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特許7313313レーザベースの位相板画像コントラスト操作
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】レーザベースの位相板画像コントラスト操作
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/295 20060101AFI20230714BHJP
   H01J 37/26 20060101ALI20230714BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H01J37/295
H01J37/26
H01J37/22 501A
H01J37/22 501Z
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020084918
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2020188003
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】62/848474
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バルト,ビュッセ
(72)【発明者】
【氏名】バス,ヘンドリクセン
(72)【発明者】
【氏名】プレウン,ドナ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/286631(US,A1)
【文献】O. Schwartz et al.,Laser control of the electron wave function in transmission electron microscopy,APS Division of Atomic and Molecular Physics Meeting 2019 抄録,2019年05月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00 - 37/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像コントラスト最適化のための装置であって、
試料に電子ビームを供給するために結合された電子源と、
制御信号に応答して前記電子ビームを再配置するために結合された1つ以上の偏向器と、
高エネルギー光ビームである光ビームを供給するために結合された光源と、
光学キャビティであって、前記光ビームを受け取り、その中に少なくとも1つの光学ピークを形成するために結合されており、電子顕微鏡の回折面に配置されている、光学キャビティと、
前記1つ以上の偏向器に少なくとも結合されたコントローラであって、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記1つ以上の偏向器によって、第1の位置で前記電子ビームを前記少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けさせるコード、を含む非一時的コンピュータ可読媒体、を含むか、またはそれに結合され、前記第1の位置が、前記光学ピークが前記電子ビームの電子に与える位相操作の量を決定する、コントローラと、を備える装置。
【請求項2】
前記第1の位置が、前記光学ピークのピーク強度位置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の位置が、前記光学ピークのピーク強度よりも低い強度を有する位置である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光学パルスから形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光学定在波の一部である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光源が、前記光学キャビティに連続波光ビームを供給して、前記光学定在波を形成する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記光学キャビティが、略同心のファブリペローキャビティである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記非一時的コンピュータ可読媒体が、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記第1の位置と異なる第2の位置で前記電子ビームを前記少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けさせるコード、をさらに含み、前記光学ピークが前記第2の位置で前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量が、前記光学ピークが前記第1の位置で前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量と異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光学定在波の一部であり、前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記電子ビームを第2の光学ピークを通して方向付けさせるコード、をさらに含み、前記第2の光学ピークが前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量が、前記光学ピークが前記少なくとも1つの光学ピークの前記第1の位置で前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量と異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光学定在波の一部であり、前記非一時的コンピュータ可読媒体が、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記電子ビームを前記第1の位置と第2の位置との間で動的にラスタさせるコード、をさらに含み、前記第2の位置が、前記電子ビームの電子と前記光ビームとの間に相互作用がないように、前記少なくとも1つの光学ピークの外側にある、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光学定在波の一部であり、前記非一時的コンピュータ可読媒体が、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記電子ビームを前記光学定在波に沿って移動させて、前記電子ビームを前記光学定在波の複数のピークとトラフを通過させるコード、をさらに含み、前記電子ビームのスキャンに沿った異なる強度との相互作用が、前記位相操作の量を前記異なる強度に基づいて変化させる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
画像コントラスト最適化のための方法であって、
電子顕微鏡の回折面に少なくとも1つの光学ピークを形成することと、
第1の位置で電子ビームを前記少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けることであって、前記第1の位置が、前記光学ピークが前記電子ビームの電子に与える位相操作の量を決定する、方向付けることと、を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の位置が、前記光学ピークのピーク強度位置である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の位置が、前記光学ピークのピーク強度よりも低い強度を有する位置である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光パルスから形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記光パルスを、前記電子顕微鏡の前記回折面に配置された光学キャビティに供給することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの光学ピークが、光学定在波の一部である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記電子顕微鏡の前記回折面に配置された光キャビティに連続波光ビームを供給して、前記光学定在波を形成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光キャビティが、ファブリペローキャビティである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ファブリペローキャビティが、略同心である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電子ビームを第2の位置で前記少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けることであって、前記第2の位置が、前記第1の位置と異なる、方向付けることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の位置で前記光学ピークが前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量が、前記第1の位置で前記光学ピークが前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量と異なる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の位置で前記光学ピークが前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量が、前記第1の位置で前記光学ピークが前記電子ビームの電子に与える前記位相操作の量と同じである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の位置と第2の位置との間で前記電子ビームを動的にラスタすることであって、前記第2の位置が、前記電子ビームの電子と光ビームとの間に相互作用がないように前記少なくとも1つの光学ピークの外側にある、ラスタすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光学ピークが、前記回折面で形成される光学定在波の一部であり、
前記電子ビームを前記光学定在波の複数のピークおよびトラフを通過させるために前記電子ビームを前記光学定在波に沿って移動させること、をさらに含み、前記電子ビームのスキャンに沿った異なる強度との相互作用が、前記位相操作の量を、前記異なる強度に基づいて変化させる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、画像コントラストの向上に関し、具体的には、電子顕微鏡における位相ベースの画像コントラストの向上に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型電子顕微鏡(TEM)で取得された画像は、不十分なコントラストに問題があるか、または、少なくとも、理想的ではないコントラストを提示することがある。例えば、生体試料などの軟質材料は、通過する電子に位相変化をほとんど与えることができず、または、まったく与えることができない。このような場合、取得した画像は、情報がほとんど、または、まったく含まれていないことがある。軟質材料は最大の画像問題を提示することがあるが、通過する電子に意味のある位相変化を提供する材料でさえ、依然として、画像化で、望ましくない画像をもたらすことがある。TEMで、より豊富でより有用な画像を取得するために、画像コントラストを改善することが望まれる。
【0003】
このようなコントラスト向上をもたらす以前の試みは、例えば、後焦点面に位置する位相板を使用した。しかしながら、このような位相板は、所望の結果をもたらしておらず、実用的な解決策も与えていない。これらの従来の技術は、試料を通過した後に電子に追加的な位相変化を与えることに重点を置いているが、様々な問題に遭遇する。様々な問題のうちの1つは同調性の欠如であり、従来の技術では、通常、設定された量の位相変化をもたらし、同調可能な量の位相シフトをもたらすことができない。例えば、薄膜ゼルニケ位相板は、固定された位相シフトを有し、これは、膜材料、厚さ、およびビームエネルギーと直接関係する。様々な問題のうちの他の1つは、従来技術の物理的な性質に関係しており、これは、それらの技術の寿命およびそれらが与えることができる位相変化の量を制限する。別の問題は位相板による避けられない散乱損失である。これらの従来の技術はいくつかの結果をもたらしているが、同調可能で、損失のない、非物質的な技術が望まれる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、レーザベースの位相板画像コントラストの向上を実装するための方法およびシステムが開示されている。例示的な方法は、電子顕微鏡の回折面内に少なくとも1つの光学ピークを形成することと、電子ビームを第1の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けることと、を少なくとも含み、この第1の位置が、光学ピークが電子ビームの電子にもたらす位相操作の量を決定する。
【0005】
例示的なシステムは、電子ビームを提供するために結合された電子源と、制御信号に応答して電子ビームを再配置するために結合された1つ以上の偏向器と、光ビームを提供するために結合された光源と、光ビームを受信するためおよび光学キャビティ内に少なくとも1つの光学ピークを形成するために結合された光学キャビティであって、電子顕微鏡の回折面に配置された光学キャビティと、少なくとも1つ以上の偏向器に結合されたコントローラであって、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含みまたは結合され、コントローラによって実行されたとき、コントローラに、1つ以上の偏向器によって、電子ビームを第1の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付ける、コードを含む、コントローラと、を少なくとも備え、第1の位置が、光学ピークが電子ビームの電子にもたらす位相操作の量を決定し、かつ第1の位置が、光学ピークのピーク強度位置との関連で位置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本開示の実施形態による、電子顕微鏡システムの一実施例である。
図1B】本開示の実施形態による、電子顕微鏡システムの一実施例である。
図1C】本開示の実施形態による、電子顕微鏡システムの一実施例である。
図2A】本開示の実施形態による、電子ビームの位相を所望の量変化させるための例示的な方法である。
図2B】本開示の一実施形態による、電子ビームの光パルスとの相互作用位置を示す例示的な図である。
図3A】本開示の実施形態による、画像コントラスト伝達関数を改善するための例示的な方法である。
図3B】本開示の一実施形態による、電子ビームの光パルスおよび相互作用位置の例示的な図である。
図3C】本明細書に開示された少なくとも1つの方法により取得された画像の高速フーリエ変換強度の例示的なプロットである。
図4A】本開示の実施形態による、一定のコントラスト伝達関数を得るための例示的な方法である。
図4B】電子顕微鏡の回折面内に配置された光学定在波および電子ビームの例示的なスキャン経路の例示的な図である。
図5A】本開示の一実施形態による、例示的な方法である。
図5B】電子顕微鏡の回折面内に配置された光学定在波および電子ビームの例示的なスキャン経路の例示的な図である。
図6】本発明の一実施形態を実装することができるコンピュータシステム600を例示するブロックダイヤグラムである。
【0007】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、電子顕微鏡画像のコントラスト向上に関する。いくつかの実施例では、電子ビームは、強い光エネルギーの領域を通過して、非散乱電子などの電子の位相を変化させ、変化した位相は、取得された画像のコントラストを向上させる。電子ビームが光学ピークを通過する位置が、電子が受ける位相変化の量を決定する場合、強い光エネルギーは、光学定在波または光パルスの一部であり得る。いくつかの実施形態では、この位置はピーク強度に一致し、また、位相変化はπ/2と同程度である。他の実施形態では、この位置はピークよりも光パワーの少ない位置にあり、位相変化はより少ない。他の実施例は、異なる方法で位相変化を操作するために、光学定在波の複数のピークを横切って、または、光学定在波の内外で電子ビームをスキャンすることを含む。しかしながら、各実施形態は、向上などの画像コントラスト操作を可能にすることができる。
【0009】
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合されたアイテム間の中間要素の存在を排除するものではない。加えて、以下の説明および特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、開放形式で使用され、したがって、「を含むが、これに限定されない」を意味すると解釈されるべきである。
【0010】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態の全ての新規性および非自明性を有する特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴もしくはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つもしくは複数の特定の利点が存在する、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0011】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜的な提示のため、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明方法が並び替えを包含することを理解されるものとする。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合では、並び替えまたは同時に実施されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および装置とともに使用され得る様々な方法を示さないことがある。加えて、説明は、開示された方法を説明するために、「製造する」および「提供する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施に応じて、様々であり、当業者には容易に認識できる。
【0012】
上に議論されたように、TEM画像のコントラストを改善する要望が産業界および学界に存在する。電子ビームの位相変化を通じて向上された画像コントラストを提供する過去の技術は、いくつかの成功を収めたが、重大な点で制限される。このような先行技術は、薄膜ゼルニケ位相板、ボルタ位相板、静電位相板、さらにはレーザベース位相板すらも含む。薄膜ゼルニケ位相板は、固定された位相シフトを有し、これは、膜の材料、厚さおよび電子ビームエネルギーと直接関係する。その結果、このタイプの位相板は同調をもたらさず、一覧されたパラメータを使用して、単一の量の位相変化をもたらすように設計されなければならない。これは非常に狭い状況では役立つかもしれないが、柔軟性の欠如が広範囲での採用を妨げる。ボルタ位相板は、膜の表面状態の制御の困難さに関係する、ある漸近の値への位相シフトを徐々に発現させる。位相は徐々に変化するが、このような無制御の変化は、同調性をもたらさない。静電位相板は、原則的には、ある制限のある同調性を提供することができるが、それらは、通常、取得した画像に主要なアーティファクトを生成し、これは、それらの有用性を低下させる。最後に、従来のレーザ位相板はレーザパワーを変化させることによりかなりの同調性をもたらすることができるが、その変化は、安定するために、長時間、例えば、約1時間程度の時間を要し、これは、それらの有用性を制限する。このように、通過する電子に与えられる位相変化の量に柔軟性をもたらす、容易に実装可能な位相変化技術に対する要望が望まれる。
【0013】
この問題に対する1つの解決策は、強いレーザ場に関連付けられた動重力電位を使用するレーザ位相板である。動重力電位は、300KeVの電子に対してさえ大幅な位相シフトを与えるのに十分に強くなることができ、電子が経験する電位の強度に応じて、最大でπ/2の位相変化を与えることができる。加えて、本明細書に開示された、レーザベースの位相板は、非物質的なものである、即ち、それは、電子ビームと相互作用する物理的な構造を有さないことを意味する。この非物質的な態様は、上に議論された、他の材料ベースの位相板技術とは基本的に異なり、画像コントラストを操作する(例えば、向上させる)ための新たな機会を提示する。
【0014】
開示された解決策は、画像コントラストを向上させるために多くの技術で使用することができる。一実施形態では、試料を通り抜ける非散乱電子は、光パルスの波腹(例えば、高エネルギー位置)を通り抜けるように向けられてもよい。光パルスは、単一パルスまたは光学定在波の1つの光学ピーク(例えば、波腹)のどちらかである。光パルス/光学ピークの高強度電磁場を電子が通過する位置に応じて、異なる量の位相変化を、電子に与えることができる。一般に、この位置は、光パルスのピーク光強度を参照され得る、例えば、図1Cを参照されたい。位置がピーク強度と一致する場合は、位相変化の最大量(例えば、π/2)を与えることができる。位置が、光パワー強度が低下した異なる位置にある場合は、位相変化はより少なくなるであろう。他の実施形態では、非散乱電子は、複数のピークおよび谷などの、光学定在波の異なる部分、および/または、光学定在波の内外を通過するように移動させることができる。議論された実施形態のうちのどれにおいても、非散乱電子が経験する位相変化は画像コントラストを向上させる。一般に、画像コントラストは、非散乱電子と散乱電子との間の位相の相対的な変化により向上される。相対的な差を増大させることによって、画像コントラストは向上される。
【0015】
上記のように、非散乱電子は、光パワーの所望の領域(例えば、光学ピーク上の設定位置)を、静的に通過するか、または、位相変化の量を動的に変化させるために1つ以上の光学ピークを、動的に通過することができる。これらの技術は、数個の例示的な状況で画像コントラストを向上させるために使用される。1つの状況は、強い位相物体である試料(例えば、非散乱電子に既に位相変化を与えた試料)を伴う。このような状況で、所望の位相変化の量は小さく(例えば0.5ラジアン未満)てもよく、これは、波腹(例えば、図2Bの位置231)の立ち下がりエッジに非散乱電子のビームを載置することによって達成することができる。他方、試料が弱い位相物体(例えば、軟質性生体物質)である場合は、最大の位相変化が電子に与えられるように、電子をピークの光パワーの位置を通過させることができる。本明細書で使用されるとき、および、位相変化について議論するとき、「電子」という用語は、非散乱電子を指す。
【0016】
別の状況は、トーン(Thon)リングが複数のゼロ遷移を有する振動動作を示し始める画像解像度を伴う。これらの遷移に対応する試料の空間周波数は、コントラスト伝達がゼロになるであろう、これは、望ましくない。電子ビームを波腹から波節にシフトさせることにより、トーンリング変調は、最小値(ゼロ遷移)が最大値になり、逆も同様になるようにシフトする(図3C参照)。データ取得中に、取得期間の半分は、波腹での電子ビームで実行することができ、残りの半分は、波節での電子ビームで実行することができる。その後、コントラスト反転の補正後、2つの画像を追加すると、コントラスト伝達関数にゼロコントラスト周波数のない画像が生じる。
【0017】
そして、さらに別の解決策は、取得中に、電子ビームが、光学定在波を数個の波節/波腹にわたって通過しているように、電子ビームのシフト(調和関数、線形関数、またはいくつかのジッタ関数)を適用することを伴う(図4Bを参照されたい)。取得したすべての画像を化した後、一定のコントラスト伝達が、点分解能まで得られる。しかしながら、この技術は、3Åおよびさらに高い解像度などの、高解像度で所望の結果をもたらすことができない。
【0018】
図1は本開示の実施形態による例示的な電子顕微鏡システム100である。本明細書で、単に、電子顕微鏡100と称することができる、電子顕微鏡システム100は、試料に電子ビームを向けることおよび試料を通り抜ける電子を検知することによって、様々な材料の画像を取得するために使用することができる試料の材料に応じて、試料を通り抜ける電子は、試料との相互作用により、エネルギー損失および/または位相変化を経験することがある。通過する電子に位相変化をほとんど与えない試料については、電子顕微鏡100は、試料を通り抜ける電子に追加の位相操作を与えるために光ベースの位相変化板を備える。追加の位相操作は、取得した画像のコントラストを改善することができる。強い位相物体である試料については、電子ビームは、画像化を向上させるためにより少ない位相変化を経験する(例えば、必要とする)ことがある。
【0019】
ほとんどの実施形態では、電子顕微鏡100は透過型電子顕微鏡(TEM)であるが、STEMおよび/またはSEMなどの他の電子顕微鏡タイプも企図される。一般に、電子顕微鏡100は少なくともソース102、コリメータ104、試料ホルダ108、第1のレンズ110、光学キャビティ112、第2のレンズ114および検出器116を備えることができ、それらのうちのいくつかは円柱101内に配置することができる。光学キャビティ112は、光ソース118から光エネルギーを供給され得る。追加的に、コントローラ122は、電子顕微鏡100の様々な構成要素に結合されて、それらの機能を制御し、画像を取得するとき、検出器116からデータを受け取る。一般に、ソース102は、試料ホルダ108によって保持された試料に向けられる電子ビームを提供することができる。電子は、試料を通過/横断し、次いで、レンズ110、114のうちの一方または両方によって検出器116に向けられる。検出器116に衝突する電子は、次いで、試料の1つ以上の画像を形成するために使用することができる。
【0020】
ソース102は、ショットキーエミッタまたは冷電界放出銃などの電子銃ソースであってもよいが、本明細書では、他のソースタイプも企図される。
【0021】
コリメータ104は、電子ビームを調整するために、単独でまたは協力して使用される、1つ以上のレンズ、コリメータおよび/またはエネルギーフィルタを備えることができる。コリメータは、所望のスポットサイズ、コヒーレンス、形状などの、所望の品質を有した電子ビームに試料を露出するように電子ビームを調整することができる。加えて、コリメータ104に含まれる偏向器120は、電子ビームが試料と相互作用する位置を偏向させるように、かつ/または、光学キャビティを横断するように、コントローラによって制御することができる。
【0022】
第1のレンズ110は、試料ホルダ108によって保持された試料を横切った電子を集め、それらを検出器116に向かって発射するように調整された対物レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のレンズ110は複数の別個のレンズから形成されてもよい。しかしながら、任意の実施形態では、レンズは静電気レンズまたは磁気レンズであってもよい。
【0023】
光学キャビティ112は、高強度の光エネルギーを受け取り、単一の光学ピーク(図1C参照)、または光学定在波(図1B参照)のどちらかを形成することができる任意のタイプの光学キャビティであってもよい。いくつかの実施形態では、光学キャビティ112はファブリペロー光学キャビティであってもよい。このような実施形態では、ファブリペローキャビティは、高強度の光エネルギーを受け取り、光学定在波の波腹(例えば、ピーク)に所望のエネルギーの光学定在波を確立することができる。光学キャビティ112は、電子顕微鏡システム100の回折面に配置することができる。回折面はまた、時に、電子顕微鏡システム100の後焦点面と称することができる。他の実施形態では、光学キャビティ112は、倍率4、5、または6倍などの、回折面の所望の共役に位置してもよく、これは、拡大した回折面で光学定在波/光パルスの使用を可能にして、逆格子空間のより小さな領域で所望の位相変化に到達することができる。
【0024】
第2のレンズ114は、光学キャビティを通過した後の電子ビームを検出器116に向ける伝送レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のレンズ110のように、第2のレンズ114は、複数のレンズから形成されてもよい。
【0025】
検出器116は、画像が取得されるように、試料を横切る電子ビームポストを受け取るように配置されてもよい。検出器116は、結像開口を覆うシンチレータを有する固体荷電粒子検出器または光出器であってもよい検出器のタイプにかかわらず、検出器116は、衝突する電子に基づいて画像データを取得して、画像形成および/または操作(いくつかの画像の減算または平均化など)のために、画像データを、コントローラまたは個別のコンピュータに伝達することができる。
【0026】
光源118は、例えば、光ポートを通して光学キャビティに強い光エネルギーを提供することができる。光源118は、光学キャビティに高い光パワーを提供するように構成された、例えば、固体レーザまたはガスレーザなどのレーザであってもよい。いくつかの実施形態では、光源118は、1064nmの波長のレーザ放射を提供して、光学キャビティ112内に、40GW/cm2以上の出力密度を形成することができる。電子ビームの通過する電子に所望の位相変化を与えるために、高い電力密度が要求されることがある。
【0027】
光源118は、複数の方法で構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、光源118は、光学定在波が光学キャビティ112内に生ずるように、光学キャビティに連続波パワーを提供することができる。図1Bは、本開示の実施形態による、定在波124の一実施例である。定在波124は、波節とも称することができる強度トラフ128に加えて、波腹とも称することができる強度ピーク126を有するものとして特徴付けることができる。波腹は、光学キャビティの長さおよび光エネルギーの波長に応答して光学キャビティ112内に光パワーが集中する場所である。定在波124は、定在波が、光学キャビティを横切って一方向に縦に延在するが、他の半径方向には限られた距離だけ延在するように、限られた幅で光学キャビティ112を横切って延在することで、追加的に、特徴付けすることができる。例えば、定在波は、電子顕微鏡システム100の円柱101を横切って一方向に延在するが、垂直方向で強度が減衰するチューブ状の定在波を形成することができる。正確なプロファイルは、キャビティで実現することができる開口数(NA)に依存する。
【0028】
別の例示的な動作では、光源118は光パルスを供給する。このような実施形態では、光学キャビティは必要でないことがあり、光パルスは、後方焦点面またはその共役などの、円柱124に沿った所望の位置に提供することができる。光パルスは、光学キャビティ112内に少なくとも1つの高強度ピークを確立することができる。図1Cは、本開示の実施形態による光学ピーク130の一実施例である。光パルス130は、三次元ガウス形状を形成することができる単一のピーク132を有することができる。光パルス構成では、コントローラ122は、荷電粒子ビームの通過を光パルス130の形成とタイミングを合わせて、所望の量の位相変化を生じさせることができる。
【0029】
動作中、電子顕微鏡システム100は、コントローラ122によって制御されて、試料ホルダ108上の試料を通過した後の電子ビーム106を偏向させて少なくとも1つの光学ピークを通過させることができる。電子ビームは、定在波またはパルスのいずれかで、ピーク強度の位置(例えば、波腹)に対して所望の位置で少なくとも1つの光学ピークを通過して、電子ビーム106の電子に所望の量の位相変化/シフトを引き起こす。いくつかの実施形態では、電子ビーム106は、偏向器120によって所望の位置に向けられ、試料(弱い位相物体など)の画像取得中にそこに残ることができる。他の実施形態では、コントローラ122は、偏向器120を制御して、電子ビームを様々な光強度の複数の位置に移動させて、電子ビーム106の電子に与えられる位相変化の量を変化させることができる電子ビームと光エネルギーとの間の相互作用の様々な位置を、以下でさらに詳しく説明する。一般に、電子ビームが、定在波の腹のピーク強度位置を通過するなど、光エネルギーを通過すると、4分の1波長ほどの位相変化を引き起こすことができる。このような位相変化は、生体試料などの低コントラスト材料、および/またはより強い位相材料の向上したコントラスト画像を提供することができる。
【0030】
図2Aは、本開示の実施形態による、電子ビームの位相を所望の量だけ変化させるための例示的な方法201である。方法201は、例えば電子顕微鏡100などの電子顕微鏡上で実装することができ、材料を画像化するときに電子顕微鏡の電子に与える位相変化の量を、ユーザが決定することを可能にすることができる。例えば、TEMは、生体試料などの材料を画像化するときに、電子ビームをレーザベースの位相板を通過させて、電子ビーム内の電子の位相を操作することができる。
【0031】
方法201は、電子顕微鏡の回折面に少なくとも1つの光学ピークを形成することを含むプロセスブロック203で開始することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、顕微鏡の回折面に供給される光パルスから形成され、これは任意選択で何らかの形態の光学キャビティを含む。他の実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、回折面に配置された光学キャビティ内に確立された光学定在波の一部である。いずれの実施形態においても、高強度光源(例えば、レーザ)が、光パルスまたは光学定在波を生成するために使用される。
【0032】
プロセスブロック203の後にプロセスブロック205が続くことができ、これは、電子ビームを第1の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けることを含む。第1の位置は、少なくとも1つの光学ピークが電子ビームの電子に引き起こす位相変化の量を決定する。いくつかの実施形態では、第1の位置は、少なくとも1つの光学ピークのピーク強度位置を参照される。例えば、光学ピークとの関連で、電子ビームがどこで光パルスを通過するかに応じて、電子が、最大からゼロまで変化する量の位相変化を経験することができる。最大量の位相変化は、ピーク強度位置(例えば、波腹)に対応し、より少ない位相変化は、ピークからより遠い光学定在波の波節位置に近づく位置に対応する。一般に、位相変化の量に加えて位相変化の方向は、電子ビームが、少なくとも1つの光学ピークを通過する相対位置によって影響を受けることがある。
【0033】
図2Bは、本開示の実施形態による、電子ビームと光パルスとの相互作用位置を示す例示的なイラスト図221である。イラスト図221は、光学ピーク223および電子ビーム225を含む。光学ピーク223は、ピーク強度位置227および第2の位置229を有する。いくつかの実施形態では、第2の位置229は、ゼロ強度位置に対応することができる。しかしながら、他の実施形態では、第2の位置229は、ゼロよりも大きいが、位置227の強度よりも小さい強度に対応することができる。電子ビーム225がピーク強度位置227で光学ピーク223を通過する場合は、最大量の位相変化を電子ビーム225の電子に与えることができる。例えば、π/2の位相変化をもたらすことができる。しかしながら、電子ビーム225が位置231での光学ピークを通過する場合は、最大値よりも少ない量の位相変化を電子ビーム225の電子に与えることができる。第2の位置229に関して、第2の位置に対する実施形態に応じて、位相変化の量および/または方向が異なることがある。例えば、第2の位置がゼロ強度位置(例えば波節)に対応する場合は、光学ピークは、電子ビーム225の電子に位相変化を最小限にしかもたらさないか、またはもたらさないことがある。
【0034】
図2Aに戻ると、プロセスブロック205の後にプロセスブロック207が続くことができ、これは、電子ビームが少なくとも1つの光学ピークを通過した後に電子ビームを検出することを含む。電子ビームを検出することは、電子ビームが少なくとも1つの光学ピークを通過する前に電子ビームで照射された試料の画像形成を可能にする。いくつかいくつかの実施形態では、プロセスブロック207は任意選択であることに留意されたい。
【0035】
図3Aは、本開示の実施形態による、画像コントラスト伝達関数を改善するための例示的な方法301である。方法301は、例えば、電子顕微鏡システム100などの電子顕微鏡で実装されてもよく、電子の位相操作を使用してコントラスト伝達関数のゼロを補正するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、方法301は、TEMで実施されてもよい。
【0036】
方法301は、少なくとも1つの光学ピークを形成することを含むプロセスブロック303で開始することができる。荷電粒子顕微鏡の回折面に形成される光学ピーク。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、回折面で生成された光パルスから形成される。他の実施形態では、少なくとも1つの光ピークは、回折面に配置された光キャビティ内に確立された光定在波の一部である。いずれの実施形態においても、高強度光源(例えば、レーザ)が、光パルスまたは光学定在波を生成するために使用される。
【0037】
プロセスブロック303の後にプロセスブロック305が続くことができ、これは、第1の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して電子ビーム方向付けることを含む。電子ビームは、少なくとも1つの光学ピークを通して向けられる前に、既に試料を通過しており、試料に関する情報を含んでいることに留意すべきである。第1の位置は、少なくとも1つの光学ピークが電子ビームの電子に引き起こす位相変化の量を決定する。いくつかの実施形態では、第1の位置は、少なくとも1つの光学ピークのピーク強度位置を参照される。一般的に、光学ピークとの関連で、荷電粒子ビームが光パルスをどこで通過するかに応じて、最大からゼロまで変化する量の位相変化を、電子が経験することができ、最大はピーク強度位置に対応し、より少ない位相変化は他の位置に対応する。いくつかの実施形態では、量に加えて位相変化の方向も、荷電粒子ビームが少なくとも1つの光学ピークを通過する相対位置によって影響を受けることがある。
【0038】
プロセスブロック305の後にプロセスブロック307が続くことができ、これは、電子ビームを第2の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けることを含み、第2の位置は第1の位置と異なる。いくつかの実施形態では、光学ピークが第2の位置で電子ビームの電子に引き起こす位相操作の量は、光学ピークが第1の位置で電子ビームの電子に引き起こす位相操作の量と異なる。例えば、図3Bに見られるように、第1の位置は、光学ピーク323と相互作用する電子ビーム325の位置によって示されるような、少なくとも1つの光学ピークのピークであってよく、第2の位置は、光学ピーク323と相互作用する電子ビーム327の位置によって示されるような、それほど強くない位置であってよい。図3Bに示される位置は、例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。一般に、第1および第2の位置は、光学ピーク323に沿った任意の場所にあってもよく、一方が強度の頂点にあり、他方がそれ以外の場所にあることに限定されない。他の実施形態では、第2の位置は、第1の位置と同じ量の位相操作を引き起こすことができるが、定在波の異なる光学ピーク、または光学ピークの反対側のいずれかに位置することができる(図3Bの位置329を参照されたい)。異なる位置を使用するが、同じ位相操作で、得られる画像から画像ゴーストを除去または減らすことができる。
【0039】
代替的に、第2の位置は、この少なくとも1つの光学ピークと異なる光学ピークに関連付けられてもよく、同じ光学ピークに関連付けられる必要はない。このような実施形態では、異なる(例えば、第2の)光学ピークは、この少なくとも1つの光学ピークと類似のまたはそれ未満の強度を有することができる。2つの光学ピークの強度が類似しているかまたは同一である実施例では、第2の位置は、ピーク強度に関して、第1の位置と相対的に異なってもよい。他方、2つの光学ピークの強度が異なっており、例えば、第2の光学ピークが第1の光学ピークよりも小さい場合は、第2の位置は、第2の強度の弱い光学ピークのピーク位置と一致してもよい。一般に、第1および第2の位置によって与えられる所望の量の位相変化は、異なっているべきである。
【0040】
要約すると、第2の位置は、同じ光学ピーク上にあってもよいが、異なる量の位相変化を引き起こす、または、第2の位置は、同じ光学ピーク上にあってもよいが、第1の位置と同じ量の位相変化を引き起こす。代替的に、第2の位置は、異なる光学ピーク上にあって、異なる量の位相変化または同じ量の位相変化のどちらかを引き起こすことができる。最後に、第2の位置が、非ピーク領域(例えば、光学定在波の節)にあって、電子に位相変化を与えなくてもよい。電子ビームを、光学定在波を、通って、横切って、内外に、またはランダムに通って、離散的または連続的に、移動させることを含むことができる他の実施例について、以下で詳細に説明する。一般に、電子ビームが向けられる2つの位置は、トーンリング(図3Cに示す)が反転するように選択され、これは、生じるコントラスト伝達関数にゼロがないか、最小のゼロを有するように組み合わされた取得を使用する画像をもたらす。
【0041】
プロセスブロック307の後にプロセスブロック309が続くことができ、これは、それぞれ第1および第2の位置にある電子ビームで取得された画像に基づいてコントラスト伝達関数のゼロを補正することを含む。試片によって荷電粒子ビームに与えられた位相のフーリエ変換を変換する効率を示すコントラスト伝達関数(CTF)は、位相操作された電子ビームによって撮像された試料の取得画像に適用することができる。電子ビームが単一の位相操作を受ける場合(例えば、1つの位置で光学ピークと相互作用する場合)は、CTFはデータにゼロを含むことができる。図3Aの画像333の暗いリングを参照されたい。しかしながら、電子ビームが第2の位置の光学ピークと相互作用する画像を取得すると、暗いリングが明るくなることができ(図3Bの画像335の明るいリングを参照されたい)、これは、第1の画像に見つからないデータを提供することができる。したがって、1つのCTFのゼロまたは無効データは、荷電粒子ビームが光学ピークと相互作用する位置を変更することによって、後続の画像から拡大または修正することができる。
【0042】
図4Aは、本開示の実施形態による、時間平均された一定のCTFを取得するための例示的な方法401である。電子顕微鏡システム100などの電子顕微鏡でやはり実装することができる方法401は、方法301と類似しているかまたはその拡張であってよい。例えば、方法301は2つの位置で光学ピークを通過する電子ビームを有することを論じているが、方法401は複数のピークを通過する電子ビームを有し、複数のピークに関して異なる位置で画像を取得する。方法401を使用してCTFのゼロを補正する代わりに、方法401は、電子ビームが光学定在波を通過する位置を変更して、試料を画像化するときに時間平均された定数CTFを得る。電子ビームを光学定在波を通して離散的または連続的に移動することにより、荷電粒子ビームが経験する位相変化の量が時間とともに変化し、時間平均されたCTFが一定になる。
【0043】
図4Bは、荷電粒子顕微鏡の回折面に配置された光学定在波423の例示的な図421および荷電粒子ビームの例示的な経路425である。経路425は、光学定在波423の複数の波腹および波節を横断する直線として示されているが、スキャン経路425は、一般に、光学定在波423を通過および出入りする任意のランダムな経路であってよい。光学定在波423は、電子顕微鏡の回折面に配置されたファブリペローキャビティなどの光学キャビティ内に形成されてもよく、例示的な経路425は、電子ビームが、光学定在波423に対して横断することができる1つの可能な経路を示してもよい。図4Bは、方法401を例示するために使用されるであろう。
【0044】
方法401は、電子顕微鏡の回折面に光学定在波を形成することを含むプロセスブロック403で開始することができる。示されるように、光学定在波423は、CPMの回折面に配置された光学キャビティ内に形成することができる。
【0045】
プロセスブロック403の後にプロセスブロック405が続くことができ、これは、電子ビームを光学定在波の複数のピークおよびトラフを通過させるために、電子ビームを、光学定在波を通って、それに沿って、および/または、その内外を、連続的にまたは離散的に、移動させることを含む。光学ピークおよびトラフは、光学定在波の波腹および波節とも称することができる。電子ビームの経路に沿った異なる強度との相互作用は、電子ビームが遭遇する光学定在波の異なる強度に基づいて、位相操作の量を変化させる。例えば、電子ビームが経路425に沿って移動すると、電子ビームは、任意の所望の数の波腹427および波節429を通過する。電子ビームが、経路425を通過するとき、遭遇する光学定在波423の強度は、波腹427での高強度から波節429での低強度、およびそれらの間の中間強度に変化し、光強度相互作用でのこの変化は、電子ビームの電子に与えられる位相変化の量および/または方向を変化させる。これにより、電子に対する位相の変化は、2つの端の間で振動するだろう。光学定在波に関して電子ビームのこれらの異なる位置で得られた画像を追加して、CTFを得ることができる(プロセスブロック407を参照されたい)。
【0046】
図5Aは、本開示の実施形態による、例示的な方法501である。方法501は、他の方法のように、電子顕微鏡システム100などの電子顕微鏡で実装することができる。方法501は、画像取得の少なくとも一部で、少なくとも1つの光学ピークを通過する電子ビームで試料の画像を取得することを含むことができる。図5Bは、電子顕微鏡の回折面に配置された定常光波523の例示的なイラスト図521および電子ビームの例示的な走査経路525である。
【0047】
方法501は、光学定在波の複数のピークにわたって電子ビームを移動させる代わりに、方法401が期待する方法と同様であってよく、電子ビームが、光学定在波の内外で動的にスキャンまたはラスタされる(プロセスブロック505)。このように、電子ビームは、いくらかの位相変化を経験するように光学定在波との相互作用にいくらかの時間を費やし、位相変化をまったく経験しないように光学定在波の外でいくらかの時間を費やす。電子ビームが光学定在波の相互作用位置と非相互作用位置との間を移動されている間に、試料の画像を取得することができる(プロセスブロック507)。
【0048】
一実施形態によれば、本明細書に記載される技術は、1つ以上の専用のコンピューティングデバイスによって実装される。専用のコンピューティングデバイスは、技術を実施するために、ハードワイヤードであるか、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはネットワーク処理ユニット(NPU)などのデジタル電子デバイスを含む場合があり、技術を実行するために、永続的にプログラムされているか、ファームウェア、メモリ、他のストレージ、または組み合わせのプログラム命令に従って技術を実行するようにプログラムされている1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサまたはグラフィック処理ユニット(GPU)を含む場合がある。このような専用のコンピューティングデバイスは、カスタムハードワイヤードロジック、ASIC、FPGA、またはNPUとカスタムプログラミングを組み合わせて、技術を実現することもできる。専用のコンピューティングデバイスは、デスクトップコンピューターシステム、ポータブルコンピューターシステム、携帯用デバイス、ネットワークデバイス、または技術を実装するためのハードワイヤードおよび/またはプログラムロジックを組み込む他のデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、専用のコンピューティングデバイスは、電子顕微鏡の一部であっても、顕微鏡および他のユーザコンピューティングデバイスに結合されていてもよい。
【0049】
例えば、図6は、本発明の一実施形態が実装され得るコンピュータシステム600を示すブロック図である。コンピューティングシステム600は、例えば、CPM100に含まれるコンピューティングハードウェアの一実施例であってもよい。コンピュータシステム600は、少なくとも、情報を通信するためのバスまたは他の通信機構と、情報を処理するための、バス(図示せず)に結合されたハードウェアプロセッサ630と、を備える。ハードウェアプロセッサ630は、例えば、汎用マイクロプロセッサであってよい。コンピュータシステム600は、方法201、301、401および/または501などの、本明細書で開示される方法および技術を実装するために使用することができ、画像を取得し、1つまたは複数のフィルタ/アルゴリズムでこの画像を処理するためにも使用することができる。
【0050】
コンピュータシステム600は、プロセッサ630によって実行される情報または命令を記憶するためにバスに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置などの、メインメモリ632も備える。メインメモリ632は、プロセッサ630によって実行される命令の実行中、一時的な変数または他の中間情報を記憶するためにも使用することができる。このような命令は、プロセッサ630にアクセス可能な非一時的記憶媒体に記憶されるとき、コンピュータシステム600を、命令で指定された動作を行うようにカスタマイズされた専用マシンにする。
【0051】
コンピュータシステム600は、静的情報およびプロセッサ630のための命令を記憶するためにバス640に結合された、読み取り専用メモリ(ROM)634または他の静的記憶デバイスをさらに備える。磁気ディスクまたは光学ディスクなどの記憶デバイス636が提供され、情報および命令を記憶するためのバス640に結合されている。
【0052】
コンピュータシステム600は、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)などのディスプレイに、バスを介して、結合されてもよい。英数字キーおよび他のキーを含む入力装置は、プロセッサ630に情報およびコマンド選択を通信するためのバスに結合されている。別のタイプのユーザ入力装置は、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどの、方向情報および命令選択をプロセッサ630に通信するため、およびディスプレイ上のカーソル移動を制御するためのカーソル制御である。この入力デバイスは一般的に、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする、二つの軸、すなわち、第1の軸(例えば「x」)および第2の軸(例えば「y」)における二方向の自由度を有する。
【0053】
コンピュータシステム600は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICもしくはFPGA、ファームウェア、および/またはコンピュータシステムと組み合わせてコンピュータシステム600を専用マシンにするかもしくはそのようにプログラムするプログラムロジックを使用して、本明細書に記載の技術を実装してもよい。一実施形態によれば、本明細書の技術は、メインメモリ632に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ630に応答して、コンピュータシステム600によって行われる。このような命令は、記憶デバイス636などの別の記憶媒体からメインメモリ632に読み込むことができる。メインメモリ632に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ630に、本明細書に記載される処理ステップを行わせる。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。
【0054】
本明細書で使用される「記憶媒体(storage media)」という用語は、機械を特定の方法で動作させるデータおよび/または命令を記憶する任意の非一時的媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス636などの、光ディスクまたは磁気ディスクを備える。揮発性媒体は、メインメモリ632などの動的メモリを備える。記憶媒体の一般的な形式は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、または他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを持つ物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、NVRAM、他のメモリチップもしくはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および三値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0055】
記憶媒体は、伝送媒体とは異なるが、伝送媒体と組み合わせて使用してもよい。伝送媒体は、記憶媒体間の情報の転送に関与する。例えば、伝送媒体は、バスを含むワイヤを含んだ、同軸ケーブル、銅線、光ファイバを含む。伝送媒体は、電波や赤外線データ通信中に生成されるものなどの、音響波または光波の形態をとってもよい。
【0056】
コンピュータシステム600は、バスに結合された通信インターフェース638も備える。通信インターフェース638は、例えば、ローカルネットワークに接続されたネットワークリンク(図示せず)に結合される双方向データ通信を提供する。別の実施例として、通信インターフェース638は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクもまた実装されてもよい。任意のこのような実装では、通信インターフェース638は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを運ぶ電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0057】
コンピュータシステム600は、ネットワーク、ネットワークリンク、および通信インターフェース638を通じて、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの実施例では、サーバは、インターネット、ISP、ローカルネットワーク、および通信インターフェース638を通じて、アプリケーションプログラムに要求されたコードを送信することができるであろう。受信されたコードは、それが受信されたときにプロセッサ630によって実行され、かつ/または記憶装置636、または後のための他の不揮発性記憶装置に記憶され得る。
【0058】
本明細書に開示される技術は、TEMなどの電子顕微鏡で実装されて、非散乱電子が試料を通過した後にそれらに位相変化を与えることによって画像コントラストを改善することができる。通過する電子に加えられた位相変化は、電子顕微鏡のコントラスト伝達関数を改善することによって、画像のコントラストを向上させる。開示された技術は、顕微鏡の回折面またはその共役に光学キャビティを配置することなどの、顕微鏡へのハードウェアの追加を介して実装することができる。いくつかの実施形態ではファブリペローキャビティであってもよい光空キャビティは、高強度の光エネルギーを受け取り、単一の光パルスまたは光学定在波のどちらかを形成する。単一波または定在波の波腹のいずれかのピーク強度は、通過する電子にプロンドロモティブ電位を与えて、位相変化を与える。ピーク強度に関連して電子がどこで通過するかに応じて、位相変化の量は、ピーク強度の位置で発生する最大の位相変化(例えば、位相の2π)とともに変化することができる。電子ビームを、光パルスに対してまたは光学ピークと一致する所望の位置で光パルスまたは定在波を通過するように方向付けることにより、通過する電子に所望の量の位相変化を与えることができる。いくつかの実施形態では、電子ビームを定在波または光学ピークの複数の異なる位置を通過させて、位相変化を変化させることができ、これにより、コントラスト伝達関数のゼロが低減または排除され得る。
【0059】
本明細書で開示される技法を実装するための例示的な装置は、電子ビームを試料に供給するために結合された少なくとも1つの電子源と、制御信号に応答して電子ビームを再配置するために結合された1つ以上の偏向器と、光を供給するために結合された光源と、高エネルギー光ビームである光ビームとを受け取るため、およびその内部に少なくとも1つの光学ピークを形成するために結合された光学キャビティであって、電子顕微鏡の回折面に配置された光学キャビティと、少なくとも1つ以上の偏向器に結合されたコントローラであって、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、1つ以上の偏向器によって、電子ビームを第1の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けさせるコードを含む、非一時的コンピュータ可読媒体を含むかまたはそれに結合されたコントローラと、を備え、この第1の位置が、光学ピークが電子ビームの電子に与える位相操作の量を決定する。
【0060】
装置のいくつかの実施形態では、第1の位置は、光学ピークのピーク強度位置である。
【0061】
装置のいくつかの実施形態では、第1の位置は、光学ピークのピーク強度よりも低い強度を有する位置である。
【0062】
装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、光パルスから形成される。
【0063】
装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、光学定在波の一部である。
【0064】
装置のいくつかの実施形態では、光源は、光学キャビティに連続波光ビームを供給して、光学定在波を形成する。
【0065】
装置のいくつかの実施形態では、光学キャビティは、略同心のファブリペローキャビティである。
【0066】
装置のいくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、電子ビームを第2の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けさせるコードを、さらに含み、光学ピークが第2の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量が、光学ピークが第1の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量と異なる。
【0067】
装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークが、光学定在波の一部であり、非一時的コンピュータ可読媒体が、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、電子ビームを第2の光学ピークを通して方向付けさせるコードを、さらに含み、第2の光学ピークが電子ビームの電子に与える位相操作の量は、光学ピークが少なくとも1つの光学ピークの第1の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量と異なる。
【0068】
装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、光学定在波の一部であり、非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、電子ビームを第1の位置と第2の位置との間で動的にラスタさせるコードを、さらに含み、第2の位置は、電子ビームの電子と光ビームとの間に相互作用がないように、少なくとも1つの光学ピークの外側にある。
【0069】
装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは光学定在波の一部であり、非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラによって実行されるとき、コントローラに電子ビームを光学定在波に沿って移動させて、電子ビームを光学定在波の複数のピークおよびトラフを通過させるコードを含み、電子ビームのスキャンに沿った異なる強度との相互作用は、異なる強度に基づいて位相操作の量を変化させる。
【0070】
開示された技術を実装する例示的な方法は、電子顕微鏡の回折面に少なくとも1つの光学ピークを形成することと、第1の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して電子ビームを方向付けることと、を、少なくとも含み、第1の位置は、光学ピークが電子ビームの電子に与える位相操作の量を決定する。
【0071】
方法のいくつかの実施形態では、第1の位置は、光学ピークのピーク強度位置である。
【0072】
方法のいくつかの実施形態では、第1の位置は、光学ピークのピーク強度よりも低い強度を有する位置である。
【0073】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、光パルスから形成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、方法は、電子顕微鏡の回折面に配置された光学キャビティに光パルスを供給することを、さらに含む。
【0075】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、光学定在波の一部である。
【0076】
いくつかの実施形態では、方法は、電子顕微鏡の回折面に配置された光学キャビティに連続波光ビームを供給して、光学定在波を形成することを、さらに含む。
【0077】
この方法のいくつかの実施形態では、光学キャビティはファブリペローキャビティである。
【0078】
方法のいくつかの実施形態では、ファブリペローキャビティは略同心である。
【0079】
いくつかの実施形態では、方法は、電子ビームを第2の位置で少なくとも1つの光学ピークを通して方向付けることを、さらに含み、第2の位置は、第1の位置と異なる。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法は、光学ピークが、第2の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量は、光学ピークが、第1の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量と異なる。
【0081】
方法のいくつかの実施形態では、光学ピークが、第2の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量は、光学ピークが、第1の位置で電子ビームの電子に与える位相操作の量と同じである。
【0082】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の位置と第2の位置との間で電子ビームを動的にラスタリングすることを、さらに含み、第2の位置は、電子ビームの電子と光ビームとの間に相互作用がないように少なくとも1つの光学ピークの外側にある。
【0083】
方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学ピークは、回折面で形成される光学定在波の一部であり、方法は、電子ビームを光学定在波に沿って移動させて、電子ビームを複数の光学定在波のピークおよびトラフを通過させることを、さらに含み、電子ビームのスキャンに沿った異なる強度との相互作用は、位相操作の量を、異なる強度に基づいて変化させる。
【0084】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低(lowest)」、「最良(best)」、「最小(minimum)」などと称される。そのような記載は、多くの使用された機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている(better)、小さい(smaller)、または他の点で望ましい(otherwise preferable)必要はないことが理解されよう。加えて、選択された値は、数値的または他の近似的手段によって得られてもよく、単に理論的に正しい/値に対する近似値であってもよい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6