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特許7315677結晶材料を切り分けるためのレーザ・アシスト法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】結晶材料を切り分けるためのレーザ・アシスト法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/53 20140101AFI20230719BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20230719BHJP
   C30B 33/00 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B23K26/53
C30B29/36 A
C30B33/00
H01L21/02 B
H01L21/304 611Z
【請求項の数】 45
(21)【出願番号】P 2021538067
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 IB2019061412
(87)【国際公開番号】W WO2020136624
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】62/786,333
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/803,340
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/274,064
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/410,487
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドノフリオ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】エドモンド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラキア ハーシャド
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー エリック
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147928(JP,A)
【文献】特開2018-183801(JP,A)
【文献】特開2017-189870(JP,A)
【文献】特開2010-205900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/53
C30B 29/36
C30B 33/00
H01L 21/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを有する表面下レーザ・ダメージを形成するために、基板の結晶材料の内部の第1の平均深さ位置に沿って集束されるレーザの放射を供給し、前記レーザと前記基板の間の横方向相対移動を実行させることであって、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する、前記基板の前記内部における少なくとも1群の複数のクラックの形成を促進するように構成されている、供給し実行させることと、
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成後に、前記基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成することと、
前記基板の前記内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために、前記少なくとも1つの画像を分析することであって、前記分析することは、前記基板の前記内部における1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化し、前記頂部面積特性を少なくとも1つの所定の閾値面積特性と比較することを含む、分析することと、
前記分析することに応答して、以下のステップ(i)または(ii):
(i)前記基板の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助するための補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、前記第1の平均深さ位置に沿ったまたは近接した前記クラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、少なくとも前記クラックのない領域において前記基板の前記内部に集束される前記レーザの放射を供給しながら、前記レーザと前記基板の間で相対移動を実行させるステップ、
(ii)前記基板の少なくとも1つの追加の厚さ低減部分を形成する目的で、前記基板における第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、表面下レーザ・ダメージを形成するための前記基板と関連付けられた命令セットを変更するステップ、の少なくとも一方を実行することと、を含む、結晶材料加工方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの所定の閾値面積特性は第1の所定の閾値面積特性および第2の所定の閾値面積特性を含み、前記第2の所定の閾値面積特性は前記第1の所定の閾値面積特性よりも大きく、
前記頂部面積特性が前記第1の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(i)を実行し、その後でステップ(ii)を実行することと、
前記頂部面積特性が前記第2の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(i)を実行することと、を含む、請求項1に記載の結晶材料加工方法。
【請求項3】
前記分析することに応答してステップ(i)および(ii)の両方を実行することを含む、請求項1に記載の結晶材料加工方法。
【請求項4】
ステップ(ii)に従って前記命令セットを前記変更することは、平均レーザ出力を0.15から0.35ワットまでの範囲内の値だけ上げることを含む、請求項3に記載の結晶材料加工方法。
【請求項5】
ステップ(ii)は、前記基板における前記第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、(a)平均レーザ出力、(b)前記基板の露出した表面に対するレーザ集束深さ、または(c)レーザ・ダメージ形成行程の数のうちの、少なくとも1つを調節することを含む、請求項1に記載の結晶材料加工方法。
【請求項6】
ステップ(i)は、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助し前記第1の平均深さ位置に沿ったまたは近接した前記クラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するための、前記補助的な表面下レーザ・ダメージを作り出すときに、(a)平均レーザ出力、または(b)前記基板の露出した表面に対するレーザ集束深さ、のうちの少なくとも一方を調節することを含む、請求項1に記載の結晶材料加工方法。
【請求項7】
前記基板はプライマリ・フラットを有する略円形のエッジを備え、前記少なくとも1つの画像を前記生成することは、(a)前記基板の第1の横方向側に配置されておりかつ前記プライマリ・フラットに対して実質的に垂直に配置されている散乱光源によって生成される散乱光で前記頂面を照射することと、(b)前記基板の反対側の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて前記少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む、請求項1に記載の結晶材料加工方法。
【請求項8】
前記結晶材料は六方晶構造を備え、
前記少なくとも1つの画像を前記生成することは、(a)前記基板の第1の横方向側に配置されておりかつ前記六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内に配置されている散乱光源によって生成される散乱光で前記頂面を照射することと、(b)前記第1の横方向側の反対側の前記基板の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて前記少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンとを含み、
前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第1の複数の実質的に平行な線を含み、前記第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第2の複数の実質的に平行な線を含み、
前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線は前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線同士の間に分散されており、
前記第2の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、前記第1の複数の実質的に平行な線のうちのどの線とも交差しない、請求項1からのいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項10】
前記第2の複数の実質的に平行な線の各線は、前記第1の複数の実質的に平行な線のうちの隣り合う線の異なる対の間に配置される、請求項9に記載の結晶材料加工方法。
【請求項11】
前記結晶材料は六方晶構造を備え、
前記第1の複数の実質的に平行な線の各線および前記第2の複数の実質的に平行な線の各線は、前記六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内にありかつ前記基板の表面と実質的に平行である、請求項9に記載の結晶材料加工方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンとを含み
なくとも1群の複数の実質的に平行な線は、第1の複数の実質的に平行な線と第2の複数の実質的に平行な線とを含み、
前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線は前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線と非平行であり、
前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線の角度方向は、前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線の角度方向から10度以下だけ異なり、
前記第2の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、前記第1の複数の実質的に平行な線のうちのどの線とも交差していない、請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを更に含み、
前記少なくとも1群の複数の実質的に平行な線は第3の複数の実質的に平行な線を更に含み、
前記少なくとも1群の複数のクラックは第1、第2、および第3の複数のクラックを含み、
前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記基板の前記内部に、前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線から横方向外向きに伝播する、前記第1の複数のクラックを形成し、
前記第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記基板の前記内部に、前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線から横方向外向きに伝播する前記第2の複数のクラックを形成し、前記第2の複数のクラックは前記第1の複数のクラックと接続せず、
前記第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記基板の前記内部に、前記第3の複数の実質的に平行な線に含まれる線から横方向外向きに伝播する前記第3の複数のクラックを形成し、前記第3の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックは、前記第1の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックおよび前記第2の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックと接続する、請求項12に記載の結晶材料加工方法。
【請求項14】
前記基板の表面の少なくとも一部にわたって前記結晶材料の不均一なドーピングを示す条件を検出することであって、前記不均一なドーピングは第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含む、検出することと、
前記結晶材料の不均一なドーピングを示す前記条件の検出に応答して、以下のステップ(A)または(B):
(A)前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成中、前記第1のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の出力レベルのレーザ放射を提供し、前記第2のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の出力レベルのレーザ放射を提供するように、レーザ出力を修正するステップ、または
(B)前記第1のドーピング領域もしくは前記第2のドーピング領域の一方内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに、前記基板における表面下レーザ・ダメージの形成の平均深さを変更するステップ、のうちの少なくとも一方を実行することと、を更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項15】
いずれも前記基板と比較して厚さが低減されているが前記基板と長さおよび幅が実質的に同じである、第1および第2の結晶材料部分が生じるように、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンに実質的に沿って前記結晶材料を破砕することを更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項16】
前記基板は炭化ケイ素を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項17】
前記基板は少なくとも150mmの直径を有するインゴットを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の結晶材料加工方法。
【請求項18】
結晶材料の基板を加工するように構成されているレーザ加工ステーションであって、
前記基板の内部に表面下レーザ・ダメージ領域を形成するように構成されているレーザと、
前記レーザと前記基板の間で相対移動を実行させるように構成されている少なくとも1つの並進ステージと、
前記基板の頂面を照射するように構成されている散乱光源であって、前記基板の第1の横方向側に位置するように配置されている、散乱光源と、
前記基板の前記頂面の少なくとも1つの画像を生成するように構成されている撮像デバイスであって、前記第1の横方向側とは反対側の前記基板の第2の横方向側に位置するように構成されている、撮像デバイスと、
前記基板の前記内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために前記少なくとも1つの画像を分析するように構成されているコンピューティング・デバイスであって、前記分析することは、前記基板の前記内部における前記1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化し、前記頂部面積特性を少なくとも1つの所定の閾値面積特性と比較することを含む、コンピューティング・デバイスと、を備える、レーザ加工ステーションを備える、材料加工装置。
【請求項19】
前記基板はプライマリ・フラットを有する略円形のエッジを備え、
前記散乱光源は、前記基板の前記第1の横方向側に前記プライマリ・フラットに対して実質的に垂直に位置するように配置されている、請求項18に記載の材料加工装置。
【請求項20】
前記結晶材料は六方晶構造を備え、
前記散乱光源は、前記基板の前記第1の横方向側で、前記六方晶構造の<11-20>方向に対して垂直な方向から±5度以内に位置するように配置されている、請求項18に記載の材料加工装置。
【請求項21】
前記コンピューティング・デバイスは、前記コンピューティング・デバイスによって前記分析することに応答して、以下のステップ(i)または(ii):
(i)前記基板の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、前記基板における少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助するための補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、第1の平均深さ位置に沿ったもしくは近接した前記クラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、少なくとも前記クラックのない領域において前記基板の前記内部に集束される前記レーザの放射を供給しながら、前記レーザと前記基板の間で相対移動を実行させること、または
(ii)前記基板の少なくとも1つの追加の厚さ低減部分を形成する目的で、前記基板における第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、表面下レーザ・ダメージを形成するための前記基板と関連付けられた命令セットを変更すること、の少なくとも一方を実行するように更に構成されている、請求項18に記載の材料加工装置。
【請求項22】
前記コンピューティング・デバイスは、前記コンピューティング・デバイスによって前記分析することに応答して、前記ステップ(i)及び(ii)の両方を実行するように構成されている、請求項21に記載の材料加工装置。
【請求項23】
ステップ(ii)は、前記基板における前記第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、(a)平均レーザ出力、(b)基板の露出した表面に対するレーザ集束深さ、または(c)レーザ・ダメージ形成行程の数のうちの、少なくとも1つを調節することを含む、請求項21に記載の材料加工装置。
【請求項24】
前記ステップ(ii)に従って前記命令セットを変更することは、平均レーザ出力を0.15から0.35ワットまでの範囲内の値だけ上げることを含む、請求項21に記載の材料加工装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの所定の閾値面積特性は第1の所定の閾値面積特性および第2の所定の閾値面積特性を含み、前記第2の所定の閾値面積特性は前記第1の所定の閾値面積特性よりも大きく、
前記コンピューティング・デバイスは、前記頂部面積特性が前記第1の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(ii)を実行するように前記材料加工装置を制御するように構成されており、
前記コンピューティング・デバイスは、前記頂部面積特性が前記第2の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(i)を実行するように前記材料加工装置を制御するように構成されている、請求項21に記載の材料加工装置。
【請求項26】
前記基板に表面下レーザ・ダメージを形成するための前記基板と関連付けられた前記命令セットを記憶するように構成されているメモリを更に備え、前記メモリは前記コンピューティング・デバイスによってアクセス可能である、請求項21に記載の材料加工装置。
【請求項27】
前記レーザ加工ステーションから前記基板を受けるように構成されている破砕ステーションを更に備える、請求項18から26のいずれか一項に記載の材料加工装置。
【請求項28】
前記破砕ステーションは、いずれも前記基板と比較して厚さが低減されているが前記基板と長さおよび幅が実質的に同じである、第1および第2の結晶材料部分が生じるように、前記複数の表面下レーザ・ダメージ領域のうちの少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ領域に実質的に沿って前記結晶材料を破砕するように構成されている、請求項27に記載の材料加工装置。
【請求項29】
前記基板の表面の少なくとも一部にわたって前記結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の存在を検出するように構成され、前記不均一なドーピングは第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含み、
前記結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、前記コンピューティング・デバイスは、前記表面下レーザ・ダメージ領域の形成中、前記第1のドーピング領域に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の平均出力のレーザ放射を提供し、前記第2のドーピング領域に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の平均出力のレーザ放射を提供するように、レーザ出力を修正するように構成されている、請求項18から26のいずれか一項に記載の材料加工装置。
【請求項30】
前記基板の表面の少なくとも一部にわたって前記結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の存在を検出するように構成され、前記不均一なドーピングは第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含み、
前記結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、前記コンピューティング・デバイスは、前記第1のドーピング領域もしくは前記第2のドーピング領域の一方内に表面下レーザ・ダメージ領域を形成するときに、前記基板における表面下レーザ・ダメージの形成の平均深さを変更するように構成されている、請求項18から26のいずれか一項に記載の材料加工装置。
【請求項31】
結晶材料の前記基板は、少なくとも150mmの直径を有するインゴットを含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の材料加工装置。
【請求項32】
結晶材料の前記基板は、炭化ケイ素を含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の材料加工装置。
【請求項33】
少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを有する表面下レーザ・ダメージを形成するために、基板の結晶材料の内部の第1の平均深さ位置に沿って集束されるレーザの放射を供給し、前記レーザと前記基板の間の横方向相対移動を実行させることであって、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する、前記基板の前記内部における少なくとも1群の複数のクラックの形成を促進するように構成されている、供給し実行させることと、
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成後に、前記基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成することと、
前記基板の前記内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために、前記少なくとも1つの画像を分析することと、
前記分析することに応答して、前記基板の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助するための補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、前記第1の平均深さ位置に沿ったもしくは近接した前記クラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、少なくともクラックのない領域において、ただし前記基板の全体未満にわたって、前記基板の前記内部に集束される前記レーザの放射を供給しながら、前記レーザと前記基板との間で相対移動を実行させることと、を含む、結晶材料加工方法。
【請求項34】
前記分析することは、前記基板の前記内部における前記1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化し、前記頂部面積特性を少なくとも1つの所定の閾値面積特性と比較することを含む、請求項33に記載の結晶材料加工方法。
【請求項35】
前記基板はプライマリ・フラットを有する略円形のエッジを備え、前記少なくとも1つの画像を生成することは、(a)前記基板の第1の横方向側に配置されておりかつ前記プライマリ・フラットに対して実質的に垂直に配置されている散乱光源によって生成される散乱光で前記頂面を照射することと、(b)前記基板の反対側の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて前記少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項36】
前記結晶材料は六方晶構造を備え、
前記少なくとも1つの画像を生成することは、(a)前記基板の第1の横方向側に配置されておりかつ前記六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内に配置されている散乱光源によって生成される散乱光で前記頂面を照射することと、(b)前記第1の横方向側とは反対側の前記基板の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて前記少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンとを含み、
前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第1の複数の実質的に平行な線を含み、前記第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第2の複数の実質的に平行な線を含み、
前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線は前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線同士の間に分散されており、
前記第2の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、前記第1の複数の実質的に平行な線のうちのどの線とも交差していない、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項38】
前記第2の複数の実質的に平行な線の各線は、前記第1の複数の実質的に平行な線のうちの隣り合う線の異なる対の間に配置される、請求項37に記載の結晶材料加工方法。
【請求項39】
前記結晶材料は六方晶構造を備え、
前記第1の複数の実質的に平行な線の各線および前記第2の複数の実質的に平行な線の各線は、前記六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内にあり、かつ前記基板の表面と実質的に平行である、請求項37に記載の結晶材料加工方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンとを含み
なくとも1群の複数の実質的に平行な線は、第1の複数の実質的に平行な線と第2の複数の実質的に平行な線とを含み、
前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線は前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線と非平行であり、
前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線の角度方向は、前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線の角度方向から10度以下だけ異なり、
前記第2の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、前記第1の複数の実質的に平行な線のうちのどの線とも交差していない、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを更に含み、
前記少なくとも1群の複数の実質的に平行な線は第3の複数の実質的に平行な線を更に含み、
前記少なくとも1群の複数のクラックは第1、第2、および第3の複数のクラックを含み、
前記第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記基板の前記内部に、前記第1の複数の実質的に平行な線に含まれる線から横方向外向きに伝播する、前記第1の複数のクラックを形成し、
前記第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記基板の前記内部に、前記第2の複数の実質的に平行な線に含まれる線から横方向外向きに伝播する前記第2の複数のクラックを形成し、前記第2の複数のクラックは前記第1の複数のクラックと接続せず、
前記第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、前記基板の前記内部に、前記第3の複数の実質的に平行な線に含まれる線から横方向外向きに伝播する、前記第3の複数のクラックを形成し、前記第3の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックは、前記第1の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックと前記第2の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックと接続する、請求項40に記載の結晶材料加工方法。
【請求項42】
前記基板の表面の少なくとも一部にわたって前記結晶材料の不均一なドーピングを示す条件を検出することであって、前記不均一なドーピングは第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含む、検出することと、
前記結晶材料の前記不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、以下のステップ(A)または(B):
(A)前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成中、前記第1のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の出力レベルのレーザ放射を提供し、前記第2のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の出力レベルのレーザ放射を提供するように、レーザ出力を修正すること、または
(B)前記第1のドーピング領域もしくは前記第2のドーピング領域の一方内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに、前記基板における表面下レーザ・ダメージの形成の平均深さを変更すること、
のうちの少なくとも一方を実行することと、を更に含む、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項43】
いずれも前記基板と比較して厚さが低減されているが前記基板と長さおよび幅が実質的に同じである、第1および第2の結晶材料部分が生じるように、前記少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンに実質的に沿って前記結晶材料を破砕することを更に含む、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項44】
前記基板は炭化ケイ素を含む、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【請求項45】
前記基板は少なくとも150mmの直径を有するインゴットを含む、請求項33又は34のいずれか一方に記載の結晶材料加工方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の記載]
本願は、2019年5月13日に出願された米国特許出願第16/410,487号、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803,340号、2019年2月12日に出願された米国特許出願第16/274,064号、および2018年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/786,333号に対する優先権を主張し、上記出願の開示の全体がこれにより参照によって本明細書に組み込まれる。本願にはまた、2019年2月12日に出願された米国特許出願第16/274,045号の開示の全体が参照により組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は結晶材料を加工するための方法に関し、より詳細には、ブールまたはウエハなどの基板から結晶材料の比較的薄い層を切り分けるまたは除去するための、レーザ・アシスト法に関する。
【0003】
[背景]
マイクロ電子、光電子、およびマイクロ加工の様々な用途において、様々な有用なシステムを製作するための開始構造として結晶材料の薄層が必要とされている。結晶材料の大径の結晶インゴットから薄層(例えば、ウエハ)を切り出すための従来の方法には、ワイヤ・ソーの使用が含まれている。ワイヤ・ソーイング技術は、シリコン、サファイア、および炭化ケイ素などの様々な結晶材料に適用されている。ワイヤ・ソー・ツールは、1つまたは多数のガイド・ローラの溝に通される極細の鋼線(典型的には直径0.2mm以下)を含む。2つのスライシング方法が存在する、すなわち、遊離砥粒スライシングと固定砥粒スライシングである。遊離砥粒スライシングは高速移動中の鋼線にスラリー(典型的には油中に砥粒を懸濁させたもの)を付着させることを含み、ワイヤと被加工物の間で砥粒が転動する結果インゴットが切断される。残念ながらスラリーの環境的影響は無視できない。そのような影響を低減するために、固定砥粒スライシング法としてダイヤモンド砥粒を固定したワイヤを使用する場合があるが、これには水溶性冷却液(スラリーではない)しか必要とされない。高効率の平行スライシングによって、単一のスライシング手順で多数のウエハを生産することが可能になる。図1は、ローラ4A~4Cの間に延び、インゴット2をインゴット2の端面6と略平行な面を各々有する複数の薄い切片(例えば、ウエハ8A~8G)へと同時にソーイングするように配置されている、平行なワイヤ区域3を含む、従来のワイヤ・ソー・ツール1を示す。ソーイング工程中、ローラ4A~4Cによって支持されたワイヤ区域3を、インゴット2の下にあるホルダ7に向かって下向き方向5に押すことができる。端面6がインゴット2の結晶学上のc面と平行であり、ワイヤ区域3がインゴット2を端面6と平行にソーイングした場合、結果的に得られる各ウエハ8A~8Gは、結晶学上のc面と平行な「オンアクシス(on-axis)」端面6’を有することになる。
【0004】
結晶学上のc面と平行ではない端面を有する、微斜面(オフカットまたは「オフアクシス(off-axis)」としても知られる)ウエハを作り出すこともまた可能である。他の材料(例えば、AlNおよび他の第III族窒化物)の高品質な物理的気相輸送成長およびエピタキシャル成長のための成長基板として、4度のオフカットを有する(例えば、SiCの)微斜面ウエハが多くの場合採用される。微斜面ウエハの生産は、インゴットをc軸から離れる方向に成長させ(例えば、微斜面種材料の上に成長させ)このインゴットをインゴット側壁)に対して垂直にソーイングすることによって、または、インゴットをオンアクシス種材料から開始して成長させこのインゴットをインゴット側壁に対して垂直な方向から離れていく角度でソーイングすることによって、のいずれかで行うことができる。
【0005】
半導体材料のワイヤ・ソーイングには様々な限界が存在している。切断ごとの除去された材料の幅に基づくカーフ・ロスはソー切断において不可避のものであり、これは半導体材料のかなりの損失を表している。ワイヤ・ソー切断がウエハに加える応力は比較的高く、その結果ボウおよびワープ特性はゼロではなくなる。単一のブール(またはインゴット)の加工時間は非常に長く、またワイヤ破断などの事象によって加工時間が延びる、かつ望まれない材料損失につながる可能性がある。ウエハの切断表面上のチッピングおよびクラッキングによって、ウエハ強度が低下する可能性がある。ワイヤ・ソーイング工程の終了時には、得られたウエハからデブリを取り除かなければならない。
【0006】
高い摩耗耐性(ならびにダイヤモンドおよび窒化ホウ素と同程度の硬度)を有する炭化ケイ素(SiC)の場合、ワイヤ・ソーイングにはかなりの時間およびリソースが必要となる場合があり、このためかなりの製造コストが生じ得る。SiC基板は、望ましいパワー・エレクトロニクス・デバイス、無線周波デバイス、および光電子デバイスの製作を可能にする。SiCはポリタイプと呼ばれる異なる多くの結晶構造で現れ、特定のポリタイプ(例えば、4H-SiCおよび6H-SIC)は六方晶構造を有する。
【0007】
図2は、4H-SiCなどの六方晶用の座標系を示す斜視結晶面図であり、c面(結晶成長の[0001](垂直)方向に対応する(0001)面)はm面((1-100)面)およびa面((11-20)面)の両方に対して垂直であり、(1-100)面は[1-100]方向に対して垂直であり、(11-20)面は[11-20]方向に対して垂直である。図3は、c面と非平行な微斜面9を示す、六方晶の第2の斜視結晶面図であり、(微斜面9と直交する)ベクトル10が、[0001]方向から離れる方に傾斜角βだけ傾斜しており、傾斜角βは[11-20]方向に向かって(僅かに)傾斜している。図4Aは、c面((0001)面)に対する微斜面ウエハ11Aの配向を示す斜視ウエハ配向図であり、(ウエハ面9Aと直交する)ベクトル10Aは[0001]方向から離れる方に傾斜角βだけ傾斜している。この傾斜角βは、(0001)平面とウエハ面9Aの投影12Aの間に跨る直交傾斜(orthogonal tilt)(または配向ずれの角度)βと等しい。図4Bは、微斜面ウエハ11Aを画成する元になったインゴット14A(例えば、(0001)面と平行な端面6Aを有するオンアクシス・インゴット)の一部に重ね合わせた、微斜面ウエハ11Aの簡略化した断面図である。図4Bは、微斜面ウエハ11Aのウエハ面9Aのアライメントが(0001)面から傾斜角βだけずれていることを示す。
【0008】
図5は、(例えば、(0001)面(c面)と平行で[0001]方向に対して垂直な)上面26を含み、(11-20)平面に対して垂直で[11-20]方向と平行な(長さLを有する)プライマリ・フラット(primary flat)28を含む、(直径Dを有する)略円形のエッジ27を横方向の境界とする、例示のSiCウエハ25の上面平面図である。SiCウエハは、c面からアライメントがずれている(例えば、c面に対して斜角でオフアクシスの)外面を含み得る。
【0009】
SiCの作製および加工に関連する困難さに起因して、SiCデバイス・ウエハのコストは様々な他の半導体材料ウエハと比較して高い。SiCのワイヤ・ソーイングから生じる典型的なカーフ・ロスはウエハあたり約250ミクロン以上になる場合があり、ワイヤ・ソーイング工程から得られるウエハの厚さがおおよそ350ミクロンであり、これは、その後に最終用途に応じて約100から180ミクロンの最終厚さまで(研削によって)薄化されることを考慮すると、全く無視できないものである。ウエハを約350ミクロンよりも薄くスライスすることは、ワイヤ・ソーイングおよびデバイス製作の問題を考慮するとこれまで現実的ではなかった。
【0010】
ワイヤ・ソーイングに関連する限界に対処する試みとして、バルク結晶から半導体材料の薄層を除去するための代替の技法が開発されてきた。より大きい結晶からの炭化ケイ素の層の除去を含む1つの技法が、Kimら、「4H-SiC wafer slicing by using femtosecond laser double pulses」、Optical Materials Express 2450頁、vol. 7、no. 7(2017年)に記載されている。そのような技法は、レーザ・パルスを炭化ケイ素に衝突させて表面下ダメージを誘起し、続いてロック用治具に結晶を接着し引っ張り力を加えて表面下ダメージ・ゾーンに沿った破砕を生じさせることで、レーザ書き込みトラックを形成することを含む。レーザを使用して材料の特定のエリアを弱化し、続いてこれらのエリア間で破砕を行うことによって、レーザ走査時間が短くなる。
【0011】
パルス・レーザ・ビームを用いたSiCインゴットへのレーザ表面下ダメージの形成、および続く超音波振動の適用による破砕の誘起を含む、追加の分離技法が、株式会社ディスコの米国特許第9,925,619号および同10,155,323号に開示されている。バルク結晶から半導体材料の薄層を除去するための追加の技法が、Siltectra GmbHの米国特許出願公開第2018/0126484A1号に開示されている。
【0012】
当技術分野では半導体材料にレーザ表面下ダメージを形成するためのツールが知られており、株式会社ディスコ(東京、日本)などの様々な供給者から市販されている。そのようなツールによって、結晶基板の内部にレーザ放射を集束することができ、基板に対するレーザの横方向移動が可能になる。典型的なレーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料基板内のある深さで互いに対して横方向に離間されている平行線の形成を含む。レーザ・ダメージを付与するために集束深さ、レーザ出力、並進速度、等といったパラメータを調節することができるが、特定の因子の調節にはトレードオフが伴う。レーザ出力を上げるとより大きい表面下ダメージが付与される傾向があり、このことは(例えば、破砕を完了するために必要な応力を小さくすることによって)破砕の容易さを高め得るが、より大きい表面下ダメージによって、破砕によって露出した表面に沿った表面不規則性が大きくなり、この結果、そのような表面を次の加工のために(例えば、電子デバイスに組み込むために)十分に平滑にするためには、追加の加工が必要になる場合がある。表面下レーザ・ダメージ線間の横方向間隔を小さくすることによって破砕の容易さを高めることもできるが、レーザ・ダメージ線間の間隔が小さくなることによって基板とレーザの間の並進行程の数が増え、このことによりツールのスループットが低下する。更に、レーザ加工によって得られる結果は、特定の垂直深さにおける横方向もしくは半径方向の位置に応じて、および/または、インゴットの一部としての基板面のその元の成長位置に対する垂直位置に応じて、基板内でばらつきのある場合がある。
【0013】
SiCインゴットなどの厚い基板内でおよびまた同じ組成の異なるインゴット間で、材料特性および/または光学特性のばらつきがあるため、不要な材料損失を回避しながら、レーザ加工および続く破砕によって再現可能な均一な厚さのウエハを容易に製作することは、困難である。
【0014】
したがって、当技術分野では、従来の方法に関連する問題に対処するために、基板から結晶(例えば、半導体)材料の比較的薄い層を切り分けるまたは除去するための改善されたレーザ・アシスト法が、依然として模索されている。
【0015】
[発明の概要]
本開示は結晶材料基板を加工するための方法と材料加工装置とに関するものであり、様々な態様をとる。第1の深さ位置において追加のレーザ基板ダメージがいつ必要か、および/または、次の深さ位置に表面下レーザ・ダメージを形成するための命令セットをいつ変更すべきかを判定するための指標として、基板に表面下レーザ・ダメージを形成した後のクラックのない領域の撮像および分析が使用され、このことにより、基板ごとの、および単一の基板内の異なる深さ位置における、レーザ・ダメージ形成要件(例えば、レーザ出力、レーザ集束深さ、ダメージ形成行程(damage formation pass)の数)のばらつきに対処する。結晶材料加工方法は、表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する基板内部におけるクラックの形成を促進するために、結晶材料の第1の平均深さ位置にあるエリアに表面下レーザ・ダメージ部位を生成することと、基板頂面を撮像することと、基板内のクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために画像を分析することと、分析することに応答して(例えば、適切な条件の達成時に)、1つまたは複数の処置を行うことと、を含む。1つの考えられる処置には、基板(例えば、第1のウエハ)の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、クラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、第1の平均深さ位置に補助的な表面下レーザ・ダメージを形成することが含まれる。考えられる別の処置には、第1の平均深さ位置に追加のダメージを必ずしも形成することなく、(基板の第2のおよび任意の厚さ低減部分を形成するために、第2のまたは次の平均深さ位置において)次の表面下レーザ・ダメージ形成を行わせるための命令セットを変更することが含まれる。レーザ・ダメージによって、厚さを小さくした複数の基板部分を生じさせるための基板の次の破砕が容易になる。材料加工装置は、レーザと、少なくとも1つの並進ステージと、基板の第1の横方向側に位置付けられるように配置されている散乱光源と、基板の反対側の第2の横方向側に位置付けられる撮像デバイスと、を有する、レーザ加工ステーションを含む。光源は、基板の頂面を通したクラックのない領域の可視性を高めるために、基板のプライマリ・フラットに対して実質的に垂直に、および/または、基板の六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内に、位置付けられ得る。
【0016】
一態様では、本開示は:少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを有する表面下レーザ・ダメージを形成するために、基板の結晶材料の内部の第1の平均深さ位置に沿って集束されるレーザの放射を供給し、レーザと基板の間の横方向相対移動を実行させることであって、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、実質的に少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する、基板の内部における少なくとも1群の複数のクラックの形成を促進するように構成されている、供給し実行させることと、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成後に、基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成することと、基板の内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために、少なくとも1つの画像を分析することと、分析することに応答して、以下のステップ(i)または(ii):(i)基板の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助するための補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、第1の平均深さ位置に沿ったもしくは近接したクラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、少なくともクラックのない領域において基板の内部に集束されるレーザの放射を供給しながら、レーザと基板の間で相対移動を実行させるステップ、または(ii)基板の少なくとも1つの追加の厚さ低減部分を形成する目的で、基板における第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、表面下レーザ・ダメージを形成するための基板と関連付けられた命令セットを変更するステップ、の少なくとも一方を実行することと、を含む、結晶材料加工方法、に関する。
【0017】
特定の実施形態では、分析することは、基板の内部における1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化し、頂部面積特性を少なくとも1つの所定の閾値面積特性と比較することを含む。
【0018】
特定の実施形態では、少なくとも1つの所定の閾値面積特性は第1の所定の閾値面積特性および第2の所定の閾値面積特性を含み、第2の所定の閾値面積特性は第1の所定の閾値面積特性よりも大きく、方法は、頂部面積特性が第1の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(ii)を実行することと、頂部面積特性が第2の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(i)を実行することと、を含む。
【0019】
特定の実施形態では、方法は、分析することに応答してステップ(i)および(ii)の両方を実行することを含む。
【0020】
特定の実施形態では、ステップ(ii)は、基板における第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、(a)平均レーザ出力、(b)基板の露出した表面に対するレーザ集束深さ、または(c)レーザ・ダメージ形成行程の数のうちの、少なくとも1つを調節することを含む。
【0021】
特定の実施形態では、ステップ(ii)に従って命令セットを変更することは、平均レーザ出力を0.15から0.35ワットまでの範囲内の値だけ上げることを含む。
【0022】
特定の実施形態では、ステップ(i)は、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助し第1の平均深さ位置に沿ったまたは近接したクラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するための、補助的な表面下レーザ・ダメージを作り出すときに、(a)平均レーザ出力、または(b)基板の露出した表面に対するレーザ集束深さ、のうちの少なくとも一方を調節することを含む。
【0023】
特定の実施形態では、基板はプライマリ・フラットを有する略円形のエッジを備え、少なくとも1つの画像を生成することは、(a)基板の第1の横方向側に配置されておりかつプライマリ・フラットに対して実質的に垂直に配置されている散乱光源によって生成される散乱光で頂面を照射することと、(b)基板の反対側の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む。
【0024】
特定の実施形態では、結晶材料は六方晶構造を備え、少なくとも1つの画像を生成することは、(a)基板の第1の横方向側に配置されておりかつ六方晶構造の<112-0>方向に対する垂直方向から±5度以内に配置されている散乱光源によって生成される散乱光で頂面を照射することと、(b)第1の横方向側の反対側の基板の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む。
【0025】
特定の実施形態では、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンとを含み、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第1の複数の実質的に平行な線を含み、第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第2の複数の実質的に平行な線を含み、第2の複数の実質的に平行な線の線は第1の複数の実質的に平行な線の線同士の間に分散されており、第2の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、第1の複数の実質的に平行な線のうちのどの線とも交差していない。
【0026】
特定の実施形態では、第2の複数の実質的に平行な線の各線は、第1の複数の実質的に平行な線のうちの隣り合う線の異なる対の間に配置される。
【0027】
特定の実施形態では、第1の複数の実質的に平行な線の各線および第2の複数の実質的に平行な線の各線は、結晶材料の六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内にありかつ基板の表面と実質的に平行である。
【0028】
特定の実施形態では、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンとを含み、少なくとも1群の複数の実質的に平行な線は、第1の複数の実質的に平行な線と第2の複数の実質的に平行な線とを含み、第1の複数の実質的に平行な線の線は第2の複数の実質的に平行な線の線と非平行であり、第2の複数の実質的に平行な線の線の角度方向は、第1の複数の実質的に平行な線の線の角度方向から10度以下だけ異なり、第2の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、第1の複数の実質的に平行な線のうちのどの線とも交差していない。
【0029】
特定の実施形態では、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後で形成される第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを更に含み、少なくとも1群の複数の実質的に平行な線は第3の複数の実質的に平行な線を更に含み、少なくとも1群の複数のクラックは第1、第2、および第3の複数のクラックを含み、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、基板の内部に、第1の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する、第1の複数のクラックを形成し、第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、基板の内部に、第2の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する第2の複数のクラックを形成し、第2の複数のクラックは第1の複数のクラックと接続せず、第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、基板の内部に、第3の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する、第3の複数のクラックを形成し、第3の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックは、第1の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックとおよび第2の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックと接続する。
【0030】
特定の実施形態では、方法は、基板の表面の少なくとも一部にわたって結晶材料の不均一なドーピングを示す条件を検出することであって、不均一なドーピングは第1のドーピング領域および第2のドーピング領域を含む、検出することと、結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、以下のステップ(A)または(B):(A)少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成中、第1のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の出力レベルのレーザ放射を提供し、第2のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の出力レベルのレーザ放射を提供するように、レーザ出力を修正するステップ、または(B)第1のドーピング領域もしくは第2のドーピング領域の一方内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに、基板における表面下レーザ・ダメージの形成の平均深さを変更するステップ、のうちの少なくとも一方を実行することと、を更に含む。
【0031】
特定の実施形態では、方法は、いずれも基板と比較して厚さが低減されているが基板と長さおよび幅が実質的に同じである、第1および第2の結晶材料部分が生じるように、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンに実質的に沿って結晶材料を破砕することを更に含む。
【0032】
特定の実施形態では、基板は炭化ケイ素を含む。特定の実施形態では、基板は少なくとも150mmの直径を有するインゴットを含む。
【0033】
別の態様では、本開示は、結晶材料の基板を加工するように構成されているレーザ加工ステーションを備える、材料加工装置に関し、レーザ加工ステーションは、基板の内部に表面下レーザ・ダメージ領域を形成するように構成されているレーザと、レーザと基板の間で相対移動を実行させるように構成されている少なくとも1つの並進ステージと、基板の頂面を照射するように構成されている散乱光源であって、散乱光源は基板の第1の横方向側に位置付けられるように配置されている、散乱光源と、基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成するように構成されている撮像デバイスであって、第1の横方向側の反対側の基板の第2の横方向側に位置付けられるように構成されている、撮像デバイスと、を備える。
【0034】
特定の実施形態では、基板はプライマリ・フラットを有する略円形のエッジを備え、散乱光源は、基板の第1の横方向側にプライマリ・フラットに対して実質的に垂直に位置付けられるように配置されている。
【0035】
特定の実施形態では、結晶材料は六方晶構造を備え、散乱光源は、基板の第1の横方向側で、六方晶構造の<11-20>方向に対して垂直な方向から±5度以内に位置付けられるように配置されている。
【0036】
特定の実施形態では、材料加工装置は、基板の内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために少なくとも1つの画像を分析するように構成されているコンピューティング・デバイスを更に備える。
【0037】
特定の実施形態では、コンピューティング・デバイスは、コンピューティング・デバイスによって分析することに応答して、以下のステップ(i)または(ii):(i)基板の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、基板に補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、第1の平均深さ位置に沿ったもしくは近接したクラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、少なくともクラックのない領域において基板の内部に集束されるレーザの放射を供給しながら、レーザと基板の間で相対移動を実行させるステップ、または(ii)基板の第2のおよび続く任意の厚さ低減部分を形成する目的で、基板における第2の平均深さ位置および続く任意の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、表面下レーザ・ダメージを形成するための基板と関連付けられた命令セットを変更するステップ、の少なくとも一方を実行するように更に構成されている。
【0038】
特定の実施形態では、コンピューティング・デバイスによって行われる分析することは、基板の内部における1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化し、頂部面積特性を少なくとも1つの所定の閾値面積特性と比較することを含む。
【0039】
特定の実施形態では、少なくとも1つの所定の閾値面積特性は、第1の所定の閾値面積特性および第2の所定の閾値面積特性を含み、第2の所定の閾値面積特性は第1の所定の閾値面積特性よりも大きく、コンピューティング・デバイスは、頂部面積特性が第1の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(ii)を実行するように材料加工装置を制御するように構成されており、コンピューティング・デバイスは、頂部面積特性が第2の所定の閾値面積特性と少なくとも同じ大きさである場合にステップ(i)を実行するように材料加工装置を制御するように構成されている。
【0040】
特定の実施形態では、材料加工装置は、基板に表面下レーザ・ダメージを形成するための基板と関連付けられた命令セットを記憶するように構成されているメモリを更に備え、メモリはコンピューティング・デバイスによってアクセス可能である。
【0041】
特定の実施形態では、材料加工装置は、レーザ加工ステーションから基板を受けるように構成されている破砕ステーションを更に備える。
【0042】
別の態様では、上記した態様ならびに/または本明細書に記載する様々な別個の態様および特徴の任意のものを、追加の利点が得られるように組み合わせてもよい。本明細書にそうではないと示されていない限りは、本明細書で開示する様々な特徴および要素の任意のものを、1つまたは複数の開示された他の特徴および要素と組み合わせてもよい。
【0043】
本開示の他の態様、特徴、および実施形態は、続く開示および付属の特許請求の範囲からより十分に明らかになるであろう。
【0044】
本明細書に組み込まれその一部を形成している添付の図面は、本開示のいくつかの態様を図示しており、本説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】従来のワイヤ・ソー・ツールに受けられワイヤ・ソーイング工程を受けるインゴットの斜視図を提供する第1のフレームと、ワイヤ・ソーイング工程によって得られた複数のウエハの斜視図を提供する第2のフレームと、を含む図である。
図2】4H-SiCなどの六方晶用の座標系を示す第1の斜視結晶面図である。
図3】c面と非平行な微斜面を示す、六方晶用の第2の斜視結晶面図である。
図4A】微斜面ウエハのc面に対する配向を示す斜視ウエハ配向図である。
図4B】インゴットの一部に重ね合わせた図4Aの微斜面ウエハの簡略化した断面図である。
図5】例示のSiCウエハの上面平面図であり、重ね合わせた矢印は結晶方位の方向を示す。
図6A】結晶材料のオンアクシス・インゴットの概略側方立面図である。
図6B】4度回転させた図6Aのインゴットの概略側方立面図であり、インゴットの端部を切断するための重ね合わせたパターンを伴う。
図6C】c方向に対して非垂直な端面を提供するように端部を除去した後の、インゴットの概略側方立面図である。
図7】表面下ダメージを形成するために結晶材料の内部にレーザ放射を集束するように構成されている、可動レーザ・ツールの概略斜視図である。
図8A】結晶材料内に表面下ダメージを形成するための、結晶材料に対する例示のレーザ・ツール移動経路を提供する図である。
図8B】結晶材料の六方晶構造の[11-20]方向に対する表面下ダメージ線の配向を示す、重ね合わせた矢印を含む。
図9】破砕後であるが平滑化前の、(c軸に対して)オフアクシスまたは微斜面の4H-SiC結晶の表面構造の概略斜視図であり、破砕した表面は台地部および段部を呈している。
図10A-10D】レーザ放射をそれぞれ、ベア基板内に、担体によって支持された基板の表面を通して、担体および接着剤層を通して基板内へと、ならびに担体を通して基板内へと、集束させることによる、結晶材料の基板への表面下レーザ・ダメージの形成の概略断面図である。
図11A】一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む、結晶材料基板の上面平面図を提供する図であり、各ダメージ・パターンは、[11-20]方向に対して垂直な(およびプライマリ基板フラットに対して実質的に垂直な)複数の実質的に平行な線を含み、レーザ・ダメージ・パターンは組み合わされて複数の3線グループを形成しており、これらは各3線グループ中の隣り合う線の間の間隔を上回るグループ間間隔によって互いから分離されている。
図11B】第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成後の、製作中の図11Aの結晶材料基板の概略上面平面図であり、第1の複数の実質的に平行な線から横方向外向きに伝播する、基板の内部の第1の複数のクラックが図示されている。
図11C】第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後の第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成時の、図11Bの結晶材料基板の上面平面図であり、第2の複数の実質的に平行な線から横方向外向きに伝播するが第1の複数のクラックには接触していない、基板の内部の第2の複数のクラックが図示されている。
図11D】第1および第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンの後の第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成時の、図11Cの結晶材料基板の上面平面図であり、第3の複数の実質的に平行な線から横方向外向きに伝播し第1の複数のクラックと第2の複数のクラックを接続している、基板の内部の第3の複数のクラックが図示されている。
図12図11Aに示す実施形態に類似した一実施形態に従って画成した分散させた第1から第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む、結晶材料基板の概略上面平面図であり、各ダメージ・パターンは、基板表面に沿った[11-20]方向に対する垂直方向に対して3度偏向した(かつプライマリ基板フラットに対して実質的に垂直な)複数の実質的に平行な線を含み、レーザ・ダメージ・パターンは組み合わされて複数の3線グループを形成しており、これらは各3線グループ中の隣り合う線の間の間隔を上回るグループ間間隔によって互いから分離されている。
図13】分散させた第1から第4のレーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、全ての線が互いに平行であり、かつ基板表面に沿った[11-20]方向に対して垂直(かつプライマリ基板フラットに対して実質的に垂直)である。
図14】一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む、結晶材料基板の概略上面平面図であり、第1および第2の線のグループは各々互いに平行であり、かつ基板表面に沿った[11-20]方向に対して垂直(かつプライマリ基板フラットに対して実質的に垂直)であり、第3の線のグループは第1および第2の線のグループと非平行だが、第1および第2の線のグループの線とは基板内で交差しない。
図15】一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む、結晶材料基板の概略上面平面図であり、第1および第2の線のグループは各々互いに平行であり、かつ基板表面に沿った[11-20]方向に対して垂直な方向から3度偏向し(かつプライマリ基板フラットに対して実質的に垂直であり)、第3の線のグループはプライマリ基板フラットに対して垂直だが、第1および第2の線のグループの線とは基板内で交差しない。
図16】一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、全てのレーザ・ダメージ線が互いに平行であり、レーザ・ダメージ線のグループ間間隔は基板の少なくとも一部において均一ではない。
図17】一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、全てのレーザ・ダメージ線が互いに平行であり、レーザ・ダメージ線はグループ内間隔、グループ間間隔、およびグループ構成においてばらつきを呈する。
図18】一実施形態に従って画成した連続的に形成された第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、レーザ・ダメージ線の第1および第2のグループは互いに平行だが、レーザ・ダメージ線の第3のグループはレーザ・ダメージ線の第1および第2のグループと非平行であり、これらと交差している。
図19】連続的に形成された第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、レーザ・ダメージ線の各グループは平行線を含み、レーザ・ダメージ線の各グループはレーザ・ダメージ線の他の各グループと非平行である。
図20A】レーザ・ダメージ領域が形成され得る重なり合わない第1、第2、および第3のエリアを示す、結晶材料基板の上面平面図である。
図20B】第1のエリアから第3のエリア内に第1の複数の表面下レーザ・ダメージ領域を形成した後の、図20Aの結晶材料基板の上面平面図である。
図20C】第1のエリアから第3のエリア内に第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域を形成した後の、図20Bの結晶材料基板の上面平面図である。
図20D】第1のエリアから第3のエリア内に第3の複数の表面下レーザ・ダメージ領域を形成した後の、図20Cの結晶材料基板の上面平面図である。
図21】1つまたは複数のレーザを用いて表面下レーザ・ダメージが形成され得る4つの基板を保持するように配置されている、レーザ加工装置のホルダの概略上面平面図である。
図22A】基板の2つの部分において第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンに従う表面下レーザ・ダメージを同時に形成するように、分割したレーザ・ビームで加工中の、単一の基板の概略上面平面図である。
図22B】両方の基板において第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンに従う表面下レーザ・ダメージを同時に形成するように、分割したレーザ・ビームで加工中の、2つの基板の概略上面平面図である。
図23A】第1の深さを中心とした第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む、結晶材料基板の概略断面図である。
図23B】第2の深さを中心とし第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと位置合わせされている第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成後の、図23Aの基板の概略断面図であり、第1および第2のダメージ・パターンの垂直方向の伸びが重なり合っている。
図24A】本明細書に記載する方法に係る、熱可塑性接着剤で接合されたサファイア担体から分離した後の、SiCウエハの斜視した写真である。
図24B図24AのSiCウエハが分離されている、サファイア担体の斜視した写真である。
図24C図24AのSiCウエハ写真の、ウエハの中央ドーピング・リングと外側環状部分の間のコントラストを強調するために色調を部分的に反転させたバージョンである。
図24D】ウエハの中央ドーピング・リングと外側環状部分の間の境界を示すように点線の長円で注記した、図24Cの画像である。
図25】種結晶上で成長させたSiCインゴットの側方概略断面図であり、種結晶からインゴットの中心部分に沿ってその全厚さにわたって上向きに延在する、円筒形状のドーピング領域を示す。
図26図25のSiCインゴットからその図示された薄い断面部分に沿って得られた、SiCウエハの概略上面図である。
図27】種結晶上で成長させたSiCインゴットの側方概略断面図であり、種結晶からインゴットの中心部分に沿ってその全厚さにわたって上向きに延在する、円錐台形状のドーピング領域を示す。
図28】微斜面(例えば、オフカット)種結晶上で成長させたSiCインゴットの側方概略断面図であり、種結晶から種結晶の中心から外れた点において上向きにインゴットの全厚さにわたって上向きに延在する、円錐台形状のドーピング領域を示す。
図29】表面下レーザ・ダメージの形成および続く分離を含む工程によってインゴットから分離されたSiCウエハのSi面の、斜視した写真であり、嵌め込み部分(右上)には、続く走査型電子顕微鏡(SEM)画像に描写されているエッジを含む、SiCウエハの断片が描写されている。
図30A】15度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の45倍拡大SEM画像であり、重ね合わせた矢印は、[1-100]および[11-20]結晶面の方向を示す。
図30B】15度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の1,300倍拡大SEM画像である。
図30C】15度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の350倍拡大SEM画像である。
図30D】2度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の100倍拡大SEM画像である。
図30E】2度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の1,000倍拡大SEM画像である。
図31A図29のSiCウエハの小さい中心部分の共焦点レーザ走査顕微鏡画像であり、重ね合わせた十字線によって、レーザ走査によって形成された「トレンチ」の位置がマーキングされている。
図31B図31AのSiCウエハの一部の表面プロファイルのプロットである。
図32A図29のSiCウエハの(撮影時点の)頂部に近接したより大きい部分の共焦点レーザ走査顕微鏡画像であり、重ね合わせた十字線によって、レーザ走査によって形成された「トレンチ」の位置がマーキングされている。
図32B図32AのSiCウエハの頂部に近接した部分の表面プロファイルのプロットである。
図33A図29のSiCウエハの(撮影時点の)底部に近接したより大きい部分の共焦点レーザ走査顕微鏡画像であり、重ね合わせた十字線によって、レーザ走査によって形成された「トレンチ」の位置がマーキングされている。
図33B図33AのSiCウエハの底部に近接した部分の表面プロファイルのプロットである。
図34A】表面に接着材料が結合されている丈夫な担体の側方概略断面図である。
図34B】接着材料リップに近接した表面下レーザ・ダメージ領域を有する結晶材料基板に結合されている、図34Aの丈夫な担体および接着材料を含む組立体の概略断面図である。
図34C図34Bの組立体の概略断面図であり、丈夫な担体の表面は水冷チャックの形態の冷却装置上に位置付けられている。
図34D】表面下レーザ・ダメージ領域に沿った結晶材料の破砕後の、丈夫な担体と基板から除去した結晶材料の部分とを含む、(水冷チャックの上にある)接合された組立体から分離された結晶材料基板の大部分の概略断面図である。
図34E】上側に面する表面に沿って残留レーザ・ダメージがある、水冷チャックから取り外した後の図34Dの接合された組立体の概略断面図である。
図34F】加熱した真空チャックによって支持された、結晶材料の一部の概略断面図であり、丈夫な担体および接着材料は、接着材料の熱軟化および解放の後で、結晶材料部分から離れる方へと横方向に並進されている。
図35】剛性担体に接合された表面下レーザ・ダメージのある結晶材料の概略断面図であり、結晶材料および担体は超音波発生器の液槽内に配置されている。
図36A-36C】担体の少なくとも一部に曲げモーメントを付与するために担体の一方のエッジに近接して機械的な力を適用することを含む、表面下レーザ・ダメージのある結晶材料を破砕するためのステップを説明する概略断面図である。
図37A-37O】デバイス・ウエハ分割工程のステップを説明する概略断面図であり、これらに従って、結晶材料から厚いウエハを破砕し、厚いウエハ上で少なくとも1つのエピタキシャル層を成長させ、厚いウエハを破砕して担体と厚いウエハから分けられた薄いウエハとを各々含む第1および第2の接合された組立体を形成し、第1の接合された組立体は、動作可能な半導体ベースのデバイスの一部として少なくとも1つのエピタキシャル層を含む。
図38】表面下レーザ・ダメージを作り出し、剛性担体を結晶(例えば、SiC)材料のインゴットに接合し、その後に担体と結晶材料の一部とを含む接合された組立体をレーザで切り分け、その後に接合された組立体を更に加工し、デバイス・ウエハ上にエピタキシャル層を形成し、インゴットおよび剛性担体を工程の始めに戻すための各ステップを、概略的に説明するフローチャートである。
図39】表面下レーザ・ダメージを示す図38の結晶材料基板の一部の概略断面図であり、重ね合わせた点線によって、レーザ・ダメージおよび続く表面加工(例えば、研削および平面化)に起因し得る、予期されるカーフ・ロス材料領域が識別されている。
図40】レーザ加工ステーションと、材料破砕ステーションと、並列に配置された複数の粗研削ステーションと、精密研削ステーションと、CMPステーションと、を含む、一実施形態に係る材料加工装置の概略図である。
図41図40の実施形態と類似しているがエッジ研削ステーションが精密研削ステーションと粗研削ステーションの間に配置されている一実施形態に係る、材料加工装置の概略図である。
図42】レーザ加工ステーションと、材料破砕ステーションと、並列に配置された複数の粗研削ステーションと、精密研削ステーションと、表面コーティング・ステーションと、エッジ研削ステーションと、コーティング除去ステーションと、CMPステーションと、を含む、一実施形態に係る材料加工装置の概略図である。
図43A】一実施形態に係る、側壁に対して非垂直な端面を有するインゴットを保持するための第1の装置の概略側方断面図である。
図43B】一実施形態に係る、側壁に対して非垂直な端面を有するインゴットを保持するための第2の装置の概略側方断面図である。
図44】入来水平ビームをレンズで集束して、レンズの焦点距離に相当する下流位置において最小幅を有するビーム・ウエスト・パターンを有する出射ビームを形成する、従来のレーザ集束装置の概略側方断面図である。
図45】結晶材料内でビーム・ウエストを呈する垂直に配向された集束レーザ・ビームの概略側方断面図であり、ビーム・ウエストに対して異なる垂直位置にある分解閾値点が図示されている。
図46A】レーザ出力対SiCインゴットから得られたウエハの連続的なウエハ識別のプロットであり、レーザ出力の増大をウエハ識別番号とともに示す。
図46B】レーザ出力対SiCインゴットから得られたウエハの連続的なウエハ識別のプロットであり、レーザ出力の増大をウエハ識別番号とともに示す。
図46C】レーザ出力対SiCインゴットから得られたウエハの連続的なウエハ識別のプロットであり、レーザ出力の増大をウエハ識別番号とともに示す。
図47】抵抗率(Ohm-cm)対SiCインゴットから作り出された50個のウエハのスライス番号のプロットであり、重ね合わせた多項式フィットは抵抗率がスライス番号とともに低下することを示しており、スライス番号が大きいほど、インゴットを(例えば物理的気相輸送(PVT)工程を介して)成長させる元となった種結晶に近いことを表す。
図48】レーザ出力(ワット)対図47のSiCインゴットから作り出されたウエハの抵抗率のプロットであり、重ね合わせた多項式フィットは、抵抗率値が大きくなるほど達成に必要なレーザ出力が小さくなることを示している。
図49A】レーザ加工ステーション内で基板に近接して配置される散乱光源および撮像デバイスの概略側方断面図である。
図49B】レーザ加工ステーション内で基板に近接して配置される散乱光源および撮像デバイスの上面平面図である。
図50A】表面下レーザ・ダメージのある結晶SiC基板の頂面の画像であり、色の異なる領域と、基板内のクラックのない領域に対応する不規則な形状の暗色領域とを示す。
図50B図50Aの基板の頂面の色の異なる領域同士の間の境界に実質的に対応する点線領域内に、図50Aの不規則な形状の暗色領域を示す、基板表現の概略図である。
図50C】個々の領域の周囲に矩形のボックスを追加した、図50A図50Bの不規則な形状の暗色領域の拡大図である。
図51】レーザと、少なくとも1つの並進ステージと、基板の頂面を照射するように構成されている散乱光源と、基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成するように構成されている撮像デバイスと、を含む、レーザ加工ステーションを含む、一実施形態に係る材料加工装置の概略図である。
図52】第1の結晶材料加工方法のステップを説明するフローチャートであり、この方法は、表面下レーザ・ダメージのある基板の頂面の画像を生成することと、1つまたは複数のクラックのない領域を示す条件の存在を特定するために画像を分析することと、クラックのない領域の1つまたは複数の特性を第1および第2の閾値と比較することと、基板から基板部分(例えば、ウエハ)を作り出す信頼性を高めるために、比較に応答して処置(すなわち、(A)補助的なレーザ・ダメージを形成するために、任意選択的に1つもしくは複数のレーザ・パラメータを調節して、実質的に同じ深さ位置で追加のレーザ行程を実行すること、ならびに/または(B)第2のおよび次の深さ位置で表面下レーザ・ダメージを形成するために、1つもしくは複数のレーザ・パラメータを調節すること)を行うことと、を含む。
図53】第2の結晶材料加工方法のステップを説明するフローチャートであり、この方法は、表面下レーザ・ダメージのある基板の頂面の画像を生成することと、1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化するために画像を分析することと、頂部面積特性を第1および第2の閾値面積特性と比較することと、基板から基板部分(例えば、ウエハ)を作り出す信頼性を高めるために、比較に応答して処置(すなわち、同じ深さ位置で追加のレーザ行程を実行すること、および/または、次の深さ位置における表面下レーザ・ダメージ用の出力を調節すること)を行うことと、を含む。
図54】本明細書で開示するシステムまたは方法の任意の構成要素に含めることのできるコンピュータ・システムの、一般化した表現の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は結晶材料基板を加工するための方法と材料加工装置とに関するものであり、様々な態様をとる。結晶材料加工方法は、表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する基板内部におけるクラックの形成を促進するために、結晶材料の第1の平均深さ位置にあるエリアに表面下レーザ・ダメージ部位を生成することと、基板頂面を撮像することと、基板内のクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために画像を分析することと、分析することに応答して(例えば、適切な条件の達成時に)、1つまたは複数の処置を行うことと、を含む。1つの考えられる処置には、基板(例えば、第1のウエハ)の第1の厚さ低減部分を形成する目的で、クラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、第1の平均深さ位置に補助的な表面下レーザ・ダメージを形成することが含まれる。考えられる別の処置には、第1の平均深さ位置に追加のダメージを必ずしも形成することなく、(基板の第2のおよび任意の厚さ低減部分を形成するために、第2のまたは次の平均深さ位置において)次のレーザ・ダメージ形成を実行させるための命令セットを変更することが含まれる。レーザ・ダメージによって、厚さを小さくした複数の基板部分を生じさせるための基板の次の破砕が容易になる。
【0047】
特定の実施形態では、分析することは、基板の内部における1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化し、頂部面積特性を少なくとも1つの所定の閾値面積特性と比較することを含む。特定の実施形態では、第1の閾値面積特性を超える場合には、次のレーザ・ダメージ形成ステップ(すなわち、第2のおよび次の厚さを低減した基板部分を形成するための、第2のまたは次の平均深さ位置での)において、平均レーザ出力を漸増的に大きくし、このとき必ずしも第1の平均深さ位置での追加のダメージの形成は伴わない。レーザ出力を上げる代わりにまたはこれに加えて、続く第2のレーザ・ダメージ形成ステップを実行するための命令セットにおいて、頂面に対するレーザ集束深さを変更してもよく、および/または、いくつかのレーザ・ダメージ形成行程を変更してもよい。より大きい第2の閾値面積特性を超える(クラックのない領域が破砕を妨げるほどに大きい可能性のあることを示唆している)場合には、基板の厚さ低減部分を形成する目的で、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助し第1の平均深さ位置に沿ったまたは近接したクラックのない領域における追加のクラックの形成を促進するために、補助的な表面下レーザ・ダメージが、第1の平均深さ位置に形成される。この補助的なダメージは、レーザ加工ステーションから基板が取り出される前に形成することができ、このことにより基板の余分な取り外しおよび再取り付けのステップが回避されて、レーザ加工ステーションのスループットが向上する。
【0048】
追加の態様では、本開示は、結晶材料の基板を加工するように構成されているレーザ加工ステーションを備える、材料加工装置に関し、レーザ加工ステーションは、基板の内部に表面下レーザ・ダメージ領域を形成するように構成されているレーザと、レーザと基板の間で相対移動を実行させるように構成されている少なくとも1つの並進ステージと、基板の頂面を照射するように構成されている散乱光源であって、散乱光源は、基板の第1の横方向側に位置付けられるように配置されている、散乱光源と、基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成するように構成されている撮像デバイスと、を備え、撮像デバイスは、第1の横方向側の反対側の基板の第2の横方向側に位置付けられるように構成されている。そのような装置は、基板内部の表面下レーザ・ダメージに隣接するクラックのない領域をその表面において、基板の頂面上の暗色の(例えば、黒色またはほぼ黒色の)スポットとして可視にする。そのような装置はまた、表面下レーザ・ダメージ・エリア間のクラック発生の程度が異なる領域が基板の頂面において呈する色を、異ならせる。暗色スポットは通常、最初にファセットのエリア(ドーピング・リングに対応する)内に現れるので、特定の実施形態では、ファセットのエリアを区別できる。
【0049】
既に述べたように、SiCインゴットなどの厚い基板内でおよびまた同じ組成の異なるインゴット間で、材料特性および/または光学特性のばらつきがあるため、不要な材料損失を回避しながら、レーザ加工によって均一な厚さのウエハを容易にかつ再現可能に製作することは、困難である。出願人は、ウエハがSiCインゴットから表面下レーザ・ダメージの形成および続く破砕によって連続的に形成されるとき、首尾のよい破砕を可能にするためには、深さ位置でダメージ形成が進むにつれてレーザ出力を上げる必要のあることを見出した。(繰り返しになるが、SiCインゴットから複数のウエハを形成するときに、種結晶から遠位にある初期のウエハは、低めの平均レーザ出力で作り出されたレーザ・ダメージの形成後に首尾よく切り分けできるが、切り分けられるウエハの成長位置が種結晶に近付くにつれて、次のウエハを切り分けるために使用されるレーザ・ダメージには、次第により高いレーザ出力レベルが必要になる)。この挙動は主としてバルク光吸収の変化によって促進されると考えられているが、結晶格子における他の変化によっても影響される場合がある。この問題に対する1つの理論上の解決法として考えられるのは、表面下ダメージを形成するときに、各連続的な深さ位置において単純に高いレーザ出力を使用することであるが、この場合、インゴットにおいて「早期に(early)」(例えば、種結晶から遠位の最初のいくつかの深さ位置で)ダメージが作り出されるときに、不要な材料損失が生じることになると考えられ、また更に、ダメージ深さおよび(ビーム集束光学系の焦点距離の結果としての)レーザ・ビーム・ウエストを基準とした分解の到達点の両方の変動性に起因して、ウエハごとの厚さの開きが顕著に大きくなると考えられる。ウエハ厚さを常時調節しようとするのは現実的でないばかりか、レーザ分離工程によって作り出された粗い表面がもたらす測定の不正確さに起因して、およびレーザ深さと必要なレーザ出力の間の関係に起因して、正確さも欠く。
【0050】
上記した方法および装置(具体的な実施形態が図45から図51と関連させて記載されている)の詳細な特徴を詳述する前に、結晶材料基板を加工するための装置および方法を紹介する。
【0051】
[専門用語および定義]
第1の、第2の、などの用語が、本明細書において様々な要素を記述するために使用される場合があるが、これらの要素は、それらの用語によって限定されるものではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶこともでき、同様に第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。本明細書で使用する場合、用語「および/または」は、関連する列挙された事物のうちの1つ以上の、ありとあらゆる組合せを含む。
【0052】
ある要素、例えば層、領域、または基板が、別の要素の「上に」存在するまたは「上へと」延在すると言及される場合、その要素はその別の要素上に直接存在するもしくはその別の要素上へと直接延在するか、または介在要素が存在してもよいことが、理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素「上に直接」存在するまたは別の要素「上へと直接」延在すると言及される場合は、介在する要素は存在しない。この場合も、ある要素、例えば層、領域、または基板が、別の要素の「上に」存在するまたは「上に」延在すると言及される場合、その要素はその別の要素上に直接存在もしくは直接延在し得るか、または介在要素が存在してもよいことが、理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素「上に直接」存在するまたは別の要素「上に直接」延在すると言及される場合は、介在要素は存在しない。また、ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と言及される場合、そのある要素はその別の要素に直接接続もしくは結合され得るか、または介在要素が存在してもよいことも、理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と言及される場合は、介在要素は存在しない。
【0053】
本明細書では、図に示すようなある要素、層、または領域と別の要素、層、または領域との関係を説明するために、「下方の」または「上方の」または「上側の」または「下側の」または「水平方向の」または「垂直方向の」などの相対的な用語が使用され得る。これらの用語および上で考察した用語は、図に描写されている配向の他にもデバイスの様々な配向を包含するように意図されていることが理解されよう。
【0054】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態について記載することだけを目的としており、本開示を限定するものとなることを意図していない。本明細書で使用する場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上そうでないことが明確に示されていない限り、複数形も含むことを意図している。用語「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、および/または「含んでいる(including)」は、本明細書で使用するとき、言及された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことが、更に理解されよう。
【0055】
別様に定義されていない限り、本明細書で使用する全ての用語(技術および/または科学用語を含む)は、本開示が属する技術の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書で使用する用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるその意味と矛盾しない意味を有するものとして解釈するべきであり、本明細書において明示的にそうであると定義しない限りは、理想化されたまたは過度に形式ばった意味に解釈されるものではないことが、更に理解されよう。
【0056】
本明細書で使用する場合、「基板」とは、基板と実質的に同じ横方向寸法(例えば、直径、または長さおよび幅)を有する少なくとも2つのより薄い部分に分割可能であり、(i)1つまたは複数の半導体材料層のエピタキシャル成長をサポートするべく表面加工(例えば、ラッピングおよび研磨)するのに、および任意選択的に(ii)剛性担体から分離されたときに自立するのに、十分な厚さを有する、単結晶半導体材料などの結晶材料を指し、インゴットまたはウエハを任意選択的に含む。特定の実施形態では、基板は、略円筒形状を有し得る、かつ/または、以下の厚さのうちの少なくとも1つもしくは複数とほぼ同じ厚さを有し得る:300μm、350μm、500μm、750μm、1mm、2mm、3mm、5mm、1cm、2cm、5cm、10cm、20cm、30cm、またはそれ以上。特定の実施形態では、基板は、2つのより薄いウエハへと分割可能なより厚いウエハを含み得る。特定の実施形態では、基板は、複数の電気的に動作するデバイスを有するデバイス・ウエハの一部としての(任意選択的に1つまたは複数の金属コンタクトと連携した)1つまたは複数のエピタキシャル層が上に配置された、より厚いウエハの一部であり得る。デバイス・ウエハは本開示の態様に従って、より薄いデバイス・ウエハと、(任意選択的に1つまたは複数の金属コンタクトと連携した)1つまたは複数のエピタキシャル層が続けて上に形成され得る、第2のより薄いウエハと、が得られるように分割され得る。特定の実施形態では、基板は150mm以上、または200mm以上の直径を備え得る。特定の実施形態では、基板は、直径が150mm、200mm、またはこれより大きく、厚さが100から1000ミクロンの範囲内、もしくは100から800ミクロンの範囲内、もしくは100から600ミクロンの範囲内、もしくは150から500ミクロンの範囲内、もしくは150から400ミクロンの範囲内、もしくは200から500ミクロンの範囲内、もしくは任意の他の厚さ範囲内にあるか、または本明細書で指定する任意の他の厚さ値を有する、4H-SiCを含み得る。
【0057】
用語「第1の平均深さ位置」、「第2の平均深さ位置」、および「次の平均深さ位置」は、本明細書で使用する場合、基板の厚さ低減部分を形成するための、基板の最初の頂面から測定した基板内の深さ位置(例えば、水平面)を指す。例えば、第1の平均深さ位置は、インゴットから第1のウエハを形成するための表面下レーザ・ダメージ位置に相当し得、第2の平均深さ位置は、インゴットから第2のウエハを形成するための表面下レーザ・ダメージ位置に相当し得、以下同様である。特定の実施形態では、基板から得られた各厚さ低減部分は、同じまたは実質的に同じ厚さを有する。用語「平均深さ位置」が深さ位置の代わりに使用されるが、これは、特定の実施形態において、基板(例えば、1枚のウエハ)の単一の厚さ低減部分の形成を目的としたレーザ・ダメージ・パターンを形成するための行程同士の間で、または更には単一の行程内で、レーザ集束深さに小さい差が生じる場合があるという事実が認識されているからであり、そのような小さい差は、1から10ミクロン、または2から8ミクロン、または2から6ミクロンの範囲内にあるのが好ましい。これは、第1の平均深さ位置と第2の平均深さ位置の間の、典型的には少なくとも100ミクロン(または少なくとも150ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、またはそれ以上)の範囲内のはるかに大きい差とは、区別されるべきである。
【0058】
以下に記載する実施形態は、当業者が実施形態を実施するのを可能にするために必要な情報を表し、実施形態を実施する最良の形態を示す。以下の説明を添付の図面に照らして読めば、当業者は本開示の概念を理解し、これらの概念の本明細書で詳しく扱っていない用途を認識するであろう。これらの概念および用途は本開示および添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0059】
[材料]
本明細書で開示する方法は、様々な単結晶および多結晶の両方の様々な結晶材料の基板に適用することができる。特定の実施形態では、本明細書で開示する方法は、立方晶、六方晶、および他の結晶構造を利用することができ、オンアクシスおよびオフアクシスの結晶方位を有する結晶材料を対象とし得る。特定の実施形態では、本明細書で開示する方法を、半導体材料および/または広バンドギャップ材料に適用することができる。例示の材料としては、限定するものではないが、Si、GaAs、およびダイヤモンドが挙げられる。特定の実施形態では、そのような方法は、4H-SiC、6H-SIC、または第III族窒化物材料(例えば、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、またはAlInGaN)などの、六方晶構造を有する単結晶半導体材料を利用し得る。本明細書で以下に記載する様々な例示的な実施形態では、一般的にSiCについてまたは特定的に4H-SiCについて述べるが、任意の好適な結晶材料を使用できることが諒解されよう。様々なSiCポリタイプの中で、4H-SiCポリタイプはその高い熱伝導率、広バンドギャップ、および等方性の電子移動度に起因して、特にパワー・エレクトロニクス・デバイスにとって魅力的である。バルクSiCの成長は、オンアクシスで(すなわち、そのc面からの意図的な角度の偏向を有さず、非ドープまたは半絶縁性材料を形成するのに好適である)、または、オフアクシスで(典型的にはc軸などの成長軸から、典型的には0.5から10度までの範囲(または2から6度などのその下位範囲もしくは別の下位範囲)内の非ゼロの角度で離れていくものであり、これはNドープされたまたは高導電性の材料を形成するのに好適であり得る)、行うことができる。本明細書で開示する実施形態は、オンアクシスおよびオフアクシスの結晶材料、ならびに、ドープされたおよび意図せずドープされた結晶半導体材料に適用可能である。ドープ半導体材料(例えば、NドープされたSiC)はある程度の赤外線吸収を呈し、したがって表面下レーザ・ダメージを付与するために非ドープ材料よりも高いレーザ出力の使用を必要とする。特定の実施形態では、結晶材料には単結晶材料を含めてもよく、単結晶半導体材料を更に含めてもよい。本明細書で開示する特定の実施形態は、オンアクシス4H-SiC、あるいは、1から10度までのもしくは2から6度までの範囲内のまたは約4度のオフカットを有する微斜面(オフアクシス)4H-SiCを利用できる。
【0060】
本明細書の特定の実施形態では、SiCインゴット(ブールとしても知られる)などのドープまたは非ドープSiCの基板を使用することができ、これらは物理的気相輸送(PVT)または他の従来のインゴット製作方法によって成長させることができる。ドープSiCが使用される場合、そのようなドーピングによってSiCの特性はN型または半絶縁性となる。特定の実施形態では、N型SiCインゴットは窒素で意図的にドープされる。特定の実施形態では、N型SiCインゴットは、0.015から0.028Ohm-cmの範囲内の抵抗率値を含む。特定の実施形態では、SiCインゴットは垂直位置とともに変化する抵抗率値を有する場合があり、この場合異なる基板部分(例えば、ウエハ)は異なる抵抗率値を有するが、これはインゴット成長中のバルク・ドーピング・レベルのばらつきに起因し得る。特定の実施形態では、SiCインゴットは、インゴットの中心に近接したより高いドーピング領域からその横方向のエッジに近接したより低いドーピング・レベルへと、水平方向に変化するドーピング・レベルを有し得る。水平および垂直位置に対するインゴットのドーピングおよび抵抗率のばらつきのために、基板(例えば、インゴット)の様々な厚さ低減部分(例えば、ウエハ)を形成するためにおよび/または基板の単一の厚さ低減部分の形成中に、レーザ・ダメージ形成パラメータを調節する必要のある場合がある。特定の実施形態では、抵抗率はインゴットの露出した表面に近接して最も大きく、成長種に近接して最も低い。抵抗率の低下は、ドーピングの増加およびレーザ吸収の増加に対応している。
【0061】
図6Aおよび図6Cは、本明細書で開示する方法とともに使用され得る、インゴットの形態のオンアクシス結晶基板およびオフアクシス結晶基板を概略的に示す。図6Aは、c方向(すなわち、4H-SiCなどの六方晶構造材料の[0001]方向)に対して垂直な第1の端面16と第2の端面17とを有する、結晶材料のオンアクシス・インゴット15の概略側方立面図である。図6Bは、4度回転させた図6Aのインゴット15の概略側方立面図であり、端面16,17に近接したインゴット15の端部を切断および除去するための(点線で示す)重ね合わせたパターン18を伴う。図6Cは、c方向に対して非垂直な新しい端面16A、17Aを提供するように端部を除去した後の、図6Bのインゴット15から形成されたオフアクシス・インゴット15Aの概略側方立面図である。表面下レーザ・ダメージを形成するために第1の深さのレーザ放射がインゴット15の端面16を通して供給される場合、端面16には担体(図示せず)が結合され、インゴット15は表面下レーザ・ダメージに沿って破砕され、その後オンアクシス・ウエハが形成され得る。逆に、表面下レーザ・ダメージを形成するために第1の深さのレーザ放射がオフアクシス・インゴット15Aの端面16Aを通して供給される場合、端面16Aには担体(図示せず)が結合され、インゴット15Aは表面下レーザ・ダメージに沿って破砕され、その後オフアクシス・ウエハが形成され得る。
【0062】
[表面下レーザ・ダメージ形成]
結晶材料基板を加工して表面下レーザ・ダメージの複数のパターンを形成することによって、厚さが低減された基板の第1および第2の結晶材料部分を生み出すための、基板の続く破砕が容易になる。特定の方法は、複数の表面下レーザ・ダメージ・パターンの複数の実質的に平行な線の連続的に形成された複数の群をそれぞれ分散させることを含み、第2の(例えば、次に形成される)複数の線の少なくともいくつかの線は、第1の複数の線の線と交差しない。特定の方法は、結晶材料の基板に別の複数の実質的に平行な線を各々含む最初のおよび次の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成することを含み、最初のおよび次の複数の実質的に平行な線の線は互いと非平行であり、次の複数の実質的に平行な線の線の角度方向の最初の複数の実質的に平行な線の線の角度方向からの差は10度以下であり、次の複数の実質的に平行な線のうちの少なくともいくつかの線は、最初の複数の実質的に平行な線の線のいずれともと交差しない。特定の方法は、基板の結晶材料の内部の最初の深さを実質的に中心とした最初の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成と、基板内の(最初の深さとは異なる)次の深さを実質的に中心とした次の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成と、を含み、次の表面下レーザ・ダメージ・パターンは最初の表面下レーザ・ダメージ・パターンと実質的に位置合わせされ、最初のおよび表面下のレーザ・ダメージ・パターンの少なくとも一部の垂直方向の伸びが重なり合う。
【0063】
結晶材料にわたって分配された、分散させた、または交互配置された表面下レーザ・ダメージ・パターンの連続的な形成は、穏当な材料損傷とこれに応じた低いカーフ・ロスとに関連したレーザ・ツールの高いスループットを可能にしながら、本明細書の方法を使用した続く材料破砕を促進するのに十分な応力を、結晶材料内に有益に維持するものと考えられている。レーザ・ダメージ線に沿った破砕を促進するためには、高いレーザ出力を使用し結晶材料のほぼ全体を走査するのが原理的に簡単であろう。そのような手法はバルク基板(例えば、インゴット)から結晶材料の薄層を確実に分離することができるが、高いレーザ出力によって材料ダメージが増大し、ダメージを除去するためにかなりの表面加工(例えば、研削および平面化)が必要になる傾向がある。レーザ・ダメージ線間の密な間隔は破砕の促進を助けることになるが、レーザ加工ツールのスループットを大きく下げるという犠牲を伴う。表面下レーザ・ダメージを形成するための従来の手法には、表面下レーザ・ダメージ線を結晶材料にわたって前進方向に形成し、次に材料とレーザの間で横方向の相対的インデクシングを行い、次に後退方向に表面下レーザ・ダメージ線を形成し、次に同じ横方向に横方向インデクシングを行い、以下同様とすることが含まれている。そのような手法は一般により高いレーザ出力または連続的に形成されたレーザ・ダメージ線間のより密な間隔を必要とするが、これはスループットを低減するまたはより程度の大きいダメージを付与する傾向を有するものであり、このことにより、レーザ・ダメージを除去するためにレーザ加工される表面から追加の材料を除去する必要があることに起因して、カーフ・ロスが増大する。この従来の手法は、(例えば、基板の複数の重なり合わないエリアにわたる第1の複数のレーザ・ダメージ領域の形成を含む)第1の分配された表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成およびそれに続く(例えば、基板の同じ複数の重なり合わないエリアにわたる第2の複数のレーザ・ダメージ領域の形成を含む)第2の分配された表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成を含まず、第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの間に交互配置または分散されている。
【0064】
様々な本明細書で開示する実施形態は、レーザ・ツールの高いスループットを可能にし低いカーフ・ロスを実現しながら、過度に高いレーザ出力を伴わずに基板からの結晶材料の薄層(例えば、ウエハ)の確実な分離を促進するという関心事に対処する。本明細書の特定の実施形態は、結晶材料基板に(例えば、基板の複数の重なり合わないエリアの各エリアにわたって)、最初の分配された表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成することと、次いで、同じ基板に(例えば、同じ複数の重なり合わないエリアの各エリアにわたって)、少なくとも1つの次の分配された表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成することと、を含み、少なくとも1つの次のレーザ・ダメージ・パターンの少なくとも一部(例えば、線)は、最初のレーザ・ダメージ・パターンのレーザ・ダメージ線間の間隙内に配置され、このことにより分散させたまたは交互配置された表面下レーザ・ダメージ・パターンを提供する。特定の実施形態では、少なくとも1つの次に形成されたレーザ・ダメージ・パターンの少なくともいくつかの(または全ての)レーザ・ダメージ線は、最初の表面下レーザ・ダメージ・パターンのレーザ・ダメージ線と交差しない。レーザ・ダメージ・パターンが交差しないことによって、局所化された応力の拡散が有益に回避され得ると考えられている。特定の実施形態では、第1および第2の分散させた表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成が、それらの間の局所化された表面下クラックの伝播を防止するような様式で行われるが、第3の(または次の)分散させた表面下レーザ・ダメージ・パターンの適用によって、局所化された表面下クラックが結晶材料基板の内部平面全体にわたって実質的に連続した様式で伝播および結合し、このことにより、本明細書で開示する技法を使用するレーザ・ダメージ領域に沿った続く破砕が促進される。本明細書に記載する方法に従う分散させた表面下レーザ・ダメージの形成は、除去すべき層あたりのより少ない数のレーザ・ダメージ線で、基板からの結晶材料の薄層の確実な分離を可能にし、(低いカーフ・ロスを可能にする)低レベルのレーザ・ダメージを実現しながら、レーザ・ツールのスループットの増加を有益に実現することが確認されている。
【0065】
様々な実施形態で、基板の結晶構造を基準として配向される線を含むレーザ表面下ダメージに言及する。特定の実施形態では、基板は六方晶構造を有する結晶材料を含み、レーザ・ダメージ線は、六方晶構造の<11-20>方向に対して垂直に、またはこれに対する垂直方向から±5度以内に、かつ、基板の表面と平行または実質的に平行(例えば、そこから±5度、±3度、または±1度以内)に配向される。従来の4H-SiCウエハ上のプライマリ・フラットは、六方晶構造の<11-20>方向と平行に配向されるよう意図されているが、プライマリ・フラットは製造におけるばらつきに起因して、そのような方向と真に平行ではない場合がある。様々なSiCウエハ製造者が、六方晶構造の<11-20>方向と平行な方向から±5度であるプライマリ・フラットの配向に関する、公開された仕様を提供している。したがって、表面下レーザ・ダメージの形成にとって適切なレーザの配向を決定するためには、ウエハ・フラットのアライメントよりもむしろX線回折(XRD)データを使用するのが好ましい。
【0066】
当技術分野では結晶材料にレーザ表面下ダメージを形成するためのツールが知られており、株式会社ディスコ(東京、日本)などの様々な供給者から市販されている。そのようなツールによって、結晶材料基板の内部にレーザ放射を集束することができ、基板に対するレーザの横方向移動が可能になる。当技術分野における典型的なレーザ・ダメージ・パターンは、結晶基板内のある深さで互いに対して横方向に離間されている平行線の形成を含む。レーザ・ダメージを付与するために集束深さ、レーザ出力、並進速度、および表面下ダメージ線間隔などのパラメータを調節することができるが、特定の因子の調節にはトレードオフが伴う。レーザ出力を上げるとより大きい表面下ダメージが付与される傾向があり、このことは(例えば、破砕を完了するために必要な応力を小さくすることによって)破砕の容易さを向上させ得るが、より大きい表面下ダメージによって、破砕によって露出した表面に沿った表面不規則性が大きくなり、この結果、そのような表面を次の加工のために(例えば、電子デバイスに組み込むために)十分に平滑にするためには、追加の加工が必要になる場合があり、追加の加工は追加のカーフ・ロスをもたらす。表面下レーザ・ダメージ線間の横方向間隔を小さくすることによって破砕の容易さを向上させることもできるが、レーザ・ダメージ線間の間隔が小さくなることによって基板とレーザの間の並進行程の数が増え、このことによりツールのスループットが低下する。
【0067】
図7は、表面下ダメージ40を形成するために結晶材料30の内部にレーザ放射を集束するように構成されている、レーザ・ツール29の一例の概略斜視図である。結晶材料30は上側表面32と反対側の下側表面34とを含み、表面下ダメージ40は、上側表面32と下側表面34の間の結晶材料30の内部に形成される。レーザ放射36はレンズ組立体35を用いて集束されて集束ビーム38となり、その焦点は結晶材料30の内部にある。そのようなレーザ放射36は、(典型的にはナノ秒、ピコ秒、またはフェムト秒の範囲内の)任意の好適な周波数およびビーム強度でパルス化することができ、レーザ放射36を結晶材料30の表面より下の標的深さで集束させることができるように、結晶材料30のバンドギャップ未満の波長を有する。焦点においては、ビーム・サイズおよび短いパルス幅の結果、表面下ダメージを形成する非常に局所化された吸収をもたらすのに十分な高さのエネルギー密度が得られる。集束ビーム38の焦点を結晶材料30内の所望の深さに調節するために、レンズ組立体35の1つまたは複数の特性を変更することができる。点線44によって概略的に示すように、表面下ダメージ40を所望の方向に伝播するために、レンズ組立体35と結晶材料30の間の横方向の相対的な動き(例えば、横方向の並進)を行わせることができる。そのような横方向の移動を、以下で記載するようなパターンを含む、様々なパターンで繰り返してもよい。
【0068】
図8Aおよび図8Bは、結晶材料内に表面下ダメージを形成するための、結晶材料に対する例示のレーザ・ツール移行経路を提供する。特定の実施形態では、(例えば、レンズ組立体を含む)レーザ・ツール部分が移動するように構成することができ、結晶材料は動かないが、他の実施形態では、レーザ・ツール部分を動かないように保持することができ、結晶材料がツール部分に対して移動される。図8Aは、第1の結晶材料45A内に横方向に離間した平行線のパターンの表面下ダメージを形成するのに適した、反転するy方向の直線的な走査の動き46を示す。図8Bは、結晶材料45Bにわたって分配される平行な表面下レーザ・ダメージ線を形成するのに十分な、結晶材料45Bの表面全体にわたる(およびそれを越える)(y方向の反転ごとにx方向に僅かに進む)y方向の直線的な走査の動き48を示す。示されているように、レーザ・ダメージ線は、結晶材料45Bの表面に沿った結晶材料45Bの六方晶構造の[11-20]方向に対して垂直であり、結晶材料45Bの表面と実質的に平行である。
【0069】
結晶材料の表面全体を、y方向の反転があるごとにx方向の一方向に進めるようにしながら、y方向に形成されるレーザ線で覆うことを、レーザ・ダメージ形成の単一行程と呼ぶ場合がある。特定の実施形態では、表面下ダメージを形成するための結晶材料のレーザ加工が2つの、3つの、4つの、5つの、6つの、7つの、もしくは8つの行程で、または任意の他の好適な数の行程で実行され得る。より低いレーザ出力で行程の数を増やすことによって、カーフ・ロスを低減することができる。材料損失対工程速度の望ましいバランスを達成するために、望ましい数のレーザ表面下ダメージ形成行程は、破砕ステップを実行する前の2つから5つの行程、または3つから4つの行程であることが見出されている。
【0070】
特定の実施形態では、隣り合うレーザ表面下ダメージ線間の横方向の間隔(単一の行程で形成されるか複数の行程で形成されるかを問わない)は、80から400ミクロンまで、または100から300ミクロンまで、または125から250ミクロンまでの範囲内であり得る。隣り合うレーザ表面下ダメージ線間の横方向の間隔は、レーザ加工時間、破砕の容易さ、および(c面配向または配向ずれに応じた)効果的なレーザ・ダメージ深さに影響する。
【0071】
結晶材料に表面下レーザ・ダメージ線を形成する結果、材料の内部に、レーザ・ダメージ線から外向きに(例えば、横方向外向きに)伝播する小さいクラックが形成されることが確認されている。そのようなクラックは実質的にまたは主としてC面に沿って延在しているように見える。そのようなクラックの長さは、レーザ出力レベル(パルスごとのエネルギーをパルス周波数倍した積として計算できる)と関数的な関係にあるように見える。特定の距離だけ離間された隣り合うレーザ表面下ダメージ線では、そのようなレーザ表面下ダメージ線を形成する際にレーザ出力を上げることによって、レーザ表面下ダメージ線間でクラックが接続または結合する能力が高まる傾向のあることが確認されており、このことは容易な破砕を促進するのに望ましい。
【0072】
レーザ・ダメージ形成を受ける結晶材料がオフアクシス(すなわち非c面)配向(例えば、0.5~10度、1~5度の範囲内、または別の配向ずれ)を含む場合、そのような配向ずれは望ましいレーザ・ダメージ線間隔に影響し得る。
【0073】
SiC基板は、c面からアライメントがずれている(例えば、c面に対して斜角でオフアクシスの)表面を含み得る。オフアクシス基板を微斜面基板と呼ぶ場合もある。そのような基板の破砕後、その破砕した状態の表面は、台地部と段部とを含み得る(これらはその後、研削および研磨などの表面加工によって平滑化され得る)。図9は、破砕後であるが平滑化前の、(c軸基底面に対して角度Aを有する)オフアクシス4H-SiC結晶50の表面構造の概略斜視図である。破砕した表面は、c軸基底面56を基準とした段部52および台地部54を呈する。4度オフアクシス表面の場合、段部は理論上は、250ミクロンの台地部幅に対して約17ミクロンの高さを有する。表面下レーザ・ダメージを有する4H-SiC結晶の場合、レーザ線間の250ミクロンの間隔が、250ミクロン幅の台地部を形成する。破砕後、段状の表面は、そこで1つまたは複数の層をエピタキシャル成長させるための準備として、平滑に研削され、平面化され、研磨される。
【0074】
結晶材料(例えば、SiC)に表面下レーザ・ダメージが形成されていて、表面下レーザ・ダメージ線が基板フラットに対する垂直方向から離れる方に(すなわち、[11-20]方向に対して非垂直に)配向されている場合には、そのようなレーザ・ダメージ線は、オフアクシス半導体材料と同等の様式で、複数の段部および台地部を通って延在する。続く考察のために、[11-20]方向に対して非垂直なレーザ表面下ダメージ線を指すのに、用語「オフアクシス・レーザ表面下ダメージ線」を使用するものとする。
【0075】
隣り合う表面下レーザ・ダメージ線間の間隔を大きくし過ぎると、結晶材料の破砕が妨げられる。隣り合う表面下レーザ・ダメージ線間の間隔が小さ過ぎると段部の高さが小さくなる傾向があるが、垂直段部の数は増え、垂直段部の数が増えると通常、破砕を完了するためにより大きい分離力が必要になる。
【0076】
隣り合うレーザ・ダメージ線の間隔を過度に小さい距離まで狭めると収量の低減が生じ、実質的に加工時間およびコストが増大する。SiC分解には最低レーザ・エネルギー閾値が要求される。この最低エネルギー・レベルで、約100ミクロン離間された2つのレーザ線間に接続されたクラックが作り出される場合には、レーザ線間隔をこの閾値未満に狭めることによって得られる利益は、カーフ・ロスの低減の観点からはほとんどない。
【0077】
破砕によって露出した結晶材料の表面粗さは、ロボット・バキュームなどの続く取り扱いだけでなく、主要な消耗品費用である研削ホイールの損耗にも影響し得る。粗さは、表面下レーザ・ダメージ線の間隔とそのような表面下ダメージ線の半導体材料の結晶構造に対する配向の、両方の影響を受ける。表面下ダメージ線間の間隙を小さくすることによって、あり得る段部の高さが単純に小さくなる。オフアクシス・レーザ表面下ダメージ線を設けると、そうしない場合にレーザ・ダメージ領域に存在するであろう長い平行な段部が破壊される傾向が生じ、このことはまた、C面の傾斜または湾曲からの影響の少なくとも一部の緩和を助けることにもなる。レーザ線が基板のフラットに対して垂直な場合、C面に沿ったレーザ線と平行な劈開面は、フラットからウエハの反対側の湾曲した端部まで約150mm延在する。C面の傾斜または湾曲の僅かな偏向(これはSiC基板にとって一般的である)は、これにより破砕が伝播する際に面が跳ねる(forces plane jumping)ので、破砕される表面に大きな変動性をもたらす可能性がある。オフアクシス・レーザ表面下ダメージ線を提供することの欠点は、そのような表面下ダメージ線が一般に、隣り合うレーザ線間で接続されたクラックを形成するためにレーザ出力の増大を必要とすることである。このため、特定の実施形態では、(プライマリ・フラットに対して垂直な)オンアクシス表面下レーザ・ダメージ線とオフアクシス・レーザ表面下ダメージ線の組合せを形成することによって、隣り合うレーザ線間で接続されたクラックを形成するために過度にレーザ出力を大きくする必要なく、破砕した表面の過剰な変動性を回避する、良好なバランスを提供する。
【0078】
特定の実施形態では、本明細書で開示する方法を実施するために1064nmの波長を有するレーザを使用することができ、発明者らは4H-SiCの加工の経験を得ている。特定の実施形態では広範囲のパルス周波数が使用され得るが、120kHzから150kHzのパルス周波数が首尾よく利用されている。レーザと加工される基板の間の936mm/sの並進ステージ速度が首尾よく利用されているが、特定の実施形態では、望ましいレーザ・パルスの重なり合いを維持するようにレーザ周波数を適切に調節して、より高いまたはより低い並進ステージ速度を使用してもよい。ドープSiC材料に表面下レーザ・ダメージを形成するための平均レーザ出力範囲は3Wから8Wまでの範囲内にあり、非ドープSiC材料では1Wから4Wである。レーザ・パルスのエネルギーは、出力を周波数で割ることによって計算できる。3nsから4nsのレーザ・パルス幅を使用できるが、他の実施形態では他のパルス幅を使用できる。特定の実施形態では、0.3から0.8の範囲内のレーザ・レンズの開口数(NA)が使用され得る。SiCの加工に向けられた実施形態では、空気(約1)からSiC(約2.6)への屈折率変化を考慮すると、加工されるべきSiC材料の内側で屈折角の大きな変化が生じ、望ましい結果を達成するためにはレーザのレンズのNAおよび収差の補正が重要になる。
【0079】
カーフ・ロスの主要な要因のうちの1つは、インゴット面上の主要な破砕領域の下にある、表面下レーザ・ダメージである。一般に、表面下レーザ・ダメージが増加するとカーフ・ロスが増加する。表面下レーザ・ダメージが増加する考えられる原因の1つは、結晶材料の光学特性を十分に補償できないことである。特定の実施形態では、光学パラメータ最適化は、基板への表面下レーザ・ダメージの形成の前に、定期的に(例えば、結晶材料基板(例えば、インゴット)がレーザ・ツールに供給されるたびに)実行され得る。そのような最適化では、結晶材料基板の上側表面上にレーザ・ビームの最良の集束点が形成される初期状態を達成する可変高さ調節を利用することができ、その後で、次の状態に応じた結晶材料における表面下レーザ・ダメージの形成の所望の深さに対応するように、レーザ・ツールの開口および/または補正環調節リングを調節することができる。
【0080】
特定の実施形態では、結晶材料基板は、基板の主表面(例えば、面)にわたって、位置に関して(例えば、横方向におよび/または直径に関して)様々であるドーピングを呈し得る。ドーパント濃度は通常、SiC{0001}ウエハの中心領域においてより高く、これはそのような領域の色がより暗いことによって観察可能である。このドーパント濃度の上昇は、ファセット成長中に起こる不純物取り込みが増加することに起因している。SiC{0001}インゴットの成長中、インゴットの中心付近に{0001}ファセットが現れる。{0001}ファセット上で高速のらせん状成長が生じるが、<0001>方向に沿った結晶成長速度は比較的遅い。したがって、{0001}ファセット領域に沿って不純物濃度が高くなる。SiCウエハの中央(すなわち、ファセット領域)におけるドーパント濃度は、この領域の外側のドーパント濃度よりも20%から50%高い場合がある。SiC中のドーパント濃度の増加したドーピング・リング領域の形成が、図14A図14C、および図14Dに示されている。そのような領域はより高いレーザ吸収率および僅かに変化した屈折率を有し、上記の現象はいずれも基板におけるレーザ放射の集束の深さに影響を与える。集束されたレーザ放射をドーピング・リング領域内に当てるときのレーザ出力を、集束されたレーザ放射をドーピング・リング領域の外側の材料内に当てるときに使用される出力と比較して高くすることによって、ドーピング・リング領域の様々な特性を補償することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの第1のドーピング領域および少なくとも1つの第2のドーピング領域の存在を判定するために、基板の表面の少なくとも一部にわたる結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の存在を検出することができる。(様々なドーピング状態を検出するための方法としては、限定するものではないが、干渉法、抵抗率測定、吸収率または反射率測定、および当業者に知られている他の技法が挙げられる)。その後、結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成中に、第1のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の平均出力のレーザ放射を提供するように、および、第2のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の平均出力のレーザ放射を提供するように、レーザ出力を変更することができ、第1および第2の平均出力レベルは互いに異なる。別法として、または追加として、第1のドーピング領域または第2のドーピング領域の一方内で、表面下レーザ・ダメージを形成するときの基板における(すなわち、基板の露出表面に対する)表面下レーザ・ダメージの形成の深さを変更することができる。特定の実施形態では、基板の単一の厚さ低減部分(例えば、1つのウエハ)を形成するための第1および第2のドーピング領域の間のレーザ集束深さの差は、1から15ミクロン、または1から10ミクロン、または2から8ミクロン、または4から6ミクロンの範囲内であり得る。
【0081】
特定の実施形態では、結晶材料基板は、特に意図的にドープされた材料の場合に、基板における(例えば、インゴット内の)垂直位置に対して異なるレーザ吸収レベルを呈し得る。レーザ吸収レベルはまた、基板によっても(例えば、インゴットによっても)異なり得る。そのような変化はドーピングの変化に起因し得ると考えられている。特定の実施形態では、成長種から遠位の基板領域に表面下レーザ・ダメージを形成するために、より低い平均レーザ出力(例えば、3W)を使用することができ、成長種から近位の基板領域に表面下レーザ・ダメージを形成するために、より高い平均レーザ出力(例えば、5.5W)を使用することができる。
【0082】
特定の実施形態では、レーザ表面下ダメージを結晶材料基板の表面に対する適正な深さに初期設定するために、半導体材料におけるレーザ焦点の深さの光学測定を(例えば、半導体材料/空気の屈折率変化を考慮して)実行することができ、レーザ・ダメージの設定(例えば、レーザ出力、レーザ焦点、および/またはレーザ・ダメージ形成行程の数)は、基板の表面全体を走査する前にそのような測定に応答して調節され得る。特定の実施形態では、インゴットあたり1回、またはインゴットの一部が破砕され除去された後で(すなわち、次の破砕で除去されることになる各基板層のための表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成前に)その都度1回、レーザ焦点の深さの光学測定が実行され得る。
【0083】
特定の実施形態では、本明細書で開示する半導体材料加工方法は、以下のアイテムおよび/またはステップのうちのいくつかまたは全てを含み得る。結晶材料基板(例えば、インゴット)の底面には第2の担体ウエハを取り付けることができる。その後、結晶材料基板の頂面を研削または研磨して、例えば、レーザ・エネルギーを伝達するための表面の準備として、約5ナノメートル未満の平均表面粗さRを実現することができる。次いで、結晶材料基板内の1つまたは複数の所望の深さにレーザ・ダメージを付与することができ、レーザ・ダメージの跡の間隔および方向は、任意選択的に結晶材料基板の結晶方位に依存する。結晶材料基板の頂面には第1の担体を接合することができる。結晶材料基板から得られることになるウエハに、識別コードまたは第1の担体にリンクされた他の情報と関連付けることができる。別法として、分離前に、製作中および製作後のウエハの追跡を容易にするためのレーザ・マーキングを、(担体ではなく)ウエハに適用することができる。次いで表面下レーザ・ダメージ領域に沿って(本明細書で開示する1つまたは複数の方法を使用して)結晶材料基板を破砕して、第1の担体に固着された半導体材料基板の一部と、第2の担体に固着されている結晶材料基板の残りの部分とを得る。半導体材料基板の除去した部分および半導体材料基板の残りの部分はいずれも、残留表面下レーザ・ダメージを除去する必要に応じて、平滑に研削され洗浄される。半導体材料基板の除去した部分は、担体から分離され得る。その後、半導体材料基板の残りの部分を使用して工程を繰り返すことができる。
【0084】
SiCウエハのワイヤ・ソーイングは通常、ウエハあたり少なくとも約250ミクロンのカーフ・ロスを伴うが、本明細書で開示するSiCに適用されるレーザ・アシストおよび担体アシストの分離方法は、ウエハあたり80から140ミクロンまでの範囲内のカーフ・ロスを達成し得る。
【0085】
特定の実施形態では、基板を剛性担体に接合する前に、結晶材料基板にレーザ表面下ダメージが形成され得る。特定の実施形態では、表面下レーザ・ダメージ形成前に、所望の波長のレーザ放射を透過する剛性担体を、結晶材料基板に接合することができる。そのような実施形態では、レーザ放射は、剛性担体を通して結晶材料基板の内部へと任意選択的に伝達され得る。異なる担体-基板表面下レーザ形成構成を、図10A図10Dに示す。図10Aは、基板62内に表面下レーザ・ダメージ63を形成するべくベア基板62の表面を通って集束されている、レーザ放射61の概略図であり、基板62には表面下レーザ・ダメージの形成後に剛性担体が付着され得る。図10Bは、基板62内に表面下レーザ・ダメージ63を形成するべく基板62の表面を通って集束されている、レーザ放射61の概略図であり、基板62は事前に接着材料64を使用して剛性担体66に接合されている。図10Cは、剛性担体66に事前に接合された基板62内に表面下レーザ・ダメージ63を形成するべく剛性担体66および接着剤64を通して集束されている、レーザ放射61の概略図である。特定の実施形態では、剛性担体66から遠位の基板62の表面は、1つまたは複数のエピタキシャル層および/または金属化層を含むことができ、基板62は表面下レーザ・ダメージ63の形成前の動作可能な電気デバイスを具現化している。図10Dは、剛性担体66に(例えば、陽極接合または他の接着剤不使用の手段を介して)事前に接合された基板62内に表面下レーザ・ダメージ63を形成するべく、剛性担体66を通して(介在する層を有さない)基板62内へと集束されている、レーザ放射61の概略図である。
【0086】
[分散させた表面下レーザ・ダメージ]
特定の実施形態では、複数の分散させたレーザ・ダメージ・パターンの連続的な形成によって、結晶材料に表面下レーザ・ダメージを形成することができ、各表面下レーザ・ダメージ・パターンは複数の実質的に平行な線を含む。特定の実施形態では、各表面下レーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料の基板に関して、実質的に全長にわたって(例えば、基板フラットに対して垂直に)延在してもよく、実質的に全幅にわたって分配される離間された線を含んでもよい。特定の実施形態では、分散させたダメージ・パターンは、連続的に形成された第1のおよび第2の、または第1から第3の、または第1から第4の、表面下レーザ・ダメージを含んでもよく、各表面下レーザ・ダメージ・パターンは複数の平行線を含む。表面下レーザ・ダメージ領域に沿ったまたはこれと隣り合う結晶材料の破砕の容易さを高めるためには、複数の表面下レーザ・ダメージ・パターンを分散させた様式で連続的に形成すること(例えば、第1の表面下ダメージ・パターンを形成し、次いで第2の表面下ダメージ・パターンを形成し、次いで次の任意の表面下ダメージ・パターンを形成し、このとき各ダメージ・パターンの様々な線をその他のダメージ・パターンの中に分配させること)が同じ跡を分散させずに形成するよりも好ましいと考えられている。結晶材料において表面下レーザ・ダメージ・パターン分散させることで得られた破砕結果の改善の理由に関して、何らかの特定の理論に縛られることを望むものではないが、分散させた表面下レーザ・ダメージ・パターンの連続的な形成によって半導体材料内の内部応力の保存の程度が大きくなり、この結果、異なる表面下レーザ・ダメージ線から発するクラックの横方向の伝播が促進されるものと考えられている。
【0087】
特定の実施形態では、結晶材料における第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料の内部の第1の複数の平行線および、第1の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに(例えば、主としてまたは実質的にc面に沿って)伝播する第1の複数のクラックを含み、各線から発するクラックは、隣り合う各線から発するクラックとは接続されない。特定の実施形態では、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成後に、結晶材料に第2の複数の平行線を含む第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンが形成され、第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料の内部に、第2の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する第2の複数のクラックを含み、第2の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックは、第1の複数の線のうちの2つの隣り合う線から発するクラックと接続する(例えばこの結果、連続したクラックが形成される)。
【0088】
特定の実施形態では、結晶材料内に第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンが連続的に形成され、各表面下レーザ・ダメージ・パターンは複数の平行線を含み、各表面下レーザ・ダメージ・パターンの線は他の各表面下レーザ・ダメージ・パターンの線の間に分配されている。特定の実施形態では、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料の内部に、第1の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する第1の複数のクラックを備え、第2の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料の内部に、第2の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する第2の複数のクラックを備え、第2の複数のクラックは第1の複数のクラックと接続せず、第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、結晶材料の内部に、第3の複数の実質的に平行な線の線から横方向外向きに伝播する第3の複数のクラックを備える。そのような実施形態では、第3の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラックは、(i)第1の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラック、および(ii)第2の複数のクラックのうちの少なくともいくつかのクラック、と接続する(例えばこの結果、連続したクラックが形成される)。特定の実施形態では、第1から第3の表面下レーザ・ダメージの後で第4の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成することができ、第4の表面下レーザ・ダメージ・パターンは、第1、第2、または第3の線のうちの任意の2つ以上から発するクラックを更に接続する役割を果たす。特定の実施形態では、表面下レーザ・ダメージの3つの、4つの、5つの、またはそれ以上の分散させたパターンを提供し得る。
【0089】
特定の実施形態では、基板の1つまたは複数の部分は分散させた表面下レーザ・ダメージ・パターンを含んでもよく、一方、基板の他の部分は分散していないレーザ・ダメージ・パターンを含んでもよい。特定の実施形態では、分散パターンの異なる表面下レーザ・ダメージが、同じ基板上に提供され得る。例えば、単一の基板上の表面下レーザ・ダメージの分散パターンは、第1の領域内の5つのダメージ線、第2の領域内の4つのダメージ線、第3の領域内の3つのダメージ線、第4の領域内の2つのダメージ線、第5の領域内の1つのダメージ線(すなわち、分散していない)、第6の領域内のゼロのダメージ・パターン、または上記のうちの2つもしくは3つの任意の組合せを含むことができ、任意選択的に上記の領域の各々は実質的に同じ単位面積を有する。特定の実施形態では、基板の少なくとも1つの領域内に、分散させたダメージ線の規則的な(例えば、規則的に繰り返す)パターンが存在してもよく、基板の少なくとも1つの他の領域内に、分散させたダメージ線または分散していないダメージ線の不規則な(例えば、規則的な繰り返しのない)パターンが存在してもよい。
【0090】
図11Aは、一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む、結晶材料基板70の上面平面図を提供する。第1、第2、および第3の表面下ダメージ・パターンは、プライマリ基板フラット78に対して垂直に(かつ[11-20]方向に対して垂直に)延在する、第1の複数の平行線71、第2の複数の平行線72、および第3の複数の平行線73を、それぞれ個別に含む。3つのレーザ・ダメージ・パターンは組み合わされて複数の3線グループ74を形成しており、これらは各3線グループ74中の隣り合う線の間の間隔76、77を上回るグループ間間隔75によって互いから分離されている。明確にするために、図11Aには、第1の複数の平行線71、第2の複数の平行線72、および第3の複数の平行線73によって形成されたクラックは示されていない。特定の実施形態では、第1の複数の平行線71は第1の行程において形成され、第2の複数の平行線72は第2の行程において形成され、第3の複数の平行線73は第3の行程において形成される。第3の行程は、第1の平行線71および/または第2の平行線72のいずれかから最初に発しているクラックを接続する役割を果たす。
【0091】
図11Aを引き続き参照すると、一実施形態では、第1の複数の平行線71を500ミクロンのピッチ(すなわち、線同士の間の間隔)で形成することができ、第2の複数の平行線72を500ミクロンのピッチで第1の複数の平行線71に対して250ミクロンずらして形成することができる。その後、第3の複数の平行線73を、500ミクロンのピッチで第1の複数の平行線71に対して125ミクロンずらして形成することができる。この構成は、他の各3線グループから250ミクロンの間隙で分離された複数の3線グループ74を作り出し、このとき各3線グループ内の隣り合う線は、125ミクロンの間隙で互いから分離されている。
【0092】
発明者らは、図11Aと関連させて記載する3行程レーザ・ダメージ形成工程の順序が重要であることを見出した。第1、第3、および第2の複数の表面下レーザ・ダメージ線を連続的に形成するように行程の順序を変更する場合には、250ミクロンのグループ間間隔75を横断するクラック発生を完成させるために、より高いレーザ出力が必要となる。このことは、元(第1、第2、第3の行程)の連続的な順序を用いるときに、第2の行程で125ミクロン間隔の線同士の間で生じるクラック発生に起因し得ると考えられており、この場合、第3の行程において形成されるクラックは、第2の125ミクロンの間隙77を横断するように第2の表面下ダメージ線から発するクラックに単に接続するのに十分なサイズとなる。行程の順序が第1、第3、第2であるときには、グループ間間隔75を横断するクラック発生はレーザ出力を高めない限り観察されないが、レーザ出力の増大は通常、カーフ・ロスを増大させる。したがって、行程の順序が第1、第2、第3である特定の実施形態によれば、第1および第2の行程において形成されるクラックが互いに接続されず、その後、第3の行程において形成されるクラックが、125ミクロンの間隙76、77および250ミクロンのグループ間間隔75の両方を横断する接続されたクラックを作り出すのが、望ましい場合がある。
【0093】
特定の実施形態では、各3線グループ74の境界を、基板70のダメージ担持エリアを境界付けるものと見なしてもよく、各3線グループ74のダメージ担持エリアは、他の各3線グループのダメージ担持エリアから(すなわち、グループ間間隔75によって)離間されている。とりわけ、後で図11Dに示すように、表面下レーザ・ダメージによって形成されたクラックは、隣り合う3線グループ74間でグループ間間隔75を横断するように伝播し得る。
【0094】
図11B図11Dは、図11Aの結晶材料基板70の製作を示す。図11Bは、ピッチ(または線間間隔)71Bを有し第1の表面下レーザ・ダメージ・パターン71Aを形成する、(基板70のフラット78に対して垂直な)第1の複数の表面下レーザ・ダメージ線71の形成後の、基板70を示す。クラック71Cは、第1の複数の表面下レーザ・ダメージ線71から横方向外向きに伝播するが、異なる表面下レーザ・ダメージ線71から発するクラック同士は互いに接続されない。
【0095】
図11は、ピッチ(または線間間隔)72Bを有し第2の表面下レーザ・ダメージ・パターン72Aを形成する、(基板70のフラット78に対して垂直な)第2の複数の表面下レーザ・ダメージ線72の形成後の、基板70を示す。クラック72Cは、第2の複数の表面下レーザ・ダメージ線7から横方向外向きに伝播するが、異なる表面下レーザ・ダメージ線71、72から発するクラック同士は互いに接続されない。
【0096】
図11は、ピッチ(または線間間隔)73Bを有し第3の表面下レーザ・ダメージ・パターン73Aを形成する、(基板70のフラット78に対して垂直な)第3の複数の表面下レーザ・ダメージ線73の形成後の、基板70を示す。クラック73Cは第3の複数の表面下レーザ・ダメージ線73から横方向外向きに伝播し、そのようなクラック73Cは、第1の表面下レーザ・ダメージ線71および第2の表面下レーザ・ダメージ線72によって形成されたクラック71C、72Cを接続するのに十分である。示されているように、第1、第2、および第3の複数の表面下ダメージ線間のクラックの接続はまた、クラックを更に伝播させグループ間間隔75を横断するように接続させるのにも十分である。
【0097】
特定の実施形態では、第3の表面下ダメージ・パターンを形成する第3のレーザ行程は、各3線グループ74内の線間の間隔76、77よりも広いグループ間間隔75を横断して接続するようにクラックを延長するのを助けるために、最初の2つの行程よりも高いレーザ出力レベルで実行される。発明者らは、第3の行程中に(図11Dに示されているような)125um離間したレーザ表面下ダメージ線間だけでなく250um離間して位置付けられたレーザ表面下ダメージ線間でもクラックを接続するのに十分な程度に、レーザ出力を高めることを見出した。このことによりツールのスループットのおおよそ25%の増加が得られ、このときペナルティとしてのカーフ・ロスは小さい(例えば、100umの代わりに約110umのカーフ・ロス)。
【0098】
特定の実施形態では、全てのレーザ表面下ダメージ線は、プライマリ基板フラットに対して(および[11-20]方向に対して)、垂直方向から約1度から5度までの範囲内で非垂直であり得る。例えば、図12は、基板フラット88と、分散または互いの間に分散されて第1から第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成している、第1、第2、および第3の複数の実質的に平行な表面下レーザ・ダメージ線81~83と、を含む、結晶材料基板80の概略上面平面図である。各複数の実質的に平行な表面下レーザ・ダメージ線81~83は、プライマリ基板フラットに対する(および[11-20]方向に対する)垂直方向に対して3度偏向しており、レーザ・ダメージ・パターンは組み合わされて複数の3線グループ89を形成しており、これらは各3線グループ89中の隣り合う線の間の間隔(または間隙)86、87を上回るグループ間間隔85によって互いから分離されている。一実施形態では、第1の複数の平行線81を500ミクロンのピッチ(すなわち、線同士の間の間隔)で形成することができ、第2の複数の平行線82を500ミクロンのピッチで第1の複数の平行線81に対して250ミクロンずらして形成することができる。その後、第3の複数の平行線83を、500ミクロンのピッチで第1の複数の平行線81に対して125ミクロンずらして形成することができる。この構成は、他の各3線グループから250ミクロンの間隙で分離された複数の3線グループ89を作り出し、このとき各3線グループ内の隣り合う線は、125ミクロンの間隙で互いから分離されている。示されているように、各グループの平行な表面下レーザ・ダメージ線81~83は互いに平行である。
【0099】
図13は、基板フラット98と、互いの間に分散または交互配置されて第1から第4の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成する第1から第4の複数の実質的に平行な表面下レーザ・ダメージ線91~94と、を含む結晶材料基板90の概略上面平面図であって、すべての線は互いに平行であり、かつ基板フラット98に対して(および[11-20]方向に対して)垂直である。特定の実施形態では、第1から第4の複数の表面下レーザ・ダメージ線91~94は500nmのピッチを有する線を各々含んでもよく、第2の複数の線92は第1の複数の線91から250ミクロンずらされており、第3の複数の線は第1の複数の線91から125ミクロンずらされており、第4の複数の線は第1の複数の線91から375ミクロンずらされている。最終的には、第1から第4の複数の線91~94の各線の間に、125ミクロンの間隙が設けられることになる。第1の線91から第4の線94で、4線反復グループ95が構成される。
【0100】
図13に示す基板90と類似の結晶材料基板を形成するための代替の方法は、各行程が500ミクロンのピッチを有する線を形成する、4つのレーザ表面下ダメージ形成の行程を使用することを含む。第1の行程の後で、第2の行程によって形成される線は第1の行程の線から125ミクロンずらされ、次いで第3の行程の線は第1の行程の線から250ミクロンずらされ、次いで第4の行程の線は第1の行程の線から375ミクロンずらされる。
【0101】
図14は、基板フラット108を含み、かつ第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成する分散させた第1から第3の複数の表面下レーザ・ダメージ線101から103を含む、結晶材料基板100の概略上面平面図である。第1の複数の線101および第2の複数の線102は各々互いに平行であり、かつプライマリ基板フラット108に対して(および[11-20]方向に対して)垂直であり、このとき第3の複数の線103は第1の複数の線101および第2の複数の線102と(例えば、1から5度までの範囲内の角度差で)非平行であるが、基板100内で第1の線101および第2の線102のいずれとも交差しない。特定の実施形態では、第1の複数の平行線101および第2の複数の平行線102が最初に形成され、次いでその後で第3の複数の平行線103が形成される。特定の実施形態では、第1の複数の平行線101および第2の複数の平行線102は各々500ミクロンのピッチを有し、第2の複数の平行線102は第1の複数の平行線101に対して250ミクロンずらされている。第1の線101から第3の線103によって、複数線反復グループ104が構成される。
【0102】
図14では表面下レーザ・ダメージ線は交差していないが、特定の実施形態では、(例えば、次のレーザ・ダメージ形成行程において形成される)1つまたは複数の表面下レーザ・ダメージ線は、(例えば、先立つまたは最初のレーザ・ダメージ形成行程において形成された)1つまたは複数の他の表面下ダメージ線と交差し得る。特定の実施形態では、交差する表面下レーザ・ダメージ線間の相対角度は、4から30度、または5から20度、または5から15度、または5から10度の範囲内であり得る。
【0103】
図15は、基板フラット118を含み、かつ第1から第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成する分散させた第1から第3の複数の表面下レーザ・ダメージ線111~113を含む、結晶材料基板110の概略上面平面図である。第1の複数の線111および第2の複数の線112は各々互いに平行であり、かつプライマリ基板フラット108に対して(例えば、1から5度までの範囲内の角度差で)非垂直であり、一方、第3の複数の線113はプライマリ基板フラット118に対して垂直であるが、その少なくともいくつかの(または全ての)線は、基板110内の線111の第1のグループおよび線112の第2のグループの線と交差しない。特定の実施形態では、第1の複数の平行線111および第2の複数の平行線112は各々510ミクロンのピッチを有し、第2の複数の平行線112は第1の複数の平行線111に対して250ミクロンずらされている。第1の線111から第3の線113で、3線反復グループ114が構成される。
【0104】
図16は、一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、全てのレーザ・ダメージ線が互いに平行であり、レーザ・ダメージ線のグループ間間隔は基板の少なくとも一部において均一ではない。
【0105】
図17は、一実施形態に従って画成した分散させた第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、全てのレーザ・ダメージ線が互いに平行であり、レーザ・ダメージ線はグループ内間隔、グループ間間隔、およびグループ構成においてばらつきを呈する。
【0106】
図18は、一実施形態に従って画成した連続的に形成された第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、レーザ・ダメージ線の第1および第2のグループは互いに平行だが、レーザ・ダメージ線の第3のグループはレーザ・ダメージ線の第1および第2のグループと非平行であり、これらと交差している。
【0107】
図19は、連続的に形成された第1、第2、および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンを含む結晶材料基板の概略上面平面図であり、レーザ・ダメージ線の各グループは平行線を含み、レーザ・ダメージ線の各グループはレーザ・ダメージ線の他の各グループと非平行である。図11Aから図19は複数の表面下レーザ・ダメージ線の3つまたは4つの群を含む実施形態を示すが、任意の好適な数の表面下レーザ・ダメージ線のグループを提供できることが諒解されよう。例えば、特定の実施形態では、第3および/または第4の複数の表面下レーザ・ダメージ線がない状態で、第1および第2の複数の表面下レーザ・ダメージ線が分散されていてもよい。特定の実施形態では、第1および第2の行程において第1および第2の複数の表面下レーザ・ダメージ線をそれぞれ形成することができ、各複数のレーザ・ダメージ線は250ミクロンのピッチを有し、第2の複数のレーザ・ダメージ線は第1の複数のレーザ・ダメージ線に対して125ミクロンずらされている。
【0108】
特定の実施形態では、表面下レーザ・ダメージは、結晶材料の重なり合わない第1および第2のエリア内に表面下レーザ・ダメージ部位の第1のグループを形成し、続いて第1および第2のエリア内に表面下レーザ・ダメージ部位の第2のグループを形成することによって、結晶材料の複数の重なり合わないエリアの間で分配され、このとき、表面下レーザ・ダメージ部位の第2のグループの少なくともいくつかの(または全ての)部位は、重なり合わないエリア内に形成された表面下レーザ・ダメージ部位の第1のグループの部位と交差しない。その後で、表面下レーザ・ダメージ部位の1つまたは複数の追加のグループを形成し、結晶材料の同じ重なり合わない第1および第2のエリアの間に分配してもよい。第1および第2のエリアについて説明したが、任意の好適な数の重なり合わないエリア(例えば、3つの、4つの、5つの、6つの、またはそれ以上のエリア)を画成してもよいことが諒解されよう。特定の実施形態では、そのようなエリアは、重なり合いが全くないものであり得るだけではなく、非接触の関係で互いから離間(例えば、横方向に離間)されたものであってもよい。
【0109】
図20Aは、レーザ・ダメージ領域が形成され得る重なり合わない第1、第2、および第3のエリア150A~150Cを示す、結晶材料基板150の上面平面図である。第1から第3のエリア150A~150Cの間の境界を強調するために第1のエリア150Aおよび第3のエリア150Cには説明の目的でシェーディングが付加されているが、実際の結晶材料基板150が通常は均一な色であることが諒解されよう。各エリア150A~150Cは基板150のプライマリ・フラット150’の一部に接触している。図20A図20Dには3つのエリア150A~150Cが示されているが、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上などの任意の好適な数のエリアが企図され、そのようなエリアは任意の好適な構造で、例えば、1次元アレイで、2次元アレイで、中心点から延在する複数の扇形(例えば、くさび形状の扇形)として、等で配置され得る。
【0110】
図20Bは、第1のエリア150Aから第3のエリア150C内に第1の複数の表面下レーザ・ダメージ領域151を形成した後の、図20Aの結晶材料基板150の上面平面図である。示されているように、レーザ・ダメージ領域151は、基板150のプライマリ・フラット150’に対して実質的に垂直な、実質的に平行な線として提供される。第1から第3のエリア150A~150Cの各々内に、複数のレーザ・ダメージ領域151が設けられている。図20Bには示されていないが、(図11Bに示されているような)横方向に延びるクラックがレーザ・ダメージ領域151から発し得るが、これらは隣り合うレーザ・ダメージ領域151間を接続しないのが好ましい場合のあることが諒解されよう。特定の実施形態では、第1のエリア150A内に、次いで第2のエリア150B内に、最後に第3のエリア150C内に、複数の表面下レーザ・ダメージ領域151の表面下レーザ・ダメージ領域151を形成することができる。
【0111】
図20Cは、第1のエリア150Aから第3のエリア150C内に第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域152を形成した後の、図20Bの結晶材料基板150の概略上面平面図である。示されているように、第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域152のレーザ・ダメージ領域152は、プライマリ・フラット150’に対して実質的に垂直な実質的に平行な線として提供され、第1から第3のエリア150A~150Cの各々内に複数のレーザ・ダメージ領域152が設けられる。更に、第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域152の各レーザ・ダメージ領域152は、第1の複数の表面下レーザ・ダメージ領域151と実質的に平行である。図20Cには示されていないが、各レーザ・ダメージ領域151、152から横方向に延びるクラックが発生し得るものの、そのようなクラックは隣り合うレーザ・ダメージ領域151、152の間を接続しないのが好ましいことが諒解されよう。特定の実施形態では、複数の表面下レーザ・ダメージ領域152の表面下レーザ・ダメージ領域152を、第1の表面下レーザ・ダメージ領域151と同じ順序で形成することができる(例えば、表面下レーザ・ダメージ領域152を、第1のエリア150A内に、次いで第2のエリア150B内に、最後に第3のエリア150C内に形成することができる)。このようにして、第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域152のレーザ・ダメージ領域152が、第1の複数の表面下レーザ・ダメージ領域151のレーザ・ダメージ領域151の間で分散される。
【0112】
図20Dは、第1のエリア150Aから第3のエリア150C内に第3の複数の表面下レーザ・ダメージ領域153を形成した後の、図20Cの結晶材料基板の上面平面図である。示されているように、第3の複数の表面下レーザ・ダメージ領域153のレーザ・ダメージ領域153は、プライマリ・フラット150’に対して実質的に垂直な実質的に平行な線として提供され、第3の複数の表面下レーザ・ダメージ領域153の複数のレーザ・ダメージ領域153は、第1から第3のエリア150A~150Cの各々内に設けられる。第3の複数の表面下レーザ・ダメージ領域153の各レーザ・ダメージ領域153は、第1の複数の表面下レーザ・ダメージ領域151および第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域152と実質的に平行であってもよい。第1から第3の表面下レーザ・ダメージ領域151~153によって提供される表面下レーザ・ダメージ・パターンによって複数の3線グループ154が形成され、これらは、各3線グループ154における隣り合うレーザ・ダメージ領域151~153間の間隔を上回るグループ間間隔154’によって、互いから離間されている。図20Cには示されていないが、各レーザ・ダメージ領域151~153から横方向に延びるクラックが発生する場合があり、これらのクラックは(図11Dに示されているように)全てのレーザ・ダメージ領域151~153間で横方向に延びて、この後の基板150の残りの部分からの基板150の上側部分の破砕を促進することが諒解されよう。特定の実施形態では、複数の表面下レーザ・ダメージ領域152の表面下レーザ・ダメージ領域153を、第1の表面下レーザ・ダメージ領域151および第2の表面下レーザ・ダメージ領域152と同じ順序で形成することができる(例えば、表面下レーザ・ダメージ領域153を、第1のエリア150A内に、次いで第2のエリア150B内に、最後に第3のエリア150C内に形成することができる)。このようにして、第3の複数の表面下レーザ・ダメージ領域153のレーザ・ダメージ領域153が、第1の複数の表面下レーザ・ダメージ領域151および第2の複数の表面下レーザ・ダメージ領域152のレーザ・ダメージ領域151、152の間で分散される。
【0113】
[並列加工および/またはレーザ・ビーム分割]
特定の実施形態では、ツールのスループットを向上させる目的で、複数の基板領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するために、1つの基板の複数の領域を同時に加工することができる、および/または、同時にもしくは実質的に同時にレーザ加工を行うための単一のツール内に、複数の基板を配置することができる。特定の実施形態では、1つのレーザの出力ビームを1つまたは複数のビーム・スプリッタを使用して複数のビームへと分割することができ、これらのビームの個々のビームを異なる基板または単一の基板の異なるエリアのいずれかに供給して、そこに本明細書で開示する方法を利用して表面下レーザ・ダメージを形成することができる。特定の実施形態では、複数のレーザを使用して複数の基板または単一の基板の複数のエリアにビームを同時に供給し、そこに本明細書で開示する方法を利用して表面下レーザ・ダメージを形成することができる。
【0114】
図21は、1つまたは複数のレーザを用いて表面下レーザ・ダメージが形成され得る4つの基板155A~155Dを保持するように配置されている、レーザ加工装置のホルダ163の概略上面平面図である。示されているように、各基板155A~155Dにはそこに画成された表面下レーザ・ダメージ・パターンを含み、そのようなパターンは、第1、第2、および第3の複数の実質的に平行な線156~158を含む。3つのレーザ・ダメージ・パターンは組み合わされて複数の3線グループ15を形成しており、これらは各3線グループ159中の隣り合う線の間の間隔161、162を上回るグループ間間隔160によって互いから分離されている。特定の実施形態では、第1の基板155Aおよび第3の基板155Cには第1のレーザまたは第1の分割したレーザ・ビーム部分によってレーザ・ダメージ・パターンを形成することができ、第2の基板155Bおよび第4の基板155Dには第2のレーザまたは第2の分割したレーザ・ビーム部分によってレーザ・ダメージ・パターンを形成することができる。特定の実施形態では、基板155A~155Dを担持するホルダ163は(例えば、2つ(x、y)の横方向に)移動するように構成されており、一方、1つまたは複数のレーザおよび/またはその集束光学系は、横方向の移動を制限される(ただし垂直(z方向)移動は行ってもよい)。
【0115】
図22Aは、基板164の複数のエリアにおいて第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンに従う表面下レーザ・ダメージ領域を同時に形成するように、複数の部分へと分割したレーザ・ビームで加工中の、単一の基板164の概略上面平面図である。示されているように、基板164は、(例えば、図20A図20Cに描かれているエリア150A~150Cと類似の)複数のエリア164A~164Cを含む。最初のレーザ・ダメージ形成ステップは、第1のエリア164Aおよび第2のエリア164Bにレーザ・ダメージ領域165’を同時に形成するために、2つの分割したレーザ・ビーム部分を当てることを含む。基板164をレーザに対して横方向に(例えば、右向きの矢印とは反対の方向に)インデクシングすることができ、次のレーザ・ダメージ形成ステップは、第1のエリア164Aおよび第2のエリア164Bにレーザ・ダメージ領域165’’を同時に形成するために、2つの分割したレーザ・ビーム部分を当てることを含む。第1のエリア164Aおよび第2のエリア164Bに追加のレーザ・ダメージ領域165’’’、165’’’’を形成するために、ならびに、最終的に第1、第2、および第3のエリア164A~164Cを覆って第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成するために、この工程が繰り返される。その後、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと一緒に分散させた第2および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンをそれぞれ形成するために、工程を繰り返してもよい。第1および第2の分割したレーザ・ビーム部分を使用して、基板164の全体にわたって分配される表面下レーザ・ダメージ・パターンを、単一の分割しないレーザ・ビームでパターンを形成できる場合の半分の時間で形成することができる。図22Bは、両方の基板166A、166Bに少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンに従う表面下レーザ・ダメージを同時に形成するように2つの部分へと分割したレーザ・ビームで加工中の、ホルダ168によって支持されている2つの基板166A、166Bの概略上面平面図である。最初のレーザ・ダメージ形成ステップは、第1の基板166Aおよび第2の基板166Bにレーザ・ダメージ領域167’を同時に形成するために、2つの分割したレーザ・ビーム部分を当てることを含む。基板166A、166Bを担持するホルダを、レーザに対して横方向に(例えば、右向きの矢印とは反対の方向に)インデクシングすることができ、次のレーザ・ダメージ形成ステップは、第1の基板166Aおよび第2の基板166Bにレーザ・ダメージ領域167’’を同時に形成するために、2つの分割したレーザ・ビーム部分を当てることを含む。第1の基板166Aおよび第2の基板166Bに追加のレーザ・ダメージ領域167’’’、167’’’’を形成するために、ならびに、最終的に第1の基板164Aおよび第2の基板166Bを覆ってそこに第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンを形成するために、この工程が繰り返される。その後、基板166A、166Bに、第1の表面下レーザ・ダメージ・パターンと一緒に分散させた第2および第3の表面下レーザ・ダメージ・パターンをそれぞれ形成するために、工程を繰り返してもよい。
【0116】
[深さの異なる重なり合う表面下レーザ・ダメージの形成]
特定の実施形態では、結晶材料基板の内部に、第1の深さを中心とした最初の表面下レーザ・ダメージを形成することができ、基板の内部に第2の深さを中心とした追加の表面下レーザ・ダメージを形成することができ、このとき、追加の表面下レーザ・ダメージは最初の表面下レーザ・ダメージと実質的に位置合わせされ、追加の表面下レーザ・ダメージの少なくとも一部の垂直方向の伸びが最初のレーザ・ダメージの少なくとも一部の垂直方向の伸びと重なり合う。繰り返しになるが、垂直方向の伸びが重なり合う表面下レーザ・ダメージを提供するために、1つまたは複数の先立つ行程の上に、異なる深さのレーザ・ダメージを付与するように構成されている1つまたは複数の次の行程を追加することができる。特定の実施形態では、重なり合う表面下ダメージの追加は、1つまたは複数の先立つ表面下レーザ・ダメージ形成ステップが未完であるという、破砕前の(例えば光学的分析による)判定に応答して行われてもよい。特定の実施形態では、基板の単一の厚さ低減部分(例えば、1つのウエハ)を形成するための第1および第2のレーザ・ダメージ・パターンの間のレーザ集束深さの差は、1から10ミクロン、または2から8ミクロン、または2から6ミクロンの範囲内であり得る。異なる深さにおける重なり合う表面下レーザ・ダメージの形成は、(限定するものではないが)複数の分散させた表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成を含む、本明細書の任意の他の方法ステップと連携させて行われ得る。
【0117】
図23Aは、基板1770の第1の表面171に対する第1の深さを中心とした第1の表面下レーザ・ダメージ・パターン173を含む、結晶材料基板170の概略断面図であり、表面下ダメージ・パターン173は集束させたレーザの放射179によって作り出されている。第1の表面下レーザ・ダメージ・パターン173は、第1の表面171と反対側の第2の表面172の間の基板170の内部に留まる、垂直方向の伸び174を有する。図23Bは、第2の深さを中心とし第1の表面下レーザ・ダメージ・パターン173と位置合わせされている第2の表面下レーザ・ダメージ・パターン175の形成後の、図23Aの基板の概略断面図であり、第2のダメージ・パターン175の垂直方向の伸び176がダメージ重なり領域177において第1のダメージ・パターン173の垂直方向の伸び174と重なり合っている。特定の実施形態では、結晶材料170の次の破砕が、ダメージ重なり領域177に沿ってまたはこれを通って実行され得る。
【0118】
[深さの異なる重なり合わない表面下レーザ・ダメージの形成]
特定の実施形態では、他の(例えば、先に形成された)表面下レーザ・ダメージ線と位置合わせされずに、ならびに/または最初のおよび次のレーザ・ダメージの垂直方向の伸びの特徴が重なり合うことなく、基板の様々な深さに表面下レーザ・ダメージ線が形成され得る。特定の実施形態では、表面下レーザ・ダメージの分散させたパターンはレーザ線のグループを含むことができ、異なるグループは基板の表面に対して異なる深さで集束される。特定の実施形態では、基板の内部のレーザの放射の集束深さは、異なるレーザ線のグループ(例えば、第1および第2のグループ、第1から第3のグループ、第1から第4のグループ、等のうちの少なくとも2つの異なるグループ)間で、約2ミクロンから約5ミクロンまで(すなわち、約2μmから約5μm)の範囲内の距離だけ異なる。
【0119】
[レーザ・ツール較正]
カーフ・ロスの主要な要因のうちの1つは、インゴット面上の主要な破砕領域の下にある、表面下レーザ・ダメージである。一般に、表面下レーザ・ダメージが増加するとカーフ・ロスが増加する。表面下レーザ・ダメージが増加する考えられる原因の1つは、結晶材料の光学特性を十分に補償できないことである。
【0120】
特定の実施形態では、レーザ較正は、結晶材料基板への表面下レーザ・ダメージの形成の前に、結晶材料基板(例えば、インゴット)がレーザ・ツールに供給されるたびに実行され得る。そのような較正では、結晶材料基板の上側表面上にレーザ・ビームの最良の集束点が形成される初期状態を達成する可変高さ調節を利用することができ、その後で、次の状態に応じた結晶材料における表面下レーザ・ダメージの形成の所望の深さに対応するように、レーザ・ツールの開口または補正環を調節することができる。
【0121】
[ドーピング領域(ドーピング・リングとしても知られる)を示すウエハ写真]
図24Aは、本明細書に記載する熱誘起の破砕方法を用いて担体(すなわち、図24Bに示す熱可塑性接着剤で接合されたサファイア担体181)から分離した後の、SiCウエハ180の斜視した写真である。ウエハ180および担体181はいずれも150mmの直径を有する。熱誘起の破砕後にウエハ破損は観察されなかった。図24Cは、図24AのSiCウエハ写真の色調を、SiCウエハ180の中央ドーピング・リング182と外側環状部分183の間のコントラストを強調するために、部分的に反転させたバージョンである。図24Dは、SiCウエハ180の中央ドーピング・リング182と外側環状部分183の間の境界を示すように点線の長円で注記した、図24Cの画像を示す。ドーピング・リング182は、SiCウエハの外側環状部分183に対してドーピング濃度の高い領域を表す。SiCなどのドープ半導体材料はIR波長の吸収率の向上を呈するので、SiCウエハに表面下レーザ・ダメージを形成しようとする際には、外側環状部分183と比較してドーピング・リング182においてレーザ出力を高めるのが有益な場合がある。特定の実施形態では、少なくとも1つの第1のドーピング領域および少なくとも1つの第2のドーピング領域(例えば、ドーピング・リング182および外側環状部分183)の存在を判定するために、例えば光学的手段によって光の反射率または吸収率の変化を検出することによって、基板の表面の少なくとも一部にわたる結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の存在を検出することができる。その後、結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成中に、第1のドーピング領域(例えば、ドーピング・リング182)内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の平均出力のレーザ放射を提供するように、および、第2のドーピング領域(例えば、外側環状部分183)内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の平均出力のレーザ放射を提供するように、レーザ出力を変更することができ、第1および第2の平均出力レベルは互いに異なる。
【0122】
[ドーピング・リングを呈するインゴットの概略図]
図25は種結晶185上で成長させたSiCインゴット184の側方概略断面図であって、(インゴット184の第1の表面または底面185’にある)種結晶185から上向きにインゴット184の中心部分に沿ってその全厚さにわたって延在する、略円筒形状のドーピング領域187を示しており、ドーピング領域187はインゴット184の第2の表面または頂面186’に存在している。ドーピング領域187の側方は、形状が略環状である非ドープ(例えば、低濃度ドープのまたは意図せずドープされた)領域186で包囲されている。第1の表面185’と第2の表面186’の間に取られたインゴット184の薄い断面部分189は、図26に示すようなウエハ189Aを画成し得る。ウエハ189Aは、中央ドーピング領域187と、一部がプライマリ・フラット189’で境界付けられる、略環形状の非ドープ領域186と、を含む。特定の実施形態では、ウエハ189Aは、インゴット184から、本明細書に記載するようなレーザ・アシストの切り分け方法を使用して作り出すことができる。
【0123】
図26はドーピング領域187のサイズ(例えば、幅または直径)をインゴット184の厚さ全体を通して実質的に一定であるものとして示しているが、発明者らは、ドーピング領域のサイズがインゴットにおける垂直位置とともに変動し得る(例えば、典型的には幅または直径が、種結晶に近いほど大きく、種結晶から距離が離れるほど小さい)ことを確認している。ドーピング領域内のドーピングの大きさがインゴットにおける垂直位置とともに変動し得ることも確認されている。
【0124】
図27は種結晶185A上で成長させたSiCインゴット184Aの側方概略断面図であって、(インゴット184Aの第1の表面または底面185A’にある)種結晶185Aから上向きにインゴット184Aの中心部分に沿ってその全厚さにわたって延在する、円錐台形状のドーピング領域187Aを示している。示されているように、ドーピング領域187Aはインゴット184Aの第2の面または頂面186A’に存在するが、ドーピング領域187Aの幅または直径は、第1の表面185A’におけるよりも第2の表面186A’においての方が小さい。ドーピング領域187Aの側方は、形状が略環状である非ドープ(例えば、低濃度ドープのまたは意図せずドープされた)領域186Aで包囲されている。特定の実施形態では、ドーピング領域187Aは、種結晶185Aに対する垂直位置とともに変化する幅およびドーピング・レベルを有し得る。
【0125】
発明者らはまた、SiCインゴットの成長のために微斜面(例えば、c面と非平行な角度のオフカット)の種結晶が使用される場合、ドーピング領域の横方向の位置および形状が図27に示す構成と比較して異なり得ることも確認している。例えば、微斜面種結晶が使用される場合には、ドーピング領域は円形というよりも長円形の形状となり得る、かつ/または、インゴットの中心に対して横方向にずらされ得る。
【0126】
図28は、微斜面(例えば、オフカット)種結晶185B上で成長させたSiCインゴット184Bの側方概略断面図であり、種結晶185Bから種結晶185Bの中心から外れた点において上向きにインゴット184Bの全厚さにわたって上向きに延在する、円錐台形状のドーピング領域187Bを示す。示されているように、ドーピング領域187Bはインゴット184Bの第2の面または頂面186B’に存在するが、ドーピング領域187Bの幅または直径は、第1の表面185B’におけるよりも第2の表面186B’においての方が小さい。ドーピング領域187Bは上から見たときに略長円形状を有し得る。ドーピング領域187Bの側方は、非ドープ(例えば、低濃度ドープのまたは意図せずドープされた)領域186Bで包囲されている。特定の実施形態では、ドーピング領域187Bは、種結晶185Bに対する垂直位置とともに変化する形状、幅、および/またはドーピング・レベルを有し得る。
【0127】
[ウエハ拡大写真]
図29は、表面下レーザ・ダメージの形成および続く分離を含む工程によってインゴットから分離されたSiCウエハのSi面の、斜視した写真であり、嵌め込み部分(右上)には、続く走査型電子顕微鏡(SEM)画像に描写されているエッジを含む、SiCウエハの意図的に分離された断片が描写されている。
【0128】
図30Aは、15度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の45倍拡大SEM画像であり、重ね合わせた矢印は、[1-100]および[11-20]結晶面の方向を示す。レーザ線は[11-20]方向に対して垂直であり、間が約250ミクロン離間されている。図30Bは、15度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の1,300倍拡大SEM画像である。図30Cは、15度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の350倍拡大SEM画像である。図30Cに示されているように、オフアクシス劈開面はレーザ間隔とある程度相関しているが、ウエハ表面にわたって一貫してはいない。このことは、劈開面に対するレーザ線位置のばらつきに少なくとも部分的に起因し得る。このウエハでは、多結晶の導入位置から破砕が開始された。
【0129】
図30Dは、2度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の100倍拡大SEM画像である。図30Eは、2度の傾斜角で撮影した、図29のSiCウエハ断片の一部の1,000倍拡大SEM画像である。図30Dおよび図30Eは、破砕領域に沿った表面特徴と比較すると、レーザ・ダメージがかなり浅いことを示している。特に図30Eの中央部分において、結果的な破砕ダメージの変動性を見ることができる。
【0130】
図31Aは、図29のSiCウエハの小さい中心部分の共焦点レーザ走査顕微鏡画像であり、重ね合わせた十字線によって、レーザ走査によって形成された「トレンチ」の位置がマーキングされている。図31Bは、図31AのSiCウエハの一部の表面プロファイルのプロットである。図31Bを参照すると、SiC劈開面に対するレーザ線位置の変動性が観察できる。
【0131】
図32Aは、図29のSiCウエハの(撮影時点の)頂部に近接したより大きい部分の共焦点レーザ走査顕微鏡画像であり、重ね合わせた十字線によって、レーザ走査によって形成された「トレンチ」または線の位置がマーキングされている。図32Bは、図32AのSiCウエハの頂部に近接した部分の表面プロファイルのプロットである。図32Bでは、レーザ・ダメージに対応する線の第1の対(長円200内の十字線として表されている)が、30ミクロン超の深さによって分離されており、レーザ・ダメージに対応する線の第2の対(長円201内の十字線として表されている)が、20ミクロン超の深さによって分離されている。図32Aおよび図32Bにはレーザ線間の不規則な間隔が示されており、描かれた他のレーザ・ダメージ線と比較して、(長円200内の)線の第1の対内の個々の線は互いに対してより近く、(長円201内の)線の第2の対内の個々の線は互いに対してより近い。
【0132】
図33Aは、図29のSiCウエハの(撮影時点の)底部に近接したより大きい部分の共焦点レーザ走査顕微鏡画像であり、重ね合わせた十字線によって、レーザ走査によって形成された「トレンチ」の位置がマーキングされている。図33Bは、図33AのSiCウエハの底部に近接した部分の表面プロファイルのプロットである。図33Bは、レーザ・ダメージ線の隣り合う対同士の間の横方向の距離ばらつきを示し、ある対は334ミクロンだけ分離されており、別の対は196ミクロンだけ分離されているが、深さの最大ばらつきは13ミクロンである。
【0133】
[表面下レーザ・ダメージの形成後の基板の破砕]
本明細書で既に考察したように、結晶材料基板内には、基板から結晶材料の少なくとも1つの薄層(例えば、ウエハ)を除去するための破砕に向けて基板を準備するための、表面下レーザ・ダメージが形成され得る。特定の破砕技法の例(例えば、基板に結合されたCTE不整合の担体を冷却すること、基板に超音波を当てること、または基板に装着された担体に曲げモーメントを付与すること)が本明細書で以下に記載されているが、本明細書に記載する様々な表面下レーザ・ダメージ形成技法を、当業者に既に知られている破砕技法を含む任意の好適な破砕技法内で使用できることが諒解されよう。
【0134】
[担体/基板のCTE不整合のある剛性担体の冷却による破砕]
図34A図34Fは、結晶材料に結合された結晶材料よりも大きいCTEを有する剛性担体を利用する、本開示の一実施形態に係る結晶材料を破砕するための担体アシスト法のステップを示す。図34Aは、剛性担体202の第1の表面203に結合された接着材料198の層を有する、および第1の表面203の反対側の第2の表面204を有する、剛性担体202の、側方概略断面図である。
【0135】
図34Bは、中に表面下レーザ・ダメージ領域196を有する結晶材料基板190に結合されている、図34Aの剛性担体202および接着材料198を含む組立体188の概略断面図である。剛性担体202は、基板190よりも大きい直径または横方向の伸びを有する。基板190は、接着材料198に近接した第1の表面192を含み、かつ反対側の第2の表面194を含み、表面下レーザ・ダメージ196は第2の表面194よりも第1の表面192の近くにある。接着材料198は結晶基板190の第1の表面192と剛性担体202の第1の表面203との間に延在する。選択した接合方法(例えば、熱圧縮接着剤接合、圧縮UV接合、化学反応性接合、等)の要件に従って、接着材料198を硬化させることができる。特定の実施形態では、第2の担体(図示せず)を基板190の第2の表面194に接合してもよく、この場合第2の担体は基板190よりも広くなることはない、および/または、基板190とCTEが一致しているが、これらは任意選択である。
【0136】
図34Cは、剛性担体202の第2の表面204を、冷却液を受けるように構成されている冷却したチャック206の形態の冷却装置の支持表面208上に位置付けた後の、図34Bの組立体の概略断面図である。剛性担体202と冷却したチャック206の間の接触によって、剛性担体202から冷却したチャック206へと熱が伝達される。冷却工程中、剛性担体202は、担体202のCTEが基板190よりも大きいことに起因して、結晶材料基板190よりも大きく横方向に収縮することになり、この結果、担体202は基板190に対してせん断応力を及ぼす。剛性担体202を基板190に結合する接着剤層198の近くに表面下レーザ・ダメージ196が存在することに起因して、基板190に対してせん断応力を及ぼすことによって、表面下レーザ・ダメージ領域196に沿ってまたは近接して、結晶材料が破砕されることになる。
【0137】
特定の実施形態では、冷却したチャック206は、剛性担体202の直径よりも小さい直径を有する。冷却したチャック206には冷却液を供給することができるが、結晶材料基板190の熱誘起の破砕を首尾よく完了するために、剛性担体202が液体窒素温度(-160℃)に達する必要はない。-70℃に維持される冷却したチャックを使用して、単結晶サファイア基板によって支持された単結晶SiC材料の破砕に関する好ましい分離結果が得られている。そのような温度は、様々な冷却液、例えば二相ポンプ式気化冷却システムから受けられる液体メタノール(その凝固点-97℃超では流動性が維持される)を使用して維持され得る。担体、接着剤、および基板を-20℃に維持された冷凍庫内で冷却することによっても好ましい分離結果が得られたが、この場合、そのような温度は単相気化冷却システムを使用して維持され得る。液体窒素ではなく単相気化冷却システムまたは二相ポンプ式気化冷却システムを使用できることによって、運用コストが大きく低減される。
【0138】
図34Dは、表面下レーザ・ダメージ領域に沿った結晶材料の破砕後の、剛性担体202と、接着材料198と、基板190Aから除去した結晶材料の部分210とを含む、接合された組立体から分離された結晶材料基板190Aの残りの部分の概略断面図である。結晶材料基板190Aの残りの部分は、第2の表面194の反対側の、(残留レーザ・ダメージ196Aを有する)新しい第1の表面193を境界としている。これに対応して、結晶材料の除去した部分210は、第1の表面192の反対側の、(残留レーザ・ダメージ196Bを有する)新しい第2の表面212を境界としている。その後、剛性担体202と接着材料198と結晶材料の除去した部分160とを含む接合された組立体215を、冷却したチャック206から回収することができる。
【0139】
図34Eは、水冷チャック206から回収した後の、図34Dの接合された組立体215の概略断面図である。除去した結晶材料の一部210を剛性担体202に取り付けた状態に維持することによって、除去した結晶材料の一部210の機械的支持が実現し、この結果、残留レーザ・ダメージ196Bを除去し、結晶材料210の望ましい厚さを(例えば、研削、ならびにその後の任意選択的な化学機械平坦化ステップおよび/または研磨ステップを介して)達成するための、新しい表面212に対する1つまたは複数の表面加工ステップ(例えば、研削、研磨、等)の実行が可能になって、有利である。特定の実施形態では、レーザ・ダメージ除去および薄層化は、連続的な研削/研磨工程、ならびに、新しい表面212を次の工程(例えば、表面注入、(例えば、ウエハ・フラットに沿った)レーザ・マーキング、エピタキシャル層の形成、金属化、等)に向けて準備するための、任意の好適な研磨および洗浄ステップを含み得る。
【0140】
図34Fは、加熱した真空チャック216の上側表面218によって支持された、結晶材料の除去した部分210の概略断面図であり、剛性担体202および接着材料198は、接着材料198の高温軟化および解放の後で、結晶材料の除去した部分21から離れる方に横方向に並進されている。すなわち、加熱した真空チャック216は、剛性担体202の第2の表面204に外部せん断応力を適用したときに、加熱した真空チャック216によって所定位置に一時的に保持されている結晶材料の除去した部分21から離れる方へと横方向に剛性担体202を並進させることができるように、接着材料198を軟化および/または流動させるのに十分な温度まで、加熱することができる。その後、加熱した真空チャック216の動作を停止してもよく、結晶材料の除去した部分21は自立できる材料を具現化したものとなる。所望であれば、剛性担体202の第1の表面203から接着剤198の残渣を全て除去し洗浄することができ、剛性担体202を任意選択的に別の破砕工程のために再利用することができる。次いで除去した結晶材料を、1つまたは複数のエピタキシャル層および導電金属層を成長させてデバイス・ウエハを形成するための成長基板として使用することができ、デバイス・ウエハは個片化されて個別の半導体デバイスを形成する。
【0141】
[超音波エネルギーが誘起する破砕]
剛性担体に接合された結晶材料のレーザが誘起した表面下ダメージ・ゾーンに沿って破砕を生じさせるための別の方法は、接合された状態にある間に結晶材料に超音波エネルギーを適用することを含む。図35は、介在する接着材料198Aを使用して剛性担体202Aに接合された表面下レーザ・ダメージ196Aのある結晶材料190Aを含む、組立体188Aの概略断面図であり、組立体188Aは超音波発生器装置220の液槽225内に配置されている。装置220は、超音波生成要素224と接触させて配置されている容器222を更に含み、容器222は液槽225を収容している。剛性担体202Aの存在によって、特に分離前に残留応力が(例えば、CTE不整合に起因して)剛性担体202Aと結晶材料190Aの間に留まる場合に、超音波エネルギーを受けたときの結晶材料190Aの破損を低減または排除できる。そのような残留応力によって、結晶材料の破砕を開始するために必要な超音波エネルギーの量を低減させることができ、このことにより、材料破損の可能性が低減される。
【0142】
[機械的な力が誘起する破砕]
特定の実施形態では、剛性担体に接合された結晶材料の破砕は、(i)担体の少なくとも1つのエッジに近接した、(例えば、任意選択的に1つまたは複数の箇所に局所化された)機械的な力の適用、によって促進され得る。そのような力は、担体の少なくともの一部に曲げモーメントを付与することができ、そのような曲げモーメントは破砕を開始するために表面下レーザ・ダメージ領域に伝達される。例示の実施形態を図36A図36Cに示す。
【0143】
図36A図36Cは、基板236が接合される担体238の一方のエッジに近接して機械的な力を適用することによって、表面下レーザ・ダメージ233のある結晶材料基板236を破砕するためのステップを説明する概略断面図である。接合された組立体は、剛性担体238、238’の間に接合された、表面下レーザ・ダメージ領域233を有する結晶材料基板236を含む。各剛性担体238、238’は、ツール219を挿入可能な凹部231を画定する局所的に大きくなった境界領域を提供する、基板236のフラット235と位置合わせされた横方向に突出するタブ部分239、239’を含む。図36Aは、ツール219を凹部191に挿入する前の状態を示す。図36Bはツール219を凹部に挿入した後の状態を示し、このときツール216は上向きに傾斜しており、このことにより、剛性担体238、238’の間の分離を促進しようとする方向にこじり力が働き、このことにより、少なくとも1つの担体238に対して曲げモーメントMが作用する。特定の実施形態では、基板236は六方晶構造を有する材料(例えば、4H-SiC)を含み、曲げモーメントMは、[11-20]方向に対する垂直方から±5度以内に(または等価なものとして、[1-100]方向との平行方向から±5度以内に)配向される。図36Cは、表面下レーザ・ダメージ領域233に沿った結晶基板236の最初の破砕後の状態を示し、この場合、結晶材料の上側部分236は上側担体238に接合されたままであり、結晶材料の下側部分236Bは下側担体238’に接合されたままであり、上側担体238は下側担体238’に対して上向きに傾斜している。そのような破砕によって、第2の接合された組立体229B(下側担体238’と結晶材料の下側部分236Bとを含む)から分離された、第1の接合された組立体229A(上側担体238と結晶材料の上側部分236Aとを含む)が得られる。特定の実施形態では、担体に接合されている表面下レーザ・ダメージのある結晶材料の破砕を促進するために、基板が接合されている剛性担体の両側のエッジに近接して、機械的な力を適用することができる。
【0144】
2つ以上の破砕技法を組み合わせること(例えば、CTE不整合および超音波誘起の破砕、またはCTE不整合および機械的作用誘起の破砕、または超音波誘起および機械的作用誘起の破砕)が特に企図されることが留意される。特定の実施形態では、超音波エネルギーの適用前または適用中に、超音波槽の液体を冷却することができる。破砕を完了するために必要な機械的な力の量は、基板と担体の間のCTE差の影響を受ける場合がある。特定の実施形態では、CTE差および機械的な力を組み合わせることができる。担体と基板の間のCTE差が小さいかまたは存在しない(すなわち、CTEが整合している)場合には、破砕を完了するためにより大きな機械的な力が必要となり得る。逆に、CTE不整合が大きい場合には、破砕を完了するために必要な機械的な力を小さくできるか、または機械的な力が必要ない場合がある。
【0145】
[デバイス・ウエハ分割工程]
特定の実施形態では、結晶材料に動作可能な半導体ベースのデバイスの一部として少なくとも1つのエピタキシャル層(および任意選択的に少なくとも1つの金属層)を形成した後で、その結晶材料にレーザ・アシストおよび担体アシストの分離方法を適用することができる。そのようなデバイス・ウエハ分割工程は、デバイス形成後に基板材料を研削して除去する必要性を大きく低減することによって、結晶材料の歩止まりを高める(および廃棄を減らす)ことができるため、特に有利である。
【0146】
図37A図37Oは、デバイス・ウエハ分割工程のステップを説明する概略断面図であり、これらに従って、結晶材料から厚いウエハを破砕し、厚いウエハ上で少なくとも1つのエピタキシャル層を成長させ、厚いウエハを破砕して担体と厚いウエハから分けられた薄いウエハとを各々含む第1および第2の接合された組立体を形成し、第1の接合された組立体は、動作可能な半導体ベースのデバイスの一部として少なくとも1つのエピタキシャル層を含む。
【0147】
図37Aは、第1の表面241と第1の表面に対してある深さに配置された表面下レーザ・ダメージ243とを有する、結晶材料基板240を示す。図37Bは、第1の表面241を覆うように接着材料244を追加した後の、図37Aの基板240を示す。図37Cは、剛性担体246を接着材料244を使用して基板240に接合した後の、図37Bに描かれているアイテムを示す。図37Dは、基板240を(例えば、本明細書で開示する1つまたは複数の方法を使用して)表面下レーザ・ダメージ243に沿って破砕した後の、図37Dのアイテムを示し、担体246と、接着材料244と、基板240から除去した結晶材料部分(例えば、厚いウエハ)242と、を含む、接合された組立体から分離された基板240の残りの部分が生じている。特定の実施形態では、厚いウエハ242は、おおよそ350から750ミクロンの範囲内の厚さを有し得る。厚いウエハ242の露出した表面243Aおよび基板240の残りの部分の露出した表面243Bは表面不規則性を呈し得るが、これらは研削、CMP、研磨、等などの表面加工ステップによって低減することができる。図37Eは、担体246から接合解除し取り外した後の厚いウエハ242を示し、厚いウエハ242は垂直なエッジ・プロファイルを含む。ウエハの垂直なエッジはウエハの取り回し中に容易に破砕し、許容できないエッジのチップおよび粒子を生じさせる。破損のリスクを低減するために、ウエハ・エッジをエッジ研削して、面取りされたまたは丸められたエッジを有する非垂直なウエハ・エッジを作り出すことができる。図37Fは、厚いウエハ242に丸められたエッジ・プロファイル247を付与するように構成されている(例えば、ダイヤモンド粒子を含浸させた)凹状の切削表面249Aを有する回転式プロファイル研削ツール249に近接した回転台の、対向する上側把持部分248Aと下側把持部分248Bの間に支持された、厚いウエハ242を示す。図37Gは、エッジ研削(エッジ・プロファイリングとしても知られる)後の厚いウエハ242を示し、この厚いウエハは、第1のウエハ表面251と第2のウエハ表面252の間の境界を提供する、丸められたエッジ247を含む。
【0148】
図37Hは、厚いウエハ251の第1の表面251上にまたはこれを覆って1つまたは複数のエピタキシャル層253を成長させた後の、図37Gの厚いウエハ242を示す。接着剤とエピタキシに固有の高温との不適合性に起因して、図37Dに示す担体は存在していない。図37Iは、少なくとも1つの動作可能な半導体デバイスを形成するためにエピタキシャル層253の上に導電(例えば、金属)コンタクト254を形成した後の、構造図37Hを示し、厚いウエハ242はまだ丸められたエッジ247を有している。従来、研削は、第2の表面252に対して、厚いウエハ242を結果的なデバイスにとって適切な厚さ(例えば、ショットキー・ダイオードまたはMOSFETでは100から200ミクロン)にまで薄くするために、行われるものである。本明細書で開示する手法は、ウエハ研削の必要性を低減し、代わりに、厚いウエハの一部を除去し、これに表面仕上げを行って別の動作可能な半導体デバイスの製作に使用できるようにするために、レーザ・アシストおよび担体アシストの分離を利用する。
【0149】
発明者らは、厚いウエハ242上の丸められたエッジ247の存在がエッジ247に近接した表面下レーザ・ダメージの形成の制御を阻害しており、その理由が、丸められたプロファイルがレーザ焦点および深さの制御に悪影響を与えるからであることを見出した。この問題に対処するために、厚いウエハ242の丸められたエッジ247を、更なるレーザ加工の前に除去することができる。図37Jは、丸められたエッジ247を研削して除去し、厚いウエハ242の第1の表面251と第2の表面252の間に延在する実質的に垂直なエッジ255を付与するために、エッジ・グラインダ256で研削されている、図37Iの構造を示し、エピタキシャル層253およびコンタクト254が第1の表面251の上に配置されている。
【0150】
図37Kは、第1の担体を受け接着するための準備として、厚いウエハ242の第1の表面251、エピタキシャル層253、およびコンタクト254を覆う一時的接着材料257を追加した後の、図37Jの構造を示す。図37Lは、一時的接着材料257を覆うように第1の担体258を追加した後の、および、厚いウエハ242の第2の表面252を通して集束されたレーザ放射を当てることによって厚いウエハ242内に表面下レーザ・ダメージ259を形成した後の、図37Kの構造を示す。図37Mは、面下レーザ・ダメージ259に近接させて第2の剛性担体260を厚いウエハ242の第2の表面252に接合した後の、図37Lの構造を示す。分離を目的として、第2の剛性担体260は、厚いウエハ242の一部(すなわち、層)を除去するように意図されている前面担体としての役割を果たす。
【0151】
特定の実施形態では、自立できる厚いデバイス・ウエハにレーザ放射を適用することができ、第1および第2の担体は厚いウエハの前面および背面に実質的に同時に接合され得る。特定の実施形態では、接着材料を、担体またはウエハの前面および背面の一方または両方上に適用することができる。
【0152】
図37Nは、本明細書で開示する少なくとも1つの破砕工程を適用して、表面下レーザ・ダメージ259に沿って厚いウエハ242を破砕し、第1の接合された二次組立体262Aおよび第2の接合された二次組立体262Bを得た後の、図37Mのアイテムを示す。第1の接合された二次組立体262Aは、(図37Mの厚いウエハ242から分離された)第1の薄いウエハ部分242Aと、エピタキシャル層253と、コンタクト254と、一時的接着材料と、第1の担体258と、を含む。第2の接合された二次組立体262Bは、(図37Mの厚いウエハ242から分離された)第2の薄いウエハ部分242Bと、第2の担体260と、を含む。薄いウエハ部分242Aの露出した表面259Aおよび薄いウエハ部分242Bの露出した表面259Bは、レーザ・ダメージおよび/または破砕に起因する表面不規則性を呈し得るが、これらは従来の表面加工ステップ(例えば、研削、CMP、および/または研磨)によって低減することができる。図37Oは、一時的接着剤257および第1の担体258を除去することによって第1の接合された下位組立体262Aから得られた、動作可能な半導体デバイス264を示す。そのような図はまた、第2の薄いウエハ部分242Bを更なる処理(例えば、エピタキシャル成長)に向けて準備するべく第2の担体260を除去した後の、第2の薄いウエハ部分242Bを示す。
【0153】
[担体ウエハの再利用を含む例示の方法]
図38は、本開示に係る方法のステップを概略的に説明するフローチャートである。左上から始めて、レーザ266は、厚い結晶材料基板270(例えば、SiCインゴット)の第1の表面272よりも下にレーザ放射を集束させて、表面下レーザ・ダメージ領域268を作り出すことができる。その後、担体ウエハ224を結晶材料基板270の第1の表面272に接合することができ、担体ウエハ274は、(基板270の第1の表面272から近位の)第1の表面276と、担体ウエハ274の第1の表面276の反対側の第2の表面278と、を含む。担体ウエハ278と結晶材料基板270の間のそのような接合は、接着剤接合または陽極接合などの、本明細書で開示するいずれかの方法によって実行され得る。結晶材料基板と担体の間の陽極接合に関連する詳細が米国特許出願公開第2016/0189954号に開示されており、かかる公開の内容はこれにより参照によってあらゆる目的のために本明細書に組み込まれている。その後、本明細書で開示する破砕工程(例えば、CTE不整合の担体の冷却、超音波エネルギーの適用、および/または機械的な力の適用)が、表面下レーザ・ダメージ領域218に沿って結晶材料270の破砕に適用されて、担体ウエハ278に固着された結晶材料部分280を結晶材料基板270Aの残りの部分から分離させる。残留レーザ・ダメージを有する結晶材料基板270Aの残りの部分の新たに露出した表面282Aは、平滑に研削され、洗浄され、工程の始め(図38における左上)に戻される。また、除去した結晶材料280の新たに露出した表面284は、担体274に取り付けられたまま平滑に研削される。その後、担体ウエハ274を結晶材料280の除去した部分から分離することができ、結晶材料280に1つまたは複数の層のエピタキシャル成長を行ってエピタキシャル・デバイス280’を形成することができ、一方で担体ウエハ274は洗浄されて、結晶材料基板270の別の比較的薄い切片の除去を行わせるために、(図38の左上の)工程の始めに戻される。
【0154】
図39は、表面下レーザ・ダメージ268を示す図38の結晶材料基板(例えば、SiCインゴット)270の一部の概略断面図であり、重ね合わせた点線によって、予期されるカーフ・ロス材料領域が識別されている。予期されるカーフ・ロス材料領域290は、レーザ・ダメージ268と、更に、基板270から分離されることになる結晶材料部分280(例えば、SiCウエハ)の下面288(例えば、Si終端面)から機械的に(例えば、研削および研磨によって)除去されることになる材料284と、更に、基板270の残りの部分270Aの上面282A(例えば、C終端)面から機械的に(例えば、研削および研磨によって)除去されることになる材料286と、を含む。結晶材料部分280の下面288は、その上面272の反対側にある。特定の実施形態では、SiCが更なる加工にとって十分な基板上面282Aおよびウエハ下面288を提供するように、カーフ・ロス材料領域全体が、80~120ミクロンの範囲内の厚さを有し得る。
【0155】
[複数の研削ステーション/ステップを用いる材料加工]
特定の実施形態では、レーザ加工および破砕を受ける結晶材料を、表面下ダメージを除去するための複数の表面研削ステップ、および、面取りされたまたは丸められたエッジ・プロファイルを付与するためのエッジ研削で、更に加工することができ、この場合、追加の表面ダメージを付与する可能性を低くするように、および、結晶材料ウエハを化学機械平坦化に向けて準備するように、研削ステップの順序が選択される、および/または、保護表面コーティングが採用される。そのようなステップは、例えば、本明細書で開示する実施形態に係る材料加工装置を使用して実行することができ、この場合、例示の装置は、レーザ加工ステーションと、破砕ステーションと、破砕ステーションの下流に並列に配置された複数の粗研削ステーションと、粗研削ステーションの下流に配置された少なくとも1つの精密研削ステーションと、を含む。ワイヤ・ソーイングで切断したウエハを加工するときは、ワイヤ・ソーイングの表面ダメージを除去するために、表面の研削または研磨の前にエッジ研削を実行するのが一般的である。しかしながら、レーザ・ダメージを有する基板部分(例えば、ウエハ)のエッジ研削を破砕ダメージと組み合わせると、基板部分にクラックが発生する可能性が高まることが、発明者らによって見出されている。この現象の理由に関する何らかの特定の理論に縛られることを望むものではないが、少なくとも何らかの表面加工(研削および/または研磨)の前にエッジ研削が行われる場合、表面破砕の結果生じる露出した劈開面によって、表面はクラックを生じ易くなると考えられている。この理由により、エッジ研削の前に少なくともある程度の表面加工(例えば、研削および/または研磨)を実行するのが有益であることが見出されている。
【0156】
粗研削ステップ(すなわち、基板部分およびバルク基板の破砕した表面に沿ったレーザ・ダメージおよび破砕ダメージを除去するための)は、先行するレーザ加工および破砕のステップよりも完了するのに顕著に長い時間を、および次の精密研削のステップよりも顕著に長い時間を要する傾向にあることが見出されている。この理由のため、バルク結晶材料(例えば、インゴット)からの複数のウエハの製作におけるボトルネックを解消するために、複数の粗研削ステーションが並列に設けられる。特定の実施形態では、複数の粗研削ステーションの上流および下流に、基板部分の装填および取り出しを制御するためのロボット・ハンドラが配置され得る。特定の実施形態では、レーザ加工ステーションと破砕ステーションの間に担体接合ステーションを設けることができ、エッジ研削ステーションの(直接または間接のいずれかの)上流に担体除去ステーションを設けることができる。担体は望ましくは、特に薄い基板部分(例えば、ウエハ)について破損の可能性を低減するために、少なくともいくつかの表面研削ステップの間、基板部分に接合されたままとすることができるが、担体は、エッジ研削の前に(またはエッジ研削の前にウエハを保護コーティングでコーティングする前に)取り外されるのが好ましい。
【0157】
特定の実施形態では、担体接合ステーションは、一時的接合媒体で事前コーティングされた担体を使用し、担体を基板表面とアライメントしてそれに押し付け、その接合媒体を担体と基板の間の接合を行わせるための必要条件(例えば、熱および圧力)に曝すことができる。別法として、担体接合ステーションは、担体または基板を要求に応じてコーティングするために使用できる、コーティング・ステーションを含み得る。
【0158】
図40は、レーザ加工ステーション302と、担体接合ステーション303と、材料破砕ステーション304と、並列に配置された複数の粗研削ステーション308A、308Bと、精密研削ステーション312と、担体除去ステーション313と、CMPステーション314と、を含む、一実施形態に係る材料加工装置300の概略図である。レーザ加工ステーション302は、少なくとも1つのレーザと、結晶材料(例えば、インゴット)に表面下レーザ・ダメージを形成するための少なくとも1つのレーザ・ビームを受けるように配置された少なくとも1つの基板のための、ホルダと、を含む。担体接合ステーション303は、(表面下レーザ・ダメージを有する)結晶材料を少なくとも1つの剛性担体に接合するように構成されている。破砕ステーション304は、担体接合ステーション303から(剛性担体に接合された基板を各々含む)1つまたは複数の組立体を受けるように、および、(担体に接合されたウエハと類似している場合のある)基板部分を除去するために、表面下レーザ・ダメージ領域に沿って少なくとも1つの基板を破砕するように、配置されている。破砕ステーション304の下流には、第1の粗研削ステーション308Aおよび第2の粗研削ステーション308Bが並列に配置されており、破砕ステーション304から受け取った(接合された組立体の一部としての)基板部分を第1の粗研削ステーション308Aまたは第2の粗研削ステーション308Bのいずれかに交互に送るための、第1のロボット・ハンドラ306が設けられている。第1の粗研削ステーション308Aおよび第2の粗研削ステーション308Bの下流には、(接合された組立体の一部としての)粗研削された基板部分を精密研削ステーション312に送るための、第2のロボット・ハンドラ310が設けられている。精密研削ステーション312の下流には担体除去ステーション313が設けられており、これは担体から研削された基板部分を分離する役割を果たす。担体除去ステーション313の下流には、基板部分を洗浄およびエピタキシャル成長などの更なる処理に向けて準備するための、化学機械平坦化(CMP)ステーション314が配置されている。CMPステーション314は精密研削後に残るダメージを除去するように機能するが、精密研削自体は粗研削後に残るダメージを除去するものである。特定の実施形態では、各粗研削ステーション308A、308Bは、5000グリット未満の研削表面を有する少なくとも1つの研削ホイールを備え、精密研削ステーション312は、少なくとも5000グリットの研削表面を有する少なくとも1つの研削ホイールを備える。特定の実施形態では、各粗研削ステーション308A、308Bは、結晶材料部分(例えば、ウエハ)から20ミクロンから100ミクロンの厚さの結晶材料を除去するように構成されており、精密研削ステーション312は、3から15ミクロンの厚さの結晶材料を除去するように構成されている。特定の実施形態では、各粗研削ステーション308A、308Bおよび/または精密研削ステーション312は複数の研削サブステーションを含むことができ、異なるサブステーションは異なるグリットの研削ホイールを備える。
【0159】
図40の実施形態に係る装置を、ウエハなどの結晶基板部分の丸められたまたは面取りされたエッジ・プロファイルを付与するための、エッジ研削に対応するように修正することができる。そのようなエッジ・プロファイルによって、ウエハ・エッジの破損のリスクが低減されることになる。基板部分が担体に接合されている場合はエッジ研削は行われなくてもよく、したがって、担体除去ステーションは、エッジ研削ステーションの(直接または間接のいずれかの)上流に配置され得る。
【0160】
図41は、図40の実施形態と類似しているがエッジ研削ステーション332が組み込まれている一実施形態に係る、材料加工装置320を示す。材料加工装置320は、レーザ加工ステーション322と、担体接合ステーション323と、材料破砕ステーション324と、第1のロボット・ハンドラ326と、並列に配置された複数の粗研削ステーション328A、328Bと、第2のロボット・ハンドラ328と、担体除去ステーション331と、エッジ研削ステーション332と、精密研削ステーション334と、CMPステーション336と、を含む。例示のエッジ研削ステーション332を、(例えば、図37Gに示すような)凹状のデューリング表面を有する回転式研削ツールに近接して配置されている回転台の、上側および下側把持部分の間でウエハを把持するように、配置してもよい。このようにウエハを把持することによって、ウエハ表面(例えば、SiCウエハのSi終端表面)に望ましくないダメージが付与される場合がある。この理由により、図41に示すエッジ研削ステーション332は、エッジ研削ステーション332によって付与されるあらゆる表面ダメージを精密研削ステーション334において除去できるように、精密研削ステーション334の上流に配置されている。精密研削ステーション334はウエハを小さい厚さだけ除去し、このことによりエッジ研削ステーション332が作り出した丸められたまたは面取りエッジ・プロファイルが変更される場合があるが、ウエハ・エッジの破砕を阻止するのに十分な程度の丸められたまたは面取りされたエッジ・プロファイルは残ることになる。
【0161】
図41に係る装置320を使用して、表面ダメージを有する第1の表面を備える結晶材料ウエハを加工するための方法を実行することができ、このとき第1の表面はエッジを境界としている。方法は、表面ダメージの第1の部分を除去するために、第1の表面を少なくとも1つの第1の研削装置を用いて研削することと、少なくとも1つの第1の研削装置を用いた第1の表面の研削の後で、面取りされたまたは丸められたエッジ・プロファイルを形成するためにエッジをエッジ研削することと、エッジ研削後に、表面ダメージの第2の部分を第1の表面を化学機械平坦化による更なる加工に適したものにするのに十分な程度に除去するために、少なくとも1つの第2の研削装置を用いて第1の表面を研削することと、を含む。特定の実施形態では、第1の研削装置は粗研削ステーション328A、328Bにおいて具現化することができ、エッジ研削はエッジ研削ステーション332によって実行することができ、第2の研削装置は精密研削ステーション312において具現化され得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの第1の研削装置を用いた第1の表面の研削の後で、および、面取りされたまたは丸められたエッジ・プロファイルを形成するためにエッジをエッジ研削する前に、担体除去ステップを実行することができる。
【0162】
特定の実施形態では、エッジ研削中に追加の表面ダメージを付与する可能性を低くするように、および、結晶材料ウエハを化学機械平坦化に向けて準備するように、保護表面コーティングが採用され得る。そのような表面コーティングは、フォトレジストまたは任意の他の好適なコーティング材料を含むことができ、エッジ研削の前に適用することができ、エッジ研削後に除去することができる。
【0163】
図42は、図40の実施形態と類似しているが精密研削ステーション352とエッジ研削ステーション356の間に表面コーティング・ステーション354が組み込まれており、かつエッジ研削ステーション356とCMPステーション360の間にコーティング除去ステーション358が組み込まれている、一実施形態に係る材料加工装置340の概略図である。材料加工装置340は、レーザ加工ステーション342と、材料破砕ステーション344と、第1のロボット・ハンドラ346と、並列に配置された複数の粗研削ステーション348A、348Bと、精密研削ステーション352の上流にある第2のロボット・ハンドラ348と、を更に含む。コーティング・ステーション354は、スピン・コーティング、ディップ・コーティング、スプレー・コーティング、または類似のものなどの方法によって、保護コーティング(例えば、フォトレジスト)を適用するように構成され得る。保護コーティングは、エッジ研削ステーション365によって付与され得るあらゆるダメージを吸収するのに十分な、厚さおよび堅牢性を有するものであるべきである。SiCウエハの場合、Si終端表面を保護コーティングでコーティングしてもよいが、その理由は、Si終端表面が通常、エピタキシャル成長が行われる表面であるからである。コーティング除去ステーション358は、化学的、熱的、および/または機械的手段によって、コーティングを剥離するように構成され得る。
【0164】
図42に係る装置340を使用して、表面ダメージを有する第1の表面を備える結晶材料ウエハを加工するための方法を実行することができ、このとき第1の表面はエッジを境界としている。方法は、表面ダメージの第1の部分を除去するために、第1の表面を少なくとも1つの第1の研削装置(例えば、粗研削ステーション348A、348B)を用いて研削することと、その後で、表面ダメージの第2の部分を第1の表面を化学機械平坦化による更なる加工に適したものにするのに十分な程度に除去するために、少なくとも1つの第2の研削装置(例えば、精密研削ステーション352)を用いて第1の表面を研削することと、その後で、第1の表面上に(例えば、表面コーティング・ステーション354を使用して)保護コーティングを形成することと、その後で、面取りされたまたは丸められたエッジ・プロファイルを形成するために、エッジを(例えば、エッジ研削ステーション356を使用して)エッジ研削することと、その後で、第1の表面から(例えば、コーティング除去ステーションを使用して)保護コーティングを除去することと、を含む。第1の表面はその後(例えば、CMPステーション360による)化学機械平坦化によって加工することができ、このことにより、第1の表面(例えば、ウエハのSi終端表面)の表面洗浄およびエピタキシャル成長などの次の処理に向けた準備が整う。
【0165】
特定の実施形態では、把持装置は、表面下ダメージを形成するためのレーザによる端面の加工を可能にするために、側壁に対して非垂直な端面を有するインゴットを保持するように構成され得る。特定の実施形態では、把持エフェクタは、上から見たとき円形の断面を有する傾斜した側壁に沿うように構成され得る。特定の実施形態では、把持エフェクタは、把持エフェクタが傾斜した側壁に沿うのを可能にするためのジョイントを含み得る。
【0166】
図43Aは、一実施形態に係る、側壁370に対して非垂直な端面366、368を有するインゴット364を保持するための第1の把持装置362の概略側方断面図である。上側端面366はレーザ・ビーム376を受けるように水平に配置されている。下側端面368には担体372が取り付けられ、チャック374(例えば、真空チャック)が担体372を保持していてもよい。インゴット364の側壁370を把持するために、非垂直面を有する把持エフェクタ378が設けられ、把持エフェクタ378は水平な作動ロッド380に対して非垂直な角度A1、A2で配置される。把持装置362を使用してインゴット364を示されているように(例えば、その底部の近くで)保持すると、上側端面366および側壁370の上側部分が本明細書で開示する方法を使用する加工に利用できるようになる。
【0167】
図43Bは、一実施形態に係る、側壁370’に対して非垂直な端面366’、368’を有するインゴット364’を保持するための第2の把持装置362’の概略側方断面図である。上側端面366’はレーザ・ビーム376を受けるように水平に配置されており、一方、下側端面368’には担体372’が取り付けられ、担体372’がチャック374’によって保持されていてもよい。インゴット364’の側壁370’を把持するために、非垂直面を有する把持エフェクタ378’が設けられ、把持エフェクタ378’は水平な作動ロッド380’に対して非垂直な角度A1、A2で配置される。作動ロッド380’と把持エフェクタ378’の間には枢動ジョイント382’が設けられており、このことによって把持エフェクタ378’とインゴット364’の側壁370’の間の自動アライメントが容易になる。
【0168】
一例では、355ミクロンの厚さを有するSiCウエハを生産するための開始材料として、10mm超の厚さを有する直径150mmの単結晶SiC基板(インゴット)が使用される。表面下レーザ・ダメージを形成するために、SiC基板のC終端上面を通してレーザ放射が当てられる。本明細書で開示する熱可塑性接着材料を使用してSiC基板の上面にサファイア担体が接合され、インゴットの残りの部分からSiCの上側(ウエハ)部分を分離するために、熱誘起の破砕が実行される。分離されたウエハ部分のSi終端面およびインゴット残りの部分のC終端面はいずれも、目に見える全てのレーザおよび破砕のダメージを除去するために、2000グリット研削ホイール(例えば、金属、ガラス質、または樹脂結合型研削ホイール)を使用して粗研削される。その後、分離されたウエハ部分のSi終端面およびインゴットの残りの部分のC終端面はいずれも、好ましくは4nm未満の平均粗さ(Ra)、より好ましくは1~2nmRaの範囲内のより平滑な表面が得られるように、(例えば、ガラス質研削表面を使用して)7000以上のグリット(例えば、30,000グリット以上まで)で精密研削される。インゴットの残りの部分には、次のレーザ加工へのどのような影響も回避するために、平滑な表面が要求される。ウエハはCMPの準備ができているものとし、必要なCMP除去量を最小限にするのに十分な平滑さのものとするが、その理由は、CMPが一般によりコストの高い工程だからである。粗研削による全ての残留表面下ダメージおよびあらゆる残りのレーザ・ダメージ(裸眼で可視のものおよび不可視のものの両方)を除去するための、精密研削加工中の典型的な材料除去は、5から10ミクロンの厚さ範囲内であり得る。その後、インゴットの残りの部分は更なる処理のためにレーザに戻され、ウエハはエッジ研削され、エピタキシャル成長に向けた準備を行うために化学機械平坦化(CMP)を施される。精密研削されたSi面に掻き傷を付けるリスクを全て回避するために、粗表面研削と精密表面研削の間でエッジ研削を行うことができる。CMP中の材料除去は約2ミクロンの厚さ範囲内であり得る。基板(インゴット)から消費される全材料は475ミクロン未満であり得る。最終ウエハ厚さが355ミクロンである場合、カーフ・ロスは120ミクロン未満である。
【0169】
[レーザ出力および結晶のばらつきの影響を受けるウエハごとの厚さの変動性]
本明細書で既に指摘したように、破砕によって、種結晶から遠位の位置から開始して種結晶に次第に近付く断面位置でウエハが得られるように、結晶材料を切り分けるのに十分なレーザ・ダメージを形成するためには、レーザ出力レベルを次第に高くしていく必要があり得る。表面下ダメージを形成するときに各連続的な深さ位置において高いレーザ出力を使用すると、不要な材料損失が生じると考えられ、また更に、ダメージ深さおよびレーザ・ビーム・ウエストを基準とした分解の到達点の両方の変動性に起因して、ウエハごとの厚さの開きが顕著に大きくなると考えられる。そのような概念は図44および図45を参照して理解され得る。
【0170】
図44は伝播方向の入来水平ビーム400をレンズ404で集束して、レンズ404の焦点距離fに相当する下流位置406において最小幅Wを有するビーム・ウエスト・パターンを有する出射ビーム402を形成する、従来のレーザ集束装置の概略側方断面図である。この位置406の下流で、ビーム幅がより広い領域408へと広がる。図45は、(レンズの焦点距離(図示せず)に対応する位置406において最小幅を有する)ビーム・ウエスト・パターンを呈する、結晶材料内へと導くことのできる垂直に配向された集束レーザ・ビーム402の概略側方断面図であり、ビーム幅はその後より広い領域408へと広がる。集束レーザ・ビーム402が結晶材料(例えば、SiCインゴットなどの基板)内に導かれるとき、結晶材料は、レーザ出力、(基板内の深さ(および幅)位置によって変化し得るドーパントおよび/または結晶欠陥の存在または不在に影響され得る)結晶材料による放射の吸収の程度、および垂直位置に応じた集束の程度などの要因によって決まる、異なる閾値点(すなわち、深さ)で熱分解されることになる。3つの異なる分解閾値点410A~410Cが図45に示されている。
【0171】
本明細書に開示する方法および装置により、基板内のクラックのない領域を検出するために、表面下レーザ・ダメージのある結晶材料基板の頂面を撮像することと、基板内のクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために、1つまたは複数の画像を分析することと、分析することに応答して(例えば、適切な条件の達成時に)、1つまたは複数の処置を行うことと、によって、上記の問題に対処することが可能になる。そのような処置は、同じ深さ位置で追加のレーザ行程を実行すること、および/または、次の深さ位置に表面下レーザ・ダメージを作り出すための命令セットを変更することを含み得る。そのような方法および装置は、不要な材料損失を伴わずに、厚さの均一な基板部分の生産を促進する。
【0172】
図46A図46Cはそれぞれ、3つのSiCインゴットから得られた、レーザ出力対ウエハの連続的なウエハ識別(すなわち、1から55までの連続的なウエハ識別(ID)番号)のプロットを提供し、各場合において、ウエハID番号が大きくなるほど種結晶への近接度が大きくなる(すなわち、スライス1は種結晶から最も遠い)。図46Aは第1のSiCインゴットに関する結果を示し、ここでは、第1のウエハ・グループ411Aは約3.75Wのレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕され、第2のウエハ・グループ412Aは約4Wのレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕され、第3のウエハ・グループ413Aは約4.25Wのレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕され、第4のウエハ・グループ414Aは約4.5Wのレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕され、第5のウエハ・グループ415Aは約4.6Wのレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕された。図46Bは第2のSiCインゴットに関する結果を示し、ここでは、第1のウエハ・グループ411Bは3.2W未満のレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕され、第2のウエハ・グループ412Bは約3.4Wのレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕され、第3から第5のウエハ・グループ413B~415Bは、それぞれ直前よりも約0.25W大きい、より高いレーザ出力レベルで表面下レーザ・ダメージを形成した後で破砕された。図46Cは、単一のSiCインゴットから(表面下レーザ・ダメージの形成および続く破砕によって)連続的に切り分けられる55個のウエハを首尾よく形成するために、異なるウエハ・グループ411C~420Cの間で約4Wから約5.5Wまでの範囲のレーザ出力レベルであるウエハ・グループ411C~420Cに従う、10個の異なるレーザ出力レベルが必要であったことを示す。図46A図46Cはしたがって、インゴットごとにおよび各インゴット内で、レーザ・アシストによる切り分けで実質的に同じ厚さの複数のウエハを形成するためのレーザ出力要件の、大きなばらつきを示している。
【0173】
図47は、約50(50)個のSiCインゴットから作り出された、インゴット1個あたり50個のウエハについての抵抗率(Ohm-cm)対スライス番号のプロットであり、重ね合わせた多項式フィットは、抵抗率がスライス番号とともに小さくなることを示している。各場合において、スライス番号が大きくなることは、インゴットをエピタキシャル成長させた種結晶への近接度が大きくなることを表し、スライス1は、種結晶から最も遠いインゴットの頂部を表している。抵抗率範囲はインゴットごとに異なるが、種結晶への近接度が大きくなるにつれて、各インゴットはその全体を通して抵抗率が一貫して小さくなる。図47のy軸の抵抗率値範囲は、N型SiCと一致している。抵抗率の低下は、ドーピングの増加およびレーザ吸収の増加に対応している。
【0174】
図48は、多項式フィットを重ね合わせた、約50(50)個のSiCインゴットから作り出されたウエハの、レーザ出力(ワット)対抵抗率のプロットであり、レーザ出力は、本明細書に記載する方法による、(表面下レーザ・ダメージ形成後の破砕を伴う)レーザ-・アシストによる首尾のよい切り分けを行うのに必要な値を表している。図48は、レーザ出力要件はインゴットによって大きく異なるが、首尾の良い切り分けを達成するのに必要なレーザ出力レベルはインゴットの抵抗率レベルが大きくなるにつれて小さくなることを示している。
【0175】
[散乱光源と撮像デバイスとを含む装置]
特定の実施形態では、材料加工装置は、結晶材料の基板を加工してそこに表面下レーザ・ダメージを形成するように構成されている、レーザ加工ステーションを含み、このレーザ加工ステーションは、結晶材料の内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件の検出を可能にするように構成されている、照射デバイスおよび撮像デバイスを含む。クラックのない領域を、(インゴットから得られる第1のウエハなどの、基板の第1の厚さ低減部分を形成するために)第1の平均深さ位置における追加のレーザ基板ダメージがいつ必要になるか、および/または、(インゴットから得られる次のウエハなどの、基板の次の厚さ低減部分を形成するために)次の平均深さ位置にレーザ・ダメージを形成するための追加のレーザ出力がいつ必要になるか、を判定するための可視インジケータとして使用して、不要なカーフ・ロスを回避しながら、ウエハの厚さ分布に関して安定的で再現性の高いレーザ切り分け工程を提供することができる。この文脈では用語「平均深さ位置」が使用されるが、その理由は、基板の同じ厚さ低減部分を形成するための表面下レーザ・ダメージ形成行程間で、および/または、単一のレーザ・ダメージ形成行程内で(例えば、ドーピング・リングなどの高濃度ドーピング領域の存在に対処するために)、レーザ焦点深さ位置の僅かなばらつき(例えば、典型的には10ミクロン以下)が用いられる場合があるからである。
【0176】
好ましくは、照射デバイスおよび撮像デバイスは、基板がレーザ加工チャックによって保持されている間に基板表面の撮像が可能となるように位置付けられる。かかる能力によって、破砕前に追加のレーザ加工が必要であり得るかを迅速に評価するために、基板を取り出してレーザ加工チャック内に設置し直す必要なく、基板を検査(例えば、自動化された様式で撮像および分析)することが可能になる。レーザ加工ステーション内にある間の基板のこのインサイチュ検査により、中断時間が回避されてレーザ加工ツールの利用度が高まり、このことによってレーザ切り分け工程のスループットが向上する。特定の実施形態では、レーザは、レーザが基板表面の照射または撮像を妨げることなく撮像を実行できるようために、レーザ加工チャックによって保持されている基板から離れる方に移動され得る。
【0177】
図49Aおよび図49Bは、レーザ加工ステーション425内で結晶材料基板430に近接して配置される散乱光源438および撮像デバイス442の、それぞれ概略側方断面図および上面平面図を提供する。図49Aを参照すると、結晶材料基板430は、頂面433と、頂面433の下方で基板430の内部に配置される表面下レーザ・ダメージ434と、を含む。表面下レーザ・ダメージ434は、基板が六方晶構造を有する場合、<11-20>方向と平行な方向の不規則な鋸刃パターンに概ね似ている。基板430は中央軸線436を含む。散乱光源438は中央軸線436に対して第1の方向437Aへと横方向に変位され、撮像デバイス442は中央軸線436に対して反対側の第2の方向437Bへと横方向に変位される。散乱光源438および撮像デバイス442はいずれも、基板430の頂面433に対して上向きに変位され得る。更に、散乱光源438を基板430の第1の横方向側431に配置してもよく、撮像デバイス442を基板430の反対側の第2の横方向側432に配置してもよい。特定の実施形態では、散乱光源438の発光表面と撮像デバイス442の受光表面の間に画定可能な角度(任意選択的に、散乱光源438から発出するビーム440と撮像デバイス442によって受けられる入射光線444の間の角度として表現可能である)は、約100度から約170度の間の範囲内であり得る。特定の実施形態では、散乱光源438は、1つまたは複数の任意の好適な発光デバイス(例えば、発光ダイオード)を含むことができ、発光デバイスと散乱光源438から発出する光線440の間には拡散板が配置される。特定の実施形態では、撮像デバイス442は、任意選択的にアレイ状に配置される、1つまたは複数の電荷結合デバイス(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサを含み得る。
【0178】
図49Bは、図49Aに描かれているのと同じ要素の上面平面図を提供する。基板430は、<11-20>方向(図49Aに示す)と実質的に平行なプライマリ・フラット435(図49Bに示す)を含み得る。発明者らは、表面下レーザ・ダメージの撮像を支援するためには、基板430に対する散乱光源438および撮像デバイス442の配向が重要であることを見出した。特定の実施形態では、光源は、基板430のプライマリ・フラット435に対して実質的に垂直に、および/または、基板430の六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内に位置付けることができ、これにより、基板430の頂面433を通したクラックのない領域の可視性が向上する。
【0179】
図50Aは、図49A図49Bに示す装置と類似の装置を用いて撮像された、表面下レーザ・ダメージがある結晶SiC基板450の頂面の画像である。図50Aの基板450は、(元の画像における)色の異なる3つの領域451~453と、基板450内のクラックのない領域に対応する不規則な形状の暗色領域456と、を含む。元の画像では、一番外側の略環状領域451(プライマリ・フラット455を含む)は主として緑色であり、中間の略環状領域452は主として赤色であり、中央の略円形領域453は主として金色である。中央領域453内には、不規則な形状の黒色領域456が見えている。黒色領域456は、基板450の上側表面よりも下の表面下レーザ・ダメージに沿った、クラックのない領域の存在に対応している。異なる領域451~453の異なる色(緑、赤、および金)は、クラックによるダメージの程度に対応していると考えられている。特定の実施形態では、本明細書で開示する方法は、クラックによるダメージの程度の異なるエリアを識別するために画像の少なくとも1つの特性を分析することと、基板内の垂直(深さ)位置および/または水平位置とともに変化し得る基板特性の違いに対処する目的で、(基板の第1の厚さ低減部分、例えば第1のウエハを形成するために)同じ(例えば、第1の)平均深さ位置に補助的な表面下レーザ・ダメージを形成する、および/または、(基板の第2のおよび次の厚さ低減部分、例えば第2のおよび次のウエハを形成するために)異なる(例えば、第2のまたは次の)平均深さ位置に次の表面下レーザ・ダメージを形成するために、1つまたは複数のレーザ・ダメージ形成パラメータ(例えば、レーザ出力、レーザ集束深さ、レーザ・パルス継続時間、および/またはレーザ・ダメージ形成行程の数など)を調節することと、を含む。
【0180】
図49図49Bは、基板の横方向の両側に沿って配置された散乱光源438および撮像デバイス442の使用を示しているが、特定の実施形態では、他の構成および/またはタイプの光源および撮像デバイスを使用してもよい。特定の実施形態では、光学顕微鏡、共焦点顕微鏡、走査型電子顕微鏡、および/または透過形電子顕微鏡など少なくとも1つの顕微鏡を用いて、基板と顕微鏡の間で相対的に並進させて、基板の頂面の1つまたは複数の部分(または全体)を走査してもよい。
【0181】
図50Bは、図50Aの基板450の頂面の色の異なる領域451~453の間の境界に実質的に対応する点線領域451A~453A(その最も外側の領域453Aはプライマリ・フラット455Aを包含している)内に、図50Aの不規則な形状の暗色領域456を示す、基板表現450Aの概略図である。特定の実施形態では、暗色領域456の1つまたは複数のエリア特性の分析を容易にするために、取り込んだ画像から暗色領域456を除く全領域を除去してもよい。
【0182】
図50C図50A図50Bに示す不規則な形状の暗色領域456の拡大図であるが、連続した暗色領域が456A~456Dとして個々に採番されており、個々の領域456A~456Dの周囲には矩形のボックスが追加されている。各暗色領域456A~456Dは、L1~Lに対応する最大長さおよびW~Wに対応する最大幅をそれぞれ有する。特定の実施形態では、基板から得られた画像の分析は、結晶材料の内部のクラックのない領域の存在を示す条件(例えば、特定の実施形態における暗色および/または黒色領域)の特定と、内部における1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性の定量化(または少なくとも1つの頂部面積特性)と、を含む。特定の実施形態では、定量化された頂部面積特性は、クラックのない全領域の合計頂部面積を含む。特定の実施形態では、定量化された頂部面積特性は、任意の連続したクラックのない領域を個別に識別すること、ならびに、各連続したクラックのない領域の頂部面積の定量化、および/または連続したクラックのない領域の最大長さおよび幅寸法の定量化、および/または連続したクラックのない領域の長さ/幅の縦横比の特定を含む。特定の実施形態では、長さおよび幅は、結晶方向および/または基板のプライマリ・フラットを基準として確立され得る(例えば、長さはプライマリ・フラットに対して垂直であり、幅はプライマリ・フラットと平行である)。発明者らは、所与の頂部面積である大きな連続したクラックのない領域が存在すると、同じ合計頂部面積である多数の不連続なクラックのない領域が存在する場合よりも、容易に破砕が阻止され得ることを見出した。更に、発明者らは、連続したクラックのない領域の配向および/または縦横比が破砕の阻止に影響し得ることを見出した。クラックのない領域を示す小さい局所化された黒色領域は、一般に破砕による分離を妨げないが、黒色領域の(特にプライマリ・フラットと略平行なおよび/またはレーザ・ダメージ線に対して略垂直な幅方向の)サイズが大きくなるにつれ、そのような領域で、同じ平均深さ位置に別のレーザ・ダメージ形成行程を追加するおよび/または次の平均深さ位置にレーザ・ダメージ領域を形成するときにレーザ出力を高める必要性が認識され得る。(例えば、プライマリ・フラットに対して垂直な方向の)長さが大きいクラックのない領域は、幅が大きいクラックのない領域よりも破砕を阻止するには問題のない場合がある。
【0183】
図51は、レーザ465と、レーザ465と基板460の間の相対移動を促進するように構成された少なくとも1つの並進ステージ466(例えば、好ましくはx-y-z並進ステージ)と、基板460の頂面463を照射するように構成されている散乱光源468と、基板460の頂面463の少なくとも1つの画像を生成するように構成されている撮像デバイス472と、を含む、レーザ加工ステーション459を含む、一実施形態に係る材料加工装置458の概略図である。基板460は、レーザ・ツール・チャックを含み得る支持体464の上に配置されている。材料加工装置458内の様々なアイテムは、関連付けられたメモリ476を有する少なくとも1つのコンピューティング・デバイス474と、電気的に連絡している。コンピューティング・デバイス474は、散乱光源468、撮像デバイス472、レーザ465、および並進ステージ466の動作を制御し得る。メモリ476は、個々の基板ベースで使用および修正可能な基板特有の命令セット(例えば、製作レシピ)を更に記憶し得る。特定の実施形態では、コンピューティング・デバイス474およびメモリ476は、限定するものではないが、基板の内部におけるクラックのない領域の存在を示す条件を特定するために基板画像を分析することと、クラックのない領域の1つまたは複数の頂部面積特性の定量化と、頂部面積特性を1つまたは複数の所定の閾値面積特性と比較することと、を含む、本明細書で開示する方法の様々なステップを実行する際に使用され得る。特定の実施形態では、コンピューティング・デバイス474は、画像を分析し、(例えば、黒色または暗色スポットの存在以外の)色の異なる領域の存在を検出し、そのような分析に応答してレーザ・ファセットの汚染を補償するようレーザ465の動作を調節するために、更に使用され得る。特定の実施形態では、コンピューティング・デバイス474は、基板の異なる領域における異なるドーピング条件の存在を検出し、これに応じてレーザ出力送達を変更するために、更に使用され得る。特定の実施形態では、結晶材料の不均一なドーピングを示す条件の検出に応答して、表面下レーザ・ダメージ・パターンの形成中に、第1のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第1の平均出力レベルのレーザ放射を提供するように、および、第2のドーピング領域内に表面下レーザ・ダメージを形成するときに第2の平均出力レベルのレーザ放射を提供するように、レーザ出力を変更することができ、第1および第2の平均出力レベルは互いに異なる。
【0184】
[撮像、比較、およびレーザ処理/出力調節を含む方法]
図52は第1の結晶材料加工方法のステップを説明するフローチャート480であり、この方法は一般に、表面下レーザ・ダメージのある基板の頂面の画像を生成することと、1つまたは複数のクラックのない領域を示す条件の存在を特定するために画像を分析することと、クラックのない領域の1つまたは複数の特性を第1および第2の閾値と比較することと、比較に応答して、処置(すなわち、(A)補助的なレーザ・ダメージを形成するために、任意選択的に1つもしくは複数のレーザ・パラメータを調節して、実質的に同じ深さ位置で追加のレーザ行程を実行すること、ならびに/または(B)第2のおよび次の深さ位置で表面下レーザ・ダメージを形成するために、1つもしくは複数のレーザ・パラメータを調節すること)を行うことと、を含む。方法はブロック482で開始される。ブロック484に進むと、第1のステップは、結晶材料基板に、基板の頂面よりも下の第1の(または新しい)深さ位置に沿って、(任意選択的に本明細書で開示する少なくとも1群の複数の実質的に平行な線を含む)少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを有する表面下レーザ・ダメージを形成することを含み、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する、結晶材料の内部における少なくとも1群の複数のクラックの形成を促進するように構成されている。ブロック486に進むと、第2のステップは、基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成することを含む。特定の実施形態では、画像生成ステップは、基板の第1の横方向側に配置されている(好ましくは基板のプライマリ・フラットに対して実質的に垂直に、および/または、六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内に配置されている)散乱光源によって頂面を照射することと、第1の横方向側の反対側の基板の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む。特定の実施形態では、本明細書で開示する1つまたは複数の代替のまたは追加の撮像方法が使用され得る。
【0185】
ブロック488に進むと、更なるステップは、結晶材料の内部のクラックのない領域の存在を示す条件(例えば、特定の実施形態における暗色および/または黒色領域)を特定するために少なくとも1つの画像を分析することを含む。任意選択的に、内部における1つまたは複数のクラックのない領域の少なくとも1つの頂部面積特性を定量化してもよく、定量化される頂部面積特性は、クラックのない全領域の合計頂部面積を任意選択的に含み得る。特定の実施形態では、定量化された頂部面積特性は、任意の連続したクラックのない領域を個別に識別すること、ならびに、各連続したクラックのない領域の頂部面積の定量化、および/または連続したクラックのない領域の最大長さおよび幅寸法の定量化、および/または連続したクラックのない領域の長さ/幅の縦横比の特定を含む。特定の実施形態では、長さおよび幅は、結晶方向および/または基板のプライマリ・フラットを基準として確立され得る(例えば、長さはプライマリ・フラットに対して垂直であり、幅はプライマリ・フラットと平行である)。発明者らは、所与の頂部面積である大きな連続したクラックのない領域が存在すると、同じ合計頂部面積である多数の不連続なクラックのない領域が存在する場合よりも、容易に破砕が阻止され得ることを見出した。更に、発明者らは、連続したクラックのない領域の配向および/または縦横比が破砕の阻止に影響し得ることを見出した。クラックのない領域を示す小さい局所化された黒色領域は、一般に破砕による分離を妨げないが、黒色領域の(特にプライマリ・フラットと略平行なおよび/またはレーザ・ダメージ線に対して略垂直な幅方向の)サイズが大きくなるにつれ、そのような領域で、同じ平均深さ位置に別のレーザ・ダメージ形成行程を追加するおよび/または次の平均深さ位置にレーザ・ダメージ領域を形成するときにレーザ出力を高める必要性が認識され得る。(例えば、プライマリ・フラットに対して垂直な方向の)長さが大きいクラックのない領域は、幅が大きいクラックのない領域よりも破砕を阻止するには問題のない場合がある。
【0186】
決定ブロック490に進むと、クラックのない領域の1つまたは複数の特性(任意選択的に少なくとも1つの定量化された頂部面積特性を含む)が、少なくとも1つの第1の所定の閾値と比較される。第1の閾値としては、以下のうちのいずれか1つまたは複数を挙げることができる(必ずしもこれらに限定されない):連続したクラックのない領域の頂部面積閾値、クラックのない合計頂部面積の閾値、クラックのない最大幅の閾値、最大長さ/幅の縦横比の閾値、または類似のもの。クラックのない領域の少なくとも1つの特性が少なくとも1つの第1の所定の閾値を上回らない場合には、方法はブロック498に進み、これによれば、基板は、厚さが第1の平均深さ位置に概ね対応している基板の第1の厚さ低減部分(例えば、インゴットからの第1のウエハ)を作り出すために、破砕ステーションに移される。逆に、クラックのない領域の少なくとも1つの特性が少なくとも1つの第1の所定の閾値を上回る場合には、方法はブロック492に進み、これによれば、(例えば、基板の少なくとも1つの追加の厚さ低減部分、例えばインゴットからの第2のおよび次のウエハを形成するために)基板の第2の平均深さ位置および任意の次の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、表面下レーザ・ダメージを形成するための少なくとも1つのレーザ・パラメータを漸増的に調節することによって、基板と関連付けられた命令セット(例えば、製作レシピ)が修正される。調節可能なレーザ・パラメータとしては、レーザ出力、レーザ焦点深さ、レーザ行程の数、レーザ行程間隔、レーザ・パルス幅、等のうちの、いずれか1つまたは複数が挙げられる。レーザ出力の変更を含む特定の実施形態では、命令セットは、平均レーザ出力を0.10から0.50ワットまで、もしくは0.15から0.35ワットまで、もしくは0.20から0.30ワットまでの範囲内の値だけ、または約0.25ワットの値だけ高めるように修正される。第2のおよび次の平均深さ位置に次のレーザ・ダメージを形成するために、1つまたは複数のレーザ・パラメータを調節した後で、先に確立された第1の平均深さ位置における追加のダメージの形成が必ずしも行われる訳ではない。破砕を促進するために第1の平均深さ位置における追加のレーザ・ダメージが必要であり得るかどうかの判定が、決定ブロック494において行われる。
【0187】
決定ブロック494は、クラックのない領域の1つまたは複数の特性(任意選択的に少なくとも1つの定量化された頂部面積特性を含む)を、少なくとも1つの第2の所定の閾値と比較するステップを含む。特定の実施形態では、第2の所定の閾値は第1の所定の閾値よりも大きい。第2の閾値としては、以下のうちのいずれか1つまたは複数を挙げることができる(必ずしもこれらに限定されない):連続したクラックのない領域の頂部面積閾値、クラックのない合計頂部面積の閾値、クラックのない最大幅の閾値、最大長さ/幅の縦横比の閾値、または類似のもの。クラックのない領域の少なくとも1つの特性が少なくとも1つの第2の所定の閾値を上回らない場合には、方法はブロック498に進み、これによれば、第1の平均深さ位置に沿った基板の破砕をサポートするために追加のレーザ・ダメージが必要とは判断されないため、基板は破砕ステーションに移される。逆に、クラックのない領域の少なくとも1つの特性が少なくとも1つの第2の所定の閾値を上回る場合には、方法はブロック496に進み、これによれば、第1の平均深さ位置に沿って追加の表面下レーザ・ダメージが形成される。特定の実施形態では、このことは、第1の平均深さ位置においてまたは近接して少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助するための補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、補助された少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する結晶材料の内部の追加のクラックの形成を促進するために、少なくともクラックのない領域においてただし任意選択的には基板全体にわたって基板の内部に集束される、レーザの放射を供給しながら、レーザと基板の間で相対移動を実行させることを伴う。この補助的な表面下レーザ・ダメージの形成後、方法はブロック498に進み、これによれば、基板は破砕ステーションに移される。
【0188】
ブロック500に進むと、特定の実施形態では、破砕ステーションにある基板に担体を接合して、接合された組立体を形成することができる。その後、ブロック502に従って、結晶材料は第1の深さ位置に沿って破砕されて、基板の残りの部分から(担体および基板の除去した部分を含む)接合された組立体が分離されるが、そのようなステップは、基板の新しい頂面を露出させる役割を果たす。その後、ブロック504に従って、ブロック484に従う別の表面下レーザ・ダメージ・ステップを実行できるようにするために、(任意選択的に、新たに露出した基板表面の研削および/または研磨などの表面処理の後で)基板をレーザ加工ステーションに戻すことができる。ブロック492に従って平均レーザ出力を高めるように基板と関連付けられた命令セットを修正した場合には、ブロック484に記載されるステップを実行して表面下ダメージを形成するために、修正された命令セットが使用されることになる。この修正された命令セットは好ましくはメモリに記憶され、(例えば、基板識別子と基板内に表面下レーザ・ダメージを形成するためのパラメータとを含むリレーショナルデータベースのレコードにおいて)特定の基板と関連付けられる。このようにして、表面下レーザ・ダメージを形成するための基板特有のレシピが維持され、これは動的に更新可能である。
【0189】
ブロック502において接合された組立体を基板から破砕した後で、担体に取り付けられた基板部分を改変するために、接合された組立体を(ブロック506に従って)1つまたは複数の表面加工ステーションに移すことができる。実行され得る表面加工ステップの例としては、ブロック508、510、512、および514にそれぞれ従う、粗研削、エッジ研削、精密研削、および洗浄を挙げることができる。この時点で、加工された基板部分はエピタキシャル成長のための準備が整い得る。
【0190】
図53は第2の結晶材料加工方法のステップを説明するフローチャート520であり、この方法は一般に、表面下レーザ・ダメージのある基板の頂面の画像を生成することと、1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性を定量化するために画像を分析することと、頂部面積特性を第1および第2の閾値面積特性と比較することと、基板から基板部分(例えば、ウエハ)を作り出す信頼性を高めるために、比較に応答して処置(すなわち、同じ深さ位置で追加のレーザ行程を実行する、かつ/または、次の深さ位置における表面下レーザ・ダメージ用の出力を調節する)を行うことと、を含む。方法はブロック522で開始される。ブロック524に進むと、第1のステップは、結晶材料基板に、基板の頂面よりも下の(新しい)第1の深さ位置に沿って、(任意選択的に少なくとも1群の複数の実質的に平行な線を含む)少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを有する表面下レーザ・ダメージを形成することを含み、少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンは、実質的に少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する、結晶材料の内部における少なくとも1群の複数のクラックの形成を促進するように構成されている。ブロック526に進むと、第2のステップは、基板の頂面の少なくとも1つの画像を生成することを含む。特定の実施形態では、画像生成ステップは、基板の第1の横方向側に配置されている(好ましくは基板のプライマリ・フラットに対して実質的に垂直に、および/または、六方晶構造の<11-20>方向に対する垂直方向から±5度以内に配置されている)散乱光源によって頂面を照射することと、第1の横方向側の反対側の基板の第2の横方向側に配置されている撮像デバイスを用いて少なくとも1つの画像を取り込むことと、を含む。特定の実施形態では、本明細書で開示する1つまたは複数の代替のまたは追加の撮像方法が使用され得る。
【0191】
ブロック528に進むと、更なるステップは、結晶材料の内部のクラックのない領域の存在を示す条件(例えば、特定の実施形態における暗色および/または黒色領域)を特定するために少なくとも1つの画像を分析することと、内部における1つまたは複数のクラックのない領域の頂部面積特性(または少なくとも1つの頂部面積特性)を定量化することと、を含む。特定の実施形態では、定量化された頂部面積特性は、クラックのない全領域の合計頂部面積を含む。特定の実施形態では、定量化された頂部面積特性は、任意の連続したクラックのない領域を個別に識別すること、ならびに、各連続したクラックのない領域の頂部面積の定量化、および/または連続したクラックのない領域の最大長さおよび幅寸法の定量化、および/または連続したクラックのない領域の長さ/幅の縦横比の特定を含む。特定の実施形態では、長さおよび幅は、結晶方向および/または基板のプライマリ・フラットを基準として確立され得る(例えば、長さはプライマリ・フラットに対して垂直であり、幅はプライマリ・フラットと平行である)。
【0192】
決定ブロック530に進むと、少なくとも1つの定量化された頂部面積特性が、少なくとも1つの第1の所定の面積(または面積特性)閾値と比較される。第1の閾値は、以下のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る:連続したクラックのない領域の頂部面積閾値、クラックのない合計頂部面積の閾値、クラックのない最大幅の閾値、最大長さ/幅の縦横比の閾値、または類似のもの。少なくとも1つの定量化された頂部面積特性が少なくとも1つの第1の所定の閾値面積特性を上回らない場合には、方法はブロック538に進み、これによれば、基板は破砕ステーションに移される。逆に、少なくとも1つの定量化された頂部面積特性が少なくとも1つの第1の所定の閾値面積特性を上回る場合には、方法はブロック532に進み、これによれば、基板の第2の平均深さ位置および任意の次の平均深さ位置に表面下レーザ・ダメージ・パターンを作り出すときに、表面下レーザ・ダメージを形成するための平均レーザ出力を漸増的に高めることによって、基板と関連付けられた命令セット(例えば、製作レシピ)が修正される。(調節可能なレーザ・パラメータは、追加または代替として、レーザ焦点深さ、レーザ行程の数、レーザ行程間隔、レーザ・パルス幅、等のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る)。特定の実施形態では、命令セットは、平均レーザ出力を0.10から0.50ワットまで、もしくは0.15から0.35ワットまで、もしくは0.20から0.30ワットまでの範囲内の値だけ、または約0.25ワットの値だけ高めるように修正される。第2のおよび次の平均深さ位置に次のレーザ・ダメージを形成するために、レーザ出力を漸増させた後で、先に確立された第1の平均深さ位置における追加のダメージの形成が必ずしも行われる訳ではない。破砕を促進するために追加のレーザ・ダメージが必要であり得るかどうかの判定が、決定ブロック534において行われる。
【0193】
決定ブロック534は、少なくとも1つの定量化された頂部面積特性を、少なくとも1つの第2の所定の閾値面積特性と比較するステップを含む。特定の実施形態では、第2の所定の閾値面積特性は、第1の所定の閾値面積特性よりも大きい。第2の閾値面積特性は、以下のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る:連続したクラックのない領域の頂部面積閾値、クラックのない合計頂部面積の閾値、クラックのない最大幅の閾値、最大長さ/幅の縦横比の閾値、または類似のもの。少なくとも1つの定量化された頂部面積特性が少なくとも1つの第2の所定の閾値面積特性を上回らない場合には、方法はブロック538に進み、これによれば、第1の平均深さ位置に沿った基板の破砕をサポートするために追加のレーザ・ダメージが必要とは判断されないため、基板は破砕ステーションに移される。逆に、少なくとも1つの定量化された頂部面積特性が少なくとも1つの第2の所定の閾値面積特性を上回る場合には、方法はブロック536に進み、これによれば、第1の平均深さ位置に沿って補助的な表面下レーザ・ダメージが形成される。特定の実施形態では、このことは、第1の平均深さ位置においてまたは近接して少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンを補助するための補助的な表面下レーザ・ダメージを形成し、補助された少なくとも1つの表面下レーザ・ダメージ・パターンから外向きに伝播する結晶材料の内部の追加のクラックの形成を促進するために、基板の内部で集束されるレーザの放射を供給しながら、レーザと基板の間で相対移動を実行させることを伴う。この補助的な表面下レーザ・ダメージの形成後、方法はブロック538に進み、これによれば、基板は破砕ステーションに移される。
【0194】
ブロック540に進むと、特定の実施形態では、破砕ステーションにある基板に担体を接合して、接合された組立体を形成することができる。その後、ブロック542に従って、結晶材料は第1の深さ位置に沿って破砕されて、(担体および基板の除去した部分を含む)接合された組立体および基板の残りの部分が分離されるが、そのようなステップは、基板の新しい頂面を露出させる役割を果たす。その後、ブロック544に従って、ブロックに524従う別の表面下レーザ・ダメージ・ステップを実行できるようにするために、(任意選択的に、新たに露出した基板表面の研削および/または研磨などの表面処理の後で)基板をレーザ加工ステーションに戻すことができる。ブロック532に従って平均レーザ出力を高めるように基板と関連付けられた命令セットを修正した場合には、ブロック524に記載されるステップを実行して表面下ダメージを形成するために、修正された命令セットが使用されることになる。この修正された命令セットは好ましくはメモリに記憶され、基板識別子と基板内に表面下レーザ・ダメージを形成するためのパラメータとを含むリレーショナルデータベースのレコードにおいてなどで、特定の基板と関連付けられる。
【0195】
ブロック542において接合された組立体を基板から破砕した後で、担体に取り付けられた基板部分を改変するために、接合された組立体を(ブロック546に従って)1つまたは複数の表面加工ステーションに移すことができる。実行され得る表面加工ステップの例としては、ブロック548、550、552、および554にそれぞれ従う、粗研削、エッジ研削、精密研削、および洗浄を挙げることができる。この時点で、加工された基板部分はエピタキシャル成長のための準備が整い得る。
【0196】
[システムおよび方法とともに使用可能な代表的なコンピュータ・システム]
図54は、本明細書で開示するシステムまたは方法の任意の構成要素に含めることのできるコンピュータ・システム600(コンピューティング・デバイスにおいて任意選択的に具現化される)の、一般化した表現の概略図である。この関連において、コンピュータ・システム600は、本明細書に記載するこれらのおよび/または任意の機能または処理を実行するための、コンピュータ可読媒体からの命令を実行するように適合される。この点に関して、図54のコンピュータ・システム600は、サポートされる通信サービスのスケーリングをサポートするように、プログラム可能なデジタル信号処理回路をプログラムし構成するように実行可能な、命令のセットを含み得る。コンピュータ・システム600は、LAN、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット中の他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)され得る。単一のデバイスのみが示されているが、用語「デバイス」は、本明細書で検討する方法論のいずれか1つまたは複数を実行するための命令の1つのセット(または複数のセット)を個々にまたは連結されて実行する、デバイスの任意の集合を含むようにも解釈できるものとする。コンピュータ・システム600は、プリント回路基板(PCB)などの電気基板カード、サーバ、パーソナル・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、コンピューティング・パッド、モバイル・デバイス、または任意の他のデバイスなどに含まれる、1つまたは複数の回路であってもよく、例えば、サーバまたは使用者のコンピュータを表し得る。
【0197】
コンピュータ・システム600は、この実施形態では、処理デバイスまたはプロセッサ602と、メイン・メモリ604(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、同期DRAM(SDRAM)などのダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、等)と、スタティック・メモリ606(例えば、フラッシュ・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、等)と、を含み、これらはデータ・バス608を介して互いと通信し得る。別法として、処理デバイス602は、メイン・メモリ604および/またはスタティック・メモリ606に、直接または何らかの他の接続手段を介して接続され得る。処理デバイス602は制御装置であってもよく、メイン・メモリ604またはスタティック・メモリ606は任意のタイプのメモリであってもよい。
【0198】
処理デバイス602は、マイクロプロセッサ、中央処理装置、または類似のものなどの、1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、処理デバイス602は、複合命令セット・コンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット・コンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組合せを実装する他のプロセッサであり得る。処理デバイス602は、本明細書で検討する動作およびステップを実行するための命令における処理ロジックを実行するように構成されている。
【0199】
コンピュータ・システム600は、ネットワーク・インターフェース・デバイス610を更に含み得る。コンピュータ・システム600はまた、命令実行時にコンピュータ・システム600に通信されるべき入力および選択を受けるように構成されている入力部612を含んでもよく、または含まなくてもよい。コンピュータ・システム600はまた、限定するものではないが、ディスプレイ、ビデオ・ディスプレイ・ユニット(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス(例えば、キーボード)、および/またはカーソル制御デバイス(例えば、マウス)を含む、出力部614を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0200】
コンピュータ・システム600は、コンピュータ可読媒体618に記憶されている命令616を含むデータ記憶デバイスを含んでもよく、または含まなくてもよい。命令616はまた、コンピュータ・システム600によるその実行中に、全部または一部がメイン・メモリ604内および/または処理デバイス602内に存在してもよく、メイン・メモリ604および処理デバイス602はコンピュータ可読媒体も構成している。命令616は、ネットワーク620を経由して、ネットワーク・インターフェース・デバイス610を介して更に送信または受信されてもよい。
【0201】
コンピュータ可読媒体618は、ある実施形態では単一の媒体であるものとして示されているが、用語「コンピュータ可読媒体」は、1つまたは複数の命令のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中もしくは分散データベース、ならびに/または関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むように解釈されるべきである。用語「コンピュータ可読媒体」は、処理デバイスによって実行される命令のセットの記憶、符合化、または搬送が可能であり、処理デバイスに本明細書に開示する実施形態の方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実行させる、任意の媒体を含むようにも解釈されるものとする。用語「コンピュータ可読媒体」はしたがって、限定するものではないが、ソリッド・ステート・メモリ、光学媒体、および磁気媒体を含むように解釈されるものとする。
【0202】
本明細書に開示する実施形態は様々なステップを含む。本明細書に開示する実施形態のステップは、ハードウェア構成要素によって実施もしくは実行することができるか、または機械実行可能命令として具現化することができ、これらの命令は、これらの命令でプログラムされた汎用または専用プロセッサにステップを実行させるために使用され得る。別法として、これらのステップは、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって実行することができる。
【0203】
本明細書に開示する実施形態は、コンピュータ・システム(または他の電子デバイス)を本明細書に開示する実施形態に係る工程を実行するようプログラムするために使用され得る命令を記憶している機械可読媒体(またはコンピュータ可読媒体)を含み得る、コンピュータ・プログラム製品またはソフトウェアとして提供され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形態で情報を記憶または伝達するための、任意の機構を含む。例えば、機械可読媒体は、機械可読記憶媒体(例えば、ROM、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイス、等)、および類似のものを含む。
【0204】
そうではないと明確に述べられていない限り、また上記の考察から明らかなように、説明の全体を通して、「分析する」、「処理する」、「演算する」、「決定する」、「表示する」などのような用語を利用する考察は、コンピュータ・システムのレジスタ内の物理(電子)量として表現されるデータおよびメモリを、コンピュータ・システムのメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶、伝送、もしくは表示デバイス内の物流量として同様に表現される他のデータへと操作および変換する、コンピュータ・システムまたは類似の電子演算デバイスの動作および処理に言及していることが諒解される。
【0205】
本明細書に提示するアルゴリズムおよびディスプレイは、どのような特定のコンピュータまたは他の装置とも本来的な関連を有さない。本明細書の教示に従って様々なシステムをプログラムと一緒に使用してもよく、または、要求される方法ステップの実行により特化された装置を構築するのが便利な場合もある。これらの様々なシステムに必要な構造は上記の説明に開示されている。更に、本明細書に記載する実施形態は、記載にあたってどのような特定のプログラミング言語も参考にしていない。本明細書に記載するような実施形態の教示を実装するために、様々なプログラム原語を使用できることが諒解されるであろう。
【0206】
本明細書に開示する実施形態に関連して記載されている様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムは、電子的ハードウェア、メモリもしくは別のコンピュータ可読媒体に記憶されておりプロセッサもしくは他の処理デバイスによって実行される命令、または両方の組合せとして実装され得ることを、当業者は更に諒解するであろう。本明細書に記載するシステムの構成要素は、例として、任意の回路、ハードウェア構成要素、集積回路(IC)、またはICチップにおいて利用することができる。本明細書で開示するメモリは任意のタイプおよびサイズのメモリであってよく、所望する任意のタイプの情報を記憶するように構成され得る。この互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、上では全体的にそれらの機能性の観点から記載されている。そのような機能性がどのように実装されるかは、特定の用途、設計上の選択、および/またはシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は特定の各用途について、記載されている機能性を様々な方法で実装できるが、そのような実装の決定は、本明細書の実施形態の範囲からの逸脱をもたらすものとして解釈されるべきではない。
【0207】
本明細書に開示する実施形態に関連して記載した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、個別ハードウェア構成要素、または本明細書に記載する機能を実行するように設計されているそれらの任意の組合せを用いて、実装または実行され得る。また更に、制御装置はプロセッサであってもよい。プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、制御装置、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。プロセッサはまた、コンピューティング・デバイスの組合せ(例えば、DSPおよびマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成)としても実装され得る。
【0208】
本明細書に開示する実施形態は、ハードウェアにおいて、および、ハードウェアに記憶されており、例えば、RAM、フラッシュ・メモリ、ROM、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD-ROM、または任意の他の形態の当技術分野で知られているコンピュータ可読媒体内に存在し得る命令として、具現化され得る。記憶媒体はプロセッサに結合されて、記憶媒体に対して情報の読み取りおよび書き込みを行うことができるようになっている。代替として、記憶媒体はプロセッサと一体であってもよい。プロセッサおよび記憶媒体はASIC内に存在してもよい。ASICは遠隔ステーション内に存在してもよい。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、遠隔ステーション、基地ステーション、またはサーバ内に、個別の構成要素として存在してもよい。
【0209】
本明細書のどの実施形態に記載されている動作ステップも、例を提供し考察を行うために記載されていることもまた、留意される。記載されている動作は多数の例示した順序とは異なる順序で行うことができる。また更に、単一の動作ステップとして記載されている動作を、実際にはいくつかの異なるステップとして行うことができる。更に、実施形態で検討されている1つまたは複数の動作ステップを組み合わせることができる。当業者はまた、情報および信号を様々な技術および技法を使用して表現できることも理解するであろう。例えば、上記の説明の全体にわたって言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場、粒子、光学場、またはこれらの任意の組合せで表現することができる。
【0210】
そうではないと明示的に述べられていない限りは、本明細書に記載するどの方法も、そのステップを指定された順序で実行することを要求していると解釈されることを、決して意図していない。したがって、方法クレームにそのステップが従うべき順序が実際に明記されていないか、またはそれ以外で、それらのステップが特定の順序に限定されるものであると特許請求の範囲もしくは説明に明示的に述べられていない場合、いかなる特定の順序を推断することも決して意図されていない。
【0211】
本明細書においてそうではないと明示的に指示されていない限りは、本明細書で開示する任意の1つまたは複数の実施形態の任意のまたはより多くの特徴または特性を、他の実施形態の任意のまたはより多くの特徴または特性と組み合わせることができることが企図される。
【0212】
本開示の1つまたは複数の実施形態によって得られる可能性のある技術的利益としては、以下を挙げることができる:不要な材料損失を回避しつつ、結晶材料基板(例えば、インゴット)からレーザ加工および続く破砕によって厚さの均一なウエハを製造する場合の、再現可能性の向上、レーザ・アシストによる切り分け方法の実行時の、基板ごとのおよび単一の基板内の異なる深さ位置における、レーザ出力要件のばらつきへの対処、表面下レーザ・ダメージのある結晶材料基板内の、クラックのない領域の検出の向上、ワイヤ・ソーイングと比較した場合の、結晶材料カーフ・ロスの減少、ワイヤ・ソーイングと比較した場合の、加工時間の短縮ならびに結晶材料ウエハおよび結果的なデバイスのスループットの増大、従来のレーザ・ベースの方法と比較した場合の、レーザ加工時間の短縮、レーザ・ダメージ領域に沿って破砕を生じさせるために必要な力の低減、分離後にレーザ・ダメージを除去するための分離後表面平滑化の必要性の低減、ならびに/または、結晶材料のボウイングおよび破損の低減。
【0213】
当業者は本開示の好ましい実施形態への改善および修正を認識するであろう。そのような改善および修正は全て、本明細書および以下の特許請求の範囲で開示する概念の範囲内にあるものと見なされる。
図1
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図4A
図4B
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図6A
図6B
図6C
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図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
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図22B
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図23B
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図24D
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図32A
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図37B
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