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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】微小気泡個数制御システム
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/221 20220101AFI20230629BHJP
   B01F 23/231 20220101ALI20230629BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20230629BHJP
   B01F 35/213 20220101ALI20230629BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B01F35/221
B01F23/231
B01F25/45
B01F35/213
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019210353
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021079347
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 敏史
(72)【発明者】
【氏名】徐 涛
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-290011(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021562(WO,A1)
【文献】特開2004-261314(JP,A)
【文献】特開平11-319637(JP,A)
【文献】特開2012-000580(JP,A)
【文献】特開2012-106149(JP,A)
【文献】特開2011-129743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 35/20 - 35/222
B01F 23/20 - 23/2375
B01F 25/30 - 25/46
H01L 21/304
G01N 15/00 - 15/14
B08B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源から液体が供給される液体供給ラインと、
前記液体供給ラインに設けられ、前記液体の圧力を調整する圧力調整用ポンプと、
前記液体供給ラインに接続され、前記液体の圧力に応じて微小気泡を発生させ、前記液体供給ラインから供給された液体に前記微小気泡を混合する微小気泡発生ノズルと、
前記微小気泡発生ノズルに接続され、前記微小気泡発生ノズルで発生させた微小気泡が混合された液体を送出する液体送出ラインと、
前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測する個数計測ユニットと、
計測された前記微小気泡の個数に応じて前記液体の圧力を調整するように、前記圧力調整用ポンプを制御する制御部と、
を備え
前記個数計測ユニットは、
前記液体供給ラインに設けられ、前記液体供給ラインにおける液体中の微小パーティクルの個数を計測する第1パーティクルカウンターと、
前記液体送出ラインに設けられ、前記液体送出ラインにおける液体中の微小パーティクルの個数を計測する第2パーティクルカウンターと、
を備え、
前記第1パーティクルカウンターで計測した前記微小パーティクルの個数と、前記第2パーティクルカウンターで計測した前記微小パーティクルの個数との差分から、前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測する、微小気泡個数制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、
計測された前記微小気泡の個数が所定の上限値より大きい場合には、前記液体の圧力を下げるように前記圧力調整用ポンプを制御し、
計測された前記液体中の微小気泡の個数が所定の下限値より小さい場合には、前記液体の圧力を上げるように前記圧力調整用ポンプを制御する、請求項1に記載の微小気泡個数制御システム。
【請求項3】
前記液体送出ラインには、前記液体中の微小気泡のサイズを均一化するメッシュが設けられている、請求項1または請求項2に記載の微小気泡個数制御システム。
【請求項4】
前記メッシュの網目サイズは、前記液体中の微小気泡のサイズが所定の基準サイズより小さくなるように設定されている、請求項に記載の微小気泡個数制御システム。
【請求項5】
微小気泡個数制御システムで実行される方法であって、
微小気泡個数制御システムでは、
液体供給源から液体供給ラインに液体が供給され、前記液体供給ラインで前記液体の圧力が調整され、
前記液体供給ラインが接続された微小気泡発生ノズルで、前記液体の圧力に応じて微小気泡を発生させ、前記液体供給ラインから供給された液体に前記微小気泡が混合され、
前記微小気泡発生ノズルに接続された液体送出ラインから、前記微小気泡が混合された液体が送出され、
前記方法は、
個数計測ユニットで、前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測し、
制御部で、計測された前記微小気泡の個数に応じて、前記液体供給ラインにおける液体の圧力を調整することを含み、
前記個数計測ユニットは、
前記液体供給ラインに設けられ、前記液体供給ラインにおける液体中の微小パーティクルの個数を計測する第1パーティクルカウンターと、
前記液体送出ラインに設けられ、前記液体送出ラインにおける液体中の微小パーティクルの個数を計測する第2パーティクルカウンターと、
を備え、
前記方法は、
前記第1パーティクルカウンターで計測した前記微小パーティクルの個数と、前記第2パーティクルカウンターで計測した前記微小パーティクルの個数との差分から、前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中の微小気泡の個数を制御する微小気泡個数制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウェハなどの基板を洗浄するために、微小気泡を含む液体(洗浄液)が用いられている。微小気泡には、マイクロバブルやナノバブルなどが含まれるが、従来、マイクロバブルとナノバブル(マイクロナノバブル)とを可能な限り分離するために、ナノバブルの個数を把握する基板処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-129743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、微小気泡が混合された液体(洗浄液)を用いて半導体ウェハなどの基板を洗浄する場合に、液体(洗浄液)中の微小気泡の個数が多すぎるとパターン倒れが発生するおそれがある。また、液体(洗浄液)中の微小気泡の個数が少なすぎると洗浄能力の低下を引き起こすおそれがある。したがって、液体(洗浄液)中の微小気泡の個数を適切に制御することは極めて重要である。しかしながら、上記従来の基板処理方法では、微小気泡の個数を制御することについて、何の提案もなされていない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、液体中の微小気泡の個数を適切に制御することのできる微小気泡個数制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の微小気泡個数制御システムは、液体供給源から液体が供給される液体供給ラインと、前記液体供給ラインに設けられ、前記液体の圧力を調整する圧力調整用ポンプと、前記液体供給ラインに接続され、前記液体の圧力に応じて微小気泡を発生させ、前記液体供給ラインから供給された液体に前記微小気泡を混合する微小気泡発生ノズルと、前記微小気泡発生ノズルに接続され、前記微小気泡発生ノズルで発生させた微小気泡が混合された液体を送出する液体送出ラインと、前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測する個数計測ユニットと、計測された前記微小気泡の個数に応じて前記液体の圧力を調整するように、前記圧力調整用ポンプを制御する制御部と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、液体供給源から液体供給ラインに液体が供給され、液体供給ラインで液体の圧力が調整される。そして、微小気泡発生ノズルで、液体の圧力に応じて微小気泡を発生させ、液体供給ラインから供給された液体に微小気泡が混合され、液体送出ラインから、微小気泡が混合された液体が送出される。この場合、液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数が計測され、計測された微小気泡の個数に応じて、液体供給ラインにおける液体の圧力が調整される。これにより、液体送出ラインから送出される液体中の微小気泡の個数を適切に制御することができる。
【0008】
したがって、例えば、液体送出ラインから送出される液体が基板洗浄装置で用いられる場合に、液体中の微小気泡の個数が多すぎるときに発生するパターン倒れを防止することができる。また、液体中の微小気泡の個数が少なすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の微小気泡個数制御システムでは、前記個数計測ユニットは、前記液体供給ラインに設けられ、前記液体供給ラインにおける液体中の微小パーティクルの個数を計測する第1パーティクルカウンターと、前記液体送出ラインに設けられ、前記液体送出ラインにおける液体中の微小パーティクルの個数を計測する第2パーティクルカウンターと、を備え、前記第1パーティクルカウンターで計測した前記微小パーティクルの個数と、前記第2パーティクルカウンターで計測した前記微小パーティクルの個数との差分から、前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測してもよい。
【0010】
この構成によれば、第1パーティクルカウンターで計測した微小パーティクルの個数と、第2パーティクルカウンターで計測した微小パーティクルの個数との差分から、液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数が計測される。パーティクルカウンターでは、微小気泡以外の微小パーティクルも計測されるため、微小気泡の個数を正確に計測するためには、パーティクルカウンターで計測した微小パーティクルの個数から、微小気泡以外の微小パーティクルの個数を除外する必要がある。
【0011】
この場合、微小気泡発生ノズルより上流側に配置されている第1パーティクルカウンターで計測される微小パーティクルの個数には、微小気泡発生ノズルで発生させた微小気泡の個数は含まれない。したがって、第1パーティクルカウンターで計測した微小パーティクル(微小気泡発生ノズルで発生させた微小気泡が含まれない)の個数と、第2パーティクルカウンターで計測した微小パーティクル(微小気泡発生ノズルで発生させた微小気泡が含まれる)の個数との差分から、液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を正確に計測することができる。
【0012】
また、本発明の微小気泡個数制御システムでは、前記制御部は、計測された前記微小気泡の個数が所定の上限値より大きい場合には、前記液体の圧力を下げるように前記圧力調整用ポンプを制御し、計測された前記液体中の微小気泡の個数が所定の下限値より小さい場合には、前記液体の圧力を上げるように前記圧力調整用ポンプを制御してもよい。
【0013】
この構成によれば、液体送出ラインから送出される液体中の微小気泡の個数を、上限値と下限値の間の適切な範囲に保つことができる。したがって、例えば、液体送出ラインから送出される液体が基板洗浄装置で用いられる場合に、液体中の微小気泡の個数が多すぎるときに発生するパターン倒れを防止することができる。また、液体中の微小気泡の個数が少なすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の微小気泡個数制御システムでは、前記液体送出ラインに、前記液体中の微小気泡のサイズを均一化するメッシュが設けられてもよい。
【0015】
この構成によれば、液体送出ラインから送出される液体中の微小気泡のサイズが、メッシュによって均一化される。これにより、例えば、液体送出ラインから送出される液体が基板洗浄装置で用いられる場合に、液体中の微小気泡のサイズが不均一であるときに発生するパターン倒れを防止することができる。
【0016】
また、本発明の微小気泡個数制御システムでは、前記メッシュの網目サイズは、前記液体中の微小気泡のサイズが所定の基準サイズより小さくなるように設定されてもよい。
【0017】
この構成によれば、液体送出ラインから送出される液体中の微小気泡のサイズを小さくすることができる。これにより、例えば、液体送出ラインから送出される液体が基板洗浄装置で用いられる場合に、液体中の微小気泡のサイズが大きすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0018】
本発明の方法は、微小気泡個数制御システムで実行される方法であって、微小気泡個数制御システムでは、液体供給源から液体供給ラインに液体が供給され、前記液体供給ラインで前記液体の圧力が調整され、前記液体供給ラインが接続された微小気泡発生ノズルで、前記液体の圧力に応じて微小気泡を発生させ、前記液体供給ラインから供給された液体に前記微小気泡が混合され、前記微小気泡発生ノズルに接続された液体送出ラインから、前記微小気泡が混合された液体が送出され、前記方法は、個数計測ユニットで、前記液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数を計測し、制御部で、計測された前記微小気泡の個数に応じて、前記液体供給ラインにおける液体の圧力を調整する。
【0019】
この方法によっても、上記のシステムと同様に、液体供給源から液体供給ラインに液体が供給され、液体供給ラインで液体の圧力が調整される。そして、微小気泡発生ノズルで、液体の圧力に応じて微小気泡を発生させ、液体供給ラインから供給された液体に微小気泡が混合され、液体送出ラインから、微小気泡が混合された液体が送出される。この場合、液体送出ラインにおける液体中の微小気泡の個数が計測され、計測された微小気泡の個数に応じて、液体供給ラインにおける液体の圧力が調整される。これにより、液体送出ラインから送出される液体中の微小気泡の個数を適切に制御することができる。
【0020】
したがって、例えば、液体送出ラインから送出される液体が基板洗浄装置で用いられる場合に、液体中の微小気泡の個数が多すぎるときに発生するパターン倒れを防止することができる。また、液体中の微小気泡の個数が少なすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、液体中の微小気泡の個数を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における微小気泡個数制御システムの構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施の形態における微小気泡のサイズの説明図である。
図3】本発明の実施の形態における微小気泡個数制御システムの動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の微小気泡個数制御システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、半導体ウェハなどの基板の洗浄等に用いられる微小気泡個数制御システムの場合を例示する。
【0024】
本発明の実施の形態の微小気泡個数制御システムの構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の微小気泡個数制御システムの構成を示す説明図である。本実施の形態では、基板を洗浄する液体(洗浄液)としてオゾン水が用いられる例について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0025】
図1に示すように、微小気泡個数制御システム1は、オゾン水製造装置2で製造されたオゾン水が供給されるオゾン水供給ライン3と、オゾン水供給ライン3に設けられる圧力調整用ポンプ4と、オゾン水供給ライン3に接続される微小気泡発生ノズル5を備えている。圧力調整用ポンプ4は、オゾン水の圧力を調整する機能を備えている。なお、オゾン水製造装置2には、オゾン水をドレンから排出するためのオゾン水排出ライン6が設けられており、オゾン水供給ライン3とオゾン水排水ラインには、それぞれバルブ7が設けられている。
【0026】
微小気泡発生ノズル5は、オゾン水の圧力に応じて微小気泡を発生させる機能を備えている。微小気泡発生ノズル5によって、オゾン水供給ライン3から供給されたオゾン水に微小気泡が混合される。微小気泡発生ノズル5は、例えば、流路にオリフィスが設けられ、ガス溶解液がそのオリフィスを通過する際の圧力解放によって微小気泡が発生する構造で、マイクロバブルやナノバブルと呼ばれる気泡を発生させることが可能なノズルである。
【0027】
また、微小気泡個数制御システム1は、微小気泡発生ノズル5に接続されるオゾン水送出ライン8と、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡の個数を計測する個数計測ユニット9と、個数計測ユニット9で計測された微小気泡の個数に応じてオゾン水の圧力を調整するように圧力調整用ポンプ4を制御する制御部10を備えている。微小気泡発生ノズル5で発生させた微小気泡が混合されたオゾン水は、オゾン水送出ライン8から洗浄装置11に送られる。
【0028】
個数計測ユニット9は、オゾン水供給ライン3に設けられる第1パーティクルカウンター12と、オゾン水送出ライン8に設けられる第2パーティクルカウンター13を備えている。第1パーティクルカウンター12は、オゾン水供給ライン3におけるオゾン水中の微小パーティクルの個数を計測する機能を備えている。また、第2パーティクルカウンター13は、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小パーティクルの個数を計測する機能を備えている。第1パーティクルカウンター12や第2パーティクルカウンター13としては、例えばインライン光学顕微鏡などを用いることができる。
【0029】
個数計測ユニット9は、第1パーティクルカウンター12で計測した微小パーティクルの個数N1と、第2パーティクルカウンター13で計測した微小パーティクルの個数N2との差分N2-N1を、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡の個数として計測する。
【0030】
制御部10は、個数計測ユニット9で計測された微小気泡の個数N2-N1が所定の上限値Nmaxより大きい場合には、オゾン水の圧力を下げるように圧力調整用ポンプ4を制御する。また、制御部10は、個数計測ユニット9で計測されたオゾン水中の微小気泡の個数N2-N1が所定の下限値Nminより小さい場合には、オゾン水の圧力を上げるように圧力調整用ポンプ4を制御する。
【0031】
さらに、オゾン水送出ライン8には、オゾン水中の微小気泡のサイズを均一化するメッシュ14が設けられている。メッシュ14の網目サイズは、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡のサイズDが所定の基準サイズDmaxより小さくなるように設定されている。基準サイズDmaxは、例えば、洗浄する基板に形成されているパターンの間隔に設定される。
【0032】
図2は、微小気泡のサイズの説明図である。図2(a)に示すように、微小気泡MBのサイズが不均一であると、それに起因して基板のパターンPが倒れる、いわゆるパターン倒れが発生するおそれがある。また、図2(b)に示すように、微小気泡MBのサイズが基板のパターンPの間隔より大きいと、微小気泡MBがパターンPの間に入り込まず、洗浄能力の低下が発生するおそれがある。本実施の形態では、メッシュ14を用いることにより、図2(c)に示すように、微小気泡MBのサイズが、小さいサイズで均一化されている。
【0033】
以上のように構成された微小気泡個数制御システム1について、その動作を説明する。
【0034】
本実施の形態の微小気泡個数制御システム1では、オゾン水製造装置2からオゾン水供給ライン3にオゾン水が供給される。オゾン水の圧力は、圧力調整用ポンプ4で調整される。微小気泡発生ノズル5では、オゾン水の圧力に応じて微小気泡を発生させてオゾン水供給ライン3から供給されたオゾン水に微小気泡が混合される。そして、微小気泡が混合されたオゾン水が、オゾン水送出ライン8から洗浄装置11に送出される。このとき、メッシュ14によって微小気泡のサイズが、小さいサイズに均一化される。
【0035】
この微小気泡個数制御システム1において、オゾン水中の微小気泡の個数を制御する場合には、図3に示すように、まず、第1パーティクルカウンター12でオゾン水供給ライン3におけるオゾン水中の微小パーティクルの個数N1を計測し(S1)、第2パーティクルカウンター13でオゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小パーティクルの個数N2を計測する(S2)。第1パーティクルカウンター12で計測した微小パーティクルの個数N1と、第2パーティクルカウンター13で計測した微小パーティクルの個数N2との差分N2-N1を、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡の個数として算出する(S3)。
【0036】
計測された微小気泡の個数N2-N1が所定の上限値Nmaxより大きい場合には(S4)、オゾン水の圧力を下げるように圧力調整用ポンプ4を制御する(S5)。また、計測されたオゾン水中の微小気泡の個数N2-N1が所定の下限値Nminより小さい場合には(S6)、オゾン水の圧力を上げるように圧力調整用ポンプ4を制御する(S7)。
【0037】
このような本実施の形態の微小気泡個数制御システム1によれば、オゾン水製造装置2からオゾン水供給ライン3にオゾン水が供給され、オゾン水供給ライン3でオゾン水の圧力が調整される。そして、微小気泡発生ノズル5で、オゾン水の圧力に応じて微小気泡を発生させ、オゾン水供給ライン3から供給されたオゾン水に微小気泡が混合され、オゾン水送出ライン8から、微小気泡が混合されたオゾン水が送出される。この場合、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡の個数が計測され、計測された微小気泡の個数に応じて、オゾン水供給ライン3におけるオゾン水の圧力が調整される。これにより、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水中の微小気泡の個数を適切に制御することができる。
【0038】
したがって、例えば、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水が基板の洗浄装置11で用いられる場合に、オゾン水中の微小気泡の個数が多すぎるときに発生するパターン倒れを防止することができる。また、オゾン水中の微小気泡の個数が少なすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0039】
また、本実施の形態では、第1パーティクルカウンター12で計測した微小パーティクルの個数N1と、第2パーティクルカウンター13で計測した微小パーティクルの個数N2との差分から、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡の個数N2-N1が計測される。パーティクルカウンターでは、微小気泡以外の微小パーティクルも計測されるため、微小気泡の個数を正確に計測するためには、パーティクルカウンターで計測した微小パーティクルの個数から、微小気泡以外の微小パーティクルの個数を除外する必要がある。
【0040】
この場合、微小気泡発生ノズル5より上流側に配置されている第1パーティクルカウンター12で計測される微小パーティクルの個数N1には、微小気泡発生ノズル5で発生させた微小気泡の個数は含まれない。したがって、第1パーティクルカウンター12で計測した微小パーティクル(微小気泡発生ノズル5で発生させた微小気泡が含まれない)の個数N1と、第2パーティクルカウンター13で計測した微小パーティクル(微小気泡発生ノズル5で発生させた微小気泡が含まれる)の個数N2との差分から、オゾン水送出ライン8におけるオゾン水中の微小気泡の個数を正確に計測することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水中の微小気泡の個数を、上限値Nmaxと下限値Nminの間の適切な範囲に保つことができる。したがって、例えば、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水が基板洗浄装置11で用いられる場合に、オゾン水中の微小気泡の個数が多すぎるときに発生するパターン倒れを防止することができる。また、オゾン水中の微小気泡の個数が少なすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水中の微小気泡のサイズが、メッシュ14によって均一化される。これにより、例えば、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水が基板洗浄装置11で用いられる場合に、オゾン水中の微小気泡のサイズが不均一であるときに発生するパターン倒れを防止することができる(図2(a)(c)参照)。
【0043】
また、本実施の形態では、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水中の微小気泡のサイズを小さくすることができる。これにより、例えば、オゾン水送出ライン8から送出されるオゾン水が基板洗浄装置11で用いられる場合に、オゾン水中の微小気泡のサイズが大きすぎるときに発生する洗浄能力の低下を抑制することができる(図2(b)(c)参照)。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる微小気泡個数制御システムは、液体中の微小気泡の個数を適切に制御することができるという効果を有し、基板の洗浄等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 微小気泡個数制御システム
2 オゾン水製造装置(液体供給源)
3 オゾン水供給ライン(液体供給ライン)
4 圧力調整用ポンプ
5 微小気泡発生ノズル
6 オゾン水排出ライン
7 バルブ
8 オゾン水送出ライン(液体送出ライン)
9 個数計測ユニット
10 制御部
11 洗浄装置
12 第1パーティクルカウンター
13 第2パーティクルカウンター
14 メッシュ
図1
図2
図3