(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、硬化物、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材
(51)【国際特許分類】
G03F 7/031 20060101AFI20230711BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20230711BHJP
C08G 18/67 20060101ALI20230711BHJP
C08G 18/83 20060101ALI20230711BHJP
C08F 290/14 20060101ALI20230711BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20230711BHJP
C07D 295/192 20060101ALI20230711BHJP
H05K 3/28 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
G03F7/031
G03F7/027 502
C08G18/67 010
C08G18/83
C08F290/14
C08F2/50
C07D295/192 CSP
H05K3/28 D
(21)【出願番号】P 2020513173
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012753
(87)【国際公開番号】W WO2019198490
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2018075376
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/023164(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/195428(WO,A1)
【文献】特開2005-314634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/031
G03F 7/027
C08G 18/67
C08G 18/83
C08F 290/14
C08F 2/50
C07D 295/192
H05K 3/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物の硬化反応物からなる硬化物であって、
前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物の硬化反応物からなる硬化物。
【化1】
[一般式(1)中、
R
1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
2は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1または2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2~4のアルキル基のいずれかを表し、
R
3は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基、またはエトキシエチル基を表し、
R
4~R
7は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、またはフェニル基を表し、
Y
1は、下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)
【化2】
(式中、R
8はそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基、lは0~20の整数、pは
2又は3を表す。)を表し、
X
1はエチレン基を、X
2及びX
3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基を表し、Y
2は、下記構造式
【化3】
(式中、R
19~R
22は、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を表す。)
で表される構造部位(y2-3)であり、
Y
3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキリデン基を表し、かつ、nは1を表す。]
【請求項2】
酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物からなる絶縁材料であって、
前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物からなる絶縁材料。
【化4】
[一般式(1)中、
R
1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
2は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1または2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2~4のアルキル基のいずれかを表し、
R
3は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基、またはエトキシエチル基を表し、
R
4~R
7は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、またはフェニル基を表し、
Y
1は、下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)
【化5】
(式中、R
8はそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基、lは0~20の整数、pは
2又は3を表す。)を表し、
X
1はエチレン基を、X
2及びX
3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基を表し、Y
2は、下記構造式
【化6】
(式中、R
19~R
22は、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を表す。)
で表される構造部位(y2-3)であり、
Y
3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキリデン基を表し、かつ、nは1を表す。]
【請求項3】
酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料であって、
前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料。
【化7】
[一般式(1)中、
R
1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
2は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1または2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2~4のアルキル基のいずれかを表し、
R
3は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基、またはエトキシエチル基を表し、
R
4~R
7は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、またはフェニル基を表し、
Y
1は、下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)
【化8】
(式中、R
8はそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基、lは0~20の整数、pは
2又は3を表す。)を表し、
X
1はエチレン基を、X
2及びX
3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基を表し、Y
2は、下記構造式
【化9】
(式中、R
19~R
22は、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を表す。)
で表される構造部位(y2-3)であり、
Y
3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキリデン基を表し、かつ、nは1を表す。]
【請求項4】
請求項3記載のソルダーレジスト用樹脂材料からなることを特徴とするレジスト部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板向けのソルダーレジスト用樹脂材料としては、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な感光性樹脂組成物が広く用いられている。前記ソルダーレジスト用樹脂材料に対する要求特性としては、少ない露光量で硬化すること、アルカリ現像性に優れること、硬化物における耐熱性や強度、誘電特性等に優れることなど様々なものが挙げられる。
【0003】
従来のソルダーレジスト用樹脂材料としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸と無水フタル酸とを反応させて得られる中間体に、更にテトラヒドロ無水フタル酸を反応させて得られる酸基含有エポキシアクリレート樹脂を含む感光性樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1参照。)、光感度や硬化物における耐熱性が十分ではなく、昨今ますます高まる要求性能を満足するものではなかった。
【0004】
また、前記感光性樹脂組成物は、光硬化時、その後必要に応じて行われる熱硬化時、または実装時のはんだ付けの際に、光重合開始剤などの含有成分が揮発してガス化し、周囲を汚染するアウトガスの問題があった。
【0005】
そこで、光感度及び硬化物における耐熱性に優れ、さらに、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、特定の光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関するものである。
【0010】
【化1】
[一般式(1)中、
R
1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
2は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1または2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2~4のアルキル基のいずれかを表し、
R
3は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基、またはエトキシエチル基を表し、
またR
2とR
3とが一体となって窒素原子と共に環構造を形成するアルキレン基、R
2とR
3とが一体となって窒素原子と共にモルホリン骨格、N-メチルピペラジン骨格、または2,6-ジメチルモルホリン骨格を形成する環構形成部位であってもよく、
R
4~R
7は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、またはフェニル基を表し、
Y
1は、置換基を有しないか、またはハロゲン原子若しくは水酸基を置換基として有する炭素原子数3~19のアルキル基(y1-1)、炭素原子数7~19のアラルキル基(y1-2)、または下記構造式(y1-3)で表される構造部位(y1-3)、
【0011】
【化2】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子又はフェニル基又は炭素原子数1~4のアルキル基、mは0~20の整数を表す。)
【0012】
下記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、
【0013】
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R
10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
【0014】
下記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、
【0015】
【化4】
(式中、R
10は水素原子またはメチル基、R
11は炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数6~18のアリール基を表す。)
【0016】
下記構造式(y1-6)で表される構造部位(y1-6)、
【0017】
【化5】
(式中、R
12は炭素原子数1~18のアルキル基を表す。)
【0018】
下記構造式(y1-7)で表される構造部位(y1-7)、
【0019】
【化6】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
13は水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基又はハロゲン原子、mは0~20の整数を表す。)
【0020】
下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)、
【0021】
【化7】
(式中、R
8はそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
【0022】
下記構造式(y1-9)を表し、
【0023】
【化8】
(式中、R
15は炭素原子数4~18のアルキル基、炭素原子数6~10の脂肪族環状炭化水素基、芳香族基を表す。)
【0024】
X1はエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、X2は水素原子又はメチル基を、X3は水素原子、メチル基、又はエチル基を、或いは、X2及びX3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、或いは、X1、X2、及びX3が、一体的に下記構造式(X-1)で表される、窒素原子と共にビシクロ環を構成する4価の脂肪族炭化水素基を表し、
【0025】
【0026】
Y2は、その構造部位末端に窒素原子又は酸素原子を有する、(n+1)の結合手を持つ有機結節基を表し、Y3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキリデン基を表し、かつ、nは1~3の整数を表す。]
【発明の効果】
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物は、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有しており、また、アウトガスが生じにくいことから、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料、及び前記ソルダーレジスト用樹脂からなるレジスト部材に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される光重合性開始剤(B)とを含有することを特徴とする。
【0029】
【化10】
[一般式(1)中、
R
1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
2は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1または2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2~4のアルキル基のいずれかを表し、
R
3は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基、またはエトキシエチル基を表し、
またR
2とR
3とが一体となって窒素原子と共に環構造を形成するアルキレン基、R
2とR
3とが一体となって窒素原子と共にモルホリン骨格、N-メチルピペラジン骨格、または2,6-ジメチルモルホリン骨格を形成する環構形成部位であってもよく、
R
4~R
7は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、またはフェニル基を表し、
Y
1は、置換基を有しないか、またはハロゲン原子若しくは水酸基を置換基として有する炭素原子数3~19のアルキル基(y1-1)、炭素原子数7~19のアラルキル基(y1-2)、または下記構造式(y1-3)で表される構造部位(y1-3)、
【0030】
【化11】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子又はフェニル基又は炭素原子数1~4のアルキル基、mは0~20の整数を表す。)
【0031】
下記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、
【0032】
【化12】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R
10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
【0033】
下記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、
【0034】
【化13】
(式中、R
10は水素原子またはメチル基、R
11は炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数6~18のアリール基を表す。)
【0035】
下記構造式(y1-6)で表される構造部位(y1-6)、
【0036】
【化14】
(式中、R
12は炭素原子数1~18のアルキル基を表す。)
【0037】
下記構造式(y1-7)で表される構造部位(y1-7)、
【0038】
【化15】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
13は水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基又はハロゲン原子、mは0~20の整数を表す。)
【0039】
下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)、
【0040】
【化16】
(式中、R
8はそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
【0041】
下記構造式(y1-9)を表し、
【0042】
【化17】
(式中、R
15は炭素原子数4~18のアルキル基、炭素原子数6~10の脂肪族環状炭化水素基、芳香族基を表す。)
【0043】
X1はエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、X2は水素原子又はメチル基を、X3は水素原子、メチル基、又はエチル基を、或いは、X2及びX3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、或いは、X1、X2、及びX3が、一体的に下記構造式(X-1)で表される、窒素原子と共にビシクロ環を構成する4価の脂肪族炭化水素基を表し、
【0044】
【0045】
Y2は、その構造部位末端に窒素原子又は酸素原子を有する、(n+1)の結合手を持つ有機結節基を表し、Y3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキリデン基を表し、かつ、nは1~3の整数を表す。]
【0046】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート樹脂」とは、分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の一方または両方を有する樹脂のことをいう。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方または両方のことをいい、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方また両方をいう。
【0047】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)について説明する。
【0048】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、酸基及び(メタ)アクリロイル基を有していればよく、その他の具体構造や分子量等は特に問われず、多種多様な樹脂を用いることができる。
【0049】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)が含有する酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。これらの中でも優れたアルカリ現像性を発現することから、カルボキシル基が好ましい。
【0050】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、例えば、〔1〕エポキシ樹脂(a1-1)と、不飽和モノカルボン酸(a1-2)と、ポリカルボン酸無水物(a1-3)とを必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)、〔2〕フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)と、環状カーボネート化合物(a2-2a)または環状エーテル化合物(a2-2b)と、不飽和モノカルボン酸(a2-3a)及び/またはN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)と、ポリカルボン酸無水物(a2-4)とを必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)、〔3〕酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(a3-1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)と、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)と、ポリカルボン酸無水物(a3-4)とを必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)等が挙げられる。
【0051】
〔1〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)について説明する。
【0052】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)は、エポキシ樹脂(a1-1)と、不飽和モノカルボン酸(a1-2)と、ポリカルボン酸無水物(a1-3)とを必須の反応原料として得られるものである。
【0053】
前記エポキシ樹脂(a1-1)としては、樹脂中に複数のエポキシ基を有しているものであれば、その具体構造は特に限定されない。
【0054】
前記エポキシ樹脂(a1-1)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0055】
前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)とは、一分子中に(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有する化合物をいい、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。これらの不飽和モノカルボン酸(a1-2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0056】
前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)のエステル化物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の窒素含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルホリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル等のその他(メタ)アクリル酸エステル化合物などが挙げられる。
【0057】
前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)の酸ハロゲン化物としては、例えば、(メタ)アクリル酸クロライド等が挙げられる。
【0058】
前記不飽和モノカルボン酸(b1-3)の酸無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸無水物等が挙げられる。
【0059】
前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)は、一分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物の酸無水物であれば、いずれのものも用いることができる。前記ポリカルボン酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物などが挙げられる。
【0060】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の製造方法は、前記エポキシ樹脂(a1-1)、前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)、及び前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)を必須の反応原料とするものであれば特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にエポキシ樹脂(a1-1)と不飽和モノカルボン酸(a1-2)とを反応させ、次いで、ポリカルボン酸無水物(a1-3)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、エポキシ樹脂(a1-1)と不飽和モノカルボン酸(a1-2)とをエステル化反応触媒の存在下、100~150℃の温度範囲で反応させた後、反応系中にポリカルボン酸無水物(a1-3)を加え、90~120℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
【0061】
前記エポキシ樹脂(a1-1)と不飽和モノカルボン酸(a1-2)との反応割合は、エポキシ樹脂(a1-1)中のエポキシ基1モルに対し、不飽和モノカルボン酸(a1-2)を0.9~1.1モルの範囲で用いることが好ましい。また、前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)の反応割合は、エポキシ樹脂(a1-1)中のエポキシ基1モルに対し、0.2~1.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0062】
前記エステル化反応触媒としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、2-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの反応触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0063】
前記反応触媒の添加量は、反応原料の合計100質量部に対して0.001~5質量部の範囲が好ましい。
【0064】
前記エポキシ樹脂(a1-1)、前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)、及び前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)の反応は、必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。用いる有機溶媒の選択は、反応原料及び生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の溶解性や、反応温度条件により適宜選択し得るが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジアルキレングリコールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることも、2種以上を併用し混合溶媒として用いることもできる。
【0065】
前記有機溶媒の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計100質量部に対して10~500質量部の範囲が好ましい。
【0066】
本発明に用いる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~100mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0067】
次に、〔2〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)について説明する。
【0068】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)は、フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)と、環状カーボネート化合物(a2-2a)または環状エーテル化合物(a2-2b)と、不飽和モノカルボン酸(a2-3a)及び/またはN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)と、ポリカルボン酸無水物(a2-4)とを必須の反応原料として得られるものである。
【0069】
前記フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)とは、分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する樹脂をいい、例えば、芳香族ポリヒドロキシ化合物や、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の1種または2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂や、前記フェノール性水酸基を1つ有する化合物と下記構造式(x-1)~(x-5)の何れかで表される化合物(x)とを必須の反応原料とする反応生成物等が挙げられる。
【0070】
【化19】
(式中hは、0または1である。R
1は、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかであり、iは、0または1~4の整数である。Zは、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。Yは、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは1~4の整数である。)
【0071】
前記芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ビフェノール、テトラヒドロキシビフェニル、ビスフェノール等の他、これらの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有する化合物などが挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリール基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアラルキル基などが挙げられる。これらの芳香族ポリヒドロキシ化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、高い絶縁信頼性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、ハロゲンを含有しない化合物が好ましい。
【0072】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の1種または2種以上と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で反応させて得られるものが挙げられる。
【0073】
前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、芳香核上に水酸基を1つ有する芳香族化合物であれば何れの化合物でもよく、例えば、フェノール或いはフェノールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するフェノール化合物、ナフトール或いはナフトールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するナフトール化合物、アントラセノール或いはアントラセノールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するアントラセノール化合物等が挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、それぞれの具体例は前述の通りである。これらのフェノール性水酸基を1つ有する化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0074】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、へキシルアルデヒド等のアルキルアルデヒド;サリチルアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-4-メチルベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド等のヒドロキシ基とアルコキシ基の両方を有するベンズアルデヒド;メトキシベンズアルデヒド、エトキシベンズアルデヒド等のアルコキシベンズアルデヒド;1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド等のヒドロキシナフトアルデヒド;ブロムベンズアルデヒド等のハロゲン化ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0075】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0076】
前記フェノール性水酸基を1つ有する化合物と前記化合物(x)とを必須の反応原料とする反応生成物としては、例えば、前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物と前記化合物(x)とを、酸性触媒下で80~200℃程度の温度条件下で加熱撹拌する方法により得ることができる。前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物と前記化合物(x)との反応割合は、前記化合物(x)1モルに対して、前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物が、0.5~5モルとなる割合であることが好ましい。
【0077】
前記酸性触媒としては、上述したものと同様である。
【0078】
前記環状カーボネート化合物(a2-2a)としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの環状カーボネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、エチレンカーボネート、またはプロピレンカーボネートが好ましい。
【0079】
前記環状エーテル化合物(a2-2b)としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの環状エーテル化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、エチレンオキサイド、またはプロピレンオキサイドが好ましい。
【0080】
前記不飽和モノカルボン酸(a2-3a)としては、上述の不飽和モノカルボン酸(a1-2)と同様のものを用いることができる。
【0081】
前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。また、これらのN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0082】
前記ポリカルボン酸無水物(a2-4)としては、上述のポリカルボン酸無水物(a1-3)と同様のものを用いることができる。
【0083】
前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)を用いる場合、前記ポリカルボン酸無水物(a2-4))との当量比[(a2-3b)/(a2-4))]は、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、0.2~7の範囲が好ましく、0.25~6.7の範囲がより好ましい。
【0084】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にフェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)と、環状カーボネート化合物(a2-2a)または環状エーテル化合物(a2-2b)とを反応させて、次いで、不飽和モノカルボン酸(a2-3a)及び/またはN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)を反応させた後、ポリカルボン酸無水物(a2-4)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、前記フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)と前記前記環状カーボネート化合物(a2-2a)または前記環状エーテル化合物(a2-2b)とを塩基性触媒の存在下、100~200℃の温度範囲で反応させた後、酸性触媒の存在下、不飽和ポリカルボン酸(b2-3a)及び/またはN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)を80~140℃の温度範囲で反応させ、次いで、ポリカルボン酸無水物(a2-4)を加え、80~140℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
【0085】
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、2-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0086】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0087】
前記フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)、前記環状カーボネート化合物(a2-2a)または前記環状エーテル化合物(a2-2b)、前記不飽和モノカルボン酸(a2-3a)及び/または前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)、並びに前記ポリカルボン酸無水物(a2-4)の反応は、必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。用いる有機溶媒の選択は、反応原料及び生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の溶解性や、反応温度条件により適宜選択し得るが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジアルキレングリコールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることも2種以上を併用し混合溶媒として用いることもできる。
【0088】
前記有機溶媒の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計100質量部に対して10~500質量部の範囲が好ましい。
【0089】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の具体的構造は特に限定されず、フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)と、環状カーボネート化合物(a2-2a)または環状エーテル化合物(a2-2b)と、不飽和モノカルボン酸(a2-3a)及び/またはN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)と、ポリカルボン酸無水物(a2-4)とを必須の反応原料とし、樹脂中に酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するものであればよいが、得られる前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)としては、例えば、下記構造式(a-1)で表される構造部位(I)と下記構造式(a-2)で表される構造部位(II)とを繰り返し構造単位とする樹脂構造を有するものや、下記構造式(a-3)で表される構造部位(III)と下記構造式(a-4)で表される構造部位(IV)とを繰り返し構造単位とする樹脂構造を有するものが挙げられる。
【0090】
【化20】
[式中R
2は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~4の炭化水素基である。R
3は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4の炭化水素基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、nは、それぞれ独立に1または2である。R
4は、それぞれ独立にメチレン基または下記構造式(x’-1)~(x’-5)の何れかで表される構造部位である。R
5、R
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基である。また、R
5とR
6とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R
7は、炭素原子数1~12の炭化水素基である。R
8は、水素原子またはメチル基である。xは、前記R
3で表される構造部位、或いは、構造式(a-1)で表される構造部位(I)または構造式(a-2)で表される構造部位(II)とが、*印が付されたR
4を介して連結する結合点である。]
【0091】
【化21】
[式中R
2は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~4の炭化水素基である。R
3は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4の炭化水素基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、nは、それぞれ独立に1または2である。R
4は、それぞれ独立にメチレン基または下記構造式(x’-1)~(x’-5)の何れかで表される構造部位である。R
5、R
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基である。また、R
5とR
6とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R
7は、炭素原子数1~12の炭化水素基である。R
8は、水素原子またはメチル基である。xは、前記R
3で表される構造部位、或いは、構造式(a-3)で表される構造部位(III)または構造式(a-4)で表される構造部位(IV)とが、*印が付されたR
4を介して連結する結合点である。]
【0092】
【化22】
[式中hは、0または1である。R
9は、それぞれ独立して脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかであり、iは、0または1~4の整数である。R
10は、水素原子またはメチル基である。Wは、下記構造式(w-1)または(w-2)である。Yは、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは、1~4の整数である。]
【0093】
【化23】
(式中R
11は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~4の炭化水素基である。R
12、R
13は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基である。また、R
12とR
13とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R
14は、炭素原子数1~12の炭化水素基である。R
15は、水素原子またはメチル基である。)
【0094】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~100mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本発明において、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定される値である。
【0095】
次に、〔3〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)について説明する。
【0096】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)は、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(a3-1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)と、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)と、ポリカルボン酸無水物(a3-4)とを必須の反応原料として得られるものである。
【0097】
前記アミドイミド樹脂(a3-1)としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)や前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂(a3-1)の酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0098】
前記アミドイミド樹脂(a3-1)の具体構造や製造方法は特に限定されず、一般的なアミドイミド樹脂等を広く用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と、ポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
【0099】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(i-1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体などが挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0100】
【化24】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、または構造式(i-1)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0または1~3の整数であり、mは1以上の整数である。]
【0101】
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、高い溶剤溶解性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体、脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体が好ましく、脂環式ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体、脂肪族ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体がより好ましい。
【0102】
また、前記ポリイソシアネート化合物の総質量中における、脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体と、脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体の合計質量の割合が、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましい。
【0103】
また、脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体と、脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体とを併用する場合には、両者の質量比が30/70~70/30の範囲であることが好ましい。
【0104】
前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、分子構造中に複数のカルボキシル基を有する化合物またはその酸無水物であれば具体構造は特に問われず、多種多様な化合物を用いることができる。なお、前記アミドイミド樹脂(a3-1)がアミド基とイミド基の両方を有するためには、系中にカルボキシル基及び酸無水物基の両方が存在している必要があるが、本発明においては、分子中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有する化合物を用いてもよいし、カルボキシル基を有する化合物と酸無水物基を有する化合物とを併用してもよい。
【0105】
前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物等が挙げられる。
【0106】
前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
【0107】
前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
【0108】
前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、本発明では、カルボキシル基または酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
【0109】
前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。
【0110】
これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、或いは前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物が好ましい。また、前記アミドイミド樹脂(a3-1)を効率的に製造できることから、分子構造中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有するトリカルボン酸無水物を用いることが好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物またはトリメリット酸無水物を用いることが特に好ましい。更に、前記ポリカルボン酸またはその酸無水物の総質量に対する脂環式トリカルボン酸無水物と芳香族トリカルボン酸無水物との合計量の割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0111】
前記アミドイミド樹脂(a3-1)が、前記ポリイソシアネート化合物と、前記ポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料とするものである場合、所望の樹脂性能等に応じて、これら以外の反応原料を併用してもよい。この場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、アミドイミド樹脂(a3-1)の反応原料総質量に対する前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリカルボン酸またはその酸無水物との合計質量の割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
【0112】
前記アミドイミド樹脂(a3-1)が、ポリイソシアネート化合物とポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料とするものである場合、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、一般的なアミドイミド樹脂と同様の方法にて製造することができる。具体的には、ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基1モルに対し、0.8~1.2モルのポリカルボン酸またはその酸無水物を用い、120~180℃程度の温度条件下で撹拌混合して反応させる方法が挙げられる。
【0113】
前記ポリイソシアネート化合物とポリカルボン酸またはその酸無水物との反応は、必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジアルキレングリコールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることも、2種以上を併用し混合溶媒として用いることもできる。
【0114】
前記有機溶媒の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計100質量部に対して10~500質量部の範囲が好ましい。
【0115】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)としては、分子構造中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、分子量が1,000以下のものが好ましい。また、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)が、前記オキシアルキレン変性体やラクトン変性体である場合には、重量平均分子量(Mw)が1,000以下であることが好ましい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0116】
前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)は、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、その分子量は、500以下であることが好ましい。さらに、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)の総質量中の前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーの割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0117】
前記ポリカルボン酸無水物(a3-4)としては、上述のポリカルボン酸無水物(a1-3)及びポリカルボン酸無水物(a2-4)と同様である。
【0118】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)は、所望の樹脂性能等に応じて、前記酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(a3-1)、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)及びポリカルボン酸無水物(a3-4)以外に、他の反応原料を併用することもできる。この場合、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)の反応原料総質量中の前記(a3-1)~(a3-4)成分の合計質量の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0119】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、アミドイミド樹脂(a3-1)と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)を反応させ(工程1)、工程1の生成物と(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)とを反応させ(工程2)、工程2の生成物と前記ポリカルボン酸無水物(a3-4)とを反応させる方法で製造することが好ましい。
【0120】
前記工程1は、アミドイミド樹脂(a3-1)と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)とを反応させる工程である。前記反応としては、主に、前記アミドイミド樹脂(a3-1)中の酸基または酸無水物基と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)中の水酸基とが反応する。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)は、酸無水物基との反応性に優れることから、前述の通り、前記アミドイミド樹脂(a3-1)は酸無水物基を有していることが好ましい。前記アミドイミド樹脂(a3-1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)との反応割合は、前記アミドイミド樹脂(a3-1)中の酸基及び酸無水物基の合計に対して、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)を0.9~1.1モルの範囲で用いることが好ましく、特に、前記アミドイミド樹脂(a3-1)中の酸無水物基の合計に対して、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)を0.9~1.1モルの範囲で用いることが好ましい。前記アミドイミド樹脂(a3-1)中の酸無水物基の含有量は、前述した2通りの酸価の測定値の差分、即ち、酸無水物基を開環させた条件での酸価と、酸無水物基を開環させない条件での酸価との差分から算出することができる。
【0121】
前記アミドイミド樹脂(a3-1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)との反応は、例えば、エステル化反応触媒の存在下、90~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。前記エステル化反応触媒としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、2-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの反応触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0122】
前記反応触媒の添加量は、反応原料の合計100質量部に対して0.001~5質量部の範囲が好ましい。
【0123】
前記工程1の反応は、必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。用いる有機溶媒の選択は、反応原料及び生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の溶解性や、反応温度条件により適宜選択し得るが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジアルキレングリコールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることも、2種以上を併用し混合溶媒として用いることもできる。前記アミドイミド樹脂(a3-1)の製造と工程1とを連続して行う場合には、前記アミドイミド樹脂(a3-1)の製造で用いた有機溶媒中でそのまま反応を続けてもよい。
【0124】
前記工程2は、前記工程1で得られた生成物と(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)とを反応させる工程である。前記反応としては、主に、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)と、前記工程1の生成物中のカルボキシル基とが反応する。その反応割合は、工程1の生成物中のカルボキシル基に対して、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)を0.5~1.2モルの範囲で用いることが好ましく、0.9~1.1モルの範囲で用いることがより好ましい。工程2の反応は、例えば、エステル化反応触媒の存在下、90~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。工程1と工程2とを連続して行う場合、エステル化反応触媒は追加しなくてもよいし、適宜追加してもよい。また、反応は必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。
【0125】
前記工程3は、前記工程2で得られた生成物とポリカルボン酸無水物(a3-4)とを反応させる工程である。前記反応としては、主に、前記ポリカルボン酸無水物(a3-4)と、前記工程2の生成物中の水酸基とが反応する。その反応割合は、最終生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)の酸価が50~100mgKOH/g程度になるよう調整されることが好ましい。前記工程3の反応は、例えば、エステル化反応触媒の存在下、90~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。工程2と工程3とを連続して行う場合、エステル化反応触媒は追加しなくてもよいし、適宜追加してもよい。また、反応は必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。
【0126】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~100mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0127】
前記光重合開始剤(B)について説明する。
【0128】
前記光重合開始剤(B)としては、下記一般式(1)で表される化合物を用いる。
【0129】
【0130】
本発明では上記した一般式(1)中、下記構造式
【0131】
【化26】
で表される構造部位が光照射によってラジカルを発生させることにより重合開始剤として機能するものである。本発明では比較的分子量が大きくそのラジカル発生部位の量が相対的に少なくなるにも拘わらず、優れた硬化性を発現させることは特筆すべき点である。
【0132】
ここで、前記一般式(1)中、R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、;s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基等の炭素原子数1~10のアルキル基を表す。これらの中でも光照射により発生したラジカルの反応性の点からエチル基であることが好ましい。
【0133】
次に、前記一般式(1)中、R2及びR3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素原子数1~12の直鎖状または分岐上のアルキル基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等の炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基;
メトキシエチル基;エトキシエチル基;R2及びR3が一体となって窒素原子と共に環構造を形成するアルキレン基、即ち
【0134】
【0135】
【化28】
で表されるピロリジン構造やピペリジン構造を形成するブチレン基、ペンテン基;R
2及びR
3と一体となって窒素原子と共にモルホリン骨格、N-メチルピペラジン骨格、2,6-ジメチルモルホリン骨格を形成する環構形成部位、即ち
【0136】
【0137】
【化30】
を形成する構造部位を表す。これらの中でも特に合成上の収率の高さの点から炭素原子数1~12の直鎖状または分岐上のアルキル基が好ましい。
【0138】
前記一般式(1)中、R4~R7は、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素原子数1~8のアルキル基;又はフェニル基を表す。これらの中でも、原料の入手の容易さの点からR4~R7の全てが水素原子であることが好ましい。
【0139】
また、前記一般式(1)中、X1はエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、又は2,3-プロピレン基を表し、X2は水素原子又はメチル基を、X3は水素原子、メチル基、又はエチル基を、或いは、X2及びX3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、或いは、X1、X2、及びX3が、一体的に下記構造式(X-1)
【0140】
【化31】
で表される、窒素原子と共にビシクロ環を構成する4価の脂肪族炭化水素基を表す。
【0141】
これらの中でも上記X1、X2、及びX3と窒素原子とにより構成される下記部分構造式
【0142】
【化32】
(式中*は他の構造部位との結合手を表す。)
で表される構造部位として、
【0143】
【化33】
(式中*は他の構造部位との結合手を表す。)
などが挙げられるが、前記一般式(1)で表される化合物の製造方法の[工程V]における収率が高くなる点から、下記構造式
【0144】
【0145】
次に、一般式(1)中、Y1は、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1-メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル基等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基;1-フルオロプロピル基、1,1,1-トリフルオロプロピル基、1,1,1-トリフルオロブチル基、2-トリフルオロメチルプロピル基、1,1,1,2,2-ペエンタフルオロプロピル基、1,1,1,2,2-ペエンタフルオロペンチル基、1,1,1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3-ペンタフルオロブチル基、2-(パーフルオロブチル)エチル基、1-クロロプロピル基、1,1,1-トリクロロプロピル基、1-クロロブチル基、1,1,1-トリクロロブチル基、1-クロロヘキシル基、1,1,1-トリクロロヘキシル基、1-クロロドデシル基、1,1,1-トリクロロドデシル基、1-クロロオクタデシル基、1,1,1-トリクロロオクタデシル基;1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、1-ヒドロキシヘキシル基、1-ヒドロキシドデシル基、1-ヒドロキシオクタデシル基等の置換基を有しないか、又はハロゲン原子若しくは水酸基を置換基として有する炭素原子数3~18のアルキル基(y1-1);ベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基、ヒドロキシベンジル基、フェネチル基、フェニルベンジル基、メトキシフェニルベンジル基、ナフチルメチル基、メトキシナフチルメチル基、フェニルプロピル基、フェニルプロペニル基、フェノキシベンジル基、メチルチオベンジル基、ターフェニルメチル基等の炭素原子数7~19のアラルキル基(y1-2);
【0146】
下記構造式(y1-3)で表される構造部位(y1-3)、
【0147】
【化35】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子又はフェニル基又は炭素原子数1~4のアルキル基、mは0~20の整数を表す。)
【0148】
下記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、
【0149】
【化36】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R
10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
【0150】
下記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、
【0151】
【化37】
(式中、R
10は水素原子またはメチル基、R
11は炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数6~18のアリール基を表す。)
【0152】
下記構造式(y1-6)で表される構造部位(y1-6)、
【0153】
【化38】
(式中、R
12は炭素原子数1~18のアルキル基を表す。)
【0154】
下記構造式(y1-7)で表される構造部位(y1-7)、
【0155】
【化39】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
13は水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基又はハロゲン原子、mは0~20の整数を表す。)
【0156】
下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)、
【0157】
【化40】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数5~18の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
【0158】
下記構造式(y1-9)で表される構造部位(y1-9)が挙げられる。
【0159】
【化41】
(式中、R
15は炭素原子数4~18のアルキル基、炭素原子数6~10の脂肪族環状炭化水素基、芳香族基を表す。)
【0160】
ここで前記構造式(y1-3)中、R8の炭素原子数2~4のアルキレン基としては、n-プロピレン基、1,2-プロプレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基等が挙げられ、また、R9における炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、若しくはs-ブチル基等が挙げられる。
【0161】
前記構造部位(y1-4)中のR8及びR9は前記構造式(y1-3)と同義である。
【0162】
前記構造式(y1-5)中、R11の炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数1~18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、;s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1-メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル基等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、他方、炭素原子数6~18のアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、及びホスホナトフェニル基等が挙げられる。
【0163】
前記構造式(y1-6)中、R12の炭素原子数1~18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、;s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1-メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル基等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0164】
前記構造式(y1-7)中のR8は、構造部位(y1-3)におけるR8と同義であり、R13の炭素原子数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、フッ素原子が挙げられる。
【0165】
前記構造式(y1-8)中のR8は、構造部位(y1-3)におけるR8と同義であり、R14におけるp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基とは、グリセロール残基、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基等の脂肪族多価アルコール残基;n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基、1,7-ヘプタンジイル基、1,8-オクタンジイル基、1,9-ノナンジイル基、1,10-デカンジイル基、3,8-デカンジイル基、1,11-ウンデカンジイル基、1,12-ドデカンジイル基、1,13-トリデカンジイル基、1,14-テトラデカンジイル基、1,15-ペンタデカンジイル基、1,16-ヘキサデカンジイル基、1,17-ヘプタデカンジイル基、1,18-オクタデカンジイル基、1,19-ノナデカンジイル基、1,20-エイコサンジイル基、1,21-ヘネイコサンジイル基、1,22-ドコサンジイル基、1,23-トリコサンジイル基、1,24-テトラコサンジイル基、1,25-ペンタコサンジイル基が挙げられる。
【0166】
ここで残基とは、多価アルコールの水酸基を除く炭化水素構造部位を示す。
【0167】
以上詳述した一般式(1)中のY1で示される構造部位の中でも特に、前記炭素原子数3~18のアルキル基(y1-1)、前記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、前記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、前記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)が、前記一般式(1)で表される化合物の合成時におけるY1の導入が容易であることに加え、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が得られることから好ましく、前記構造部位(y1-8)がより好ましい。
【0168】
次に、前記一般式(1)中の下記構造式1aで表される構造部位は、上記した各種構造から任意に選択しうるが、該構造式1aで示される部分の総質量数が300~2000であることが高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が得られることから好ましい。
【0169】
【化42】
(構造式1a中、X
1、X
2、X
3、R
4~R
7、及びY
1は一般式(1)と同義である。)
【0170】
次に、前記一般式(1)中、Y2は、前記した通り、該構造部位末端に窒素原子又は酸素原子を有する、(n+1)の結合手を持つ有機結節基であるが、具体的には、下記に示す構造部位(y2-1)~(y2-6)からなる群から選択されるアミド結合形成タイプの構造部位、又は、下記に示す構造部位(y2-7)~(y2-9)で表されるエステル結合形成タイプの構造部位が原料の入手が容易であり、また、反応の制御が容易である点から好ましい。
【0171】
ここで前記構造部位(y2-1)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-1)で表される構造部位である。
【0172】
【化43】
(式中、R
16は炭素原子数2~18の直鎖又は環状のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基、炭素原子数1~3のアルキル基を核置換基として有するフェニレン基、炭素原子数1~3のアルキル基を核置換基として有するキシリレン基を表す。)
【0173】
前記構造式(y2-1)中のR16を構成する炭素原子数2~18の直鎖又は環状のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基、1,7-ヘプタンジイル基、1,8-オクタンジイル基、1,9-ノナンジイル基、1,10-デカンジイル基、3,8-デカンジイル基、1,11-ウンデカンジイル基、1,12-ドデカンジイル基、1,13-トリデカンジイル基、1,14-テトラデカンジイル基、1,15-ペンタデカンジイル基、1,16-ヘキサデカンジイル基、1,17-ヘプタデカンジイル基、1,18-オクタデカンジイル基、1,4-シクロヘキサンジイル基が挙げられる。
【0174】
また、前記構造式(y2-1)中の、炭素原子数1~3のアルキル基を核置換基として有するフェニレン基としては、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、n-プロピルフェニレン基、i-プロピルフェニレン基が挙げられ、また、炭素原子数1~3のアルキル基を核置換基として有するキシリレン基としては、メチルキシリレン基、エチルキシリレン基、n-プロピルキシリレン基、i-プロピルキシリレン基が挙げられる。
【0175】
これらの中でも、該構造部位(y2-1)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0176】
【0177】
前記構造部位(y2-2)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式で表されるものである。
【0178】
【化44】
(式中、R
17は炭素原子数2~6の直鎖状、分岐状のアルキレン基又はフェニレン基を、R
18は炭素原子数2~6の直鎖状、分岐状のアルキレン基又はフェニレン基を、qは0~12の整数を表す。)
【0179】
ここで、一般式(y2-2)中のR17及びR17を構成する炭素原子数2~6の直鎖状、分岐状のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基が挙げられる。
【0180】
斯かる構造部位(y2-2)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0181】
【化45】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0182】
前記構造部位(y2-3)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-3)で表されるものである。
【0183】
【化46】
(式中、R
19~R
22は、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を表す。)
【0184】
ここでR19~R22を構成する炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基が挙げられる。
【0185】
斯かる構造部位(y2-3)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0186】
【化47】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0187】
前記構造部位(y2-4)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-4)で表されるものである。
【0188】
【化48】
(式中、R
23は、酸素原子、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、2,2-プロピレン基、又は1,3-プロピレン基を表す。)
【0189】
斯かる構造部位(y2-4)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0190】
【化49】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0191】
前記構造部位(y2-5)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-5)で表されるものである。
【0192】
【化50】
(式中、R
24は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を、R
25は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を、R
26は、酸素原子、メチレン基、2,2-プロピレン基、スルホニル基、又はカルボニル基を表す。)
【0193】
ここでR24又はR25を構成する炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基が挙げられる。
【0194】
斯かる構造部位(y2-5)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0195】
【化51】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0196】
前記構造部位(y2-6)は、前記一般式(1)中のnが2又は3であり、かつ、下記構造式(y2-6)で表されるものである。
【0197】
【化52】
(式中、R
27は炭素原子数2~6のアルキレン基、R
28は炭素原子数4~12の結合手数が(n+1)価の炭化水素基、rは0~3の整数である。)
【0198】
ここで、R27を構成する炭素原子数2~6のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基が挙げられ、R28を構成する炭素原子数4~12の結合手数が(n+1)価の炭化水素基としては、多価アルコールの残基が挙げられ、例えば、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基、グリセリロール残基、ジトリメチロールプロパン残基が挙げられる。ここで、「残基」とは、該当する多価アルコールから水酸基を除いた炭化水素構造部位である。
【0199】
斯かる構造部位(y2-6)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0200】
【化53】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0201】
次にエステル結合形成タイプの構造部位である構造部位(y2-7)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-7)で表されるものである。
【0202】
【化54】
(式中、R
29は炭素原子数2~18の直鎖、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基を表す。)
【0203】
ここで、R29を構成する炭素原子数2~18の直鎖、分岐状又は環状のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基、1,7-ヘプタンジイル基、1,8-オクタンジイル基、1,9-ノナンジイル基、1,10-デカンジイル基、3,8-デカンジイル基、1,11-ウンデカンジイル基、1,12-ドデカンジイル基、1,13-トリデカンジイル基、1,14-テトラデカンジイル基、1,15-ペンタデカンジイル基、1,16-ヘキサデカンジイル基、1,17-ヘプタデカンジイル基、1,18-オクタデカンジイル基、1,4-シクロヘキサンジイル基が挙げられる。
【0204】
斯かる構造部位(y2-7)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジオール化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0205】
【化55】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0206】
次に、エステル結合形成タイプの構造部位である構造部位(y2-8)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-8)で表されるものである。
【0207】
【化56】
(式中、R
30は、それぞれ独立して炭素原子数2~6のアルキレン基を、qは1~20の整数を表す。)
【0208】
ここで、R30を構成する炭素原子数2~6のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基が挙げられる。
【0209】
斯かる構造部位(y2-8)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジオール化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0210】
【化57】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0211】
エステル結合形成タイプの構造部位である構造部位(y2-9)は、前記一般式(1)中のnが2又は3であり、かつ、下記構造式(y2-9)で表されるものである。
【0212】
【化58】
(式中、R
31は炭素原子数4~12の結合手数が(n+1)価の炭化水素基、R
32は炭素原子数2~6のアルキレン基、sは0~3の整数である)
【0213】
ここで、R31を構成する炭素原子数4~12の結合手数が(n+1)価の炭化水素基としては、多価アルコールの残基が挙げられ、例えば、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基、グリセリロール残基、ジトリメチロールプロパン残基が挙げられる。ここで、「残基」とは、該当する多価アルコールから水酸基を除いた炭化水素構造部位である。
【0214】
また、R32を構成する炭素原子数2~6のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基が挙げられる。
【0215】
斯かる構造部位(y2-9)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジオール化合物の入手が容易である点から好ましい。
【0216】
【化59】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0217】
以上詳述した一般式(1)中、Y2の中でも、特に構造部位(y2-1)~(y2-6)からなる群から選択されるアミド結合形成タイプの構造部位が生成物の化学的安定性に優れる点から好ましく、特に構造部位(y2-1)、構造部位(y2-2)、構造部位(y2-3)が原料の入手の容易さと光硬化性に優れる点から好ましい。とりわけ、下記構造から選択される構造部位(y2-3)が、中間体が結晶化しやすく製造上で容易に精製が可能である点から好ましい。
【0218】
【化60】
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
【0219】
次に、一般式(1)中のY3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数2又は3のアルキリデン基を表し、炭素原子数1~3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基が挙げられ、炭素原子数2又は3のアルキリデン基としてはエチリデン基、プロピリデン基が挙げられる。
【0220】
これらの中でも当該構造部位を構成する原料成分であるベンジルブロミド誘導体の入手の容易さの点から単結合、または炭素原子数2若しくは3のアルキリデン基が好ましく、特に光照射後の分解物の安全性の観点からは炭素原子数2又は3のアルキリデン基が好ましい。
【0221】
以上詳述した一般式(1)で表される化合物は、更に具体的には、例えば、以下の表1~表12に示す化合物M1~M86のものが挙げられる。
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
上記したM1~M86の化合物の中でも、特に、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物を得ることができ、また、原料の入手も容易である点から、M1、M4、M7、M14、M23、M28、M31、M32、M41、M43、M45、M50、M55、M64、及びM78の化合物が好ましい。
【0235】
上記した一般式(1)で表される化合物は、下記[工程I]~[工程VI]を経て工業的に生産することができる。
【0236】
[工程I]
ハロゲン化ベンゼンと、α位にハライド原子を有する酸ハライド化合物とを反応させて、カルボニルのα炭素原子上にハロゲン原子を持つアルキルアセトフェノン誘導体を合成する。[工程I]の反応は無水塩化アルミの存在下でフリーデルクラフト-アシル化反応によって行うことができる。 ここで、前記ハロゲン化ベンゼンとしては、フッ化ベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等が挙げられる。また、前記したα位にハライド原子を有する酸ハライド化合物としては、 2-ブロモプロピオン酸ブロミド、2-ブロモプロピオン酸クロリド、2-ブロモ吉草酸ブロミド、2-ブロモ吉草酸クロリド、2-ブロモヘキサン酸ブロミド、2-ブロモオクタン酸ブロミド等が挙げられる。
【0237】
[工程II]
次いで、2級モノアミン化合物(HN(R2)(R3))を反応させてα位をアミノ基に変換する。ここで使用する2級モノアミン化合物(HN(R2)(R3))としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルドデシルアミン、エチルヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジイソブタノールアミン、2,2’-ジエトキシジエチルアミン、2,2’-ジメトキシジエチルアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、N-メチルピペラジン、2,6-ジメチルモルホリン等が挙げられる。反応条件は、例えば炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩や、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミン等の塩基の存在下、0℃~80℃の温度条件にて行うことができる。また、2級アミンを塩基として作用させる場合には過剰量用いて製造することができる。
【0238】
[工程III]
次いで、置換基(-Y3-C(=O)-OR)を芳香核上の置換基として有するベンジルブロミド(ここで、Rはアルキル基または水素原子である)をアセトフェノン誘導体の三級アミンに反応させて四級アンモニウム塩に導き、その後、アルカリ処理によって、1.2-転位反応(スティーブンス転移)を行い、一般式3で表されるα―アミノアセトフェノン中間体化合物A(一般式3)を合成する。こうして得られたα―アミノアセトフェノン中間化合物(一般式3)はアセトフェノン部の芳香環上にハロゲン原子を有し、かつ、α位に置換したベンジル基の芳香環上にカルボキシル基を有するものとなる。
【0239】
【化61】
(上記反応式中、「Hal」はハロゲン原子を表す。)
【0240】
ここで、置換基(-Y3-C(=O)-OR)を芳香核上の置換基として有するベンジルブロミドにおけるY3は、前記した通り、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数2又は3のアルキリデン基であるが、特に、単結合、メチレン基、又はエチリデン基であることが原料の入手の容易さの点から好ましく、Rは、水素原子、又は、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましく、よって、置換基(-Y3-C(=O)-OR)を芳香核上の置換基として有するベンジルブロミド化合物(ここで、Rはメチル基、エチル基または水素原子である)としては、例えば、ブロモメチル安息香酸メチル、2-[4-(ブロモメチル)フェニル]]プロピオン酸メチル、2-[4-(ブロモメチル)フェニル]]酢酸エチル等が挙げられる。
【0241】
また、[工程III]における四級アンモニウム化は20~100℃で行い、続く、1.2-転位反応(スティーブンス転移)は水酸化ナトリウム水溶液を塩基に用いて20~80℃にて行うことができる。
【0242】
[工程IV]
次に、前記α―アミノアセトフェノン中間化合物(一般式3)のカルボキシル基と二官能以上の1級または2級アミンまたは二官能以上のアルコール(一般式4)を縮合反応させ、それぞれポリアミド化合物およびポリエステル化合物である中間体化合物Bへ誘導する。
【0243】
例えば、一般式4で表される化合物として二官能のジアミンを用いる場合は、α-アミノアセトフェノン中間化合物(一般式3)の2モルに対して二官能のジアミンの1モルを反応させ、2つのアミド基が対称的な分子構造となる中間体化合物Bを合成することができる。具体的には、一般式3で表されるα-アミノアセトフェノン中間化合物の芳香環上に配置されたカルボキシル基を、塩化チオニル等を使用して酸塩化物に変換してから二官能以上のアミンと反応させる方法、一般式3で表されるα-アミノアセトフェノン中間化合物をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の活性エステル化試剤を使用して二官能以上のアルコールと反応させる方法、一般式3で表されるα-アミノアセトフェノン中間化合物を無水酢酸等の酸無水物を使用して混合酸無水物に変換してから二官能以上のアルコールと反応させる方法などが挙げられる。
【0244】
他方、一般式4で表される化合物として二官能以上のアルコールを用いる場合の中間体化合物Bの合成法は、一般式3の中間化合物の芳香環上に配置されたカルボキシル基を、塩化チオニル等を使用して酸塩化物に変換してから二官能以上のアルコールと反応させる方法、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を使用して脱水縮合により二官能以上のアルコールと反応させる方法、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の活性エステル化試剤を使用して二官能以上のアルコールと反応させる方法、無水酢酸等の酸無水物を使用して混合酸無水物に変換してから二官能以上のアルコールと反応させる方法などが挙げられる。
【0245】
【化62】
(上記反応式中、「Hal」はハロゲン原子を表す。)
【0246】
ここで、一般式4で表される化合物のうち、1級または2級アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、1,5-ジアミノペンタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,6-ジアミノヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、2,2´-ジアミノ-N-メチルジエチルアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、N-(3-アミノプロピル) -N-メチル-1,3-プロパンジアミン、1,10-ジアミノドデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,18-ジアミノオクタデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2,3-ジメチルピペラジン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ホモピペラジン、N,N´-ジメチルエチレンジアミン、N,N´-エチレンジエチルジアミン、N,N´-ビス[2-(メチルアミノ)エチル]メチルアミン、1,1-トリス(アミノメチル)エタン, エチリジントリス(メチルアミン) 等のアルキルアミン;2,2’―オキシビス(エチルアミン)、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン、3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-ジアミン、4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン、3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン-1,14-ジアミン等のポリアルキレンエーテルアミン;m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3´-ジメチルベンジジン、3,3´-ジエチルベンジジン、3,3´-ジメトキシベンジジン、3,3´,5,5´-テトラメチルベンジジン、2,2´-ジメチルベンジジン、1,3,5-トリス(4-アミノフェニル)ベンゼン、2,7-ジアミノフルオレン、4,4´-ジアミノベンゾフェノン、3,3´-ジアミノベンゾフェノン、3,3´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-エチレンジアニリン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4´-ジアミノジフェニルスルホン、3,3´-ジアミノジフェニルスルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4´-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミンが挙げらる。
【0247】
一方、一般式4で表される化合物のうち、二官能以上のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-イコサンジオール等の直鎖のアルキレンジオールおよびこれらのエチレンオキシド変性物やプロピレンオキシド変性物;ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のエーテルグリコール;前記直鎖のアルキレンジオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記直鎖のアルキレンジオールと、ε-カプロラクトン等の種々のラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール等の二官能型水酸基含有化合物;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールおよびこれらのエチレンオキシド変性物やプロピレンオキシド変性物等の3官能以上のポリオールが挙げられる。
【0248】
[工程V]
その後、中間体化合物Bの分子の末端部分のアリールハロゲン部を、一般式5で表される二官能性の環状アミンで置換して、分子の末端が二級アミンである中間生成物Cを合成する。
【0249】
【0250】
斯かる反応は、60℃~160℃の温度条件にて行うことができる。この際、系内で発生する酸の捕捉剤として過剰に一般式5で表される二官能性の環状アミンを使用することのほか、炭酸カリウムなどの無機炭酸塩を使用することができる。ここで、一般式5で表される二官能性の環状アミンとしては、例えば、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2,3-ジメチルピペラジン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ホモピペラジン等が挙げられる。
【0251】
[工程VI]
次いで、最終の反応として、[工程V]で得られた中間体化合物Cの構造末端に位置する二級アミンに対して、(メタ)アクリル酸エステル化合物化合物、イソシアン酸エステル、グリシジルエーテル、又はアルキルハライドと反応させることにより前記一般式(1)で表される化合物を製造することができる。具体的には、[工程VI]は、中間体化合物Cに反応させる化合物により以下の(工程VI-1)~(工程VI-9)に分類することができる。
【0252】
(工程VI-1)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンに対して、下記反応式中、Hal-R’で表される、炭素原子数3~18のハロゲン化アルカンを反応させることにより(なお、該アルカンは反応に関与しないハロゲン原子又は水酸基を有していてもよい。)、Y1が、置換基を有しないか、又はハロゲン原子若しくは水酸基を置換基として有する炭素原子数3~18のアルキル基(y1-1)である、下記一般式1-1で表される化合物を製造することができる。
【0253】
【化64】
(式中、Halはハロゲン原子、R’はハロゲン原子又は水酸基を有していてもよいアルキル基である。)
【0254】
ここで、Hal-R’で表される炭素原子数3~18のハロゲン化アルカンとしては、1-クロロプロパン、2-クロロプロパン、1-クロロブタン、2-クロロブタン、2-メチル-2-クロロプロパン、2-メチル-1-クロロプロパン、1-クロロペンタン、2-クロロペンタン、3-クロロペンタン、2-クロロ-2-メチルブタン、1-クロロ-2-エチルブタン、1-クロロヘキサン、2-クロロヘキサン、3-クロロヘキサン、2-クロロ-メチル-ペンタン、1-クロロヘプタン、2-クロロヘプタン、3-クロロヘプタン、1-クロロオクタン、2-クロロオクタン、3-クロロオクタン、1-クロロ-1,1,3,3-テトラメチルブタン、1-クロロ-2,2,4,4-テトラメチルブタン、1-クロロ-3-メチルへプタン、1-クロロ-2-エチルヘキサン、1-クロロノナン、2-クロロノナン、3-クロロノナン、1-クロロ-1,1,3-トリメチルヘキサン、1-クロロ-1,1,3,3-テトラメチルペンタン、1-クロロデカン、2-クロロデカン、3-クロロデカン、1-クロロ-1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキサン、1-クロロ-8-メチル-ノナン、1-クロロウンデカン、2-クロロウンデカン、3-クロロウンデカン、1-クロロドデカン、2-クロロドデカン、3-クロロドデカン、1-クロロトリデカン、2-クロロトリデカン、3-クロロトリデカン、1-クロロテトラデカン、2-クロロテトラデカン、3-クロロテトラデカン、1-クロロペンタデカン、2-クロロペンタデカン、3-クロロペンタデカン、1-クロロヘキサデカン、2-クロロヘキサデカン、3-クロロヘキサデカン、1-クロロヘプタデカン、2-クロロヘプタデカン、3-クロロヘプタデカン、1-クロロオクタデカン、2-クロロオクタデカン、3-クロロオクタデカン等のクロロアルカン;1-プロモプロパン、2-ブロモプロパン、1-ブロモブタン、2-ブロモブタン、2-メチル-2-ブロモプロパン、2-メチル-1-ブロモプロパン、1-ブロモペンタン、2-ブロモペンタン、3-ブロモペンタン、2-ブロモ-2-メチルブタン、1-ブロモ-2-エチルブタン、1-プロモヘキサン、2-プロモヘキサン、3-ブロモヘキサン、2-ブロモ-メチル-ペンタン、1-ブロモヘプタン、2-ブロモヘプタン、3-プロモヘプタン、1-ブロモオクタン、2-ブロモオクタン、3-ブロモオクタン、1-ブロモ-1,1,3,3-テトラメチルブタン、1-ブロモ-2,2,4,4-テトラメチルブタン、1-ブロモ-3-メチルへプタン、1-ブロモ-2-エチルヘキサン、1-ブロモノナン、2-ブロモノナン、3-ブロモノナン、1-ブロモ-1,1,3-トリメチルヘキサン、1-ブロモ-1,1,3,3-テトラメチルペンタン、1-ブロモデカン、2-ブロモデカン、3-ブロモデカン、1-ブロモ-1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキサン、1-ブロモ-8-メチル-ノナン、1-ブロモウンデカン、2-ブロモウンデカン、3-ブロモウンデカン、1-ブロモドデカン、2-ブロモドデカン、3-ブロモドデカン、1-ブロモトリデカン、2-ブロモトリデカン、3-ブロモトリデカン、1-ブロモテトラデカン、2-ブロモテトラデカン、3-ブロモテトラデカン、1-ブロモペンタデカン、2-ブロモペンタデカン、3-ブロモペンタデカン、1-ブロモヘキサデカン、2-ブロモヘキサデカン、3-ブロモヘキサデカン、1-ブロモヘプタデカン、2-ブロモヘプタデカン、3-ブロモヘプタデカン、1-ブロモオクタデカン、2-ブロモオクタデカン、3-ブロモオクタデカン等のブロモアルカン;1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1-ヨードブタン、2-ヨードブタン、2-メチル-2-ヨードプロパン、2-メチル-1-ヨードプロパン、1-ヨードペンタン、2-ヨードペンタン、3-ヨードペンタン、2-ヨード-2-メチルブタン、1-ヨード-2-エチルブタン、1-ヨードヘキサン、2-ヨードヘキサン、3-ヨードヘキサン、2-ヨード-メチル-ペンタン、1-ヨードヘプタン、2-ヨードヘプタン、3-ヨードヘプタン、1-ヨードオクタン、2-ヨードオクタン、3-ヨードオクタン、1-ヨード-1,1,3,3-テトラメチルブタン、1-ヨード-2,2,4,4-テトラメチルブタン、1-ヨード-3-メチルへプタン、1-ヨード-2-エチルヘキサン、1-ヨードノナン、2-ヨードノナン、3-ヨードノナン、1-ヨード-1,1,3-トリメチルヘキサン、1-ヨード-1,1,3,3-テトラメチルペンタン、1-ヨードデカン、2-ヨードデカン、3-ヨードデカン、1-ヨード-1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキサン、1-ヨード-8-メチル-ノナン、1-ヨードウンデカン、2-ヨードウンデカン、3-ヨードウンデカン、1-ヨードドデカン、2-ヨードドデカン、3-ヨードドデカン、1-ヨードトリデカン、2-ヨードトリデカン、3-ヨードトリデカン、1-ヨードテトラデカン、2-ヨードテトラデカン、3-ヨードテトラデカン、1-ヨードペンタデカン、2-ヨードペンタデカン、3-ヨードペンタデカン、1-ヨードヘキサデカン、2-ヨードヘキサデカン、3-ヨードヘキサデカン、1-ヨードヘプタデカン、2-ヨードヘプタデカン、3-ヨードヘプタデカン、1-ヨードオクタデカン、2-ヨードオクタデカン、3-ヨードオクタデカン等のヨードアルカンが挙げられる。
【0255】
また、Hal-R’で表される炭素原子数3~18のハロゲン化アルカンが、該アルカン構造上に更にハロゲン原子を有する場合には、1-ブロモ-3-フルオロプロパン、1-ブロモ-3-クロロプロパン、1-ヨード-3-フルオロプロパン、1-ヨード-3-クロロプロパン、1-ブロモ-2-フルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロ-3-ヨードプロパン、1,1,1,2,2-ペエンタフルオロ-3-ヨードプロパン、1-ブロモ-4-フルオロブタン、1-ブロモ-3-フルオロブタン、1-ブロモ-4-クロロロブタン、1,1,1-トリフルオロ-4-ヨードブタン、1,1,1,2,2,3,3-ペンタフルオロ-4-ヨードブタン、1-ブロモ-5-フルオロペンタン、1-ヨード-5-フルオロペンタン、1,1,1,2,2-ペエンタフルオロ-5-ヨードベンタン、1-ブロモ-6-フルオロヘキサン、1-ヨード-6-フルオロヘキサン、1,1,1-トリクロロ-6-ヨードヘキサン、1-ブロモ-7-フルオロヘプタン、1-ヨード-7-フルオロヘプタン、1-ブロモ-8-フルオロオクタン、1-ヨード-8-フルオロオクタン、1-ブロモ-9-フルオロノナン、1-ヨード-9-フルオロノナン、1-ブロモ-10-フルオロデカン、1-ヨード-10-フルオロデカン、1-ブロモ-12-フルオロドデカン、1-ヨード-12-フルオロドデカン、1-ブロモ-18-フルオロオクタデカン、1-ヨード-18-フルオロオクタデカン、1,1,1-トリクロロ-18-ヨードオクタデカン等が挙げられる。
【0256】
更に、Hal-R’で表される炭素原子数3~18のハロゲン化アルカンが、該アルカン構造上に更に水酸基を有する場合には、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-ヨード-2-メチル-2-ブタノール、4-ブロモ-2-メチル-2-ブタノール、1-ヨード-2-メチル-2-プロパノール、1-ブロモ-2-メチル-2-プロパノール、1-ヨード-4-ブタノール、1-ブロモ-4-ブタノール、1-ヨード-2-ブタノール、1-ブロモ-2-ブタノール、5-ヨード-1-ペンタノール、5-ブロモ-1-ペンタノール、1-ヨード-6-ヘキサノール、1-ブロモ-6-ヘキサノール、5-ヨード-3-メチル-1-ペンタノール、5-ブロモ-3-メチル-1-ペンタノール、1-ヨード-8-オクタノール、1-ブロモ-8-オクタノール、1-ヨード-12-ドデカノール、1-ブロモ-12-ドデカノール、1-ヨード-18-オクタデカノール、1-ブロモ-18-オクタデカノール等が挙げられる。
【0257】
また、この(工程VI-1)における反応は、N,N-ジメチルホルムアミド等の極性溶媒中、炭酸カリウム等の炭酸塩を塩基性触媒として使用するか、又は、ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化溶媒中、トリエチルアミン等の3級アミンを塩基性触媒として使用することにより行うことができる。
【0258】
(工程VI-2)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記反応式中、Hal-Aralで表されるハロゲン化芳香族化合物と反応させることにより、Y1が、アラルキル基(y1-2)である化合物を製造することができる。
【0259】
【化65】
(式中、Halはハロゲン原子、Aralはアラルキル基である。)
【0260】
ここで、前記反応式中、Hal-Aralで表されるハロゲン化芳香族化合物としては、塩化ベンジル、臭化ベンジル、塩化メトキシベンジル、臭化メトキシベンジル、臭化クロロベンジル、臭化ヒドロキシベンジル、よう化フェネチル基、臭化フェニルベンジル、臭化メトキシフェニルベンジル、臭化ナフチルメチル、臭化メトキシナフチルメチル、よう化フェニルプロピル、よう化フェニルプロペニル、臭化フェノキシベンジル、臭化メチルチオベンジル、ターフェニルメチルブロマイド等が挙げられ、(工程VI-1)と同様な反応条件で行うことができる。
【0261】
(工程VI-3)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-3r)で表されるハロゲン化ポリエーテル化合物と反応させることにより、Y1が、構造式(y1-3)である化合物を製造することができる。
【0262】
【化66】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子又はフェニル基又は炭素原子数1~4のアルキル基、mは0~20の整数を表す。)
【0263】
【0264】
ここで前記構造式(y1-3r)及び一般式1-3中、R8の炭素原子数2~4のアルキレン基としては、n-プロピレン基、1,2-プロプレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基等が挙げられ、また、R9における炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、若しくはs-ブチル基等が挙げられる。また、前記(工程VI-3)の反応条件は、炭酸カリウム等の塩基性触媒の存在下、20~120℃にて行うことができる。
【0265】
(工程VI-4)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-4r)で表される化合物の(メタ)アクリロイル基とマイケル付加反応させることにより、前記一般式(1)中のY1が、構造式(y1-4)である化合物を製造することができる。
【0266】
【化68】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R
10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
【0267】
【0268】
ここで前記構造式(y1-4r)及び一般式1-4中、R8の炭素原子数2~4のアルキレン基としては、n-プロピレン基、1,2-プロプレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基等が挙げられ、また、R9における炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、若しくはs-ブチル基等が挙げられる。
【0269】
また、(工程VI-4)におけるマイケル付加反応は、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-4r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃で混合する方法が挙げられ、触媒や溶媒を使用することもできる。
【0270】
使用可能な触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウム水酸化物、テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]、ナトリウムt-ブチラート等が挙げられる。
【0271】
また、有機溶媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-ブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、カルビトール等のアルコール系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
【0272】
前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-4r)で表される化合物と混合比は、特に限定されることはないが、中間体化合物C中の二級アミノ基(i)と、前記構造式(y1-4r)で表される化合物中の(メタ)アクリロイル基(ii)との当量比[(i)/(ii)]が、1/1.5~1/30であることが好ましい。当量比[(i)/(ii)]が1/1.5を超えると、前記中間体化合物C又はその分解物の塗膜からのマイグレーションが生じる可能性が上がり、当量比[(i)/(ii)]が1/30未満であるとマイケル付加反応物の硬化性能が劣る傾向がある。得られるマイケル付加反応物の硬化性能と塗膜溶出物量の観点から、当量比[(i)/(ii)]は、特に1/2~1/20であることが好ましい。
【0273】
ここで、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-4r)としては、例えばメトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、反応条件は、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等の触媒の存在下、20~120℃にて行うことができる。
【0274】
(工程VI-5)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-5r)で表される化合物の(メタ)アクリロイル基と反応させることにより、前記一般式(1)中のY1が、構造式(y1-5)である化合物を製造することができる。
【0275】
【化70】
(式中、R
10は水素原子またはメチル基、R
11は炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数6~18のアリール基を表す。)
【0276】
【0277】
ここで、R11は炭素原子数1~18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、;s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1-メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル基等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、他方、炭素原子数6~18のアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等が挙げられる。
【0278】
(工程VI-6)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-6r)で表されるエポキシ化合物のエポキシ基と反応させることにより、Y1が、構造式(y1-6)である化合物を製造することができる。
【0279】
【化72】
(式中、R
12は炭素原子数1~18のアルキル基を表す。)
【0280】
【0281】
ここで、前記構造式(y1-6r)及び一般式1-6中、R12の炭素原子数1~18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、;s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1-メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル基等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0282】
また、(工程VI-6)におけるエポキシ化合物との反応は、前記中間体化合物Cと、前記構造式(y1-6r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃なる温度条件下に混合し反応させる方法が挙げられる。この際、触媒や溶媒を使用することもできる。
【0283】
使用可能な触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、イミダゾール、テトラブチルアンモニウムブロミド、トリ-n-オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0284】
また、有機溶媒としては例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
【0285】
(工程VI-7)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-7r)で表されるエポキシ化合物のエポキシ基と反応させることにより、Y1が、構造式(y1-7)である化合物を製造することができる。
【0286】
【化74】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
13は水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基又はハロゲン原子、mは0~20の整数を表す。)
【0287】
【0288】
ここで、前記構造式(y1-7r)及び一般式1-7中の中のR8は、構造部位(y1-3)におけるR8と同義であり、R13の炭素原子数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、フッ素原子が挙げられる。
【0289】
また、工程VI-7におけるエポキシ化合物との反応は、例えば、前記中間体化合物Cと、前記構造式(y1-7r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃で混合し、反応させる方法が挙げられる。この際、触媒や溶媒を使用することもできる。
【0290】
使用可能な触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、イミダゾール、テトラブチルアンモニウムブロミド、トリ-n-オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0291】
また、有機溶媒としては例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶剤、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
【0292】
(工程VI-8)
【0293】
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-8r)で表される化合物の(メタ)アクリロイル基と反応させることにより、前記一般式(1)中のY1が、構造式(y1-8)である化合物を製造することができる。
【0294】
【化76】
(式中、R
8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R
10は水素原子又はメチル基、R
14はp+1の結合手を持つ炭素原子数5~18の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
【0295】
【0296】
ここで、前記構造式(y1-8r)及び一般式1-8中のR8は、構造部位(y1-3)におけるR8と同義であり、R14におけるp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基とは、グリセロール残基、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基等の脂肪族多価アルコール残基;n-プロピレン基、1,2-プロピレン基、n-ブチレン基、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル基、1,5-ペンタンジイル基、1,6-ヘキサンジイル基、1,7-ヘプタンジイル基、1,8-オクタンジイル基、1,9-ノナンジイル基、1,10-デカンジイル基、3,8-デカンジイル基、1,11-ウンデカンジイル基、1,12-ドデカンジイル基、1,13-トリデカンジイル基、1,14-テトラデカンジイル基、1,15-ペンタデカンジイル基、1,16-ヘキサデカンジイル基、1,17-ヘプタデカンジイル基、1,18-オクタデカンジイル基、1,19-ノナデカンジイル基、1,20-エイコサンジイル基、1,21-ヘネイコサンジイル基、1,22-ドコサンジイル基、1,23-トリコサンジイル基、1,24-テトラコサンジイル基、1,25-ペンタコサンジイル基が挙げられる。
【0297】
ここで残基とは、多価アルコールの水酸基を除く炭化水素構造部位を示す。
【0298】
(工程VI-8)における、マイケル付加反応は、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃で混合し、反応させる方法が挙げられる。この際、触媒や溶媒を使用することもできる。
【0299】
使用可能な触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウム水酸化物、テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]、ナトリウム t-ブチラート等が挙げられる。
【0300】
また、有機溶媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-ブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、カルビトール等のアルコール系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
【0301】
前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物と混合比は、特に限定されることはないが、中間体化合物C中の二級アミノ基(i)と、前記構造式(y1-8r)で表される化合物中の(メタ)アクリロイル基(ii)との当量比[(i)/(ii)]が、1/1.5~1/30であることが好ましい。当量比[(i)/(ii)]が1/1.5を超えると、前記中間体化合物C又はその分解物の塗膜からのマイグレーションが生じる可能性が上がり、当量比[(i)/(ii)]が1/30未満であるとマイケル付加反応物の硬化性能が劣る傾向がある。得られるマイケル付加反応物の硬化性能と塗膜溶出物量の観点から、当量比[(i)/(ii)]は、特に1/2~1/20であることが好ましい。
【0302】
ここで、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物の例としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド変性物;ペンタエリスリトールトリ又はテトラ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド変性物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド変性物;ジペンタエリスリトールテトラ又はペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレートおよびそのカプロラクトン変性物等の多官能(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルやトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート;イソホロンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート三量体等のポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアクリレートとの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート;トリメリット酸やコハク酸等の多塩基酸と、エチレングリコールやネオペンチルグリコール等のポリオールと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの重合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる高分子量型のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらの反応性化合物は、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
【0303】
(工程VI-9)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-9r)で表されるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させることにより、Y1が、構造式(y1-9)である化合物を製造することができる。
【0304】
【化78】
(式中、R
15は炭素原子数4~18のアルキル基、炭素原子数6~10の脂肪族環状炭化水素基、芳香族基、アクリロイルオキシエチル基を表す。)
【0305】
【0306】
ここで、前記構造式(y1-9r)で表されるイソシアネート化合物としては、例えばプロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等の炭素原子数4~18のアルキルイソシアネート;シクロヘキシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート等の炭素原子数6~10のイソシアネート基含有脂肪族環状炭化水素;フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、トルイジルイソシアネート等のイソシアネート基含有芳香族炭化水素が挙げられる。
【0307】
また、(工程VI-9)における、中間体化合物Cと、前記構造式(y1-9r)で表されるイソシアネート化合物との反応は、例えば、両者を反応容器中、0~150℃で混合し、反応させる方法が挙げられ、触媒や溶媒を使用することもできる。
【0308】
使用可能な触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジブチルすずジラウリレート、トリ-n-オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0309】
また、有機溶媒としては例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶剤、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
【0310】
前記光重合開始剤(B)の使用量は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して、1~20質量部の範囲が好ましい。
【0311】
本発明の感光性樹脂組成物は、更に硬化性能を高めるため、必要に応じて、光増感剤や三級アミン類等の光開始助剤を使用しても良い。前記光増感剤としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アントラキノン等が挙げられる。一方、三級アミンとしては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N-ジメチルベンジルアミン等が挙げられる。また、1分子内に複数の光増感剤や三級アミン類を多価アルコール等で分岐させた高分子量化合物も適宜使用することができる。前記光開始助剤は、感光性樹脂組成物の全量に対し0.03~20質量部で使用することが好ましく、0.1~10質量部で使用することがなお好ましい。
【0312】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、前記光重合開始剤(B)以外のその他の光重合開始剤を併用することもできる。
【0313】
前記その他の光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
【0314】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
【0315】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸無水物、必要に応じて不飽和モノカルボン酸無水物等を反応させて得られる、樹脂中にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
【0316】
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
【0317】
本発明の感光性樹脂組成物は、塗工粘度調節等の目的で有機溶剤を含有してもよく、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜選択及び調整される。
【0318】
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0319】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0320】
本発明の硬化物は、前記感光性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0321】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0322】
また、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、優れた耐熱性を有しており、アウトガスが生じにくいことから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。
【0323】
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記感光性樹脂組成物に、必要に応じて、例えば、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤等を用いることができる。
【0324】
前記硬化剤としては、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)中のカルボキシル基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、硬化物における耐熱性に優れることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が50~120℃の範囲であるものが特に好ましい。
【0325】
前記硬化促進剤とは、前記硬化剤の硬化反応を促進するものであり、前記硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化剤100質量部に対して1~10質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0326】
前記有機溶剤としては、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)や硬化剤等の各種成分を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0327】
本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60~100℃程度の温度範囲で有機溶媒を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140~180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。
【実施例】
【0328】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0329】
(合成例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量;214g/eq)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行なった。その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の固形分酸価は85mgKOH/gであった。
【0330】
(合成例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート379質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)185質量部、無水トリメリット酸146質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.6質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、メトキノン0.3質量部、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM-306」、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有量約67%、水酸基価159.7mgKOH/g)112質量部及びトリフェニルホスフィン3.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させた。次いで、グリシジルメタクリレート125質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。更に、無水コハク酸87質量部を加えて110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。
【0331】
(合成例3:光重合開始剤(M31)の合成)
【0332】
[工程I]
【0333】
【0334】
撹拌機、温度計、窒素導入管、アルカリトラップ及び滴下ロートを備えた1Lフラスコに塩化アルミニウム(無水)121.8gと脱水ジクロロメタン300mLを仕込み、窒素気流下、氷浴を用いて氷冷した。これに2-ブロモブチリルブロミドの200gを添加した。フルオロベンゼン83.6gと脱水ジクロロメタン100mLを混合溶液を滴下ロートを用いて先のフラスコ中へ20分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、2時間攪拌を続けた。攪拌終了後、反応液を氷水1L中へ投入し、2時間攪拌を続けた。靜置後分液し、下層を回収した。2N塩酸で2回洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧留去し、2-ブロモ-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノン(101)を得た。
【0335】
収量:214.3g、収率:100%
【0336】
[工程II]
【0337】
【0338】
攪拌機、温度計を備えた2Lフラスコに中間体(101)157.7gとメチルエチルケトン750mLを仕込み氷浴を用いて氷冷した。そこに50質量%ジメチルアミン水溶液174gを、滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、一昼夜攪拌を続けた。薄層クロマトグラフィーを用いて中間体(101)の消失を確認した後、メチルエチルケトンとジメチルアミンを減圧留去し、残渣にトルエンを投入した。水で2回洗浄し、さらに飽和食塩水で1回洗浄した後、上層を回収し、硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。トルエンを減圧留去し、中間体(102)を得た。
【0339】
収量:133.3g、収率:99%
【0340】
[工程III]
【0341】
【0342】
攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mLフラスコに中間体(102)79.5gと4-(ブロモメチル)安息香酸メチル(103)87.0gとイソプロパノール(以下「IPA」と略記する。)120mLを仕込み、50℃で一昼夜、攪拌した。その後、8M水酸化ナトリウム水溶液105mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、IPAを留去し、12N塩酸を用いてpH5.5に調製した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液にヘキサンを加え、析出した結晶をろ別して中間体(104)を得た。
【0343】
収量:94.5g、収率:65.5%
【0344】
[工程IV]
【0345】
【0346】
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた1000mLフラスコに2-クロロ-4.6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン35.0gと脱水ジクロロメタン400mLを仕込み、氷浴を用いて氷冷した。そこにN-メチルモルホリン80.8gを、滴下ロートを用いて10分かけて滴下した。滴下終了後、中間体(104)76.0gを添加し、氷冷下で1時間攪拌した。そこにピペラジン9.5gを溶解した脱水ジクロロメタン200mLを、滴下ロートを用いて20分かけて滴下した。氷浴を外し、室温下、1時間攪拌を続けた。薄層クロマトグラフィーにて反応の終了を確認し、水を加えて反応を停止させた。分液ロートに反応物を移し、下層の有機層を回収した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、得られた粗生成物をエタノールにて再結晶して中間体(105)を得た。
【0347】
収量:57.5g、収率:78%
【0348】
[工程V]
【0349】
【0350】
攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mLフラスコに中間体(105)38.0gとピペラジン22.2gとジメチルスルホキシド(DMSO)120mLを仕込み、100℃で40時間攪拌した。反応終了後、蒸留水と塩化メチレンを添加し、塩化メチレン層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、中間体(106)を得た。
【0351】
収量:43.9g、収率:98%
【0352】
[工程VI]
【0353】
撹拌機、コンデンサ及び温度計を備えた300mLのフラスコに、中間体(106)17.4gとのエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製M3130)25.7gとp-メトキシフェノール43mgとエタノール150mLを加え、50℃で24時間撹拌した。減圧留去により溶媒を除去して、下記構造式で表される光重合開始剤(M31)を得た。
【0354】
収量:42.7g、収率:99%
【0355】
【0356】
(合成例4:光重合開始剤(M32)の合成)
【0357】
[工程III]
【0358】
【0359】
攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mLフラスコに、合成例3の工程I及び工程IIを経て得られた中間体(102)41.9gと2-[4-(ブロモメチル)フェニル]プロピオン酸(107)53.5gとIPA100mLを仕込み、8M水酸化ナトリウム水溶液27.5mLを室温で添加し、さらに50℃で2時間攪拌して四級アンモニウム塩を形成させた。続いて、8M水酸化ナトリウム水溶液41mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、IPAを留去し、6N塩酸を用いてpH5.5に調製した後、トルエンで抽出した。抽出液を水洗し、溶媒を減圧留去して得られた粗反応物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製して中間体(108)を得た。
【0360】
収量:39.0g、収率:52.5%
【0361】
[工程IV]
【0362】
【0363】
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた500mLフラスコに、中間体(108)19.0gとジクロロメタン80mLとN,N-ジメチルホルムアミド0.5mLを仕込み、これに塩化チオニル6.7gをゆっくりと滴下し、30分間撹拌した。ピペラジン2.2gを溶解した脱水ジクロロメタン50mLの溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、続いて、トリエチルアミン11.4gを滴下し、室温で1時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて反応の終了を確認し、水を加えて反応を停止させた。分液ロートに反応物を移し、下層の有機層を回収した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、得られた粗生成物をエタノールにて再結晶して中間体(109)を得た。
【0364】
収量:17.2g、収率:85%
【0365】
[工程V]
【0366】
【0367】
攪拌機、温度計、冷却管を備えた300mLフラスコに中間体(109)の14.8gとピペラジンの8.6gと無水炭酸カリウムの5.5gとジメチルスルホキシド(DMSO)の30mLを仕込み、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、蒸留水と塩化メチレンを添加し、塩化メチレン層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、中間体(110)を得た。
【0368】
収量:18.0g、収率:97.5%
【0369】
[工程VI]
【0370】
撹拌機、コンデンサ及び温度計を備えた300mLのフラスコに、中間体(110)18.5gとのエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製「M3130」)25.7gとp-メトキシフェノール44mgとエタノール150mLを加え、50℃で24時間撹拌した。減圧留去により溶媒を除去して、下記構造式で表される光重合開始剤(M32)を得た。
【0371】
収量:43.4g、収率:98.3%
【0372】
【0373】
(実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.3質量部、合成例3で得た光重合開始剤(M31)10質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部、フタロシアニングリーン0.7質量部を配合し、ロールミルにより混錬して感光性樹脂組成物(1)を得た。
【0374】
(実施例2及び3:感光性樹脂組成物(2)及び(3)の調製)
実施例1で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)及び光重合開始剤(M31)を、表13に示した組成に代えた以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(2)及び(3)を得た。
【0375】
(比較例1及び2:感光性樹脂組成物(C1)及び(C2)の調製)
実施例1で用いた光重合開始剤(M31)の代わりに、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM社製「Omnirad907」)、または2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン(IGM社製「Omnirad369」)を表13に示した配合量で用いた以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(C1)及び(C2)を得た。
【0376】
上記の実施例1~3で得られた感光性樹脂組成物(1)~(3)、並びに比較例1及び2で得られた感光性樹脂組成物(C1)及び(C2)を用いて、下記の評価を行った。
【0377】
[光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜上にコダック社製「ステップタブレットNo.2」を乗せ、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した。これを1%の炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、ステップタブレット法に基づきステップタブレットの残存段数にて評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高いことを示す。
【0378】
[アルカリ現像性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ30分間、40分間、50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間乾燥させ、乾燥時間が異なるサンプルを作成した。これらを1%炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、基板上に残渣が残らなかったサンプルの80℃での乾燥時間を乾燥管理幅として下記の評価基準で評価した。なお、乾燥管理幅が長いほどアルカリ現像性が優れていることを示す。
【0379】
○:乾燥管理幅が、60分以上であった。
×:乾燥管理幅が、60分未満であった。
【0380】
実施例1~3で調製した感光性樹脂組成物(1)~(3)、並びに比較例1及び2で調製した感光性樹脂組成物(C1)及び(C2)の組成及び評価結果を表13に示す。
【0381】
【0382】
(実施例4:感光性樹脂組成物(4)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、合成例3で得た光重合開始剤(M31)10質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部を配合して感光性樹脂組成物(4)を得た。
【0383】
(実施例5及び6:感光性樹脂組成物(5)及び(6)の調製)
実施例4で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)及び光重合開始剤(M31)を、表14に示した組成に代えた以外は、実施例4と同様にして感光性樹脂組成物(5)及び(6)を得た。
【0384】
(比較例3及び4:感光性樹脂組成物(C3)及び(C4)の調製)
実施例4で用いた光重合開始剤(M31)の代わりに、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM社製「Omnirad907」)、または2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン(IGM社製「Omnirad369」)を表14に示した配合量で用いた以外は、実施例4と同様にして感光性樹脂組成物(C3)及び(C4)を得た。
【0385】
上記の実施例4~6で得られた感光性樹脂組成物(4)~(6)、並びに比較例3及び4で得られた感光性樹脂組成物(C3)及び(C4)を用いて、下記の評価を行った。
【0386】
[耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した後、200℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
【0387】
[アウトガスの測定方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した後、200℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物より粉末サンプルを採取し、ゲステル社製加熱脱着装置(TDU)に入れた。その後(1)150℃の熱抽出温度で10分間アウトガス成分を、(2)260℃の熱抽出温度で10分間アウトガス成分を、それぞれ液体窒素を用いて-60℃で捕集した。捕集したアウトガス成分は、アジレントテクノロジー社製ガスクロマトグラフィー質量分析装置(6890N/5973N)で分離分析を行い、n-ドデカン換算で定量し、以下の評価基準で評価した。
【0388】
◎:アウトガス成分はほとんど確認されなかった。
○:アウトガス成分が少し確認された。
△:アウトガス成分が確認された。
×:多量のアウトガス成分が確認された。
【0389】
実施例4~6で調製した感光性樹脂組成物(4)~(6)、並びに比較例3及び4で調製した感光性樹脂組成物(C3)及び(C4)の組成及び評価結果を表14に示す。
【0390】
【0391】
なお、表13及び14中の「硬化剤」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214g/当量)を示す。
【0392】
表13及び14中の「有機溶剤」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。