(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】排ガス処理装置および排ガス処理装置における水蒸気の利用方法
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20230629BHJP
F23G 5/46 20060101ALI20230629BHJP
F23J 3/00 20060101ALI20230629BHJP
F22D 1/28 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
F23J15/00 Z
F23G5/46 A
F23J3/00 101Z
F22D1/28 Z
(21)【出願番号】P 2022001724
(22)【出願日】2022-01-07
【審査請求日】2022-01-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、独立行政法人環境再生保全機構 環境研究総合推進費「水蒸気回収膜を用いた新規な環境配慮型廃棄物処理システムの実証」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000136804
【氏名又は名称】株式会社プランテック
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 倹吾
(72)【発明者】
【氏名】武山 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 良二
(72)【発明者】
【氏名】都留 稔了
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089611(JP,A)
【文献】特開2019-173992(JP,A)
【文献】特開2018-053737(JP,A)
【文献】特開平11-159719(JP,A)
【文献】特開2005-090818(JP,A)
【文献】特開平10-325527(JP,A)
【文献】特開2003-279020(JP,A)
【文献】特開平09-287416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/00
F23G 5/46
F23J 3/00
F22D 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却する焼却炉と、当該焼却炉で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラとを有する排ガス処理装置であって、
ボイラ通過後の排ガスの経路に冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置と、
この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜とが設けられ、
前記水蒸気分離膜が昇圧手段と接続され、当該水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧
して蒸気溜に貯留するようになされたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記
蒸気溜が脱気器と接続され、
蒸気溜に貯留した水蒸気を、脱気器の加熱蒸気として利用するようになされた請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記
蒸気溜がスートブローと接続され、
蒸気溜に貯留した水蒸気を、ボイラ水管や脱硝触媒に噴射できるようになされた請求項1または2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記水蒸気分離膜により分離された水蒸気の流路に圧力を測定するセンサが設けられ、この圧力によって昇圧手段に供給される水蒸気流量を制御する制御部が設けられた請求項1ないし3の何れか一に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
廃棄物を焼却する焼却炉と、当該焼却炉で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラとを有し、
ボイラ通過後の排ガスの経路に冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置と、
この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜とが設けられた排ガス処理装置において、
前記水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧して
蒸気溜に貯留し、当該蒸気溜に貯留した水蒸気を脱気器の加熱蒸気として利用することを特徴とする排ガス処理装置における水蒸気の利用方法。
【請求項6】
廃棄物を焼却する焼却炉と、当該焼却炉で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラとを有し、
ボイラ通過後の排ガスの経路に冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置と、
この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜とが設けられた排ガス処理装置において、
前記水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧して
蒸気溜に貯留し、当該蒸気溜に貯留した水蒸気をボイラ水管や脱硝触媒に噴射するスートブローの水蒸気として利用することを特徴とする排ガス処理装置における水蒸気の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気分離膜を有する排ガス処理装置および排ガス処理装置における水蒸気の利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼却炉で発生した排ガスは、その熱が水に伝えられてボイラで水蒸気として回収され、水噴射式のガス冷却塔で水が噴射されて減温された後、バグフィルタで煤塵や酸性ガス等が除去され、さらに窒素酸化物の規制値が厳しい地域では、排ガスが再加熱された後、脱硝装置で窒素酸化物が除去された後、煙突から排出される。
【0003】
この際、ボイラで水蒸気を回収する技術としては、発電プラント内で蒸気タービンの抽気蒸気(低温・低圧)を蒸気圧縮機にて高温・高圧の蒸気に昇温・昇圧し、さらに蒸気タービンで利用するもの(特許文献1参照)や、高含水バイオマスを気密断熱容器に入れて水蒸気圧縮機により水分を連続的に気化・吸引し、さらに昇圧して、その蒸気をバイオマスの加熱に使用し、熱交換によりバイオマス中の水分を蒸発させると共に発生した水をバイオマスボイラのボイラ水として利用するもの(特許文献2参照)や、ボイラ等で発生する蒸気を圧縮機により圧縮昇圧した後、蓄熱アキュムレータに吹込み、発生蒸気を越える圧力にして貯蔵するもの(特許文献3参照)が知られている。
【0004】
従来より、このようなボイラで回収された水蒸気は、発電に使用されるとともに、脱気器加熱やスートブロー等に消費されていた。そして、このような焼却炉の脱気器加熱やスートブロー等に使用される低圧の水蒸気は、何れもボイラで発生した高圧の水蒸気を減圧して使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-246892号公報
【文献】特開2005-288320号公報
【文献】特開昭56-159509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のように、ボイラで回収された水蒸気を、脱気器加熱やスートブロー等で消費してしまうと、その消費分だけ、蒸気タービンに供給される高圧の水蒸気量が減少することとなり、当該水蒸気による発電量が減少してしまうこととなる。
【0007】
特許文献1ないし3の何れかに記載の技術を利用したとしても、このような脱気器加熱やスートブロー等で消費される水蒸気量の減少をなくすことはできなかった。
【0008】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、ボイラで回収した水蒸気を消費することなく、脱気器加熱やスートブロー等を使用して水蒸気の利用効率の向上を図ることができる排ガス処理装置および当該排ガス処理装置における水蒸気の利用方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る排ガス処理装置は、廃棄物を焼却する焼却炉と、当該焼却炉で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラとを有する排ガス処理装置であって、ボイラ通過後の排ガスに冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置と、この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜とが設けられ、前記水蒸気分離膜が昇圧手段と接続され、当該水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧して蒸気溜に貯留するようになされたものである。
【0010】
上記排ガス処理装置は、前記昇圧手段が脱気器と接続され、蒸気溜に貯留した水蒸気を、脱気器の加熱蒸気として利用するようになされたものであってもよい。
【0011】
上記排ガス処理装置は、前記昇圧手段がスートブローと接続され、蒸気溜に貯留した水蒸気を、ボイラ水管や脱硝触媒に噴射できるようになされたものであってもよい。
【0012】
上記排ガス処理装置は、前記水蒸気分離膜により分離された水蒸気の流路に、圧力を測定するセンサが設けられ、この圧力によって昇圧手段に供給される水蒸気流量を制御する制御部が設けられたものであってもよい。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の排ガス処理装置における水蒸気の利用方法は、廃棄物を焼却する焼却炉と、当該焼却炉で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラとを有し、ボイラ通過後の排ガスの経路に冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置と、この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜とが設けられた排ガス処理装置において、前記水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧して蒸気溜に貯留し、当該蒸気溜に貯留した水蒸気を脱気器の加熱蒸気として利用するものである。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の排ガス処理装置における水蒸気の利用方法は、廃棄物を焼却する焼却炉と、当該焼却炉で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラとを有し、ボイラ通過後の排ガスの経路に冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置と、この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜とが設けられた排ガス処理装置において、前記水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧して蒸気溜に貯留し、当該蒸気溜に貯留した水蒸気をボイラ水管や脱硝触媒に噴射するスートブローの水蒸気として利用するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によると、水蒸気分離膜を昇圧手段と接続し、当該水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧して蒸気溜に貯留するようにしているので、ボイラの水蒸気を使うことなく、この蒸気溜に貯留した水蒸気を、脱気器の加熱蒸気として利用したり、スートブローの噴射蒸気としてボイラ水管や脱硝触媒の噴射に利用したりすることができる。したがって、ボイラ水の減少を補うことができ、当該ボイラに供給する純水装置の負荷を軽減することかできる。また、水蒸気分離膜で分離した水蒸気を昇圧手段で昇圧して蒸気溜に貯留し、他で使用することができるので、この水蒸気分離膜を通過後の排ガスは、前記他で使用する水蒸気の分だけ排ガス中の水分量を減少させることができることとなり、煙突からの白煙を抑制することができる。さらに、前記水蒸気分離膜を通過後の排ガスは、前記他で使用する水蒸気の分だけ排ガス量を減少させることができることとなり、この水蒸気分離膜を通過後の経路に脱硝触媒を通過させるような構成になっている場合には、脱硝触媒の入口で排ガスを再加熱する際の熱量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る排ガス処理装置の全体構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0018】
図1は排ガス処理装置1の全体構成の概略を示している。
【0019】
この排ガス処理装置1は、焼却炉2と、ボイラ3とを有し、ボイラ3を通過した後に、排ガス冷却装置4と、水蒸気分離膜5とが設けられ、前記水蒸気分離膜5が圧縮機51と接続され、当該水蒸気分離膜5で分離した水蒸気を昇圧できるようになされている。
【0020】
焼却炉2は、例えば図示しない一般廃棄物、産業廃棄物や所定梱包に入れられた感染性医療廃棄物などのごみを燃焼するものであり、焼却炉2の型式は問わない。
【0021】
ボイラ3は、焼却炉2の下流側に設けられており、当該焼却炉2の熱を補給水に伝えて水蒸気を得るようになされている。得られた水蒸気は、発電に利用するものであってもよいし、熱交換による冷暖房や温水調製に利用するものであってもよい。このボイラ3に供給する補給水は、酸素を含んだまま使用すると、ボイラ3の腐食や減肉の原因となってしまうので、脱気器31において酸素を脱気した後、ボイラ3に供給される。補給水についても、水質が悪いと、ボイラ3の腐食や減肉の原因となってしまうので、純水装置32によって調製された純水を供給するようになされている。
【0022】
排ガス冷却装置4は、ボイラ3の下流側に設けられており、ボイラ3を通過後の未だ高温の排ガスに、当該排ガス冷却装置4内で、水を噴霧して排ガスを水で直接冷却して減温するように構成されている。この減温する温度としては、例えば、200℃以下に減温される。
【0023】
排ガス冷却装置4の下流側には集塵装置6が設けられている。この集塵装置6は、排ガス冷却装置4を通過した排ガス中に含まれる煤塵等の粒子状物質を補集するようになされている。この集塵装置6は、いわゆるバグフィルタと呼ばれる濾布によって、排ガス中の粒子状物質をだ捕することができるものであれば、特に限定されるものではなく、粒子状物質を濾過するものであってもよいし、粒子状物質をサイクロンによって遠心分離するものであってもよい。集塵装置6の上流側の煙道において排ガス導入口寄りの位置に中和薬剤を吹き込む薬剤供給装置60が設けられていてもよい。
【0024】
薬剤供給装置60は、集塵装置6の出口における排ガス中の酸性ガスの濃度を計測し、前記焼却炉2の焼却運転を所定時間行うことに伴い発生する排ガス中の酸性ガスを中和処理するために必要な中和薬剤の量を算出し、この算出した量の前記中和薬剤を集塵装置6の入口側の煙道11に所定時間内に一定量まとめて吹き込むことにより、集塵装置6のろ布に前記排ガスに含まれる酸性ガスの中和薬剤からなるプレコート層を形成する。前記中和薬剤としては、消石灰あるいは重曹等が挙げられる。
【0025】
なお、前記プレコート層を形成する前に、集塵装置6内に圧縮空気をパルス的にジェット噴射して、集塵装置6内のろ布表面の付着物を払い落とす払落し処理を行うようにすることが好ましい。
【0026】
水蒸気分離膜5は、オルガノシリカ膜等ガス中の水蒸気を選択的に透過するものであり、集塵装置6の下流側の煙道11から分岐したバイパス経路12に設けられており、当該バイパス経路12を通過する排ガス中の水蒸気を選択的に分離するものである。分岐した直後の煙道11およびバイパス経路12の位置には、煙道ダンパ11aおよびバイパスダンパ12aが設けられており、これら煙道ダンパ11aおよびバイパスダンパ12aの開閉具合によって、それぞれ煙道11およびバイパス経路12を流れる排ガスの通過量を制御することができるようになされている。
【0027】
水蒸気分離膜5で分離された水蒸気が通過することとなる水蒸気流路13には圧力を測定するセンサ53が設けられており、前記した煙道ダンパ11aやバイパスダンパ12aの開閉によって制御されるバイパス経路12の排ガス流量および前記センサ53によって測定される水蒸気流路13の圧力によって水蒸気分離膜5で分離される水蒸気流量を制御することができるようになされている。
【0028】
圧縮機51は、水蒸気分離膜5で分離された水蒸気が通過することとなる水蒸気流路13の下流側に設けられ、そのさらに下流側には蒸気溜52が設けられており、この圧縮機51は、水蒸気分離膜5を通過して分離された水蒸気を吸引して、蒸気溜52に昇圧して送るようになされている。この際、蒸気溜52に貯留される水蒸気量は、蒸気溜52の圧力をセンサ54によって測定し、このセンサ54からの情報を基に、水蒸気量を制御できるようになされている。この水蒸気量の制御は、前記した煙道ダンパ11aやバイパスダンパ12aの開閉によって水蒸気分離膜5に供給される排ガス流量の制御と、センサ53によって測定される、前記した水蒸気流路13の圧力の制御も含めて制御部50によって制御される。蒸気溜52には、例えば、0.07~0.1MPaに昇圧した水蒸気を貯留するようになされている。
【0029】
そして、この蒸気溜52に貯留された水蒸気は、前記したボイラ3のスートブロー33や、前記した脱気器31の脱気に使用される。
【0030】
この際、本発明の排ガス処理装置1は、ボイラ3から得られる水蒸気を利用するのではなく、水蒸気分離膜5を通過して分離した水蒸気を使用するものであるため、ボイラ3に給水するボイラ水の減少を補うことができ、ボイラ3に給水する純水装置32の負荷を軽減することができる。
【0031】
一方、水蒸気分離膜5を経たバイパス経路12は、集塵装置6を経た煙道11と再合流するようになされており、合流後の煙道11の下流側には、再加熱器7が設けられ、その下流側に脱硝装置70が設けられている。これにより、排ガスは、再加熱器7で再加熱されて、脱硝触媒との反応が活性化するようになされた後、脱硝触媒が設けられた脱硝装置70を通過するようになされている。
【0032】
この際、本発明の排ガス処理装置1は、再加熱器7の上流側に水蒸気分離膜5を設けており、排ガス中の水蒸気の一部を、蒸気溜52へと回収するようになされているので、再加熱器7で排ガスを再加熱する際の熱量を低減することができることとなる。
【0033】
脱硝装置70を通過した排ガスの煙道11の下流側には、誘引送風機8が設けられ、その下流側には煙突9が設けられている。これにより、脱硝装置70を通過した排ガスを、誘引送風機8で吸引して煙突9から大気中に放出するようになされている。
【0034】
このようにして構成された排ガス処理装置1によると、当該排ガス処理装置1の運転時に利用される水蒸気は、廃棄物中の水分および廃棄物中の可燃分に含まれる水素が燃焼によって発生する水、さらに排ガス冷却装置4で噴霧した水が水蒸気となったもので、水蒸気分離膜5を通過して分離した後に昇圧して利用するので、ボイラ3で得られる水蒸気を利用しなくてもよくなる。したがって、前記したように、ボイラ3に給水するボイラ水の減少を補うことができ、ボイラ3に給水する純水装置32の負荷を軽減することができる。また、水蒸気分離膜5により排ガス中の水蒸気を分離することにより煙道を通過する水蒸気の量を減らすことかできるので、脱硝装置70を通過させる前に再加熱する排ガスの熱量を低減して省エネルギー化を図ることができる。さらに、煙突9から排出される水蒸気の量を減らすことができるので、白煙を抑制することができる。
【0035】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0036】
本実施の形態において、スートブロー33は、ボイラ3にブローしてボイラ水管に付着したダスト等を剥離するように構成されているが、脱硝触媒にブローして当該脱硝触媒に付着したスケール等を剥離するようになされたものであってもよいし、集塵装置6のスケール等を剥離するのに利用するものであってもよい。
【0037】
また、本実施の形態において、排ガス処理装置1は、再加熱器7および脱硝装置70を備えているが、再加熱方式ではない脱硝装置を備えたものであってもよいし、脱硝装置が無いものであってもよい。
【0038】
さらに、本実施の形態において、排ガス処理装置1は、ボイラ3において水蒸気を調製するようになされているが、ボイラ3で調製した水蒸気を利用しなくても脱気器31やスートブロー33に利用する水蒸気を確保できるので、ボイラ3は温水を調製するようになされたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、排ガス処理装置に好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 排ガス処理装置
2 焼却炉
3 ボイラ
31 脱気器
33 スートブロー
4 排ガス冷却装置
5 水蒸気分離膜
50 制御部
51 圧縮機(昇圧手段)
53 センサ
54 センサ
6 集塵装置
【要約】
【課題】ボイラで回収した水蒸気を消費することなく、脱気器加熱やスートブロー等を使用して水蒸気の利用効率の向上を図ることができる排ガス処理装置および当該排ガス処理装置における水蒸気の利用方法を提供する。
【解決手段】廃棄物を焼却する焼却炉2と、当該焼却炉2で得た熱を水に伝えて水蒸気または温水を得るボイラ3とを有する排ガス処理装置1であって、ボイラ3通過後の排ガスの経路に冷却水を噴射することにより減温する排ガス冷却装置4と、この減温された排ガスの水蒸気から水蒸気を分離する水蒸気分離膜5とが設けられ、前記水蒸気分離膜5が圧縮機51と接続され、当該水蒸気分離膜5で分離した水蒸気を昇圧できるようになされた排ガス処理装置1である。
【選択図】
図1