特開2005-308400(JP,A)
【文献】特開2007-108042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
B25J 7/00
G01N 1/28
H01J 37/20
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップであって、
基材と、
複数のロッドであって、自立しており、前記基材から離間しており、互いから離間しており、各ロッドが、長手方向に、第1の端部分および第2の端部分を有する、複数のロッドと、
前記複数のロッドの各々を、その両方の長手方向の端部分においてそれぞれ接続し、それらを前記基材に保持するためのコネクタと、を備え、
各ロッドが、その第1および第2の端部分の両方において、前記コネクタからロッドを切断することによって、マイクロマニピュレータによる使用のために前記チップから離して個々に持ち上げられ得る、チップ。
【請求項2】
前記ロッドおよび前記コネクタが、一体的に形成され得る、請求項1に記載のチップ。
【請求項3】
前記コネクタが、前記基材から直接延在するアンカーを含み、前記ロッドをそれぞれその第1および第2の端部分の両方において前記コネクタに接続するための、前記基材から離間したタブをさらに含む、請求項2に記載のチップ。
【請求項4】
前記タブが、その第1および第2の端部分の両方において前記コネクタから各ロッドを解放するために、前記タブが切断され得るように構成されている、請求項3に記載のチップ。
【請求項5】
各ロッドが、その第1および第2の端部分にそれぞれ、原位置で前記マイクロマニピュレータに取り付けるための自由先端部を有する、請求項3に記載のチップ。
【請求項6】
自由端部を備えたマイクロマニピュレータであって、前記マイクロマニピュレータの前記自由端部が、それに取り付けられた針を有し、これが請求項1~5のいずれか一項に記載のチップから切断された前記ロッドとして構成されている、マイクロマニピュレータ。
【請求項7】
マイクロマニピュレータを調製するためのシステムであって、
請求項1~5のいずれか一項に記載のチップと、
請求項6に記載のマイクロマニピュレータと、
ロッドを前記マイクロマニピュレータの前記自由端部に固定的に取り付けるための手段と、を備える、システム。
【請求項8】
前記システムが、固定具をさらに含み、その上で前記チップは、前記ロッドが、前記マイクロマニピュレータの前記自由端部と一致する角度で配向され、前記ロッドの前記第1の端部分が、前記マイクロマニピュレータの前記自由端部に当接するように装着されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムが、前記チップから前記ロッドをダイシングのための切断手段をさらに含み、前記第1の端部分が最初に、かつ前記第2の端部分が2番目に切断される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが、前記チップを切断手段に面するように回転させるための手段、および/または前記ロッドを前記マイクロマニピュレータに取り付けるために前記ロッドを回転させるための手段をさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記マイクロマニピュレータの前記自由端部が、各ロッドの自由先端部の形状に適合するように成形され得る、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
チップであって、
基材と、
複数のロッドであって、前記基材から離間しており、互いから離間しており、各ロッドが、長手方向に、第1の端部分および第2の端部分を有する、複数のロッドと、
前記複数のロッドの各々をその前記第1の端部分および前記第2の端部分のうちの少なくとも1つに接続するためのタブと、
前記ロッドおよび前記タブを前記基材に保持するための支持要素と、を備え、
各ロッドが、ロッドをそのタブから切断することにより、マイクロマニピュレータによる使用のために前記チップから離れるように個々に持ち上げられ得る、チップ。
【請求項13】
前記ロッドが、前記基材の少なくとも1つの一端部において、前記基材によって前記支持要素を介して支持されている、請求項12に記載のチップ。
【請求項14】
前記チップが、前記支持要素を前記基材に接続するために、前記支持要素の下および前記基材上にピアをさらに含む、請求項12または13に記載のチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロマニピュレータによって使用される複数のリフトアウト針を含むチップと、マイクロマニピュレータと、マイクロマニピュレータを調製するためのシステムと、を含む。
【背景技術】
【0002】
リフトアウト(LO)技術は、サイト固有の透過型電子顕微鏡(TEM)および他の分析用途に活用されている。リフトアウト技術を用いると、試料は、最初の試料調製をほとんどまたはまったく行わずに、開始バルク試料から調製され得る。これは、元のウエハまたはバルク試料の破壊調製が回避され得るため、故障または欠陥分析を実行するときに特に有用である。
【0003】
リフトアウト技術を使用するには、域外でのLO(EXLO)用のマイクロマニピュレータステーション、またはその場でLO(INLO)用の真空対応マイクロマニピュレータプローブアセンブリのいずれかを必要とする。例えば、当技術分野でよく知られているように、マイクロマニピュレータまたはマイクロマニピュレータアセンブリは、ラメラをさらなる薄厚化(例えば、ラメラを電子透過性まで薄くする)および/または分析のために、バルク試料からTEM(透過型電子顕微鏡)グリッドに転送するために使用される。
【0004】
現在の慣行によれば、ラメラリフトアウト技術は、マイクロマニピュレータの端部をロッド、例えば、約1.5~2μm平方と50~70μm長(角度補正なしでFIBから測定)の針にその場で成形(例えば、FIB(集束イオンビーム)フライス加工)するための工程、通常は自動化された工程、を付加的に含む。
【0005】
例えば、JP2010181339に記載されているように、マイクロマニピュレータの先端部分は、先端部から材料を除去する前に集束イオンビームで処理されて、所望の針の形状およびサイズを形成する。マイクロマニピュレータの先端部分は、位置および配向を変更するための移動機構により、異なる方向からFIBミルされる。操作中に操作器の先端部に汚染や損傷がある場合でも、操作器の先端部は、FIBによって再利用可能な形状に再生される。
【0006】
しかしながら、操作中に汚染や損傷がない場合でも、形成された針は、リフトアウトプロセス中に継続的に消費されるであろう。例えば、所望の針の形状およびサイズに繰り返しフライス加工されることに加えて、ラメラがリフトアウトグリッドにドロップオフされるたびに、針の一部が消費される。そのため、マイクロマニピュレータの針端は、ロッドが使われると:平面およびトップダウンラメラごとに2μmが消費され、逆ラメラごとに3μmが消費される、再形成(すなわち、再フライス加工)される必要がある。例えば、EasyLift針(従来技術における針の一種)の端部形状は、円錐から長い正四角柱、すなわち針への周期的なFIB再成形によって制御される。
【0007】
針が消費される際、(
図1に示されるように)プローブ尖鋭化プロセスによって除去される材料の量が増加し、それに応じて、EasyLift針の端部形状を成形するために必要な時間も増加する。例えば、端部形状を所望の針に再形成するには、約30~75分かかる。最後に、ある時点で、端部形状を所望の針に再形成することは実用的ではなくなり、端部形状を新しいものと交換するために室を通気しなければならない。これらはすべてシステムの稼働時間を低減させ、全体の操作を非効率にする。
【0008】
そのため、当技術分野では、マイクロマニピュレータの端部形状を管理するために必要な時間を大幅に低減させる必要がある。数分で達成され得るプロセスが望ましい。加えて、マイクロマニピュレータの端部形状を交換する頻度がはるかに低いことは、リフトアウトプロセス全体にとって非常に重要である。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本発明は、チップであって、基材と;複数のロッドであって、自立しており、基材から離間しており、互いから離間しており、各ロッドが、長手方向に第1の端部分および第2の端部分を有する、複数のロッドと;複数のロッドの各々をその両方の長手方向の端部分においてそれぞれ接続し、基材にそれらを保持するためのコネクタと;を備える、チップを提供し、各ロッドは、その第1および第2の端部分の両方において、コネクタからロッドを切断することによって、マイクロマニピュレータによる使用のためにチップから離して個々に持ち上げられ得る。
【0010】
かかるチップにより、ロッドは、マイクロマニピュレータの端部上に取り付けるために簡単に製造され得、そのロッドは、次いで所望の針になる。これははるかに高速なプロセスであり、数分で達成され得る。また、端部形状は交換する必要があり、試料室の換気頻度がはるかに少ないため、ツールおよびプロセスのより長い稼働時間をもたらす。
【0011】
好ましくは、ロッドおよびコネクタは、一体的に形成され得る。
【0012】
理想的には、コネクタは、基材から直接延在するアンカーを含み、ロッドをそれぞれ第1および第2の端部分の両方でコネクタに接続するための、基材から間隔を空けたタブをさらに含む。アンカーとタブを使用して、チップを形成するためのシンプルで信頼性の高い方法でロッドを基材に接続する。
【0013】
タブが、その第1および第2の端部分の両方において、コネクタから各ロッドを解放するために、切断され得るように構成されることが可能である。
【0014】
さらに、各ロッドは、その第1の端部分および第2の端部分にそれぞれ、原位置でマイクロマニピュレータに取り付けるための自由先端部を有し得る。
【0015】
第2の態様では、本発明は、自由端部を備えたマイクロマニピュレータを提供し、マイクロマニピュレータの自由端部が、それに取り付けられた針を有し、これが上記のチップから切断されたロッドとして構成される。かかるマイクロマニピュレータは、針の端部形状を管理するために必要な時間を大幅に短縮するであろう。
【0016】
第3の態様では、本発明は、マイクロマニピュレータを調製するためのシステムを提供し、上記で定義されたチップと、上記で定義されたマイクロマニピュレータと、マイクロマニピュレータの自由端部にロッドを固定的に取り付けるための手段と、を備える。
【0017】
好ましくは、記システムは、固定具をさらに含み、その上でチップは、ロッドがマイクロマニピュレータの自由端部と一致する角度で配向され、ロッドの第1の端部分がマイクロマニピュレータの自由端部に当接するように取り付けられる。
【0018】
特に、システムは、第1の端部分が最初に切断され、第2の端部分が2番目に切断される状態で、チップからロッドをダイシングするための切断手段をさらに含むことができる。
【0019】
理想的には、システムは、チップを回転させて切断手段に面するための手段および/またはロッドを回転させてマイクロマニピュレータに取り付けるための手段をさらに含む。
【0020】
マイクロマニピュレータの自由端部は、各ロッドの自由先端部の形状に適合するように成形され得るということが、考えられる。
【0021】
第4の態様では、本発明は、チップであって、基材と;複数のロッドであって、基材から離間しており、互いから離間しており、各ロッドが、長手方向に第1の端部分および第2の端部分を有する複数のロッドと;複数のロッドの各々をその第1の端部分および第2の端部分のうちの少なくとも1つと接続するためのタブと;ロッドおよびタブを基材に保持するための支持要素と、を備える、チップを提供し、各ロッドは、そのタブからロッドを切断することによって、マイクロマニピュレータによる使用のためにチップから離して個々に持ち上げられ得る。
【0022】
かかるチップにより、ロッドは、チップから簡単に切断され得、マイクロマニピュレータの端部上に取り付けられ得る。また、端部形状は交換する必要があり、試料チャンバの換気頻度がはるかに少ないため、ツールおよびプロセスのより長い稼働時間をもたらす。
【0023】
好ましくは、ロッドは、基材の少なくとも一端で、基材によって支持要素を介して支持される。
【0024】
有利には、チップは、支持要素を基材に接続するために、支持要素の下および基材上にピアをさらに含む。この場合、アンカーは、基材まで届かない場合があり(すなわち、基材に延在するアンカーがない)、代わりにピアが基材に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、実施形態を示し、および説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0026】
【
図1】従来技術で既知の円錐形の針から尖鋭化された、マイクロマニピュレータの針の図である。
【
図2】延長ロッドを製造するための方法の第1の実施形態を示し、チャネルおよび穴が除去可能な材料に、または除去可能な材料を通して、基材に形成される。
【
図3】間にコネクタを有する複数のロッドを含むチップの例示的な斜視図である。
【
図4】ロッドの一端をチップから開放するためにいくつかのタブが切断されたチップの例示的な平面図である。
【
図5】マイクロマニピュレータとロッドの一端とを位置合わせする方法の工程の例示的な図である。
【
図6】ロッドをマイクロマニピュレータの自由端部に取り付けるためのデュアルビームシステムの実施形態の例示的な図である。
【
図7】
図6に示されるシステムのハードウェアの例の例示的な図である。
【
図8】ロッド材料の層が基材上に堆積された延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図9】ロッド材料の層上にフォトレジストが堆積された延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図10】フォトリソグラフィによりフォトレジストが露光された延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図11】フォトレジストのパターンが現像された延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図12】ロッド材料の層がパターンに従ってエッチングされた延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図13】フォトレジストが剥離された延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図14】基材の一部がエッチングされた延長ロッドを製造するための方法の第2の実施形態を示す。
【
図15】
図8~
図12に示される実施形態に従って作製されたチップの例示的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を実行するように構成された任意の数の方法および装置によって実現され得ることを容易に理解するであろう。また、本明細書で言及される添付の図は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張される場合があり、その点で、図は限定するものであると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0028】
本開示は、バルク試料からラメラを移転させるために使用されるマイクロマニピュレータおよびその付属品に関する。マイクロマニピュレータの磨耗後および/または使用中に、マイクロマニピュレータの端部を所望の針形状にその場で成形および尖鋭化する代わりに、既成ロッド(または既成延長部)をマイクロマニピュレータの自由端部に取り付けて、目的の針を提供する。
【0029】
ロッドは、所望の針を提供するために、溶接、接着、または他の既知の機構などのさまざまな方法で、マイクロマニピュレータの端部に固定してもよい。例えば、ロッドが操作器に機械的に取り付けられている場合、ロッドを有するキャリアをシステムに入れ、適切な機械的保持システムを使用して操作器の端部上をクリックする。FIBスパッタリングから再堆積した材料を使用してロッドを操作器の端部に固定する、他の化学薬品を使用しない技術もまた、可能である。ただし、針の構造に対する要件がより低く、時間が短く、構造の安定性に対する信頼性が高いため、溶接が好ましい。
【0030】
操作器の端部形状から硬質タングステン針をその場でフライス加工する場合と比較すると、マイクロマニピュレータの端部へのロッドの付加的な(または個別の)取り付けは、はるかに高速なプロセスであり、例えば、GIS(通常、電子ビームまたはイオンビームのいずれかと連動して、例えば、タングステンなどの溶接材料の電子ビーム誘起堆積(EBID)またはイオンビーム誘起堆積(IBID)を取得するガス注入システム)を有する溶接手段によって、数分で達成され得る。加えて、マイクロマニピュレータの端部は交換される必要があり、マイクロマニピュレータの端部は消費されないか、少なくとも消費されにくいため、試料室の排気頻度ははるかに低くなる。
【0031】
本開示では、異なって成形された既成ロッドが、開示される。ロッドの断面は、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形、または他の適切な規則的または不規則な形状であってもよい。さらに、ロッドはまた、異なる長さであってもよい。ロッドは、異なる材料または構築技術である場合がある。ロッドとして、材料の長い区分が、マイクロマニピュレータに取り付けられて針を提供することができるため、操作中の全体的な効率は、大幅に向上されるであろう。例えば、一度針が消費されると、新しいロッドは、マイクロマニピュレータの端部を交換する代わりに、マイクロマニピュレータの端部に溶接などで取り付けられ得、このことはシステムのダウンタイムを必要とする。
【0032】
いくつかの実施形態では、ロッドは、FIB顕微鏡内で(例えば、事前に作製された金型上のタングステン堆積およびXeF2を使用して)原位置で製造されるが、他の実施形態では、それらは(例えば、別の作業ステーションにおいて、または操作全体とは完全に分離されて)原位置で事前に作製される。
【0033】
ロッドは、個別に事前に作製され得るが、これらのロッドがそれらのサイズおよび形状においてよりはるかに多く繰り返し可能となるように、大量生産で事前作製されることが望ましい。しかし、どちらの場合においても、システムの内部のツール(例えば、荷電粒子顕微鏡または同様のデバイス)内で多数の既製ロッドを保管することが望ましく、このためロッドのうちの1つが消費される時間毎に、試料室を通気して再ポンプする必要性を無くす。
【0034】
このようなロッドを製造する第1の実施形態は、(
図2~
図3に示されるような)詳細に説明されるシリコンウェハ(モールド100と称される)などの基材を使用することである。
【0035】
・第1の工程において、容易に除去可能な材料の層102(「犠牲層」とも呼ばれる)が、ベアシリコン基材などの基材104上に堆積される。代替的に、除去可能な材料102は、基材104の上部上で増加させてもよい。除去可能な材料102は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリイミド、または当技術分野で既知の他の任意の材料とされ得る。基材104は、基材104上で互いに対向する、第1の端部分および第2の端部分を含む。除去可能な材料102はまた、その上に対応する端部分も有する。「端部分」という用語は、本開示の文脈において、縦方向または横方向のいずれかの端部分であってもよい。
【0036】
・第2の工程において、複数の穴106が、除去可能な材料102を通り、基材104に形成される(例えば、エッチングされる)。
ほとんどの場合、各穴は、除去可能な材料102を通って基材104に延在し、このため除去可能な材料102内の穴は、その下の基材104内の穴と整列する。本明細書では、テーパー穴またはいくつかの工程を有する穴など、すべての可能な形状の穴が考えられる。
有利には、これらの穴106は、基材104上の1つまたは複数の列内に位置決めされる。基材104の最終的なチップ部分、特に最終的なチップの第1の端部分の端部付近に少なくともいくつかの穴106が形成されている。好ましくは、穴106は、2つのグループ、すなわち、最終的なチップ200(および除去可能な材料102)上で互いに対向して位置する複数の第1の穴と複数の第2の穴、すなわちチップ200(および除去可能な材料102)の対向する端部分に分割される。複数の第1の穴の数は、複数の第2の穴の数と同じであっても、同じでなくてもよい。一実施形態では、
図4に最もよく示されるように、複数の第1の穴および複数の第2の穴は、それぞれ基材104の第1の端部分および第2の端部分の付近に位置する。
【0037】
・第3の工程において、
図2に最もよく示されるように、複数のチャネルが、基材104ではなく除去可能な材料102に形成される(例えば、エッチングされる)。
複数の第1のチャネル108は、除去可能な材料102のうちの一端部分から他方まで形成される。基材104上および除去可能な材料102内に複数の第1の穴のみがあるとき、複数の第1のチャネル108は、複数の第1の穴と除去可能な材料102の他の端部(すなわち第2の端部分)との間に延在してもよい。複数の第1の穴および複数の第2の穴の両方があるとき、複数の第1のチャネル108は、除去可能な材料102内の複数の第1の穴と複数の第2の穴との間に延在してもよい。
しかしながら、「AはBとCとの間に広がる」という語句は、AとBとの間、またはAとCとの間の直接接続に限定されず、BとCに対するAの相対的な場所を説明するだけである。
代替的に、複数の第1のチャネル108は、複数の第1の穴および/または複数の第2の穴を超えて延在する(ただし、依然として除去可能な材料102の境界内にある)が、第1および/または第2の穴を超える第1のチャネル108の延長は必ずしも必要ないということが有利であり得る。
複数の第2のチャネル110は、隣接する複数の第1の穴または隣接する複数の第2の穴の間に形成されてもよい。換言すると、複数の第2のチャネル110は、第1の穴または第2の穴から複数の第1のチャネル108うちのそれぞれのチャネルまで個別に延在してもよく、そのため複数の第1の穴および複数の第2の穴が接続される。
本開示において、第2の工程および第3の工程は、疑いなく、ロッド120の製造に影響を与えることなく、それらのシーケンスを交換してもよい。
【0038】
・第4の工程の工程において、タングステンなどの充填材料が、チップ200上に堆積され、除去可能な材料102および基材104内に形成された穴106およびチャネルを充填する。この工程では、多数のロッド120およびそれらのコネクタ130が形成される。
【0039】
・オプションの工程である第5の工程において、チップは、チップを再平坦化するために、除去可能な層の上部に化学機械研磨(CMP)される。
【0040】
・第6の工程において、除去可能な層(すなわち、犠牲層)は、基材104から除去され、ロッド120およびそれらのコネクタ130が露出される。例えば、タングステンロッドを包む犠牲層は、エッチング除去される。犠牲層の除去に続いて、基材104は、ダイシングされて、チップ200を形成する。
図3に最もよく示されるように、ロッド120は、少なくともその一端部、好ましくはそれらの両方の端部上で互いと接続される。ロッド120は、それらのコネクタ130を越えて延在し、このため、それぞれ1つの側面または両方の側面上に自由端部を個々に有してもよい。
ロッド120およびそれらのコネクタ130は、除去可能な層102においてのみ、例えばタングステンで第1および第2のチャネル108、110を充填することによって形成されるので、それらは、それらの下の基材104から離間される。ロッド120をその一端部または両方の端部において接続するためのコネクタ130はまた、「タブ」とも称され得る。
ロッド120およびそれらのタブ130は、除去可能な層および基材104の両方において、第1および第2の穴を充填材料、例えばタングステンで充填することによって形成される、いわゆるポストまたはアンカー140によって基材104に接続される。そのため、タングステンロッド120は、これらのポスト140によってSi基材のエッチングされていない領域に接続された、いくつかのタングステンタブ130を除いて自立していることになる。
【0041】
多数のロッド120と、自由端部を有するロッドを備えたそれらのコネクタ130と、を含む基材104は、本開示の文脈において「チップ」と呼ばれる場合がある。
図2~
図3は、チップ200、複数のロッド、およびチップ200上にロッドを形成するプロセスを示しながら、プロセスは、複数のロッドを含有する個々のチップ200を形成するために、続けてダイシングまたは開裂されるウエハ上で実行される可能性があることを理解されたい。チップ200は、除去可能な層が基材から除去された後にダイシングされ得る。これは、ロッドの大量生産により好適である。後者の場合、上記の穴およびチャネルは、ウエハ上のアレイ内に形成され得、特にロッドを形成するためのチャネルは、それぞれのチャネル上に穴が並んだ長く、連続的なチャネル(特に互いに対して平行な線形チャネル)であり得る。
【0042】
チップ200上の各ロッド120は、例えば、2つの隣接するロッド120間のコネクタ130(すなわち、タブ)を切断することによって、基材104から切り離されてもよい。切断工程は、当技術分野で既知の従来の切断手段によって実行されることになる。
【0043】
加えて、完成したロッド内の基準として機能するように、チャネルに特徴をエッチングすることが可能である。これらの基準は、マイクロマニピュレータの端部を位置付ける際にマシンビジョンを支援し、および/またはロッドがどれだけ残っているかの視覚的表示器として機能することができる。ロッドに基準を追加することは、自動リフトアウトプロセスを改善し、プロセスを自動化して、ロッドがいつ使用されたかを判定する絶好の機会を提供する。
【0044】
上記の工程は、ロッドの製造の例示の実施例にちょうど属する。チャネルの断面およびチャネルと穴の両方のサイズは、制限されず、実際の需要に応じて変更され得る。
【0045】
代替的に、ロッドを備えたチップを製造する第2の実施形態は、ロッド材料の層および基材の一部(または他の犠牲層)を直接エッチングすることである。(
図8~
図13に示されるように)第1と第2の実施形態との間の主な違いは、ここで詳細に説明されることになる。
【0046】
・第1の工程において、基材(例えば、シリコン基材)が提供される。基材は、基材上で互いに対向する第1の端部分および第2の端部分を含む。
【0047】
・第2の工程において、ロッド材料の層は、上記の基材上で堆積または代替的に増加される。ロッド材料の層と基材との間の層は、ここでは除外されない。「ロッド材料の層」という用語は、ロッドを作成するために使用される材料の層、またはロッドがこのロッド材料の層から直接形成されることを意味する。
【0048】
・第3の工程において、上記ロッド材料の層は、2つの隣接するロッドの間に接続されたタブを備えた複数のロッドに形成、特にエッチングされてもよい。ロッドは、第1の端部分から第2の端部分まで延在し、それぞれ2つの対向する自由端部を有する。さらに、上記タブが接続される上記ロッド材料の層内に支持要素がある。換言すると、ロッド材料の層の残りの部分は、エッチング後、少なくともロッド、タブ、および支持要素を含む。ここでは、等方性エッチングが好ましい。エッチングは、ドライエッチングまたはウェットエッチングのどちらかであり得る。レーザーミリングなどの他の方法は、製造し易くはなく、より費用がかかる。
【0049】
・第4の工程において、上記ロッド材料の層の下にある材料の層は、この材料の層がロッド材料の層の支持要素に支持体のみを提供するように、形成、特にエッチングされてもよい。ここでは、異方性エッチングが好ましい。
【0050】
好ましくは、ロッド(およびロッド材料の層)のために選択された金属の選択に応じて、ロッド材料の下の基材の上部に堆積または増加した犠牲層があってもよい。犠牲層または除去可能な材料の層は、上記の第2の工程の前に基材の上部に堆積または増加させられ得る。この場合、上記ロッド材料の層の下の上記材料のエッチングされた層は、上記除去可能な材料の層を含む。しかし、犠牲層が提供されないとき、上記ロッド材料の層の下にある上記材料のエッチングされた層は、基材の一部を含む。
【0051】
さらに、この犠牲層または除去可能な材料のこの層は、犠牲層を優先的にエッチングし、ロッド材料層に損傷を与えない異方性エッチングが存在するように選択されてもよい。例えば、タングステンがロッド材料として選択される場合、次いでSiOxの犠牲層が、ロッド材料層の下に使用され、HFがSiOxをエッチングするために使用され、タングステンを残すことになる。アルミニウムがロッドの作製に使用される場合、犠牲層は作成されず、XeF2がSi基材のエッチングに使用され、アルミニウムを残すことになる。
【0052】
図8~
図15に示される実施形態では、ロッド材料の層の支持要素は、基材の第1の端部分および第2の端部分のうちの1つにおいて、またはその付近に端部分を含む。上記ロッド材料の層の下の材料の層は、支持要素の端部分に支持体を提供するような方法でエッチングされる。
【0053】
しかし、そのような支持体は、端部分に限定されないことが理解される。
図13に最もよく示されるように、上記ロッド材料の層の下の上記材料層は、ピアがロッド材料の層の支持要素の下に形成されて、それらを支持するような方法でエッチングされる。
【0054】
さらに、方法の第2の実施形態は、ロッド材料の層の上部にフォトレジストを堆積または増加させ、例えば、第3の工程の前にフォトリソグラフィを介して上記フォトレジストをパターンに形成する工程をさらに含み得る。この場合、第3の工程において、上記ロッド材料の層は、上記パターンに従ってエッチングされる。しかしながら、このパターンからの逸脱は、ここでは除外されない。
【0055】
上述の第2の実施形態によれば、ロッドを有するチップは、ロッドを接続するためのタブと、ロッドおよびタブを基材に保持するための支持要素と、を伴い形成され得る。換言すると、ロッドは、例えば、基材の一端部において、基材によって支持要素を介して支持されてもよい。また、ピアは、ロッド材料の層の支持要素と基材との間の支持体(媒体)として考えられる。
【0056】
第2の実施形態では、第1の実施形態と比較したとき、アンカーは、必ずしも基材まで完全に達するとは限らず(すなわち、第1の実施形態の場合のように基材に延在するアンカーがない)、ピアが基材に接続する。第2の実施形態において基材の上部に犠牲層が任意追加的にある場合、犠牲層からエッチングされたピアが基材とロッド材料の層(すなわち、その支持要素)との間に延在するため、アンカーが基材に接触することはない。
【0057】
そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態のアンカー設計は、基材に沈んだポストから、ロッドを残りの上部ロッド材料層に(機械的および/または電気的に)接続するピアに変更される。これにより、ロッドを電気的に接地する機能を維持しながら、犠牲層の選択に関してより大きい柔軟性を可能にする。副次的な利点として、これはまた、ロッドが基材を誇張していない(または少なくとも基材にそれらを凹ませる準備をする必要はない)ので、取り扱い中の物理的損傷からある程度の保護をロッドに与える。
【0058】
次に、
図4~
図5に示されるように、ロッドを原位置でマイクロマニピュレータに取り付ける例示的な実施形態が、説明される。
【0059】
ロッドをマイクロマニピュレータに取り付けるために、システム(加えて、
図6~
図7に示されるデュアルビームシステムを参照)または作業ステーションが、本開示に含まれる。
【0060】
かかるシステムは、マイクロマニピュレータ160およびチップ200に加えて、マイクロマニピュレータ160の自由端部にロッド120を固定的に取り付けるための手段を少なくとも含む。このような手段は、以下でさらに説明されることになる、いくつかの構成要素を含んでもよい。さらに、システムは、必要なときに使用することができるチップを保管するためのチップ在庫ボックスを含む。
【0061】
例えば、システムは、このチップ200内のロッド120が、マイクロマニピュレータ160の自由端部に一致する角度において配向され、ロッド120の第1の端部分122が、マイクロマニピュレータ160の自由端部に抗して当接するような方法で、チップ200が取り付けられる固定具(図示せず)を含んでもよい。代替的に、チップ全体をマイクロマニピュレータの自由端部に一致する角度において配向することも可能であり、そのため複数のロッドが、角度に一致するように配向され得る。場合によっては、マイクロマニピュレータ160の端部はまた、事前に製作されたロッドに溶接することができるように、あるポイントにある程度の小さな形状も必要とするが、これは他の場合において必ずしも必要ではない。
【0062】
(例えば、標準タングステンGISプロセスを使用することにより)ロッド120がマイクロマニピュレータ160上に溶接される実施形態では、チップ200は、FIBに面するように回転される。ここで、切断手段に面するようにチップ200を回転させるための手段および/またはロッドを回転させてマイクロマニピュレータ160にそれを取り付けるための手段が、システム内に付加的に含められてもよい。
【0063】
次いで、
図4に明確に示されるように、このロッド120のためのタブ130のうちの1つを除くすべてが切断される。隣接するロッドを接続するために、両方の長手方向の端部上にタブ130を有するロッド120に関して、3つの切断が、この工程において行われる。その一端部上にのみタブ130を有するロッド120に関して、1つの切断が行われる。この場合、システムは、第1の端部分が最初に切断され、第2の端部分が2番目に切断される状態で、チップ200からロッド120をダイシングするための切断手段を含む。
【0064】
代替的に、2つの直接隣接するタブは、マイクロマニピュレータの自由端部への取り付け(基材からの分離)、例えば溶接が実行されるまで、切断されない場合がある。この場合、(単一のタブの代わりに)2つの最も近いタブを切断しないでおくと、できる限り曲げが少なく溶接により良く働く。
【0065】
一度タブが切断されると、ロッド120が、
図5に示されるようにマイクロマニピュレータ160に対して平行となるように、チップ200は、回転される。次いで、タングステンロッド120は、タングステンIBID(または他の何らかの材料)を使用してタングステン針に溶接される。最後のタブが切断され、ロッドは、チップ200から離して持ち上げられる。
【0066】
一度ロッド120がマイクロマニピュレータの自由端部に取り付けられると(基材からの分離)、溶接は、ロッド120を回転させること(例えば、180度により、その反対側から溶接を強化する)、かつ接合部でより多くのタングステンを追加することによって、強化され得る。ただし、この手順は、任意である。マイクロマニピュレータ160は、次いで、延長部の端部に再整列され、ロッド120が消費されるまで使用される。
【0067】
このシステムの固定具は小さく、おそらく試料室内に残される可能性があるため、新しいロッドの溶接手順全体が完全に自動化され、ユーザにとって途切れがないということに留意すべきである。
【0068】
図6は、上記の方法を実行するためのシステムの実施形態を示す。このシステムは、垂直に取り付けられたカラム106(例えばSEMカラム)と、垂直からある角度(例えば、約52度の角度)で取り付けられた集束イオンビーム(FIB)カラムと、を備えたデュアルビームシステム10である。針を備えた操作器は、上述のようにチップ200からのロッドを使用することによって交換され得る。このようなデュアルビームシステムは、例えば、本出願の譲受人であるオレゴン州ヒルズボロのFEI Companyから市販されている。
【0069】
このシステムの詳細については、このシステムの特定の実施例が、
図7に示される。適切なハードウェアが以下に提供されるが、本発明は、特定のタイプのハードウェアで実装されることに限定されない。
【0070】
走査電子顕微鏡41は、電源および制御ユニット45とともに、デュアルビームシステム10を備えている。電子ビーム43は、カソード52とアノード54との間に電圧を印加することによって、カソード52から放出される。電子ビーム43は、集光レンズ56および対物レンズ58を用いて微細なスポットに集束される。電子ビーム43は、偏向コイル60を用いて試料上で2次元的に走査される。集光レンズ56、対物レンズ58、および偏向コイル60の動作は、電源および制御ユニット45によって制御される。
【0071】
電子ビーム43は、下部室26内の可動XYステージ25上にある、基材104上に集束させることができる。電子ビーム中の電子が基材104に衝突するとき、二次電子が放出される。これらの二次電子は、以下で説明されるように二次電子検出器40によって検出される。TEM試料ホルダ24およびステージ25の下に位置付けられたSTEM検出器62は、上述のようにTEM試料ホルダ上に取り付けられた試料を透過する電子を収集することができる。
【0072】
デュアルビームシステム10はまた、イオン源14と、抽出電極を含む集束カラム16と、静電光学システムと、がその中に位置付けられた、上部ネック部分12を有する真空室を備える集束イオンビーム(FIB)システム11を含む。集束カラム16の軸は、電子カラムの軸から、例えば52度の角度で傾斜している。イオンカラム12は、イオン源14と、抽出電極15と、集束素子17と、偏向素子20と、集束イオンビーム18と、を含む。集束イオンビーム18は、イオン源14から集束カラム16を通り、基材104に向かって20で模式的に示される静電偏向手段の間を通過し、これは、例えば、下部室26内の可動XYステージ25上に位置決めされた半導体デバイスを備える。
【0073】
ステージ25は、水平面内(XおよびY軸)および垂直方向(Z軸)に好ましくは移動することができる。ステージ25はまた、約60度傾斜し、Z軸の周囲を回転することもできる。いくつかの実施形態では、別個のTEM試料ステージ(図示せず)が使用され得る。このようなTEM試料ステージはまた、X、Y、およびZ軸内で好ましくは移動可能である。ドア61は、基材104をXYステージ25に挿入するために、また内部ガス供給リザーバが使用されている場合にはそれを保守するために開放される。ドアは、インターロックされているため、システムが真空状態の場合は開放することができない。
【0074】
イオンポンプ68は、ネック部分12を排気するために用いられる。室26は、真空制御装置32の制御下で、ターボ分子および機械的ポンプシステム30を用いて排気される。真空システムは、室26内に約1×10-7トル~5×10-4トルの真空を提供する。エッチング支援ガス、エッチング遅延ガス、または堆積前駆体ガスが使用される場合、室のバックグラウンド圧力は、典型的に約1x10-5トルまで上昇してもよい。
【0075】
高電圧電源は、イオンビーム18にエネルギを与えて集束させるために、集束カラム16内の電極に適切な加速電圧を提供する。それが基材104に衝突するとき、材料は、試料からスパッタされ、物理的に排出される。代替的に、イオンビーム18は、前駆体ガスを分解して、材料を堆積させることができる。
【0076】
高電圧電源34は、約1keV~60keVのイオンビーム18を形成し、それを試料に向かって方向付けるために、液体金属イオン源14ならびにイオンビーム集束カラム16内における適切な電極に接続される。パターン発生器38によって提供される所定のパターンに従って動作する偏向制御器および増幅器36は、偏向板20に結合され、それによりイオンビーム18は、手動または自動で制御されて、基材104の上面の対応するパターンを追跡することができる。一部のシステムでは、当技術分野で既知のように、偏向板は、最終レンズの前に設置される。イオンビーム集束カラム16内のビームブランキング電極(図示せず)は、ブランキング制御装置(図示せず)がブランキング電極にブランキング電圧を印加するとき、基材104の代わりにブランキングアパーチャ(図示せず)にイオンビーム18を衝突させる。
【0077】
液体金属イオン源14は、ガリウムの金属イオンビームを典型的に提供する。源は、典型的に、イオンミリング、強化エッチング、材料堆積により基材104を修正するため、または基材104を画像化する目的のために、基材104においてサブ1/10マイクロメートル幅のビームに焦点を合わせることができる。
【0078】
二次イオンまたは電子放出を検出するために使用されるEverhart Thornleyまたはマルチチャネルプレートなどの荷電粒子検出器40は、ビデオモニター44に駆動信号を供給し、システム制御装置19から偏向信号を受信するビデオ回路42に接続される。下部室26内の荷電粒子検出器40の場所は、異なる実施形態において異なる場合がある。例えば、荷電粒子検出器40は、イオンビームと同軸であり、イオンビームを通過させるための穴を含むことができる。他の実施形態では、二次粒子は、最終レンズを通して収集され、次いで、収集のために軸からそらされ得る。
【0079】
テキサス州ダラスのOmniprobe, Inc.から入手可能なAutoProbe 1000(商標)、またはドイツのロイトリンゲンのKleindiek Nanotechnikから入手可能なModel MM3Aなどのマイクロマニピュレータ160は、真空室内の物体を精密に移動させることができる。マイクロマニピュレータ160は、真空室内に位置決めされた部分49のX、Y、Z、およびシータ制御を提供するために、真空室外に位置決めされた精密電気モータ48を備えてもよい。マイクロマニピュレータ160は、小さな物体を操作するための異なるエンドエフェクタと嵌合され得る。本明細書に記載の実施形態では、エンドエフェクタは、細いプローブ50である。
【0080】
ガス送達システム46は、ガス蒸気を基材104に向かって導入かつ方向付けるために、下部室26に延在する。本発明の譲受人に譲渡された、Casellaらの、米国特許第5,851,413号、表題「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」は、適切なガス送達システム46を説明する。別のガス送達システムは、Rasmussenの米国特許第5,435,850号、表題「Gas Injection System」内で説明され、これもまた本発明の譲受人に譲渡された。例えば、ヨウ素が、エッチングを強化するために送達され、または金属有機化合物が、金属を堆積させるために送達され得る。
【0081】
システム制御装置19は、デュアルビームシステム10の様々な部分の動作を制御する。システム制御装置19を通して、ユーザは、従来のユーザインターフェース(図示せず)に入力されたコマンドを通して、所望の方法でイオンビーム18または電子ビーム43を走査させることができる。代替的に、システム制御装置19は、メモリ21に記憶されたプログラムされた命令に従ってデュアルビームシステム10を制御してもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、デュアルビームシステム110は、マサチューセッツ州ナティックのCognex Corporationから市販されているソフトウェアなどの、画像認識ソフトウェアを組み込んで、関心領域を自動的に識別し、次いでシステムは、本発明に従って試料を手動または自動で抽出することができる。例えば、システムは、複数のデバイスを含む半導体ウエハ上の同様の特徴を自動的に位置付けて、異なる(または同じ)デバイス上でそれらの特徴の試料を取得することができる。
【0083】
上述の実施形態は、既存の堅牢なGIS技術を使用して、マイクロマニピュレータの端部にロッドを原位置で確実に溶接する。しかし、ロッドをマイクロマニピュレータの端部に取り付けるための他の機械的または化学的方法は、本開示の範囲内にある。
【0084】
本発明の革新的なアイデアは、多数の使用可能なロッドを小さなパッケージに詰めることである。ロッドは、顕微鏡の外側で作られ、使用前に顕微鏡の内部で一度に1本ずつ成形される代わりに、必要に応じて形成される。タイムリーな成形プロセスを必要とする技術を一度に1つずつ使用する代わりに、必要なときに使用され得る所望の寸法において、すでにある針の在庫を確認するために、小さいパッケージが、顕微鏡に挿入されてもよい。そのため、このアイデアは、ロッドを関連するシステム/アセンブリ/ステーションに統合することができるため、操作を大幅に簡素化する。
【0085】
比較例として、既存の針尖鋭化プロセスの負担は、操作プロセス全体の3%~8%になる場合がある。原位置でのロッド取り付けの負担は、操作プロセス全体の0.3~0.7%である。針処理能力コスト、さかのぼる準備の負荷、および平面図の準備の負荷に関する詳細な比較については、以下の表1で説明する。
【0086】
いくつかの実施形態では、ロッドの1年間の供給のためのチップは、約7.5mm×0.5mmを測定することができ、これは顕微鏡内に容易に保管することができる。針の消費量とチップサイズの必要条件に関する詳細な比較については、以下の表2で説明する。
【表1】
【表2】
【0087】
本出願の発明は、一般的および特定の実施形態の両方に関して上記で説明された。当業者には、その教示の範囲から逸脱することなく、様々な改変および変形が実施形態において成され得ることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある限り、本発明の改変および変形を包含することが意図されている。