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特許7308527電熱線土中埋設装置、及び電熱線土中埋設方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】電熱線土中埋設装置、及び電熱線土中埋設方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/20 20060101AFI20230707BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A01G9/20 A
A01G7/00 602Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020006769
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021112158
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】福重 伸隆
(72)【発明者】
【氏名】三池 徳近
(72)【発明者】
【氏名】矢野 節雄
(72)【発明者】
【氏名】河野 一彦
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119347(JP,A)
【文献】特開平10-201305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00,9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電熱線を巻き付けるロール部と、
前記電熱線を土中に導くガイド部と
を備え、
前記ロール部に巻き付けた前記電熱線を、前記ガイド部によって前記土中に導く電熱線土中埋設装置であって、
前記ロール部には、前記電熱線の中間部を引っ掛ける取手部を有し、
前記ガイド部として、一端側の前記電熱線をガイドする一方ガイド部と、他端側の前記電熱線をガイドする他方ガイド部とを有し、
前記取手部に前記電熱線を引っ掛けて前記電熱線を前記ロール部に巻き付け、
前記一端側の前記電熱線を前記一方ガイド部から前記土中に送り出し、
前記他端側の前記電熱線を前記他方ガイド部から前記土中に送り出す
ことを特徴とする電熱線土中埋設装置。
【請求項2】
前記取手部が、前記ロール部のロール面に取り付けた板材で構成され、
前記取手部によって、前記一端側の前記電熱線と前記他端側の前記電熱線とが所定の距離を持って前記ロール部に巻き付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項3】
前記ロール部として、第1ロール部と第2ロール部とを有し、
前記第1ロール部及び前記第2ロール部は、回転軸に取り付けられ、
前記第1ロール部には第1ロック機構を、前記第2ロール部には第2ロック機構を、それぞれ有し、
前記第1ロック機構によって前記第1ロール部を前記回転軸とともに回転させ、
前記第2ロック機構によって前記第2ロール部を前記回転軸とともに回転させ、
前記第1ロック機構又は前記第2ロック機構を解除することで前記第1ロール部又は前記第2ロール部には前記回転軸の回転が伝わらない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項4】
前記ロール部として、第3ロール部を有し、
前記第3ロール部は、前記回転軸に取り付けられ、
前記第3ロール部には第3ロック機構を有し、
前記第3ロック機構によって前記第3ロール部を前記回転軸とともに回転させ、
前記第3ロック機構を解除することで前記第3ロール部には前記回転軸の前記回転が伝わらない
ことを特徴とする請求項3に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項5】
前記ガイド部が、前記ガイド部の下端の高さを変更できる高さ調整機構を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項6】
前記ガイド部が、導管で構成され、
前記導管には、前記電熱線が通過できるスリットを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項7】
埋設時には、前記電熱線が前記導管の後方から引き出され、
前記導管の前記後方以外の位置に、前記スリットを形成した
ことを特徴とする請求項6に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項8】
前記導管の前方に土分け用板材を設けた
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項9】
前記導管の下部に、リング材を脱着可能に設け、
前記リング材には、前記電熱線が通過できるリング材側スリットを有する
ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項10】
前記導管の上部に、前記電熱線を係止する係止材を設け、
前記係止材を介して、前記電熱線を前記ロール部から前記導管に導く
ことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項11】
土を耕すロータリ部を備え、
前記ガイド部を、前記ロータリ部の後方に配置する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項12】
畝立てを行う畝立て部を備え、
前記ガイド部を、前記畝立て部の前方に配置する
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置。
【請求項13】
電熱線を巻き付けるロール部と、
前記電熱線を土中に導くガイド部と
を備え、
前記ロール部に巻き付けた前記電熱線を、前記ガイド部によって前記土中に導く電熱線土中埋設方法であって、
前記ロール部に前記電熱線の中間部を引っ掛け、前記電熱線を前記ロール部に巻き付ける電熱線巻取りステップと、
前記電熱線を前記ガイド部に取り付ける電熱線配置ステップと、
前記電熱線の一端と前記電熱線の他端とを前記土中に固定する電熱線端部固定ステップと、
前記電熱線端部固定ステップの後に、前記ロール部及び前記ガイド部を移動させることで、前記ガイド部から前記電熱線を送り出して前記電熱線を前記土中に埋設する電熱線埋設ステップと
を有する
ことを特徴とする電熱線土中埋設方法。
【請求項14】
土を耕すロータリ部を備え、
前記電熱線埋設ステップでは、前記ロータリ部で耕した前記土中に前記電熱線を埋設する
ことを特徴とする請求項13に記載の電熱線土中埋設方法。
【請求項15】
畝立てを行う畝立て部を備え、
前記電熱線埋設ステップにおいて前記畝立て部で前記畝立てを行う
ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の電熱線土中埋設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電熱線を土中に埋設する電熱線土中埋設装置及び電熱線土中埋設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カンショ苗床やイチゴの畝等では冬期あるいは寒冷地で温床を行っている。一般に、苗床や畝の下に電熱線を配置し加温するが、これまでは電熱線装置の作業は人力にて行っていた。電熱線設置は、苗床や畝の全面の土壌を堀りあげ電熱線を張り巡らした後に覆土、苗床造成を行うが、これらの作業は重労働であった。そのため、生産者からは苗床造成と同時に電熱線の配線が出来ないかとの要望がある。電熱線配置を歩行あるいは乗用トラクタを用いて簡便に行うことが出来れば、作業時間の短縮だけではなく、規模拡大あるいは現在労力不足で温床を行うことが出来ない生産者への拡大が期待できる。
ところで、特許文献1には、耕耘機と共に進行することで耕耘直後の土に溝を形成する溝形成器と、溝形成器の後方の発熱体供給位置に、土壌を加温するための発熱体を上方から連続的あるいは断続的に供給する発熱体供給装置とを具備してなる発熱体敷設機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-119374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示されている発熱体敷設機によれば、耕耘作業とともに発熱体を埋設することができるが、更に効率よい装置が望まれている。
【0005】
本発明は、電熱線の埋設作業を更に効率よく行うことができる電熱線土中埋設装置及び電熱線土中埋設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の電熱線土中埋設装置は、電熱線10を巻き付けるロール部20と、前記電熱線10を土中に導くガイド部30とを備え、前記ロール部20に巻き付けた前記電熱線10を、前記ガイド部30によって前記土中に導く電熱線土中埋設装置であって、前記ロール部20には、前記電熱線10の中間部10Mを引っ掛ける取手部21を有し、前記ガイド部30として、一端側の前記電熱線10Rをガイドする一方ガイド部30Rと、他端側の前記電熱線10Lをガイドする他方ガイド部30Lとを有し、前記取手部21に前記電熱線10を引っ掛けて前記電熱線10を前記ロール部20に巻き付け、前記一端側の前記電熱線10を前記一方ガイド部30Rから前記土中に送り出し、前記他端側の前記電熱線10Lを前記他方ガイド部30Lから前記土中に送り出すことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の電熱線土中埋設装置において、前記取手部21が、前記ロール部20のロール面に取り付けた板材21aで構成され、前記取手部21によって、前記一端側の前記電熱線10と前記他端側の前記電熱線10Lとが所定の距離を持って前記ロール部20に巻き付けられることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の電熱線土中埋設装置において、前記ロール部20として、第1ロール部20Aと第2ロール部20Bとを有し、前記第1ロール部20A及び前記第2ロール部20Bは、回転軸22に取り付けられ、前記第1ロール部20Aには第1ロック機構23Aを、前記第2ロール部20Bには第2ロック機構23Bを、それぞれ有し、前記第1ロック機構23Aによって前記第1ロール部20Aを前記回転軸22とともに回転させ、前記第2ロック機構23Bによって前記第2ロール部20Bを前記回転軸22とともに回転させ、前記第1ロック機構23A又は前記第2ロック機構23Bを解除することで前記第1ロール部20A又は前記第2ロール部20Bには前記回転軸22の回転が伝わらないことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の電熱線土中埋設装置において、前記ロール部20として、第3ロール部20Cを有し、前記第3ロール部20Cは、前記回転軸22に取り付けられ、前記第3ロール部20Cには第3ロック機構23Cを有し、前記第3ロック機構23Cによって前記第3ロール部20Cを前記回転軸22とともに回転させ、前記第3ロック機構23Cを解除することで前記第3ロール部20Cには前記回転軸22の前記回転が伝わらないことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置において、前記ガイド部30が、前記ガイド部30の下端の高さを変更できる高さ調整機構31を有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置において、前記ガイド部30が、導管で構成され、前記導管には、前記電熱線10が通過できるスリット32を有することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の電熱線土中埋設装置において、埋設時には、前記電熱線10が前記導管の後方から引き出され、前記導管の前記後方以外の位置に、前記スリット32を形成したことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6又は請求項7に記載の電熱線土中埋設装置において、前記導管の前方に土分け用板材35を設けたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置において、前記導管の下部に、リング材33を脱着可能に設け、前記リング材33には、前記電熱線10が通過できるリング材側スリット34を有することを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置において、前記導管の上部に、前記電熱線10を係止する係止材36を設け、前記係止材36を介して、前記電熱線10を前記ロール部20から前記導管に導くことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置において、土を耕すロータリ部40を備え、前記ガイド部30を、前記ロータリ部40の後方に配置することを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の電熱線土中埋設装置において、畝立てを行う畝立て部50を備え、前記ガイド部30を、前記畝立て部50の前方に配置することを特徴とする。
請求項13記載の本発明の電熱線土中埋設方法は、電熱線10を巻き付けるロール部20と、前記電熱線10を土中に導くガイド部30とを備え、前記ロール部20に巻き付けた前記電熱線10を、前記ガイド部30によって前記土中に導く電熱線土中埋設方法であって、前記ロール部20に前記電熱線10の中間部10Mを引っ掛け、前記電熱線10を前記ロール部20に巻き付ける電熱線巻取りステップS1と、前記電熱線10を前記ガイド部30に取り付ける電熱線配置ステップS2と、前記電熱線10の一端と前記電熱線10の他端とを前記土中に固定する電熱線端部固定ステップS3と、前記電熱線端部固定ステップS3の後に、前記ロール部20及び前記ガイド部30を移動させることで、前記ガイド部30から前記電熱線10を送り出して前記電熱線10を前記土中に埋設する電熱線埋設ステップS4とを有することを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項13に記載の電熱線土中埋設方法において、土を耕すロータリ部40を備え、前記電熱線埋設ステップS4では、前記ロータリ部40で耕した前記土中に前記電熱線10を埋設することを特徴とする。
請求項15記載の本発明は、請求項13又は請求項14に記載の電熱線土中埋設方法において、畝立てを行う畝立て部50を備え、前記電熱線埋設ステップS4において前記畝立て部50で前記畝立てを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電熱線土中埋設装置及び電熱線土中埋設方法によれば、一端側の電熱線と他端側の電熱線を同時に埋設するため、電熱線の埋設作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による電熱線土中埋設装置の全体を示す写真
図2】同電熱線土中埋設装置の第1ロール部を示す写真
図3】同電熱線土中埋設装置の第2ロール部への電熱線の巻き始めの状態を示す写真
図4】同電熱線土中埋設装置の第2ロール部への電熱線の巻き取りを終了した状態を示す写真
図5】同電熱線土中埋設装置のガイド部を前方から見た写真
図6】同電熱線土中埋設装置のガイド部の下部を示す写真
図7】同電熱線土中埋設装置のガイド部を後方から見た写真
図8】同電熱線土中埋設装置のリング材を示す写真
図9】同電熱線土中埋設装置のガイド部の上部を示す写真
図10】同電熱線土中埋設装置の使用状態を示す写真
図11】同電熱線土中埋設装置の使用状態を示す写真
図12】同電熱線土中埋設装置の使用状態を示す概念図
図13】本実施例による電熱線土中埋設方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による電熱線土中埋設装置は、ロール部には、電熱線の中間部を引っ掛ける取手部を有し、ガイド部として、一端側の電熱線をガイドする一方ガイド部と、他端側の電熱線をガイドする他方ガイド部とを有し、取手部に電熱線を引っ掛けて電熱線をロール部に巻き付け、一端側の電熱線を一方ガイド部から土中に送り出し、他端側の電熱線を他方ガイド部から土中に送り出すものである。本実施の形態によれば、一端側の電熱線と他端側の電熱線を同時に埋設するため、電熱線の埋設作業を効率よく行うことができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による電熱線土中埋設装置において、取手部が、ロール部のロール面に取り付けた板材で構成され、取手部によって、一端側の電熱線と他端側の電熱線とが所定の距離を持ってロール部に巻き付けられるものである。本実施の形態によれば、ロール部への巻き付け時やロール部からの送り出し時における電熱線への負担を軽減でき、電熱線の断線を効果的に防止できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による電熱線土中埋設装置において、ロール部として、第1ロール部と第2ロール部とを有し、第1ロール部及び第2ロール部は、回転軸に取り付けられ、第1ロール部には第1ロック機構を、第2ロール部には第2ロック機構を、それぞれ有し、第1ロック機構によって第1ロール部を回転軸とともに回転させ、第2ロック機構によって第2ロール部を回転軸とともに回転させ、第1ロック機構又は第2ロック機構を解除することで第1ロール部又は第2ロール部には回転軸の回転が伝わらないものである。本実施の形態によれば、一方向への移動で、二条又は四条で電熱線を埋設でき、第1ロック機構又は第2ロック機構を解除できるため、第1ロール部への電熱線の巻き付け作業と第2ロール部への電熱線の巻き付け作業を別々に行うことができ、ロール部への電熱線の巻き付け作業を容易に行える。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による電熱線土中埋設装置において、ロール部として、第3ロール部を有し、第3ロール部は、回転軸に取り付けられ、第3ロール部には第3ロック機構を有し、第3ロック機構によって第3ロール部を回転軸とともに回転させ、第3ロック機構を解除することで第3ロール部には回転軸の回転が伝わらないものである。本実施の形態によれば、一方向への移動で、二条、四条、又は六条で電熱線を埋設でき、第1ロール部、第2ロール部、及び第3ロール部への電熱線の巻き付け作業を別々に行うことができるため、ロール部への電熱線の巻き付け作業を容易に行える。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれかの実施の形態による電熱線土中埋設装置において、ガイド部が、ガイド部の下端の高さを変更できる高さ調整機構を有するものである。本実施の形態によれば、電熱線の埋設高さを変更できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5のいずれかの実施の形態による電熱線土中埋設装置において、ガイド部が、導管で構成され、導管には、電熱線が通過できるスリットを有するものである。本実施の形態によれば、導管を用いて電熱線を土中に埋設できるとともに、スリットによって電熱線の導管への着脱を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による電熱線土中埋設装置において、埋設時には、電熱線が導管の後方から引き出され、導管の後方以外の位置に、スリットを形成したものである。本実施の形態によれば、スリットを電熱線が引き出される位置以外に形成することで、電熱線の埋設時に、電熱線が導管から離脱することを防止できる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第6又は第7の実施の形態による電熱線土中埋設装置において、導管の前方に土分け用板材を設けたものである。本実施の形態によれば、土分け用板材によって埋設時における導管への負荷を軽減できる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第6から第8のいずれかの実施の形態による電熱線土中埋設装置において、導管の下部に、リング材を脱着可能に設け、リング材には、電熱線が通過できるリング材側スリットを有するものである。本実施の形態によれば、リング材によって電熱線を導管下部から送り出すことができ、リング材側スリットによって電熱線のリング材への着脱を容易に行うことができる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第6から第9のいずれかの実施の形態による電熱線土中埋設装置において、導管の上部に、電熱線を係止する係止材を設け、係止材を介して、電熱線をロール部から導管に導くものである。本実施の形態によれば、導管の上部での電熱線の離脱を防止できる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態は、第1から第10のいずれかの実施の形態による電熱線土中埋設装置において、土を耕すロータリ部を備え、ガイド部を、ロータリ部の後方に配置するものである。本実施の形態によれば、耕耘作業とともに電熱線の埋設を行うことができるとともに、電熱線の埋設作業におけるガイド部への負荷を軽減できる。
【0020】
本発明の第12の実施の形態は、第1から第11のいずれかの実施の形態による電熱線土中埋設装置において、畝立てを行う畝立て部を備え、ガイド部を、畝立て部の前方に配置するものである。本実施の形態によれば、畝立て作業とともに電熱線の埋設を行うことができる。
【0021】
本発明の第13の実施の形態による電熱線土中埋設方法は、ロール部に電熱線の中間部を引っ掛け、電熱線をロール部に巻き付ける電熱線巻取りステップと、電熱線をガイド部に取り付ける電熱線配置ステップと、電熱線の一端と電熱線の他端とを土中に固定する電熱線端部固定ステップと、電熱線端部固定ステップの後に、ロール部及びガイド部を移動させることで、ガイド部から電熱線を送り出して電熱線を土中に埋設する電熱線埋設ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、一端側の電熱線と他端側の電熱線を同時に埋設するため、電熱線の埋設作業を効率よく行うことができる。
【0022】
本発明の第14の実施の形態は、第13の実施の形態による電熱線土中埋設方法において、土を耕すロータリ部を備え、電熱線埋設ステップでは、ロータリ部で耕した土中に電熱線を埋設するものである。本実施の形態によれば、耕耘作業とともに電熱線の埋設を行うことができるとともに、電熱線の埋設作業におけるガイド部への負荷を軽減できる。
【0023】
本発明の第15の実施の形態は、第13又は第14の実施の形態による電熱線土中埋設方法において、畝立てを行う畝立て部を備え、電熱線埋設ステップにおいて畝立て部で畝立てを行うものである。本実施の形態によれば、畝立て作業とともに電熱線の埋設を行うことができる。
【実施例
【0024】
以下本発明の一実施例による電熱線土中埋設装置について説明する。
図1は本実施例による電熱線土中埋設装置の全体を示す写真、図2は同電熱線土中埋設装置の第1ロール部を示す写真、図3は同電熱線土中埋設装置の第2ロール部への電熱線の巻き始めの状態を示す写真、図4は同電熱線土中埋設装置の第2ロール部への電熱線の巻き取りを終了した状態を示す写真、図5は同電熱線土中埋設装置のガイド部を前方から見た写真、図6は同電熱線土中埋設装置のガイド部の下部を示す写真、図7は同電熱線土中埋設装置のガイド部を後方から見た写真、図8は同電熱線土中埋設装置のリング材を示す写真、図9は同電熱線土中埋設装置のガイド部の上部を示す写真、図10及び図11は同電熱線土中埋設装置の使用状態を示す写真、図12は同電熱線土中埋設装置の使用状態を示す概念図、図13は本実施例による電熱線土中埋設方法を示すフローチャートである。
【0025】
図1に示すように、本実施例による電熱線土中埋設装置は、電熱線10を巻き付けるロール部20と、電熱線10を土中に導くガイド部30とを備えている。
ロール部20には、電熱線10の中間部10M(図2参照)を引っ掛ける取手部21を有している。ガイド部30は、一端側の電熱線10Rをガイドする一方ガイド部30Rと、他端側の電熱線10Lをガイドする他方ガイド部30Lとを有している。
電熱線10の埋設時には、一端側の電熱線10Rを一方ガイド部30Rから土中に送り出し、他端側の電熱線10Lを他方ガイド部30Lから土中に送り出すため、一端側の電熱線10Rと他端側の電熱線10Lを同時に埋設でき、電熱線10の埋設作業を効率よく行うことができる。
【0026】
本実施例による電熱線土中埋設装置では、ロール部20として、第1ロール部20Aと第2ロール部20Bと第3ロール部20Cとを有し、ガイド部30として、第1ロール部20Aの電熱線10Aをガイドする第1ガイド部30Aと、第2ロール部20Bの電熱線10Bをガイドする第2ガイド部30Bと、第3ロール部20Cの電熱線10Cをガイドする第3ガイド部30Cとを有している。
第1ロール部20A、第2ロール部20B、及び第3ロール部20Cは、回転軸22に取り付けられている。
第1ロール部20Aには第1ロック機構23Aを、第2ロール部20Bには第2ロック機構23Bを、第3ロール部20Cには第3ロック機構23Cをそれぞれ有している。
【0027】
第1ロック機構23Aは、第1ロール部20Aに形成したロール側孔と、回転軸22に形成した回転軸側孔と、ロール側孔及び回転軸側孔に挿通するロックピンとで構成され、ロック状態で第1ロール部20Aを回転軸22とともに回転させ、ロック解除することで第1ロール部20Aには回転軸22の回転が伝わらない。
また第2ロック機構23Bは、第2ロール部20Bに形成したロール側孔と、回転軸22に形成した回転軸側孔と、ロール側孔及び回転軸側孔に挿通するロックピンとで構成され、ロック状態で第2ロール部20Bを回転軸22とともに回転させ、ロック解除することで第2ロール部20Bには回転軸22の回転が伝わらない。
また第3ロック機構23Cは、第3ロール部20Cに形成したロール側孔と、回転軸22に形成した回転軸側孔と、ロール側孔及び回転軸側孔に挿通するロックピンとで構成され、ロック状態で第3ロール部20Cを回転軸22とともに回転させ、ロック解除することで第3ロール部20Cには回転軸22の回転が伝わらない。
【0028】
なお、ロックピンをロール側孔及び回転軸側孔に挿通することでロック状態となり、ロックピンを取り外すことでロック解除が行われる。
従って、第1ロール部20Aへの電熱線10Aの巻き付け作業、第2ロール部20Bへの電熱線10Bの巻き付け作業、及び第3ロール部20Cへの電熱線10Cの巻き付け作業を別々に行うことができ、ロール部20への電熱線10の巻き付け作業を容易に行える。
【0029】
図2に示すように、取手部21は、ロール部20のロール面に取り付けた板材21aで構成されている。板材21aは、一対の締結具21bによってロール部20に取り付けられる。板材21aとロール面との間には、電熱線10の直径よりも若干広い隙間を形成している。板材21aの四隅はR形状としている。このような板材21aを用いることで、ロール部20への巻き付け時やロール部20からの送り出し時における電熱線10への負担を軽減でき、電熱線10の断線を効果的に防止できる。
【0030】
図3に示すように、取手部21に電熱線10を引っ掛けて電熱線10をロール部20に巻き付ける。
図3では、第1ロール部20Aは、すでに電熱線10Aを巻き付けた状態にあり、第2ロール部20Bに電熱線10Bを巻き始める状態を示している。
図3に示す状態では、第1ロール部20Aの第1ロック機構23Aを解除状態とし、第2ロール部20Bの第2ロック機構23Bをロック状態としている。
【0031】
図4に示すように、第2ロール部20Bに電熱線10Bを巻き付けた後に、電熱線10Bをガイド部30に取り付ける。
【0032】
図1及び図4に示すように、取手部21によって、一端側の電熱線10Rと他端側の電熱線10Lとは、所定の距離を持ってロール部20に巻き付けられる。一端側の電熱線10Rと他端側の電熱線10Lとが所定の距離を持ってロール部20に巻き付けられることで、ロール部20への巻き付け時やロール部20からの送り出し時における電熱線10への負担を軽減でき、電熱線10の断線を効果的に防止できる。
【0033】
図5に示すように、ガイド部30は、ガイド部30の下端の高さを変更できる高さ調整機構31を有している。本実施例では、高さ調整機構31はねじで構成され、ねじを緩めることでガイド部30を上下にスライドでき、ねじを締めることでガイド部30を固定できる。ガイド部30の下端の高さを変更することで、電熱線10の埋設高さを変更できる。
【0034】
また、図5及び図6に示すように、ガイド部30は導管で構成され、導管には、電熱線10が通過できるスリット32を有している。スリット32によって電熱線10の導管への着脱を容易に行うことができる。
【0035】
また、図7及び図8に示すように、ガイド部30である導管の下部には、リング材33を脱着可能に設けている。リング材33によって電熱線10を導管下部から送り出すことができる。
図8(b)に示すように、リング材33には、電熱線10が通過できるリング材側スリット34を有している。リング材側スリット34によって電熱線10のリング材33への着脱を容易に行うことができる。
リング材33を導管の下部に取り付けた状態では、スリット32はリング材33によって閉塞され、リング材側スリット34は導管によって閉塞される。
【0036】
図5から図8に示すように、ガイド部30である導管の前方には、土分け用板材35を設けている。土分け用板材35によって埋設時における導管への負荷を軽減できる。また、スリット32は、導管の後方以外の位置に形成している。本実施例では、導管の側方に形成している。なお、ここで導管の前方とは、電熱線10の埋設時に進行方向になる側である。スリット32を電熱線10が引き出される位置以外に形成することで、電熱線10の埋設時に、電熱線10が導管から離脱することを防止できる。
【0037】
図5及び図9に示すように、導管の上部に、電熱線10を係止する係止材36を設けている。電熱線10は、係止材36を介してロール部20から導管に導かれる。係止材36によって、導管の上部での電熱線10の離脱を防止できる。
【0038】
図10に示すように、本実施例による電熱線土中埋設装置は、土を耕すロータリ部40や畝立てを行う畝立て部50を備えていることが好ましい。
すなわち、ロータリ部40を備えた耕耘機や畝立て部50を備えた畝立て機に、電熱線10を巻き付けるロール部20と電熱線10を土中に導くガイド部30とを取り付けることが好ましい。
ロータリ部40を備える場合には、ガイド部30を、ロータリ部40の後方に配置することで、耕耘作業とともに電熱線10の埋設を行うことができ、電熱線10の埋設作業におけるガイド部30への負荷を軽減できる。
また畝立て部50を備える場合には、ガイド部30を、畝立て部50の前方に配置することで、畝立て作業とともに電熱線10の埋設を行うことができる。
【0039】
図11及び図12に示すように、電熱線10の一端と電熱線10の他端とを枕地Aの位置で土中に固定した後に、ロール部20及びガイド部30を移動させることで、ガイド部30から電熱線10を送り出して電熱線10を土中に埋設する。
【0040】
図13に示すように、本実施例による電熱線土中埋設方法は、ロール部20に電熱線10の中間部10Mを引っ掛け、電熱線10をロール部20に巻き付ける電熱線巻取りステップS1と、電熱線10をガイド部30に取り付ける電熱線配置ステップS2と、電熱線10の一端と電熱線10の他端とを土中に固定する電熱線端部固定ステップS3と、電熱線端部固定ステップS3の後に、ロール部20及びガイド部30を移動させることで、ガイド部30から電熱線10を送り出して電熱線10を土中に埋設する電熱線埋設ステップS4とを有する。
【0041】
本実施例によれば、ロール部20に巻き付けた電熱線10を、ガイド部30によって土中に導き、一端側の電熱線10Rと他端側の電熱線10Lを同時に埋設するため、電熱線10の埋設作業を効率よく行うことができる。
電熱線埋設ステップS4では、ロータリ部40で耕した土中に電熱線10を埋設することが好ましく、耕耘作業とともに電熱線10の埋設を行うことができ、電熱線10の埋設作業におけるガイド部30への負荷を軽減できる。
また、電熱線埋設ステップS4において畝立て部50で畝立てを行うことが好ましく、畝立て作業とともに電熱線10の埋設を行うことができる。
なお、本実施例のように、ロール部20として、第1ロール部20Aと第2ロール部20Bと第3ロール部20Cとを有する場合には、一方向への移動で、二条、四条、又は六条で電熱線10を埋設できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、歩行又は乗用トラクタに適用でき、苗床造成時や畝立て時に電熱線の埋設を行える。
【符号の説明】
【0043】
10 電熱線
10A、10B、10L、10R 電熱線
10M 中間部
20 ロール部
20A 第1ロール部
20B 第2ロール部
20C 第3ロール部
21 取手部
21a 板材
21b 締結具
22 回転軸
23A 第1ロック機構
23B 第2ロック機構
23C 第3ロック機構
30 ガイド部
30A 第1ガイド部
30B 第2ガイド部
30C 第3ガイド部
30L 他方ガイド部
30R 一方ガイド部
31 高さ調整機構
32 スリット
33 リング材
34 リング材側スリット
35 土分け用板材
36 係止材
40 ロータリ部
50 畝立て部
A 枕地

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13