(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】中空被覆撚り線製造装置、及び中空被覆撚り線製造方法
(51)【国際特許分類】
H01H 11/00 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
H01H11/00 Z
(21)【出願番号】P 2019175110
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】宮地 信介
(72)【発明者】
【氏名】和田 純
(72)【発明者】
【氏名】石井 貴大
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152248(JP,A)
【文献】実開昭58-149015(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドダミー線と導線とを、センターダミー線の周りに巻きつけて撚り線を形成し、前記撚り線周りに外皮を被覆することから成る被覆線を用いて、前記被覆線の端部から前記センターダミー線と前記サイドダミー線とを引抜いて中空被覆撚り線を形成する、中空被覆撚り線製造装置であって、
前記被覆線の一方端近傍を把持可能な第一クランプと、
前記被覆線の他方端近傍を把持可能な第二クランプと、
前記一方端から突出した前記サイドダミー線、又は前記センターダミー線の一部を把持して、前記第一クランプから離れる方向に移動可能なグリッパと、
前記被覆線の長手方向に対して垂直方向に回転軸を有し、前記被覆線の長手方向を挟んで対向して配置された、螺旋状の溝を有する回転体と、
前記回転体の回転を制御する回転制御部と、
を具備することを特徴とする中空被覆撚り線製造装置。
【請求項2】
前記回転体における螺旋状の溝が、
引き抜く線の線径よりも大きいこと
を特徴とする請求項1に記載の中空被覆撚り線製造装置。
【請求項3】
前記回転体が、
表面に細かい凹凸加工を施されていること
を特徴とする請求項1
または請求項2に記載の中空被覆撚り線製造装置。
【請求項4】
前記回転体が、
前記回転軸に対してテーパーをなす部分と、表面に細かい凹凸加工を施した部分とを有すること
を特徴とする請求項1
または請求項2に記載の中空被覆撚り線製造装置。
【請求項5】
サイドダミー線と導線とを、センターダミー線の周りに巻きつけて撚り線を形成し、前記撚り線周りに外皮を被覆することから成る被覆線を用いて、前記被覆線の端部から前記センターダミー線と前記サイドダミー線とを引抜いて中空被覆撚り線を形成する、中空被覆撚り線製造方法であって、
前記被覆線における一方端の端部近傍の外皮部分を除去し、前記撚り線の一部を露出させる第1工程と、
前記被覆線の一方端近傍を把持すると共に、前記被覆線の他方端近傍を把持し、把持間隔を
調整し、露出させた前記撚り線の一部から、前記センターダミー線を突出させると共に、前記サイドダミー線の一部を突出させる第2工程と、
突出させた前記センターダミー線と前記サイドダミー線の夫々の一部を個々に引き出し、前記被覆線の長手方向に対して垂直方向に回転する螺旋状の溝に、前記センターダミー線と前記サイドダミー線の夫々の一部を取り込ませて、前記被覆線から引抜く第3工程と、
を有する中空被覆撚り線製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、感圧センサーケーブル等に用いられる、中空被覆撚り線の製造装置、及び中空被覆撚り線製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の電動スライドドアや電動バックドアに、手足等の挟み込みを検出する手段として、感圧センサを用いることがある。この感圧センサには、主に中空被覆撚り線を用いることが多い。
【0003】
上述の中空被覆撚り線は、中空の被覆中に、複数導線をらせん状にかつ間隔を空けて配し、過度の圧力によりケーブルが潰れると、間隔を空けた導線同士が接触するようにしている。
この接触を電気的に検出することにより、手足等の挟み込みを検出できるようにしている。
【0004】
上述の中空被覆撚り線を製造する方法としては、サイドダミー線と導線とをセンターダミー線の周りに螺旋状に巻き付けて撚り線とし、その撚り線を内包するように被覆することから成る被覆線を準備して、その被覆線の一端部からセンターダミー線とサイドダミー線の夫々をグリッパで掴んで引き抜き、空間を生み出すことによって製造する(例えば、特許文献1参照)。
ここで、長尺な中空被覆撚り線を製造する場合、上述のようなグリッパにより引抜く方法を用いると、グリッパの可動範囲を拡大しなければならないため、装置自体が大きくなってしまうという欠点があった。
その対策として、一対のローラーでセンターダミー線やサイドダミー線を挟み込み、ローラーの回転によって引き抜く方法が考えられてきた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-152248号公報
【文献】実開昭61-052413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、中空被覆撚り線から露出したセンターダミー線やサイドダミー線を、回転する一対のローラーに挟み込ませようとすると、高速に回転するローラー自体によって線がはじかれてしまったり、一対のローラーに線を挟み込ませてからローラーを回転させると、撚り癖により、線が上下にぶれて、回転するローラーから外れてしまったりする等、確実にセンターダミー線やサイドダミー線を引抜くことができないという課題があった。
【0007】
そこで本発明では、対になったローラーを用いて、より効率的にセンターダミー線、またはサイドダミー線を引抜くことが可能となる中空被覆撚り線製造装置、及び中空被覆撚り線製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、サイドダミー線と導線とを、センターダミー線の周りに巻きつけて撚り線を形成し、前記撚り線周りに外皮を被覆することから成る被覆線を用いて、前記被覆線の端部から前記センターダミー線と前記サイドダミー線とを引抜いて中空被覆撚り線を形成する、中空被覆撚り線製造装置であって、前記被覆線の一方端近傍を把持可能な第一クランプと、
前記被覆線の他方端近傍を把持可能な第二クランプと、前記一方端から突出した前記サイドダミー線、又は前記センターダミー線の一部を把持して、前記第一クランプから離れる方向に移動可能なグリッパと、前記被覆線の長手方向に対して垂直方向に回転軸を有し、前記被覆線の長手方向を挟んで対向して配置された、螺旋状の溝を有する回転体と、前記回転体の回転を制御する回転制御部を具備している。
【0009】
また、前記回転体における螺旋状の溝が、引き抜く線の線径よりも大きいことが好ましい。
【0010】
また、前記回転体が、表面に細かい凹凸加工を施されていることが好ましい。
【0011】
また、前記回転体が、前記回転軸に対してテーパーをなす部分と、表面に細かい凹凸加工を施した部分とを有していることが好ましい。
【0012】
また、本発明の中空被覆撚り線の製造方法は、サイドダミー線と導線とを、センターダミー線の周りに巻きつけて撚り線を形成し、該撚り線周りに外皮を被覆することから成る被覆線を用いて、前記被覆線の端部から前記センターダミー線と前記サイドダミー線とを引抜いて中空被覆撚り線を形成する、中空被覆撚り線製造方法であって、前記被覆線における一方端の端部近傍の外皮部分を除去し、前記撚り線の一部を露出させる第1工程と、前記被覆線の一方端近傍を把持すると共に、前記被覆線の他方端近傍を把持し、把持間隔を調整し、露出させた前記撚り線の一部から、前記センターダミー線を突出させると共に、前記サイドダミー線の一部を突出させる第2工程と、突出させた前記センターダミー線と前記サイドダミー線の夫々の一部を個々に引き出し、前記被覆線の長手方向に対して垂直方向に回転する螺旋状の溝に、前記センターダミー線と前記サイドダミー線の夫々の一部を取り込ませて、前記被覆線から引抜く第3工程を有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転する螺旋状の溝に、サイドダミー線、及びセンターダミー線が倣うことで、線を確実に一対の回転体で挟み込むことが可能となり、さらに線が上下にぶれて、回転体から外れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に用いられる被覆線の一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態により製造される中空被覆撚り線の一例を示す模式図である。
【
図3】本実施形態における、中空被覆撚り線製造装置の全体構成を示す概念図である。
【
図4】本実施形態における、中空被覆撚り線製造装置の回転部を示す概念図である。
【
図5】本実施形態における、中空被覆撚り線製造装置の回転部における動作を説明する概念図である。
【
図6】本発明の中空被覆撚り線製造装置のおける、回転部のもう一つの実施形態を示す概念図である。
【
図7】本発明の実施形態における、全体工程を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一つの実施形態を示した中空被覆撚り線製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、サイドダミー線1と導線2とを、センターダミー線3の周りに螺旋状に巻き付けて撚り線とし、その撚り線を内包するように被覆することから成る被覆線4を準備して、その被覆線4からサイドダミー線1と、センターダミー線3を引抜くことによって、
図2に示すような中空被覆撚り線5を製造する。
ここで、導線2は、金属線周りに導電性の被覆が施されていて、導線2同士が接触したときに、両導線2間において電気的導通が得られるようになっている。
【0017】
次に、本実施形態の中空被覆撚り線製造装置10について説明する。
本実施形態の中空被覆撚り線製造装置10は、
図3に示すように、第一クランプ11と第二クランプ12、グリッパ13、グリッパ移動装置14、回転部15、回転体間隔調整部17、回転体昇降装置18、センサ19、制御用パソコン20、不図示のガス注入器、及び不図示のクランプ間隔調整部をから構成されている。
【0018】
(第一クランプ11)
第一クランプ11は、被覆線4の一方端L1近傍を把持可能となっている。
【0019】
(第二クランプ12)
第二クランプ12は、被覆線4の他方端L2近傍を把持可能となっている。
なお、第二クランプ12は、不図示のガス注入器と、不図示のクランプ間隔調整部に繋がっている。
【0020】
(グリッパ13)
グリッパ13は、被覆線4の一方端L1から突出したサイドダミー線1あるいはセンターダミー線3を把持可能なものであり、把持した際に、サイドダミー線1やセンターダミー線3が滑らないように、グリッパの先端部に細かい凹凸状の加工が施されている。
【0021】
(グリッパ移動装置14)
グリッパ移動装置14は、シリンダとグリッパ13によって構成され、装置天井部に設置されている。
ここで、上述のシリンダは、リニアガイド一体型のシリンダが好ましい。リニアガイド一体型のシリンダを用いることで、ダミー線を被覆線4からぶれることなく移動することが出来る。
また、グリッパ移動装置14は、制御用パソコン20にあるグリッパ移動制御部21と繋がっている。
【0022】
(回転部15)
本実施形態の回転部15は、
図4のように、回転体二つ(以下、回転体16A、回転体16Bと称する。)と回転体間隔調整部17から構成されている。
更に、回転部15は、制御用パソコン20にある回転制御部23と繋がっている。
なお、
図4(a)は、回転部15を上から見た概念図であり、
図4(b)は、回転部15を側面から見た概念図である。
【0023】
ここで、回転体16A及び16Bの夫々の回転方向は、
図4(a)に示された矢印の方向となっている。
また、本実施形態の回転体16Aと回転体16Bは、
図4(b)に示すように、双方ともに、上部にテーパー部が、下部にローレット綾目 が加工されており、更に、螺旋状の溝が、テーパー部分とローレット綾目 部分の両方に掛かるように、回転体の中央部に加工されている。
【0024】
図5は、センターダミー線3が、回転部15に巻き込まれていっている様子を、被覆線L1からL2方向に向けて見た模式図である。
【0025】
まず、センターダミー線3を、回転体16Aと回転体16Bの中央部分で挟んだ後、夫々の回転体を回転させると、センターダミー線3が、回転体16Aと回転体16Bに施された、螺旋状の溝に収まる(
図5(a))。
【0026】
その後、螺旋状に施された溝がガイドとなって、センターダミー線は、ローレット綾目 が加工された、回転部15の下部に運ばれることになる(
図5(b))。
一方、サイドダミー線1やセンターダミー線3が、回転部15の下部から更に下方向に逃げようとしても、
図5(b)に示すように、回転体16Aの下部端にある出っ張り部によって防がれる。
【0027】
ここで、螺旋状の溝の方向は、
図5に示された矢印方向を回転軸として、回転体16Aは時計周りに、一方、回転体16Bは半時計周りに加工されている。
【0028】
また、本実施形態では、
図5に示すように、回転体に施された螺旋状の溝が、センターダミー線3を挟んで非対称となるように、回転体16Aと回転体16Bを設置したが、対称となるように設置しても構わない。
【0029】
また、螺旋状の溝の幅、及びその深さは、引き抜くサイドダミー線1やセンターダミー線3の中で一番太いものの線径より大きくなっている。
そうすることにより、サイドダミー線1とセンターダミー線3の夫々を、確実に、溝の中に収めることができる。
【0030】
また、螺旋状の溝は、サイドダミー線1やセンターダミー線3が、撚り癖などで回転部15の上部方向に逃げようとしても、それらの線を再び溝に巻き込んで、下部に運ぶことができる効果も有する。
【0031】
また、回転体の下部にローレット綾目 加工を施すと、ローレット綾目 の凹凸部によってサイドダミー線1やセンターダミー線3を確実に保持することが可能となり、安定してダミー線の引抜きを行うことができる。
【0032】
また、回転体の上部にテーパー加工を施すと、テーパー形状によって、サイドダミー線1やセンターダミー線3を、回転体16Aと回転体16Bの間に安定して導くことができ、確実にダミー線の引抜きを行うことができる。
【0033】
図6は、本発明の中空被覆撚り線製造装置のおける、回転部15のもう一つの実施形態を示した概念図である。
この実施形態は、回転部15が回転体16Bと回転体16Cで構成され、片側の回転体16Bのみに螺旋状の溝加工を施した例である。
【0034】
(回転体間隔調整部17)
回転体間隔調整部17は、サイドダミー線1やセンターダミー線3を、回転体16Aと回転体16Bで挟むために、回転体16Aと回転体16Bの間隔を調整する。
本実施形態では、回転体16Bに接続されたシリンダを用いて調整が可能となっている。
【0035】
(回転体昇降装置18)
回転体昇降装置18は、回転部15を上下方向(
図3の黒矢印方向)に移動することを可能にしている。
ここで、回転体昇降装置18は、制御用パソコン20にある回転体昇降制御部22と繋がっている。
本実施形態では、シリンダを用いて昇降動作が可能となっている。
【0036】
(センサ19)
センサ19は、サイドダミー線1あるいはセンターダミー線3が、回転部15付近に近づいた際に反応するもので、制御用パソコン20にある回転制御部23と繋がっている。
本実施形態では、レーザーを用いた非接触の検知センサを用いた。
【0037】
(制御用パソコン20)
制御用パソコン20は、グリッパ移動制御部21、回転体昇降制御部22、回転制御部23を有している。
これにより、グリッパ移動制御部21は、グリッパ13の移動を制御することが出来て、サイドダミー線1やセンターダミー線3を把持するためにグリッパ13を、第一クランプ11に近づける方向に移動することや、サイドダミー線1やセンターダミー線3を把持したグリッパ13を、第一クランプ11から離れる方向に移動することが可能となる(
図3の白抜き矢印方向)。
【0038】
また、回転体昇降制御部22は、サイドダミー線1やセンターダミー線3を把持して移動するグリッパ13が、回転部15の上部を通過する際には、回転部15を下方向に退避し、サイドダミー線1やセンターダミー線3を、回転体16Aと回転体16Bで挟む際には、回転部15を上方向に移動することを可能にしている。
【0039】
また、回転体制御部23は、回転部15及びセンサ19と繋がっており、センサ19が反応している間は回転部15の回転体が回転するように、そして、サイドダミー線1あるいはセンターダミー線3の引抜きが終わり、センサ19が反応しなくなれば、回転部15における回転体の回転を止めるように制御することを可能としている。
【0040】
また、回転体制御部23は、回転部15を構成する回転体間隔調整部17とも繋がっており、サイドダミー線1やセンターダミー線3を、回転部15を構成する回転体16Aと回転体16Bの間に挟むことを可能にしている。
【0041】
次に、
図7に示すフロー図により、本実施形態である中空被覆撚り線製造装置10における、中空被覆撚り線の製造方法について説明する。
【0042】
(第一工程)
まず、被覆線4の端部近傍の被覆を除去し、内包された撚り線の一部を露出させる。その後、露出させた撚り線の撚りをほぐし、グリッパ13で掴みやすいよう、サイドダミー線1、導線2、センターダミー線3をばらけさせる(ステップ1)。
【0043】
(第二工程)
次に、
図3に示すように被覆線4の一方端L1の近傍を第一クランプ11により把持すると共に、他方端L2近傍を第二クランプ12により把持する。そして、不図示のガス注入器により他方端L2から被覆線4内に、ガスを注入すると共に、不図示のクランプ間隔調整部により、第二クランプ12を移動させ、クランプ間隔を調節する(ステップ2)。
【0044】
ここで、被覆線4内にガスを注入するのは、被覆線4を膨らませた状態にし、被覆線4内に空間を形成できるようにして、センターダミー線3を引抜く際の引抜き抵抗を小さくするためである。
【0045】
(第三工程)
そして、被覆線4の一方端L1から突出したセンターダミー線3を、グリッパ13により把持する(ステップ3)。
【0046】
次に、グリッパ13を、所定の速度で、第一クランプ11から離れる方向に、回転部15を跨ぐ位置まで移動させる(ステップ4)。
【0047】
次に、回転部15を、センターダミー線3がちょうど回転体16Aと回転体16Bの間に来るように回転体昇降装置17を上昇させて、回転体16Aと回転体16Bでセンターダミー線3を挟む(ステップ5)。
【0048】
センサ19を用いて、センターダミー線3が回転部15に挟まったことを検知し、回転部15の回転体16A及び回転体16Bが回転を始め、センターダミー線3を引抜く(ステップ6)。
【0049】
ここで、センターダミー線3に回転部15の回転体16A及び回転体16Bから過度の力が加わり、断線をしないように回転制御部23によってトルクを制御する。
【0050】
次に、センターダミー線3が完全に抜き終わるとセンサ19が検知をやめ、回転部15の回転体16A及び16Bも回転を止める(ステップ7)。
【0051】
同様に、ステップ3からステップ7までの動作を、複数のサイドダミー線1に対して繰り返して行う。
そして、すべてのダミー線を引抜くことにより、中空被覆撚り線5を得ることができる。
【0052】
以上のように、本発明によれば、サイドダミー線1やセンターダミー線3を、回転体から外れることなく、確実に被覆線4から引抜くことが可能となるので、効率よく中空被覆撚り線5を製造することができる。
【0053】
また、本発明によれば、長尺の被覆線4に対しても、安定してサイドダミー線1やセンターダミー線3を引抜くことが可能となるので、長尺の中空被覆撚り線専用の製造装置を製作する必要がなくなり、製造コストを抑えることができる。
【0054】
更に、回転体の回転速度を調整することにより、サイドダミー線1やセンターダミー線3を引抜く速度も上げることが可能となるので、製造工数の削減も期待することができる。
【0055】
以上、本発明である中空被覆撚り線の製造装置について、実施形態を用いて説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
特許請求の範囲に記載された技術範囲において、その内容を変更することができるものである。
【符号の説明】
【0056】
1:サイドダミー線
2:導線
3:センターダミー線
4:被覆線
5:中空被覆撚り線
10:中空被覆撚り線製造装置
11:第一クランプ
12:第二クランプ
13:グリッパ
14:グリッパ移動装置
15:回転部
16A、16B、16C:回転体
17:回転体間隔調整部
18:回転体昇降装置
19:センサ
20:制御用パソコン
21:グリッパ移動制御部
22:回転体昇降制御部
23:回転制御部