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特許7303641透明なチューブの内径測定のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】透明なチューブの内径測定のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/12 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
G01B11/12 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019037097
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2019152664
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】18159537.2
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハン ハイチマ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック ケテラールス
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-266518(JP,A)
【文献】特開2017-110971(JP,A)
【文献】特開平02-019704(JP,A)
【文献】Jablonski R et al,Laser measurement of form and dimensions of transparent tubular elements,Measurement,Vol.13 No.1,1994年,p. 13-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置であって、
前記物体の前記長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、前記レーザビームは、前記走査方向に直交し、かつ前記物体の前記長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向に前記物体へ誘導される、レーザビームスキャナと、
前記物体から前記第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度、及び、前記物体から前記第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
前記検出アセンブリによって前記第1の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第1のポイントにおいて前記物体の外面に接する前記レーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、前記第1のポイントと直径方向に対向する前記物体の第2のポイントにおいて前記物体の前記外面に接する前記レーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
前記検出アセンブリによって前記第2の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第3のポイントにおいて前記物体の前記外面で反射された前記レーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、前記物体の前記外面で屈折されて前記物体の第4のポイントにおいて前記物体の内面で反射された前記レーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、及び、
n、vs、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて前記物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える装置。
【請求項2】
屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置であって、
前記物体の前記長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、前記レーザビームは、前記物体の前記長手方向軸に直交して誘導され、前記レーザビームは、前記走査経路の第1の部分では前記走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で前記物体へ誘導され、前記走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して前記第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で前記物体へ方向転換される、レーザビームスキャナと、
前記物体から前記第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度、及び、前記物体から前記第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
前記第1の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第1のポイントにおいて前記物体の外面に接する前記レーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、前記第1のポイントと直径方向に対向する前記物体の第2のポイントにおいて前記物体の前記外面に接する前記レーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
前記第2の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第3のポイントにおいて前記物体の前記外面で反射された前記レーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、前記物体の前記外面で屈折されて前記物体の第4のポイントにおいて前記物体の内面で反射された前記レーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、及び、
n、vs、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて前記物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える装置。
【請求項3】
長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置であって、
前記物体の前記長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、前記レーザビームは、前記走査方向に直交し、かつ前記物体の前記長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向に前記物体へ誘導される、レーザビームスキャナと、
前記物体から前記第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度、及び、前記物体から前記第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
前記第1の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第1のポイントにおいて前記物体の外面に接する前記レーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、前記第1のポイントと直径方向に対向する前記物体の第2のポイントにおいて前記物体の前記外面に接する前記レーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
前記第2の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第3のポイントにおいて前記物体の前記外面で反射された前記レーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、前記物体の前記外面で屈折されて前記物体の第4のポイントにおいて前記物体の内面で反射された前記レーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、
前記第1の検出方向で検出された前記レーザ光の前記強度から、前記物体の前記外面で屈折されて前記物体の第5のポイントにおいて前記物体の前記内面で反射された前記レーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定すること、及び、
s、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて前記物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える装置。
【請求項4】
長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置であって、
前記物体の前記長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、前記レーザビームは、前記物体の前記長手方向軸に直交して誘導され、前記レーザビームは、前記走査経路の第1の部分では前記走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で前記物体へ誘導され、前記走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して前記第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で前記物体へ方向転換される、レーザビームスキャナと、
前記物体から前記第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度、及び、前記物体から前記第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
前記第1の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第1のポイントにおいて前記物体の外面に接する前記レーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、前記第1のポイントと直径方向に対向する前記物体の第2のポイントにおいて前記物体の前記外面に接する前記レーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
前記第2の検出方向で検出された前記レーザ光の強度から、前記物体の第3のポイントにおいて前記物体の前記外面で反射された前記レーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、前記物体の前記外面で屈折されて前記物体の第4のポイントにおいて前記物体の内面で反射された前記レーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、
前記第1の検出方向で検出された前記レーザ光の前記強度から、前記物体の前記外面で屈折されて前記物体の第5のポイントにおいて前記物体の前記内面で反射された前記レーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定すること、及び、
s、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて前記物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える装置。
【請求項5】
前記処理システムは、以下の式、
【数1】
に基づいてRdを計算するように構成され、かつ、
【数2】
が成り立つ、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記処理システムは、以下の式、
【数3】
に基づいてRdを計算するように構成され、かつ、
【数4】
が成り立つ、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記処理システムは、以下の式、
【数5】
に基づいてRdを計算するように構成され、かつ、
【数6】
が成り立つ、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記処理システムは、以下の式、
【数7】
に基づいてRdを計算するように構成され、かつ、
【数8】
が成り立つ、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
αは、45度から135度である、請求項1、3、5、7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
α+βは、45度から135度である、請求項2、4、6、8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記検出アセンブリは、
前記物体から前記第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する第1の検出器と、
前記第1の検出器とは異なり、前記物体から前記第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する第2の検出器と、
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
記検出アセンブリは、
前記物体と前記第2の検出器との間に配置され、前記物体から前記第2の検出方向に発したレーザ光を前記第2の検出器の方へ反射させるリフレクタを更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記リフレクタは、前記物体から前記第2の検出方向に発したレーザ光を前記第1の検出方向に反射させ、
前記装置は、
前記レーザビームスキャナと前記物体との間に配置され、前記レーザビームを偏光させるレーザビーム偏光子と、
前記物体と前記リフレクタとの間に配置され、前記物体から発した前記レーザ光の偏光方向を回転させる、波長板と、
前記第1の検出方向の前記物体及び前記リフレクタからの前記レーザ光を、前記レーザ光の偏光状態に基づいて、前記第1の検出器及び前記第2の検出器へ分割するために配置された偏光ビームスプリッタと、
を更に備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記検出アセンブリは、
前記物体から前記第2の検出方向に発したレーザ光を前記第1の検出方向に反射させるリフレクタ(136、138)と、
前記物体から前記第1の検出方向に発したレーザ光の前記強度を検出し、かつ、前記物体から前記第2の検出方向に発し、前記リフレクタによって前記第1の検出方向に反射されたレーザ光の前記強度を検出する、第1の検出器と、
を含む、請求項1、3、5、7、9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記リフレクタは、五角プリズム又はミラーを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
45度の偏光方向を有し、前記レーザビームの経路に配置された第1の偏光子、
(-45+δ)度の偏光方向を有し、前記物体から前記第1の検出方向に発した前記レーザ光の経路に配置された第2の偏光子であって、|δ|>0である、第2の偏光子、及び/又は、
(45+ε)度の偏光方向を有し、前記物体から前記第2の検出方向に発した前記レーザ光の経路に配置された第3の偏光子であって、|ε|>0である、第3の偏光子、
を更に備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な管状物体の寸法、特に内径を測定する分野に関する。特に、本発明は、レーザ走査を用いて透明な管状物体の内径を測定するための方法及び装置に関する。本明細書において、直径は半径の2倍と見なされるので、内半径が測定された場合、内半径の2倍である内径が測定されたことになる。
【0002】
本明細書において、管状物体は、寸法が測定される少なくとも一部分において管状の形状、特に円筒形状を有する物体として理解される。
【背景技術】
【0003】
以下に例示されるように、細長い円筒形又は管状の物体の直径を測定するための様々な装置及び方法が知られている。
【0004】
US4,692,629A号は、この引例で検討されている従来技術の一部として、光学タイプの測定デバイスを開示している。このデバイスでは、多角形回転ミラーにより発生させた回転走査光ビーム(レーザビーム)が、コリメータレンズによって平行走査光ビームに変換され、このコリメータレンズ及び集光レンズを通過する。コリメータレンズと集光レンズとの間に測定対象のワークピースが介在し、この測定対象のワークピースが平行走査光ビームを妨げることにより発生した暗い部分又は明るい部分の時間長から、測定対象のワークピースの寸法が測定される。同様のデバイスが、JP2011-106817A号に開示されている。
【0005】
引例US4,692,629A号、又は引例JP2011-106817A号における光学タイプの測定デバイスは、円筒形ワークピースの外径を測定するために用いられており、管状透明ワークピースの内径の測定については何も示されていない。
【0006】
US2017/0167854A1号は、光プロジェクタから発して受光器に到達する平行レーザ光ビーム中に透明なチューブを配置することを開示している。受光器は、平行レーザ光ビームの幅方向位置に対応した受信光量を示す検出信号を与える。透明チューブの内周面により反射されて受光器に入射するビームによって検出信号に形成されたピークが検出される。これらのピークが所定の閾値と交差する、2つの交差点の幅方向位置が検出される。2つの交差点の平均値から、透明チューブの内周面によって反射された光ビームの幅方向位置が計算される。これらの幅方向位置から、透明チューブの内径が測定される。
【0007】
引例US2017/0167854A1号に従った方法は、チューブの接線方向に伝送され、チューブの長手方向に直交してチューブを通るレーザビームによって、透明チューブの外径だけでなく内径の測定も可能とする。この引例は、透明チューブの内径の測定を改善するが、特に透明チューブが薄い場合、内径の測定の精度には更に改善の余地がある。問題点として、US2017/0167854A1号に記載されている方法は、薄い管状物体の内面での屈折によって管状物体の内面及び外面でのレーザビーム反射間の時間差が極めて小さくなるので、薄い管状物体に対して感度が低くなる。
【0008】
Jablonski, R.等の「Laser measurement of form and dimensions of transparent tubular elements」(Measurement 13, 1994, 13-22)では、透明な管状物体の全体的な幾何学的形状の測定を可能とする非接触レーザ走査-反射方法が開示されている。物体に対して直交して一定の速度で合焦レーザビームを走査する。以下の3つの主光線が得られる。第1及び第2の光線は、それぞれ外面及び内面からの2つの反射波を表し、第3の光線は、外面の接線方向の波を表す。これらの光線は、2つの検出器の検出レンズによって集光され、対応する検出器の面内の焦点に収束される。主光線間の時間を測定し、一定の走査速度を仮定することによって、測定された物体の外側及び内側の曲率半径を決定することができる。
【0009】
Jablonski, R.等の引例による方法は、透明な管状物体の内周に沿った特定の位置で局所的に物体の内径を測定することを可能とする。外径は、物体の外周に沿った特定の位置での反射から決定される。従って、この測定は、局所曲率の影響を受ける。外径測定の精度の限界は、内径の精度に悪影響を及ぼす。
【0010】
従って、透明な管状物体の内径の測定において、特に、管状物体が薄い場合、すなわち管状物体の壁厚が管状物体の半径の約10%未満である場合に、測定の精度を向上することが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
透明な管状物体の内径を測定する精度を向上させる方法及び装置を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題により良く対処するため、本発明の第1の態様において、透明な管状物体の内径を測定するための方法の第1、第2、第3、及び第4の実施形態が提供される。管状物体は屈折率nを有する材料から作製されている。管状物体は、少なくとも測定が行われる領域において、円筒形のチャネルを形成し、このチャネルの中心に延出する中心軸を有する。方法の第1の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するステップであって、レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、ステップと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するステップと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定するステップと、
物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するステップと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定するステップと、
n、vs、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて物体の内半径Rdを計算するステップであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算するステップと、
を含む。
【0013】
レーザ光強度を検出することは、レーザ光の強度の1以上の別個の遷移を検出することを含み、1以上の別個の遷移は、具体的には、
高強度(第1の高い強度閾値よりも高い)から低強度(第1の高い強度閾値よりも低いか、又は第1の低い強度閾値よりも低い)への強度遷移、又は
低強度(第2の低い強度閾値よりも低い)から高強度(第2の低い強度閾値よりも高いか、又は第2の高い強度閾値よりも高い)への強度遷移、又は
低強度(第3の低い強度閾値よりも低い)から高強度(第3の低い強度閾値よりも高いか、又は第3の高い強度閾値よりも高い)へ、その後の低強度(第3の高い強度閾値よりも低いか、又は第3の低い強度閾値よりも低い)への強度遷移の組み合わせ、
である。
【0014】
第1、第2、及び第3の低い強度閾値のいずれか1つは、第1、第2、及び第3の低い強度閾値の他のいずれか1つ、又は第1、第2、及び第3の高い強度閾値のいずれか1つと同一であるか又は異なる可能性がある。第1、第2、及び第3の高い強度閾値のいずれか1つは、第1、第2、及び第3の高い強度閾値の他のいずれか1つ、又は第1、第2、及び第3の低い強度閾値のいずれか1つと同一であるか又は異なる可能性がある。
【0015】
本発明の方法の第1の実施形態によれば、レーザ光が管状物体を通過した後で観察される2つの別個の検出方向、すなわち第1の検出方向及び第2の検出方向において、レーザ光強度が検出される。第1の検出方向におけるレーザ光強度の検出は第1の時点及び第2の時点を与え、第2の検出方向におけるレーザ光強度の検出は第3の時点及び第4の時点を与える。
【0016】
特に、第1の方向におけるレーザ光強度の検出は、処理システムによって第2の時点と第1の時点との時間差を計算するため用いられる。この時間差から管状物体の外半径RDを導出することができる。この時間差は比較的長いので、第1の時点及び第2の時点を決定する際の不正確さが時間差値の正確さに及ぼす影響は比較的小さい。
【0017】
また、特に、第2の方向におけるレーザ光強度の検出は、処理システムによって第4の時点と第3の時点との時間差を計算するため用いられる。RDとRdとの差が小さくなると、この時間差は小さくなる。しかしながら、この時間差は、第4の時点と第3の時点との時間差の決定において許容可能な正確さを与えるのに充分である。
【0018】
結果として、この方法では、特に管状物体が薄い場合、この管状物体をレーザビームで走査した場合の検出時点に基づいて物体のRd(又は、同じことであるが内径)を計算する際に、精度の向上が得られる。
【0019】
管状物体の透明材料の屈折率は、既知であるか又は未知である可能性がある。双方の状況において、本明細書に開示されるように、方法の適切な実施形態を適用して管状物体の測定を実行し、その内半径を計算することができる。
【0020】
計算の結果は、表示ユニット等のユーザインタフェースにおいてRdの値を提供するため使用される信号とすることができる。この信号は、生産ラインを監視もしくは制御するため、又は管状物体を生成するデバイスを制御するためにも使用できる。
【0021】
ここで、Jablonski, R.等の方法は、第3の時点と第1の時点との時間差、及び第4の時点と第1の時点との時間差を使用することを提案していることに留意すべきである。Jablonski, R.等の方法では、第1の検出方向における第2の時点、及び第4の時点と第3の時点との時間差は使用されない。
【0022】
本発明の方法の第2の実施形態では、屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法が提供される。方法の第2の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交して第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、ことと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
n、vs、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む。
【0023】
本発明の方法の第3の実施形態では、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法が提供される。方法の第3の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、レーザビームは、走査方向に直交して、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、ことと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定することと、
s、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む。
【0024】
本発明の方法の第4の実施形態では、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法が提供される。方法の第4の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、ことと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定することと、
s、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む。
【0025】
方法の第3及び第4の実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の時点に加えて第5の時点を更に測定して、Rdの計算から屈折率nを除外することができる。管状物体の材料のnを事前に知る必要がなくなるので、これは有利である。
【0026】
方法の第1の実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の時点が決定され、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは90度であり、管状物体の屈折率nは既知であり、管状物体の内半径Rdは以下の式に基づいて計算される。
【数1】
ここで、
【数2】
が成り立つ。
【0027】
方法の第1の実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の時点が決定され、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは90度とは異なる可能性があり、45度から135度とすることができる。管状物体の屈折率nは既知であり、管状物体の内半径Rdは以下の式に基づいて計算される。
【数3】
ここで、
【数4】
が成り立つ。
【0028】
方法の第2の実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の時点が決定され、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは90度とは異なる可能性があり、45度から135度とすることができる。第1のレーザビーム方向と第2のレーザビーム方向との間の検出角α及び走査角βの和は45度から135度とすることができ、特に90度とすればよい。管状物体の屈折率nは既知であり、管状物体の内半径Rdは以下の式に基づいて計算される。
【数5】
ここで、
【数6】
が成り立つ。
【0029】
方法の第3の実施形態では、第1、第2、第3、第4、及び第5の時点が決定され、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは90度であり、管状物体の屈折率nは既知でなく、管状物体の内半径Rdは以下の式に基づいて計算される。
【数7】
ここで、
【数8】
が成り立つ。
【0030】
方法の第3の実施形態では、第1、第2、第3、第4、及び第5の時点が決定され、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは90度とは異なる可能性があり、45度から135度とすることができる。管状物体の屈折率nは既知でなく、管状物体の内半径Rdは以下の式に基づいて計算される。
【数9】
ここで、
【数10】
が成り立つ。
【0031】
方法の第4の実施形態では、第1、第2、第3、第4、及びの時点が決定され、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは90度とは異なる可能性があり、45度から135度とすることができる。第1のレーザビーム方向と第2のレーザビーム方向との間の検出角α及び走査角βの和は45度から135度とすることができ、特に90度とすればよい。管状物体の屈折率nは既知でなく、管状物体の内半径Rdは以下の式に基づいて計算される。
【数11】
ここで、
【数12】
が成り立つ。
【0032】
本発明の方法の第1、第2、第3、及び第4の実施形態のうち一実施形態において、この方法は、
レーザビームを45度の偏光方向に偏光させること、
物体から第1の検出方向に発したレーザ光を(-45+δ)度の偏光方向に偏光させることであって、|δ|>0である、こと、及び/又は、
物体から第2の検出方向に発したレーザ光を(45+ε)度の偏光方向に偏光させることであって、|ε|>0である、こと、
を更に含む。
【0033】
レーザ光を上記のように偏光させることの利点は、第1の検出方向において、角度δを調整することにより、管状物体の外側を完全に透過したレーザ光と管状物体の内側を透過したレーザ光との強度のバランスを取れることである。また、第2の検出方向において、角度εを調整することにより、管状物体の外面で直接反射したレーザ光と管状物体の内面で反射したレーザ光との光強度のバランスを取ることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、物体から第1の検出方向に発したレーザ光を(-45+δ)度の偏光方向に偏光させるステップは省略され、物体から第2の検出方向に発したレーザ光を(45+ε)度の偏光方向に偏光させるステップは実行される。他の実施形態では、物体から第1の検出方向に発したレーザ光を(-45+δ)度の偏光方向に偏光させるステップは実行され、物体から第2の検出方向に発したレーザ光を(45+ε)度の偏光方向に偏光させるステップは省略される。更に別の実施形態では、物体から第1の検出方向に発したレーザ光を(-45+δ)度の偏光方向に偏光させるステップ、及び、物体から第2の検出方向に発したレーザ光を(45+ε)度の偏光方向に偏光させるステップの双方が実行される。
【0035】
本発明の第2の態様において、屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための第1、第2、第3、及び第4の装置が提供される。本装置の第1の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交し、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、レーザビームスキャナと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するため、及び、物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
検出アセンブリによって第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
検出アセンブリによって第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、及び、
n、vs、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える。
【0036】
本発明の装置の第1の実施形態によれば、レーザ光が管状物体を通過した後で観察される2つの別個の検出方向、すなわち第1の検出方向及び第2の検出方向において、レーザ光強度が検出される。検出アセンブリによる第1の検出方向のレーザ光強度の検出は第1の時点及び第2の時点を与え、検出アセンブリによる第2の検出方向のレーザ光強度の検出は第3の時点及び第4の時点を与える。
【0037】
特に、検出アセンブリによる第1の方向のレーザ光強度の検出は、処理システムによるRDの計算のため、処理システムによって第2の時点と第1の時点との時間差を計算するため用いられる。この時間差は比較的長いので、第1の時点及び第2の時点を決定する際のいかなる不正確さも、時間差値において果たす役割は比較的小さい。
【0038】
また、特に、検出アセンブリによる第2の方向のレーザ光強度の検出は、処理システムによって第4の時点と第3の時点との時間差を計算するため用いられる。RDとRdとの差が小さくなると、この時間差は小さくなる。従ってここでも、薄い管状物体を測定する場合は特に、第3の時点及び第4の時点を決定する際の不正確さが時間差値に及ぼす影響は小さくなる。
【0039】
結果として、この装置では、特に管状物体が薄い場合、この管状物体をレーザビームで走査した場合の検出時点に基づいてRdを計算する際に、精度の改善が得られる。
【0040】
本発明に係る装置の第2の実施形態では、屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置が提供される。本発明の第2の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交して第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、レーザビームスキャナと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出し、かつ、物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接する前記レーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、及び、
n、vs、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える。
【0041】
本発明に係る装置の第3の実施形態では、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置が提供される。本発明の第3の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、レーザビームスキャナと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するため、及び、物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の前記強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接する前記レーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定すること、及び、
s、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える。
【0042】
本発明に係る装置の第4の実施形態では、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置が提供される。本発明の第4の実施形態は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、レーザビームスキャナと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するため、及び、物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定すること、及び、
s、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える。
【0043】
管状物体のRd(又は、同じことであるが内径)を表す値は、処理システムによって適切な形態で、例えば信号として出力することができる。
【0044】
方法の第3及び第4の実施形態では、検出アセンブリによって第1、第2、第3、及び第4の時点に加えて第5の時点を更に測定して、Rdの計算の基礎となる式から屈折率nを除外することができ、Rdを処理システムによって計算することができる。管状物体の材料のnを事前に知る必要がなくなるので、これは有利である。
【0045】
本発明の第1及び第3の実施形態では、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは45度から135度である。
【0046】
好ましくは、検出アセンブリにおいて検出角は90度である。これは、そのような構成によって、検出アセンブリの比較的簡単な構成と、処理システムによるRdの高速の計算が可能となるからである。しかしながら、45度から135度の角度のような他の角度も可能であり、Rdの感度の向上を与えることができる。
【0047】
本発明の第2及び第4の実施形態では、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは0度とすることができる。第1のレーザビーム方向と第2のレーザビーム方向との間の走査角βは45度から135度とすることができ、好ましくは、αとβの和は45度から135度である。
【0048】
本発明の装置の第1、第2、第3、及び第4の実施形態のうち一実施形態において、検出アセンブリは、
物体から第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する第1の検出器と、
第1の検出器とは異なり、物体から第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する第2の検出器と、を含む。
【0049】
別々の検出器を有することの利点は、1以上の特定の管状物体の最適な測定を得るように、それらを相互に配置可能であり得ることである。また、第2の検出器の角度位置は、最適な測定感度を与える所定の第2の検出方向に設定することができる。
【0050】
別々の検出器を有する装置の一実施形態において、検出アセンブリは、
物体と第2の検出器との間に配置され、物体から第2の検出方向に発したレーザ光を第2の検出器の方へ反射させるリフレクタを更に含む。
【0051】
リフレクタを、物体に対する位置並びにレーザ光の入射角及び反射角の双方に関して適切に配置することにより、最適な測定感度を簡単に達成できる。
【0052】
別々の検出器及びリフレクタを有する装置の一実施形態において、リフレクタは、物体から第2の検出方向に発したレーザ光を第1の検出方向に反射させる。この実施形態において、装置は、
レーザビームスキャナと物体との間に配置され、レーザビームを偏光させるレーザビーム偏光子と、
物体とリフレクタとの間に配置され、物体から発したレーザ光の偏光方向を回転させ、特に半波長板である波長板と、
第1の検出方向の物体及びリフレクタからのレーザ光を、レーザ光の偏光状態に基づいて、第1の検出器及び第2の検出器へ分割するために配置された偏光ビームスプリッタと、を更に備えることができる。
【0053】
実際には、検出アセンブリにおいて、第1の検出器及び第2の検出器の各々をコンデンサレンズと組み合わせて、第1の検出方向及び第2の検出方向のレーザ光をそれぞれ合焦させる。レーザビーム偏光子、波長板、及び偏光ビームスプリッタにより、第1及び第2の検出器の双方で1つのコンデンサレンズを使用することが可能となる。
【0054】
本発明の装置の第1、第2、第3、及び第4の実施形態のうち別の実施形態において、検出アセンブリは、
物体から第2の検出方向に発したレーザ光を第1の検出方向に反射させるためのリフレクタと、
物体から第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出し、かつ、物体から第2の検出方向に発し、リフレクタによって第1の検出方向に反射されたレーザ光の強度を検出する、第1の検出器と、を含む。
【0055】
1つのみの第1のレーザ光検出器を有することの利点は、構成が簡素化することと、第2の検出器が省略されることである。光検出器は比較的高価であるので、これにより装置は低コスト化する。一方、リフレクタは比較的低コストのコンポーネントである。第1の光検出器において、管状物体からの直接の第1の検出方向のレーザ光及びリフレクタからの第1の検出方向のレーザ光という双方の管状物体からのレーザ光を合焦するために、使用する必要があるコンデンサレンズは1つのみである。
【0056】
リフレクタを備える装置の一実施形態において、リフレクタは五角プリズム又はミラーを含む。
【0057】
五角プリズム及びミラーは、第2の検出方向で五角プリズム及びミラーに入射した光線を、第1の検出方向と第2の検出方向との間の所望の角度に応じて異なる角度で反射するのに適したリフレクタを提供する。五角プリズムは、第2の検出方向の光が第1の検出方向の光に対して90度であることを保証し得るが、90度以外の角度で光を反射するように構成することも可能である。
【0058】
本発明の装置の第1の実施形態において、処理システムは以下の式に基づいて内半径Rdを計算するように構成されており、第1、第2、第3、及び第4の時点は処理システムによって決定される。第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは、測定されるか又はすでに測定されている、すなわち既知であり、45度から135度とすることができ、好ましくは90度である。管状物体の屈折率nは既知である。
【数13】
ここで、
【数14】
が成り立つ。
【0059】
本発明の装置の第2の実施形態において、処理システムは以下の式に基づいて内半径Rdを計算するように構成されており、第1、第2、第3、及び第4の時点は処理システムによって決定される。第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは、測定されるか又はすでに測定されている、すなわち既知であり、0度とするか又は0度とは異なる角度にすることができる。第1のレーザビーム方向と第2のレーザビーム方向との間の走査角βは、測定されるか又はすでに測定されている、すなわち既知であり、45度から135度とすることができ、好ましくは90度である。αとβの和は好ましくは45度から135度である。管状物体の屈折率nは既知である。
【数15】
ここで、
【数16】
が成り立つ。
【0060】
本発明の装置の第3の実施形態において、処理システムは以下の式に基づいて内半径Rdを計算するように構成されており、第1、第2、第3、第4、及び第5の時点は処理システムによって決定される、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは、測定されるか又はすでに測定されている、すなわち既知であり、45度から135度とすることができ、好ましくは90度である。管状物体の屈折率nは既知でない。
【数17】
ここで、
【数18】
が成り立つ。
【0061】
本発明の装置の第4の実施形態において、処理システムは以下の式に基づいて内半径Rdを計算するように構成されており、第1、第2、第3、第4、及び第5の時点は処理システムによって決定される。第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは、測定されるか又はすでに測定されている、すなわち既知であり、0度とするか又は0度とは異なる角度にすることができる。第1のレーザビーム方向と第2のレーザビーム方向との間の走査角βは、測定されるか又はすでに測定されている、すなわち既知であり、45度から135度とすることができ、好ましくは90度である。αとβの和は好ましくは45度から135度である。管状物体の屈折率nは既知でない。
【数19】
ここで、
【数20】
が成り立つ。
【0062】
一実施形態において、装置は、
45度の偏光方向を有し、レーザビームの経路に配置された第1の偏光子と、
(-45+δ)度の偏光方向を有し、物体から第1の検出方向に発したレーザ光の経路に配置された第2の偏光子であって、|δ|>0である、第2の偏光子と、
(45+ε)度の偏光方向を有し、物体から第2の検出方向に発したレーザ光の経路に配置された第3の偏光子であって、|ε|>0である、第3の偏光子と、
を更に備える。
【0063】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照して更に理解され、同様の参照符号が同様の部分を示す添付図面に関連付けて検討されることで、いっそう容易に認められよう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第1の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図2】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第2の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図3】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第3の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図4】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第4の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図5】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第5の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図6】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第6の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図7】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第7の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図8】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第8の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図9】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第9の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図10】透明な管状物体の特性を測定するための本発明に係る装置の第10の実施形態を概略的かつ図式的に示す。
図11A】透明な管状物体の、いくつかの特定の走査位置の走査を概略的に示す。
図11B】透明な管状物体の、いくつかの特定の走査位置の走査を概略的に示す。
図12A】透明な管状物体の、いくつかの特定の走査位置の代替的な走査を概略的に示す。
図12B】透明な管状物体の、いくつかの特定の走査位置の代替的な走査を概略的に示す。
図13】管状物体の材料の2つの屈折率について、相対的な信号タイミングと相対的なチューブ内径との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100aの第1の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD又は外径2RD、及び内半径Rd又は内径2Rdによって規定される。管状物体102は、図1の図の面に直交して延出する長手方向軸104を有する。管状物体102は、その特性を測定するための装置の一部を形成しないこと、及び、装置内での位置を規定する際に管状物体102に言及する場合は、管状物体102の想定位置と見なされることに留意すべきである。
【0066】
装置100aは、フレーム構造を備えている。フレーム構造は、図1に示されている装置のいくつかの主要コンポーネントの配置を曖昧にしないように、図1には示されていない。それらの主要コンポーネントは、様々な測定対象の管状物体に対して調整できるようにフレーム構造に支持されている。装置100aは、駆動デバイス110によって矢印108で示すように回転可能なミラーアセンブリ106を備えている。ミラーアセンブリ106は、複数の(この実施形態では8個が示されている)反射面112を備えている。装置100aは更に、破線で示すようにレーザビーム116を生成するため構成されたレーザビーム発生器114を備えている。レーザビーム116をミラーアセンブリ106へ反射させるためにミラー118が配置されている。ここで、ミラー118を省略してもよいこと、及び、レーザビーム116をミラーアセンブリ106へ直接誘導できることに留意すべきである。走査レーザビームを生成するように構成された要素の組み合わせをレーザビームスキャナと呼ぶことも可能である。レーザビームスキャナの他の実施形態も想定される。
【0067】
ミラーアセンブリ106が所定の一定の回転速度で回転すると、ミラーアセンブリ106の反射面112のうちいずれか1つで反射されたレーザビーム116は、走査レーザビームとなり、コリメータレンズ124に沿った走査経路に沿って走査方向に走査されて、コリメータレンズ124から第1のコンデンサレンズ126までレーザビーム位置AとFとの間に延出する光ストリップ(light strip)を発生する。走査経路及び走査方向は、管状物体102の長手方向軸に直交する。走査レーザビームは、走査方向に直交し、かつ管状物体102の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される。第1のコンデンサレンズ126は、走査光ビームを第1の光検出器120上に合焦させる。
【0068】
第1の光検出器120は、管状物体の長手方向軸及びレーザビームの走査方向の双方に直交する第1の検出方向で第1のコンデンサレンズ126に到達したレーザビームの光強度を測定するように、かつ、第1の光検出器によって測定された光強度を時間の関数として表す第1の出力信号122を生成するように構成されている。
【0069】
管状物体102は、コリメータレンズ124と第1のコンデンサレンズ126との間の光ストリップ内に配置されている(配置されることになっている)。管状物体102の長手方向軸104は、コリメータレンズ124から発するレーザビーム方向に直交すると共に、管状物体102の長手方向軸104は、レーザビームの走査方向に直交する。管状物体102は、支持構造(図示せず)によって支持するか又は保持することができる。支持構造は、様々なサイズの管状物体102に対して適合可能又は調整可能であり得る。
【0070】
レーザビーム位置Aからレーザビーム位置Bまでのレーザビームは、管状物体102によって中断、屈折、反射、又は透過されず、第1の光検出器120に到達する。レーザビーム位置Bにおいて、レーザビームは、管状物体102の外面の第1のポイントP1(図11Aを参照のこと)において管状物体102の外面を接線方向に通過する。
【0071】
また、レーザビーム位置Eからレーザビーム位置Fまでのレーザビームは、管状物体102によって中断、屈折、反射、又は透過されず、第1の光検出器120に到達する。レーザビーム位置Eにおいて、レーザビームは、第1のポイントと直径方向に対向する管状物体102の外面の第2のポイントP2(図11Aを参照のこと)において、管状物体102の外面を接線方向に通過する。
【0072】
レーザビーム位置Bとレーザビーム位置Eとの間のレーザビームは、管状物体102によって中断、屈折、反射、及び/又は透過される。中断は、第1のコンデンサレンズ126の開口数の外側へレーザビームを導く反射によって引き起こされる。屈折は、管状物体102の外面及び内面で生じる。反射は、管状物体102の外面及び内面で生じる。管状物体102の長手方向軸104を横切るレーザビームは、管状物体102を透過する。
【0073】
レーザビーム位置Cにおけるレーザビームは、第3のポイントP3(図11Aを参照のこと)において管状物体102の外面で反射し、管状物体102から、第1の検出方向に直交する(すなわち90度の検出角αの)第2の検出方向に発する。
【0074】
レーザビーム位置Dにおけるレーザビームは、管状物体102の外面で屈折し、管状物体102内で第4のポイントP4(図11Aを参照のこと)において管状物体102の内面で反射し、再び管状物体102の外面で、第1の検出方向に直交する(すなわち90度の検出角αの)第2の検出方向に屈折する。第2のコンデンサレンズ128は、レーザビーム位置C及びDのレーザビームを第2の光検出器130上に合焦させる。
【0075】
レーザビーム位置Gにおけるレーザビームは、管状物体102の外面で屈折し、管状物体102内で第5のポイントP5(図11Aを参照のこと)において管状物体102の内面で反射し、再び管状物体102の外面で第1の検出方向に屈折する。第1のコンデンサレンズ126は、レーザビーム位置Gのレーザビームを第1の光検出器120上に合焦させる。
【0076】
第2の光検出器130は、光強度を測定するように、かつ、第2の光検出器130によって測定された光強度を時間の関数として表す第2の出力信号132を生成するように構成されている。
【0077】
第1の光検出器120及び第2の光検出器130は共に、第1のコンデンサレンズ126及び第2のコンデンサレンズ128を含み、更には1つ以上のミラー又はプリズム等の光学系も含み得る検出アセンブリの一部である。
【0078】
第1の光検出器120からの第1の出力信号122及び第2の光検出器130からの第2の出力信号132は、処理システム134に入力される。
【0079】
更に、回転ミラーアセンブリ106によって生成された走査レーザビームの走査速度vsを表す信号も、図示のように処理システムに入力することができる。他の実施形態では、回転ミラーアセンブリ106によって生成された走査速度vsは所定のものであり、処理システム134のメモリMに記憶することができる。更に別の実施形態では、ミラーアセンブリ106の回転速度は所定のものであり、処理システム134のメモリに記憶することができると共に、処理システム134は、走査レーザビームが走査速度vsを有するように駆動デバイス110を制御する。
【0080】
更に、検出角αを表す信号も処理システムに入力することができる。他の実施形態では、検出角αは所定のものであり、処理システム134のメモリMに記憶することができる。
【0081】
更に、管状物体102を構成する材料の屈折率nを表す信号も処理システムに入力することができる。他の実施形態では、管状物体102を構成する材料の屈折率nは所定のものであり、処理システム134のメモリMに記憶することができる。更に別の実施形態では、以下で説明するように、管状物体102を構成する材料の屈折率nは、第1の出力信号122及び第2の出力信号132に表されている光強度から計算することができる。
【0082】
処理システム134の動作については、図11Aを参照して以下で説明する。
【0083】
図2は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100bの第2の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図2において、図1と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0084】
図2に示される装置100bが、図1に示される装置100aと異なる点は、レーザ光の第2の検出方向が第1の検出方向に直交せず、90度とは異なる検出角α、具体的には45度から135度(図2では約105度)の間である点である。このような構成は、実質的に同じ外半径RD及び実質的に同じ内半径Rdを有する管状物体102を測定することが多い場合、特に有用である。その場合、第1の検出方向と第2の検出方向との間の検出角αは、内半径Rdに対して最適な感度を有するように選択できる。従って、第2のコンデンサレンズ128a及び第2の光検出器130は、管状物体102に対して異なる位置をとる。装置100bのフレーム構造において、第2のコンデンサレンズ128a及び第2の光検出器130の位置は、検出角αを調整するため調整可能とすることができる。
【0085】
図3は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100cの第3の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図3において、図1と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0086】
図3に示される装置100cが、図1に示される装置100aと異なる点は、管状物体102から第1の検出方向に直交する(すなわち90度の検出角αの)第2の検出方向に発するレーザ光が、ミラー136によって第1の検出方向に反射されることである。
【0087】
ここで、第2の検出方向は、第1の検出方向に直交せず、90度とは異なる検出角αに、具体的には図2に示されているように45度から135の間であるように選択でき、その場合も同じ用途及び利点を有することに留意すべきである。このような場合、ミラー136の位置及び反射角は、ミラー136で反射した後のレーザ光が第1の検出方向と平行になるように、又は、適切に配置された第2のコンデンサレンズ127を通過して適切に配置された第2の光検出器130に到達するため別の有用な方向もしくは適切な方向になるように、適合され得る。
【0088】
図4は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100dの第4の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図4において、図3と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0089】
図4に示される装置100dが、図3に示される装置100cと異なる点は、管状物体102から第1の検出方向に直交する(すなわち90度の検出角αの)第2の検出方向に発するレーザ光が、五角プリズム138によって第1の検出方向に反射されることである。
【0090】
ここで、第2の検出方向は、第1の検出方向に直交せず、90度とは異なる検出角αに、具体的には図2に示されているように45度から135の間であるように選択でき、その場合も同じ用途及び利点を有することに留意すべきである。五角プリズムは、従来は90度に反射することが知られているが、そのような場合、五角プリズム138の位置及び反射角は、五角プリズム138の反射面及び屈折面の方位を適合させることによって、五角プリズム138で反射した後のレーザ光が第1の検出方向と平行になるように、又は、適切に配置された第2のコンデンサレンズ127を通過して適切に配置された第2の光検出器130に到達するため別の有用な方向もしくは適切な方向になるように、適合され得る。
【0091】
図5は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100eの第5の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図5において、図1と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0092】
図5に示される装置100eが、図1に示される装置100aと異なる点は、管状物体102から第1の検出方向に直交する(すなわち90度の検出角αの)第2の検出方向に発するレーザ光が、ミラー136によって第1の検出方向に反射されること、及び、第1のコンデンサレンズ126aが、管状物体102から第1の検出方向に及び第2の検出方向に発してミラー136によって反射されたレーザ光を一緒に第1の光検出器120上に合焦させることである。
【0093】
装置100eでは、第2の光検出器130は省略することができ、第1の光検出器120は、レーザビーム位置A、B、C、D、E、F、及びGによるレーザ光を検出するように構成されている。第1の光検出器120からの第1の出力信号122は処理システム134に入力される。
【0094】
装置100eの検出アセンブリは、1つの光検出器を含む。
【0095】
ここで、第2の検出方向は、第1の検出方向に直交せず、90度とは異なる検出角αに、具体的には図2に示されているように45度から135の間であるように選択でき、その場合も同じ用途及び利点を有することに留意すべきである。このような場合、ミラー136の位置及び反射角は、ミラー136で反射した後のレーザ光が第1の検出方向と平行になるように適合可能又は調整可能であり得る。
【0096】
図6は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100fの第6の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図6において、図5と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0097】
図6に示される装置100fが、図5に示される装置100eと異なる点は、管状物体102から第1の検出方向に直交する(すなわち90度の検出角αの)第2の検出方向に発するレーザ光が、五角プリズム138によって第1の検出方向に反射されることである。
【0098】
装置100fでは、第2の光検出器130は省略することができ、第1の光検出器120は、レーザビーム位置A、B、C、D、E、F、及びGによるレーザ光を検出するように構成されている。第1の光検出器120からの第1の出力信号122は処理システム134に入力される。
【0099】
装置100fの検出アセンブリは、1つの光検出器を含む。
【0100】
ここで、第2の検出方向は第1の検出方向に直交せず、90度とは異なる検出角αに、具体的には図2に示されているように45度から135の間であるように選択でき、その場合も同じ用途及び利点を有することに留意すべきである。五角プリズムは、従来は90度に反射することが知られているが、そのような場合、五角プリズム138の位置及び反射角は、五角プリズム138の反射面及び屈折面の方位を適合させることによって、五角プリズム138で反射した後のレーザ光が第1の検出方向と平行になるように、又は、適切に配置された第2のコンデンサレンズ128を通過して適切に配置された第2の光検出器130に到達するため別の有用な方向もしくは適切な方向になるように、適合され得る。
【0101】
図7は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100gの第7の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図7において、図5と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0102】
図7に示される装置100gが、図5に示される装置100eと異なる点は、コリメータレンズ124から発した走査レーザビームが、走査経路の第1の部分では第1のレーザビーム方向で管状物体102へ誘導され、走査経路の第2の部分ではミラー136aによって第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で管状物体へ方向転換されることである。図7において、走査経路の第1の部分は少なくともレーザビームB、G、及びEを含み、走査経路の第2の部分は少なくともレーザビームC及びDを含む。図12Aも参照のこと。図7において、走査角βは90度である。
【0103】
管状物体102から第1の検出方向に発したレーザ光は、第1のコンデンサレンズ126aによって第1の光検出器120上に合焦される。
【0104】
装置100gでは、第2の光検出器130は省略することができ、第1の光検出器120は、図12Aで見られるように、レーザビーム位置A、B、C、D、E、F、及びGによるレーザ光を検出するように構成されている。第1の光検出器120からの第1の出力信号122は処理システム134に入力される。
【0105】
装置100gの検出アセンブリは、1つの光検出器を含む。
【0106】
ここで、走査角βは、90度とは異なるように、具体的には45度から135の間であるように選択でき、その場合も同じ用途及び利点を有することに留意すべきである。このような場合、ミラー136aの位置及び反射角は、管状物体102で反射及び屈折した後のレーザ光が第1の検出方向と平行になるように適合可能又は調整可能であり得る。
【0107】
ここで、装置100gは、ミラー136aの代わりに又はミラー136aに加えて五角プリズムも含み得ることに留意すべきである。
【0108】
図8は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100hの第8の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図8において、図7と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0109】
図8に示される装置100hが、図7に示される装置100gと類似している点は、コリメータレンズ124から発した走査レーザビームが、走査経路の第1の部分では第1のレーザビーム方向に管状物体102へ誘導され、走査経路の第2の部分ではミラー136aによって第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で管状物体へ方向転換されることである。図8の装置100hでは、図7の装置100gと同様に、走査経路の第1の部分は少なくともレーザビームB、G、及びEを含み、走査経路の第2の部分は少なくともレーザビームC及びDを含む(図12Aも参照のこと)。しかしながら、図8の装置100hでは、走査角βは90度よりも小さく、例えば45度である。
【0110】
管状物体102から第1の検出方向に発したレーザ光は、第1のコンデンサレンズ126によって第1の光検出器120上に合焦される。
【0111】
管状物体102から検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光は、第2のコンデンサレンズ128によって第2の光検出器130上に合焦される。そのような構成は、実質的に同じ外半径RD及び実質的に同じ内半径Rdを有する管状物体102を測定することが多い場合、特に有用である。検出角と走査角との和(α+β)は、内半径Rdに対して最適な感度を有するように、特に45度から135の間で選択できる。従って、第2のコンデンサレンズ128及び第2の光検出器130は、管状物体102に対して適切に調整された位置をとる。
【0112】
ここで、装置100hは、ミラー136aの代わりに又はミラー136aに加えて五角プリズムも含み得ることに留意すべきである。
【0113】
図9は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100iの第9の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図9において、図6と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0114】
図9に示される装置100iは、図6に示される装置100fと以下の態様で異なっている。レーザビーム116の経路において、レーザビーム発生器114、回転可能ミラーアセンブリ106、及びコリメータレンズ124を含むレーザビームスキャナと、管状物体102(の想定位置)との間に、レーザビーム偏光子147が配置されている。管状物体102から第2の検出方向に発したレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)と五角プリズム138との間に、半波長板のような波長板148が配置されている。第1のコンデンサレンズ126aから発したレーザ光の経路において、第1のコンデンサレンズ126aと第1の光検出器120との間に偏光ビームスプリッタ149が配置されている。
【0115】
ここで、装置100iは、五角プリズム138の代わりに又は五角プリズム138に加えてミラー136も含み得ることに留意すべきである。
【0116】
レーザビーム偏光子147及び波長板148は、管状物体102から第1の検出方向に発した第1のレーザ光が、管状物体102から第2の検出方向に発した第2のレーザ光の偏光とは異なる偏光を有するという効果を与える。偏光ビームスプリッタ149において、第1のレーザ光は第2のレーザ光から分割されて第1の光検出器120へ誘導される。第2のレーザ光は第1のレーザ光から分割されて第2の光検出器130へ誘導される。
【0117】
図10は、透明な管状物体102又はチューブの内半径又は屈折率のような特性を測定するための装置100jの第10の実施形態を示す。管状物体102又はチューブの寸法は、外半径RD及び内半径Rdによって規定される。図10において、図1から図9と同一の参照符号は、同一又は同様の機能を有する同一のコンポーネントを示す。
【0118】
図10に示される装置100jは、図1に示される装置100aと以下の態様で異なっている。レーザビーム116の経路において、レーザビーム発生器114、回転可能ミラーアセンブリ106、及びコリメータレンズ124を含むレーザビームスキャナと、管状物体102(の想定位置)との間に、45度の偏光方向を有する第1の偏光子142が配置されている。管状物体102から第1の検出方向に発したレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)と第1のコンデンサレンズ126との間に、(-45+δ)度(ここで|δ|>0)の偏光方向を有する第2の偏光子144が配置されている。管状物体102から第2の検出方向に発したレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)と第2のコンデンサレンズ128との間に、(45+ε)度(ここで|ε|>0)の偏光方向を有する第3の偏光子146が配置されている。
【0119】
レーザビームの反射及び屈折は偏光に依存するので、レーザビームにおいて及び/又は第1及び第2の光検出器120、130において偏光子を用いて、相互信号強度を最適化することができる。
【0120】
第1の偏光子142は、コリメータレンズ124を通過した後のレーザビーム内に配置されている。第1の偏光子142の偏光方向は、管状物体102の長手方向軸104に対して45度である。第2の偏光子144は、コンデンサレンズ126、126aの前に配置され、管状物体102の長手方向軸104に対して-45+δ度の偏光方向を有する。この角度がちょうど-45度である場合、すなわちδ=0である場合、管状物体の外側のレーザ光は基本的に消滅する、すなわち第1の光検出器120に到達しない。しかしながら、チューブを通過したレーザ光は主にp偏光であり、第2の偏光子144を通過する。第2の偏光子144を角度δだけ回転させることによって、チューブの外側を完全に透過したレーザビームとチューブの内側を透過したレーザ光との強度のバランスを取ることができる。第2の検出方向のレーザ光については、第3の偏光子146を名目上45度の偏光方向に置くことができる。この角度を角度εだけ変動させることにより、直接反射したビーム(レーザ光ビームC)と管状物体102の内半径で反射したレーザ光(レーザ光ビームD)との光強度のバランスを取ることができる。
【0121】
装置100b(図2)、装置100c(図3)、装置100d(図4)、装置100e(図5)、装置100f(図6)、装置100g(図7)、装置100h(図8)の実施形態、及びその他の実施形態の各々に、第1、第2、及び第3の偏光子142、144、146を搭載できることに留意すべきである。装置100bの実施形態では、管状物体102から第2の検出方向に発するレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)と第2のコンデンサレンズ128aとの間に第3の偏光子146を配置することができる。装置100c及び装置100eの実施形態では、管状物体102から第2の検出方向に発するレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)とミラー136との間に第3の偏光子146を配置することができる。装置100d及び装置100fの実施形態では、管状物体102から第2の検出方向に発するレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)と五角プリズム138との間に第3の偏光子146を配置することができる。装置100g及び装置100hの実施形態では、ミラー136aから発するレーザ光の経路において、ミラー136aと管状物体102(の想定位置)との間に第3の偏光子146を配置することができる。あるいは、装置100hの実施形態では、管状物体102から発するレーザ光の経路において、管状物体102(の想定位置)と第2のコンデンサレンズ128との間に第3の偏光子146を配置してもよい。
【0122】
図1から図10に示されている実施形態では、レーザビーム発生器114が回転ミラーアセンブリ106及びコリメータレンズ124と(反射ミラー118を介して又は直接に)相互作用することによって、走査レーザビームを発生させる。しかしながら、走査レーザビームを生成する他のデバイスも適用できる。従って、レーザビーム発生器114、回転ミラーアセンブリ106、及びコリメータレンズ124の組み合わせは、本発明に必須ではない。
【0123】
図11Aは、管状物体102の長手方向軸104に直交すると共にレーザビーム方向に直交する走査方向で走査経路に沿って一定の速度vsで移動させたレーザビームによる管状物体102の走査を示す。説明を明確にするため、管状物体102は大きな厚さを有するものとして示すが、実際には、管状物体102の外半径RDと内半径Rdとの差は極めて小さい可能性がある。
【0124】
第1の光検出器120を用いて、更に、前述のように特定の実施形態によっては第2の光検出器130も用いて、装置100a、100b、100c、100d、100e、100f、100i、もしくは100j、又は同一の原理を用いたそれらの変形に従って、レーザ光の強度が測定される。図11Bは、第1の光検出器120を用いて、場合によっては第2の光検出器130も用いて検出されたレーザ光の強度Iを、様々な時点tで示す。ここで、レーザ光強度Iの指示は、絶対値を示すことが意図されない場合、及び、強度の遷移が時間的により漸進的であり得る場合、それぞれハイ及びローとして理解するべきであることに留意すべきである。
【0125】
光検出器120及び(存在する場合)光検出器130の出力信号に影響を与える以下のイベントが発生する。
【0126】
1. レーザビーム位置Bにおいて、第1のレーザビーム方向のレーザビームは、管状物体102の外縁に当たる。ここで、レーザビームは、第1の時点τ(0)で、管状物体102の第1のポイントP1において管状物体102の外面に接する。これは、矢印150で示されているような第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。第1の検出方向は、最初のレーザビーム方向に対して平行な向きである。
【0127】
2. レーザビーム位置Cにおいて、レーザビームは、第3の時点τ(xD2)で、管状物体102の第3のポイントP3において管状物体102の外面で反射される。これは、矢印152で示されているような、第1の検出方向に対して90度の検出角α(図9に示されている)、又は45度から135度の検出角αの第2の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0128】
3. レーザビーム位置Dにおいて、レーザビームは、第4の時点τ(xd2)で、管状物体102の外面で屈折され、管状物体102の第4のポイントP4において管状物体102の内面で反射され、再び管状物体102の外面で屈折される。これは、第2の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0129】
4. レーザビーム位置Eにおいて、レーザビームは管状物体102の外縁に当たる。ここで、レーザビームは、第2の時点τ(2RD)で、管状物体102の第2のポイントP2において管状物体102の外面に接する。これは、第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0130】
5. レーザビーム位置Gにおいて、レーザビームは、第5の時点τ(xd1)で、管状物体102の外面で屈折され、管状物体102の第5のポイントP5において管状物体102の内面で反射され、再び管状物体102の外面で屈折される。これは、第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0131】
図12Aは、管状物体102の長手方向軸104に直交すると共にレーザビーム方向に直交する走査方向で走査経路に沿って一定の速度vsで移動させたレーザビームによる管状物体102の走査を示す。説明を明確にするため、管状物体102は大きな厚さを有するものとして示すが、実際には、管状物体102の外半径RDと内半径Rdとの差は極めて小さい可能性がある。
【0132】
第1の光検出器120を用いて、更に、前述のように特定の実施形態によっては第2の光検出器130も用いて、装置100gもしくは100h、又は同一の原理を用いたそれらの変形により、レーザ光の強度が測定される。図12Bは、第1の光検出器120を用いて、場合によっては第2の光検出器130も用いて検出されたレーザ光の強度Iを、様々な時点tで示す。ここで、レーザ光強度Iの指示は、絶対値を示すことが意図されない場合、及び、強度の遷移が時間的により漸進的であり得る場合、それぞれハイ及びローとして理解するべきであることに留意すべきである。
【0133】
光検出器120及び光検出器130(存在する場合)の出力信号に影響を与える以下のイベントが発生する。
【0134】
1. レーザビーム位置Bにおいて、第1のレーザビーム方向151のレーザビームは、管状物体102の外縁に当たる。ここで、レーザビームは、第1の時点τ(0)で、管状物体102の第1のポイントP1において管状物体102の外面に接する。これは、矢印150で示されているような第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。第1の検出方向は、最初のレーザビーム方向に対して平行な向きである。
【0135】
2. レーザビーム位置Gにおいて、レーザビームは、第5の時点τ(xd1)で、管状物体102の外面で屈折され、管状物体102の第5のポイントP5において管状物体102の内面で反射され、再び管状物体102の外面で屈折される。これは、矢印150で示されているような第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0136】
3. レーザビーム位置Eにおいて、レーザビームは管状物体102の外縁に当たる。ここで、レーザビームは、第2の時点τ(2RD)で、管状物体102の第2のポイントP2において管状物体102の外面に接する。これは、矢印150で示されているような第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0137】
4. レーザビーム位置Cにおいて、レーザビームは、第3の時点τ(xD2)で、ミラー136によって管状物体102へ反射されて、第1のレーザビーム方向に対して走査角β(図12Aでは90度)の第2のレーザビーム方向153に誘導され、管状物体102の第3のポイントP3において管状物体102の外面で反射される。これは、矢印150で示されているような、0度の検出角α(図7に示されている)、又は和(α+β)が45度から135度の間であるような検出角α(図8に示されている)の第1の検出方向のレーザ光の強度において検出可能である。
【0138】
5. レーザビーム位置Dにおいて、レーザビームは、第4の時点τ(xd2)で、管状物体102の外面で屈折され、管状物体102の第4のポイントP4において管状物体102の内面で反射され、再び管状物体102の外面で屈折される。これはレーザ光の強度において検出可能である。
【0139】
図11Bにおいて、時点τ(xd1)は、τ(xD2)とτ(xd2)との間にあるか又は少なくともこれらの近くにあることがわかる。このため、特定の寸法を有する管状物体102を測定する場合、時点τ(xD2)、τ(xd1)、及びτ(xd2)の光強度ピークが時間的に近接して生じ得るので、これらのピークのいずれかの検出が困難になる可能性がある。図12Bでは、時点τ(xD2)及びτ(xd2)は時間的に時点τ(xd1)から離れており、従ってこれら3つの時点の各々はより明確に検出可能であるので、上記の困難は軽減することがわかる。
【0140】
チューブの外径Dは、以下によって走査速度vsに関連付けられる。
D=2RD=vs・(τ(2RD)-τ(0))
【0141】
この走査速度vsは一定であると想定される。例示として、既知の(較正済みの)直径を有する基準管状物体102から第1の時点τ(0)及び第2の時点τ(2RD)を測定することで、装置100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h、100i、及び100jを較正することによって、走査速度vsを決定できる。
【0142】
Jablonski, R.等の引例において開発された理論を用いると共に、そこに提示された誤差を補正して、装置100a、100b、100c、100d、100e、100f、100i、及び100jの処理システム134、又は同様の装置により、第1、第2、第3、及び第4の時点の決定、並びに以下の式に基づいて、チューブの内半径Rdを計算することができる。
【数21】
ここで、
【数22】
が成り立つ。
【0143】
後者の関係において、xd2は、第2の検出方向で検出されるレーザビーム位置Dを示し、レーザビーム位置Dは、ゼロ位置であるレーザビーム位置Bに対して測定される。
【0144】
Jablonski, R.等の引例において開発された理論を用いると共に、そこに提示された誤差を補正して、装置100g又は100hの処理システム134により、第1、第2、第3、及び第4の時点の決定、並びに以下の式に基づいて、チューブの内半径Rdを計算することができる。
【数23】
ここで、
【数24】
が成り立つ。
【0145】
後者の関係において、xd2は、第1又は第2の検出方向で検出されるレーザビーム位置Dを示し、レーザビーム位置Dは、ゼロ位置であるレーザビーム位置Bに対して測定される。
【0146】
図13は、2つの屈折率について、相対的な信号タイミングと相対的なチューブ内径との関係を示す。この関係は、ほとんどのエリアにおいて、またより薄いチューブについても、線形のままである。これは、薄いチューブもこのようにして妥当な不確定性で測定できることを意味している。
【0147】
第1のレーザビーム方向、第1の検出方向、及び第2の検出方向において、チューブ内面が充分に測定可能である場合は、第5の時点τ(xd1)の測定に基づいて屈折率nを式から除去することができ、事前にnを知らなくても、第1、第2、第3、第4、及び第5の時点の測定、並びに以下の式に基づいて、装置100a、100b、100c、100d、100e、100f、100i、又は100j、又は同様の装置において、Rdの絶対測定値を取得することができる。
【数25】
ここで、
【数26】
が成り立つ。
【0148】
追加の結果として、図1から図6図9、及び図10に示されているように、処理システム134は、以下の式のうちどちらかに基づいて屈折率nを生じることができる。
【数27】
【0149】
第1のレーザビーム方向、第2のレーザビーム方向、第1の検出方向、及び第2の検出方向において、チューブ内面が充分に測定可能である場合は、第5の時点τ(xd1)の測定に基づいて屈折率nを式から除去することができ、事前にnを知らなくても、第1、第2、第3、第4、及び第5の時点の測定、並びに以下の式に基づいて、装置100g又は100h、又は同様の装置において、Rdの絶対測定値を取得することができる。
【数28】
ここで、
【数29】
が成り立つ。
【0150】
追加の結果として、図7及び図8に示されているように、処理システム134は、以下の式のうちどちらかに基づいて屈折率nを生じることができる。
【数30】
【0151】
従って、本開示は、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法に関する。この方法は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、走査レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、ことと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定することと、
s、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の屈折率nを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、屈折率nを計算することと、
を含む。
【0152】
また、本開示は、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法に関する。この方法は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、走査レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、ことと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定することと、
s、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の屈折率nを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、屈折率nを計算することと、
を含む。
【0153】
また、本開示は、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置に関する。この装置は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、走査レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、レーザビームスキャナと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するため、及び、物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定すること、及び、
s、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて前記物体の屈折率nを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、屈折率nを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える。
【0154】
また、本開示は、長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための装置に関する。この装置は、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査するレーザビームスキャナであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、走査レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、レーザビームスキャナと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出するため、及び、物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出する検出アセンブリと、
処理システムであって、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定すること、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定すること、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定すること、及び、
s、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の屈折率nを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、屈折率nを計算すること、
を実行するために構成された処理システムと、を備える。
【0155】
本発明の実施形態は、以下の条項1から11に従った方法を含むことができる。
【0156】
条項1.屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法であって、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、走査レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、ことと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
n、vs、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む方法。
【0157】
条項2.屈折率n及び長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法であって、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、走査レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、ことと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
n、vs、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、及びτ(xd2)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む方法。
【0158】
条項3.長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法であって、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、走査レーザビームは、走査方向に直交し、かつ物体の長手方向軸に直交して、第1のレーザビーム方向で物体へ誘導される、ことと、
物体から第1のレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対してゼロよりも大きい検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定することと、
s、α、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む方法。
【0159】
条項4.長手方向軸を有する透明な管状物体の特性を測定するための方法であって、
物体の長手方向軸に直交する走査経路に沿って一定の走査速度vsで走査方向にレーザビームを走査することであって、レーザビームは物体の長手方向軸に直交して誘導され、走査レーザビームは、走査経路の第1の部分では走査方向に直交する第1のレーザビーム方向で物体へ誘導され、走査経路の第2の部分ではリフレクタを介して第1のレーザビーム方向に対してゼロよりも大きい走査角βの第2のレーザビーム方向で物体へ方向転換される、ことと、
物体からレーザビーム方向と平行な第1の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第1のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第1の時点τ(0)、及び、第1のポイントと直径方向に対向する物体の第2のポイントにおいて物体の外面に接するレーザビームを表す第2の時点τ(2RD)を決定することと、
物体から第1の検出方向に対して検出角αの第2の検出方向に発したレーザ光の強度を検出することと、
第2の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の第3のポイントにおいて物体の外面で反射されたレーザビームを表す第3の時点τ(xD2)、及び、物体の外面で屈折されて物体の第4のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第4の時点τ(xd2)を決定することと、
第1の検出方向で検出されたレーザ光の強度から、物体の外面で屈折されて物体の第5のポイントにおいて物体の内面で反射されたレーザビームを表す第5の時点τ(xd1)を決定することと、
s、α、β、τ(0)、τ(2RD)、τ(xD2)、τ(xd2)、及びτ(xd1)に基づいて物体の内半径Rdを計算することであって、τ(2RD)とτ(0)との差、及びτ(xd2)とτ(xD2)との差を計算することを含む、内半径Rdを計算することと、
を含む方法。
【0160】
条項5.Rdは以下の式に基づいて計算され、
【数31】
ここで、
【数32】
が成り立つ、条項1に記載の方法。
【0161】
条項6.Rdは以下の式に基づいて計算され、
【数33】
ここで、
【数34】
が成り立つ、条項2に記載の方法。
【0162】
条項7.Rdは以下の式に基づいて計算され、
【数35】
ここで、
【数36】
が成り立つ、条項3に記載の方法。
【0163】
条項8.Rdは以下の式に基づいて計算され、
【数37】
ここで、
【数38】
が成り立つ、条項4に記載の方法。
【0164】
条項9.αは45度から135度であり、特に90度である、条項1、3、5、7のいずれか1項に記載の方法。
【0165】
条項10.α+βは45度から135度であり、特に90度である、条項2、4、6、8、9のいずれか1項に記載の方法。
【0166】
条項11.走査レーザビームを45度の偏光方向に偏光させることと、
物体から第1の検出方向に発したレーザ光を(-45+δ)度の偏光方向に偏光させることであって、|δ|>0である、ことと、
物体から第2の検出方向に発したレーザ光を(45+ε)度の偏光方向に偏光させることであって、|ε|>0である、ことと、
を更に含む、条項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0167】
以上、詳しく説明したように、透明な管状物体の特性を測定するための方法及び装置において、レーザビームが物体を走査し、レーザビーム方向と平行な第1の検出方向で、又は第1の検出方向及びこれに対してある角度、特に90度である第2の検出方向で、物体から発したレーザ光を検出する。屈折率、走査速度、第1の検出方向及び第2の検出方向で検出された外径、物体の外面で反射されたレーザ光と物体内に屈折されてその内面で反射されたレーザ光との時間差から、物体の内半径を計算することができる。物体内に屈折されてその内面で反射されたレーザ光を第1の検出方向で検出する時点がわかれば、屈折率は必要ない。
【0168】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化できる本発明を単に例示しているに過ぎないことは理解されよう。更に、本明細書で使用される用語及び語句は、限定でなく、本発明の理解可能な記載を与えることを意図している。
【0169】
本明細書で用いる場合、「1つの(a/an)」という用語は、1又は2以上として定義される。本明細書で用いる場合、複数(pluraity)という用語は、2又は3以上として定義される。本明細書で用いる場合、別の(another)という用語は、少なくとも第2の又はそれ以上のものとして定義される。本明細書で用いる場合、含む(including)及び/又は有する(having)という用語は、備える(comprising)(すなわちオープンランゲージであり、他の要素又は他のステップを排除しない)として定義される。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、特許請求の範囲又は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0170】
単に特定の手段(measures)が相互に異なる従属請求項に列挙されているからといって、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないというわけではない。
【0171】
本明細書で用いる場合、結合される(coupled)という用語は接続される(connected)として定義されるが、必ずしも直接にではなく、必ずしも機械的にではない。
【0172】
プロセッサシステムは、特許請求の範囲で述べられるいくつかのアイテムの機能を達成するために1つ以上のプロセッサを含み得る。この目的のため、1つ以上のプロセッサに機能を達成させるため1つ以上のプロセッサにロードすることができるコンピュータ命令を含むコンピュータプログラム又はコンピュータソフトウェアが提供される。
【0173】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体に記憶及び/又は分配することができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線の電気通信システムを介して等の他の形態で分配することも可能である。
【符号の説明】
【0174】
100a 装置
100b 装置
100c 装置
100d 装置
100e 装置
102 管状物体
104 長手方向軸
106 ミラーアセンブリ
108 矢印
110 駆動デバイス
112 反射面
114 レーザビーム発生器
116 レーザビーム
118 ミラー
120 第1の光検出器
122 第1の出力信号
124 コリメータレンズ
126 第1の検出方向の第1のコンデンサレンズ
126a 第1の検出方向及び反射された第2検出方向のレーザ光を結合する第1のコンデンサレンズ
127 反射された第2の検出方向の第2のコンデンサレンズ
128 第1の検出方向に直交する第2検出方向の第2のコンデンサレンズ
128a 第1の検出方向に直交しない第2検出方向の第2のコンデンサレンズ
130 第2の光検出器
132 第2の出力信号
134 処理システム
136 ミラー
136a ミラー
138 五角プリズム
142 第1の偏光子
144 第2の偏光子
146 第3の偏光子
147 レーザビーム偏光子
148 波長板、半波長板
149 偏光ビームスプリッタ
150 第1の検出方向
151 第1の走査方向
152 第2の検出方向
153 第2の走査方向
A t=τ(0)前のレーザビーム位置
B t=τ(0)におけるレーザビーム位置
C t=τ(xD2)におけるレーザビーム位置
D t=τ(xd2)におけるレーザビーム位置
E t=τ(2RD)におけるレーザビーム位置
F t=τ(2RD)後のレーザビーム位置
G t=τ(xd1)におけるレーザビーム位置
M メモリ
P1 第1のポイント
P2 第2のポイント
P3 第3のポイント
P4 第4のポイント
P5 第5のポイント
α 検出角
β 走査角
t 時間
s 走査速度
n 屈折率
d 内半径
D 外半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13