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特許7308823粒子径分布測定装置及び粒子径分布測定装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】粒子径分布測定装置及び粒子径分布測定装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
G01N15/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020522171
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2019020835
(87)【国際公開番号】W WO2019230628
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2018106011
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】秋山 久
(72)【発明者】
【氏名】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】長岡 英一
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-004450(JP,A)
【文献】特開2009-031191(JP,A)
【文献】特開2012-068802(JP,A)
【文献】特開2010-223613(JP,A)
【文献】特開2014-163771(JP,A)
【文献】特表2014-503794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0157351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1粒子及びこの第1粒子とは異種の第2粒子とが混在し、少なくとも前記第1粒子が透光性を有する粒子群を撮像して得られた画像データを受け付ける画像処理部と、
粒子を通過する光の屈折に起因して現れる明暗領域に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別する粒子判別部とを備え、
前記第2粒子が透光性を有するものであり、
前記粒子判別部が、前記第1粒子の屈折率と前記第2粒子の屈折率との差に起因して現れる画像差であって、前記明暗領域に明領域及び暗領域のそれぞれが存在することにより生じる画像差に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別する、粒子径分布測定装置。
【請求項2】
前記第1粒子が測定対象であり、前記第2粒子が気泡である、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項3】
前記粒子群の粒子径分布である全体粒子径分布を算出する全体粒子径分布算出部と、
前記画像処理部が受け付けた前記画像データ及び前記粒子判別部が判別した判別結果に基づいて、気泡の粒子径分布である気泡径分布を算出する気泡径分布算出部と、
前記全体粒子径分布から前記気泡径分布の影響を差し引いて、前記測定対象の粒子径分布である対象粒子径分布を算出する対象粒子径分布算出部とを備える、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項4】
前記全体粒子径分布算出部が、前記粒子群に光を照射することにより生じる回折/散乱光の光強度スペクトルに基づいて前記全体粒子径分布を算出する、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項5】
前記粒子群に光を照射する光照射装置と、
前記明暗領域を識別可能な粒子の画像を撮像する撮像装置とを有し、
前記粒子判別部が、前記明暗領域のうちの明領域の比率、大きさ、形状、配置、若しくは明暗、又は、前記明暗領域のうちの暗領域の比率、大きさ、形状、配置、若しくは明暗の少なくとも一つを前記画像差として、前記撮像装置により撮像された画像に写る粒子が気泡であるか前記測定対象であるかを判別する、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項6】
前記撮像装置が、
撮像レンズと、
前記撮像レンズにより結像される光のうち第1波長域の光を受光する第1受光素子と、
前記撮像レンズにより結像される光のうち第2波長域の光を受光する第2受光素子と、
前記第1波長域による結像系と前記第2波長域による結像系との間で軸上色収差を拡大させる光学素子とを有する、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項7】
前記光照射装置が、平行光を前記粒子群に照射するとともに、その平行光の光軸に対して傾斜した光軸を有する斜め光を前記粒子群に照射するように構成されており、
前記粒子判別部が、粒子を通過する前記斜め光の屈折に起因して現れる明暗領域のうちの明領域の比率、大きさ、形状、配置、若しくは明暗、又は、当該明暗領域のうちの暗領域の比率、大きさ、形状、配置、若しくは明暗の少なくとも一つに基づき、前記撮像装置により撮像された画像に写る粒子が気泡であるか前記測定対象であるかを判別する、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項8】
前記斜め光がリング状の光である請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項9】
前記光照射装置が、互いに異なる色の複数の前記斜め光を、互いに異なる方向から前記粒子群に照射するように構成されている、請求項記載の粒子径分布測定装置。
【請求項10】
第1粒子及びこの第1粒子とは異種の第2粒子とが混在し、少なくとも第1粒子が透光性を有する粒子群を撮像して得られた画像データを受け付ける画像処理部と、
粒子を通過する光の屈折に起因して現れる明暗領域に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別する粒子判別部としての機能をコンピュータに発揮させるプログラムであり
前記第2粒子が透光性を有するものであり、
前記粒子判別部が、前記第1粒子の屈折率と前記第2粒子の屈折率との差に起因して現れる画像差であって、前記明暗領域に明領域及び暗領域のそれぞれが存在することにより生じる画像差に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別する、粒子径分布測定装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子径分布測定装置及び粒子径分布測定装置に用いられるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒子径分布測定装置としては、特許文献1に示すように、媒質に分散した測定対象である粒子群に光を照射し、その回折/散乱光の光強度スペクトルに基づいて測定対象の粒子径分布を算出する、光散乱式のものがある。
【0003】
このような粒子径分布測定装置において、媒質中に測定対象とは異なる粒子が混入すると、測定対象である粒子と測定対象外の粒子とが混ざり合った粒子群の粒子径分布が算出されてしまい、測定誤差が生じる。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の粒子径分布測定装置は、測定対象であるファインバブルとコンタミ(異物)との形状の違い(球形状であるかどうか)を利用して、粒子群を撮像した画像を画像処理することで、粒子が測定対象であるか否かを判別し、測定対象であると判別された粒子の粒子径分布を算出するように構成されている。
【0005】
しかしながら、上述した構成では、測定対象の粒子と測定対象外の粒子とが同じような形状であると、撮像された粒子の判別ができず、測定対象の粒子径分布を精度良く測定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-4450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、測定対象と同じような形状の測定対象外の粒子が混在していたとしても、測定対象の粒子径分布を精度良く測定できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る粒子径分布測定装置は、第1粒子及びこの第1粒子とは異種の第2粒子とが混在し、少なくとも前記第1粒子が透光性を有する粒子群を撮像して得られた画像データを受け付ける画像処理部と、粒子を通過する光の屈折に起因して現れる明暗領域に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別する粒子判別部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成された粒子径分布測定装置によれば、例えば第2粒子が光を透過させない粒子であれば、画像に写された第2粒子には明暗領域が現れないので、粒子判別部が、この明暗領域の有無に基づいて、画像に写された粒子が第1粒子であるか第2粒子であるかを判別することができる。従って、仮に測定対象と同じような形状の測定対象外の粒子が混在していたとしても、画像に写された粒子が測定対象であるか否かを判別することができ、測定対象の粒子径分布を精度良く測定することができる。
【0010】
一方、第2粒子が透光性を有する場合は、画像に写された第1粒子及び第2粒子には何れも明暗領域が現れるので、明暗領域の有無のみでは、画像に写された粒子の判別は難しい。
そこで、前記第2粒子が透光性を有する場合には、前記粒子判別部が、前記第1粒子の屈折率と前記第2粒子の屈折率との差に起因して現れる前記明暗領域の画像差に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別することが好ましい。
このような構成であれば、測定対象である粒子と測定対象外の粒子との何れもが透光性を有する場合であっても、これらの屈折率の差に起因して現れる明暗領域の画像差に基づき、画像に写された粒子が測定対象であるか否かを判別するので、測定対象の粒子径分布を精度良く測定することが可能となる。
【0011】
ここで、背景技術で述べた測定誤差が生じる一例としては、測定対象が分散された媒質に気泡が混入している場合が挙げられる。すなわち、前記第1粒子が測定対象であり、前記第2粒子が気泡であれば、本発明の効果がより顕著に発揮される。
具体的には、上述した粒子径分布測定装置を用いることで、画像に写された粒子が気泡であるか測定対象であるかを判別することができるので、例えば気泡であると判別された粒子の粒子径分布を算出し、その粒子径分布の影響を、気泡と測定対象である粒子とが混在する粒子群の粒子径分布から差し引くことで、気泡による測定誤差を低減することができ、測定対象の粒子径分布を精度良く測定することが可能となる。
【0012】
前記粒子群の粒子径分布である全体粒子径分布を算出する全体粒子径分布算出部と、前記画像処理部が受け付けた前記画像データ及び前記粒子判別部が判別した判別結果に基づいて、気泡の粒子径分布である気泡径分布を算出する気泡径分布算出部と、前記全体粒子径分布から前記気泡径分布の影響を差し引いて、前記測定対象の粒子径分布である対象粒子径分布を算出する対象粒子径分布算出部とを備えることが好ましい。
このような構成であれば、粒子群全体の粒子径分布から気泡の粒子径分布の影響を差し引いて測定対象の粒子径分布を算出するので、測定対象の粒子径分布を精度良く求めることができる。
【0013】
前記全体粒子径分布算出部が、前記粒子群に光を照射することにより生じる回折/散乱光の光強度スペクトルに基づいて前記全体粒子径分布を算出することが好ましい。
これならば、例えば画像式測定方法により測定する場合に比べて、より小さな粒子の粒子径分布を測定することができ、測定可能な粒子径範囲を広くすることができる。
【0014】
上述した明暗領域の画像差を利用して粒子を判別するための具体的な実施態様としては、前記粒子群に光を照射する光照射装置と、前記明暗領域を識別可能な粒子の画像を撮像する撮像装置とを有し、前記粒子判別部が、前記明暗領域のうちの明領域の比率、大きさ、形状、配置、もしくは明暗、又は、前記明暗領域のうちの暗領域の比率、大きさ、形状、配置、もしくは明暗の少なくとも一つを前記画像差として、前記撮像装置により撮像された画像に写る粒子が気泡であるか前記測定対象であるかを判別する構成を挙げることができる。
【0015】
ところで、明暗領域の画像差を利用して粒子を判別する場合、例えば粒子が撮像装置のピントからずれた位置にあり、明暗領域がボケてしまうと、粒子が気泡であるか測定対象であるかの判別が困難となる。そうすると、気泡であるか測定対象であるかを判別することのできる粒子が少なくなり、粒子群に含まれる気泡の粒子径分布を精度良く求めることができず、ひいては測定対象の粒子径分布を精度良く測定することができない。
そこで、前記撮像装置が、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像される光のうち第1波長域の光を受光する第1受光素子と、前記撮像レンズにより結像される光のうち第2波長域の光を受光する第2受光素子と、前記第1波長域による結像系と前記第2波長域による結像系との間で軸上色収差を拡大させる光学素子とを有することが好ましい。
このような構成であれば、光学素子によって第1波長域による結像系と第2波長域による結像系との間で軸上色収差を拡大させているので、第1波長域の光と第2波長域の光とで撮像レンズによる焦点距離が異なることになる。これらを第1受光素子及び第2受光素子で受光することによって、撮像レンズの光軸方向にずれた位置の粒子を計測することができる。つまり、より多くの粒子にピントを合わせることができ、気泡であるか測定対象であるかを判別することのできる粒子が多くなる。その結果、粒子群に含まれる気泡の粒子径分布を精度良く求めることができ、ひいては測定対象の粒子径分布を精度良く測定することができる。
また、画像に写された粒子1つに着目すると、第1波長の光を第1受光素子で受光して得られた画像の明暗領域と、第2波長の光を第2受光素子で受光して得られた画像の明暗領域とを比較することで、その差異に基づいた粒子の判別をも可能とすることができる。
【0016】
また、気泡であるか測定対象であるかを判別することのできる粒子を多くするための別の実施形態としては、光照射装置が、平行光を前記粒子群に照射するとともに、その平行光の光軸に対して傾斜した光軸を有する斜め光を前記粒子群に照射するように構成されており、前記粒子判別部が、粒子を通過する前記斜め光の屈折に起因して現れる明暗領域のうちの明領域の比率、大きさ、形状、配置、若しくは明暗、又は、当該明暗領域のうちの暗領域の比率、大きさ、形状、配置、若しくは明暗の少なくとも一つを前記画像差として、前記撮像装置により撮像された画像に写る粒子が気泡であるか前記測定対象であるかを判別する構成が挙げられる。
このような構成であれば、斜め光の屈折に起因して現れる明暗領域のうちの明領域は比較的大きな領域となるので、例えば粒子が撮像装置のピントからずれた位置にあり、斜め光の明暗領域が多少ボケたとしても、この明暗領域を用いて粒子の判別をすることができ、気泡であるか測定対象であるかを判別することのできる粒子を多くすることができる。
【0017】
明暗領域のうちの明領域をより大きな領域にするための実施態様としては、前記斜め光がリング状の光であることが好ましい。
【0018】
前記光照射装置が、互いに異なる色の複数の前記斜め光を、互いに異なる方向から前記粒子群に照射するように構成されていることが好ましい。
このような構成であれば、複数の斜め光を照射しているので、斜め光と同数の明暗領域を撮像することができ、これらの明暗領域の明領域又は暗領域の比率、大きさ、形状、配置などといった、より多くのパラメータを画像差として用いることができ、粒子が測定対象であるか気泡であるかをより正しく判別することができる。しかも、各斜め光を互いに異なる色の光としているので、各斜め光に対する明暗領域の比率、大きさ、形状、配置などを正しく識別することができる。
【0019】
また、本発明に係る粒子径分布測定装置用プログラムは、第1粒子及びこの第1粒子とは異種の第2粒子とが混在し、少なくとも前記第1粒子が透光性を有する粒子群を撮像して得られた画像データを受け付ける画像処理部と、粒子を通過する光の屈折に起因して現れる明暗領域に基づき、画像に写された粒子が前記第1粒子であるか前記第2粒子であるかを判別する粒子判別部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラムである。
このようなプログラムを用いれば、上述した粒子径分布測定装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上に述べた本発明によれば、測定対象と同じような形状の測定対象外の粒子が混在していたとしても、撮像された粒子が測定対象であるか否かを判別することができ、測定対象の粒子径分布を精度良く測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る粒子径分布測定装置の全体構成を模式的に示す図。
図2】同実施形態の撮像素子の構成例を模式的に示す図。
図3】同実施形態の画像解析装置の機能を示す機能ブロック図。
図4】同実施形態の深度合成を示す図である。
図5】同実施形態の粒子判別部の機能を説明するための図。
図6】同実施形態に係る光散乱式測定機構の全体構成を模式的に示す図。
図7】同実施形態の演算装置の機能を示す機能ブロック図。
図8】同実施形態の対象粒子径分布算出部の機能を説明するための図。
図9】その他の実施形態における光照射装置からの光の照射方法を説明するための図。
図10】その他の実施形態における光照射装置からの光の照射方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明に係る粒子径分布測定装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る粒子径分布測定装置100は、図1に示すように、画像解析法により粒子径分布を測定する画像式測定機構を具備するものであり、具体的には、測定対象Xである粒子群を収容するセル10と、そのセル10内の粒子群に光を照射する光照射装置20と、セル10に収容された粒子群を撮像する撮像装置30と、撮像装置30により得られた画像データを解析する画像解析装置40とを備えている。
【0024】
ここで、セル10内には透光性を有する第1粒子Xと、第1粒子Xとは異種の第2粒子Yとが混在している。第1粒子Xたる透光性粒子としては、例えば気泡や樹脂製の粒子などが挙げられ、第2粒子Yとしては、透光性を有する粒子であっても良いし透光性を有していない粒子であっても良い。これらの第1粒子X及び第2粒子Yは、セル10内の媒質中に分散されている。なお、媒質は水等の液体や空気等の気体である。
以下では、第1粒子Xが、医薬品、食品、化学工業品などの測定対象Xであり、第2粒子Yが、測定対象外の粒子たる気泡Yである場合について説明する。
【0025】
光照射装置20は、セル10に収容された粒子群に所定の拡がりを有する光を照射するものであり、例えば発光ダイオードを用いた面発光タイプのものである。具体的に光照射装置20は、発光ダイオードからなる光源21と当該光源21の光射出側に設けられて所定波長の光を透過する透過フィルタ22とを有する。本実施形態の透過フィルタ22は、撮像装置30により受光される波長(第1波長、第2波長及び第3波長)を透過するものである。なお、正確な影絵を得るためには、平行照明を用いて平行光を粒子群に照射することが望ましい。テレセントリック照明が最適ではあるが、LED光源とコンデンサーレンズLとの組み合わせでもよい。
【0026】
撮像装置30は、撮像レンズ31と、撮像レンズ31により結像される光を受光する撮像素子32とを有している。
【0027】
撮像レンズ31は、粒子群を収容するセル10内にピント面(焦点面)を有するものである。本実施形態の撮像レンズ31は、テレセントリックレンズを用いている。テレセントリックレンズを用いることによって、視差による影響を受けずに歪みのない画像を撮影することができる。
【0028】
撮像素子32は、図2に示すように、第1波長域の光を受光する複数の第1受光素子321と、第2波長域の光を受光する複数の第2受光素子322と、第3波長域の光を受光する複数の第3受光素子323とを有している。本実施形態では、第1波長域の光は赤色の光(R)であり、第2波長域の光は緑色の光(G)であり、第3波長域の光は青色の光(B)である。また、本実施形態の複数の第1~第3受光素子321、322、323は、単一の基板上にマトリックス状に配置されたものであり、撮像素子32において各受光素子321、322、323の前方には、対応する波長域の光を透過する透過フィルタ(不図示)が設けられている。また、上述した光照射装置20の透過フィルタ22は、赤色の光、緑色の光及び青色の光を透過するRGB透過フィルタとしてある。
【0029】
ここで、撮像素子32の分光感度は、R、G、Bの波長域が互いに重なってしまう。一方、光照射部2の透過フィルタ22の分光透過率は、R、G、Bの波長域が互いに分離している。このため、透過フィルタ22により第1波長域の光(R)を630nmを中心とし、第2波長域の光(G)を530nmを中心とし、第3波長域の光(B)を460nmを中心とし、それぞれ幅をもった波長域としている。なお、撮像素子32としては、三板式のイメージセンサを用いても良い。
【0030】
ここで、本実施形態の撮像装置30は、図1に示すように、第1波長域による結像系と第2波長域による結像系と第3波長域による結像系との間に軸上色収差を発生させる光学素子33を有している。
【0031】
この光学素子33は、撮像レンズ31と各受光素子321、322、323との間に設けられた、例えば高分散硝材からなる平板である。高分散硝材としては、アッベ数が30よりも小さいものを用いることができる。
【0032】
この光学素子33によって、撮像レンズ31によるピント面の位置が光軸方向にずれることになる。具体的には、図1に示すように、物体側から撮像レンズ31側に、第1波長域の光(赤色の光)のピント面F1、第2波長域の光(緑色の光)のピント面F2、及び第3波長域の光(青色の光)のピント面F3の順にずれるようになる。なお、各ピント面F1、F2、F3は、撮像レンズ31の被写界深度を有する。
【0033】
このようにして、第1受光素子321が撮像する領域(ピント面F1)と、第2受光素子322が撮像する領域(ピント面F2)と、第3受光素子323が撮像する領域(ピント面F3)とは光軸方向に沿って互いに異なる位置となり、ここでは互いに隣り合う領域(ピント面)の光軸方向端部が重なり合っている。なお、ピント面は、必ずしも厳密に重なり合っていなくても良く、幅方向の一部が重複していても良い。また、互いに隣り合うピント面は、離れていても良い。
【0034】
これら受光素子321、322、323により得られた各画像データは画像解析装置40によって分析処理される。
【0035】
画像解析装置40は、CPU、メモリ、入出力インターフェース、AD変換器、キーボードやマウスなどの入力手段などを有する汎用乃至専用のコンピュータである。
【0036】
そして、この画像解析装置40は、前記メモリに格納されたプログラムに基づいて、CPU及びその周辺機器が作動することにより、図3に示すように、画像処理部41、粒子判別部42、気泡径分布算出部43などの機能を備えている。
【0037】
画像処理部41は、図4に示すように、第1受光素子321から得られた第1画像と、第2受光素子322から得られた第2画像と、第3受光素子323から得られた第3画像とを用いて深度合成などの画像処理を行って1枚の画像に合成する。より詳細には、画像処理部41は、各受光素子321~323により得られた光強度信号をベイヤー変換せずに第1~第3画像を形成する。そして、画像処理部41は、第1画像、第2画像、第3画像それぞれについて、それぞれの波長領域外のピクセル抜けを補完する。その後、画像処理部41は、補完した画像を用いて深度合成を行って1枚の画像に合成する。ただし、画像処理部41としては、必ずしも画像の合成を行う必要はない。また、画像処理部41としては、各受光素子321~323により得られた光強度信号をベイヤー変換してから第1~第3画像を形成しても良い。
【0038】
ここで、光照射装置20及び撮像装置30は、セル10を挟むように対向して配置されており、光照射装置20から射出された光は、図5(a)に示すように、透光性粒子を通過する際に屈折する。より具体的には、媒質の屈折率よりも粒子の屈折率が大きい場合は、同図上段に示すように、光が屈折して集光し、媒質の屈折率よりも粒子の屈折率が小さい場合は、同図下段に示すように、光が屈折して発散する。これにより、粒子に照射された光の一部、具体的には粒子の中心部に照射された光が撮像装置30に到達することになる。
その結果、撮像装置30が撮像した粒子の画像には、図5(b)に示すように、粒子を通過する光の屈折に起因した明暗領域が現れる。より具体的には、画像に写された粒子の中心部は明るい領域(以下、明領域S1という)となり、その外周部は暗い領域(以下、暗領域S2という)領域となり、これらの明領域S1及び暗領域S2は識別可能な領域となる。
【0039】
より詳細に説明すると、図5(a)に示すように、測定対象Xである粒子や気泡Yをボールレンズとみなした場合、これらの粒子の焦点距離EFLは、粒子の直径D、粒子の屈折率n1、及び粒子が分散する媒質の屈折率n2をパラメータとした下記の算出式により算出することができる。
EFL=n1・D/4(n1-n2)
このことから、仮に直径Dが互いに等しい測定対象X及び気泡Yを撮像した場合、測定対象Xの屈折率と気泡Yの屈折率との差に起因して明領域S1及び暗領域S2の比率、大きさ、形状、明暗(コントラスト)などが変わる。
【0040】
そこで、粒子判別部42は、上述した明暗領域S1、S2に基づいて、画像処理部41により得られた画像に写る粒子が、第1粒子であるか第2粒子であるか、すなわち測定対象Xである気泡Yであるかを判別する。具体的にこの粒子判別部42は、測定対象Xの屈折率と気泡Yの屈折率との差に起因して現れる明暗領域S1、S2の画像差に基づき、画像に写る粒子が測定対象Xであるか気泡Yであるかを判別するものであり、例えば画像を二値化することで上述した画像差を算出するように構成されている。
【0041】
本実施形態の粒子判別部42は、画像に写された粒子に対する明領域S1の比率を上述した画像差とするものであり、この比率に基づいて、当該粒子が測定対象Xであるか気泡Yであるかを判別するように構成されている。より具体的に粒子判別部42は、画像に写された粒子の外径に対する明領域S1の外径の比率、或いは、画像に写された粒子の面積に対する明領域S1の面積の比率に基づいて、粒子が測定対象Xであるか気泡Yであるかを判別するように構成されており、上述した比率が所定の閾値未満の場合には粒子を気泡Yであると認定し、所定の閾値以上の場合には粒子を測定対象Xであると認定する。
【0042】
なお閾値は、例えばセル10の形状やサイズ、光照射装置20の配置、撮像装置30の光学系、媒質の屈折率と粒子の屈折率の大小関係など、種々の要因に応じて変わり得る。そこで、閾値としては、例えばバブル発生器等により発生させた気泡を本実施形態のセル10に収容させ、これらの気泡を本実施形態の光照射装置20や撮像装置30を用いて撮像することで、その画像に写された気泡に対する明領域の比率に基づき定めることができる。そして、このように定めた閾値を画像解析装置40のメモリ内に格納させておくことで、粒子判別部42が前記メモリから閾値を取得して粒子の判別をすることができる。
【0043】
気泡径分布算出部43は、上述した画像処理部41が受け付けた画像データ及び粒子判別部42が判別した判別結果に基づき、セル10に収容された気泡Yの粒子径分布(以下、気泡径分布という)を算出するものである。具体的にこの気泡径分布算出部43は、粒子判別部42が気泡Yであると認定した粒子それぞれに対して、その画像データから外径を求めて気泡径分布を算出する。
【0044】
ここで、本実施形態の粒子径分布測定装置100は、図6に示すように、上述した画像式測定機構により測定された気泡径分布を示す気泡径分布データを取得するとともに、測定対象Xの粒子径分布を測定する光散乱式測定機構101をさらに具備している。
【0045】
この光散乱式測定機構101は、粒子に光を照射した際に生じる回折/散乱光の拡がり角度に応じた光強度分布が、回折理論及びMIE散乱理論から粒子径によって定まることを利用し、前記回折/散乱光を検出することによって粒子径分布を測定するものであり、装置本体50及び演算装置60を備えている。
【0046】
装置本体50は、セル10内の粒子群にレンズ51を介してレーザ光を照射する光源52たるレーザ装置と、レーザ光の照射により生じる回折/散乱光の光強度を拡がり角度に応じて検出する複数の光検出器53とを備えたものである。なお、ここでのセル10は、バッチ式のセルであるが、循環式のセルであっても良い。また、このセル10は、上述した画像式測定機構による測定で用いられたものと同一であることが好ましく、このセル10には測定対象Xのみならず、気泡Yも収容されていることは、上述した通りである。
【0047】
演算装置60は、物理的に言えば、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、前記メモリの所定領域に記憶させた所定のプログラムにしたがって、CPUや周辺機器を協働させることにより、図7に示すように、実スペクトル取得部61、全体粒子径分布算出部62、対象粒子径分布算出部63などの機能を備えたものである。
【0048】
実スペクトル取得部61は、各光検出器53から出力された光強度信号を受け付けて、各光検出器53のチャンネルに対する光強度スペクトル、すなわち回折/散乱光の拡がり角度に対する光強度スペクトル(以下、実スペクトルという)を取得するものである。なお、ここでの実スペクトルは、測定対象Xである粒子群に起因した回折/散乱光の光強度スペクトルと、気泡に起因した回折/散乱光の光強度スペクトルとが重なり合ったものである。
【0049】
全体粒子径分布算出部62は、実スペクトル取得部61により取得された実スペクトルに基づいて、セル10に収容された粒子群全体、すなわち測定対象Xである粒子群のみならず測定対象外の気泡をも含む粒子群の粒子径分布(以下、全体粒子径分布という)を算出するものである。
【0050】
対象粒子径分布算出部63は、上述した気泡径分布算出部43により算出された気泡径分布を示す気泡径分布データを受け付け、全体粒子径分布から気泡径分布の影響を差し引いて測定対象Xの粒子径分布である対象粒子径分布を算出するものである。
具体的にこの対象粒子径分布算出部63は、図8に示すように、全体粒子径分布から気泡径分布が占める領域を差し引いて対象粒子径分布を算出し、例えばディスプレイ等に表示する。なお、具体的な表示態様としては、一方の軸を粒子径、他方の軸を頻度(パーセンテージ)に設定されたグラフ上に対象粒子径分布を表示する態様が挙げられ、対象粒子径分布のみを表示しても良いし、図8に示すように、対象粒子径分布と気泡径分布とを識別可能に表示しても良い。
なお、気泡径分布が占める領域をそのまま全体粒子径分布から差し引くのではなく、気泡径分布が占める領域に例えば重み付けしたものを全体粒子径分布から差し引いて対象粒子径分布を算出しても良い。
【0051】
このように構成された粒子径分布測定装置100によれば、画像式測定機構を用いてセル10内の気泡Yの粒子径分布である気泡径分布を測定し、この気泡径分布を全体粒子径分布から差し引くことで対象粒子径分布を算出するので、気泡Yによる測定誤差を低減することができ、対象粒子径分布を精度良く測定することが可能となる。
【0052】
また、光学素子33によって第1~第3波長域の光それぞれに軸上色収差を発生させて、これらを第1~第3受光素子321、322、323で受光することによって、撮像レンズ31の光軸方向にずれた位置の粒子を計測することができる。つまり、より多くの粒子にピントを合わせることができ、粒子が測定対象Xであるか気泡Yであるかを判別することのできる粒子が多くなる。その結果、粒子群に含まれる気泡Yの粒子径分布を精度良く求めることができ、ひいては測定対象Xである粒子群の粒子径分布(対象粒子径分布)を精度良く測定することができる。
【0053】
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0054】
例えば、前記実施形態では、画像に写された粒子に対する明領域S1の比率を画像差として、この画像差に基づいて粒子を判別していたが、明領域S1の大きさや明暗を画像差として、この画像差に基づいて粒子を判別しても良い。
明領域S1の大きさを画像差とする場合、粒子判別部42としては、前記実施形態と同様に、明領域S1の大きさと予め設定した閾値とを比較して粒子を判別するように構成されていれば良い。
また、明領域S1の明暗を画像差とする場合、粒子判別部42としては、明領域S1のコントラスト(例えば画像に写された媒質の明るさと明領域S1の明るさとの差)と、予め設定した閾値とを比較して粒子を判別するように構成されていれば良い。
【0055】
また、画像式測定機構としては、光照射装置が、前記実施形態と同様の平行光を粒子群に照射するとともに、その平行光の光軸に対して傾斜した光軸を有する斜め光を粒子群に照射するように構成されており、粒子判別部が、粒子を通過する斜め光の屈折に起因して現れる明領域(以下、第2明領域S3ともいう)の比率、大きさ、形状、配置、又は明暗の少なくとも一つを画像差として、粒子が測定対象Xであるか気泡Yであるかを判別しても良い。
【0056】
より具体的な一例としては、図9(a)に示すように、平行光に対して斜めの方向から例えばリング状の光を粒子群に照射する構成が挙げられる。
【0057】
このような構成であれば、図9(b)に示すように、第2明領域S3が明領域S1よりも大きな領域となるので、例えば粒子が撮像装置30のピントからずれた位置にあり、第2明領域S3が多少ボケたとしても、この第2明領域S3を用いて粒子の判別をすることができる。これにより、測定対象Xであるか気泡Yであるかを判別することのできる粒子が多くなるので、気泡Yの粒子径分布を精度良く算出することができ、ひいては測定対象Xの粒子径分布を精度良く求めることができる。
【0058】
別の一例としては、図10(a)に示すように、複数の斜め光を、互いに異なる方向から粒子群に照射する構成が挙げられ、ここでは2つの斜め光を平行光に対して斜めの方向であって互いに異なる方向から粒子群に照射している。ここでの斜め光は、互いに異なる色の光(例えば青色光及び赤色光)である。
【0059】
このような構成であれば、図10(b)に示すように、斜め光と同数の第2明領域S3を撮像することができ、これらの第2明領域S3の比率、大きさ、形状、配置などといった、より多くのパラメータを画像差として用いることができ、粒子が測定対象Xであるか気泡Yであるかをより正しく判別することができる。しかも、複数の斜め光を互いに異なる色の光としているので、各斜め光に対する第2明領域S3の比率、大きさ、形状、配置、明暗などを正しく識別することができる。
なお、第2明領域S3の比率や大きさや明暗を画像差とする場合、粒子判別部42としては、前記実施形態と同様に、比率や大きさと予め設定した閾値とを比較して粒子を判別するように構成されていれば良い。
また、第2明領域S3の形状や配置を画像差とする場合は、例えば粒子が測定対象であるか気泡であるかを示す粒子の種別情報と、粒子の種別ごとに予め定めた第2明領域S3の基準形状や基準配置を示す基準パターンとを関連付けた関連データを、画像解析装置40のメモリの所定領域に設定された関連データ格納部に予め格納しておく構成が挙げられる。そして、粒子判別部42としては、撮像された粒子に写る第2明領域S3の実際の形状や実際の配置を示す実パターンと、関連データとして記憶されている基準パターンとを比較して、実パターンに最も近い基準パターンに関連付けられた粒子の種別情報を判断するように構成されていれば良い。
【0060】
さらに、図10(a)に示すように、平行光及び斜め光を互いに異なる色の光にするとともに、これらの平行光及び斜め光が、例えばRGBフィルタ等のカラーフィルタ(不図示)を通過して撮像装置30の撮像素子に導かれるように構成されていても良い。
このような構成であれば、カラーフィルタによって、平行光に起因して現れる明領域S1と、斜め光に起因して現れる第2明領域S3とを分離して識別することができ、損失画素を低減させることができる。
【0061】
また、粒子判別部としては、上述したように明領域S1の比率などに基づいて粒子を判別するものに限らず、暗領域S2の比率、大きさ、形状、配置などに基づいて粒子を判別しても良い。
さらに、粒子判別部としては、第1波長の光を第1受光素子で受光して得られた画像に写る粒子の明暗領域と、第2波長の光を第2受光素子で受光して得られた画像に写る粒子の明暗領域とを比較し、その比較結果に基づいた粒子の判別をしても良い。もちろん、第3波長の光を第3受光素子で受光して得られた画像に写る粒子の明暗領域をさらに比較対象として用いても良い。
【0062】
そのうえ、前記実施形態では、全体粒子径分布から気泡径分布を差し引いて対象粒子径分布を算出していたが、気泡径分布から気泡に起因する回折/散乱光の光強度スペクトルである気泡スペクトルを算出し、この気泡スペクトルを実スペクトルから差し引いて、測定対象Xに起因する回折/散乱光の光強度スペクトルである対象スペクトルを算出たうえで、この対象スペクトルに基づいて対象粒子径分布を算出しても良い。
【0063】
さらに、前記実施形態では、RGBの3種類の波長域の光を用いていたが、その他の互いに異なる波長域を用いて計測するものであってもよい。また、3種類の波長域に限られず、2種類の波長域を用いて計測するものであってもよいし、4種類以上の波長域を用いて計測するものであってもよい。さらに、前記実施形態で説明した軸上色収差を発生させる光学素子33を利用しない場合、光照射装置20としては、単一波長の光を射出するものであっても良い。
【0064】
また、前記各実施形態の光学素子は、ガラス材料の他、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)などアッベ数30程度で透過率を有する樹脂製のものであっても良い。
【0065】
加えて、前記実施形態では、全体粒子径分布を光散乱式測定機構101により測定していたが、画像測定式機構により全体粒子径分布を測定しても良い。
【0066】
前記実施形態では、第1粒子が透光性を有する測定対象であり、第2粒子が気泡であったが、第1粒子が測定対象である気泡であり、第2粒子が気泡とは異なる測定対象外の粒子であっても良い。
また、第1粒子が透光性を有する測定対象外の粒子であり、第2粒子が例えば透光性を有していない測定対象であっても良い。
なお、第1粒子が透光性を有する粒子であり、第2粒子が透光性を有していない粒子であれば、どちらが測定対象であったとしても、粒子判別部としては、画像に写された粒子に明暗領域が現れているか否か、つまり明暗領域の有無に基づいて粒子を判別しても良い。
【0067】
また、前記実施形態の機能の一部を機械学習アルゴリズムにより演算処理する機械学習部により実行させても良い。例えば、粒子判別部42の機能を機械学習部により実行させても良い。機械学習部は、予め取得された複数の画像を用いて機械学習を行い、該機械学習の結果を用いて当該粒子が測定対象Xであるか気泡Y(非対象粒子)であるかを判別する。画像処理部41により得られた画像から、判別すべき粒子を含む画像の一部分を切り出して、機械学習部に入力として受け付けさせればよい。
【0068】
前記実施形態の光散乱式測定機構101は、粒子に光を照射した際に生じる回折/散乱光の拡がり角度に応じた光強度分布が、MIE散乱理論から粒子径によって定まることを利用して粒子径分布を測定するものであったが、光散乱式測定機構101としては、動的散乱理論に基づき粒子径分布を算出するもの、すなわち光検出器53により検出された光強度の揺らぎに基づいて粒子径分布を算出するものであっても良い。
【0069】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0070】
100・・・粒子径分布測定装置
10 ・・・セル
20 ・・・光照射装置
30 ・・・撮像装置
40 ・・・画像解析装置
41 ・・・画像処理部
42 ・・・粒子判別部
43 ・・・気泡径分布算出部
101・・・光散乱式測定機構
50 ・・・装置本体
60 ・・・演算装置
61 ・・・実スペクトル取得部
62 ・・・全体粒子径分布算出部
63 ・・・対象粒子径分布算出部
X ・・・測定対象
Y ・・・気泡
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、測定対象と同じような形状の測定対象外の粒子が混在していたとしても、測定対象の粒子径分布を精度良く測定することができる。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10