IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】ポンプ装置、及びポンプ運転方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/12 20060101AFI20230712BHJP
   F04B 23/14 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
F04D13/12 Z
F04B23/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019078350
(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2020176537
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】小西 康貴
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-024926(JP,A)
【文献】特開2010-014101(JP,A)
【文献】特開2000-329072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/04-23/14
F04C 11/00
F04D 13/12-13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポンプ部と第2のポンプ部を備えたポンプ装置であって、
前記第1のポンプ部の吐出し管と前記第2のポンプ部の吸込管を接続する第1の接続管と、
前記第2のポンプ部の吐出し管と前記第1のポンプ部の吸込管を接続する第2の接続管と、
前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、
を備え
記開閉機構は、前記第1の接続管の流路を開閉可能な第1の開閉弁と、前記第2の接続管の流路を開閉可能な第2の開閉弁と、前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とに接続されて前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とを連動させる連動機構と、を有し、
前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部は、同性能であることを特徴とする、
ポンプ装置。
【請求項2】
前記開閉機構は、
前記第1の接続管の流路が開いて前記第2の接続管の流路が閉じた第1状態と、
前記第1の接続管の流路が閉じて前記第2の接続管の流路が開いた第2状態と、
前記第1の接続管の流路および前記第2の接続管の流路が共に閉じた第3状態と、
を、切り替え可能である、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
第1のポンプ部と第2のポンプ部を備えたポンプ装置であって、
前記第1のポンプ部の吐出し管と前記第2のポンプ部の吸込管を接続する第1の接続管と、
前記第2のポンプ部の吐出し管と前記第1のポンプ部の吸込管を接続する第2の接続管と、
前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、
を備え、
前記開閉機構は、
前記第1の接続管の流路が開いて前記第2の接続管の流路が閉じた第1状態と、
前記第1の接続管の流路が閉じて前記第2の接続管の流路が開いた第2状態と、
前記第1の接続管の流路および前記第2の接続管の流路が共に閉じた第3状態と、
を、切り替え可能であり、
前記開閉機構は、単一のボール弁で構成され、第1の回転位置で前記第1状態となり、第2の回転位置で第2状態となり、第3の回転位置で第3状態となる
ポンプ装置。
【請求項4】
前記開閉機構は、前記第3状態を経由して前記第1状態と前記第2状態とが切り替わる、
請求項2または3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記連動機構は、前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とに接続されて軸方向に移動可能な軸部材を有し、前記軸部材の移動に伴って前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とを前記軸方向に移動させる、請求項1または2に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記開閉機構を駆動するための動力源を更に備える請求項1からの何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記第1のポンプ部の吸込管には、前記第の接続管との接続部の上流側に第1の吸込側弁が設けられ、
前記第2のポンプ部の吸込管には、前記第の接続管との接続部の上流側に第2の吸込側弁が設けられる、
請求項1からの何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記第1の吸込側弁と前記第2の吸込側弁との少なくとも1つは逆止弁である、請求項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記第1のポンプ部の吐出し管には、前記第の接続管との接続部の下流側に第1の吐出し側弁が設けられ、
前記第2のポンプ部の吐出し管には、前記第の接続管との接続部の下流側に第2の吐出し側弁が設けられる、
請求項1からの何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記第1の吐出し側弁と前記第2の吐出し側弁との少なくとも1つは逆止弁である、請求項に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部は、同性能であることを特徴とする、
請求項に記載のポンプ装置。
【請求項12】
第1のポンプ部と、
前記第1のポンプ部と同性能である第2のポンプ部と、
前記第1のポンプ部の吸込管と前記第2のポンプ部の吐出し管を接続する第1の接続管と、
前記第2のポンプ部の吸込管と前記第1のポンプ部の吐出し管を接続する第2の接続管と、
前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、
を備えたポンプ装置のポンプ運転方法であって、
前記開閉機構は、
前記第1の接続管の流路が開いて、前記第2の接続管の流路が閉じた第1状態と、
前記第1の接続管の流路が閉じて、前記第2の接続管の流路が開いた第2状態と、
前記第1の接続管の流路および前記第2の接続管の流路が共に閉じた第3状態と、を切り替え可能であって、
前記第1状態では前記第1のポンプ部が上流で且つ前記第2のポンプ部が下流となる直列運転を行い、
前記第2状態では前記第2のポンプ部が上流で且つ前記第1のポンプ部が下流となる直列運転を行い、
前記第3状態では前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部の並列運転を行う、
ポンプ運転方法。
【請求項13】
前記第1のポンプ部が上流で前記第2のポンプ部が下流となる直列運転では
前記第1のポンプ部を起動するステップと、
前記第2のポンプ部を起動するステップと、
を有する、
請求項12に記載のポンプ運転方法。
【請求項14】
前記第2のポンプ部が上流で前記第1のポンプ部が下流となる直列運転では、
前記第2のポンプ部を起動するステップと、
前記第1のポンプ部を起動するステップと、
を有する、
請求項12または13記載のポンプ運転方法。
【請求項15】
前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部の並列運転では、
前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部を同じ回転速度にて運転するステップ、
を有する、
請求項12から14の何れか1項に記載のポンプ運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置、及びポンプ運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置の一例として、オフィスビルまたはマンションなどの建物に水(水道水)を供給するための給水装置や井戸水や農業用水等を送水する家庭用の給水装置が広く使用されている。給水装置としては、1台のポンプを備えた給水装置や並列に接続された複数のポンプを備えた給水装置が知られている。複数のポンプを備えた給水装置では、給水先の使用水量の増減に応じて、駆動させるポンプの台数や回転速度が制御される。そのため、時間帯や季節によって流量が変動する場合は、複数の小型ポンプを備えることで、給水先の使用水量が少ないときには一部のポンプを停止させることができ、最大水量に適した大型ポンプを1台のみ備える場合に比して省エネルギを図ることができる。また、複数のポンプが並列に接続されていることにより、一部のポンプの運転を継続させながら他のポンプの交換およびメンテナンスを行うこともできる。
【0003】
また、給水装置において、第1のポンプと第2のポンプとが並列に設けられると共に、第1のポンプの吐出し管と第2のポンプの吸込側とが分岐管で接続され、管内圧力に応じて開閉するコントロール弁が分岐管に設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この給水装置では、第1のポンプ及び第2のポンプが並列に接続された状態と、第1のポンプの吐出し側に第2のポンプが接続された状態と、を切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭64-32096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプ装置では、特定の場合にだけ高圧の吐出し圧が要求される場合がある。一例として、取扱液をフィルタに通過させて濾過する装置において、通常はフィルタを保護するために、ポンプを低圧で運転して取扱液を長時間かけて濾過させるが、その一方で、月に数回程度は高圧水を逆流させて当該フィルタの目詰まりを洗浄(逆洗)したい、といった要望がある。こうした用途のポンプ装置を、1台のポンプもしくは複数の並列接続されたポンプで構成すると、次のような課題がある。一課題として、逆洗等の高圧が必要な特定の場合の運転点に最高効率点を合わせて当該ポンプの容量を選定すると、通常時のエネルギ効率の低下、及び装置の高価格化を生じさせてしまう。逆に、通常時の低圧の運転点に最高効率点を合わせてポンプ容量を選定すると、逆洗等の特定の高圧が必要な場合に当該ポンプ装置を利用できない、といった問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の装置では、2台のポンプを並列運転と直列運転とで切り替えることができる。しかし、特許文献1に記載の装置では、第1のポンプと第2のポンプとを直列に接続するときに、必ず第1のポンプが低圧側で第2のポンプが高圧側となるため、第1のポンプと第2のポンプとで劣化具合等にバラツキが生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、広範囲の吐出し流量および吐出し圧力に対応することができ且つ省エネルギおよび高寿命化を実現できるポンプ装置、及びポンプ運転方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、第1のポンプ部と第2のポンプ部を備えたポンプ装置が提案される。前記ポンプ装置は、前記第1のポンプ部の吐出し管と前記第2のポンプ部の吸込管を接続する第1の接続管と、前記第2のポンプ部の吐出し管と前記第1のポンプ部の吸込管を接続する第2の接続管と、前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、を備える。
かかるポンプ装置によれば、第1の接続管を通じて、第1のポンプ部を低圧側、第2のポンプ部を高圧側として第1および第2のポンプ部を直列運転させることができる。また、第2の接続管を通じて、第2のポンプ部を低圧側、第1のポンプ部を高圧側として第1および第2のポンプ部を直列運転させることができる。よって、こうしたポンプ装置によれば、広範囲の吐出し流量および吐出し圧力に対応することができ且つ省エネルギおよび高寿命化を図ることができる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、第1のポンプ部と、第2のポンプ部と、前記第1のポンプ部の吸込管と前記第2のポンプ部の吐出し管を接続する第1の接続管と、前記第2のポンプ部の吸込管と前記第1のポンプ部の吐出し管を接続する第2の接続管と、前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、を備えたポンプ装置のポンプ運転方法が提案される。かかるポンプ運転方法によれば、前記開閉機構は、前記第1の接続管の流路が開いて、前記第2の接続管の流路が閉じた第1状態と、前記第1の接続管の流路が閉じて、前記第2の接続管の流路が開いた第2状態と、前記第1の接続管の流路および前記第2の接続管の流路が共に閉じた第3状態と、を切り替え可能であって、前記第1状態では前記第1のポンプ部が上流で且つ前記第2のポンプ部が下流となる直列運転を行い、前記第2状態では前記第2のポンプ部が上流で且つ前記第1のポンプ部が下流となる直列運転を行い、前記第3状態では前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部の並列運転を行う。
かかるポンプ運転方法によれば、第1のポンプ部が低圧側且つ第2のポンプ部が高圧側の直列運転と、第2のポンプ部が低圧側且つ第1のポンプ部が高圧側の直列運転と、第1と第2のポンプ部の並列運転とを、切り替えることで、広範囲の吐出し流量および吐出し圧力に対応することができるため省エネルギとなり、先発機を入れ替えることでポンプ部の運転を平準化でき、ポンプ装置の高寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本実施形態のポンプ装置の一例としての給水装置の概略構成を示す図である。
図1B】開閉機構が第3状態の時、つまり並列運転におけるポンプのシステムカーブとポンプの運転点Aの一例を示すグラフである。
図1C】開閉機構が第1状態または第2状態の時、つまり直列運転におけるポンプのシステムカーブとポンプの運転点の一例を示すグラフである。
図1D】制御部が実行する自動給水制御のフローチャートの一例である。
図2A図1の給水装置10の具体的な構成の一例を示す図である。
図2B図2Aにおける開閉機構を拡大して示す図である。
図3A図2Aに示す構成おいて、第1状態としたときの水の流れを模式的に示す図である。
図3B図3Aにおける開閉機構を拡大して示す図である。
図4A図2Aに示す構成おいて、第2状態としたときの水の流れを模式的に示す図である。
図4B図4Aにおける開閉機構を拡大して示す図である。
図4C】変形例の開閉機構を拡大して示す図である。
図5A図1の給水装置10の構成の別の一例を模式的に示す図である。
図5B図5Aにおける開閉機構の具体的な構成を示す図である。
図6A図5Aに示す構成おいて、第1状態としたときの水の流れを模式的に示す図である。
図6B図6Aにおける開閉機構を拡大して示す図である。
図7A図5Aに示す構成おいて、第2状態としたときの水の流れを模式的に示す図である。
図7B図7Aにおける開閉機構を拡大して示す図である。
図8】第1の変形例のポンプ部の概略構成を示す図である。
図9】第2の変形例のポンプ部の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0012】
図1は、ポンプ装置の一例としての給水装置の構成概略に示す図である。本実施形態のポンプ装置は、戸建て、マンション、オフィスビル、商業施設、工場、又は学校等の建物に水を供給するための給水装置10として使用される。ただし、ポンプ装置は、水道水、井戸水、または、中水を建物に給水するものに限定されず、例えばスプリンクラー等の消火設備に給水する消火ポンプ装置などのポンプ装置、又は汚水若しくは雑排水等を搬送する汚水用のポンプ装置等、種々の使用態様において使用されればよい。図1では、給水装置10が直結給水方式で使用されており、給水装置10の吸込口10aは、導入管105を介して水道管(水道本管)104に接続されている。ただし、給水装置10は、給水装置10の吸込口10aが図示しない受水槽を介して水道管104より供給される水を給水する受水槽方式で使用されてもよい。給水装置10の吐出し口10bには給水管107が接続されており、この給水管107は、各建物の給水栓(例えば蛇口)に連通している。給水装置10は、水道管104(または受水槽)からの水を増圧し、建物の各給水栓に水を供給する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の給水装置10は、水道管104(または受水槽)からの水を増圧する2台のモータポンプ40a,40bと、モータポンプ40a,40bの可変速制御器の一例であるインバータ装置50a,50bと、モータポンプ40a,40bを制御する制御部60と、を備える。更に、本実施形態の給水装置10は、水の逆流を防止する逆止弁23a,23b、25a,25bと、過少小水量を検知するフロースイッチ24a,24bと、圧力検出器である圧力センサ21,26と、を有する。
【0014】
圧力センサ21は、給水装置10の吸込口10aを形成する流入管20に取り付けられ、導入管105の圧力を検出する。圧力センサ21は、給水装置10の吸込圧力(以降、吸込圧力とは、圧力センサ21によって計測された圧力を示す。)を測定するための圧力測定器である。当該検出した圧力は制御部60に送られる。
【0015】
モータポンプ40aの吸込口に接続される吸込管32a(第1のポンプの吸込管)と、モータポンプ40bの吸込口に接続される吸込管32b(第2のポンプの吸込管)には、搬送液が水道管104へ逆流するのを防止するための逆止弁23a,23bが設けられている。なお、本実施形態では、吸込管32a,32bは流入管20より分岐して、モータポンプ40a, 40bの吸込口にそれぞれ接続されている。一実施形態では、流入管20は吸込管32a,32bのそれぞれに設けられてもよい。逆止弁23a,23bとしては、例えばチェッキ弁を採用することができる。なお、逆止弁23a,23bに代えて、又は加えて、手動または自動で吸込管32a,32bの流路を開閉可能な弁が設けられてもよい。
【0016】
モータポンプ40aは、図示しない羽根車を有するポンプ44a(第1のポンプ部)と
、ポンプ44aに動力を供給する駆動部の一例であるモータ42aと、を有する。同様に、モータポンプ40bは、図示しない羽根車を有するポンプ44b(第2のポンプ部)と、ポンプ44bに動力を供給する駆動部の一例であるモータ42bと、を有する。なお、本実施形態では、2台のモータポンプ40a,40bが設けられるものとしたが、3台以上のモータポンプが設けられてもよい。
【0017】
ポンプ44aの下流側(吐出し側)に接続される吐出し管34a(第1の吐出し管)に、フロースイッチ24aと、逆止弁(第1の吐出し側弁)25aと、が設けられている。また、ポンプ44bの下流側(吐出し側)に接続される吐出し管34b(第2の吐出し管)に、フロースイッチ24bと、逆止弁(第2の吐出し側弁)25bと、が設けられている。
フロースイッチ24a,24bは、吐出し管34a,34bを流れる水の流量が所定の値にまで低下したこと、すなわち過少水量(小水量)を検出する流量検出器である。
【0018】
フロースイッチ24a,24bの下流側に設けられた逆止弁25a,25bは、吐出し管34a, 34bの合流管である吐出し集合管35からポンプ44a,44bへの水の逆流を防止する。逆止弁25a,25bとしては、例えばチェッキ弁を採用することができる。なお、逆止弁25a,25bに代えて、又は加えて、手動または自動で吐出し管34a,34bの流路を開閉可能な弁が設けられてもよい。
【0019】
また、給水管107に接続される吐出し集合管35には、圧力センサ26、及び圧力タンク28が設けられている。圧力センサ26は、給水装置10の吐出し圧力(以降、吐出し圧力とは、圧力センサ26によって計測された圧力を示す。)を測定するための圧力測定器である。圧力タンク28は、ポンプ44a、44bが停止している間の吐出し圧力を保持するための圧力保持器である。
【0020】
なお、以下の説明では、ポンプ毎に設けられる吸込管32a,32b、モータポンプ40a,40b、ポンプ44a,44b、モータ42a,42b、インバータ装置50a, 50b、吐出し管34a,34b、フロースイッチ24a,24bおよび逆止弁25a,25bを特に区別する必要がなければ、それぞれ、「吸込管32」、「モータポンプ40」、「ポンプ44」、「モータ42」、「インバータ装置50」、「吐出し管34」、「フロースイッチ24」、「逆止弁25」と称す。
【0021】
本実施形態の給水装置10は、ポンプ44aの吐出し管34aとポンプ44bの吸込管32bを接続する配管36a(第1の接続管)を備える。逆止弁25aの上流側と、逆止弁23aの下流側とが、配管36aによって接続されている。具体的には、図1に示すように、配管36aの一端部36a1は、吐出し管34aにおけるフロースイッチ24aと逆止弁25aとの間に接続される。また、配管36a(第1の接続管)の他端部36a2は、吸込管32bにおける逆止弁23bとポンプ44bとの間に接続されている。
【0022】
さらに、本実施形態の給水装置10は、ポンプ44bの吐出し管34bとポンプ44aの吸込管32aを接続する配管36b(第2の接続管)を備える。吐出し管34bにおける逆止弁25bの上流側と、吸込管32aにおける逆止弁23aの下流側とが、配管36bによって接続されている。具体的には、配管36bの一端36b1は、吐出し管34bにおけるフロースイッチ24bと逆止弁25bとの間に接続される。また、配管36bの他端36b2は、吸込管32aにおける逆止弁23aとポンプ44aとの間に接続されている。
【0023】
そして、本実施形態の給水装置10は、配管36aと配管36bの流路を開閉可能な開閉機構80を備えている。開閉機構80は、配管36aの流路が開いて配管36bの流路
が閉じた第1状態と、配管36aの流路が閉じて配管36bの流路が開いた第2状態と、配管36a及び配管36bの流路が共に閉じた第3状態と、を切り替え可能であるとよい。ただし、こうした例に限定されず、開閉機構80は、第1状態と第2状態とを切り替え可能であって、第3状態へは切り替え不能であってもよい。また、開閉機構80は、配管36a及び配管36bの流路が共に開いた第4状態へと切り替え可能であってもよい。
【0024】
開閉機構80は、例えば、電磁弁や電動弁である。また、給水装置10は、開閉機構80を駆動するための動力源81を備えてもよい。動力源81としては、開閉機構80の構成に応じて、モータ、ソレノイド、又は空気圧アクチュエータ等、種々の動力源を採用することができる。給水装置10の制御部60は、吐出し圧力などに基づいて自動で動力源81を作動させてもよいし、ユーザーによる指示、又は有線若しくは無線の通信を介した外部入力に基づいて動力源81を作動させてもよい。また、ユーザーが制御部60を介することなく動力源81に指示を入力できるものとしてもよい。
【0025】
こうした給水装置10では、開閉機構80によって配管36aの流路と配管36bの流路とを共に閉じた状態(第3状態)とすることにより、給水装置10の吸込口10aと吐出し口10bとに対して、ポンプ44aとポンプ44bとが並列に接続される。このときには、一部のポンプ(例えばポンプ44a)を運転させ、残りのポンプ(例えばポンプ44b)を停止させて、給水装置10による給水を実行することができる。ポンプ44a,44bのどちらか一方のみが運転されることを「単独運転」という。また、複数台のポンプ44を共に運転させることにより、給水先に供給できる水量を増加させることができる。以下、第3状態において、ポンプ44a,44bが共に運転されることを「並列運転」ともいう。
【0026】
開閉機構80によって配管36aの流路を開いて配管36bの流路を閉じた状態(第1状態)とすることにより、ポンプ44aの吐出し側がポンプ44bの吸込側に接続される。このときには、ポンプ44aとポンプ44bとを共に運転させることにより、ポンプ44aで加圧された水をポンプ44bで更に加圧して給水先に供給することができる。これにより、ポンプ44a,44bの単独運転または並列運転に比して、給水先に供給できる圧力(揚程)を大きくすることができる。
【0027】
また、開閉機構80によって配管36aの流路を閉じて配管36bの流路を開いた状態(第2状態)とすることにより、ポンプ44bの吐出し側がポンプ44aの吸込側に接続される。このときには、ポンプ44aとポンプ44bとを共に運転させることにより、ポンプ44bで加圧された水をポンプ44aで更に加圧して給水先に供給することができる。これにより、第2状態と同様に、ポンプ44a,44bの単独運転または並列運転に比して、給水先に供給できる圧力(揚程)を大きくすることができる。
【0028】
図1Bは、開閉機構80が第3状態の時、つまり並列運転におけるポンプ44のシステムカーブPとポンプの運転点Aの一例を示すグラフである。図1Cは、開閉機構80が第1状態または第2状態の時、つまり直列運転におけるポンプ44のシステムカーブPとポンプの運転点Aの一例を示すグラフである。図1B図1Cの横軸は吐出し量Q、縦軸は揚程Hである。ポンプ44の運転点は、吐出し量Qを横軸、全揚程Hを縦軸に取った座標の上で、ポンプ揚程曲線と管路抵抗曲線Rの交点Aとして求められる。
【0029】
図1Bに示すように、開閉機構80が第3状態の時、ポンプ44a,44bは同一性能の並列運転となり、ポンプ特性曲線の合成は、吐出し量の方向に特性を加算することによって求められる。なお、ポンプ44aとポンプ44bの性能が異なる場合は、制御部60は、全てのポンプ44の吐出し圧力が等しくなるよう、高性能のポンプの回転速度を制限する。こうすることで、配管36a,36b内の圧力が等しくなり、吐出し集合管35に
てポンプ44a,44bの吐出し量が均等に加算される。
【0030】
図1Cに示すように、開閉機構80が第1状態または第2状態の時、ポンプ44a,44bは同一性能の直列運転となり、ポンプ特性曲線の合成は、揚程の方向に特性を加算することによって求められる。なお、ポンプ44aとポンプ44bの性能が異なる場合は、制御部60は、上流側のポンプの吐出し量が下流側のポンプの吐出し量以上となるように、必要に応じて高性能ポンプの回転速度を制限する。こうすることで、下流側のポンプのキャビテーションを防止できる。
【0031】
このように、給水装置10は、開閉機構80によって、ポンプ44a,44bの並列運転と直列運転を切り替えることで複数のシステムカーブによる運転点にて給水することができる。なお、給水装置10内の全てのポンプ44が同じ性能(具体的には、同一機種で同一仕様のポンプの基準となる性能を示した代表性能曲線が同じであればよく、ポンプ44a,44bが同一機種のポンプであればよい)であれば、開閉機構80が第1状態、第2状態および第3状態のいずれの状態においても、最大水量または最高揚程が必要な場合に、全てのポンプ44の運転点を制限することなく、最高効率点とすることができるため省エネ運転が可能となる。
【0032】
ここで、図1Aの説明に戻る。給水装置10は、給水動作を制御する制御部60を備えている。制御部60としては、CPU(Central Processing Unit)を中心とした回路基板、又は専用の回路基板などを採用することができる。制御部60には、圧力センサ21、26の信号、及びフロースイッチ24a、24bの信号が入力される。また、制御部60は、インバータ装置50からの信号を受信すると共にインバータ装置50へ指令を送信する。さらに、制御部60は、図示しないセンサ又はインバータ装置50からモータ42の回転速度を取得するとよい。また、制御部60は、動力源81に指令を送信できるものとしてもよい。
【0033】
ここで、制御部60による給水制御について説明する。以下の説明では、ユーザーによる手動で開閉機構80が切り替えられるものとする。ただし、こうした例に限定されず、外部操作に応じて又は自動で制御部60が開閉機構80を切り替えるものとしてもよい。
【0034】
自動給水制御では、制御部60は、吐出し圧力と所定の目標圧力SVとの偏差を0とするためのフィードバック制御に基づき、ポンプ44を制御する。制御部60は、ポンプ44をモータ42により駆動するためインバータ装置50に指令を出力する。
【0035】
図1Dは、制御部60が実行する自動給水制御のフローチャートの一例である。
<ポンプの始動(STEP10)>
まず、全てのポンプ44が停止している状態で、吐出し圧力が所定の始動圧にまで低下すると、制御部60はポンプ44の少なくとも一方を始動させる。具体的には、制御部60はモータ42の駆動を開始するようにインバータ装置50に指令を出す。
<ポンプの台数制御(STEP20)>
制御部60は、給水先の使用水量や吐出し圧力等に基づいて、給水量が増加したと判断したら、追加可能なポンプ44を追加する。(台数制御)また、制御部60は、給水先の使用水量や吐出し圧力等に基づいて、給水量が減少したと判断したら、解列可能なポンプ44を解列する。(台数制御)
<ポンプの小水量停止(STEP30)>
ポンプ44の運転中に建物での水の使用が少なくなると、フロースイッチ24は、過少水量を検出し、その検出信号を制御部60に送る(小水量状態)。制御部60はこの検出信号を受け、運転中のポンプ44の吐出し圧力が所定の停止圧力に達するまで回転速度を増加させ、圧力タンク28に蓄圧した後、全てのポンプ44を停止(小水量停止)させる
【0036】
ここで、STEP30にてポンプ44が小水量停止した後はSTEP10に戻り、再び建物内で水が使用されると少なくとも1台のポンプ44が始動する。このときには、制御部60は、始動するポンプ44をローテーションさせ、ポンプ44内に水が滞留するのを防ぐことが好ましい。なお、小水量を検知する方法としては、フロースイッチ24を用いずに、モータ42の電流値による低負荷や締切圧力等その他の手段を用いてもよい。
【0037】
また、上述のSTEP20では、ポンプ44のうち少なくとも1台以上が運転中である。当該ポンプ44の運転中は、設定された圧力(設定圧)により推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御などの制御が行われる。具体的には推定末端圧力一定制御の場合は、ポンプ44の回転速度と、最大流量時の吐出し圧力PA、締切運転時の吐出し圧力PBに基づく目標圧力制御カーブとを用いて末端の給水栓の圧力が一定となるよう目標圧(SV)を設定する。また、目標圧力一定制御の場合は、所定の設定圧を目標圧(SV)とする。さらに、吐出し圧力を現在圧(PV)として、SVとPVの差に基づいて、比例ゲインGp、及び積分ゲインGiを用いたPI演算、もしくは、比例ゲインGp、積分ゲインGi、及び微分ゲインGdを用いたPID演算を行い、ポンプ44の指令回転速度が設定される。
【0038】
まず、開閉機構80によって配管36aと配管36bとが共に閉じている状態(第3状態)におけるポンプ44の運転について説明する。このときには、ポンプ44aとポンプ44bとは、給水装置10の吸込口(導入管105)と吐出し口(給水管107)とに対して並列に接続され、ポンプ44a,44bの並列運転が可能となる。
【0039】
第3状態では、制御部60は、STEP10にて、ポンプ44a,44bを同時に始動することができる。更に、STEP20にて、制御部60は、給水先の使用水量や吐出し圧力等に基づいて、運転中のポンプ44による給水量が不足したと判断したら、追加可能なポンプ44を追加することもできる。そして、制御部60は、ポンプ44a,44bが同じ水量で運転するように制御する。つまり、ポンプ44aとポンプ44bを同じ回転速度で運転することで、ポンプ44a,44bが同じ水量となり、所望される給水量が確保できる。このように、複数台のポンプ44を並列運転させることにより、給水装置10から吐出する水量を増加させることができる。
【0040】
続いて、開閉機構80によって配管36aが開いて配管36bが閉じている状態(第1状態)について説明する。このときには、ポンプ44aの吐出し側がポンプ44bの吸込側に接続される。つまり、第1状態ではポンプ44aが上流でポンプ44bが下流となる直列運転を行う。なお、第1状態では、吸込側の圧力(例えば、水道本管圧)が高く、それに比べてポンプ44の停止時の圧損が小さければ、ポンプ44aとポンプ44bとの一方(例えばポンプ44b)のみを単独運転させて給水装置10による給水を行うこともできるが、本実施形態では、第1状態では上流側のポンプ44aを先に運転し、下流側のポンプ44bが先に停止するものとする。そうすることで、下流側のポンプが吸込圧不足によってキャビテーション等の不具合を発生するのを防止できる。
【0041】
制御部60は、第1状態では、ポンプ44aで加圧された水をポンプ44bで更に加圧して給水先に供給することができる。第1状態では、給水装置10は、第3状態よりも高い目標圧力SVに対応することができる。
【0042】
第1状態では、制御部60は、STEP10にて、ポンプ44a,44bのうち、ポンプ44aのみを始動する。そして、STEP20にて、制御部60は、給水先の使用水量や吐出し圧力等に基づいて、運転中のポンプ44aによる吐出し圧が不足したと判断した
ら、追加可能なポンプ44bを追加する。そして、制御部60は、先発ポンプであるポンプ44aを最高回転速度に固定し、次発ポンプであるポンプ44aの回転速度を変化させて吐出し圧PVが目標圧力SVとなるように制御する。複数台のポンプ44を直列運転させることにより、給水装置10から吐出する吐出し圧を増加させることができる。その後、STEP20にて、制御部60は、給水先の使用水量や吐出し圧力等に基づいて、ポンプ44aのみの吐出し圧にて足り得る、と判断したら、運転中のポンプ44bを解列する。
【0043】
続いて、開閉機構80によって配管36aが閉じて配管36bが開いている状態(第2状態)について説明する。このときには、ポンプ44bの吐出し側がポンプ44aの吸込側に接続される。第2状態ではポンプ44bが上流でポンプ44aが下流となる直列運転を行う。
【0044】
第2状態は、第1状態に対して、ポンプ44aとポンプ44bが置き換えられた構成に相当する。このため、制御部60は、第2状態では、ポンプ44aとポンプ44bとを置き換えて、上記した第1状態における制御と同様の制御を行うことができる。
【0045】
このように、本実施形態の給水装置10では、開閉機構80によって第3状態とすることにより、ポンプ44a,44b並列運転などを行うことができる。特に、ポンプ44a,44bを並列運転させることにより、供給水量を大きくすることができる。また、開閉機構80によって第1状態または第2状態とすることにより、ポンプ44a,44bで加圧した水をポンプ44b,44aで更に加圧して給水先に供給することができる。これにより、ポンプ44aとポンプ44bとが単独運転または並列運転するときに比して、給水先に供給できる圧力(揚程)を高圧にすることができる。したがって、本実施形態の給水装置10は、開閉機構80による切り替えにより、広範囲の吐出し流量および吐出し圧力に対応することができ、なお且つ、積算運転時間や発停回数等のポンプ44の運転を平準化できるようにローテーション運転にも対応できる。
【0046】
さらに、本実施形態の給水装置10では、第1状態と第2状態とで、上流側および下流側となるポンプ44を切り替えることができる。これにより、ポンプ44a,44bの劣化、損傷具合にバラツキが生じることを抑制できる。また、特に制御部60が動力源81を通じて開閉機構80を制御できる場合、第3状態において大きな給水圧力が求められて第1状態または第2状態へと切り替えるときに、例えば現在運転されているポンプ44が下流側となるように第1状態または第2状態へと切り替えることで、スムーズに運転状態を変更することができる。
【0047】
次に、図2Aから図4Bを用いて、給水装置10の第1状態から第3状態について説明する。図2Aは、図1Aの給水装置10の第3状態における搬送液の流れを模式的に示す図である。また、図2Bは、図2Aにおける開閉機構の中心を通る断面図である。図3Aは、図1Aの給水装置10の第1状態における搬送液の流れを模式的に示す図である。また、図3Bは、図3Aにおける開閉機構の中心を通る断面図である。図4Aは、図1Aの給水装置10の第1状態における搬送液の流れを模式的に示す図である。また、図4Bは、図4Aにおける開閉機構の中心を通る断面図である。なお、本実施形態では、図1における開閉機構80がボール弁180に相当し、以下の図では、図1における開閉機構80以外の構成要素と同一または相当する構成要素には、同一の符号を付している。また、以下の図では、各種センサ、モータ42、インバータ装置50、及び制御部60は、省略している。
【0048】
まず、図2B図3B,図4Bに示す本実施形態のボール弁180について説明する。ボール弁180(開閉機構)は、配管36aと配管36bとの両方に介在するように設け
られている。ボール弁180は、その内部に球状の弁体180bを有し、当該弁体180bに1つの流路180aを有するボール弁で構成されている。当該ボール弁(ボール弁180)は、弁箱180cと球状の弁体180bを備え、弁箱180c内で、例えば紙面に垂直な軸まわりに、弁体180bを回転させることにより、流路180aの位置を移動し、以下に示す3つの状態を形成することができる。
・配管36aの流路を開き、配管36bの流路を閉じる。(第1の回転位置)
・配管36bの流路を開き、配管36aの流路を閉じる。(第2の回転位置)
・配管36aおよび配管36bの流路を共に閉じる。(第3の回転位置)
【0049】
ボール弁180は、図3Bに示すように、流路180aの一端部180a1の少なくとも一部が配管136aの一端部36aaに合わせられ、且つ、流路180aの他端部180a2の少なくとも一部が配管36aの他端部36abに合わせられることで、「第1の回転位置」となる。ボール弁180は、図4Bに示すように、流路180aの一端部180a1を配管36bの一端部36baに合わせ、且つ、流路180aの他端部180a2を配管36bの他端部36bbに合わせることで、「第2の回転位置」となる。ボール弁180は、図2Bに示すように、流路180aの一端部180a1並びに他端部180a2を、配管36aの一端部36aa,他端部36ab、配管36bの一端部36ba,他端部36bbのいずれにも合わない状態とすることで、「第3の回転位置」となる。
【0050】
ここで、ボール弁180は、弁体180bの可動範囲において、流路180aが配管36aと配管36bのどちらか一方のみと連通する、又は、流路180aが配管36aと配管36bの両方の流路を遮断するように構成される。具体的には、図2B図3B,図4Bに示すように、ボール弁180の弁箱180cは、配管36a,36bが連通する接続部と、隣り合う当該接続部間に壁部180c1,180c2,180c3,180c4を備える。そして、弁体180bの可動範囲において、壁部180c1,180c2,180c3,180c4の面積は、一端部180a1並びに他端部180a2の面積以上である。これにより、「第1の回転位置」を「第2の回転位置」に切替える時には「第3の回転位置」の状態を通過し、「第2の回転位置」の状態を「第1の回転位置」の状態に切替える時には「第3の回転位置」の状態を通過し、「第3の回転位置」からは「第1の回転位置」「第2の回転位置」の何れの状態でも切り替え可能である。これにより、直列運転時に上流側と下流側を入れ代えるローテーションの場合に、一旦、「第3の回転位置」にて並列運転を行い、当該並列運転にて運転中のポンプ44を交換することができる。上流側のポンプ44を先に運転することができるので、下流側のポンプ44のキャビテーション等を防止することができる。また、並列運転にて運転中のポンプ44を交換するため、先発ポンプと後発ポンプの回転速度を制御する等して、圧力変動を最小限に抑えることができる。
【0051】
ボール弁180は、手動によって「第1の回転位置」「第2の回転位置」「第3の回転位置」になるよう操作されてもよいし、モータなどの図示しない動力源81や制御部60によって開閉制御されてもよい。また、弁体180bを自由に回転できるボール弁180であれば、開度調整が可能である。
【0052】
ボール弁180は、図2Bに示すように流路180aを「(3)配管36aと配管36bの流路が共に閉じた状態」とすることで、給水装置10を図2Aに示す第3状態とすることができる。
なお、図2Aでは、第3状態において、全てのポンプ44を並列運転させたときの水の流れを矢印で示し、搬送液が流れる配管を実線、流路から切り離された配管を点線で示している。
【0053】
ボール弁180は、図3Bに示すように流路180aを「第1の回転位置」とすること
で、給水装置10を第1状態とすることができる。図3Aでは、第1状態において、ポンプ44を直列運転させたときの水の流れを矢印で示し、搬送液が流れる配管を実線、流路から切り離された配管を点線で示している。図3Aに示すように、第1状態では、吸込口10aからの水は、ポンプ44aによって加圧されて配管36aを通ってポンプ44bの吸込側に送られ(中太線参照)、ポンプ44bによって更に加圧されて吐出し口(給水管107)から吐き出される(太線参照)。これにより、ポンプ44a,44bが単独運転されるとき、又はポンプ44a,44bが並列運転されるとき、に比して給水先に供給できる圧力(揚程)を大きくすることができる。
【0054】
ボール弁180は、図4Bに示すように「第2の回転位置」とし、給水装置10を第2状態とすることができる。図4Aでは、第2状態において、ポンプ44を直列運転させたときの水の流れを矢印で示し、搬送液が流れる配管を実線、流路から切り離された配管を点線で示している。図4Aに示すように、第2状態では、吸込口10aからの水は、ポンプ44bによって加圧されて配管36bを通ってポンプ44aの吸込み側に送られ(中太線参照)、ポンプ44aによって更に加圧されて吐出し口(給水管107)から吐き出される(太線参照)。これにより、第1状態と同様に、給水先に供給できる圧力(揚程)を大きくすることができる。
【0055】
このように、本実施形態では、単一のボール弁180にて第1状態、第2状態、第3状態の切替えを行うことができる。さらに、弁体180bを回転させる速度を調整し、当該速度を遅くすることで、流路180aを流れる水量の変化を緩やかにできる。このように、ボール弁180であれば、ポンプ44を運転しつつ第1状態、第2状態、第3状態の切替えを行う場合等に、当該切り替えによる圧力の変動を抑えることができる。
【0056】
なお、図2Aから図4Bに示す例では、配管36aと配管36bとが近い位置で約90度曲げられており、ボール弁180は、約90度曲がった流路180aを有している。ただし、こうした例に限定されず、例えば、図4Cに示す変形例のように、配管36aと配管36bとが交差する位置にボール弁180が設けられ、当該ボール弁180は、まっすぐな流路180aを有してもよい。こうした変形例の構成においても、図2Aから図4Bに示す例と同様の機能および効果を奏することができる。なお、図4Cは、図4Bと同様に、ボール弁180が「第2の回転位置」となっている。また、図4Cでは、図4Bと対応する構成に、図4Bと同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0057】
次に、給水装置10の構成の別の一例を、図5Aから図7Bを用いて説明する。図5Aから図7Bにて上述の第1状態から第3状態について説明する。図5Aは、図1Aの給水装置10の第3状態における搬送液の流れを模式的に示す図である。また、図5Bは、図5Aにおける開閉機構の説明図である。図6Aは、図1Aの給水装置10の第1状態における搬送液の流れを模式的に示す図である。また、図6Bは、図6Aにおける開閉機構の説明図である。図7Aは、図1Aの給水装置10の第2状態における搬送液の流れを模式的に示す図である。また、図7Bは、図7Aにおける開閉機構の説明図である。なお、本実施形態では、図1における開閉機構80がバルブ装置280に相当し、以下の図では、当該バルブ装置280以外の構成要素と同一または相当する構成要素には、同一の符号を付している。また、以下の図では、各種センサ、モータ42、インバータ装置50、及び制御部60は、省略している。
【0058】
図5B, 図6B, 図7Bに示すバルブ装置280は配管36a、36bのそれぞれの一部を画定するハウジング805を有している。また、バルブ装置280は、配管36a,36bを開閉可能な開閉弁801a(第1の開閉弁),801b(第2の開閉弁)と、開閉弁801a,801bが接続される軸部材803と、を有している。軸部材803は、上述の第1状態、第2状態、第3状態の何れかとなるように、ハウジング805に対して
軸方向(軸部材803の長手方向)に移動可能に設けられている。バルブ装置280は、本実施形態では、軸部材803の凹部803a~803cの何れかに留め具804が固定されることにより軸方向の位置が調節されて第1状態、第2状態、第3状態の何れかに固定される。一実施形態では、留め具804以外の固定具が用いられてもよいし、固定具が用いられず不図示の動力源81等によって位置が固定されてもよい。軸部材803の軸方向への移動や固定は、手動での操作、ソレノイド、空気圧アクチュエータ、及びモータ等の図示しない動力源81、制御部60からの制御信号等によって制御されるとよい。
【0059】
ハウジング805内に画定される配管36aは、吐出し管34a側である上流側流路807a、軸方向に沿った軸方向流路806a、及び吸込管32b側である下流側流路808aを有する。上流側流路807aと下流側流路808aとは、軸方向流路806aの両端に略垂直に接続されている。また、ハウジング805内には、配管36aと軸方向に離間して配管36bの一部が画定されている。
【0060】
ハウジング805内に画定される配管36bは、吐出し管34b側である上流側流路807b、軸方向に沿った軸方向流路806b、及び吸込管32b側である下流側流路808bを有する。上流側流路807bと下流側流路808bとは、軸方向流路806bの両端に略垂直に接続されている。軸方向流路806a、806bに対して、配管36aの上流側流路807aと、配管36bの上流側流路807bとは、軸方向における反対側(図5B中、紙面左右方向の内側)に接続されている。同様に、軸方向流路806a、806bに対して、配管36aの下流側流路808aと、配管36bの下流側流路808bとは、軸方向における反対側(図5B中、紙面左右方向の外側)に接続されている。
【0061】
開閉弁801a、801bのそれぞれは、配管36a、36bの軸方向流路806a、806b内に配置されている。開閉弁801a、801bは、バネ802a、802bを介して軸部材803に接続されており、軸部材803の長手方向(紙面左右方向)に移動することができる。バネ802a、802bは、開閉弁801a、801bを封止部809a、809bに向けて付勢している。なお、軸部材803と、バネ802a、802bが、開閉弁801a、801bを連動させる「連動機構」に相当する。
【0062】
開閉弁801aが軸方向流路806aにおいて下流側流路808a側に設けられた封止部809aと当接すると、配管36aの流路が遮断される。一方、開閉弁801aが封止部809aと離れると、配管36aの流路が開かれる。
【0063】
開閉弁801bは、下流側流路808b側に設けられた封止部809bと当接すると、配管36bの流路が遮断される。一方、開閉弁801bが封止部809bと離れると、配管36bの流路が開かれる。
【0064】
また、バルブ装置280は、軸方向流路806a, 806bにて封止部809が紙面左右反対の位置に配置されている。そのため、軸部材803を軸方向に移動することで、以下に示す3つの状態を形成することができる。
・配管36aの流路を開き、配管36bの流路を閉じる。(第1の移動位置)
・配管36bの流路を開き、配管36aの流路を閉じる。(第2の移動位置)
・配管36aおよび配管36bの流路を共に閉じる。(第3の移動位置)
【0065】
バルブ装置280は、図6Bに示すように、軸部材803が凹部803aに合わせられることで、「第1の移動位置」となる。バルブ装置280は、図7Bに示すように、軸部材803が803bに合わせられることで、「第2の移動位置」となる。バルブ装置280は、図5Bに示すように、軸部材803が803cに合わせられることで、「第3の移動位置」となる。
【0066】
ここで、バルブ装置280は、ボールバルブ108と同様に、軸部材803の可動範囲において、配管36aと配管36bのどちらか一方のみが連通する、又は、配管36aと配管36bの両方の流路を遮断するように構成される。具体的には、図5B図6B,図7Bに示すように、凹部803aと凹部803bの間に凹部803cがある。これにより、「第1の移動位置」を「第2の移動位置」に切替える時には「第3の移動位置」の状態を通過し、「第2の移動位置」の状態を「第1の移動位置」の状態に切替える時には「第3の移動位置」の状態を通過し、「第3の移動位置」からは「第1の移動位置」「第2の移動位置」の何れの状態でも切り替え可能である。これにより、直列運転時に上流側と下流側を入れ代えるローテーションの場合に、一旦、「第3の移動位置」にて並列運転を行い、当該並列運転にて運転中のポンプ44を交換することができる。これにより、上流側のポンプ44を先に運転することができるので、下流側のポンプ44のキャビテーション等を防止することができる。また、並列運転にて運転中のポンプ44を交換するため、先発ポンプと後発ポンプの回転速度を制御する等して、圧力変動を最小限に抑えることができる。
【0067】
バルブ装置280は、図5Bに示すように、軸部材803を「第3の移動位置」とすることで、給水装置10を第3状態とすることができる。なお、図5Aでは、ポンプ44a,44bを並列運転させたときの水の流れを矢印と実線にて示しており、ポンプ44a,44bによって加圧された水の流れを中太線で示している。また、バルブ装置280によって遮断された流路は点線にて示される。
【0068】
バルブ装置280は、図6Bに示すように、軸部材803を「第1の移動位置」とすることで、給水装置10を第1状態とすることができる。なお、図6Aでは、上流側をポンプ44a、下流側をポンプ44bとして直列運転させたときの水の流れを矢印と実線にて示しており、ポンプ44a,44bによって加圧された水の流れを中太線で示している。また、バルブ装置280によって遮断された流路は点線にて示される。
【0069】
バルブ装置280は、図7Bに示すように、軸部材803を「第2の移動位置」とすることで、給水装置10を第2状態とすることができる。なお、図7Aでは、上流側をポンプ44b、下流側をポンプ44aとして直列運転させたときの水の流れを矢印と実線にて示しており、ポンプ44a,44bによって加圧された水の流れを中太線で示している。また、バルブ装置280によって遮断された流路は点線にて示される。
【0070】
なお、図5B図7Bに示す例では、バルブ装置280は、第1及び開閉弁801a,801bを連動させる「連動機構」として、軸部材803及びバネ802a,802bを備えるものとした。しかし、こうした例に限定されるものではなく、連動機構としては、開閉弁を連動させる種々の構成が採用されてもよい。
【0071】
(変形例1)
図8は、第1の変形例のポンプ部の概略構成を示す図である。
上記した実施形態では、第1のポンプ部と第2のポンプ部として、ポンプ44a,44bを備えた給水装置10について説明した。しかしながら、給水装置10は第1のポンプ部と第2のポンプ部として、図1に示すポンプ44a,44bの少なくとも一方に代えて、図8に示すポンプ部1044を備えてもよい。図8に示すように、ポンプ部1044は、モータポンプ1040と、モータポンプ1040の可変速制御器の一例であるインバータ装置1050と、モータポンプ1040を制御する制御部1060と、を備える。モータポンプ1040とインバータ装置1050とのそれぞれは、実施形態のモータポンプ40とインバータ装置50のそれぞれと同一の構成であってもよい。
【0072】
ポンプ部1044では、ポンプ部1044の吸込側に吸込管32が接続され、ポンプ部1044の吐出し側に吐出し管34が接続されている。具体的には、ポンプ部1044の吸込管1032の一端である吸込口1044aに吸込管32が接続されており、吸込管1032には、吸込管32の圧力を検出するための圧力センサ1021が設けられている。また、ポンプ部1044の吐出し管1034の一端である吐出し口1044bに吐出し管34が接続されており、吐出し管1034には、過少小水量を検知するフロースイッチ1024と、逆止弁1025と、圧力検出器である圧力センサ1026と、圧力タンク1028とが設けられている。圧力センサ1021、フロースイッチ1024、逆止弁1025、圧力センサ1026、及び圧力タンク1028は、図1Aに示す実施形態の給水装置10における圧力センサ21、フロースイッチ24、逆止弁25、圧力センサ26、及び圧力タンク28のそれぞれと同一の構成であってもよい。
【0073】
図8に示すポンプ部1044では、各種センサによる検出信号が制御部1060に入力され、制御部1060は、インバータ装置1050等に指令を送信することによって、モータポンプ1040を駆動することができる。つまり、図8に示すポンプ部1044は、単独で給水先に給水を行うポンプ装置として使用することもできる。
【0074】
こうしたポンプ部1044を、第1のポンプ部、及び第2のポンプ部として使用する場合、図1に示す制御部60と、図8に示す制御部1060とが、無線または有線で接続されるとよい。そして、ポンプ部1044の制御部1060から給水装置10の制御部60へポンプ部1044における各種検出信号が送られるとよい。また、給水装置10の制御部60からポンプ部1044の制御部1060へ、例えば開閉機構80の開閉状態を示す信号、又は給水装置10の目標圧力などが送られるとよい。なお、第1のポンプ部として使用されるポンプ部1044の制御部1060と、第2のポンプ部として使用されるポンプ部1044の制御部1060とが、互いに通信可能に接続されてもよい。このように、第1のポンプ部と第2のポンプ部との少なくとも一方として、図8に示すようなポンプ部1044が使用される場合にも、上記した実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、図8に示すポンプ部1044を、図1のポンプ44に代えて用いる場合、モータ42、インバータ装置50、フロースイッチ24、逆止弁25、圧力センサ21,26、及び圧力タンク28といった重複する構成の少なくとも一部は、省略されてもよい。また、制御部1060aまたは/および制御部1060bが制御部60として機能し、制御部60を省略してもよい。
【0075】
(変形例2)
図9は、第2の変形例のポンプ部の概略構成を示す図である。
第1のポンプ部と第2のポンプ部として、図1に示すポンプ部44a,44bの少なくとも一方に代えて、図9に示すポンプ部2044を備えてもよい。図9に示すように、ポンプ部2044は、2つのモータポンプ2040a,2040bと、モータポンプ2040a,2040bの可変速制御器の一例であるインバータ装置2050a,2050bと、モータポンプ2040a,2040bを制御するための制御部2060と、を備える。モータポンプ2040a,2040bとインバータ装置2050a,2050bとのそれぞれは、実施形態のモータポンプ40とインバータ装置50のそれぞれと同一の構成であってもよい。
【0076】
図9に示すポンプ部2044は、ポンプ部2044の吸込管32と吐出し管34とに対して並列に接続される2台のモータポンプ2040を備えている。なお、図9に示す例では、2台のモータポンプ2040a,2040bが設けられるものとしたが、3台以上のモータポンプが設けられてもよい。ポンプ部2044の吸込管2032cの一端である吸込口2044aに吸込管32が接続されており、ポンプ部2044の吸込管2032cには、吸込管32内の圧力を測定するための圧力センサ21が設けられている。更に、吸込
管2032cは、モータポンプ2040aの吸込管2032aとモータポンプ2040bの吸込管2032bに分岐する。また、ポンプ部2044の吐出し集合管2032cの一端である吐出し口2044bには吐出し管34が接続されている。ポンプ部2044の吸込管2032cより分岐して、モータポンプ2040a,2040bの吸込口に吸込管2032a,2032bが接続されている。また、モータポンプ2040a,2040bの吐出し口に接続された吐出し管2034a,2034bは、統合されてポンプ部2044の吐出し管2034cに接続される。各吐出し管2034a,2034bには、過少小水量を検知するフロースイッチ2024a、2024bと、逆止弁2025a、2025bとが設けられている。また、吐出し合流管2034cには、圧力検出器である圧力センサ2026と、圧力タンク2028とが設けられている。圧力センサ2021、フロースイッチ2024a、2024b、逆止弁2025a、2025b、圧力センサ2026、及び圧力タンク2028は、実施形態の給水装置10における圧力センサ21、フロースイッチ24、逆止弁25、圧力センサ26、及び圧力タンク28のそれぞれと同一の構成であってもよい。
【0077】
図9に示すポンプ部2044では、各種センサによる検出信号が制御部2060に入力され、制御部2060は、インバータ装置2050a,2050b等に指令を送信することによって、モータポンプ2040a,2040bを駆動することができる。つまり、図9に示すポンプ部2044は、図8に示すポンプ部1044と同様に、単独で給水先に給水を行うポンプ装置として使用することもできる。
【0078】
こうしたポンプ部2044を、第1のポンプ部、及び第2のポンプ部として使用する場合、図1に示す制御部60と、図9に示す制御部2060とが、無線または有線で接続されるとよい。そして、ポンプ部2044の制御部2060から給水装置10の制御部60へポンプ部2044における各種検出信号が送られるとよい。また、給水装置10の制御部60からポンプ部2044の制御部2060へ、例えば開閉機構80の開閉状態を示す信号、又は給水装置10の目標圧力などが送られるとよい。なお、第1のポンプ部として使用されるポンプ部2040の制御部2060と、第2のポンプ部として使用されるポンプ部2040の制御部2060とが互いに通信可能に接続されてもよい。このように、第1のポンプ部と第2のポンプ部との少なくとも一方として、図9に示すようなポンプ部2044が使用される場合にも、上記した実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、図8に示すポンプ部2044を、図1のポンプ44に代えて用いる場合、モータ42、インバータ装置50、フロースイッチ24、逆止弁25、圧力センサ21,26、及び圧力タンク28といった重複する構成の少なくとも一部は、省略されてもよい。また、制御部2060aまたは/および制御部2060bが制御部60として機能し、制御部60を省略してもよい。
【0079】
以上説明した本実施形態は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、第1のポンプ部と第2のポンプ部を備えたポンプ装置が提案される。前記ポンプ装置は、前記第1のポンプ部の吐出し管と前記第2のポンプ部の吸込管を接続する第1の接続管と、前記第2のポンプ部の吐出し管と前記第1のポンプ部の吸込管を接続する第2の接続管と、前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、を備える。形態1によれば、第1の接続管を通じて、第1のポンプ部を低圧側、第2のポンプ部を高圧側として第1および第2のポンプ部を直列運転させることができる。また、第2の接続管を通じて、第2のポンプ部を低圧側、第1のポンプ部を高圧側として第1および第2のポンプ部を直列運転させることができる。よって、こうしたポンプ装置によれば、広範囲の吐出し流量および吐出し圧力に対応することができ且つ省エネルギおよび高寿命化を図ることができる。
【0080】
[形態2]形態2によれば、形態1において、前記開閉機構は、前記第1の接続管の流路
が開いて前記第2の接続管の流路が閉じた第1状態と、前記第1の接続管の流路が閉じて前記第2の接続管の流路が開いた第2状態と、前記第1の接続管の流路および前記第2の接続管の流路が共に閉じた第3状態と、を、切り替え可能である。
【0081】
[形態3]形態3によれば、形態2において、前記開閉機構は、前記第3状態を経由して前記第1状態と前記第2状態とが切り替わる。
【0082】
[形態4]形態4によれば、形態3において、前記開閉機構は、単一のボール弁で構成され、第1の回転位置で前記第1状態となり、第2の回転位置で第2状態となり、第3の回転位置で第3状態となる。
【0083】
[形態5]形態5によれば、形態1から3において、前記開閉機構は、前記第1の接続管の流路を開閉可能な第1の開閉弁と、前記第2の接続管の流路を開閉可能な第2の開閉弁と、を有する。
【0084】
[形態6]形態6によれば、形態5において、前記開閉機構は、前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とに接続されて前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とを連動させる連動機構を更に有する。
【0085】
[形態7]形態7によれば、形態6において、前記連動機構は、前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とに接続されて軸方向に移動可能な軸部材を有し、前記軸部材の移動に伴って前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁とを前記軸方向に移動させる。
【0086】
[形態8]形態8によれば、形態1から7において、前記開閉機構を駆動するための動力源を更に備える。こうすれば、動力源によって開閉機構を駆動することができる。
【0087】
[形態9]形態9によれば、形態1から8において、前記第1のポンプ部の吸込管には、前記第1の接続管との接続部の上流側に第1の吸込側弁が設けられ、前記第2のポンプ部の吸込管には、前記第2の接続管との接続部の上流側に第2の吸込側弁が設けられる。
【0088】
[形態10]形態10によれば、形態9において、前記第1の吸込側弁と前記第2の吸込側弁との少なくとも1つは逆止弁である。
【0089】
[形態11]形態11によれば、形態1から10において、前記第1のポンプ部の吐出し管には、前記第2の接続管との接続部の下流側に第1の吐出し側弁が設けられ、前記第2のポンプ部の吐出し管には、前記第1の接続管との接続部の下流側に第2の吐出し側弁が設けられる。
【0090】
[形態12]形態12によれば、形態11において、前記第1の吐出し側弁と前記第2の吐出し側弁との少なくとも1つは逆止弁である。
【0091】
[形態13]形態13によれば、形態1から12において、前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部は、同性能であることを特徴とする。形態13によれば、第1のポンプ部と第2のポンプ部との制御を容易にすることができる。
【0092】
[形態14]形態14によれば、第1のポンプ部と、第2のポンプ部と、前記第1のポンプ部の吸込管と前記第2のポンプ部の吐出し管を接続する第1の接続管と、前記第2のポンプ部の吸込管と前記第1のポンプ部の吐出し管を接続する第2の接続管と、前記第1の接続管の流路と前記第2の接続管の流路とを開閉可能な開閉機構と、を備えたポンプ装置のポンプ運転方法が提案される。前記ポンプ運転方法は、前記開閉機構は、前記第1の接
続管の流路が開いて、前記第2の接続管の流路が閉じた第1状態と、前記第1の接続管の流路が閉じて、前記第2の接続管の流路が開いた第2状態と、前記第1の接続管の流路および前記第2の接続管の流路が共に閉じた第3状態と、を切り替え可能であって、前記第1状態では前記第1のポンプ部が上流で且つ前記第2のポンプ部が下流となる直列運転を行い、前記第2状態では前記第2のポンプ部が上流で且つ前記第1のポンプ部が下流となる直列運転を行い、前記第3状態では前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部の並列運転を行う。形態14によれば、広範囲の吐出し流量および吐出し圧力に対応することができ且つ省エネルギおよび高寿命化を図ることができる。
【0093】
[形態15]形態15によれば、形態14において、前記第1のポンプ部が上流で前記第2のポンプ部が下流となる直列運転では前記第1のポンプ部を起動するステップと、前記第2のポンプ部を起動するステップと、を有する。こうすれば、第1のポンプ部と第2のポンプ部との間が負圧となることを防止でき、下流側のポンプ部のキャビテーションを防止できる。
【0094】
[形態16]形態16によれば、形態14又は15において、前記第2のポンプ部が上流で前記第1のポンプ部が下流となる直列運転では、前記第2のポンプ部を起動するステップと、前記第1のポンプ部を起動するステップと、を有する。こうすれば、第2のポンプ部と第1のポンプ部との間が負圧となることを防止でき、下流側のポンプ部のキャビテーションを防止できる。
【0095】
[形態17]形態17によれば、形態14から16において、前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部の並列運転では、前記第1のポンプ部と前記第2のポンプ部を同じ回転速度にて運転するステップ、を有する。形態17によれば、第1のポンプ部と第2のポンプ部とで吐出し水量を均等にすることができる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0097】
10…給水装置
10a…吸込口
10b…吐出し口
23a、23b…逆止弁
25a、25b…逆止弁
32a…吸込管
32b…吸込管
34a…吐出し管
34b…吐出し管
36a…接続管
36b…接続管
42a、42b…モータ
44a…ポンプ(第1のポンプ部)
44b…ポンプ(第2のポンプ部)
50a、50b…インバータ
60…制御部
80…開閉機構
80a…流路
81…動力源
105…導入管
107…給水管
180…ボール弁(開閉機構)
280…バルブ装置(開閉機構)
801a…第1の開閉弁
801b…第2の開閉弁
802a…バネ
803a~803c…凹部
803…軸部材
804…留め具
805…ハウジング
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9