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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-11
(45)【発行日】2023-07-20
(54)【発明の名称】指向性処理のための装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/08 20060101AFI20230712BHJP
   H01J 37/16 20060101ALI20230712BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20230712BHJP
   H01J 27/16 20060101ALI20230712BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H01J37/08
H01J37/16
H01J37/305 A
H01J27/16
H01L21/302 201B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022511245
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2020043879
(87)【国際公開番号】W WO2021040943
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】16/551,972
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リハンスキー, アレクサンドル
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0020415(US,A1)
【文献】特表2017-533542(JP,A)
【文献】国際公開第2011/007546(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00 - 37/36
H01L 21/3065
H01J 27/08
H01J 27/16
H05H 1/00 - 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース上で指向性エッチングを実施するための装置であって、
前記ワークピースを固定するためのワークピース支持体と、
プラズマチャンバを画定する複数の壁を有するイオン源であって、前記複数の壁のうちの少なくとも1つが第1の抽出開孔を画定している、イオン源と
を備え、
前記複数の壁の一部は前記イオン源の中空領域を画定し、前記中空領域は、前記指向性エッチングの間、エッチング副産物が前記ワークピースから流れ去るための経路を画定する、装置。
【請求項2】
前記第1の抽出開孔が、前記中空領域を画定する前記壁のうちの1つの壁に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ワークピース上で前記指向性エッチングを実施するために前記第1の抽出開孔を介してイオンビームが抽出され、前記指向性エッチングエッチング副産物を前記ワークピースから離れるようにポンピングするために、前記中空領域内または前記中空領域の上方にポンプまたはスパッタキャッチャが配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記イオン源が、
第1の内部側部エッジおよび第1の内部端部エッジによって画定される第1の開口を備える第1の壁と、
第2の内部側部エッジおよび第2の内部端部エッジによって画定される第2の開口を備える第2の壁と、
前記第1の壁および前記第2の壁の外部エッジを接続する外壁と、
前記第1の内部端部エッジと前記第2の内部端部エッジとを接続する内部端部壁と、
前記第1の内部側部エッジから前記第2の壁に向かって延在する2つの内部側壁であって、前記内部側壁のうちの少なくとも1つは前記第2の壁まで延在せず、前記第2の壁と前記内部側壁の底部との間に配置される前記第1の抽出開孔を作り出す、2つの内部側壁と
を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の開口および前記第2の開口が等しい幅を有し、前記内部側壁が前記第1の壁から前記第2の壁に向かって、前記第2の壁に対して直角の方向に延在する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の開口が幅の方向に前記第2の開口より大きく、前記内部側壁が前記第1の壁から前記第2の壁に向かって、前記第2の壁に対して直角の方向に延在し、前記第2の内部側部エッジの各々が、それぞれの内部側壁の平面を越えて延在する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の開口が幅の方向に前記第2の開口より大きく、前記内部側壁が前記第1の内部側部エッジから前記第2の壁に向かって内側に傾斜し、それにより前記指向性エッチングエッチング副産物の前記内部側壁への再堆積をさらに最少化する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の抽出開孔に対して平行に配列され、かつ、2つのイオンビームを作り出すために前記中空領域の近くに配置される第2の抽出開孔が存在するよう、前記2つの内部側壁が前記第2の壁まで延在しない、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
ワークピース上で指向性プロセスを実施するための装置であって、
前記ワークピースを固定するためのワークピース支持体と、
プラズマチャンバを画定する複数の壁を有するイオン源であって、前記複数の壁のうちの少なくとも1つが第1の抽出開孔を画定している、イオン源と
を備え、
前記複数の壁の一部は前記イオン源の中空領域を画定し、前記中空領域は、前記指向性プロセスの間、副産物が前記ワークピースから流れ去るための経路を画定し、
前記イオン源が、
第1の内部側部エッジおよび第1の内部端部エッジによって画定される第1の開口を備える第1の壁と、
第2の内部側部エッジおよび第2の内部端部エッジによって画定される第2の開口を備える第2の壁と、
前記第1の壁および前記第2の壁の外部エッジを接続する外壁と、
前記第1の内部端部エッジと前記第2の内部端部エッジとを接続する内部端部壁と、
前記第1の内部側部エッジから前記第2の壁に向かって延在する2つの内部側壁であって、前記内部側壁のうちの少なくとも1つは前記第2の壁まで延在せず、前記第2の壁と前記内部側壁の底部との間に配置される前記第1の抽出開孔を作り出す、2つの内部側壁と
を備える、装置。
【請求項10】
前記ワークピース上で前記指向性プロセスを実施するために前記第1の抽出開孔を介してイオンビームが抽出され、前記指向性プロセスの副産物を前記ワークピースから離れるようにポンピングするために、前記中空領域内または前記中空領域の上方にポンプまたはスパッタキャッチャが配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の開口および前記第2の開口が等しい幅を有し、前記内部側壁が前記第1の壁から前記第2の壁に向かって、前記第2の壁に対して直角の方向に延在する、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の開口が幅の方向に前記第2の開口より大きく、前記内部側壁が前記第1の壁から前記第2の壁に向かって、前記第2の壁に対して直角の方向に延在し、前記第2の内部側部エッジの各々が、それぞれの内部側壁の平面を越えて延在する、請求項9または10に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の開口が幅の方向に前記第2の開口より大きく、前記内部側壁が前記第1の内部側部エッジから前記第2の壁に向かって内側に傾斜し、それにより前記指向性プロセスの副産物の前記内部側壁への再堆積をさらに最少化する、請求項9または10に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の抽出開孔に対して平行に配列され、かつ、2つのイオンビームを作り出すために前記中空領域の近くに配置される第2の抽出開孔が存在するよう、前記2つの内部側壁が前記第2の壁まで延在しない、請求項9または10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は指向性処理のための装置に関し、より詳細には指向性処理のためのイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造には複数の複雑な個別のプロセスが必要である。これらのプロセスのいくつかでは、ワークピースの表面に対して直角ではない角度でワークピースに衝撃を与えるイオンをワークピースに衝突させることが有利であり得る。
【0003】
例えば特定の状況では、ワークピースの表面に対して直角ではない角度でエッチングプロセスを実施することができる。これは、フィン、側壁および他の要素などの三次元特徴のエッチングを許容する。しかしながらこれらの指向性プロセスを実施するために使用されるいくつかの半導体設備には欠点がある。
【0004】
特定の実施形態では、半導体設備は、ある角度のイオンを抽出する開孔を有する抽出板を利用している。これらの事例では、スパッタリングプロセスまたはエッチングプロセスによって、ワークピースが副産物を解放することがあり得る。抽出板はワークピースに極めて近いため、これらの副産物は、抽出板の上または抽出板の近くに堆積することになり得る。堆積した副産物は、薄片になって時間の経過と共に抽出板からはがれ落ちることがあり得る。これらの薄片はワークピースの上に落ちてワークピースを汚染することになり得る。
【0005】
さらに、これらの副産物の一部は、ワークピースの上に直接再堆積することがあり得る。
【0006】
さらに、エッチングプロセスによってワークピースから二次電子が解放されることがあり得る。これらの二次電子は抽出板に衝突し得る。これらの二次電子の衝撃は抽出板を加熱し、エッチング速度の安定性および均一性に影響を及ぼし得る。これは、エッチング速度が温度に敏感であることによるものである。
【0007】
したがってエッチングなどの指向性プロセスを実施することができるイオン源を含む装置が存在していることが有利である。さらに、エッチング副産物がイオン源に付着せず、また、エッチングプロセスに影響を及ぼさないように装置が設計されることが有利である。
【発明の概要】
【0008】
指向性処理のための装置が開示される。装置は、ワークピース支持体と、複数の壁を有するイオン源とを含む。複数の壁のうちの少なくとも1つの壁に抽出開孔が配置される。特定の実施形態では、複数の壁は中空領域を画定する。中空領域は、ワークピースの処理されている部分の上方に配置され、それによりイオン源の上に堆積することなくエッチング副産物を排出することができる。中空領域の形状を修正して、中空イオン源の上に堆積する量をさらに少なくすることができる。さらに、中空領域内または中空領域の上方にポンプを配置してエッチング副産物の除去を容易にすることも可能である。他の実施形態では、プラズマチャンバの隅にイオン源の抽出開孔を配置することができる。
【0009】
一実施形態によれば、ワークピース上で指向性プロセスを実施するための装置が開示される。装置は、ワークピースを固定するためのワークピース支持体と、プラズマチャンバを画定する複数の壁を有するイオン源であって、複数の壁のうちの少なくとも1つが第1の抽出開孔を画定しているイオン源とを備え、複数の壁の一部はイオン源の中空領域を画定し、その中空領域は、指向性プロセスの間、副産物がワークピースから流れ去るための経路を画定する。特定の実施形態では、第1の抽出開孔は、中空領域を画定する壁のうちの1つの壁に配置される。他の実施形態では、ワークピース上で指向性プロセスを実施するために第1の抽出開孔を介してイオンビームが抽出され、また、指向性プロセスの副産物をワークピースから離れるようにポンピングするために、中空領域内または中空領域の上方にポンプまたはスパッタキャッチャが配置される。特定の実施形態では、イオン源は、第1の内部側部エッジおよび第1の内部端部エッジによって画定される第1の開口を備える第1の壁と、第2の内部側部エッジおよび第2の内部端部エッジによって画定される第2の開口を備える第2の壁と、第1の壁および第2の壁の外部エッジを接続する外壁と、第1の内部端部エッジと第2の内部端部エッジとを接続する内部端部壁と、第1の内部側部エッジから第2の壁に向かって延在する2つの内部側壁であって、内部側壁のうちの少なくとも1つは第2の壁まで延在せず、第2の壁と内部側壁の底部との間に配置される第1の抽出開孔を作り出す、2つの内部側壁とを備える。他の実施形態では、第1の開口および第2の開口は等しい幅を有し、また、内部側壁は第1の壁から第2の壁に向かって、第2の壁に対して直角の方向に延在する。別の実施形態では、第1の開口は幅の方向に第2の開口より大きく、また、内部側壁は第1の壁から第2の壁に向かって、第2の壁に対して直角の方向に延在し、また、第2の内部側部エッジの各々は、それぞれの内部側壁の平面を越えて延在する。別の実施形態では、第1の開口は幅の方向に第2の開口より大きく、また、内部側壁は、第1の内部側部エッジから第2の壁に向かって内側に傾斜し、それにより指向性プロセスの副産物の内部側壁への再堆積をさらに最少化する。他の実施形態では、第2の内部側部エッジの各々は、それぞれの内部側壁の平面を越えて延在する。特定の実施形態では、2つの内部側壁は、第1の抽出開孔に対して平行に配列され、かつ、2つのイオンビームを作り出すために中空領域の近くに配置される第2の抽出開孔が存在するよう、第2の壁まで延在しない。
【0010】
別の実施形態によれば、ワークピース上で指向性プロセスを実施するための装置が開示される。装置は、ワークピースを固定するためのワークピース支持体と、プラズマチャンバを画定する複数の壁および抽出開孔を備えるイオン源とを備え、複数の壁は第1の壁および第2の壁を備え、第1の壁は第2の壁の反対側であり、また、第2の壁は、処理位置におけるワークピース支持体の最も近くに、ワークピース支持体に対して平行に配置され、また、複数の側壁が第1の壁と第2の壁とを接続し、抽出開孔は側壁に配置される。特定の実施形態では、抽出開孔を含む側壁は第2の壁に対して直角である。特定の実施形態では、抽出開孔を含む側壁は第2の壁と鋭角を形成する。特定の実施形態では、第2の壁は、抽出開孔を含む側壁を越えて延在する。特定の実施形態では、抽出開孔を含む側壁の近くにポンプまたはスパッタキャッチャが配置される。
【0011】
別の実施形態によれば、ワークピース上で指向性プロセスを実施するための装置が開示される。装置は、ワークピース支持体と、プラズマチャンバを画定する複数の壁を有するイオン源とを備え、イオン源の抽出開孔は複数の壁のうちの少なくとも1つによって画定され、また、抽出開孔は、処理位置におけるワークピース支持体の近くのプラズマチャンバの隅に配置される。特定の実施形態では、プラズマチャンバの隅の抽出開孔は、処理位置におけるワークピース支持体の上に配置されるワークピースから、副産物が流れ去るための経路を提供する。特定の実施形態では、ワークピース上で指向性プロセスを実施するために抽出開孔を介してイオンビームが抽出され、また、指向性プロセスの副産物をワークピースから離れるようにポンピングするために、プラズマチャンバの隅の近くにポンプが配置される。特定の実施形態では複数の壁は、第1の壁と、ワークピース支持体が処理位置に位置している際にワークピース支持体の近くとなる第2の壁と、第1の壁から延在し、隅で終わる第1の長さを有する第1の側壁と、第1の側壁の反対側に配置される、第1の壁から第2の壁まで延在する第2の側壁であって、第2の長さを有する第2の側壁とを備え、第1の側壁と第2の壁との間の隅に抽出開孔を画定するために、第1の長さは第2の長さより短い。他の実施形態では、抽出開孔を介してイオンビームが抽出され、また、指向性プロセスは、ワークピースからエッチング副産物をもたらすエッチングプロセスである。特定の実施形態では、装置は、プラズマチャンバの隅に配置される抽出開孔によって作り出される経路に沿って、エッチング副産物をワークピースから離れるようにポンピングするためのポンプを備える。
【0012】
本開示をより良好に理解するために、参照により本明細書に組み込まれている添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による中空長方形イオン源の第1の図である。
図2】一実施形態による、図1の中空長方形イオン源の第2の図である。
図3A】一実施形態による、線A-Aに沿って取った図1の中空長方形イオン源の横断面図である。
図3B】別の実施形態による、線A-Aに沿って取った図1の中空長方形イオン源の横断面図である。
図4】一実施形態による、イオン源の外側に配置されたアンテナによって電力が供給される中空イオン源を有する、指向性処理のための装置を示す図である。
図5A】一実施形態による、イオン源の内側に配置されたコイルによって電力が供給される中空イオン源を有する、指向性処理のための装置を示す図である。
図5B】別の実施形態による、イオン源の内側に配置されたコイルによって電力が供給される中空イオン源を有する、指向性処理のための装置を示す図である。
図6】イオンおよびエッチング副産物の流れを含む、指向性処理のための装置の動作を示す図である。
図7図5の装置におけるプラズマ濃度を示す図である。
図8】一実施形態による、傾斜した内部側壁を備えた中空イオン源を有する、指向性処理のための装置を示す図である。
図9】第2の壁がボイドの中へ延在している、指向性処理のための装置の実施形態を示す図である。
図10】第2の壁がボイドの中へ延在している、指向性処理のための装置の別の実施形態を示す図である。
図11】単一のプラズマチャンバを有する、指向性処理のための装置の別の実施形態を示す図である。
図12】単一のプラズマチャンバを有する、指向性処理のための装置の別の実施形態を示す図である。
図13】複数の抽出開孔を個々の側壁に有する、指向性処理のための装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上で説明したように、多くのアプリケーションでは、角度が付いたイオンビームを使用してエッチングプロセスを実施することが有利である。しかしながら上で言及したように、現在利用することができる設備には欠点がある。
【0015】
図1は、一実施形態による中空イオン源10を示したものである。特定の実施形態では、中空イオン源10は中空長方形イオン源であってもよく、イオン源の外部エッジは長方形プリズムを画定している。
【0016】
この実施形態では、中空イオン源10は第1の壁100および第2の壁110を備えている。第2の壁110は底部壁として画定されている。本開示全体を通して、「頂部」および「底部」という用語は、処理位置に位置している間のワークピース支持体の位置に対するものである。例えば特定の実施形態では、ワークピース支持体は、処理位置では水平であってもよい。他の実施形態では、ワークピース支持体は、処理位置では垂直であってもよい。すべての実施形態において、中空イオン源10の第2の壁110は、処理位置ではワークピース支持体に最も近い壁である。典型的には、第2の壁110は、処理位置ではワークピース支持体に対して平行である。
【0017】
図1に示されているように、第1の壁100は、第1の外部長さ101および第1の外部幅102によって画定される第1の外部周囲を有している。第1の壁100は、その中心の近くを貫通している第1の開口105を同じく有している。第1の開口105は、第1の内部長さ106および第1の内部幅107を有する第1の内部周囲を画定している。第1の内部長さ106は第1の外部長さ101より短く、また、第1の内部幅107は第1の外部幅102より細い。特定の実施形態では、第1の開口105の幾何学的中心は第1の壁100の幾何学的中心と同じである。
【0018】
特定の実施形態では、第1の壁100の第1の外部周囲は長方形を画定している。この事例では、第1の外部周囲は、第1の外部端部エッジ104として参照されている2つのエッジを幅方向に備えており、また、第1の外部側部エッジ103として参照されている2つのエッジを長さ方向に備えている。
【0019】
しかしながら特定の実施形態では、第1の外部周囲は楕円形などの異なる形状であってもよい。この実施形態では、第1の外部周囲は、第1の外部端部エッジとして参照される2つの湾曲したエッジを幅方向に備え、また、第1の外部側部エッジとして参照される2つのエッジを長さ方向に備える。
【0020】
特定の実施形態では、第1の壁100の第1の内部周囲は長方形を画定している。この事例では、第1の内部周囲は、第1の内部端部エッジ109として参照されている2つのエッジを幅方向に備えており、また、第1の内部側部エッジ108として参照されている2つのエッジを長さ方向に備えている。
【0021】
しかしながら特定の実施形態では、第1の内部周囲は楕円形などの異なる形状であってもよい。この実施形態では、第1の内部周囲は、第1の内部端部エッジとして参照される2つの湾曲したエッジを幅方向に備え、また、第1の内部側部エッジとして参照される2つのエッジを長さ方向に備える。特定の実施形態では、第1の内部側部エッジは互いに平行である。
【0022】
図2に示されているように、第2の壁110は、第2の外部長さ111および第2の外部幅112によって画定される第2の外部周囲を有している。第2の壁110は、その中心の近くを貫通している第2の開口115を同じく有している。第2の開口115は、第2の内部長さ116および第2の内部幅117を有する第2の内部周囲を画定している。第2の内部長さ116は第2の外部長さ111より短く、また、第2の内部幅117は第2の外部幅112より細い。特定の実施形態では、第2の開口115の幾何学的中心は第2の壁110の幾何学的中心と同じである。
【0023】
特定の実施形態では、第2の壁110の第2の外部周囲は長方形を画定している。この事例では、第2の外部周囲は、第2の外部端部エッジ114として参照されている2つのエッジを幅方向に備えており、また、第2の外部側部エッジ113として参照されている2つのエッジを長さ方向に備えている。
【0024】
しかしながら特定の実施形態では、第2の外部周囲は楕円形などの異なる形状であってもよい。この実施形態では、第2の外部周囲は、第2の外部端部エッジとして参照される2つの湾曲したエッジを幅方向に備え、また、第2の外部側部エッジとして参照される2つのエッジを長さ方向に備える。
【0025】
特定の実施形態では、第2の壁110の第2の内部周囲は長方形を画定している。この事例では、第2の内部周囲は、第2の内部端部エッジ119として参照されている2つのエッジを幅方向に備えており、また、第2の内部側部エッジ118として参照されている2つのエッジを長さ方向に備えている。
【0026】
しかしながら特定の実施形態では、第2の内部周囲は楕円形などの異なる形状であってもよい。この実施形態では、第2の内部周囲は、第2の内部端部エッジとして参照される2つの湾曲したエッジを幅方向に備え、また、第2の内部側部エッジとして参照される2つのエッジを長さ方向に備える。特定の実施形態では、第2の内部側部エッジは互いに平行である。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の外部周囲および第2の外部周囲は全く同じである。言い換えると、第1の外部周囲がある長さおよびある幅を有する長方形である場合、第2の外部周囲も同じ長さおよび幅を有する長方形である。この実施形態では、イオン源の外部表面は長方形のプリズムを形成する。同様に第1の外部周囲が楕円形を形成する場合、第2の外部周囲も同じ寸法を有する楕円形を同じく画定する。
【0028】
外壁121を使用して第1の壁100と第2の壁110とが接続されている。特定の実施形態では、外壁121は第1の壁100および第2の壁110の外部エッジに配置されている。外壁121は外部側壁122および外部端部壁123として分類することができる。例えば外部側壁122を使用して2つの第1の外部側部エッジ103を2つの第2の外部側部エッジ113に接続することができる。外部端部壁123を使用して2つの第1の外部端部エッジ104を2つの第2の外部端部エッジ114に接続することができる。特定の実施形態では、第1の壁100および第2の壁110は、外壁121がすべて同じ高さになるよう、互いに平行であってもよい。外壁121は、外壁121と第1の壁100または第2の壁110の間からガスが逃げることができないよう、第1の壁100および第2の壁110と共に気密シールを形成している。
【0029】
内部端部壁127を使用して2つの第1の内部端部エッジ109が2つの第2の内部端部エッジ119に接続されている。内部端部壁127は、内部端部壁に沿った開孔が存在しないように第1の壁100および第2の壁110の両方に接続されている。
【0030】
図3A図3Bは、2つの実施形態による、線A-Aに沿って取った中空イオン源10の横断面図を示したものである。ワークピース1は、中空イオン源10に対して負にバイアスされるワークピース支持体170などの導電性表面に配置されている。特定の実施形態では、ワークピース支持体170は、ワークピースがその上に装荷される際は水平である。これは装荷位置と呼ばれる。ワークピース支持体170は、次に、電界を使用することなどによってワークピース1を固定する。ワークピース1が固定されると、ワークピース支持体170は、垂直であってもよい処理位置へ回転することができる。
【0031】
ワークピース支持体170は、処理位置では、第2の壁110の近くに、第2の壁110に対して平行に配置される。上で説明したように、ワークピース支持体170は、処理位置では垂直であっても、あるいは水平であってもよい。
【0032】
図3A図3Bに示されているように、内部側壁125は、第1の壁100の2つの第1の内部側部エッジ108から第2の壁110に向かって延在している。内部端部壁127および内部側壁125は中空領域140を画定している。
【0033】
内部側壁125のうちの一方は、または両方ともは、第1の壁100から第2の壁110まで、その全体にわたって延在していない。したがって中空領域140の2つの側の、第2の壁110と内部側壁125の下部エッジとの間に抽出開孔130を作り出すことができる。特定の実施形態では、抽出開孔130は、図3Aに示されているように中空領域140の個々の側に作り出される。別の実施形態では、図3Bに示されているように、中空領域140の2つの側のうちの一方のみが抽出開孔130を有することができる。したがって従来の処理設備とは異なり、このシステムにおける抽出開孔130は、ワークピース1およびワークピース支持体170に最も近い壁である第2の壁110には配置されていない。その代わりに、抽出開孔130は内部側壁125の中に配置されている。これは、それ以外の場合に可能であり得るビーム角平均より大きいビーム角平均を許容する。
【0034】
さらに、特定の実施形態では、抽出開孔130は中空イオン源10の隅に配置される。本開示では、「隅」という用語は、中空イオン源10の2つの壁の平面が交わる部分の近くの領域を意味している。例えば図3A図3Bに示されているように、抽出開孔130は、第2の壁110の平面と内部側壁125の平面が交わる部分の近くの領域に配置されている。いくつかの実施形態では、隅は、第2の壁110と1つの他の壁の平面が交わる部分の近くの領域である。詳細には、これらの実施形態では、その1つの他の壁は、第2の壁110と接触する前に終端している。これは、その1つの他の壁と第2の壁110との間に間隙をもたらす。この間隙は抽出開孔であり、また、その間隙が存在する領域はプラズマチャンバの隅として画定される。言い換えると、第2の壁110およびその1つの他の壁の平面は線で交わる。この線はプラズマチャンバの隅と呼ばれる。開孔は、その1つの他の壁が第2の壁110と接触しないよう、その1つの他の壁に作り出される。別の実施形態では、第2の壁110およびその1つの他の壁は、いずれも、第2の壁110とその1つの他の壁との間に間隙が存在するよう、2つの平面が交わる前に終端している。
【0035】
特定の実施形態では、第1の開口105および第2の開口115は同じ幅を有しており、また、内部側壁125は、第1の内部側部エッジ108から第2の内部側部エッジ118に向かって、第1の壁100および第2の壁110に対して直角の方向に下に向かって延在している。
【0036】
特定の実施形態では、第1の開口105および第2の開口115は同じ長さを有しており、また、内部端部壁127は、第1の内部端部エッジ109から第2の内部端部エッジ119に向かって、第1の壁100および第2の壁110に対して直角の方向に下に向かって延在している。
【0037】
図2および図3A図3Bから分かるように、内部端部壁127および内部側壁125は、中空イオン源10内に中空領域140を作り出している。プラズマチャンバ150は、外壁121、内部側壁125、内部端部壁127、第1の壁100および第2の壁110の間の体積として画定されている。
【0038】
図1および図2は、外壁121、内部側壁125、内部端部壁127、第1の壁100および第2の壁110によって作り出される単一の体積を示しているが、他の実施形態も可能である。例えば第1の開口105は、第1の外部長さ101と実質的に同じである第1の内部長さ106を有することができる。同様に、第2の開口115は、第2の外部長さ111と実質的に同じである第2の内部長さ116を有することができる。この方法によれば、中空領域140の個々の側に1つずつ、2つの個別の体積が作り出される。2つの個別のプラズマチャンバ150をもたらすよう、これらの個別の体積の各々にエネルギーを供給することができる。
【0039】
中空領域140は、内部側壁125および内部端部壁127によってプラズマチャンバから分離されている。抽出開孔130は、プラズマチャンバ150内に生成されるイオンが中空イオン源10から出ていくことができる開口を提供する。抽出開孔130の位置のため、プラズマチャンバ150から抽出されるイオンは、中空領域140を通って、ワークピース支持体170に向かって移動することに留意されたい。
【0040】
図3A図3Bは、第1の壁100および第2の壁110と共に鋭いエッジを作り出している内部側壁125および外壁121を示しているが、エッジは丸くすることも同じく可能である。
【0041】
特定の実施形態では2つの抽出開孔130が存在しており、これらの抽出開孔は互いに平行であり、また、厳密に同じ高さおよび長さである。さらに、抽出開孔130は、それぞれの外部側壁122に対して平行で、かつ、それぞれの外部側壁122から等距離であってもよい。この方法によれば、プラズマチャンバ150は、中空イオン源10の両側で同じサイズである。これは、2つの抽出開孔130を介して抽出される2つのイオンビームのより良好な均一性および無矛盾性を許容することができる。
【0042】
別の実施形態では、抽出開孔130は異なる高さおよび/または長さであってもよい。
【0043】
中空イオン源10の物理的構造を画定することにより、プラズマ源の説明が提供される。プラズマ源の選択は本開示によって制限されない。
【0044】
例えば一実施形態では、図4に示されているように、アンテナ200を外壁121のうちの1つまたは複数に対して配置することができる。特定の実施形態では、アンテナ200は2つの外部側壁122に対して配置される。他の実施形態では、アンテナは2つの外部側壁122および2つの外部端部壁123に対して配置される。このアンテナ200は、RF電源210と電気通信してアンテナ200にRF信号を供給することができる。この実施形態では、外壁121のうちの1つまたは複数を誘電材料から構築して、アンテナ200からのエネルギーをプラズマチャンバ150に入れることができる。
【0045】
図5Aに示されている別の実施形態では、中空イオン源11の内部は、ハウジング300とプラズマチャンバ150の2つの部分に分割されている。ハウジング300の中では、コイル310がプラズマチャンバ150を取り囲むように1つまたは複数のコイル310が巻かれている。言い換えると、ハウジング300はすべての外壁121の近くに存在し、また、コイル310は、外壁121に概ね沿っている経路の中を移動するように構成されている。これらのコイル310は電源320と通信し、誘導結合プラズマ(ICP)を生成する。
【0046】
さらに別の実施形態では、図5Bに示されているように、アンテナはプラズマチャンバ150内に配置されている。プラズマチャンバ150内には1つまたは複数のコイル340が配置されている。特定の実施形態では、コイル340は、コイル340をプラズマから電気的に隔離するために、石英管350内に、石英管から間隔を隔てて配置される。コイル340は電源320と通信することができる。
【0047】
上で言及したように、他のプラズマ源を中空イオン源と共に同じく使用することができる。例えば電子ビームプラズマ源、傍熱陰極またはBernas源を利用することができる。
【0048】
図6は、中空イオン源10の動作を示したものである。外壁121または第1の壁100のいずれかに配置されたガス入口から供給ガスがプラズマチャンバ150に供給される。この供給ガスは、それらに限定されないが、アルゴン、CF、CHF、CHF、O、KrまたはCHを含む、エッチングガスなどの任意の適切な種であってもよい。別法としては、イオン注入種を使用することも可能である。上で説明したように、プラズマ源を使用してプラズマチャンバ150の中にプラズマが作り出される。ワークピース1は、中空イオン源の第2の壁110に対して平行に、かつ、第2の壁110から間隔を隔てて配置されている。ワークピース1は、中空イオン源10に対して負にバイアスされるワークピース支持体170などの導電性表面に配置されている。この方法によれば、プラズマチャンバ150内の正のイオンがワークピース1に引き付けられる。イオン600は、コリメートされたリボンイオンビームの形態で抽出開孔130を介して引き出され、ある角度でワークピース1に向かって導かれる。イオン600は、中空領域140を通って、ワークピース1に向かって移動する。図に示されているように、イオンがワークピース1に向かって移動する角度は、ワークピース表面に対して直角以外の角度である。イオン600がワークピース1に衝突すると、エッチング副産物610がワークピース1から解放され得る。エッチングプロセスによって解放されるこれらのエッチング副産物610は中空領域140の中へ漂流する。この方法によれば、エッチング副産物610が中空イオン源10の第2の壁110に堆積することはない。
【0049】
中空領域140を含むことにより、他の半導体設備と比較すると、中空イオン源10に対するガスコンダクタンスが著しく大きくなる。これは、より多くのガスの流れでの動作を許容し、かつ、低い圧力を維持することができ、それによりイオン対ラジカル比を改善することができる。
【0050】
エッチング副産物610をより完全に除去するために、中空領域140内にポンプ620を配置することができる。ポンプ620は、中空領域140を介してポンプ620の中へエッチング副産物610を抜き出す負の圧力を作り出すことができる。別法としては、スパッタキャッチャを使用することも可能である。スパッタキャッチャは、ワークピース1と同じ電位の、スパッタされた材料がスパッタキャッチャに入って、出ていくことができないよう、凹状の形を有するデバイスである。特定の実施形態では、スパッタキャッチャは、スパッタ材料がスパッタキャッチャに入るのを許容し、かつ、スパッタ材料を保持するメッシュ様材料または多孔性軽石を含むことができる。これらの構成要素は、内部側壁125の表面に堆積するエッチング副産物610の量を最少化することができる。
【0051】
図7は、図5の中空イオン源11が動作中である際のプラズマ濃度を示したものである。プラズマはプラズマチャンバ150の中に生成される。さらに、プラズマは抽出開孔130を通って出ていき、ワークピース1の平面に対して直角ではない角度でイオンがワークピース1に衝突するようにワークピース1に向かって導かれる。エッチングされているワークピース1の部分は、第2の壁110に隣接して配置されるのではなく、中空領域140の近くに配置されることに留意されたい。これは、エッチング副産物が中空イオン源11の壁に堆積することなく、中空領域140を通って出ていくのを許容する。
【0052】
図7の中空イオン源11を使用して試験が実施された。これらの試験では、すべて、アルゴンプラズマがプラズマチャンバ150内に作り出された。
【0053】
一試験では、抽出開孔130の高さは6mmに設定され、また、ワークピース支持体170は2kVにバイアスされた。次に、抽出されたビーム電流の関数としてのビーム角平均(BAM)が測定された。BAMは、ワークピースに対する直角と比較した角度として測定される。言い換えると、ビームがワークピースの表面に対して直角である場合、そのBAMは0°として定義される。BAMは、約30mA未満のビーム電流に対して30°より大きいことが分かった。さらに、BAMは、小さいビーム電流(すなわち10mA未満)ではほぼ50°であることが分かった。
【0054】
第2の試験では、抽出開孔130の高さは6mmから10mmまで変更され、ワークピース支持体170は2kVにバイアスされた。この試験におけるビーム電流は約18mAであった。次に、抽出開孔高さの関数としてのビーム角平均(BAM)が測定された。BAMは、8mm以下の抽出開孔高さに対して40°より大きいことが分かった。さらに、BAMは、10mmの抽出開孔高さではほぼ40°であることが分かった。
【0055】
第3の試験では、ワークピース支持体170に印加されたバイアス電圧は500Vから3kまで変更され、抽出開孔高さは6mmに設定された。次に、抽出電圧の関数としてのビーム角平均(BAM)が測定された。BAMは、約1250V以上の抽出電圧に対して40°より大きいことが分かった。さらに、BAMは、抽出電圧が1kV未満になると30°未満に小さくなることが分かった。
【0056】
したがって第2の壁ではなく、中空イオン源の側壁に抽出開孔を配置することにより、他の指向性処理システムと比較してビーム角平均を5°~10°だけ大きくすることができる。
【0057】
したがって図1図7に示されている実施形態などの特定の実施形態では、中空長方形イオン源が開示される。長方形イオン源は、外部長方形を画定している4つの外壁121、より小さい長方形の形の第1の開口105を有する第1の壁100、より小さい同じ長方形の形の第2の開口115を有する第2の壁110、および第1の開口105のエッジと第2の開口115のエッジとを接続している内部壁を有している。第1の壁100および第2の壁110は、それぞれ、外部長方形と同じ形である外部周囲を有している。プラズマチャンバ150は、これらの外壁121、内部壁、第1の壁100および第2の壁110によって取り囲まれた体積として画定されている。抽出開孔130は、2つの互いに反対側の内部側壁125のうちの少なくとも一方に配置される。上で説明したように、プラズマ源は、外壁121、内部壁、第1の壁100および第2の壁110によって画定される体積内に配置することができる。別法としては、プラズマ源は外壁121の外側に配置することも可能である。
【0058】
図8は、中空イオン源12の別の実施形態を示したものである。この実施形態では、第1の壁800の開口は第2の壁810の開口より大きい。特定の実施形態では、第1の壁800の開口の幅は第2の壁810の開口の幅より広く、一方、第1の壁800の開口の長さは、第2の壁810の開口の長さと同じ寸法である。
【0059】
この構成は、第1の壁800から内側に向かって傾斜している傾斜内部側壁825を作り出し、中空領域840の断面積を第2の壁810におけるよりも第1の壁800の近傍でより広くすることができる。この構成は、傾斜内部側壁825に堆積するエッチング副産物610の量を少なくすることができる。
【0060】
他の実施形態では、第1の壁800の開口の幅は第2の壁810の開口の幅より広く、また、第1の壁800の開口の長さは第2の壁810の開口の長さより長い。この構成は、上で説明したように傾斜内部側壁825を作り出し、また、傾斜内部端部壁を同じく作り出す。この構成は、傾斜内部側壁825および傾斜内部端部壁に堆積するエッチング副産物610の量を少なくすることができる。
【0061】
この中空イオン源12の他の態様は、上で説明した態様と同じである。言い換えると、プラズマチャンバ850は、傾斜内部側壁825、第1の壁800、第2の壁810、外壁821および内部端部壁(図示せず)によって取り囲まれた体積である。プラズマ源は、図5A図5Bに示されているように中空イオン源12の内側であっても、あるいは図4に示されているように中空イオン源12の外側であってもよい。図6に示されているように、中空領域840内または中空領域840の上方にポンプ620を配置することができる。
【0062】
さらに、抽出開孔830は、傾斜内部側壁825および第2の壁810の隅に配置されていることに留意されたい。
【0063】
図8は、まっすぐな傾斜内部側壁825を示しているが、傾斜内部側壁825は湾曲していてもよいことを理解されたい。例えば傾斜内部側壁825は、エッチング副産物がこれらの傾斜内部側壁825に堆積する可能性をさらに小さくするために、凹状または凸状の形を有することができる。
【0064】
図9は、中空イオン源13の別の実施形態を示したものである。この実施形態では、第2の壁910は、内部側壁925を越えて中空領域940の中へ延在している。図3A図3Bでは、内部側壁125は、第2の壁110に向かって下に向かって延在している。第2の内部側部エッジ118の各々は、それぞれの内部側壁125と同じ平面に存在している。それとは対照的に、図9では、第2の内部エッジ918の各々は、それぞれの内部側壁925の平面を越えて延在している。この構成は、抽出開孔930を介してプラズマチャンバ950に入るエッチング副産物の量を少なくすることができる。この実施形態の他の態様については、図1図7に関連して上で説明されている通りである。言い換えると、プラズマ源は、上で説明したプラズマ源のうちの任意のプラズマ源であってもよい。さらに、中空領域940内または中空領域940の上方にポンプを配置することも可能である。
【0065】
第2の壁910は、それぞれの内部側壁125の平面を越えて延在しているが、抽出開孔930は、内部側壁125の平面と第2の壁910が交わる隅に依然として配置されていることに留意されたい。
【0066】
図10は、外壁1021、第1の壁1000、第2の壁1010および傾斜内部側壁1025を有する中空イオン源14の別の実施形態を示したものである。この実施形態では、第2の壁1010は、傾斜内部側壁1025の平面を越えて中空領域1040の中へ延在している。図8では、傾斜内部側壁825は、第2の壁810に向かって傾斜している。第2の内部側部エッジの各々は、それぞれの傾斜内部側壁825と同じ平面に存在している。それとは対照的に、図10では、傾斜内部壁1025は、第1の壁1000から第2の壁1010に向かって延在している。第2の内部エッジ1018の各々は、それぞれの傾斜内部側壁1025の平面を越えて延在している。この構成は、抽出開孔1030を介してプラズマチャンバ1050に入るエッチング副産物の量を少なくすることができる。この実施形態の他の態様については、先行する実施形態に関連して上で説明されている通りである。言い換えると、プラズマ源は、上で説明したプラズマ源のうちの任意のプラズマ源であってもよい。さらに、中空領域1040内または中空領域1040の上方にポンプを配置することも可能である。
【0067】
第2の壁1010は、それぞれの傾斜内部側壁1025の平面を越えて延在しているが、抽出開孔1030は、傾斜内部側壁1025の平面と第2の壁1010が交わる隅に依然として配置されていることに留意されたい。
【0068】
図10は、まっすぐな傾斜内部側壁1025を示しているが、傾斜内部側壁1025は湾曲していてもよいことを理解されたい。例えば傾斜内部側壁1025は、エッチング副産物がこれらの傾斜内部側壁1025に堆積する可能性をさらに小さくするために、凹状または凸状の形を有することができる。
【0069】
すべての実施形態において、抽出開孔はイオン源の隅に配置され、「隅」は、イオン源の2つの壁の平面が交わる領域の近傍として定義されていることに留意されたい。言い換えると、図3図7では、2つの平面の交わりは「L」字形として形成されている。図8では、2つの平面の交わりは「V」字形として形成されている。図9では、2つの平面の交わりは「T」字形として形成されている。図10では、2つの平面の交わりは「Y」字形として形成されている。これらの実施形態の各々では、抽出開孔はこの交わりの近くに配置されている。
【0070】
さらに、これらの実施形態の各々では、抽出開孔は、第1の壁と第2の壁とを接続している側壁に配置されていることに留意されたい。第2の壁は、処理位置ではワークピース支持体170に最も近く、また、処理位置ではワークピース支持体170に対して平行であってもよい。抽出開孔を有する側壁は、図1図7および図9に示されているように、第2の壁およびワークピースの表面に対して直角であってもよい。他の実施形態では、この側壁は、図8および図10に示されているように第2の壁と鋭角を形成する。したがってこれらの実施形態のすべてにおいて、イオン源は、プラズマ源、プラズマチャンバを画定する複数の壁を備えており、これらの壁のうちの少なくとも1つは抽出開孔を備えている。抽出開孔を有する壁は、第2の壁に対して直角であるか、あるいは第2の壁と鋭角を形成するかのいずれかである。
【0071】
以上の実施形態はすべて中空領域を含んでいるが、他の実施形態も同じく可能である。例えば図11は、イオン源1100およびワークピース支持体170を含む装置を示したものである。イオン源1100は第1の壁1101および第2の壁1110を含み、第2の壁1110はワークピース支持体170に最も近く、また、処理位置ではワークピース支持体170に対して平行であってもよい。第1の壁1101は第2の壁1110の反対側であってもよい。側壁1125を使用して第1の壁1101が第2の壁1110に接続されている。これらの壁はプラズマチャンバ1150を形成している。イオン源1100は、それらに限定されないが、図4に示されているアンテナ、図5A図5Bに示されている内部コイル、傍熱陰極、電子ビームプラズマ源またはBernas源などの任意の適切なプラズマ源を含むことができる。
【0072】
抽出開孔Tは側壁1125のうちの1つに配置される。この実施形態では、抽出開孔1130は、側壁1125および第2の壁1110の隅に配置されている。イオン600は抽出開孔1130を介して抽出され、ある角度でワークピース1に向かって移動する。エッチングプロセスの事例では、イオン600はエッチング副産物610が生成される原因になり得る。抽出開孔1130を含む側壁1125の近くにスパッタキャッチャまたはポンプ620を配置することができる。このポンプ620を使用して、エッチング副産物610がワークピース1から離れるようにポンピングされる。
【0073】
図11は、側壁1125の平面と一致する第2の壁1110の端部を示しているが、他の実施形態も同じく可能である。例えば第2の壁1110は、図9に示されているように側壁1125の平面を越えて延在することができる。
【0074】
さらに、この実施形態では、抽出開孔1130を含む側壁1125は第2の壁1110に対して直角である。しかしながらイオン源の形は変更することができる。
【0075】
図12は、側壁1225が第2の壁1210と鋭角を形成するイオン源1200を示したものである。上で説明したように、第1の壁1201は第2の壁1210の反対側に配置されており、また、側壁1225は第1の壁1201と第2の壁1210とを接続している。さらに、第2の壁1210はワークピース支持体170に最も近く、また、処理位置ではワークピース支持体170に対して平行であってもよい。この場合も、抽出開孔1230は側壁1225の隅に配置されている。イオン600は、抽出開孔1230を介してプラズマチャンバ1250から抽出され、ある角度でワークピース1に向かって移動する。エッチングプロセスの事例では、イオン600はエッチング副産物610が生成される原因になり得る。抽出開孔1230を含む側壁1125の近くにスパッタキャッチャまたはポンプ620を配置することができる。このポンプ620を使用して、エッチング副産物610がワークピース1から離れるようにポンピングされる。
【0076】
本明細書において説明されている実施形態の各々は、側壁に配置された1つの抽出開孔を示している。しかしながら本開示はこの実施形態に限定されない。例えば図13に示されているように、内部側壁のうちの1つに複数の抽出開孔を形成することができる。これは、内側を複数の開孔を有する金属板として形成することによって達成することができる。別の実施形態では、内部側壁の少なくとも一部はメッシュであってもよい。複数の抽出開孔の使用は、本明細書において説明されている任意の実施形態に適用することができる。
【0077】
上で説明した、本出願における実施形態は多くの利点を有することができる。第1に、このシステムによれば指向性エッチングが可能であり、その一方でエッチング副産物を除去するための経路を提供する。これは、予防保守の頻度を少なくし、また、より無矛盾のエッチング操作パラメータを同じく保証する。言い換えると、イオンがワークピースに衝突する領域の上方に中空領域が存在するため、イオン源の第2の壁あるいは何らかの表面に堆積することなくエッチング副産物を排出することができる。
【0078】
さらに、抽出開孔の位置は、第2の壁に抽出開孔を含む構成で可能であるビーム角より大きいビーム角を可能にする。上で説明したように、ビーム角平均は40°より大きくすることができる。さらに、図9および図10に示されている実施形態では、第2の壁を中空領域の中へ延在させることにより、ビーム角平均を60°より大きくすることができ、また、80°の大きさにすることも可能である。
【0079】
本開示の範囲は、本明細書において説明されている特定の実施形態によって制限されない。実際、以上の説明および添付の図面から当業者には、本明細書において説明されている実施形態に加えて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する様々な修正が明らかであろう。したがってこのような他の実施形態および修正は本開示の範囲の範疇であることが意図されている。さらに、本開示は、本明細書においては、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で説明されているが、その有用性はそれらに限定されないこと、また、本開示は、任意の数の目的のための任意の数の環境で有利に実現することができることは当業者には認識されよう。したがって以下で示されている特許請求の範囲は、本明細書において説明されている本開示の全広さおよび精神の観点で解釈すべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13