(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】三次元造形用パターン材料、硬化物、立体造形物、及び前記立体造形物を用いた鋳型の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22C 7/02 20060101AFI20230719BHJP
B22C 9/04 20060101ALI20230719BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20230719BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230719BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230719BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230719BHJP
【FI】
B22C7/02 101
B22C7/02 103
B22C9/04 G
B29C64/124
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2021567351
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047076
(87)【国際公開番号】W WO2021131994
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2019231479
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】原 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 正和
(72)【発明者】
【氏名】井川 高輔
(72)【発明者】
【氏名】押尾 篤
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502965(JP,A)
【文献】特開2008-208217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00- 9/30
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、
脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物からなる三次元造形用パターン材料であって、前記(メタ)アクリレート化合物(A)の含有量が、前記(メタ)アクリレート化合物(A)と、前記(メタ)アクリレート化合物(B)との合計質量中に50質量%以上であることを特徴とする三次元造形用パターン材料。
【化1】
[式(1)中、R
1は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。Xは、-O-、-SO
2-、下記構造式(2)で表される構造、または下記構造式(3)で表される構造であり、mは、0または1~30の整数であり、nは、0または1~30の整数であり、m+nは、10以上の整数である。]
【化2】
[式(2)中、R
4、R
5は、水素原子または炭素原子数1~10の炭化水素基である。]
【化3】
【請求項2】
前記硬化性樹脂組成物が、さらに、光重合開始剤(C)を含有するものである請求項1記載の三次元造形用パターン材料。
【請求項3】
前記硬化性樹脂組成物が、さらに、顔料(D)を含有するものである請求項1記載の三次元造形用パターン材料。
【請求項4】
前記脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)が、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物である請求項1~3のいずれか1項記載の三次元造形用パターン材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形用パターン材料、硬化物、立体造形物、及び前記立体造形物を用いた鋳型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂成型品の製造方法として、3次元CAD等の立体デザインシステムにより設計した立体形状データをもとに、硬化性樹脂組成物を紫外線レーザー等の活性エネルギー線によって選択的に重合硬化させることにより、立体造形物を作製する光学的立体造形法(光造形法)が用いられている。この光学的立体造形法は、切削加工では困難な複雑な形状にも対応が可能であり、製造時間も短く、取扱いも容易であることから、樹脂成型品の他、工業製品の試作モデルの製造に幅広く用いられるようになってきている。
【0003】
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂にコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザーを上から照射して所定厚みの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ下げることで層上に液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で前記と同様に照射硬化させ積層する、この操作の繰り返しにより立体造形物を得る方法が挙げられる。また、最近では、スポット状の紫外線レーザーを用いる上記の点描方式に加えて、LED等のレーザー以外の光源を用い、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)と呼ばれる面状描画マスクを介して、光硬化性樹脂を入れた透明容器を通して紫外光を下から照射して所定の断面形状パターンの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ上に引き上げて、前記と同様に次の1層を照射硬化させ、順次積層して立体造形物を得る面露光方式が増加している。
【0004】
また、近年、金属鋳造において、従来のロストワックス法に代わり、光学立体造形法により得られた光硬化型樹脂の立体造形物を消失模型とし、この周囲を石膏等で覆った状態で加熱し、前記立体造形物を消失させることで石膏等からなる鋳型を製造する方法が検討されているが(例えば、特許文献1参照。)、消失模型として用いる立体造形物を消失させるためには、高温で加熱する必要があり、立体造形物の体積膨張により、周囲の石膏等に割れが生じるなどの問題があった。さらに、消失する際に残渣が残るなどして意図した形状の鋳型をえることができない等の問題もあった。
【0005】
そこで、優れた硬化性を有し、鋳造性に優れた硬化物を形成可能な材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、優れた硬度及び鋳造性を有する硬化物を形成可能な三次元パターン材料、硬化物、立体造形物、及び前記立体造形物を用いた鋳型の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の(メタ)アクリレート化合物と、脂肪族(メタ)アクリレート化合物とを含有する硬化性樹脂組成物からなる三次元パターン材料であって、前記特定の(メタ)アクリレート化合物を特定量含有するものであることを特徴とする硬化物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記構造式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物からなる三次元造形用パターン材料であって、前記(メタ)アクリレート化合物(A)の含有量が、前記(メタ)アクリレート化合物(A)と、前記(メタ)アクリレート化合物(B)との合計質量中に50質量%以上であることを特徴とする三次元造形用パターン材料、硬化物、立体造形物、及び前記立体造形物を用いた鋳型の製造方法に関するものである。
【0010】
【化1】
[式(1)中、R
1は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。Xは、-O-、-SO
2-、下記構造式(2)で表される構造、または下記構造式(3)で表される構造であり、mは、0または1~30の整数であり、nは、0または1~30の整数であり、m+nは、10以上の整数である。]
【0011】
【化2】
[式(2)中、R
4、R
5は、水素原子または炭素原子数1~10の炭化水素基である。]
【0012】
【発明の効果】
【0013】
本発明の硬化物は、優れた硬度を有し、鋳造性に優れることから、医療用材料、コンポジットレジン、ボンディング材、レジンセメント、CAD/CAM用レジンブロック等に用いることができ、前記医療材料の中でも、前記の中でも、歯科治療用のサージカルガイド、仮歯、ブリッジ、歯列矯正器具等の歯科用の硬質レジン材料に好適に用いることができる。なお、本発明において、「鋳造性に優れる」とは、光学立体造形法により得られた光硬化型樹脂の立体造形物を消失模型とし、この周囲を石膏等の埋没材で覆った状態で加熱し、前記立体造形物を消失させることで石膏等の埋没材からなる鋳型を製造する際に、前記埋没材に割れまたは亀裂が発生せず、鋳型内に硬化物の残渣及び煤が残らない、または極めて少ないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の三次元造形用パターン材料は、下記構造式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物からなるものであることを特徴とする。
【0015】
【化4】
[式(1)中、R
1は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。Xは、-O-、-SO
2-、下記構造式(2)で表される構造、または下記構造式(3)で表される構造であり、mは、0または1~30の整数であり、nは、0または1~30の整数であり、m+nは、10以上の整数である。]
【0016】
【化5】
[式(2)中、R
4、R
5は、水素原子または炭素原子数1~10の炭化水素基である。]
【0017】
【0018】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0019】
前記(メタ)アクリレート化合物(A)としては、下記構造式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を用いる。
【0020】
【化7】
[式(1)中、R
1は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R
3は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。Xは、-O-、-SO
2-、下記構造式(2)で表される構造、または下記構造式(3)で表される構造であり、mは、0または1~30の整数であり、nは、0または1~30の整数であり、m+nは、10以上の整数である。]
【0021】
【化8】
[式(2)中、R
4、R
5は、水素原子または炭素原子数1~10の炭化水素基である。]
【0022】
【0023】
前記(メタ)アクリレート化合物(A)の含有量は、前記(メタ)アクリレート化合物(A)と、前記(メタ)アクリレート化合物(B)との合計質量中に50質量%以上であり、優れた硬化性及び鋳造性を有する三次元造形用パターン材料を形成可能なことから、70質量%~90質量%の範囲がより好ましい。
【0024】
前記脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、3-メチルブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジオキサングリコール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;
【0025】
1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,5-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,6-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、1,3-アダマンチルジ(メタ)アクリレート、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]アダマンタン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]-2,4,8,10-テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;
【0026】
EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(EO)或いは(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート;
【0027】
ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;
【0028】
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能(メタ)アクリレート;
【0029】
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた硬度及び鋳造性を有する硬化物を形成可能な三次元パターン材料が得られることから、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物が好ましい。
【0030】
前記硬化性樹脂組成物としては、前記(メタ)アクリレート化合物(A)及び前記脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)以外に、必要に応じて、前記(メタ)アクリレート化合物(A)及び前記脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)以外のその他の(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。なお、この際、前記(メタ)アクリレート化合物(A)及び前記脂肪族(メタ)アクリレート化合物(B)の合計の含有率は、優れた硬度及び鋳造性を有する硬化物を形成可能な三次元パターン材料が得られることから、前記硬化性樹脂組成物の硬化性成分中に、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0031】
また、前記その他の(メタ)アクリレート化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、一般に、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との重縮合によって生成したポリウレタン鎖を有する。このポリウレタン鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基、または(メタ)アクリロイルオキシ基が導入されていてもよい。
【0033】
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、イソシアネート基が水酸基よりも過剰となる比率で反応させて分子末端がイソシアネート基であるウレタン樹脂を調製した後、これに水酸基及び(メタ)アクリロイル基(または(メタ)アクリロイルオキシ基)を有するラジカル重合性単量体を反応させる方法により得られるものが挙げられる。
【0034】
前記ポリオール化合物と前記ポリイソシアネート化合物との反応は、ポリオール化合物が有する水酸基(OH)とポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基(NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が、1.5~2の範囲が好ましい。
【0035】
前記ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオ-ル、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジオール、ハイドロキノンのエチレンオキサイド付加物、ハイドロキノンのプロピレンオキサイド付加物、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、及び1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール等のポリオール類;前記ポリオール類とα,β-不飽和ポリカルボン酸、飽和ポリカルボン酸類またはそれらの酸無水物等とを縮合させて得られるポリエステルポリオール;並びに、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、及びε-カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらのポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0036】
前記ポリオール類と縮合してポリエステルポリオールを生成するα,β-不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及び塩素化マレイン酸等の種々のα,β-不飽和ポリカルボン酸またはそれらの無水物が挙げられる。前記ポリオール類と縮合してポリエステルポリオールを生成する飽和ポリカルボン酸類及びその酸無水物の例としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、モノクロロフタル酸、ジクロロフタル酸、トリクロロフタル酸、ヘット酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、ピメリン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、2-ナトリウムスルホテレフタル酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-カリウムスルホイソフタル酸、オルソフタル酸、4-スルホフタル酸、1,10-デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタン酸、ヘキサヒドロフタル酸、及びテトラブロムフタル酸等の飽和ポリカルボン酸類またはそれらの酸無水物が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0037】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0038】
前記ポリオール化合物と前記ポリイソシアネート化合物との反応は、必要に応じて、ウレタン化触媒を用いてもよく、前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のホスフィン類、ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物、オクタン酸錫等の無機錫化合物、無機金属化合物などが挙げられる。これらのウレタン化触媒は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0039】
前記水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びイソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド付加物、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド付加物、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのテトラメチレングリコール付加物、並びに、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのラクトン付加物等が挙げられる。これらの水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0040】
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸またはその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。
【0041】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0042】
前記硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。
【0043】
前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機フィラー、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0044】
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリレート化合物との反応性に優れ、得られた硬化物中の未反応(メタ)アクリレート化合物が少なく、生物学的安全性に優れた硬化物が得られることから、リン化合物が好ましく、具体的には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドが好ましい。また、これらの光重合開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0045】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリレート化合物との反応性に優れ、得られた硬化物中の未反応(メタ)アクリレート化合物が少なく、生物学的安全性に優れた硬化物が得られることから、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」が好ましい。
【0046】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物中に、0.1質量%以上4.5質量%以下で用いることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下の範囲で用いることがより好ましい。
【0047】
また、前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
【0048】
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0049】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0050】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0051】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等が挙げられる。
【0052】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0053】
前記フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0054】
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
【0055】
ジエトキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
【0056】
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
【0057】
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
【0058】
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
【0059】
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
【0060】
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
【0061】
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
【0062】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
【0063】
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0064】
前記リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
【0065】
前記有機フィラーとしては、例えば、セルロース、リグニン、及びセルロースナノファイバー等の植物由来の溶剤不溶性物質、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等の有機ビーズなどが挙げられる。これらの有機フィラーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0066】
前記無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の無機微粒子などが挙げられる。これらの無機フィラーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記無機機微粒子の平均粒径は、95~250nmの範囲であることが好ましく、特に100~180nmの範囲であることがより好ましい。
【0067】
前記無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。前記分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-21」、「カヤマーPM-2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-2M」等が挙げられる。
【0068】
前記レオロジーコントロール剤としては、例えば、楠本化成株式会社製「ディスパロン6900」等のアマイド・ワックス類;ビッグ・ケミー社製「BYK410」等の尿素系レオロジーコントロール剤類;楠本化成株式会社製「ディスパロン4200」等のポリエチレン・ワックス;イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製「CAB-381-2」、「CAB 32101」等のセルロース・アセテート・ブチレートなどが挙げられる。
【0069】
前記脱泡剤としては、例えば、フッ素或いは、硅素原子を含んだオリゴマー、または高級脂肪酸、アクリル重合体等のオリゴマー等が挙げられる。
【0070】
前記着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
【0071】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0072】
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
【0073】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0074】
前記染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0075】
本発明の三次元造形用パターン材料としては、前記硬化性樹脂組成物からなるものである。
【0076】
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物からなる前記三次元造形用パターン材料に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0077】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。これらの中でも、長時間に渡り、安定した照度が得られることから、LEDを光源とすることが好ましい。
【0078】
前記活性エネルギー線の波長は、安定した照度が得られることから、350~410nmの範囲が好ましい。
【0079】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、50~50,000mJ/cm2であることが好ましく、300~50,000mJ/cm2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
【0080】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0081】
本発明の立体造形物は、公知の光学的立体造形法により作製することができる。
【0082】
前記光学的立体造形法としては、例えば、ステレオリソグラフィー(SLA)方式、デジタルライトプロセッシング(DLP)方式、インクジェット方式が挙げられる。
【0083】
前記ステレオリソグラフィー(SLA)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽にレーザー光線等の活性エネルギー線を点で照射し、造形ステージを移動させながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
【0084】
前記デジタルライトプロセッシング(DLP)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽にLED等の活性エネルギー線を面で照射し、造形ステージを移動させながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
【0085】
前記インクジェット光造形法とは、光造形用硬化性樹脂組成物の微小液滴を、ノズルから所定の形状パターンを描画するよう吐出してから、紫外線を照射して硬化薄膜を形成する方法である。
【0086】
これらの光学的立体造形法のなかでも、面による高速造形が可能なことからDLP方式が好ましい。
【0087】
前記DLP方式の立体造形方法としては、DLP方式の光造形システムを用いた方法であれば特に制限されないが、その造形条件としては、立体造形物の造形精度が良好となることから、光造形の積層ピッチが0.01~0.2mmの範囲であり、照射波長が350~410nmの範囲であり、光強度が0.5~50mW/cm2の範囲であり、1層当たりの積算光量が1~100mJ/cm2の範囲であることを要し、なかでも、より一層立体造形物の造形精度が良好となることから、光造形の積層ピッチが、0.02~0.1mmの範囲であり、照射波長が、380~410nmの範囲であり、光強度が、5~15mW/cm2の範囲であり、1層当たりの積算光量が、5~15mJ/cm2の範囲であることが好ましい。
【0088】
本発明の立体造形物は、優れた鋳造性を有することから、前記立体造形物の燃焼率が、窒素雰囲気下、450℃の条件において90%以上であり、25℃から200℃までの最大膨張力が10MPa以下であることが好ましい。なお、本発明において、燃焼率は、熱重量示差熱測定(TG-DTA)での[(25℃における初期重量-各温度における重量)/(25℃における初期重量)]で算出した値であり、前記最大膨張力は、25℃から200℃における[(各温度での貯蔵弾性率)×(25℃での伸度を基準とした各温度での伸び率)]の最大値より算出した値である。
【0089】
本発明の立体造形物は、例えば、自動車部品、航空・宇宙関連部品、電気電子部品、建材、インテリア、宝飾、医療材料等に用いることができ、優れた硬度を有し、鋳造性に優れることから、医療材料の用途において好適に用いることができる。
【0090】
前記医療材料としては、例えば、歯科治療用のサージカルガイド、仮歯、ブリッジ、歯列矯正器具等の歯科用の硬質レジン材料が挙げられる。
【0091】
また、本発明の立体造形物は、優れた硬度及び鋳造性を有することから、前記立体造形物を用いた鋳型の製造にも好適である。
【0092】
前記鋳型の製造方法としては、例えば、本発明の立体造形物を埋没材で一部または全部を埋没させる工程(1)、前記埋没材を硬化または固化させる工程(2)、前記立体造形物を、溶融除去、分解除去、及び/または焼却除去させる工程(3)を有する方法等が挙げられる。
【0093】
前記埋没材としては、例えば、石膏系埋没材、リン酸塩系埋没材等が挙げられ、前記石膏系埋没材としては、例えば、シリカ埋没材、石英埋没材、クリストバライト埋没材等が挙げられる。
【0094】
前記工程(1)としては、本発明の立体造形物を埋没材で一部または全部を埋没させる工程である。この際、前記埋没材は、適量の水と練和させることが好ましい。混水比が多すぎると硬化時間が長くなり、少なすぎると流動性が悪くなり埋没材の流し込みが困難となる。また、前記立体造形物に界面活性剤を塗布すると埋没材が良く濡れてなじむため、鋳造物の表面に粗が出にくくなり好ましい。さらに、前記立体造形物を埋没する際は、鋳造物表面に気泡が付着しないように埋没することが好ましい。
【0095】
前記工程(2)としては、前記埋没材を硬化または固化させる工程である。前記埋没材として、石膏系埋没材を用いる場合、埋没材を固化させる温度は、200~400℃の範囲が好ましく、立体造形物を埋没後10~60分程度静置して固化させることが好ましい。
【0096】
前記工程(3)としては、前記立体造形物を、溶融除去、分解除去、及び/または焼却除去させる工程である。前記立体造形物を焼却除去する場合、焼成温度は、400~1000℃の範囲が好ましく、600~800℃の範囲がより好ましい。
【0097】
また、本発明の金属鋳造物は、前記工程(1)~(3)を経て得られた鋳型に、金属材料を流し込み、前記金属材料を固化させて[工程(4)]、得られるものである。これにより、前記立体造形物の原型に対応する金属鋳造物を製造することができる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0099】
(実施例1:三次元造形用パターン材料(1)の調製)
攪拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(10モル付加)ジメタクリレート80質量部と、ネオペンチルグリコールジメタクリレート20質量部と、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad TPO」;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)2質量部とを配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、三次元造形用パターン材料(1)を得た。
【0100】
(実施例2~8:三次元造形用パターン材料(2)~(8)の調製)
表2に示す組成及び配合比率で実施例1と同様の方法にて、三次元造形用パターン材料(2)~(8)を得た。
【0101】
(比較例1~6:三次元造形用パターン材料(9)~(14)の調製)
表2に示す組成及び配合比率で実施例1と同様の方法にて、三次元造形用パターン材料(9)~(14)を得た。
【0102】
(実施例9:立体造形物(E1)の作製)
実施例1で得られた三次元造形用パターン材料(1)をデジタルライトプロセッシング(DLP)方式の光造形システム(3Delight社製「DLPプリンターVITTRO」)を用いて、立体造形物(E1’)を作製した。この際、光造形の積層ピッチは0.05~0.1mm、照射波長380~390nm、光照射時間は1層当たり2~6秒とした。前記立体造形物(E1’)を、エタノール中で超音波洗浄した後、LED光源を備えた後硬化装置を用いて、前記立体造形物(E1’)の表面及び裏面よりそれぞれ10分ずつ光照射を行って後硬化させ、目的とする立体造形物(E1)を得た。
【0103】
(実施例10~16:立体造形物(E2)~(E8)の作製)
実施例9で用いた三次元造形用パターン材料(1)に代えて、実施例2~8で得た三次元造形用パターン材料(2)~(8)を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物(E2)~(E8)を得た。
【0104】
(比較例6~12:立体造形物(C1)~(C5)の作製)
実施例9で用いた三次元造形用パターン材料(1)に代えて、比較例1~6で得た三次元造形用パターン材料(9)~(14)を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物(C1)~(C6)を得た。
【0105】
上記の実施例及び比較例で得られた立体造形物(E1)~(E8)及び(C1)~(C6)を用いて、下記の評価を行った。
【0106】
[硬度の評価方法]
実施例及び比較例で得られた立体造形物について、JIS K 6253-3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―硬さの求め方―第3部:デュロメータ硬さ」に記載された測定方法に準じて測定を行った。
【0107】
[燃焼率の測定方法]
実施例及び比較例で得られた立体造形物を5~6mg片に粉砕したものを試験片とし、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA:メトラートレド社製TGA/DSC1)を用い、窒素雰囲気下で25℃から600℃まで10℃/分で昇温させた時の質量減少を測定し、450℃における燃焼率を[(25℃における初期重量-450℃における重量)/(25℃における初期重量)]から算出した。
【0108】
[最大膨張力の測定方法]
実施例及び比較例で得られた3次元造形用パターン材料を用いて、厚さ1mm、幅5mm、長さ50mmの立体造形物を作製し、前記立体造形物について、25℃から200℃における[(各温度での貯蔵弾性率)×(25℃での伸度を基準とした各温度での伸び率)]の最大値より算出した。なお、前記貯蔵弾性率は動的粘弾性測定装置(DMA:日立ハイテクサイエンス社製「DMS6100」)により、25℃から200℃での貯蔵弾性率の測定値を用い、前記伸び率は、熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製「SS-6100」)により、25℃での伸度を基準とした各温度における伸び率にて算出した。それぞれの値の積の最大値を最大膨張力とした。
【0109】
[鋳造性の評価方法]
クリストバライト埋没材(吉野石膏販売株式会社、サクラクイック30)と水を質量比100:33で混合した埋没材で実施例及び比較例で得られた立体造形物を埋没させ、25℃で30分間静置し埋没材を固化させた。次いで、700℃に加熱した電気炉で1時間加熱し、前記立体造形物を焼却させ鋳型を作製した。この際の鋳造性を、目視にて下記の基準に従い評価した。なお、鋳型の内部においては、鋳型を切断し、目視にて、ひび、亀裂の有無、立体造形物の残渣、煤の有無、鋳型への立体造形物の転写性の良・不良を判断したものである。
【0110】
○:鋳型外部及び内部にひび割れや亀裂がなく、鋳型内部に立体造形物の残渣、煤がなく、鋳型への立体造形物の転写性が良好である。
△:鋳型内部にひび割れや亀裂があるものの、鋳型外部にはひび割れや亀裂はなく、鋳型内部に立体造形物の残渣、煤がなく、鋳型への立体造形物の転写性が良好である。
×:鋳型外部のひび割れや亀裂、鋳型内部の立体造形物の残渣、煤残り、鋳型への立体造形物の転写不良の少なくとも1つを生じており、鋳型として使用不可である。
【0111】
実施例1~8で調製した三次元造形用パターン材料(1)~(8)の組成、及び実施例9~16で作成した立体造形物(E1)~(E8)、並びに比較例1~6で調製した三次元造形用パターン材料(9)~(14)の組成、及び比較例7~12で作成した立体造形物(C1)~(C6)の評価結果を表2に示す。
【0112】
【0113】