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特許7313402半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及びエッチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及びエッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021107284
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005410
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川西 真登
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】中谷 公彦
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特許第7174016(JP,B2)
【文献】特開2021-82774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する工程と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する工程と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする工程と、
を有するエッチング方法。
【請求項2】
(a)では、前記第1ガスが分解する雰囲気下で、前記第1ガスを供給する請求項1記載のエッチング方法。
【請求項3】
(b)では、前記第2ガスが分解しない雰囲気下で、前記第2ガスを供給する請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
(d)(c)では、(b)の後に前記基板が配置される処理容器内をパージする工程をさらに有する請求項1から3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
(d)(c)では、(b)の後に前記基板が配置される処理容器内をパージする工程を有さない請求項1から3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
(a)と(b)の間でパージを行わない請求項1から5のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記第14族元素は、シリコンであり、
前記第1ガスは、シラン系ガス又はクロロシラン系ガスである
請求項1から6のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記第14族元素は、シリコンであり、
前記第1ガスは、クロロシラン系ガスである
請求項1から6のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記クロロシラン系ガスは、ジクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、四塩化ケイ素の少なくとも1つ以上を含むガスである請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記ハロゲンは、塩素である請求項1から9のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記第2ガスは、塩素ガス、塩化水素ガス、三塩化ホウ素ガス、四塩化ケイ素ガス、モノシランガスと塩素ガスの混合ガスの少なくとも1つ以上である請求項1から9のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記第14族元素を含む膜は、シリコンを主成分とする膜である請求項1から11のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記第14族元素を含む膜が形成された基板は、所定元素がドープされたシリコン膜と、所定元素がドープされていないシリコン膜が表面に形成された基板であり
(c)では、前記所定元素がドープされていないシリコン膜をエッチングする
請求項1から12のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記第14族元素を含む膜が形成された基板は、結晶性シリコン膜と、非結晶性シリコン膜が表面に形成された基板であり
(c)では、前記結晶性シリコン膜と、前記非結晶性シリコン膜との両方をエッチングする
請求項1から8のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記第14族元素を含む膜が形成された基板は、酸化膜と、非酸化膜が表面に形成された基板であり
(c)では、前記非酸化膜をエッチングする
請求項1から12のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記第14族元素を含む膜が形成された基板は、窒化膜と、非窒化膜が表面に形成された基板であり
(c)では、前記非窒化膜をエッチングする
請求項1から12のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項17】
(d)(c)の途中で、酸素含有ガスを供給する請求項1から16のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項18】
(a)第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応
により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する工程と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する工程と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスと、ハロゲンを含む第2ガスと、を供給するガス供給系と、
(a)前記基板に前記第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する処理と、
(b)(a)の後に前記基板に前記第2ガスを供給する処理と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする処理と、を行わせるように、前記ガス供給系を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項20】
(a)第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する手順と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する手順と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及びエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン層が露出した基板に対して、シラン系ガスを含む原料ガスと、塩素系もしくはフッ素系ガスと、水素系ガスとを順に複数回繰り返し供給して、シリコン層上に膜を成長させるようにすることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-183514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングの制御性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
(a)処理容器内に配置され、第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する工程と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する工程と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッチングの制御性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態における基板処理装置の縦型処理炉の概略を示す縦断面図である。
図2図1におけるA-A線概略横断面図である。
図3】本開示の一実施形態における基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】本開示の一実施形態における基板処理シーケンスを示す図である。
図5図5(A)~図5(D)は、図4に示す基板処理シーケンスにおける基板表面の状態を説明するための模式図である。
図6】本開示の一実施形態における基板処理シーケンスの変形例を示す図である。
図7】本開示の一実施形態における基板処理シーケンスの変形例を示す図である。
図8図8(A)及び図8(B)は、本開示の一実施形態における基板処理シーケンスの変形例を示す図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、本開示の他の実施形態における基板処理装置の処理炉の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1~5を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置10は、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207が設けられた処理炉202を備える。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に処理容器を構成するアウタチューブ203が配設されている。アウタチューブ203は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウタチューブ203の下方には、アウタチューブ203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)などの金属で構成され、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、アウタチューブ203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、アウタチューブ203は垂直に据え付けられた状態となる。
【0011】
アウタチューブ203の内側には、処理容器を構成するインナチューブ204が配設されている。インナチューブ204は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。主に、アウタチューブ203と、インナチューブ204と、マニホールド209とにより処理容器が構成されている。処理容器の筒中空部(インナチューブ204の内側)には処理室201が形成されている。
【0012】
処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。
【0013】
処理室201内には、ノズル410,420,430がマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430には、ガス供給管310,320,330が、それぞれ接続されている。ただし、本実施形態の処理炉202は上述の形態に限定されない。
【0014】
ガス供給管310,320,330には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322,332がそれぞれ設けられている。また、ガス供給管310,320,330には、開閉弁であるバルブ314,324,334がそれぞれ設けられている。ガス供給管320のバルブ324の下流側には、ガス供給管340が接続されている。ガス供給管340には、上流側から順に、MFC342、バルブ344が設けられている。ガス供給管310,320,330のバルブ314,324,334の下流側(ガス供給管320においては、さらにガス供給管340との合流部の下流側)には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,532及び開閉弁であるバルブ514,524,534がそれぞれ設けられている。
【0015】
ガス供給管310,320,330の先端部にはノズル410,420,430がそれぞれ連結接続されている。ノズル410,420,430は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430の垂直部は、インナチューブ204の径方向外向きに突出し、かつ鉛直方向に延在するように形成されているチャンネル形状(溝形状)の予備室201aの内部に設けられており、予備室201a内にてインナチューブ204の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって設けられている。
【0016】
ノズル410,420,430は、処理室201の下部領域から処理室201の上部領域まで延在するように設けられており、ウエハ200と対向する位置にそれぞれ複数のガス供給孔410a,420a,430aが設けられている。これにより、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aからそれぞれウエハ200に処理ガスを供給する。このガス供給孔410a,420a,430aは、インナチューブ204の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同一の開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420a,430aは上述の形態に限定されない。例えば、インナチューブ204の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420a,430aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0017】
ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられている。そのため、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内に供給された処理ガスは、ボート217の下部から上部までに収容されたウエハ200の全域に供給される。ノズル410,420,430は、処理室201の下部領域から上部領域まで延在するように設けられていればよいが、ボート217の天井付近まで延在するように設けられていることが好ましい。
【0018】
ガス供給管310からは、処理ガスとして、第14族元素を含む第1ガスが、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201内に供給される。
【0019】
ガス供給管320からは、処理ガスとして、ハロゲンを含むハロゲン含有ガスが、MFC322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201内に供給される。
【0020】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、酸素含有ガスが、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。
【0021】
ガス供給管340からは、処理ガスとして、水素含有ガスが、MFC342、バルブ344、ガス供給管320、ノズル420を介して処理室201内に供給される。
【0022】
本開示では、ノズル420を介して処理室201内に供給されるハロゲン含有ガスと水素含有ガスとの組み合わせによるガスを、第2ガスとして用いる。
【0023】
ガス供給管510,520,530からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N)ガスが、それぞれMFC512,522,532、バルブ514,524,534、ノズル410,420,430を介して処理室201内に供給される。以下、不活性ガスとしてNガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、Nガス以外に、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0024】
主に、ガス供給管310,320,330,340、MFC312,322,332,342、バルブ314,324,334,344、ノズル410,420,430により処理ガス供給系が構成されるが、ノズル410,420,430のみを処理ガス供給系と考えてもよい。処理ガス供給系は単にガス供給系と称してもよい。ガス供給管310から第1ガスを流す場合、主に、ガス供給管310、MFC312、バルブ314により第1ガス供給系が構成されるが、ノズル410を第1ガス供給系に含めて考えてもよい。また、第1ガス供給系を、第14族元素含有ガス供給系と称することもできる。また、ガス供給管320からハロゲン含有ガスと水素含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324によりハロゲン含有ガス供給系が、ガス供給管340、MFC342、バルブ344、ガス供給管320により水素含有ガス供給系が構成され、ハロゲン含有ガス供給系と水素含有ガス供給系とにより第2ガス供給系が構成されるが、ノズル420を第2ガス供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管330から酸素含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管330、MFC332、バルブ334により酸素含有ガス供給系が構成されるが、ノズル430を酸素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、ガス供給管510,520,530、MFC512,522,532、バルブ514,524,534により不活性ガス供給系が構成される。
【0025】
本開示におけるガス供給の方法は、インナチューブ204の内壁と、複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長の空間内の予備室201a内に配置したノズル410,420,430を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420,430のウエハと対向する位置に設けられた複数のガス供給孔410a,420a,430aからインナチューブ204内にガスを噴出させている。より詳細には、ノズル410のガス供給孔410a、ノズル420のガス供給孔420a、ノズル430のガス供給孔430aにより、ウエハ200の表面と平行方向に向かって処理ガス等を噴出させている。
【0026】
排気孔(排気口)204aは、インナチューブ204の側壁であってノズル410,420,430に対向した位置に形成された貫通孔であり、例えば、鉛直方向に細長く開設されたスリット状の貫通孔である。ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内に供給され、ウエハ200の表面上を流れたガスは、排気孔204aを介してインナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間で構成された排気路206内に流れる。そして、排気路206内へと流れたガスは、排気管231内に流れ、処理炉202外へと排出される。
【0027】
排気孔204aは、複数のウエハ200と対向する位置に設けられており、ガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向に向かって流れた後、排気孔204aを介して排気路206内へと流れる。排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。
【0028】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245、APC(Auto Pressure Controller)バルブ243、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気及び真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができる。主に、排気孔204a、排気路206、排気管231、APCバルブ243及び圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0029】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に鉛直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属で構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219における処理室201の反対側には、ウエハ200を収容するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、アウタチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入及び搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217及びボート217に収容されたウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送系)として構成されている。
【0030】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で鉛直方向に間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成される断熱板218が水平姿勢で多段(図示せず)に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。ただし、本実施形態は上述の形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料で構成される筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0031】
図2に示すように、インナチューブ204内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410,420,430と同様にL字型に構成されており、インナチューブ204の内壁に沿って設けられている。
【0032】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0033】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピなどが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピ及び制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0034】
I/Oポート121dは、上述のMFC312,322,332,342,512,522,532、バルブ314,324,334,344,514,524,534、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0035】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322,332,342,512,522,532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,344,514,524,534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作及びAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動及び停止、回転機構267によるボート217の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0036】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0037】
(2)基板処理工程
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、ウエハ200に形成されたシリコン(Si)等の第14族元素を含む第14族元素含有膜をエッチングする工程(エッチング方法)の一例について、図4及び図5(A)~図5(D)を用いて説明する。本工程は、上述した基板処理装置10の処理炉202を用いて実行される。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御可能に構成される。
【0038】
本開示による基板処理工程(半導体装置の製造工程)では、
(a)処理容器内に配置され、第14族元素を含む膜が形成されたウエハ200に、第14族元素を含む第1ガスを、ウエハ200に形成された膜に含まれる第14族元素との反応により生じる反応副生成物がウエハ200に飽和吸着するように供給する工程と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する工程と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、ウエハ200に形成された第14族元素を含む膜をエッチングする工程と、
を有する。
【0039】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体」を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面」を意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0040】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)され、処理容器内に配置される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してアウタチューブ203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0041】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0042】
(第1ガス(第14族元素含有ガス)供給、第1ステップ)
バルブ314を開き、ガス供給管310内に第1ガスを流す。第1ガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0043】
このとき、第1ガスを、ウエハ200に形成された第14族元素含有膜に含まれる第14族元素との反応により生じる反応副生成物がウエハ200上に飽和吸着するように供給する。ここで、本開示において、飽和とは、吸着可能なサイトが全部埋まってなくてもよく、実質的に飽和していればよい。つまり、生産性向上のため、完全に飽和していない状態であってもよく、言い換えると、反応が完全に収束していない状態であってもよい。また、ガス供給時間に対する反応量の特性が、ある供給時間よりも大きい領域において飽和的カーブを有するガス種と膜種の組み合わせにおいて、飽和的カーブ上の完全に飽和していない状態を用いる物も、本開示における飽和吸着と称しても良い。飽和的カーブ上の一つの供給時間であれば、本開示の少なくとも1つの効果を得ることができる。この様な飽和的カーブが得られる供給時間の領域で供給時間を設定する場合は、飽和吸着特性を利用した供給と呼ぶこともできる。
【0044】
またこのとき、ウエハ200に対して第1ガスが分解する雰囲気下で供給される。第1ガスが分解する雰囲気とは、ウエハ200の温度が、例えば350℃~500℃の範囲内の温度となるような温度である。具体的には、第1ガスとして例えばジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガスを用いた場合、350℃~500℃の範囲内の温度となるような温度である。
【0045】
すなわち、ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば350~500℃の範囲内の温度となるような温度に設定して行う。なお、本開示における「350~500℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「350~500℃」とは「350℃以上500℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0046】
また、このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば20~100Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御する第14族元素含有ガスの供給流量は、例えば0.1~1.0slmの範囲内の流量とする。第1ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば15~30秒の範囲内の時間とする。
【0047】
第1ガスとしては、例えば第14族元素であるシリコン(Si)を含むガスであり、クロロシラン系ガスである、DCSガスを用いることができる。
【0048】
具体的には、例えば第1ガスとしてDCSガスを用い、第14族元素含有膜としてSiを主成分とする膜であるSi膜を用いた場合、図5(A)に示すように、DCSガスの供給により、表面にSi膜が形成されたウエハ200(表面の下地膜)上に、DCSガスが分解された状態で吸着する。このとき、ウエハ200表面のSiと、DCSガスから分解されたClとが反応して反応副生成物であるSiClが生成される。また、生成されたSiClはウエハ200表面から解離するとともに、解離した分子は重合する。
【0049】
そして、図5(B)に示すように、解離したSiClや重合した分子が、ウエハ200上に再吸着する。この再吸着は吸着可能な吸着サイトが時間と共に減るため、吸着量は飽和していく。この様に飽和することを、セルフリミットがかかるとも呼ぶ。すなわち、ウエハ200表面に、SiCl、SiCl等のSiClが主成分のSiCl層(インヒビター層)が生成される。このSiCl層は、新たに供給されるDCSガスや新たに生成される解離したSiClや重合した分子の吸着を抑制する効果を有し、この効果をインヒビター効果と呼び、この様な層をインヒビター層と呼ぶ。ここで、未分解ガスでは、SiClの生成が生じ難く、インヒビター効果を得られ難い。即ち、未分解のガスでは、ガスの分子そのものの物理吸着が発生し、物理吸着量が増加し続け、飽和しない可能性や、未分解のガスとSi膜が反応して、エッチングが進み続け、エッチングが停止しない可能性がある。DCSガスを分解する雰囲気下で、ウエハ200上のSi膜に対して供給することにより、DCSガスに含まれるClと、ウエハ200上のSiとを反応させて、SiClの生成を促進させることができる。
【0050】
(第2ガス(ハロゲン含有ガスと水素含有ガス)供給、第2ステップ)
第1ガスの供給を開始してから所定時間経過後に、バルブ314を閉じて、第1ガスの処理室201内への供給を停止する。このときバルブ324,344を開き、ガス供給管320内に、ハロゲン含有ガスと水素含有ガスを同時に流す。つまり、第1ガスの供給後にパージガスを供給しないで第2ガスの供給を開始する。
【0051】
ハロゲン含有ガスと水素含有ガスは、それぞれMFC322,342により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、第2ガスが供給されることとなる。
【0052】
このとき、ウエハ200に対してハロゲン含有ガスと水素含有ガスの組み合わせである第2ガスが分解しない雰囲気下で供給される。第2ガスが分解しない雰囲気とは、ウエハ200の温度が、例えば350℃~500℃の範囲内の温度となるような温度である。具体的には、例えば第2ガスとしてClガスを用いた場合、350℃~500℃の範囲内の温度となるような温度である。
【0053】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば20~100Paの範囲内の圧力とする。MFC322で制御するハロゲン含有ガスの供給流量は、例えば0.01~0.10slmの範囲内の流量とする。MFC342で制御する水素含有ガスの供給流量は、例えば0.1~2.0slmの範囲内の流量とする。ハロゲン含有ガスと水素含有ガスを同時にウエハ200に対して供給する時間は、例えば2~5秒の範囲内の時間とする。
【0054】
このとき、ウエハに対してハロゲン含有ガスと水素含有ガスの混合ガスである第2ガスが供給されることとなる。
【0055】
第2ガスとしては、例えばハロゲン含有ガスである塩素(Cl)ガスと、水素含有ガスである水素(H)ガスを用いることができる。
【0056】
具体的には、例えば第2ガスとしてClガスとHガスを用いた場合、図5(C)に示すように、第2ガスの供給により、ウエハ200表面に生成されたSiCl層の一部が反応し、反応副生成物が生成される。すなわち、SiCl層に含まれるSiとClガスに含まれるClやHガスに含まれるHとが結合して、ウエハ200上のSi膜がエッチングされる。具体的には、ウエハ200上に吸着したSiやClやHの分子が第2ガスとしてのClガスやHガスと反応することにより、SiCl層からSiやClやHが解離され、表面のSi膜がエッチングされる。つまり、第2ガスを分解させないことにより、Clを、第1ステップにおいてウエハ200表面に生成されたSiCl層に供給することができ、SiCl層の除去効率を向上させることができる。これにより、Si膜のエッチング制御性を向上させることができる。
【0057】
ここで、第1ガス供給と第2ガス供給の間でパージを行った場合、Si膜表面に吸着したSiClが除去され、エッチング対象であるSi膜が露出し、層毎のエッチング特性が得られ難く、エッチングレートが下がる可能性がある。第1ガス供給と第2ガス供給の間でパージを行わないことにより、エッチング対象であるSi膜表面にSiClが覆われた状態に保たれ、層毎のエッチング効果がより得られやすくなる。すなわち、エッチングレートや、エッチングによる面内均一性を向上させることができる。
【0058】
(パージ、第3ステップ)
第2ガスの供給を開始してから所定時間経過後であって例えば1~30秒後にバルブ324,344を閉じ、第2ガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、ウエハ200上から残留ガスを除去して、処理室201内に残留する未反応の第2ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、バルブ514,524,534を開き、パージガスとしての不活性ガスを処理室201内へ供給し、処理容器内をパージする。不活性ガスはパージガスとして作用し、ウエハ200上から残留ガスを除去して、処理室201内に残留する未反応の第2ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を高めることができる。MFC512,522,532で制御する不活性ガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1~2.0slmとする。
【0059】
このように、パージを行うことにより、図5(D)に示すように、エッチングにより生じた反応副生成物を除去することができる。また、サイクル処理を行う場合に、パージを行うことにより、第2ガスと、反応副生成物と、第1ガスとの反応を抑制することができる。また、第2ガスと、反応副生成物と、第1ガスとの反応により第1ガス供給時のセルフリミット効果が薄れてしまうのを抑制することができる。すなわち、パージを行うことにより、第1ガス供給時のセルフリミット効果を向上させることができる。
【0060】
(所定回数実施)
上述した第1ステップ~第3ステップを順に行うサイクルを所定回数(N回)、1回以上実行することにより、ウエハ200に形成された第14族元素を含む膜がエッチングされる。すなわち、第1ステップ~第3ステップを交互に繰り返し行うことにより、ウエハ200に形成された第14族元素を含む膜をエッチングすることができる。
【0061】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510~530のそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。不活性ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0062】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、アウタチューブ203の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態でアウタチューブ203の下端からアウタチューブ203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0063】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を得ることができる。
(a)第14族元素を含む膜のエッチングの制御性を向上させることができる。
(b)第14族元素を含む膜の微細加工を行うことができる。
【0064】
(4)他の実施形態
以上、本開示の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0065】
(変形例1)
図6は、本開示の一実施形態における基板処理シーケンスの変形例を示す。
本変形例では、上述した第1ステップと第2ステップを順に行うサイクルを所定回数(N回)、1回以上実行することにより、ウエハ200に形成された第14族元素含有膜をエッチングする。すなわち、上述した第3ステップのパージを行わない。この場合であっても、第14族元素を含む膜をエッチングすることができる。
【0066】
(変形例2)
図7は、本開示の一実施形態における基板処理シーケンスの変形例を示す。
本変形例では、上述した第1ステップ~第3ステップを順に行うサイクルを所定回数(N回)行った後に、酸素含有ガス供給系から酸素含有ガスを供給する。そして、不活性ガス(パージガス)を供給した後、第1ステップ~第3ステップを順に行うサイクルを所定回数(M回)行う。すなわち、上述した第1ステップ~第3ステップを繰り返し行う途中で、酸素含有ガスを供給して、表面を酸化させる。これにより、エッチングの途中でウエハ200表面が酸化され、過剰なエッチングを抑制することができる。また、エッチング量(エッチング膜厚)を調整することができ、エッチングの制御性を高めることができる。
【0067】
酸素含有ガスとして、酸素(O)ガス、オゾン(O)ガス、水蒸気(HO)等を用いることができる。
【0068】
(変形例3)
図8(A)及び図8(B)は、本開示の一実施形態における基板処理シーケンスの変形例を示す。
本変形例では、図8(A)に示すように、上述した第1ステップにおける第1ガスとして、第14族元素含有ガスに加えて水素含有ガスを供給する。すなわち、上述した第1ステップにおける第14族元素含有ガス供給と並行して、水素含有ガスを供給する。そして、第2ステップにおける第2ガスとしてハロゲン含有ガスを供給する。すなわち、第2ステップでは、水素含有ガスを供給しない。
【0069】
また、図8(B)に示すように、上述した第1ステップと第2ステップの両方において、それぞれのガスに加えて水素含有ガスを供給するようにしてもよい。すなわち、第1ステップにおける第14族元素含有ガス供給と、第2ステップにおけるハロゲン含有ガス供給と、それぞれ並行して水素含有ガスを供給するようにしてもよい。
【0070】
すなわち、第1ステップと、第2ステップのいずれか又は両方で、それぞれのガスの供給に加えて水素含有ガスを供給する。これにより、反応副生成物を除去しながら、各工程を行うことができ、処理品質を向上させつつ、エッチングの制御性を高めることができる。
【0071】
水素含有ガスとして、水素(H)ガスや、活性化した水素ガス等を用いることができる。
【0072】
(変形例4)
次に、エッチング対象である第14族元素を含む膜を、所定元素であるリン(P)がドープされたドープSi膜と、PがドープされていないノンドープSi膜とし、ドープSi膜とノンドープSi膜が表面に形成されたウエハ200に対して、上述した第1ステップ~第3ステップを行った場合の、上述したエッチングの効果について説明する。
【0073】
先ず、第1ステップにおける第1ガスの供給により、ドープSi膜上とノンドープSi膜上では、上述した第1ステップにおける図5(A)及び図5(B)に示すような同じ反応が生じる。
【0074】
そして、第2ステップにおける第2ガスの供給により、ノンドープSi膜上と比較してドープSi膜上では反応が抑制され、ノンドープSi膜上では、上述した第2ステップにおける図5(C)に示すような反応が生じ、エッチングされる。
【0075】
すなわち、上述した第1ステップ~第3ステップを行うことにより、ノンドープSi膜を選択的にエッチングすることが可能となる。
【0076】
(変形例5)
次に、エッチング対象である第14族元素を含む膜を、単結晶Si膜又は多結晶Si膜である結晶性Si膜と、アモルファスSi膜である非結晶性Si膜とし、結晶性Si膜と非結晶性Si膜が表面に形成されたウエハ200に対して、上述した第1ステップ~第3ステップを行った場合の、上述したエッチングの効果について説明する。
【0077】
通常は、結晶性Si膜と比較して非結晶性Si膜の方がエッチングし易い。つまり、結晶性Si膜のエッチングレートに合わせてエッチングを行った場合に、非結晶性Si膜が所定の膜厚よりも多くエッチングされてしまい、オーバーエッチングしてしまうことがある。これは、結晶の粒界や、原子の配列によりエッチングレートが異なるためであると考えられる。
【0078】
上述した第1ステップ~第3ステップを行うことにより、結晶性Si膜と、非結晶性Si膜との両方がエッチングされる。これは、インヒビター効果により、第1ガスによるエッチングが自己停止(飽和停止)するため、結晶性によるエッチングレートの差を受け難いためであると考えられる。すなわち、本開示によれば、結晶性Si膜と非結晶性Si膜とのエッチングレートの差を低減することができ、オーバーエッチングを抑制することができる。
【0079】
(変形例6)
次に、エッチング対象である第14族元素を含む膜を、酸化膜であるシリコン酸化(SiO)膜と、非酸化膜であるSi膜とし、SiO膜とSi膜が表面に形成されたウエハ200に対して、上述した第1ステップ~第3ステップを行った場合の、上述したエッチングの効果について説明する。
【0080】
上述した第1ステップ~第3ステップを行うことにより、非酸化膜であるSi膜がエッチングされる。すなわち、非酸化膜を選択的にエッチングすることが可能となる。ここで、非酸化膜として、Si膜の他、PがドープされたドープSi膜や、シリコン窒化(SiN)膜等を用いることができる。
【0081】
(変形例7)
次に、エッチング対象である第14族元素を含む膜を、窒化膜であるSiN膜と、非窒化膜であるSi膜とし、SiN膜とSi膜が表面に形成されたウエハ200に対して、上述した第1ステップ~第3ステップを行った場合の、上述したエッチングの効果について説明する。
【0082】
上述した第1ステップ~第3ステップを行うことにより、非窒化膜であるSi膜がエッチングされる。すなわち、非窒化膜を選択的にエッチングすることが可能となる。
【0083】
(変形例8)
次に、エッチング対象である第14族元素を含む膜を、非酸化膜であるSi膜とし、酸化膜であるSiO膜の上に非酸化膜であるSi膜が形成された積層膜が形成されたウエハ200に対して、上述した第1ステップ~第3ステップを行った場合の、上述したエッチングの効果について説明する。
【0084】
上述した第1ステップ~第3ステップを行うことにより、非酸化膜であるSi膜がエッチングされる。すなわち、酸化膜であるSiO膜がエッチングストッパとなり、非酸化膜を選択的にエッチングすることが可能となる。
【0085】
なお、上記実施形態では、第1ガス供給と第2ガス供給の間でパージを行わない場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、第1ガス供給と第2ガス供給の間でパージを行っても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、第14族元素を含む膜であるSiを主成分とするSi含有膜として、Si膜を用いる場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、Si含有膜として、単結晶Si膜、多結晶Si膜、アモルファスSi膜、SiN膜、ドープSi膜、ノンドープSi膜等を用いることができる。
【0087】
ドープSi膜として、ドーパントとしてのリン(P)がドープされたSi膜や、ドーパントとしてのホウ素(B)がドープされたSi膜を用いることができる。
【0088】
また、上記実施形態では、第14族元素を含む膜として、例えばゲルマニウム(Ge)等の他の第14族元素を含む膜を用いる場合にも、好適に適用できる。
【0089】
また、上記実施形態では、第1ガスとしての第14族元素を含むガスとして、例えばシリコン(Si)を含むDCSガスを用いる場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、ゲルマニウム(Ge)等の他の第14族元素を含むガスを用いる場合にも、好適に適用できる。
【0090】
具体的には、第1ガスとしては、例えば、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガスや、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスや、四塩化ケイ素(SiCl)ガスの少なくとも1つ以上を含むガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。また、モノシラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス、トリシラン(Si)ガス等のシラン系ガスを用いることができる。好ましくは、飽和反応が生じやすいSiとClを含むクロロシラン系ガスが用いられる。また、シラン系ガスの場合には、サイクル供給することにより、クロロシラン系ガスと同様の効果が得られる。即ち、Xサイクル目で供給した第2ガスのハロゲン種が、X+1サイクル目以降まで残留することにより、同種の効果を得ることができる。ここで、Xは整数である。
【0091】
また、Geを含む第1ガスとしては、例えば、クロロゲルマン(GeHCl)ガスや、ヘキサクロロジゲルマン(GeCl、別名ジゲルマニウムヘキサクロリド)ガスや、四塩化ゲルマニウム(GeCl)ガスの少なくとも1つ以上を含むガス等のクロロゲルマン系ガスを用いることができる。また、モノゲルマン(GeH)ガス、ジゲルマン(Ge)ガス、トリゲルマン(Ge)ガス等のゲルマン系ガスを用いることができる。好ましくは、飽和反応が生じやすいGeとClを含むクロロゲルマン系ガスが用いられる。また、ゲルマン系ガスの場合には、サイクル供給することにより、クロロゲルマン系ガスと同様の効果が得られる。即ち、Xサイクル目で供給した第2ガスのハロゲン種が、X+1サイクル目以降まで残留することにより、同種の効果を得ることができる。ここで、Xは整数である。
【0092】
また、第2ガスとしては、例えば、ハロゲン含有ガスであり、塩素を含むガスである塩素(Cl)ガスや、塩化水素(HCl)ガス、三塩化ホウ素(BCl)ガス、四塩化ケイ素(SiCl)ガス、モノシラン(SiH)ガスとClガスの混合ガスの、これらの少なくとも1つ以上と水素含有ガスとの組み合わせを用いることができる。また、水素含有ガスとしては、Hガス等を用いることができる。
【0093】
また、第2ガスとして、例えば、塩素(Cl)ガスや、塩化水素(HCl)ガス、三塩化ホウ素(BCl)ガス、四塩化ケイ素(SiCl)ガス、モノシラン(SiH)ガスとClガスの混合ガスの、これらの少なくとも1つ以上と、フッ素(F)系ガス又は臭素(Br)系ガスとの組み合わせを用いることができる。
【0094】
また、第2ガスとして、塩素を含むCl系ガスを用いることにより、エッチングの選択性を向上させることができるが、F系ガスやBr系ガスを用いた場合であっても同様の効果が得られる。
【0095】
また、第2ガスとして、四塩化ケイ素(SiCl)ガス、モノシラン(SiH)ガスを、四塩化ゲルマニウム(GeCl)ガス、モノゲルマン(GeH)の様なガスに置き換えて用いても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、ハロゲン含有ガスと水素含有ガスを、同じノズル420を介して処理室201内に供給する例について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、別のノズルから供給するようにしても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本開示はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0098】
例えば、図9(A)に示す処理炉302を備えた基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、本開示は好適に適用できる。処理炉302は、処理室301を形成する処理容器303と、処理室301内にガスをシャワー状に供給するシャワーヘッド303sと、1枚または数枚のウエハ200を水平姿勢で支持する支持台317と、支持台317を下方から支持する回転軸355と、支持台317に設けられたヒータ307と、を備えている。シャワーヘッド303sのインレット(ガス導入口)には、上述の第1ガスを供給するガス供給ポート304aと、上述の第2ガスを供給するガス供給ポート304bと、上述の第3ガスを供給するガス供給ポート304cが接続されている。ガス供給ポート304aには、上述の実施形態の第1ガス供給系と同様の第1ガス供給系が接続されている。ガス供給ポート304bには、上述の実施形態の第2ガス供給系と同様の第2ガス供給系が接続されている。ガス供給ポート304cには、上述の酸素含有ガス供給系と同様の酸素含有ガス供給系が接続されている。シャワーヘッド303sのアウトレット(ガス排出口)には、処理室301内にガスをシャワー状に供給するガス分散板が設けられている。処理容器303には、処理室301内を排気する排気ポート331が設けられている。排気ポート331には、上述の実施形態の排気系と同様の排気系が接続されている。
【0099】
また例えば、図9(B)に示す処理炉402を備えた基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、本開示は好適に適用できる。処理炉402は、処理室401を形成する処理容器403と、1枚または数枚のウエハ200を水平姿勢で支持する支持台417と、支持台417を下方から支持する回転軸455と、処理容器403のウエハ200に向けて光照射を行うランプヒータ407と、ランプヒータ407の光を透過させる石英窓403wと、を備えている。処理容器403には、上述の第1ガスを供給するガス供給ポート432aと、上述の第2ガスを供給するガス供給ポート432bと、上述の酸素含有ガスを供給するガス供給ポート432cが接続されている。ガス供給ポート432aには、上述の実施形態の第1ガス供給系と同様の第1ガス供給系が接続されている。ガス供給ポート432bには、上述の実施形態の第2ガス供給系と同様の第2ガス供給系が接続されている。ガス供給ポート432cには、上述の実施形態の酸素含有ガス供給系と同様の酸素含有ガス供給系が接続されている。処理容器403には、処理室401内を排気する排気ポート431が設けられている。排気ポート431には、上述の実施形態の排気系と同様の排気系が接続されている。
【0100】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様なシーケンス、処理条件にてエッチングを行うことができる。
【0101】
これらの基板処理に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(エッチングする薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よくエッチングすることができるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0102】
また、本開示は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本開示に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本開示に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【0103】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0104】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0105】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
(a)処理容器内に配置され、第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する工程と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する工程と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0106】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
(a)では、前記第1ガスが分解する雰囲気下で、前記第1ガスを供給する。
【0107】
(付記3)
付記1又は2に記載の方法であって、
(b)では、前記第2ガスが分解しない雰囲気下で、前記第2ガスを供給する。
【0108】
(付記4)
付記1から3のいずれか記載の方法であって、
(d)(c)では、(b)の後に前記処理容器内をパージする工程をさらに有する。
【0109】
(付記5)
付記1から3のいずれか記載の方法であって、
(d)(c)では、(b)の後に前記処理容器内をパージする工程を有さない。
【0110】
(付記6)
付記1から5のいずれか記載の方法であって、
(a)と(b)の間でパージを行わない。
【0111】
(付記7)
付記1から6のいずれか記載の方法であって、
前記第14族元素は、シリコンであり、
前記第1ガスは、シラン系ガス又はクロロシラン系ガスである。
【0112】
(付記8)
付記1から6のいずれか記載の方法であって、
前記第14族元素は、シリコンであり、
前記第1ガスは、クロロシラン系ガスである。
【0113】
(付記9)
付記8に記載の方法であって、
前記クロロシラン系ガスは、ジクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、四塩化ケイ素の少なくとも1つ以上を含むガスである。
【0114】
(付記10)
付記1から9のいずれか記載の方法であって、
前記ハロゲンは、塩素を含むガスである。
【0115】
(付記11)
付記10に記載の方法であって、
前記第2ガスは、塩素ガス、塩化水素ガス、三塩化ホウ素ガス、四塩化ケイ素ガス、モノシランガスと塩素ガスの混合ガスの少なくとも1つ以上である。
【0116】
(付記12)
付記1から11のいずれか記載の方法であって、
前記第14族元素を含む膜は、シリコンを主成分とする膜である。
【0117】
(付記13)
付記1から12のいずれか記載の方法であって、
前記基板の表面には、所定元素がドープされたシリコン膜と、所定元素がドープされていないシリコン膜が形成され、
(c)では、前記所定元素がドープされていないシリコン膜をエッチングする。
【0118】
(付記14)
付記1から8のいずれか記載の方法であって、
前記基板の表面には、結晶性シリコン膜と、非結晶性シリコン膜が形成され、
(c)では、前記結晶性シリコン膜と、前記非結晶性シリコン膜との両方をエッチングする。
【0119】
(付記15)
付記1から14のいずれか記載の方法であって、
前記基板の表面には、酸化膜と、非酸化膜が形成され、
(c)では、前記非酸化膜をエッチングする。
【0120】
(付記16)
付記1から15のいずれか記載の方法であって、
前記基板の表面には、窒化膜と、非窒化膜が形成され、
(c)では、前記非窒化膜をエッチングする。
【0121】
(付記17)
付記1から16のいずれか記載の方法であって、
(d)(c)の途中で、酸素含有ガスを供給する。
【0122】
(付記18)
本開示の他の態様によれば、
処理容器内の第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスと、ハロゲンを含む第2ガスと、を供給するガス供給系と、
(a)前記基板に前記第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する処理と、
(b)(a)の後に前記基板に前記第2ガスを供給する処理と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする処理と、を行わせるように、前記ガス供給系を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0123】
(付記19)
本開示のさらに他の態様によれば、
(a)基板処理装置の処理容器内に配置され、第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する手順と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する手順と、
(c)(a)と(b)を交互に繰り返し行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【0124】
(付記20)
本開示のさらに他の態様によれば、
(a)処理容器内に配置され、第14族元素を含む膜が形成された基板に、前記第14族元素を含む第1ガスを、前記基板に形成された膜に含まれる前記第14族元素との反応により生じる反応副生成物が前記基板に飽和吸着するように供給する工程と、
(b)(a)の後にハロゲンを含む第2ガスを供給する工程と、を有し、
(a)と(b)をこの順序で所定回数行うことにより、前記基板に形成された前記第14族元素を含む膜をエッチングする
エッチング方法が提供される。
【符号の説明】
【0125】
10 基板処理装置
121 コントローラ
200 ウエハ(基板)
201 処理室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9