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特許7311553基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230711BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230711BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B19/418 Z
H01L21/68 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021054496
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022151937
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】菊池俊之
(72)【発明者】
【氏名】大橋直史
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-087600(JP,A)
【文献】特開2006-278531(JP,A)
【文献】特表2008-521261(JP,A)
【文献】特開平11-102953(JP,A)
【文献】特開2013-219257(JP,A)
【文献】特開2003-142448(JP,A)
【文献】国際公開第2006/137287(WO,A1)
【文献】特開2006-165174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/00 -21/48
H01L 21/67 -21/687
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して複数種類の処理が可能なリアクタと、
複数の前記リアクタ処理室に隣接する搬送室と、
前記搬送室内に設けられ、それぞれの前記リアクタに基板を搬送可能な搬送ロボットと、
それぞれの前記処理に対応した種別情報と、それぞれの前記種別情報に対応した処理時間情報とが記録される記憶部と、
前記処理時間情報を合わせた時間のうち、所定処理の処理時間の割合を算出する算出部と、
前記割合に応じて、前記所定の処理を行うリアクタを選択する処理選択部と、
選択された前記リアクタにて、前記所定の処理が可能なよう設定する処理設定部と、
を有し、
前記記憶部はそれぞれの前記リアクタにおける前記処理の処理履歴を記録し、
前記処理選択部は、前記リアクタの処理履歴情報を参照し、前記リアクタにおける前記処理履歴を均一化させるよう、前記リアクタを選択し、
前記処理履歴情報は、前記種別情報毎の部品使用の累積処理時間の情報である
基板処理装置。
【請求項2】
前記処理選択部は、前記割合に応じたリアクタ数を選択する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理は、成膜処理または改質処理である請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理時間は、前記基板が搬入されてから搬出されるまでの時間である請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記リアクタには、第一膜処理で使用されるガス供給部と、第二膜処理で使用されるガス供給部とが接続され、
前記処理設定部は、前記処理に応じて、それぞれの前記ガス供給部の動作を設定するよう構成される
請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第一膜処理では、
前記第一膜処理で使用されるガス供給部からは前記第一膜処理で使用されるガスを前記リアクタに供給し、
前記第二膜処理で使用されるガス供給部からは前記第二膜処理で使用されるガスを前記リアクタに供給しないよう構成される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第二膜処理で使用されるガスは、バイパス管を介して排出されるよう構成される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記リアクタには活性化部が備えられ、
前記処理設定部は、前記第一膜処理では前記活性化部を稼働しないよう設定し、前記第二膜処理では前記活性化部を稼働させるよう設定する請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記種別情報に対応した処理を行う工程の後、処理履歴を記録する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記種別情報に対応した処理を行う工程の後、前記リアクタごとに、前記種別情報毎の処理履歴を記録する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板の処理に対応した種別情報を受信する工程と、
前記種別情報と、それぞれの前記種別情報に対応した処理時間情報と、前記種別情報に応じた処理履歴情報とを記憶部から読み出す工程と、
前記処理時間情報を合わせた時間のうち、所定の処理の処理時間の割合を算出する工程と、
前記割合に応じて、前記所定の処理を行うリアクタを選択する工程と、
選択された前記リアクタにて、前記所定の処理が可能なよう設定する工程と、
前記リアクタに前記種別情報に対応した基板を搬送する工程と、
前記リアクタで、前記種別情報に対応した処理を行う工程と、
を有し、
前記処理履歴情報は、前記種別情報毎の部品使用の累積処理時間の情報であり、
前記リアクタを選択する工程では、前記リアクタにおける前記処理履歴を均一化させるよう、前記リアクタを選択する
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板の処理に対応した種別情報を受信する工程と、
前記種別情報と、それぞれの前記種別情報に対応した処理時間情報と、前記種別情報に応じた処理履歴情報とを記憶部から読み出す工程と、
前記処理時間情報を合わせた時間のうち、所定の処理の処理時間の割合を算出する工程と、
前記割合に応じて、前記所定の処理を行うリアクタを選択する工程と、
選択された前記リアクタにて、前記所定の処理が可能なよう設定する工程と、
前記リアクタに前記種別情報に対応した基板を搬送する工程と、
前記リアクタで、前記種別情報に対応した処理を行う工程と、
を有し、
前記処理履歴情報は、前記種別情報毎の部品使用の累積処理時間の情報であり、
前記リアクタを選択する工程では、前記リアクタにおける前記処理履歴を均一化させるよう、前記リアクタを選択する
基板処理方法。
【請求項13】
基板の処理に対応した複数の種別情報を受信する手順と、
前記種別情報と、それぞれの前記種別情報に対応した処理時間情報と、前記種別情報に応じた処理履歴情報とを記憶部から読み出す手順と、
前記処理時間情報を合わせた時間のうち、所定の処理の処理時間の割合を算出する手順と、
前記割合に応じて、前記所定の処理を行うリアクタを選択する手順と、
選択された前記リアクタにて、前記所定の処理が可能なよう設定する手順と、
前記リアクタに前記種別情報に対応した基板を搬送する手順と、
前記リアクタで、前記種別情報に対応した処理を行う手順と、
を有し、
前記処理履歴情報は、前記種別情報毎の部品使用の累積処理時間の情報であり、
前記リアクタを選択する手順では、前記リアクタにおける前記処理履歴を均一化させるよう、前記リアクタを選択する
コンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる基板処理装置の一態様としては、例えば複数のリアクタを有するモジュールを備えた装置がある(例えば特許文献1)。このような装置においては、リアクタそれぞれで異なる処理を行うことがあり、その場合、あるリアクタで処理した後、他のリアクタに移動して処理する連続処理を行う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2005/112108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように異なるリアクタに移動して連続処理する装置においては、それぞれのリアクタで処理時間が異なることから、効率的に処理が可能なよう、例えば次のリアクタに移動する際、長時間の待機時間を発生させないようにして、装置全体のスループットを高めることが望ましい。本開示はそれに対応するべく、処理効率の高い技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板に対して複数種類の処理が可能なリアクタと、
複数の前記リアクタに隣接する搬送室と、
前記搬送室内に設けられ、それぞれの前記リアクタに基板を搬送可能な搬送ロボットと、
それぞれの前記処理に対応した種別情報と、それぞれの前記種別情報に対応した処理時間情報とが記録される記憶部と、
前記処理時間情報を合わせた時間のうち、所定の処理の処理時間の割合を算出する算出部と、
前記割合に応じて、前記所定の処理を行うリアクタを選択する処理選択部と、
選択された前記リアクタにて、前記所定の処理が可能なよう設定する処理設定部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理効率の高い技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図2】実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図3】実施形態に係るリアクタの概略構成例を示す説明図である。
図4】実施形態に係るガス供給部の概略構成例を示す説明図である。
図5】実施形態に係る基板処理装置のコントローラを説明する説明図である。
図6】実施形態に係る基板処理装置が有するテーブルである。
図7】実施形態に係る基板処理装置が有するテーブルである。
図8】実施形態に係る基板処理フローを説明する説明図である。
図9】実施形態に係る基板処理フローを説明する説明図である。
図10】実施形態に係る基板処理フローを説明する説明図である。
図11】実施形態に係る基板処理フローを説明する説明図である。
図12】実施形態に係る基板処理シーケンスを説明する説明図である。
図13】比較例に係る基板処理シーケンスを説明する説明図である。
図14】実施形態に係る基板処理シーケンスを説明する説明図である。
図15】比較例に係る基板処理シーケンスを説明する説明図である。
図16】実施形態に係るリアクタの概略構成例を示す説明図である。
図17】実施形態に係る基板処理シーケンスを説明する説明図である。
図18】実施形態に係るリアクタの概略構成例を示す説明図である。
図19】実施形態に係る基板処理シーケンスを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本態様の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面上の各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(第一の実施形態)
(1)基板処理装置の構成
本態様の一実施形態に係る基板処理装置の概要構成を、図1図2を用いて説明する。図1は本技術に係る基板処理装置の構成例を示す横断面図である。図2は、本技術に係る基板処理装置の構成例を示し、図1α-α’における縦断面図である。
【0010】
図1および図2において、本態様が適用される基板処理装置100は基板としての基板Wを処理するもので、IOステージ110、大気搬送室120、ロードロック室130、真空搬送室140、リアクタ200で主に構成される。次に各構成について具体的に説明する。
【0011】
基板処理装置100の手前には、IOステージ(ロードポート)110が設置されている。IOステージ110上には複数のポッド111が搭載されている。ポッド111はシリコン(Si)基板などの基板Wを搬送するキャリアとして用いられる。さらには、ダミー基板Dを保管するダミー基板保管部112を備える。
【0012】
IOステージ110は大気搬送室120に隣接する。大気搬送室120は、IOステージ110と異なる面に、後述するロードロック室130が連結される。大気搬送室120内には基板Wを移載する大気搬送ロボット122が設置されている。
【0013】
大気搬送室120の筐体127の前側には、基板Wを大気搬送室120に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口128と、ポッドオープナ121とが設置されている。大気搬送室120の筐体127の後ろ側には、基板Wをロードロック室130に搬入搬出するための基板搬入出口129が設けられる。基板搬入出口129は、ゲートバルブ133によって開放・閉鎖することにより、基板Wの出し入れを可能とする。
【0014】
ロードロック室130は大気搬送室120に隣接する。ロードロック室130を構成する筐体131が有する面のうち、大気搬送室120と異なる面には、後述する真空搬送室140が配置される。真空搬送室140は、ゲートバルブ134を介して接続される。
【0015】
ロードロック室130内には基板Wを載置する載置面135を、少なくとも二つ有する基板載置台136が設置されている。基板載置面135間の距離は、後述するロボット170のアームが有するエンドエフェクタ間の距離に応じて設定される。
【0016】
基板処理装置100は、負圧下で基板Wが搬送される搬送空間となる搬送室としての真空搬送室140を備えている。真空搬送室140を構成する筐体141は平面視が五角形に形成され、五角形の各辺には、ロードロック室130及び基板Wを処理するリアクタ200(200aから200d)が連結されている。真空搬送室140の略中央部には、負圧下で基板Wを移載(搬送)する搬送部としての搬送ロボット170がフランジ144を基部として設置されている。
【0017】
真空搬送室140内に設置される真空搬送ロボット170は、エレベータ145およびフランジ144によって真空搬送室140の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。ロボット170が有する二つのアーム180は、エレベータ145によって昇降可能なよう構成されている。尚、図2においては、説明の便宜上、アーム180のエンドエフェクタを表示し、フランジ144と接続されるロボット軸等の構造は省略している。
【0018】
真空搬送室140の外周には、リアクタ200(リアクタ200aから200d)が接続される。リアクタ200は真空搬送室140を中心に放射状に配される。
【0019】
筐体141の側壁のうち、各リアクタ200と向かい合う壁には基板搬入出口148が設けられる。例えば、図2に記載のように、リアクタ200cと向かい合う壁には、基板搬入搬出口148cが設けられる。更には、ゲートバルブ149がリアクタ200ごとに設けられる。例えば、リアクタ200cにはゲートバルブ149cが設けられる。なお、リアクタ200a、200b、200dもリアクタ200cと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0020】
続いて、真空搬送室140に搭載されるロボット170について説明する。
ロボット170は、二つのアーム180を備える。アーム180は、基板Wを載置するエンドエフェクタを備える。
【0021】
エレベータ145は、アーム180の昇降や回転を制御する。アーム180は、アーム軸を中心とした回転や延伸が可能である。回転や延伸を行うことで、リアクタ200内に基板Wを搬送したり、リアクタ200内から基板Wを搬出したりする。
【0022】
次に、リアクタ200aからリアクタ200dについて説明する。リアクタ200aからリアクタ200dはそれぞれ同様の構成であるため、ここでは一つのリアクタ200として説明する。各リアクタ200では、複数の処理が可能なよう構成される。以下に詳細を説明する。
【0023】
図3図4を用いてリアクタ200の詳細を説明する。図3に記載のように、リアクタ200は容器202を備えている。容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。容器202内には、シリコン基板等の基板Wを処理する処理空間205を構成する処理室201と、基板Wを処理空間205に搬送する際に基板Wが通過する搬送空間を有する搬送室206とが形成されている。容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板208が設けられる。
【0024】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ149に隣接した連通孔148が設けられており、基板Wは連通孔148を介して真空搬送室140との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。
【0025】
処理空間205には、基板Wを支持する基板支持部210が配される。基板支持部210は、基板Wを載置する基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212、基板載置台212内に設けられた加熱部としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0026】
ヒータ213には、電力を供給するための配線222が接続される。配線222はヒータ制御部223に接続される。ヒータ制御部223はコントローラ400に電気的に接続されている。コントローラ400は、ヒータ制御部223を制御してヒータ213を稼働させる。
【0027】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、容器202の底部を貫通しており、さらに容器202の外部で昇降部218に接続されている。
【0028】
昇降部218を作動させてシャフト217および基板載置台212を昇降させることにより、基板載置台212は、載置面211上に載置される基板Wを昇降させることが可能となっている。
【0029】
処理室201は、例えば後述するバッファ構造230と基板載置台212とで構成される。なお、処理室201は基板Wを処理する処理空間205を確保できればよく、他の構造により構成されてもよい。
【0030】
基板載置台212は、基板Wの搬送時には、基板載置面211が連通孔148に対向する搬送ポジションP0まで下降し、基板Wの処理時には、図1で示されるように、基板Wが処理空間205内の処理ポジションとなるまで上昇する。
【0031】
処理空間205の上部(上流側)には、ガスを拡散させるバッファ構造230が設けられている。バッファ構造230は、主に蓋231で構成される。蓋231に設けられたガス導入孔231aと連通するよう、蓋231には、後述する第一ガス供給部240、第二ガス供給部250、第三ガス供給部260、第四ガス供給部270が接続される。図3ではガス導入孔231aが一つしか示されていないが、ガス供給部ごとにガス導入孔を設けてもよい。
【0032】
続いて、排気部291を説明する。処理空間205には、排気管292が連通される。排気管292は、処理空間205に連通するよう、上部容器202aに接続される。排気管292には、処理空間205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC293が設けられる。APC293は開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ400からの指示に応じて排気管292のコンダクタンスを調整する。また、排気管292においてAPC293の上流側にはバルブ294が設けられる。排気管292とバルブ294、APC293をまとめて排気部と呼ぶ。
【0033】
さらに、排気管292の下流には、DP(Dry Pump。ドライポンプ)295が設けられる。DP295は、排気管292を介して、処理空間205の雰囲気を排気する。
【0034】
次に図4を用いて、処理室201にガスを供給するガス供給部を説明する。
最初に第一ガス供給部240を説明する。第一ガス供給管241には、上流方向から順に、第一ガス源242、流量制御器(流量制御部)であるMFC243、及び開閉弁であるバルブ244が設けられている。
【0035】
第一ガス源242は第一元素を含有する第一ガス(「第一元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第一元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一ガスは、例えばシリコン含有ガスである。具体的には、シリコン含有ガスとして、ヘキサクロロジシラン(SiCl、HCDS)ガスが用いられる。
【0036】
第一ガス供給管241にバイパス管246を設けてもよい。バイパス管246は、第一ガスを処理室201に供給させない場合に用いるものである。例えばバルブ244を閉として、第二ガスをバイパス管246に移動させる。バイパス管246は排気管292に合流され、バイパス管246に供給されたガスは排気管292から排気される。
【0037】
主に、第一ガス供給管241、MFC243、バルブ244により、第一ガス供給部240が構成される。バイパス管246を第一ガス供給部240に含めてもよい。
【0038】
第二ガス供給部250を説明する。第二ガス供給管251には、上流方向から順に、第二ガス源252、流量制御器(流量制御部)であるMFC253、及び開閉弁であるバルブ254が設けられている。
【0039】
第二ガス源252は第二元素を含有する第二ガス(以下、「第二元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第二元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第二ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0040】
ここで、第二ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。ここでは、第二元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスとして説明する。具体的には、窒素含有ガスとして、アンモニア(NH)ガスが用いられる。
【0041】
第二ガス供給管251には、リモートプラズマユニット(RPU)255を設けてもよい。RPU255は、第二ガス供給管251内を通過する第二ガスをプラズマ状態とするものである。
【0042】
第二ガス供給管251にバイパス管256を設けてもよい。バイパス管256は、第二ガスを処理室201に供給させない場合に用いるものである。例えばバルブ254を閉として、第二ガスをバイパス管256に移動させる。バイパス管256は排気管292に合流され、バイパス管256に供給されたガスは排気管292から排気される。
【0043】
主に、第二ガス供給管251、MFC253、バルブ254により、第二ガス供給部250が構成される。RPU255を第二ガス供給部250に含めてもよい。また、バイパス管256を含めてもよい。
【0044】
なお、第一ガス単体で基板W上に膜を形成する場合は、第二ガス供給部250を設けなくてもよい。
【0045】
第三ガス供給部260を説明する。第三ガス供給管261には、上流方向から順に、第三ガス源262、流量制御器(流量制御部)であるMFC263、及び開閉弁であるバルブ264が設けられている。
【0046】
第三ガス源262は第三元素を含有する第三ガス(以下、「第三元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第三元素含有ガスは、第一ガスと第二ガスとを用いて形成した膜に対して反応する反応ガスの一つである。なお、第三ガスは改質ガスとして考えてもよい。
【0047】
ここで、第三元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のいずれか一つである。ここでは、第三元素含有ガスは、例えば水素含有ガスとして説明する。具体的には、水素含有ガスとして、水素ガス(H)が用いられる。
【0048】
第三ガス供給管261にリモートプラズマユニット(RPU)265を設けてもよい。RPU265は、第三ガス供給管261内を通過する第三ガスをプラズマ状態とするものである。
【0049】
また、第三ガス供給管261にバイパス管266を設けてもよい。バイパス管266は、第三ガスを処理室201に供給させない場合に用いるものである。例えばバルブ264を閉として、第二ガスをバイパス管266に移動させる。バイパス管266は排気管292に合流され、バイパス管266に供給されたガスは排気管292から排気される。
【0050】
主に、第三ガス供給管261、MFC263、バルブ264により、第三ガス供給部260が構成される。RPU265を第三ガス供給部260に含めてもよい。更には、バイパス管266を第三ガス供給部260に含めてもよい。
【0051】
第四ガス供給部270を説明する。第四ガス供給管271には、上流方向から順に、第四ガス源272、流量制御器(流量制御部)であるMFC273、及び開閉弁であるバルブ274が設けられている。
【0052】
第四ガス源272は、不活性ガスのガス源である。不活性ガスは基板W上に形成された膜と反応しないガスであり、例えば窒素(N)ガスである。
【0053】
また、第四ガス供給管271にバイパス管276を設けてもよい。バイパス管276は、第四ガスを処理室201に供給させない場合に用いるものである。例えばバルブ274を閉として、第四ガスをバイパス管276に移動させる。バイパス管266は排気管292に合流され、バイパス管266に供給されたガスは排気管292から排気される。
【0054】
主に、第四ガス供給管271、MFC273、バルブ294により、第四ガス供給部270が構成される。また、バイパス管276を第四ガス供給部270に含めてもよい。
【0055】
後述するように、本実施形態では第一ガスと第二ガスとを用いて基板W上に膜を形成し、第三ガスを用いて形成した膜を改質する。不活性ガスは、処理室201中の雰囲気の排気等に用いられる。
【0056】
各構成は、後述する処理選択部408が選択する処理種別に応じて、選択的に稼働される。例えば処理選択部408が、リアクタ200で処理Aを行うよう選択した場合、処理Aに関連する部品である第一ガス供給部240、第二ガス供給部250等が稼働され、処理室201内にガスを供給する。また、第三ガス供給部260は第三ガスが処理Aに影響しないよう、第三ガス供給部の稼働を停止したり、第三ガスが処理室201に侵入しないよう、バイパス管266を介して排気したりする。ここで、各ガス供給部の稼働停止とは、単に、開閉弁を閉じた状態を維持することも含む。
【0057】
また、例えば後述する処理選択部408が、リアクタ200で処理Bを行うよう選択した場合、処理Bに関連する部品である第三ガス供給部260が稼働され、処理室201内にガスを供給する。また、第一ガス供給部240、第二ガス供給部250は、第一ガス、第二ガスが処理Bに影響を及ぼさないよう、第一ガス供給部240、第二ガス供給部250は稼働を停止したり、第一ガス、第二ガスが処理室に侵入しないよう、バイパス管246、バイパス管256等を介して排気したりする。
【0058】
次に図5を用いてコントローラ400を説明する。
基板処理装置100は、各部の動作を制御するコントローラ400を有している。
【0059】
制御部(制御手段)であるコントローラ400は、CPU(Central Processing Unit)401、RAM(Random Access Memory)402、記憶装置としての記憶部403、I/Oポート404を備えたコンピュータとして構成されている。RAM402、記憶部403、I/Oポート404は、内部バス405を介して、CPU401とデータ交換可能なように構成されている。基板処理装置100内のデータの送受信は、CPU401の一つの機能でもある送受信指示部406の指示により行われる。
【0060】
CPU401は、記憶部403からの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置281からの操作コマンドの入力等に応じて記憶部403からプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU401は、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ149の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、ヒータ制御部223、各ポンプのオンオフ制御、MFCの流量調整動作、バルブ等を制御可能に構成されている。
【0061】
CPU401は、さらに算出部407、処理選択部408、処理設定部409を有する。これらの構成については後述する。
【0062】
記憶部403は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶部403内には、基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等で構成されるレシピ410や、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム411が読み出し可能に格納されている。更に、処理種別情報テーブル412、処理履歴情報テーブル413を有する。処理種別情報は、単に種別情報と呼んでもよい。
【0063】
なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ400に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM402は、CPU401によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0064】
I/Oポート404は、ゲートバルブ149、昇降機構218、各圧力調整器、各ポンプ、ヒータ制御部223、の各構成に接続されている。
【0065】
さらに、上位装置284にネットワークを介して接続されるネットワーク送受信部283が設けられる。ネットワーク送受信部283は、ロット中の基板Wの処理履歴や処理予定に関する情報等を受信することが可能である。
【0066】
処理種別情報テーブル412について図6を用いて説明する。処理種別情報テーブル412は、複数の処理種別と、それに対応する処理時間情報や処理レシピ等を格納するテーブルである。
【0067】
処理種別情報とは、基板Wに対する処理の情報をいう。処理としては、例えば第一ガスと第二ガスとを用いる処理Aや、第三ガスを用いる処理Bである。その他、処理A、処理Bと内容は類似するものの、処理時間が異なる処理Cや処理D等がある。処理種別情報の具体例としては、処理時間や処理レシピ、処理ガスの情報が格納される。ここでは4つの処理を例にして説明したが、それに限るものではなく、5個以上の処理種別情報が格納されていても良い。
【0068】
図6において、処理Aでは処理時間をT1とし、レシピA、第一ガスであるSi含有ガスと第二ガスであるN含有ガスが用いられる。このような条件により、処理Aでは基板上にSiN膜を形成する。なお、処理Cは処理Aと処理時間が異なる点で相違し、処理Cでは処理時間T3としている。
【0069】
また、処理Bでは、処理時間をT2とし、レシピB、第三ガスである水素含有ガスが用いられる。さらに、プラズマ生成部がONの状態である。処理Bは処理Aの後に連続して行われる処理であり、このような条件により、処理Aで形成したSiN膜を第三ガスにより改質する。なお、処理Dは処理Bと処理時間が異なる点で相違し、処理Dでは処理時間T4としている。
【0070】
ここでいう処理時間とは、それぞれの処理において、例えば基板Wがリアクタ200に搬入された時間から、各処理を経てリアクタ200から搬出されるまでの時間を示す。後述する図9に記載の処理Aのフローにおいては、基板搬入工程S302の開始から基板搬出工程S306の終わりまでをいう。後述する図10に記載の処理Bのフローにおいては、基板搬入工程S402の開始から基板搬出工程S406の終わりまでをいう。処理C,処理Dも同様の考えであるのでここでは説明を省略する。
【0071】
また、レシピ情報とは各処理の処理シーケンス等を含む情報である。処理シーケンスには、各部品の動作の順番やその動作時間等も含む。図6においては、レシピ情報と使用ガス種情報とを別々に記載したが、使用ガス種情報をレシピ情報に含めてもよい。
【0072】
続いて、CPU401に含まれる算出部407、処理選択部408、処理設定部409について説明する。算出部407は、連続処理にかかる全体の処理時間のうち、所定処理の処理時間の割合を算出する機能を有する。例えば、処理Aと処理Bがあった場合、そのうちの処理Bの処理時間の割合を算出する。
【0073】
処理選択部408は、処理種別情報テーブル412に格納された処理種別情報から、各リアクタが行う処理を選択するものである。例えば、リアクタ200a、リアクタ200b、リアクタ200cでは処理Aを、リアクタ200dでは処理Bを行うよう選択する。
【0074】
処理設定部409は、各リアクタ200において、処理選択部408が選択した処理に対応したレシピ情報を読み出し、各リアクタ200における部品等を設定するものである。
【0075】
続いて、処理履歴情報テーブル413について図7を用いて説明する。処理履歴テーブル413は、各リアクタ200に対応した、各処理の処理履歴情報が格納されている。例えばリアクタ200aにおける処理Aの累積処理時間の情報である情報Aaが格納され、リアクタ200cにおける処理Bの累積処理時間の情報である情報Bcが格納される。これらは、後述する処理履歴記録工程S214にて更新される。
【0076】
なお、コントローラ400は、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、DVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)282を用いてコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本技術に係るコントローラ400を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶部403や外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部403単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0077】
(2)基板処理工程
次に図8を用いて基板処理工程を説明する。基板処理装置の一工程として、上述した構成の基板処理装置100を用いて基板Wを処理する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ400により制御される。
【0078】
(基板情報受信工程S202)
基板情報受信工程S202を説明する。基板処理装置100は、工場内のロボットから複数の基板Wが含まれるFOUPを受け取る。さらに上位装置284からそれら基板Wの処理種別情報を受信する。すなわち、基板Wをどのように処理するかの情報を受信する。ここでは、例えば図6に記載の処理種別情報に関連した情報を受信する。具体的には、各基板Wが処理Aのみ行う場合、例えば処理Aと処理Bを連続で行う場合、処理Cと処理Dを連続で行う場合等の情報である。
【0079】
(処理履歴読み出し工程S204)
処理履歴読み出し工程S204を説明する。処理履歴情報テーブル413から、各リアクタ200の処理履歴を読み出す。具体的には、例えば基板Wに対して処理A、処理Bを行う場合、処理A、処理Bのそれぞれの累積処理時間を読み出す。例えば各リアクタ200の処理Aの累積処理時間であるAa~Adを読み出し、処理Bの累積処理時間であるBa~Bdを読み出す。累積処理時間を読み出すことで、各リアクタ200の状態を把握することができる。各リアクタ200の状態とは、例えばリアクタ200の内壁に付着した副生成物の膜厚等である。
【0080】
(処理時間割合算出工程S206)
処理時間割合算出工程S206を説明する。基板情報受信工程S202で受信した処理種別情報に基づき、各処理の処理時間情報を読み出す。さらに、これから行う処理の処理時間情報を合わせた時間のうち、所定処理の処理時間の割合を算出する。例えば、処理Aのみを行う場合であれば、処理Aの割合を100%と算出する。処理Aと処理Bとを連続して行う場合、処理Aと処理Bの処理時間の割合を算出する。例えば処理時間(任意単位)に関し、処理Aが0.5、処理Bが1.5であれば、処理時間比が1:3であることを算出する。また、処理Aが1.5、処理Bが0.5であれば、処理時間比が3:1であることを算出する。ここでいう処理時間とは、例えばリアクタ200への基板Wの搬入開始から搬出終了時間までをいう。
【0081】
(処理選択工程S208)
処理選択工程S208を説明する。処理選択部408は、処理時間割合算出工程S206で算出した割合をもとに、各処理に対応するリアクタ200の数を決定する。たとえば、処理Aと処理Bとの処理時間の比が1:3であれば、処理Aに対応する一個のリアクタ200、処理Bに対応する三個のリアクタ200を選択する。また、処理Aと処理Bとの処理時間の比が3:1であれば、処理Aに対応する三個のリアクタ200、処理Bに対応する一個のリアクタ200を選択する。
【0082】
本実施形態においては、処理Aと処理Bとの処理時間の比が3:1として、例えば処理Aに対応したリアクタ200として、リアクタ200a、リアクタ200b、リアクタ200cを選択する。さらに、処理Bに対応したリアクタ200として、リアクタ200dを選択する。
【0083】
望ましくは、次の理由により本工程では処理履歴読み出し工程S204で読み出したそれぞれのリアクタ200における各処理の累積処理時間を参照して、リアクタ200を選定する。
【0084】
例えば、各リアクタ間で部品の累積処理時間に偏りがある場合、基板の処理条件にも偏りが発生してしまうことがある。そのため、リアクタ200の処理履歴が偏らないようにするためにも、処理時間が均一になるよう、リアクタ200を選定する。
【0085】
ここで、基板の処理条件の偏りは、各リアクタに設けられた部品の使用時間の差、各リアクタ200の処理室201内の部材の表面状態の差、等を含む。部品の使用時間に差が生じることにより、同じ設定の処理条件であっても、基板Wに供給されるガスの量や、基板Wの温度に差が生じることが有る。各リアクタ200の処理履歴を均一化させることで、リアクタ毎の処理均一性を向上させることができる。
【0086】
また、同じリアクタで処理される基板W毎の処理均一性を向上させることができる。例えば、改質処理の処理時間が多い処理室201では、処理室201内の部材の表面が、改質処理で使用されるガスにより、改質されていることが考えられる。この様な処理室201内の部材表面が改質されている場合、処理室201内で消費される処理ガスの量が変化することがある。処理室201内で消費される処理ガスの量が変化することにより、基板Wに供給される処理ガスの量が変わってしまうことがある。これにより基板W毎の処理均一性が変化する可能性がある。なお、処理室201内における処理ガスの消費量は、処理室201内の部材表面に吸着する処理ガスの量により変化する。リアクタ200の処理履歴が偏らない様に制御することにより、処理時間の均一化のみならず、リアクタ毎の処理均一性、基板毎の処理均一性を向上させることが可能となる。
【0087】
(リアクタ設定工程S210)
リアクタ設定工程S210を説明する。各リアクタ200では、処理選択工程S208で選択された処理が可能なよう、処理種別情報テーブル412の情報に基づき、各部品の動作等を設定する。例えば、処理Aを行うリアクタでは、第一ガス供給部と第二ガス供給部とを稼働可能なよう、さらには第三ガス供給部とプラズマ生成部とを稼働させないよう設定する。処理Bを行うリアクタでは、第三ガス供給部とプラズマ生成部とを稼働可能なよう、さらには第一ガス供給部と第二ガス供給部とを稼働させないよう設定する。
【0088】
(膜処理工程S212)
膜処理工程S212を説明する。基板Wは各リアクタ200に移動される。ここでは、各リアクタ200において、基板Wに形成された膜への処理が行われる。各リアクタ200では、処理種別設定工程S208に応じて設定された処理を実行する。本工程の詳細は後述する。
【0089】
(処理履歴記録工程S214)
処理履歴記録工程S214を説明する。各処理が終了したら、処理履歴情報テーブル413に、リアクタ200ごとの処理種別に応じた処理時間を記録する。なお、本工程は膜処理工程S212の後に行うに限らず、他の工程と並行して行ってもよい。
【0090】
(判定S216)
判定S216を説明する。ここでは基板Wを所定枚数処理したかどうかを判定する。所定枚数の基板Wが処理したと判定されたら、1ロットの基板処理が完了したとみなし、処理を終了する。所定枚数の処理が完了していない場合、次に処理する基板Wを搬送する。処理を終了した後は、例えば次ロットの基板Wの処理を開始する。
【0091】
続いて、図9を用いて膜処理工程S212の詳細を説明する。図9は一つの基板Wのフローを説明したものである。これは、一つの基板Wに対する動作を示すフローであり、例えば処理Aを行い、次に処理Bを行うフローである。
【0092】
(基板移動工程S302)
基板移動工程S302を説明する。ロボット170は、真空搬送室140から選択されたリアクタ200に基板Wを移動する。ここでは、まず処理Aが為されるため、基板Wは処理Aを行うよう設定されたリアクタ200に移動する。例えば、処理Aが設定されたリアクタ200aに移動する。リアクタ200aではゲートバルブ149が開とされ、アーム180により基板Wが搬入される。
【0093】
(第一膜処理工程S304)
第一膜処理工程S304を説明する。第一膜処理工程S304では、処理Aを行うよう設定されたリアクタ200にて、基板Wを処理する。具体的な内容を、図10に記載のフローを用いて説明する。
【0094】
(基板搬入工程S402)
基板搬入工程S402を説明する。移動工程S302にて、リアクタ200中に基板Wが搬入される。例えば、リアクタ200aに基板Wが搬入される。
【0095】
このとき、基板載置台212を基板Wの搬送位置(搬送ポジションP0)まで下降させ、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。これらの動作と並行して、第四ガス供給部からの不活性ガスの供給と、搬送室206の雰囲気の排気等を行い、隣接する真空搬送室140と同圧、あるいは隣接する真空搬送室140の圧力よりも低い圧力とする。
【0096】
続いて、ゲートバルブ149を開いて、搬送室206を隣接する真空搬送室140と連通させる。そして、ロボット170が、基板Wを真空搬送室140から搬送室206に搬入し、リフトピン207上に載置する。
【0097】
リフトピン207上に基板Wが載置されたら、基板載置台212を上昇させ、基板載置面211上に基板Wを載置し、更に図3に記載のように、基板処理ポジションまで上昇させる。
【0098】
基板Wを基板載置面211に載置する際は、ヒータ213に電力を供給し、基板Wの表面が所定の温度となるよう制御される。
【0099】
基板搬入工程S402の間、処理Aの設定で各部品を制御する。例えばヒータ213や、ガス供給系、排気系等を制御する。
【0100】
(第一膜処理ガス供給工程S404)
第一膜処理ガス供給工程S404を説明する。ここではリアクタ設定工程S210で設定された動作で各部品を制御し、基板W上の膜を処理する。
【0101】
まず、処理Aのレシピに従って、処理室内の圧力を調整する。例えば排気部291と第四ガス供給部270を動作させる。所望の圧力になったら、第一ガス供給部240、第二ガス供給部250を制御して、処理室205に第一ガスと第二ガスとを供給し、基板Wを処理する。この工程における処理とは、例えば第一ガスと第二ガスとを反応させて、基板W上に所定の膜を形成する処理をいう。また、本工程ではレシピに応じてプラズマ生成部255を稼働させてもよい。本実施形態においては、第一ガスとしてHCDSを供給し、第二ガスとしてNHガスを供給し、シリコン窒化(SiN)膜を形成する。
【0102】
本工程では、例えば以下の条件で処理する。
第一ガス:HCDS
第一ガスのガス供給量 5~5000sccm
第二ガス:NH
第二ガスのガス供給量 10~10000sccm
処理室の圧力: 133~13332Pa
処理温度:300~500℃
【0103】
所定時間が経過したら、第一ガス供給部240、第二ガス供給部250を停止する。さらに、第四ガス供給部から不活性ガスを供給して、処理室201内の雰囲気を排気する。
【0104】
なお、本工程においては、例えば、第三ガス供給部260の稼働を停止し、第三ガスを処理室201に供給しないようにする。また、供給しないようにするためには、例えばバルブ262を閉として、バイパス管266から第三ガスを排出するようにしてもよい。
【0105】
(基板搬出工程S406)
基板搬出工程S406を説明する。基板W上に所望の処理が為されたら、基板搬入工程S402と逆の順番で、処理室から基板Wを搬出する。このとき、基板Wはロボット170に支持された状態である。
【0106】
(基板移動工程S306)
基板移動工程S306を説明する。ロボット170は、次のリアクタ200に基板Wを移動させる。例えば、処理Aと処理Bとを連続して行う場合、基板Wは次の処理である処理Bを行うべく、処理Bを行うよう設定されたリアクタ200に移動する。例えば、リアクタ200dに移動する。リアクタ200dではゲートバルブ149が開とされ、基板Wを支持したアーム180がリアクタ200d内に進入する。
【0107】
(第二膜処理工程S308)
第二膜処理工程S308を説明する。第二膜処理工程S304では、処理Bを行うよう設定されたリアクタ200にて、基板Wを処理する。具体的な内容を、図11に記載のフローを用いて説明する。
【0108】
(基板搬入工程S502)
基板搬入工程S502を説明する。ここでは、基板搬入工程S402と同様の方法で基板Wを搬入する。搬入された基板Wは基板処理ポジションに移動される。基板搬入工程S502の間、処理Bの設定で各部品を制御する。例えばヒータ213や、ガス供給系、排気系等を制御する。
【0109】
(第二膜処理ガス供給工程S504)
第二膜処理ガス供給工程S504を説明する。ここではリアクタ設定工程S210で設定された動作で各部品を制御し、基板W上の膜を処理する。
【0110】
まず、処理Bのレシピに従って、処理室内の圧力を調整する。ここでは、例えば排気部291と第四ガス供給部270を動作させる。所望の圧力になったら、第三ガス供給部260を制御して、処理室205に第三ガスを供給し、基板W上の膜を処理する。膜の処理とは、例えば第一膜処理工程S304で形成された膜を、第三ガスで改質する処理をいう。また、本工程ではレシピに応じてプラズマ生成部265を稼働させてもよい。本実施形態では処理Aで形成したSiN膜に対して、Hガスを供給して改質する処理をいう。
【0111】
本工程では、例えば以下の条件で処理する。
第三ガス:H
第三ガスのガス供給量 10~500sccm
処理室の圧力: 133~6666Pa
処理温度:100~600℃
【0112】
所定時間が経過したら、第三ガス供給部260を停止する。さらに、第四ガス供給部から不活性ガスを供給して、処理室201内の雰囲気を排気する。
【0113】
なお、本工程においては、例えば第一ガス供給部240、第二ガス供給部250の稼働を停止し、第一ガス、第二ガスを処理室201に供給しないようにする。また、供給しないようにするためには、例えばバルブ244、バルブ254を閉として、バイパス管246、256から第一ガス、第二ガスを排出するようにしてもよい。
【0114】
(基板搬出工程S506)
基板搬出工程S506を説明する。基板W上に所望の処理が為されたら、基板搬入工程S402と逆の順番で、処理室201から基板Wを搬出する。このとき、基板Wはロボット170に支持された状態である。
【0115】
(基板移動工程S310)
基板移動工程S310を説明する。第二膜処理工程S308が終了したら、ロボット170は基板Wをリアクタ200から搬出し、さらにロードロック室130に移動させる。以上で膜処理工程S212の説明を終了する。この後、処理履歴記録工程S214に移行する。
【0116】
続いて、本実施形態のシーケンスと比較例のシーケンスについて、図12から図15を用いて説明する。図12図14は本実施形態を説明したものであり、図13図15は比較例を説明したものである。
【0117】
縦軸のW1からW10は処理される基板Wを示す。例えば、W1は1枚目に処理される基板Wであり、W10は10枚目に処理される基板Wである。横軸は時間を示す。なお、単位は任意単位である。また、各処理の前後の網掛けは、基板Wの移動時間を示す。ここでいう移動とは、例えばリアクタ200間の移動やリアクタ200とロードロック室130との間の移動を示す。さらに1枚の基板Wの搬入/搬出や、基板Wの入れ替えも含むものとする。説明の便宜上、基板Wの移動時間は一定としている。
【0118】
図12図13では、処理Aと処理Bの処理時間の比を3:1としている。図12では処理時間の比に合わせてリアクタ数の比を3:1に設定しているのに対し、図13では処理時間の割合と関連させず、リアクタ数を同数としている。このような条件において、基板Wの処理時間を試算した。
【0119】
図14図15では、処理Aと処理Bの処理時間の比を1:3としている。図14では処理時間の割合に合わせてリアクタ数の比を1:3に設定しているのに対し、図15では処理時間の割合と関連せず、処理A対応リアクタと処理B対応リアクタを同数としている。このような条件において、基板Wの処理時間を試算した。
【0120】
図12の実施形態では、9枚目の基板Wの処理が終了する時間が59であるのに対して、図13の比較例では終了する時間が71である。また、図14の実施形態では、9枚目の基板Wの処理が終了する時間が59であるのに対して、図15の比較例では72である。
【0121】
このように、処理時間の割合に合わせてリアクタ数を設定すると、処理スループットを高くでき、この結果処理効率を高めることができる。
【0122】
(第二の実施形態)
続いて第二の実施形態を、図16を用いて説明する。本実施形態では、リアクタ200の構成が第一の実施形態と異なる。具体的には、例えば図1においてはリアクタ200aから200cは第一の実施形態と同様、一枚ずつ基板を処理する枚葉装置であるが、リアクタ200dは複数の基板を一括で処理可能なバッチ装置としている。説明の便宜上、一枚ずつ処理するリアクタを第一リアクタ、バッチで処理するリアクタを第二リアクタと呼ぶ。
【0123】
また、第一の実施形態では処理時間の割合に応じてリアクタ数を設定していたが、本実施形態においては基板処理装置100の中の第一リアクタ200で処理する基板の枚数に応じて、第二リアクタ200で処理する基板Wの枚数を変化させる点で相違する。
【0124】
以下に具体的な内容を説明する。
第一リアクタは基板を一枚ずつ処理可能な装置であり、例えば第一の実施形態と同様、図3に記載の装置を用いる。ガス供給部の個数等は、処理によって異ならせても良い。
【0125】
続いて第二リアクタを、図16を用いて説明する。第二リアクタ200dを説明する。なお、図4に記載のリアクタと同様の機能を持つ構成については、番号を同じにするとともに、説明を省略する。
【0126】
リアクタ200は、複数の基板Wを一括して処理可能な装置である。リアクタ200dは、複数の基板Wが搬入される処理室301を備える。処理室301の下方には基板Wを処理空間305に搬送する際に基板Wが通過する搬送空間を有する搬送室306が設けられている。このとき基板Wは、後述する基板支持部としてのボート310に支持された状態で搬送される。
【0127】
処理室301と搬送室306の間には炉口が設けられる。炉口はボート310が処理室201に挿入される際に通過する入出口である。基板Wを処理する際は、処理室301の雰囲気を閉じ込めるための炉口シャッタ307が設けられる。炉口シャッタ307は、基板処理時には閉とされ、ボート310を移動する際には開とされる。
【0128】
ボート310は水平姿勢に支持された基板Wが鉛直方向に多段に整列した状態で収容されるよう構成されている。各基板Wは、ボート310に備えられた複数の基板支持部311によって支持される。基板支持構造311は、例えば基板Wの外周形状に沿った構造であり、各基板Wのエッジはこの構造にて支持される。ダミー基板Dが必要な場合、基板支持部311はダミー基板Dを支持しても良い。
【0129】
ボート310は、回転軸306を介して回転/昇降機構304が接続される。回転/昇降機構304は、ボート310を処理室301、搬送室306の間で昇降可能とする。さらには回転軸306を回転させることで、処理室201内の気密を保持したまま、複数の基板Wを搭載した状態で回転可能に構成されている。
【0130】
処理室201には、処理ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管308と、処理室201内のガスを排気するための排気部291とが、それぞれ接続されている。
【0131】
ガス導入管308はノズルである。ガス導入管308の下流側には複数のガス供給孔が設けられ、ガス導入管308の管内は反応管301に連通するよう構成される。処理ガス等は、ガス供給孔から処理室201に供給される。ガス導入管308は上流側で第三ガス供給部260、第四ガス供給部270に接続される。
【0132】
処理室301の外周にはヒータ311が配される。ヒータ311は、処理室201内が全体にわたって均一または所定の温度分布となるように、処理室201内の雰囲気を加熱するように構成されている。
【0133】
続いて、本実施形態におけるリアクタ設定工程を説明する。本実施形態においては、前述のように処理時間の割合に合わせてリアクタ200dでの処理枚数を設定する。例えば、基板処理装置100において、処理Aを行う基板Wが3枚であり、リアクタ200aから200cで処理する場合、第二リアクタであるリアクタ200dでは3枚の基板を処理することとする。
【0134】
この場合、図17に記載のように、リアクタ200aからリアクタ200cで計3枚の基板Wを処理した後、それぞれの基板Wをリアクタ200dに移動させ、3枚の基板Wに対して一括で処理Bを行うこととする。
【0135】
また、処理Aを行う基板Wが2枚の場合、例えばリアクタ200a、リアクタ200bのそれぞれで基板W処理し、その後それぞれの基板Wをリアクタ200dに移動させ、2枚の基板Wに対して一括で処理Bを行う。このとき、一部の基板支持構造311に基板Wが支持されていない場合、その基板支持構造311はダミー基板Dを支持してもよい。ダミー基板Dを支持することで、すべての基板支持構造311に基板Wが支持されている状態と同様の処理を行うことができる。
【0136】
このように処理時間の割合に合わせてリアクタ200dでの処理枚数を設定することで、効率のよい処理が可能となる。
【0137】
(他の実施形態)
以上に、本態様における実施形態を具体的に説明したが、それに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0138】
例えば、上述した実施形態においては第一膜処理として成膜処理を、第二膜処理として改質処理を行うことを説明したが、それに限るものではない。例えば、第一膜処理として第一成膜処理を、第二膜処理として第二成膜処理を行って、積層膜を形成する場合であってもよい。また、第一膜処理としてアッシング処理を、第二膜処理としてエッチング処理を行ってもよい。このように、基板を連続処理する場合に有効である。
【0139】
また、リアクタ200としては、例えば図18に記載のように、処理室201と隣接する活性化部510を備えてもよい。図18に記載のリアクタでは、リアクタ200の天井231に窓511が設けられる。窓511の上方には例えば複数のランプ512を格納する筐体513が設けられている。各ランプ512には、ランプ制御部514が電気的に接続される。ランプ制御部514はランプ512のオン/オフやパワーを制御する。
【0140】
図18に記載のリアクタ200を用いる場合は、例えば第一膜処理ではランプをオフとして、第一の実施形態における第一膜処理と同様に成膜処理を行い、第二膜処理ではランプをオンにして、改質処理を行う。
【0141】
また、基板処理装置100として、4個のリアクタ200を用いる例について説明したが、それに限るものでなく、図19に記載のように5つ以上、例えば8個のリアクタ200を用いる基板処理装置でもよい。この場合も第一の実施形態と同様に、処理時間の割合に応じてリアクタ数を設定する。例えば、第一膜処理の時間と第二膜処理の時間の比が3:1であれば、第一膜処理に対応した6個のリアクタと、第二膜処理に対応した2個のリアクタを設定する。具体的には、例えば6個のリアクタとしてリアクタ200aから200fで第一膜処理を行うことが可能なよう設定し、2つのリアクタとして例えば200g、200hで第二膜処理を行うことが可能なよう設定する。また、第一膜処理の時間と第二膜処理の時間の比が1:3であれば、2つのリアクタ、例えばリアクタ200aから200bで第一膜処理を行うことが可能なよう設定し、6つのリアクタ、例えば200cから200hで第二膜処理を行うことが可能なよう設定する。
【0142】
このように処理時間の割合に合わせてリアクタを設定することで、効率の良い処理が可能となる。
【0143】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理において、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)としてHCDSガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてNHガスを用いて、基板W上にSiN膜を形成する場合を例に挙げたが、本態様がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、HCDSガスやNHガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であってもよい。また、第一元素としては、Siではなく、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等、種々の元素であってもよい。また、第二元素としては、Hではなく、例えば窒素(N)等であってもよい。
【0144】
また、例えば上述した各実施形態では、改質処理としてH含有ガスを用いて処理することを説明したが、それに限るものではなく、例えば酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のいずれか、もしくはそれらの組み合わせを含むガスを使用してもよい。
【0145】
また、例えば上述した各実施形態では、成膜処理の後に改質処理を行う例について説明したが、それに限るものではなく、改質処理を行った後、成膜処理を行うようにしても良い。
【0146】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として成膜処理と改質処理を例に挙げたが、本態様がこれに限定されることはない。すなわち、本態様は、各実施形態で例に挙げた成膜処理や改質処理の他に、各実施形態で例示した薄膜以外の成膜処理、改質処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理、改質処理だけでなく、アニール処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。さらに、本態様は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0147】
W…基板、100…基板処理装置、200…リアクタ、400…コントローラ
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