(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】流動性耐火材料のための組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 28/06 20060101AFI20230719BHJP
C04B 14/30 20060101ALI20230719BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20230719BHJP
C04B 22/16 20060101ALI20230719BHJP
C04B 24/04 20060101ALI20230719BHJP
C04B 24/06 20060101ALI20230719BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20230719BHJP
C04B 24/32 20060101ALI20230719BHJP
C08L 101/06 20060101ALI20230719BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230719BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20230719BHJP
【FI】
C04B28/06
C04B14/30
C04B22/08 Z
C04B22/16 A
C04B24/04
C04B24/06 A
C04B22/16
C04B24/26 B
C04B24/26 F
C04B24/32 A
C08L101/06
C08K3/22
C08K3/00
(21)【出願番号】P 2020572534
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2019066870
(87)【国際公開番号】W WO2020007664
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アドルフ・フェーベルベック
(72)【発明者】
【氏名】コンラート・ヴッツ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・アスマン
(72)【発明者】
【氏名】トーベン・ガエト
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-157099(JP,A)
【文献】特開2005-112709(JP,A)
【文献】特公昭50-033498(JP,B1)
【文献】特開2010-013301(JP,A)
【文献】特表2018-513089(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029095(WO,A1)
【文献】特表2012-501293(JP,A)
【文献】特開平11-116307(JP,A)
【文献】特開昭64-083543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
C08L 101/06
C08K 3/00
C08K 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性耐火材料のための組成物であって、前記組成物の全質量に基づき、
i)
1.0質量%から20.0質量%のアルミン酸カルシウムセメントと、
ii)
60.0質量%から98.99質量%の少なくとも1種のフィラーと、
iii)
0.01質量%から3.0質量%の主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも1種のコポリマーを含む少なくとも1種の可塑剤と、
iv)
0.01質量%から5.0質量%の少なくとも1種の酸を含む少なくとも1種の遅延剤と、
を含
み、
ホウ酸及びホウ酸誘導体を含まず、
前記少なくとも1種の酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸、金属塩、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記少なくとも1種のコポリマーの前記ポリエーテル側鎖が、構造単位(I)
【化1】
(式中、
*は、前記ポリマーの結合部位を示し、
Uは、化学結合、又は1から8個の炭素原子を有する非置換の若しくはカルボキシエステル、カルボキシ、ホスホノ、スルフィノ、スルホ、スルファミド、スルホキシ、スルホアルキルオキシ、スルフィノアルキルオキシ及びホスホノオキシからの少なくとも一種の基によって置換されているアルキレン基であり、
Xは、酸素、硫黄又はNR
1
基を示し、
kは、0又は1であり、
zは、整数であって、その平均値は、ポリマーに基づいて、3から300の範囲内にあり、
Alkは、C
2
~C
4
アルキレンであって、Alkは(Alk-O)
Z
基中で同一又は異なり、
Wは、水素基、C
1
~C
6
アルキル基若しくはアリール基を示し、又はY-F基を示し、式中、
Yは、2から8個の炭素原子を有し、フェニル環を有していてもよい、直鎖又は分枝アルキレン基であり、
Fは、窒素が結合した5から10員の窒素複素環であり、環原子として、窒素原子及び炭素原子に加えて、酸素、窒素及び硫黄から選択される1個、2個又は3個の追加のヘテロ原子を有していてもよく、
前記窒素環原子はR
2
基を有していてもよく、1個又は2個の炭素環原子はカルボニル基の形態で存在していてもよく、
R
1
は、水素、C
1
~C
4
アルキル又はベンジルであり、
R
2
は、水素、C
1
~C
4
アルキル又はベンジルである)
のポリエーテル側鎖である、流動性耐火材料のための組成物。
【請求項2】
前記主鎖が、
i)少なくとも16個の炭素原子を有する炭素鎖からなる少なくとも1種の構造単位からなる、
又は
ii)(C-C-O)
n鎖からなる少なくとも1種の構造単位からなり、式中nは少なくとも5の数である、
又は
iii)芳香族系又はヘテロ芳香族系を含む少なくとも1種の構造単位からなる、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のコポリマーが、カルボキシエステル基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基及びホスホノオキシ基からの少なくとも一種の基を含む、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のコポリマーが、
(II)芳香族系又はヘテロ芳香族系及びポリエーテル基を有する構造単位、及び/又は、
(III)芳香族系又はヘテロ芳香族系を有するリン酸化構造単位
を含む重縮合生成物である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記構造単位(II)及び(III)が、以下の一般式
【化2】
(式中、
Aは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、さらなる基は構造単位(I)で与えられる定義を有する);
【化3】
(式中、
Dは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、
式中、
Eは、同一又は異なり、N、NH又はOで表され、
式中、
E=Nの場合m=2であり、E=NH又はE=Oの場合m=1であり、
式中、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して同一又は異なり、分枝又は非分枝C
1~C
10アルキル基、C
5~C
8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHで表され、
式中、
bは、同一又は異なり、0から300の整数で表される)
で表される、請求項
4に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属塩がアルミニウム塩である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の酸が、式(VII)
【化4】
(式中、
R
17は、分枝又は非分枝C
1~C
20アルキル基、非置換又は1つ以上の分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基で置換され得るC
6~C
10アリール基、NR
18R
19又は式(VIII)の置換基であり、
【化5】
式中、
R
18及びR
19は、それぞれ独立して同一又は異なり得、水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
R
20及びR
21は、それぞれ独立して水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
Vは、-O-又は-NH-であり、
R
22は、水素又はメチルであり、
pは、0から10の数であり、
Mは、水素、金属カチオン又はアンモニウムカチオンであり、
aは、1又は1/金属カチオンの価数である)
のスルホン酸である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の酸が、式(VII)
(式中、
R
17は、非分枝C
1~C
2アルキル基又はNR
18R
19であり、
R
18及びR
19は、水素であり、
R
20及びR
21は、メチルであり、
Vは、-NH-であり、
R
22は、水素であり、
pは、0から2の数であり、及び
Mは、水素である)
のスルホン酸である、請求項
7に記載の組成物。
【請求項9】
前記フィラーが酸化アルミニウムである、請求項1から
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物がホウ素を含まない、請求項1から
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記組成物の全質量に基づき、3.0質量%未満の量でポルトランドセメントを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の組成物を含む
耐火性物品。
【請求項13】
流動性耐火材料における、請求項1から
11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミン酸カルシウムセメント、フィラー、ポリエーテル側鎖を含むコポリマーの形態の可塑剤、及び少なくとも一種の酸を含む遅延剤を含む流動性耐火材料のための組成物に関する。本発明は、前記組成物を含む物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
可塑剤及び凝結遅延剤は、不定形耐火材料の、特にキャスタブルとして知られているものの所要水量を低減する有機の又は無機の添加物である。その可塑剤は、同じ含水率に対する耐火材料の加工性を向上させるという事実、又は、材料の稠度を維持しながら、それらの助けを受けて水の添加を減少させることで、低い水分値が設定され得るという事実によって区別されている。
【0003】
アルミン酸セメント含有耐火材料は、アルミン酸カルシウムセメント(同義名:耐火セメント、アルミナセメント又は高アルミナセメント)が水硬性結合剤として機能するものである。これらのセメントは、Al2O3が豊富なアルミン酸カルシウム又はアルミン酸バリウムをベースにしており、Al2O3含有量は少なくとも35%である。セメント含有量を分類する場合、水和成分としてのCaOの含有量が決め手となる。
【0004】
凝結遅延剤としてのホウ酸及びホウ酸誘導体の使用は、水硬性結合剤組成物、及び特にアルミン酸カルシウムセメントを含む水硬性結合剤組成物において有用であることが示されている。凝結遅延剤としてホウ酸を含む結合剤組成物は、長期間で成形可能であって優れた加工性を特徴とし、一方で製造された成形体の強度値は高いレベルのままである。
【0005】
しかし、ホウ酸及びホウ酸エステルは、現在のECの法律(REACH)によって健康に有害と分類されている。したがって、5.5%ホウ酸又は8.5%ホウ砂に相当する、1%のホウ素含有量から出発する調製物は、「生殖を害する可能性がある」及び「胎児に害を及ぼす可能性がある」という危険有害性情報(hazard statement)を使用する毒として特定しなければならない。これらの増加する要求のために、及び水硬性結合剤を使用する場合の危険を防ぐために、ホウ酸を含まない凝結遅延剤の使用が好ましい。
【0006】
したがって、セメント含有水硬性結合剤のための、特にホウ酸及びホウ酸誘導体を一切含まない、流動性耐火材料のための、凝結遅延剤の必要性が存在する。
【0007】
例えば、国際公開第2015/036262号には、ホウ酸の代わりに、クエン酸三ナトリウム、ポリカルボン酸エステル及びスルホン酸の混合物を凝結遅延剤として含む、結合剤組成物のための可塑化システムが記載されている。しかし、記載されている結合剤組成物は、セメントを含んでいない。
【0008】
欧州特許第1535887A1号には、ホウ酸を含まない凝結遅延剤を含む、アルミン酸カルシウムセメントをベースとする耐火材料のための結合剤組成物が記載されている。しかし、これらの組成物の加工は、比較的大量の混合水を必要とし、これは結果として得られる耐火材料の強度及び耐久性に悪影響を与える。建築材料混合物、特に無機結合剤をベースとする建築材料混合物を、すぐに使えて、加工可能な形態とするために、その後の水和/凝結プロセスに必要となる混合水よりも実質的に多くの混合水を使用することが一般に必要である。後の段階で蒸発する過剰の水の結果として形成される、建築物中の空洞含有量は、力学的強度、安定性及び耐久性における著しい劣化をもたらす。
【0009】
所定の加工稠度のためのこの過剰な水画分を減少させるために、及び/又は所定の水/結合剤の比率に対する加工性を向上させるために、建築化学(construction chemistry)において減水剤又は可塑剤として一般に特定されている混合物が使用される。公知のその混合物は、主にナフタレンスルホン酸又はアルキルナフタレンスルホン酸、及びスルホン酸基含有メラミンホルムアルデヒド樹脂をベースとする重縮合生成物を含む。欧州特許第1535887A1号に記載されている結合剤組成物は、β-ナフタレンスルホン酸塩及びホルマリンから生成される縮合物を可塑剤として含む。しかし、上述で示したとおり、混合水の必要量はこの場合において満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2015/036262号
【文献】欧州特許第1535887A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、ホウ酸及びホウ酸誘導体を含まず、同時に優れた流動挙動及び必要最小限の混合水を有する高い強度値を特徴とする、セメント含有の、特にアルミン酸カルシウムセメント含有の、耐火材料のための結合剤組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本目的は、
i)アルミン酸カルシウムセメントと、
ii)少なくとも一種のフィラーと、
iii)主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも1種のコポリマーを含む少なくとも1種の可塑剤と、
iv)少なくとも1種の酸を含む少なくとも1種の遅延剤と、
を含む、流動性耐火材料のための組成物によって達成された。
【0013】
驚くべきことに、アルミン酸カルシウムセメント、ポリエーテル側鎖を有するポリマー可塑剤、及び遅延剤としての酸を含む組成物が優れた流動挙動を示し、加工に要する混合水は少量であることが見いだされている。リグノスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸塩をベースとする可塑剤は、それらの効能に関して、本発明によるコポリマーより著しく劣っていることが見いだされている。流動性は、組成物が好ましくは耐火性組成物であり、特に自由流動性(free-flowing)耐火性組成物であるという事実に関連して特に重視されるべきである。組成物は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは3.0質量%未満、より好ましくは2.0質量%未満、特に好ましくは1.0質量%未満のポルトランドセメントを含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、主鎖は、
i)少なくとも16個の炭素原子を有する炭素鎖からなる少なくとも1種の構造単位からなる、
又は
ii)(C-C-O)n鎖からなる少なくとも1種の構造単位からなり、式中nは少なくとも5の数である、
又は
iii)芳香族系又はヘテロ芳香族系を含む少なくとも1種の構造単位からなる。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、少なくとも一種のコポリマーのポリエーテル側鎖は、構造単位(I)
【化1】
(式中、
*は、ポリマーの結合部位を示し、
Uは、化学結合、又は1から8個の炭素原子を有する非置換の若しくはカルボキシエステル、カルボキシ、ホスホノ、スルフィノ、スルホ、スルファミド、スルホキシ、スルホアルキルオキシ、スルフィノアルキルオキシ及びホスホノオキシからの少なくとも一種の基によって置換されているアルキレン基であり、
Xは、酸素、硫黄又はNR
1基を示し、
kは、0又は1であり、
zは、整数であって、その平均値は、ポリマーに基づいて、3から300の範囲内にあり、
Alkは、C
2~C
4アルキレンであって、Alkは(Alk-O)
Z基中で同一又は異なり、
Wは、水素基、C
1~C
6アルキル基若しくはアリール基を示し、又はY-F基を示し、式中、
Yは、2から8個の炭素原子を有し、フェニル環を有していてもよい、直鎖又は分枝アルキレン基であり、
Fは、窒素が結合した5から10員の窒素複素環であり、環原子として、窒素原子及び炭素原子に加えて、酸素、窒素及び硫黄から選択される1個、2個又は3個の追加のヘテロ原子を有していてもよく、
窒素環原子はR
2基を有していてもよく、1個又は2個の炭素環原子はカルボニル基の形態で存在していてもよく、
R
1は、水素、C
1~C
4アルキル又はベンジルであり、
R
2は、水素、C
1~C
4アルキル又はベンジルである)
のポリエーテル側鎖である。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、少なくとも1種のコポリマーが、カルボキシエステル基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基及びホスホノオキシ基からの少なくとも一種の基を含む。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、少なくとも1種のコポリマーが、
(II)芳香族系又はヘテロ芳香族系及びポリエーテル基を有する構造単位、及び/又は、
(III)芳香族系又はヘテロ芳香族系を有するリン酸化構造単位
を含む重縮合生成物である。
【0018】
構造単位(II)及び(III)は、特に好ましくは以下の一般式
【化2】
(式中、
Aは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、さらなる基は構造単位(I)で与えられる定義を有する);
【化3】
(式中、
Dは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、
式中、
Eは、同一又は異なり、N、NH又はOで表され、
式中、
E=Nの場合m=2であり、E=NH又はE=Oの場合m=1であり、
式中、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して同一又は異なり、分枝又は非分枝C
1~C
10アルキル基、C
5~C
8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHで表され、
式中、
bは、同一又は異なり、0から300の整数で表される)
で表される。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、少なくとも1種の酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸、金属塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
金属塩は、好ましくはアルミニウム塩である。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、少なくとも1種の酸が、式(VII)
【化4】
(式中、
R
17は、分枝又は非分枝C
1~C
20アルキル基、非置換又は1つ以上の分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基で置換され得るC
6~C
10アリール基、NR
18R
19又は式(VIII)の置換基であり、
【化5】
式中、
R
18及びR
19は、それぞれ独立して同一又は異なり得、水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
R
20及びR
21は、それぞれ独立して水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
Vは、-O-又は-NH-であり、
R
22は、水素又はメチルであり、
pは、0から10の数であり、
Mは、水素、金属カチオン又はアンモニウムカチオンであり、
aは、1又は1/価数の金属カチオンである)
のスルホン酸である。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、組成物は、組成物の全質量に基づき、
i)1.0質量%から20.0質量%のアルミン酸カルシウムセメントと、
ii)60.0質量%から98.99質量%の少なくとも1種のフィラーと、
iii)0.01質量%から3.0質量%の主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤と、
iv)0.01質量%から5.0質量%の少なくとも一種の酸を含む少なくとも一種の遅延剤と、
を含む。
【0023】
フィラーは、特に好ましくは酸化アルミニウムである。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施形態によると、組成物はホウ素を含まない。
【0025】
本発明は、前述の組成物を含む物品にも関する。
【0026】
前述の物品は、好ましくは耐火性物品である。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、
i)アルミン酸カルシウムセメントと、
ii)少なくとも一種のフィラーと、
iii)主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも1種のコポリマーを含む少なくとも1種の可塑剤と、
iv)少なくとも1種の酸を含む少なくとも1種の遅延剤と、
を含む組成物の流動性耐火材料としての使用に関する。
【0028】
好ましい使用によると、主鎖は、
i)少なくとも16個の炭素原子を有する炭素鎖からなる少なくとも1種の構造単位からなる、
又は
ii)(C-C-O)n鎖からなる少なくとも1種の構造単位からなり、式中nは少なくとも5の数である、
又は
iii)芳香族系又はヘテロ芳香族系を含む少なくとも1種の構造単位からなる。
【0029】
さらに好ましい使用によると、少なくとも一種のコポリマーのポリエーテル側鎖は、構造単位(I)
【化6】
(式中、
*は、ポリマーの結合部位を示し、
Uは、化学結合、又は1から8個の炭素原子を有する非置換の若しくはカルボキシエステル、カルボキシ、ホスホノ、スルフィノ、スルホ、スルファミド、スルホキシ、スルホアルキルオキシ、スルフィノアルキルオキシ及びホスホノオキシからの少なくとも一種の基によって置換されているアルキレン基であり、
Xは、酸素、硫黄又はNR
1基を示し、
kは、0又は1であり、
zは、整数であって、その平均値は、ポリマーに基づいて、3から300の範囲内にあり、
Alkは、C
2~C
4アルキレンであって、Alkは(Alk-O)
Z基中で同一又は異なり、
Wは、水素基、C
1~C
6アルキル基若しくはアリール基を示し、又はY-F基を示し、式中、
Yは、2から8個の炭素原子を有し、フェニル環を有していてもよい、直鎖又は分枝アルキレン基であり、
Fは、窒素が結合した5から10員の窒素複素環であり、環原子として、窒素原子及び炭素原子に加えて、酸素、窒素及び硫黄から選択される1個、2個又は3個の追加のヘテロ原子を有していてもよく、
窒素環原子はR
2基を有していてもよく、1個又は2個の炭素環原子はカルボニル基の形態で存在していてもよく、
R
1は、水素、C
1~C
4アルキル又はベンジルであり、
R
2は、水素、C
1~C
4アルキル又はベンジルである)
のポリエーテル側鎖である。
【0030】
さらに好ましい使用によると、少なくとも1種のコポリマーが、カルボキシエステル基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基及びホスホノオキシ基からの少なくとも一種の基を含む。
【0031】
さらに好ましい使用によると、少なくとも1種のコポリマーが、
(II)芳香族系又はヘテロ芳香族系及びポリエーテル基を有する構造単位、及び/又は、
(III)芳香族系又はヘテロ芳香族系を有するリン酸化構造単位
を含む重縮合生成物である。
【0032】
特に好ましい使用によると、構造単位(II)及び(III)は、以下の一般式
【化7】
(式中、
Aは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、さらなる基は構造単位(I)で与えられる定義を有する);
【化8】
(式中、
Dは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、
式中、
Eは、同一又は異なり、N、NH又はOで表され、
式中、
E=Nの場合m=2であり、E=NH又はE=Oの場合m=1であり、
式中、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して同一又は異なり、分枝又は非分枝C
1~C
10アルキル基、C
5~C
8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHで表され、
式中、
bは、同一又は異なり、0から300の整数で表される)
で表される。
【0033】
さらに好ましい使用によると、少なくとも1種の酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸、金属塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0034】
さらに好ましい使用によると、金属塩はアルミニウム塩である。
【0035】
さらに好ましい使用によると、少なくとも1種の酸が、式(VII)
【化9】
(式中、
R
17は、分枝又は非分枝C
1~C
20アルキル基、非置換又は1つ以上の分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基で置換され得るC
6~C
10アリール基、NR
18R
19又は式(VIII)の置換基であり、
【化10】
式中、
R
18及びR
19は、それぞれ独立して同一又は異なり得、水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
R
20及びR
21は、それぞれ独立して水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
Vは、-O-又は-NH-であり、
R
22は、水素又はメチルであり、
pは、0から10の数であり、
Mは、水素、金属カチオン又はアンモニウムカチオンであり、
aは、1又は1/価数の金属カチオンである)
のスルホン酸である。
【0036】
さらに好ましい使用によると、組成物は、組成物の全質量に基づき、
i)1.0質量%から20.0質量%のアルミン酸カルシウムセメントと、
ii)60.0質量%から98.99質量%の少なくとも1種のフィラーと、
iii)0.01質量%から3.0質量%の主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤と、
iv)0.01質量%から5.0質量%の少なくとも一種の酸を含む少なくとも一種の遅延剤と、
を含む。
【0037】
さらに好ましい使用によると、フィラーは酸化アルミニウムである。
【0038】
さらに好ましい使用によると、組成物はホウ素を含まない。
【0039】
さらに好ましくは、組成物は耐火性組成物である。組成物は、好ましくは自由流動性耐火性組成物である。したがって、必須成分は、好ましくは、アルミン酸カルシウムセメント及び酸化アルミニウムであり、少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%の総量で好ましくは存在する。
【0040】
さらに好ましくは、組成物は、組成物の全質量に基づき、3.0質量%未満、より好ましくは2.0質量%、特に好ましくは1.0質量%未満のポルトランドセメントを含む。
【0041】
さらに好ましくは、組成物は、組成物の全質量に基づき、3.0質量%未満、より好ましくは2.0質量%未満、特に好ましくは1.0質量%未満の、硬石膏(CaSO4)、硫酸カルシウムヘミ水和物(CaSO4・0.5H2O)及び/又は石膏(CaSO4・2H2O)の群から選択される硫酸塩源(sulfate source)を含む。
【0042】
本発明を、以下でより詳細に説明する。
【0043】
前述のとおり、本発明は、
i)アルミン酸カルシウムセメントと、
ii)少なくとも一種のフィラーと、
iii)主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも1種のコポリマーを含む少なくとも1種の可塑剤と、
iv)少なくとも1種の酸を含む少なくとも1種の遅延剤と、
を含む、流動性耐火材料のための組成物に関する。
【0044】
本発明の文脈において、「耐火材料」という用語は、水の存在下での熱処理によって耐火性物品が得られる組成物を指す。
【0045】
本発明の組成物の主成分の一つは、アルミン酸カルシウムセメントである。
【0046】
本発明の文脈において、「セメント」という用語は、無機の、細かく粉砕された水硬性結合剤を指す。DIN EN 197-1(11/2011)は、様々なタイプのセメントをCEM I-Vのカテゴリーに分類している。「セメント」という用語には、EN 14216に従ったセメント、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント(CSAセメント)、及びこれらの混合物も含まれる。
【0047】
アルミン酸カルシウムセメントは、式CaO・Al2O3の鉱物を含む。それらは、例えば酸化カルシウム(CaO)又は石灰岩(CaCO3)をボーキサイト又はアルミン酸塩を用いて溶融させることによって得られ得る。アルミン酸カルシウムセメントは、約20質量%から40質量%のCaO、5質量%以下のSiO2、約40質量%から80質量%のAl2O3、及び約20質量%以下のFe2O3を含む。アルミン酸カルシウムセメントは、規格DIN EN 14647(01/2006)で定義されている。
【0048】
スルホアルミン酸カルシウムセメントは、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al2O3)、硬石膏(CaSO4)、硫酸カルシウムヘミ水和物(CaSO4・0.5H2O)及び/又は石膏(CaSO4・2H2O)から製造されてもよい。
【0049】
本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは1.0質量%から20.0質量%、より好ましくは2.0質量%から15.0質量%、さらにより好ましくは3.0質量%から10.0質量%、特に好ましくは4.0質量%から6.0質量%のアルミン酸カルシウムセメントを含む。
【0050】
本発明の組成物のさらなる成分は、フィラーである。
【0051】
本発明の文脈において、「フィラー」という用語は、組成物の特性を損なうことなく体積を増加させるために添加されてもよい材料を指す。
【0052】
耐火材料の分野において、フィラーとしての酸化アルミニウムの使用が特に有利であることが分かっている。したがって、本発明により使用されるフィラーは、好ましくは酸化アルミニウムである。
【0053】
フィラーは好ましくは、焼成酸化アルミニウムを含み;より好ましくは、フィラーは焼成酸化アルミニウムからなる。特に、これは、0.001から8mmの平均粒子径を有する焼成酸化アルミニウムである。本発明の好ましい一実施形態によると、フィラーは少なくとも一種の前述した粒子径の焼成酸化アルミニウムを含む。特に、フィラーは異なる粒子径を有する2種以上の焼成酸化アルミニウムを含み得る。
【0054】
焼成酸化アルミニウムの製造方法は、当業者に公知である。例えば、焼成酸化アルミニウムは、市販の水酸化アルミニウムから熱処理及びそれに続く粉砕(grinding)によって得られ得る。焼成は、1200から1800℃の温度で酸化アルミニウムるつぼ内又はガス加熱回転炉内において達成され得;それに続く粉砕は、工業用ミル内において好適な粉砕媒体を用いる湿式法又は乾式法で実行され得る。
【0055】
本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは60.0質量%から98.99質量%、より好ましくは70.0質量%から92.0質量%、さらにより好ましくは80.0質量%から90.0質量%、特に好ましくは83.0質量%から88.0質量%の少なくとも一種のフィラーを含む。
【0056】
前述のとおり、少なくとも一種のフィラーは、好ましくは酸化アルミニウム、特に好ましくは焼成酸化アルミニウムである。
【0057】
したがって、本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは60.0質量%から98.99質量%、より好ましくは70.0質量%から92.0質量%、さらにより好ましくは80.0質量%から90.0質量%、特に好ましくは83.0質量%から88.0質量%の酸化アルミニウム、より好ましくは焼成酸化アルミニウムを含む。
【0058】
本発明の組成物は、主鎖及びポリエーテル側鎖を含む少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤も含む。
【0059】
少なくとも一種のコポリマーは、好ましくは、実質的に同じ長さの比較的長鎖の側鎖を一定間隔で含む線状主鎖からなる櫛形ポリマーである。
【0060】
コポリマーは、好ましくは、
i)少なくとも16個の炭素原子を有する炭素鎖からなる少なくとも1種の構造単位の主鎖からなる、
又は
ii)(C-C-O)n鎖からなる少なくとも1種の構造単位の主鎖からなり、式中nは少なくとも5の数である、
又は
iii)芳香族系又はヘテロ芳香族系を含む少なくとも1種の構造単位の主鎖からなる。
【0061】
少なくとも16個の炭素原子を有する炭素鎖からなる構造単位は、好ましくは、アルキル基、カルボキシエステル基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基及びホスホノオキシ基からの少なくとも一種の基によって置換されている。前述の基は、特に好ましくはカルボキシ基である、
【0062】
したがって、少なくとも16個の炭素原子を有する炭素鎖を含む構造単位は、好ましくはポリカルボキシレートである。
【0063】
(C-C-O)n鎖からなる構造単位において、nは好ましくは少なくとも5の数、より好ましくは5から70の数、さらにより好ましくは7から50の数である。
【0064】
芳香族系又はヘテロ芳香族系を含む構造単位は、好ましくは重縮合生成物である。
【0065】
コポリマーの側鎖は、好ましくはポリエーテル側鎖である。
【0066】
本発明の好ましい一実施形態によると、前述のポリエーテル側鎖は、構造単位(I)
【化11】
(式中、
*は、ポリマーの結合部位を示し、
Uは、化学結合、又は1から8個の炭素原子を有する非置換の若しくはカルボキシエステル、カルボキシ、ホスホノ、スルフィノ、スルホ、スルファミド、スルホキシ、スルホアルキルオキシ、スルフィノアルキルオキシ及びホスホノオキシからの少なくとも一種の基によって置換されているアルキレン基であり、
Xは、酸素、硫黄又はNR
1基を示し、
kは、0又は1であり、
zは、整数であって、その平均値は、ポリマーに基づいて、3から300の範囲内にあり、
Alkは、C
2~C
4アルキレンであって、Alkは(Alk-O)
Z基中で同一又は異なり、
Wは、水素基、C
1~C
6アルキル基若しくはアリール基を示し、又はY-F基を示し、式中、
Yは、2から8個の炭素原子を有し、フェニル環を有していてもよい、直鎖又は分枝アルキレン基であり、
Fは、窒素が結合した5から10員の窒素複素環であり、環原子として、窒素原子及び炭素原子に加えて、酸素、窒素及び硫黄から選択される1個、2個又は3個の追加のヘテロ原子を有していてもよく、
窒素環原子はR
2基を有していてもよく、1個又は2個の炭素環原子はカルボニル基の形態で存在していてもよく、
R
1は、水素、C
1~C
4アルキル又はベンジルであり、
R
2は、水素、C
1~C
4アルキル又はベンジルである)
のポリエーテル側鎖である。
【0067】
少なくとも一種の分枝コポリマーは、好ましくはカルボキシエステル基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基及びホスホノオキシ基からの少なくとも一種の基を含む。前述の基は、特に好ましくはカルボキシ基である。
【0068】
したがって、本発明の好ましい一実施形態によると、前述のポリエーテル側鎖は、構造単位(I)
【化12】
(式中、
*は、ポリマーの結合部位を示し、
Uは、化学結合、又は1から8個の炭素原子を有する非置換の若しくは少なくとも一種のカルボキシ基によって置換されているアルキレン基であり、残りの基は前述で与えた定義を有する)
のポリエーテル側鎖である。
【0069】
好ましい一実施形態において、分枝コポリマーは、
(II)芳香族系又はヘテロ芳香族系及びポリエーテル基を有する構造単位、及び/又は、
(III)芳香族系又はヘテロ芳香族系を有するリン酸化構造単位
を含む重縮合生成物である。
【0070】
構造単位(II)及び(III)は、好ましくは以下の一般式
【化13】
(式中、
Aは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表され、さらなる基は構造単位(I)で与えられる定義を有する);
【化14】
(式中、
Dは、同一又は異なり、芳香族系中に5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表される)
で表される。
【0071】
さらに、Eは同一又は異なり、N、NH又はOで表され、E=Nの場合m=2であり、E=NH又はE=Oの場合m=1である。
【0072】
R3及びR4は、それぞれ独立して同一又は異なり、分枝又は非分枝C1~C10アルキル基、C5~C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHで表され、好ましくはH、メチル、エチル、フェニルで表され、特に好ましくはH又はメチルで表され、とりわけ好ましくはHで表される。さらに、bは同一又は異なり、0から300の整数で表される。b=0の場合、E=Oである。特に好ましくは、D=フェニル、E=O、R3及びR4=H、b=1である。
【0073】
重縮合生成物は、好ましくは以下の式で表される更なる構造単位(IV)
【化15】
(式中、
Yは、それぞれの場合において独立して同一又は異なり、(II)、(III)又はさらなる重縮合生成物成分で表される)
を含む。
【0074】
R5及びR6は、好ましくは同一又は異なり、H、CH3、COOH、又は5から10個の炭素原子を有する置換の又は非置換の芳香族化合物若しくはヘテロ芳香族化合物で表される。本明細書において、構造単位(IV)におけるR5及びR6は、それぞれ独立して好ましくはH、COOH及び/又はメチルで表される。
【0075】
特に好ましい一実施形態において、R5及びR6はHで表される。
【0076】
本発明のリン酸化重縮合生成物における構造単位(II)、(III)及び(IV)のモル比は、広い範囲内で変更され得る。構造単位のモル比[(II)+(III)]:(IV)が1:0.8から3、好ましくは1:0.9から2、特に好ましくは1:0.95から1.2であることが適切であることが分かっている。
【0077】
構造単位のモル比(II):(III)は、通常1:10から10:1、好ましくは1:7から5:1、特に好ましくは1:5から3:1である。
【0078】
重縮合生成物の構造単位(II)及び(III)における基A及び基Dは、通常、フェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、ナフチル、2-ヒドロキシナフチル、4-ヒドロキシナフチル、2-メトキシナフチル、4-メトキシナフチルで表され、好ましくはフェニルであって、A及びDは互いに独立して選択され得、また前述の化合物の混合物からなり得る。基X及び基Eは、それぞれ独立して好ましくはOで表される。
【0079】
好ましくは、構造単位(I)におけるzは、5から280、特に10から160、特に好ましくは12から120の整数で表され、構造単位(III)におけるbは、0から10、好ましくは1から7、特に好ましくは1から5の整数で表される。長さがz又はbで定義されているそれぞれの基は、本明細書において、同一の成分の基からなってもよいが、これらが異なる成分の基の混合物であることもまた適切である。さらに、構造単位(II)及び(III)の基は、それぞれ独立して同一の鎖長を有しており、z及びbは、それぞれ数で表される。しかし、一般的には、これらはそれぞれ異なる鎖長を有する混合物であることが適切であるため、重縮合生成物中の構造単位の基は、zに対して及び独立してbに対して、異なる数値を有している。
【0080】
特定の一実施形態において、本発明は、リン酸化重縮合生成物のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及び/又はカルシウム塩、並びに好ましくはナトリウム塩及び/又はカリウム塩が含まれることを、さらに想定している。
【0081】
本発明のリン酸化重縮合生成物は、5000g/molから150000g/mol、好ましくは10000g/molから100000g/mol、特に好ましくは20000g/molから75000g/molの重量平均分子量を有することが多い。
【0082】
本発明によって使用されるのが好ましいリン酸化重縮合生成物は、当業者に公知の方法で調製される。好適な方法は、例えば国際公開第2006/042709号及び国際公開第2010/040612号に記載されている。
【0083】
さらに好ましい一実施形態において、可塑剤は、
(V)カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、カルボキサミド、カルボン酸無水物及びカルボキシミドの群からの少なくとも一種の基を含む少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマー、
及び
(VI)好ましくは構造単位(I)で表されるポリエーテル基を含む、少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマー
を含むモノマーの混合物の重合によって得られる少なくとも一種のコポリマーである。
【0084】
本発明によるコポリマーは、少なくとも二種のモノマー単位を含む。しかし、三種以上のモノマー単位を有するコポリマーを使用することも、有利であり得る。
【0085】
好ましい一実施形態において、エチレン性不飽和モノマー(V)は、基(Va)、基(Vb)及び基(Vc)からの以下の一般式の少なくとも一種で表される。
【0086】
【0087】
モノカルボン酸又はジカルボン酸の誘導体(Va)及び環状のモノマー(Vb)において、Z=O(酸無水物)又はZ=NR16(酸イミド)であり、R7及びR8は、それぞれ独立して水素又は1から20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。Bは、H、-COOMa、-CO-O(CqH2qO)r-R9、-CO-NH-(CqH2qO)r-R9を示す。
【0088】
Mは、水素、一価、二価又は三価の金属カチオンを示し、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン若しくはマグネシウムイオン、又はそうでなければアンモニウム基若しくは有機アミン基であり、a=1/3、1/2又は1であり、Mが一価、二価又は三価のカチオンであるかどうかによって決まる。使用される有機アミン基は、好ましくは、第一級の、第二級の又は第三級のC1~20アルキルアミン、C1~20アルカノールアミン、C5~8シクロアルキルアミン及びC6~14アリールアミン由来の置換アンモニウム基である。対応するアミンの例は、プロトン化(アンモニウム)形態のメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミンである。
【0089】
R9は、水素、1から20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を有するアリール基を示し、任意選択で置換されていてもよく、q=23又は4であり、r=0から200、好ましくはr=1から150である。本明細書において、脂肪族炭化水素は直鎖状又は分枝状であり、飽和又は不飽和である。好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基であると考えられ、好ましいアリール基はフェニル基又はナフチル基であると考えられ、特にヒドロキシ基、カルボキシ基又はスルホン酸基によって置換されていてもよい。
【0090】
さらに、ZはO又はNR16であり、R16はそれぞれ独立して同一又は異なり、分枝若しくは非分枝C1~10アルキル基、C5~8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHで表される。
【0091】
以下の式は、モノマー(Vc)を表す:
【0092】
【0093】
本明細書において、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又は1から20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を有する任意選択で置換されたアリール基である。
【0094】
さらに、R12は同一又は異なり、n=0、1、2、3又は4の(CnH2n)-SO3H;n=0、1、2、3又は4の(CnH2n)-OH;n=0、1、2、3又は4の(CnH2n)-PO3H2;n=0、1、2、3又は4の(CnH2n)-OPO3H2;n=0、1、2、3又は4で、かつbが2又は3で表される(C6H4)-SO3H、(C6H4)-PO3H2、(C6H4)-OPO3H2及び(CnH2n)-NR14
bで表される。
【0095】
R13は、H、-COOMa、-CO-O(CqH2qO)r-R9、-CO-NH-(CqH2qO)r-R9を示し、式中Ma、R9、q及びrは前述で与えた定義を有する。
【0096】
R14は、水素、1から10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を有する任意選択で置換されたアリール基である。
【0097】
さらに、Qは同一又は異なり、NH、NR15又はOで表され、式中、R15は1から10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を有する任意選択で置換されたアリール基である。
【0098】
特に好ましい一実施形態において、エチレン性不飽和モノマー(VI)は、以下の一般式で表され、
【化18】
式中、全ての基は前述で与えた定義を有する。
【0099】
特に、コポリマーは5000から150000g/molの、特に好ましくは10000から80000g/molの、極めて特に好ましくは15000から60000g/molの平均分子量(Mw)を有しており、これはゲル浸透クロマトグラフィーで測定される。平均モル質量及びポリマーの転換は、サイズ排除クロマトグラフィー(カラム組み合わせ:Shodex OH-Pak SB 804 HQ及びOH-Pak SB 802.5 HQ、昭和電工製、日本;溶離剤:80体積%のHCO2NH4水性溶液(0.05mol/l)及び20体積%のMeOH;100μlの注入量;0.5ml/分の流速))を用いて分析される。
【0100】
好ましくは、本発明のコポリマーは、工業規格EN934-2(2002年2月)の要求を満たす。
【0101】
本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは0.01質量%から3.0質量%、より好ましくは0.025質量%から2.0質量%、さらにより好ましくは0.05質量%から1.0質量%、特に好ましくは0.08質量%から0.15質量%の、少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤を含む。
【0102】
少なくとも一種の可塑剤は、特に好ましくは前述で定義した少なくとも一種のコポリマーからなる。本発明の特に好ましい一実施形態によると、組成物は、少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤以外のさらなる可塑剤を一切含まない。
【0103】
さらに、本発明の組成物は、少なくとも一種の酸を含む少なくとも一種の遅延剤を含む。
【0104】
本発明の文脈において、「遅延剤」及び「凝結遅延剤」という用語は、結合剤組成物の硬化を遅くする添加剤を指す。
【0105】
本発明の好ましい一実施形態によると、少なくとも一種の酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸、金属塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0106】
少なくとも一種の酸は、特に好ましくは、塩酸、リン酸、酢酸、スルホン酸、金属塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0107】
金属塩に関して、本発明の文脈において好適な金属塩は、水性溶液中で酸性であるものである。マグネシウムの塩、カルシウムの塩、鉄の塩、亜鉛の塩、アルミニウムの塩、及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0108】
金属塩は、特に好ましくは少なくとも一種のアルミニウム塩である。塩化アルミニウムが特に好ましい。
【0109】
本発明のさらに好ましい一実施形態によると、少なくとも一種の酸は、式(VII)
【化19】
(式中、
R
17は、分枝又は非分枝C
1~C
20アルキル基、非置換又は1つ以上の分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基で置換され得るC
6~C
10アリール基、NR
18R
19又は式(VIII)の置換基であり、
【化20】
R
18及びR
19は、それぞれ独立して同一又は異なり得、水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
R
20及びR
21は、それぞれ独立して水素又は分枝若しくは非分枝C
1~C
20アルキル基であり、
Vは、-O-又は-NH-であり、
R
22は、水素又はメチルであり、
pは、0から10の数であり、
Mは、水素、金属カチオン又はアンモニウムカチオンであり、
aは、1又は1/金属カチオンの価数である)
のスルホン酸である。
【0110】
少なくとも一種の酸は、より好ましくは式(VII)のスルホン酸であり、
式中、
R17は、非分枝C1~C6アルキル基又はNR18R19であり、
R18及びR19は、それぞれ独立して同一又は異なり得、水素又は分枝若しくは非分枝C1~C20アルキル基であり、
R20及びR21は、それぞれ独立して非分枝C1~C6アルキル基であり、
Wは、-NH-であり、
R22は、水素であり、
pは、0から5の数であり、
Mは、水素、金属カチオン又はアンモニウムカチオンであり、
aは、1又は1/金属カチオンの価数である。
【0111】
少なくとも一種の酸は、特に好ましくは式(VII)のスルホン酸であり、
式中、
R17は、非分枝C1~C2アルキル基又はNR18R19であり、
R18及びR19は、水素であり、
R20及びR21は、メチルであり、
Wは、-NH-であり、
R22は、水素であり、
pは、0から2の数であり、
Mは、水素である。
【0112】
本発明の特に好ましい一実施形態によると、少なくとも一種の酸は、アミドスルホン酸、メタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、又はこれらの混合物である。
【0113】
本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは0.01質量%から5.0質量%、より好ましくは0.012質量%から3.0質量%、特に好ましくは0.0125質量%から0.12質量%の、少なくとも一種の酸を含む少なくとも一種の遅延剤を含む。
【0114】
したがって、本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは1.0質量%から20.0質量%、より好ましくは2.0質量%から15.0質量%、さらにより好ましくは3.0質量%から10.0質量%、特に好ましくは4.0質量%から6.0質量%のアルミン酸カルシウムセメントと、60.0質量%から98.99質量%、より好ましくは70.0質量%から92.0質量%、さらにより好ましくは80.0質量%から90.0質量%、特に好ましくは83.0質量%から88.0質量%の少なくとも一種のフィラーと、0.01質量%から3.0質量%、より好ましくは0.025質量%から2.0質量%、さらにより好ましくは0.05質量%から1.0質量%、特に好ましくは0.08質量%から0.15質量%の、少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤と、0.01質量%から5.0質量%、より好ましくは0.012質量%から3.0質量%、特に好ましくは0.0125質量%から0.12質量%の、少なくとも一種の酸を含む少なくとも一種の遅延剤とを含む。
【0115】
より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、1.0質量%から20.0質量%、より好ましくは2.0質量%から15.0質量%、さらにより好ましくは3.0質量%から10.0質量%、特に好ましくは4.0質量%から6.0質量%のアルミン酸カルシウムセメントと、60.0質量%から98.99質量%、より好ましくは70.0質量%から92.0質量%、さらにより好ましくは80.0質量%から90.0質量%、特に好ましくは83.0質量%から88.0質量%の少なくとも一種のフィラーと、0.01質量%から3.0質量%、より好ましくは0.025質量%から2.0質量%、さらにより好ましくは0.05質量%から1.0質量%、特に好ましくは0.08質量%から0.15質量%の、少なくとも一種のコポリマーを含む少なくとも一種の可塑剤と、0.01質量%から5.0質量%、より好ましくは0.012質量%から3.0質量%、特に好ましくは0.0125質量%から0.12質量%の、少なくとも一種の酸を含む少なくとも一種の遅延剤と、からなる。
【0116】
本発明の好ましい一実施形態によると、本発明の組成物はホウ素を含まない。
【0117】
本発明の文脈において、「ホウ素を含まない((free from boron)又は(boron-free))」という表現は、本発明の組成物が、ホウ素又はホウ素含有化合物を一切含まないことを意味する。本発明の組成物は、組成物の全質量に基づき、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.01質量%未満、のホウ素を含む。ホウ素及びホウ素含有化合物の割合は、特に好ましくは一般的な分析方法の検出限界未満である。
【0118】
本発明の別の好ましい一実施形態によると、本発明の組成物の製造において、ホウ素及びホウ素含有化合物を使用しない。
【0119】
本発明はさらに、前述の組成物を含む物品に関する。
【0120】
前述の物品は、好ましくは耐火性物品である。
【実施例】
【0121】
<使用した材料>
【0122】
板状アルミナ(Tabular Alumina) T 60は、Almatis GmbHから市販されている焼成酸化アルミニウムであり、表1に報告されている粒径を有している。
【0123】
反応性アルミナ(Reactive Alumina) CL 370は、Almatis GmbHから市販されている。
【0124】
アルミン酸カルシウムセメント CA 270は、Almatis GmbHから市販されている。
【0125】
可塑剤1は、BASF Construction Solutions GmbHから市販されている可塑剤Castament FS 10であり、ポリエチレングリコールをベースとする粉状の重合生成物である。
【0126】
可塑剤2は、BASF Construction Solutions GmbHから市販されている可塑剤Castament FW 10であり、ポリエチレングリコールをベースとする粉状の重合生成物であり、Castament FS 10と対照的に、さらなるリチウムイオンを含み、したがって水和の促進をもたらす。
【0127】
可塑剤3は、Bozetto S.p.aから市販されている可塑剤ナフタレンスルホン酸塩ポリマーFlube OS 39である。
【0128】
ホウ酸、アミドスルホン酸、リン酸、酢酸、塩化アルミニウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、塩酸、メタンスルホン酸、酸性イオン交換体Dowex 50 WX 2及びリン酸二水素アルミニウムは、Sigma Aldrichから市販されている化合物である。
【0129】
<結合剤混合物の製造>
【0130】
製造を、Hobart A 200パンミキサー中で行った。全量5000gの全ての乾燥成分を1分につき回転数107の攪拌速度で60秒間予混合した後、必要な混合水の全量を一段階で加える。水を加えた後、混合物をさらに4分間攪拌する。
【0131】
乾燥結合剤混合物の組成物は表1にまとめられており、可塑剤、混合水及び遅延剤の添加量は表2にまとめられている。
【0132】
【0133】
【0134】
<スランプ>
【0135】
EN 1402-4:2003に従った4つのフローコーンを、新しく調製した(freshly)結合剤混合物で満たす。スランプは、フローコーンを上げて、フローコーンの壁に付着している材料を取り除き、流動性材料を注意深く加えることによって、充填後10分後、30分後、60分後及び120分後に測定する。(フローコーンを上げた2分後に)材料が停止する時に、フローケーキ(flow cake)の直径を2つの垂直方向で測定する。表において与えられた[cm]の値は、両方向の算術平均に相当する。
【0136】
フローコーンの内径が10cmであるため、10cmのスランプは、フローコーンを上げた後材料が動いていないことを意味する。
【0137】
生コンクリート(fresh concreate)の密度を測定するために、新しく調製した材料を250mlのプラスチックビーカーにゆっくりと満たし、固有質量及び体積の割合を測定する。
【0138】
<強度値>
【0139】
DIN EN 196-1に従った曲げ強度及び圧縮強度を、20℃及び65%の大気湿度で保存された40×40×160mm3の体積を有する試験片を用いて、24時間混合した後に測定した。表3に報告されている値は、3つの測定した試験片の算術平均に相当する。
【0140】
表3にまとめられているスランプ及び強度値は、可塑剤としてポリアルキレンオキシドを有する分枝の側鎖を使用するホウ素を含まない遅延剤を有する耐火材料のスランプ及び強度は、ホウ酸含有組成物の特性に匹敵することを示す。表2によると、比較的少量の混合水が、このために必要である。
【0141】
強度は、ホウ酸含有系の場合の強度と同等であるか又はより優れている。遅延剤を含んでいない参照と比較して、加工時間は少なくとも60分であるのに対して、遅延剤を含まない参照系は、たった10分間で加工を行うことができる。
【0142】