(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】成膜装置、成膜方法及び蒸発源ユニット
(51)【国際特許分類】
C23C 14/52 20060101AFI20230718BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C23C14/52
C23C14/24 U
(21)【出願番号】P 2021109399
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】風間 良秋
(72)【発明者】
【氏名】山田 美悠
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/132794(WO,A1)
【文献】実開昭56-160964(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0174865(US,A1)
【文献】特開平09-176839(JP,A)
【文献】特開2012-146658(JP,A)
【文献】特開2017-008409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/52
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する成膜ユニットを備えた成膜装置であって、
前記成膜ユニットは、
それぞれが加熱手段と独立した材料容器とを有し、蒸着物質を放出する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、前記移動方向に交差する第1の方向に配列された第1の蒸発源及び第2の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に配列された第1の監視手段及び第2の監視手段を含み、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離よりも長く、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離よりも長く、
前記成膜ユニットは、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段への蒸着物質の飛散を抑制する抑制板を含み、
前記抑制板は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第2の蒸発源との間に配置され、
前記抑制板には、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段への蒸着物質の飛散を許容する許容部が形成され、
前記第1の監視手段は前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第2の監視手段は前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する成膜ユニットを備えた成膜装置であって、
前記成膜ユニットは、
それぞれが加熱手段と独立した材料容器とを有し、蒸着物質を放出する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、前記移動方向に交差する第1の方向に配列された第1の蒸発源及び第2の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に配列された第1の監視手段及び第2の監視手段を含み、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離よりも長く、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離よりも長く、
前記成膜ユニットは、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段への蒸着物質の飛散を抑制する抑制板を含み、
前記抑制板は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第2の蒸発源との間に配置され、
前記抑制板には、前記第2の蒸発源の蒸着物質の放出部と、前記第2の監視手段の蒸着物質の付着部とを結ぶ仮想直線が通過する位置を含む領域に開口が形成され、
前記第1の監視手段は前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第2の監視手段は前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の成膜装置であって、
前記抑制板の前記開口の周囲には、前記仮想直線を囲む筒形状部が設けられる、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項4】
請求項1
から3までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記第2の方向は前記移動方向である、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
請求項1から
4までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記複数の蒸発源は、蒸着物質を放出する第3の蒸発源を含み、
前記第2の蒸発源は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第3の蒸発源との間に配置され、
前記第2の蒸発源の成膜レートは、前記第1の蒸発源及び前記第3の蒸発源の成膜レートよりも小さい、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
請求項1から
4までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記複数の蒸発源は、蒸着物質を放出する第3の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第3の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第3の監視手段を含み、
前記第2の蒸発源は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第3の蒸発源との間に配置され、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源が設けられる側であって前記第1の蒸発源よりも外側に配置され、
前記第3の監視手段は、前記第1の方向において、前記第3の蒸発源が設けられる側であって前記第3の蒸発源よりも外側に配置される、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
請求項1から
6までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記複数の蒸発源は、前記第1の蒸発源及び前記第2の蒸発源から前記移動方向に離間して設けられ、前記第1の方向に配列された第4の蒸発源及び第5の蒸発源を含む、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の成膜装置であって、
前記複数の監視手段は、前記第2の方向に配列された第4の監視手段及び第5の監視手段を含み、
第4の監視手段は前記第4の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
第5の監視手段は前記第5の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記第1の方向において、前記複数の蒸発源の外側の一方に設けられ、
前記第4の監視手段及び前記第5の監視手段は、前記第1の方向において、前記複数の蒸発源の外側の他方に設けられる、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項9】
請求項
7から
8までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記第1の蒸発源及び前記第2の蒸発源は、それぞれ、第1の蒸着物質を放出し、
前記第4の蒸発源及び前記第5の蒸発源は、それぞれ、前記第1の蒸着物質とは異なる種類の第2の蒸着物質を放出する、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
請求項
7から
9までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記第1の蒸発源及び前記第2の蒸発源と、前記第4の蒸発源及び前記第5の蒸発源とはそれぞれ、基板に蒸着する蒸着物質の、前記移動方向のばらつきが抑制されるように、蒸着物質の放出方向が傾けられて配置される、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項11】
請求項
7から
9までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記第1の蒸発源及び前記第2の蒸発源は、蒸着物質の放出方向が前記移動方向において前記第4の蒸発源及び前記第5の蒸発源の方に向かって傾斜するように配置され、
前記第4の蒸発源及び前記第5の蒸発源は、蒸着物質の放出方向が前記移動方向において前記第1の蒸発源及び前記第2の蒸発源の方に向かって傾斜するように配置される、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項12】
請求項
7から
11までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
前記第1の蒸発源及び前記第2の蒸発源と、前記第4の蒸発源及び前記第5の蒸発源とは、蒸着物質が放出される放出部の高さが異なる、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項13】
請求項1から
12までのいずれか1項に記載の成膜装置であって、
基板を支持する基板支持手段と、
前記成膜ユニットを前記移動方向に移動させる移動手段と、を更に備える、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項14】
請求項1から
13までのいずれか1項に記載の成膜装置を用いて基板に成膜する工程を備える、
ことを特徴とする成膜方法。
【請求項15】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜するための蒸発源ユニットであって、
それぞれが加熱手段と独立した材料容器とを有し、蒸着物質を放出する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を備え、
前記複数の蒸発源は、前記移動方向に交差する第1の方向に配列された第1の蒸発源及び第2の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に配列された第1の監視手段及び第2の監視手段を含み、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離よりも長く、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離よりも長く、
前記蒸発源ユニットは、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段への蒸着物質の飛散を抑制する抑制板を含み、
前記抑制板は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第2の蒸発源との間に配置され、
前記抑制板には、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段への蒸着物質の飛散を許容する許容部が形成され、
前記第1の監視手段は前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第2の監視手段は前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【請求項16】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜するための蒸発源ユニットであって、
それぞれが加熱手段と独立した材料容器とを有し、蒸着物質を放出する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を備え、
前記複数の蒸発源は、前記移動方向に交差する第1の方向に配列された第1の蒸発源及び第2の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に配列された第1の監視手段及び第2の監視手段を含み、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離よりも長く、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離よりも長く、
前記蒸発源ユニットは、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段への蒸着物質の飛散を抑制する抑制板を含み、
前記抑制板は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第2の蒸発源との間に配置され、
前記抑制板には、前記第2の蒸発源の蒸着物質の放出部と、前記第2の監視手段の蒸着物質の付着部とを結ぶ仮想直線が通過する位置を含む領域に開口が形成され、
前記第1の監視手段は前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第2の監視手段は前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、成膜方法及び蒸発源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の製造においては、蒸発源から放出された蒸着物質が基板に付着することで基板に薄膜が形成される。特許文献1には、複数の蒸発源を用いて成膜を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の蒸発源を用いて成膜を行う場合、各蒸発源に対して蒸着物質の放出状態を監視する成膜レートモニタ等の監視装置がそれぞれ設けられることがある。これは、成膜装置の大型化を招く場合がある。
【0005】
本発明は、成膜装置の大型化を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する成膜ユニットを備えた成膜装置であって、
前記成膜ユニットは、
それぞれが加熱手段と独立した材料容器とを有し、蒸着物質を放出する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、前記移動方向に交差する第1の方向に配列された第1の蒸発源及び第2の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に配列された第1の監視手段及び第2の監視手段を含み、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第1の監視手段までの距離よりも長く、
前記第1の方向において、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離は、前記第1の蒸発源から前記第2の監視手段までの距離よりも長く、
前記成膜ユニットは、前記第2の蒸発源から前記第1の監視手段への蒸着物質の飛散を抑制する抑制板を含み、
前記抑制板は、前記第1の方向において、前記第1の蒸発源と前記第2の蒸発源との間に配置され、
前記抑制板には、前記第2の蒸発源から前記第2の監視手段への蒸着物質の飛散を許容する許容部が形成され、
前記第1の監視手段は前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第2の監視手段は前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する、
ことを特徴とする成膜装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、成膜装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す平面図。
【
図2】
図1の成膜装置の構成を模式的に示す正面図。
【
図6】一実施形態に係る成膜ユニットの構成を模式的に示す平面図。
【
図7】(A)及び(B)は、
図6のI-I線断面図であって成膜ユニットによる成膜動作を説明する図
【
図11】(A)は有機EL表示装置の全体図、(B)は1画素の断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
<成膜装置の概要>
図1は、一実施形態に係る成膜装置1の構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1の成膜装置1の構成を模式的に示す正面図である。なお、各図において矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは垂直方向(鉛直方向)を示す。
【0011】
成膜装置1は、基板に対して蒸発源を移動させながら蒸着を行う成膜装置である。成膜装置1は、例えばスマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられ、複数台並んで配置されてその製造ラインを構成する。成膜装置1で蒸着が行われる基板の材質としては、ガラス、樹脂、金属等を適宜選択可能であり、ガラス上にポリイミド等の樹脂層が形成されたものが好適に用いられる。蒸着物質としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などが用いられる。成膜装置1は、例えば表示装置(フラットパネルディスプレイなど)や薄膜太陽電池、有機光電変換素子(有機薄膜撮像素子)等の電子デバイスや、光学部材等を製造する製造装置に適用可能であり、特に、有機ELパネルを製造する製造装置に適用可能である。また、本実施形態では成膜装置1はG8Hサイズのガラス基板(1100mm×2500mm、1250mm×2200mm)に対して成膜を行うが、成膜装置1が成膜を行う基板のサイズは適宜設定可能である。
【0012】
成膜装置1は、成膜ユニット10(蒸発源ユニット)と、移動ユニット20と、複数の支持ユニット30A及び30B(以下、これらを総称する場合は支持ユニット30と表し、これらの構成要素等についても同様とする)と、を備える。成膜ユニット10、移動ユニット20及び支持ユニット30は、使用時に真空に維持されるチャンバ45の内部に配置される。本実施形態では、複数の支持ユニット30A及び30Bがチャンバ45内の上部にY方向に離間して設けられており、その下方に成膜ユニット10及び移動ユニット20が設けられている。また、チャンバ45には、基板100の搬入、搬出を行うための複数の基板搬入口44A及び44Bが設けられている。なお、本実施形態において「真空」とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態、換言すれば減圧状態をいう。
【0013】
また、成膜装置1は、成膜ユニット10に電力を供給する電源41と、成膜ユニット10及び電源41を電気的に接続する電気接続部42を含む。電気接続部42は水平方向に可動のアームの内部を電気配線が通って構成されており、後述するようにXY方向に移動する成膜ユニット10に対して電源41からの電力が供給可能となっている。
【0014】
また、成膜装置1は、各構成要素の動作を制御する制御部43を含む。例えば、制御部43は、CPUに代表されるプロセッサ、RAM、ROM等のメモリ及び各種インタフェースを含んで構成され得る。例えば、制御部43は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することで、成膜装置1による各種の処理を実現する。
【0015】
<支持ユニット>
支持ユニット30は、基板100及びマスク101を支持するとともに、これらの位置調整を行う。支持ユニット30は、基板支持部32と、位置調整部34と、マスク支持部36とを含む。
【0016】
基板支持部32は、基板100を支持する。本実施形態では、基板支持部32は、基板100の長手方向がX方向、基板100の短手方向がY方向となるように基板100を支持する。例えば、基板支持部32は、基板100の縁を複数箇所で挟持すること等によって基板100を支持してもよいし、静電チャック等によって基板100を吸着することで基板100を支持してもよい。
【0017】
位置調整部34は、基板100とマスク101との位置関係を調整する。本実施形態では、位置調整部34は、基板100を支持した状態の基板支持部32を移動させることにより、基板100とマスク101との位置関係を調整する。しかしながら、マスク101を移動させることで基板100とマスク101の位置関係を調整してもよい。位置調整部34は、チャンバ45に固定された固定部341と、基板支持部32を支持し、固定部341に対して移動する可動部342とを含む。可動部342は、固定部341に対してX方向に移動することで、基板支持部32に支持された基板100をX方向に移動させ、基板100とマスク101のX方向の大まかな位置関係を調整する。さらに、可動部342は、基板100とマスク101の精密な位置調整(アライメント)を行うために、支持している基板支持部32をXY方向に移動させる機構を含む。アライメントの具体的な方法については公知の技術を採用可能なため詳細な説明は省略する。また、可動部342は、基板支持部32をZ方向に移動させ、基板100とマスク101のZ方向の位置関係を調整する。可動部342には、ラック・アンド・ピニオン機構やボールねじ機構等、公知の技術を適宜適用可能である。
【0018】
マスク支持部36は、マスク101を支持する。本実施形態では、マスク支持部36は、チャンバ45内においてマスク101がX方向の中央に位置するように、マスク101を支持する。例えば、マスク支持部36は、マスク101の縁を複数箇所で挟持すること等によってマスク101を支持してもよい。
【0019】
本実施形態の成膜装置1は、複数の支持ユニット30A及び30Bにより、複数の基板100A及び100Bを支持することができる、いわゆるデュアルステージの成膜装置1である。例えば、支持ユニット30Aに支持された基板100Aに対して蒸着が行われている間に、支持ユニット30Bに支持された基板100及びマスク101のアライメントを行うことができ、成膜プロセスを効率的に実行することができる。以下、支持ユニット30A側のステージをステージA、支持ユニット30B側のステージをステージBと表記することがある。
【0020】
また、本実施形態では、成膜時には、支持ユニット30により基板100の略半分がマスク101に重ね合わされた状態となる。そのため、成膜時に基板100のマスク101と重ね合わされていない部分に蒸着物質が付着することを抑制するための不図示の抑制板が、チャンバ45の内部に適宜設けられる。
【0021】
<移動ユニット>
移動ユニット20は、成膜ユニット10をX方向に移動させるX方向移動部22と、成膜ユニット10をY方向に移動させるY方向移動部24とを含む。
【0022】
X方向移動部22は、成膜ユニット10に設けられる構成要素として、モータ221と、モータ221により回転する軸部材に取り付けられたピニオン222と、ガイド部材223とを含む。また、X方向移動部22は、成膜ユニット10を支持する枠部材224と、枠部材224の上面に形成され、ピニオン222と噛み合うラック225と、ガイド部材223が摺動するガイドレール226とを含む。成膜装置10は、モータ221の駆動により回転するピニオン222がラック225と噛み合うことで、ガイドレール226に沿ってX方向に移動する。
【0023】
Y方向移動部24は、Y方向に延び、X方向に離間する2つの支持部材241A及び241Bを含む。2つの支持部材241A及び241Bは、X方向移動部22の枠部材224の短辺を支持している。Y方向移動部24は、不図示のモータ及びラック・アンド・ピニオン機構等の駆動機構を含み、2つの支持部材241A及び241Bに対して枠部材224をY方向に移動させることにより、成膜ユニット10をY方向に移動させる。Y方向移動部24は、成膜ユニット10を、支持ユニット30Aに支持された基板100Aの下方の位置と、支持ユニット30Bに支持された基板100Bの下方の位置との間でY方向に移動させる。
【0024】
<成膜ユニット>
図3は、成膜ユニット10の構成を模式的に示す斜視図である。成膜ユニット10は、複数の蒸発源12a~12f(以下、これらを総称する場合は蒸発源12と表し、これらの構成要素等についても同様とする)と、複数の監視装置14a~14f(以下、これらを総称する場合は監視装置14と表し、これらの構成要素等についても同様とする)と、抑制部16と、を含む。
【0025】
図4を併せて参照する。
図4は、蒸発源12の構成を模式的に示す断面図である。蒸発源12は、蒸着物質を蒸発させて放出する。それぞれの蒸発源12は、材料容器121(るつぼ)と、加熱部122とを含む。
【0026】
材料容器121は、内部に蒸着物質を収容する。材料容器121の上部には、蒸発した蒸着物質が放出される放出部1211が形成されている。本実施形態では、放出部1211は、材料容器121の上面に形成された開口部だが、筒状の部材等であってもよい。またあるいは、複数の放出部1211が材料容器121に設けられてもよい。
【0027】
加熱部122は、材料容器121に収容された蒸着物質を加熱する。加熱部122は、材料容器121を覆うように設けられる。本実施形態では加熱部122として電熱線を用いたシーズヒータが使用されており、
図4にはシーズヒータの電熱線が材料容器121の周囲に巻き付けられたときの断面が示されている。
【0028】
加熱部122による蒸着物質の加熱は、制御部43によって制御される。本実施形態では、複数の蒸発源12は、それぞれ独立に材料容器121及び加熱部122を有している。よって、制御部43は、複数の蒸発源12による蒸着物質の蒸発をそれぞれ独立に制御することができる。
【0029】
複数の監視装置14は、複数の蒸発源12からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する。本実施形態では、6つの監視装置14a~14fが設けられている。また、監視装置14a~14cが筐体145aに、監視装置14d~14fが筐体145bにそれぞれ収容されている。筐体145a、145bには、各監視装置14に監視対象の各蒸発源12から放出された蒸着物質が到達できるように、蒸着物質を内部に進入可能にするための開口が適宜設けられる。
【0030】
本実施形態の監視装置14は、ケース141(
図5参照)の内部に膜厚センサとして水晶振動子143(
図5参照)を備えている。水晶振動子143には、ケース141に形成された導入部142(
図5参照)を介して蒸発源12から放出された蒸着物質が導入されて付着する。水晶振動子143の振動数は蒸着物質の付着量により変動する。よって、制御部43は、水晶振動子143の振動数を監視することで、基板100に蒸着した蒸着物質の膜厚を算出することができる。単位時間に水晶振動子143に付着する蒸着物の量は、蒸発源12からの蒸着物質の放出量と相関を有するため、結果的に複数の蒸発源12からの蒸着物質の放出状態を監視することができる。なお、本実施形態では、各蒸発源12からの蒸着物質の放出状態を各監視装置14により独立に監視することで、その結果に基づき各蒸発源12の各加熱部122の出力をより適切に制御することができる。これにより、基板100に蒸着される蒸着物質の膜厚を効果的に制御することができる。
【0031】
本実施形態では、成膜ユニット10は、移動ユニット20によりX方向(移動方向)に移動しながら基板100に対して成膜を行う。しかしながら、移動する基板100に対して固定的に配置された蒸発源による成膜が行われる採用も可能である。すなわち、成膜ユニット10は、移動方向に相対的に移動する基板100に対して成膜を行えればよい。
【0032】
抑制部16は、複数の蒸発源12から放出された蒸着物質が、対応しない監視装置14へと飛散することを抑制する。詳細には後述する。
【0033】
<蒸発源と監視装置の配置>
図5は、蒸発源12と監視装置14の配置を説明する図である。本実施形態では、蒸発源12a~12cは、Y方向、すなわち基板100と成膜ユニット10との相対的な移動方向に交差する基板100の幅方向に配列されている。また、蒸発源12d~12fは、蒸発源12a~12cとX方向に離間した位置においてY方向に配列されている。また、Y方向において複数の蒸発源12の外側に、複数の監視装置14が設けられている。
【0034】
ここで、2つの蒸発源12a~12b及び2つの監視装置14a~14bに着目する。蒸発源12a~12bはY方向に沿って配列され、監視装置14a~14bはY方向に交差するX方向に沿って配列される。このように、蒸発源12a~12bの配列方向と対応する監視装置14a~14bの配列方向が交差するので、これらをコンパクトに配置することができる。例えば、監視装置14a~14bが蒸発源12a~12bと同様にY方向に配列され、蒸発源12a~12bに対してX方向に離間して配置される場合と比べて、X方向にコンパクトに蒸発源12a~12b及び監視装置14a~14bを配置することができる。よって、チャンバ45のサイズがX方向、すなわち成膜ユニット10の成膜時の移動方向に大型化するのを抑制することができる。また、チャンバ45のX方向のサイズが変わらない場合であっても、成膜ユニット10がX方向に大きくなることにより、成膜ユニット10のX方向の移動範囲が制限されることを抑制することができる。また、本実施形態では、蒸発源12aと監視装置14aとがX方向に重複するように配置されているので、これらをX方向によりコンパクトに配置することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、監視装置14a~14bは成膜ユニット10の移動方向に配列されているが、配列方向はこれに限られない。例えば、監視装置14a~14bの配列方向は、Z方向の成分を含んでいてもよい。つまり、監視装置14aと監視装置14bとが異なる高さに配置されてもよい。また、監視装置14a~14bの配列方向は、平面視でX方向と直交せずに所定の角度を有していてもよい。
【0036】
次に、3つの蒸発源12a~12c及び3つの監視装置14a~14cに着目する。蒸発源12a~12bに対応する監視装置14a~14bは、Y方向におい蒸発源12aが設けられる側であって蒸発源12aよりも外側に配置される。また、蒸発源12cに対応する監視装置14cは、Y方向において蒸発源12cが設けられる側であって蒸発源12cよりも外側に配置される。つまり、監視装置14a~14cは、Y方向において蒸発源12a~12cの両外側に別れて配置されている。これにより、監視装置14a~14cをX方向にコンパクトに配置することができる。具体的には、監視装置14a~14cがX方向に配列し、Y方向において蒸発源12a~12cの外側の一方に設けられる場合等と比べて、監視装置14a~14cがX方向にコンパクトに配置される。また、本実施形態では、蒸発源12aと監視装置14aとがX方向に重複するように配置され、かつ、蒸発源12cと監視装置14cとがX方向に重複するように配置されているので、監視装置14a~14cがX方向によりコンパクトに配置される。
【0037】
ここで、基板100の幅方向に配列される3つの蒸発源12a~12cのうち、中央に配置される蒸発源12bは、両側の蒸発源12a及び12cよりも成膜レートないしは単位時間当たりの蒸着材料の放出量が小さくなるように設定されてもよい。これにより、基板100の幅方向の膜厚のばらつきを低減することができる。
【0038】
次に、4つの蒸発源12a~12b、12e~12f及び4つの監視装置14a~14b、14e~14fに着目する。蒸発源12e~12fは、蒸発源12a~12bからX方向に離間して設けられている。そして、蒸発源12a~12bに対応する監視装置14a~14bは、複数の蒸発源12の外側の一方(+Y側)に設けられている。また、蒸発源12e~12fに対応する監視装置14e~14fは、複数の蒸発源12の外側の他方(-Y側)に設けられている。このように、複数の蒸発源12がX方向に離間して2列に並べられている場合に、各列の蒸発源12に対応する監視装置14が複数の蒸発源12の両外側に別れて配置されることにより、複数の監視装置14をX方向にコンパクトに配置することができる。
【0039】
また、本実施形態では、蒸発源12a~12cと、蒸発源12d~12fとは、異なる蒸着物質を放出する。これにより、2種類の材料を同時に蒸着させ、基板100上で混合膜を形成する共蒸着が可能となる。また、例えば、不図示のシャッタにより蒸発源12d~12fから基板100への蒸着物質の飛散を遮断した状態で蒸発源12a~12cによる蒸着を行った後に、不図示のシャッタにより蒸発源12a~12cから基板100への蒸着物質の飛散を遮断した状態で蒸発源12d~12eによる蒸着を行ってもよい。これにより、1つの成膜ユニット10により2層の薄膜を基板に成膜することができる。
【0040】
<抑制部の構成>
図3及び
図5を参照する。抑制部16は、複数の板部材161a~161i(以下、これらを総称する場合は板部材161と表し、後述する許容部162についても同様とする)を含んで構成される。板部材161は、各蒸発源12から、対応しない監視装置14への蒸着物質の飛散を抑制する板状の部材である。一例として、板状部材161aは、蒸発源12aから監視装置14a以外の監視装置14(例えば、監視装置14b)への蒸着物質の飛散を抑制する。板部材161により、各監視装置14は、監視対象の蒸発源12以外の蒸発源12の影響が低減された状態で、監視対象の蒸発源12からの蒸着物質の放出状態を監視することができる。
【0041】
ここで、蒸発源12b、監視装置14a及び板部材161fに着目すると、板部材161fは、蒸発源12bから監視装置14aへの蒸着物質の飛散を抑制するように設けられている。これにより、監視装置14aは、蒸発源12bの影響が低減された状態で蒸発源12aからの蒸着物質の放出状態を監視することができる。また、蒸発源12c~12fから監視装置14aへの蒸着物質の飛散についても、他の板部材161により抑制されている。例えば、蒸発源12dから監視装置14aへの蒸着物質の飛散は、板部材161dにより抑制されている。
【0042】
また、本実施形態では、蒸発源12bは、Y方向において、蒸発源12aよりも監視装置14bから遠い位置に配置されている。そして、板部材161fは、蒸発源12aと蒸発源12bとの間に配置されている。そして、板部材161fには、蒸発源12bから監視装置14bへの蒸着物質の飛散を許容する許容部162bが形成されている。蒸発源12bから監視装置14aへの蒸着物質の飛散を抑制するために板部材161fが設けられた場合に、蒸発源12bから監視装置14bへの蒸着物質の飛散も抑制されてしまう場合がある。本実施形態では、板部材161fに許容部162bが設けられることにより、許容部162bを介して蒸発源12bから監視装置14bに蒸着物質が飛散するので、監視装置14bによる蒸発源12bの監視が可能となる。
【0043】
本実施形態では、板部材161fには、許容部162bとして筒形状部が設けられている。詳細には、この筒形状部は、蒸発源12bの放出部1211bと監視装置14bの蒸着物質の付着部である水晶振動子143bとを結ぶ仮想直線Vbを囲むように設けられる。換言すれば、筒形状部は、仮想直線Vbが板部材161f及びこれに形成される筒形状部の部材自体を通過せず、筒形状部の内部を通過するように設けられている。これにより、蒸発源12bから放出された蒸着物質の指向性が高められるので、蒸着物質が監視装置14bに到達しやすくなる。よって、監視装置14bは蒸発源12bからの膜材料の放出状態をより正確に監視することができる。
【0044】
なお、許容部162bは、板部材161fに形成された開口であってもよい。この場合、開口は、板部材161f上の仮想直線Vbが通過する位置を含む領域に形成されてもよい。許容部162bが開口の場合、板部材161fに対する加工が容易になるため、製造コスト等の削減が可能となる。
【0045】
なお、ここでは蒸発源12b及び板部材161fに着目し、許容部162bについて説明したが、同様に蒸発源12a、12c~12fから監視装置14a、14c~14fへの蒸着物質の飛散を許容する許容部162a、162c~162fが、各板部材161に設けられる。そして、本実施形態では、他の許容部162a、162c~162fについてもそれぞれ、仮想直線Va、Vc~Vfが何らかの部材によって物理的に遮られないように設けられている。
【0046】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る成膜装置9について説明する。成膜装置9は、第1実施形態に係る成膜装置1と成膜ユニットの構成が異なる。以下、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略することがある。
【0047】
図6は、一実施形態に係る成膜ユニット90の構成を模式的に示す平面図である。
図7(A)及び
図7(B)は、
図6のI-I線断面図であって成膜ユニット90による成膜動作を説明する図である。
図7(A)は、後述するユニット90Bによる成膜動作を示しており、
図7(B)は後述するユニット90Aによる成膜動作を示している。本実施形態では、成膜ユニット90は、7つの蒸発源92a~92g(以下、これら総称する場合は蒸発源92と表す)を含む。複数の蒸発源92は、蒸発源92a~92cで1列、蒸発源92d~92eで1列、蒸発源92f~92gで1列の3列で構成される。本実施形態では、複数の蒸発源92は、列ごとに異なる蒸着物質を蒸発させる。本実施形態では蒸発源92a~92cがAg、蒸発源92d~92eがMg、蒸発源92f~92gがLiFをそれぞれ蒸発させる。
【0048】
また、本実施形態では、複数の監視装置94のうち、監視装置94a、94c~94gはY方向において複数の蒸発源92の両外側に別れて配置されているが、監視装置94bは蒸発源92d~92gで囲まれる領域に設けられる。そのため、監視装置94bの配置により、成膜ユニット90がX方向に大型化することが抑制されている。なお、2つの蒸発源92a~92b及び2つの監視装置94a~94bに着目すると、蒸発源92a~92bはY方向に配列され、監視装置94a~94bはX方向成分及びY方向成分を持つ方向配列されており、これらの配列方向が交差している。
【0049】
また、本実施形態では、蒸発源92a~92eで1つのユニット90Aを構成し、蒸発源92f~92gでもう1つのユニット90Bを構成する。本実施形態では、成膜ユニット90は、これらのユニットごとに基板100への成膜を行う。つまり、本実施形態では、ユニット90AはAgとMgの共蒸着を行い、ユニット90BはLiFの単独蒸着を行う。また、成膜ユニット90は、シャッタ98A及び98Bを用いてこれらのユニットごとの成膜を行う。
【0050】
シャッタ98Aは、ユニット90Aの蒸発源92a~92eから基板100への蒸着物質の飛散を遮断する遮断位置(
図7(A))と、ユニット90Aの蒸発源92a~92eから基板100への蒸着物質の飛散を許容する許容位置(
図7(B))との間で変位する。また、シャッタ98Bは、ユニット90Bの蒸発源92f~92gから基板100への蒸着物質の飛散を遮断する遮断位置(
図7(B))と、ユニット90Bの蒸発源92f~92gから基板100への蒸着物質の飛散を許容する許容位置(
図7(A))との間で変位する。よって、シャッタ98Aを許容位置、シャッタ98Bを遮断位置とした状態で成膜を行うことで、ユニット90Aの蒸発源92a~92eによる成膜を行うことができる。また、シャッタ98Bを許容位置、シャッタ98Aを遮断位置とした状態で成膜を行うことで、ユニット90Bの蒸発源92f~92gによる成膜を行うことができる。
【0051】
<蒸発源の放出方向>
図8は、基板100の移動方向(X方向)の膜厚の分布を説明する図である。詳細には、
図8は、ユニット90Aにより共蒸着を行う際の、各列の蒸発源92からの放出された蒸着物質の膜厚分布を示している。パターンPT1は、蒸発源92の放出部9211からの蒸着物質の放出方向が鉛直上向きの場合の膜厚分布を示している。なお、蒸着物質は一定の範囲に広がりをもって放出部9211から放出され得るが、ここでは、放出部9211の指向する方向を放出方向と呼ぶものとする。
【0052】
蒸着物質の放出方向が鉛直上向きの場合、蒸発源92a~92cと蒸発源92d~92eとが基板100のX方向(移動方向)に離間しているため、膜厚分布のX方向の頂点がずれることになる。この場合、基板100とマスク101とが重ね合わされた領域である成膜領域と、成膜ユニット90の移動開始位置及び終了位置との関係によっては、基板100のX方向にAgとMgの混合比が異なって成膜されてしまう場合がある。すなわち、基板100に蒸着する蒸着物質がX方向にばらついてしまう場合がある。
【0053】
そこで、本実施形態では、パターンPT2に示されるように、各蒸発源92は、蒸着物質の放出方向が傾けられて配置されている。これにより、蒸発源92a~92cから放出される蒸着物質の膜厚分布と蒸発源92d~92eから放出される蒸着物質の膜厚分布のX方向の頂点を一致させる、或いは近づけることができる。これにより、基板100に蒸着する蒸着物質の、X方向(移動方向)のばらつきを抑制することができる。
【0054】
本実施形態では、蒸発源92a~92cは、蒸着物質の放出方向がX方向(移動方向)において蒸発源92d~92eを向くように配置されている。また、蒸発源92d~92eは、蒸着物質の放出方向がX方向(移動方向)において蒸発源92a~92cを向くように配置されている。
【0055】
なお、蒸着物質の放出方向を傾ける際は、蒸発源92自体を傾けてもよいし、放出方向が傾くような放出部9211の形状を採用してもよい。例えば、放出部9211が筒状の形状を有する場合に、筒の軸方向が傾くように放出部9211が構成されてもよい。
【0056】
<成膜プロセス>
次に、成膜装置9を用いた成膜プロセスについて説明する。
図9及び
図10は、成膜プロセスにおける成膜装置9の動作説明図である。
【0057】
状態ST1は、初期状態として、基板100A及び基板100Bが成膜装置9内に搬入され、それぞれマスク101A及びマスク101Bとのアライメントが行われた状態を示している。ここで、ステージA側の基板100Aは、X方向の+X側の略半分の領域がマスク101Aに覆われた状態にあり、ステージB側の基板100Bは、X方向の-X側の略半分の領域がマスク101Bに覆われた状態にある。また、成膜ユニット90は、ステージA側であって、基板100Aとマスク101Aとが重ね合わされた領域である成膜領域よりもX方向で-X側の位置x1にある。
【0058】
状態ST2は、成膜ユニット90がX方向の+X側に移動しながら基板100Aに対して成膜を行った後の状態である。成膜ユニット90は、位置x1から、成膜領域よりもX方向で+X側の位置x2に移動する。また、状態ST3は、成膜ユニット90がX方向の-X側に移動しながら基板100Aに対して成膜を行った後の状態である。すなわち、状態ST1~状態ST3と遷移する間に、成膜ユニット90は移動ユニット20により位置x1と位置x2との間を1往復しながら基板100Aに対して成膜を行う。
【0059】
なお、ここでは、1往復分の動作が示されているが、成膜ユニット90は、往復動作を繰り返して合計で2往復しながら成膜を行ってもよい。例えば、成膜ユニット90は、X方向に1往復しながらユニット90Bによる成膜を行った後に、X方向に1往復しながらユニット90Aによる成膜を行ってもよい。この場合、ユニット90Aによる成膜が1往復分行われるので、蒸発源92a~92cと蒸発源92d~92eとのX方向の位置の差の影響を低減して、基板100Aに付着する蒸着物質であるAgとMgの混合比を一致させる、あるいは近づけることができる。
【0060】
また例えば、成膜ユニット90は、1往復目の往路についてはユニット90Bによる成膜を行い、1往復目の復路及び2往復めについてはユニット90Aによる成膜を行ってもよい。これにより、LiFの膜厚よりもAg及びMgの混合膜の膜厚を厚くしたい場合に、ユニット90Aによる成膜の時間をより多く確保することができる。
【0061】
また、成膜ユニット90は、X方向に成膜装置1が往復する中で、往路についてはユニット90Bによる成膜を行い、復路においてはユニット90Aによる成膜を行ってもよい。或いは、成膜ユニット90はX方向に3往復以上しながらユニット90A及びユニット90Bによる成膜を行ってもよい。いずれにしても、本実施形態では、基板100AのX方向の+X側の略半分の領域がマスク101Aに覆われた状態で、ユニット90Aによる成膜及びユニット90Bによる成膜の両方が行われる。
【0062】
また、本実施形態では、位置x1及び位置x2において、成膜ユニット90が平面視で基板100Aとマスク101Aとが重なる領域である成膜領域と重ならないように設定される。すなわち、成膜ユニット90は、平面視で、この成膜領域を完全に通過するように往復移動する。しかしながら、位置x1及び位置x2において、成膜ユニット90の少なくとも一部が平面視でこの成膜領域と重なるように配置されてもよい。
【0063】
状態ST4は、成膜ユニット90がステージAからステージBに移動した状態を示している。成膜ユニット90は、移動ユニット20のY方向移動部24により、Y方向(基板100の幅方向)に移動する。ここでは、成膜ユニット90は、Y方向において、ステージA側の位置y1からステージB側の位置y2に移動する。
【0064】
状態ST5は、成膜ユニット90がX方向の+X側に移動しながら基板100Bに対して成膜を行った後の状態である。成膜ユニット90は、X方向において位置x1から位置x2に移動する。また、状態ST5は、ステージAにおいて、基板100AがX方向に移動した後の状態でもある。支持ユニット30Aの位置調整部34Aによって、基板100Aはその+X側の略半分がマスク101Aに覆われる位置から、その-X側の略半分がマスク101Aに覆われる位置へと移動する。また、基板100AのX方向の大まかな移動の後、不図示のカメラ等を用いたアライメントにより、基板100Aとマスク101Aの精密な位置調整がなされた上で、基板100Aとマスク101Aとが重ね合わされる。
【0065】
状態ST6は、成膜ユニット90がX方向の-X側に移動しながら基板100Bに対して成膜を行った後の状態である。すなわち、状態ST4~状態ST6と遷移する間に、成膜ユニット90は移動ユニット20により位置x1と位置x2との間を1往復しながら基板100Bに対して成膜を行う。なお、状態ST1~状態ST3への遷移の際と同様、成膜ユニット90は2往復以上しながら基板100Bに対して成膜を行ってもよい。
【0066】
状態ST7は、成膜ユニット90がステージBからステージAに移動した状態を示している。ここでは、成膜ユニット90は、Y方向において、位置y2から位置y1に移動する。状態ST8は成膜ユニット90がX方向の+X側に移動しながら基板100Aに対して成膜を行った後の状態であり、状態ST9は成膜ユニット90がX方向の-X側に移動しながら基板100Aに対して成膜を行った後の状態である。すなわち、状態ST7~状態ST9と遷移する間に、成膜ユニット90は移動ユニット20により位置x1と位置x2との間を1往復しながら基板100Aに対して成膜を行う。なお、成膜ユニット90は、状態ST1~状態ST3の遷移の際と同様に動作し得る。いずれにしても、本実施形態では、基板100AのX方向の-X側の略半分の領域がマスク101Aに覆われた状態で、ユニット90Aによる成膜及びユニット90Bによる成膜の両方が行われる。
【0067】
また、状態ST8は、ステージBにおいて、基板100BがX方向に移動した後の状態でもある。支持ユニット30Bの位置調整部34Bによって、基板100Bはその-X側の略半分がマスク101Bに覆われる位置から、その+X側の略半分がマスク101Bに覆われる位置へと移動する。また、基板100BのX方向の大まかな移動の後、不図示のカメラ等を用いたアライメントにより、基板100Bとマスク101Bの精密な位置調整がなされた上で、基板100Bとマスク101Bとが重ね合わされる。
【0068】
状態ST10は、成膜ユニット90がステージAからステージBに移動した状態を示している。ここでの成膜ユニット90の動作等は状態ST3から状態ST4への遷移と同様である。状態ST11は成膜ユニット90がX方向の+X側に移動しながら基板100Bに対して成膜を行った後の状態であり、状態ST12は成膜ユニット90がX方向の-X側に移動しながら基板100Bに対して成膜を行った後の状態である。すなわち、状態ST10~状態ST12と遷移する間に、成膜ユニット90は移動ユニット20により位置x1と位置x2との間を1往復しながら基板100Bに対して成膜を行う。なお、成膜ユニット90は、状態ST1~状態ST3の遷移の際と同様に動作し得る。
【0069】
また、状態ST11は、ステージAにおいて、基板100Aが成膜装置9から搬出されている状態でもある。また、状態ST12は、基板100Aが成膜装置9から搬出された後の状態でもある。このように、基板100Aは、X方向の+X側の略半分の領域及びX方向の-X側の略半分の領域のそれぞれに対して成膜がなされた後に、成膜装置9の外部に搬出される。
【0070】
このように、基板100の+X側の略半分の領域にマスク101が重ね合わされる状態、及び、基板100の-X側の略半分の領域にマスク101が重ね合わされる状態のいずれにおいても、ユニット90Aによる成膜及びユニット90Bによる成膜が行われる。したがって、大型の基板100に対しても、ユニット90A及びユニット90Bの両方により成膜を行うことができる。詳細には、基板100が大型化してくると、マスク101の剛性の兼ね合いで基板100と同サイズのマスク101を作成できない場合がある。しかし、本実施形態によれば、マスク101が基板100よりも小さい場合であっても、基板100の略全体の領域に成膜を行うことができる。また、基板100と成膜ユニット90の相対的な移動が直線的な移動なため、回転移動等と比べてこれらの相対移動を安定的に一定の速度で行うことができ、基板100に対して均質に成膜を行うことができる。さらに、本実施形態では、成膜ユニット90が移動するので、基板100が大型であってもこれらの相対移動を安定的に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、ステージBにおいて成膜ユニット90による成膜が行われている間に(状態ST4~状態ST6)、ステージAにおいて基板100Aとマスク101Aの位置調整が行われるので、成膜プロセスを効率的に行うことができる。なお、ステージAにおける基板100Aとマスク101Aの位置調整は、成膜ユニット90のY方向の移動時(状態ST4~状態ST5、状態ST6~状態ST7)等に行われてもよい。
【0072】
<電子デバイスの製造方法>
次に、電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。この例の場合、
図1に例示した成膜装置1が製造ライン上に複数設けられる。
【0073】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。
図11(A)は有機EL表示装置50の全体図、
図11(B)は1画素の断面構造を示す図である。
【0074】
図11(A)に示すように、有機EL表示装置50の表示領域51には、発光素子を複数備える画素52がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。
【0075】
なお、ここでいう画素とは、表示領域51において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。カラー有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子52R、第2発光素子52G、第3発光素子52Bの複数の副画素の組み合わせにより画素52が構成されている。画素52は、赤色(R)発光素子と緑色(G)発光素子と青色(B)発光素子の3種類の副画素の組み合わせで構成されることが多いが、これに限定はされない。画素52は少なくとも1種類の副画素を含めばよく、2種類以上の副画素を含むことが好ましく、3種類以上の副画素を含むことがより好ましい。画素52を構成する副画素としては、例えば、赤色(R)発光素子と緑色(G)発光素子と青色(B)発光素子と黄色(Y)発光素子の4種類の副画素の組み合わせでもよい。
【0076】
図11(B)は、
図11(A)のA-B線における部分断面模式図である。画素52は、基板53上に、第1の電極(陽極)54と、正孔輸送層55と、赤色層56R・緑色層56G・青色層56Bのいずれかと、電子輸送層57と、第2の電極(陰極)58と、を備える有機EL素子で構成される複数の副画素を有している。これらのうち、正孔輸送層55、赤色層56R、緑色層56G、青色層56B、電子輸送層57が有機層に当たる。赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。
【0077】
また、第1の電極54は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層55と電子輸送層57と第2の電極58は、複数の発光素子52R、52G、52Bにわたって共通で形成されていてもよいし、発光素子ごとに形成されていてもよい。すなわち、
図11(B)に示すように正孔輸送層55が複数の副画素領域にわたって共通の層として形成された上に赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bが副画素領域ごとに分離して形成され、さらにその上に電子輸送層57と第2の電極58が複数の副画素領域にわたって共通の層として形成されていてもよい。
【0078】
なお、近接した第1の電極54の間でのショートを防ぐために、第1の電極54間に絶縁層59が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層60が設けられている。
【0079】
図11(B)では正孔輸送層55や電子輸送層57が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を有する複数の層で形成されてもよい。また、第1の電極54と正孔輸送層55との間には第1の電極54から正孔輸送層55への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成してもよい。同様に、第2の電極58と電子輸送層57の間にも電子注入層を形成してもよい。
【0080】
赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bのそれぞれは、単一の発光層で形成されていてもよいし、複数の層を積層することで形成されていてもよい。例えば、赤色層56Rを2層で構成し、上側の層を赤色の発光層で形成し、下側の層を正孔輸送層又は電子ブロック層で形成してもよい。あるいは、下側の層を赤色の発光層で形成し、上側の層を電子輸送層又は正孔ブロック層で形成してもよい。このように発光層の下側又は上側に層を設けることで、発光層における発光位置を調整し、光路長を調整することによって、発光素子の色純度を向上させる効果がある。
【0081】
なお、ここでは赤色層56Rの例を示したが、緑色層56Gや青色層56Bでも同様の構造を採用してもよい。また、積層数は2層以上としてもよい。さらに、発光層と電子ブロック層のように異なる材料の層が積層されてもよいし、例えば発光層を2層以上積層するなど、同じ材料の層が積層されてもよい。
【0082】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。ここでは、赤色層56Rが下側層56R1と上側層56R2の2層からなり、緑色層56Gと青色層56Bは単一の発光層からなる場合を想定する。
【0083】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1の電極54が形成された基板53を準備する。なお、基板53の材質は特に限定はされず、ガラス、プラスチック、金属などで構成することができる。本実施形態においては、基板53として、ガラス基板上にポリイミドのフィルムが積層された基板を用いる。
【0084】
第1の電極54が形成された基板53の上にアクリル又はポリイミド等の樹脂層をバーコートやスピンコートでコートし、樹脂層をリソグラフィ法により、第1の電極54が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層59を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。なお、本実施形態では、絶縁層59の形成までは大型基板に対して処理が行われ、絶縁層59の形成後に、基板53を分割する分割工程が実行される。
【0085】
絶縁層59がパターニングされた基板53を第1の成膜装置1に搬入し、正孔輸送層55を、表示領域の第1の電極54の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層55は、最終的に1つ1つの有機EL表示装置のパネル部分となる表示領域51ごとに開口が形成されたマスクを用いて成膜される。
【0086】
次に、正孔輸送層55までが形成された基板53を第2の成膜装置1に搬入する。基板53とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、正孔輸送層55の上の、基板53の赤色を発する素子を配置する部分(赤色の副画素を形成する領域)に、赤色層56Rを成膜する。ここで、第2の成膜室で用いるマスクは、有機EL表示装置の副画素となる基板53上における複数の領域のうち、赤色の副画素となる複数の領域にのみ開口が形成された高精細マスクである。これにより、赤色発光層を含む赤色層56Rは、基板53上の複数の副画素となる領域のうちの赤色の副画素となる領域のみに成膜される。換言すれば、赤色層56Rは、基板53上の複数の副画素となる領域のうちの青色の副画素となる領域や緑色の副画素となる領域には成膜されずに、赤色の副画素となる領域に選択的に成膜される。
【0087】
赤色層56Rの成膜と同様に、第3の成膜装置1において緑色層56Gを成膜し、さらに第4の成膜装置1において青色層56Bを成膜する。赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置1において表示領域51の全体に電子輸送層57を成膜する。電子輸送層57は、3色の層56R、56G、56Bに共通の層として形成される。
【0088】
電子輸送層57までが形成された基板を第6の成膜装置1に移動し、第2の電極58を成膜する。本実施形態では、第1の成膜装置1~第6の成膜装置1では真空蒸着によって各層の成膜を行う。しかし、本発明はこれに限定はされず、例えば第6の成膜装置1における第2の電極58の成膜はスパッタによって成膜するようにしてもよい。その後、第2の電極58までが形成された基板を封止装置に移動してプラズマCVDによって保護層60を成膜して(封止工程)、有機EL表示装置50が完成する。なお、ここでは保護層60をCVD法によって形成するものとしたが、これに限定はされず、ALD法やインクジェット法によって形成してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1:成膜装置、10:成膜ユニット、12:蒸発源、14:監視装置、20:移動ユニット、30:支持ユニット、100:基板、101:マスク