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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20230704BHJP
   G05F 1/67 20060101ALI20230704BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H02J7/35 E
G05F1/67 A
H02J7/34 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019190050
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021065068
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀樹
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-178227(JP,A)
【文献】特開平09-121461(JP,A)
【文献】特開2009-148064(JP,A)
【文献】特開2012-196001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部エネルギを電気エネルギに変換して第1電圧として出力する発電素子と、
前記発電素子に対して直列に接続されると共に第2電圧を出力する二次電池と、
前記第1電圧及び前記第2電圧を受けて、負荷回路に電力を出力する電力変換部と、を備え、
前記電力変換部は、
前記第1電圧及び前記第2電圧が足し合わされた第3電圧に基づく総合電力を蓄積し、
前記総合電力を、出力用電力と充電用電力とに配分し、
前記出力用電力を前記負荷回路に出力すると共に前記充電用電力を前記二次電池に出力する、電源装置。
【請求項2】
前記電力変換部は、
前記第3電圧を受ける入力端子と、
前記負荷回路に接続されて、前記出力用電力を出力する第1出力端子と、
前記二次電池に接続されて、前記充電用電力を出力する第2出力端子と、を有する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電力変換部は、前記入力端子に接続されて、前記総合電力を蓄積するキャパシタを有する、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記出力用電力は、前記第1電圧によって規定される前記発電素子が出力する電力より小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今までに利用されることのなかった振動や熱といった環境エネルギを活用する技術が注目されている。このような技術は、エナジー・ハーベストと呼ばれる。エナジー・ハーベストは、いわゆるIoT(物のインターネット:Internet of Things)のためのセンサに適用する電源技術として注目を集めている。例えば、エナジー・ハーベスト技術を適用したセンサは、装置が設置された環境に存在する振動や熱から回収されたエネルギを利用して駆動する。エナジー・ハーベストに関する技術として、特許文献1~3及び非特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-172377号公報
【文献】特許第534052号
【文献】特許第588008号
【非特許文献】
【0004】
【文献】アントニオ・カルロス著(AntonioCarlos M.de Queiroz)、「ベネットダブラー誘導起電機の応用を用いた静電振動エナジーハーベスティング」(Electrostatic Vibrational Energy Harvesting Using a VariationBennet’s Doubler)、アイ・トリプル・イー(IEEE)、2010年、pp. 404-407。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にエナジー・ハーベスト技術を用いて得られた電力は、微弱である。そのため、センサや通信ICといった機器を動作させるためには、電力が不足する。そこで、例えば、昇圧回路を用いて機器が要求する電圧まで昇圧させる。しかし、昇圧回路も半導体素子により構成されるスイッチング回路である。そのため、昇圧回路に与えられる電圧が低すぎる場合には、昇圧回路の変換効率が著しく低下することがある。例えば、非特許文献1に開示された技術によれば、発電素子が発生した低電圧高抵抗の電源からICが要求する電圧に変換するとき、変換効率が低いという問題がある。その結果、要求される電圧を効率よく出力できない場合が生じ得る。
【0006】
そこで、本発明は、所望の電力を出力可能な電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である電源装置は、外部エネルギを電気エネルギに変換して第1電圧として出力する発電素子と、発電素子に対して直列に接続されると共に第2電圧を出力する二次電池と、第1電圧及び第2電圧を受けて、負荷回路に電力を出力する電力変換部と、を備え、電力変換部は、第1電圧及び第2電圧が足し合わされた第3電圧に基づく総合電力を蓄積し、総合電力を、出力用電力と充電用電力とに配分し、出力用電力を負荷回路に出力すると共に充電用電力を二次電池に出力する。
【0008】
電源装置は、発電素子が出力する第1電圧と二次電池が出力する第2電圧を電力変換部が受ける。電力変換部は、総合電力を蓄積しその一部を出力用電力として分配する。ここで、総合電力は、第1電圧と第2電圧とが足し合わされた第3電圧に基づいている。そうすると、総合電力から配分される出力用電力は、第1電圧よりも高い電圧として出力することが可能である。従って、電源装置は、所望の電圧を有する電力を負荷回路に対して出力することができる。
【0009】
一形態の電源装置において、電力変換部は、第3電圧を受ける入力端子と、負荷回路に接続されて、出力用電力を出力する出力端子と、二次電池に接続されて、充電用電力を出力する充電端子と、を有してもよい。この構成によれば、総合電力によって二次電池を充電することが可能になる。つまり、発電素子の電圧を高めるために要した電力を回収することができる。その結果、発電素子の電圧を高めるために実質的に要する電力が低減するので、二次電池による電圧をアシストする機能を長期間に亘って維持することができる。
【0010】
一形態の電源装置において、電力変換部は、入力端子に接続されて、総合電力を蓄積するキャパシタを有してもよい。この構成によれば、電力変換部は、総合電力を好適に蓄積することができる。
【0011】
一形態の電源装置において、出力用電力は、第1電圧によって規定される発電素子が出力する電力より小さくてもよい。この構成によれば、発電素子が出力した電力よりも消費される出力用電力が小さい。その結果、二次電池の充電に供する充電用電力が増加する。従って、二次電池による電圧をアシストする機能をさらに長期間に亘って維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の電力を出力可能な電源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、図1に示す電源装置の動作を説明するための図である。
図3図3は、変形例1の電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1に示すように、電源装置1は、負荷回路101に対して電力を供給する。負荷回路101は、IoTを構成する装置であってよい。このような装置として、例えば、周囲環境の計測を行うセンサが挙げられる。センサは、温度、湿度、照度など所望の計測パラメータに関する計測値を得る。このような負荷回路101は、数ワット程度の電力を要求する。例えば、負荷回路101が要求する電圧は、3V程度である。電源装置1は、負荷回路101が要求するタイミングで、負荷回路101に所定の電力を供給する。つまり、負荷回路101は、継続的に電源装置1に電力を要求するものでなくてもよい。例えば、負荷回路101は、予め定められた時間間隔で周囲の温度を計測し、無線ICなどを通じて送信する動作を行う。このような動作では、負荷回路101は、温度計測および通信が行われるタイミングで、電源装置1から電力の供給を受ける。
【0016】
電源装置1は、出力端子1aと、接地端子1bと、を有する。出力端子1aは、負荷回路101に接続される。出力端子1aは、負荷回路101に電力(POUT)を出力する。接地端子1bは、接地電位GNDに接続される。接地端子1bは、接地電位GNDから基準となる電位を受ける。
【0017】
さらに、電源装置1は、主要な構成要素として、二次電池10と、発電素子20と、電力変換部50と、を有する。なお、電源装置1は、必要に応じて上記の構成要素に加えて付加的な要素を含んでもよい。
【0018】
二次電池10は、充電動作および放電動作を行う。二次電池10は、例えば、3V又は5Vといった直流電圧を出力する。二次電池10が出力する電圧は、負荷回路101が要求する電圧に対応してよい。以下の説明において、二次電池10が出力する電圧を、VBATとして示す。二次電池10の負極は、接地端子1bに接続される。二次電池10の正極は、発電素子20に接続される。
【0019】
発電素子20は、外部エネルギを受けて、当該外部エネルギを電気エネルギに変換する。発電素子20は、外部エネルギを受けて電気エネルギを発生可能な種々の素子を用いてよい。
【0020】
直流電圧の発電素子としては、太陽光エネルギを利用した太陽電池や、温度差による電荷の偏りを利用した熱電変換素子などが挙げられ、交流電圧の発電素子としては、振動による双極子モーメントの乱れを利用した圧電素子や、電磁誘導電圧を利用した振動素子、焦電効果を利用した焦電素子、電波の受信によって発電するRF素子などが挙げられる。
【0021】
特に熱電変換素子は、もっともありふれたエネルギである熱エネルギを使用するという点で、今後応用範囲が広がっていく期待がある。熱電変換素子に用いられる材料は、無機半導体材料、有機導電性高分子などがある。中でもカーボンナノチューブ(CNT)を使った素子はフレキシビリティで軽量であり、さらに薄膜を使った素子であることにより、同一の環境でも他の材料よりも温度差をより大きく取れる構造を作ることができるため、取り付けられる環境が大きく広がり、応用範囲を広げることができる。
【0022】
前記カーボンナノチューブ(CNT)としては、単層カーボンナノチューブ(単層CNT)、および、多層カーボンナノチューブ(多層CNT)を用いることができるが、単層CNTを用いることが好ましい。CNTは、単層CNTまたは多層CNTをそれぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。混合して用いる場合、単層CNTの含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。単層CNTは、その平均直径が好適には0.7~15nmである。また、単層CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。また、単層CNTは、合成時における繊維状炭素ナノ構造体の平均長さが100μm以上であることが好ましい。さらに、単層CNTのBET比表面積は、600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることが更に好ましく、2500m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることが更に好ましい。
【0023】
前記単層CNTは、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。前記SGCNT(Super Growth Carbon nanotube)は、他のCNTに比べて、純度が高く、ドーピングの効果が高いため発電能力(ゼーベック係数)が大きいという特徴があり、熱電変換素子としての適性が高い材料である。また、SGCNTは、低コスト、材料純度が高い、ドーピングがしやすいという特徴がある。
【0024】
発電素子20は、二次電池10に対して直列に接続される。また、発電素子20の出力端子20bは、電力変換部50に接続される。発電素子20は、発電体21と、出力抵抗22と、を有する。発電体21は、入力端子20aを介して二次電池10に接続される。さらに、発電体21は、出力抵抗22及び出力端子20bを介して電力変換部50に接続される。
【0025】
以下の説明において、発電素子20の出力電圧を、記号(VEH:第1電圧)として示す。発電素子20の出力電圧(VEH)は、直流電圧であってもよいし、交流電圧であってもよい。例えば、発電素子20が振動エネルギを電気エネルギに変換するものであるとき、発電素子20は、入力された振動の周波数に応じた周波数を有する交流電圧を出力する。上述したように、発電素子20は、二次電池10に対して直列に接続される。
【0026】
電力変換部50は、発電素子20から電力を受ける。電力変換部50は、当該電力の一部または全部を負荷回路101に出力する。さらに、電力変換部50は、負荷回路101に出力されなかった電力を二次電池10に出力する。つまり、電力変換部50は、受け入れた電力を負荷回路101及び二次電池10に再配分する。
【0027】
例えば、電力変換部50は、電力を蓄える蓄電部51として、キャパシタ51fを有する。さらに、電力変換部50は、当該キャパシタ51fに蓄積された電力を振り分ける配分部52を有する。そして、電力変換部50は、4個の接続端子を有する。具体的には、電力変換部50は、入力端子50aと、出力端子50b(第1出力端子)、出力端子50c(第2出力端子)と、接地端子50dと、を有する。なお、回路構成によっては、電力変換部50は、接地端子50dを省略してもよい。
【0028】
入力端子50aは、発電素子20の出力端子20bに接続される。入力端子50aは、電圧(VIN=VBAT+VEH)<VBAT:第2電圧、VIN:第3電圧>を受ける。さらに、入力端子50aは、キャパシタ51fにも接続される。入力端子50aは、受けた電圧(VIN)をキャパシタ51fに出力する。出力端子50bは、配分部52に接続される。出力端子50bは、配分部52から出力用電力を受ける。なお、出力端子50bは、キャパシタ51fに直接に接続されて、キャパシタ51fから直接に出力用電力を受けてもよい。出力端子50bは、さらに、負荷回路101に接続される。出力端子50bは、受けた出力用電圧を負荷回路101に出力する。別の出力端子50cは、配分部52に接続される。出力端子50cは、配分部52から充電用電力を受ける。なお、出力端子50cも、出力端子50bと同様にキャパシタ51fに直接に接続されて、キャパシタ51fから直接に充電用電力を受けてもよい。出力端子50cは、さらに、二次電池10に接続される。出力端子50cは、受けた充電用電圧を二次電池10に出力する。接地端子50dは、電源装置1の接地端子1bに接続される。
【0029】
配分部52は、負荷回路101からの要求に応じてキャパシタ51fに蓄積された電力を負荷回路101に出力する。さらに、配分部52は、所定の期間においてキャパシタ51fに蓄積された電力を二次電池10に出力する。また、配分部52は、負荷回路101及び二次電池10のいずれにも電力を出力しない動作を行う。この動作によれば、時間の経過と共にキャパシタ51fに電力が蓄積される。
【0030】
次に、図2を参照しながら電源装置1の動作原理について説明する。
【0031】
図2の(a)部は、電力変換部50に入力される電力を示す。いま、二次電池10は、電圧(VBAT)を出力する。また、発電素子20は、電圧(VEH)を出力する。そして、電力変換部50に入力される電流を電流(IIN)であるとする。二次電池10、発電素子20および電力変換部50は直列に接続されるので、二次電池10が出力する電流も(IIN)であり発電素子20が出力する電流も(IIN)である。
【0032】
そうすると、まず、二次電池10が出力する電力(PBAT)は、矩形R1により示される。この矩形R1の横は電流(IIN)を示し、矩形R1の縦は電圧(VBAT)を示す。そして、矩形R1の面積(VBAT×IIN)は、二次電池10が出力する電力(PBAT)を示す。
【0033】
同様に、発電素子20が出力する電力(PEH)は、矩形R2により示される。この矩形R2の横は電流(IIN)を示し、矩形R2の縦は電圧(VEH)を示す。そして、矩形R2の面積(VEH×IIN)は、発電素子20が出力する電力(PEH)を示す。
【0034】
図2の(b)部は、電力変換部50のキャパシタ51fに蓄積された総合の電力(PIN)を示す。総合電力(PIN)は、電力(PBAT)と電力(PEH)の和である。また、別の見方をすれば、二次電池10と発電素子20とが直列に接続されるので、電力変換部50のキャパシタ51fには、電圧(VBAT)と電圧(VEH)の和である総合電圧(VIN)が入力される。そして、電流は、上述したように電流(IIN)であるから、総合電力(PIN)は、PIN=(VBAT+VEH)×IINとして示すこともできる。
【0035】
図2の(c)部は、電力変換部50の配分部52の動作によって出力される電力を示す。配分部52は、キャパシタ51fに蓄積された総合電力(PIN)を出力用電力(POUT)と、充電用電力(PCHG)に配分する。
【0036】
出力用電力(POUT)は、出力用電圧(VOUT)と出力用電流(IOUT)との積である。出力用電力(VOUT)は、総合電圧(VIN=VBAT+VEH)と等しい。この出力用電圧(VOUT)は、発電素子20が出力する電圧(VEH)よりも高い。つまり、電力変換部50は、発電素子20が出力する電力(PEH)に二次電池10が出力する電力(PBAT)を加えることによって、発電素子20が出力する電圧(VEH)よりも高い出力用電圧(VOUT)を出力することができる。さらに、出力用電流(IOUT)が電流(IIN)よりも小さい場合には、発電素子20が出力する電力(PEH)と出力用電力(POUT)とを等しくすることもできる。
【0037】
そのうえ、総合電力(PIN)から出力用電力(POUT)を差し引いた残りの電力は、充電用電力(PCHG)として二次電池10へ充電のために戻すことが可能である。
【0038】
その結果、電源装置1は、見かけ上、発電素子20が出力する電力(PEH)と等しく、かつ、発電素子20が出力する電圧(VEH)よりも高い電圧(VOUT)を有する出力用電力(POUT)を出力することが可能である。この動作は、二次電池10によるアシストと、電力変換部50の配分部52の機能によって実現される。そのうえ、アシストのために出力した二次電池10の電力(PBAT)は、出力用電力(POUT)の大きさによっては、回収することが可能である。この動作のための条件とは、出力用電力(POUT)は発電素子20の出力する電力(PEH)以下であるというものである。
【0039】
従って、電源装置1は、発電素子20の出力電圧を、負荷回路101が要求する電圧まで高めることができる。
【0040】
要するに、電源装置1は、外部エネルギを電気エネルギに変換して電圧(VEH)として出力する発電素子20と、発電素子20に対して直列に接続されると共に、電圧(VEH)より大きい電圧(VBAT)を出力する二次電池10と、電圧(VEH)及び電圧(VBAT)を受けて、負荷回路101に電力(POUT)を出力する電力変換部50と、を備える。電力変換部50は、電圧(VEH)及び電圧(VBAT)が足し合わされた電圧(VIN)に基づく総合電力(PIN)を蓄積し、総合電力(PIN)を、出力用電力(POUT)と充電用電力(PCHG)とに配分し、出力用電力(POUT)を負荷回路101に出力すると共に充電用電力(PCHG)を二次電池10に出力する。
【0041】
電源装置1は、発電素子20が出力する電圧(VEH)と二次電池10が出力する電圧(VBAT)を電力変換部50が受ける。電力変換部50は、総合電力(PIN)を蓄積しその一部を出力用電力(POUT)として分配する。ここで、総合電力(PIN)は、電圧(VEH)と電圧(VBAT)とが足し合わされた電圧(VIN)に基づいている。そうすると、総合電力(PIN)から配分される出力用電力(VOUT)は、電圧(VEH)よりも高い電圧として出力することが可能である。従って、電源装置1は、所望の電力を負荷回路101に対して出力することができる。
【0042】
電力変換部50は、電圧(VIN)を受ける入力端子50aと、負荷回路101に接続されて、出力用電力(POUT)を出力する出力端子50bと、二次電池10に接続されて、充電用電力(PCHG)を出力する出力端子50cと、を有する。この構成によれば、総合電力(PIN)から得た充電用電力(PCHG)によって二次電池10を充電することが可能になる。つまり、発電素子20の電圧(VEH)を高めるために要した電力(PBAT)を回収することができる。その結果、発電素子20の電圧(VEH)を高めるために実質的に要する電力(PBAT)が低減するので、二次電池10による電圧(VBAT)をアシストする機能を長期間に亘って維持することができる。
【0043】
出力用電力(POUT)を規定する出力電圧(VOUT)は、電圧(VEH)より大きい。また、出力電圧(VOUT)は、入力電圧(VIN)と等しい。例えば、図2の(b)及び(c)部ではVOUT=VINを限定している。この構成によれば、電圧(VEH)より大きな出力電圧(VOUT)を負荷回路101に出力することができる。
【0044】
出力用電力(POUT)は、発電素子20が出力し、電圧(VEH)によって規定される電力(PEH)より小さい。この構成によれば、発電素子20が出力した電力(PEH)よりも消費される出力用電力(POUT)が小さい。その結果、二次電池10の充電に供する充電用電力(PCHG)が増加する。従って、二次電池10による電圧(VEH)をアシストする機能をさらに長期間に亘って維持することができる。
【0045】
電力変換部50は、入力端子50aに接続されて、総合電力(PIN)を蓄積するキャパシタ51fを有する。この構成によれば、電力変換部50は、総合電力(PIN)を好適に蓄積することができる。
【0046】
実施形態の電源装置1は、上記の構成に限定されない。
【0047】
例えば、電源装置1Aは、図3に示す構成としてもよい。変形例1の電源装置1Aは、実施形態の電源装置1に対して、二次電池10の構成が異なる。電源装置1Aは、二次電池11、12を有する充放電部10Aと、スイッチ部30と、を有する。充放電部10Aの一方の二次電池11は、駆動用(アシスト用)の電源として用いられる。他方の二次電池12は、充電用の蓄電池として用いられる。スイッチ部30は、発電素子20に電力を供給する回路と、二次電池10を充電するための回路と、を、スイッチ31、32によって相互に切り替える。この構成によっても、実施形態の電源装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…電源装置、10…二次電池、20…発電素子、22…出力抵抗、30…スイッチ部、50…電力変換部、50a…入力端子、50b…出力端子(第1出力端子)、50c…出力端子(第2出力端子)、51…蓄電部、51f…キャパシタ、52…配分部、101…負荷回路。
図1
図2
図3