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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230630BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230630BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230630BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20230630BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/34
A61Q19/10
C11D1/04
C11D1/90
C11D17/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022052890
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(73)【特許権者】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】森下 莉絵
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-115137(JP,A)
【文献】特開2011-148772(JP,A)
【文献】特開2007-169248(JP,A)
【文献】特開2008-094903(JP,A)
【文献】特開2010-180182(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100876(WO,A1)
【文献】Kanebo Cosmetics, Japan,Body Soap Moist,Mintel GNPD [online],2011年05月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#1553509, [検索日:2023.04.26], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、
(B)成分としてカルボン酸型両性界面活性剤、
(C)成分として多価アルコール、
(D)成分として色素、
(E)成分として水、
を含有し、
(D)成分として青色色素、緑色色素、キサンテン系色素、ピレン系色素、黄色4号を少なくとも一種含み、
(A)成分と(B)成分の合計が1.2質量%以上、9質量%以下であり、
前記青色色素、前記緑色色素、前記キサンテン系色素、前記ピレン系色素、前記黄色4号の総量が、0.003質量%以上、0.05質量%以下であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分中のラウリン酸のアルカリ金属塩の割合が70質量%以下である請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(B)成分がアミノプロピオン酸型両性界面活性剤である請求項1又は2の何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
液体洗浄剤組成物全量において、(C)成分の質量に対する、(A)成分と(B)成分との質量の和の比率[(A)+(B)]/(C)の値が0.05以上、45以下である請求項1から3の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(D)成分が、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色213号、黄色4号、黄色202号、緑色201号、緑色204号、青色1号、青色201号から選ばれる少なくとも一種である請求項1から4の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、(F)成分として殺菌剤を含有する請求項1から5の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記洗浄剤組成物が、皮膚用液体洗浄剤である請求項1から6の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物が充填されたフォーム容器から泡を手のひらに押出し、前記泡が有色であることを目視で確認するとともに、両手を擦り合わせる等して手指を洗浄し、前記泡が無色化することが目視で確認された後、手指の泡をすすぎ落とすことを特徴とする手指の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に手指の洗浄用として使用することができる洗浄剤組成物に関する。詳しくは、本発明は、皮膚刺激性、すすぎ性に優れ、泡色の変化により所定時間の手洗いを促進できる液体洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食肉、魚介の加工やレストランの調理場等、食品関連業界における従業員や、病院、保健所等の医師、看護婦、介護人、患者等の手指の洗浄・殺菌については、従来より様々な方法がとられている。最も一般的な方法は、まず手指用の洗浄剤で手指をよく洗浄した後に、手指の消毒薬への浸漬或いは噴霧等の殺菌処理を経るという方法である。これらの方法は、その洗浄、殺菌マニュアルどおりに忠実に行われた場合には、効果的な方法であるといえる。しかし、手指の洗浄が不充分であった場合は、その後の殺菌処理による殺菌力が極端に低下する問題点があり、食中毒の原因となる微生物を現場に持ち込む場合がある。
【0003】
特に、手指用の洗浄剤を用いて手指を洗浄する時間は現場のマニュアルや個人間で様々であり、洗浄時間が短ければ微生物汚染のリスクは増加する。そのため、手指の洗浄時間を一定の範囲に管理する新たな手法が求められる。
【0004】
これに対し、ベース材料と、酸素と反応させて目に見える変色を開始する指示薬を含む組成物であって、指示薬とベース材料が単相を形成している組成物が提案されている(特許文献1)。具体的には、特許文献1には、指示薬としてレドックス染料及び還元剤を含む組成物が開示されており、当該還元剤により還元された、無色又は所定の色であるレドックス染料を含む組成物を手にとり、手をこする動作により当該組成物(石鹸)に空気を混合させることで、レドックス染料を酸化させてレドックス反応を生じせしめ、これによってレドックス染料を含む組成物を有色又は他の色に変色させることができる旨、説明されている。
したがって、例えば上記組成物をハンドソープ等に用いた場合には、レドックス染料が手のひらで酸化し発色又は変色するまでの時間、手洗いの継続を促すことができると説明されている。
【0005】
また、従来の手指洗浄の用途として使用される洗浄剤の外観の向上の観点から、色素が含まれる洗浄剤組成物が提案されている。例えば特許文献2には、アニオン性界面活性剤、糖骨格を有するノニオン性界面活性剤、多価アルコール、特定の着色料、香料を含有する液体組成物が、透明容器に充填されてなる液体皮膚洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2007-504294号公報
【文献】特開2021-042196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、以下の課題を有していた。即ち、当該組成物は、レドックス染料及び還元剤を含み、酸化還元反応を利用するものである。当該組成物を洗浄剤として使用した場合、洗浄時に手のひら等でレドックス染料を酸化させることで、色の変化を生み出すことができるものの、色の変化は、無色から有色に発色させるパターン(パターン1)、或いは所定の色から異なる色に変色させるパターン(パターン2)に限定される。つまりレドックス染料を無色にするためには当該染料を還元させる必要があるが、手洗い中に還元剤を添加するということは実質的ではなく、色の変化はもっぱら酸化反応によって誘因されるため、有色から無色に変化させることが実質的に困難であった。
【0008】
ここで、上記パターン1の場合、手に取った洗浄剤は無色であるため、使用者は洗浄することで色の変化が生じる洗浄剤であることに気づかず、したがって有色に変色する前に手洗いを辞めてしまう場合があり、また上記パターン2の場合、染料の色味によっては変色の度合い乏しく色味の変化に気づきにくいという場合があった。
そのため使用者に手洗い時に色が変化する洗浄剤であることを充分に予感させるとともに、充分な時間手洗いを続けることによって色が変化したことを明確に目視で確認可能とするためには、手に取ったときには有色の洗浄剤が、手洗いすることによって無色又は無色に近い色に退色するパターンが望ましい。
【0009】
更に特許文献1に記載の組成物は、界面活性剤を多く含み、これによって皮膚刺激性が強くなるという問題も内在している。当該組成物に界面活性剤を多く含む理由は、レドックス染料の酸化を確実にするためと推測される。しかしながら、従来よりも長い時間手洗いを促すことで手が洗浄剤に晒される時間が長くなるため、低皮膚刺激性及び良好なすすぎ性といった洗浄剤としての品質も充分に担保されることが望ましい。
【0010】
また特許文献2に記載の液体皮膚洗浄剤は、特定の着色料が含まれるものの、手指の洗浄時間を一定の範囲に管理するために、手洗い中に洗浄剤の色味を変化させることについて何ら検討されていない。また場合によってはフォーマー容器の目詰まりの問題は発生する場合があった。
【0011】
本発明は上記課題を鑑みなされたものである。即ち、本発明は、低皮膚刺激性やすすぎ性に優れ、フォーマー容器に充填した場合であっても目詰まりは発生し難く、かつ、有色である洗浄剤が洗浄時に無色又は無色近い色味まで変化することで使用者に充分な時間、手洗い等の洗浄を持続させることを促すことが可能な液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)脂肪酸のアルカリ金属塩と、(B)カルボン酸型両性界面活性剤と、(C)多価アルコールと、(D)色素と、(E)水を含有し、(A)成分と(B)成分の合計が所定の範囲になるよう調製された液体洗浄剤組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、(B)成分としてカルボン酸型両性界面活性剤、(C)成分として、多価アルコール、(D)成分として色素、(E)成分として水を含有し、(D)成分として青色色素、緑色色素、キサンテン系色素、ピレン系色素、黄色4号を少なくとも一種含み、(A)成分と(B)成分の合計が1.2質量%以上、9質量%以下であり、前記青色色素、前記緑色色素、前記キサンテン系色素、前記ピレン系色素、前記黄色4号の総量が、0.003質量%以上、0.05質量%以下であることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄時に泡色が変化することで使用者に洗浄を所定時間継続することを促すことができるとともに、皮膚刺激性やすすぎ性等の使用感にも優れる。また本発明の液体洗浄剤組成物は、フォーマー容器に充填された場合であっても目詰まりが発生し難い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、(B)成分としてカルボン酸型両性界面活性剤、(C)成分として、多価アルコール、(D)成分として色素、(E)成分として水を含有し、(A)成分と(B)成分の合計が1質量%以上、9質量%以下である。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、手洗い等の洗浄開始時には有色であって、充分な時間、洗浄を継続することによって無色又は無色に近い色味まで退色する。このように洗浄剤が有色から無色又は無色に近い色味まで退色することを、以下、単に無色化ともいう。尚、本発明でいう無色には白色を含む。この無色化は本発明の洗浄剤組成物の使用者が目視で容易に確認可能である。そのため使用者は、有色であった洗浄剤組成物が無色化するまで手洗いを続けることによって、特段の測定を要することなく、手指等の洗浄時間を一定の範囲に管理することができる。尚、このように充分に時間をかけて洗浄が行われる場合、手指等を良好に洗浄できる一方、洗浄剤に手指等の被洗浄部が晒される時間が長くなり、皮膚に対する刺激が強くなる場合があるところ、本発明の洗浄剤組成物は低皮膚刺激性及びすすぎ性に優れるため、洗浄によって手指等の被洗浄部が荒れることが防止される。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物は、液状であり、液状の洗浄剤組成物を手のひらで、或いはスポンジ等で泡立てて使用することができ、或いはフォーマー容器に充填し、使用する際に当該フォーマー容器から押し出された泡状の洗浄剤として使用することもできる。本発明の洗浄時における泡色の変化をより充分に発揮させるという観点からは、泡状の洗浄剤として用いられることが推奨され、液体の洗浄剤を容易に泡状にすることができるという観点からフォーマー容器を利用することが好ましい。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄の対象を何ら限定されるものではないが、本発明の優れた効果を鑑みると、本発明の洗浄剤組成物は、皮膚用液体洗浄剤として用いられることが好ましく、特には手指等を洗浄する所謂ハンドソープとして用いられることがより好ましい。
尚、本発明の液体洗浄剤組成物を用いて洗浄した場合の泡色の無色化までの時間は特に限定されるものではないが、例えば手指の洗浄をより充分に行うという観点からは、10秒以上90秒未満であることが好ましく、20秒以上60秒未満であることがより好ましい。
【0019】
本発明者は、従来技術1に示されるレドックス染料ではなく、酸化反応によらずに有色を示す化粧品用の色素に着眼した。そのような色素は、従来、特許文献2に示されるとおり洗浄剤自体の外観向上のために用いられる組成と認識されるにすぎなかった。しかしながら本発明者の検討によれば、化粧品用の色素を含む有色の液体洗浄剤組成物を手に取り、手洗いにより充分に泡立てることで、驚くべきことに無色化(白色化)することが見出された。これはレドックス染料のような化学反応ではなく、洗浄剤の泡立ちにより形成された泡において生じる光の乱反射によって、当該泡が白色等の無色として目視されるものと推察された。
本発明の検討の当初、特許文献2に例示される低刺激性及びすすぎ性が良好であって着色された従来の洗浄剤組成物を用いて洗浄剤の無色化を試みたところ、泡色の変化がはっきりと示され難く、又は泡の色が長時間(例えば90秒以上)保持されて、適切な手洗い時間を超えてしまう場合があることがわかった。また従来の洗浄剤組成物をフォーマー容器に充填した場合に目詰まりが発生する場合があった。そこで、さらなる検討を行い、上述する色素の無色化が適切な時間内にはっきりと示されうるとともに、低皮膚刺激性及びすすぎ性にも優れ、フォーマー容器に充填した場合であっても目詰まりがし難い液体洗浄剤組成物である本発明の完成に至った。
以下に、本発明の液体洗浄剤組成物についてより詳細に説明する。
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物における(A)成分は、脂肪酸のアルカリ金属塩である。具体的には、(A)成分として、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖脂肪酸、及び2-エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸等の分岐脂肪酸のアルカリ金属塩が例示される。上記アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが挙げられる。これらの中でも(A)成分として、泡持ちが良好であるという観点からはラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸のアルカリ金属塩が好ましく、更に貯蔵安定性に優れ、且つすすぎ性の点でも良好であるという観点からはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸のアルカリ金属塩が好ましい。特に、(A)成分として少なくともミリスチン酸のアルカリ金属塩が含有されていることが好ましく、(A)成分100質量%においてミリスチン酸のアルカリ金属塩が20質量%以上含有されていることが好ましい。(A)成分として例示される各化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上組み合わせて用いられても良い。
【0021】
本発明の液体洗浄剤組成物100質量%において、(A)成分は、0.5質量%以上、8質量%以下の範囲で含有されていることが好ましく、0.8質量%以上、7質量%以下の範囲で含有されていることがより好ましく、1質量%以上、5質量%以下の範囲で含有されていることが更に好ましい。
(A)成分の含有量が、0.5質量%未満であると泡立ちが充分でなく、また泡の色が退色するまでの時間が長すぎる場合があり、8質量%を超えると皮膚刺激性が強くなり、またフォーム容器のポンプの目詰まりが発生する場合がある。
【0022】
尚、皮膚刺激性を抑え、フォーム容器のポンプの目詰まりをより充分に防止するという観点からは、(A)成分中のラウリン酸のアルカリ金属塩の割合は、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
【0023】
本発明の液体洗浄剤組成物における(B)成分は、カルボン酸型両性界面活性剤である。具体的には、(B)成分として、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドカルボベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルジメチルベタイン、アルキルジエチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤、2-アルキル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン及びリシノレイン酸アミドプロピルベタイン脂肪酸等のアミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジアミノエチルグリシン、ジアルキルジアミノエチルグリシン等のグリシン型両性界面活性剤、並びにアルキルアミノプロピオン酸、アルキルアミノジプロピオン酸等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が例示される。これらの中でも、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤が好ましく、泡色が退色化するまでの時間を適度に長くすることができるという観点からは、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルアミノジプロピオン酸等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤がより好ましい。(B)成分として列挙される各化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上組み合わせて用いられても良い。上述する(B)成分は、適宜、ナトリウムやカリウムといったアルカリ金属が付加された金属塩であってもよい。
上記(B)成分におけるアルキル基としては、特に限定されないが、たとえばラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基などが好ましい例として例示される。
【0024】
本発明の液体洗浄剤組成物100質量%において、(B)成分は、0.05質量%以上、5質量%以下の範囲で含有されていることが好ましく、0.1質量%以上、3.5質量%以下の範囲で含有されることがより好ましく、0.2質量%以上、2質量%以下の範囲で含有されることが更に好ましい。
(B)成分の含有量が、0.05質量%未満であると泡立ちが充分でなく、また泡の色が短時間に退色してしまう場合があり、5質量%を超えると皮膚刺激性が強くなり、またすすぎ性が充分ではなくなる場合がある。
【0025】
本発明の液体洗浄剤組成物における(C)成分は、多価アルコールである。具体的には、(C)成分として、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等が例示される。これらの中でも、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ソルビトールが好ましく、皮膚刺激性を良好に改善し、またフォーム容器のポンプの目詰まりを防止するという観点からは、グリセリン、プロピレングリコール、へキシレングリコール等であることがより好ましい。(C)成分として列挙される各化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上組み合わせて用いられても良い。
【0026】
本発明の液体洗浄剤組成物100質量%において、(C)成分は、0.2質量%以上、20質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、0.5質量%以上、10質量%以下の範囲で含有されることがより好ましく、0.8質量%以上、8質量%以下の範囲で含有されることが更に好ましい。
(C)成分の含有量が、0.2質量%未満であると皮膚刺激性、フォーム容器のポンプの目詰まり、貯蔵安定性等の評価がやや低くなる場合があり、20質量%を超えるとすすぎ性が充分でない場合がある。
【0027】
本発明の(D)成分は、色素である。当該色素は、化粧品用途に用いられうる色素から選択される。具体的には(D)成分として、1996年に厚生労働省において定められた法定色素が挙げられ、例えば赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色213号、黄色4号、黄色202号、橙色201号、橙色205号、緑色201号、緑色204号、青色1号、青色201号等から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色213号、黄色4号、黄色202号、緑色201号、緑色204号、青色1号、青色201号から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
【0028】
本発明の液体洗浄剤組成物100質量%において、(D)成分は、0.001質量%以上、0.05質量%以下の範囲で含有されていることが好ましく、0.002質量%以上、0.03質量%以下の範囲で含有されることがより好ましく、0.003質量%以上、0.02質量%以下であることが更に好ましい。
(D)成分の含有量が、0.001質量%未満であると洗浄開始時の泡色がはっきりせず、あるいは泡色の退色化までの時間が短すぎる場合があり、0.05質量%を超えると退色化するまでの時間が長すぎる場合がある。
【0029】
特に本発明の液体洗浄剤組成物を手指の洗浄用に用いる場合には、泡色が着色されていることがはっきりと目視で確認できるとともに色の変化(即ち無色化)が判断しやすいという観点から、皮膚の色に対して補色である緑色や青色の色素が(D)成分として含まれることが好ましい。また上記と同様の観点から、蛍光色を発する色素が(D)成分として含まれることが好ましく、例えば赤色213号や黄色202号(黄色202号の(1)及び黄色202号の(2)を含む)などのキサンテン系色素や、緑色204号などのピレン系色素が含まれることがより好ましく、中でも皮膚の色に対して補色であるとともに蛍光色を発する緑色204号等の色素(以下、補色蛍光色色素と呼ぶ場合がある)は更に好ましい。ここでキサンテン系色素とはキサンテン骨格を有する化合物を含む色素であり、ピレン系色素とはピレン骨格を有する化合物を含む色素である。(D)成分100質量%において、補色蛍光色色素を30質量%以上含むことにより、鮮やかな色味の泡を提供することができ、退色化における色味の変化をよりドラスティックに示すことが可能である。かかる観点からは(D)成分100質量%において、補色蛍光色色素が40質量%以上含まれることがより好ましく、50質量%以上含まれることが更に好ましい。
【0030】
本発明の(E)成分は、水である。水としては、特に限定はなく、イオン交換水、軟水、純水、水道水等が挙げられる。
【0031】
本発明の液体洗浄剤組成物は、更に、(F)成分として殺菌剤を含有してもよい。具体的には(F)成分として、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、フェノキシエタノール、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリル、サリチル酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン等の化粧品分野で使用できる殺菌成分が好ましく、中でもイソプロピルメチルフェノール、グリチルリチン酸ジカリウム、メチルイソチアゾリノン、サリチル酸の少なくとも1種を含むことがより好ましく、イソプロピルメチルフェノール、メチルイソチアゾリノンの少なくとも1種を含むことが更に好ましい。(F)成分として列挙される各化合物は、単独で用いられてもよく、二種以上組み合わせて用いられても良い。
【0032】
本発明の液体洗浄剤組成物100質量%において、(F)成分は、0.01質量%以上、1質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、0.02質量%以上、0.8質量%以下の範囲で含有されることがより好ましく、0.04質量%以上、0.5質量%以下の範囲で含有されることが更に好ましい。
(F)成分の含有量が、0.01質量%未満であると良好な除菌性が示されない場合があり、1質量%を超えると皮膚刺激性が強くなる場合がある。
【0033】
本発明は、洗浄剤成分として(A)成分及び(B)成分を含むことが肝要である。(A)成分を含むことによって、洗浄時の液体洗浄剤組成物の泡立ちがきめ細かくなる傾向にあり、これによって泡における光の乱反射が顕著となり、その結果、泡色の無色化が目視ではっきりと確認されうる。しかしながら、洗浄剤成分が(A)成分だけであると、フォーム容器のポンプの目詰まりが生じ易く、また無色化までの時間が短すぎる場合がある。一方、(A)成分を含まず(B)成分だけであると、低皮膚刺激性が示されるものの、泡色の変化が鮮明ではなく、また無色化するのに時間がかかり過ぎる傾向にある。
本発明の液体洗浄剤組成物100質量%において、(A)成分と(B)成分の合計は1質量%以上、9質量%以下であり、1.2質量%以上、8質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上、6質量%以下であることがより好ましい。(A)成分と(B)成分の合計が1質量%未満であると、泡立ちが不充分になり、また、泡色の無色化までの時間が好適ではなくなり、短時間で無色化してしまうか、或いは無色化に時間がかかり過ぎる場合がある。一方、(A)成分と(B)成分の合計が9質量%を超えると、皮膚刺激性、すすぎ性、フォーム容器のポンプの目詰まりの何れか又は全てにおいて良好な評価が得られない場合がある。尚、本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記範囲で含まれる(A)成分と(B)成分以外の洗浄成分が適宜配合されてもよい。
【0034】
皮膚刺激性、すすぎ性、フォーム容器のポンプの目詰まり及び貯蔵安定性がいずれも良好でバランスの良い液体洗浄組成物を提供可能であるという観点からは、液体洗浄剤組成物全量において、(C)成分の質量に対する、(A)成分と(B)成分との質量の和の比率[(A)+(B)]/(C)の値が0.05以上、45以下となるよう調整されることが好ましく、0.15以上、16以下となるよう調整されることがより好ましく、0.5以上、4以下となるよう調整されることが更に好ましい。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記成分以外の任意の成分が1種以上配合されてもよい。例えば、任意の成分としては、防腐剤、pH調整剤、増粘剤、金属封鎖剤、香料等が挙げられるがこれに限定されない。
【0036】
防腐剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾチアゾール、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられる。
【0037】
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン等の塩基成分、塩酸、酢酸、リン酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸等の酸成分が挙げられる。
【0038】
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0039】
金属封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0040】
上述する本発明の液体洗浄剤組成物を用いた洗浄方法は特に限定されないが、例えば以下の手指の洗浄方法が推奨される。
即ち、本発明の液体洗浄剤組成物が充填されたフォーム容器から泡を手のひらに押出すとよい。手のひらに押し出された泡は有色であることがはっきりと目視で確認される。そして、両手を擦り合わせる等して洗浄剤を泡立てるとともに手指を洗浄し、泡が無色化したことを目視で確認した後、手指から泡をすすぎ落として手指の洗浄を完了するとよい。本発明の液体洗浄剤組成物を上述の洗浄方法で使用した場合、泡が手のひらに押し出されてから無色化するまでの時間は、概ね10秒以上90秒未満の範囲であり、或いは20秒以上60秒未満の範囲である。かかる時間、洗浄を持続することによって手指が充分に洗浄される。かかる手指の洗浄方法は、使用者が、時間の測定なしに適切な洗浄時間を把握することができるため、食肉、魚介の加工やレストランの調理場等、食品関連業界における従業員や、病院、保健所等の医師、看護婦、介護人、患者等の手指の洗浄方法として優れる。また大人だけでなく、子供にも適切な洗浄時間を容易に認識させることができる。
【実施例
【0041】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。尚、表1~5に示す各配合量に関する数値は、液体洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
【0042】
(A)成分
A-1:ラウリン酸カリウム
A-2:ミリスチン酸カリウム
A-3:パルミチン酸カリウム
A-4:ステアリン酸カリウム
A-5:オレイン酸カリウム
A-6:リノール酸カリウム
【0043】
(B)成分
B-1:ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム
B-2:ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム
B-3:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
B-4:ラウリン酸アミドプロピルベタイン
B-5:ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム
【0044】
(C)成分
C-1:グリセリン
C-2:プロピレングリコール
C-3:ヘキシレングリコール
C-4:1,3-ブチレングリコール
C-5:ジプロピレングリコール
【0045】
(D)成分
D-1:化粧用緑色201号
D-2:化粧用緑色204号
D-3:化粧用黄色4号
D-4:化粧用黄色202号
D-5:化粧用赤色213号
D-6:化粧用青色1号
D-7:化粧用青色201号
【0046】
(E)成分
E-1:イオン交換水
【0047】
(F)成分
F-1:イソプロピルメチルフェノール
F-2:メチルイソチアゾリノン
F-3:グリチルリチン酸ジカリウム
F-4:サリチル酸
【0048】
(G)その他成分
G-1:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
G-2:グルタミン酸二酢酸ナトリウム
G-3:塩化ナトリウム
【0049】
実施例1~47、比較例1~6
表1~5に示す配合に基づき液体洗浄剤組成物を調製し、泡持ち性、すすぎ性、皮膚刺激性、フォームポンプの目詰まり、泡色の評価、泡色の時間変化、貯蔵安定性を試験し、(F)成分を含む場合は除菌性も試験した。結果を表1~5に示す。尚、本試験の発泡には、市販のフォームポンプ付き容器(フォームポンプF5タイプ:椿本興業株式会社製)を用いた。
【0050】
※1:泡持ち試験
<試験方法>
本試験はロス・マイルス法(JISK 3362:2008)により、各液体洗浄剤組成物を、25℃で発泡させて、測定開始時と5分後の泡高を測定した。測定開始時の泡高(F)に対する5分後の泡高(F)より、下記(式1)により泡保持率を算出し、以下の基準で泡持ちを評価した。
[式1]
泡保持率(%)=(F/F)×100・・・・・(1)
【0051】
<評価基準>
〇:泡保持率が90%以上。
△:泡保持率が80%以上、90%未満。
×:泡保持率が80%未満、もしくは充分な泡立ちが得られない。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0052】
※2:すすぎ性試験
<試験方法>
本試験は、すすぎ性の評価についてトレーニングを受けたパネラー10名を対象に行った。各パネラーの手にフォームポンプ付き容器に入れた各液体洗浄剤組成物を1プッシュ(約1mL)取り、30秒間手洗いをした後、30秒間水道水ですすぎ、すすぎ時の速さ、すすぎ後手を乾燥させた後の手のぬるつきおよびつっぱり感の無さ等から以下の基準で総合的にすすぎ性を評価した。
【0053】
<評価基準>
4点:すすぎ性が良い。
3点:すすぎ性がやや良い。
2点:すすぎ性がやや悪い。
1点:すすぎ性が悪い。
としてすすぎ性を点数で評価し各パネラーの評価点の平均値を求め、以下の基準ですすぎ性を評価した。
◎:平均値が3.4点以上。
〇:平均値が2.7点以上、3.4点未満。
△:平均値が2.0点以上、2.7点未満。
×:平均値が2.0点未満。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0054】
※3:皮膚刺激性試験
<試験方法>
本試験は、1実施例につきパネラー10名を対象に行った。本試験のパネラーは、本試験中において他の実施例に記載された液体洗浄剤組成物の洗浄性試験、すすぎ性試験及び皮膚刺激性試験は行わなかった。各パネラーの手にフォームポンプ付き容器に入れた各液体洗浄剤組成物を1プッシュ(約1mL)手に取り、30秒間手洗いをした後、30秒間水道水ですすぐ手洗いの動作を1日3回、7日間連続して繰り返し行い、7日後の各パネラーの手の状態から以下の基準で皮膚刺激性を評価した。
【0055】
<評価基準>
4点:手荒れが全く無い。
3点:僅かに手荒れが見られる。
2点:所々に手荒れが見られる。
1点:かなり手荒れが見られる。
としてすすぎ性を点数で評価し各パネラーの評価点の平均値を求め、以下の基準ですすぎ性を評価した。
◎:平均値が3.5点以上。
〇:平均値が3.0点以上、3.5点未満。
△:平均値が2.5点以上、3.0点未満。
×:平均値が2.5点未満。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0056】
※4:フォームポンプの目詰まり評価試験
<試験方法>
本試験は、1実施例につきフォームポンプ付き容器3本を使用した。各フォームポンプ付き容器に各液体洗浄剤組成物を充填し、1週間に1回の頻度でポンプを押して泡を吐出させた。4週間後にポンプを押して泡を吐出させた際の、押し具合から以下の基準で目詰まりの評価を行った。
【0057】
<評価基準>
4点:ポンプをスムーズに押すことができる。
3点:ポンプを押すことが出来、途中で止まる等の引っ掛かりは感じない。
2点:ポンプを押すことが出来るが、引っ掛かりを感じる。
1点:ポンプを押すことが出来ない。
としてフォームポンプ付き容器ごとに目詰まりを点数で評価し、その平均値を求め、以下の基準で評価した。
◎:平均値が3.6点以上。
〇:平均値が3.0点以上、3.6点未満。
△:平均値が2.0点以上、3.0点未満。
×:平均値が2.0点未満。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0058】
※5:泡色の評価
<試験方法>
本試験は、泡色の評価についてトレーニングを受けたパネラー10名を対象に行った。各パネラーの手にフォームポンプ付き容器に入れた各液体洗浄剤組成物を1プッシュ(約1mL)取り、手で擦り洗いを始めた時点から、泡色が白色に退色するまでの色の変化を観察し、各パネラーの採点により以下の基準で泡色の変化の判断しやすさに関して評価した。
【0059】
<評価基準>
4点:色の変化が分かりやすく、判断が容易である。
3点:色の変化を判断できる。
2点:色の変化をやや判断し辛い
1点:色の変化を判断し辛い、もしくは判断できない。
として泡色の変化を点数で評価し各パネラーの評価点の平均値を求め、以下の基準で評価した。
◎:平均値が3.5点以上。
〇:平均値が3.0点以上、3.5点未満。
△:平均値が2.5点以上、3.0点未満。
×:平均値が2.5点未満。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0060】
※6:泡色の変化試験
<試験方法>
本試験は、泡色の変化についてトレーニングを受けたパネラー10名を対象に行った。各パネラーの手にフォームポンプに入れた各液体洗浄剤組成物を1プッシュ(約1mL)取り、手で擦り洗いを始めた時点から、泡色が白色に退色するまでの時間を測定した。パネラー10名の測定時間の平均値から、以下の基準で泡色の変化時間を評価した。
【0061】
<評価基準>
〇:平均値が20秒以上、60秒未満。
△:平均値が10秒以上20秒未満、もしくは60秒以上90秒未満。
×:平均値が10秒未満、もしくは90秒以上。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0062】
※7:貯蔵安定性試験
<試験方法>
250ml容量の透明ポリプロピレン製容器に各液体洗浄剤組成物を200ml充填し、蓋をして-5℃、25℃、40℃の恒温槽に保管し静置した。1ヶ月後、外観を観察し以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
【0063】
<評価基準>
○:析出物や濁りが見られず安定である。
△:析出物や濁りが、若干見られる。
×:析出物又は濁りが見られる。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0064】
※8:除菌性試験
<試験方法>
本試験は、各液体洗浄剤組成物につきパネラー5名を対象に、手洗い前と手洗い後の手を拭き取り検査キット(Pro-media ST-25PBS:株式会社エルメックス製)で拭き取り除菌率を求めた。各パネラーは、流水で10秒間手をすすいだ後に市販のもやし20gを手のひらに30秒間擦り付けて一般細菌を付着させた。そして当該手のひらの表面を拭き取り検査キットの拭き取り部で拭き取り、この拭き取り後の拭き取り部を試験用サンプル1とした。その後、フォームポンプ付き容器に入れた各液体洗浄剤組成物を1プッシュ(約1mL)手のひらに取り、泡色が白色に退色するまで擦り洗いした後、水道水で30秒間すすぎを行った。そして濡れたままの状態の手のひらを拭き取り検査キットで拭き取り、この拭き取り後の拭き取り部を試験用サンプル2とした。上述とおり得た試験用サンプル1、2それぞれを、拭き取りキット内のりん酸緩衝生理食塩水中によく懸濁し、試験用サンプル1を縣濁したものを試験液1、試験用サンプル2を縣濁したものを試験液2とした。各試験液1mlをSCDLP寒天培地にて混和固化し、37℃で2日間培養した後、生菌数を測定し、手洗い前と比べた手洗い後の菌数の対数減少値を求め、パネラー5名の生菌数の対数減少値の平均値から以下の基準で除菌性を評価した。尚、手洗い前に市販のもやし20gを30秒間擦り付けた手のひらからは1.0×10(CFU/mL)以上の一般細菌が検出される。
【0065】
<評価基準>
○:対数減少値が3以上
△:対数減少値が1以上、3未満。
×:対数減少値が1未満。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
上述にて説明する本発明は、以下の技術思想を包含する。
(1)(A)成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、
(B)成分としてカルボン酸型両性界面活性剤、
(C)成分として、多価アルコール、
(D)成分として色素、
(E)成分として水
を含有し、(A)成分と(B)成分の合計が1質量%以上、9質量%以下であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。
(2)(A)成分中のラウリン酸のアルカリ金属塩の割合が70質量%以下である上記(1)に記載の液体洗浄剤組成物。
(3)(B)成分がアミノプロピオン酸型両性界面活性剤である上記(1又は2の何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
(4)液体洗浄剤組成物全量において、(C)成分の質量に対する、(A)成分と(B)成分との質量の和の比率[(A)+(B)]/(C)の値が0.05以上、45以下である上記(1)から(3)の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
(5)(D)成分が、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色213号、黄色4号、黄色202号、緑色201号、緑色204号、青色1号、青色201号から選ばれる少なくとも一種である上記(1)から(4)の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
(6)更に、(F)成分として殺菌剤を含有する上記(1)から(5)の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
(7)前記洗浄剤組成物が、皮膚用液体洗浄剤である上記(1)から(6)の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物。
(8)上記(1)から(7)の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物が充填されたフォーム容器から泡を手のひらに押出し、前記泡が有色であることを目視で確認するとともに、両手を擦り合わせる等して手指を洗浄し、前記泡が無色化することが目視で確認された後、手指の泡をすすぎ落とすことを特徴とする手指の洗浄方法。
【要約】
【課題】
皮膚刺激性、すすぎ性の要件を充分に満足するとともに、フォームポンプの目詰まりの虞が無く、かつ所定時間で泡の色が変化する液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】
液体洗浄剤組成物は、(A)成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、(B)成分としてカルボン酸型両性界面活性剤、(C)成分として多価アルコール、(D)成分として色素、(E)成分として水を含有し、(A)成分と(B)成分の合計が1質量%以上、9質量%以下となるよう調整される。
【選択図】なし