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特許7310132縮合環化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用材料
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  • 特許-縮合環化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】縮合環化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 15/20 20060101AFI20230711BHJP
   C07C 211/54 20060101ALI20230711BHJP
   C07C 211/61 20060101ALI20230711BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20230711BHJP
   C07D 213/16 20060101ALI20230711BHJP
   C07F 5/04 20060101ALI20230711BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20230711BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230711BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20230711BHJP
【FI】
C07C15/20 CSP
C07C211/54
C07C211/61
C07D209/86
C07D213/16
C07F5/04 C
C07F7/08 C
H10K50/10
H10K50/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018241334
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2019116472
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2017250091
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森中 裕太
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1937277(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0326133(US,A1)
【文献】特開2008-098357(JP,A)
【文献】HONJO,Y. et al.,Room Temperature Decarboxylative and Oxidative [2+2+2] Annulation of Benzoic Acids with Alkynes Cata,Chemistry - A European Journal,2017年09月25日,Vol.24, No.2,p.317-321,ISSN 0947-6539
【文献】MATSUOKA,W. et al.,Rapid Access to Nanographenes and Fused Heteroaromatics by Palladium-Catalyzed Annulative π-Extensi,Angewandte Chemie, International Edition,2017年08月11日,Vol.56, No.40,p.12224-12228,ISSN 1433-7851
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 15/20
C07F 5/04
C07F 7/08
C07C 211/61
C07C 211/54
H10K 50/00
H10K 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される縮合環化合物。
【化1】
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
重水素原子、
フッ素原子、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
式(2)もしくは(2’)で表される基を表し;
【化2】
式中、
~Rは、それぞれ独立して、
水素原子、重水素原子;
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基;または、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し;
Yは、それぞれ独立して、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、もしくは、
単結合を表し;
nは、1または2を表し;
Yが単結合の場合、nは1であり;
Yが単結合ではない場合、nは1または2であり;
nが2の場合、複数のR~Rは、同一であっても異なっていてもよい;
k1は、1以上4以下の整数であり;
~k5は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k5の少なくともいずれか1つは、1以上の整数であり;
k1~k5が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【請求項2】
~Aが、
置換基を有する芳香族炭化水素基、または、置換基を有するヘテロ芳香族基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、または置換基を有していてもよいボロニル基であり、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、または、置換基を有していてもよいシリル基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、または、単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基である、請求項1に記載の縮合環化合物。
【請求項3】
~Rが、置換基を有する芳香族炭化水素基、または、置換基を有するヘテロ芳香族基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、または、ジベンゾフラニル基である、請求項1または2に記載の縮合環化合物。
【請求項4】
k1が1または2であり、且つ、k2~k5が0である、請求項1~のいずれか1項に記載の縮合環化合物。
【請求項5】
式(1A)または式(1B)で表される、請求項1~のいずれか1項に記載の縮合環化合物:
【化3】
【化4】
式(1A)または式(1B)中、Aの定義は、式(1)中のAの定義と同義である。
【請求項6】
が、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基がシアノ基、フッ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基、カルバゾリル基、または、これらの基がシアノ基、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;
4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル基、4,6-ビス(4-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ビス(3-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、フッ素原子、ジフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルシリル基、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、メチル基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニリル)アミノ基、またはN-フェニル-3-ビフェニリルアミノ基である、請求項1~のいずれか1項に記載の縮合環化合物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の縮合環化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縮合環化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として、ジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン化合物が使用されることがあるが、報告例は少なく、その研究は十分になされていない。
例えば特許文献1は、無置換のジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェンを開示している。また、特許文献1は、該無置換のジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェンが、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光色を変化させる材料として用いられることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許第100508244号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、当該無置換のジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン以外の誘導体の性能および他の用途に関して、何ら具体的に開示されていない。
上記ジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェンおよびその誘導体の化合物について、本発明者等はさらなる検討を重ねた。その結果、特許文献1にかかる無置換のジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェンは、電荷輸送能の向上や、長期に亘る使用における電荷輸送能の劣化の抑制が求められることがわかった。
【0005】
そこで、本開示の一態様は、長期に亘り優れた電荷輸送能を発揮する有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に資する縮合環化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、式(1)で表される:
【0007】
【化1】
【0008】
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
重水素原子、
フッ素原子、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
式(2)もしくは(2’)で表される基を表し;
【0009】
【化2】
【0010】
式中、
~Rは、それぞれ独立して、
水素原子、重水素原子;
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基;または、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し;
Yは、それぞれ独立して、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、もしくは、
単結合を表し;
nは、1または2を表し;
Yが単結合の場合、nは1であり;
Yが単結合ではない場合、nは1または2であり;
nが2の場合、複数のR~Rは、同一であっても異なっていてもよい;
k1~k5は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k5の少なくともいずれか1つは、1以上の整数であり;
k1~k5が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
また、本開示の他の態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、上記縮合環化合物を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、長期に亘り優れた電荷輸送能を発揮する有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に資する縮合環化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。
図2】本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の他の積層構成の例(素子実施例-1の構成)を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一態様にかかる縮合環化合物をさらに詳細に説明する。
<ジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン化合物(縮合環化合物)>
本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、式(1)で表される:
【0014】
【化3】
【0015】
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
重水素原子、
フッ素原子、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基、
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
式(2)もしくは(2’)で表される基を表し;
【0016】
【化4】
【0017】
式中、
~Rは、それぞれ独立して、
水素原子、重水素原子;
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基;または、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し;
Yは、それぞれ独立して、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、もしくは、
単結合を表し;
nは、1または2を表し;
Yが単結合の場合、nは1であり;
Yが単結合ではない場合、nは1または2であり;
nが2の場合、複数のR~Rは、同一であっても異なっていてもよい;
k1~k5は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k5の少なくともいずれか1つは、1以上の整数であり;
k1~k5が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
式(1)における各記号の定義は、それぞれ、以下のとおりである。
【0019】
<A~Aについて>
~Aは、それぞれ独立して、
(a-1)重水素原子;
(a-2)フッ素原子;
(a-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基;
(a-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基;
(a-5)置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基;
(a-6)置換基を有していてもよいシリル基;
(a-7)炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基;
(a-8)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基;
(a-9)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基;または、
(a-10)式(2)もしくは(2’)で表される基;
を表す。
~Aが置換基を有する場合、A~Aは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
(a-3):炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基
炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、およびジベンゾ[g,p]クリセニル基、等が挙げられる。また、炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基が、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0021】
なお、(a-3)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。該置換基は、それぞれ独立して、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0022】
ホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、または、単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。具体的には、例えば、ジフェニルホスフィンオキシド等、2つのアリール基で置換された基が挙げられる。
【0023】
シリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基は、炭素数6~18の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基、または、単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基を有するシリル基であることが好ましい。具体的には、例えば、トリフェニルシリル基等、3つのアリール基で置換された基が挙げられる。
【0024】
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、例えば、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基等が挙げられる。
【0025】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0026】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
(a-4):炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基
炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基としては、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を芳香環上に含有する炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基が挙げられる。該ヘテロ芳香族基としては、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジン基、チアントレニル基等が挙げられる。
【0028】
なお、(a-4)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、それぞれ、(a-3)において前述したものと同じものが挙げられる。
【0029】
(a-5):ホスフィンオキシド基
ホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、例えば、前述した(a-3)で例示したホスフィンオキシド基と同じものが挙げられる。
【0030】
(a-6):シリル基
シリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、例えば、前述した(a-3)で例示したシリル基と同じものが挙げられる。
【0031】
(a-7):炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、無置換のボロニル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基で置換されたボロニル基が挙げられる。炭素数2~10の飽和炭化水素基で置換されたボロニル基としては、例えば、前述した(a-3)で例示したボロニル基と同じものが挙げられる。
【0032】
(a-8):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0033】
(a-9):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0034】
(a-10):式(2)または(2’)で表される基
【0035】
【化5】
【0036】
式(2)および(2’)において、Y、R~R、nの定義はつぎのとおりである。
【0037】
<<R~Rについて>>
~Rは、それぞれ独立して、(r-1)水素原子;(r-2)重水素原子;(r-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基;(r-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基;または、(r-5)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基;を表す。
~Rが置換基を有する場合、R~Rは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0038】
(r-3):炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基
炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基の定義は、その置換基の定義を除き、上記(a-3)において記載した炭素数6~30の単環、連結、もしくは縮環の芳香族炭化水素基の定義と同じである。
【0039】
なお、(r-3)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、N,N-ジフェニルアミノ基、またはN,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基であることが好ましい。
上記炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
上記炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0040】
(r-4):炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基
炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基の定義は、その置換基の定義を除き、上記(a-4)において記載した炭素数3~36の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基の定義と同じである。また、炭素数3~20の単環、連結、もしくは縮環のヘテロ芳香族基であることがより好ましい。
【0041】
なお、(r-4)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、N,N-ジフェニルアミノ基、またはN,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基であることが好ましい。これらの置換基は、例えば、前述した(r-3)の置換基と同じ定義である。
【0042】
(r-5):炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基の定義は、上記(a-3)において示した定義と同じである。
【0043】
<<Yについて>>
Yは、メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基;メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基;メチル基、もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基;または単結合を表す。
上記フェニレン基としては、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等が挙げられる。
上記ナフチレン基としては、例えば、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,8-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基等が挙げられる。
上記ビフェニレン基としては、例えば、ビフェニル-4,4’-ジイル基、ビフェニル-4,3’-ジイル基、ビフェニル-4,2’-ジイル基、ビフェニル-3,3’-ジイル基、ビフェニル-3,2’-ジイル基、ビフェニル-2,2’-ジイル基等が挙げられる。
【0044】
<<nについて>>
nは、1または2の整数を表す。Yが単結合の場合、nは1である。Yが単結合ではない場合、nは1または2である。
なお、nが2である場合、RおよびRは2つずつ存在するが、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0045】
<k1~k5について>
k1~k5は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である。ただし、k1~k5の少なくともいずれか1つは、1以上の整数である。
なお、k1~k5が2以上の整数である場合、A~Aは複数存在するが、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0046】
k1は、有機エレクトロルミネッセンス素子における低い駆動電圧を実現する観点から、0、1、または2であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
k2~k5は、有機エレクトロルミネッセンス素子における高い発光効率を実現する観点から、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式(1)で表される縮合環化合物については、有機エレクトロルミネッセンス素子における低い駆動電圧を実現する観点から、k1が1または2、且つk2~k5が0のものが好ましい。
【0047】
1~Aの具体例としては、以下に示す(1)~(24)の基等が好ましい例として挙げられる。
【0048】
(1):メチル基、エチル基、フッ素原子、ニトロ基、重水素原子
【0049】
(2):フェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基
【0050】
(3):4-ビフェニル基、3-ビフェニル基、2-ビフェニル基、2-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,5’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4-フェニルビフェニル基、2-フェニルビフェニル基
【0051】
(4):1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、4-(1-ナフチル)フェニル基、4-(2-ナフチル)フェニル基、3-(1-ナフチル)フェニル基、3-(2-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(1-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(2-ナフチル)フェニル基、4-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-フェニルナフタレン-1-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-フェニルナフタレン-2-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基
【0052】
(5):2-フルオレニル基、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9-フェナントリル基、2-フェナントリル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-2-イル基、3-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基
【0053】
(6):1-イミダゾリル基、2-フェニル-1-イミダゾリル基、2-フェニル-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2,3,4-トリフェニル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジフェニル-1-イミダゾリル基、1-メチル-2-イミダゾリル基、1-エチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジビフェニリル-2-イミダゾリル基
【0054】
(7):1-メチル-3-ピラゾリル基、1-フェニル-3-ピラゾリル基、1-メチル-4-ピラゾリル基、1-フェニル-4-ピラゾリル基、1-メチル-5-ピラゾリル基、1-フェニル-5-ピラゾリル基
【0055】
(8):2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基
【0056】
(9):2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基
【0057】
(10):2-ピリジル基、3-メチル-2-ピリジル基、4-メチル-2-ピリジル基、5-メチル-2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-メチル-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジル基、2,2’-ビピリジン-3-イル基、2,2’-ビピリジン-4-イル基、2,2’-ビピリジン-5-イル基、2,3’-ビピリジン-3-イル基、2,3’-ビピリジン-4-イル基、2,3’-ビピリジン-5-イル基、5-ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基
【0058】
(11):1-ベンゾイミダゾリル基、2-メチル-1-ベンゾイミダゾリル基、2-フェニル-1-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-3-インダゾリル基、1-フェニル-3-インダゾリル基
【0059】
(12):2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、3-ベンゾイソチアゾリル基、4-ベンゾイソチアゾリル基、5-ベンゾイソチアゾリル基、6-ベンゾイソチアゾリル基、7-ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル基
【0060】
(13):2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、3-ベンゾイソオキサゾリル基、4-ベンゾイソオキサゾリル基、5-ベンゾイソオキサゾリル基、6-ベンゾイソオキサゾリル基、7-ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-4-イル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-5-イル基
【0061】
(14):2-キノリル基、3-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、1-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、2-キノキサリル基、3-フェニル-2-キノキサリル基、6-キノキサリル基、2,3-ジメチル-6-キノキサリル基、2,3-ジフェニル-6-キノキサリル基、2-キナゾリル基、4-キナゾリル基、2-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基
【0062】
(15):2-チエニル基、3-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基
【0063】
(16):2-フラニル基、3-フラニル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基
【0064】
(17):9-メチルカルバゾール-2-イル基、9-メチルカルバゾール-3-イル基、9-メチルカルバゾール-4-イル基、9-フェニルカルバゾール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-3-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-2-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-3-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-4-イル基
【0065】
(18):2-チアントリル基、10-フェニルフェノチアジン-3-イル基、10-フェニルフェノチアジン-2-イル基、10-フェニルフェノキサジン-3-イル基、10-フェニルフェノキサジン-2-イル基
【0066】
(19):1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基
【0067】
(20):4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、3-(2-ピリジル)フェニル基、3-(3-ピリジル)フェニル基、3-(4-ピリジル)フェニル基
【0068】
(21):4-(2-フェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-フェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2,3,4-トリフェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチル-4,5-ジフェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、3-(1-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基
【0069】
(22):4-(3,5-ジフェニルトリアジン-1-イル)フェニル基、4-(2-チエニル)フェニル基、4-(2-フラニル)フェニル基、5-フェニルチオフェン-2-イル基、5-フェニルフラン-2-イル基、4-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、4-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、5-フェニルピリジン-2-イル基、4-フェニルピリジン-2-イル基、5-フェニルピリジン-3-イル基、4-(9-カルバゾリル)フェニル基、3-(9-カルバゾリル)フェニル基
【0070】
(23):2-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、2-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基
【0071】
(24):N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基、N,N-ビス(3-ビフェニルイル)-アミノ基、N-フェニル-4-ビフェニルアミノ基、N-フェニル-3-ビフェニルアミノ基、N-(4-ビフェニル)-4-p-ターフェニルアミノ基、N-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-4-ビフェニルアミノ基、N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-N,N-ジフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、4-トリフェニルアミノ基、3-トリフェニルアミノ基、3-4’,4’’-ジメチルトリフェニルアミノ基、3-N,N-ビス(3,4-ジメチルフェニル)アミノフェニル基、4-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、N,N,N,N-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、4-(フェニルアミノ)トリフェニルアミノ基
【0072】
式(1)で表される縮合環化合物において、A~Aは、原料入手の容易性の点で、それぞれ独立して、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基、カルバゾリル基、または、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;
4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル基、4,6-ビス(4-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ビス(3-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、ニトロ基、フッ素原子、ジフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルシリル基、3-テトラフェニルシリル基、4-テトラフェニルシリル基、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、メチル基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニリル)アミノ基、N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-N,N-ジフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、N-フェニル-3-ビフェニリルアミノ基、4-トリフェニルアミノ基、3-トリフェニルアミノ基、4-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-4’,4’’-ジメチルトリフェニルアミノ基、N,N,N,N-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、または4-(フェニルアミノ)トリフェニルアミノ基であることが好ましい。
【0073】
<好ましい縮合環化合物の具体例>
以下に、式(1)で表される縮合環化合物について、好ましい具体例を示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
表A-1~A-9、および表B―1は、下記に示された式(1A)、または(1B)の骨格を有し、かつ、該骨格が有する置換基Aが、表A-1~A-9、または表B-1に示された基である、(1A-1)~(1A-335)、および(1B-1)~(1B-35)の化合物を示している。
表A-1~A-9においてmは1~335の任意の数字を表す。表B-1においてmは1~35の任意の数字を表す。従って、例えば、(1A-2)という化合物の場合、(1A)の骨格を有し、該骨格が有する置換基AがF原子である(1A-2)の化合物を示している。
【0074】
【化6】
【0075】
【表A-1】
【0076】
【表A-2】
【0077】
【表A-3】
【0078】
【表A-4】
【0079】
【表A-5】
【0080】
【表A-6】
【0081】
【表A-7】
【0082】
【表A-8】
【0083】
【表A-9】
【0084】
【化7】
【0085】
【表B-1】
【0086】
また、表C-1に示される化合物(1C-1)~(1C-20)も例示できる。
【0087】
【表C-1】
【0088】
式(1)で表される縮合環化合物は、ハロゲン原子(Cl、Br、I)で置換されたジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン化合物を原料として用い、公知の方法(カップリング反応等)によって合成することができる。
【0089】
<有機エレクトロルミネッセンス素子用材料>
式(1)で表される縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として使用することができる。従って、本開示の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。なお、式(1)で表される縮合環化合物は、電荷輸送特性や素子寿命の点で、高純度であることが好ましい。具体的には、ハロゲン原子や遷移金属元素による不純物や、製造原料や副生成物等の不純物が極力少ないものが好ましい。
【0090】
式(1)で表される縮合環化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、正孔輸送性の層、発光層、または電子輸送性の層を形成する材料として用いることができる。これらの中でも、発光層または電子輸送性の層の材料として用いられることが好ましく、電子輸送層の材料として用いられることが特に好ましい。
ここで、正孔輸送性の層とは、陽極と発光層との間の正孔輸送性を有する各層であり、具体的には、正孔注入層、正孔輸送層等が挙げられる。電子輸送性の層とは、陰極と発光層との間の電子輸送性を有する各層であり、具体的には、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる。
【0091】
なお、電子輸送層が第一電子輸送層と第二電子輸送層とからなる2層に機能分離された構成である場合、式(1)で表される縮合環化合物は第一電子輸送層(陽極側)および第二電子輸送層のいずれか一方、あるいは両方の材料として用いられてもよい。
【0092】
式(1)で表される縮合環化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の材料として使用する場合には、該縮合環化合物を単独で使用してもよいし、公知の発光ホスト材料にドープして使用してもよいし、公知の発光ドーパントをドープして使用してもよい。当該公知の材料については後述する。
【0093】
式(1)で表される縮合環化合物を含有する正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、または発光層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
【0094】
スピンコート法、キャスト法等の塗布法に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、式(1)で表される縮合環化合物に加えて、有機溶媒を含む。有機溶媒としては特に制限はないが、例えば、モノクロロベンゼンおよびオルトジクロロベンゼン等が挙げられる。有機溶媒はこれらを2種以上組み合わせたものであってもよい。所望の塗工性能を発揮するべく有機溶媒が選択されて、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料の粘度や濃度が調整されていることが好ましい。
【0095】
式(1)で表される縮合環化合物を含む層は、単層であってもよく、複数の層からなる積層構成であってもよい。単層の場合、当該層は式(1)で表される縮合環化合物からなっていてもよいし、該縮合環化合物に加えてさらに1種類以上の公知の材料を含有していてもよい。
【0096】
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本開示の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記式(1)で表される縮合環化合物を含む層を備える。
図1は、本開示の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。以下、図1を参照しながら本態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。なお、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子は、いわゆるボトムエミッション型の素子構成を有したものであると、本開示の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子はボトムエミッション型の素子構成に限定されるものではない。すなわち、本開示の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、トップエミッション型の素子構成であってもよく、その他の公知の素子構成であってもよい。
【0097】
有機エレクトロルミネッセンス素子100の基本的な構造としては、基板1、陽極2、正孔注入層3、電荷発生層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、および陰極9をこの順で含む。ただし、これらの層のうちの一部の層が省略されていてもよく、また逆に他の層が追加されていてもよい。例えば、電荷発生層4が省略され、正孔注入層3上に正孔輸送層5が直接設けられていてもよく、発光層6と電子輸送層7との間に正孔阻止層(第一電子輸送層;不図示)が設けられていてもよい。また、例えば電子注入層の機能と電子輸送層の機能とを単一の層で併せ持つ電子注入・輸送層のような、複数の層が有する機能を併せ持った単一の層を、当該複数の層の代わりに備えた構成であってもよい。
【0098】
そして、本態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層からなる群より選ばれる1つ以上の層は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層のうち、式(1)で表される縮合環化合物を含む層は、該縮合環化合物と共に、公知の材料の中から選択される任意の1種以上を含有していてもよい。また、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層のうち、式(1)で表される縮合環化合物を含まない層は、公知の材料の中から選択される任意の1種以上を含有することが好ましい。
【0099】
有機エレクトロルミネッセンス素子100の陽極2および陰極9は、電気的な導体を介して電源に接続されている。陽極2と陰極9との間に電圧を印加することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子100は作動、発光する。
正孔は陽極2で有機エレクトロルミネッセンス素子100内に注入され、電子は陰極9で有機エレクトロルミネッセンス素子100内に注入される。
なお、本態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子100は、陽極2が基板1に接して設けられている。基板と接触する電極は便宜上、下側電極と呼ばれる。ただし、本態様はかかる構成に限定されるものではなく、陽極に代えて陰極が基板に接して設けられて下側電極となっていてもよく、基板と陽極または陰極とが接しておらず、陽極または陰極が他の層を介して基板上に積層されていてもよい。
【0100】
<基板1>
基板は、所望とする有機エレクトロルミネッセンス素子の発光方向(光が取り出される方向)に応じて光透過性を適宜選択すればよい。すなわち、基板は光透過性を有していてもよく、有していなくても(所定の波長を有する光に対して不透明であっても)よい。基板が光透過性を有するか否かは、例えば、当該基板から有機エレクトロルミネッセンス素子の発光に由来する光が所望の量以上観察されるか否かにより確認できる。
光透過性を有する基板として、透明ガラス板またはプラスチック板が一般的に採用される。ただし、基板はこれらに何ら限定されるものではない。基板は、例えば、多重の材料層を含む複合構造であってもよい。
【0101】
<陽極2>
基板1上には陽極2が設けられている。
発光が陽極を通過して取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極は当該発光を通すかまたは実質的に通す材料で形成される。
【0102】
陽極に用いられる透明材料としては、例えば、インジウム-錫酸化物(ITO;Indium Tin Oxide)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide)、酸化錫、アルミニウム・ドープ型酸化錫、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物、その他の金属酸化物;窒化ガリウム等の金属窒化物;セレン化亜鉛等の金属セレン化物;硫化亜鉛等の金属硫化物;等が挙げられる。
陽極は、プラズマ蒸着されたフルオロカーボンで改質することができる。
なお、陰極側のみから光を取り出す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極の透過特性は重要ではなく、陽極の材料として透明、不透明または反射性の任意の導電性材料を使用することができる。従って、この場合の陽極に用いられる材料の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金等が挙げられる。
【0103】
<正孔輸送性の層(正孔注入層3、正孔輸送層5)>
陽極2と発光層6との間には、正孔輸送性の層が設けられる。
正孔輸送性の層とは、陽極と発光層との間に設けられた正孔輸送性を有する層であり、正孔注入層、正孔輸送層等である。正孔輸送性の層が陽極と発光層との間に複数設けられていてもよい。正孔注入層や正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する。これらの層を陽極と発光層との間に介在させることにより、正孔がより低い電界で発光層に注入される。
なお、正孔輸送層は、図1に示す例においては単層からなっているが、複数層、例えば、陽極側の第一正孔輸送層と、陰極側の第二正孔輸送層とからなっていてもよい。この2層構成の正孔輸送層の場合、第一正孔輸送層は第二正孔輸送層と比較して正孔輸送能に優れた層であり、第二正孔輸送層が第一正孔輸送層と比較して電子阻止能に優れた層であることが好ましい。第二正孔輸送層は、一般に電子阻止層と称されることもある。
【0104】
正孔輸送性を有する材料(正孔注入材料、正孔輸送材料、電子阻止材料等を含む)としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、式(1)で表される縮合環化合物等が挙げられる。これらのうち、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、式(1)で表される縮合環化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物が好ましい。
【0105】
上記芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)、3-[4-[1,1’-ビフェニル-4-イル](9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)アミノ]フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール、および4,4’-ビス[N-フェニル-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-1,1’-ビフェニル]、N,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-N-(p-テルフェニル-4-イル)アミン、等が挙げられる。
【0106】
また、p型-Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
正孔注入層および正孔輸送層は、上記材料から選ばれる1種以上からなる単層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0107】
<電荷発生層4>
正孔注入層3と正孔輸送層5との間には、電荷発生層が設けられていてもよい。
電荷発生層の材料としては、例えば、ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)が挙げられる。
【0108】
<発光層6>
正孔輸送層5と電子輸送層7または後述する正孔阻止層(第一電子輸送層)との間には、発光層6が設けられている。
発光層は、燐光発光材料、蛍光発光材料、または熱活性化遅延蛍光発光材料を含み、この領域で電子・正孔対が再結合された結果として発光を生ずる。
蛍光発光材料は、一重項状態の蛍光の放出を主として利用するものであり、熱活性化遅延蛍光は、一重項状態の蛍光の放出に加えて、熱により三重項状態を一重項状態へ逆変換して蛍光を放出するものである。
【0109】
発光層は、低分子材料およびポリマー材料のいずれか含む単一材料からなっていてもよいが、より一般的には、ゲスト化合物でドーピングされたホスト材料からなっている。発光は主としてドーパントから生じ、任意の色を呈することができる。
【0110】
ホスト材料としては、例えば、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、またはアントラニル基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、DPVBi(4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-1,1’-ビフェニル)、BCzVBi(4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)1,1’-ビフェニル)、TBADN(2-ターシャルブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、ADN(9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、CBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル)、2-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-9-[4-(4-フェニルフェニルキナゾリン-2-イル)カルバゾール、9,10-ビス(ビフェニル)アントラセン、2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン、式(1)で表される縮合環化合物、等が挙げられる。
ホスト材料としては、後述する電子輸送材料、前述した正孔輸送性を有する材料、正孔・電子再結合を助ける(サポート)別の材料、またはこれら材料の組み合わせであってもよい。
【0111】
蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物、式(1)で表される縮合環化合物等が挙げられる。蛍光ドーパントはこれらから選ばれる2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0112】
燐光ドーパントとしては、例えば、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム等の遷移金属の有機金属錯体が挙げられる。
熱活性化遅延蛍光ドーパントとしては、例えば、カルバゾール誘導体等が挙げられる。
【0113】
蛍光ドーパント、燐光ドーパント、熱活性化遅延蛍光ドーパントの具体例としては、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、DPAVBi(4,4’-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ペリレン、ビス[2-(4-n-ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトナート)イリジウム(III)、Ir(PPy)3(トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III))、およびFIrPic(ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジル)フェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)))、1,6-ピレンジアミン,N,N-ビス([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-N,N-ビス(4-ジベンゾフラニル)-、1,2,4,5-テトラキス(カルバゾル-9-イル)-3,6-ジシアノベンゼン(4Cz-IPN)等が挙げられる。
発光層は単層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0114】
<電子輸送性の層(電子輸送層7、電子注入層8)>
電子輸送層7は、電子注入層8と、発光層6との間に設けられている。
電子輸送層は、電子注入層より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。電子輸送層を電子注入層と発光層との間に介在させることにより、電子がより低い電界で発光層に注入される。
【0115】
なお、電子輸送層は、図1に示す態様においては単層からなっているが、複数層、例えば、陽極側の第一電子輸送層と、陰極側の第二電子輸送層とからなっていてもよい。この2層構成の電子輸送層の場合、第二電子輸送層が第一正孔輸送層と比較して電子輸送能に優れた層であり、第一電子輸送層が第二電子輸送層と比較して正孔阻止能に優れた層であることが好ましい。第一電子輸送層は、一般に正孔阻止層と称されることもある。正孔阻止層は、キャリアバランスを改善させることができる。電子輸送層が複数層からなる場合、式(1)で表される縮合環化合物は、いずれか1つの層に含まれていてもよく、2層以上に含まれていてもよい。
電子輸送層が式(1)で表される縮合環化合物を含む場合、電子輸送層は式(1)で表される縮合環化合物のみからなっていてもよく、後述する公知の電子輸送材料を更に含んでいてもよい。
【0116】
電子輸送層は電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)-1-ナフトラートアルミニウム、またはビス(2-メチル-8-キノリナート)-2-ナフトラートガリウム、2-[3-(9-フェナントレニル)-5-(3-ピリジニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(4,’’-ジ-2-ピリジニル[1,1’:3’,1’’-テルフェニル]-5-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)、式(1)で表される縮合環化合物等が挙げられる。
【0117】
電子注入層は、電子注入性を向上させ、素子特性(例えば、発光効率、低電圧駆動、または高耐久性)を向上させることができる。
【0118】
式(1)で表される縮合環化合物以外の電子注入層の材料として望ましい化合物としては、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等が挙げられる。また、上記した金属錯体やアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、C等の各種酸化物、窒化物、または酸化窒化物等の無機化合物等も使用できる。
【0119】
<<陰極9>>
電子注入層8上には陰極9が設けられている。
陽極を通過した発光のみが取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、前述したように陰極は任意の導電性材料から形成することができる。望ましい陰極材料としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【0120】
以上説明した本開示の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子100は、前述したように、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、および電子注入層3からなる群より選ばれる1つ以上は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。
【0121】
式(1)で表される縮合環化合物は、従来のジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン化合物を用いた場合と比較して、有機エレクトロルミネッセンス素子、特に燐光発光性素子の正孔輸送層、または、蛍光発光性素子の発光層もしくは電子輸送層に用いた場合、少なくとも、低駆動電圧または長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。従って、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子におけるジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン化合物を、式(1)で表される縮合環化合物で置き換えることで、少なくとも、低駆動電圧または長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できる。
【0122】
式(1)で表される縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、例えば、正孔輸送材料、発光層材料、電子輸送材料、電子注入材料として使用できる。式(1)で表される縮合環化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも、駆動電圧を低減または長寿命を達成することができる。さらに、式(1)で表される縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子への使用に限られず、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも使用できる。
【実施例
【0123】
以下、本開示の一態様にかかる縮合環化合物を、実施例に基づきさらに詳細に説明するが、該縮合環化合物はこれらの実施例に何ら限定されて解釈されるものではない。
なお、本実施例で用いた分析機器および測定方法を以下に列記する。
【0124】
[材料純度測定(HPLC分析)]
測定装置:東ソー製 マルチステーションLC-8020
測定条件:カラム Inertsil ODS-3V
(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
【0125】
[NMR測定]
NMR測定は、Gemini200(バリアン社製)を用いて行った。
【0126】
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所 M-80B
測定方法:FD-MS分析
【0127】
[ガラス転移温度分析]
ガラス転移温度の測定は、DSC7020(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)を用いて行った。
上記DSCの測定条件は以下のとおりである。なお、測定は、窒素雰囲気下(流量50ml/min)にて行った。また、ファーストヒーティング、ファーストクーリング、セカンドヒーティングの順に行い、セカンドヒーティングの際のガラス転移温度を試料のガラス転移温度とした。
試料量 :5~10mg
測定条件:
<ファーストヒーティング>
昇温速度:10℃/min
測定温度範囲:30℃~400℃
<ファーストクーリング>
ドライアイスによる急冷
<セカンドヒーティング>
昇温速度:5℃/min
測定温度範囲:30℃~400℃
【0128】
[有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性]
有機電界発光素子の発光特性は、25℃環境下、各実施例(後述)で作製した素子に直流電流を印加し、輝度計 BM-9(製品名、トプコンテクノハウス社製)を用いて評価した。
【0129】
[合成例-1](4-メチル-1,2-ビス(フェナントレン-9-イル)ベンゼンの合成)
【0130】
【化8】
【0131】
窒素気流下、300mLの二口ナスフラスコに、3,4-ジブロモトルエン 10.07g(40.29mmol)、9-フェナントレンボロン酸 20.58g(92.67mmol)、酢酸パラジウム 90mg(0.40mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(Xphos) 381mg(0.80mmol)、テトラヒドロフラン 40mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 50mLを加え、70℃で14時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 200mLを加えて撹拌し、ろ過を行った後、水層を除去した。有機層を再結晶(アセトン/メタノール)することで、4-メチル-1,2-ビス(フェナントレン-9-イル)ベンゼンの無色粉末を9.95g(22.37mmol)単離した(収率55.5%、HPLC純度99.2%)。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d6,60℃);8.63-8.54(m,4H),7.82-7.73(m,4H),7.63-7.39(m,12H),7.36-7.29(m,1H),2.53(s,3H)
【0132】
[実施例-1](化合物(1A-9)の合成)
【0133】
【化9】
【0134】
窒素気流下、1L三口ナスフラスコに、4-メチル-1,2-ビス(フェナントレン-9-イル)ベンゼン 9.36g(21.05mmol)、クロロホルム 210mL、およびニトロメタン 21mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 41.65g(256.81mmol)を加え、0℃のまま20分間撹拌した。反応溶液にメタノール 600mLを添加し攪拌した。析出した固体をろ過で回収し、メタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(1A-9)の黄色粉末を5.92g(13.45mmol)単離した(収率63.9%、HPLC純度99.8%)。化合物(1A-9)の昇華温度は、330℃であり、昇華品の化合物(1A-9)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定は、H-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.06-8.84(m,10H),8.02(dt,2H),7.79-7.73(m,4H),7.55(dd,1H),2.68(s,3H)
【0135】
[実施例-2](化合物(1A-37)の合成)
【0136】
【化10】
【0137】
窒素気流下、100mLシュレンク管に、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 1.84g(4.00mmol)、4-ビフェニルボロン酸 871mg(4.40mmol)、酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、Xphos 76mg(0.16mmol)、1,4-ジオキサン 70mL、濃度2Mのリン酸カリウム水溶液 3mLを加え、105℃で21時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール20mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水、アセトン、およびメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することで、化合物(1A-37)の黄色粉末を1.99g(3.44mmol)単離した(収率86.0%、HPLC純度97.9%)。化合物(1A-37)の昇華温度は、340℃であり、昇華品の化合物(1A-37)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.33(s,1H),9.19-8.97(m,9H),8.19-8.14(m,3H),8.00-7.97(m,2H),7.91-7.85(m,6H),7.76(d,2H),7.52(t,2H),7.41(t,1H)
【0138】
[実施例-3](化合物(1A-50)の合成)
【0139】
【化11】
【0140】
窒素気流下、100mLシュレンク管に、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 1.84g(4.00mmol)、9-アントラセンボロン酸 977mg(4.40mmol)、酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、Xphos 76mg(0.16mmol)、1,4-ジオキサン 70mL、濃度2Mのリン酸カリウム水溶液 3mLを加え、105℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール25mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することで、化合物(1A-50)の黄色粉末を1.98g(3.28mmol)単離した(収率82.0%、HPLC純度99.5%)。化合物(1A-50)の昇華温度は、360℃であり、昇華品の化合物(1A-50)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.39(d,1H),9.25-9.09(m,8H),9.02(d,1H),8.88(d,1H),8.78(s,1H),8.23-8.17(m,4H),7.95-7.93(m,3H),7.73(t,2H),7.61(t,1H),7.55(t,2H),7.42-7.41(m,2H)
【0141】
[実施例-4](化合物(1A-159)の合成)
【0142】
【化12】
【0143】
窒素気流下、300mL二口ナスフラスコに、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 6.92g(15.0mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン 4.58g(18.0mmol)、酢酸カリウム 4.41g(45.0mmol)、酢酸パラジウム 67mg(0.30mmol)、Xphos 286mg(0.60mmol)、およびトルエン 150mLを加え、110℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をヘキサンで洗浄することで、化合物(1A-159)の黄色粉末を7.82g(14.1mmol)単離した(収率94.3%、HPLC純度98.8%)。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.63(s,1H),9.14(d,1H),9.06-8.99(m,2H),8.94-8.84(m,6H),8.10(dd,1H),8.05(dt,2H),7.85-7.73(m,4H),1.41(s,12H)
【0144】
[実施例-5](化合物(1A-81)の合成)
【0145】
【化13】
【0146】
窒素気流下、20mLシュレンク管に、実施例4で得た化合物(1A-159) 1.66g(3.00mmol)、4-ブロモ-9,9’-ジフェニルフルオレン 1.43g(3.60mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 69mg(0.06mmol)、テトラヒドロフラン 30mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 30mLを加え、70℃で19時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 150mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、再結晶(トルエン/メタノール)することで、化合物(1A-81)の黄色粉末を1.60g(2.15mmol)単離した(収率71.7%、HPLC純度95.2%)。化合物(1A-81)の昇華温度は、380℃であり、昇華品の化合物(1A-81)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.26(d,1H),9.18-9.03(m,7H),9.01(d,1H),8.97(d,1H),8.15(dd,2H),7.98(dd,1H),7.91-7.88(m,2H),7.78(dt,1H),7.64(t,1H),7.56-7.54(m,1H),7.45-7.37(m,3H),7.35-7.14(m,11H),7.07-6.95(m,2H)
【0147】
[実施例-6](化合物(1A-92)の合成)
【0148】
【化14】
【0149】
窒素気流下、100mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 2.09g(4.00mmol)、3-ヨード-9-フェニルカルバゾール 1.77g(4.80mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 92mg(0.08mmol)、テトラヒドロフラン 40mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 8mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 200mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、再結晶(o-キシレン)することで、化合物(1A-92)の黄色粉末を0.93g(1.39mmol)単離した(収率34.8%、HPLC純度99.2%)。化合物(1A-92)の昇華温度は、380℃であり、昇華品の化合物(1A-92)はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.45(s,1H),9.27-9.04(m,9H),8.83(s,1H),8.43(d,1H),8.33(d,1H),8.19(dt,2H),8.02(d,1H),7.96-7.88(m,4H),7.76-7.70(m,4H),7.61-7.56(m,2H),7.51-7.42(m,2H),7.35(t,1H)
【0150】
[実施例-7](化合物(1A-93)の合成)
【0151】
【化15】
【0152】
窒素気流下、200mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 2.76g(5.00mmol)、2-ブロモ-9-フェニルカルバゾール 2.26g(7.00mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 116mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン 50mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 50mLを加え、70℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 250mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、再結晶(o-キシレン)することで、化合物(1A-93)の黄色粉末を1.81g(2.71mmol)単離した(収率54.3%、HPLC純度99.5%)。化合物(1A-93)の昇華温度は、370℃であり、昇華品の化合物(1A-93)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.42(d,1H),9.19(d,1H),9.05-8.99(m,2H),8.93-8.84(m,6H),8.25(d,1H),8.19(d,1H),8.05-8.01(m,3H),7.87(d,1H),7.79-7.74(m,3H),7.73(d,1H),7.70-7.63(m,5H),7.56-7.52(m,1H),7.45-7.43(m,2H),7.35-7.31(m,1H)
【0153】
[実施例-8](化合物(1A-129)の合成)
【0154】
【化16】
【0155】
窒素気流下、200mL二口ナスフラスコに、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 2.31g(5.00mmol)、4-テトラフェニルシランボロン酸 2.29g(6.00mmol)、酢酸パラジウム 22mg(0.10mmol)、Xphos 95mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン 50mL、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 5mLを加え、70℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール 100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とエタノールで洗浄した。得られた固体を再結晶(トルエン/エタノール)することで、化合物(1A-129)の黄色粉末を3.32g(4.36mmol)単離した(収率87.1%、HPLC純度99.4%)。化合物(1A-129)の昇華温度は、370℃であり、昇華品の化合物(1A-129)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.42(s,1H),9.25(d,1H),9.08-9.04(m,2H),8.96(d,2H),8.94(d,2H),8.89-8.87(m,2H),8.07(t,2H),8.02(dd,1H),7.85(d,2H),7.80-7.76(m,4H),7.73(d,2H),7.63(dd,6H),7.48-7.39(m,9H)
【0156】
[実施例-9](化合物(1A-130)の合成)
【0157】
【化17】
【0158】
窒素気流下、200mL二口ナスフラスコに、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 2.31g(5.00mmol)、3-テトラフェニルシランボロン酸 2.29g(6.00mmol)、酢酸パラジウム 22mg(0.10mmol)、Xphos 95mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン 50mL、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 5mLを加え、70℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール 100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とエタノールで洗浄した。得られた固体を再結晶(トルエン/エタノール)することで、化合物(1A-130)の褐色結晶を3.33g(4.37mmol)単離した(収率87.4%、HPLC純度95.5%)。化合物(1A-130)の昇華温度は、375℃であり、昇華品の化合物(1A-130)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.34(d,1H),9.19(d,1H),9.02-8.86(m,8H),8.10(s,1H),8.05(td,2H),7.89(td,2H),7.80-7.75(m,3H),7.66-7.59(m,8H),7.53(t,1H),7.46-7.37(m,9H)
【0159】
[実施例-10](化合物(1A-133)の合成)
【0160】
【化18】
【0161】
窒素気流下、20mLのシュレンク管に、実施例4で得た化合物(1A-159) 111mg(0.20mmol)、2-ヨード-1,3,5-トリメチルベンゼン 59mg(0.24mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 4.6mg(0.004mmol)、テトラヒドロフラン 2mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 2mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 15mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄することで、化合物(1A-133)の黄色粉末を83mg(0.15mmol)単離した(収率75.8%、HPLC純度95.2%)。化合物(1A-133)の昇華温度は、340℃であり、昇華品の化合物(1A-133)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.25(d,1H),9.10(m,1H),8.95-8.83(m,8H),8.03(dt,2H),7.79-7.65(m,4H),7.55(dd,1H),7.02(s,2H),2.38(s,3H),2.13(s,6H)
【0162】
[実施例-11](化合物(1A-154)の合成)
【0163】
【化19】
【0164】
窒素気流下、20mLのシュレンク管に、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 46mg(0.10mmol)、4-(4-ピリジル)フェニルボロン酸 24mg(0.12mmol)、酢酸パラジウム 0.45mg(2μmol)、Xphos 1.9mg(4μmol)、1,4-ジオキサン 1mL、濃度2Mのリン酸カリウム水溶液 1mLを加え、105℃で2日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール15mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水、アセトン、およびメタノールで洗浄することで、化合物(1A-154)の黄色粉末を49mg(0.08mmol)単離した(収率84.0%、HPLC純度98.3%)。化合物(1A-154)の昇華温度は、345℃であり、昇華品の化合物(1A-154)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.40(d,1H),9.26-9.01(m,9H),8.69(dd,2H),8.26(dd,1H),8.22-8.17(m,2H),8.06(dd,4H),7.93-7.90(m,4H),7.93(dd,2H)
【0165】
[実施例-12](化合物(1A-165)の合成)
【0166】
【化20】
【0167】
窒素気流下、100mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 1.11g(2.00mmol)、2-ブロモピリジン 379mg(2.40mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 46mg(0.04mmol)、テトラヒドロフラン 20mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 20mLを加え、70℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することで、化合物(1A-165)の黄色粉末を0.52g(1.04mmol)単離した(収率51.8%、HPLC純度98.3%)。化合物(1A-165)の昇華温度は、345℃であり、昇華品の化合物(1A-165)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.78(s,1H),9.27(d,1H),9.10-9.04(m,2H),8.97-8.79(m,6H),8.79(dd,1H),8.42(d,1H),8.07(t,2H),7.98(d,1H),7.85-7.79(m,5H),7.32-7.28(m,1H)
【0168】
[実施例-13](化合物(1A-166)の合成)
【0169】
【化21】
【0170】
窒素気流下、100mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 1.07g(2.00mmol)、3-ブロモピリジン 0.63g(4.00mmol)、酢酸パラジウム 90mg(0.40mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 46mg(0.04mmol)、テトラヒドロフラン 20mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 20mLを加え、70℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することで、化合物(1A-166)の黄色粉末を0.31g(0.62mmol)単離した(収率31.0%、HPLC純度97.3%)。化合物(1A-166)の昇華温度は、325℃であり、昇華品の化合物(1A-166)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.38(s,1H),9.26(dd,1H),9.12(d,1H),9.03(t,2H),8.95(t,4H),8.89(d,2H),8.66(dd,1H),8.08(t,3H),7.95(d,1H),7.84-7.75(m,4H),7.45(dd,1H)
【0171】
[実施例-14](化合物(1A-167)の合成)
【0172】
【化22】
【0173】
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 1.84g(4.00mmol)、4-ピリジルボロン酸 983mg(8.00mmol)、酢酸パラジウム 90mg(0.40mmol)、Xphos 381mg(0.80mmol)、1,4-ジオキサン 40mL、濃度2Mのリン酸カリウム水溶液 5mLを加え、105℃で4日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール50mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することで、化合物(1A-167)の黄色粉末を0.79g(1.56mmol)単離した(収率39.1%、HPLC純度99.8%)。化合物(1A-167)の昇華温度は、350℃であり、昇華品の化合物(1A-167)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.44(d,1H),9.26-9.17(m,5H),9.12-8.98(m,4H),8.75(dd,2H),8.26(dd,1H),8.20(dt,2H),7.95-7.88(m,6H)
【0174】
[実施例-15](化合物(1A-224)の合成)
【0175】
【化23】
【0176】
窒素気流下、20mLのシュレンク管に、実施例4で得た化合物(1A-159) 55mg(0.10mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン 32.mg(0.12mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 2.3mg(0.002mmol)、テトラヒドロフラン 1mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 1mLを加え、70℃で2日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 15mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水およびメタノールで洗浄することで、化合物(1A-224)の黄色粉末を58mg(0.87mmol)で得た(収率87.4%)。
化合物の同定はFDMSにより行った。
FDMS(m/z); 657(M+)
【0177】
[実施例-16](化合物(1A-249)の合成)
【0178】
【化24】
【0179】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 1.84g(4.00mmol)、ジフェニルアミン 0.81g(4.80mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.58g(6.00mmol)、およびo-キシレン 40mLを加え、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、およびトリ-tert-ブチルホスフィン 32mg(0.16mmol)を添加して140℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 50mLを添加し撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水、およびメタノールで洗浄した。得られた固体を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(1A-249)の黄色粉末を1.54g(2.59mmol)単離した(収率64.7%、HPLC純度97.0%)。化合物(1A-249)の昇華温度は、310℃であり、昇華品の化合物(1A-249)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.16(d,2H),9.12(d,1H),9.08(d,1H),9.06-9.01(m,2H),8.96(d,1H),8.91(dd,1H),8.48(d,1H),8.37(d,1H),8.133(td,2H),7.87-7.81(m,2H),7.73(td,1H),7.51-7.41(m,6H),7.26-7.24(m,4H),7.19(t,2H)
【0180】
[実施例-17](化合物(1A-251)の合成)
【0181】
【化25】
【0182】
窒素気流下、300mLの二口ナスフラスコに、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 3.50g(7.59mmol)、N,N-ビスビフェニルアミン 2.93g(9.11mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 1.12g(11.39mmol)、およびo-キシレン 180mLを加え、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 34mg(0.15mmol)、およびトリ-tert-ブチルホスフィン 61mg(0.30mmol)を添加して145℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、純水 50mL、およびメタノール 200mLを添加し撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水、アセトン、およびメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン)することにより、化合物(1A-251)の黄色粉末を2.42g(3.25mmol)単離した(収率43%、HPLC純度99.0%)。化合物(1A-251)の昇華温度は、360℃であり、昇華品の化合物(1A-251)はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.18(d,2H),9.15(d,1H),9.10-9.06(m,3H),8.96(t,2H),8.57(d,1H),8.52(d,1H),8.17-8.12(m,2H),7.87-7.86(m,2H),7.78-7.68(m,9H),7.62(dd,1H),7.51-7.45(m,5H),7.39-7.35(m,6H)
【0183】
[実施例-18](化合物(1A-317)の合成)
【0184】
【化26】
【0185】
窒素気流下、200mL二口ナスフラスコに、16-クロロジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン 1.85g(4.00mmol)、4-(ジフェニルアミノ)フェニルボロン酸 1.39g(6.00mmol)、酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、Xphos 76mg(0.16mmol)、テトラヒドロフラン 40mL、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 40mLを加え、70℃で24時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 100mLを加えて撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。得られた固体を再結晶(o-キシレン/メタノール)することで、化合物(1A-317)の黄色粉末を2.28g(3.40mmol)単離した(収率85.0%、HPLC純度99.4%)。化合物(1A-317)の昇華温度は、350℃であり、昇華品の化合物(1A-317)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.38(d,1H),9.20(d,1H),9.09-9.02(m,2H),8.95-8.86(m,6H),8.05(td,2H),7.96(dd,1H),7.79-7.75(m,4H),7.71(dd,2H),7.29-7.27(m,4H),7.25(d,2H),7.17(dd,4H),7.16(tt,2H)
【0186】
[実施例-19](化合物(1A-318)の合成)
【0187】
【化27】
【0188】
窒素気流下、200mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 0.83g(1.50mmol)、3-ブロモトリフェニルアミン 0.63g(1.95mmol)、酢酸パラジウム 6.7mg(0.03mmol)、Xphos 28mg(0.06mmol)、テトラヒドロフラン 30mL、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 2.5mLを加え、70℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。得られた固体を再結晶(トルエン/メタノール)することで、化合物(1A-318)の黄色粉末を0.85g(1.27mmol)単離した(収率84.9%、HPLC純度95.1%)。化合物(1A-318)の昇華温度は、365℃であり、昇華品の化合物(1A-318)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.23(d,1H),9.08(d,1H),8.92(dd,1H),8.89(d,1H),8.82-8.76(m,6H),7.95(td,2H),7.84(dd,1H),7.74-7.67(m,3H),7.61-7.56(m,2H),7.40(tt,1H),7.36(t,1H),7.32-7.28(m,4H),7.23-7.19(m,4H),7.10(dt,1H),7.07(t,2H)
【0189】
[実施例-20](化合物(1A-319)の合成)
【0190】
【化28】
【0191】
窒素気流下、100mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 2.21g(4.00mmol)、3-ブロモ-4’,4’’-ジメチルトリフェニルアミン 1.69g(4.80mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 92mg(0.08mmol)、テトラヒドロフラン 40mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 3mLを加え、70℃で4日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/エタノール)することで、化合物(1A-319)の黄色粉末を1.75g(2.50mmol)単離した(収率62.5%、HPLC純度97.4%)。化合物(1A-319)の昇華温度は、370℃であり、昇華品の化合物(1A-319)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);9.21(d,1H),9.07(d,1H),8.92(dd,1H),8.88(d,1H),8.79-8.74(m,6H),7.92(td,2H),7.84(dd,1H),7.74-7.66(m,3H),7.58-7.54(m,2H),7.34-7.30(m,2H),7.12-7.08(m,8H),7.04(dt,1H),2.35(s,6H)
【0192】
[実施例-21](化合物(1A-335)の合成)
【0193】
【化29】
【0194】
窒素気流下、200mL二口ナスフラスコに、実施例4で得た化合物(1A-159) 0.83g(1.50mmol)、3’-クロロ-N,N-ジフェニル[1,1’-ビフェニル]-3-アミン 0.69g(1.95mmol)、酢酸パラジウム 6.7mg(0.03mmol)、Xphos 28mg(0.06mmol)、テトラヒドロフラン 30mL、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 2.5mLを加え、70℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 100mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。得られた固体を再結晶(アセトン/テトラヒドロフラン/メタノール)することで、化合物(1A-335)の黄色粉末を0.51g(0.68mmol)単離した(収率45.4%、HPLC純度91.8%)。化合物(1A-335)の昇華温度は、315℃であり、昇華品の化合物(1A-335)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.32(d,1H),9.14(d,1H),8.98(td,2H),8.88-8.82(m,4H),8.81(d,2H),7.98(td,2H),7.95-7.91(m,2H),7.78-7.69(m,5H),7.66(td,1H),7.52(d,2H),7.44(t,1H),7.37-7.31(m,2H),7.29-7.24(m,3H),7.18-7.15(m,4H),7.10(dt,1H),7.01(td,2H)
【0195】
[合成例-2](4,5-ジメチル-1,2-ビス(フェナントレン-9-イル)ベンゼンの合成)
【0196】
【化30】
【0197】
窒素気流下、300mLの二口ナスフラスコに、1,2-ジブロモ-4,5-ジメチルベンゼン 10.29g(38.98mmol)、9-フェナントレンボロン酸 19.92g(89.70mmol)、酢酸パラジウム 88mg(0.39mmol)、Xphos 372mg(0.78mmol)、テトラヒドロフラン 40mL、および濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 50mLを加え、70℃で14時間攪拌した。室温まで冷却後、クロロホルム 200mL、および純水 200mLを添加し、撹拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残差を再結晶(クロロホルム/メタノール)することで、4,5-ジメチル-1,2-ビス(フェナントレン-9-イル)ベンゼンの無色粉末を11.50g(25.08mmol)単離した(収率64.3%、HPLC純度98.6%)。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d6,60℃);8.62-8.52(m,4H),7.83-7.74(m,4H),7.61-7.30(m,12H),2.43(s,6H)
【0198】
[実施例-22](化合物(1B-14)の合成)
【0199】
【化31】
【0200】
窒素気流下、1Lの三口ナスフラスコに、4,5-ジメチル-1,2-ビス(フェナントレン-9-イル)ベンゼン 11.39g(24.83mmol)、クロロホルム 250mL、およびニトロメタン 25mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 48.72g(300.4mmol)を加え、0℃のまま30分間撹拌した。反応溶液にメタノール 600mLを添加し攪拌した。析出した固体をろ過で回収し、メタノールで洗浄した。残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(1B-14)の黄色粉末を8.99g(19.78mmol)単離した(収率79.6%、HPLC純度99.5%)。化合物(1B-14)の昇華温度は、330℃であり、昇華品の化合物(1B-14)は粉末状であることを確認した。
化合物の同定は、H-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);9.05-9.03(m,2H),8.94-8.85(m,8H),8.03(t,2H),7.79-7.74(m,4H),2.59(s,6H)
【0201】
[比較例-1]
式(X1)で表されるジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン(特許文献1に開示された化合物)を合成した。化合物(X1)の昇華温度は、330℃であり、昇華品の化合物(X1)は粉末状であることを確認した。
【0202】
【化32】
【0203】
【表1】
【0204】
特許文献1に記載されているジベンゾ[fg,ij]ナフト[1,2,3,4-rst]ペンタフェン(X1)と比較すると、本態様にかかる縮合環化合物は、高いガラス転移温度を有していることがわかる。
【0205】
[素子実施例-1 (化合物(D2)の素子評価)]
次に、得られた化合物(D2)を用いて、図2に示す積層構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。図2は本開示の一態様にかかるエレクトロルミネッセンス素子の他の積層構成の例を示す概略断面図である。有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に用いた化合物の構造式およびその略称は以下のとおりである。
【0206】
【化33】
【0207】
(基板1、陽極2の作製)
陽極をその表面に備えた基板として、2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄により表面処理を行った。
【0208】
(真空蒸着の準備)
洗浄後の表面処理が施された基板上に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、各層を積層形成した。各有機材料および金属材料は抵抗加熱方式により成膜した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。
【0209】
(正孔注入層3の作製)
昇華精製したHILを0.15nm/秒の速度で50nm成膜し、正孔注入層を作製した。
【0210】
(電荷発生層4の作製)
昇華精製したHATを0.05nm/秒の速度で5nm成膜し、電荷発生層を作製した。
【0211】
(第一正孔輸送層51の作製)
HTL-1を0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、第一正孔輸送層を作製した。
【0212】
(第二正孔輸送層52の作製)
HTL-2を0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、第二正孔輸送層(電子阻止層)を作製した。この第二正孔輸送層は、電子の流入を阻止する電子阻止層としても機能する層である。
【0213】
(発光層6の作製)
EML-1およびEML-2を95:5(質量比)の割合で25nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0214】
(第一電子輸送層71の作製)
ETL-1を0.15nm/秒の速度で5nm成膜し、第一電子輸送層(正孔阻止層)を作製した。この第一電子輸送層は、正孔の流入を阻止する正孔阻止層としても機能する層である。
【0215】
(第二電子輸送層72の作製)
化合物(1A-9)およびLiqを50:50(質量比)の割合で30nm成膜し、第二電子輸送層を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0216】
(電子注入層8の作製)
Liqを0.01nm/秒の速度で1nm成膜し、電子注入層を作製した。
【0217】
(陰極9の作製)
最後に、基板上のITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極(陰極層)を成膜した。陰極は、銀/マグネシウム(質量比1/10)と銀とを、この順番で、それぞれ80nmと20nmとで成膜し、2層構造とした。銀/マグネシウムの成膜速度は0.5nm/秒、銀の成膜速度は0.2nm/秒であった。
【0218】
以上により、図2に示すような積層構成を有する発光面積4mm有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。なお、それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(Bruker社製DEKTAK)で測定した。
【0219】
さらに、この素子を酸素および水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気のグローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いて行った。
【0220】
上記のようにして作製した有機エレクトロルミネッセンス素子に直流電流を印加し、輝度計(TOPCON社製LUMINANCE METER BM-9)を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定した。素子寿命(h)は、作製した有機エレクトロルミネッセンス素子を初期輝度1000cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m)が3%減じるまでに要した時間を測定した。得られた測定結果を表2に示す。なお、電圧、電流効率、および素子寿命は、後述の素子比較例-1における結果を基準値(100)とした相対値である。
【0221】
[素子実施例-2~9、素子比較例-1]
素子実施例-1において、化合物(1A-9)の代わりに、順に、化合物(1A-37)、化合物(1A-50)、化合物(1A-81)、化合物(1A-92)、化合物(1A-93)、化合物(1A-133)、化合物(1A-154)、化合物(1B-14)、化合物(X1)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表2に示す。
【0222】
【表2】
【0223】
[素子実施例-10]
(基板1、陽極2の作製)から(第一正孔輸送層51の作製)までは、実施例-1と同様の手順で作製した。
【0224】
(第二正孔輸送層52の作製)
化合物(1A-251)を0.15nm/秒の速度で60nm成膜し、第二正孔輸送層(電子阻止層)を作製した。
【0225】
(発光層6の作製)
Hex-Ir(piq)2(acac)およびEML-3を8:92(質量比)の割合で35nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0226】
(第一電子輸送層71の作製)
ETL-2およびLiqを50:50(質量比)の割合で30nm成膜し、第一電子輸送層を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0227】
(第二電子輸送層72の作製)
素子実施例-11において、第二電子輸送層72は作製しなかった。
【0228】
(電子注入層8の作製)から(陰極9の作製)までは、実施例-1と同様の手順で作製した。
【0229】
発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定した。素子寿命(h)は、作製した有機エレクトロルミネッセンス素子を初期輝度2000cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m)が3%減じるまでに要した時間を測定した。得られた測定結果を表3に示す。なお、電圧、電流効率、および素子寿命は、後述の素子比較例-2における結果を基準値(100)とした相対値である。
【0230】
[素子実施例-11、12、素子比較例-2]
素子実施例-1において、化合物(1A-251)の代わりに、順に、化合物(1A-317)、化合物(1A-318)、化合物(X1)を用いた以外は、素子実施例-10と同じ方法で有機EL素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表2に示す。
【0231】
【表3】
【符号の説明】
【0232】
1.基板
2.陽極
3.正孔注入層
4.電荷発生層
5.正孔輸送層
6.発光層
7.電子輸送層
8.電子注入層
9.陰極
51.第一正孔輸送層
52.第二正孔輸送層
71.第一電子輸送層
72.第二電子輸送層
100.有機エレクトロルミネッセンス素子
図1
図2