IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図1
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図2A
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図2B
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図3
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図4
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図5
  • 特許-化学機械研磨スマートリング 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】化学機械研磨スマートリング
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/10 20060101AFI20230712BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230712BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20230712BHJP
【FI】
B24B49/10
H01L21/304 621D
H01L21/304 622Z
B24B37/30 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019514732
(86)(22)【出願日】2017-09-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 US2017050822
(87)【国際公開番号】W WO2018052816
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】201641031439
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】フアン ズービン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ スティーブン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラン ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】シーラヴァント ガンガダール
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴェルバーグ サイモン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0360343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/10
H01L 21/304
B24B 37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学研磨装置のためのキャリアヘッドであって、
前記キャリアヘッドの本体と、
前記本体に結合された保持リングと、
センサアセンブリであって、
第1の端部および第2の端部を有し、前記キャリアヘッドの前記本体に配置された送信器、
前記送信器の前記第1の端部に結合されたアンテナ、および
前記キャリアヘッドの前記本体を少なくとも部分的に通って前記保持リングの中に延びており、前記送信器の前記第2の端部に電気的に結合された振動センサであって、前記キャリアヘッドの半径方向、方位角方向、および角度方向の軸に関して化学機械プロセス中の振動を検出するように構成された、振動センサ、
を備えるセンサアセンブリと、
を備える、化学研磨装置のためのキャリアヘッド。
【請求項2】
前記センサアセンブリが、
前記センサアセンブリに電力を供給するように構成された1つまたは複数のバッテリ
をさらに備える、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項3】
前記1つまたは複数のバッテリのそれぞれが、前記キャリアヘッドの寿命と実質的に等しい寿命を有する、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項4】
前記振動センサを実質的にカバーするセンサカバーであって、リボン接続部を介して前記振動センサに結合されている、センサカバー
をさらに備える、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項5】
カバーアセンブリが、前記アンテナの一部を覆っており、前記キャリアヘッドの頂面の上方に部分的に延在する、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項6】
前記送信器は、短距離無線送信器である、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項7】
前記送信器は、ブルートゥース、無線周波数識別(RFID)シグナリングおよび規格、近距離無線通信(NFC)、ZigBee無線通通信方法の1つを介して検出した振動放出を送信するように構成される、請求項6に記載のキャリアヘッド。
【請求項8】
前記振動センサは、微小電子機械システム加速度計である、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項9】
前記キャリアヘッドの頂面上に配置された可動コイルと、
前記可動コイルの上に配置された固定コイルであって、前記可動コイルと前記固定コイルが、前記固定コイルを介して交流信号を送出することによって誘導結合される、固定コイルと、
をさらに備える、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項10】
前記キャリアヘッドおよび前記保持リングに形成されたチャネルと連通する垂直開口部であって、前記振動センサが前記垂直開口部に配置されている、垂直開口部
をさらに備える、請求項9に記載のキャリアヘッド。
【請求項11】
前記振動センサを前記保持リングの開口部から遮閉する膜をさらに含む、請求項10に記載のキャリアヘッド。
【請求項12】
キャリアヘッドであって、
前記キャリアヘッドの本体、
前記本体に結合された保持リング、ならびに
センサアセンブリであって、
第1の端部および第2の端部を有し、前記キャリアヘッドの前記本体に配置された送信器、
前記送信器の前記第1の端部に結合されたアンテナ、および
前記キャリアヘッドの前記本体を少なくとも部分的に通って前記保持リングの中に延びており、前記送信器の前記第2の端部に電気的に結合された振動センサであって、前記キャリアヘッドの半径方向、方位角方向、および角度方向の軸に関して化学機械プロセス中の振動を検出するように構成された、振動センサ
を備える、センサアセンブリ
を備える、キャリアヘッドと、
前記センサアセンブリと通信するコントローラと、
を備える、化学機械研磨システム。
【請求項13】
前記キャリアヘッドが、
前記キャリアヘッドの頂面上に配置された可動コイルと、
前記可動コイルの上に配置された固定コイルであって、前記可動コイルと前記固定コイルが、前記固定コイルを介して交流信号を送出することによって誘導結合される、固定コイルと、
をさらに備える、請求項12に記載の化学機械研磨システム。
【請求項14】
前記キャリアヘッドが、
前記キャリアヘッドおよび前記保持リングに形成されたチャネルと連通する垂直開口部であって、前記振動センサが前記垂直開口部に配置されている、垂直開口部
をさらに備える、請求項13に記載の化学機械研磨システム。
【請求項15】
前記キャリアヘッドが、前記振動センサを前記保持リングの開口部から遮閉する膜をさらに含む、請求項14に記載の化学機械研磨システム。
【請求項16】
前記キャリアヘッドが、
前記振動センサを実質的にカバーするセンサカバーであって、リボン接続部を介して前記振動センサに結合されている、センサカバー
をさらに備える、請求項12に記載の化学機械研磨システム。
【請求項17】
カバーアセンブリが前記アンテナの一部を覆っており、前記キャリアヘッドの上面の上に部分的に延びている、請求項12に記載の化学機械研磨システム。
【請求項18】
化学機械研磨装置に配設された基板上で化学機械研磨プロセスを実行するステップと、
キャリアヘッドの本体を少なくとも部分的に通って保持リングの中に延びている振動センサを介して、前記化学機械研磨装置からの振動放出を捕捉するステップであって、前記保持リングが前記化学機械研磨装置の前記キャリアヘッドの前記本体に結合されており、前記振動センサが前記本体に配置された送信器に電気的に結合される、前記捕捉するステップと、
前記振動放出に関連付けられた情報を前記送信器と無線通信しているコントローラに前記送信器に結合されたアンテナを介して送信するステップと、
前記送信された情報の分析に基づいて化学機械研磨条件を決定するステップと、
を含む、化学機械研磨条件を決定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、基板の化学機械研磨(CMP)に関し、より詳細には、内部に形成された1つまたは複数のセンサアセンブリを有するキャリアヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、導電層、半導体層、または絶縁層を順次堆積させることによって基板上に形成される。各層を堆積させた後、層は、エッチングされて回路特徴を生成する。一連の層を順次堆積させ、エッチングするにつれ、基板の外表面または最上面、すなわち基板の露出面は、ますます非平面になる。この非平面の表面は、集積回路製造プロセスのフォトリソグラフィ工程において問題を提起する。したがって、基板表面を定期的に平坦化する必要がある。
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの認められた方法である。平坦化中に、基板は、典型的には、キャリアまたは研磨ヘッドに取り付けられている。基板の露出面は、回転する研磨パッドに対して置かれている。研磨パッドは、「標準的な」または固定研磨剤パッドのいずれかであってもよい。標準的な研磨パッドは、耐久性のある粗面を有するが、固定研磨剤パッドは、研磨粒子が封じ込め媒体中に保持されている。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷、すなわち圧力をかけて、基板を研磨パッドに押し付ける。標準的なパッドを使用する場合は、少なくとも1つの化学反応性薬剤と研磨粒子とを含む研磨スラリが研磨パッドの表面に供給される。
CMPプロセスの有効性は、CMPプロセスの研磨速度によって、ならびに基板表面の結果として得られる仕上がり(小規模な粗さがないこと)および平坦度(大規模な表面的特徴がないこと)によって測定することができる。研磨速度、仕上がり、および平坦度は、パッドとスラリの組合せ、基板とパッド間の相対速度、および基板をパッドに押し付ける力によって決定される。
CMP保持リングは、研磨中に基板を保持するように機能する。また、CMP保持リングは、基板の下のスラリ輸送を可能にし、均一性のためにエッジ性能に影響を及ぼす。しかしながら、従来のCMP保持リングは、プロセス中の閉ループ制御、診断、または化学機械研磨プロセスの終点および例えば、基板の破損もしくは滑り落ちなどの壊滅的事象に関するフィードバックの提供に使用することができる一体化されたセンサを有していない。
したがって、1つまたは複数の一体化されたセンサアセンブリが内部に形成された改善されたキャリアヘッドが必要である。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、一般に、基板の化学機械研磨(CMP)に関する。一実施形態において、CMP装置のためのキャリアヘッドが本明細書に開示される。キャリアヘッドは、本体と、保持リングと、センサアセンブリと、を含む。保持リングは、本体に結合されている。センサアセンブリは、本体に少なくとも部分的に配置されている。センサアセンブリは、送信器、アンテナ、および振動センサを含む。送信器は、第1の端部および第2の端部を有する。アンテナは、送信器の第1の端部に結合されている。振動センサは、第2の端部に結合されている。振動センサは、キャリアヘッドの半径方向、方位角方向、および角度方向の軸に関して化学機械プロセス中の振動を検出するように構成されている。
別の実施形態では、化学機械研磨システムが本明細書に開示される。化学機械研磨システムは、キャリアヘッドと、コントローラと、を含む。キャリアヘッドは、本体、保持リング、およびセンサアセンブリを含む。保持リングは、本体に結合されている。センサアセンブリは、本体に少なくとも部分的に配置されている。センサアセンブリは、送信器、アンテナ、および振動センサを含む。送信器は、第1の端部および第2の端部を有する。アンテナは、送信器の第1の端部に結合されている。振動センサは、第2の端部に結合されている。振動センサは、キャリアヘッドの半径方向、方位角方向、および角度方向の軸に関して化学機械プロセス中の振動を検出するように構成されている。コントローラは、センサアセンブリと通信している。
【0004】
別の実施形態では、化学機械研磨条件を決定する方法が本明細書に開示される。化学機械研磨プロセスは、化学機械研磨装置に配設された基板上で実行される。化学機械研磨装置のキャリアヘッドに少なくとも部分的に配設されたセンサアセンブリは、化学機械研磨装置からの振動放出を捕捉する。振動放出に関連付けられた情報は、センサアセンブリと無線通信しているコントローラに送信される。化学機械研磨条件は、送信された情報の分析に基づいて決定される。
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付図面に示される実施形態を参照することによって上で要約された本開示のより具体的な説明を行うことができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定していると考えられるべきではなく、その理由は本開示が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるためである、ということに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、研磨ステーションの断面図である。
図2A】一実施形態による、1つまたは複数のセンサアセンブリを有するキャリアヘッドの断面図である。
図2B】一実施形態による、図2Aのセンサアセンブリのセンサである。
図3】一実施形態による、1つまたは複数のセンサアセンブリを有するキャリアヘッドの断面図である。
図4】一実施形態による、1つまたは複数のセンサアセンブリを有するキャリアヘッドの断面図である。
図5】一実施形態による、コンピューティング環境である。
図6】一実施形態による、化学機械研磨プロセス中に基板をモニタする方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
明瞭にするために、当てはまる場合は、同一の参照番号を使用して、図面間で共通の同一の要素を指定している。さらに、一実施形態の要素は、本明細書に記載される他の実施形態での利用に有利に適合させることができる。
以下に示す図1は、複数の研磨ステーション100を含むより大きな化学機械研磨(CMP)システム内部に配置することができる研磨ステーション100の概略断面図である。研磨ステーション100は、プラテン102を含む。プラテン102は、中心軸104の周りで回転することができる。研磨パッド106は、プラテン102上に置かれてもよい。典型的には、研磨パッド106は、研磨ステーション100で処理されることになる基板110のサイズ(例えば、基板の直径)よりも少なくとも1~2倍大きいプラテン102の上面をカバーする。
研磨パッド106は、1つまたは複数の基板110と接触して処理するように構成された研磨面112と、プラテン102の表面上に配置された支持面103と、を含む。プラテン102は、研磨パッド106を支持し、研磨中に研磨パッド106を回転させる。キャリアヘッド108は、研磨パッド106の研磨面112に対して基板110を保持する。キャリアヘッド108は、典型的には、基板110を研磨パッド106に押し付けるために使用される可撓性ダイアフラム111と、本体101と、本体101に結合されて、研磨プロセス中に基板の表面にわたって見出される本質的に不均一な圧力分布を補正するために使用される保持リング109と、を含む。キャリアヘッド108は、中心軸114の周りで回転して、および/または掃引運動で移動して、基板110と研磨パッド106との間に相対運動を生成することができる。
動作中に、可撓性ダイアフラム111は、基板110を研磨パッド106に押し付けるように配置されており、キャリアヘッド108の取付け部(図示せず)に結合されたキャリアヘッドアクチュエータ(図示せず)は、キャリアヘッド108および保持リング109を研磨パッド106の表面に別々に押し付けるように構成されている。可撓性ダイアフラム111は、基板110の裏側に圧力を加えるように構成され、キャリアヘッドアクチュエータは、保持リング109に力を加えるように構成されている。
【0007】
送出アーム118は、研磨中に研磨面112に供給される研磨スラリなどの研磨流体116を送出する。研磨液116は、基板の化学機械研磨を可能にするために、研磨粒子、ペーハー調整剤、および/または化学的に活性な成分を含有することができる。スラリ化学物質116は、金属、金属酸化物、および半金属酸化物を含むことができるウエハの表面および/または特徴を研磨するように設計されている。また、研磨ステーション100は、典型的には、研磨パッド106の表面112を擦り落として新品同様にするために、研磨プロセスサイクル中の異なる時間に、パッドコンディショニングディスク128(例えば、ダイヤモンド含浸ディスク)を研磨面112に押し付けて掃引するように構成されたコンディショニングアーム122ならびにアクチュエータ124および126を含むパッドコンディショニングアセンブリ120を含む。
【0008】
研磨ステーション100は、キャリアヘッド108内部に埋め込まれた1つまたは複数のセンサアセンブリ150をさらに含むことができる。1つまたは複数のセンサアセンブリ150は、振動、温度、湿気などの基板処理に影響を及ぼす1つまたは複数の要因を検出するように構成されている。一部の構成では、センサは、検出された情報を無線でプロセスコントローラ190に転送するように構成されている。一体化されたセンサ150を有するキャリアヘッド108は、CMPプロセスによって生成される信号の実時間分析を可能にする。センサ150から受信した、検出され送信された信号は、例えば、終点検出、基板スリップなどの異常状態の検出、基板ローディングおよびアンローディングの問題、CMPヘッドおよびCMP研磨の不可欠な部分である他の関連付けられた機械的アセンブリの機械的性能の予測などのプロセス制御に使用することができる。記録された信号情報を、他の検出されたプロセス条件と比較して、異なるプロセス実行間で変化が生じたかどうかを判定することができる。検出されたセンサデータをコントローラのメモリに記憶された情報と比較することによって、プロセス終点、異常状態、および他の診断情報を明らかにすることができる。
したがって、本開示と整合性のある実施形態は、有利には、欠陥の検出および分類(FDC)システムを提供し、方法は、統計的分析技法を使用して、事前設定された限界に対して機器パラメータを継続的にモニタし、機器の健全性に関する予防的かつ迅速なフィードバックを提供することができる。そのようなFDCシステムおよび方法は、有利には、予定外の休止時間をなくし、ツール利用可能性を改善し、廃物を減らす。
【0009】
図2Aは、一実施形態による、キャリアヘッド108に形成されたチャネル160に埋め込まれた1つまたは複数のセンサアセンブリ150を有するキャリアヘッド108の断面図である。1つまたは複数のセンサアセンブリのそれぞれは、送信器202、センサ201、1つまたは複数のバッテリ206、およびアンテナ208を含む。送信器202は、キャリアヘッド108を貫いて延在する。送信器202は、第1の端部210および第2の端部212を有する。第1の端部210は、アンテナ208に結合されている。アンテナ208は、キャリアヘッド108の上方で、キャリアヘッド108を部分的に貫いて延在することができる。アンテナ208は、システムコントローラ190に無線で情報を伝達するように構成されている。キャリアヘッド108は、カバーアセンブリ220をさらに含んでもよい。アセンブリ220は、キャリアヘッド108の上方に延在するアンテナ208の部分をカバーするように構成されている。カバーアセンブリ220は、アンテナ208を保護し、アンテナ208が貫いて延在する開口部を密封するように構成されている。一実施形態において、カバーアセンブリ220は、第1のキャップ222および第2のキャップ224を含むことができる。第1のキャップ222は、アンテナ208の上に配置され、アンテナ208の少なくとも3つの側面を取り囲むように、キャリアヘッド108内へ延在する。第2のキャップ224は、第1のキャップ222の周りに配置されている。第2のキャップ224は、アンテナ208が貫いて延在する開口部が確実に密封されるようにする。例えば、第2のキャップ224は、アンテナ208および第1のキャップ222を少なくとも部分的に取り囲む。
【0010】
送信器202の第2の端部212は、センサ201に結合されている。センサ201は、キャリアヘッド108を少なくとも部分的に貫いて、保持リング109内へ延在する。センサ201は、基板処理中の音響振動を検出するように構成されている。基板上のCMPプロセスによって生成される振動放出情報は、センサ201によって捕捉される。センサアセンブリ150を有するキャリアヘッド108は、CMPプロセスによって生成される振動信号の実時間分析を可能にする。センサ201によって捕捉された振動信号は、終点検出、基板滑りなどの異常状態の検出、基板ローディングおよびアンローディングの問題、CMPヘッドおよびCMP研磨の不可欠な部分である他の関連付けられた機械的アセンブリの機械的性能の予測などのプロセス制御に使用することができる。一部の実施形態では、捕捉された振動情報は、変化についてモニタされ、振動シグネチャのライブラリと比較される振動シグネチャに分解されてもよい。振動周波数スペクトルの特性変化は、プロセス終点、異常状態、および他の診断情報を明らかにすることができる。捕捉された振動情報を分析して、例えば、研磨プロセスによって引き起こされる基板の引っ掻き傷検出、スラリアームとヘッドの衝突、ヘッドの摩耗(例えば、シール、ジンバルなど)、不良ベアリング、コンディショナーヘッドの作動などの、機械的不具合を明らかにすることができる。
【0011】
センサアセンブリ150は、CMP処理中に様々な周波数について経時的に1つまたは複数の加速度読取り値をコントローラ190に送信することができる。例えば、センサアセンブリ150は、BLUETOOTH(登録商標)、無線周波数識別(RFID)シグナリングおよび規格、近距離無線通信(NFC)シグナリングおよび規格、電気電子技術者協会(IEEE)の802.11xまたは802.16xシグナリングおよび規格、または送信器202を介した他の無線通信方法などの、短距離無線通信方法を使用して、CMP処理中に1つまたは複数の加速度読取り値をコントローラ190に送信することができる。コントローラ190は、時間対周波数のグラフに加速度読取り値をプロットする。グラフ上に示される、検出された加速度データの勾配が特定の周波数に沿って変化すると、コントローラ190は、イベントが発生したことをユーザに示すことができる。例えば、特定の周波数(例えば、230Hz)、または周波数(例えば、200~250Hzの周波数)における加速度データのピーク間変動の変化は、フィルム破損に起因する破損および摩擦の変化に関連付けられることがある。そのため、経時的にある周波数範囲にわたって加速度を継続的にプロットすることによって、光学センサを必要とすることなく、またはシステム内の1つまたは複数の機械部品の摩耗を検出することなく、信頼性のある終点検出技法をユーザに提供することができる。
【0012】
一部の実施形態では、センサ201は、振動を検出するための微小電子機械システム(MEMS)加速度計などの加速度計であってもよい。別の実施形態では、センサ201は、3軸加速度計であってもよい。3軸加速度計は、キャリアヘッドの3軸、すなわち半径方向、角度方向、および方位角方向の軸に沿ってCMPプロセス中の振動を測定するように構成されている。キャリアヘッド108に関して振動を測定することによって、CMPプロセス中のより多くの振動情報がもたらされる。これは、CMP処理中に、基板が保持リング109内部の単一の位置に留まらず、むしろ、基板は、保持リング109内部で歳差運動をするからである。キャリアヘッド108が、両方のセンサが加速度計である2つのセンサ201を含む実施形態では、一方のセンサ(すなわち、ベースラインセンサ)は、CMP処理中にベースライン加速度データ(例えば、環境または非プロセス関連加速度)のみを検出するように構成されてもよく、一方、第2のセンサ(すなわち、プロセスセンサ)は、CMP処理中にプロセス関連加速度データを検出する。次いで、システムコントローラ190は、プロセスセンサによって検出されたCMPプロセス関連情報を他の外部の振動またはノイズ源から分離することができるように、プロセス関連加速度データから、検出されたベースライン加速度データを減算することができる。
図2Bは、センサ201をさらに詳細に示す。センサ201は、リボン接続部254を介してセンサカバー250に結合されている。センサカバー252は、保持リング109に取り付けられている。リボン接続部254は、センサ201を保持リング109から物理的に分離するが、電気的に結合されたままにすることができる。センサ201のセンサカバー250からの分離は、様々な外部の振動源からセンサ201を機械的に隔離するためにも使用することができる。
【0013】
図2Aに戻って参照すると、送信器202は、センサ201から受信した振動関連信号を、アンテナ208を介してコントローラ190に送るように構成されている。したがって、一部の実施形態では、センサ201によって検出されたCMP振動信号は、Bluetooth(登録商標)、無線周波数識別(RFID)シグナリングおよび規格、近距離無線通信(NFC)、ZigBee、または他の無線通信方法などの、短距離無線通信方法を使用してCMPヘッド108から送信される。
1つまたは複数のバッテリ206は、センサアセンブリ150に電力を供給するように構成されている。図2Aに示す実施形態では、2つのバッテリ206が示されており、各バッテリ206が送信器202のそれぞれの側にある。他の実施形態では、より多くのまたはより少ないバッテリが使用されてもよい。バッテリ206は、キャリアヘッド108を修理するときに交換されてもよい。一実施形態において、バッテリ206は、キャリアヘッド108、保持リング109、または研磨パッド106の寿命とほぼ等しい寿命を有する。したがって、これらの実施形態では、バッテリ206が完全放電に近づいているかまたは近い場合に、キャリアヘッド108、保持リング109、または研磨パッド106は、その耐用期間に近づいているかまたは近く、したがって、予防保守作業中に取り替えることができる。別の実施形態では、バッテリ206は、再充電可能であってもよい。
【0014】
別の実施形態では、センサアセンブリ150は、省電力機能を含むことができる。例えば、コントローラ190は、センサ201と通信して、キャリアヘッド108がまだ動いているかどうかを判定することができる。キャリアヘッド108がまだ動いている場合は、バッテリ206は、センサアセンブリ150に電力を供給し続ける。しかしながら、キャリアヘッド108がもはや動いていない場合は、コントローラ190は、送信器202と通信して電源を切り、電力を節約することができる。さらに、コントローラ190は、センサ201と通信して、キャリアヘッド108が動き始めたかどうかを判定することもできる。コントローラ190は、送信器202と通信して、センサ201がなんらかのデータを取得したかどうかを判定することができる。データは、キャリアヘッド108の動きを示す振動を含む。キャリアヘッド108が動いているとコントローラ190が判定した場合は、コントローラ190は、送信器202と通信して、電源を入れる。キャリアヘッド108が動いていないとコントローラ190が判定した場合は、コントローラ190は、送信器202に電源を入れないように指示する。そのような機能性は、キャリアヘッドが動いている場合は電源を入れ、キャリアヘッドが静止したままの場合は電源を切ることによってセンサアセンブリ150の寿命を延ばす。
【0015】
図3は、別の実施形態による、1つまたは複数のセンサアセンブリ150を有するキャリアヘッド300の断面図を示す。キャリアヘッド300は、キャリアヘッド108と実質的に同様である。キャリアヘッド300は、固定コイル306の真下に、キャリアヘッド300の頂面上に配置された可動コイル302をさらに含む。可動コイル302は、ドングル304を介して1つまたは複数のセンサアセンブリ150に電気的に結合されている。可動コイル302は、送信器308およびアンテナ310を含む。送信器308は、可動コイル302内に配置されている。一実施形態において、送信器308は、可動コイル302に埋め込まれている。アンテナ310は、送信器308に結合されている。アンテナ310は、可動コイル302を部分的に貫いて延在し、可動コイル302の頂面の上方に延在する。一部の実施形態では、固定コイル306と可動コイル302は、固定コイル306を介してAC信号を送出することによって互いに誘導結合することができ、その結果、キャリアヘッド300内部に配設された回路(例えば、ドングル304)内部に電圧が形成されて、センサ201を駆動および/またはバッテリ206を充電することができる。一部の実施形態では、キャリアヘッド300がCMP処理中に移動するときの可動コイル302の動きは、上方に配置された固定コイル306に誘導電荷を生成する。そのため、1つまたは複数のバッテリ206をCMP処理中に充電することができる。
【0016】
図4は、一実施形態による、1つまたは複数のセンサアセンブリ150を有するキャリアヘッド400の断面図を示す。キャリアヘッド400は、キャリアヘッド300と実質的に同様である。キャリアヘッド400は、キャリアヘッド400および保持リング109に形成されたチャネル160と連通する垂直開口部402をさらに含む。本実施形態では、センサ201は、垂直開口部402内部に配置されている。保持リング109は、センサ201と、保持リング109に形成された開口部との間に配置された膜404をさらに含む。膜404は、CMP処理中にセンサをスラリから保護するように構成されている。一実施形態において、膜404は、シリコンベース 材料から形成されてもよい。垂直開口部402内でセンサ201を膜404の背後に配置することによって、音波がCMP処理中にスラリを通過するときにセンサ201(例えば、音響センサ)が音波を検出することが可能になる。例えば、スラリの乾燥に起因して基板上に引っ掻き傷が生じた場合、コントローラ190は、スラリを通る音波のセンサ201検出を介して引っ掻き傷を検出することができる。
【0017】
図5は、一実施形態による、例示的なコンピューティング環境500である。例示的なコンピューティング環境500は、センサアセンブリ150およびコントローラ190を含む。センサアセンブリ150は、ネットワーク505を介してコントローラ190と通信する。例えば、センサアセンブリ150によって検出されたCMP振動信号は、Bluetooth(登録商標)、無線周波数識別(RFID)シグナリングおよび規格、近距離無線通信(NFC)、ZigBee、または他の無線通信方法などの、短距離無線通信方法を使用してコントローラ190に送信される。
コントローラ190は、プロセッサ502、メモリ504、ストレージ506、およびネットワークインタフェース508を含む。プロセッサ502は、メモリ504に記憶されたプログラムコード512などのプログラム命令を取り出し、実行する。例えば、プログラムコード512は、図6に関連して以下で論じる方法600であってもよい。プロセッサ502は、単一のプロセッサ、複数のプロセッサ、複数の処理コアを有する単一のプロセッサなどを表現するために含まれている。図示するように、プロセッサ1452は、データ収集エージェント516を含む。データ収集エージェント516は、センサアセンブリ150からセンサデータを受信するように構成されている。一部の実施形態では、データ収集エージェント516は、センサアセンブリ150のためのデータセットを生成するように構成されている。
【0018】
ストレージ506は、ディスクドライブストレージであってもよい。単一のユニットとして示されているが、ストレージ506は、固定ディスクドライブ、リムーバブルメモリカード、光ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、またはストレージエリアネットワーク(SAN)などの、固定ストレージデバイスおよび/またはリムーバブルストレージデバイスの組合せであってもよい。ネットワークインタフェース508は、コントローラ190がネットワーク105を介して他のコンピュータ、例えば、センサアセンブリ150などと通信することを可能にする任意のタイプのネットワーク通信であってもよい。
図6は、一実施形態による、化学機械研磨条件を決定するための方法600を示す流れ図である。方法600は、ブロック502で始まる。ブロック502 では、化学機械研磨プロセスが化学機械研磨装置に配設された基板上で実行されてもよい。一部の実施形態では、化学機械研磨プロセスは、研磨プロセス、基板ローディングまたはアンローディングプロセス、洗浄プロセスなどを含むことができる。
【0019】
方法600は、ブロック604に進む。ブロック604では、センサアセンブリ150が、実行された化学機械研磨プロセスからの振動放出を捕捉する。例えば、化学機械研磨プロセスによって生成された振動放出情報は、センサアセンブリ150のセンサ201によって捕捉される。
ブロック606では、センサアセンブリ150によって捕捉された振動放出に関連付けられた情報がセンサアセンブリ150によってコントローラ190に送信される。例えば、送信器202は、センサアセンブリによって捕捉された振動放出に関連付けられた情報をコントローラ190に送信する。一部の実施形態では、振動放出に関連付けられた情報は、送信器202によってコントローラ190に無線で送信される。例えば、センサアセンブリ150によって検出された振動放出に関連付けられた情報は、Bluetooth(登録商標)、無線周波数識別(RFID)シグナリングおよび規格、近距離無線通信(NFC)、ZigBee、または他の無線通信方法などの、短距離無線通信方法を使用してコントローラ190に送信される。
【0020】
ブロック608では、送信された振動放出の分析に基づいて1つまたは複数の化学機械研磨条件が決定される。例えば、振動放出は、終点検出、基板滑りなどの異常状態の検出、基板ローディングおよびアンローディングの問題、CMPヘッドおよびCMP研磨の不可欠な部分である他の関連付けられた機械的アセンブリの機械的性能の予測などのプロセス制御に使用することができる。振動周波数スペクトルの特性変化は、プロセス終点、異常状態、および他の診断情報を明らかにすることができる。捕捉された振動情報を分析して、例えば、研磨プロセスによって引き起こされる基板の引っ掻き傷検出、スラリアームとヘッドの衝突、ヘッドの摩耗(例えば、シール、ジンバルなど)、不良ベアリング、コンディショナーヘッドの作動などの不具合を明らかにすることができる。
【0021】
ブロック610では、化学機械研磨装置は、決定された化学機械研磨条件に基づいてコントローラ190によって制御されてもよい。
前述の事項は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示のさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6