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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】抗肥満剤、化粧料、及び飲食品
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/064 20060101AFI20230707BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20230707BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20230707BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230707BHJP
   A23L 33/14 20160101ALI20230707BHJP
【FI】
A61K36/064
A61K36/899
A61P3/04
A61K8/9728
A61K8/9794
A23L33/105
A23L33/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021164427
(22)【出願日】2021-10-06
(62)【分割の表示】P 2017122956の分割
【原出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2022001589
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】岩竹 美和
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-135291(JP,A)
【文献】特開2002-253198(JP,A)
【文献】特開2016-193857(JP,A)
【文献】特開2002-284632(JP,A)
【文献】日本循環器管理研究協議会雑誌 (1996) vol.30, no.3, p.223-228
【文献】日本食品新素材研究会誌 (2010) vol.13, no.1, p.19-22
【文献】FOOD STYLE 21 (2009) vol.13, no.11, p.80-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/064
A61K 36/899
A61K 8/9728
A61K 8/9794
A23L 33/
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を用いて抽出した酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有し、
前記酵母菌が、サッカロミセス属ヴェローナであることを特徴とする抗肥満剤。
【請求項2】
請求項1に記載の抗肥満剤を含む抗肥満用であることを特徴とする化粧料。
【請求項3】
請求項1に記載の抗肥満剤を含む抗肥満用であることを特徴とする飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに化粧料、及び飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール発酵させる酒類としては、清酒、焼酎、及びビールなどが知られているが、これら酒類製造時に副産物として発生する粕には、さまざまな効能があることが報告されている。
【0003】
清酒の粕(以下、「酒粕」とも称することがある)の効能としては、例えば、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、及び動脈硬化の予防、アレルギー体質の改善、並びに美白効果を有することなどが知られている。
【0004】
さらに、酒粕の発酵物を利用する方法が知られており、例えば、酒粕の酵母菌による発酵物を配合した化粧料などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このように、酒粕は、様々な効能を有するが、抗老化作用、育毛作用、及び抗肥満作用のより高い製剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-130121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、抗老化作用に優れる抗老化剤、育毛作用に優れる育毛剤、及び抗肥満作用に優れる抗肥満剤、並びにこれらの少なくともいずれかを含む化粧料、及び飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<2> 前記酵母菌が、サッカロミセス属ヴェローナである前記<1>に記載の抗老化剤である。
<3> 酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有することを特徴とする育毛剤である。
<4> 前記酵母菌が、サッカロミセス属ヴェローナである前記<3>に記載の育毛剤である。
<5> 酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有することを特徴とする抗肥満剤である。
<6> 前記酵母菌が、サッカロミセス属ヴェローナである前記<5>に記載の抗肥満剤である。
<7> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗老化剤を含む抗老化用、前記<3>から<4>のいずれかに記載の育毛剤を含む育毛用、及び前記<5>から<6>のいずれかに記載の抗肥満剤を含む抗肥満用から選択される少なくとも1種であることを特徴とする化粧料である。
<8> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗老化剤を含む抗老化用、前記<3>から<4>のいずれかに記載の育毛剤を含む育毛用、及び前記<5>から<6>のいずれかに記載の抗肥満剤を含む抗肥満用から選択される少なくとも1種であることを特徴とする飲食品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、抗老化作用に優れる抗老化剤、育毛作用に優れる育毛剤、及び抗肥満作用に優れる抗肥満剤、並びにこれらの少なくともいずれかを含む化粧料、及び飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤)
本発明の抗老化剤は、酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
本発明の育毛剤は、酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
本発明の抗肥満剤は、酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
【0011】
ここで、前記抗老化剤、前記育毛剤、及び前記抗肥満剤とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品、などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される機能性食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
【0012】
<酵母菌発酵物>
前記酵母菌発酵物は、前記酒粕抽出液を酵母菌により発酵させた酵母菌発酵物(以下、「酒粕抽出液の酵母菌発酵物」)であり、更に必要に応じてその他の成分を含む。前記酒粕抽出液の酵母菌発酵物は、単体で抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤として使用することもでき、更に必要に応じて、その他の成分を含有させることもできる。
【0013】
<<酵母菌>>
前記酵母菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、発酵によりアルコールを産生することができる細菌などが挙げられる。
【0014】
前記酵母菌の種としては、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属として、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ヴェローナ(Saccharomyces veronae)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属として、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などが挙げられる。これらの中でも、効率よく増殖し、得られた発酵物の活性が強い点から、サッカロミセス・ヴェローナ(Saccharomyces veronae)が好ましい。
【0015】
<<酒粕抽出液>>
前記酒粕抽出液は、酒粕を溶媒により抽出した抽出液である。
【0016】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水溶性有機溶媒などが挙げられる。これらの中でも、酵母菌の活性を阻害しない観点から、水が好ましい。
【0017】
-酒粕-
前記酒粕は、酒の製造時に使用するもろみを圧搾した後に残る固形物である。
前記酒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、日本酒、焼酎、泡盛などが挙げられる。
【0018】
前記酒粕としては、市販品を用いることができ、例えば、白牡丹酒粕(白牡丹酒造株式会社製)などが挙げられる。
【0019】
[酒粕の調製方法]
前記酒粕の調製方法としては、特に制限はなく、従来から用いられている酒粕の調製方法を使用することができるが、例えば、玄米を精米し白米とした後、前記白米を蒸して蒸米を作り、麹を添加し、そこへ日本酒酵母を入れ、もろみを製造後、前記もろみを圧搾することにより、固形分である酒粕を得る方法などが挙げられる。
【0020】
[酒粕抽出液の調製方法]
前記酒粕抽出液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酒粕を溶媒に懸濁させる方法などが挙げられる。
【0021】
[酵母菌発酵物の調製方法]
前記酵母菌発酵物の調製方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。水100gに対して調製した酒粕5gを添加し、撹拌混合することにより酒粕抽出液を得た後に、5分間、110℃で高圧蒸気滅菌器(装置名:MLS-3751-PJ、Panasonic株式会社製)によりオートクレーブを行い、滅菌後、冷却する。室温程度まで冷却した後に、酵母菌(種名:サッカロミセス・ヴェローナ、自社培養)を0.1g添加し、16時間~24時間、30℃の条件下で振盪培養を行う。培養終了後、5分間、110℃でオートクレーブを行い滅菌し、珪藻土を用いてろ過し、酵母菌発酵物を得る。
【0022】
前記酵母菌発酵物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤に対して、0.05mL/mL以上1.0mL/mL以下が好ましく、0.2mL/mL以上0.8mL/mL以下がより好ましい。
【0023】
前記酵母菌発酵物の利用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酵母菌発酵物の無処理物、酵母菌発酵物をフィルターでろ過したろ液、前記ろ液を凍結乾燥させた粉末材料などが挙げられる。
【0024】
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、植物エキス、薬理学的に許容される担体などが挙げられる。
【0025】
-植物エキス-
前記植物エキスは、植物からの抽出物である。
【0026】
前記植物としては、例えば、アザミ、アマチャ、アヘン、アロエベア、イチョウ、ウイキョウ、ウコン、ウスベニアオイ、ウラジロガシ、エイジツ、エゾウコギ、延命草、黄精、オウギ、オウゴン、オウバク、大麦、オトギリ草、柿、カミツレ、甘草、キダチアロエ、ギムネマ、キャベツ、玉竹、キラヤ、金銀花、菊花、クコ、紅参、苦参、熊笹、クワ、月桂樹葉、決明子、ゲンチアナ、小麦、米、ゴボウ、ゴマ、サルビア、サンザ、紫蘇、サンシシ、サンシュ、山椒、山薬、椎茸、紫恨、芍薬、車前草、十薬、生姜、白樺、スギナ、ステビア、センキュウ、センナ、センブリ、ソバ、大根、タイソウ、大豆、タマリンド、タラ、チンピ、甜茶、テンニンカ、当帰、トチュウ、冬虫夏草、トウモロコシ、刺梨、人参、忍冬、パセリ、浜防風、ハマメリス、姫松茸、ビルベリー、ビワ、ブクリョウ、ブドウ、ブルーベリー、ヘチマ、ヘマティン、菩提樹、牡丹皮、ホップ、松葉、桃、メリッサ、ユッカ、ヨクイニン、ヨモギ、ライ麦、ラカンカ、緑茶、リンゴ、ルイボス、ルスカス、霊芝、連銭草、ローズヒップ、ローズマリー、ワレモコウなどが挙げられる。
【0027】
前記植物からの抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法により容易に得ることができる。なお、前記植物からの抽出物には、植物の抽出液、前記抽出液の希釈液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0028】
前記植物の抽出原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物の葉部、茎部、花(蕾)部、種子(これらを地上部という)、根部などを用いることができる。
【0029】
前記抽出原料である植物は、乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。なお、前記植物は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。なお、脱脂等の前処理を行うことにより、植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0030】
前記抽出に用いる溶媒としては、水、親水性有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0031】
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
なお、前記水と前記親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部~90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1質量部~40質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部~90質量部添加することが好ましい。
【0032】
本発明において、抽出原料である植物から抽出物を抽出するにあたって、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。
【0033】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、抽出原料としての植物を投入し、更に必要に応じて、時々撹拌しながら、30分間~2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒の量は通常、抽出原料の5倍量~15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃~95℃にて1時間~4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃~80℃にて30分間~4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま植物エキスとして用いることができる。
【0034】
得られる植物の抽出液は、前記抽出液の希釈液若しくは濃縮液、前記抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
【0035】
前記植物エキスは、前記植物からの抽出物を含有するため、前記植物からの抽出物が有する様々な生理作用を発揮することができる。
【0036】
前記担体としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、例えば、前記有効成分を各種の剤型として用いる場合において、その剤型に応じて適宜選択することができる。前記剤型としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、投与方法に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤など)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤など)、などが挙げられる。
【0037】
前記経口固形剤としては、例えば、賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤などの添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。
【0038】
前記添加剤としては、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤などが挙げられる。
前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。
前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
【0039】
前記経口液剤としては、例えば、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤などの添加剤を加え、常法により製造することができる。ここで、前記添加剤としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
【0040】
なお、本発明の抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0041】
(化粧料)
前記化粧料は、本発明の抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤から選択される少なくとも1種を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の化粧料は、酒粕抽出液の酵母菌発酵物によるトランスグルタミナーゼ-1産生促進作用、毛乳頭細胞増殖促進作用、及びcAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を通じて、抗老化効果、育毛効果、及び抗肥満効果の少なくともいずれかを改善することができる。
【0042】
前記抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、用途等に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料に対して、高含有量であることが好ましく、10mg/g以上が好ましく、200mg/g以上がより好ましく、500mg/g以上が特に好ましい。
【0043】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、化粧料に用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0044】
(飲食品)
前記飲食品は、本発明の抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤から選択される少なくとも1種を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の飲食品は、酒粕抽出液の酵母菌発酵物によるトランスグルタミナーゼ-1産生促進作用、毛乳頭細胞増殖促進作用、及びcAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を通じて、抗老化効果、育毛効果、及び抗肥満効果の少なくともいずれかを改善することができる。なお、本発明において、飲食品とは、抗老化、育毛促進、及び肥満防止を図ることを目的とした幅広い飲食品を意味する。
【0045】
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品;などが挙げられる。
【0046】
前記抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤から選択される少なくとも1種の含有量としては、特に制限は無く、用途等に応じて適宜選択することができるが、高含有量であることが好ましく、10mg/g以上が好ましく、200mg/g以上がより好ましく、500mg/g以上が特に好ましい。
【0047】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0048】
<用途>
本発明の抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに化粧料、及び飲食品は、抗老化作用、育毛作用、抗肥満作用に優れるため、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びにこれらの少なくともいずれかを含む化粧料、及び飲食品に好適に用いることができる。
【実施例
【0049】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
(調製例1)
酒粕としては、白牡丹酒粕(白牡丹酒造株式会社製)を使用した。前記酒粕5gを水100gに懸濁し、酒粕抽出液を得た。
【0051】
(調製例2)
調製した酒粕抽出液を、5分間、110℃で高圧蒸気滅菌器(装置名:MLS-3751-PJ、Panasonic株式会社製)によりオートクレーブを行い、滅菌後、冷却する。室温程度まで冷却した後に、酵母菌(種名:サッカロミセス・ヴェローナ、自社培養)を0.1g添加し、16時間~24時間、30℃の条件下で振盪培養を行う。培養終了後、再度5分間、110℃でオートクレーブを行い滅菌し、珪藻土を用いてろ過し、酵母菌発酵物(液体)を得た。
得られた酵母菌発酵物を凍結乾燥機(装置名:FDU-2100、EYELA社製)により凍結乾燥させ粉末化した。
【0052】
次に、調製した酒粕抽出液、及び酒粕抽出液の酵母菌発酵物の粉末(被験試料)を用いて、以下のようにして、「抗老化作用(トランスグルタミナーゼ-1産生促進効果)」、「育毛作用(毛乳頭細胞増殖促進効果)」、及び「抗肥満作用(cAMPホスホジエステラーゼ活性阻害効果)」を評価した。結果を下記表1~表3に示す。
【0053】
(実施例1)
<抗老化作用>
<<トランスグルタミナーゼ-1産生促進作用試験>>
正常ヒト新生児表皮角化細胞(商品名:NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM、倉敷紡績株式会社製)を用いて、7日間培養した後、Trypsine/EDTA溶液(倉敷紡績株式会社製)により細胞を回収した。回収した細胞を、1.0×10cells/mLの濃度にKGMで希釈した後、96穴プレートに1穴当たり100μLずつ播種し、2日間培養した。培養終了後、KGMで希釈した被験試料を1穴当たり100μL添加し、24時間培養した。培養終了後、各穴から培地を抜き、細胞にエタノール:アセトン=1:1を200μL添加して4℃で30分静置する。細胞をプレートに固定させ、細胞表面に発現したトランスグルタミナーゼ-1に対して、モノクローナル抗ヒトトランスグルタミナーゼ-1抗体(Biomedical Technologies.Inc.製)を用いたELISA法により定量解析を行い、6サンプル分のトランスグルタミナーゼ発現促進率の平均値を求め、抗老化効果の指標とした。結果を下記表1に示す。なお、トランスグルタミナーゼ発現促進率の算出方法は以下のとおりである。
【0054】
・トランスグルタミナーゼ-1産生促進率(%)=(A/B)×100・・・式1
A:被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度
B:被験試料無添加時の波長405nmにおける吸光度
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例2)
<育毛作用>
<<毛乳頭細胞増殖促進作用試験>>
正常ヒト頭髪毛乳頭細胞(商品名:HFDPC、東洋紡株式会社製)を、1%FCS及び増殖増加剤を含有した毛乳頭細胞増殖培地(東洋紡株式会社製)を用いて7日間培養した後、Trypsine/EDTA溶液(東洋紡株式会社製)によって細胞を回収した。回収した細胞を、10%FBS含有DMEM(日水製薬株式会社製)を用いて、1.0×10cells/mLの濃度に希釈した後、コラーゲンコートした96穴プレートに1穴当たり200μL播種し、3日間培養した。培養後、培地を抜き、無血清DMEMに溶解した被験試料を各穴に200μL添加し、さらに4日間培養した。培養終了後、終濃度0.4mg/mLに調製したMTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyltetrazolium Bromide)含有無血清DMEM培地を各穴に100μLずつ添加した。2時間培養後、細胞内に生成したブルーホルマザンを2-プロパノール100μLで抽出した。抽出後、マイクロプレートリーダー(装置名:μQuant、Bio-Tek社製)を用いて波長570nmにおける吸光度と濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、2つの値の差をブルーホルマザン生成量とし、毛乳頭細胞増殖促進率から6サンプル分の平均値を算出した。結果を表2に示す。なお、毛乳頭細胞増殖促進率の算出方法は以下の通りである。
【0057】
・毛乳頭細胞増殖促進率(%)=(A/B)×100・・・式2
A:被験試料添加時のブルーホルマザン生成量
B:被験試料無添加時のブルーホルマザン生成量
【表2】
【0058】
(実施例3)
<抗肥満作用>
<<cAMPホスホジエステラーゼ活性阻害試験>>
蓋付V底試験管(旭硝子株式会社製)に、5mmol/L塩化マグネシウム含有50mmol/L Tris-HCl緩衝液(和光純薬工業株式会社製、pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mLウシ血清アルブミン溶液(商品名:アルブミン ウシ血清由来、製品番号:A2153、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)0.1mL、0.1mg/mLホスホジエステラーゼ溶液(商品名:Phosphodiesterase cyclic Nucleotide Activator-Deficient,From Bovine Heart,Crude、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)0.1mL、及び酒粕抽出液、又は酒粕抽出液の酵母菌発酵物0.05mL添加し、混合溶液を37℃、5分間反応させた。反応後、前記混合溶液に0.5mg/mLサイクリックAMP(cAMP)溶液を0.05mL添加し、37℃、60分間反応させた後、3分間、沸騰水浴上で煮沸し、反応を停止させた。遠心分離機(装置名:KUBOTA7820、久保田商事株式会社製)にて、2,260×g、10分間、4℃で遠心分離を行い、上清中を下記の条件下においてHPLC分析を行った。さらに、上記と同様の方法で空試験を行った。
【0059】
-HPLCクロマトグラフィーの条件-
・使用機器 :Wakosil C18-ODS 5μm
・移動相 :1mM TBAP in 25mM KHPO:CHCN
=90:10
・流量 :1.0mL/min
・検出器 :紫外可視吸光光度計(測定波長:260nm)
・ATTEN :128
【0060】
被験試料によるcAMPホスホジエステラーゼ活性阻害率を算出するために、cAMPの含有量が既知の標準試料溶液、被験試料無添加の試料溶液、及び被験試料添加の試料溶液中に含まれるcAMPのピーク面積をそれぞれ、(A)、(B1)、(B2)として求めた。得られた結果から、下記式4及び式5に基づき、被験試料無添加時のcAMPの分解率(C)、及び被験試料添加時のcAMPの分解率(D)を算出した。結果を下記表3に示す。
【0061】
・被験試料無添加時のcAMPの分解率(C、%)={(1-B1/A)}×100・・・式4
【0062】
・被験試料添加時のcAMPの分解率(D、%)={(1-B2/A)}×100・・・式5
【0063】
上記式4及び式5より算出した各分解率(C、D)に基づき、下記式6により、cAMPホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)を算出し、結果を表4に示す。
【0064】
・cAMPホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)={(1-D/C)}×100・・・式6
【0065】
【表3】
【0066】
(配合実施例1)
-化粧水-
下記組成の抗老化作用を有する化粧水を、常法により製造した。
・グリセリン・・・3.0g
・1,3-ブチレングリコール・・・3.0g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) ・・・0.5g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・クエン酸・・・0.1g
・クエン酸ソーダ・・・0.1g
・ビタミンE・・・0.1g
・ハマメリスエキス・・・1.0g
・パセリ由来抗酸化物質・・・0.5g
・香料・・・0.05g
・調製例2の酒粕抽出液の酵母菌発酵物(液体)・・・80.0mL
・精製水・・・残量(全量を100mLとする)
【0067】
(配合実施例2)
-ヘアトニック-
下記組成の育毛作用を有するヘアトニックを、常法により製造した。
・塩酸ピリドキシン・・・0.1g
・レゾルシン・・・0.01g
・D-パントテニルアルコール・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・l-メントール・・・0.05g
・1,3-ブチレングリコール・・・4.0g
・ニンジンエキス・・・0.5g
・エタノール・・・25.0g
・調製例2の酒粕抽出液の酵母菌発酵物(液体)・・・50mL
・香料・・・適量
・精製水・・・残量(全量を100.0mLとする)
【0068】
(配合実施例3)
-シャンプー-
下記組成の育毛作用を有するシャンプー(クリームシャンプー)を、常法により製造し
た。
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム・・・30.0g
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム・・・20.0g
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・6.0g
・ヤシ油脂肪酸モジエタノールアミド・・・4.0g
・ジステアリン酸エチレングリコール・・・2.0g
・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル)・・・0.15g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・0.01g
・1,3-ブチレングリコール・・・3.0g
・調製例2の酒粕抽出液の酵母菌発酵物(液体)・・・残量(全量を100.0mLとする)
【0069】
(配合実施例4)
-リンス-
下記組成の育毛作用を有するリンスを、常法により製造した。
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・・・1.5g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル・・・1.0g
・セチルアルコール・・・2.0g
・オクチルドデカノール・・・1.0g
・カチオン化セルロース・・・0.5g
・プロピレングリコール・・・5.0g
・調製例2の酒粕抽出液の酵母菌発酵物(液体)・・・40mL
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・3.0g
・精製水・・・残量(全量を100.0mLとする)
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びに化粧料、及び飲食品は、抗老化作用、育毛作用、抗肥満作用に優れるため、抗老化剤、育毛剤、及び抗肥満剤、並びにこれらの少なくともいずれかを含む化粧料、及び飲食品に好適に利用することができる。