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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】マグネトロン
(51)【国際特許分類】
   H01J 23/04 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
H01J23/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019128081
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021015669
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】南谷 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】梅原 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】安井 靖尭
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-199031(JP,A)
【文献】特開昭60-070636(JP,A)
【文献】特開2011-216489(JP,A)
【文献】特開2015-002088(JP,A)
【文献】特開2016-081574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のアノード構体と、
前記アノード構体の内側に配置されるカソードを保持するアームを含むカソード構体と、
前記アノード構体と前記カソード構体との間に介在して前記アームが固定される高圧碍子と、
を有し、
前記カソードの両端を保持する一対の前記アームが前記アノード構体の径方向において離間して配設される構造のマグネトロンであって、
前記高圧碍子に固定されて支柱が配設され、
前記アームと前記支柱とがスペーサで連結されて相互に固定されている、
ことを特徴とするマグネトロン。
【請求項2】
前記高圧碍子が、円筒部と、該円筒部の一方の開口端部を塞ぐ電極固定部とを有し、
前記アームおよび前記支柱が前記高圧碍子の前記電極固定部に固定されるとともに前記円筒部の内側へと延出し、
前記スペーサが前記高圧碍子の前記円筒部の内側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
【請求項3】
前記アーム、前記支柱、および前記スペーサが同じ材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマグネトロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アノード構体の内側にカソードがカソード構体によって保持されるマグネトロンに関する。
【背景技術】
【0002】
カソードの両端を保持する一対のカソード支持構体が円筒状/環状のアノードの径方向において離間して配設される構造のマグネトロンは、カソードの片端を保持するカソード支持構体が円筒状/環状のアノードの軸方向に沿って配設される構造のマグネトロンと比較して、振動等によるカソードの位置変動を抑えることが困難であった。しかし、マグネトロンが組み込まれる装置の空間的な制約から、一対のカソード支持構体がアノードの径方向において離間して配設される構造のマグネトロンも必要とされている。その需要に対して、一対のカソード支持構体がアノードの径方向において離間して配設される構造をもち、かつ、カソードの位置変動を抑えることを企図したマグネトロンとして、カソード支持アームを固定する真空容器のセラミックス製の壁をアノード側に近い位置に設置する構造のマグネトロンがある(特許文献1参照)。図5は前記のような従来のマグネトロンのカソード構体101を示す断面図であり、一対のカソード支持アーム102,102の先端にカソード(図示省略)が取り付けられる。セラミックス製の真空壁103をセラミックス円筒104のカソード寄り(即ち、カソード支持アーム102の先端寄り)の位置に設置することで、真空壁103からカソード取り付け部分までのカソード支持アーム102の寸法が短くなり、振動等によるカソードの位置変動が抑えられる。
【0003】
また、カソードの片端を保持するカソード支持構体がアノードの軸方向に沿って配設される構造のマグネトロンについては、カソードやヒータを支持するリードの振動を防止する構造として、カソードリードとヒータリードとの間にスペーサを取り付けて、カソードやヒータの振動を抑えることを企図したマグネトロンが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-216489号公報
【文献】特公平05-056615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような構造のマグネトロンでは(図5参照)、カソード支持構体とアノードとの間に印加される高電圧に耐える真空容器内の絶縁の沿面距離(即ち、電気的な安全性/絶縁を確保するための距離であり、絶縁物の表面に沿う最短距離)は、セラミックス製の真空壁103の長さとセラミックス円筒104のカソード側の長さだけであり、高電圧に耐える長さを確保することが困難である、という問題がある。一方で、前記高電圧に耐えられる沿面距離を確保する位置にセラミックス製の真空壁103を設置すると、真空壁103からカソード固定位置までのカソード支持アーム102の寸法が長くなり、振動等によるカソードの位置変動を小さく抑えることが困難である、という問題がある。
【0006】
また、特許文献2のような構造のマグネトロンでは、リード同士を連結するスペーサは電気的に絶縁をとる必要があり、スペーサとしてセラミックス材料を用いることになる。このため、金属製のリードとセラミックス製のスペーサとの固定が困難である、という問題がある。
【0007】
そこで本発明は、振動等によるカソードの位置変動を抑制することが可能なマグネトロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、環状のアノード構体と、前記アノード構体の内側に配置されるカソードを保持するアームを含むカソード構体と、前記アノード構体と前記カソード構体との間に介在して前記アームが固定される高圧碍子と、を有し、前記カソードの両端を保持する一対の前記アームが前記アノード構体の径方向において離間して配設される構造のマグネトロンであって、前記高圧碍子に固定されて支柱が配設され、前記アームと前記支柱とがスペーサで連結されて相互に固定されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマグネトロンにおいて、前記高圧碍子が、円筒部と、該円筒部の一方の開口端部を塞ぐ電極固定部とを有し、前記アームおよび前記支柱が前記高圧碍子の前記電極固定部に固定されるとともに前記円筒部の内側へと延出し、前記スペーサが前記高圧碍子の前記円筒部の内側に配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のマグネトロンにおいて、前記アーム、前記支柱、および前記スペーサが同じ材料で形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、カソードを保持するアームと支柱とがどちらも高圧碍子に固定された上でスペーサによって連結されて相互に固定されている。このため、アームのみによってカソードを保持する場合と比べて、強度を向上させて、アームを含むカソード構体の振動の共振周波数を高くすることができる。この結果、カソードの位置変動を抑制することが可能となり、延いてはマグネトロンの安定した動作を確保することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、スペーサが高圧碍子の内側に配置されているため、アノードと同電位の金属製真空容器とカソードを保持するアームとの間の高電界にスペーサが晒されることが無い。このため、スペーサ部分でのアーキング発生の可能性を小さくすることができる。この結果、マグネトロンの安定した動作を一層確実に確保することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、アーム、支柱、およびスペーサが同じ材料で形成されているため、これらの部品の熱膨張の程度の差を抑制することができる。このため、マグネトロンの製造過程におけるロウ付けなどの熱処理や、完成後の動作時の昇温による、アーム、支柱、およびスペーサの変形の発生や破損を防止することができる。この結果、マグネトロンの製造過程における無駄を省くことが可能となり、また、マグネトロンの安定した動作を一層確実に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態に係るマグネトロンのカソード構体の概略構成を示す断面図である。
図2図1のカソード構体のA-A’一部断面矢視図である。
図3図1のカソード構体のB-B’矢視図である。
図4図1のカソード構体の一部断面斜視図である。
図5】従来のマグネトロンのカソード構体の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。以下の説明では、図1に表す矢印方向の通りに基端側と先端側とをそれぞれ定義する。
【0016】
図1は、この実施の形態に係るマグネトロンのカソード構体1の概略構成を示す断面図である。図4は、図1のカソード構体1のうちの高圧碍子2を断面とした一部断面斜視図である。
【0017】
この実施の形態に係るマグネトロンのカソード構体1は、該カソード構体1とアノード構体(図示省略)との間に介在する溶接リング8の周囲を取り巻くように配設される円筒状のアノード構体に前記溶接リング8が溶接されてマグネトロンを構成する。アノード構体とカソード9とは高圧碍子2によって電気的に絶縁され、カソード9に高電圧が印加されて該カソード9とアノードとの間にマグネトロン電流が流れ、マグネトロンの動作が行われる。なお、アノード構体については、従来周知の構造と同様の構造のものを用いることが可能であり、この発明に関連して特別の構造は必要とされないので、詳細については説明を省略する。
【0018】
図に示す例は、カソード9の長手方向(軸心方向)における両端を保持する一対のカソード支持アーム3,3が円筒状/環状のアノード(図示省略)の径方向において離間して配設される構造のマグネトロンであり、カソード9の長手方向(軸心方向)がアノードの径方向に沿って配置される。
【0019】
そして、この実施の形態に係るマグネトロンは、アノード構体と、該アノード構体の内側に配置されるカソード9を保持するカソード支持アーム3を含むカソード構体1と、アノード構体とカソード構体1との間に介在してカソード支持アーム3が固定される高圧碍子2と、を有するマグネトロンであって、高圧碍子2に固定されて支柱4が配設され、カソード支持アーム3と支柱4とがスペーサ5で連結されて相互に固定されている。
【0020】
カソード9は、従来周知のカソードと同様の構造であり、円筒状の電子放出部9aと、該電子放出部9aの軸心方向における両端それぞれに配設される一対のエンドハット9b,9bとを有する。この一対のエンドハット9b,9bがそれぞれ棒状のカソード支持アーム3(カソード電極)に固定され、該カソード支持アーム3が高圧碍子2に固定される。
【0021】
高圧碍子2は、アノードとカソード9とを電気的に絶縁するためのものであり、例えばガラスやセラミックスで形成されて、アノードとカソード9との間に介在するように配設される。高圧碍子2は、先端側の円筒部2aと、該円筒部2aの基端側の開口端部を塞ぐように設けられる電極固定部2bとを有する。
【0022】
一対のカソード支持アーム3,3は、導電性を備える材料によって形成され、先端側の端部においてカソード9を保持する部品である。各カソード支持アーム3は、相互に平行に配置される基端側の直線部分3aと、該直線部分3aの先端側の端部と連接して相互の離隔距離が広がる向きに屈曲して傾斜する傾斜部分3bと、該傾斜部分3bの先端側の端部に取り付けられるリード3cとを有する。なお、カソード支持アーム3は、この実施の形態では直線部分3aと傾斜部分3bとが相互に径が異なる別部品として形成されてこれら2つの部品がロウ付けされている構造であるが、径が一定の1本の棒が用いられて形成されてもよい。
【0023】
カソード支持アーム3は、直線部分3aが、高圧碍子2の電極固定部2bの基端側の端面に対して、ロウ付けワッシャ7Aが用いられてロウ付け固定される。その上で、一対のカソード支持アーム3,3それぞれのリード3cにより、カソード9の軸心方向における両端が保持される。
【0024】
支柱4は、カソード支持アーム3の固定支持を補強するためのものであり、一対のカソード支持アーム3,3の各々に対して1本ずつ合計2本設けられる。支柱4は、高圧碍子2の電極固定部2bの基端側の端面に対して、ロウ付けワッシャ7Bが用いられてロウ付け固定される。
【0025】
スペーサ5は、高圧碍子2の内側に配置されて、カソード支持アーム3と支柱4とを連結して相互に位置固定するためのものである。カソード支持アーム3と支柱4とは、図2に示すように、各1本ずつが組み合わされて、スペーサ5によって連結される。カソード支持アーム3の直線部分3aと支柱4とを連結した状態で、カソード支持アーム3の直線部分3aと支柱4とに対してスペーサ5がロウ付け固定され、カソード支持アーム3と支柱4とが相互に位置固定される。
【0026】
カソード支持アーム3は高温で使用可能なモリブデン棒で形成され、支柱4もモリブデン棒で構成される。また、スペーサ5もモリブデン製の部品として形成される。
【0027】
カソード支持アーム3に対して、チョーク6が配設される。チョーク6は、中空のスリーブ状に形成され、入力端子(即ち、高圧碍子2)に漏れ出るマイクロ波を抑制するためのものである。チョーク6は、中空部にカソード支持アーム3を貫通させ、直線部分3aの先端側部分と傾斜部分3bの基端側部分とに跨って配設され、カソード支持アーム3の直線部分3aの外周面に対してロウ付けされて取り付けられる。
【0028】
次に、上述のような構成のカソード構体1の作用などについて説明する。
【0029】
この発明に係るカソード構体1の特徴的な構成は、高圧碍子2に固定されて支柱4が配設され、その上で、カソード支持アーム3と支柱4とがスペーサ5で連結されて相互に固定されている点である。
【0030】
ここで、高圧碍子2の、カソード支持アーム3と溶接リング8との間の絶縁の沿面距離(即ち、電気的な安全性/絶縁を確保するための距離であり、絶縁物の表面に沿う最短距離)は、印加する高電圧に耐えるに十分な距離が確保され得るように調節される。このため、カソード支持アーム3について、該カソード支持アーム3が高圧碍子2に対して固定される位置(即ち、高圧碍子2の電極固定部2bの基端側の端面)からカソード9の取り付け位置(即ち、リード3cの先端側の端部)までの寸法L1は、相応に長くなる。
【0031】
これに対し、カソード支持アーム3と支柱4とがスペーサ5によって相互に固定的に連結されて一体となった構造体であるため、必要な強度が十分に確保される。この構造では、カソード支持アーム3の固定点は、高圧碍子2との固定部分ではなく、スペーサ5との固定部分となる。すなわち、カソード支持アーム3の実質的な長さは、スペーサ5からカソード9の取り付け位置(即ち、リード3cの先端側の端部)までの寸法L2となる。したがって、支柱4が無い構造と比べて、振動の共振周波数が高まる。発明者のシミュレーションによれば、支柱4を有する構造では、支柱4が無い構造と比べて、共振周波数が1.3倍程度に高まることが確認されている。これにより、絶縁の沿面距離を十分に確保することと、カソード支持アーム3の振動を抑えることとの両立が図られ、延いてはカソード9の位置変動が抑制される。
【0032】
一対のカソード支持アーム3,3および2本の支柱4は、図3に示すように、高圧碍子2の基端側の端面視において、カソード支持アーム3同士が対向するとともに支柱4同士が対向し且つそれぞれの対向する方向が交差するように配置された上で、カソード支持アーム3と支柱4との間の距離が等しく(または、概ね等しく)なるように配置される。カソード支持アーム3と支柱4とを等間隔に設置することで、カソード9の振動がいずれの方向であっても、特定の方向に対する強度が弱いということが無く、同等に高い強度でカソード9を保持することが可能となる。
【0033】
カソード支持アーム3と支柱4とをスペーサ5によってカソード9にできる限り近い位置で連結することが、強度を高めるという点では好ましい。しかしながら、アノードとカソード9との間に印加する電圧が高く、カソード支持アーム3とアノード構体との間の耐電圧が限界に近い場合、スペーサ5をアノード構体に近い位置に配置すると、スペーサ5とアノード構体との間で耐電圧が低下する可能性がある。また、チョーク6よりもカソード9に近い位置にスペーサ5を配置すると、入力端子に漏れ出るマイクロ波を抑制するというチョーク6の機能の効果を弱めることになるという問題がある。これらのため、スペーサ5は、高圧碍子2の内側に配置される。
【0034】
また、カソード支持アーム3と支柱4とを同じ材料(この実施の形態では、具体的にはモリブデン)で形成することにより、熱膨張が同程度になり、動作時の高温でのカソード支持アーム3の膨張と支柱4の膨張との差を抑制して、反りなどの変形の発生や破損が防止される。また、スペーサ5も同じ材料(具体的にはモリブデン)で形成することにより、カソード支持アーム3や支柱4をロウ付けする際の各部品の熱膨張差が抑制され、ロウ付け部分の健全性が担保される。ここで、モリブデンは熱伝導性にも優れているので、カソード9からの熱がカソード支持アーム3からスペーサ5を介して支柱4へと伝わり易く、支柱4側に熱が分散されて放熱性が向上する。
【0035】
カソード支持アーム3、支柱4、およびスペーサ5は、タングステン、銅、およびニッケルのうちのいずれかで形成されるようにしてもよく、或いは、モリブデン、タングステン、銅、およびニッケルのうちの少なくとも2つを含む合金として形成されるようにしてもよい。ただし、カソード支持アーム3、支柱4、およびスペーサ5は、マグネトロンの製造過程におけるロウ付けなどの熱処理や、完成後の動作時の昇温による変形の発生や破損を防止するため、同じ材料で(具体的には、熱膨張係数が同じ材料で)形成されることが好ましい。
【0036】
このような構成のカソード構体1によれば、カソード9を保持するカソード支持アーム3と支柱4とがどちらも高圧碍子2に固定された上でスペーサ5によって連結されて相互に固定されている。このため、カソード支持アーム3のみによってカソード9を保持する場合と比べて、強度を向上させて、カソード支持アーム3を含むカソード構体1の振動の共振周波数を高くすることができる。この結果、カソード9の位置変動を抑制することが可能となり、延いてはマグネトロンの安定した動作を確保することが可能となる。
【0037】
このような構成のカソード構体1によれば、また、スペーサ5が高圧碍子2の内側に配置されているため、アノードと同電位の金属製真空容器とカソード支持アーム3との間の高電界にスペーサ5が晒されることが無い。このため、スペーサ5部分でのアーキング発生の可能性を小さくすることができる。この結果、マグネトロンの安定した動作を一層確実に確保することが可能となる。
【0038】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、図1に示すカソード9やカソード支持構体(具体的には、高圧碍子2、カソード支持アーム3、溶接リング8)に対して本発明が適用されるようにしているが、本発明が適用され得るカソード9やカソード支持構体の具体的な構造は図1に示す例に限定されるものではない。本発明は、アノード構体と、アノード構体の内側に配置されるカソードを保持するアームを含むカソード構体と、アノード構体とカソード構体との間に介在して前記アームが固定される高圧碍子と、を有するマグネトロンの、種々のカソード支持構体に対して適用され得る。
【符号の説明】
【0039】
1 カソード構体
2 高圧碍子
2a 円筒部
2b 電極固定部
3 カソード支持アーム
3a 直線部分
3b 傾斜部分
3c リード
4 支柱
5 スペーサ
6 チョーク
7A ロウ付けワッシャ(カソード支持アーム固定用)
7B ロウ付けワッシャ(支柱固定用)
8 溶接リング
9 カソード
9a 電子放出部
9b エンドハット
101 カソード構体
102 カソード支持アーム
103 真空壁
104 セラミックス円筒
図1
図2
図3
図4
図5