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特許7307412多環性カルバモイルピリドン誘導体を含有するアレナウイルス増殖阻害剤
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  • 特許-多環性カルバモイルピリドン誘導体を含有するアレナウイルス増殖阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】多環性カルバモイルピリドン誘導体を含有するアレナウイルス増殖阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20230705BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230705BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20230705BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230705BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20230705BHJP
   C07D 498/14 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K31/53
A61K31/5383
A61K31/551
A61P31/12
C07D471/04 102
C07D471/04 111
C07D471/04 120
C07D498/14 CSP
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020527567
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2019025312
(87)【国際公開番号】W WO2020004443
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018122467
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100209598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】石井 秋宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】河井 真
(72)【発明者】
【氏名】垰田 善之
【審査官】内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521424(JP,A)
【文献】国際公開第2010/147068(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/039414(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/123541(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4985
A61K 31/53
A61K 31/5383
A61K 31/551
A61P 31/12
C07D 471/04
C07D 498/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、-Z-C(=O)-O-RX15
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルであり;RX10は、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルオキシであり;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)であり;

は、CRまたはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;

は、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RZ1)-SO-RZ2
-Z-N(RZ3)-C(=O)-RZ4
-Z-N(RZ5)-C(=O)-O-RZ6
-Z-C(=O)-N(RZ7)(RZ8)、
-Z-N(RZ9)(RZ10)、
-Z-SO-RZ11、または
-Z-N(RZ12)-O-C(=O)-RZ13
(ここで、RZ1、RZ3、RZ4、RZ5、RZ6、RZ7、RZ8、RZ9、RZ10、RZ12、およびRZ13は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z2およびRZ11は、それぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z7およびRZ8は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり;

a)AおよびAは、いずれか一方がCR、ならびに他方がNRであるか、
または
b)AがCR、およびAがCR1011であり、

、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく;

1)AがCR、およびAがNRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、

2)AがNR、およびAがCRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、または

3)AがCR、およびAがCR1011の場合、
およびR10は、一緒になって結合を形成していてもよく、またはRおよびR10は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは
およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよい;

但し、以下のc)ならびにd)である場合を除く
c)R、R、およびRが、いずれも水素原子である場合。
d)R、R、R10、およびR11が、いずれも水素原子である場合。;

置換基群A:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、炭素環アルキルオキシアルキル、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノ;

置換基群B:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロシキアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、炭素環アルキルオキシ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルチオ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルチオ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシアルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシアルキル;

置換基群E:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニル、およびアルキルスルホニル;

置換基群F:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノ)
で示される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項2】
a)AおよびAのいずれか一方がCR、ならびに他方がNRであるか、
または
b)AがCR、およびAがCR1011であり、

、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよい;
ただし、AがCR、およびAがNRの場合は、請求項1記載の1)ではなく、AがNR、およびAがCRの場合、請求項1記載の2)ではなく、AがCR、およびAがCR1011の場合、請求項1記載の3)ではない、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項3】
がCRであり、AがCR1011である、請求項1または2記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項4】
がNRであり、AがCRである、請求項1または2記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項5】
がCRであり、AがNRである、請求項1または2記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項6】
およびR11がそれぞれ独立して水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルであり、
およびR10のいずれか一方が、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルであり、ならびに、他方が水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項7】
およびRのいずれか一方が、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルであり、他方が水素原子であり、ならびにRが水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、請求項1、2、4および5のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項8】
が、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルであり、Rが水素原子であり、ならびにRが水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、請求項4記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項9】
がカルボキシである、請求項1~8のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項10】
が水素原子またはアルキルである、請求項1~9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項11】
が置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキルである、請求項1~10のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項12】
が、CRである、請求項1~11のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項13】
およびAのいずれか一方がCRであり、他方がNRである場合、RまたはRのいずれかが以下に示される基であり、AがCRであり、AがCR1011である場合は、RまたはR10のいずれかが以下に示される基である:
【化2】
(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;
mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは請求項1と同意義である)
請求項1~12のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項14】
が、CRであり;Rがカルボキシであり;Rが水素原子であり;Rが置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり;
a)AがNR、AがCRであるか、または
b)AがCR、AがCR1011であり;
およびRがそれぞれ独立して、水素原子、またはアルキルオキシもしくはアルキルチオで置換されていてもよいアルキルであり;R,R10,およびR11が水素原子であり;RまたはRが以下に示される基:
【化3】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;

mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは請求項1と同意義である)
である、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項15】
式(II):
【化4】

(式中、
1aは、-Z-C(=O)-O-RX15
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルであり;RX10は、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルオキシであり;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)であり;

2aは、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;
-L-は、-(CR3a3b)n-または単結合であり;
3aおよびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルまたは置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;

nは、1~4の整数であり;

環Aは、非芳香族炭素環、芳香族炭素環、非芳香族複素環、または芳香族複素環であり;
12aは、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、炭素環アルキルオキシアルキル、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、またはアルキルスルホニルアミノであり;
tは、0~4の整数であり;

5aおよびR6aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルであり;
5aおよびR6aは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく;

7aは、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルであり;
置換基群A、B、E、およびFは、請求項1と同意義であり;
ただし、(i)
【化5】

であるとき、R7aは、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基であり;
(ii)以下に示される化合物を除く。
【化6】

)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項16】
環Aが、3~5員非芳香族炭素環である、請求項15記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項17】
7aが、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基である、請求項15または16記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項18】
7aが、以下に示される基:
【化7】
(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは請求項1と同意義である)
である、請求項15~17のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項19】
1aが、カルボキシである、請求項15~18のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項20】
化合物II-001、II-002、II-003、III-010、III-013、III-016、III-017、III-021、III-028、III-029、III-031、III-032、III-033、III-034、III-035、およびIII-036から選択される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項21】
請求項15~20のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、医薬組成物。
【請求項22】
請求項15~20のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、アレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項23】
化合物I-004、I-005、I-006、I-019、I-020、I-021、I-022、I-023、I-024、I-025、I-026、I-027、I-028、I-074、I-077、I-078、I-081、II-003、III-013、III-016、III-017、III-021、III-028、III-029、III-031、III-032、III-034、およびIII-036から選択される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、請求項1記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
【請求項24】
請求項1~14、22および23のいずれかに記載のラッサウイルス増殖阻害剤。
【請求項25】
ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ブラジル出血熱、および/またはベネズエラ出血熱の予防および/または治療のための、請求項1~20および23のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレナウイルス増殖阻害活性を示す多環性カルバモイルピリドン誘導体、および/またはアレナウイルス増殖阻害活性を示す多環性カルバモイルピリドン誘導体を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アフリカ大陸、南米大陸を中心に発生しているウイルス出血熱には、エボラウイルス感染症を含むフィロウイルス感染症、クリミアコンゴ出血熱を含むブニヤウイルス感染症、ラッサ熱、南米出血熱を含むアレナウイルス感染症などがある。これらの病原体は、コウモリ、齧歯類動物、ダニなどが保有している人獣共通感染症ウイルスである。齧歯類動物は、人類の生活圏と重なって生息していること、様々な病原体を保有していることから、人類の脅威となる人獣共通感染症の自然宿主となっている。ウイルス出血熱は、ウイルスに自然宿主である齧歯類等と接触すること、ウイルスを媒介する昆虫に刺されることよりウイルスに感染し、体内でのウイルス増殖に伴う炎症反応により血小板が減少し全身の組織から出血、もしくは、多臓器不全状態に陥ることにより死に至る感染症である。致死率は各ウイルスで異なるが、重症化した場合、10~70%の高い致死率を有する。
【0003】
アレナウイルス科のウイルスは、分子遺伝学的に分類されており、アフリカ大陸をはじめとする旧大陸で報告されている旧世界アレナウイルス、および、南アメリカ大陸で南米出血熱の病原体となっている新世界アレナウイルスに大別される(非特許文献1)。旧世界アレナウイルスとしては、ラッサ熱の原因であるラッサウイルスの他に、ルジョウイルス,ルナウイルス,リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV:lymphocytic choriomeningitis virus)(非引用文献2~4)などがある。新世界アレナウイルスとしては、アルゼンチン出血熱の原因であるフニンウイルス、ボリビア出血熱の原因ウイルスであるマチュポウイルス、ブラジル出血熱の原因ウイルスであるサビアウイルス、ベネズエラ出血熱の原因ウイルスであるグアナリトウイルスなどがある。
アレナウイルスの主な感染経路は、ウイルス保有齧歯類の排泄物、唾液、血液との接触である。潜伏期間は1~2週間であり、風邪のような初期症状から、3~4日後には衰弱し、重症例では高熱、出血(吐血、下血)がみられ、致死率は30%を超える。ラッサウイルスの流行地域では毎年数10万人のヒトがラッサウイルスに感染し、多くの患者が発生している。流行地以外の地域で発生したラッサ熱患者も報告されており、その多くはヨーロッパで発生している。その他、米国、日本でも輸入感染例としてのラッサ熱患者が確認されている。ラッサウイルスに対するワクチンは開発されていない。アルゼンチン出血熱の原因であるフニンウイルスは、主に農業従事者を中心に年間数千人の感染者を出していたが、現在では、弱毒化ワクチンの定期接種、農作業の改善により、感染者は減少傾向にある。
これらの感染症に対して、抗ウイルス薬としては、広くウイルスに作用する核酸アナログであるリバビリンが唯一使われている。ラッサ熱発症の発症初期にリバビリンを大量に静脈投与することで、死亡率の改善が報告されているが、他の多くのウイルスでは治療薬もなく、リバビリンの有効性に関しては、未だはっきりした結論は出ていない。また、日本国内では、リバビリンの静脈投与は承認されていない。これらのウイルスに幅広く効果を示す抗ウイルス薬があれば、感染者の治療だけでなく、世界的な大流行の予防の観点からも有用であることから、これらのウイルスに対する治療薬の開発が要望されている。
【0004】
特許文献1~4等には、多環性カルバモイルピリドン誘導体が報告されているが、アレナウイルス増殖阻害活性に関する記載はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2010/147068号
【文献】国際公開第2012/039414号
【文献】国際公開第2016/005330号
【文献】特開2019-59697(JP2019-59697)
【非特許文献】
【0006】
【文献】Veterinary Microbiology.2010、140(3-4):213-220.
【文献】Journal of Virology.2011,85(7),3172-3178.
【文献】Antiviral Research, 2011,92(2),125-138.
【文献】Journal of Virology.2007,81(15),7960-7973.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、抗ウイルス作用、特にアレナウイルスの増殖抑制活性を有する化合物、および/または該化合物を含有する医薬を提供することである。本発明は好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および/または新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)の増殖抑制活性を有する化合物、および/または該化合物を含有する医薬を提供する。より好ましくは、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、および/またはフニンウイルスの増殖抑制活性を有する化合物、および/または該化合物を含有する医薬を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(項目1)
式(I):
【化1】

(式中、
は、-Z-C(=O)-O-RX15
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルであり;RX10は、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルオキシであり;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)であり;

は、CRまたはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;

は、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RZ1)-SO-RZ2
-Z-N(RZ3)-C(=O)-RZ4
-Z-N(RZ5)-C(=O)-O-RZ6
-Z-C(=O)-N(RZ7)(RZ8)、
-Z-N(RZ9)(RZ10)、
-Z-SO-RZ11、または
-Z-N(RZ12)-O-C(=O)-RZ13
(ここで、RZ1、RZ3、RZ4、RZ5、RZ6、RZ7、RZ8、RZ9、RZ10、RZ12、およびRZ13は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z2およびRZ11は、それぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z7およびRZ8は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり;

a)AおよびAは、いずれか一方がCR、ならびに他方がNRであるか、
または
b)AがCR、およびAがCR1011であり、

、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく;

1)AがCR、およびAがNRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、

2)AがNR、およびAがCRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、または

3)AがCR、およびAがCR1011の場合、
およびR10は、一緒になって結合を形成していてもよく、またはRおよびR10は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは
およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよい;

但し、以下のc)ならびにd)である場合を除く
c)R、R、およびRが、いずれも水素原子である場合。
d)R、R、R10、およびR11が、いずれも水素原子である場合。;

置換基群A:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、炭素環アルキルオキシアルキル、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノ;

置換基群B:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロシキアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、炭素環アルキルオキシ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルチオ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルチオ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシアルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシアルキル;

置換基群E:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニル、およびアルキルスルホニル;

置換基群F:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノ)
で示される化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目1’)式(I’’):
【化2】

(式中、
は、カルボキシ、
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX10、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、および置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルからなる置換基群から選ばれ;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)であり;

は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;

は、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RZ1)-SO-RZ2
-Z-N(RZ3)-C(=O)-RZ4
-Z-N(RZ5)-C(=O)-O-RZ6
-Z-C(=O)-N(RZ7)(RZ8)、
-Z-N(RZ9)(RZ10)、
-Z-SO-RZ11、または
-Z-N(RZ12)-O-C(=O)-RZ13
(ここで、RZ1、RZ3、RZ4、RZ5、RZ6、RZ7、RZ8、RZ9、RZ10、RZ12、およびRZ13は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z2およびRZ11は、それぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z7およびRZ8、ならびにRZ9およびRZ10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり;
置換基群A、B、E、およびFは、項目1と同意義であり;

a)AおよびAは、いずれか一方がCR、ならびに他方がNRであるか、
または
b)AがCR、およびAがCR1011であり、

、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよい;

1)AがCR、およびAがNRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、

2)AがNR、およびAがCRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、または

3)AがCR、およびAがCR1011の場合、
およびR10は、一緒になって結合を形成していてもよく、またはRおよびR10は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは
およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよい;

但し、以下のc)ならびにd)である場合を除く
c)R、R、およびRが、いずれも水素原子である場合。
d)R、R、R10、およびR11が、いずれも水素原子である場合。;

で示される化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。

(項目2)a)AおよびAのいずれか一方がCR、ならびに他方がNRであるか、または
b)AがCR、およびAがCR1011であり、

、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよい;
ただし、AがCR、およびAがNRの場合は、項目1記載の1)ではなく、AがNR、およびAがCRの場合、項目1記載の2)ではなく、AがCR、およびAがCR1011の場合、項目1記載の3)ではない、
項目1または1’記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目3)AがCRであり、AがCR1011である、項目1、2または1’記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目4)AがNRであり、AがCRである、項目1、2または1’記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目5)AがCRであり、AがNRである、項目1、2または1’記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【0009】
(項目6)RおよびR11がそれぞれ独立して水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルであり、
およびR10のいずれか一方が、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルであり、ならびに、他方が水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、項目1~3および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目7)RおよびRのいずれか一方が、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルであり、他方が水素原子であり、ならびに
が水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、項目1、2、4、5および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目8)Rが、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルであり、
が水素原子であり、
ならびにRが水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、項目4記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目9)Rがカルボキシである、項目1~8および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目10)Rが水素原子またはアルキルである、項目1~9および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【0010】
(項目11)Rが置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキルである、項目1~10および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目12)Aが、CRである、項目1~11のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目13)AおよびAのいずれか一方がCRであり、他方がNRである場合、RまたはRのいずれかが以下に示される基であり、
がCRであり、AがCR1011である場合は、RまたはR10のいずれかが以下に示される基である:
【化3】
(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;
mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは項目1と同意義である)
項目1~12および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目13’)AおよびAのいずれか一方がCRであり、他方がNRである場合、RまたはRのいずれかが以下に示される基であり、AがCRであり、AがCR1011である場合は、RまたはR10のいずれかが以下に示される基である:
【化4】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、
mは0~7の整数であり、置換基群Aは項目1と同意義である)
項目1~12および1’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目14)Aが、CRであり;Rがカルボキシであり;Rが水素原子であり;Rが置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり;
a)AがNR、AがCRであるか、または
b)AがCR、AがCR1011であり;
およびRがそれぞれ独立して、水素原子、またはアルキルオキシもしくはアルキルチオで置換されていてもよいアルキルであり;R,R10,およびR11が水素原子であり;RまたはRが以下に示される基:
【化5】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;
mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは項目1と同意義である)
である、項目1または1’記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目14’)Aが、CRであり;Rがカルボキシであり;Rが水素原子であり;Rが置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり;
a)AがNR、AがCRであるか、または
b)AがCR、AがCR1011であり;
およびRがそれぞれ独立して、水素原子、またはアルキルオキシもしくはアルキルチオで置換されていてもよいアルキルであり;R,R10,およびR11が水素原子であり;RまたはRが以下に示される基である:
【化6】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、
mは0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは項目1と同意義である)
項目1または1’記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【0011】
(項目15)式(II):
【化7】

(式中、
1aは、-Z-C(=O)-O-RX15
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルであり;RX10は、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルオキシであり;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)であり;

2aは、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;
-L-は、-(CR3a3b)n-または単結合であり;
3aおよびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルまたは置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシであり;

nは、1~4の整数であり;

環Aは、非芳香族炭素環、芳香族炭素環、非芳香族複素環、または芳香族複素環であり;
12aは、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、炭素環アルキルオキシアルキル、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、またはアルキルスルホニルアミノであり;
tは、0~4の整数であり;

5aおよびR6aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルであり;
5aおよびR6aは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく;

7aは、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルであり;
置換基群A、B、E、およびFは、項目1と同意義であり;
ただし、(i)
【化8】

であるとき、R7aは、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基であり;
(ii)以下に示される化合物を除く。
【化9】

)で示される化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩。
(項目16)環Aが、3~5員非芳香族炭素環である、項目15記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩。
(項目17)R7aが、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基である、項目15または16記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩。
(項目18)R7aが、以下に示される基:
【化10】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは項目1と同意義である)
である、項目15~17のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩。
(項目19)R1aが、カルボキシである、項目15~18のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩。
(項目20)化合物II-001、II-002、II-003、III-010、III-013、III-016、III-017、III-021、III-028、III-029、III-031、III-032、III-033、III-034、III-035、およびIII-036から選択される化合物もしくはそのプロドラッグ、もしくはその製薬上許容される塩。
(項目21)項目15~20のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有する、医薬組成物。
(項目21’)項目15~20のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(項目22)項目15~20のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有する、アレナウイルス増殖阻害剤。
【0012】
(項目23)化合物I-004、I-005、I-006、I-019、I-020、I-021、I-022、I-023、I-024、I-025、I-026、I-027、I-028、I-074、I-077、I-078、I-081、II-003、III-013、III-016、III-017、III-021、III-028、III-029、III-031、III-032、III-034、およびIII-036から選択される化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有する、項目1記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目23’)化合物I-004、I-005、I-006、I-019、I-020、I-021、I-022、I-023、I-024、I-025、I-026、I-027、I-028、およびI-081から選択される化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩、を含有する、項目1記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目23’’)項目1~20、22、23、1’、13’、14’、21’および23’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、アレナウイルス増殖阻害剤。
(項目24)項目1~14、22、23、1’、13’、14’、23’、および、23’’のいずれかに記載のラッサウイルス増殖阻害剤。
(項目25)ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ブラジル出血熱、および/またはベネズエラ出血熱の予防および/または治療のための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(項目26)アレナウイルス感染症の予防および/または治療のための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(項目27)ラッサ熱の予防および/または治療のための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【0013】
(項目28)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、アレナウイルス感染症の治療および/または予防方法。
(項目29)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、アレナウイルス増殖阻害方法。
(項目30)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、ラッサウイルス増殖阻害方法。
(項目31)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ブラジル出血熱、またはベネズエラ出血熱の予防および/または治療方法。
(項目32)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、ラッサ熱の予防および/または治療方法。
【0014】
(項目33)アレナウイルス感染症の治療および/または予防剤を製造するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩の使用。
(項目34)アレナウイルス増殖阻害剤を製造するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩の使用。
(項目35)ラッサウイルス増殖阻害剤を製造するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩の使用。
(項目36)ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ブラジル出血熱、および/またはベネズエラ出血熱の治療および/または予防剤を製造するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩の使用。
(項目37)ラッサ熱の治療および/または予防剤を製造するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩の使用。
【0015】
(項目38)アレナウイルス感染症の治療および/または予防に使用するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩。
(項目39)アレナウイルスの増殖阻害に使用するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩。
(項目40)ラッサウイルスの増殖阻害に使用するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩。
(項目41)ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ブラジル出血熱、および/またはベネズエラ出血熱の治療および/または予防に使用するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩。
(項目42)ラッサ熱の治療および/または予防に使用するための、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、および、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩。
【0016】
(項目1A)式(I’’):
【化11】

(式中、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RX1)(RX2)、
-Z-N(RX3)-SO-(RX4)、
-Z-C(=O)-N(RX5)-SO-(RX6)、
-Z-N(RX7)-C(=O)-RX8
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、
-Z-S-RX11
-Z-SO-RX12
-Z-S(=O)-RX13
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
-Z-N(RX16)-C(=O)-N(RX17)(RX18)、
-Z-C(=O)-N(RX19)-C(=O)-N(RX20)(RX21)、
-Z-N(RX22)-C(=O)-C(=O)-RX23
-Z-SO-N(RX24)(RX25)、
-Z-C(=O)-N(RX26)-O-RX27
-Z-N(RX28)-C(=O)-N(RX29)-C(=O)-RX30
-Z-O-N(RX31)-C(=O)-RX32
-Z-C(=O)-N(RX33)-SO-N(RX34)-RX35、または
-Z-N(RX36)-C(=O)-N(RX37)-SO-RX38
(ここで、RX1、RX2、RX3、RX5、RX7、RX8、RX9、RX10、RX11、RX14、RX15、RX16、RX17、RX18、RX19、RX20、RX21、RX22、RX23、RX24、RX25、RX26、RX27、RX28、RX29、RX30、RX31、RX32、RX33、RX34、RX35、RX36、およびRX37は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
X4、RX6、RX12、RX13、およびRX38は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシ、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシからなる置換基群から選ばれ、
X1およびRX2、RX9およびRX10、RX17およびRX18、RX20およびRX21、ならびにRX24およびRX25は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり;

は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RY1)-SO-RY2
-Z-N(RY3)-C(=O)-RY4
-Z-N(RY5)-C(=O)-O-RY6
-Z-C(=O)-N(RY7)(RY8)、
-Z-N(RY9)(RY10)、または
-Z-SO-RY11
(ここで、RY1、RY3、RY4、RY5、RY6、RY7、RY8、RY9、およびRY10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Y2およびRY11は、それぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Y7およびRY8、ならびにRY9およびRY10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり;

は、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RZ1)-SO-RZ2
-Z-N(RZ3)-C(=O)-RZ4
-Z-N(RZ5)-C(=O)-O-RZ6
-Z-C(=O)-N(RZ7)(RZ8)、
-Z-N(RZ9)(RZ10)、
-Z-SO-RZ11、または
-Z-N(RZ12)-O-C(=O)-RZ13
(ここで、RZ1、RZ3、RZ4、RZ5、RZ6、RZ7、RZ8、RZ9、RZ10、RZ12、およびRZ13は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z2およびRZ11は、それぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z7およびRZ8、ならびにRZ9およびRZ10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり;
置換基群A、B、およびFは、項目1と同意義であり;

a)AおよびAは、いずれか一方がCR、ならびに他方がNRであるか、
または
b)AがCR、およびAがCR1011であり、

、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよい;

1)AがCR、およびAがNRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、

2)AがNR、およびAがCRの場合、
およびRは一緒になって結合を形成していてもよく、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは、
とRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、または

3)AがCR、およびAがCR1011の場合、
およびR10は、一緒になって結合を形成していてもよく、またはRおよびR10は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、もしくは
およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよい;

但し、以下のc)ならびにd)である場合を除く
c)R、R、およびRが、いずれも水素原子である場合。
d)R、R、R10、およびR11が、いずれも水素原子である場合。;


で示される化合物、もしくはその製薬上許容される塩を含有するアレナウイルス増殖阻害剤。
【0017】
(項目2A)式(I)が、式(I’):
【化12】

(式中、AがCRであり、A2AがNであるか、AがNRであり、A2AがCRであるか、またはAがCRであり、A2AがCR11であり、環Zは置換基群Bで置換されていてもよい5~8員の複素環であり、その他の記号は項目1Aと同意義である)
で示される項目1A記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目3A)AがCR、AがCR1011である、項目1A記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目4A)AがNR、AがCRである、項目1A記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目5A)AがCR、AがNRである、項目1A記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目6A)RおよびR11がそれぞれ独立して水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルであり、RおよびR10のいずれか一方が、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Fで置換されていてもよい複素環アルキルであり、ならびに、他方が水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、項目1Aまたは3A記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目7A)RおよびR10がそれぞれ独立して水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルであり、RおよびR11が隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成しており、ならびに、Rが、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである、項目1Aまたは3A記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目8A)RおよびRのいずれか一方が、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、他方が水素原子であり、ならびにRが水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである、項目1A、4Aまたは5Aのいずれかに記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目9A)RおよびR、またはRおよびRが、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環である、項目1A、4Aまたは5Aのいずれかに記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目10A)Rがカルボキシである、項目1A~9Aのいずれかに記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目11A)Rが置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、または置換基群Aで置換されていても炭素環オキシアルキルである、項目1A~10Aのいずれかに記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
(項目12A)AおよびAのいずれか一方がCRであり、他方がNRである場合、RまたはRのいずれかが以下に示される基であり、AがCRであり、AがCR1011である場合は、RまたはR10のいずれかが以下に示される基である:
【化13】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、
mは0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは項目1Aと同意義である)
項目1A~11Aのいずれかに記載のアレナウイルス増殖阻害剤。
【0018】
(項目13A)アレナウイルスが旧アレナウイルスである、項目1~14、22、23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~12Aのいずれかに記載のウイルス増殖阻害剤。
(項目14A)アレナウイルスがLCMVである、項目1~14、22、23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~13Aのいずれかに記載のウイルス増殖阻害剤。
(項目15A)アレナウイルスがラッサウイルスである、項目1~14、22、23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~13Aのいずれかに記載のウイルス増殖阻害剤。
(項目16A)アレナウイルスが新アレナウイルスである、項目1~14、22、23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~12Aのいずれかに記載のウイルス増殖阻害剤。
(項目17A)アレナウイルスがフニンウイルスである、項目1~14、22、23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~12Aおよび16Aのいずれかに記載のウイルス増殖阻害剤。
【0019】
(項目101)1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~12Aのいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩を含有する、経口投与のための医薬組成物。
(項目102)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤またはチンキ剤である、項目101記載の医薬組成物。
(項目103)糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、ドライシロップ、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤である、項目102記載の医薬組成物。
(項目104)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~12Aのいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩を含有する、非経口投与のための医薬組成物。
(項目105)経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳または膣内投与のための、項目104記載の医薬組成物。
(項目106)注射剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤または坐剤である、項目104または105記載の医薬組成物。
(項目107)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩を含有する、小児用または高齢者用の医薬組成物。
(項目108)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩と、RNAポリメラーゼ阻害剤および/またはEntry阻害剤との組み合わせを含む医薬組成物。
(項目108’)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩と、RNAポリメラーゼ阻害剤および/またはEntry阻害剤との組み合わせを投与することを含む、アレナウイルス感染症の治療および/または予防方法。
(項目108’’)アレナウイルス感染症の治療および/または予防のための、RNAポリメラーゼ阻害剤および/またはEntry阻害剤と一緒になって使用される、項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩。
RNAポリメラーゼ阻害剤としては、リバビリン(RBV)、ファビピラビル(T-705)等が挙げられる。
Entry阻害剤としては、LHF-535等が挙げられる。
(項目109)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’、および項目1A~12Aのいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩を含有する、RNAポリメラーゼ阻害剤および/またはEntry阻害剤との併用療法のための医薬組成物。
(項目109’’)項目1~23、1’、13’、14’、21’、23’、23’’のいずれかに記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、またはその製薬上許容される塩と一緒になって使用される、RNAポリメラーゼ阻害剤および/またはEntry阻害剤。
(項目110)アレナウイルス感染症の治療および/または予防のための、項目101~109のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る化合物は、アレナウイルスに対する増殖阻害活性を有し、アレナウイルス感染症の治療剤および/または予防剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】化合物I-021、I-078、およびII-003のラッサウイルス増殖抑制効果確認試験(試験例3-2)の試験結果を示す。縦軸はウイルス量(試料100μLあたりのplaque-forming unit(プラーク形成単位))を、横軸は化合物濃度(nM)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は統一した意味で使用し、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定される、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
「置換基群Aで置換されていてもよい」とは、非置換または置換基群Aから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていることを意味する。
「置換基群Bで置換されていてもよい」、「置換基群Cで置換されていてもよい」、「置換基群Dで置換されていてもよい」、「置換基群Eで置換されていてもよい」、「置換基群Fで置換されていてもよい」、および「置換基群Gで置換されていてもよい」についても上記と同様である。
【0023】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を包含する。好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子である。より好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
【0024】
「アルキル」とは、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖又は分枝状のアルキルを包含し、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル及びn-デシル等が挙げられる。「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルが挙げられる。
【0025】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する炭素数2~15、好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖または分枝状のアルケニルを包含する。具体的にはビニル、アリル、プロぺニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等を包含する。「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルが挙げられる。
【0026】
「アルキニル」とは、任意の位置に1以上の三重結合を有する炭素数2~10、好ましくは炭素数2~8、さらに好ましくは炭素数3~6の直鎖又は分枝状のアルキニルを包含する。具体的には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等を包含する。これらはさらに任意の位置に二重結合を有していても良い。「アルキニル」の好ましい態様として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルが挙げられる。
【0027】
「アルキルオキシ」、「アルキルカルボニル」、「アルキルオキシカルボニル」、「炭素環アルキル」、「複素環アルキル」、「炭素環オキシアルキル」、「複素環オキシアルキル」、「ハロゲノアルキル」、「アルキルチオ」、「ヒドロキシアルキル」、「炭素環アルキルオキシ」、「炭素環アルキルオキシアルキル」、「複素環アルキルオキシ」、「複素環アルキルオキシアルキル」、「ハロゲノアルキルオキシ」、「アルキルオキシアルキル」、「アルキルオキシアルキルオキシ」、「アルキルカルボニル」、「アルキルカルボニルオキシ」、「アルキルオキシカルボニル」、「アルキルオキシカルボニルオキシ」、「アルキルアミノ」、「アルキルカルボニルアミノ」、「ハロゲノアルキルカルボニルアミノ」、「アルキルアミノカルボニル」、「アルキルスルホニル」、「アルキルスルフィニル」、および「アルキルスルホニルアミノ」のアルキル部分も上記「アルキル」と同様である。
【0028】
「アルケニルオキシ」の「アルケニル」部分も上記「アルケニル」と同様である。
【0029】
「ハロゲノアルキル」、「ハロゲノアルキルオキシ」、および「ハロゲノアルキルカルボニルアミノ」のハロゲン部分も上記「ハロゲン」と同様である。ここで、それぞれの「アルキル」、「アルキルオキシ」、および「アルキルカルボニルアミノ」のアルキル基上の任意の位置が、同一または異なる1または複数個のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0030】
「炭素環式基」とは、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは4~12の炭素環式基を意味し、「芳香族炭素環式基」および「非芳香族炭素環式基」を包含する。
【0031】
「芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状芳香族炭化水素基を意味する。例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。「芳香族炭素環式基」の好ましい態様としては、フェニルが挙げられる。
【0032】
「非芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。シクロアルキルおよびシクロアルケニルを包含する。2環以上の「非芳香族炭素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化14】

単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3~16が好ましく、より好ましくは炭素数3~12、さらに好ましくは炭素数4~8である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、炭素数8~20が好ましく、より好ましくは炭素数8~16である。例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
「シクロアルキル」とは、炭素数3~16、好ましくは炭素数3~12、より好ましくは炭素数4~8の炭素環式基であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられる。
「シクロアルケニル」とは、上記「シクロアルキル」の環内の任意の位置に1以上の二重結合を有しているものを包含し、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプチニル、シクロオクチニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
【0033】
「炭素環」とは、上記「炭素環式基」から導かれる環を意味する。
「芳香族炭素環」とは、上記「芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
「非芳香族炭素環」とは、上記「非芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0034】
「炭素環アルキル」、「炭素環カルボニル」、「炭素環オキシ」、「炭素環オキシカルボニル」、「炭素環オキシアルキル」、「炭素環アルキルオキシアルキル」、および「炭素環アルキルオキシ」の炭素環部分も上記「炭素環式基」と同様である。
【0035】
「複素環式基」とは、3~20員、好ましくは3~15員、より好ましくは5~15員の、O,SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する環式基を意味し、「芳香族複素環式基」および「非芳香族複素環式基」を包含する。
【0036】
「芳香族複素環式基」とは、O,SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する単環または2環以上の、芳香族環式基を意味する。2環以上の芳香族複素環式基は、単環または2環以上の芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
単環の芳香族複素環式基としては、5~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。
2環の芳香族複素環式基としては、8~10員が好ましく、より好ましくは9員または10員である。例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、チエノピリジン、チエノピロリル、チエノピラゾリル、チエノピラジニル、フロピロリル、チエノチエニル等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環式基としては、例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
【0037】
「非芳香族複素環式基」とは、O,SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、非芳香族環式基を意味する。2環以上の非芳香族複素環式基は、単環または2環以上の非芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」、および/または「芳香族複素環式基」における環が縮合したもの、さらに、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族複素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
さらに、「非芳香族複素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化15】

単環の非芳香族複素環式基としては、3~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。例えば、ジオキサニル、チイラニル、オキシラニル、オキセタニル、オキサチオラニル、アゼチジニル、チアニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキソラニル、ジオキサジニル、アジリジニル、ジオキソリル、オキセパニル、チオラニル、チイニル、チアジニル等が挙げられる。
2環の非芳香族複素環式基としては、8~12員が好ましく、より好ましくは9~12員である。例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾピラニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンズオキサジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキソニル、クロメニル、オクタヒドロクロメニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾオキセジニル、ジヒドロベンゾジオキセピニル、ジヒドロチエノジオキシニル等が挙げられる。
3環の非芳香族複素環式基としては、11~20員が好ましく、より好ましくは13~16員である。例えば、テトラヒドロカルバゾリル、以下に示される基:
【化16】

等が挙げられる。
「複素環式基」の好ましい態様としては、5~6員の単環の芳香族複素環式基、5~7員の単環の非芳香族複素環式基、9~10員の2環の芳香族複素環式基、9~10員の2環の非芳香族複素環式基、13~14員の3環の芳香族複素環式基、13~16員の3環の非芳香族複素環式基等が挙げられる。
【0038】
「複素環」とは、上記「複素環式基」から導かれる環を意味する。
「芳香族複素環」とは、上記「芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
「非芳香族複素環」とは、上記「非芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
【0039】
「複素環アルキル」、「複素環カルボニル」、「複素環オキシ」、「複素環オキシカルボニル」、「複素環オキシアルキル」、「複素環アルキルオキシアルキル」、および「複素環アルキルオキシ」の複素環部分も上記「複素環式基」と同様である。
【0040】
「オキソ置換複素環式基」とは、上記「複素環式基」がオキソで置換されているものを意味する。例えば、以下に示される基:
【化17】

等が挙げられる。
【0041】
「直鎖もしくは分枝状のアルキレン」とは、2価の上記「アルキル」であり、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へプチレン、ジメチルメチレン、エチルメチルメチレン、1,2-ジメチルエチレン等を包含する。
【0042】
「アルキルオキシ」の例として、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、tert-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。好ましい態様としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、tert-ブチルオキシ等が挙げられる。
【0043】
「アルキルカルボニル」の例として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニル等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル等が挙げられる。
【0044】
「アルキルオキシカルボニル」の例として、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、tert-ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、sec-ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、へキシルオキシカルボニル等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニルが挙げられる。
【0045】
「炭素環アルキル」とは、1または2以上の炭素環式基で置換されているアルキルを意味する。「炭素環アルキル」の例として、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピニル、ベンズヒドリル、トリチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、ナフチルメチル、以下に示される基:
【化18】

等が挙げられる。好ましい態様としては、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル等が挙げられる。
【0046】
「複素環アルキル」とは、1または2以上の複素環式基で置換されているアルキルを意味し、アルキル部分は炭素環式基で置換されているものも含む。「複素環アルキル」の例として、ピリジルメチル、テトラヒドロピラニルメチル、フラニルメチル、モルホリニルエチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル、ベンゾチオフェニルメチル、オキサゾリルメチル、イソキサゾリルメチル、チアゾリルメチル、イソチアゾリルメチル、ピラゾリルメチル、イソピラゾリルメチル、ピロリジニルメチル、ベンズオキサゾリルメチル、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル、以下に示される基:
【化19】

等が挙げられる。好ましい態様としては、ピリジルメチル、テトラヒドロピラニルメチル、フラニルメチル、モルホリニルエチルが挙げられる。
【0047】
「炭素環オキシアルキル」の例として、フェニルオキシメチル、フェニルオキシエチル、シクロプロピルオキシメチル、シクロプロピルオキシエチル、シクロブチルオキシメチル、シクロブチルオキシエチル、シクロへキシルオキシメチル、シクロへキシルオキシエチル等が挙げられる。好ましい態様としては、フェニルオキシメチル、フェニルオキシエチルが挙げられる。
【0048】
「複素環オキシアルキル」の例として、ピリジルオキシメチル、ピリジルオキシエチル、モルホリニルオキシメチル、モルホリニルオキシエチル、ベンズオキサゾリルオキシメチル等が挙げられる。好ましい態様としては、ピリジルオキシメチル、モルホリニルオキシメチル等が挙げられる。
【0049】
「炭素環アルキルオキシ」とは、アルキル部分が1または2以上の炭素環式基で置換されているアルキルオキシを示し、「炭素環アルキルオキシ」の例として、フェニルメチルオキシ、フェニルエチルオキシ、シクロプロピルメチルオキシ、シクロブチルメチルオキシ、シクロペンチルメチルオキシ、シクロへキシルメチルオキシ等が挙げられる。好ましい態様としては、フェニルメチルオキシ、シクロプロピルメチルオキシ等が挙げられる。
【0050】
「複素環アルキルオキシ」とは、アルキル部分が1または2以上の複素環式基で置換されているアルキルオキシを示し、アルキル部分は炭素環式基で置換されているものも含む。「複素環アルキルオキシ」の例として、ピリジルメチルオキシ、ピリジルエチルオキシ、イミダゾリルメチルオキシ、イミダゾリルエチルオキシ、ベンズオキサゾリルメチルオキシ、ベンズオキサゾリルエチルオキシ等が挙げられる。
【0051】
「アルキルオキシアルキル」の例として、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、イソプロピルオキシメチル、tert-ブチルオキシメチル等が挙げられる。好ましい態様としては、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル等が挙げられる
【0052】
「アルキルオキシアルキルオキシ」の例として、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ、メトキシプロピルオキシ、メトキシブチルオキシ、エトキシプロピルオキシ、エトキシブチルオキシ、イソプロピルオキシメチルオキシ、tert-ブチルオキシメチルオキシ等が挙げられる。好ましい態様としては、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ等が挙げられる。
【0053】
「アルキルオキシカルボニルオキシ」の例として、メチルオキシカルボニルオキシ、エチルオキシカルボニルオキシ、プロピルオキシカルボニルオキシ、イソプロピルオキシカルボニルオキシ、tert-ブチルオキシカルボニルオキシ、イソブチルオキシカルボニルオキシ、sec-ブチルオキシカルボニルオキシ、ペンチルオキシカルボニルオキシ、イソペンチルオキシカルボニルオキシ、へキシルオキシカルボニルオキシ等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルオキシカルボニルオキシ、エチルオキシカルボニルオキシ、プロピルオキシカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0054】
「アルキルカルボニルオキシ」の例として、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec-ブチルカルボニルオキシ等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0055】
「アルキルアミノ」の例として、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルアミノ、N,N-ジイソプロピルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、N-イソプロピル-N-エチルアミノ等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ等が挙げられる。
【0056】
「アルキルカルボニルアミノ」の例として、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、tert-ブチルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec-ブチルカルボニルアミノ等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0057】
「アルキルアミノカルボニル」の例として、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、N,N-ジイソプロピルアミノカルボニル、N-メチル-N-エチルアミノカルボニル、N-イソプロピル-N-エチルアミノカルボニル等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0058】
「アルキルスルホニル」の例として、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル等が挙げられる。
【0059】
「アルキルスルフィニル」の例として、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等が挙げられる。
【0060】
「アルキルスルホニルアミノ」の例として、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、tert-ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、sec-ブチルスルホニルアミノ等が挙げられる。好ましい態様としては、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ等が挙げられる。
【0061】
「アルケニルオキシ」の例として、エチレニルオキシ、1-プロピレニルオキシ、2-プロピレニルオキシ、1-ブチレニルオキシ、2-ブチレニルオキシ、3-ブチレニルオキシ等が挙げられる。
【0062】
「ハロゲノアルキル」の例として、モノフルオロメチル、モノフルオロエチル、モノフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、モノクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、1,2-ジブロモエチル、1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル等が挙げられる。好ましい態様としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル等が挙げられる。
【0063】
「ハロゲノアルキルオキシ」の例として、モノフルオロメトキシ、モノフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、トリクロロエトキシ等が挙げられる。好ましい態様としては、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ等が挙げられる。
【0064】
「アルキルチオ」の例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等が挙げられる。
【0065】
「ヒドロキシアルキル」の例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0066】
「炭素環アルキルオキシアルキル」の例として、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル、ベンズヒドリルオキシメチル等が挙げられる。
【0067】
「複素環アルキルオキシアルキル」の例として、ピリジルメチルオキシメチル、ピリジルメチルオキシエチル等が挙げられる。
【0068】
「ハロゲノアルキルカルボニルアミノ」の例として、トリフルオロメチルカルボニルアミノ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0069】
「炭素環カルボニル」の例として、フェニルカルボニル、ナフチルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロへキシルカルボニル等が挙げられる。
【0070】
「炭素環オキシ」の例として、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロへキシルオキシ等が挙げられる。
【0071】
「炭素環オキシカルボニル」の例として、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロへキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0072】
「複素環カルボニル」の例として、ピリジルカルボニル、ベンズオキサゾリルカルボニル、モルホリニルカルボニル、テトラヒドロピラニルカルボニル等が挙げられる。
【0073】
「複素環オキシ」の例として、ピリジルオキシ、ベンズオキサゾリルオキシ、モルホリニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ等が挙げられる。
【0074】
「複素環オキシカルボニル」の例として、ピリジルオキシカルボニル、ベンズオキサゾリルオキシカルボニル、モルホリニルオキシカルボニル、テトラヒドロピラニルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0075】
置換基群Aとは、以下に示される基である。
ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、炭素環アルキルオキシアルキル、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノ。
置換基群Aにおける好ましい態様としては、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、アルキルオキシ、炭素環式基、複素環式基、および炭素環アルキルチオが挙げられる。
【0076】
置換基群Bとは、以下に示される基である。
ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、ヒドロシキアルキル、カルボキシアルキル、炭素環アルキルオキシ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルチオ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルチオ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルオキシアルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルオキシアルキル。
置換基群Bにおける好ましい態様としては、ハロゲン、アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルチオが挙げられる。ここで、置換基群Bにおける置換基群Aの好ましい態様としては、ハロゲン、アルキル、アルキルオキシ、ハロゲノアルキル、アルキルチオ等が挙げられる。
【0077】
置換基群Eとは、以下に示される基である。
アルキル、ハロゲノアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、およびアルキルスルホニル。
置換基群Eの好ましい態様としては、アルキル等が挙げられる。
【0078】
置換基群Fとは、以下に示される基である。
ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、アミノ、オキソ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノ。
置換基群Fの好ましい態様としては、ハロゲン、カルボキシ、アルキルオキシ、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキルチオ等が挙げられる。
【0079】
「RX1およびRX2、RX9およびRX10、RX17およびRX18、RX20およびRX21、ならびにRX24およびRX25は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく」、「RY7およびRY8、ならびにRY9およびRY10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく」、「RZ7およびRZ8、ならびにRZ9およびRZ10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく」、および「RV5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく」とは、N原子を有する複素環を意味し、例えば、以下に示す基:
【化20】

等を包含する。
【0080】
本明細書中、以下に示される式:
【化21】

における、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~7の整数であり、好ましくは0~6の整数であり、より好ましくは0~4の整数であり、特に好ましくは0~2の整数である。m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、好ましくは0~2の整数である。
例えば、以下の式:
【化22】

において、以下に示される置換基
【化23】

(式中、ma+mb+mc=mであり、RE6は項目11と同意義である)
に示されるように、置換基RE6が2個のベンゼン環上および硫黄原子を含有する7員環が有するいずれかの水素原子が、RE6で置き換わってもよいことを意味し、それぞれのRE6は、同一でも異なっていても良い。
maは0~3の整数が好ましく、mbは0~3の整数が好ましく、およびmcは0もしくは1の整数が好ましい。maは0もしくは2の整数がより好ましく、mbは0もしくは1の整数がより好ましく、およびmcは0がより好ましい。
例えば、以下の式:
【化24】

において、以下に示される置換基
【化25】

(式中、RE6は項目11と同意義である)
等を包含する。
【0081】
「RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-1’)または(I-2’):
【化26】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい炭素環または置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていても良い複素環である。該炭素環または該複素環は好ましくは5~12員環である。「該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-1’)または式(I-2’)における環がさらに縮環している場合、架橋構造を有している場合、および縮合環部分に架橋構造を有している場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-1’)または式(I-2’)における環、該環に縮環している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-1’)または式(I-2’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化27】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R、R,RおよびRは項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0082】
「RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-3’):
【化28】

(式中、R,R,R,R10,およびR11は項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい炭素環または置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていても良い複素環である。該炭素環または該複素環は好ましくは5~12員環である。「該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-3’)における環がさらに縮環している場合、架橋構造を有している場合、および縮合環部分に架橋構造を有している場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-3’)における環、該環に縮環している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-3’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化29】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R、R,R、R10、およびR11は項目1と同意義である。)等が挙げられる。
【0083】
「R10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式:
【化30】

(式中、R、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい炭素環または置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていても良い複素環である。該炭素環または該複素環は好ましくは5~12員環である。「該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-4’)における環がさらに縮環している場合、架橋構造を有している場合、および縮合環部分に架橋構造を有している場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-4’)における環、該環に縮環している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-4’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化31】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R、R,R、R、およびRは項目1と同意義である。)等が挙げられる。
【0084】
「1)AがCR、およびAがNRの場合、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式(1-5’):
【化32】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。また、「該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-5’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-5’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-5’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化33】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0085】
「AがCR、およびAがNRの場合、RおよびRは隣接する原子を一緒になって結合を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-6’):
【化34】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味する。
【0086】
「AがCR、およびAがNRの場合、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-7’):
【化35】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。また、「該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-7’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-7’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-7’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化36】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0087】
「AがNR、およびAがCRの場合、RおよびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式(1-8’):
【化37】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。また、「該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-8’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-8’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-8’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化38】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0088】
「AがNR、およびAがCRの場合、RおよびRは隣接する原子を一緒になって結合を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-9’):
【化39】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味する。
【0089】
「AがNR、およびAがCRの場合、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-10’):
【化40】

(式中、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。また、「該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-10’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-10’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルケニレンが好ましい。
式(I-10’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化41】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R,R,R,およびRは項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0090】
「AがCR、およびAがCR1011の場合、RおよびR10は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-11’):
【化42】

(式中、R,R,R,R、およびR11は項目1と同意義である)を意味し、環とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。また、「該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-11’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-11’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよいアルケニレンが好ましい。
式(I-11’)の例として、以下の式に示す化合物:
【化43】

(式中、Rは、置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R,R,R,R,およびR11は項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0091】
「AがCR、およびAがCR1011の場合、RおよびR10は、隣接する原子と一緒になって結合を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-12’):
【化44】

(式中、R,R,R,R、およびR11は項目1と同意義である)を意味する。
「AがCR、およびAがCR1011の場合、RおよびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく」とは、以下に示す式(I-13’):
【化45】

(式中、R,R,R,R,およびR10は項目1と同意義である)を意味し、環とは、環とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。また、「該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく」とは、式(I-13’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I-13’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよいアルケニレンが好ましい。
式(I-13’)の例をして、以下に示す化合物:
【化46】

(式中、Rは置換基群Bから選択される置換基であり、nは0~4の整数であり、R,R,R,R,およびR10は項目1と同意義である)等が挙げられる。
【0092】
「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環」、「置換基群Bで置換されていてもよい複素環」、ならびに、式(I-1’)~(I-5’)、(I-7’)、(I-8’)、(I-10’)、(I-11’)、および(I-13’)の「環」における好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、炭素環アルキルオキシ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである。より好ましくは、非置換、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、ハロゲノアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである。さらに好ましくは、非置換、ハロゲン、アルキル、ハロゲノアルキル、置換基群Cで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Cで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Cで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Cで置換されていてもよい複素環アルキルである。
ここで、置換基群Cとは、ハロゲン、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキル、複素環アルキル、炭素環アルキルオキシ、および複素環アルキルオキシからなる群である。
【0093】
は、水素原子または置換基群Bから選択される置換基である。好ましいRとしては、水素原子、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、炭素環アルキルオキシ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである。より好ましくは、水素原子、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、ハロゲノアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである。さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン、アルキル、ハロゲノアルキル、置換基群Cで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Cで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Cで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Cで置換されていてもよい複素環アルキルである。
nは0~4の整数であり、好ましくは、0~2の整数である。
【0094】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルキル」および「置換基群Dで置換されていてもよいアルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンタン-2-イル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、エトキシカルボニルプロピル、シアノメチル、シアノエチル、フルオロメチル、フルオロエチル、フルオロプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、エチルオキシカルボニルエチル、メトキシメチル、ジメトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシメチル、プロピルオキシメチル、アミノプロピル、ジメチルアミノメチル、アミノメチル、アミノエチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、シクロプロピルメチルオキシメチル、メチルスルホニルアミノメチル、メチルアミノカルボニルエチル、1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル、1,1-ジフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、トリフルオロメチルオキシエチル、トリフルオロメチルカルボニルアミノメチル、メチルスルホニルエチル、メチルカルボニルオキシエチル、ならびに以下に示される基:
【化47】

等が挙げられる。
【0095】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル」および「置換基群Cで置換されていてもよいアルケニル」の例としては、エチレニル、3-メチルブテン-2-イル、カルボキシエチレニル、ヒドロキシエチレニル、ジフルオロエチレニル、1-プロペン-2-イル等が挙げられる。
【0096】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル」および「置換基群Cで置換されていてもよいアルキニル」の例としては、1-プロピニル、1-ブチニル、3,3,3-トリフルオロメチルプロピニル、3-ヒドロキシ-プロピニル等が挙げられる。
【0097】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ」の例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、ヒドロキシメチルオキシ、ヒドロキシエチルオキシ、カルボキシメチルオキシ、カルボキシエチルオキシ等が挙げられる。
【0098】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ」の例としては、3-フルオロ1-プロペニルオキシ、エチレニル、カルボキシエチレニル、ヒドロキシエチレニルオキシ、ジフルオロエチレニルオキシ等が挙げられる。
【0099】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル」の例としては、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ヒドロキシメチルカルボニル、ヒドロキシエチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、2,2,2-トリフルオロメチルカルボニル、カルボキシメチルカルボニル等が挙げられる。
【0100】
「置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル」の例としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、トリフルオロメチルオキシカルボニル、トリクロロメチルオキシカルボニル、ヒドロキシメチルオキシカルボニル、ヒドロキシエチルオキシカルボニル、カルボキシメチルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0101】
「置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基」および「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基」の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、アダマンチル、1-ヒドロキシアダマンチル、2-ヒドロキシアダマンチル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-クロロフェニル、4-フルオロフェニル、2-シアノフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロブタニル、ジフルオロシクロヘキシル、ならびに以下に示される基:
【化48】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される置換基を表し、mは0~7の整数であり、RE6が複数存在する場合、該RE6は同一でも異なっていてもよい)等が挙げられる。
、R、R、R、R、R10、R11、およびR7aにおける「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基」の好ましい例としては、以下に示される基:
【化49】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、好ましくは、ハロゲンまたはアルキルであり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり、好ましくはハロゲンである)
が挙げられる。
【0102】
「置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル」および「置換基群Bで置換されていても炭素環アルキル」の例としては、シクロプロピルメチル、4-ヒドロキシベンジル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、2-アミノベンジル、2-シアノベンジル、2-フルオロベンジル、4-フルオロベンジル、2-トリフルオロメチルベンジル、1,3,5-トリフルオロベンジル、3,4,5-トリフルオロベンジル、4-メトキシベンジル、2,4-ジフルオロベンジル、2-フルオロ-3-クロロベンジル、ベンズヒドリル、4-フェニルベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、4-メチルカルボニルアミノベンジル、3,4-ジクロロベンジル、4-クロロ-2-フルオロベンジル、3,5-ジヒドロキシベンジル、ならびに以下に示す基:
【化50】

等が挙げられる。
【0103】
「置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル」および「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル」の例としては、4-ヒドロキシフェニルオキシメチル、4-ヒドロキシフェニルオキシエチル、シクロプロピルオキシメチル、シクロペンチルオキシメチル、4-フルオロフェニルオキシメチル、4-フルオロフェニルオキシエチル、4-トリフルオロメチルフェニルオキシメチル、4-トリフルオロメチルフェニルオキシエチル、4-メトキシフェニルオキシメチル、4-メトキシフェニルオキシエチル等が挙げられる。
【0104】
「置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル」および「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル」の例としては、フェニルカルボニル、4-フルオロフェニルカルボニル、4-トリフルオロメチルフェニルカルボニル、4-メトキシフェニルカルボニル、シクロプロピルカルボニル等が挙げられる。
【0105】
「置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ」および「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシ」の例としては、フェニルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、4-フルオロフェニルオキシ、4-トリフルオロメチルフェニルオキシ、4-メトキシフェニルオキシ等が挙げられる。
【0106】
「置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル」および「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル」の例としては、フェニルオキシカルボニル、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、4-フルオロフェニルオキシカルボニル、4-トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル、4-メトキシフェニルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0107】
「置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基」および「置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基」の例としては、ピリミジニル、ピリジル、ベンズオキサゾリル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、フリル、チオフェニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、メチルピロリジニル、イソプロピルピロリジニル、メチルスルホニルピロリジニル、ヒドロキシエチルピロリジニル、メチルピペリジニル、メチルピペラジニル、テトラヒドロフリル、ならびに以下に示す基:
【化51】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される置換基を表し、mは0~7の整数であり、RE6が複数存在する場合は、該RE6は同一でも異なっていてもよい)等が挙げられる。
【0108】
「置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル」および「置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル」の例としては、テトラヒドロピラニルメチル、ピリジルメチル、イソキサゾリルメチル、5-メチル-イソキサゾリルメチル、3-メチル-オキサジアゾリルメチル、インドリルメチル、ベンゾチオフェニルメチル、5-クロロベンゾチオフェニルメチル、チアゾリルメチル、2-メチルチアゾリルメチル、ピラゾリルメチル、2-メチルピラゾリルメチル、ジチオフェニルメチル、テトラゾリルメチル、キナゾリルメチル、ならびに以下に示す基:
【化52】

等が挙げられる。
【0109】
「置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル」および「置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル」の例としては、テトラヒドロピラニルオキシメチル、ピリジルオキシメチル、イソキサゾリルオキシメチル、5-メチル-イソキサゾリルオキシメチル、インドリルオキシメチル、ベンゾチオフェニルオキシメチル、5-クロロベンゾチオフェニルオキシメチル、チアゾリルオキシメチル、2-メチルチアゾリルオキシメチル、ピラゾリルオキシメチル、2-メチルピラゾリルオキシメチル等が挙げられる。
【0110】
「置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル」および「置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル」の例としては、テトラヒドロピラニルカルボニル、ピリジルカルボニル、イソキサゾリルカルボニル、5-メチル-イソキサゾリルカルボニル、インドリルカルボニル、ベンゾチオフェニルカルボニル、5-クロロベンゾチオフェニルカルボニル、チアゾリルカルボニル、2-メチルチアゾリルカルボニル、ピラゾリルカルボニル、2-メチルピラゾリルカルボニル等が挙げられる。
【0111】
「置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ」および「置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシ」の例としては、テトラヒドロピラニルオキシ、ピリジルオキシ、イソキサゾリルオキシ、5-メチル-イソキサゾリルオキシ、インドリルオキシ、ベンゾチオフェニルオキシ、5-クロロベンゾチオフェニルオキシ、チアゾリルオキシ、2-メチルチアゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、2-メチルピラゾリルオキシ等が挙げられる。
【0112】
「置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル」および「置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル」の例としては、テトラヒドロピラニルオキシカルボニル、ピリジルオキシカルボニル、イソキサゾリルオキシカルボニル、5-メチル-イソキサゾリルオキシカルボニル、インドリルオキシカルボニル、ベンゾチオフェニルオキシカルボニル、5-クロロベンゾチオフェニルオキシカルボニル、チアゾリルオキシカルボニル、2-メチルチアゾリルオキシカルボニル、ピラゾリルオキシカルボニル、2-メチルピラゾリルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0113】
「置換基群Bで置換されていてもよい炭素環」の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、モノフルオロシクロプロパン、ジフルオロシクロプロパン、ヒドロキシシクロヘキサン、シクロペンタノン、ベンゼン、4-クロロベンゼン、2-メチルベンゼン、ナフタレン、フルオレン、スベラン等が挙げられる。
【0114】
「置換基群Bで置換されていてもよい複素環」の例としては、アゼチジン、フラン、チオフェン、オキサゾール、アミノオキサゾール、チアゾール、モルホリン、フルオロモルホリン、キヌクリジン、ピロリジン、メチルピペリジン、メチルピペラジン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ヒドロキシピリジン、ピリミジン、フルオロピリミジン、クマリン、ヒドロキシクマリン、キノリン、フルオロキノリン、ジヒドロジベンゾチエピン等が挙げられる。
【0115】
式(I)、式(I’)、式(I’’)、および式(IA)の各置換基の好ましい態様を以下に示す。式(I)、式(I’)、式(I’’)、または式(IA)で示される化合物もしくはそのプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、好ましくは式(I)、式(I’’)、または式(IA)で示される化合物またはその製薬上許容される塩としては、各置換基の態様の取りうる全ての組み合わせが例示される。
は、-Z-C(=O)-O-RX15
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルであり;RX10は、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルオキシであり;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)である。
別の態様として、Rは、カルボキシ、
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX10、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、および置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルからなる置換基群から選ばれ;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)である。
は、好ましくは、カルボキシ、-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または-N(RX14)-C(=O)-O-RX15である。より好ましくは、カルボキシである。

X9、RX10、RX14、およびRX15は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルである。より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子またはアルキルである。
は好ましくは単結合である。
「置換基群Eで置換されていてもよいアルキル」、「置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル」、および「置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル」における好ましい置換基の態様としては、非置換またはハロゲン等が挙げられる。より好ましくは、非置換である。
【0116】
およびR1aの別の態様としては、カルボキシまたはカルボキシのバイオアイソスターが挙げられる。本明細書で用いる「バイオアイソスター」とは、類似する生物学的特性をもたらす化学的および物理的類似性を有する基を意味する。したがって、「カルボキシのバイオアイソスター」は、カルボキシ基によってもたらされる生物学的特性と類似する生物学的特性を有する任意の基を意味する。具体的には、カルボキシ基と化学構造が比較的近似し、かつ酸性度、水溶性、および/または体内動態等の物性面でカルボキシ基とほぼ同等の傾向が期待され、かつ酸性プロトンを有する基を意味する。該酸性プロトン部分は、塩(例:アルカリ金属塩(例:Na塩))を形成していてもよい。それらは例えば、J.Med.Chem.1992,35,1176-1183、 J.Med. Chem. 1993, 36, 2485-2493、 J.Med. Chem. 1992, 35, 3691-3698、 J.Med. Chem. 1995, 38, 617-628、 Med. Res. Rev. 1983, 3, 91-118、 J.Med. Chem. 2001, 44, 1560-1563、 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, Vol.4, No.1, 41-44, 1994、J.Med. Chem. 2006, 59, 3183-3203等に紹介されている。好ましくは、以下からなる群:-SO 、-SO-N-R13、-PO-(OR13)、-PO -(OR13)、-N-CO-R13、-CO-N-OR13、-CO-NH-N-SO-R13、-CO-N-SO-R13、-CO-CH=C(O)-R13、-N-SO-R13、-CO-N-SO-R13、-N-SO-R13、-CO-N-CO-R13、-CO-N-SO-R13、-N-CO-R13、および以下で示される基:
【化53】
【化54】
【化55】

(ここで、R13は水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよいアミノ、アルケニルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、シアノ、ニトロ、イミノ、メルカプト、アルキルチオ、アルキルスルホニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ複素環式基および-CO17からなら群から選択され、ここでR17は水素原子、アルキルまたはアルケニルであり、R14は電子吸引性を有する基である)から選択される。より好ましくは、
【化56】

である。
【0117】
14は電子吸引性を有する基であれば、特に限定はないが、好ましい例として、フッ素、-CHF、-CF、-CONH、-CN、-C=N-OH、-SOCHまたは-SONHなどが挙げられる。
【0118】
は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシである。Rは好ましくは水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルであり、より好ましくは水素原子またはアルキルである。さらに好ましくは、水素原子である。
における「置換基群Fで置換されていてもよい」の好ましい置換基の態様としては、非置換またはハロゲン等が挙げられる。より好ましくは、非置換である。
【0119】
は、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシ、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-N(RZ1)-SO-RZ2
-Z-N(RZ3)-C(=O)-RZ4
-Z-N(RZ5)-C(=O)-O-RZ6
-Z-C(=O)-N(RZ7)(RZ8)、
-Z-N(RZ9)(RZ10)、
-Z-SO-RZ11、または
-Z-N(RZ12)-O-C(=O)-RZ13
(ここで、RZ1、RZ3、RZ4、RZ5、RZ6、RZ7、RZ8、RZ9、RZ10、RZ12、およびRZ13は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z2およびRZ11は、それぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
Z7およびRZ8、ならびにRZ9およびRZ10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)である。
は好ましくは、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、または、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである。より好ましくは、水素原子、アルキル、置換アルキル(置換基:ハロゲン、カルボキシ、アルキルオキシ)、アルケニル、アルキニル、炭素環式基、置換炭素環式基(置換基:ハロゲン)、炭素環アルキル、置換炭素環アルキル(置換基:ハロゲン)、炭素環オキシアルキル、置換炭素環オキシアルキル(置換基:ハロゲン)、複素環アルキル、または置換複素環アルキル(置換基:アルキル)である。
は、特に好ましくは、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル(置換基:ハロゲン、カルボキシ、アルキルオキシ)、3員~6員炭素環式基、置換3員~6員炭素環式基(置換基:ハロゲン、アルキルオキシ)、3員~6員炭素環アルキル、3員~6員置換炭素環アルキル(該炭素環上の置換基:ハロゲン、アルキルオキシ)、3員~6員複素環アルキル、または置換3員~6員複素環アルキル(該複素環上の置換基:アルキル)である。
は、特に好ましくは、以下に示される基:
【化57】

である。Rにおける「置換基群Aで置換されていてもよい」の好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、アルキルオキシ等が挙げられる。
における「置換基群Fで置換されていてもよい」の好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、カルボキシ、アルキルオキシ等が挙げられる。
【0120】
の別の好ましい態様としては、式(I)におけるAとRの隣接する窒素原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成する。該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよい。「式(I)におけるAとRの隣接する窒素原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成する」とは、以下に示される式(I’):
【化58】

(式中、A2AはN,CR,またはCR11であり、環Zは置換基群Bで置換されていてもよい複素環であり、R,R,およびAは項目1と同意義である)を意味し、「置換基群Bで置換されていてもよい複素環」とは、置換基群Bから選択される1または2以上の同一または異なる置換基で任意の位置で置換されていてもよい複素環である。該複素環は好ましくは5~12員環である。より好ましくは5~8員環である。また、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、すなわち、式(I’)における環がさらに縮環している場合、スピロ環を形成する場合、および該環、縮合している環および/またはスピロ環に架橋構造を有する場合等を包含する。置換基群Bは、上記式(I’)における環、該環に縮環している環、スピロ環を形成している環、および該環の架橋構造部分のいずかにも結合していてもよいことを示す。該架橋構造は、任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいても良いアルキレンまたは任意の位置にO、N、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよいアルケニレンが好ましい。
環Zの好ましい態様は、置換基群Bで置換されていてもよい5~8員の非芳香族複素環式基である。より好ましい態様は、置換基群Bで置換されていてもよい1個の窒素原子および1個の酸素原子を含む5~8員の非芳香族複素環または、置換基群Bで置換されていても良い2個の窒素原子を含む5~8員の非芳香族複素環である。さらに好ましい例としては、モルホリン、1,3-オキサジナン、ヘキサヒドロピリダジン、イミダゾリジン、1,3-ジアゼパン、ヘキサヒドロピリミジン、ヘキサヒドロピラジン等が挙げられる。
【0121】
の別の好ましい態様としては、AがCR、およびAがNRのとき、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成する場合や、
がNR、およびAがCRのとき、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成する場合、または
がCR、およびAがCR1011のとき、RおよびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成する場合が挙げられる。具体的には、以下に示される式:
【化59】

(式中、環とは置換基群Bで置換されていてもよい複素環であり、該複素環は縮合環および/またはスピロ環および/または架橋構造を形成していてもよく、R,R,R,R,R、R,R、およびR10は項目1と同意義である)等が挙げられる。
式(I-7')における環の好ましい態様としては、置換基群Bで置換されていても良い2個の窒素原子を含む5~8員の非芳香族複素環である。より好ましい例としては、ピラゾリジン、ヘキサヒドロピリダジン、1,2-ジアゼパン等が挙げられる。式(I-10')および(I-13’)における環の好ましい態様としては、置換基群Bで置換されていてもよい1個の窒素原子および1個の酸素原子を含む5~8員の非芳香族複素環または、置換基群Bで置換されていても良い2個の窒素原子を含む5~8員の非芳香族複素環である。より好ましい例としては、1,3-オキサジナン、モルホリン、イミダゾリジン、1,3-ジアゼパン、ヘキサヒドロピリミジン、ヘキサヒドロピラジン等が挙げられる。
【0122】
,R,R,R,R,R10,およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環カルボニル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル、
-Z-S-RV1
-Z-S(=O)-RV2
-Z-SO-RV3
-C(=O)-C(=O)-RV4
-C(=O)-N(RV5)(RV6
-Z-N(RV7)-C(=O)-O-RV8、または
-Z-N(RV9)-C(=O)-RV10
(ここで、RV1、RV4、RV5、RV6、RV7、RV8、RV9、およびRV10は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V2およびRV3はそれぞれ独立して、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、および置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルからなる置換基群から選ばれ、
V5およびRV6は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよく、ならびに
は、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンである)であり、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
およびRは、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよく、
10およびR11は、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は縮合環および/または架橋構造を形成していてもよい。
,R,R,R,R,R10,およびR11は、好ましくは、それぞれ独立して、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキルである。より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル、置換アルキル(置換基:アルキルチオ、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキルチオ)、炭素環式基、置換炭素環式基(置換基:ハロゲン、アルキル)、炭素環アルキル、置換炭素環アルキル(置換基:ハロゲン、アルキルチオ、炭素環式基、炭素環アルキルチオ)、複素環式基、置換複素環式基(置換基:ハロゲン)、複素環アルキル、または置換複素環アルキル(置換基:アルキルオキシで置換された炭素環式基)である。
,R,R,R,R,R10,およびR11における「置換基群Fで置換されていてもよい」の好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、アルキルチオ、アルキルオキシ、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキルチオ等が挙げられる。R,R,R,R,R,R10,およびR11における「置換基群Bで置換されていてもよい」の好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、アルキル、アルキルチオ、炭素環式基、炭素環アルキルチオ、アルキルオキシで置換されていてもよい炭素環式基等が挙げられる。
【0123】
における好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、ヒドロキシアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環オキシアルキル、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル等が挙げられる。より好ましい置換基の態様としては、非置換、水素原子、ハロゲノ、アルキル、およびハロゲノアルキルである。さらに好ましい置換基の態様としては、非置換またはアルキルである。
【0124】
における好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、およびアルキルオキシアルキルである。より好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン等が挙げられる。さらに好ましい置換基としては、非置換である。
【0125】
における好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、およびアルキルスルホニルアミノである。より好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、ハロゲノアルキル、およびアルキルオキシである。
【0126】
、R、R、R、R、R10、およびR11における好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ等が挙げられる。より好ましい置換基の態様としては、非置換、ハロゲン、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、炭素環式基、炭素環アルキルチオ、アルキルオキシで置換されていてもよい炭素環式基等が挙げられる。
【0127】
1)AがCR、およびAがNRの場合の好ましい態様として、
、R,およびRがそれぞれ独立して水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、もしくは置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルである場合、または
およびRがそれぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキルであり、かつ、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していている場合が挙げられる。
【0128】
2)AがNR、およびAがCRの場合の好ましい態様として、
、R,およびRがそれぞれ独立して水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである場合、または
およびRがそれぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、かつ、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していている場合が挙げられる。
より好ましい態様として、Rが水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、かつ、RおよびRがそれぞれ独立して、水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである場合、または、Rが水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、Rが水素原子であり、かつ、RとRは隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していている場合が挙げられる。
さらに好ましい態様として、Rが水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、かつ、RおよびRがそれぞれ独立して、水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである場合が挙げられる。
【0129】
3)AがCR、およびAがCR1011の場合の好ましい態様として、
、R,R10,およびR11がそれぞれ独立して水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである場合、または
、RおよびR10がそれぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、かつ、RおよびR11が、隣接する原子と一緒になって置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成している場合が挙げられる。
より好ましい態様としては、R、R,R10,およびR11がそれぞれ独立して水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである場合が挙げられる。
さらに好ましい態様としては、RおよびRがそれぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルであり、かつR10およびR11が水素原子である場合が挙げられる。
【0130】
およびAのいずれか一方がCRであり、他方がNRである場合、
がNRであり、AがCRである場合がより好ましい。
【0131】
およびAのいずれか一方がCRであり、他方がNRである場合、
またはRの少なくともいずれか一方が水素であるものが好ましい。より好ましい態様は、Rが水素原子、およびRが水素原子である。この場合、Rは水素原子ではない。
【0132】
の好ましい態様は、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである。
【0133】
のより好ましい態様は、アルキル、置換アルキル(置換基:炭素環式基)、炭素環式基、置換炭素環式基(置換基:ハロゲン、アルキル)、炭素環アルキル、置換炭素環アルキル(置換基:ハロゲン、アルキル、炭素環式基)、複素環式基、置換複素環式基(置換基:ハロゲン)、複素環アルキル、置換複素環アルキル(置換基:アルキルオキシで置換されていてもよい炭素環式基)である。さらに好ましい態様としては、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキル、置換炭素環アルキル(置換基:炭素環式基)である。
【0134】
の別の好ましい態様としては、ベンジル、ベンズヒドリル、2-フルオロベンジル、4-フルオロベンジル、p-メトキシベンジル、m-フェニルベンジル、p-フェニルベンジル、ならびに以下の基:
【化60】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;
mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは前記と同意義である)が挙げられる。
【0135】
の別の好ましい態様としては、ベンジル、ベンズヒドリル、2-フルオロベンジル、4-フルオロベンジル、p-メトキシベンジル、m-フェニルベンジル、p-フェニルベンジル、ならびに以下の基:
【化61】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である。m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)が挙げられる。
【0136】
のさらに好ましい態様は、ベンジル、ベンズヒドリル、2-フルオロベンジル、4-フルオロベンジル、p-メトキシベンジル、m-フェニルベンジル、p-フェニルベンジル、ならびに以下の基:
【化62】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である)である。
【0137】
の別の好ましい態様としては、以下の基:
【化63】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である。m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)である。
【0138】
の特に好ましい態様は、ベンジル、ベンズヒドリル、m-フェニルベンジル、p-フェニルベンジル、ならびに以下の基:
【化64】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である)
である。
【0139】
の別の好ましい態様としては、以下の基:
【化65】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である。m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)である。
【0140】
がCR、およびAがCR1011の場合、RおよびR11は水素が好ましい。RおよびR10の好ましい態様は、いずれか一方が水素である。RおよびR11が水素であり、かつRおよびR10のいずれか一方が水素である場合の、RおよびR10の他方の好ましい態様は、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルである
より好ましい態様は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、非芳香族縮合炭素環式基、ヘテロアリール、非芳香族複素環式基、2環の縮合複素環式基、3環の縮合複素環式基、1または2の炭素環式基で置換されているアルキル、1または2の複素環式基で置換されているアルキルである。
【0141】
およびR10のいずれか一方が水素である場合の、RおよびR10の他方の好ましい態様は、ベンジル、ベンズヒドリル、2-フルオロベンジル、4-フルオロベンジル、p-メトキシベンジル、m-フェニルベンジル、p-フェニルベンジル、ならびに以下の基:
【化66】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~7の整数である)である。
【0142】
およびR10のいずれか一方が水素である場合の、RおよびR10の他方の別の好ましい態様は、以下の基:
【化67】

(RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である。m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)である。
【0143】
およびR10のいずれか一方が水素である場合の、RおよびR10の他方のより好ましい態様は、ベンジル、ベンズヒドリル、m-フェニルベンジル、p-フェニルベンジル、ならびに以下の基:
【化68】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~7の整数である)である。
【0144】
およびR10のいずれか一方が水素である場合の、RおよびR10の他方の別の好ましい態様は、以下の基:
【化69】

(式中、RE6はそれぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり、置換基群Aは前記と同意義である。mは0~4の整数である。m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)である。
【0145】
E6の好ましい例として、それぞれ独立して、ハロゲン、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ等が挙げられる。
E6のより好ましい例として、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルキルオキシ等が挙げられる。
E6のさらに好ましい例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ、メチル、ヒドロキシメチル、イソプロピル、メトキシ、トリフルオロメチル、オキソ、カルボキシ等が挙げられる。
mの好ましい態様は、0~6の整数であり、より好ましくは0~4の整数であり、さらに好ましくは0~2の整数である。
【0146】
式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩の別の好ましい態様を以下に示す。
式(IA):
【化70】

(式中、各記号は前記と同意義)で示される化合物、で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
式(IA)の好ましい態様としては、
が、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル(置換基:ハロゲン、カルボキシ、アルキルオキシ)、3員~6員炭素環式基、置換3員~6員炭素環式基(置換基:ハロゲン、アルキルオキシ)、3員~6員炭素環アルキル、3員~6員置換炭素環アルキル(該炭素環上の置換基:ハロゲン、アルキルオキシ)、3員~6員複素環アルキル、または置換3員~6員複素環アルキル(該複素環上の置換基:アルキル)であり;
が、水素原子であり;
が、以下に示される基:
【化71】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基(好ましくはハロゲン、アルキルまたはフェニル)であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲンであり;mは、それぞれ独立して、0~4の整数であり;m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である)である。
【0147】
式(IA)の別の好ましい態様としては、
が、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、3員~6員炭素環式基、置換3員~6員炭素環式基(置換基:ハロゲン、アルキルオキシ)、3員~6員炭素環メチル、置換3員~6員炭素環メチル(該炭素環上の置換基:ハロゲン、アルキルオキシ)、3員~6員複素環アルキル、または置換3員~6員複素環メチル(該複素環上の置換基:アルキル)であり;
が、水素原子であり;
が、以下に示される基:
【化72】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基(好ましくはハロゲン、アルキルまたはフェニル)であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲンであり;mは、それぞれ独立して、0~4の整数であり;m’は、それぞれ独立して、0~4の整数である)である。
【0148】
式(II)の各置換基の好ましい態様を以下に示す。式(II)で示される化合物もしくはプロドラッグまたはその製薬上許容される塩、好ましくは式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩としては、各置換基の態様の取りうるすべての組み合わせが例示される。
【0149】
1aは、-Z-C(=O)-O-RX15
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(ここで、RX9、RX14、およびRX15は、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキニルであり;RX10は、水素原子、置換基群Eで置換されていてもよいアルキル、置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルオキシであり;Zは、単結合または直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり;ならびに
X9およびRX10は、隣接する原子と一緒になって複素環を形成していてもよい)である。
別の態様として、R1aは、-Z-C(=O)-O-RX15である。
1aは、好ましくは、カルボキシ、-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または-N(RX14)-C(=O)-O-RX15である。
1aは、より好ましくは、カルボキシである。
X9、RX10、RX14、およびRX15は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基群Eで置換されていてもよいアルキルである。より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子またはアルキルである。
は好ましくは単結合である。
「置換基群Eで置換されていてもよいアルキル」、「置換基群Eで置換されていてもよいアルケニル」、および「置換基群Eで置換されていてもよいアルキニル」における好ましい置換基の態様としては、非置換またはハロゲン等が挙げられる。より好ましくは、非置換である。
【0150】
2aは、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシである。
2aは好ましくは水素原子または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルであり、 より好ましくは水素原子またはアルキルであり、さらに好ましくは、水素原子である。
2aにおける「置換基群Fで置換されていてもよい」の好ましい置換基の態様としては、非置換またはハロゲン等が挙げられる。より好ましくは、非置換である。
【0151】
-L-は、-(CR3a3b)n-または単結合である。
好ましくは、-L-は、-(CR3a3b)n-である。
さらに好ましくは、-L-は、-CH-または単結合である。
特に好ましくは、-L-は、-CH-である。
【0152】
3aおよびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキルまたは置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシである。
好ましくは、R3aおよびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群Aで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基、または置換基群Aで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基である。
好ましくは、R3aおよびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル、または3~6員非芳香族炭素環式基である。
より好ましくは、R3aは水素原子であり;R3bは、水素原子、アルキル、または3~6員非芳香族炭素環式基である。
より好ましくは、R3aおよびR3bは、水素原子である。
【0153】
nは、1~4の整数である。
好ましくは、nは、1または2である。
より好ましくは、nは、1である。
【0154】
環Aは、非芳香族炭素環、芳香族炭素環、非芳香族複素環、または芳香族複素環である。
好ましくは、環Aは、3~6員非芳香族炭素環、ベンゼン環、3~6員非芳香族複素環、または5員~6員芳香族複素環である。
より好ましくは、環Aは、3~6員非芳香族炭素環、ベンゼン環、または5員~6員芳香族複素環である。
より好ましくは、環Aは、3~6員非芳香族炭素環である。
特に好ましくは、環Aは、3~5員非芳香族炭素環である。
特に好ましくは、環Aは、シクロプロパン、シクロブタン、またはシクロへプタンである。
特に好ましくは、環Aは、シクロプロパンである。
【0155】
12aは、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、炭素環式基、複素環式基、オキソ置換複素環式基、炭素環アルキルオキシ、炭素環オキシアルキル、炭素環アルキルオキシアルキル、炭素環アルキルチオ、複素環アルキルオキシ、複素環オキシアルキル、複素環アルキルオキシアルキル、ハロゲノアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルオキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、またはアルキルスルホニルアミノである。
好ましくは、R12aは、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、またはハロゲノアルキルオキシである。
より好ましくは、R12aは、それぞれ独立して、ハロゲンまたはアルキルオキシである。
【0156】
tは、0~4の整数である。
好ましくは、tは、0~2の整数である。
特に好ましくは、tは、0である。
【0157】
【化73】

である。
【0158】
【化74】

である。

【化75】

である。
【化76】

であり;R12aが、それぞれ独立してハロゲンであり;tが2~3である。
【0159】
5aおよびR6aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルであり;R5aおよびR6aは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環もしくは置換基群Bで置換されていてもよい複素環を形成していてもよく、該炭素環もしくは該複素環は、縮合環および/または架橋構造を形成していてもよい。
好ましくは、R5aおよびR6aは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基群Fで置換されていてもよいアルキルである。
特に好ましくは、R5aおよびR6aは、水素原子である。
【0160】
7aは、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Fで置換されていてもよいアルケニル、置換基群Fで置換されていてもよいアルキニルである。
好ましくは、R7aは、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基である。
好ましくは、R7aが、以下に示される基:
【化77】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
置換基群Aは上記と同意義である)である。
より好ましくは、R7aが、以下に示される基:
【化78】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、置換基群Aは上記と同意義である)である。好ましくは、mは0~2、より好ましくは、mは0である。
より好ましくは、R7aが、以下に示される基:
【化79】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基である)である。
特に好ましくは、R7aが、以下に示される基:
【化80】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、置換基群Aは上記と同意義である)である。
E6の好ましい例として、それぞれ独立して、ハロゲン、オキソ、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、ハロゲノアルキルオキシ等が挙げられる。
E6のより好ましい例として、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルキルオキシ等が挙げられる。
E6のさらに好ましい例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ、メチル、ヒドロキシメチル、イソプロピル、メトキシ、トリフルオロメチル、オキソ、カルボキシ等が挙げられる。
別の態様として、RE6は、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、または芳香族炭素環式基であり、特に好ましくは、ハロゲンまたはアルキルである。
mの好ましい態様は、0~6の整数であり、より好ましくは0~4の整数であり、さらに好ましくは0~2の整数、特に好ましくは0である。
【0161】
式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩の別の好ましい態様を以下に示す。
1aが、カルボキシであり;R2aは、水素原子であり;
-L-が、-(CR3a3b)n-または単結合であり;nが、1であり;
3aおよびR3bが、それぞれ独立して、水素原子、アルキル、または3~6員非芳香族炭素環式基であり;
環Aが、シクロプロパン、シクロブタン、またはシクロへプタンであり;好ましくは、環Aが、シクロプロパンであり;
12aが、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロゲノアルキル、アルキルオキシ、またはハロゲノアルキルオキシであり;
tが、0~2の整数であり;
7aが、以下に示される基:
【化81】

(式中、RE6は、それぞれ独立して置換基群Aから選択される基であり;RE7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたはアルキルであり;mは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、m’は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、置換基群Aは上記と同意義である)である。好ましくは、mは0~2の整数、より好ましくは、mは0である。
E6は、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、または芳香族炭素環式基である。m’は、好ましくは、0~2の整数である。
【0162】
本発明に係る化合物の特徴の一つは、項目1における式(I)に示すような、2つ以上の環が縮環した、多環性カルバモイルピリドン誘導体および/またはこれらを含む組成物が、アレナウイルス、より好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
【0163】
本発明に係る化合物の別の特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに、式(I)におけるRに対して、下記に示すような官能基を適用することにより、アレナウイルス、より好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
官能基:カルボキシ、
-Z-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-Z-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(RX9、RX10、RX14、RX15およびZは、項目1と同意義である)。
【0164】
本発明に係る化合物のより好ましい別の特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに、式(I)におけるRに対して、下記に示すような官能基を適用することにより、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
官能基:カルボキシ、-C(=O)-N(RX9)(RX10)、または
-N(RX14)-C(=O)-O-RX15
(RX9、RX10、RX14、およびRX15はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル、またはハロゲノアルキルである)である。
【0165】
本発明に係る化合物の特に好ましい別の特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに、式(I)におけるRに対して、カルボキシを適用することにより、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
【0166】
本発明に係る化合物の別の好ましい別の特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに、式(I)におけるRに対して、下記に示すような官能基を適用することにより、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
官能基:カルボキシまたはカルボキシのバイオアイソスター。
【0167】
本発明に係る化合物のその他の特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに式(I)におけるA1および/またはA2の炭素原子上または窒素原子上に、下記に示すような脂溶性官能基を1個または2個以上導入することにより、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
脂溶性官能基:置換基群Aで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい炭素環オキシカルボニル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Aで置換されていてもよい複素環アルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシアルキル、置換基群Aで置換されていてもよい複素環オキシカルボニル(置換基群Aは、項目1と同意義である)。
【0168】
本発明に係る化合物の好ましい特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに式(I)におけるA1および/またはA2の炭素原子上または窒素原子上に、下記に示すような脂溶性官能基を1個導入することにより、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
脂溶性官能基:置換基群Fで置換されていてもよいアルキル、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Bで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Bで置換されていてもよい複素環式基、または置換基群Bで置換されていてもよい複素環アルキル(置換基群Aは、項目1と同意義である)。
【0169】
本発明に係る化合物のより好ましい特徴は、式(I)に示す、2つ以上の環が縮環した多環性カルバモイルピリドン誘導体に、さらに式(I)におけるA1および/またはA2の炭素原子上または窒素原子上に、下記に示すような脂溶性官能基を1個導入することにより、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に対して高い増殖阻害活性を有する点である。
脂溶性官能基:アルキル、置換アルキル(置換基:アルキルチオ、炭素環式基、複素環式基、炭素環アルキルチオ)、炭素環式基、置換炭素環式基(置換基:ハロゲン、アルキル)、炭素環アルキル、置換炭素環アルキル(置換基:ハロゲン、アルキルチオ、炭素環式基、炭素環アルキルチオ)、複素環式基、置換複素環式基(置換基:ハロゲン)、複素環アルキル、または置換複素環アルキル(置換基:アルキルオキシで置換された炭素環式基)。
【0170】
式(I)または式(II)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、式(I)または式(II)で示される化合物と、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0171】
本発明の式(I)または式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)、共結晶および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物、共結晶および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、式(I)または式(II)で示される化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。式(I)または式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、式(I)または式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。「共結晶」は、式(I)または式(II)で示される化合物または塩とカウンター分子が同一結晶格子内に存在することを意味し、任意の数のカウンター分子を含んでいても良い。
【0172】
本発明の式(I)または式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、プロドラッグを形成する場合があり、本発明はそのような各種のプロドラッグも包含する。プロドラッグは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理学的条件下でインビボにおいて薬学的に活性な本発明化合物となる化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解等を受けて式(I)または式(II)で示される化合物に変換される化合物、胃酸等により加水分解されて式(I)または式(II)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えば “Design of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam, 1985”に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性を有する場合がある。
また、例えば国際公開公報第2012/039414号に記載の方法を参考にすることができる。
【0173】
式(I)または式(II)で示される化合物またはその製薬上許容される塩がヒドロキシル基を有する場合は、例えば、ヒドロキシル基を有する化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物、適当なスルホニルクロライド、適当なスルホニルアンハイドライド及びミックスドアンハイドライドとを反応させることにより或いは縮合剤を用いて反応させることにより製造されるアシルオキシ誘導体やスルホニルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、CHCOO-、CCOO-、tert-BuCOO-、C1531COO-、PhCOO-、(m-NaOOCPh)COO-、NaOOCCHCHCOO-、CHCH(NH)COO-、CHN(CHCOO-、CHSO-、CHCHSO-、CFSO-、CHFSO-、CFCHSO-、p-CHO-PhSO-、PhSO-、p-CHPhSO-が挙げられる。
【0174】
また、本発明に係る式(I)または式(II)の化合物は、例えば、下式(I-P)に示すようにプロドラッグ化することもできる。プロドラッグ化することにより、生体への投与(例えば、経口投与)後に効率よく体内に吸収され、高い薬理効果を示すことが期待される。
【化82】

(式中、Pは、プロドラッグを形成する基であり、R,R,R,A,およびAは項目1と同意義である)
【0175】
本明細書における「プロドラッグを形成する基」とは、例えば、以下の反応式:
【化83】

(式中、各記号は前記と同意義である)
の、式(I-P)における「P」基を指し、-OP基の部分が、生体内における生理条件下での薬物代謝酵素、加水分解酵素、胃酸、腸内細菌等によって引き起こされる分解反応によって、式(I)における-OH基に変換される基を示す。
該「プロドラッグを形成する基」は、より好ましくは、式(I)で示される化合物に付加することによって、式(I)で示される化合物のバイオアベイラビリティおよび/またはAUC(血中濃度曲線下面積)を向上させる基を意味する。
【0176】
「プロドラッグを形成する基」としては、例えば、Prog.Med.5:2157-2161(1985)、およびSupplied by The British Library-“The world's Knowledge''に記載されている基が挙げられる。
式(I-P)の-OP基における「P」基は、生体内で-OH基に変換される基であればよく、好ましくは、種々の置換カルボニル基、置換オキシアルキル基(例:置換オキシメチル)、置換されていてもよい環式基アルキル(例:置換されていてもよい環式基メチル)、または置換されていてもよいイミノアルキル(例:置換されていてもよいイミノメチル)等が例示されるがより好ましくは例えば以下の式a)~y)から選ばれる基を包含する。
a)-C(=O)-PR0
b)-C(=O)-PR1
c)-C(=O)-L-PR1
d)-C(=O)-L-O-PR1
e)-C(=O)-L-O-L-O-PR1
f)-C(=O)-L-O-C(=O)-PR1
g)-C(=O)-O-PR2
h)-C(=O)-N(PR2
i)-C(=O)-O-L-O-PR2
j)-CH-O-PR3
k)-CH-O-L-O-PR3
l)-CH-O-C(=O)-PR3
m)-CH-O-C(=O)-O-PR3
n)-CH(-CH)-O-C(=O)-O-PR3
o)-CH-O-C(=O)-N(-K)-PR3
p)-CH-O-C(=O)-O-L-O-PR3
q)-CH-O-C(=O)-O-L-N(PR3
r)-CH-O-C(=O)-N(-K)-L-O-PR3
s)-CH-O-C(=O)-N(-K)-L-N(PR3
t)-CH-O-C(=O)-O-L-O-L-O-PR3
u)-CH-O-C(=O)-O-L-N(-K)-C(=O)-PR3
v)-CH-O-P(=O)(-OH)
w)-CH-O-P(=O)(-OBn)
x)-CH-PR4
y)-C(=NR5 )(-NPR5
(式中、Lは、直鎖もしくは分枝状のアルキレンであり、
Kは、水素原子、または直鎖もしくは分枝状のアルキレン、または直鎖もしくは分枝状のアルケニレンであり、
R0は、置換基群Dで置換されていてもよいアルキル、または置換基群Dで置換されていてもよいアルケニルであり、
R1は、置換基群Dで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Dで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Dで置換されていてもよいアルキルアミノ、または置換基群Dで置換されていてもよいアルキルチオであり、
R2は、置換基群Dで置換されていてもよいアルキル、置換基群Gで置換されていてもよい炭素環式基、または置換基群Gで置換されていてもよい複素環式基であり、
R3は、置換基群Dで置換されていてもよいアルキル、置換基群Gで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Gで置換されていてもよい複素環式基、置換基群Dで置換されていてもよいアルキルアミノ、置換基群Gで置換されていてもよい炭素環アルキル、置換基群Gで置換されていてもよい複素環アルキル、またはアルキルシリルであり、
R4は、置換基群Gで置換されていてもよい炭素環式基、置換基群Gで置換されていてもよい複素環式基であり、ならびに
R5は、置換基群Dで置換されていてもよいアルキルである。
置換基群D;オキソ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシ、シアノ、およびニトロ。
置換基群G;オキソ、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、炭素環アルキル、アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシ、シアノ、およびニトロ。)
【0177】
「プロドラッグを形成する基」として、式(I-P)の-OP基における「P」基は、好ましくは、以下のb)、l)、m)およびn)から選ばれる基である。
b)-C(=O)-PR1
l)-CH-O-C(=O)-PR3
m)-CH-O-C(=O)-O-PR3
n)-CH(-CH)-O-C(=O)-O-PR3
(式中、各記号は上記と同意義である。)
【0178】
本明細書における「プロドラッグ化」とは、例えば、以下の反応式:
【化84】

(式中、各記号は前記と同意義である)
に示されるように、式(I)または式(II)もしくはその製薬上許容される塩のヒドロキシ基を、-OP基に変換することを意味する。
【0179】
また、本発明に係る式(I)または式(II)の化合物のプロドラッグの別の態様として、例えば、RまたはR1aがカルボキシ基である場合に、該カルボキシ基の水素原子が「プロドラッグを形成する基」で置換された化合物が挙げられる。「プロドラッグを形成する基」としては、例えば、Prog.Med.5:2157-2161(1985)、およびSupplied by The British Library-“The world's Knowledge''に記載されている基が挙げられ、例えば、置換若しくは非置換のアルキルが挙げられる。
【0180】
本明細書における「親化合物」とは、前記「プロドラッグ」を合成する前の原料となる化合物、および/または前記「プロドラッグ」から生体内における生理条件下で楮や胃酸等による反応により放出される化合物を意味し、例えば、前記の式(I)で示される化合物、もしくはその製薬上許容される塩を意味する。
【0181】
また、本発明にかかる化合物は特定の異性体に限定するものではなく、すべての可能な異性体(ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体及び回転異性体等)やラセミ体を含むものである。
【0182】
本発明における式(I)または式(II)は、特定の異性体に限定するものではなく、すべての可能な異性体やラセミ体を含むものである。例えば、下記の通り、互変異性体や立体異性体を含有する。
【化85】


【化86】
【0183】
また、本発明における式(I)または式(II)の化合物の一つ以上の水素原子、炭素原子または他の原子は、それぞれ水素原子、炭素原子または他の原子の同位体で置換され得る。
また、式(I)または式(II)の化合物は、それぞれ、式(I)または式(II)の化合物のすべての放射性標識体を包含する。式(I)または式(II)の化合物のそのような「放射性標識化」、「放射性標識体」などは、それぞれが本発明に包含され、代謝薬物動態研究ならびに結合アッセイにおける研究および/または診断ツールとして有用である。
本発明の式(I)または式(II)の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clのように、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、フッ素原子、および塩素原子が包含される。
本発明の式(I)または式(II)の化合物に組み込まれ得る同位体の特に好ましい例は、H(すなわち、重水素原子)であり、本明細書の実施例で示される方法、あるいは当該技術分野で周知の方法で調整できる。なお、本明細書の実施例では重水素原子を「D」と表記している。本発明の式(I)または式(II)の水素原子が重水素原子に変換された化合物は、未変化体に比べてバイオアベイラビリティや、代謝安定性、薬効、毒性面で優れた効果を示す場合があり、医薬として有用な化合物となりうる。
【0184】
一般的合成法ならびに実施例中、各略語の意味は以下の通りである。
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
NMP:N-メチルピロリドン
DMI:ジメチルイミダゾリジノン
THF:テトラヒドロフラン
Ms:メタンスルホニル
Ts:パラトルエンスルホニル
Boc:tert-ブトキシカルボニル
DIBALH:ジイソブチルアルミニウムヒドリド
WSCまたはEDCI:N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェイト
NBS;N-ブロモスクシイミド
NCS:N-クロロスクシイミド
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル
PDC:ピリジニウムジクロロメート
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
mCPBA:m-クロロ過安息香酸
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
T3P:プロピルホスホン酸無水物
IBX:2-ヨードキシ安息香酸
DMSO:シメチルスルホキシド
NaHMDS:ナトリウムヘキサメチルジシラジド
TFA:トリフルオロ酢酸
Bn:ベンジル
本発明に係る化合物は、国際公開公報第2010/147068号、国際公開公報第2012/039414号、国際公開公報第2014/100323号、または特開2019-59697(JP2019-59697)に記載の方法に基づいて、合成することができる。
【0185】
(製法A)
【化87】

(式中、環Eは置換基群Bで置換されていてもよい炭素環または置換基群Bで置換されていてもよい複素環であり、各記号は前記と同意義である)
第1工程
化合物A1に、DMF、DMA、NMP、THF等の溶媒の存在下またはそれらの混合溶媒中、HATU、WSC・HCl等の縮合剤を加え、目的物に対応するアミンA2(R7a-NH)および、必要に応じてトリエチルアミン、N-メチルモルホリン等の3級アミンを加え、10℃~60℃、好ましくは20℃~40℃にて0.1時間~24時間、好ましくは1時間~12時間反応させることにより、化合物A3を得ることができる。
第2工程
化合物A3に、DMF、DMA、NMP、THF、EtOH等の溶媒の存在下またはそれらの混合溶媒中、Pで保護されたヒドラジン及びPPTS、酢酸などを加え20℃~160℃0.1時間~24時間、好ましくは1時間~12時間反応させることにより、化合物A4を得ることができる。
第3工程
保護基に適した脱保護反応を実施し、化合物A5を得ることができる。
第4工程
化合物A5に、DMF、DMA、NMP、THF等の溶媒の存在下、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、化合物A6を加え、10℃~60℃、好ましくは20℃~40℃にて0.1時間~24時間、好ましくは1時間~12時間反応させることにより、化合物A7を得ることができる。
第5工程
化合物A7に、DMF、DMA、NMP、THF等の溶媒の存在下またはそれらの混合溶媒中、化合物A8および、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の塩基を加え、0℃~60℃、好ましくは10℃~40℃にて0.1時間~48時間、好ましくは1時間~24時間反応させることにより、化合物A9を得ることができる。
また、化合物A7に、DMF、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,4-ジオキサン等の溶媒の存在下またはそれらの混合溶媒中、化合物A8および、T3P、メタンスルホン酸もしくはパラトルエンスルホン酸を加え、40℃~150℃、好ましくは60℃~120℃にて0.1時間~48時間、好ましくは1時間~24時間反応させることにより、化合物A9を得ることができる。別の方法としては、化合物A7に、酢酸溶媒中、化合物A8を加え、40℃~150℃、好ましくは60℃~120℃にて0.1時間~48時間、好ましくは1時間~24時間反応させることにより、化合物A9を得ることができる。
第6工程
化合物A9の水酸基の保護基の脱保護反応を実施することにより、化合物(IA)を得ることができる。化合物A9の水酸基の保護基の脱保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesis, Theodora W Green (John Wiley & Sons)等に記載の一般的な方法で行うことができる。
【0186】
以下に本発明の実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0187】
(LC/MS測定条件)
(1)カラム:ACQUITY UPLC(R)BEH C18 (1.7μm i.d.2.1x50mm) (Waters)
流速:0.8 mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸含有水溶液、[B]は0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジェント:3.5分間で10%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
(2)カラム:Shim-pack XR-ODS (2.2μm、i.d.50x3.0mm) (Shimadzu)
流速:1.6 mL/分;UV検出波長:254nm;
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液、[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジェント:3分間で10%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
(3)カラム:Gemini-NX (5μm、i.d.4.6x50mm)(Phenomenex)
流速:3 mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸含有水溶液、[B]は0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジェント:3.5分間で5%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
【0188】
実施例1
化合物I-001の合成
【化88】

工程1 化合物2aの合成
化合物1a (10.4g、23.3mmol)を酢酸エチル(25ml)に溶解し、4 mol/L塩酸 酢酸エチル溶液を加え室温で一時間攪拌した後、一晩静置した。溶媒を減圧留去した後、残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和した後、酢酸エチルによって抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し化合物2aを得た(8.04g、収率99%)。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.37 (t, J = 7.8Hz, 3H), 3.79 (s, 3H), 4.36 (t, J = 7.8Hz, 2H), 5.20-5.40 (m, 4H), 7.30-7.44 (m, 5H), 8.30 (s, 1H)
工程2 化合物3aの合成
化合物2a(7.2g、20.8mmol)とアリル-3-メトキシモルホリン-4-カルボキシレート(5.02g 25.0 mmol)をアセトニトリル(200 ml)に溶解後、-30度に冷却した。これに四塩化スズ(3.66 ml, 31.2 mmol)を加え攪拌した。四時間攪拌した後、3-メトキシモリホリン-4-カルボキシレート(2.09g 10.4 mmol)と四塩化スズ(1.22ml, 10.4mmol)を反応液に追加し、さらに2時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウムを加えた後、塩化メチレンを用いて抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。得られた残渣をテトラヒドロフラン(250ml)に溶解後、モルホリン(9.06ml,104mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.20g,1.04mmol)を加え室温で30分攪拌した。反応液をジエチルエーテル(500ml)で希釈した後、生じた沈殿物を濾取することで化合物3a(6.2g,75%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.27 (t, J = 6.4Hz, 3H), 2.97-3.05 (m, 2H), 3.10-3.25 (m, 1H), 3.30-3.52 (m, 1H)3.95-4.30 (m, 5H), 4.80-4.95(m, 1H) 5.08(s, 2H), 7.30-7.50 (m, 4H),7.53-7.65 (m, 2H), 8.16 (s, 1H)
工程3 化合物4aと5aの合成
化合物3a(733mg、1.84mmol)と(728mg、2.75mmol)を50%T3P酢酸エチル溶液(7.0mL)に溶解し、封管条件下110℃で一時間半撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-酢酸エチル)により精製して化合物4aと化合物5a(770mg、収率65%)をジアステレオマー混合物で得た。
LC/MS (ESI):m/z = 646、[M+H]+, RT=2.37min,LC/MS測定条件:(1)
LC/MS (ESI):m/z = 646、[M+H]+, RT=2.44min,LC/MS測定条件:(1)
工程4 化合物I-001の合成
化合物4aと化合物5aの混合物(109mg、0.169mmol)をテトラヒドロフラン(1.0ml)と水(1.0ml)に溶解後0度に冷却した。これに2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(0.084ml、0.169mmol)を加え1時間攪拌した後、再び2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(0.084ml、0.169mmol)を加えさらに4時間攪拌した。2mol/L 塩酸水溶液(0.170ml、0.340mmol)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濾過後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。残渣をN,N-ジメチルアセトアミド(1.0mL)に溶解し、塩化リチウム(36.4mg、0.858mmol)を加えて、100℃で5時間撹拌した。Gemini-NX AXIA Packed(C18 5μm , i.d.30 x 100mm,アセトニトリル-水)により精製して化合物I-001(27.9mg、30.8%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:3.00-3.15 (m, 1H), 3.40-3.60 (m, 2H), 3.80-3.90(m, 1H), 3.95-4.15 (m, 2H),4.60-4.75 (m, 2H), 5.20-5.30 (m, 2H),6.55-6.65 (m, 1H), 6.75-6.88 (m, 1H) 7.00-7.20 (m, 4H), 8.09 (s, 1H), 13.8 (brs, 1H)
LC/MS (ESI):m/z = 528、[M+H]+, RT=2.02min,LC/MS測定条件:(1)
【0189】
実施例2
化合物I-002の合成
【化89】

工程1 化合物2bの合成
化合物1b(80mg,0.15mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(1ml)に溶解し、0℃でクロロギ酸エチル(48mg,0.45mmol)を加えてそのまま30分撹拌した。0℃でジメチルアミン塩酸塩(61mg,0.74mmol)、トリエチルアミン(45mg,0.45mmol)、N、N-ジメチル-4-アミノピリジン(触媒量)を加え、室温で30分撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を希塩酸で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し無色ガム状の化合物2bの粗生成物90mgを得た。
工程2 化合物I-002の合成
化合物2bにトリフルオロ酢酸(1ml)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、2N塩酸で酸性にした。クロロホルムで抽出した後に溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をクロロホルム-ジイソプロピルエーテル-ジエチルエーテルから再結晶して無色固体の化合物I-002(56mg、2工程の収率79%)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 2.41 (s, 3H), 2.79 (s, 3H), 3.14 (s, 3H), 3.32-3.62 (m, 5H), 4.10 (dd, J = 3.3, 13.5 Hz, 1H), 4.41 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.48 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 7.11-7.59 (m, 11H), 12.37 (br s, 1H).

以下の化合物は、上記実施例、国際公開公報第2010/147068号および国際公開公報第2012/039414号、および特開2019-59697(JP2019-59697)に記載の合成法に従い、市販の化合物または既知化合物を用いて合成した。
【0190】
化合物I-003
【化90】

1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45-1.86 (4H, m), 2.67-2.87 (2H, m), 3.36-3.42 (9H, m), 3.88 (2H, dd, J = 22.72, 14.64 Hz), 4.04-4.14 (1H, m), 4.59 (2H, d, J = 5.64 Hz), 5.04 (1H, t, J = 5.64 Hz), 7.19-7.34 (5H, m), 8.55 (1H, s).
【0191】
化合物II-003
【化91】

1H-NMR (DMSO-D6) δ: 14.84 (s, 1H), 12.40 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.43-7.35 (m, 3H), 7.27-7.16 (m, 3H), 6.90 (m, 1H), 6.76 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 5.39 (s, 1H), 5.14 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.29 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.16-4.09 (m, 1H), 3.75-3.64 (m, 2H), 3.03-2.73 (m, 3H), 0.95 (m, 1H), 0.42 (m, 2H), 0.19-0.13 (m, 2H).
【0192】
実施例3
化合物I-072の合成
【化92】

工程1 化合物2cの合成
化合物1c(1g、3.38mmol)、エチルアミン塩酸塩(331mg、4.03mmol)、HOBt(503mg、3.72mmol)をピリジン(10ml)に溶解し、WSCD塩酸塩(843mg、4.40mmol)を加え室温で1時間攪拌した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)により精製して化合物2c(536mg、収率55%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=287、[M+H]+、RT=1.21min、LC/MS測定条件:(1)
工程2 化合物3cの合成
化合物2c(529mg、1.85mmol)をジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、炭酸カリウム(1.23g、9.23mmol)を加え室温で30分間攪拌した後、O-(2,4-ジニトロフェニル)ヒドロキシアミン(1.10g、5.54mmol)を加えさらに2時間攪拌した。炭酸カリウム(638mg、4.62mmol)、O-(2,4-ジニトロフェニル)ヒドロキシアミン(552mg、2.77mmol)を加えさらに30分間攪拌した後、クロロホルム(20ml)で希釈し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)およびアミノカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)により精製して化合物3c(416mg、収率75%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=302、[M+H]+、RT=1.01min、LC/MS測定条件:(1)
工程3 化合物4cの合成
化合物3c(416mg、1.38mmol)をジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、パラホルムアルデヒド(41.5mg、1.38mmol)、酢酸(0.34ml、5.94mmol)を加え120℃で2時間攪拌した後、溶媒を減圧留去した。反応液をジエチルエーテル(5ml)で希釈した後、生じた沈殿物を濾取することで化合物4c(415mg、収率96%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=314、[M+H]+、RT=1.08min、LC/MS測定条件:(1)
工程4 化合物5cの合成
化合物4c(270mg、0.86mmol)をジクロロメタン(5.4ml)に溶解し、Boc2O(0.26ml、1.12mmol)、DMAP(5.26mg、0.04mmol)を加え室温で7時間攪拌した後、氷冷下でN-ブロモスクシンイミド(369mg、2.07mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後、N-ブロモスクシンイミド(29.0mg、0.16mmol)を加え、室温でさらに1.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製して化合物5c(495mg、収率91%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=492、[M+H]+、RT=1.99min、LC/MS測定条件:(1)
工程5 化合物6cの合成
化合物5c(500mg、1.02mmol)をメタノール(5ml)に溶解し、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.76ml、1.52mmol)を加え40℃で1時間攪拌した。クエン酸水溶液を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出し、有機相を濃縮し、粗生成物6c(384mg、収率96%)を得た。
工程6 化合物7cの合成
粗生成物6c(100mg、0.255mmol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(147mg、0.127mmol)をジメチルスルホキシド(3ml)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.445ml、2.55mmol)、メタノール(1.5ml)を加え、脱気した。一酸化炭素雰囲気下、100℃で19.5時間攪拌した。この反応液に粗生成物6c(1.19g、3.02mmol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(2.62g、2.27mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.28ml、30.2mmol)、メタノール(17.8ml)、ジメチルスルホキシド(35.6ml)を加え、脱気した。一酸化炭素雰囲気化、100℃で20.5時間攪拌した後、クエン酸水溶液を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出した。有機相を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)により精製して化合物7c(614mg、収率50%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=372.15、[M+H]+、RT=1.35min、LC/MS測定条件:(2)
工程7 化合物8cの合成
化合物7c(20.0mg、0.054mmol)をジメチルホルムアミド(0.12ml)に溶解し、炭酸セシウム(70.2mg、0.22mmol)、ブロモジフェニルメタン(26.6mg、0.11mmol)を加え室温で18.5時間攪拌した。水を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出し、有機相を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)により精製して化合物8c(18.2mg、収率63%)を得た。
RT=2.31min、LC/MS測定条件:(2)
工程8 化合物I-072の合成
化合物8c(18.2mg、0.034mmol)をテトラヒドロフラン(0.3ml)に溶解し、メタノール(0.1ml)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.10ml、0.20mmol)を加え50℃で7時間攪拌した。クエン酸水溶液を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出し、有機相を脱水し、濃縮した。得られた残渣および塩化リチウム(28.7mg、0.68mmol)をジメチルホルムアミド(0.3ml)に溶解し、100℃で30分間攪拌した。クエン酸水溶液を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出し、有機相を脱水し、濃縮した。トルエンを加え、溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルを加えた。析出した固体を濾取し、化合物I-072(5.2mg、収率35%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=434.25、[M+H]+、RT=1.91min、LC/MS測定条件:(2)
【0193】
実施例4
化合物I-073の合成
【化93】

工程1 化合物1dの合成
化合物7c(69.0mg、0.186mmol)をジメチルスルホキシド(0.8ml)に溶解し、2-ブロモ-5-(ブロモメチル)チオフェン(95.0mg、0.371mmol)、炭酸セシウム(242mg、0.742mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。クロロホルムを加え遠心濾過した後、有機相を減圧濃縮した。得られた残渣を逆相クロマトグラフィー(アセトニトリル-水)により精製して化合物1d(48.4mg、収率48%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=546、[M+H]+、RT=2.18min、LC/MS測定条件:(2)
工程2 化合物2dの合成
化合物1d(25.0mg、0.046mmol)、(2-メトキシフェニル)ボロン酸(13.9mg、0.092mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(3.74mg、0.05mmol)をテトラヒドロフラン(1ml)に溶解し、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(0.114ml、0.229mmol)を加え、封管条件下、マイクロウェーブ反応装置にて、120℃で30分間攪拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムを用いて抽出し、有機相を脱水した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)により精製して化合物2d(18.9mg、収率72%)を得た。
工程3 化合物I-073の合成
化合物2d(18.9mg、0.033mmol)をテトラヒドロフラン(0.3ml)に溶解し、メタノール(0.1ml)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.099ml、0.198mmol)を加え50℃で4時間攪拌した。クエン酸水溶液を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出し、有機相を脱水し、濃縮した。得られた残渣および塩化リチウム(27.9mg、0.659mmol)をジメチルホルムアミド(0.3ml)に溶解し、100℃で1時間攪拌した。クエン酸水溶液を加え、クロロホルム-メタノールを用いて抽出し、有機相を脱水し、濃縮した。トルエンを加え、溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルを加えた。析出した固体を濾取し、化合物I-073(9.4mg、収率61%)を得た。
LC/MS(ESI):m/z=470.10、[M+H]+、RT=2.18min、LC/MS測定条件:(2)
【0194】
表中、「Comp. No.」は化合物番号、「Structure」は化学構造式、「Ms cond.」は上記LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)の測定条件、「RT(min)」はリテンションタイム(分)を表す。
III-010は、単一の光学活性体であるが、絶対配置は決定されていない。III-013およびIII-014は、それぞれ単一の光学活性体であり、一方がR体、もう一方がS体である。
III-020およびIII-021は、それぞれ単一の光学活性体であり、一方がR体、もう一方がS体である。
III-028およびIII-029は、それぞれ単一の光学活性体であり、一方がR体、もう一方がS体である。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】
【0197】
【表13】
【0198】
【表14】
【0199】
【表15】
【0200】
【表16】
【0201】
【表17】
【0202】
【表18】
【0203】
【表19】
【0204】
【表20】
【0205】
【表21】
【0206】
【表22】
【0207】
【表23】
【0208】
本発明に係る化合物は、アレナウイルスにより誘発される症状及び/又は疾患に有用である。症状としては、発熱、頭痛、倦怠感、関節痛、咽頭痛、嘔吐、下痢、吐血、下血、粘膜出血などインフルエンザ様症状のほか、脳炎症状も併発する場合もある。さらに,重症化すると出血(吐血、下血)によりしばしば死に至る場合もある。回復後には、知覚神経麻痺・歩行失調や後遺症として聴覚障害もみられる。これらのウイルスにおいては,感染者や患者の血液や体液、排泄物によりヒトからヒトへ感染が伝播する。したがって、院内感染や家族内感染を生じ、世界的な流行も繋がる大きな事態が発生する可能性がある。早期に治療することで体内ウイルス量を減らし、伝播を防げることから、これらの世界的流行を防ぐことが可能となる。本発明に係る化合物は、これらの治療及び/又は予防、症状改善に有効である。
アレナウイルスにより誘発される疾患としては、アレナウイルス感染症が挙げられ、例えば、ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ブラジル出血熱、およびベネズエラ出血熱が挙げられる。例えば、ラッサ熱およびアルゼンチン出血熱、例えばラッサ熱が挙げられる。
本発明に係る化合物は、アレナウイルス(例えばフニンウイルス、LCMVウイルス、ラッサウイルス等)に対して増殖抑制効果が高く、有用な医薬品となり得る。さらに、本発明に係る化合物は、例えば、代謝安定性が高い、溶解度が高い、良好なバイオアベイラビリティーを示す、良好なクリアランスを示す、組織移行性が高い、半減期が長い、非タンパク結合率が高い、副作用が少ない、hERGチャネル阻害が低い、CYP阻害が低い、CPE(CytoPathic Effect,細胞変性効果)抑制効果が認められる、及び/又は光毒性試験、Ames試験及び遺伝毒性試験で陰性を示す等の利点も有することから、優れた医薬品となりうる。
【0209】
本発明に係る化合物は、経口的または非経口的に投与することができる。経口投与による場合、本発明化合物は通常の製剤、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;またはシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの財形としても用いることができる。非経口投与による場合、本発明に係る化合物は、水性または油性懸濁注射剤、点鼻液として用いることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、安定剤等を任意に用いることができる。本発明の医薬組成物は、治療有効量の本発明化合物を製薬上許容される担体または希釈剤とともに組み合わせる(例えば混合する)ことによって製造される。
本発明に係る化合物の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態及び疾患の種類によっても異なるが、通常、経口投与の場合、成人1日あたり約0.05mg~3000mg、好ましくは、約0.1mg~1000mgを、要すれば分割して投与すればよい。また、非経口投与の場合、成人1日あたり約0.01mg~1000mg、好ましくは、約0.05~500mgを投与する。
【0210】
試験例1:CPE抑制効果確認試験(フニンウイルス)
<材料>
・5% FBS E-MEM(MEM(Minimum Essential Medium)(ニッスイ)にカナマイシン,ストレプトマイシン,ペニシリン及びFBSを添加して調整)
・293T細胞
2% FBS E-MEMにて適当細胞数(2×105 /mL)に調整した。
・吸光度計(バイオラッド)
・MTT液
3-(4,5-dimethyl-2-thiazol)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide(メルク)を 5μg/mLになるようにPBSで溶解後,0.45μmフィルターでろ過した。
・細胞溶解液(ウイルス不活化液)
500mLイソプロパノールに50mLのTriton X,4mLの塩酸(12N)を入れて調整した.
【0211】
<操作手順>
・被験試料の希釈、分注
培養液として、被験試料の希釈には2% FBS E-MEMを使用し、ウイルス・細胞の希釈には5% FBS E-MEMを用いた。
予め被験試料を培養液で適度な濃度に希釈し、96 wellプレートに2倍段階希釈系列を作製した(50μL/well)。
・細胞の希釈、分注
適当細胞数に調整した細胞を、被験試料が入った96 wellプレートに100μL/wellずつ分注した。
・フニンウイルスの希釈、分注
予め、フニンウイルスを培養液で適当な濃度に希釈し、被験試料が入った96 wellプレートに50μL/wellずつ分注した。
プレートミキサーで混和し、CO2インキュベーターで4日間培養した。
・MTT液,細胞溶解液の分注
4日間培養した96 wellプレートを肉眼、顕微鏡下で観察し、細胞の形態・結晶の有無等を確認した。MTT液を各wellに30μLずつ分注し、CO2インキュベーターで1~2時間培養した。プレートから細胞を吸わないように上清を150μLずつ除いた。細胞溶解液(ウイルス不活化液)を各wellに150μLずつ分注した。乾燥しないようにプレートをラップで包み、室温で1晩放置した。プレートミキサーにて混和した。
・吸光度の測定
混和した96wellプレートを、吸光度計で570 nm/630 nmの2波長で吸光度(OD)を測定した。
【0212】
<各測定項目値の算出>
次の様な計算式に基づきMicrosoft Excelまたは同等の計算処理能力を有するプログラムを使用し算出した。
・50% フニンウイルス感染細胞死阻害濃度 (EC50)算出
EC50= 10 Z
Z = (50% OD - Low OD) / (High OD -Low OD) x {log (High conc.) - log (Low conc.)} + log (Low conc.)
OD;吸光度、conc.;薬剤濃度
50% OD = {OD (cell control) - OD (virus control)} x 0.5 + OD (virus control)
OD (cell control): the average of ODs of cell control wells
OD (virus control): the average of ODs of virus control wells
EC50は、吸光度(OD)と薬剤濃度(conc.)曲線上の50% OD値を挟む2点A-High (High OD, High conc.) とB-Low (Low OD, Low conc.)から計算した。

被検物質のフニンウイルスに対するEC50値を以下に示す。
【表24】

【表25】


ND; Not Done
以上のとおり、本発明に係る化合物は、フニンウイルスに対して良好な増殖阻害活性を有する。
【0213】
試験例2:CPE抑制効果確認試験(LCMV:リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)
<材料>
・2% FBS E-MEM(MEM(Minimum Essential Medium)(ニッスイ)にカナマイシン,ストレプトマイシン,ペニシリン及びFBSを添加して調整)
・KB細胞
2% FBS E-MEMにて適当細胞数(2×105 /mL)に調整した。
・吸光度計(バイオラッド)
・MTT液
3-(4,5-dimethyl-2-thiazol)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide(メルク)を 5μg/mLになるようにPBSで溶解後,0.45μmフィルターでろ過した。
・細胞溶解液(ウイルス不活化液)
500mLイソプロパノールに50mLのTriton X,4mLの塩酸(12N)を入れて調整した.
【0214】
<操作手順>
・被験試料の希釈、分注
培養液として、被験試料の希釈,ウイルス・細胞の希釈には2% FBS E-MEMを用いた。
予め被験試料を培養液で適度な濃度に希釈し、96 wellプレートに2倍段階希釈系列を作製した(50μL/well)。
・細胞の希釈、分注
適当細胞数に調整した細胞を、被験試料が入った96 wellプレートに100μL/wellずつ分注した。
・LCMVの希釈、分注
予め、LCMVを培養液で適当な濃度に希釈し、被験試料が入った96 wellプレートに50μL/wellずつ分注した。
プレートミキサーで混和し、CO2インキュベーターで4日間培養した。
・MTT液,細胞溶解液の分注
4日間培養した96 wellプレートを肉眼、顕微鏡下で観察し、細胞の形態・結晶の有無等を確認した。MTT液を各wellに30μLずつ分注し、CO2インキュベーターで1~2時間培養した。プレートから細胞を吸わないように上清を150μLずつ除いた。細胞溶解液(ウイルス不活化液)を各wellに150μLずつ分注した。乾燥しないようにプレートをラップで包み、室温で1晩放置した。プレートミキサーにて混和した。
・吸光度の測定
混和した96wellプレートを、吸光度計で570 nm/630 nmの2波長で吸光度を測定した。
【0215】
<各測定項目値の算出>
次の様な計算式に基づきMicrosoft Excelまたは同等の計算処理能力を有するプログラムを使用し算出した。
・50% LCMV感染細胞死阻害濃度 (EC50)算出
EC50= 10 Z
Z = (50% OD - Low OD) / (High OD -Low OD) x {log (High conc.) - log (Low conc.)} + log (Low conc.)
OD;吸光度、conc.;薬剤濃度
50% OD = {OD (cell control) - OD (virus control)} x 0.5 + OD (virus control)
OD (cell control): the average of ODs of cell control wells
OD (virus control): the average of ODs of virus control wells

EC50は、吸光度と薬剤濃度曲線上の50% OD値を挟む2点A-High (High OD, High conc.) とB-Low (Low OD, Low conc.)から計算した。
被検物質のLCMVに対するEC50値を以下に示す。
【表26】

【表27】

以上のとおり、本発明に係る化合物は、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)に対して良好な増殖阻害活性を有する。
すなわち、本発明は、フニンウイルスの属する新世界アレナウイルスおよびLCMVの属する旧世界アレナウイルスに対して、強い薬効を示す。このことは、本発明が広くアレナウイルス全般に抗ウイルス活性を持つことを示している。さらに、フニンウイルスを代表とする南米出血熱ウイルス群にも効果が期待される。また、非特許文献2~4に記載されている通り、LCMVはラッサウイルスの代替ウイルスとして動物モデルにも使われていることから、本発明は、ラッサウイルスに対しても、LCMVと同様の薬効を示すことが示唆される。
【0216】
試験例3:ラッサウイルス増殖抑制効果確認試験
(試験方法)Vero E6 細胞を10% FBS DMEM培地で分散し、12well プレートに(105/well)巻いて、CO2インキュベーター(37℃)で24時間培養した。 Lassa virus(Josiah strain,104 PFU/ml)を100 μl 添加し(MOI=0.001)、37℃で1時間反応させた。反応後、2%FBS DMEM培地で3回洗浄した。2%FBS DMEM培地で希釈した本発明化合物または対照化合物を添加し、最終濃度で0.1μM~100μMの濃度とした。(本発明化合物は,0.1μMおよび1μM,対照化合物であるリバビリンは、1μM、10μMおよび100μM用いた。)
CO2インキュベーター(37℃)で培養し、感染24時間後(24h.p.i.)、および48時間後(48 h.p.i.)の各wellの培養上清を回収し、Vero E6 細胞を用いたプラーク法でウイルス感染価を測定した。本発明化合物の薬効(培養上清のウイルス感染価)を、化合物無添加および対照化合物(リバビリン)添加wellと比較した。
(プラーク法)
VeroE6 細胞を10% FBS DMEM培地で分散し、12well プレートに(105/well)巻いて,CO2インキュベーター(37℃)で24時間培養した。 測定サンプル(培養上清)を10-106まで階段希釈し、各wellに感染させた。1時間反応後、2%FBS DMEM培地で1回洗浄し、0.6%Tragacanth 2%FBS MEM培地を1ml添加した。7日後に、培地除去し、10%Formalinで固定後、crystal violetで染色し、プラーク(ウイルスによって,細胞が死に染まらない部分がフォーカスを形成する)数を計測し、最終のウイルス感染価を計算した。
(結果)
結果を以下に示す。表中、「24h.p.i.」は感染24時間後を意味し、「48h.p.i.」は感染48時間後を意味する。ウイルス感染価の単位はPFU/mlである。PFUは、Plaque forming unitを意味する。
【表28】


本発明化合物I-021は対照化合物のリバビリンに比べて有意に強いラッサウイルス増殖抑制効果を示した。
【0217】
試験例3-2:ラッサウイルス増殖抑制効果確認試験
(試験方法)Vero細胞を10% FBS DMEM 培地で分散し、12wellプレートに(105/well)巻いて、CO2インキュベーター(37℃)で24時間培養した。 Lassa virus(LF2384 strain)を100 μl 添加し(MOI=0.01)、37℃で1時間反応させた。反応後、2%FBS DMEM培地で3回洗浄した。2%FBS DMEM培地で希釈した本発明化合物または対照化合物を添加し、最終濃度で2μM~62.5nMの濃度とした。
CO2インキュベーター(37℃)で培養し、感染72時間後(72h.p.i)の各wellの培養上清を回収し、Vero細胞を用いたプラーク法でウイルス感染価を測定した。本発明化合物の薬効(培養上清のウイルス感染価)を、化合物無添加および対照化合物添加wellと比較した。
(プラーク法)
Vero細胞を10% FBS DMEM培地で分散し、12wellプレートに(105/well)巻いて,CO2インキュベーター(37℃)で24時間培養した。 測定サンプル(培養上清)を105まで階段希釈し、各wellに感染させた。1時間反応後、2%FBS DMEM培地で1回洗浄し、0.6%Tragacanth 2%FBS MEM培地を1ml添加した。7日後に、培地除去し、10%Formalinで固定後、crystal violetで染色し、プラーク数を計測し、最終のウイルス感染価を算出した。
90%ウイルス増殖阻害濃度(IC90)は、次のように計算した。
各条件でのウイルス感染価を基に、ウイルスが最大に増えた条件と比較して、ウイルス増殖量を10分の1にする(ウイルス感染価を90%阻害する、IC90)のに、必要な薬剤濃度を計算した。

(結果)
結果を以下および図1に示す。
【表29】

【0218】
以下に、本発明化合物の生物試験例を記載する。
試験例4:CYP阻害試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームを用いて、ヒト主要CYP5分子種(CYP1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)の典型的基質代謝反応として7-エトキシレゾルフィンのO-脱エチル化(CYP1A2)、トルブタミドのメチル-水酸化(CYP2C9)、メフェニトインの4’-水酸化(CYP2C19)、デキストロメトルファンのO脱メチル化(CYP2D6)、テルフェナジンの水酸化(CYP3A4)を指標とし、それぞれの代謝物生成量が本発明化合物によって阻害される程度を評価した。
【0219】
反応条件は以下のとおり:基質、0.5μmol/L エトキシレゾルフィン(CYP1A2)、100μmol/L トルブタミド(CYP2C9)、50μmol/L S-メフェニトイン(CYP2C19)、5μmol/L デキストロメトルファン(CYP2D6)、1μmol/L テルフェナジン(CYP3A4);反応時間、15分;反応温度、37℃;酵素、プールドヒト肝ミクロソーム0.2mg タンパク質/mL;本発明化合物濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
【0220】
96穴プレートに反応溶液として、50mmol/L Hepes緩衝液中に各5種の基質、ヒト肝ミクロソーム、本発明化合物を上記組成で加え、補酵素であるNADPHを添加して、指標とする代謝反応を開始した。37℃、15分間反応した後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を添加することで反応を停止する。3000rpm、15分間の遠心後、遠心上清中のレゾルフィン(CYP1A2代謝物)を蛍光マルチラベルカウンタあるいはLC/MS/MSで定量し、トルブタミド水酸化体(CYP2C9代謝物)、メフェニトイン4’水酸化体(CYP2C19代謝物)、デキストロルファン(CYP2D6代謝物)、テルフェナジンアルコール体(CYP3A4代謝物)をLC/MS/MSで定量した。
【0221】
本発明化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、溶媒に加えた本発明化合物の各濃度における残存活性(%)を算出し、濃度と抑制率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50を算出した。
【0222】
試験例5-1:BA試験
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)使用動物:マウスあるいはSDラットを使用した。
(2)飼育条件:マウスあるいはSDラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させた。
(3)投与量、群分けの設定:経口投与、静脈内投与を所定の投与量により投与した。以下のように群を設定した。(化合物ごとで投与量は変更有)
経口投与 1~30mg/kg(n=2~3)
静脈内投与 0.5~10mg/kg(n=2~3)
(4)投与液の調製:経口投与は溶液または懸濁液として投与した。静脈内投与は可溶化して投与した。
(5)投与方法:経口投与は、経口ゾンデにより強制的に胃内に投与した。静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与した。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、非線形最小二乗法プログラムWinNonlin(登録商標)を用いて血漿中濃度‐時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群のAUCから本発明化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出した。
【0223】
試験例5-2:BA試験
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)使用動物:SDラットを使用した。
(2)飼育条件:SDラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させた。
(3)投与量、群分けの設定:経口投与、静脈内投与を所定の投与量により投与した。以下のように群を設定した。
経口投与 2μmol/kg(n=2)
静脈内投与 1μmol/kg(n=2)
(4)投与液の調製:経口投与は溶液または懸濁液として投与した。静脈内投与は可溶化して投与した。
(5)投与方法:経口投与は、経口ゾンデにより強制的に胃内に投与した。静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより頸静脈から投与した。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、モーメント解析法により血漿中濃度‐時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群のAUCから本発明化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出した。
【0224】
試験例6:代謝安定性試験
プールドヒト肝ミクロソームおよびプールドラット肝ミクロソームと本発明化合物を一定時間反応させ、反応サンプルおよび未反応サンプルの比較により残存率を算出し、本発明化合物が肝で代謝される程度を評価した。
【0225】
ヒトもしくはラット肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris-HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分あるいは30分間反応させた(酸化反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液の100μLに反応液50μLを添加、混合し、3000rpmで15分間遠心する。その遠心上清中の本発明化合物をLC/MS/MSまたは固相抽出(SPE)/MSにて定量し、0分反応時の本発明化合物量を100%として反応後の化合物量との比を残存率として示した。なお、加水分解反応はNADPH非存在下で、グルクロン酸抱合反応はNADPHに換えて5mmol/L UDP-グルクロン酸の存在下で反応を行い、以後同じ操作を実施する。希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更した。
【0226】
試験例7-1:CYP3A4蛍光MBI試験
CYP3A4蛍光MBI試験は、代謝反応による本発明化合物のCYP3A4阻害の増強を調べる試験である。CYP3A4酵素(大腸菌発現酵素)により7-ベンジルオキシトリフルオロメチルクマリン(7-BFC)が脱ベンジル化されて、蛍光を発する代謝物7-ハイドロキシトリフルオロメチルクマリン(7-HFC)が生じる。7-HFC生成反応を指標としてCYP3A4阻害を評価する。
【0227】
反応条件は以下のとおり:基質、5.6μmol/L 7-BFC;プレ反応時間、0または30分;反応時間、15分;反応温度、25℃(室温);CYP3A4含量(大腸菌発現酵素)、プレ反応時62.5pmol/mL、反応時6.25pmol/mL(10倍希釈時);本発明化合物濃度、0.625、1.25、2.5、5、10、20μmol/L(6点)。
【0228】
96穴プレートにプレ反応液としてK-Pi緩衝液(pH7.4)中に酵素、本発明化合物溶液を上記のプレ反応の組成で加え、別の96穴プレートに基質とK-Pi緩衝液で1/10希釈されるようにその一部を移行し、補酵素であるNADPHを添加して指標とする反応を開始し(プレ反応無)、所定の時間反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(V/V)を加えることによって反応を停止する。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加しプレ反応を開始し(プレ反応有)、所定時間プレ反応後、別のプレートに基質とK-Pi緩衝液で1/10希釈されるように一部を移行し指標とする反応を開始する。所定の時間反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(V/V)を加えることによって反応を停止する。それぞれの指標反応を行ったプレートを蛍光プレートリーダーで代謝物である7-HFCの蛍光値を測定する。(Ex=420nm、Em=535nm)
【0229】
本発明化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、本発明化合物をそれぞれの濃度添加したときの残存活性(%)を算出し、濃度と抑制率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50を算出する。IC50値の差が5μmol/L以上の場合を(+)とし、3μmol/L以下の場合を(-)とする。
【0230】
試験例7-2:CYP3A4(MDZ)MBI試験
本発明化合物のCYP3A4阻害に関して代謝反応による増強からMechanism based inhibition(MBI)能を評価する試験である。プールドヒト肝ミクロソームを用いてミダゾラム(MDZ)の1-水酸化反応を指標としてCYP3A4阻害を評価した。
反応条件は以下のとおり:基質、10μmol/L MDZ;プレ反応時間、0または30分;反応時間、2分;反応温度、37℃;プールドヒト肝ミクロソーム、プレ反応時0.5mg/mL、反応時0.05mg/mL(10倍希釈時);本発明化合物プレ反応時の濃度、1、5、10、20μmol/Lあるいは0.83、5、10、20μmol/L(4点)。
96穴プレートにプレ反応液としてK-Pi緩衝液(pH7.4)中にプールドヒト肝ミクロソーム、本発明化合物溶液を上記のプレ反応の組成で加え、別の96穴プレートに基質とK-Pi緩衝液で1/10希釈されるようにその一部を移行し、補酵素であるNADPHを添加して指標とする反応を開始し(プレ反応無)、所定の時間反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を加えることによって反応を停止した。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加しプレ反応を開始し(プレ反応有)、所定時間プレ反応後、別のプレートに基質とK-Pi緩衝液で1/10希釈されるように一部を移行し指標とする反応を開始した。所定の時間反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を加えることによって反応を停止した。それぞれの指標反応を行ったプレートを3000rpm、15分間の遠心後、遠心上清中の1-水酸化ミダゾラムをLC/MS/MSで定量した。
本発明化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、本発明化合物をそれぞれの濃度添加したときの残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりICを算出する。Preincubataion 0minのIC/Preincubataion 30minのICをShifted IC値とし,Shifted ICが1.5以上であればPositive、Shifted ICが1.0以下であればNegativeとした。
【0231】
試験例8:Fluctuation Ames Test
本発明化合物の変異原性を評価した。
凍結保存しているネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98株、TA100株)20μLを10mL液体栄養培地(2.5% Oxoid nutrient broth No.2)に接種し37℃にて10時間、振盪前培養する。TA98株は7.70~8.0mLの菌液を遠心(2000×g、10分間)して培養液を除去した。7.7~8.0mLのMicro F緩衝液(KHPO:3.5g/L、KHPO:1g/L、(NHSO:1g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物:0.25g/L、MgSO・7H0:0.1g/L)に菌を懸濁し、120mLのExposure培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mLを含むMicroF緩衝液)に添加した。TA100株は3.10~3.42mL菌液に対しExposure培地120~130mLに添加し試験菌液を調製した。本発明化合物DMSO溶液(最高用量50mg/mLから2~3倍公比で数段階希釈)、陰性対照としてDMSO、陽性対照として非代謝活性化条件ではTA98株に対しては50μg/mLの4-ニトロキノリン-1-オキシドDMSO溶液、TA100株に対しては0.25μg/mLの2-(2-フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリルアミドDMSO溶液、代謝活性化条件ではTA98株に対して20μg/mLの2-アミノアントラセンDMSO溶液、TA100株に対しては40μg/mLの2-アミノアントラセンDMSO溶液それぞれ12μLと試験菌液588μL(代謝活性化条件では試験菌液498μLとS9 mix 90μLの混合液)を混和し、37℃にて90分間、振盪培養する。本発明化合物を暴露した菌液460μLを、Indicator培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mL、ブロモクレゾールパープル:37.5μg/mLを含むMicroF緩衝液)2300μLに混和し50μLずつマイクロプレート48ウェル/用量に分注し、37℃にて3日間、静置培養した。アミノ酸(ヒスチジン)合成酵素遺伝子の突然変異によって増殖能を獲得した菌を含むウェルは、pH変化により紫色から黄色に変色するため、1用量あたり48ウェル中の黄色に変色した菌増殖ウェルを計数し、陰性対照群と比較して評価した。変異原性が陰性のものを(-)、陽性のものを(+)として示した。
【0232】
試験例9:hERG試験
本発明化合物の心電図QT間隔延長リスク評価を目的として、human ether-a-go-go related gene (hERG)チャンネルを発現させたHEK293細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K電流(IKr)への本発明化合物の作用を検討する。
全自動パッチクランプシステム(PatchXpress 7000A、AxonInstruments Inc.)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を-80mVの膜電位に保持した後、+40mVの脱分極刺激を2秒間、さらに-50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるIKrを記録する。発生する電流が安定した後、本発明化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液(NaCl:135 mmol/L、KCl:5.4 mmol/L、NaHPO:0.3mmol/L、CaCl・2HO:1.8mmol/L、MgCl・6HO:1mmol/L、グルコース:10mmol/L、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、pH=7.4)を室温で、10分間細胞に適用させる。得られたIKrから、解析ソフト(DataXpress ver.1、Molecular Devices Corporation)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を計測する。さらに、本発明化合物適用前の最大テール電流に対する阻害率を算出し、媒体適用群(0.1%ジメチルスルホキシド溶液)と比較して、本発明化合物のIKrへの影響を評価する。
【0233】
試験例9-2:hERG試験
本発明化合物の心電図QT間隔延長リスク評価を目的として、human ether-a-go-go related gene (hERG)チャネルを発現させたCHO細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K電流(IKr)への本発明化合物の作用を検討した。
全自動パッチクランプシステム(QPatch;Sophion Bioscience A/S)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を-80mVの膜電位に保持し、-50mVのリーク電位を与えた後、+20mVの脱分極刺激を2秒間、さらに-50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるIKrを記録した。ジメチルスルホキシドを0.1%に調整した細胞外液(NaCl:145 mmol/L、KCl:4 mmol/L、CaCl:2 mmol/L、MgCl:1 mmol/L、グルコース:10 mmol/L、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、pH=7.4)を媒体とし、媒体及び本発明化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液をそれぞれ室温条件下で、7分以上細胞に適用させた。得られたIKrから、解析ソフト(QPatch Assay software;Sophion Bioscience A/S)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を計測した。さらに、媒体適用後の最大テール電流に対する本発明化合物適用後の最大テール電流を阻害率として算出し、本発明化合物のIKrへの影響を評価した。
【0234】
試験例10:溶解性試験
本発明化合物の溶解度は、1%DMSO添加条件下で決定した。DMSOにて10mmol/L化合物溶液を調製し、本発明化合物溶液2μLをそれぞれJP-1液(塩化ナトリウム2.0g、塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとする)、JP-2液(リン酸二水素カリウム3.40gおよび無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし1000mLとしたもの1容量に水1容量を加える)198μLに添加する。室温で1時間以上振盪させた後、混液を濾過した。各濾液をメタノール/水=1/1(V/V)にて100倍希釈し、絶対検量線法によりLC/MSを用いて濾液中濃度を測定した。
【0235】
試験例11:粉末溶解度試験
適当な容器に本発明化合物を適量入れ、各容器にJP-1液(塩化ナトリウム2.0g、塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとした)、JP-2液(pH6.8のリン酸塩緩衝液500mLに水500mLを加えた)、20mmol/L タウロコール酸ナトリウム(TCA)/JP-2液(TCA1.08gにJP-2液を加え100mLとする)を200μLずつ添加した。試験液添加後に全量溶解した場合には、適宜、本発明化合物を追加した。密閉して37℃で1時間振とう後に濾過し、各濾液100μLにメタノール100μLを添加して2倍希釈を行う。各濾液量と希釈倍率は、必要に応じて変更した。気泡および析出物がないことを確認し、密閉して振とうした。絶対検量線法によりHPLCを用いて本発明化合物を定量した。
【0236】
試験例12 Ames試験
サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)TA98、TA100、TA1535、TA1537および大腸菌(Escherichia coli)WP2uvrAを試験菌株として用い、プレインキュベーション法による非代謝活性化条件下および代謝活性化条件下においてAmes試験を実施し、本発明に係る化合物の遺伝子突然変異誘発性の有無を調べる。本発明化合物のDMSO溶液0.1mLに、代謝活性化条件ではS9mixを0.5mL、非代謝活性化条件ではリン酸緩衝液を0.5mLと試験菌液0.1mLを混和し、ヒスチジン及びビオチン、またはトリプトファン含有の重層用軟寒天2mLと共に最少グルコース寒天平板に重層する。同時に、陰性対照物質(DMSO)および陽性対照物質(2-(2-フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリルアミド、アジ化ナトリウム、9-アミノアクリジン、または2-アミノアントラセン)についても同様に実施する。37℃で48時間培養した後、出現した復帰変異コロニーを計数し、陰性対照群と比較して評価する。復帰変異コロニー数が濃度依存的に増加し、かつ陰性対照群のコロニー数の2倍以上となる場合を陽性と判断する。
【0237】
試験例13 光溶血試験
本発明化合物を目的の濃度で溶解させ、マイクロプレート上において、ヒツジ脱繊維血から調製した0.1~0.0008%濃度の赤血球浮遊液(2.5v/v%)と混合し、紫外線蛍光ランプ(GL20SEランプ、三共電気およびFL20S―BLBランプ、パナソニック)を用いてUVAおよびUVB領域での光照射(10 J/cm、290~400nm)を行う。光照射終了後の混合液を採取し、遠心を行う。遠心後の上清を採取しマイクロプレートに移した後、上清の吸光度(540または630nm)を測定、吸光度を基にした判定を行う。540および630nmでの吸光度は、それぞれ生体膜損傷(光溶血率%)および脂質膜過酸化(メトヘモグロビン産生)の指標とする。光溶血率が10%未満であり、630nmでの吸光度の変化量が0.05未満の場合を(-)とし、光溶血率が10%以上であり、630nmでの吸光度の変化量が0.05以上の場合を(+)とする。
【0238】
試験例14:クリアランス評価試験
実験材料と方法
(1)使用動物:ラットを使用した。
(2)飼育条件:ラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させた。
(3)投与量、群分けの設定:静脈内投与を所定の投与量により投与した。以下のように群を設定した。
静脈内投与 1μmol/kg(n=2)
(4)投与液の調製:ジメチルスルホキシド/プロピレングリコール=1/1溶媒を用いて可溶化して投与した。
(5)投与方法:注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与した。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、モーメント解析法により全身クリアランス(CLtot)および消失半減期(t1/2)を算出した。
【0239】
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
本発明の化合物は、任意の従来の経路により、特に、経腸、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経口で、例えば注射液剤または懸濁剤の形態で、局所で、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形態で、または経鼻形態または座剤形態で医薬組成物として投与することができる。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒にして、遊離形態または薬学的に許容される塩の形態の本発明の化合物を含む医薬組成物は、従来の方法で、混合、造粒またはコーティング法によって製造することができる。例えば、経口用組成物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等および有効成分等を含有する錠剤、顆粒剤、カプセル剤とすることができる。また、注射用組成物としては、溶液剤または懸濁剤とすることができ、滅菌されていてもよく、また、保存剤、安定化剤、緩衝化剤等を含有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0240】
本発明に係る化合物は、体内への吸収後にアレナウイルス増殖阻害活性を有する。本発明に係る化合物は、アレナウイルス、好ましくは、旧世界アレナウイルス(例:ラッサウイルス、ルジョウイルス,ルナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス等)および/または新世界アレナウイルス(例:フニンウイルス等)に感染することより誘発される症状及び/又は疾患の治療及び/又は予防剤として有用な医薬となり得る。
図1