(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】樹脂成形装置および樹脂成形方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230710BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
(21)【出願番号】P 2022069961
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2020042357の分割
【原出願日】2018-01-31
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/040651
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/001467
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017021953
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特許第7106151(JP,B2)
【文献】特開2010-076300(JP,A)
【文献】特開2013-048249(JP,A)
【文献】特開2016-127167(JP,A)
【文献】特開2009-184361(JP,A)
【文献】国際公開第08/126312(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
B29C 33/10、33/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
前記基板における樹脂部を形成する形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持する基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記基板の鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメントマークを撮像する撮像部と、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとを撮像することにより、前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部に、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから前記ヘッドを鉛直上方へ移動させることにより前記ヘッドを前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けた後、前記樹脂硬化部を制御して、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させることを繰り返すことにより、前記基板に複数の硬化した樹脂部を形成する、
樹脂成形装置。
【請求項2】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記複数の樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから前記ヘッドを鉛直上方へ移動させることにより前記ヘッドを前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けた後、前記樹脂硬化部を制御して、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させることを繰り返すことにより、前記基板に複数の硬化した樹脂部を形成する制御部と、を備え、
前記基板を保持した前記基板保持部と前記モールドを保持した前記ヘッドとのいずれか一方は、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように移動していく、
樹脂成形装置。
【請求項3】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
前記基板における樹脂部を形成する形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持する基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記モールドの鉛直下方または前記基板の鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメントマークを撮像する撮像部と、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとを撮像することにより、前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部に、前記基板に対する前記モールドの位置および姿勢を補正させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モールドを、前記モールドに載置された樹脂を介して前記基板に接触させた状態で、前記基板に対する前記モールドの位置および姿勢を補正させる、
樹脂成形装置。
【請求項4】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記複数の樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記モールドの鉛直下方または前記基板の鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメントマークを撮像する撮像部と、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとを撮像することにより、前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部に、前記基板に対する前記モールドの位置および姿勢を補正させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モールドを、前記モールドに載置された樹脂を介して前記基板に接触させた状態で、前記基板に対する前記モールドの位置および姿勢を補正させ、
前記基板を保持した前記基板保持部と前記モールドを保持した前記ヘッドとのいずれか一方は、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように移動していく、
樹脂成形装置。
【請求項5】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
前記基板における樹脂部を形成する形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持する基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記基板の鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメントマークを撮像する撮像部と、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとを撮像することにより、前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部に、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正させる制御部と、を備え、
前記樹脂部は、紫外線硬化樹脂からなり、
前記樹脂硬化部は、前記モールドに載置された樹脂に紫外線を照射することにより前記モールドに載置された樹脂を硬化させる紫外線照射部から構成され、
前記基板または前記モールドは、紫外線に対して透明であり、
前記樹脂硬化部は、前記基板の鉛直上方または前記モールドの鉛直下方から前記モールドに載置された樹脂に紫外線を照射する、
樹脂成形装置。
【請求項6】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記複数の樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、を備え、
前記樹脂部は、紫外線硬化樹脂からなり、
前記樹脂硬化部は、前記モールドに載置された樹脂に紫外線を照射することにより前記モールドに載置された樹脂を硬化させる紫外線照射部から構成され、
前記基板または前記モールドは、紫外線に対して透明であり、
前記樹脂硬化部は、前記基板の鉛直上方または前記モールドの鉛直下方から前記モールドに載置された樹脂に紫外線を照射し、
前記基板を保持した前記基板保持部と前記モールドを保持した前記ヘッドとのいずれか一方は、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように移動していく、
樹脂成形装置。
【請求項7】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
前記基板における樹脂部を形成する形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持する基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記基板の鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメントマークを撮像する撮像部と、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとを撮像することにより、前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部に、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正させる制御部と、を備え、
前記形成面と前記モールドとの間の距離と前記モールドの前記形成面に対する傾きとの少なくとも一方を調整するモールド姿勢調整部を更に備える、
樹脂成形装置。
【請求項8】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記複数の樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記形成面と前記モールドとの間の距離と前記モールドの前記形成面に対する傾きとの少なくとも一方を調整するモールド姿勢調整部と、を備え、
前記基板を保持した前記基板保持部と前記モールドを保持した前記ヘッドとのいずれか一方は、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように移動していく、
樹脂成形装置。
【請求項9】
前記基板の前記形成面と、平坦面を有する前記モールドの前記平坦面と、の間の距離を測定する距離測定部を更に備え、
前記距離測定部により測定された距離に基づいて、前記モールドを保持する前記ヘッドを、前記基板を保持する前記基板保持部に近づける、
請求項
7または
8に記載の樹脂成形装置。
【請求項10】
前記距離測定部は、前記平坦面における3つ以上の箇所において、前記形成面と前記平坦面との間の距離を測定し、
前記モールド姿勢調整部は、前記距離測定部により測定された前記形成面と前記平坦面との間の距離に基づいて、前記形成面と前記モールドとの間の距離と前記モールドの前記形成面に対する傾きとの少なくとも一方を調整する、
請求項
9に記載の樹脂成形装置。
【請求項11】
前記モールド姿勢調整部は、前記ヘッドを支持する複数のピエゾアクチュエータを有し、前記複数のピエゾアクチュエータを個別に伸縮させることにより、前記形成面と前記モールドとの間の距離と前記モールドの前記形成面に対する傾きとの少なくとも一方を調整する、
請求項
7または
8に記載の樹脂成形装置。
【請求項12】
前記モールド姿勢調整部は、前記基板の中央部に前記モールドを押し付ける場合と前記基板の周部に前記モールドを押し付ける場合とで、前記モールドの姿勢を異ならせる、
請求項
7または
8に記載の樹脂成形装置。
【請求項13】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記モールドの凹部の少なくとも一部の深さは、1μm以下であり、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから前記ヘッドを鉛直上方へ移動させることにより前記ヘッドを前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
前記樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を繰り返すことにより、前記基板に複数の硬
化した樹脂部を形成する、
樹脂成形方法。
【請求項14】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、
撮像部が、前記モールドを前記基板に押し付けて、前記ヘッドを前記基板における前記
樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記モールドの鉛直下方または前記基板の
鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメン
トマークを撮像する撮像ステップと、
制御部が、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとに基づいて、
前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部により、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正する補正ステップと、
を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記モールドの凹部の少なくとも一部の深さは、1μm以下であり、
前記補正ステップにおいて、前記モールドを、前記樹脂を介して前記基板に押し付けた
状態で、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正する、
樹脂成形方法。
【請求項15】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記モールドの凹部の少なくとも一部の深さは、1μm以下であり、
前記モールド押し付けステップにおいて、距離測定部が、前記基板の前記形成面と、外
周部に平坦面を有する前記モールドの前記平坦面と、の間の距離を測定し、前記ヘッドが、前記モールドを保持した状態で、前記距離測定部により測定された距離に基づいて、前記基板を保持する前記基板保持部に近づく、
樹脂成形方法。
【請求項16】
前記モールド押し付けステップにおいて、前記距離測定部が、前記平坦面における3つ
以上の箇所において、前記形成面と前記平坦面との間の距離を測定し、モールド姿勢調整
部が、前記形成面と前記平坦面との間の距離に基づいて、前記形成面と前記平坦面との間
の距離と前記平坦面の前記形成面に対する傾きとの少なくとも一方を調整する、
請求項
15に記載の樹脂成形方法。
【請求項17】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記モールド押し付けステップと、前記樹脂硬化ステップと、を繰り返すことにより、前記基板に複数の硬化した樹脂部を形成する、
樹脂成形方法。
【請求項18】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、
撮像部が、前記モールドを前記基板に押し付けて、前記ヘッドを前記基板における前記
樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記モールドの鉛直下方または前記基板の
鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメン
トマークを撮像する撮像ステップと、
制御部が、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとに基づいて、
前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部により、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正する補正ステップと、を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記補正ステップにおいて、前記モールドを、前記樹脂を介して前記基板に押し付けた
状態で、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正する、
樹脂成形方法。
【請求項19】
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記モールド押し付けステップにおいて、距離測定部が、前記基板の前記形成面と、外周部に平坦面を有する前記モールドの前記平坦面と、の間の距離を測定し、前記ヘッドが、前記モールドを保持した状態で、前記距離測定部により測定された距離に基づいて、前記基板を保持する前記基板保持部に近づく、
樹脂成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置および樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を保持するステージと、ステージの上方に配置されたボンディング部と、を備え、ボンディング部のヘッドにチップを保持した状態でステージを水平方向に移動することによりチップの基板に対するアライメントを実行した後、ボンディング部を下降させてチップを基板に実装する部品実装システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、基板における部品が実装される実装面が上方を向いた状態でステージに保持されている。従って、例えばボンディング部で生じたパーティクルが基板上に付着してしまい、チップと基板との接合不良が発生する場合がある。この場合、チップを基板に実装してなる製品について、チップと基板との接合不良に起因した性能不良の製品が生じる虞がある。
【0005】
また、従来は突起電極であるバンプで接合することが主流であったため、バンプの隙間にパーティクルが落ちても大した接合上の問題にはならなかった。但し、近年、電極表面と絶縁層表面と同一の接合面内に存在するチップと基板との面接合を行うハイブリッドボンディングと呼ばれる基板接合手法が用いられ始めた。この基板接合方法では、親水化処理されたチップの接合面と基板の実装面とを直接接合するため、基板の実装面上に存在するパーティクルがチップと基板との接合状態に与える影響が大きい。例えば、粒径1μm程度のパーティクルが基板上に1つでも存在するとその周囲の直径数mm程度の範囲でボイドが生じてしまう。基板同士の接合の場合、パーティクル密度が管理された環境で基板同士を接合する量産技術が確立されている。但し、チップの歩留まり改善の観点からすれば、良品チップを選別して実装するいわゆるCOW(チップ・オン・ウエハ)方式のチップ実装システムのほうが有利である。そこで、パーティクル対策がなされたチップ実装システムの開発が要望されている。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、性能不良の製品の発生が抑制される樹脂成形装置および樹脂成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る樹脂成形装置は、
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形装置であって、
前記基板における樹脂部を形成する形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持する基板保持部と、
鉛直下方から前記モールドを保持し、前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから鉛直上方へ相対的に移動させることにより前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるヘッドと、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化部と、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させた状態で、前記基板の鉛直上方から、前記モールドの第3アライメントマークおよび前記基板の第4アライメントマークを撮像する撮像部と、
前記モールドを前記基板に押し付けた状態で、前記第3アライメントマークと前記第4アライメントマークとを撮像することにより、前記基板と前記モールドとの相対位置誤差を算出し、前記相対位置誤差に応じて、前記ヘッドおよび/または前記基板保持部に、前記基板に対する前記モールドの位置または姿勢を補正させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから前記ヘッドを鉛直上方へ移動させることにより前記ヘッドを前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けた後、前記樹脂硬化部を制御して、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させることを繰り返すことにより、前記基板に複数の硬化した樹脂部を形成する。
【0009】
他の観点から見た本発明に係る樹脂成形方法は、
基板に対してモールドを押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂成形方法であって、
基板保持部が、複数の樹脂部を形成する形成面が洗浄された前記基板を、前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で保持してパーティクルを鉛直下方に落下させて前記形成面に付着しないようにする基板保持ステップと、
ヘッドが、鉛直下方から前記モールドを保持するモールド保持ステップと、
前記ヘッドを前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される位置のいずれかに対向させてから前記ヘッドと前記基板保持部とを近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を含み、
前記基板保持ステップにおいて、前記基板保持部が、前記基板における前記形成面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分が順次、前記モールドの鉛直上方に配置されるように前記基板を移動させていく、
又は、前記モールド保持ステップにおいて、前記ヘッドが、前記基板における前記複数の樹脂部それぞれが形成される部分に対向する位置に順次移動させていき、
前記モールドの凹部の少なくとも一部の深さは、1μm以下であり、
前記ヘッドを前記基板における前記樹脂部が形成される位置に対向させてから前記ヘッドを鉛直上方へ移動させることにより前記ヘッドを前記基板保持部に近づけて前記基板の鉛直下方から前記モールドを押し付けるモールド押し付けステップと、
前記樹脂硬化部が、前記モールドを前記基板に押し付けた状態で前記モールドに載置された樹脂を硬化させる樹脂硬化ステップと、を繰り返すことにより、前記基板に複数の硬
化した樹脂部を形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る樹脂成形装置によれば、基板保持部が、基板における樹脂部が形成される形成面が鉛直下方を向く姿勢で基板を保持する。また、ヘッドが、基板における樹脂部が形成される位置と対向する押し付け位置において鉛直上方へ移動することにより基板保持部に近づいてモールドを押し付ける。そして、樹脂硬化部が、モールドを樹脂部に押し付けた状態でモールドに載置された樹脂を硬化させる。これにより、基板の樹脂部が形成される形成面へのパーティクルの堆積を低減することができるので、樹脂部と基板との界面へのパーティクルの混入を抑制できる。従って、基板上に樹脂部を形成してなる製品について、樹脂部と基板との界面へのパーティクルの混入に起因した性能不良の製品の発生が抑制される。特に、1枚の基板上に複数個の樹脂部を成形するいわゆるステップ・アンド・リピート方式で樹脂成形を行う工程に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る部品実装システムを側方から見た概略構成図である。
【
図3】実施の形態1に係るボンディング装置の概略構成図である。
【
図4】実施の形態1に係るチップのアライメントマークとヘッドの中空部との位置関係を示す図である。
【
図5A】実施の形態1に係るボンディング部の一部を示す概略斜視図である。
【
図5B】実施の形態1に係るボンディング装置の
図3のA-A線における断面矢視図である。
【
図6A】実施の形態1に係るステージの平面図である。
【
図6B】実施の形態1に係るステージの側面図である。
【
図7】実施の形態1に係るチップ保持部の概略断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る制御部を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態1に係る部品実装システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図10A】実施の形態1に係るヘッド、チップ搬送部およびチップ受け渡し部の位置関係を示す概略平面図である。
【
図10B】実施の形態1に係る部品実装システムを側方から見た概略構成図である。
【
図11A】実施の形態1に係るヘッド、チップ搬送部およびチップ受け渡し部の位置関係を示す概略平面図である。
【
図11B】実施の形態1に係る部品実装システムを側方から見た概略構成図である。
【
図12A】チップに設けられたアライメントマークを示す図である。
【
図12B】基板に設けられたアライメントマークを示す図である。
【
図12C】アライメントマークの相対的な位置ずれを示す図である。
【
図13】実施の形態1に係るヘッドの詳細を示す図である。
【
図14】実施の形態1に係る部品実装システムを側方から見た概略構成図である。
【
図15】実施の形態2に係る樹脂成形装置の概略構成図である。
【
図16】実施の形態2に係る樹脂成形装置の一部の概略構成図である。
【
図17】実施の形態2に係る制御部を示すブロック図である。
【
図18】実施の形態2に係る樹脂成形装置が実行する樹脂成形処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図19】実施の形態2に係る樹脂成形装置についてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図20】実施の形態2に係るヘッドの詳細を示す図である。
【
図21A】実施の形態2に係るヘッドに保持されたモールドを樹脂部に押し付ける様子を示す図である。
【
図21B】実施の形態2に係る紫外線照射部により樹脂部に紫外線を照射する様子を示す図である。
【
図21C】実施の形態2に係るヘッドを鉛直下方へ移動させる様子を示す図である。
【
図22】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図23A】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図23B】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図24A】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図24B】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図25A】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図25B】変形例に係るヘッドの動作を説明するための図である。
【
図26】変形例に係るヘッドの動作を説明するための図である。
【
図27A】変形例に係る部品実装システムの概略構成図である。
【
図27B】変形例に係る部品実装システムの動作を説明するための図である。
【
図28】変形例に係る樹脂成形装置の概略構成図である。
【
図29】変形例に係る樹脂成形装置の概略構成図である。
【
図30】変形例に係るヘッドの詳細を示す図である。
【
図31】変形例に係る樹脂成形装置についてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図32A】変形例に係る樹脂成形装置についてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図32B】変形例に係る樹脂成形装置についてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図33】変形例に係る樹脂成形装置についてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図34A】変形例に係る樹脂成形装置についてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図34B】変形例に係る樹脂成形装置についてモールドを基板に押し付ける様子を示す図である。
【
図35A】変形例に係る樹脂成形装置についてモールドを基板に押し付ける様子を示す図である。
【
図35B】変形例に係る樹脂成形装置についてモールドを基板に押し付ける様子を示す図である。
【
図36A】比較例に係る樹脂成形装置についてモールドを樹脂層に押し付ける様子を示す図である。
【
図36B】比較例に係る樹脂成形装置についてモールドを樹脂層に押し付ける様子を示す図である。
【
図36C】比較例に係る樹脂成形装置についてモールドを樹脂層に押し付ける様子を示す図である。
【
図37A】変形例に係る樹脂成形システムについてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図37B】変形例に係る樹脂成形システムについてディスペンサによりモールドに樹脂を注入する様子を示す図である。
【
図38A】変形例に係る樹脂成形システムについてモールドを搬送する様子を示す図である。
【
図38B】変形例に係る樹脂成形システムについてモールドが樹脂成形装置内に配置された状態を示す図である。
【
図39A】変形例に係る樹脂成形システムについてモールドを基板に押し付ける様子を示す図である。
【
図39B】変形例に係る樹脂成形システムについて樹脂に紫外線を照射する様子を示す図である。
【
図40A】変形例に係る樹脂成形装置についてモールドを樹脂層に押し付ける様子を示す図である。
【
図40B】変形例に係る樹脂成形装置についてモールドを樹脂層に押し付ける様子を示す図である。
【
図41A】変形例に係るボンディング装置の概略図である。
【
図41B】変形例に係るボンディング装置の概略図である。
【
図42】変形例に係るボンディング装置の概略図である。
【
図43】変形例に係るチップ搬送部の概略平面図である。
【
図44】変形例に係るチップ実装システムの一部の概略図である。
【
図45】変形例に係るチップ実装システムの一部の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る部品実装システムであるチップ実装システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施の形態に係るチップ実装システムは、基板上に電子部品を実装する装置である。電子部品は、例えばダイシングされた基板から供給される半導体チップ(以下、単に「チップ」と称する。)である。このチップ実装システムは、基板におけるチップが実装される面と電子部品の接合面について活性化処理を行った後、チップを基板に接触させて加圧および加熱することにより、チップを基板に実装する。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施の形態に係るチップ実装システム1は、チップ供給装置10と、ボンディング装置30と、カバー50と、親水化処理装置60と、水洗浄部65と、搬送装置70と、搬出入ユニット80と、制御部90と、を備える。チップ供給装置10は、基板WCをダイシングし、ダイシングされた基板WCからチップCPを取り出し、ボンディング装置30へチップCPを供給する。ここで、ダイシングとは、複数の電子部品が作り込まれた基板WCを縦方向および横方向に切削しチップ化する処理である。チップ供給装置10は、
図2に示すように、チップ供給部(部品供給部)11とチップ移載部13と供給チップ撮像部15とを有する。
【0015】
チップ供給部11は、ボンディング装置30へチップCPを供給する。チップ供給部11は、ダイシングされた基板(ダイシング基板)WCが貼着されたダイシングテープ(シート)TEを保持するテープ保持部(シート保持部)112と、基板WCを構成するチップCPを鉛直下方へ切り出す切出機構111と、を有する。また、チップ供給部11は、テープ保持部112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動するテープ保持部駆動部113を有する。テープ保持部112は、ダイシングテープTEに貼着された基板WCを、ダイシングテープTEが基板WCの鉛直上方(+Z方向)側に位置する姿勢で保持する。即ち、テープ保持部112は、ダイシングテープTEにおける基板WCが貼着された面が下向きの状態で、ダイシングテープTEを保持する。切出機構111は、ニードル111aを有し、
図2の矢印AR2に示すように、ダイシングテープTEにおける鉛直上方(+Z方向)からニードル111aを鉛直下方(-Z方向)へ突き出してチップCPを鉛直下方(-Z方向)へ押し出すことによりチップを供給する。そして、ダイシングテープTEに貼り付けられた基板WCを構成する各チップCPは、チップ供給部11のニードル111aにより1個ずつ下方へ突き出され、チップ移載部13に受け渡される。テープ保持部駆動部113は、テープ保持部112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動することにより、基板WCの位置および姿勢を変化させる。
【0016】
チップ移載部13は、チップ供給部11から受け渡されるチップCPを上下反転させるチップ反転部(部品反転部)131と、チップ反転部131から受け取ったチップCPをチップ搬送部39へ受け渡すチップ受け渡し部(部品受け渡し部)132と、を有する。チップ反転部131は、チップ供給部11から供給されるチップCPの上下を反転させる。チップ反転部131は、先端部に吸着部1311aが設けられたL字状のアーム1311と、アーム1311を旋回させるアーム駆動部1312と、を有する。アーム1311の先端部は、吸着部1311aの周囲に突設された突出部(図示せず)を有する。アーム1311の先端部は、チップCPにおける基板WTに接合される接合面CPf側を鉛直上方(+Z方向)に向けた状態でチップCPの上面側を保持する。そして、アーム1311の先端部では、突出部の先端部がチップCPの周部に当接した状態で、吸着部1311aによりチップCPが吸着保持される。
【0017】
チップ受け渡し部132は、チップ反転部131から上下反転したチップCPを受け取りチップ搬送部39へ渡す。チップ受け渡し部132は、
図2の矢印AR3に示すように、先端部(上端部)に吸着部1311aを有し、上下方向に移動する。このチップ受け渡し部132は、その先端部がチップ反転部131のアーム1311の先端部が下向きの状態でアーム1311の先端部よりも下側となる待機位置で待機している。チップ受け渡し部132の位置は、鉛直方向(Z軸方向)に直交する方向(X軸方向)において、チップ反転部131の吸着部1311aが鉛直上方を向いた状態での吸着部1311aの位置から距離W1だけずれている。なお、基板WTやダイシング基板WCの寸法によっては、チップ供給部11とヘッド33Hとの間のX軸方向の距離が、チップ反転部131とチップ搬送部39とにより達成できるX軸方向の移動距離に比べて長い場合がある。この場合、チップ受け渡し部132は、X軸方向に移動して、チップ搬送部39のプレート391の先端部にチップCPを受け渡す構成にしてもよい。これにより、ダイシング基板WCの径がある程度長くても対応可能となる。
【0018】
供給チップ撮像部15は、チップ供給装置10におけるチップ供給部11の下方(-Z方向)に配置されている。供給チップ撮像部15は、チップ反転部131のアーム1311がその吸着部1311aがZ方向を向いた姿勢、即ち、供給チップ撮像部15の光軸に吸着部1311aが存在しない状態で、基板WCを構成するチップCPを撮影する。
【0019】
チップ反転部131は、アーム1311の先端部をチップ供給部11側(上側)へ向けて、チップ供給部11のニードル111aが突き出したチップCPを吸着部1311aにより吸着して受け取る。そして、チップ反転部131は、アーム1311の先端部にチップCPを吸着させた状態で、アーム駆動部1312によりアーム1311を旋回させてアーム1311の先端部を下側へ向ける。一方、チップ受け渡し部132は、待機位置から上方へ移動してアーム1311の先端部に吸着されているチップCPを受け取る。また、チップ反転部131は、チップCPをチップ受け渡し部132に受け渡した後、アーム1311を旋回させてアーム1311の先端部が上方を向いた状態にする。
【0020】
ボンディング装置30は、
図3に示すように、ステージ(基板保持部)31と、ヘッド33Hを有するボンディング部33と、ヘッド33Hを駆動するヘッド駆動部36と、第1撮像部35a、35bと、第2撮像部41と、カメラF方向駆動部365と、カメラZ方向駆動部363と、を有する。ボンディング部33とヘッド駆動部36とから、チップCPを基板WT上に載置するいわゆるチップマウンタが構成されている。また、ボンディング装置30は、更に、チップ供給装置10から供給されるチップCPをヘッド33Hまで搬送するチップ搬送部(部品搬送部)39を有する。ボンディング部33は、
図3に示すように、Z軸方向移動部材331と、第1円盤部材332と、ピエゾアクチュエータ(部品姿勢調整部)333と、第2円盤部材334と、ミラー固定用部材336と、ミラー337と、ヘッド33Hと、を有する。
【0021】
Z軸方向移動部材331の上端部には、第1円盤部材332が固定されている。また、第1円盤部材332の上側には、第2円盤部材334が配置されている。第1円盤部材332と第2円盤部材334とは、ピエゾアクチュエータ333を介して接続されている。さらに、第2円盤部材334の上面側には、ヘッド33Hが固定されている。ヘッド33Hは、チップCPを吸着して保持する。
【0022】
ヘッド33Hは、鉛直下方(-Z方向)からチップCPを保持する。ヘッド33Hは、チップツール411と、ヘッド本体部413とを有している。チップツール411は、撮影光(赤外光等)を透過する材料(例えばシリコン(Si))から形成されている。また、ヘッド本体部413には、セラミックヒータやコイルヒータ等が内蔵されている。また、ヘッド本体部413には、撮影光を透過(通過)させるための中空部415,416が設けられている。各中空部415,416は、撮影光を透過する透過部分であり、ヘッド本体部413を鉛直方向(Z軸方向)に貫通するように設けられている。また、各中空部415,416は、
図4に示すように、上面視において楕円形状を有している。2つの中空部415,416は、上面視略正方形形状を有するヘッド本体部413の対角部分において、軸BXを中心に点対称に配置されている。なお、撮影光を透過させるため、第2円盤部材334における中空部415、416に対応する部分にも孔部334a、334bが設けられている。
【0023】
ピエゾアクチュエータ333は、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整する。ピエゾアクチュエータ333は、
図5Aに示すように、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に3つ存在し、それぞれのZ方向に伸縮可能となっている。そして、3つのピエゾアクチュエータ333それぞれの伸縮の程度を制御することにより、水平面に対する第2円盤部材334、ひいてはヘッド33Hの傾き角度が調整される。そして、ヘッド33Hに保持されたチップCPの接合面CPfの基板WTの実装面WTfとの間の距離と、ヘッド33Hに保持されたチップCPの接合面CPfの基板WTの実装面WTfに対する傾きと、の少なくとも一方が調整される。なお、3本のピエゾアクチュエータ333は、第1撮像部35a、35bに関する照明光(反射光を含む)を遮らない位置(平面位置)に配置されている。
【0024】
ミラー337は、ミラー固定用部材336を介して第1円盤部材332に固定され、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間の空隙に配置されている。ミラー337は、斜め下方向き45度の傾斜角度を有する傾斜面337a、337bを有する。第1撮像部35a、35bからミラー337の傾斜面337a、337bへ入射した撮影光は、上方へ反射される。
【0025】
ヘッド駆動部36は、受け渡し位置Pos1(
図2参照)において受け取ったチップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPを実装する。より詳細には、ヘッド駆動部36は、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPを接触させて基板WTに面接合させる。ここにおいて、後述するように、基板WTの実装面WTfとチップCPにおける基板WTに接合される接合面CPfとは、例えば親水化処理装置60により親水化処理が施されている。従って、基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面CPfを接触させることにより、基板WTにチップCPが接合される。なお、チップCPの接合面CPfは、例えば平坦な金属電極が露出した面であってもよい。
【0026】
ヘッド駆動部36は、Z方向駆動部34と、回動部材361と、θ方向駆動部37と、を有する。Z方向駆動部34は、サーボモータおよびボールネジ等を有している。Z方向駆動部34は、後述の回動部材361の下端側に設けられ、
図2の矢印AR4に示すように、ボンディング部33のZ軸方向移動部材331をZ軸方向へ駆動する。Z方向駆動部34が、Z軸方向移動部材331をZ方向に移動させると、それに伴い、ボンディング部33の上端部に設けられたヘッド33HがZ方向に移動する。即ち、ヘッド33Hは、Z方向駆動部34によりZ方向に駆動される。
【0027】
回動部材361は、円筒形状であり、
図5Bに示すように内側の中空部の断面形状が八角形である。一方、Z軸方向移動部材331は、断面形状が八角形である棒状部分を有し、回動部材361の内側に挿入されている。また、Z軸方向移動部材331の8つの側面のうちの4つの側面と回動部材361の内面との間には、Z軸方向移動部材331が回動部材361に対してZ軸方向へ摺動するかたちで配置されたリニアガイド38が設けられている。Z軸方向移動部材331は、回動部材361が回転軸BX周りに回転すると、回動部材361と連動して回転する。即ち、ボンディング部33と回動部材361とは、
図2の矢印AR5に示すように、回転軸BX周りに連動して回転する。
【0028】
θ方向駆動部37は、サーボモータおよび減速機等を有し、
図3に示すように、ボンディング装置30内に設けられた固定部材301に固定されている。θ方向駆動部37は、回動部材361を軸BX周りに回転可能に支持している。そして、θ方向駆動部37は、制御部90から入力される制御信号に応じて、回動部材361を回転軸BX周りに回転させる。
【0029】
第1撮像部35a、35bは、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、チップCPの鉛直下方(-Z方向)から、
図4に示すようなチップCPのアライメントマーク(第1アライメントマーク)MC1a、MC1bを撮像する。第1撮像部35aは、
図3に示すように、カメラZ方向駆動部363およびカメラF方向駆動部365を介して回動部材361に固定されている。第1撮像部35bも、カメラZ方向駆動部363およびカメラF方向駆動部365を介して回動部材361に固定されている。これにより、第1撮像部35a、35bは、回動部材361と共に回転する。ここで、前述のように、ミラー337は、Z軸方向移動部材331に固定され、回動部材361とZ軸方向移動部材331とは連動して回転する。従って、第1撮像部35a,35bとミラー337との相対的な位置関係は不変であるので、回動部材361の回転動作に関わらず、ミラー337により反射される撮影光が第1撮像部35a,35bに導かれる。
【0030】
第1撮像部35a、35bは、それぞれチップCPに設けられた後述のアライメントマークMC1a、MC1bの画像と、基板WTに設けられた後述のアライメントマークMC2a、MC2bの画像と、を含む画像データを取得する。制御部90は、第1撮像部35a、35bにより取得された画像データに基づいて、基板WTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向における各チップCPの基板WTに対する相対位置を認識する。第1撮像部35a,35bは、それぞれ、イメージセンサ351a、351bと、光学系352a、352bと、同軸照明系(図示せず)と、を有する。第1撮像部35a,35bは、それぞれ、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。なお、第1撮像部35a,35bの同軸照明系から水平方向に出射された照明光は、ミラー337の傾斜面337a、337bで反射されその進行方向が鉛直上方に変更される。そして、ミラー337で反射された光は、ヘッド33Hに保持されたチップCPとチップCPに対向配置された基板WTとを含む撮影対象部分に向けて進行し各撮影対象部分で反射される。ここで、チップCPの撮像対象部分には、後述のアライメントマークMC1a、MC1bが設けられており、基板WTの撮像対象部分には、後述のアライメントマークMC2a、MC2bが設けられている。チップCPおよび基板WTそれぞれの撮影対象部分からの反射光は、鉛直下方へ進行した後、ミラー337の傾斜面337a、337bで再び反射されその進行方向が水平方向に変更されて、第1撮像部35a,35bへと到達する。このようにして、第1撮像部35a、35bは、チップCPおよび基板WTそれぞれの撮影対象部分の画像データを取得する。
【0031】
ここにおいて、ヘッド33Hの中空部415、416は、回動部材361の回転に連動して軸BX周りに回転する。例えば、
図4に示すように、正方形形状を有するチップCPの中心を挟んで対向する角部それぞれにアライメントマークMC1a,MC1bが設けられているとする。この場合、第1撮像部35a,35bがチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bが設けられた2つの角部を結ぶ対角線上に位置するときに、第1撮像部35a、35bが中空部415、416を通じてアライメントマークMC1a、MC1bの撮像データを取得することができる。
【0032】
カメラF方向駆動部365は、
図3の矢印AR8に示すように、第1撮像部35a、35bをフォーカス方向に駆動することにより、第1撮像部35a,35bの焦点位置を調整する。
【0033】
カメラZ方向駆動部363は、
図3の矢印AR9に示すように、第1撮像部35a、35bをZ軸方向に駆動する。ここで、カメラZ方向駆動部363は、通常、Z軸方向移動部材331のZ軸方向の移動量と、第1撮像部35a,35bのZ軸方向の移動量とが同一となるように、第1撮像部35a、35bを移動させる。このようにして、ヘッド33HのZ軸方向への移動時において、第1撮像部35a,35bの撮影対象部分が移動前後で変わらないようにしている。但し、カメラZ方向駆動部363は、第1撮像部35a、35bのZ軸方向の移動量がZ軸方向移動部材331のZ軸方向の移動量と異なるように、第1撮像部35a,35bを移動させる場合がある。この場合、第1撮像部35a,35bとミラー337とのZ方向における相対位置がそれぞれ変化するため、第1撮像部35a,35bによるチップCPおよび基板WTにおける撮影対象部分が変更される。
【0034】
ステージ31は、基板WTにおけるチップCPが実装される実装面WTfが鉛直下方(-Z方向)を向く姿勢で基板WTを保持する。ステージ31は、X方向、Y方向および回転方向に移動できる。これにより、ボンディング部33とステージ31との相対位置関係を変更することができ、基板WT上における各チップCPの実装位置を調整することができる。ステージ31は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、X方向移動部311とY方向移動部313と基板載置部315とX方向駆動部321とY方向駆動部323とを有する。X方向移動部311は、2つのX方向駆動部321を介してボンディング装置30のベース部材302に固定されている。2つのX方向駆動部321は、それぞれX方向に延在しY方向に離間して配置されている。X方向駆動部321は、リニアモータおよびスライドレールを有し、X方向移動部311を固定部材301に対してX方向に移動させる。
【0035】
Y方向移動部313は、X方向移動部311の下方(-Z方向)に、2つのY方向駆動部323を介して配置されている。2つのY方向駆動部323は、それぞれY方向に延在しX方向に離間して配置されている。Y方向駆動部323は、リニアモータおよびスライドレールを有し、Y方向移動部313をX方向移動部311に対してY方向に移動させる。基板載置部315は、Y方向移動部313に固定されている。基板載置部315は、X方向駆動部321およびY方向駆動部323の移動に応じて、X方向およびY方向に移動する。また、X方向移動部311の中央部には、平面視矩形状の開口部312が設けられ、Y方向移動部313の中央部にも、平面視矩形状の開口部314が設けられている。基板載置部315の中央部には、平面視円形の開口部316が設けられている。そして、これらの開口部312,314,316を通じて基板WT上のマークを赤外透過カメラ41により認識する。また、赤外線照射部(図示せず)を配置することで基板WTに赤外線を照射して基板WTを加熱することもできる。
【0036】
チップ搬送部(ターレットとも称する)39は、チップ供給部11から供給されるチップCPを、ヘッド33HにチップCPを受け渡す受け渡し位置Pos1まで搬送する。チップ搬送部39は、
図1に示すように、偶数枚(
図1では4つ)のプレート391と、複数のプレート391を一斉に回転駆動するプレート駆動部392と、を有する。偶数枚のプレート391は、
図2に示すように、それぞれ一端部にチップCPを保持するチップ保持部(部品保持部)391aが設けられ、チップ供給部11とヘッド33Hとの間に位置する他端部(軸BX)を基点として一端部が旋回する。各プレート391は、薄板形状を有しており、例えば数mm程度(好ましくは1mm~2mm程度以下)の厚さを有している。また、複数のプレート391は、平面視において、軸AXを中心に等間隔で配置される。なお、プレート391の数は、4枚に限定されるものではなく、6以上の偶数個であってもよい。プレート391の先端部には、チップCPを吸着保持するチップ保持部391aが設けられている。そして、チップ受け渡し部132とボンディング部33のヘッド33Hとは、Z軸方向において、プレート391が回転したときにチップ保持部391aが描く軌跡OB1と重なる位置に配置されている。チップ搬送部39は、チップ受け渡し部132からチップCPを受け取ると、
図1の矢印AR1に示すように、中心軸AX周りの回転動作によってチップCPをボンディング装置30内のヘッド33Hと重なる受け渡し位置Pos1まで搬送する。ところで、
図2に示すように、チップ受け渡し部132の位置は、X軸方向において、チップ反転部131がチップ供給部11からチップCPを受け取る位置から距離W1だけずれている。これにより、チップ受け渡し部132がチップ反転部131からチップCPを受け取る位置が、チップ反転部131がチップ供給部11からチップCPを受け取る位置よりも軸AX側(-X方向)に距離W1だけずれている。従って、プレート391の長さを長さW1だけ短くすることができるので、チップ搬送部39の小型化を図ることができる。
【0037】
また、チップ搬送部39のチップ保持部391aは、
図7に示すように、吸着部391bと吸着部391bの周囲に突設された突出部391cとを有する。チップ保持部391aは、チップCPにおける基板WTに接合される接合面CPf側を鉛直上方(+Z方向)に向けた状態でチップCPの上面側を保持する。ここにおいて、チップCPは、直方体状であり、基板WTに接合される接合面CPfの外周部に形成された切欠部CPkを有する。チップ保持部391aの突出部391cの突出量HTは、切欠部CPkの接合面CPfに直交する方向(Z軸方向)における高さHCよりも大きい。そして、チップ保持部391aは、突出部391cの先端部を切欠部CPkの下端部分に当接させた状態で、吸着部391bによりチップCPを吸着することにより、チップCPを保持する。このとき、前述のように、チップCPの切欠部CPkのZ軸方向の高さHCは、突出部391cのZ軸方向の高さHTより低いため、チップ搬送部39は、チップCPの接合面CPfをプレート391に接触させない状態でチップCPを搬送することができる。
【0038】
第2撮像部41は、
図2および
図3に示すように、ステージ31の上方に配置されている。そして、第2撮像部41は、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、基板WTの鉛直上方(+Z方向)から、後述の基板WTのアライメントマーク(第2アライメントマーク)MC2a、MC2bを撮像する、これにより、第2撮像部41は、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bの画像を含む画像データを取得する。制御部90は、第2撮像部41により取得された画像データに基づいて、基板WTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向におけるチップCPの実装位置のヘッド33Hに対する相対位置を認識する。第2撮像部41は、イメージセンサ418と、光学系419と、同軸照明系(図示せず)と、を有する。第2撮像部41は、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。
【0039】
カバー50は、チップ供給装置10およびボンディング装置30内において、ヘッド駆動部36およびチップ搬送部39が配置される空間と、チップ供給部11およびステージ31が配置される空間と、を仕切るように配置されている。これにより、チップ供給部11またはステージ31で発生したパーティクルのヘッド駆動部36またはチップ搬送部39への堆積が抑制される。
【0040】
親水化処理装置60は、基板WTの実装面を親水化する親水化処理を行う。親水化処理装置60は、例えばチャンバ(図示せず)、チャンバ内で基板WTを保持するステージ(図示せず)、高周波を発生するマグネトロン(図示せず)、ステージにバイアスを印加する高周波電源(図示せず)等を有する。また、親水化処理装置60は、チャンバに接続されチャンバ内を減圧する真空ポンプ(図示せず)を有する。親水化処理装置60は、減圧下でステージに保持された基板WTの実装面WTfに対して反応性イオンエッチングやN2またはO2ラジカルの照射を行うことにより基板WTの実装面WTfを活性化させる親水化処理を実行する。水洗浄部65は、スピンコーター等の水洗浄装置を備える。そして、水洗浄部65は、搬送されてきた基板WTに対して水洗浄工程を行うことにより、基板WTに付着したパーティクルの除去を行うとともに、基板WTの実装面WTfへ水を付着させる。
【0041】
搬送装置70は、搬送ロボット71を用いて、搬出入ユニット80とボンディング装置30と親水化処理装置60との相互間で基板WTを搬送する。搬送装置70は、まず、搬出入ユニット80から親水化処理装置60内へ基板WTを搬送する。そして、搬送装置70は、親水化処理装置60において親水化処理された基板WTを、親水化処理装置60からボンディング装置30内へ搬送する。なお、搬送ロボット71は、親水化処理装置60から受け取った基板WTについて適宜その上下を反転させてからボンディング装置30内へ搬送する。
【0042】
なお、親水化処理装置60も、基板WTの接合面を鉛直下方に向けて配置して親水化処理を行うようにし、処理中において基板WTの接合面が常に鉛直下方を向くようにハンドリングすることにより基板WTの接合面へのパーティクルの付着を抑制できる。この場合、親水化処理装置60として、例えば基板WTの鉛直下方から基板WTの接合面へ粒子ビームを照射して基板WTの接合面を活性化する粒子ビーム照射部が基板WTの鉛直下方に設けられた構成を採用することが有効である。また、親水化処理装置60としては、この粒子ビーム照射部を備える構成が例えばプラズマ源を備える構成に比べて好適である。例えば接合面に絶縁層と電極が混在して露出するハイブリッドな基板の接合面を活性化する場合、ダイシングテープTEに張られた基板WCの接合面を活性化する場合を想定する。この場合、プラズマ源を備える親水化処理装置であれば、絶縁層に含まれる酸化物やダイシングテープTEを形成する樹脂等から生じる不純物イオンがプラズマ電解にひかれて基板WT、WCの接合面に再付着してしまう。これに対して、粒子ビーム照射部を備える親水化処理装置60の場合、基板WT、WCの接合面へ粒子ビームを照射することにより基板WT、WCの接合面に付着した不純物が飛散していくため基板WT、WCの接合面を斑無く活性化できるという利点がある。
【0043】
制御部90は、
図8に示すように、MPU(Micro Processing Unit)901と、主記憶部902と、補助記憶部903と、インタフェース904と、各部を接続するバス905と、を有する。主記憶部902は、揮発性メモリから構成され、MPU901の作業領域として使用される。補助記憶部903は、不揮発性メモリから構成され、MPU901が実行するプログラムを記憶する。また、補助記憶部903は、後述するチップ搬送部39のプレート391の回転角度を示す情報も記憶する。インタフェース904は、供給チップ撮像部15、第1撮像部35a、35b、第2撮像部41から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバス905へ出力する。また、MPU901は、補助記憶部903が記憶するプログラムを主記憶部902に読み込んで実行することにより、インタフェース904を介して、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、X方向駆動部321、Y方向駆動部323、プレート駆動部392、吸着部391b、チップ反転部131、チップ受け渡し部132、切出機構111、テープ保持部駆動部113、搬送ロボット71それぞれへ制御信号を出力する。
【0044】
制御部90は、基板WTとチップCPとが接触した状態で、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを撮像して得られる画像から、基板WTとチップCPとの相対位置誤差を算出する。そして、制御部90は、算出した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36のZ方向駆動部34、θ方向駆動部37並びにステージ31のX方向駆動部321、Y方向駆動部323に、基板WTに対するチップCPの位置および姿勢を補正させる。また、制御部90は、基板WCにおけるチップ反転部131へ渡すチップCPの位置および姿勢に応じて、テープ保持部駆動部113に、テープ保持部112の位置およびZ軸周りの傾きを補正させる。ここで、制御部90は、前述の供給チップ撮像部15から入力される画像データに基づいて、チップCPの姿勢を認識する。
【0045】
次に、本実施の形態に係るチップ実装システムが実行する部品実装処理について
図9乃至
図14を参照しながら説明する。この部品実装処理は、制御部90により部品実装処理を実行するためのプログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、
図9においては、チップ供給部11のテープ保持部112が、ダイシングテープTEにおけるダイシング基板WCが貼り付けられた面が下向きの状態で、ダイシングテープTEを保持しているものとする。また、ダイシング基板WCを構成する各チップCPの基板WTに実装される面側は、親水化処理装置60または他の装置において既に親水化処理が施されているものとする。
【0046】
更に、ボンディング装置30は、親水化処理装置60において親水化処理され搬送装置70によりボンディング装置30内へ搬送されてきた基板WTをステージ31が保持しているものとする。ステージ31は、基板WTにおけるチップCPが実装される実装面が鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する(基板保持ステップ)。また、
図10Aに示すように、Z軸方向において、プレート391Aの先端部がヘッド33Hに重なり、プレート391Cの先端部がチップ受け渡し部132と重なっている第1状態にあるとする。この第1状態では、偶数個のプレート391のいずれか1つの一端部が鉛直方向(Z軸方向)においてヘッド33Hと重複している。ここで、プレート391AはチップCPを保持し、プレート391CはチップCPを保持していないものとする。
【0047】
また、チップ実装システム1は、ステージ31を移動させて、基板WTにおけるチップCPが実装される実装位置と、ヘッド33Hと、を対向させているものとする。ここにおいて、チップ実装システム1は、まず、第2撮像部41により撮影された基板WTのアライメントマークを含む画像データに基づいて、基板WTにおけるチップCPを実装する位置を認識する。そして、認識したチップCPの実装位置に基づいて、ステージ31の基板載置部315をX方向またはY方向へ移動させて、基板WTにおけるチップCPが実装される部分とヘッド33Hが保持するチップCPとを対向させる。
【0048】
まず、チップ実装システム1は、チップ搬送部39が第1状態にある場合、
図9に示すように、プレート391Aが保持するチップCPをヘッド33Hへ渡す(ステップS1)。ここにおいて、チップ実装システム1は、
図10Bに示すように、ヘッド33Hをプレート391Aに近づけた状態で、プレート391Aのチップ保持部391aの吸着部391bによる吸着を停止するとともにヘッド33HにチップCPを吸着させることにより、プレート391Aからヘッド33HへチップCPを渡す。このとき、ヘッド33Hは、鉛直下方からチップCPを保持する(部品保持ステップ)。
【0049】
同時に、チップ実装システム1は、
図9に示すように、チップ受け渡し部132が保持するチップCPをチップ搬送部39のプレート391Cへ渡す(ステップS2)。ここにおいて、チップ実装システムは、
図10Bの矢印AR11に示すように、チップCPを保持したチップ受け渡し部132を待機位置から上昇させることにより、プレート391Cのチップ保持部391aへチップCPを渡し、再びチップ受け渡し部132を待機位置へ下降させる。
【0050】
同時に、チップ実装システム1は、供給チップ撮像部15により撮影して得られた画像データに基づいて、基板WCにおけるチップ反転部131へ渡すチップCPの位置および姿勢を認識する。そして、チップ実装システム1は、認識したチップCPの位置および姿勢に応じて、テープ保持部駆動部113に、テープ保持部112の位置およびZ軸周りの傾きを補正させるアライメント動作を実行する(ステップS3)。
【0051】
次に、チップ実装システム1は、チップ搬送部39のプレート391を予め設定された角度θ1だけ回転させる(ステップS4)。これにより、チップ搬送部39は、
図11Aに示すように、Z軸方向において、プレート391とヘッド33Hおよびチップ受け渡し部132と重ならない第2状態になる。この第2状態では、偶数個のプレート391の一端部が鉛直方向(Z軸方向)においてヘッド33Hと重複しない。なお、角度θ1は、プレート391が4つの場合は22.5度に設定される。即ち、プレート391の数をN(Nは正の整数)個とすると、角度θ1は(180/N)度に設定される。
【0052】
また、チップ実装システム1は、プレート391を回転させるときに、チップ供給部11からチップ反転部131のアーム1311へチップCPを渡す(部品供給ステップ)(ステップS5)。ここにおいて、チップ実装システム1は、まず、チップ反転部131の吸着部1311aをチップCPの受け取り位置に移動させる。続いて、チップ実装システム1は、チップ供給部11の切出機構111にニードル111aでチップCPを下方へ押し出させ、チップ反転部131のアーム1311をダイシングテープTEに近づけて押し出されたチップCPをアーム1311へ渡す。
【0053】
つまり、チップ搬送部39の第1状態において、ヘッド駆動部36によるヘッド33Hに保持されたチップCPの基板WTへの実装と、チップ供給部11からチップ反転部131へのチップCPの供給と、チップ受け渡し部132からチップ搬送部39へのチップCPの受け渡しと、が同時に実行される。
【0054】
また、チップ実装システム1は、プレート391を回転させるときに、ヘッド33Hが保持するチップCPのアライメントを開始する(ステップS6)。ここにおいて、チップ実装システム1は、まず、
図11Bの矢印AR12に示すように、ヘッド33Hを上昇させて、ヘッド33Hに保持されたチップCPを基板WTにおけるチップCPが実装される実装位置に近づける。チップCPには、例えば
図12Aに示すようなアライメントマークMC1a、MC1bが設けられており、基板WTのチップCPが実装される位置には、例えば
図12Bに示すようなアライメントマークMC2a、MC2bが設けられている。そして、チップ実装システム1は、チップCPに設けられたアライメントマークMC1a、MC1bと、基板WTのチップCPが実装位置に設けられたアライメントマークMC2a、MC2bと、を用いて、チップCPと基板WTとのアライメント動作を実行する。チップ実装システム1は、このアライメント動作を、例えばヘッド33Hを上昇させている間に実行する。チップ実装システム1は、チップCPと基板WTとを例えば数十μm乃至数μmの距離まで互いに近づけた状態で、アライメント動作を実行する。
【0055】
このとき、
図13に示すように、第1撮像部35aから出射されミラー337で反射されてヘッド33Hの中空部415を通過した光の一部は、チップツール411とチップCPとを透過する。チップCPを透過した光の一部は、基板WTのアライメントマークMC2aが設けられた部分で反射される。また、ヘッド33Hの中空部415を通過した光の残りの一部は、チップCPにおけるアライメントマークMC1aが設けられた部分で反射される。基板WTのアライメントマークMC2aが設けられた部分またはチップCPにおけるアライメントマークMC1aが設けられた部分で反射された光は、チップツール411を透過してヘッド33Hの中空部415を通過する。そして、ヘッド33Hの中空部415を通過したこれらの光は、ミラー337で反射されて第1撮像部35aの撮像素子へ入射する。これにより、チップ実装システム1は、チップCPに設けられたアライメントマークMC1aの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMC2aの画像とを含む画像データGaを取得する。そして、チップ実装システム1は、
図12Cに示すように、画像データGaに基づいてチップCPと基板WTとに設けられた1組のアライメントマークMC1a、MC2aの位置を認識し、この1組のアライメントマークMC1a,MC2aの相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。ここで、チップ実装システム1は、同一の第1撮像部35aにより、チップCPのアライメントマークMC1aと基板WTのアライメントマークMC2aとの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時認識する。
【0056】
また、第1撮像部35bから出射されミラー337で反射されてヘッド33Hの中空部416を通過した光の一部も、チップツール411とチップCPとを透過する。チップCPを透過した光の一部は、基板WTのアライメントマークMC2bが設けられた部分で反射される。また、ヘッド33Hの中空部416を通過した光の残りの一部は、チップCPにおけるアライメントマークMC1bが設けられた部分で反射される。基板WTのアライメントマークMC2bが設けられた部分またはチップCPにおけるアライメントマークMC1bが設けられた部分で反射された光は、チップツール411を透過してヘッド33Hの中空部416を通過する。そして、ヘッド33Hの中空部416を通過したこれらの光は、ミラー337で反射されて撮像部35bの撮像素子へ入射する。これにより、チップ実装システム1は、チップCPに設けられたアライメントマークMC1bの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMC2bの画像とを含む画像データGbを取得する。そして、チップ実装システム1は、前述と同様に、画像データGbに基づいてチップCPと基板WTとに設けられた1組のマークMC1b、MC2bの位置を認識し、この1組のマークMC1b,MC2bの相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。ここで、チップ実装システム1は、同一の第1撮像部35bにより、チップCPのアライメントマークMC1bと基板WTのアライメントマークMC2bとの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時認識する。このようにして、チップ実装システム1は、チップCPと基板WTとの位置ずれを高精度に認識できる。
【0057】
次に、チップ実装システム1は、これら2組のアライメントMC1a、MC2a、MC1b、MC2bの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、X方向、Y方向および軸BX周りの回転方向におけるチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。ここで、Δxは、X方向におけるチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量を示し、Δyは、Y方向におけるチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量を示す。また、Δθは、軸BX周りの回転方向におけるチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量を示す。
【0058】
その後、チップ実装システム1は、算出した相対的な位置ずれ量が低減されるように、ステージ31をX方向およびY方向に駆動するとともに、ボンディング部33を軸BX周りに回転させる。このようにして、チップ実装システム1は、チップCPと基板WTとの相対的な位置ずれを補正するアライメント動作を実行する。
【0059】
図9に戻って、次に、チップ実装システム1は、チップCPを保持したヘッド33Hを更に上昇させることにより、チップCPを基板WTに実装する(部品実装ステップ)(ステップS7)。より詳細には、チップ実装システム1は、チップCPを保持したヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPを接触させチップCPを基板WTに面接合させる。前述のように、基板WTの実装面WTfとチップCPにおける基板WTに接合される接合面CPfとは、例えば親水化処理装置60により親水化処理が施されている。従って、基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面CPfを接触させることにより、基板WTにチップCPが接合される。その後、チップ実装システム1は、
図14の矢印AR15に示すように、ヘッド33Hを下降させてヘッド33Hを待機位置へ戻す(ステップS8)。
【0060】
また、チップ実装システム1は、ステップS5、S6の一連の処理を実行すると同時に、
図11Bの矢印AR13に示すように、チップ反転部131にアーム1311を旋回させることによりチップCPの上下を反転させる(ステップS9)。
【0061】
続いて、チップ実装システム1は、チップ反転部131のアーム1311からチップ受け渡し部132へチップCPを渡す(ステップS10)。ここにおいて、チップ実装システム1は、
図11Bの矢印AR14に示すように、チップ受け渡し部132を待機位置から上昇させることにより、アーム1311からチップ受け渡し部132へチップCPを渡す。その後、チップ実装システム1は、
図14の矢印AR16に示すように、再びチップ受け渡し部132を待機位置へ下降させる。
【0062】
その後、チップ実装システム1は、
図14の矢印AR17に示すように、チップ反転部131のアーム1311を上方へ旋回させることにより、アーム1311を待機位置へ戻す(ステップS11)。
【0063】
つまり、チップ搬送部39の第2状態において、ヘッド駆動部36による基板WTへのチップCPの実装と、チップ反転部131によるチップCPの反転と、チップ受け渡し部132によるチップ反転部131からのチップCPの受け取りと、が実行される。
【0064】
図9に戻って、次に、チップ実装システム1は、チップ搬送部39のプレート391を予め設定された角度θ1だけ回転させる(ステップS12)。これにより、チップ搬送部39は、再び
図10Aに示すように、Z軸方向において、プレート391Aの先端部がヘッド33Hに重なり、プレート391Cの先端部がチップ受け渡し部132と重なっている第1状態になる。
【0065】
続いて、チップ実装システム1は、前述のステップS1と同様にして、プレート391Bが保持するチップCPをヘッド33Hへ渡す(ステップS13)。同時に、チップ実装システム1は、前述のステップS2と同様にして、チップ受け渡し部132が保持するチップCPをチップ搬送部39のプレート391Dへ渡す(ステップS14)。更に、チップ実装システム1は、前述のステップS3と同様にして、基板WCにおけるチップCPの位置および姿勢に応じて、テープ保持部駆動部113に、テープ保持部112の位置およびZ軸周りの傾きを補正させるアライメント動作を実行する(ステップS15)。その後、チップ実装システム1は、チップ搬送部39のプレート391を予め設定された角度θ1だけ回転させるとともに(ステップS16)、前述のステップS3と同様にして、チップ供給部11からチップ反転部131のアーム1311へチップCPを渡す(ステップS17)。また、チップ実装システム1は、プレート391を回転させるときに、前述のステップS6と同様にして、ヘッド33Hが保持するチップCPのアライメントを開始する(ステップS18)。これにより、チップ搬送部39は、Z軸方向において、プレート391とヘッド33Hおよびチップ受け渡し部132と重ならない第2状態になる。以後、チップ実装システム1は、ステップS7乃至ステップS18の処理を繰り返し実行する。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態に係るチップ実装システム1によれば、ステージ31が、基板WTにおけるチップCPが実装される実装面が鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する。また、ヘッド駆動部36が、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面にチップCPを実装する。これにより、基板WTの実装面へのパーティクルの付着を低減することができるので、チップCPと基板WTとの接合不良の発生を抑制できる。従って、チップCPを基板WTに実装してなる製品について、チップCPと基板WTとの接合不良に起因した性能不良の製品の発生が抑制される。
【0067】
また、本実施の形態に係るテープ保持部112は、枠状であり、ダイシングテープTEに貼着された基板WCを、ダイシングシートTEが基板WCの鉛直上方に位置する姿勢で保持する。これにより、基板WCを構成する各チップCPの基板WTに実装される面側へのパーティクルの付着を抑制することができる。また、切出機構111が、基板WCを構成する各チップCPを、ダイシングテープTEシートにおける鉛直上方側からニードル111aを鉛直下方側へ突き出してチップCPを鉛直下方へ突き出すことによりチップCPを供給する。これにより、チップ供給部11の構成の簡素化を図ることができる。
【0068】
更に、本実施の形態に係るチップ搬送部39は、チップ保持部391aによりチップCPの周部CPsを、チップCPにおける基板WTに接合される接合面CPf側を鉛直上方(+Z方向)に向けた状態で保持した状態でチップCPを搬送する。ここにおいて、チップCPは、直方体状であり、基板WTに接合される接合面CPfの外周部に形成された切欠部CPkを有する。また、チップ保持部391aは、
図7に示すように、吸着部391bと吸着部391bの周囲に突設された突出部391cとを有し、突出部391cの突出量HTが、切欠部CPkの接合面CPfに直交する方向(Z軸方向)における高さHCよりも大きい。そして、チップ保持部391aは、突出部391cの先端部を切欠部CPkの下端部分に当接させた状態で、吸着部391bによりチップCPを吸着することにより、チップCPを保持する。これにより、これにより、チップCPの搬送時におけるチップCPの接合面CPfの損傷を抑制することができるので、チップCPと基板WTとの接合不良の発生を低減できる。
【0069】
また、本実施の形態に係るチップ実装システム1では、チップ搬送部39の第1状態において、ヘッド33Hによるチップ搬送部39からのチップCPの受け取りと、チップ供給部11からチップ反転部131へのチップCPの供給と、チップ受け渡し部132からチップ搬送部39へのチップCPの受け渡しと、が実行される。また、チップ搬送部39の第2状態において、ヘッド駆動部36による基板WTへのチップCPの実装と、チップ反転部131によるチップCPの反転と、チップ受け渡し部132によるチップ反転部131からのチップCPの受け取りと、が実行される。これにより、これらの各動作が順番に実行される場合に比べて、基板WTへのチップCPの実装を開始してから、基板WTに実装すべき全てのチップCPの基板WTへの実装が完了するまでの間の時間を短縮することができる。従って、チップCPが実装された基板WTの製造におけるスループットが向上する。
【0070】
更に、本実施の形態に係るチップ実装システム1では、第1撮像部35a、35bが、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、チップCPの鉛直下方(-Z方向)から、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像する。また、第2撮像部41は、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、基板WTの鉛直上方(+Z方向)から、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像する。これにより、チップ実装システム1は、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを精度良く認識することができるので、基板WTに対するチップCPのアライメント精度が向上するという利点がある。
【0071】
また、本実施の形態に係る制御部90は、基板WTとチップCPとが接触した状態で、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを撮像して得られた画像データから、基板WTとチップCPとの相対位置誤差を測定する。そして、制御部90は、測定した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36に基板WTにおけるチップCPを実装する位置の補正を実行させる。これにより、チップ実装システム1は、基板WTに対するチップCPのアライメントを精度良く実行できる。
【0072】
更に、本実施の形態に係るチップ実装システムでは、ヘッド駆動部36が、チップCPを保持したヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面CPfを接触させることにより、チップCPを基板WTに面接合させる。より詳細には、ヘッド駆動部36は、親水化処理装置60により親水化処理された基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面を接触させて、チップCPを基板WTに接合させる。
【0073】
また、従来は突起電極であるバンプで接合することが主流であったため、バンプの隙間にパーティクルが落ちても大した接合上の問題にはならなかった。但し、近年、電極表面と絶縁層表面と同一の接合面内に存在するチップと基板との面接合を行うハイブリッドボンディングと呼ばれる基板接合手法が用いられ始めた。この基板接合方法では、親水化処理されたチップの接合面と基板の実装面とを直接接合するため、基板の実装面上に存在するパーティクルの接合に与える影響が大きい。例えば、粒径1μm程度のパーティクルが基板上に1つでも存在するとその周囲の直径数mm程度の範囲でボイドが生じてしまう。基板同士の接合の場合、パーティクル密度が管理された環境で基板同士を接合する量産技術が確立されている。但し、チップの歩留まり改善の観点からすれば、良品チップを選別して実装するいわゆるCOW(チップ・オン・ウエハ)方式のチップ実装システムのほうが有利である。これに対して、本実施の形態に係るチップ実装システム1によれば、前述のように、基板WTの実装面WTfへのパーティクルの付着を抑制するパーティクル対策がなされている。これにより、チップCPの基板WTへの実装において親水化処理接合を採用することが可能となった。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る樹脂成形装置は、紫外線硬化樹脂からなる樹脂が載置された型部材(以下、「モールド」と称する。)を基板に押し付けた状態で紫外線を照射して樹脂部を硬化させるシステムである。この樹脂成形装置を使用することにより、基板上に樹脂から形成された微細な構造を作製することができる。
【0075】
樹脂部は、光硬化性の樹脂からなる。光硬化性の樹脂としては、例えば重合性化合物を少なくとも1種含有する光ラジカル硬化性樹脂がある。光ラジカル硬化性樹脂としては、例えば紫外線の照射で速やかにラジカル重合して硬化するアクリレート類、メタクリレート類、ビニルエステル類、ビニルアミド類等を含む液状モノマーに光ラジカル開始剤を混合したものを用いることができる。また、光硬化性の樹脂としては、芳香族カルボニル化合物、ケトン類やフォスフィンオキサイド類等の硬化剤が添加されたものであってもよい。また、基板は、例えば紫外線に対して透明なガラス基板やサファイヤ基板が採用される。
【0076】
図15に示すように、本実施の形態に係る樹脂成形装置2は、ステージ(基板保持部)2031と、ヘッド2033Hを有するボンディング部2033と、ヘッド2033Hを駆動するヘッド駆動部36と、撮像部2041と、距離測定部511と、ディスペンサ(樹脂吐出部)52と、紫外線照射部(樹脂硬化部)53と、支持部55と、カバー2050と、制御部2090と、を備える。なお、
図15において実施の形態1と同様の構成については
図2と同一の符号を付している。ステージ2031は、基板WTにおける樹脂部Rを形成する形成面WTfが鉛直下方(-Z方向)を向く姿勢で基板WTを保持する。
【0077】
ヘッド駆動部36は、ヘッド2033Hを基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置Pos2に対向させてからヘッド2033Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることにより、ヘッド2033Hをステージ2031に近づけて樹脂部Rの鉛直下方(-Z方向)からモールドMを押し付ける。撮像部2041は、ヘッド2033Hを基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置に対向させた状態で、モールドMの鉛直上方(+Z方向)から、後述のモールドMのアライメントマーク(第3アライメントマーク)MM1a、MM1bと、後述の基板WTのアライメントマーク(第4アライメントマーク)MM2a、MM2bと、を撮像する。
【0078】
ボンディング部2033は、
図16に示すように、Z軸方向移動部材331と、第1円盤部材332と、ピエゾアクチュエータ(モールド姿勢調整部)333と、第2円盤部材334と、ヘッド2033Hと、を有する。なお、
図16において、実施の形態1と同様の構成については
図3と同一の符号を付している。ヘッド2033Hは、鉛直下方(-Z方向)からモールドMを吸着保持している。ヘッド2033Hは、チップツール411と、ヘッド本体部2413とを有している。ヘッド本体部2413には、実施の形態1で説明したような中空部が設けられていない。ピエゾアクチュエータ333は、3つ存在し、制御部2090から入力される制御信号に応じて各別に動作する。これらのピエゾアクチュエータ333は、距離測定部511により測定された距離に基づいて、モールドMの姿勢を調整する。
【0079】
モールドMは、複数の凹部MTが形成され、ヘッド2033Hに吸着保持された状態で基板WTにおける樹脂部Rが形成される面に対向する平坦面MFを有する型部材である。モールドMは、金属、ガラスまたはセラミックス等から形成されている。また、モールドMの周部には、段部MSが形成されており、レーザ光が反射可能な鏡面状態のMF及びMS面を有する。
【0080】
ステージ2031は、基板WTにおける樹脂部Rが形成される形成面WTfが鉛直下方(-Z方向)を向く姿勢で基板WTを保持する。ステージ2031は、X方向およびY方向に移動できる。これにより、ボンディング部2033とステージ2031との相対位置関係を変更することができ、基板WT上における各樹脂部Rの形成位置を調整することができる。ステージ2031は、周部にディスペンサ52のノズル522を挿通させるための貫通孔2031aが設けられた基板載置部2315を有する。
【0081】
ディスペンサ52は、基板WTの形成面WTfに紫外線硬化樹脂を吐出することにより樹脂部Rを形成する。ディスペンサ52は、本体部520と、本体部520を駆動するディスペンサ駆動部521と、本体部520から下方へ突出するノズル522と、ノズル522から吐出される樹脂の吐出量を制御する吐出制御部523と、を有する。本体部520は、樹脂を貯留する樹脂貯留部(図示せず)に供給管(図示せず)を介して接続されており、樹脂貯留部から供給される樹脂がノズル522から吐出される。吐出制御部523は、制御部2090から入力される制御信号に基づいて、ノズル522から吐出される樹脂の吐出量を制御する。本体部520は、Z軸方向(
図15の矢印AR6参照)に移動可能である。ここで、樹脂成形装置2は、まず、Z軸方向においてノズル522とステージ2031の貫通孔2031aとが重なるようにステージ2031をX軸方向へ移動させる。その後、樹脂成形装置2は、ディスペンサ駆動部521により、本体部520を、ノズル522を鉛直下方(-Z方向)へ移動させる。これにより、ディスペンサ52は、モールドMの凹部MTへ樹脂を吐出し、モールドMに樹脂を載置する準備が完了した吐出準備完了状態となる。その後、樹脂成形装置2は、モールドMの凹部MTに樹脂を注入する。そして、樹脂成形装置2は、吐出制御部523により、モールドMの凹部MTに樹脂を注入する。その後、樹脂成形装置2は、ディスペンサ駆動部521により、本体部520を鉛直上方(+Z方向)へ移動させ、ディスペンサ52を待機状態にする。
【0082】
距離測定部511は、レーザ光を用いて、基板WTにおける樹脂部Rが形成される形成面WTfと、モールドMの基板WTに対向して配置された平坦面MFとの間の距離を測定する。そして、ヘッド駆動部36は、距離測定部511により測定された距離に基づいて、モールドMを保持するヘッド2033Hを、基板WTを保持するステージ2031に近づける。また、距離測定部511は、モールドMの平坦面MFにおける3箇所において、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する。なお、距離測定は、3箇所に限らず3箇所以上であれば、形成面WTfと平坦面MFとの間の距離と、形成面WTfに対する平坦面MFの平行度と、を測定することができる。また、形成面WTfに対する平坦面MFの平行度を調整するための3箇所以上の測定は、必要に応じて適時実行するようにしてもよい。そして、モールドMFを基板WTへ押し付ける各動作では、1箇所だけ距離を測定して基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の隙間のみを制御するようにしてもよい。
【0083】
撮像部2041は、
図16に示すように、モールドMが基板WTにおける樹脂部Rを形成する位置に配置された状態で、基板WTの鉛直上方(+Z方向)から、モールドMの段部MSに設けられたアライメントマーク(第3アライメントマーク)MM1a、MM1bと、基板WTに設けられたアライメントマーク(第4アライメントマーク)MM2a、MM2bと、を撮像する。撮像部2041は、いわゆる一視野カメラであり、XY方向における位置を変えながら、アライメントマークMM1a、MM2aの組とアライメントマークMM1b、MM2bの組とを順に撮像する。そして、樹脂成形装置2は、まず、モールドMを押し付ける前の、アライメントマークMM1a、MM1bとアライメントマークMM2a、MM2bとの間の距離が比較的長い状態で、撮像部2041をフォーカス方向の軸に直交する方向へ移動させながらアライメント(以下、「プリアライメント」と称する。)する。その後、樹脂成形装置2は、モールドMを基板WTに押し付けてモールドMの凹部MTに充填された樹脂が基板WTの形成面WTfに接触させた状態で、アライメントマークMM1a、MM2aの組と、アライメントマークMM1b、MM2bの組と、をそれぞれフォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時に認識して樹脂中でアライメント(以下「液浸アライメント」と称する)する。このようにして、同時に認識することで振動やフォーカス軸の誤差を回避でき、樹脂を基板WTに接触させた後、樹脂が基板WTに接触した状態での位置ずれを修正し、樹脂を硬化させる直前にアライメントすることで高精度な樹脂成形を実現できる。また、このアライメント方法の場合、アライメントマークMM1a、MM1bとアライメントマークMM2a、MM2bとの位置ずれが大きく両者を同時に認識できないことを回避するために事前にプリアライメントを実行している。また、モールドMの凹部MTに充填された樹脂を基板WTの形成面WTfに接触させた状態でのアライメント時におけるモールドMの移動量を低減することで樹脂の流動を防いでいる。
【0084】
ところで、アライメントマークMM1a、MM1bが、モールドMの平坦面MFにある場合、平坦面MFのアライメントマークMM1a、MM1bが設けられた部分に樹脂部Rの一部が張り出すと、撮像部2041により撮像したアライメントマークMM1a、MM1bの画像がぼやけてしまう場合がある。これに対して、本実施の形態に係るモールドMでは、アライメントマークMM1a、MM1bが段部MSに設けられている。これにより、撮像部2041は、基板WTとモールドMとの間における樹脂部Rが介在しない領域を介してアライメントマークMM1a、MM1bの画像を撮像できるので、アライメントマークMM1a、MM1bを良好に認識できる。
【0085】
紫外線照射部53は、モールドMが基板WTに形成された樹脂部Rに押し付けられた状態で基板WTの鉛直上方(+Z方向)から樹脂部Rに紫外線を照射することにより樹脂部Rを硬化させる。この紫外線照射部53は、例えば紫外光を放射するレーザ光源や水銀ランプ等から構成されている。
【0086】
支持部55は、ディスペンサ52、紫外線照射部53、撮像部2041および距離測定部511を一体で支持し、XY方向に移動可能となっている。また、支持部55は、Z軸方向へも移動可能となっている。これにより、撮像部2041のフォーカス調整が可能となっている。なお、ディスペンサ52、紫外線照射部53、撮像部2041および距離測定部511は、それぞれ個別に支持部に支持され、各支持部が独立してXY方向に移動可能な構成であってもよい。
【0087】
カバー2050は、樹脂成形装置2内において、ヘッド駆動部36が配置される空間とステージ2031が配置される空間とを仕切るように配置されている。これにより、ステージ2031で発生したパーティクルのヘッド駆動部36への付着が抑制される。
【0088】
制御部2090は、
図17に示すように、MPU(Micro Processing Unit)901と、主記憶部902と、補助記憶部903と、インタフェース2904と、各部を接続するバス905と、を有する。なお、
図17において、実施の形態1と同様の構成については
図8と同一の符号を付している。インタフェース2904は、距離測定部511から入力される測定信号を測定情報に変換してバス905へ出力する。また、インタフェース2904は、撮像部2041から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバス905へ出力する。MPU901は、補助記憶部903が記憶するプログラムを主記憶部902に読み込んで実行することにより、インタフェース2904を介して、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、X方向駆動部321、Y方向駆動部323、ディスペンサ駆動部521、吐出制御部523、紫外線照射部53、支持部55それぞれへ制御信号を出力する。
【0089】
制御部2090は、モールドMを樹脂部Rに押し付けた状態で、アライメントマークMM1a、MM1b、MM2a、MM2bを撮像することにより、基板WTとモールドMとの相対位置誤差を算出する。そして、制御部2090は、算出した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36のZ方向駆動部34、θ方向駆動部37並びにステージ2031のX方向駆動部321、Y方向駆動部323に、基板WTに対するモールドMの位置および姿勢を補正させる。この場合、紫外線照射部53は、基板WTに対するモールドMの位置および姿勢の補正が完了した後、樹脂部Rに紫外線を照射する。
【0090】
次に、本実施の形態に係る樹脂成形装置2が実行するインプリント処理について
図18乃至
図21Cを参照しながら説明する。このナノインプリント処理は、制御部2090によりインプリント処理を実行するためのプログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、
図18において、樹脂成形装置2は、ステージ2031に基板WTを保持させるとともに、ヘッド2033HにモールドMを保持させているものとする。ここで、ステージ2031は、基板WTにおける樹脂部Rを形成する形成面WTfが鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する(基板保持ステップ)。また、ヘッド2033Hは、鉛直下方からモールドMを保持する(モールド保持ステップ)。
【0091】
まず、樹脂成形装置2は、Z軸方向において、ディスペンサ52がヘッド2033Hの鉛直上方(+Z方向)に位置する状態となるように支持部55を移動させる(
図19の矢印AR72参照)。次に、樹脂成形装置2は、ディスペンサ52とステージ2031の貫通孔2031aとが重なるようにステージ2031を移動させる(
図19の矢印AR71参照)。その後、樹脂成形装置2は、ディスペンサ駆動部521により、本体部520を鉛直下方(-Z方向)へ下降させることにより、
図19に示すように、ノズル522をモールドMに近づける。このようにして、樹脂成形装置2は、
図18に示すように、ディスペンサ52を吐出準備完了状態にする(ステップS201)。
【0092】
次に、樹脂成形装置2は、吐出制御部523にノズル522からモールドMの凹部MT内へ樹脂を予め設定された吐出量だけ吐出させる(樹脂吐出ステップ)(ステップS202)。即ち、ディスペンサ52が、ヘッド2033Hに保持されたモールドMの凹部MTに樹脂を吐出する。これにより、例えば
図20に示すように、モールドMの凹部MT内に樹脂R1が充填された状態となる。
【0093】
続いて、樹脂成形装置2は、ディスペンサ駆動部521により、ディスペンサ52の本体部520を鉛直上方(+Z方向)へ移動させる。このようにして、樹脂成形装置2は、
図18に示すように、ディスペンサ52を待機状態にする(ステップS203)。
【0094】
その後、樹脂成形装置2は、ステージ2031を移動させてZ軸方向においてヘッド2033Hと基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置とが重なる状態にする。そして、樹脂成形装置2は、ヘッド2033Hが保持するモールドMのプリアライメントを実行する(ステップS204)。即ち、樹脂成形装置2は、モールドMを押し付ける前の、アライメントマークMM1a、MM1bとアライメントマークMM2a、MM2bとの間の距離が比較的長い状態で、撮像部2041をフォーカス方向の軸に直交する方向へ移動させながらプリアライメントする。このとき、モールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとの間の距離は、数mm程度に設定される。
【0095】
ここにおいて、樹脂成形装置2は、まず、ヘッド2033Hを上昇させて、ヘッド2033Hに保持されたモールドMを基板WTにおける樹脂部Rを形成する位置に近づける。
図20に示すように、モールドMには、アライメントマークMM1a、MM1bが設けられており、基板WTの樹脂部Rが形成される位置にも、アライメントマークMM2a、MM2bが設けられている。そして、樹脂成形装置2は、モールドMに設けられたアライメントマークMM1a、MM1bと、基板WTの樹脂部Rが形成される位置に設けられたアライメントマークMM2a、MM2bと、を用いて、モールドMと基板WTとのプリアライメント動作を実行する。樹脂成形装置2は、プリアライメント動作において、モールドMのアライメントマークMM1a、MM1bと、基板WTのアライメントマークMM2a、MC2bとのいずれか一方に焦点を合わせたときに互いに重ならない状態で基板WTに対するモールドMの大まかな位置合わせを実行する。
【0096】
次に、樹脂成形装置2は、距離測定部511により、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定して、モールドMと基板WTとの間の距離を調整する(ステップS205)。ここにおいて、樹脂成形装置2は、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を数十μm乃至数μmの距離に調整する。このとき、モールドMは、
図21Aに示すように、モールドMの凹部MTの外周部に樹脂R1の一部が張り出した状態になるまで基板WTに近づいた状態となる。このとき、ヘッド駆動部36が、ヘッド2033Hを基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置に対向させてからヘッド2033Hを鉛直上方へ移動させることによりヘッド2033Hをステージ2031に近づけて基板WTの鉛直下方からモールドMを押し付ける(モールド押し付けステップ)。
【0097】
続いて、樹脂成形装置2は、
図21Aに示すように、モールドMに載置された樹脂R1が基板WTの形成面WTfに接触した状態で、再度アライメント(「液浸アライメント」ともいう。)を実行する(ステップS206)。この場合、樹脂成形装置2は、アライメントマークMM1a、MM2aの組と、アライメントマークMM1b、MM2bの組とを、それぞれフォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時に認識する。これにより、樹脂成形装置2は、撮像部2041のフォーカス軸の精度や振動の影響を受けることなく高精度にモールドMの基板WTに対する相対位置をアライメントできる。また、このように、モールドMの凹部MTに充填された樹脂を基板WTの形成面WTfに接触させた後、樹脂を硬化させる直前において、樹脂を基板WTに接触させた状態での位置ずれを修正するアライメントを実行することにより、高精度なアライメントが実現できる。
【0098】
ここで、樹脂成形装置2は、撮像部2041により、モールドMに設けられたアライメントマークMM1aの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMM2aの画像とを含む画像データGaを取得する。そして、樹脂成形装置2は、画像データGaに基づいてモールドMと基板WTとに設けられた1組のマークMM1a、MM2aの位置を認識し、この1組のマークMM1a,MM2aの相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。また、樹脂成形装置2は、同様にして、モールドMに設けられたアライメントマークMM1bの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMM2bの画像とを含む画像データGbも取得する。そして、樹脂成形装置2は、前述と同様に、画像データGbに基づいてモールドMと基板WTとに設けられた1組のマークMM1a、MM2aの位置を認識し、この1組のマークMM1b,MM2bの相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。それから、樹脂成形装置2は、これら2組のアライメントMM1a、MM2a、MM1b、MM2bの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、X方向、Y方向および軸BX周りの回転方向におけるチップCPと基板WTとの相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。ここで、Δx、ΔyおよびΔθは、実施の形態1の場合と同様である。その後、樹脂成形装置2は、算出した相対的な位置ずれ量が低減されるように、ステージ2031をX方向およびY方向に駆動するとともに、ボンディング部2033を軸BX周りに回転させる。このようにして、樹脂成形装置2は、モールドMと基板WTとの相対的な位置ずれを補正するアライメント動作を実行する。
【0099】
その後、樹脂成形装置2は、
図21Bに示すように、紫外線照射部53から放射される紫外線を樹脂R1に照射する(ステップS207)。ここでは、紫外線照射部53が、モールドMを樹脂R1に押し付けた状態で紫外線を照射することにより、凹部MTの内側に存在する樹脂Rを硬化させる(樹脂硬化ステップ)。
【0100】
次に、樹脂成形装置2は、
図21Cの矢印AR22に示すように、ヘッド2033Hを下降させてヘッド2033Hを待機位置へ移動させる(ステップS208)。このようにして、基板WT上に樹脂部Rが形成される。
【0101】
続いて、樹脂成形装置2は、
図18に示すように、インプリント処理を終了するか否かを判定する(ステップS209)。樹脂成形装置2は、例えばインプリント処理を終了する旨の指令が入力された場合や予め設定されたインプリント処理のプログラムシーケンスが全て完了した場合にインプリント処理を終了すると判定する。樹脂成形装置2は、インプリント処理を続行すると判定すると(ステップS209:No)、ヘッド2033Hが基板WTにおける次に樹脂部Rを形成する部分に対向するようにステージ2031を移動させる(ステップS210)。続いて、再びステップS201の処理が実行される。そして、ステップ201乃至S209の一連の処理が繰り返し実行されることにより、いわゆるステップアンドリピート方式で基板WTに複数の樹脂部Rが形成されていく。一方、樹脂成形装置2がインプリント処理を終了すると判定すると(ステップS209:Yes)、インプリント処理が終了する。
【0102】
以上説明したように、本実施の形態に係る樹脂成形装置2によれば、ステージ31が、基板WTにおける樹脂部Rが形成される面が鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する。また、ヘッド駆動部36が、基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置と対向する押し付け位置においてヘッド2033Hを鉛直上方へ移動させることによりヘッド2033Hをステージ31に近づけて樹脂部Rの鉛直下方からモールドMを押し付ける。そして、紫外線照射部53が、モールドMを樹脂部Rに押し付けた状態で樹脂部Rに紫外線を照射することにより樹脂部Rを硬化させる。これにより、基板WTの樹脂部Rが形成される面へのパーティクルの付着を低減することができるので、樹脂部Rと基板WTとの界面へのパーティクルの混入を抑制できる。従って、基板WT上に樹脂部Rを形成してなる製品について、樹脂部Rと基板WTとの界面へのパーティクルの混入に起因した性能不良の製品の発生が抑制される。具体的には、本実施の形態で説明したように、基板WT上にナノインプリントによりサブミクロンオーダ(例えば10nm程度)のパターンを成形する場合、ゴミ、グリス等のパーティクルが基板WT上に乗ると、成形されたパターンに欠陥が生じる虞がある。この場合、基板WTの性能に影響が出る虞がある。
【0103】
また、本実施の形態に係る樹脂成形装置2では、ヘッド駆動部36が、基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置と対向する押し付け位置においてヘッド2033Hを鉛直上方へ移動させることによりヘッド2033Hをステージ31に近づけて樹脂部Rの鉛直下方からモールドMを押し付ける。また、モールドMは、その鉛直上方からディスペンサ52により樹脂が充填されるので、樹脂部R内の空気の巻き込み防止できる。これにより、モールドMの凹部MTの内面と樹脂部Rとの界面に空気が混入しにくくなるので、凹部MTの内面と樹脂部Rとの界面への空気の混入に起因した樹脂部Rの形成不良の発生が抑制される。
【0104】
更に、本実施の形態に係る樹脂成形装置2では、ヘッド2033Hに保持されたモールドMの凹部MTに樹脂を吐出するディスペンサ52を更に備える。これにより、樹脂成形装置2において、基板WTの形成面WTfへの樹脂部Rの形成から樹脂部Rの硬化までの一連の処理を繰り返し実行することが可能となるので、基板WTに樹脂部Rを形成してなる製品の製造工程の簡素化を図ることができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る樹脂成形装置2では、撮像部2041が、ヘッド2033Hを基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置に対向させた状態で、モールドMの鉛直上方(+Z方向)から、モールドMのアライメントマークMM1a、MM1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像する。これにより、樹脂成形装置2は、モールドMのアライメントマークMM1a、MM1bと基板WTのアライメントマークMM2a、MM2bとを精度良く認識することができるので、基板WTに対するモールドMのアライメント精度が向上するという利点がある。
【0106】
更に、本実施の形態に係る制御部2090は、モールドMを樹脂部Rに押し付けた状態で、アライメントマークMM1a、MM1b、MM2a、MM2bを撮像することにより、基板WTとモールドMとの相対位置誤差を算出する。そして、制御部2090は、算出した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36のZ方向駆動部34、θ方向駆動部37並びにステージ2031のX方向駆動部321、Y方向駆動部323に、基板WTに対するモールドMの位置および姿勢を補正させる。これにより、樹脂成形装置2は、基板WTに対するモールドMのアライメントを精度良く実行できる。
【0107】
また、本実施の形態に係る樹脂成形装置2は、レーザ光を用いて基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する距離測定部511を備える。距離測定部511は、基板WTおよびモールドMの上方からレーザ光を照射することにより、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する。そして、ヘッド駆動部36は、距離測定部511により測定された距離に基づいて、モールドMを保持するヘッド2033Hを基板WFを保持するステージ2031に近づける。これにより、樹脂成形装置2は、樹脂部RのうちモールドMを樹脂部Rに押し付けた状態で凹部MTの外周部にはみ出す部分の厚さを制御することができるので、樹脂部Rの形状を高精度に調整することができる。
【0108】
更に、本実施の形態に係る樹脂成形装置2は、距離測定部511により測定された距離に基づいて、モールドMの姿勢を変更するピエゾアクチュエータ333を備える。また、距離測定部511は、モールドMの平坦面MFにおける3つ以上の箇所において、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する。これにより、例えばモールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとが平行となるように、ヘッド2033HにモールドMを保持させることが可能となる。従って、樹脂部Rの形状の精度を高めることができる。
【0109】
(変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態1に係るチップ実装システム1について、ステージ31の上方に基板WTおよびチップCPを透過する光を放射する光源が配置された構成であってもよい。この場合、第1撮像部35a、35bは、ステージ31上方に配置された光源から放射され基板WT、チップCPを透過した透過光を用いてアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を取得するようにすればよい。また、実施の形態2に係る樹脂成形装置2についても、ステージ2031の下方に基板WTおよびモールドMを透過する光を放射する光源が配置された構成であってもよい。この場合、第1撮像部35a、35bは、ステージ31下方に配置された光源から放射され基板WT、モールドMを透過した透過光を用いてアライメントマークMM1a、MM1b、MM2a、MM2bを含む画像を取得するようにすればよい。
【0110】
実施の形態1では、チップCPの下側から、2つの第1撮像部35a,35bにより基板WT、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を取得する構成について説明した。但し、これに限定されない。たとえば、
図22に示すように、第1撮像部35a、35bが、ステージ31の上方から基板WT、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を撮影する構成であってもよい。なお、
図22において、実施の形態1と同様の構成については
図3と同一の符号を付している。ここにおいて、カメラF方向駆動部365とミラー337とは、共通のベース部材3336に固定されている。
【0111】
実施の形態1において、例えば
図23Aに示すように、チップCPの周部を保持した状態でチップCPの中央部を鉛直上方へ押圧する押圧部86413bが設けられたヘッド8633Hを有するボンディング装置を備える構成であってもよい。ヘッド8633Hは、チップツール86411と、ヘッド本体部86413とを有する。ヘッド本体部86413は、チップCPをチップツール86411に真空吸着させるための吸着部86413aと、中央部において鉛直方向に移動可能な押圧部86413bと、押圧部86413bを駆動する押圧駆動部(図示せず)と、を有する。また、ヘッド本体部86413は、チップツール86411を真空吸着によりヘッド本体部86413に固定するための吸着部(図示せず)も有する。これにより、チップツール86411の交換が容易になるという利点がある。押圧駆動部が、チップツール86411にチップCPが保持された状態で、押圧部86413bを鉛直上方へ移動させると、チップCPの中央部が鉛直上方へ向かって押圧される。チップツール86411は、ヘッド本体部86413の吸着部86413aに対応する位置に形成された貫通孔86411aと、押圧部86413bが内側に挿入される貫通孔86411bと、を有する。更に、ヘッド本体部86413には、実施の形態1に係るヘッド本体部413と同様に中空部(図示せず)が設けられている。吸着部86413aと貫通孔86411aとが、チップCPの周部を保持する周部保持部として機能する。
【0112】
図23Aに示すヘッド8633Hを有するボンディング装置は、チップCPの周部をチップツール86411に吸着させた状態で(
図23Aの矢印AR861参照)、押圧部86413bを鉛直方向へ駆動する(
図23Aの矢印AR862参照)。これにより、チップCPは、その中央部がその周部よりも基板WT側に突出するように撓んだ状態となる(
図23Aの矢印AR863)。そして、ボンディング装置のヘッド駆動部は、チップCPを撓ませた状態でヘッド8633Hを基板WTに近づけることにより、チップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させる。即ち、ヘッド駆動部は、吸着部86413aおよび貫通孔86411aによりチップCPの周部が保持され且つ押圧部86413bがチップCPの中央部を押圧することによりチップCPの中央部がその周部に比べて基板WT側へ突出するように撓んだ状態で、ヘッド8633Hを鉛直方向へ移動させて基板WTを保持するステージ(図示せず)に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPの中央部を接触させる。なお、ボンディング装置は、ヘッド8633Hを鉛直方向へ移動させて基板WTに予め設定された距離まで近づけた後、チップCPを撓ませることによりチップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させてもよい。その後、ボンディング装置は、押圧部86413bを鉛直下方へ没入させつつ、ヘッド8633Hを更に基板WTへ近づけることにより、チップCPを基板WTに実装する。
【0113】
また、実施の形態1において、例えば
図23Bに示すようなヘッド8733Hを有する構成であってもよい。なお、
図23Bにおいて、
図23Aに示す構成と同様の構成については
図23Aと同一の符号を付している。ヘッド8733Hは、チップツール87411と、ヘッド本体部87413とを有する。ヘッド本体部87413は、吸着部86413aと、吸着部86413aよりも中央部側に位置し空気を吐出する吐出口87413bと、を有する。また、ヘッド本体部87413は、チップツール87411を真空吸着によりヘッド本体部87413に固定するための吸着部(図示せず)も有する。チップツール87411は、ヘッド本体部87413の吸着部86413aに対応する位置に形成された貫通孔86411aと、吐出口87413bに対応する位置に形成された貫通孔87411bと、を有する。
【0114】
図23Bに示すヘッド8733Hを有するボンディング装置は、チップCPの周部をチップツール87411に吸着させた状態で(
図23Bの矢印AR861参照)、チップツール87411とチップCPの中央部との間の領域へ空気を吐出する(
図23Bの矢印AR871参照)。これにより、チップCPは、その中央部がその周部よりも基板WT側に突出するように撓んだ状態となる(
図23Bの矢印AR863)。そして、ボンディング装置は、チップCPを撓ませた状態でヘッド8733Hを鉛直方向へ移動させて基板WTを保持するステージ(図示せず)に近づけることにより、チップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させる。なお、ボンディング装置は、ヘッド8633Hを鉛直方向へ移動させて基板WTに予め設定された距離まで近づけた後、チップCPを撓ませることによりチップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させてもよい。その後、ボンディング装置は、吐出口87413bから吐出される空気の量を減少させつつヘッド8733Hを更に基板WTへ近づけることにより、チップCPを基板WTに実装する。
【0115】
或いは、実施の形態1において、例えば
図24Aに示すようなヘッド7633Hを有する構成であってもよい。なお、
図24Aにおいて、
図23Aに示す構成と同様の構成については
図23Aと同一の符号を付している。ヘッド7633Hは、チップツール76411と、ヘッド本体部76413と、チップCPの周部を保持するクランプ76412と、を有する。ヘッド本体部76413は、中央部において鉛直方向に移動可能な押圧部76413bと、押圧部76413aを駆動する押圧駆動部(図示せず)と、を有する。そして、
図24に示すヘッド7633Hを有するボンディング装置は、チップCPの周部をクランプ76412により保持した状態で、押圧部76413bを鉛直方向へ駆動する(
図24Aの矢印AR862参照)。これにより、チップCPは、その中央部がその周部よりも基板WT側に突出するように撓んだ状態となる(
図24Aの矢印AR863)。また、実施の形態1において、例えば
図24Bに示すようなヘッド7933Hを有する構成であってもよい。ヘッド7933Hは、チップツール76411と、ヘッド本体部76413と、チップCPの周部を側方から押圧して保持するチャック79412と、を有する。本構成によれば、チップCPの周部に爪が入りうる十分な段差が形成されていなくてもチップCPを保持することができる。なお、チップCPの周部に段差が形成されている場合は、チップCPを堅固に保持する観点から、
図24Bに示す構成に比べて
図24Aに示す構成のほうが好ましい。
【0116】
これらの構成によれば、チップCPを基板WTに実装する際の基板WTとチップCPとの間への空気の巻き込みが抑制されるので、チップCPを基板WTにボイド無く良好に実装することが可能となる。
【0117】
実施の形態1において、例えば
図25Aに示すように、チップCPを保持するチップツール88411のヘッド本体部88413に対する傾きが変更可能なヘッド8833Hを有するボンディング装置を備える構成であってもよい。ヘッド本体部88413は、チップツール88411を軸支する軸部(図示せず)と、チップツール88411を軸部周りに回転する方向へ駆動するチップツール駆動部(図示せず)と、を有する。チップツール88411は、チップCPを保持し、基板WTの実装面WTfに対するチップCPの接合面CPfの傾きが可変である傾き可変保持部である。
【0118】
本変形例に係るボンディング装置は、
図25Aに示すように、基板WTの実装面WTfに対してチップCPの接合面CPfが傾斜した状態で、ヘッド8833Hを鉛直方向へ駆動する(
図25Aの矢印AR881参照)。そして、ボンディング装置のヘッド駆動部は、チップツール88411が基板WTの実装面WTfに対してチップCPの接合面CPfを傾けて前チップCPを保持した状態で、ヘッド8833Hを鉛直方向へ移動させて基板WTを保持するステージ(図示せず)に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面CPfの端縁を接触させる。その後、ボンディング装置のヘッド駆動部は、
図25Bの破線で示すように、チップCPの端部が基板WTの実装面WTfに当接すると、ヘッド8833Hを斜め上方へ移動させていく(
図25Bの矢印AR882参照)。このとき、チップツール88411は、基板WTの実装面WTfとチップCPとの当接部分P88を中心にして回転する方向へ移動していく(
図25Bの矢印AR883)。これにより、チップCPは、当接部分P88から順に基板WTの実装面WTfに接触していく。
【0119】
また、実施の形態1に係るボンディング装置30では、前述の
図5Aに示すように、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に各別にZ方向に伸縮可能な3つのピエゾアクチュエータ333が設けられている。ボンディング装置30は、これらの3つのピエゾアクチュエータ333それぞれの伸縮の程度を制御することにより、
図26に示すように、基板WTの実装面WTfに対してチップCPの接合面CPfが傾斜させることができる。そして、ボンディング装置30は、基板WTの実装面WTfに対してチップCPの接合面CPfが傾斜した状態で、ヘッド33Hを鉛直上方へ駆動する(
図26の矢印AR881参照)。
【0120】
本構成によれば、チップCPを基板WTに実装する際の基板WTとチップCPとの間への空気の巻き込みが抑制されるので、チップCPを基板WTにボイド無く良好に実装することが可能となる。
【0121】
実施の形態において、
図27Aに示すように、一面が開放された箱状であり、ヘッド33HにOリング8928を介して接触するキャップ8924を有するボンディング装置を備えるものであってもよい。ここで、キャップ8924には、ヘッド8933Hの一部をキャップ8924の外方へ向けて挿入させるための開口部8924dが設けられている。また、キャップ8924の外壁における開口部8924dの外周部には、Oリング8926が取り付けられている。また、ボンディング装置は、キャップ8924の排気口8924aを通じてキャップ8924内の空間S89に存在する空気を排気することにより空間S89の真空度を高める真空ポンプ(真空源)(図示せず)を有する。
【0122】
本変形例に係るボンディング装置は、まず、キャップ8924を基板WTに近づく方向へ移動させて(
図27Aの矢印AR891参照)、Oリング8926を基板WTの実装面WTfに押し付ける。次に、ボンディング装置は、キャップ8924内の空間S89にチップCPが配置された状態で、空間S89に存在する気体を排気口8924aを通じて排気し、空間S89の真空度を高める。そして、ボンディング装置は、
図27Bに示すように、空間S89の真空度を高めた状態で、ヘッド8933Hを鉛直上方へ移動させて(
図27Bの矢印AR892参照)チップツール89411に保持されたチップCPを基板WTに押し付ける。その後、ボンディング装置は、キャップ8924内の空間S89を大気圧に戻してからヘッド8933Hおよびキャップ8924を下降させる。
【0123】
本構成によれば、真空度が高められたキャップ8924内の空間S89において、基板WTへのチップCPの実装を行うので、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間への気泡の巻き込みによるボイドの発生が抑制される。
【0124】
実施の形態1に係るチップ供給部11は、ダイシングテープTEに貼り付けられた複数のチップCPの中から1つのチップCPをニードル111aにより下方へ突き出すことにより、チップCPをチップ移載部13へ受け渡される例について説明した。但し、これに限らず、例えば複数のチップCPが、それらの基板WTに実装される面側がダイシングテープに貼り付けられている場合、複数のチップCPの中の1つの基板WTに実装される面とは反対の面を真空チャックしてチップ移載部13へ受け渡す機構を備えるものであってもよい。
【0125】
実施の形態1では、チップCPが、基板WTに面接合される例について説明したが、これに限らず、例えばチップCPが、基板WTに金属バンプを介して接合されるものであってもよい。この場合、チップ実装システムを構成する親水化処理装置60は不要となる。
【0126】
実施の形態2に係る樹脂成形装置2では、ディスペンサ52が、ステージ2031の上方に配置されている例について説明した。但し、ディスペンサ52の配置はこれに限定されるものではなく、例えば
図28に示すように、ディスペンサ4052が、ステージ31に保持された基板WTの下側に配置される樹脂成形装置4であってもよい。なお、
図28において、実施の形態2と同様の構成については
図15と同一の符号を付している。
【0127】
ディスペンサ4052は、本体部4520と、ディスペンサ駆動部4521と、ノズル4522と、吐出制御部4523と、を有する。本体部4520は、Z軸に直交する方向に移動可能である。そして、樹脂成形装置4は、ディスペンサ駆動部4521により、本体部4520を、ノズル4522がZ軸方向においてヘッド2033Hと重なる位置に移動させる。これにより、ディスペンサ4052は、モールドMの凹部MTへ樹脂を吐出する準備が完了した吐出準備完了状態となる。その後、樹脂成形装置4は、モールドMの凹部MTに樹脂を注入する。そして、樹脂成形装置4は、吐出制御部4523により、モールドMの凹部MTに樹脂を注入する。その後、樹脂成形装置4は、ディスペンサ駆動部4521により、本体部4520をノズル4522がZ軸方向においてヘッド2033Hと重ならない位置に移動させることにより、ディスペンサ4052を待機状態にする。本構成によれば、実施の形態2で説明したように、ステージ2031を、貫通孔2031aの鉛直上方にディスペンサ52が位置するように移動させる必要がなくなる。従って、よりパーティクルを削減する対策に好適であり、かつ、スループットも向上する。但し、ディスペンサ4052のノズル4522は、その高さ方向(Z軸方向)の長さが短い構成とする必要がある。
【0128】
実施の形態2に係る樹脂成形装置2では、撮像部2041が、ステージ2031の上方に配置されている例について説明した。但し、撮像部41の配置はこれに限定されるものではなく、例えば
図29に示すように、撮像部35a、35bが、ステージ2031に保持された基板WTの下側に配置される構成であってもよい。なお、
図29において、実施の形態2と同様の構成については
図16と同一の符号を付している。撮像部35a、35bとミラー377とから同時に左右のアライメントマークMM1a、MM1b、MM2a、MM2bが取得可能な2カメラが構成されている。本変形例に係る樹脂成形装置は、ステージ2031と、ヘッド33Hを有するボンディング部33と、ヘッド33Hを駆動するヘッド駆動部36と、撮像部35a、35bと、カメラF方向駆動部365と、カメラZ方向駆動部363と、を備える。撮像部35a、35b、カメラF方向駆動部365およびカメラZ方向駆動部363は、実施の形態1で説明した撮像部35a、35b、カメラF方向駆動部365およびカメラZ方向駆動部363と同様の構成である。
【0129】
本変形例に係る樹脂成形装置は、
図30に示すように、モールドMに設けられたアライメントマークMM1a、MM1bと、基板WTの樹脂部Rが形成される位置に設けられたアライメントマークMM2a、MM2bと、を用いて、モールドMと基板WTとのアライメント動作を実行する。ここで、樹脂成形装置は、実施の形態1に係るチップ実装システム1と同様にして、モールドMに設けられたアライメントマークMM1aの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMM2aの画像とを含む画像データGaを取得する。そして、樹脂成形装置は、画像データGaに基づいてモールドMと基板WTとに設けられた1組のマークMM1a、MM2aの位置を認識し、この1組のマークMM1a,MM2aの相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。また、樹脂成形装置は、同様にして、モールドMに設けられたアライメントマークMM1bの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMM2bの画像とを含む画像データGbも取得する。そして、樹脂成形装置は、前述と同様に、画像データGbに基づいてモールドMと基板WTとに設けられた1組のマークMM1a、MM2aの位置を認識し、この1組のマークMM1b,MM2bの相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。本構成によれば、画像データGa、Gbを同時に撮像することができるので、アライメントに要する時間の短縮を図ることができる。
【0130】
また、実施の形態2では、いわゆる1視野カメラである撮像部2041が、基板WTの上方に配置される樹脂成形装置2の例について説明したが、これに限らず、例えば
図29に示すような、撮像部35a、35bとミラー377とから構成される2カメラ構成が基板WTの上方に配置された構成であってもよい。この場合、撮像部35a、35bは、アライメントマークMM1a、MM2aの組とアライメントマークMM1b、MM2bの組とを同時に撮像することができるので、アライメントに要する時間の短縮できる。
【0131】
実施の形態2において、例えば
図31に示す樹脂成形装置6のように、ディスペンサ6052の本体部520の下端部にキャップ6524と、封止部材であるOリング6525と、が設けられた構成であってもよい。ここで、キャップ6524は、例えば一面が開放された箱状であり、モールドMの平面視形状と略同じ形状を有する底壁6524bと底壁6524bの周部に立設された側壁6524cと、を有する。また、キャップ6524の一部には、排気口6524aが設けられている。キャップ6524は、例えば金属から形成されている。Oリング6525は、エラストマから形成されている。底壁6524bの中央部には、貫通孔6524dが貫設されており、そこにノズル522が挿通されている。この貫通孔6524dとノズル522との間の隙間はOリング6526により封止されている。また、樹脂成形装置6は、キャップ6524の排気口6524aに排気管L6を介して接続された真空ポンプ(真空源)6526を備える。
【0132】
この樹脂成形装置6は、例えば実施の形態2で説明したインプリント処理と同様の処理を実行する。この場合、樹脂成形装置6は、
図18に示すインプリント処理のステップS201の処理において、まず、本体部520を下降させて(
図31中の矢印AR73参照)、キャップ6524の側壁6524cの先端部を、Oリング6525を介してモールドMの周部MSに当接させる。キャップ6524は、ディスペンサ6052がモールドMに予め設定された距離まで近づいた状態で、モールドMにおける凹部MTの開口端側にOリング6525を介して当接し、モールドMとの間に気密な空間S6を形成する。次に、樹脂成形装置6は、
図32Aの矢印AR601に示すように、真空ポンプ6526により、キャップ6524とモールドMとで囲まれた空間S6に存在する気体を、排気口6524aを通じて排気し、空間S6の真空度を高める。このようにして、樹脂成形装置6は、ディスペンサ6052を吐出準備完了状態にする。続いて、樹脂成形装置6は、
図18に示すインプリント処理のステップS202の処理において、ディスペンサ6052のノズル522から樹脂R1を吐出させることにより、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する。ここで、凹部MTのアスペクト比(LMT1/LMT2)および樹脂R1の粘度が予め設定された基準値よりも高い場合、樹脂R1の凹部MTの奥にまで侵入せず、空隙CAが発生してしまう。
【0133】
その後、樹脂成形装置6は、キャップ6524内部の空間S6を大気開放してから、本体部520を上昇させて(
図32Bの矢印AR602参照)、キャップ6524をモールドMから離脱させる。このとき、
図32Bの矢印AR603に示すように、モールドMに注入された樹脂R1が、大気圧により凹部MTの奥側へ押し込まれる。これにより、凹部MTの奥に発生していた空隙CAが消滅する。
【0134】
なお、前述のように、
図31に示す樹脂成形装置6は、キャップ6524の側壁6524cの先端部を、Oリング6525を介してモールドMの周部MSに当接させるが、キャップ6524を直接モールドMに当接させない構成であってもよい。例えば
図33に示す樹脂成形装置のように、モールドMの周囲に張り出すように配置されたフランジ部材7527を備えており、一部に排気口7524aが設けられたキャップ7524を、Oリング7525を介してフランジ部材7527に当接させる構成であってもよい。ここで、キャップ7524には、ノズル522が挿通される貫通孔7524dが貫設されており、貫通孔7524dとノズル522との間の隙間はOリング7526により封止されている。
【0135】
或いは、
図34Aに示す樹脂成形装置のように、一面が開放された箱状であり、ヘッド2033HにOリング8528を介して接触するキャップ8524を備えるものであってもよい。ここで、キャップ8524には、ディスペンサ6052のノズル522を内側に挿入させるための開口部8524dが設けられている。また、キャップ8524の外壁における開口部8524dの外周部には、Oリング8526が取り付けられている。そして、樹脂成形装置は、ディスペンサ6052の本体部520を下方へ移動させて(
図34A中の矢印AR801参照)、ノズル522をキャップ8524の内側へ挿入していく。そうすると、Oリング8526が本体部520に設けられたフランジ部8520の下面に当接した状態となり(
図34A中の一点鎖線参照)、キャップ8524の内部が密閉される。そして、樹脂成形装置は、排気口8524aを通じてキャップ8524内に存在する気体を排気してキャップ8524内の真空度を高めた後、ディスペンサ6052のノズル522からモールドMの凹部MTへ樹脂R1を吐出させる。また、この樹脂成形装置では、
図34Aに示すように、キャップ8524が、モールドMに対してZ軸方向へスライド可能(
図34Bの矢印AR803参照)となっており、キャップ8524をZ軸方向へ移動させるキャップ駆動部(図示せず)を備える。なお、樹脂成形装置が、キャップ8524に連結され、キャップ8524をモールドMへ押し付ける方向(+Z方向)へ付勢する弾性部材を備えるものであってもよい。そして、樹脂成形装置は、モールドMを基板WTへ押し付ける際、ヘッド2033Hを基板WTに近づける方向へ移動させるとともに(
図34Bの矢印AR802参照)、キャップ8524をモールドMに対して-Z方向へ移動させる。これにより、樹脂成形装置がモールドMを基板WTへ押し付ける際、キャップ8524が基板WTに接触することを防止する。
【0136】
また、前述の樹脂成形装置は、例えば
図35Aおよび
図35Bに示すように、キャップ8524を、Oリング8526を介して基板WTに押し付けるように動作するものであってもよい。この場合、真空度が高められたキャップ8524内の空間S6において、樹脂成形を行うので、樹脂R1内への気泡の巻き込みを防止することができる。この場合、樹脂成形装置は、
図35Aに示すように、キャップ8524内の空間S6に凹部MT内に樹脂R1が注入されたモールドMが配置された状態で、空間S6に存在する気体を、排気口8524aを通じて排気し、空間S6の真空度を高める。そして、樹脂成形装置は、
図35Bに示すように、空間S6の真空度を高めた状態で、樹脂R1が凹部MTに注入されたモールドMを上昇させて、基板WTに押し付ける。その後、樹脂成形装置は、基板WTにモールドMを押し付けた状態で、樹脂R1に紫外線を照射して樹脂R1を硬化させる。その後、樹脂成形装置は、キャップ8524内の空間S6を大気圧に戻してからモールドMを下降させてモールドMを基板WTから離脱させる。
【0137】
本構成によれば、モールドMの周囲において局所的に真空度を高めて処理することができるので、例えば大掛かりなチャンバを設ける必要がないという利点がある。また、キャップ8524とモールドMとの間の隙間をできるだけ小さくすることにより、基板WT上において隣り合う樹脂部間の距離を短縮することができる。なお、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する際に実行するキャップ8524内の真空引きと、モールドMを基板WTへ押し付ける際に実行するキャップ8524内の真空引きとの両方を実行してもよい。
【0138】
なお、前述の
図31乃至
図35Bで説明した変形例において、樹脂成形装置が、空間S6の真空度を高めた状態でモールドMに樹脂R1を注入してから空間S6を大気圧に戻した後、再度、モールドMに樹脂R1を注入する構成であってもよい。空間S6の真空度を高めた状態でモールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、空間S6を大気圧に戻すと凹部MTに注入された樹脂R1が凹部MTの奥に押し込まれ、凹部MTの端部において樹脂R1が不足した状態となる。これに対して、本構成によれば、空間S6を大気圧に戻した後、再度、モールドMに樹脂R1を注入することにより、樹脂R1の不足分を補填することができ、モールドMに載置された樹脂R1の表面を凹凸無く滑らかにすることができる。また、樹脂成形装置は、空間S6が大気圧の状態でモールドMに樹脂R1を注入してから空間S6の真空度を高めた状態にし、その後、空間S6を大気圧に戻した後、再度、モールドMに樹脂R1を注入する構成であってもよい。この場合でも、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、空間S6の真空度を高めたときに凹部MTに注入された樹脂R1に含まれる気泡が脱離して、凹部MTの端部において樹脂R1が不足した状態となる。また、モールドMの凹部MTに樹脂R1が注入された状態で、空間S6の真空度を高めると、樹脂R1が気化して、凹部MTの端部において樹脂R1が不足する虞もある。これに対して、本構成によれば、空間S6を大気圧に戻した後、再度、モールドMに樹脂R1を注入することにより、樹脂R1の不足分を補填することができ、モールドMに載置された樹脂R1の表面を凹凸無く滑らかにすることができる。
【0139】
ところで、ノズル内に樹脂が残ると、空間S6の真空度を高めた状態でモールドMに樹脂を載置した後、一旦空間S6内を大気圧に戻してから、再度空間S6の真空度を高めたときに、ノズル内に残った樹脂中に気泡が発生してノズルから垂れたり量が減ったりする虞がある。また、空間S6の真空度を高めた状態でノズルから吐出される樹脂の特性に影響が生じる虞もある。そこで、樹脂塗布装置が、例えばプランジャを備え、プランジャによりモールドMに載置する樹脂の必要量だけを引き出し、押し出して飛ばす構成であってもよい。この場合、前述のようなノズル内の樹脂残りに起因した不具合の発生が抑制される。
【0140】
また、樹脂R1を、モールドMの凹部MTのできるだけ奥側まで充填させるためには、樹脂R1の粘度を低くすることが好ましい。樹脂R1の粘度を低くする方法として、樹脂R1が注入されたモールドMを加熱することにより、樹脂R1の温度を樹脂R1の粘度が低下する温度まで昇温させる方法がある。そこで、実施の形態2で説明した樹脂成形装置2において、紫外線硬化樹脂がモールドの凹部に注入された状態で、モールドMを加熱するモールド加熱部(図示せず)を備える構成であってもよい。ここで、モールド加熱部は、紫外線硬化樹脂である樹脂R1をモールドMの凹部MTに注入しているとき、または、紫外線硬化樹脂である樹脂R1をモールドMの凹部MTに注入した後において、モールドMを加熱して凹部MTに注入された樹脂を昇温させるようにすればよい。即ち、樹脂成形装置は、例えば
図18に示すインプリント処理のステップS202の処理において、モールド加熱部によりモールドMを加熱してモールドMを予め設定された温度以上にしてからモールドMの凹部MTに樹脂R1を注入するものであってもよい。或いは、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、モールド加熱部によりモールドMを加熱するものであってもよい。更に、樹脂成形装置は、モールド加熱部によりモールドMを加熱してモールドMの温度を上昇させながら、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入するものであってもよい。なお、本変形例において、使用する樹脂は、紫外線硬化樹脂に限らず、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であってもよい。
【0141】
また、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、モールドMを基板WTに押し付ける際、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1に空気が噛み込まれにくくするためには、樹脂R1の粘度が高い方が好ましい。そこで、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、モールドMを基板に押し付ける際、モールド加熱部による加熱を停止させることによりモールドMの温度を下降させるようにしてもよい。そして、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する際、モールドMを加熱し、凹部MTに樹脂R1が注入されたモールドMを基板WTに押し付ける際、モールドMの温度を下降させることを繰り返すようにしてもよい。特に、樹脂R1が紫外線硬化樹脂である場合、樹脂R1は、樹脂R1の温度が上昇すると軟化し下降すると硬化するので、本変形例の樹脂成形方法が適している。なお、本変形例において、使用する樹脂は、紫外線硬化樹脂に限らず、温度を低下させると粘度が上昇する他の種類の樹脂、例えば熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であってもよい。
【0142】
このように、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1を加熱することにより樹脂Rの粘度を低下させることができるので、樹脂R1が凹部MTの奥まで侵入し易くなる。また、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1を加熱することにより樹脂R1の流動が生じるので、凹部MTの奥に溜まった空気が樹脂R1の流動に伴い凹部MTの開口部側へ移動させて除去することができる。従って、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後において凹部MTの奥側に空気が溜まってしまうことを抑制できる。また、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、モールドMを基板に押し付ける際、モールド加熱部による加熱を停止させることによりモールドMの温度を下降させる。また、空冷、水冷など強制的に冷却してもよい。これにより、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1への空気の噛み込みが抑制される。
【0143】
ところで、キャップ6524内の空間S6にモールドMを配置した状態で空間S6の真空度を高めてから、樹脂R1をモールドMに塗布する場合、空間S6の真空度が高いため、樹脂R1の沸点が低下して気化し易くなる。従って、この場合、樹脂R1の温度を、空間S6の真空度を高めた状態における樹脂R1の沸点以上とならないように低下させた状態にし、樹脂R1を気化させないようにしてモールドMへ塗布することが好ましい。そこで、本変形例に係る樹脂成形装置は、空間S6の真空度を高めた状態で樹脂R1をモールドMに塗布する際にモールドMを冷却する冷却手段(図示せず)がヘッド2033Hの先端部に設けられている。この冷却手段としては、例えばヘッド2033Hの先端部に設けられたペルチェ素子(図示せず)であってもよいし、ヘッド2033Hの先端部に低温の気体または液体窒素のような液体を流動させる流路が設けられた構成であってもよい。このような冷却手段によりヘッド2033Hの先端部に保持されたモールドMを強制冷却することができる。
【0144】
但し、樹脂R1の温度を低下させた状態では、樹脂R1の粘度が低下していないため、
図32Aに示すように、凹部MTの奥に空隙CAが発生してしまう。この空隙CA内は真空度が高い状態であるため、
図32Bに示すように、空間S6を大気圧に開放することにより、凹部MTの奥に樹脂R1が差圧充填され空隙CAが消滅する訳であるが、この際、樹脂R1を加熱して樹脂R1の粘度を低下させることが好ましい。そこで、本変形例に係る樹脂成形装置では、ヘッド2033Hに樹脂R1を加熱するためのヒータ(図示せず)が設けられている。そして、この樹脂成形装置は、空間S6を大気圧に開放する際、ヒータによりモールドMを加熱することで樹脂R1の粘度を低下させる。つまり、本変形例に係る樹脂成形装置は、空間S6の真空度が高い状態で樹脂R1をモールドMに塗布する場合、前述の冷却手段によりモールドMを冷却し、空間S6を大気開放する際、前述のヒータによりモールドMを加熱する機能を有する。
【0145】
なお、
図32Bでは、キャップ6524をモールドMから離脱させることにより、モールドMの周囲を大気により大気圧環境にする構成を示しているが、これに限らない。例えば、キャップ6524内の空間S6に気体を封入することにより空間S6を大気圧にする構成であってもよい。前述では、ヒータによりモールドMを加熱する構成について説明したが、加熱方法は特に限定されない。また、これらの冷却手段と前述のヒータとが、ヘッド2033Hの先端部に設けられ、モールドMを冷却する機能と加熱する機能とを併用できる構造とすることが好ましい。
【0146】
実施の形態2に係る樹脂成形装置2において、モールドMがヘッド2033Hに保持された状態で、モールドMを振動させる加振部(図示せず)を備えるものであってもよい。この場合、樹脂成形装置は、例えば
図18に示すインプリント処理のステップS202の処理において、加振部によりモールドMを振動させるようにすればよい。ここで、樹脂成形装置は、加振部によりモールドMを振動させながらモールドMの凹部MTに樹脂R1を注入するものであってもよい。或いは、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、加振部によりモールドMを振動させるものであってもよい。
【0147】
本構成によれば、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1に振動を加えることにより樹脂R1の流動が生じるので、凹部MTの奥に溜まった空気が樹脂R1の流動に伴い凹部MTの開口部側へ移動させて除去することができる。従って、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後において凹部MTの奥側に空気が溜まってしまうことを抑制できる。
【0148】
なお、実施の形態2に係る樹脂成形装置2において、前述のモールド加熱部と加振部との両方を備えるものであってもよい。この場合、樹脂成形装置は、例えば
図18に示すインプリント処理のステップS202の処理において、モールド加熱部によりモールドMを加熱するとともに、加振部によりモールドMを振動させるようにしてもよい。
【0149】
また、前述の変形例に係る樹脂成形装置6において、モールド加熱部と加振部との少なくとも一方を備えるものであってもよい。この場合、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する際、キャップ6524とモールドMとで囲まれた空間S6の真空度を高めた状態で、モールド加熱部によりモールドMを加熱しながらモールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する。或いは、樹脂成形装置は、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する際、キャップ6524とモールドMとで囲まれた空間S6の真空度を高めた状態で、加振部によりモールドMを振動させながら、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する。また、樹脂成形装置は、キャップ6524とモールドMとで囲まれた空間S6の真空度を高めた状態で、モールド加熱部によりモールドMを加熱するとともに、加振部によりモールドMを振動させながら、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入してもよい。
【0150】
また、モールドMの加熱は、真空度の比較的高い環境下でモールドM1に樹脂R1注入する場合のみならず、大気中でモールドMに樹脂R1を注入する場合においても有効である。また、モールドMを振動させることも、真空度の比較的高い環境下でモールドM1に樹脂R1注入する場合のみならず、大気中でモールドMに樹脂R1を注入する場合においても有効である。
【0151】
また、樹脂R1を基板WTに押し当てる際に気泡を巻き込まないようにするためにもモールドMを加振する方法は有効である。押し付けられた樹脂R1中に気泡が含まれていても加振することで樹脂R1が流動し気泡を排出することができる。また、基板WT上にも樹脂が事前塗布されており、モールドM上の樹脂R1と基板WT上の樹脂で接触する場合においても大気中では気泡が取り込まれやすいためより有効である。基板WT側へ樹脂を事前に塗布しておくことは、モールドMの凹部MTへ差圧充填に要する樹脂量の減少や基板WTとの接着力の向上のために行われることがある。
【0152】
ところで、比較例に係る樹脂成形装置として、例えば
図36Aに示すように、モールドMの周部を保持する保持部9033と、基板WTに樹脂R2を塗布するディスペンサ9033と、基板WTを支持するステージ9031と、を備えるものが提案されている。ここで、保持部9033は、モールドMの中央部に空気圧を加えることにより(
図36A中の矢印AR901参照)、モールドMの中央部を撓ませる。樹脂成形装置は、は、ディスペンサ9033により基板WT上に事前塗布された成形前の樹脂R2がモールドMの下方に配置されるようにステージ9031を移動させる。そして、樹脂成形装置は、例えば
図36Bに示すように、大気中において、モールドMを撓ませた状態で、ステージ9031をモールドMに近づけることにより(
図36Bの矢印AR902参照)、モールドMを樹脂R2に接触させる。その後、モールドMを樹脂に押し付けていくことで、
図36Cに示すように、樹脂成形する。このとき、モールド中央部から樹脂に接触し、順次外周部へと接触が広がっていくため気泡が追い出されて樹脂成形される仕組みである。
【0153】
しかしながら、この樹脂成形装置の場合、凹部MTのアスペクト比がある程度高くなると、凹部MTの奥にまで樹脂R2が侵入せず空気が噛み込む虞がある。また、モールドMを撓ました状態で樹脂R2に接触させることに起因して、歪みが発生する虞がある。また、例え真空中で上部からモールドを押し付けたとしても下部基板側に塗布された樹脂はある程度の粘度を持って保持されなくてはならず上部のモールド凹部底までは充填できない。また、上部のモールドに事前に塗布したとしても樹脂が垂れるためできない。また、何より基板上へパーティクルが降り注ぎパーティクルの噛み込みによる欠陥が発生しやすい。
【0154】
これに対して、本変形例に係る樹脂成形装置6は、キャップ6524をモールドMにOリング6525を介して接触させてキャップ6524とモールドMとの間の空間S6の真空度を高めた状態で、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する。その後、樹脂成形装置6は、モールドMの周囲を大気開放する。これにより、例えばモールドMへの樹脂Rの注入後において凹部MTの奥まで樹脂R1が侵入していない状態であっても、モールドMの周囲を大気開放したときに、大気圧により樹脂R1が凹部MTの奥まで押し込まれる。これにより、モールドMの凹部MTのアスペクト比が高くても、基板WT上に樹脂部を良好に成形することができる。また、樹脂成形装置6では、モールドMの凹部MTが上方を向く姿勢でモールドMを保持するため、樹脂R1の粘性が低い状態でもモールドMに樹脂R1を注入してから基板WTにインプリントすることができる。そのため樹脂の粘度を低下させるための加熱機能をモールドに設けておくことも有効である。従来方法に比べ、モールドを下側に配置し、樹脂の粘度を低下させて、真空中で樹脂を塗布することで、アスペクト比の高い樹脂の成形が可能となる。
【0155】
なお、前述の変形例では、キャップ6524とモールドMとの間の空間S6の真空度を高めてから、樹脂R1をモールドMの凹部MTに注入する例について説明したが、これに限らず、例えば樹脂R1をモールドMの凹部MTに注入した後、空間S6の真空度を高めてもよい。或いは、樹脂RをモールドMの凹部MTに注入している最中に、空間S6の真空度を高めていってもよい。この場合、真空脱泡により、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1に含まれる気泡が樹脂R1の外へ押し出されるので、モールドMの凹部MTに注入された樹脂R1に含まれる気泡が除去される。
【0156】
実施の形態2では、ディスペンサ52によるモールドMへの樹脂R1の注入と、樹脂部Rの成形とを同一の樹脂成形装置2で実行する例について説明した。但し、これに限らず、モールドへの樹脂の載置を樹脂成形装置とは別の樹脂載置装置で行ってもよい。この場合、樹脂載置装置は、モールドに樹脂を注入した後、そのモールドを樹脂成形装置へ搬送する。そして、樹脂成形装置は、樹脂載置装置から搬送される、樹脂が注入されたモールドを基板に押し当てた状態で、樹脂に紫外線を照射することにより、基板上に樹脂部を成形する。
【0157】
図37Aに示すように、樹脂載置装置7022は、チャンバ7201と、ディスペンサ7052と、真空ポンプ(真空源)7202と、を備える。ディスペンサ7052は、本体部7520と、ディスペンサ駆動部7521と、ノズル7522と、吐出制御部7523と、を有する。本体部7520は、Z軸方向とZ軸方向に直交する方向との両方へ移動可能である。チャンバ7201の一部には、排気口7201aが設けられている。チャンバ7201は、例えば金属から形成されている。ここで、モールドMBを支持するヘッド7203は、ヘッド駆動部(図示せず)により、樹脂載置装置7022と後述する樹脂成形装置との間で移動可能となっている。また、モールドMBは、平面視において基板WTと同程度の大きさを有する。
【0158】
図38Aに示すように、樹脂成形装置7021は、基板WTを支持するステージ7204と、ステージ7204に設けられた開口部7204aの上方に配置された紫外線照射部53と、を備える。なお、
図37A乃至
図39Bにおいて、実施の形態2と同様の構成については
図15と同一の符号を付している。樹脂成形装置7021は、樹脂R1が注入されたモールドMBを基板WTに押し当てた状態で、紫外線照射部53により樹脂R1に紫外線を照射することにより、基板WT上に樹脂部を成形する。また、この樹脂成形装置7021に基板WTまたはモールドMBのアライメント機能を付加し、基板WTとモールドMBとの間に樹脂R2が介在した状態で位置ずれを修正することもできる。樹脂成形装置7021は、例えばモールドMBの3箇所以上において、レーザ光を利用して基板WTの形成面WTfとモールドMBの平坦面との間の距離を測定する距離測定部(図示せず)と、モールドMBの姿勢を調整するモールド姿勢調整部(図示せず)と、を備える。そして、モールド姿勢調整部は、距離測定部の測定結果に基づいて、モールドMBの基板WTに対する平行度と、モールドMBの平坦面と基板WTの形成面WTfとの間の距離と、を調整する。
【0159】
次に、本変形例に係る樹脂成形システムの動作について
図37A乃至
図39Bを参照しながら説明する。まず、
図37Aに示すように、樹脂載置装置7022は、チャンバ7201内に存在する気体を、チャンバ7201の排気口7201aに接続された真空ポンプ7202によりチャンバ7201外へ排出することにより、チャンバ7201内の真空度を高める。次に、樹脂載置装置7022は、チャンバ7201内の真空度が予め設定された真空度以上の状態で、チャンバ7201内に配置されたディスペンサ7052からモールドMの凹部MTに樹脂を吐出させる。ここで、樹脂載置装置7022は、ディスペンサ7052の本体部7520をZ軸方向と直交する方向への移動(
図37A中の矢印AR702参照)と、Z軸方向へ移動(
図37A中の矢印AR701参照)と、を繰り返すことにより、モールドMBの複数の凹部MTへ樹脂R1を注入していく。このとき、モールドMBの凹部MTの奥に空隙CAが生じうる。
【0160】
続いて、樹脂載置装置7022は、
図37Bに示すように、モールドMBの複数の凹部MT全てに樹脂R1を注入すると、チャンバ7201内を大気開放する。これにより、モールドMBの凹部MTに注入された樹脂R1が、大気圧により樹脂R1が凹部MTの奥まで押し込まれ、凹部MTの奥に生じていた空隙CAが消滅する。そして、
図38Aに示すように、モールドMBが、樹脂成形装置7021へ搬送され、
図38Bに示すように、モールドMBが、基板WTの下方に配置される。その後、樹脂成形装置7021は、
図39Aに示すように、樹脂成形装置7021へ搬送される前段階で樹脂R2が凹部MTに注入されたモールドMBを基板WTに押し当てる。そして、樹脂成形装置7021は、
図39Bに示すように、紫外線照射部52から樹脂R2へ紫外線を照射することにより一括成形を実行する。ここで、樹脂成形装置7021が、たとえ真空中で一括成形を行う機能を有するものであっても、モールドMBの凹部MTのアスペクト比が高い場合、凹部MTの奥まで樹脂R2が入り込まない。従って、本変形例に係る樹脂成形システムのように、樹脂成形装置7021へモールドMBを搬送する前段階で、樹脂載置装置7022の真空度の高いチャンバ7201内において、モールドMBをディスペンサ7052の下側に配置した状態で、モールドMBの凹部MTに樹脂R2を注入することが好ましい。
【0161】
なお、前述の樹脂成形システムにおいて、モールドMBがヘッド7203に支持された状態で、モールドMBを加熱するモールド加熱部(図示せず)を備えるものであってもよい。或いは、前述の樹脂成形システムにおいて、モールドMBがヘッド7203に支持された状態で、モールドMBを振動させる加振部(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0162】
また、前述の変形例に係る樹脂載置装置7022は、ディスペンサ7052を用いてモールドMBの複数の凹部MTに樹脂を注入する構成であったが、樹脂載置装置は、ディスペンサを用いる構成に限定されない。例えば、樹脂載置装置が、チャンバ7201内においてスクイージブレードを用いた印刷法により樹脂RをモールドMBに塗布する構成であってもよい。更に、前述の樹脂成形装置7021は、大気中でモールドMBを基板WTに押し当てて樹脂部を成形する構成であったが、これに限らず、樹脂成形装置が、チャンバ(図示せず)を備え、チャンバ内の真空度を高めた状態でチャンバ内においてモールドMBを基板WTに押し当てて樹脂部を成形する構成であってもよい。
【0163】
なお、前述の変形例で説明した、空間S6の真空度が高い状態で樹脂R1をモールドMに塗布する場合にモールドMを冷却し、空間S6を大気開放した場合にモールドMを加熱する方式は、前述のキャップ6524を備える樹脂成形装置への適用に限定されない。例えば、前述の
図37A乃至
図39Bで説明した樹脂載置装置7022または樹脂成型装置7021に適用されてもよい。
【0164】
ここで、モールドMBを真空度の高い状態に配置してモールドMBに樹脂R2を塗布してから基板WTに樹脂部を成形するまでの一連の動作について説明する。まず、モールドMBを真空度の高い環境下に配置した状態でモールドMBを冷却する。次に、真空度の高い環境下で、冷却されたモールドMBに樹脂R2を塗布する。続いて、モールドMBの周囲を大気圧環境下に戻すとともに、モールドMBを加熱し、モールドMBに塗布された樹脂R2を軟化させる。これにより、樹脂R2がモールドMBの凹部MTの奥へスムーズに充填される。その後、樹脂R2を基板WTへ押し付ける。このとき、基板WTと樹脂R2との間への空気の巻き込みを抑制するために、モールドMBを再度冷却することにより樹脂R2の粘度を上昇させた状態で、樹脂R2を基板WTへ押し付ける。なお、モールドMBは、前述のモールドMに比べて基板WTに対向する部分の面積が大きいため、その分、モールドMBを基板WTへ押し付ける際に必要な圧力が大きくなる。そこで、モールドMBを基板WTへ押し付ける際、モールドMBを加熱して、樹脂R2の粘度を低下させることにより、モールドMBを基板WTへ押し付ける際の圧力を低減するようにしてもよい。以上説明した一連の動作を繰り返すことにより、基板WT上に複数の樹脂部を成形することができる。
【0165】
なお、大気中でモールドMBに樹脂R2を塗布する場合、モールドMBに樹脂R2を塗布する際、モールドMBを加熱することにより、樹脂R2の粘度を低下させればよい。そして、モールドMBを基板WTへ押し付ける際、モールドMBを冷却して樹脂R2の粘度を低下させることにより、基板WTと樹脂R2との間への空気の巻き込みを抑制するようにすればよい。また、モールドMBを基板WTへ押し付ける圧力を低減したい場合には、モールドMBを加熱して樹脂R2の粘度を低下させればよい。なお、樹脂R2としては、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または熱可塑性樹脂のいずれであってもよい。
【0166】
実施の形態2では、モールドMに樹脂R1を載置、即ち、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入した後、そのモールドMを基板WTの下方から基板WTに押し付けた状態で樹脂Rに紫外線を照射することにより樹脂部を成形する樹脂成形装置2の例について説明した。但し、これに限らず、例えば基板WTにおける樹脂部を成形する面側に予め樹脂を塗布しておき、樹脂成形装置において、樹脂が塗布された側が下側となる姿勢で配置された基板WTの下方から、モールドMを基板WTの樹脂に押し付けた状態で樹脂に紫外線を照射する構成であってもよい。或いは、樹脂成形装置が、モールドMに樹脂を注入した後、そのモールドMを樹脂が塗布された基板WTの下方から樹脂に押し付けた状態で樹脂に紫外線を照射する構成であってもよい。
【0167】
本構成によれば、モールドMの凹部MT内への気体の流入が抑制されてモールドMの凹部MTの内側に入り込む樹脂の量が比較的安定するので、基板WT上に成形する樹脂部の形状が安定するという利点がある。なお、樹脂成形装置が、チャンバ(図示せず)を備えており、チャンバ内の真空度を高めた状態でチャンバ内においてモールドMBを樹脂層が形成された基板WTに押し当てる構成であってもよい。この場合、モールドMの凹部MT内にほとんど気体が存在しなくなるので、モールドMの凹部MT内に存在する気体に起因した成形不良の発生が抑制される。
【0168】
実施の形態2に係る樹脂成形装置2において、例えば
図40Aおよび
図40Bに示すように、基板WTにおけるモールドMを押し付ける位置毎に、モールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとが平行となるように、モールドMの傾きを調整してもよい。樹脂成形装置2は、水平面に対する第2円盤部材334およびこれに固定されたヘッド2033Hの傾き角度を調整することにより、モールドMの傾きを調整する。ここで、樹脂成形装置2は、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に介在する3つのピエゾアクチュエータ333をそれぞれZ軸方向へ伸縮させることにより、ヘッド2033Hの傾き角度を調整する。樹脂成形装置2は、実施の形態2で説明した樹脂成形処理のうち、例えばステップS204のモールドMのプリアライメントを実行する処理、或いは、ステップS206のモールドMに載置された樹脂R1が基板WTの形成面WTfに接触した状態で液浸アライメントを実行する処理を行う際、モールドMの傾きを調整してもよい。3つのピエゾアクチュエータ333は、例えば
図40Aおよび
図40Bに示すように、基板WTの中央部にモールドMを押し付ける場合と基板WTの周部にモールドMを押し付ける場合とで、モールドMの姿勢(傾き)を異ならせる。また、樹脂成形装置は、モールドMを、モールドMに載置された樹脂を介して基板WTに接触させた状態で、基板WTに対するモールドMの位置および姿勢を補正してもよい。また、樹脂成形装置は、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離に基づいて、形成面WTfと平坦面MFとの間の距離と平坦面MFの形成面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整してもよい。
【0169】
なお、実施の形態2では、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に3つのピエゾアクチュエータ333が介在する樹脂成形装置2の例について説明したが、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に介在するピエゾアクチュエータの数は3つに限定されない。例えば、樹脂成形装置が、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に2つのピエゾアクチュエータが介在する構成であってもよいし、4つ以上のピエゾアクチュエータが介在する構成であってもよい。
【0170】
ところで、基板WTの外周部近傍では、モールドMを基板WTに塗布された樹脂R2に押し付ける際、モールドMに対する加圧中心がずれるためにモールドMが基板WTの形成面WTfに対して傾いてしまう。この場合、モールドM全体に均一な圧力を加えた状態でモールドMを樹脂R2に押し付けることができず、樹脂部を良好に成形できない虞がある。
【0171】
これに対して、本変形例の場合、樹脂成形装置2が、基板WTにおけるモールドMを押し付ける位置毎に、モールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとが平行となるように、モールドMの傾きを調整する。これにより、モールドM全体に均一な圧力を加えた状態でモールドMを樹脂R2に押し付けることができるので、良好に樹脂部を成形することができる。また、基板WTを保持するヘッドの構造に起因して、
図40Aおよび
図40Bに示すように、基板WTの中央部と外周部とで撓みしろが異なる場合がある。この場合でも、本変形例によれば、樹脂成形装置2が、基板WTの中央部と外周部とでモールドMの傾きを調整することにより、両方においてモールドM全体に均一な圧力を加えた状態でモールドMを樹脂R2に押し付けることができる。
【0172】
実施の形態2に係る樹脂成形装置2では、紫外線照射部53が、ステージ2031の上方に配置されている例について説明した。但し、紫外線照射部53の配置はこれに限定されるものではなく、基板WTが、紫外線に対して不透明な基板である場合、ステージ31の下側に配置される構成であってもよい。この場合、紫外線照射部53は、基板WTの下方から樹脂部Rに紫外線を照射する。なお、紫外線に対して不透明な基板としては、Si基板が挙げられる。また、透明なガラスから形成されている透明なモールドMを使用することにより、モールドMの下方から紫外線を照射するようにしてもよい。本構成によれば、紫外線照射部53の配置の自由度を大きくすることができるので、樹脂成形装置2の設計自由度が大きくなるという利点がある。
【0173】
各実施の形態では、ヘッド駆動部36が、ボンディング部33(2033)を、Z軸方向へ移動させること並びに軸BX周りに回転させることのみが可能である例について説明した。但し、これに限らず、ヘッド駆動部36が、ボンディング部33(2033)を、X軸方向またはY軸方向へ移動させることができる構成であってもよい。この場合、ヘッド駆動部36は、例えばチップ搬送部39からチップCPを受け取った後、ヘッド33H(2033H)と基板WTにおけるチップCPが実装される部位とが対向する位置に、ボンディング部33(2033)をX軸方向またはY軸方向へ移動させるようにしてもよい。
【0174】
実施の形態1では、2つの第1撮像部35a,35bを備え、アライメントマークMC1a,MC1bを含む画像Ga,Gbを同時に撮影する例について説明した。但し、これに限らず、1つの第1撮像部35aが、Z軸方向に直交する面内で移動可能であり、第1撮像部35aが、Z軸方向に直交する面内で移動しながらアライメントマークMC1a,MC1bを含む画像Ga,Gbを順次撮影する構成であってもよい。
【0175】
実施の形態1では、2つの第1撮像部35a、35bにより、基板WTとチップCPとに設けられたアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を撮影する構成について説明した。但し、これに限らず、例えばステージ31の上方に第1撮像部35a、35bとは別に2つの撮像部(図示せず)が配置された構成であってもよい。この場合、2つの第1撮像部35a,35bによりチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bを含む画像を撮影し、他の2つの撮像部により基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bを含む画像を撮影するようにしてもよい。
【0176】
実施の形態1では、切出機構111がダイシングテープTEにおける鉛直上方(+Z方向)からニードル111aを鉛直下方(-Z方向)へ突き出してチップCPを鉛直下方(-Z方向)へ押し出すことによりチップを供給するチップ供給部11の例について説明した。但し、チップ供給部11の構成は、これに限定されない。例えばチップ供給部が、ダイシングテープTEを上方へ吸引することによりチップCPをダイシングテープTEから剥がしてチップCPを供給する構成であってもよい。或いは、チップ供給部が、チップCPが貼着されたダイシングテープTEに紫外線を照射することによりダイシングテープTEの粘着力を低下させることによりチップCPをダイシングテープTEから剥がしてチップCPを供給する構成であってもよい。
【0177】
実施の形態1では、第1撮像部35a,35bが、それぞれ、同軸照明系の光源から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光を利用して、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する例について記載した。但し、これに限らず、例えば、第1撮像部35a、35b側とは反対側に設けられた光源からチップCPを透過する透過光を利用して、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する構成であってもよい。例えば、基板WTの鉛直上方に配置された第2撮像部41が、チップCPの下側に入射する第1撮像部35a、35bの同軸光を利用して、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を取得する構成であってもよい。或いは、第1撮像部35a、35bが、基板WTの鉛直上方に配置された第2撮像部41から出射される同軸光を利用して、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を取得する構成であってもよい。また、基板WTが可視光に対して透明の場合、第1撮像部35a、35bまたは第2撮像部41から出射される同軸光が、可視光であってもよい。
【0178】
実施の形態1では、第1撮像部35a、35bが、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する構成について説明した。但し、これに限らず、例えば第1撮像部35a、35bが、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bを含む画像を取得し、第2撮像部41が、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bを含む画像を取得する構成であってもよい。この場合、チップCPを積層していく場合のように第1撮像部35a、35bから出射される同軸光または第2撮像部41から出射される同軸光が、積層されたチップCPを透過しない場合でもアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの取得が可能となる。また、アライメントマークMC1a、MC1bとアライメントマークMC2a、MC2bとを各カメラで個別に認識することが可能となるので、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの認識に要する時間が短縮される。また、基板WT側は2つのアライメントマークMC2a、MC2bを毎回認識する必要はなく、基板WTを交換する毎に1回だけ2つのアライメントマークMC2a、MC2bを用いて、基板WTのθ方向のずれを認識しておけばよい。これは、チップ実装システムが、1枚の基板WTにチップCPを実装していく上で、既に基板WTのθ方向のずれ量を認識しているので、1つのアライメントマークの認識で十分であり、また、スループットも向上するからである。
【0179】
また、第2撮像部41が、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する構成であってもよい。このように、チップCPを基板WTの接合面WTfに接触させた状態で、赤外光を利用してチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを同一の第2撮像部41で、アライメントマークMC1a、MC2a、アライメントマークMC1b、MC2bの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の取り込みで同時認識することにより、チップCPと基板WTとの位置ずれを高精度に認識できる。また、チップCP側の第1撮像部35a、35bを用いてチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bを同時に認識する構成でも同様である。
【0180】
実施の形態1において、チップ実装システム1が、チップCPと基板WTを接触させた状態でチップCPの基板WTに対する位置ずれを算出し、算出した位置ずれ量に基づいてチップCPの位置を補正する構成であってもよい。この場合、チップ実装システム1は、チップCPと基板WTを接触させた状態でチップCPの基板WTに対する位置ずれを算出した後、チップCPを基板WTから離間させてから位置ずれ量に相当する分だけずれ方向とは反対方向にチップCP移動させる。その後、チップ実装システム1は、チップCPを基板WTに再度接触させる。本構成によれば、チップCPを基板WTに高精度に実装することが可能となる。
【0181】
実施の形態1において、ボンディング装置30が、チップCPの接合面(平坦面)CPfにおける3つ以上の箇所において、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間の距離を測定する距離測定部(図示せず)を備えるものであってもよい。距離測定部は、例えばヘッド33Hの側方の複数箇所に配置されたレーザ光源(図示せず)と、複数のレーザ光源それぞれから出射し基板WTで反射したレーザ光を受光する受光部(図示せず)と、を有するものであってもよい。そして、前述の実施の形態1の
図9のステップS7(部品実装ステップ)において、ヘッド駆動部36が、距離測定部により測定された距離に基づいて、チップCPを保持するヘッド33Hを、基板WTを保持するステージ31に近づけてもよい。また、3つのピエゾアクチュエータ333が、距離測定部により測定された基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間の距離に基づいて、基板WTの実装面WTfとチップCPとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整してもよい。
【0182】
また、実施の形態1において、ボンディング装置30が、例えば
図41Aに示すような、基板WTとチップCPとの間に配置可能なプリズム7737と、プリズム7737の側方に配置された2つの距離測定部77381、77382と、を備えるものであってもよい、距離測定部77381は、レーザ光をプリズム7737に向けて出射するレーザ光源と、基板WTの実装面WTfで反射してプリズム7737を介して戻ってくる光を受光する受光部と、を有する。また、距離測定部77382は、レーザ光をプリズム7737に向けて出射するレーザ光源と、チップCPの接合面CPfで反射してプリズム7737を介して戻ってくる光を受光する受光部と、を有する。この場合、ボンディング装置30は、距離測定部77381により測定されるプリズム7737と基板WTの実装面WTfとの間の距離と、距離測定部77382により測定されるプリズム7737とチップCPの接合面CPfとの間の距離と、2つの距離測定部77381、77382との間の距離W77とから、基板WTとチップCPとの間の距離を算出する。そして、ボンディング装置30は、算出された距離に基づいて、基板WTの実装面WTfとチップCPとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整する。
【0183】
更に、実施の形態1において、ボンディング装置30が、例えば
図41Bに示すような、基板WTとヘッド33Hの先端部との間の距離を測定する距離測定部を備えるものであってもよい。この場合、チップ実装システムが、チップCPの厚さとを予め計測する厚さ計測部(図示せず)を備え、ボンディング装置30が、距離測定部により測定された基板WTの実装面WTfとヘッド33Hの先端部との間の距離からチップCPの厚さを差し引いて得られる距離に基づいて、基板WTの実装面WTfとチップCPとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整する。また、基板WTがレーザ光を反射しない場合、距離測定部が、基板WTがステージ31に保持されておらず、チップCPがヘッド33Hに保持されていない状態において、ステージ31とヘッド33Hの先端部との間の距離を測定するものであってもよい。この場合、チップ実装システムが、基板WTの厚さとチップCPの厚さとを予め計測する厚さ計測部(図示せず)を備え、ボンディング装置30が、距離測定部により測定されたステージ31とヘッド33Hの先端部との間の距離から基板WTの厚さおよびチップCPの厚さを差し引いて得られる距離に基づいて、基板WTの実装面WTfとチップCPとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整する。また、チップや基板の距離を測定する測定部はチップ実装システム部内になくとも事前に厚みが分かっているものであればその値を使えば良い。
【0184】
実施の形態1において、チップCPの接合面CPfに水を供給することによりチップCPの接合面CPfに水を付着させる水供給部(図示せず)を備えるものであってもよい。この場合、水供給部は、チップCPがチップ供給装置10のチップ供給部11から供給された後、チップCPがボンディング装置30のヘッド33Hに保持されて基板WTの実装面WTfに接触するまでの間に、チップCPの接合面CPfに水を供給する。水供給部は、例えばチップ搬送部39のチップ保持部391aにおけるチップCPが保持された状態でチップCPの接合面CPfに対向する部分に設けられ水を接合面CPfへ吹き付ける水吐出部(図示せず)を有するものであってもよい。或いは、水供給部が、チップ供給装置10に設けられていてもよい。この場合、水供給部は、チップ供給部11からチップ反転部131のアーム1311に受け渡され、接合面CPfが鉛直上方を向いた姿勢でアーム1311に保持された状態のチップCPの接合面CPfへ水を吹き付ける水吐出部(図示せず)を有すればよい。
【0185】
また、前述の水供給部を備える構成において、チップCPの接合面CPfへ水を供給する前に、接合面Cpfに付着したパーティクルを除去するクリーニング部を備えるものであってもよい、クリーニング部としては、例えば窒素、ヘリウム等の気体をブローする構成、超音波、メガソニック等を印加した状態の水を吹き付ける構成、或いは、接合面CPfに付着したパーティクルを機械的に擦り取る構成が挙げられる。なお、水供給部は、前述の超音波、メガソニック等を印加した状態の水を吹き付ける構成とすれば、接合面CPfへの水の供給とパーティクル除去の両方の機能を兼ね備えることになる。
【0186】
また、水供給部は、ボンディング装置30のステージ31に設けられた水吐出部(図示せず)を有するものであってもよい。この場合、チップCPがヘッド33Hに保持された状態で、チップCPが基板WTに実装される直前に、チップCPの上方に水吐出部が位置するようにステージ31が駆動されてから、水吐出部からチップCPの接合面CPfへ水が吹き付けられるようにすればよい。
【0187】
或いは、
図42に示すように、水供給部7852とクリーニングヘッド7856とカメラ7857とが、ボンディング装置30におけるステージ7831の上方に配置された支持部7855に支持され、鉛直方向に移動可能なノズル78522を備えるものであってもよい。この支持部7855は、鉛直方向および鉛直方向に直交する水平面内で自由に移動可能である。この場合、チップCPがヘッド33Hに保持された状態で、チップCPが基板WTに実装される直前に、ステージ7831を移動させることにより(
図42の矢印AR781参照)、基板WTをチップCPの上方から退避させる。このとき、水供給部7852の鉛直下方にステージ7831に設けられた貫通孔7831aが位置するようにステージ7831を移動させる。次に、水供給部7852は、ノズル78522を鉛直下方へ移動させて貫通孔7831aに挿通させることにより(
図42の矢印AR782参照)、ノズル78522の先端をチップCPの接合面CPfに近づけて、チップCPの接合面CPfへ水を吹き付ける。また、クリーニングヘッド7856は同様に貫通孔7831aが位置するようにステージ7831を移動させ、次に、クリーニングヘッド7856を鉛直下方へ移動させて貫通孔7831aに挿通させることにより先端をチップCPの接合面CPfに近づけて、チップCPの接合面CPfのパーティクルを除去する。
【0188】
前述の
図42に示す構成では、ステージ7831の上方にチップCPの接合面CPfへ水を供給する水供給部7852と、クリーニングヘッド7856と、が設けられていたが、水供給部とクリーニングヘッドとは、この構成に限定されるものではない。例えば、
図43に示すように、チップ搬送部10039が、チップ保持部391aが設けられたプレート10391と、水供給部10391cが設けられたプレート10391と、クリーニング部10391bが設けられたプレート10391と、を有するものであってもよい。ここで、クリーニング部10391bは、例えば窒素、ヘリウム等の気体を吐出するノズルを有するものであり、水供給部10391cは、例えば超音波、メガソニック等を印加した状態の水を吹き付けるノズルを有するものである。なお、チップ搬送部は、
図43に示すチップ搬送部10039において、クリーニング部10391bが設けられたプレート10391が無く、チップ保持部391aが設けられたプレート10391と、水供給部10391cが設けられたプレート10391と、のみを有するものであってもよい。或いは、チップ保持部391aが設けられたプレート10391の先端部において、プレート10391の回転方向においてチップ保持部391aから離間した位置に水供給部(図示せず)およびクリーニング部(図示せず)が設けられた構成であってもよい。
【0189】
これらの構成によれば、例えば
図42に示す構成のように、ステージ7831を移動させることにより基板WTをチップCPの上方から退避させるような動作が不要となるので、チップCPの接合面CPfのパーティクル除去および接合面CPfへの水の供給を短時間で行えるので生産タクト上好ましい。
【0190】
また、
図44に示すように、チップ実装システムが、チップ搬送部39とは別に、ヘッド33Hを中心とした反対側にチップCPの接合面CPfへ水を供給したり、接合面CPfに付着したパーティクルを除去するために接合面Cpfへ気体を吹き付けたりする供給部11039を備える構成であってもよい。この供給部11039は、先端部に水または気体を吹き出すノズル11391aが設けられた複数のプレート11391と、複数のプレート11391を一斉に回転駆動するプレート駆動部11392と、を有する。本構成によれば、
図45に示すように、チップ搬送部39のプレート391の先端部と、供給部11039のプレート11391の先端部とが、互いに同期して回転し(
図45中の矢印AR1、AR111参照)、交互にヘッド33Hの上方へ移動する。これにより、ヘッド33HへのチップCPの受け渡し動作とヘッド33Hに保持されたチップCPの接合面CPfへの水の供給動作または気体の吹き付け動作とからなる一連の動作が効率よく実行されるので、生産効率が高まるという利点がある。また、チップ搬送部39には、チップCPを吸着するための真空経路と吸着を停止させるための真空破壊経路とが設けられているため、このチップ搬送部39に更に、チップCPの接合面CPfの洗浄時に接合面CPfへ吹き付ける気体を導入する経路と、接合面CPfへ水を供給するための経路と、を追加で設けるのは構造上困難である。従って、前述のように、チップ搬送部39とは別に、水の供給または気体を吹き付ける供給部11039が設けられていることが好ましい。
【0191】
なお、チップ実装システムは、例えば、供給部11039においてチップCPの接合面CPfへの水の供給と接合面CPfへクリーニングのために気体の吹き付けを行う構成であってもよい。また、チップ実装システムは、チップ搬送部39において、チップCPの接合面へクリーニングのために気体の吹き付けを行い、供給部11039において、接合面CPfへ水を供給する構成であってもよい。更に、チップ実装システムは、チップ搬送部39において、チップCPの接合面CPfへの水の供給を行い、供給部11039において、接合面CPfへクリーニングのために気体の吹き付けを行う構成であってもよい。なお、チップ搬送部39と供給部11039との配置は、前述の配置に限定されるものではない。
【0192】
ところで、基板WTの場合、基板WTの実装面WTfを窒素プラズマ等に曝すことにより活性化させた後、スピンコーターによる水洗浄工程を行うことにより、実装面WTfに水を供給することができる。ここで、水洗浄工程では、基板WTを回転させながら超音波等の振動を付加した水を吹き付けてからスピン乾燥させる。これにより、基板WTの実装面WTfに付着したパーティクルが取り除かれるとともに水を実装面WTfに付着させることができる。しかしながら、チップCPは、ダイシングテープTEに貼り付けられた後、その接合面CPfに水が直接供給されることがない。また、親水化処理装置60は、ダイシングテープTEが存在してもビーム照射により表面活性化する方式であれば、ダイシングテープTEから発生した不純物イオンが基板WTの実装面Wtfに付着することなく活性化できる。しかし、チップCPは、ダイシングテープTEに貼り付けられた状態ではその接合面CPfについて水洗浄工程を行うことは不可能である。従って、チップCPの接合面CPfからパーティクルを除去できず、接合面CPfに基板WTとの接合に十分な水を付着させることができない虞がある。
【0193】
これに対して、本構成によれば、水供給部が、チップ供給部11から供給されたチップCPの接合面CPfに水を吹き付ける。これにより、チップCPの接合面CPfに基板WTとの接合に十分な水を付着させることができるので、基板WTへのチップCPの仮接合時における不具合を防止し接合時のチップCPの基板WTからの落下を防止できる。また、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間に水が介在することにより仮接合がスムーズに進行し、その結果、基板WTとチップCPとの間にボイドが入りにくいという利点もある。また、チップCPを基板WTに接触させた後、チップCPの基板WTに対する位置調整を行う際、チップCPを一旦基板WTから離脱させた後チップCPの姿勢を修正してから再度チップCPを基板WTに接触させる方法以外に、チップCPを基板WTに水を介して接触させた状態でチップCPを基板WTに対して移動させることもできる。この場合、チップCPの基板WTに対する位置が確定した後、チップCPを基板WTに押し付ける力を増加させてチップCPと基板WTとの間に介在する水を外へ押し出すことによりチップCPを基板WTに仮接合させることができる。
【0194】
なお、ボンディング装置は、水供給部とともに窒素を吐出するブロワを備えるものであってもよい。ブロワは、例えばチップ搬送部39のチップ保持部391aにおけるチップCPが保持された状態でチップCPの接合面CPfに対向する部分において、チップ保持部391aの回転方向において水吐出部と隣り合う位置に設けられていてもよい。或いは、
図42に示すようなボンディング装置において、ブロワノズルを有する洗浄ヘッドが、水供給部とともに支持部7855に支持されている構成であってもよい。ここで、洗浄ヘッドは、水供給部と同様に、洗浄ヘッドの鉛直下方にステージ7831に設けられた貫通孔7831aが位置するようにステージ7831が移動された状態で、ブロワノズルが鉛直下方へ移動して貫通孔7831aに挿通される。これらの場合、ボンディング装置は、水供給部からチップCPの接合面CPfへ水を供給する前に、ブロワから接合面CPfへ窒素を吐出させることにより、接合面CPfに付着したパーティクルを除去することができる。
【0195】
なお、本構成において、チップCPの接合面CPfへ水の他に弱酸等の液体を付加して供給する構成であってもよい。特に、基板WTの実装面WTfに形成されたCu電極にチップCPを実装する場合、チップCPの接合面CPfに水とともに弱酸等の液体を付加して吹き付けると基板WTとチップCPとを良好に接合することができる。
【0196】
実施の形態1では、チップ供給部11が、ダイシングテープTEに貼り付けられた状態のチップCPを供給する例について説明したが、これに限らず、チップ供給部がトレイに載置された状態のチップCPを供給する構成であってもよい。或いは、チップ供給部が、チップCPを1つずつ供給する構成であってもよい。チップ供給部は、ボンディング装置と別体であるものに限定されず、例えば、ボンディング装置が、ステージ31に、少なくとも1つのチップCPを吸着保持する吸着保持機構(図示せず)を有するチップ供給部を備えるものであってもよい。この場合、吸着保持機構に保持されたチップCPがヘッド33Hに供給される。
【0197】
実施の形態1において、チップ供給部11が、ダイシングテープTEの鉛直下方からチップCPの接合面CPfが鉛直上方を向いた状態でチップCPを保持する場合、この場合、チップ供給部11は、ダイシングテープTEとして、チップCPの接合面CPfに不純物が付着しない特殊シートを使用し、親水化処理が施され選択的にパーティクルが除去された後のダイシング基板WCがその接合面CPf側がダイシングテープTE側となるようにダイシングテープTEに貼り付けられたものを使用する。そして、チップ実装システムは、チップ反転部131を使用せずに、チップ受け渡し部123が直接チップ供給部11からチップCPの供給を受けることが可能な構成であればよい。
【0198】
実施の形態2では、基板WTが透明であり、基板WTの鉛直上方から紫外光を照射してモールドM上の樹脂を硬化させたが、これに限らない。例えば、基板WTが紫外光を透過しない場合、モールドMを透明なガラスのような紫外光を透過させる材料から形成し、モールドMの鉛直下方から紫外線照射を行う構成であってもよい。また、距離測定部も、モールドMが透明なガラス等の材料で形成されている場合、モールドMの鉛直下方に配置して測定を行ってもよい。また、基板WTがSiのような赤外光を透過させる材料から形成されている場合、樹脂成形装置は、撮像部2041として赤外光透過カメラを使用して、アライメントを実行する構成であってもよい。
【0199】
実施の形態2では、樹脂部Rが紫外線硬化樹脂から形成されている例について説明した。但し、樹脂部Rの材料はこれに限定されるものではなく、例えば熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。この場合、樹脂成形装置は、紫外線照射部の代わりに、モールドMを樹脂部Rに押し付けた状態で樹脂部Rを加熱する加熱部(図示せず)を備える構成とすればよい。加熱部としては、例えばモールド保持部にヒータを埋め込んだり基板WT上方から赤外線を照射する赤外線ヒータを採用することができる。本構成によれば、樹脂部Rが熱硬化性樹脂から形成されている場合でも、基板WT上に硬化した樹脂部を形成することが可能となる。
【0200】
また、樹脂部Rを形成する樹脂が、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の場合、樹脂成形装置が、モールドMを基板WTに押し付ける際、前述の加熱部により、モールドMに載置された樹脂を加熱し軟化させた状態にする構成であってもよい。
【0201】
ところで、モールドMと樹脂部Rとの接触面積が大きくなると、それに伴い、モールドMを樹脂部Rに押し付けた状態でモールドMに加えるべき圧力が増加する。そして、モールドMに加える圧力が増加すると、ステージ2031が撓んでしまい樹脂部Rの成形精度が低下する可能性が高まる。これに対して、本構成によれば、モールドMを樹脂部Rに押し付けた状態で、樹脂部Rを形成する樹脂が軟化する予め設定された温度範囲の温度にまで加熱することにより、モールドMに加えるべき圧力を低下させることができる。従って、樹脂部Rの成形中においてステージ2031が撓むことが抑制されるので、樹脂部Rの成形精度を高めることができる。
【0202】
実施の形態2では、距離測定部511が、基板WTおよびモールドMの上方からレーザ光を照射することにより、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する例について説明した。但し、これに限らず、例えば距離測定部511が、基板WTおよびモールドMの下方からレーザ光を照射することにより、基板WTの形成面WTfとモールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する構成であってもよい。
【0203】
実施の形態2では、距離測定部511が、レーザ光を用いて、基板WTの形成面WTfと、モールドMの平坦面MFとの間の距離を測定する例について説明した。但し、この構成の場合、基板WTとモールドMとの間における平坦面MFに樹脂部Rの一部が張り出している場合、距離測定部511は、基板WTとモールドMとの間に樹脂部Rの一部が介在した状態で測定することになる。そうすると、基板WTとモールドMとの間に介在する樹脂部Rに吸収されてレーザ光が減衰してしまい反射光を良好に検出できない場合がある。
【0204】
そこで、距離測定部511が、基板WTとモールドMの段部MSとの間における樹脂部Rが介在しない領域で、基板WTとモールドMとの間の距離を測定するようにしてもよい。この場合、基板WTとモールドMとの間に介在する樹脂部Rに吸収されてレーザ光が減衰が抑制されるので、基板WTとモールドMとの間の距離を精度良く測定できる。
【0205】
実施の形態1では、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bが接合面CPf側に設けられている例について説明したが、これに限らず、例えばアライメントマークMC1a、MC1bがチップCPにおける接合面CPf側とは反対側の面に設けられていてもよい。また、実施の形態2では、モールドMの平坦面MFにアライメントマークMM1a、MM1bが設けられている例について説明したが、これに限らず、例えばアライメントマークMM1a、MM1bがモールドMにおける平坦面MF側とは反対側の面に設けられていてもよい。更に、アライメントマークMM1a、MM1bが、モールドMの段部MSに設けられていてもよい。
【0206】
実施の形態2では、透明な基板WTに対して例えば金属からなるモールドMを下方から押し付けて、基板WTの上方から紫外線照射部52により紫外線を照射して樹脂R1を硬化したが、これに限らない、例えば基板WTがSiのような透明でない基板である場合は、モールドMを透明な材料で形成しモールドMの下方から紫外線を照射してもよい。また、撮像部として赤外線を用いたものを採用する場合、Si基板の上方から撮像部でアライメントマークを撮像するようにすればよい。
【0207】
実施の形態2では、レーザによりモールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfの隙間を直接測定する例について説明したが、これに限らない。例えば、モールドMが、レーザ光を反射しにくかったり、モールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとの間に樹脂R1が介在したりしている場合、モールドMを支持するヘッド2033Hに反射鏡を設けて反射鏡により反射されるレーザ光を用いてモールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとの間の距離を測定してもよい。この場合、反射鏡とモールドMの平坦面MFとの間の距離を事前に計測しておき、反射鏡と基板WTの形成面WTfとの間の距離から事前に計測した反射鏡とモールドMの平坦面MFとの間の距離を差し引いてモールドMの平坦面MFと基板WTの形成面WTfとの間の距離を算出すればよい。なお、基板WTを支持するステージ2033に反射鏡を設けてもよい。
【0208】
実施の形態2では、モールドMの凹部MTに樹脂R1を注入する例について説明したが、これに限らない。例えば、基板WTの形成面WTfに事前に樹脂を塗布しておいてもよい。モールドMの凹部MTに注入された樹脂が大気圧により凹部MTの奥側へ窪んだ場合に、基板WTの形成面WTfに塗布された樹脂で窪み分を補填できる。また、基板WTと樹脂R1の接着性を高まるという利点もある。なお、基板WTの形成面WTfのみに樹脂を塗布してもよい。
【0209】
実施の形態2では、アスペクト比の高い樹脂成形について記載したが、これに限らない。例えば、膜厚が厚い成形物を成形する場合においても底に気泡が溜まりやすく本方式は好適である。膜厚が厚い成形物としては例えばレンズのようなものがあり、ガラスウエハ上にレンズを樹脂成形する場合などがある。
【0210】
実施の形態2では、レーザ光を用いてモールドMと基板WTとの間の距離を測定する例について説明したが、これに限らず、例えばレーザ光の反射光の干渉光を利用して測定する方法を採用してもよい。この場合、モールドMまたは基板WTの温度変動による影響を受けないため測定精度が向上する。また、基板WTおよびモールドMのうちの少なくとも一方が、レーザ光を透過する材料から形成されていてもよい。
【0211】
実施の形態2では、レーザ光を用いてモールドMと基板WTとの間の距離を測定する例について説明したが、これに限らず、例えばフォトセンサ、磁気センサ等の測距センサを用いてもよい。或いは、カメラでアライメントマークを撮像する際の焦点距離に基づいて、モールドMと基板WTとの間の距離を測定してもよい。
【0212】
実施の形態2では、紫外線硬化樹脂を用いる例について説明したが、これに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いても実施の形態2で説明した効果と同様の効果を奏する。熱硬化性樹脂の場合、樹脂が硬化する温度よりも低い予め設定された温度領域において樹脂が軟化する。また、予め樹脂の硬化温度以上に設定しても硬化途上で一旦軟化する。また、熱可塑性樹脂の場合、加熱してその温度を上昇させることにより樹脂が軟化する。
【0213】
実施の形態2では、ヘッド駆動部36が、ヘッド2033Hを基板WTに向けて上昇させることによりヘッド2033Hをステージ2031に近づけて基板WTの鉛直下方からモールドMを押し付ける構成について説明した。但し、これに限らず、例えば、ヘッド2033Hを基板WTにおける樹脂部Rが形成される位置に対向させてからステージ2031を鉛直下方へ移動させることによりステージ2031をヘッド2033Hに近づけて基板WTの鉛直下方からモールドMを押し付けるステージ駆動部(図示せず)を備える構成であってもよい。
【0214】
実施の形態に係る樹脂成形装置としては、例えば微細な樹脂成形を行うナノインプリント装置が挙げられる。
【0215】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0216】
本出願は、2017年2月9日に出願された日本国特許出願特願2017-021953号、2017年11月10日に出願された国際出願PCT/JP2017/040651号、2018年1月18日に出願された国際出願PCT/JP2018/001467号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2017-021953号の明細書、特許請求の範囲および図面全体、国際出願PCT/JP2017/040651号の明細書、特許請求の範囲および図面全体並びに国際出願PCT/JP2018/001467号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明は、例えばCMOSイメージセンサやメモリ、演算素子、MEMSの製造に好適である。
【符号の説明】
【0218】
1:チップ実装システム、2,4,6,7021:樹脂成形装置、10:チップ供給装置、11:チップ供給部、13:チップ移載部、15:供給チップ撮像部、30:ボンディング装置、31,2031,7204:ステージ、33,2033:ボンディング部、33H,2033H,8633H,8733H,8833H,8933H:ヘッド、34:Z方向駆動部、35a、35b:第1撮像部、36:ヘッド駆動部、37:θ方向駆動部、38:リニアガイド、39,10039:チップ搬送部、41:第2撮像部、50,2050:カバー、52,4052,6052,7052:ディスペンサ、53:紫外線照射部、55:支持部、60:親水化処理装置、65:水洗浄部、70:搬送装置、71:搬送ロボット、80:搬出入ユニット、90,2090:制御部、111:切出機構、111a:ニードル、112:テープ保持部、113:テープ保持部駆動部、131:チップ反転部、132:チップ受け渡し部、301:固定部材、302,3336:ベース部材、311:X方向移動部、312,314,316,8524d,8924d:開口部、313:Y方向移動部、315,2315:基板載置部、321:X方向駆動部、323:Y方向駆動部、331:Z軸方向移動部材、332:第1円盤部材、333:ピエゾアクチュエータ、334:第2円盤部材、334a、334b:孔部、336:ミラー固定用部材、337:ミラー、337a,337b:傾斜面、351a,351b,418:イメージセンサ、352a,352b,419:光学系、361:回動部材、363:カメラZ方向駆動部、365:カメラF方向駆動部、391,10391,11391:プレート、391a:チップ保持部、391b,86413a:吸着部、391c:突出部、392:プレート駆動部、411,86411,87411,88411,89411:チップツール、413,2413,86413,87413,88413:ヘッド本体部、415,416:中空部、511:距離測定部、520,4520,7520:本体部、521,4521,7521:ディスペンサ駆動部、522,4522,7522:ノズル、523,4523,7523:吐出制御部、901:MPU、902:主記憶部、903:補助記憶部、904,2904:インタフェース、905:バス、1311:アーム、1311a:吸着部、1312:アーム駆動部、2031a,6524d,7524d:貫通孔、2041:撮像部、6524,8524,8924:キャップ、6524a,7201a,7524a,8524a,8924a:排気口、6524b:底壁、6524c:側壁、6525,6526,7525,7526,8525,8526,8528,8926,8928:Oリング、6526,7202:真空ポンプ、7022:樹脂載置装置、7201:チャンバ、7527:フランジ部材、8520:フランジ部、10391b:クリーニング部、10391c 水供給部、11039:供給部、86411a,86411b,87411b:貫通孔、87413b:吐出口、CP:チップ、CPf:接合面、CPk:切欠部、TE:ダイシングテープ、L6:排気管、M,MB:モールド、MC1a,MC1b,MC2a,MC2b,MM1a,MM1b,MM2a,MM2b:アライメントマーク、MF:平坦面、MT:凹部、OB1:軌跡、R:樹脂部、R1,R2:樹脂、WC,WT:基板、WTf:実装面(形成面)