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  • 特許-分縮器、塔頂分縮器、空気分離装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】分縮器、塔頂分縮器、空気分離装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/06 20060101AFI20230706BHJP
   F25J 3/02 20060101ALI20230706BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20230706BHJP
   F25J 3/04 20060101ALI20230706BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230706BHJP
   F28D 1/03 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
F25J3/06
F25J3/02 A
F25J5/00
F25J3/04 104
F25J3/04 101
F28F3/08 301A
F28D1/03
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021039866
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139461
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】江越 信明
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-039386(JP,A)
【文献】特開2002-147947(JP,A)
【文献】特開平11-244603(JP,A)
【文献】特開2013-205010(JP,A)
【文献】特開2007-192466(JP,A)
【文献】特開2016-044894(JP,A)
【文献】特開2017-090035(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158734(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2431103(FR,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008045736(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 5/00
F25J 3/06
F25J 3/02
F25J 5/00
F25J 3/04
F28F 3/08
F28D 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発する液体が通流する蒸発通路と該蒸発通路を流れる液体と熱交換して凝縮蒸留するための蒸気が通流する凝縮蒸留通路とを有する熱交換器ブロックと、該熱交換器ブロックを浸漬させると共に前記蒸発通路に流入する液体を貯液するための容器と、前記熱交換器ブロックの底面に設けられて前記凝縮蒸留通路に前記蒸気を供給するための蒸気供給ヘッダーと、前記凝縮蒸留通路で蒸留された残留蒸気を取り出すための残留蒸気ヘッダーとを備え、
前記熱交換器ブロックの頂面に前記残留蒸気の導出口となる残留蒸気用開口が設けられ、前記残留蒸気ヘッダーは該残留蒸気用開口を覆うように前記熱交換器ブロックの頂面に設けられ、前記蒸発通路からの気液2相流体の導出口となる気液2相流用開口が前記熱交換ブロックの上部側面に設けられていることを特徴とする分縮器。
【請求項2】
前記残留蒸気ヘッダーは、前記熱交換器ブロックの頂面全体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分縮器。
【請求項3】
前記熱交換器ブロックは、残留蒸気を前記熱交換器ブロックの頂面の一部に集約するためのフィンを有し、残留蒸気用開口は前記フィンによって集約された部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分縮器。
【請求項4】
蒸留塔の塔頂部に設けられる塔頂分縮器であって、
請求項1乃至3のいずれかに記載の分縮器と、該分縮器の前記蒸気供給ヘッダーに連結されて前記蒸留塔の塔壁と接続される底板と、前記蒸気供給ヘッダーを経て流下する液体を収集するための液収集器とを備えたことを特徴とする塔頂分縮器。
【請求項5】
空気から窒素、酸素、アルゴンを採取する複式精留システムからなる空気分離装置であって、請求項4記載の塔頂分縮器をアルゴン塔の塔頂分縮器として備えることを特徴とする空気分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発通路と凝縮蒸留通路を備えた熱交換器ブロックによって構成される分縮器、該分縮器を用いた塔頂分縮器、該塔頂分縮器を備えた空気分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分縮器は、分離装置あるいは蒸気を部分的に凝縮させるための凝縮器として用いられる。このような分縮器には、プレートとフィンによって蒸発通路及び凝縮蒸留通路が構成されるプレートフィン型熱交換器が適用される。
【0003】
分縮器においては、蒸発通路に冷媒として液体が供給され、凝縮蒸留通路には底部から多成分系の蒸気が導入される。凝縮蒸留通路に導入された蒸気は、蒸発通路の冷媒との熱交換により、部分的に液化され、蒸気と液体とが向流で接触して物質移動が行われる。そのため、蒸気は低沸点成分を濃縮させながら上昇し、生じた液体は高沸点成分を濃縮させながら下降する。
【0004】
特許文献1には、このような分縮器(特許文献1では「還流凝縮器」と記載、特許文献2も同じ)が空気分離装置の粗アルゴン塔の塔頂凝縮器として用いられることが開示されている。
また、特許文献2には、蒸発通路と凝縮蒸留通路からなる熱交換器ブロックによる分縮器が記載され、凝縮蒸留通路に蒸気を導入する手段、低沸点成分を濃縮した蒸気を取り出す手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-30966号公報
【文献】特開2008-39386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された分縮器においては、凝縮蒸留通路に蒸気を導入するためのヘッダーが熱交換器ブロックの底面に設けられ、凝縮蒸留通路で低沸点成分を濃縮した蒸気を導出するためのヘッダーが熱交換器ブロックの上部側面に設けられている。
この場合、底面から凝縮蒸留通路に導入された蒸気は、凝縮に伴い低沸点成分を濃縮させながら上向きに流れるが、その蒸気を凝縮蒸留通路から導出するためには、蒸気の流れの向きをヘッダーが設けられている側面側にほぼ90°変えなければならない。
【0007】
このため、凝縮蒸留通路内に流れの方向を大きく変えるためのディストリビュータを設けることになり、この部分では熱交換や物質移動が十分できないため、熱交換効率及び物質移動効率が低下するという問題があった。
また、凝縮蒸留通路に導入する蒸気に非凝縮性成分ガスが含まれる場合、その非凝縮性成分ガスがディストリビュータに滞留し、効率がさらに低下してしまうという問題があった。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、熱交換効率及び物質移動効率に優れ、導入される蒸気に非凝縮性成分が含まれる場合においても熱交換効率及び物質移動効率を改善できる分縮器、該分縮器を蒸留塔の塔頂部に用いた塔頂分縮器、該塔頂分縮器を備えた空気分離装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る分縮器は、蒸発する液体が通流する蒸発通路と該蒸発通路を流れる液体と熱交換して凝縮蒸留するための蒸気が通流する凝縮蒸留通路とを有する熱交換器ブロックと、該熱交換器ブロックを浸漬させると共に前記蒸発通路に流入する液体を貯液するための容器と、前記熱交換器ブロックの底面に設けられて前記凝縮蒸留通路に前記蒸気を供給するための蒸気供給ヘッダーと、前記凝縮蒸留通路で蒸留された残留蒸気を取り出すための残留蒸気ヘッダーとを備え、
前記熱交換器ブロックの頂面に前記残留蒸気の導出口となる残留蒸気用開口が設けられ、前記残留蒸気ヘッダーは該残留蒸気用開口を覆うように前記熱交換器ブロックの頂面に設けられ、前記蒸発通路からの気液2相流体の導出口となる気液2相流用開口が前記残留蒸気ヘッダーで覆われていない領域に設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記残留蒸気ヘッダーは、前記熱交換器ブロックの頂面全体を覆うように設けられ、前記気液2相流用開口は前記熱交換器ブロックの上部側面に設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記熱交換器ブロックは、残留蒸気を前記熱交換器ブロックの頂面の一部に集約するためのフィンを有し、残留蒸気用開口は前記フィンによって集約された部位に設けられ、前記気液2相流用開口は前記頂面における前記残留蒸気ヘッダーで覆われていない領域に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
(4)また、本発明に係る塔頂分縮器は、蒸留塔の塔頂部に設けられるものであって、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の分縮器と、該分縮器の前記蒸気供給ヘッダーに連結されて前記蒸留塔の塔壁と接続される底板と、前記蒸気供給ヘッダーを経て流下する液体を収集するための液収集器とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
(5)また、本発明に係る空気分離装置は、空気から窒素、酸素、アルゴンを採取する複式精留システムからなる空気分離装置であって、上記(4)に記載の塔頂分縮器をアルゴン塔の塔頂分縮器として備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る分縮器においては、熱交換器ブロックの頂面に残留蒸気の導出口となる残留蒸気用開口が設けられ、残留蒸気ヘッダーは該残留蒸気用開口を覆うように熱交換器ブロックの頂面に設けられていることにより、凝縮蒸留通路内の流れの方向を大きく変えるディストリビュータ等を設ける必要がなく凝縮蒸留通路の全長に亘って熱交換と物質移動を行うことができる。それ故に、熱交換効率及び物質移動効率に優れ、導入される蒸気に非凝縮性成分ガスが含まれる場合においても熱交換効率及び物質移動効率を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る分縮器の説明図である。
図2図1に示した分縮器の凝縮蒸留通路(a)と蒸発通路(b)の説明図である。
図3図1に示した分縮器を蒸留塔の塔頂部に設けられる塔頂分縮器とした場合の説明図である。
図4】凝縮蒸留通路(a)と蒸発通路(b)の他の態様の説明図である。
図5図4に示した凝縮蒸留通路と蒸発通路を備えた分縮器を蒸留塔の塔頂部に設けられる塔頂分縮器とした場合の説明図である。
図6図4に示した塔頂分縮器を空気分離装置に適用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態に係る分縮器1は、図1に示すように、蒸発する液体が通流する蒸発通路3と蒸発通路3を流れる液体と熱交換して凝縮蒸留するための蒸気が通流する凝縮蒸留通路5とを有する熱交換器ブロック7と、熱交換器ブロック7を浸漬させると共に蒸発通路3に流入する液体を貯液するための容器9と、熱交換器ブロック7の底面に設けられて凝縮蒸留通路5に蒸気を供給するための蒸気供給ヘッダー11と、凝縮蒸留通路5で蒸留された残留蒸気を取り出すための残留蒸気ヘッダー13とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
なお、図1における矢印は流体の流れの向きを示している。また、矢印に付したVは蒸気(Vapor)、Lは液体(Liquid)を示している。また、VやLに添えているWはその流体が暖かい(warm)ことを、cは冷たい(cold)ことを示している。さらに、wやcに添えているiはその流体が入ってくる(in)ものであることを、oはその流体が出てゆく(out)ものであることを示している。
【0017】
<熱交換器ブロック>
熱交換器ブロック7はプレートとフィンによって構成され、蒸発する液体が通流する蒸発通路3と蒸発通路3を流れる液体と熱交換して凝縮蒸留するための蒸気が通流する凝縮蒸留通路5とを有している。
【0018】
蒸発通路3は、図1図2(b)に示すように、熱交換器ブロック7の下部から上部に亘って設けられている。蒸発通路3の下端には、図2(b)に示すように、容器9内の液体を導入するための液体導入路15が設けられ、液体導入路15の入り口には液体導入開口15aが設けられている。
また、蒸発通路3の上端には気液2相流体を導出するための気液2相流体導出路17が設けられ、気液2相流体導出路17の出口には気液2相流用開口17aが設けられている。気液2相流用開口17aが設けられている領域は、残留蒸気ヘッダー13で覆われていない熱交換器ブロック7の上部側面の領域である。
蒸発通路3の液体導入路15と気液2相流体導出路17は、図2(b)に示すように、フィンを横向きにすることで形成されている。なお、図2において各通路に記載した線の向きは当該通路に設けられるフィンの向きを示している。
【0019】
凝縮蒸留通路5は、図1図2(a)に示すように、熱交換器ブロック7の下端から上端に亘って設けられている。そして、凝縮蒸留通路5の下端が蒸気を導入する蒸気導入用開口5aとなり、上端が残留蒸気を導出する残留蒸気用開口5bとなっている。残留蒸気用開口5bは、熱交換器ブロック7の頂面に位置している。
【0020】
本実施の形態では、残留蒸気用開口5bを熱交換器ブロック7の頂面に設けているので、図2(a)に示すように、凝縮蒸留通路5を流れる蒸気の流れの向きを変える必要がなく、それ故にディストリビュータ等を設ける必要がない。そのため、ディストリビュータ等を設けることによって発生する熱交換や物質移動への悪影響がない。また、凝縮蒸留通路5に導入する蒸気に非凝縮性成分ガスが含まれる場合であっても、その非凝縮性成分ガスがディストリビュータ等に滞留することがないので、効率が低下するという問題も発生しない。
【0021】
<容器>
容器9は、熱交換器ブロック7を浸漬させて、蒸発通路3に流入する液体を貯液するためのものである。容器9の上部には、容器9内のガスを排出するためのガス排出管19が設けられている。また、容器9内に液体を供給するための液体供給管20が設けられている。
【0022】
<蒸気供給ヘッダー>
蒸気供給ヘッダー11は、熱交換器ブロック7の底面に設けられて凝縮蒸留通路5に蒸気を供給するためのものである。蒸気供給ヘッダー11は、図1に示すように、熱交換器ブロック7の底面全体を覆うように設けられ、熱交換器ブロック7に形成された全ての凝縮蒸留通路5と連通するように設けられている。
【0023】
<残留蒸気ヘッダー>
残留蒸気ヘッダー13は、凝縮蒸留通路5で蒸留された残留蒸気を取り出すためのものであり、残留蒸気用開口5bを覆うように熱交換器ブロック7の頂面に設けられている。
図1に示す例では、残留蒸気ヘッダー13は熱交換器ブロック7の頂面全体を覆うように設けられ、残留蒸気ヘッダー13には残留蒸気を外部に取り出すための残留蒸気取出し管21が設けられている。
【0024】
[動作説明]
次に、上記のように構成された本実施の形態に係る分縮器1の動作を図1に基づいて説明する。
容器9には冷媒となる液体(Lc)が貯留されており、この液体(Lc)は熱交換器ブロック7の液体導入開口15aから液体導入路15を通過して蒸発通路3に導入される。
一方、凝縮蒸留の対象となる多成分系の蒸気(Vw)は、外部から蒸気供給ヘッダー11を介して凝縮蒸留通路5に導入される。
蒸発通路3に導入された液体(Lc)は、凝縮蒸留通路5を流れる流体から熱を受け、その一部が蒸発する。その蒸発により、蒸発通路3を流れる流体の密度が、容器9に貯液されている液体の密度より小さくなり、上向きへの流れが生じ、熱交換器ブロック7の気液2相流体導出路17を介して気液2相流用開口17aから気液2相流体(Lc+Vc)として容器9に戻される。気液2相流用開口17aから排出されたガス(Vc)は容器9のガス排出管19から外部に排出され、液体(Lc)は再び容器9内に貯液される。
【0025】
一方、凝縮蒸留通路5に導入された蒸気(Vw)は、通路内を上昇し、上昇に伴い、蒸発通路3を流れる流体との熱交換により、その一部が凝縮して下降液が生じる。よって上昇ガスと下降液との間で向流接触が生じ、蒸気は上昇するにつれ低沸点成分が濃縮し、残留蒸気用開口5bから頂面の残留蒸気ヘッダー13を経て残留蒸気取出し管21から容器9の外部に取り出される。
他方、凝縮蒸留通路5内で凝縮して生成した液体は下降するにつれて高沸点成分が濃縮し、底面の蒸気供給ヘッダー11を経て導出される。
【0026】
この際の凝縮蒸留通路5は、図2(a)に示すように、流れの向きを変えることがないので、熱交換器ブロック7の全高さにおいて気液が効率的に接触でき、また流れがスムーズなため、非凝縮性成分が含まれる場合においても、その成分ガスを滞留させることなく排出することできる。その効率化は、例えば、伝熱面積を10%以上削減することに相当し、熱交換器ブロック7の小型化に資することができる。
【0027】
上記のように構成された分縮器1は、例えば図3に示すように、蒸留塔の塔頂部に設けられる塔頂分縮器23として用いることができる。塔頂分縮器23として用いた場合の特有の構成について図3に基づいて説明する。なお、図3において、図1と同一部分には同一の符号が付してある。
【0028】
塔頂分縮器23とした場合、蒸気供給ヘッダー11が容器9の底板25に固定され、蒸気供給ヘッダー11を経て流下する液体を捕集する液収集器27が底板25の下方に設けられる。液収集器27は、例えば流下した液を収集するための液収集路29と、流下する液を液収集路29に導くための傘31と、塔内の蒸気が通過して上昇するための通路となる蒸気上昇路33と、塔壁に設けられて液収集路29と接続された周路35と、周路35と接続されて液を取り出すための液取出し管37から構成される。
【0029】
上記のように構成された塔頂分縮器23においては、蒸気供給ヘッダー11を経て流下した液体(Lw)は、傘31に導かれて液収集路29に集められ、各液収集路29から周路35に導かれ、周路35に接続された液取出し管37により取り出される。
【0030】
なお、上記の実施の形態では、残留蒸気ヘッダー13を熱交換器ブロック7の頂面の全領域に設け、気液2相流用開口17aを熱交換器ブロック7上部の側面に設けたものであったが、残留蒸気ヘッダー13を熱交換器ブロック7の頂面の一部に設け、頂面における残留蒸気ヘッダー13を設けていない領域に気液2相流用開口17aを設けるようにしてもよい。
【0031】
この場合の凝縮蒸留通路5と蒸発通路3の構成の一例を図4に示す。凝縮蒸留通路5は、図4(a)に示すように、上部に凝縮蒸留通路5を中央に集約するための集約通路39と、集約通路39に連通する中央通路41を有している。
また、蒸発通路3は、図4(b)に示すように、その上部に熱交換器ブロック7の頂面中央部を避けるように頂面の両側に分岐する分岐路43が設けられている。そして、分岐路43が気液2相流体導出路17に接続されている。
このような態様であっても、図1図2に示したものと同様の効果が得られる。
【0032】
また、凝縮蒸留通路5と蒸発通路3を図4に示す態様にした分縮器1を塔頂分縮器23とした場合の一例を図5に示す。図5において、図3と同一部分及び対応する部分には同一の符号が付してある。
【0033】
次に塔頂分縮器23を備えた空気分離装置について図6に基づいて説明する。なお、図6において、図3と同一部分には同一の符号が付してある。
空気分離装置45は、空気から窒素、酸素、アルゴンを採取する複式精留システムからなり、主な構成として、高圧塔47と、低圧塔49と、低圧塔49の下部に配設された主凝縮器51と、アルゴン塔53を備えている。そして、アルゴン塔53の塔頂部に塔頂分縮器23が設けられている。
【0034】
上記のような空気分離装置45においては、原料空気は、高圧塔47の底部に送り込まれて蒸留され、窒素ガス、酸素に富む液体空気(酸素富化液体空気)に分離される。低圧塔49の中央部からは、酸素を主成分とし、アルゴンが5~15%で微量の窒素を含む組成の原料ガス(アルゴン含有酸素ガス)が抜き出されアルゴン塔53の底部に導入される。
【0035】
アルゴン塔53に導入されたアルゴン含有酸素ガスはアルゴン塔53内を上昇し、アルゴンが濃縮し、分縮器1に導入される。
分縮器1に導入されたアルゴン濃縮ガスは、蒸発通路3を流れる酸素富化液体空気を蒸発させ、凝縮蒸留通路5を凝縮しながら上昇し、高沸点成分である酸素を減少させ、また低沸点成分である窒素を濃縮させ、アルゴンガス(不純物ガス)として分縮器1の残留蒸気ヘッダー13から排出される。
一方、凝縮蒸留通路5で凝縮して下降した液体は液収集器27を経てその一部が製品である液体アルゴンとして取り出される。
【符号の説明】
【0036】
1 分縮器
3 蒸発通路
5 凝縮蒸留通路
5a 蒸気導入用開口
5b 残留蒸気用開口
7 熱交換器ブロック
9 容器
11 蒸気供給ヘッダー
13 残留蒸気ヘッダー
15 液体導入路
15a 液体導入開口
17 気液2相流体導出路
17a 気液2相流用開口
19 ガス排出管
20 液体供給管
21 残留蒸気取出し管
23 塔頂分縮器
25 底板
27 液収集器
29 液収集路
31 傘
33 蒸気上昇路
35 周路
37 液取出し管
39 集約通路
41 中央通路
43 分岐路
45 空気分離装置
47 高圧塔
49 低圧塔
51 主凝縮器
53 アルゴン塔
図1
図2
図3
図4
図5
図6