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  • 特許-半導体装置及び電池電圧の測定方法 図1
  • 特許-半導体装置及び電池電圧の測定方法 図2
  • 特許-半導体装置及び電池電圧の測定方法 図3
  • 特許-半導体装置及び電池電圧の測定方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】半導体装置及び電池電圧の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20230719BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230719BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230719BHJP
【FI】
G01R19/00 B
H01M10/48 P
H02J7/02 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019067432
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165846
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】杉村 直昭
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-282158(JP,A)
【文献】特開2016-121967(JP,A)
【文献】特開2002-204537(JP,A)
【文献】国際公開第2011/105083(WO,A1)
【文献】特開2017-83303(JP,A)
【文献】特開2012-118003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 31/36
H01M 10/42
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電池セルから第2の電池セルまで直列に接続された複数の電池セルから選択された1つの電池セルの高電位側の電圧が入力される第1の接続線と、
前記複数の電池セルから選択された1つの電池セルの低電位側の電圧が入力される第2の接続線と、
第1の接続線及び第2の接続線に接続される電圧計測回路と、
第1の接続線に接続される第1のスイッチと、
第2の接続線に接続される第2のスイッチと、
出力端が第1のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されている第1のバッファ回路と、
出力端が第2のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの高電位側に接続されている第2のバッファ回路と、
第2の電池セルの電圧を測定した後に、第1の電池セルの電圧を測定するときに、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンするように制御する制御部と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
第1の電池セルから第2の電池セルまで直列に接続された複数の電池セルから選択された1つの電池セルの高電位側の電圧が入力される第1の接続線と、
前記複数の電池セルから選択された1つの電池セルの低電位側の電圧が入力される第2の接続線と、
第1の接続線及び第2の接続線に接続される電圧計測回路と、
第1の接続線に接続される第1のスイッチと、
第2の接続線に接続される第2のスイッチと、
出力端が第1のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されている第1のバッファ回路と、
出力端が第2のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの高電位側に接続されている第2のバッファ回路と、
を備えた半導体装置による電池電圧の測定方法であって、
第2の電池セルの電圧を測定した後に、第1の電池セルの電圧を測定する際に、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンする
処理を含む電池電圧の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電池電圧の測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の電池セルを直列(多段)に接続した組電池を用いることにより、高電圧を生成することが行われている。一般に、組電池に含まれる電池セルの電池電圧は、組電池に接続された電池電圧測定用の半導体装置により測定される。
【0003】
このような電池電圧測定用の半導体装置として、電池セルの高電位側の電圧と、電池セルの低電位側の電圧とが入力されるアナログレベルシフタを備え、高電位側の電圧と低電位側の電圧との差に基づいて電池電圧を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-232161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電池電圧測定用の半導体装置においては、端子数の削減が要求されている。端子数を削減することにより、パッケージサイズの縮小、すなわち、装置の小型化を図ることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、電池セルの電池電圧に応じた電圧が入力される入力端子を削減しようとした場合、寄生容量が発生し、発生した寄生容量に蓄積された電荷に応じた電圧が誤差となるため、電池電圧の測定が正確にできないという問題が生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、電池電圧の測定において発生する寄生容量による測定誤差を抑制することができる、半導体装置及び電池電圧の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る半導体装置は、第1の電池セルから第2の電池セルまで直列に接続された複数の電池セルから選択された1つの電池セルの高電位側の電圧が入力される第1の接続線と、前記複数の電池セルから選択された1つの電池セルの低電位側の電圧が入力される第2の接続線と、第1の接続線及び第2の接続線に接続される電圧計測回路と、第1の接続線に接続される第1のスイッチと、第2の接続線に接続される第2のスイッチと、出力端が第1のスイッチ及び第2のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されているバッファ回路と、第2の電池セルの電圧を測定した後に、第1の電池セルの電圧を測定するときに、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンするように制御する制御部と、を備える。
【0009】
また、第2の発明に係る半導体装置は、第1の電池セルから第2の電池セルまで直列に接続された複数の電池セルから選択された1つの電池セルの高電位側の電圧が入力される第1の接続線と、前記複数の電池セルから選択された1つの電池セルの低電位側の電圧が入力される第2の接続線と、第1の接続線及び第2の接続線に接続される電圧計測回路と、第1の接続線に接続される第1のスイッチと、第2の接続線に接続される第2のスイッチと、出力端が第1のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されている第1のバッファ回路と、出力端が第2のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの高電位側に接続されている第2のバッファ回路と、第2の電池セルの電圧を測定した後に、第1の電池セルの電圧を測定するときに、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンするように制御する制御部と、を備える。
【0010】
また、第3の発明に係る電池電圧の測定方法は、第1の電池セルから第2の電池セルまで直列に接続された複数の電池セルから選択された1つの電池セルの高電位側の電圧が入力される第1の接続線と、前記複数の電池セルから選択された1つの電池セルの低電位側の電圧が入力される第2の接続線と、第1の接続線及び第2の接続線に接続される電圧計測回路と、第1の接続線に接続される第1のスイッチと、第2の接続線に接続される第2のスイッチと、出力端が第1のスイッチ及び第2のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されているバッファ回路と、を備えた半導体装置による電池電圧の測定方法であって、第2の電池セルの電圧を測定した後に、第1の電池セルの電圧を測定する際に、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンする処理を含む。
【0011】
また、第4の発明に係る電池電圧の測定方法は、第1の電池セルから第2の電池セルまで直列に接続された複数の電池セルから選択された1つの電池セルの高電位側の電圧が入力される第1の接続線と、前記複数の電池セルから選択された1つの電池セルの低電位側の電圧が入力される第2の接続線と、第1の接続線及び第2の接続線に接続される電圧計測回路と、第1の接続線に接続される第1のスイッチと、第2の接続線に接続される第2のスイッチと、出力端が第1のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されている第1のバッファ回路と、出力端が第2のスイッチに接続され、かつ入力端が第1の電池セルの高電位側に接続されている第2のバッファ回路と、を備えた半導体装置による電池電圧の測定方法であって、第2の電池セルの電圧を測定した後に、第1の電池セルの電圧を測定する際に、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンする処理を含む。
【発明の効果】
【0012】
電池電圧の測定において発生する寄生容量による測定誤差を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の半導体装置の一例の回路図である。
図2】本実施形態の半導体装置における電池セルの電池電圧の測定動作の一例を表すフローチャートである。
図3】第2実施形態の半導体装置の一例の回路図である。
図4】従来の半導体装置の一例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の半導体装置の一例である電池電圧測定用の半導体装置について説明する。
【0015】
[第1実施形態]
【0016】
まず、第1形態の半導体装置の構成について図面を参照して説明する。図1には、第1実施形態の半導体装置10の一例の回路図を示す。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置10は、制御部(以下、「CNT」という。)12と、スイッチ群20と、電圧計測回路30と、を備える。
【0018】
本実施の形態の半導体装置10は、複数の電池セルC1~Cn(以下、総称する場合は、「電池セルC」という。)の各々の電池電圧を測定するための機能を有する。複数の電池セルC1~Cnは、電池セルC1を最下段とし、電池セルCnを最上段として直列に接続されている。なお、本実施の形態では、直列に接続された電池セルCのうち、最高電位側を最上段、最低電位側を最下段という。電池セルの具体的一例としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等が挙げられる。電池セルC1は、第1の電池セルの一例である。また、電池セルCnは、第2の電池セルの一例である。
【0019】
なお、図1には、最下段の電池セルC1から最上段の電池セルCnが直列に接続されているが、最下段の電池セルC1よりも更に下位に電池セルが存在しており、かつ最上段の電池セルCnよりも更に上位に電池セルが存在している。
【0020】
電池セルC1~Cnの各々は、ローパスフィルタLPF~LPF(以下、総称する場合は「ローパスフィルタLPF」という。)を介して、半導体装置10に接続されている。本実施の形態のローパスフィルタLPF~LPF各々は、抵抗素子RLpf(RLpf1~RLpf4)及び容量素子CLpf(CLpf1~CLpf4)を組み合わせた、いわゆるRCフィルタである。
【0021】
例えば、半導体装置10には、ローパスフィルタLPF1を介して、電池セルC1の高電位側の電圧が入力される。また、半導体装置10には、ローパスフィルタLPF0を介して電池セルC1の低電位側の電圧が入力される。
【0022】
スイッチ群20は、スイッチSW、SWn-1,1,SWn-1,2,・・・,SW1,1,SW1,2,SW,SWE1,SWE2を備える。以下では、スイッチ群20が備えるこれらのスイッチを総称する場合は、「スイッチ群20のスイッチSW」という。また、スイッチ群20は、バッファ回路Buff1を備えている。
【0023】
CNT12は、半導体装置10の外部に設けられたMCU(Memory Control Unit)から入力される制御信号に基づいて、半導体装置10のスイッチSWの各々のオン、オフを制御する機能を有する。
【0024】
第1の接続線L1は、CNT12によるスイッチSWのオンオフ制御に応じて、電圧測定の対象である電池セルCの高電位側に接続される。また、第2の接続線L2は、CNT12によるスイッチSWのオンオフ制御に応じて、電圧測定の対象である電池セルCの低電位側に接続される。例えば、電圧測定の対象として最上段の電池セルCnが選択された場合には、スイッチSWとスイッチSWn-1,2とがオンされる。
【0025】
電圧計測回路30は、複数の電池セルC1~Cnの各々の電圧を計測する。電圧計測回路30は、図1に示されるように、第1の接続線L1及び第2の接続線L2に接続される。
【0026】
ここで、寄生容量について説明する。図1に示されるように、第1の接続線L1には寄生容量Cp1が発生し、第2の接続線L2には寄生容量Cp2が発生する。これらの寄生容量に蓄積された電荷は、電池電圧を測定する際に測定誤差を生じさせる。
【0027】
図4に、従来の電池電圧測定用の半導体装置を示す。図4に示されるように、最下段の電池セルC1とは異なる上位の電池セルCの電圧を測定した後に、最下段の電池セルC1を測定する場合、寄生容量Cp1及び寄生容量Cp2に蓄積された電荷によって、残電荷電流が最下段の電池セルC1へ流れ込む。残電荷電流はLPF0及びLPF1に流れ込み、誤差電圧を発生させる。この残電荷電流により、最下段の電池セルC1の電圧を測定する際には測定誤差が生じる。
【0028】
そこで、本実施形態においては、図1に示されるように、バッファ回路Buff1を設ける。バッファ回路Buff1は、出力端が第1のスイッチSWE1及び第2のスイッチSWE2に接続され、かつ入力端が最下段の電池セルC1の低電位側に接続されている。また、第1のスイッチは、第1の接続線に接続される。また、第2のスイッチは、第2の接続線に接続される。
【0029】
このため、CNT12は、最下段の電池セルC1から最上段の電池セルCnまで直列に接続された複数の電池セルの各々の電圧を順次測定する場合、最上段の電池セルCnの電圧を測定した後に、最下段の電池セルC1の電圧を測定するときには、第1のスイッチSWE1及び第2のスイッチSWE2をオンするように制御する。これにより、寄生容量Cp1及び寄生容量Cp2に蓄積された電荷は、残電荷電流としてバッファ回路Buff1の出力端へ流れる。このため、最下段の電池セルC1の電圧が計測される際には、残電荷電流が最下段の電池セルC1へ流れ込むことがないため、最下段の電池セルC1の電圧を精度良く計測することができる。
【0030】
次に、本実施の形態の半導体装置10における電池セルCの電池電圧の測定動作について、図面を参照して説明する。図2には、本実施の形態の半導体装置10における測定動作の一例を表すフローチャートを示す。なお、本実施の形態では、最下段の電池セルC1から、順次、最上段の電池セルCnまで、各電池セルCの電池電圧を測定する場合について説明する。このため、最上段の電池セルCnの電圧が計測された後には、最下段の電池セルC1の電圧が計測される。
【0031】
図2に示した測定動作は、CNT12が、MCUから電池電圧の測定を行う指示を表す制御信号を受信した場合に実行される。
【0032】
ステップS100において、CNT12は、電圧を測定する対象の電池セルは、最下段の電池セルC1であるか否かを判定する。電圧を測定する対象の電池セルが、最下段の電池セルC1である場合には、ステップS104へ移行する。一方、電圧を測定する対象の電池セルが、最下段の電池セルC1でない場合には、ステップS102へ移行する。
【0033】
ステップS102において、CNT12は、測定対象の電池セルCのスイッチをオンするように制御する。これにより、電圧計測回路30によって測定対象の電池セルCの電圧が計測される。例えば、測定対象の電池セルが最上段の電池セルCnである場合、第1のスイッチSWE1と第2のスイッチSWE2とがオンされ、電圧計測回路30によって最上段の電池セルCnの電圧が計測される。
【0034】
ステップS104において、CNT12は、第1のスイッチSWE1と第2のスイッチSWE2とをオンするように制御する。これにより、寄生容量Cp1及び寄生容量Cp2に溜まった残電荷は、残電荷電流としてバッファ回路Buff1の出力端へ流れる。
【0035】
最下段の電池セルC1の電圧を計測する際には、最上段の電池セルCnを含む上位の電池セルの電圧が計測された後であるため、寄生容量Cp1及び寄生容量Cp2に残電荷が溜まる。このため、上記ステップS104において、第1のスイッチSWE1と第2のスイッチSWE2とをオンするように制御し、寄生容量Cp1及び寄生容量Cp2に溜まった残電荷を残電荷電流としてバッファ回路Buff1の出力端へ流すようにする。
【0036】
ステップS106において、CNT12は、スイッチSW1,1とスイッチSWとをオンするように制御する。これにより、電圧計測回路30によって測定対象の最下段の電池セルC1の電圧が計測される。
【0037】
ステップS108において、全ての電池セルCの電圧を測定したか否か判定する。全ての電池セルCの電圧を測定した場合には処理を終了する。一方、電圧を測定していない電池セルCが存在する場合には、ステップS110において、次の測定対象の電池セルCが設定される。そして、全ての電池セルCの電圧の測定が終了するまで、ステップS100~S108の処理が繰り返される。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置10は、最下段の電池セルC1から最上段の電池セルCnまで直列に接続された複数の電池セルCと、電圧測定の対象である電池セルの高電位側に接続される第1の接続線L1と、電圧測定の対象である電池セルの低電位側に接続される第2の接続線L2と、第1の接続線L1及び第2の接続線L2に接続される電圧計測回路30と、出力端が第1のスイッチSWE1及び第2のスイッチSWE2に接続され、かつ入力端が最下段の電池セルCnの低電位側に接続されているバッファ回路Buff1と、CNT12と、を備える。CNT12は、最上段の電池セルCn等の上位の電池セルCの電圧を測定した後に、最下段の電池セルC1の電圧を測定するときに、第1のスイッチSWE1及び第2のスイッチSWE2をオンするように制御する。これにより、電池電圧の測定において発生する寄生容量による測定誤差を抑制することができる。具体的には、直列に接続された複数の電池セルCのうち、最低の電位側に接続された電池セルの電圧を計測する際の測定誤差を抑制することができる。
【0039】
また、最下段の電池セルC1よりも更に下位に電池セルが存在している場合に、第1の接続線L1及び第2の接続線L2を接地させなくとも、電圧の測定において発生する寄生容量による測定誤差を抑制することができる。
【0040】
[第2実施形態]
【0041】
次に、第2形態の半導体装置の構成について図面を参照して説明する。図3には、第2実施形態の半導体装置210の一例の回路図を示す。
【0042】
図3に示すように、第2実施形態の半導体装置210は、CNT12と、スイッチ群220と、電圧計測回路30と、を備える。
【0043】
スイッチ群220は、スイッチSW、SWn-1,1,SWn-1,2,・・・,SW1,1,SW1,2,SW,SWE3,SWE4を備える。また、スイッチ群20は、第1のバッファ回路Buff2-1と、第2のバッファ回路Buff2-2とを備えている。
【0044】
第1のバッファ回路Buff2-1は、出力端が第1のスイッチSWE3に接続され、かつ入力端が最下段の電池セルC1の低電位側に接続されている。また、第2のバッファ回路Buff2-2は、出力端が第2のスイッチSWE4に接続され、かつ入力端が最下段の電池セルC1の高電位側に接続されている。
【0045】
第2実施形態のCNT12は、最上段の電池セルCn等の上位の電池セルCの電圧を測定した後に、最下段の電池セルC1の電圧を測定するときには、第1のスイッチSWE3及び第2のスイッチSWE4をオンするように制御する。これにより、寄生容量Cp2に蓄積された電荷は、残電荷電流IR1として第1のバッファ回路Buff2-1の出力端へ流れる。また、寄生容量Cp1に蓄積された電荷は、残電荷電流IR2として第2のバッファ回路Buff2-2の出力端へ流れる。このため、最下段の電池セルC1の電圧が計測される際には、残電荷電流が最下段の電池セルC1へ流れ込むことがないため、最下段の電池セルC1の電圧を精度良く計測することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置210は、最下段の電池セルC1から最上段の電池セルCnまで直列に接続された複数の電池セルCと、電圧測定の対象である電池セルの高電位側に接続される第1の接続線L1と、電圧測定の対象である電池セルの低電位側に接続される第2の接続線L2と、第1の接続線L1及び第2の接続線L2に接続される電圧計測回路30と、出力端が第1のスイッチSWE3に接続され、かつ入力端が第1の電池セルの低電位側に接続されている第1のバッファ回路Buff2-1と、出力端が第2のスイッチSWE4に接続され、かつ入力端が最下段の電池セルCnの高電位側に接続されている第2のバッファ回路Buff2-2と、CNT12とを備える。CNT12は、最上段の電池セルCn等の上位の電池セルの電圧を測定した後に、最下段の電池セルC1の電圧を測定するときに、第1のスイッチSWE3及び第2のスイッチSWE4をオンするように制御する。これにより、電池電圧の測定において発生する寄生容量による測定誤差を抑制することができる。具体的には、直列に接続された複数の電池セルCのうち、最低の電位側に接続された電池セルの電圧を計測する際の測定誤差を抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態の半導体装置で示した、電池セルの個数等は、特に限定されるものではない。
【0048】
また、本実施の形態で説明した半導体装置等の構成及び測定動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
10,210 半導体装置
20,220 スイッチ群
30 電圧計測回路
SWE1,SWE3 第1のスイッチ
SWE2,SWE4 第2のスイッチ
Buff1 バッファ回路
Buff2-1 第1のバッファ回路
Buff2-2 第2のバッファ回路
C,C1,Cn 電池セル
L1 第1の接続線
L2 第2の接続線
図1
図2
図3
図4