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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-30
(45)【発行日】2023-07-10
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022528428
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2021004769
(87)【国際公開番号】W WO2021245989
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2020095585
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 達也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 真理子
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-340915(JP,A)
【文献】特開2015-137975(JP,A)
【文献】国際公開第2017/134746(WO,A1)
【文献】特開2010-96643(JP,A)
【文献】特開2007-78470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体または試薬を容器に吸引または吐出するプローブと、
前記プローブを移動する移動機構、
前記移動機構を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、前記プローブが前記容器に対して前記検体を吐出し始めた後、前記プローブが前記検体または前記試薬を吐出しながら上昇するように前記移動機構を制御することにより、前記プローブから吐出された前記容器内の液体の液面高さが上昇するのにともなって、前記容器内の液面と前記プローブの先端との間の距離を次第に大きくする、
自動分析装置。
【請求項2】
前記プローブは前記容器に対して前記検体を吐出する前、前記試薬を吸引し、該プローブの内部に前記試薬が存在している状態で、前記検体を吸引する、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記プローブは、前記プローブの先端を前記容器の入口よりも下方に移動させた後、前記容器に対して前記検体を吐出し、
前記制御部は、前記プローブが前記容器に対して前記検体を吐出している間は、前記プローブを上下方向に移動させない、
請求項2記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記プローブが前記検体または前記試薬を吐出しながら上昇し始めてから前記プローブが前記試薬を吐出し終えるまでの期間の少なくとも一部において、前記容器内の液面と前記プローブの先端との間の距離が次第に大きくなった後に次第に小さくなるように、前記移動機構を制御する、
請求項1記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記プローブが前記検体または前記試薬を吐出しながら上昇し始めてから前記プローブが前記試薬を吐出し終えるまでの期間の少なくとも一部において、前記プローブの高さ方向の位置を固定することにより、前記容器内の液面と前記プローブの先端との間の距離を次第に小さくする、
請求項4記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プローブが前記試薬を吐出し終えるとき、前記容器内の液体に対して前記プローブの先端が浸漬しているように、前記移動機構を制御する、
請求項4記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記自動分析装置はさらに、前記容器内の液面高さを検知する液面検知器を備え、
前記制御部は、前記プローブが前記試薬を吐出し終えるとき、前記液面検知器による検出結果にしたがって、前記容器内の液体に対して前記プローブの先端が浸漬しているか否かを判定し、
前記制御部は、前記プローブが前記試薬を吐出し終えるとき、前記容器内の液体に対して前記プローブの先端が浸漬していない場合は、その旨のアラートを出力する、
請求項6記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記プローブの先端が前記容器内の液面よりも上方の固定位置において静止するように、前記移動機構を制御し、
前記プローブは、前記固定位置で前記試薬を吐出し終える、
請求項4記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記プローブが前記検体を吐出し始めてから前記プローブが上昇し始めるまでの期間の少なくとも一部において、前記プローブの先端が前記容器内の液体に対して浸漬するように、前記移動機構を制御する、
請求項2記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記プローブは、前記試薬と前記検体との間に分節空気を吸引し、
前記プローブは、前記プローブの先端が前記容器内の液体に浸漬している間に、前記検体を吐出し終えることにより、前記容器内の液体に対して前記分節空気を吐出する、
請求項9記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記プローブが前記検体を吐出し始める前までに、前記プローブが前記容器に対して前記検体を全て吐出し終えたときにおける前記容器内の液面の上方1mm以内の高さまで、前記プローブの先端を下降させる、
請求項2記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記自動分析装置はさらに、前記検体の液特性または前記試薬の液特性を記述したデータを格納する記憶部を備え、
前記制御部は、前記データが記述している液特性にしたがって、前記プローブの上昇速度を制御する、
請求項1記載の自動分析装置。
【請求項13】
前記液特性は、粘度または接触角のうち少なくともいずれかを含む、
請求項12記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液、尿、髄液等の成分を分析する自動分析装置としては、(a)検体と試薬との反応液に光を照射して得られる透過光または散乱光の光量を測定する生化学自動分析装置、(b)標識体を付加した試薬を検体と反応させ、該標識体の発光光量を測定する免疫自動分析装置、などがある。これらの自動分析装置において、プローブから液体を反応容器へ吐出する際の、液飛び散り防止に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6381917号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、プローブを数mm液中に浸漬したまま吐出する。プローブ先端より上方の液面およびプローブ先端周りの液流れが悪く、吐出動作によって効率よく攪拌することができるかは、明確ではない。
【0005】
本発明は、吐出動作によって効率よく攪拌することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自動分析装置は、プローブが容器に対して検体を吐出し始めた後、前記プローブが前記検体または試薬を吐出しながら上昇することにより、前記プローブから吐出された前記容器内の液体の液面高さが上昇するのにともなって、前記容器内の液面と前記プローブの先端との間の距離を次第に大きくする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出動作によって効率よく攪拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る自動分析装置10の全体図を概略的に示すブロック図。
図2】分析部1の構成を概略的に示す平面図。
図3】分注機構11の概略図。
図4】自動分析装置10の測定動作を説明するフローチャート。
図5】実施形態1において自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示す図。
図6A】反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図。
図6B】分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す図。
図7】実施形態2において自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示す図。
図8A】反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図。
図8B】分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す図。
図9】実施形態3において自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示す図。
図10A】反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図。
図10B】分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す図。
図11】実施形態4において、自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示す図。
図12A】反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図。
図12B】分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す図。
図13】実施形態5において、自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示す図。
図14A】反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図。
図14B】分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す図。
図15】実施形態6において、自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示す図。
図16A】反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図。
図16B】分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す図。
図17】実施形態1と比較例それぞれについて、乖離率(%)を示す図。
図18】実施形態1と比較例それぞれについて、5分間の吸光度変動率(%)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明は適宜省略する。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施形態1に係る自動分析装置10の全体図を概略的に示すブロック図である。自動分析装置10は主に、液体状の検体および試薬の混合液を分析する分析部1、分析部1を制御するコンピュータ3(制御部)、分析制御部8、を備えている。
【0011】
分析制御部8は、分析部1の各々の機構動作を制御する。詳細については後述する。コンピュータ3はインターフェース9を介して、分析制御部8、A/D変換器7、などに接続されている。コンピュータ3は分析制御部8などに対して指令を送り、各機構動作を制御する。分析部1より得られるA/D変換されたデータ(測光値)はコンピュータ3に取り込まれる。コンピュータ3は取り込んだデータ(測光値)を用いて演算処理を実施する。すなわち、コンピュータ3は、分析制御部8を介して分析部1の各機構を制御することができ、かつ、データの演算処理を実施できる。
【0012】
インターフェース9には、印字するためのプリンタ4、記録装置であるメモリ6、操作指令等を入力するためのキーボード2、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイなどによって構成された表示装置5、が接続されている。メモリ6は例えばハードディスクメモリまたは外部メモリで構成される。メモリ6には分析パラメータ、分析項目依頼、キャリブレーション結果、分析結果等の情報が記録される。
【0013】
図2は、分析部1の構成を概略的に示す平面図である。分析部1は主に、サンプルラック25、試薬ディスク21、反応ディスク(インキュベータ)15を備えている。サンプルラック25は検体容器24を保持する。試薬ディスク21は試薬容器22を保持する。反応ディスク15はその円周上に反応容器14を保持する。分析部1はさらに、分注機構11、分注機構洗浄部26、反応容器洗浄部27、光源12、分光検出器13を備えている。
【0014】
サンプルラック25は、水平方向に移動可能となっており、血液などの生体試料(以下、検体と記す)を保持する複数の検体容器24が載置されている。
【0015】
試薬ディスク21は、時計回りおよび反時計回りに間欠回転が可能となっており、自動分析装置10の分析項目に対応した複数の試薬容器22が載置されている。図2では、試薬ディスク21を一部破断して示している。試薬ディスク21は平面視で円形である。試薬ディスク21内において、試薬容器22は試薬ディスク21の径方向に2つ並んでいる(両端の2つの符号22)。つまり、試薬ディスク21内には、試薬ディスク21の中心を囲むように並ぶ試薬容器22の円形の列が同心円状に2つ存在している。径方向に並ぶ2つの試薬容器22内の試薬は、互いに別の種類の試薬であってもよい。
【0016】
反応ディスク15は、時計回りおよび反時計回りに間欠回転が可能となっており、検体と試薬を反応させる複数の反応容器14が円周上に載置されている。
【0017】
分注機構11は、サンプルラック25上に載置された検体容器24から検体を吸引し、試薬ディスク21内の試薬容器22から試薬を吸引し、反応ディスク15内の反応容器14内へ吸引した液体を吐出分注する。分注機構11は、液体を吸引・吐出するための流路を構成する容器の先端部のみを指すのではなく、液体を吸引・吐出するためのポンプ(例えばシリンジ)から当該先端部までの流路全体の周囲の容器を示している。図2では、分注機構11の上下回転動作部(移動部)を示している。当該上下回転動作部は、液体を吸引・吐出する箇所を変更するための動作部である。
【0018】
光源12は、反応ディスク15の外周付近に設置されており、反応容器14に対して光を照射する。分光検出器13は、反応容器14を挟んで光源12の対面に設置されており、光源12が反応容器内の試料、試薬、または試料と試薬の混合液に対して照射した光の吸光度などを光学的に測定する。光源12は、反応ディスク15の回転運動に伴って移動する複数の反応容器14の各々に対して、反応容器14が所定光路を横切るタイミングで光を照射する。分光検出器13は、この照射により、各反応容器14の内部に収容された検体、試薬、または検体と試薬などの混合液を透過した光を検査項目の波長毎に検出する。分光検出器13により検出した光の強度などのアナログ信号は、A/D変換器7(図1参照)に入力される。A/D変換器7は、入力されたデジタル信号に基づき、標準データまたは被検データを生成し、生成したこれらのデータはコンピュータ3に取り込まれる。
【0019】
反応容器洗浄部27は、分光検出器13による測定が終了した複数の反応容器14の各々の内部を洗浄する。
【0020】
特に図示していないが、分析部1は反応容器内の液体を攪拌する攪拌機構を有する場合もある。攪拌機構としては、ヘラを反応容器14内の溶液内に浸漬させ、ヘラを回転させることにより物理的に攪拌する方式や、超音波を該溶液に照射し、旋回流を発生させる方式などが挙げられる。
【0021】
分析制御部8は、分析部1を構成する複数のユニットの各々の動作を制御する。分析制御部8は、ディスク等移動機構の駆動により、試薬ディスク21、反応ディスク15の各々の回転運動を制御する。分析制御部8は、ベルトプーリ機構またはボールねじ機構の駆動などにより、サンプルラック25の水平運動を制御する。分析制御部8は、アーム移動機構の駆動により分注機構11の上下運動および回転運動を制御する。分析制御部8は、昇降機構の駆動により反応容器洗浄部27の上下運動を制御する。分析制御部8は、分注機構11に接続されている各種ポンプ(図3を用いて後述する)の吸引・吐出動作を制御し、反応容器洗浄部27に対して洗浄水を供給するポンプの送液・停止動作を制御する。
【0022】
図3は、分注機構11の概略図を示す。分注機構11は、分注プローブ30、分注アーム41、上下回転動作部42から構成される。分注プローブ30は分注アーム41の一端に取り付けられており、分注アーム41は分注プローブ30と上下回転動作部42に連結している。上下回転動作部42は、上下(鉛直方向)および回転の2軸の移動機構を有する。分注機構11は上下回転動作部42によって、上下移動および回転移動をすることができる。これにより、分注機構11は試薬を吸引するために試薬容器22(図2参照)が設置されている試薬吸引位置へ移動し、検体を吸引するために検体容器24(図2参照)が設置されている検体吸引位置へ移動し、吸引した検体および試薬を吐出するために反応容器14が設置されている検体・試薬吐出位置へ移動することができる。また、分注プローブ30の先端を洗浄水などで洗浄する分注機構洗浄部26(図2参照)の位置へ移動することができる。上下回転動作部42は分析制御部8(図1図2参照)によって制御されている。
【0023】
分注流路47は、分注アーム41および上下回転動作部42の内部を通る分注機構11の流路である。分注プローブ30は分注アーム41内にある分注流路47を介して定量ポンプ45と接続されている。定量ポンプ45はプランジャ43と駆動部44を有し、バルブ49を通じてポンプ46に接続されている。定量ポンプ45は分析制御部8(図1図2参照)によって制御されている。
【0024】
分注機構11による吸引動作および吐出動作は、定量ポンプ45に固定されたプランジャ43が上下動作(往復運動)することで実行される。分注流路47を介して、分注プローブ30の先端から定量ポンプ45、ポンプ46まで、作動流体(例えば、純水)などが満たされている。分注機構11は、検体、試薬、検体と試薬の混合液の液面を検出する液面検出器48を備えている。液面検出器48は、液面と分注プローブ30との接触に応じた静電容量変化などにより液面を検出する。
【0025】
図4は、自動分析装置10の測定動作を説明するフローチャートである。図4を用いて、自動分析装置10における一連の分析動作について説明する。
【0026】
図4:ステップS01:予備動作)
分析部1が、インターフェース9を介してコンピュータ3より分析操作開始の指令を受けると、反応容器洗浄部27により反応容器14の洗浄が開始され、反応容器洗浄部27から吐出される純水を用いて、水ブランクを測定する。この水ブランク測定値は反応容器14で以後測定される吸光度の基準となる。反応ディスク15の1サイクルの動作(すなわち、一定の距離を移動させて一時停止する間欠動作の繰り返し)により、洗浄済み反応容器14が分注機構11の回転方向周上に位置する分注ポジションまで進むと、検体容器24はサンプルラック25の水平動作により、分注機構11の回転方向周上に位置する検体分注ポジションまで移動する。同時に、対応する分析項目の試薬容器22が分注機構11の回転方向周上に位置する試薬吸引位置に位置付けられるように、試薬ディスク21が回転する。
【0027】
図4:ステップS01)
分注機構11は空中において空気を吸引し、分注プローブ30の先端に空気層を形成する。この空気層は、分注プローブ30の先端から分注流路47内に満たされている作動流体(例えば、純水)と、続いて試薬容器22から吸引する試薬が、分注プローブ30内で混ざることを防ぐために設ける空気層である。その後、分注機構11は回転移動および上下移動により試薬分注ポジションまで移動すると、試薬容器22から試薬を分注プローブ30内へ吸引する。
【0028】
図4:ステップS02)
試薬吸引後、分注機構11は上下移動により空中位置まで移動し、空気を吸引して分注プローブ30の先端に空気層を形成する。この空気層は、次に続いて検体容器24から吸引する検体が分注プローブ30内で試薬と混ざることを防ぐために設ける空気層である。そして、分注機構11は回転運動および上下運動により分注機構洗浄部26まで移動し、分注プローブ30の先端を洗浄水にて洗浄する。洗浄後、分注機構11は回転運動および上下運動により検体吸引ポジションまで移動すると検体容器24から検体を分注プローブ30内へ吸引する。
【0029】
図4:ステップS03)
検体吸引後、分注機構11は回転運動および上下運動により分注機構洗浄部26まで移動し、分注プローブ30の先端を洗浄水にて洗浄する。次いで、分注機構11は回転運動および上下運動により分注ポジションまで移動し、反応容器14に所定量の検体と試薬を同時に分注する。この検体および試薬分注の詳細は後述する。
【0030】
図4:ステップS04)
検体と試薬が分注された後、反応容器14内の検体と試薬の混合液を攪拌するため、分注機構11は混合液を所定量吸引し、その後、再度反応容器14内に吐出をする。これにより混合液を攪拌する。この検体と試薬吐出後の再吸引および再吐出動作を以後、ピペット攪拌と記す。特に図示はしていないがピペット攪拌以外の攪拌機構による攪拌動作を実施してもよい。例えば、ヘラを反応液内に浸漬させてヘラの回転による攪拌、または超音波を照射して旋回流による攪拌などの機能を備える攪拌機構である。分注機構11による検体および試薬の同時吐出動作のみで十分に攪拌ができる場合は、特にこれらの攪拌動作を行う必要はない。分注機構11は上下運動および回転運動により分注機構洗浄部まで移動し、分注プローブ30の先端を洗浄水にて洗浄し、次の分注動作に備える。
【0031】
図4:ステップS05)
検体と試薬の分注後または攪拌後に、分光検出器13による測定が開始される。測光は反応ディスク15の回転中に反応容器14が光束を横切ったときに実施される。分光検出器13により測光は分析項目毎に定められた時間間隔を空けて同一の反応容器14に対し複数回実行される。
【0032】
図4:ステップS06)
分析項目によっては第2試薬を添加する項目がある。その場合、検体と第1試薬を吐出後の一定時間経過後に、対応する分析項目の試薬容器22が分注機構11の回転方向周上に位置する試薬吸引位置に位置付けられるように、試薬ディスク21が回転する。分注機構11は上下運動および回転運動により試薬吸引ポジションへ移動する。分注機構11は空中にて空気を吸引し、プローブ先端に空気層を形成する。この空気層は、分注プローブ30の先端から分注流路47内に満たされている作動流体(例えば、純水)と、続いて試薬容器22から吸引する第2試薬が、分注プローブ30内で混ざることを防ぐために設ける空気層である。その後、分注機構11は回転移動および上下移動により試薬分注ポジションまで移動すると、試薬容器22から第2試薬を分注プローブ30内へ吸引する。分注機構11は回転運動および上下運動により分注機構洗浄部26まで移動し、分注プローブ30の先端を洗浄水にて洗浄する。次いで、分注機構11は回転運動および上下運動により分注ポジションまで移動し、反応容器14に所定量の第2の試薬を分注する。
【0033】
図4:ステップS07)
続いて、ピペット攪拌またはヘラまたは超音波などによる攪拌機構によって反応容器14内の混合液を攪拌する。分注機構11で第2試薬を吐出する動作のみで攪拌が十分に行える場合は、これらの攪拌動作は実施しなくてもよい。
【0034】
図4:ステップS08)
第2試薬の分注後または攪拌後、引き続き分光検出器13による測定が継続して実施される。
【0035】
図4:ステップS09)
一定時間経過後、測定を終えた反応容器14は、反応容器洗浄部27によって反応容器14内の反応液を排出されることで洗浄され、次の測定に備える。洗浄を含むそれらの動作の間に、別の反応容器14は、別の検体と試薬とを用いて平行して分析動作(分注、測光動作など)を実施する。コンピュータ3は、得られた測定値(吸光度)から濃度および酵素活性値を算出する。インターフェース9を介して、算出した濃度および酵素活性値をメモリ6に保存する。また、表示装置5を介してユーザにその結果を報告する。以上により、自動分析装置10による分析動作は終了する。
【0036】
図5は、本実施形態1において自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示した図である。図5は、ステップS03における分注プローブ30の動作を説明している。図5内の小文字のアルファベットは、(a)(b)(c)(d)(e)(f)の順に吐出時の動作の時間の流れを示しており、各模式図は各経過時間における吐出時の状況を模式的に表している。以後説明する他の図内においても同様に、これらの小文字のアルファベットは吐出動作の時間の流れを表している。
【0037】
はじめに、分析制御部8は分注機構11を反応容器14の底近辺まで下降させる(図5(a))。反応容器14内への分注プローブ30の下降位置は反応容器14の底から数ミリ程度が望ましい。この理由については後述する。本実施形態1では反応容器底から分注プローブ30の先端までの距離を約1から2mmに設定している。このとき分注プローブ30内では検体33、試薬32、およびシステム水31(純水など)を保持している状態である。これらの分注プローブ30内の液体は、分注プローブ30の先端側から鉛直方向上向きの順に、検体33、試薬32、システム水31の位置関係となっている。検体33と試薬32の間には分節空気37の層が存在し、これは検体33と試薬32が分注プローブ30内で混合することを防ぐためのものである。同様に、試薬32とシステム水31の間には分節空気38の層が存在し、これは試薬32とシステム水31が分注プローブ30内で混合することを防ぐためのものである。この状態で検体33と試薬32の同時吐出動作を開始すると、検体33、分節空気37(検体33と試薬32の間の層)、試薬32の順に吐出液が分注プローブ30の先端から反応容器14へ吐出されることになる。
【0038】
次に、分析制御部8は吐出動作を開始させる。分注プローブ30の先端からは、初めに検体33が吐出される。そして分析制御部8は、吐出動作開始と同時に、または数ミリ秒後に(例えば分注プローブ30の先端が、反応容器14内の吐出された検体33に浸漬する前に)、分注プローブ30の上昇動作を開始させる(図5(b))。
【0039】
続いて、分析制御部8は規定量の検体および試薬を吐出するまで分注プローブ30の上昇動作と吐出動作をするように制御する。加えて、分析制御部8は、分注プローブ30の先端と反応容器14内の反応液36の液面の間の距離Daが、時間の経過と共に大きくなるように分注プローブ30の上昇速度を制御する(図5(c)(d)(e))。
【0040】
分析制御部8は、規定量の検体および試薬を吐出し終えると、分注機構11の吐出動作および上昇動作を終了する(図5(f))。
【0041】
分析制御部8は、検体33および試薬32の総吐出量(反応容器14内に吐出される反応液36の液面高さ)と、分注プローブ30の上昇量を与える駆動パルスおよび上昇速度との間の対応関係のデータを記録している。このデータは、既知である反応容器14の寸法および吐出量の時間変化(吐出速度)などのデータに基づいて設定されている。例えば、本実施形態1では、分注プローブ30の先端と反応液36の液面高さとの間の距離Daの変化率α(横軸に経過時間、縦軸に距離Daとしたときの傾き)が8.0m/sとなるよう、分注プローブ30の上昇速度と駆動パルスを与えている。分析制御部8は分注プローブ30の総吐出量に応じて、一定または任意の前記変化率αとなるように、分注プローブ30の上昇速度を制御する。
【0042】
図6Aは、反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図を示す。図6Bは、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す。分注プローブ30の動作を図6ABによって詳細に説明する。図6AB中のP1、P2、P3は経過時間の各ポイントを示している。以後同様に図中に表示されているP*(*は算用数字)は、各経過時間時点のポイントを示し、以後その説明は省略する。図6ABにおいて、ポイントP1で吐出動作を開始、ポイントP2で分注プローブ30の上昇動作を開始、ポイントP3で吐出動作・上昇動作を終了している。
【0043】
経過時間P1において、分析制御部8は分注プローブ30の吐出動作を開始させる。分注プローブ30の先端からは、はじめに検体33が反応容器14内に吐出される。P1の時点では、分注プローブ30は反応容器14底から数ミリ上の高さで停止している状態であり、分注プローブ30の上昇動作はまだ開始していない。分注プローブ30の上昇動作が開始するP2まで、すなわち、P1からP2の間は、吐出した液体の液面が上昇してくるので、分注プローブ30の先端と液面との間の距離Daは経過時間とともに小さくなっていく。
【0044】
次に、分析制御部8は、経過時間P2にて、分注プローブ30の上昇動作を開始させる。分注プローブ30の先端からは継続して吐出液(検体33または試薬32)が吐出されている。P2の時点で分注プローブ30の先端から吐出される液は検体33または試薬32のどちらでもよい。すなわち、分析制御部8は検体33が全て吐出されるまで分注プローブ30を待機させ(上昇動作を開始しない)、続いて分注プローブ30の先端から吐出される試薬32の吐出を開始してから、分注プローブ30の上昇動作を開始させてもよい。また、分析制御部8は、検体33の吐出を開始したと同時に(経過時間P1にて)、または検体33を吐出している間に分注プローブ30の上昇動作を開始させてもよい。
【0045】
経過時間P2以降、分析制御部8は、規定量を吐出し終えるまで(P3まで)、分注プローブ30の吐出動作と上昇動作を実施させる。加えて、分析制御部8は、規定量を吐出し終えるまで(P3まで)、分注プローブ30の先端と反応容器14内の反応液36の液面との間の距離Daが時間経過と共に大きくなるように、分注プローブ30の上昇速度を制御する。すなわち、分析制御部8は、前述した分注プローブ30の先端と反応液36の液面高さとの間の距離Daの変化率α(例えばα=8.0m/s)となるように、分注プローブ30の上昇速度を制御する。分析制御部8は規定量の検体33および試薬32を吐出した経過時間P3にて、分注プローブの吐出動作と上昇動作を終了させる。
【0046】
このように、分注プローブ30先端と反応溶液36液面高さとの間の距離Daを経過時間と共に大きくしていくことにより、吐出液が反応液36内に到達する高さ位置35(図5参照)も徐々に変化する。結果、反応液36内全体に対して液の流れを与えることができ、吐出した検体33と試薬32を吐出動作で効率よく攪拌する効果がある。
【0047】
以上の説明においては、吐出開始前の反応容器14内への分注プローブ30の下降位置は反応容器14の底近辺、つまり反応容器14の底から数ミリ程度が望ましいことを説明した。吐出動作を開始した際、検体33と試薬32の間の分節空気37がプローブ先端から吐出されるときに破裂し、検体33または試薬32の一方または両者が反応容器14の壁面に飛び散る場合が想定される。飛び散った液体が反応容器14壁面に付着したままであると、反応液の反応が十分に進まず、分析結果に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、近年、患者の負担軽減の動向から、測定に使用する検体量の微量化技術も進んでいる。測定に使用される検体は多くても40μL程度と少量であることが想定される。そこで、吐出開始時の分注プローブ30の先端の位置を反応容器14の底近辺(本実施形態1では底から1から2mmに設定)にて吐出を開始し、検体33と試薬32の間の分節空気37を反応容器14底近辺で吐出させる。これにより、たとえ検体33と試薬32の間の分節空気37により吐出液の飛び散りが発生したとしても、その後、続いて試薬が高い位置から吐出され続けるので、反応容器14に付着した飛び散り液は液面上昇に伴い反応液36に埋もれる。このように、分析制御部8が、反応容器14底近辺まで分注プローブ30を下降させ、吐出動作を開始させるよう制御することにより、飛び散りによる影響を低減することができ、分析性能が向上する効果が生まれる。
【0048】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る自動分析装置10は、異なる液体である検体33と試薬32を同時吐出する際に、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daを経過時間にともなって大きくすることにより、反応液36中の吐出液の高さ方面の到達位置を徐々に変化させることができる。これにより、反応液内全体に対して大きな液の流れを与えることができ、検体33と試薬32を効率よく吐出時に攪拌することができる。吐出時にて効率的に攪拌することができれば、その後の追加の攪拌動作(ピペット攪拌など)に要する時間を短縮することができ、処理能力が向上する。また、吐出時にて十分に攪拌することができれば、攪拌するための追加の機構(超音波による攪拌など)が必要なくなり、装置の省スペース化にもつながる。
【0049】
本実施形態1に係る自動分析装置10は、反応容器14底部近辺まで分注プローブ30を下降させて吐出を開始することにより、検体33と試薬32の間の分節空気38由来の液飛び散り付着位置を反応容器14底部近傍に抑えることができる。また吐出開始と同時または数ミリ秒後にプローブ上昇動作を開始することにより、試薬32は分注プローブ30が上昇しながら高い位置より吐出されるので、反応容器14に飛び散った付着液は、反応液36の液面の上昇により、反応液36内に埋もれていく。これにより、飛び散りによる測定データへの影響を低減することができ、分析性能を向上させることができる。
【0050】
尚、本実施形態1に係る自動分析装置10は、特に図示しないが、次に挙げる自動分析装置の構成や分注フローでもよい。分注プローブ30は検体容器24から検体33を吸引し、反応容器14へ検体33を吐出する。続いて、分注プローブ30の先端を分注機構洗浄部26にて洗浄後、分注プローブ30は試薬容器22から試薬32を吸引する。そして、分注機構洗浄部26にて分注プローブ30の先端を洗浄後、分析制御部8は分注プローブ30を反応容器14内の検体33の液面高さ近辺(例えば、液面の上方1mm)まで下降させる。その後、分析制御部8は、試薬32の吐出動作開始と同時に、または数ミリ秒後に、分注プローブ30の上昇動作を開始させる。続いて、分析制御部8は規定量の試薬32を吐出するまで分注プローブ30の上昇動作と吐出動作をするように制御する。加えて、分析制御部8は、分注プローブ30の先端と反応容器14内の反応液36の液面の間の距離Daが、時間の経過と共に大きくなるように分注プローブ30の上昇速度を制御する。これにより、反応液36中の吐出液の高さ方面の到達位置を徐々に変化させることができる。反応液内全体に対して大きな液の流れを与えることができ、検体33と試薬32を効率よく吐出時に攪拌することができる。
【0051】
また、本実施形態1に係る自動分析装置10は、特に図示しないが、次に挙げる自動分析装置の構成や分注フローでもよい。自動分析装置10は分注プローブ30を2本備えている。即ち、検体33を分注する検体プローブ、及び試薬32を分注する試薬プローブである。検体プローブは検体容器24から検体33を吸引する。また、試薬プローブは試薬容器22から試薬32を吸引する。各2本のプローブの先端を分注機構洗浄部26にて洗浄後、分析制御部8は検体プローブ及び試薬プローブを反応容器14の容器底近辺まで下降させ、検体プローブから検体33を、試薬プローブから試薬32の吐出を開始する。分析制御部8は、吐出開始と同時に、または数ミリ秒後に、分注プローブ30の上昇動作を開始させる。続いて、分析制御部8は規定量の試薬32を吐出するまで分注プローブ30の上昇動作と吐出動作をするように制御する。加えて、分析制御部8は、分注プローブ30の先端と反応容器14内の反応液36の液面の間の距離Daが、時間の経過と共に大きくなるように分注プローブ30の上昇速度を制御する。これにより、反応液36中の吐出液の高さ方面の到達位置を徐々に変化させることができる。反応液内全体に対して大きな液の流れを与えることができ、検体33と試薬32を効率よく吐出時に攪拌することができる。
【0052】
更に、本実施形態1に係る自動分析装置10は、特に図示しないが、次に挙げる自動分析装置の構成や分注フローでもよい。ステップS06において、第2試薬を反応容器14内へ吐出する場合である。分析制御部8は分注プローブ30を反応容器14内の反応液(検体33と試薬32の混合液)の液面高さ近辺(例えば、液面の上方1mm)まで下降させる。その後、分析制御部8は、第2試薬の吐出動作開始と同時に、または数ミリ秒後に、分注プローブ30の上昇動作を開始させる。続いて、分析制御部8は規定量の第2試薬を吐出するまで分注プローブ30の上昇動作と吐出動作をするように制御する。加えて、分析制御部8は、分注プローブ30の先端と反応容器14内の反応液36の液面の間の距離Daが、時間の経過と共に大きくなるように分注プローブ30の上昇速度を制御する。これにより、反応液36中の吐出液の高さ方面の到達位置を徐々に変化させることができる。反応液内全体に対して大きな液の流れを与えることができ、反応液(検体33と試薬32の混合液)と第2試薬を効率よく吐出時に攪拌することができる。
【0053】
<実施の形態2>
実施形態1では、ステップS03において、分析制御部8は、規定量を吐出し終えるまで、分注プローブ30の先端と反応容器14内の反応液36の液面との間の距離Daが、時間経過と共に大きくなるよう分注プローブ30の上昇速度を制御することを説明した。分注プローブ30を上昇させる手順はこれに限定されない。
【0054】
実施形態2において、分析制御部8は、距離Daが経過時間と共に大きくなるように所定時間制御した後に、分析制御部8は、時間経過とともに距離Daを小さくなるよう制御する。この場合であっても、実施形態1と同様の効果を発揮できる。自動分析装置10の構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に分注動作に関する差異点を説明する。
【0055】
図7は、本実施形態2において自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示した図である。図7における分注プローブ30の先端位置などの経時変化について、図8ABを用いて説明する。
【0056】
図8Aは、反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図を示す。図8Bは、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す。図8ABを用いて、本実施形態2の詳細について説明する。分析制御部8による分注プローブ30のプローブ上昇制御に関して、実施形態1と同様の事項は説明を省略する。
【0057】
分析制御部8は分注プローブ30の吐出動作を開始させ(P4)、そして分注プローブ30のプローブを距離Daが経過時間と共に大きくなるよう上昇させる(P5からP6)。分析制御部8は、一定時間経過後、経過時間P6(規定量を吐出し終える前の時点)において、分注プローブ30の上昇動作を停止させる。P6の時点では吐出動作は継続している。分析制御部8は規定量を吐出した経過時間P7にて吐出動作を終了させる。つまり、分析制御部8は、経過時間P5からP6の間は距離Daを大きくなるよう制御し、経過時間P6からP7の間は距離Daを経過時間と共に小さくなるように制御する。
【0058】
<実施の形態2:まとめ>
本実施形態2に係る自動分析装置10は、距離Daが大きくなるように分注プローブ30を移動させた後、分注プローブ30の垂直方向の位置を固定することにより、距離Daが小さくなるように分注プローブ30を移動させる。本実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を発揮することができる。
【0059】
<実施の形態3>
ステップS03において、分析制御部8は規定量を吐出終了するとき(試薬32の吐出が終了するとき)に、分注プローブ30の先端を反応液36の液面内に浸漬するように制御してもよい。実施形態3では、その具体例を説明する。この場合であっても、実施形態1と同様の効果を発揮できる。自動分析装置10の構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に分注動作に関する差異点を説明する。
【0060】
図9は、本実施形態3において自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示した図である。図9における分注プローブ30の先端位置などの経時変化について、図10ABを用いて説明する。
【0061】
図10Aは、反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図を示す。図10Bは、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す。図10ABを用いて、本実施形態3の詳細について説明する。分析制御部8による分注プローブ30のプローブ上昇制御に関して、実施形態1と同様の事項は説明を省略する。
【0062】
分析制御部8は分注プローブ30の吐出動作を開始させ(P8)、そして、分注プローブ30のプローブ上昇動作を距離Daが経過時間と共に大きくなるよう制御する(P9からP10)。分析制御部8は、一定時間経過後、経過時間P10(規定量を吐出し終える前の時点)にて、分注プローブ30の上昇動作を停止させる。このとき、分析制御部8は、分注プローブ30の上昇動作の停止位置を、規定量吐出した後の反応液36の液面高さよりも低い位置にて停止させる。その後、経過時間P11にて吐出動作が終了する。つまり、規定量吐出終了した経過時間P11においては、分注プローブ30の先端は反応液36に浸漬した状態となる。分注プローブ30の先端の浸漬量は、分注プローブ先端の汚染範囲を少なくするために、数ミリ程度(例えば4mmなど)が望ましい。
【0063】
経過時間P11にて、液面検出器48による液面検知を実施してもよい。反応液36の濡れ性の違いにより(メニスカスの影響により)、反応液36の液面高さは既知のデータに対して僅かに異なることが予想される。そこで、分注プローブ30の吐出動作終了後に液面検出器48を用いて液面検知し、吐出終了後に分注プローブ30先端が正確に反応液36内に浸漬しているか確認してもよい。
【0064】
<実施の形態3:まとめ>
本実施形態3に係る自動分析装置10は、分析制御部8が試薬を吐出終了するとき、分注プローブ30の先端を反応液36に浸漬させるよう制御する。例えば、吐出終了時の分注プローブ30の先端の液切れが悪く、分注プローブ30の先端に液玉が形成される条件であると、液玉分が反応容器14内に吐出されず、規定量を正確に分注することができないことがある。吐出終了時に分注プローブ30の先端が液面に浸漬していると、その液玉を反応液内に浸漬させることができ、正確に規定量を分注することができる。結果、分析性能の向上につながる。
【0065】
本実施形態3に係る自動分析装置10は、吐出終了時に液面検出器48が液面検知することにより、分注プローブ30の先端が反応液36の液面に浸漬しているかどうか正確に判定することができる。液面検出器48が液面を検知しなかった場合は、分注プローブ30の先端の液玉形成による分注性能悪化が懸念されるので、分析制御部8はインターフェース9を介し表示装置5上で液面検知不可のデータアラームを付加してもよい。これにより、ユーザはデータ不良の原因を知ることができ、再検査の依頼をするなど適切に対処することができる。再検査にて適切な測定データを得ることができ、測定結果の信頼性向上につながる。
【0066】
<実施の形態4>
ステップS03において、分析制御部8は規定量を吐出終了するとき(試薬32の吐出が終了するとき)に、分注プローブ30の先端を反応液36の液面より上に停止するよう制御してもよい。実施形態4では、その具体例を説明する。この場合であっても、実施形態1と同様の効果を発揮できる。自動分析装置10の構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に分注動作に関する差異点を説明する。
【0067】
図11は、本実施形態4において、自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示した図である。図11における分注プローブ30の先端位置などの経時変化について、図12ABを用いて説明する。
【0068】
図12Aは、反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図を示す。図12Bは、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す。図12ABを用いて、本実施形態4の詳細について説明する。分析制御部8による分注プローブ30のプローブ上昇制御に関して、実施形態1と同様の事項は説明を省略する。
【0069】
分析制御部8は分注プローブ30の吐出動作を開始させ(P12)、そして、分注プローブ30のプローブ上昇動作を距離Daが経過時間と共に大きくなるよう制御する(P13からP14)。分析制御部8は、一定時間経過後、経過時間P14(規定量を吐出し終える前の時点)において、分注プローブ30の上昇動作を停止させる。このとき、分析制御部8は、分注プローブ30の上昇動作の停止位置を、規定量吐出した後の反応液36の液面高さよりも高い位置にて停止させる。その後、経過時間P15にて吐出動作が終了する。つまり、規定量吐出終了した経過時間P15では、分注プローブ30の先端は反応液36の液面よりも高い位置となる。
【0070】
<実施の形態4:まとめ>
本実施形態4に係る自動分析装置10は、分析制御部8が吐出終了時に分注プローブ30の先端を反応液36の液面高さより上になるよう制御する。例えば、図4ステップS04において、ピペット攪拌(吐出後に反応液36を再吸引・再吐出することによる攪拌)を実施する場合、ピペット攪拌開始前の分注プローブ30内の状態は液体(システム水など)で満たされている状態となる。ピペット攪拌により、分注プローブ30内にて再吸引する反応液36と分注プローブ30内の先端にある液体(システム水31など)の混合を避けるために、反応液36を再吸引する前に空気を吸引する必要がある。すなわち、反応液36とシステム水31の間に分節空気の層を形成する必要がある。もし、分注プローブ30の先端を反応液36内に浸漬させた状態で分注プローブ30の検体・試薬吐出動作を終了させた場合、この分節空気の層を形成するために、分注プローブ30の先端を反応液36の液中から引き抜く上昇動作が追加で必要となる。一方、本実施形態4のように、分注プローブ30の先端が吐出終了時の反応液36の液面高さより上で停止していれば、分注プローブ30の先端は空中にいる状態であるので、追加の上昇動作を必要とせずに空気を吸引できる。これにより、分注プローブ30による吐出開始から攪拌(ピペット攪拌)終了までの動作時間が少なくなり、自動分析装置10の処理能力を向上させる効果が生まれる。
【0071】
<実施の形態5>
ステップS03において、分析制御部8は検体33の吐出開始後または吐出終了後から一定時間、分注プローブ30の先端が、吐出された検体33または反応液36の液面に浸漬するよう制御してもよい。実施形態5では、その具体例を説明する。この場合であっても、実施形態1と同様の効果を発揮できる。自動分析装置10の構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に分注動作に関する差異点を説明する。
【0072】
図13は、本実施形態5において、自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示した図である。図13における分注プローブ30の先端位置などの経時変化について、図14ABを用いて説明する。
【0073】
図14Aは、反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図を示す。図14Bは、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す。図14ABを用いて、本実施形態5の詳細について説明する。分析制御部8による分注プローブ30のプローブ上昇制御に関して、実施形態1と同様の事項は説明を省略する。
【0074】
分析制御部8は分注プローブ30の吐出動作を開始させる(P16)。分析制御部8は、検体33の吐出終了後から一定時間、分注プローブ30の先端が吐出した検体33または反応液36(検体33と試薬32の混合液)に浸漬するよう制御してもよい。つまり、分析制御部8は、検体33の吐出終了後から一定時間、吐出した検体33および反応液36(検体33と試薬32)に分注プローブ30の先端が浸漬するように、吐出開始前における反応容器14への分注プローブ30の下降量を制御し、浸漬後、試薬32を吐出しながら分注プローブ30を上昇させる。または、分析制御部8は、検体33の吐出終了後から一定時間、分注プローブ30の先端が吐出した検体33または反応液36(検体33と試薬32)に浸漬するまで、吐出開始位置にて分注プローブ30の先端を待機させ、その後、試薬32を吐出しながら分注プローブ30を上昇するよう制御してもよい。
【0075】
分注プローブ30の先端の浸漬量は、ノズル先端の汚染範囲を少なくするために数mm程度とするのが望ましい。例えば分注プローブ30の先端の浸漬量が4mm程度以下となるように、分析制御部8は分注プローブ30を制御するのが望ましい。
【0076】
<実施の形態5:まとめ>
本実施形態5に係る自動分析装置10は、検体33の吐出開始後または吐出終了後の一定時間の間、分注プローブ30の先端を、容器内の検体33または反応液36(検体33と試薬32)の液面に浸漬させる。これにより、例えば、全ての検体が吐出されたときにプローブ先端が液中に浸漬されていれば、続いて分注プローブ30の先端から吐出される検体33と試薬32の間の分節空気37は検体33の中で、または検体33と試薬32の反応液36中に吐出されることになる。このとき分注プローブ30の先端は液中にいるので、分節空気37由来の液飛び散りの影響を防止することができる。つまり、分析性能を向上することができる。
【0077】
<実施の形態6>
ステップS03において、分析制御部8は、分注プローブ30が反応容器14に検体33を全て吐出したときの液面高さ近辺までプローブ先端を下降させた上で、検体33や試薬32を吐出開始してもよい。実施形態6では、その具体例を説明する。この場合であっても、実施形態1と同様の効果を発揮できる。自動分析装置10の構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に分注動作に関する差異点を説明する。
【0078】
図15は、本実施形態6において、自動分析装置10が検体および第1試薬を同時分注する時の分注プローブ30の動きおよびその効果を模式的に示した図である。図15における分注プローブ30の先端位置などの経時変化について、図16ABを用いて説明する。
【0079】
図16Aは、反応容器14底からの分注プローブ30の先端の高さと反応液36の液面の高さとの間の関係図を示す。図16Bは、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daの経過時間変化を示す。図15図16ABを用いて、本実施形態6の詳細について説明する。分析制御部8による分注プローブ30のプローブ上昇制御に関して、実施形態1と同様の事項は説明を省略する。
【0080】
分析制御部8は分注プローブ30を反応容器14内に下降させる(図15(a))。この際、分析制御部8は分注プローブ30の先端が規定量の検体33を全て吐出したときの液面高さ近辺まで(例えば、液面と同一の高さまで、または液面から上方1mm以内)下降させる。分析制御部8は分注プローブ30の吐出動作を開始させる(経過時間P20)。経過時間P21のとき、分注プローブ30の先端高さは、吐出された検体33の液面高さと同一または数ミリ上空の位置となる。
【0081】
<実施の形態6:まとめ>
本実施形態6に係る自動分析装置10は、反応容器14に規定量の検体33を全て吐出したときの液面高さ近辺まで、分注プローブ30を下降させてから、検体33を吐出開始する。これにより、例えば、全ての検体が吐出されたときに分注プローブ30の先端高さが、検体33と同一の高さまたは数mm上の位置であれば、続いて分注プローブ30の先端から吐出される検体33と試薬32の間の分節空気37は空中で吐出されることになる。空中で分節空気37が吐出されることにより、分節空気37由来の気泡の液中への混入を防止することができる。気泡が反応液中に混入し、反応容器14中の光源12の光路領域に気泡が付着してしまうと、測定データに影響を及ぼすことがある。本実施形態6はこの気泡混入を防ぐことにより、分析性能の向上につながる。
【0082】
<実施の形態7>
ステップS03において、分析制御部8は、吐出する溶液の液性情報に応じて、分注プローブ30の上昇速度を変更してもよい。ここでいう液性とは、粘度、極性、接触角などである。吐出する液体の粘度、極性、接触角などの違いにより、検体33と試薬32の分子間力も異なってくる。このとき、吐出時の検体33と試薬32の混合液である反応液36内に対する、吐出液の液到達高さやその液流れの状況も液性によって異なってくる。本実施形態7においては、この溶液の液性と、吐出時の攪拌効果の大きい適切な距離Daの変化率αとを対応付けて、あらかじめメモリ6にデータとして記録させておく。これに代えて、測定開始前の分析項目依頼のときにユーザがキーボード2を介して該分析項目の試薬の粘度および接触角情報などを分析制御部8へインプットしてもよい。その他構成は実施形態1と同様である。
【0083】
分析制御部8は分注プローブ30吐出開始前に、その溶液の液性に該当する変化率αをメモリ6から読み出す。そして、分析制御部8は吐出時の攪拌効果として大きい、適切な分注プローブ30の上昇速度を与えるように制御する。粘度情報に関しては、検体33吸引時および試薬32吸引時に圧力波形を取得し、その圧力波形を元にコンピュータ3が検体33および試薬32の粘度を解析し、その解析結果を分析制御部8へインプットすることもできる。
【0084】
本実施形態7に係る自動分析装置10によれば、溶液の液性に応じて、分注プローブ30の上昇速度を変更することにより、異なる液体である検体33と試薬32を同時吐出する際に効率よく攪拌することができる。
【0085】
<実験例>
以下、本実施形態における、検体および試薬同時吐出時の攪拌効率を向上させる効果について、実験結果を用いて説明する。ただし、以下の実験結果は、本実施形態の効果について説明するために用いられており、本発明の技術的範囲が以下の実験結果によって限定されるものではない。
【0086】
実験は実施形態1記載の自動分析装置10を用いて実施した。次の2条件を用いた。実施形態1の条件は、分注プローブ30の上昇開始後、プローブ先端と反応液36の液面との間の距離Daが経過時間と共に大きくなるように分注プローブ30の上昇速度を制御した。比較例の条件は、分注プローブ30の上昇開始後、分注プローブ30の先端と反応液36の液面との間の距離Daが経過時間によらず一定、かつ、分注プローブ先端が反応液36の液面から2mm浸漬した状態を維持するように、分注プローブ30の上昇速度を制御した。検体33と試薬32の同時吐出後に、ピペット攪拌や超音波攪拌などの攪拌はしていない。
【0087】
検体33として色素を添加した水溶液を、試薬32として無色透明で粘度を与えた溶液を用いた。検体33と試薬32を同時吐出し、所定時間経過後の吸光度(検体として使用した色素が持つ特有の吸光度)を測定した。得られた吸光度と、検体と色素が完全混和した状態の吸光度より、完全混和時の吸光度からの乖離率(%)を算出した。この乖離率(%)が低いほど、吐出のみの攪拌の状態が完全混和した状態に近いことを示している。つまり、乖離率(%)が低いほど吐出動作で効率よく攪拌ができていると言える。
【0088】
さらに、吐出直後から一定時間毎に吸光度を測定し、5分間の吸光度変動率(%)を算出した。5分間の吸光度変動率(%)は、5分間に複数回取得した吸光度データのレンジ(吸光度最大値-吸光度最小値)の、吐出5分後吸光度に対する割合を示す。吐出時に攪拌が効率よく行えていない状態であると、吐出終了後も検体(色素液)の拡散現象により吸光度が変動するので、この吸光度変動率(%)は大きくなる。つまり、この5分間の吸光度変動率(%)が小さいほど、効率よく攪拌ができていると言える。
【0089】
図17は、実施形態1と比較例それぞれについて、乖離率(%)を示した図である。測定はそれぞれの条件で複数回実施し、その乖離率(%)をプロットしている。図17より、実施形態1のほうが、完全混和からの乖離率(%)が低く、複数回測定のばらつきも小さい。
【0090】
図18は、実施形態1と比較例それぞれについて、5分間の吸光度変動率(%)を示した図である。測定はそれぞれの条件で複数回実施し、その吸光度変動率(%)をプロットしている。図18より、実施形態1のほうが、吸光度変動率(%)が低く、測定間のばらつきも小さい。したがって、実施形態1の方が効率よく吐出時に攪拌できていることが分かる。つまり、分注プローブ30の上昇開始後に、プローブ先端と反応液36の液面の距離Daが経過時間と共に大きくなるように分注プローブ30の上昇速度を制御すると、検体と試薬同時吐出の際に効率よく攪拌することができる。
【0091】
<本発明の変形例について>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…分析部
2…キーボード
3…コンピュータ
4…プリンタ
5…表示装置
6…メモリ
7…A/D変換器
8…分析制御部
11…分注機構
12…光源
13…分光検出器
14…反応容器
15…反応ディスク
21…試薬ディスク
22…試薬容器
24…検体容器
25…サンプルラック
26…分注機構洗浄部
30…分注プローブ
31…システム水
32…試薬
33…検体
36…反応液
41…分注アーム
42…上下回転動作部
43…プランジャ
44…駆動部
45…定量ポンプ
46…ポンプ
47…分注流路
48…液面検出器
49…バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18