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特許7309923フラッシュメモリデバイスにおけるセンス回路および検知動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】フラッシュメモリデバイスにおけるセンス回路および検知動作方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/26 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
G11C16/26
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021571431
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2019123977
(87)【国際公開番号】W WO2021114013
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケ・リャン
(72)【発明者】
【氏名】リャン・チアオ
(72)【発明者】
【氏名】チュンユアン・ホウ
【審査官】河合 弘明
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0305087(US,A1)
【文献】国際公開第2016/048589(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0086673(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0254089(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0009756(US,A1)
【文献】国際公開第2016/057201(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0099070(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106688043(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルのセンス回路を動作させる方法であって、前記センス回路が、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを備え、前記第1のスイッチの第1の端部が、システム電圧を出力するシステム電圧源に結合され、前記第1のスイッチの第2の端部が、センスノード、前記第3のスイッチの第1の端部、および昇圧ドライバに結合され、前記第2のスイッチの第2の端部が、前記第3のスイッチの第2の端部および前記第4のスイッチの第1の端部に結合される方法において、
前記昇圧ドライバを制御して第1の電圧を出力し、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、および前記第4のスイッチがオンにされる間前記第3のスイッチをオフにするステップと、
前記昇圧ドライバを制御して前記第1の電圧を出力し、前記第3のスイッチをオンにした後、前記第3のスイッチをオフにするステップと、
前記第3のスイッチがオフにされる間、前記昇圧ドライバを制御して、前記センスノードの電圧レベルが前記システム電圧よりも高くならないように前記第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力するステップと、
前記昇圧ドライバが前記第2の電圧を出力する間、前記第3のスイッチをオンにするステップと、
前記昇圧ドライバが前記第2の電圧を出力する間前記第3のスイッチをオンにした後、前記第3のスイッチをオフにし、前記昇圧ドライバを制御して前記第1の電圧と前記第2の電圧との間の中間電圧を出力するステップと、
前記昇圧ドライバが前記中間電圧を出力する間の前記メモリセルの状態を判定するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記センスノードの電圧レベルを所定の電圧と比較するステップと、
前記センスノードの前記電圧レベルが前記所定の電圧よりも高い場合、前記メモリセルがプログラム済み状態にあると判定するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センスノードの電圧レベルを所定の電圧と比較するステップと、
前記第1のスイッチの前記第2の端部の前記電圧レベルが前記所定の電圧よりも低い場合、前記メモリセルが消去済み状態にあると判定するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記センス回路は、前記第1のスイッチの前記第2の端部と前記昇圧ドライバとの間に形成された寄生キャパシタを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センス回路は、前記第4のスイッチの第2の端部とグランドとの間に形成された寄生キャパシタを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第4のスイッチの第2の端部は、メモリセルのストリングに結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のスイッチは、PMOS(P型金属酸化膜半導体)トランジスタである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチ、および前記第4のスイッチは、NMOS(N型金属酸化膜半導体)トランジスタである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
センス回路であって、
センスノードに結合され、前記センスノードの電圧レベルがシステム電圧よりも高くならないように昇圧電圧を供給するように構成された昇圧ドライバと、
第1のスイッチであって、
システム電圧源に結合された第1の端部と、
前記センスノードに結合された第2の端部とを備える第1のスイッチと、
第2のスイッチであって、
前記システム電圧源に結合された第1の端部と、
第2の端部とを備える第2のスイッチと、
第3のスイッチであって、
前記センスノードに結合された第1の端部と、
前記第2のスイッチの前記第2の端部に結合された第2の端部とを備える第3のスイッチと、
第4のスイッチであって、
前記第2のスイッチの前記第2の端部に結合された第1の端部と、
メモリセルのストリングに結合された第2の端部とを備える第4のスイッチとを備えるセンス回路。
【請求項10】
前記第1のスイッチの前記第2の端部と前記昇圧ドライバとの間に寄生キャパシタが形成される、請求項9に記載のセンス回路。
【請求項11】
前記第4のスイッチの第2の端部とグランドとの間に寄生キャパシタが形成される、請求項9に記載のセンス回路。
【請求項12】
前記第1のスイッチは、PMOS(P型金属酸化膜半導体)トランジスタである、請求項9に記載のセンス回路。
【請求項13】
前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチ、および前記第4のスイッチは、NMOS(N型金属酸化膜半導体)トランジスタである、請求項9に記載のセンス回路。
【請求項14】
メモリセルのセンス回路を動作させる方法であって、前記センス回路が、センスノードと、スイッチと、直列に結合された前記メモリセルと、前記センスノードに結合された昇圧ドライバとを備える方法において、
前記スイッチがオンにされる前から、前記昇圧ドライバが、前記センスノードに第1の電圧を出力するステップと、
前記スイッチをオンにするステップと、
前記スイッチをオンにした後オフにするステップと、
前記スイッチがオフにされた後、前記昇圧ドライバが、前記センスノードにおける電圧レベルがシステム電圧よりも高くならないように第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力するステップと、
前記昇圧ドライバが前記第2の電圧を出力する間前記スイッチをオンにするステップと、
前記昇圧ドライバが前記第2の電圧を出力する間前記スイッチをオンにした後、前記スイッチをオフにし、前記昇圧ドライバが、前記第1の電圧と前記第2の電圧との間の中間電圧を出力するステップと、
前記昇圧ドライバが前記中間電圧を出力する間の前記メモリセルの状態を判定するステップとを含む方法。
【請求項15】
複数のメモリセルと、
各々が前記複数のメモリセルの対応する列の一方の端部に結合された複数のビット線トランジスタと、
各々が前記複数のメモリセルの前記対応する列の別の端部に結合された複数のソース線トランジスタと、
前記複数のメモリセルの各列に結合されたセンス回路であって、
センスノードに結合され、前記センスノードの電圧レベルがシステム電圧よりも高くならないように昇圧電圧を供給するように構成された昇圧ドライバと、
第1のスイッチであって、
システム電圧源に結合された第1の端部と、
前記センスノードに結合された第2の端部とを備える第1のスイッチと、
第2のスイッチであって、
前記システム電圧源に結合された第1の端部と、
第2の端部とを備える第2のスイッチと、
第3のスイッチであって、
前記センスノードに結合された第1の端部と、
前記第2のスイッチの前記第2の端部に結合された第2の端部とを備える第3のスイッチと、
第4のスイッチであって、
前記第2のスイッチの前記第2の端部に結合された第1の端部と、
第2の端部とを備える第4のスイッチとを備えるセンス回路とを備えるメモリデバイス。
【請求項16】
前記メモリセルへのプログラミングパルスを実現するように構成された制御回路をさらに備える、請求項15に記載のメモリデバイス。
【請求項17】
前記メモリセルの各行は、ワード線に結合される、請求項15に記載のメモリデバイス。
【請求項18】
前記メモリセルの各列は、ビット線に結合される、請求項15に記載のメモリデバイス。
【請求項19】
前記各メモリセルは、浮遊ゲートトランジスタを備える、請求項15に記載のメモリデバイス。
【請求項20】
前記センス回路は、前記複数のメモリセルのうちのメモリセルの状態を検出するように構成される、請求項15に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリデバイスに関し、詳細には、フラッシュメモリデバイスにおけるセンス回路および検知動作に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリは、それに記憶されたデータを電力を印加せずに長期間にわたって保持することのできるメモリである。フラッシュメモリデバイスは、広範囲の用途のための一般的な種類の不揮発性メモリとして発展している。フラッシュメモリデバイスは、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルメディアプレーヤー、デジタルレコーダ、車両、無線デバイス、携帯電話、および取り外し可能メモリモジュールなどの電子システムに広く使用され、フラッシュメモリの用途は引き続き拡張している。
【0003】
フラッシュメモリは、NORフラッシュおよびNANDフラッシュと呼ばれる2つの基本アーキテクチャの一方を使用する。一般に、NANDフラッシュメモリデバイス用のメモリセルのアレイは、ストリングのメモリセルが互いにソースからドレインに直列に接続されるように配置される。フラッシュメモリは、メモリアレイを備え、メモリアレイは、多数の浮遊ゲートトランジスタを含む。NANDアーキテクチャアレイは、そのフラッシュメモリセルのアレイを従来のNORアレイと同様に行および列のマトリックスとして配置し、それによって、アレイの各フラッシュメモリセルのゲートが行ごとにワード線に結合される。しかし、NORとは異なり、各メモリセルがソース線および列ビット線に直接結合されることはない。その代わり、アレイのメモリセルは、一般には8個、16個、32個、またはそれよりも多くのストリングとして共に配置される。ストリング内のメモリセルは、共通ソース線と列ビット線との間で、互いにソースからドレインに直列に結合される。
【0004】
フラッシュメモリは、被選択メモリセルに対して、読み取り動作および検証動作などの検知動作の少なくとも一部を実行するためのセンス回路を必要とする。検知動作における昇圧方式は、より高い精度でより確実な検知を実現するために使用される。しかし、広く適用されている昇圧方式は、漏れ電流などの問題を有し、漏れ電流は誤検知を生じさせることがある。このような問題を解決するために新規の昇圧方式が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、メモリセルのセンス回路を動作させる方法を提供する。センス回路は、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを含む。第1のスイッチの第1の端部は、システム電圧を出力するシステム電圧源に結合される。第1のスイッチの第2の端部は、センスノード、第3のスイッチの第1の端部、および昇圧ドライバに結合される。第2のスイッチの第2の端部は、第3のスイッチの第2の端部および第4のスイッチの第1の端部に結合される。この方法は、昇圧ドライバを制御して第1の電圧を出力し、第1のスイッチ、第2のスイッチ、および第4のスイッチがオンにされる間第3のスイッチをオンにするステップと、昇圧ドライバを制御して第1の電力を出力し、第3のスイッチをオンにした後、第3のスイッチをオフにするステップと、第3のスイッチがオフにされる間、昇圧ドライバを制御して、センスノードの電圧レベルがシステム電圧よりも高くならないように第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力するステップと、昇圧ドライバが第2の電圧を出力する間、第3のスイッチをオンにするステップと、昇圧ドライバが高電圧を出力する間第3のスイッチをオンにした後、第3のスイッチをオフにし、昇圧ドライバを制御して第1の電圧と第2の電圧との間の中間電圧を出力するステップと、昇圧ドライバが中間電圧を出力する間のメモリセルの状態を判定するステップとを含む。
【0006】
一実施形態は、昇圧ドライバと、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを含むセンス回路を提供する。センスノードに結合された昇圧ドライバは、昇圧電圧を供給するように構成される。第1のスイッチは、システム電圧源に結合された第1の端部と、センスノードに結合された第2の端部とを含む。第2のスイッチは、システム電圧源に結合された第1の端部と、第2の端部とを含む。第3のスイッチは、センスノードに結合された第1の端部と、第2のスイッチの第2の端部に結合された第2の端部とを含む。第4のスイッチは、第2のスイッチの第2の端部に結合された第1の端部と、メモリセルのストリングに結合された第2の端部とを含む。
【0007】
一実施形態は、メモリセルのセンス回路を動作させる方法を提供する。センス回路は、センスノードと、スイッチと、直列に結合されたメモリセルと、センスノードに結合された昇圧ドライバとを含む。この方法は、昇圧ドライバを制御して第1の電圧を出力し、第1のスイッチ、第2のスイッチ、および第4のスイッチがオンにされる間第3のスイッチをオンにするステップと、昇圧ドライバを制御して第1の電圧を出力し、第3のスイッチをオンにした後、第3のスイッチをオフにするステップと、第3のスイッチがオフにされる間、昇圧ドライバを制御して、センスノードの電圧レベルがシステム電圧よりも高くならないように第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力するステップと、昇圧ドライバが第2の電圧を出力する間、第3のスイッチをオンにするステップと、昇圧ドライバが高電圧を出力する間第3のスイッチをオンにした後、第3のスイッチをオフにし、昇圧ドライバを制御して、第1の電圧と第2の電圧との間の中間電圧を出力するステップと、昇圧ドライバが中間電圧を出力する間のメモリセルの状態を判定するステップとを含む。
【0008】
複数のメモリセルと、各々が複数のメモリセルの対応する列の一方の端部に結合された複数のビット線トランジスタと、
各々が複数のメモリセルの対応する列の別の端部に結合された複数のソース線トランジスタと、
複数のメモリセルの各列に結合されたセンス回路とを備えるメモリデバイスを提供する。センス回路は、昇圧ドライバと、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを含む。センスノードに結合された昇圧ドライバは、昇圧電圧を供給するように構成される。第1のスイッチは、システム電圧源に結合された第1の端部と、センスノードに結合された第2の端部とを含む。第2のスイッチは、システム電圧源に結合された第1の端部と、第2の端部とを含む。第3のスイッチは、センスノードに結合された第1の端部と、第2のスイッチの第2の端部に結合された第2の端部とを含む。第4のスイッチは、第2のスイッチの第2の端部に結合された第1の端部と、第2の端部とを含む。
【0009】
本発明のこれらの目的および他の目的は、当業者には、様々な図および図面に示された好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を読んだ後で明らかになることが間違いない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態のフラッシュメモリデバイスの図である。
図2】2ビットMLCメモリセルのしきい値電圧範囲の例の図である。
図3】本発明の一実施形態における検知動作のために実装されるセンス回路の図である。
図4】本発明の一実施形態の検知動作のための昇圧方式の波形図である。
図5】本発明の一実施形態の検知動作のための昇圧方式の波形図である。
図6】本発明の一実施形態の検知動作の方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、特定の実施形態の一部を形成する添付の図面を参照する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態のフラッシュメモリデバイス100を示す。不揮発性メモリデバイス100は、複数のメモリセルC(1,1)~C(M,N)を含み、ここでMおよびNは正の整数である。各メモリセルは、浮遊ゲートトランジスタを含む。本発明のいくつかの実施形態では、不揮発性メモリデバイス100は、NAND型フラッシュメモリとすることができる。N個のメモリセルを同じワード線に結合することができ、M個のメモリセルを同じビット線に結合することができる。たとえば、メモリセルC(1,1)~C(1,N)の行をワード線WL1に結合することができ、メモリセルC(M,1)~C(M,N)の行をワード線WLMに結合することができる。メモリセルC(1,1)~C(M,1)の列をビット線BL1に結合することができ、メモリセルC(M,1)~C(M,N)の列をビット線BLNに結合することができる。メモリ列の一方の端子は、そのメモリ列に対応するビット線トランジスタTbを介してビット線に結合され、他方の端子は、ソース線トランジスタTsを介してソース線に結合される。ビット線BL1~BLNは、被選択ビット線BLn上の電圧または電流を検知することによって目標メモリセルの状態を検出するセンス回路(たとえば、センス増幅器)300に結合され、ここでnは1からNの間(両端を含む)の正の整数である。フラッシュメモリデバイス100は、メモリセルアレイへのプログラミングパルスを実現するための制御回路をさらに含む。
【0013】
メモリセルC(1,1)~C(M,N)は、シングルレベルメモリセル(SLC)またはマルチレベルメモリセル(MLC)として構成することができる。メモリセルに記憶された特定の範囲のしきい値電圧を含むメモリセルにデータ状態が割り当てられる。SLCは、1つのメモリセル内の単一の2進数のデータを許容し、一方、MLCは、しきい値電圧の範囲および緊密性に応じて2つ以上の2進数を1つのメモリセルに記憶するのを可能にする。たとえば、1ビットは、2つのしきい値電圧範囲によって表されてもよく、2ビットは、4つのしきい値電圧範囲によって表されてもよく、3ビットは、8つのしきい値電圧範囲によって表されてもよく、以下同様である。SLCメモリは2つのしきい値電圧範囲を使用して、0または1を表す単一ビットのデータを記憶する(2つの範囲)。MLCメモリは、2ビットのデータ(4つの範囲)、3ビットのデータ(8つの範囲)、またはそれよりも多くのデータを記憶するように構成することができる。
【0014】
図2は、2ビットMLCメモリセルのしきい値電圧範囲の一例の図である。メモリセルは、4つの異なる範囲S0、S1、S2、およびS3のうちの1つの範囲内であるしきい値電圧にプログラムされてもよく、各範囲は、2ビットのパターンに対応するデータ状態を表す。重複を防止するために各範囲S0~S3間にマージンが維持される。たとえば、メモリセルの電圧が第1のしきい値電圧範囲S0内である場合、セルは「11」状態を記憶し、この状態は通常、消去済み状態を表す。メモリセルの電圧が第2のしきい値電圧範囲S1内である場合、セルは「10」状態を記憶する。メモリセルの電圧が第3のしきい値電圧範囲S2内である場合、セルは「00」状態を記憶する。メモリセルの電圧が第4のしきい値電圧範囲S3内である場合、セルは「01」状態を記憶する。
【0015】
フラッシュメモリセルは、プログラミングサイクルによってプログラムされる。あるブロックのメモリセルがまず消去され、次いで選択的なセルがプログラムされる。NANDアレイでは、すべてのワード線をグランド電圧に設定し、セルのブロックが形成された基板に消去電圧を印加することによって、セルのブロックが消去される。これによって、トランジスタの浮遊ゲートまたは他の電荷捕獲構成に捕獲された電荷が除去され、メモリセルの得られるしきい値電圧がS0の範囲内になる。S0は消去済み状態を表すことができる。
【0016】
フラッシュプログラミングは、図1におけるワード線、たとえばワード線WLmに1つまたは複数のプログラミングパルスを印加することを含む。ここでmは1からMの間の整数である。これによって、各メモリセルC(m,1)~C(m,N)のゲートが制御される。たとえば、プログラミングパルスは、15Vから開始し、その後のプログラミングパルスごとに増大してもよい。このプログラミング方法は、広く知られているインクリメンタルステップパルスプログラミング(ISPP)である。ワード線WLmにプログラミングパルスが印加される間、これらのメモリセルのチャネルを有する基板にも電圧が印加され、チャネルから被選択メモリセルの浮遊ゲートまで電荷が移動する。直接注入またはファウラー-ノードハイムトンネル現象によってチャネルからの電子を浮遊ゲートに注入することができる。したがって、プログラム済み状態では、しきい値電圧は通常、ゼロよりも大きい。
【0017】
図1ではまた、各非選択ワード線、たとえばワード線WLmを除くワード線WL1~WLMにパス電圧が印加される。印加されたパス電圧は、それぞれに異なるワード線上で異なってもよい。被選択ワード線WLmに隣接するワード線は、パス電圧が9Vであってもよく、他のワード線WLm-1は、パス電圧が8Vであってもよい。パス電圧は常に、メモリセルのプログラミングを開始することがない程度に低い。また、プログラミング用に選択されたメモリセルを有するメモリセルストリングに結合されていないビット線に抑制電圧が印加される。プログラミング動作の間、プログラミングのために各ビット線を交互にアクティブ化または非アクティブ化してもよい。たとえば、BL2、BL4、…などの偶数ビット線をこれらのビット線に結合されたメモリセルをプログラミングするようにアクティブ化することができ、一方、BL1、BL3、…などの奇数ビット線をこれらのビット線に結合されたメモリセルをプログラミングしないように非アクティブ化する。次いで、その後のプログラミング動作は、偶数ビット線を非アクティブ化し、奇数ビット線をアクティブ化することができる。
【0018】
プログラミングパルス間に、検知動作(たとえば、検証動作)が実行され、被選択メモリセルが検査されて、それらのメモリセルがその所期のプログラミング状態に達したかどうかを判定する。たとえば、メモリセルC(m,n)がその所期のプログラミング状態に達した場合、メモリセルC(m,n)は、メモリセルC(m,n)に結合されたビット線BLnに抑制電圧によってバイアスを加えることによって、抑制され、それ以上プログラミングされない。検知動作の後、まだプログラミングを完了していないメモリセルがある場合には追加のプログラミングパルスが印加される。プログラミングパルスを印加し、その後、検知動作を実行するこのプロセスは、すべての被選択メモリセルがその所期のプログラム済み状態に達するまで継続する。最大数のプログラミングパルスが印加されており、かついくつかの被選択メモリセルがまだプログラミングを完了していないとき、それらのメモリセルは、欠陥のあるメモリセルと定められる。
【0019】
センス回路は、フラッシュメモリデバイスでは被選択メモリセルに対して検知動作(たとえば、読み取りおよび/または検証)を実行するために使用される。図3は、本発明の一実施形態における検知動作のために実装されたセンス回路300の図を示す。センス回路300は、第1のスイッチT1と、第2のスイッチT2と、第3のスイッチT3と、第4のスイッチT4とを備える。第1のスイッチT1の第2の端部は、第3のスイッチT3の第1の端部に結合され、昇圧ドライバVboostは、昇圧電圧を供給するように構成される。この結合ノードをセンスノードSOと呼ぶ。第2のスイッチT2の第2の端部は、第3のスイッチT3の第2の端部および第4のスイッチT4の第1の端部に結合される。第1のスイッチT1の第1の端部および第2のスイッチT2の第1の端部にはシステム電圧VDDが与えられる。第4のスイッチT4の第2の端部は、ビット線BLnおよびメモリセルストリング310に結合される。センスノードSOと昇圧ドライバVboostとの間に結合されたキャパシタCSOは、センスノードSOにおいて形成された寄生キャパシタである。ビット線BLnとグランドとの間に結合されたキャパシタCbは、ビット線BLnおよびメモリセルストリング310によって形成された寄生キャパシタである。第1のスイッチT1は、PMOS(P型金属酸化膜半導体)トランジスタを用いて実装することができる。第2のスイッチT2、第3のスイッチT3、および第4のスイッチT4は、NMOS(N型金属酸化膜半導体)トランジスタを用いて実装することができる。
【0020】
検知動作のプリチャージフェーズの間、信号PREをある電圧レベルに設定することによって第1のスイッチT1をオンにし、したがって、センスノードSOの電圧レベルをシステム電圧VDDまで上昇させることによって、センスノードSOにプリチャージ電流が注入される。信号Vblclampが印加されて第2のスイッチT2をオンにし、別の信号Vblbiasが印加されて第4のスイッチT4をオンにする。信号Vsoblkが非アクティブ化されることによって示されているように第3のスイッチT3がオフにされる。
【0021】
プリチャージフェーズの後、被選択メモリセルに結合されたワード線にパス電圧を与えることができる。パス電圧は、そのようなワード線に結合された非選択メモリセルをその状態にかかわらずパスモードで動作させる。次いで、被選択メモリセルC(m,n)に結合されたワード線WLmに検知電圧によってバイアスを加えてメモリセルC(m,n)のデータ状態を決定する。メモリセルC(m,n)のしきい値電圧が検知電圧よりも高い場合、メモリセルC(m,n)はアクティブ化されず、ビット線BLnはプリチャージ電圧のままになる。メモリセルC(m,n)のしきい値電圧が検知電圧よりも低い場合、メモリセルC(m,n)はアクティブ化され、ビット線BLnは、メモリセルストリング310を通して放電させられる。センスノードSOにおける電圧もプルダウンされる。次いで、センス回路300は、ビット線BLnおよびセンスノードSOが検知動作の間に放電させられたかどうかを検出し、メモリセルC(m,n)のデータ状態を判定する。
【0022】
センス回路300は、センスノードSOにおいて確立された検知トリガレベルを有するように構成される。検知トリガレベルは、センスノードSOにおける特定の電圧であることができる。検知動作の終了時に、センスノードSOにおける電圧が検知トリガレベルよりも低いときは、メモリセルC(m,n)は消去済み状態にあると判定することができる。センスノードSOにおける電圧が検知トリガレベルよりも高いときは、メモリセルC(m,n)はプログラム済み状態にあると判定することができる。プログラム済み状態と消去済み状態との間の検知マージンを増大させる1つの方法は、昇圧方式を適用することである。一般に、昇圧ドライバVboostは、検知フェーズの開始時に高電圧を出力する。これによって、センスノードSOの電圧がシステム電圧VDDのレベルを超える。しかし、これによって、センス回路300のスイッチT1における漏れ電流が生じることがあり、場合によっては、メモリセルC(m,n)のデータ状態の誤指示が生じることがある。したがって、この問題を解決するための新規の方法が必要である。
【0023】
上述の問題を解決するために検知動作のための昇圧方式を提案する。図4および図5は、本発明の一実施形態における検知動作のための昇圧方式の波形図である。図4および図5に示すように、プリチャージフェーズの間、第1のスイッチT1がオンにされ、センスノードSOがシステム電圧VDDまで充電される。昇圧ドライバVboostは、グランドレベルに設定され、第3のスイッチT3を制御するための信号Vsoblkは、第3のスイッチT3がオンであることを示す「オン」レベルである。図示されていないが、第2のスイッチT2を制御するための信号Vblclampと第4のスイッチT4を制御するための信号Vblbiasはどちらも、検知動作全体にわたってアクティブ化される。
【0024】
以下の説明では図3図4、および図5を参照する。検知フェーズは、時間t1から開始し、センスノードSOはメモリセルストリング310を通して放電を開始する。ある持続時間tの後、時間t2において、信号Vsoblkが「オフ」レベルに設定されることによって示されるように第3のスイッチT3がオフにされる。センスノードSOの放電は、放電電流経路が切断されたときに停止する。信号Vsoblkがオフにされた後、時間t3において、昇圧ドライバVboostが高電圧vboost1を出力してセンスノードSOの充電を開始する。センスノードSOにおける電圧があるレベルに達すると、信号Vsoblkが再び「オン」レベルに設定されて第3のスイッチT3をオンにし、センスノードSOが再び放電を開始する。持続時間tbの後、時間t5において、昇圧ドライバVboostがその出力電圧を電圧vboost2だけ低下させ、昇圧ドライバVboostの出力電圧をvboost1-vboost2になるように設定する。センスノードSOにおける電圧は引き続き、定常状態レベルまで低下する。この時点で、センスノードにおける電圧が所定の検知電圧Vtriggerと比較される。図4に示すようにセンスノードにおける電圧が検知電圧Vtriggerよりも高い場合、被選択メモリセルC(m,n)はプログラム済み状態にあると判定される。図5に示すようにセンスノードにおける電圧が電圧Vtriggerよりも低い場合、被選択メモリセルC(m,n)は消去済み状態にあると判定される。
【0025】
代替的に、放電ストリング電流Istringの大きさを目標検知電流Isenseと比較することによって 被選択メモリセルC(m,n)のデータ状態を判定することができる。ストリング電流Istringの大きさが検知電流Isenseよりも小さい場合、被選択メモリセルC(m,n)は、プログラム済み状態にあると判定する。ストリング電流Istringの大きさが検知電流Isenseよりも大きい場合、被選択メモリセルC(m,n)は、消去済み状態にあると判定する。
【0026】
図4および図5における持続時間tおよびtは次式のように定義することができる。
sense x t = CSO x (vboost1 - α)
sense x t = CSO x (VDD - α - vboost2)
【0027】
senseは目標検知電流である。CSOは、センスノードSOにおける特性キャパシタンスである。αは、検知ばらつきについてのマージンとしての所定の定数である。
【0028】
図6は、本発明の一実施形態の検知動作の方法600である。方法600は、以下のステップを含む。
S610: 昇圧ドライバVboostを制御して第1の電圧を出力し、第1のスイッチT1、第2のスイッチT2、および第4のスイッチT4がオンにされる間第3のスイッチT3をオンにする。
S620: 昇圧ドライバVboostを制御して第1の電圧を出力し、第3のスイッチT3をオンにした後、第3のスイッチT3をオフにする。
S630: 第3のスイッチT3がオフにされる間、昇圧ドライバVboostを制御して、センスノードSOにおける電圧レベルがシステム電圧VDDよりも高くならないように第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力する。
S640: 昇圧ドライバが高電圧を出力する間、第3のスイッチT3をオンにする。
S650: 昇圧ドライバVboostが第2の電圧を出力する間第3のスイッチT3をオンにした後、第3のスイッチT3をオフにし、昇圧ドライバVboostを制御して第2の電圧と第1の電圧との間の中間電圧を出力する。
S660: センスノードSOにおける電圧レベルを検知電圧Vtriggerと比較し、センスノードSOの電圧レベルが検知電圧Vtriggerよりも高い場合には、ステップS670に進み、そうでない場合はステップ680に進む。
S670: 被選択メモリセルはプログラム済み状態にあると判定する。
S680: 被選択メモリセルは消去済み状態にあると判定する。
【0029】
要するに、本発明のセンス回路および検知動作方法は、センスノードにおける電圧レベルがシステム電圧を超えないように新規の昇圧方式を適用する。本発明のセンス回路および検知動作方法は、センス回路における漏れ電流を効果的に無くすことができ、したがって、より厳密な検知を実現して、被選択メモリセルのデータ状態をより高い精度で判定する。
【0030】
当業者には、本発明の教示を保持しつつデバイスおよび方法に多数の修正および変更を施してもよいことが容易に理解されよう。したがって、上記の開示は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0031】
100 フラッシュメモリデバイス、不揮発性メモリデバイス
300 センス回路
310 メモリセルストリング
BL1~BLN ビット線
C(1,1)~C(M,N) メモリセル
、CSO キャパシタ
sense 目標検知電流
string 放電ストリング電流
S0~S3 範囲
SO センスノード
T1 第1のスイッチ
T2 第2のスイッチ
T3 第3のスイッチ
T4 第4のスイッチ
Tb ビット線トランジスタ
Ts ソース線トランジスタ
Vblbias、Vblclamp、Vsoblk 信号
Vboost 昇圧ドライバ
Vtrigger 検知電圧
VDD システム電圧
WL1~WLM ワード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6