(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】アプラナティック対物単レンズを含む計測ツール
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20230719BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G01B11/00 G
(21)【出願番号】P 2021568667
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2020061185
(87)【国際公開番号】W WO2020233929
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ゼイプ、フェリー
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524554(JP,A)
【文献】特開2003-294410(JP,A)
【文献】特開2007-086095(JP,A)
【文献】特開2007-165595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 9/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の構造の特性を決定するための計測ツールであって、
ある波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備え、
前記光学検出システムは、
前記放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え、
前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲内のアプラナティック波長を有
し、
前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差であり、
前記複数の他のレンズ特性は、材料、厚さ、開口数、主焦点距離、および倍率のうちの少なくとも2つを含む、計測ツール。
【請求項2】
基板上の構造の特性を決定するための計測ツールであって、
ある波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備え、
前記光学検出システムは、
前記放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え、
前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲内のアプラナティック波長を有し、
前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差であり、
前記軸上曲率は、コディントン形状係数として表される
、計測ツール。
【請求項3】
基板上の構造の特性を決定するための計測ツールであって、
ある波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備え、
前記光学検出システムは、
前記放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え、
前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲内のアプラナティック波長を有し、
前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差であり、
前記球面色収差は、波面収差であり、球面色収差の二乗平均平方根(RMS)値を含む
、計測ツール。
【請求項4】
基板上の構造の特性を決定するための計測ツールであって、
ある波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備え、
前記光学検出システムは、
前記放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え、
前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲内のアプラナティック波長を有し、
前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差であり、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差は、波長に依存し、
前記波長範囲にわたって最も高い値を有する球面色収差が、アプラナティック単レンズの球面色収差を表すと見なされる
、計測ツール。
【請求項5】
前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲に関してアプラナティック波長に対してアプラナティックであるように構成され、
前記アプラナティック波長は、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも短い波長の最高の球面色収差が、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも長い波長の最高の球面色収差の所定の範囲内に入る点で与えられる、請求項1から
4のいずれかに記載の計測ツール。
【請求項6】
前記アプラナティック単レンズは、両非球面である、請求項1から
5のいずれかに記載の計測ツール。
【請求項7】
前記材料は、アッベ数が63より大きい低分散材料であり、
任意選択で、以下のうちの少なくとも1つを満たす:
-前記低分散材料のアッベ数が90を超えている、
-前記材料は、CaF
2、BaF
2、LiF、BaLiF
3、SrF
2、Lu
3Al
5O
12、または
Y
3
Al
5
O
12
のうちの1つである、
請求項
1に記載の計測ツール。
【請求項8】
以下のうちの少なくとも1つを満たす:
-前記開口数は0.95未満、0.2を超え、任意選択で0.5である、
-前記倍率は、10から100までの大きさである、
-前記厚さの値は、1mmから10mmである、
-前記主焦点距離の値は、1mmから20mmである、
請求項
1に記載の計測ツール。
【請求項9】
前記広帯域波長範囲は、深紫外線放射から赤外線放射までの波長を含み、任意選択で、
前記広帯域波長範囲は、200nmから2000nmの範囲を含む、
請求項
5に記載の計測ツール。
【請求項10】
前記アプラナティック単レンズは、使用時に反射防止コーティングを含まない、請求項1から
9のいずれかに記載の計測ツール。
【請求項11】
ある波長範囲にわたる放射を受けるためのアプラナティック単レンズであって、
前記アプラナティック単レンズは、アプラナティック波長に対してアプラナティックであるように構成され、
前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差であ
り、
以下のうちの少なくとも1つを満たす:
-前記アプラナティック波長は、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも短い波長の最高の球面色収差が、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも長い波長の最高の球面色収差の所定の範囲内に入る点で与えられる、
-前記所定の範囲は、0.02波長RMSである、
-前記最高の球面色収差は、0.05波長から26波長の間のRMS値を有している、
アプラナティック単レンズ。
【請求項12】
ある波長範囲にわたって使用するように構成されたアプラナティック単レンズを設計する方法であって、
a)複数のレンズ特性を設定すること、
b)アプラナティック波長を設定すること、ここで前記アプラナティック波長は、前記波長範囲内にある、
c)前記複数のレンズ特性と前記アプラナティック波長に基づいて、アプラナティック単レンズの軸上曲率を選択すること、
d)前記軸上曲率、前記アプラナティック波長、および他の前記複数のレンズ特性に基づいて、前記波長範囲にわたるアプラナティック単レンズの球面色収差を決定すること、
e)前記球面色収差を所定の最小球面色収差値と比較すること、
を備え、前記球面色収差が前記所定の最小球面色収差値の20%の範囲外にある場合、ステップcで異なる軸上曲率を選択し、ステップdおよびeを繰り返す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2019年5月17日に出願され、その全体が参照により本書に援用される欧州/米国出願第19175086.8号の優先権を主張する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、基板上の構造の1つまたは複数の特性を決定するための計測ツールに関する。 具体的には、そのような計測ツール内にアプラナティック単対物レンズを含む光学検出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(「設計レイアウト」または「設計」とも呼ばれる)を、基板(例えばウェハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている代表的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm、13.5nmである。4~20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を用いて、例えば波長193nmの放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
低k1リソグラフィを使用して、リソグラフィ装置の古典的な解像限界よりも小さい寸法のフィーチャを処理することができる。このようなプロセスでは、解像度の式はCD=k1×λ/NAとして表すことができる。ここで、λは使用する放射の波長、NAはリソグラフィ装置の投影光学系の開口数、CDは「限界寸法」(通常、印刷される最小のフィーチャサイズであるが、この場合はハーフピッチ)およびk1は経験的な解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能と性能を実現するために回路設計者が計画した形状と寸法に似たパターンを基板に再現することが難しくなる。これらの困難を克服するために、高度な微調整ステップをリソグラフィ投影装置および/または設計レイアウトに適用することができる。これらには、たとえば、NAの最適化、カスタマイズされた照明スキーム、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光学近接効果補正(OPC:optical proximity correction、「光学補正およびプロセス補正」とも呼ばれる)などの設計レイアウトのさまざまな最適化、または一般に「解像度向上技術」(RET:resolution enhancement techniques)として定義されている他の方法が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、リソグラフィ装置の安定性を制御するための厳しい制御ループを使用して、低k1でのパターンの再現を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リソグラフィプロセスおよび/または関連する計測プロセスに使用される装置は、装置内の放射を誘導および制御するための複雑な光学システムを含む。これらの光学システムは、それらが構成する装置に課せられる厳しい性能要件を満たすために、非常に複雑になる可能性がある。光学システムの性能は波長に依存することが多く、より広い波長範囲で性能要件を満たす光学部品を作成することも、光学システムの複雑さを増す可能性がある。結果として、装置内の光学システムは、かなりのサイズおよび/またはコストを有する可能性があり、製造が困難である可能性がある。本明細書に記載されているのは、リソグラフィ装置、計測装置、および/または検査装置用の光学システムに関連するいくつかの課題に対処するための方法およびシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、基板上の構造の特性を決定するための計測ツールが提供される。計測ツールは、ある波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備え、光学検出システムは、放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え、アプラナティック単レンズは、波長範囲内のアプラナティック波長を有する。
【0008】
任意選択で、アプラナティック単レンズは、アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面を含み得る。アプラナティック単レンズは、複数の他のレンズ特性を含み得る。最小球面色収差は、同一の他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差である。
【0009】
任意選択で、複数の他のレンズ特性は、材料、厚さ、開口数、焦点距離、および倍率のうちの少なくとも2つを含み得る。
【0010】
任意選択で、軸上曲率は、コディントン形状係数として表し得る。
【0011】
任意選択で、球面色収差は、波面収差であり、球面色収差の二乗平均平方根(RMS)値を含み得る。
【0012】
任意選択で、アプラナティック単レンズの球面色収差は、波長に依存し得る。波長範囲にわたって最も高い値を有する球面色収差が、アプラナティック単レンズの球面色収差を表すと見なされ得る。
【0013】
任意選択で、アプラナティック単レンズは、波長範囲に関してアプラナティック波長に対してアプラナティックであるように構成され得る。アプラナティック波長は、広帯域波長範囲のアプラナティック波長よりも短い波長の最高の球面色収差が、広帯域波長範囲のアプラナティック波長よりも長い波長の最高の球面色収差の所定の範囲内に入る点で与えられ得る。
【0014】
任意選択で、最高の球面色収差は、0.05波長から26波長の間のRMS値を有し得る。
【0015】
任意選択で、所定の範囲は、0.02波長RMSであり得る。
【0016】
任意選択で、放射は、検出器が検出するように構成された広帯域波長範囲の複数の波長を含み得る。
【0017】
任意選択で、放射は、1nmから5nmの間の帯域幅を持つ波長範囲を含み得る。
【0018】
任意選択で、アプラナティック単レンズは、両非球面であり得る。
【0019】
任意選択で、材料は、アッベ数が63より大きい低分散材料であり得る。
【0020】
任意選択で、低分散材料のアッベ数は、90を超え得る。
【0021】
任意選択で、材料は、CaF2、BaF2、LiF、BaLiF3、SrF2、Lu3Al5O12、またはY3Al5O12のうちの1つであり得る。
【0022】
任意選択で、開口数は0.95未満、0.2を超えてよく、任意選択で0.5である。
【0023】
任意選択で、倍率は、10から100までの大きさを有し得る。
【0024】
任意選択で、厚さは、1mmから10mmの間の値を有し得る。
【0025】
任意選択で、主焦点距離は、1mmから20mmの間の値を有し得る。
【0026】
任意選択で、広帯域波長範囲は、深紫外線放射から赤外線放射までの波長を含み得る。
【0027】
任意選択で、広帯域波長範囲は、200nmから2000nmの範囲を含み得る。
【0028】
任意選択で、アプラナティック単レンズは、使用時に反射防止コーティングを含まない。
【0029】
任意選択で、アプラナティック単レンズが対物レンズであってもよい。
【0030】
任意選択で、決定される特性はオーバーレイであり得る。
【0031】
任意選択で、計測ツールは、多波長計測センサであり得る。
【0032】
本開示の別の態様によれば、ある波長範囲にわたる放射を受けるためのアプラナティック単レンズが提供される。アプラナティック単レンズは、アプラナティック波長に対してアプラナティックであるように構成され得る。アプラナティック単レンズは、アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、複数の他のレンズ特性と、を備え得る。最小球面色収差は、同一の他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差であり得る。
【0033】
任意選択で、アプラナティック波長は、広帯域波長範囲のアプラナティック波長よりも短い波長の最高の球面色収差が、広帯域波長範囲のアプラナティック波長よりも長い波長の最高の球面色収差の所定の範囲内に入る点で与えられ得る。
【0034】
任意選択で、所定の範囲は、0.02波長RMSであり得る。
【0035】
任意選択で、最高の球面色収差は、0.05波長から26波長の間のRMS値を有し得る。
【0036】
本開示の別の態様によれば、上記のような計測ツールを含むリソグラフィ装置が提供される。
【0037】
本開示の別の態様によれば、ある波長範囲にわたって使用するように構成されたアプラナティック単レンズを設計する方法が提供される。この方法は、複数のレンズ特性を設定することを含み得る。この方法はさらに、アプラナティック波長を設定することを含み得る、ここでアプラナティック波長は、波長範囲内にある。この方法はさらに、複数のレンズ特性とアプラナティック波長に基づいて、アプラナティック単レンズの軸上曲率を選択することを含み得る。この方法はさらに、軸上曲率、アプラナティック波長、および他の複数のレンズ特性に基づいて、波長範囲にわたるアプラナティック単レンズの球面色収差を決定することを含み得る。この方法はさらに、球面色収差を所定の最小球面色収差値と比較することを含み得る。この方法はさらに、球面色収差が所定の最小球面色収差値の20%の範囲外にある場合、異なる軸上曲率を選択し、この段落のステップを繰り返すことを含み得る。
【0038】
任意選択で、球面色収差を決定することは、波長範囲にわたって球面色収差を決定することを含み得る。この方法はさらに、球面色収差が波長範囲にわたってバランスが取れているかどうかを判断することを含み得る。この方法はさらに、球面色収差が波長範囲にわたってバランスが取れていない場合は、異なるアプラナティック波長を設定することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。
【
図3】半導体製造を最適化するための3つの主要技術間の連携を表す、全体的なリソグラフィの概略図である。
【
図6】アプラナティック単レンズを含む計測ツールの一部の概略図である。
【
図7】計測ツール用のアプラナティック単レンズを示す図である。
【
図8】アプラナティック単レンズのアプラナティック波長の周りでバランスが取れた4次以上の球面収差を示すグラフである。
【
図9】曲率の異なるアプラナティック単レンズに関して、形状係数の関数としての球面色収差を示すグラフである。
【
図10】レンズ設計パラメータを決定する方法のステップのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書では、「放射線」および「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365、248、193、157または126nm)およびEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含むすべてのタイプの電磁放射線を包含するために使用される。
本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」という用語は、入射放射ビームに基板の目標部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを指すと広く解釈され得る。「ライトバルブ」という用語もこの文脈で使用できる。標準的なマスク(透過型または反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0041】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。このリソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、特定のパラメータにしたがってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるマスクサポート(例えばマスクテーブル)Tと;基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築され、特定のパラメータにしたがって基板サポートを正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板サポート(例えばウェハテーブル)WTと;パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを含む)目標部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0042】
動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからビームを受け取る。照明システムILは、放射を方向付け、放射を成形し、および/または放射を制御するための屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型、および/または他の形式の光学素子といった各種光学素子またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面におけるその断面において所望の空間および角度強度分布を有するように放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0043】
本明細書において使用する「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、および/または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁光学システムおよび/または静電光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0044】
リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wの間の隙間を埋めるように、基板の少なくとも一部が比較的高屈折率を有する液体(例えば水)により覆われる形式の装置であってよい。これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、米国特許第6952253号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
リソグラフィ装置LAはまた、2つ以上の基板サポートWT(「デュアルステージ」とも呼ばれる)を有するタイプのものであり得る。そのような「多段」機械では、基板サポートWTを並行して使用することができ、および/または基板Wのその後の露光の準備におけるステップを、基板サポートWTの1つに位置する基板W上で実行することができる。他の基板サポートWT上の基板Wは、他の基板W上のパターンを露光するために使用されている。
【0046】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを含み得る。測定ステージは、センサおよび/または洗浄装置を保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性または放射線ビームBの特性を測定するように配置することができる。測定ステージは、複数のセンサを保持することができる。洗浄装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部または液浸液を提供するシステムの一部を洗浄するように構成することができる。基板サポートWTが投影システムPSから離れているとき、測定ステージは投影システムPSの下に移動することができる。
【0047】
動作中、放射ビームBは、マスクサポートMTに保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によりパターン化される。マスクMAの通過後、放射ビームBはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置測定システムIFの助けを借りて、放射ビームBの経路内の異なる目標部分Cを集束されアライメントされた位置に位置するように基板サポートWTを正確に移動できる。同様に、第1位置決め装置PMおよび場合により別の位置センサ(
図1には明示されていない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いることができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示の基板アライメントマークP1、P2は専用の目標部分を占めるが、それらは目標部分の間のスペースに配置されてもよい。基板アライメントマークP1、P2は、これらが目標部分Cの間に配置されるとき、スクライブレーンアライメントマークとして知られている。
【0048】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、たまにリソセルまたは(リソ)クラスタとも称され、しばしば基板W上での露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含むリソグラフィシセルLCの一部を形成してよい。従来、これらは、例えば基板Wの温度を調整するため、例えばレジスト層の溶剤を調整するために、レジスト層を堆積させるスピンコート装置SC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、冷却プレートCH、およびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板Wを入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、それらを異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置LAのローディングベイLBに基板Wを運ぶ。リソセルの装置(しばしば集合的にトラックとも称される)は、通常はトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は監視制御システムSCSにより制御され、SCSは例えばリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAを制御してもよい。
【0049】
リソグラフィ装置LAによって露光された基板Wを正確かつ一貫して露光するために、基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線幅、限界寸法(CD)などのパターン構造の特性を測定することが望ましい。この目的のために、検査ツール(図示せず)をリソセルLCに含めることができる。エラーが検出された場合、たとえば、特に同じバッチまたはロットの他の基板Wがまだ露光または処理される前に検査がなされる場合には、後続の基板の露光または基板Wで実行される他の処理ステップを調整することができる。
【0050】
計測装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性、特に、異なる基板Wの特性がどのように変化するか、または同じ基板Wの異なる層に関連する特性が層ごとにどのように変化するかを決定するために使用される。あるいは、検査装置は、基板W上の欠陥を特定するように構成されてもよく、例えば、リソセルLCの一部であってもよく、またはリソグラフィ装置LAに統合されてもよく、または独立型(スタンドアロン)の装置であってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層の画像)、または半潜像(後露光ベークステップPEB後のレジスト層の画像)、または現像されたレジスト画像(レジストの露光部分または非露光部分が除去された画像)、またはエッチングされた画像(エッチングなどのパターン転写ステップ後)の特性を測定することができる。
【0051】
通常、リソグラフィ装置LAでのパターニングプロセスは、基板W上の構造のディメンジョニングおよび配置の高精度を必要とする処理における最も重要なステップの1つである。この高精度を保証するために、
図3に概略的に示すように、3つのシステムをいわゆる「全体的な」統制環境で組み合わせることができる。これらのシステムの1つは、計測ツールMT(2番目のシステム)とコンピュータシステムCL(3番目のシステム)に(実質的に)接続されているリソグラフィ装置LAである。そのような「全体的な」環境の鍵は、これら3つのシステム間の連携を最適化してプロセスウィンドウ全体を強化し、リソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまることを保証する厳密な制御ループを提供することである。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定義された結果(機能的半導体デバイスなど)を生成する一連のプロセスパラメータ(たとえば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)、通常、その範囲内でリソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスのプロセスパラメーターが変化を許可される、を定義する。
【0052】
コンピュータシステムCLは、パターン化される設計レイアウト(の一部)を使用して、どの解像度向上技術を使用するかを予測し、計算機によるリソグラフィシミュレーションおよび計算を実行して、どのマスクレイアウトおよびリソグラフィ装置設定がパターニングプロセスの最大の全体的なプロセスウィンドウを達成するかを決定することができる(
図3において第1スケールSC1の二重矢印で示されている)。通常、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に一致するように構成される。コンピュータシステムCLはまた、例えば次善の処理によって欠陥が存在するかどうかを予測するために、プロセスウィンドウ内のどこでリソグラフィ装置LAが現在動作しているか(例えば、計測ツールMTからの入力を使用して)を検出するために使用されてもよい(
図3において第2スケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)。
【0053】
計測ツールMTは、コンピュータシステムCLに入力を提供して、正確なシミュレーションおよび予測を可能にすることができ、リソグラフィ装置LAにフィードバックを提供して、例えばリソグラフィ装置LAの較正状態にいて起こり得るドリフトを特定することができる(
図3において第3スケールSC3の複数の矢印で示されている)。
【0054】
リソグラフィプロセスでは、例えばプロセス制御および検証のために、作成された構造の測定を頻繁に行うことが望ましい。このような測定を行うためのツールは、通常、計測ツールMTと呼ばれる。そのような測定を行うための様々なタイプの計測ツールMT、走査型電子顕微鏡または様々な形態のスキャトロメータ計測ツールMTが含まれる、が知られている。スキャトロメータは、瞳またはスキャトロメータの対物レンズの瞳との共役面にセンサを有することにより(通常は瞳ベースの測定と呼ばれる測定)、または像平面または像平面との共役面にセンサを有することにより、リソグラフィプロセスのパラメータの測定(この場合、測定は、通常、画像またはフィールドベースの測定と呼ばれる)を可能とする汎用性の高い機器である。このようなスキャトロメータおよび関連する測定技術は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、特許出願US20100328655号、US2011102753A1号、US20120044470A号、US20110249244号、US20110026032号またはEP1,628,164A号にさらに記載されている。一部の計測セットアップでは、イメージングシステムの波面収差を再構築できる強度情報を取得するための測定を実行するために、センサを像平面の近くまたは像平面の共役面の近くに配置することができる。上述のスキャトロメータは、軟X線からの光および可視から近赤外の波長範囲の光を使用して格子を測定することができる。
【0055】
第1の実施形態では、スキャトロメータMTは、角度分解スキャトロメータである。そのようなスキャトロメータでは、回折格子の特性を再構成または計算するために、測定された信号に再構成法を適用することができる。そのような再構成は、例えば、散乱放射線とターゲット構造の数学的モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することから生じ得る。数学的モデルのパラメータは、シミュレートされた相互作用が実際のターゲットから観察されたものと同様の回折パターンを生成するまで調整される。
【0056】
第2の実施形態では、スキャトロメータMTは分光スキャトロメータMTである。そのような分光スキャトロメータMTでは、放射源から放出された放射はターゲットに向けられ、ターゲットからの反射または散乱放射は、正反射性の反射放射のスペクトルを測定する(つまり、波長の関数としての強度の測定)スペクトロメータ検出器に向けられる。このデータから、例えば厳密結合波解析と非線形回帰により、またはシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較により、検出されたスペクトルを生じさせるターゲットの構造またはプロファイルを再構築できる。
【0057】
第3の実施形態では、スキャトロメータMTは、エリプソメトリックスキャトロメータである。エリプソメトリックスキャトロメータは、各偏光状態の散乱放射を測定することにより、リソグラフィプロセスのパラメータを決定することを可能にする。そのような計測装置は、例えば、計測装置の照明セクションに適切な偏光フィルタを使用することにより、(直線、円、または楕円などの)偏光を放出する。計測装置に適した放射源は、偏光放射も提供してもよい。既存のエリプソメトリックスキャトロメータの様々な実施形態は、米国特許出願第11/451,599号、第11/708,678号、第12/256,780号、第12/486,449号、第12/920,968号、第12/922,587号、第13/000,229号、第13/033,135号、第13/533,110号および第13/891,410号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
スキャトロメータMTの一実施形態では、スキャトロメータMTは、反射スペクトルおよび/または検出構成の非対称性を測定することにより、2つの正しく位置合わせされていない格子または周期構造のオーバーレイを測定するように構成される。非対称性は、オーバーレイの程度に関連する。2つの(典型的には重なり合う)格子構造は、2つの異なる層(必ずしも連続した層である必要はない)に適用されてもよく、ウェハ上の実質的に同じ位置に形成されてもよい。スキャトロメータは、例えば共同所有の特許出願EP1,628,164Aに記載されるように、非対称性を明確に区別できるよう対称的な検出構成を有することができる。これにより、回折格子のミスアライメントを簡単に測定できる。周期構造の非対称性を介して測定されるターゲットとして周期構造を含む2つの層の間のオーバーレイエラーを測定するためのさらなる例は、国際特許出願公開番号第WO2011/012624号または米国特許出願第US20160161863号に見いだすことができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0059】
関心のある他のパラメータは、フォーカスおよびドーズであってもよい。フォーカスおよびドーズは、参照により本書にその全体が組み込まれる米国特許出願US2011-0249244に記載されるように、散乱計によって(または代替的に走査型電子顕微鏡によって)同時に決定されうる。単一の構造が用いられてもよく、それは、フォーカスエネルギーマトリックス(FEM、フォーカス露光マトリックスとも呼ばれる)の各点についてクリティカルディメンジョンおよび側壁角度の測定値の固有の組み合わせを有する。仮にこれらのクリティカルディエンジョンおよび側壁角度の固有の組み合わせが利用可能であれば、フォーカスおよびドーズの値は、これらの測定値から一意に決定されうる。
【0060】
計測ターゲットは、リソグラフィプロセスによって多くの場合レジスト内に形成されるが、例えばエッチングプロセスの後にも形成される、複合格子の集合体であってもよい。典型的に、格子内の構造のピッチおよび線幅は、計測ターゲットから来る回折次数を捕捉可能な測定光学系(特に光学系のNA)に強く依存する。先に示したように、回折された信号は、二つの層の間のシフト(「オーバレイ」とも称される)を決定するために用いられてもよいし、リソグラフィプロセスにより生成される元の格子の少なくとも部分を再構築するために用いられてもよい。この再構築は、リソグラフィプロセスの品質の指針を提供するために用いられてもよく、かつ、リソグラフィプロセスの少なくとも一部を制御するために用いられてもよい。ターゲットは、ターゲット内のデザインレイアウトの機能部分の寸法を模倣するように構成されるより小さなサブセグメンテーション(小区分)を有してもよい。このサブセグメンテーションに起因して、ターゲットは、全体的なプロセスパラメータの測定結果がデザインレイアウトの機能部分に酷似することとなるように、デザインレイアウトの機能部分により類似した振る舞いをするであろう。ターゲットは、アンダーフィルモードまたはオーバーフィルモードで測定されうる。アンダーフィルモードにおいて、測定ビームは、ターゲット全体よりも小さなスポットを生成する。オーバーフィルモードにおいて、測定ビームは、ターゲット全体よりも大きなスポットを生成する。このようなオーバーフィルモードでは、異なるターゲットを同時に測定することが可能であってもよく、したがって異なるプロセスパラメータを同時に決定する。
【0061】
特定のターゲットを用いるリソグラフィパラメータの全体的な測定品質は、このリソグラフィパラメータの測定に用いる測定レシピによって少なくとも部分的に決まる。「基板測定レシピ」の用語は、測定自体の一以上のパラメータを含んでもよいし、測定された一
以上のパターンの一以上のパラメータを含んでもよいし、または両方を含んでもよい。例えば、ある基板測定レシピに用いられる測定が回折ベースの光学測定である場合、測定の一以上のパラメータは、放射の波長、放射の偏光、基板に対する放射の入射角、基板上のパターンに対する放射の向きなどを含んでもよい。測定レシピを選択する基準の一つは、例えば、プロセスの変動に対する一つの測定パラメータの感受性であってもよい。より多くの例は、米国特許出願US2016-0161863号および公開された米国特許出願US2016/0370717に記載されており、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0062】
別の例示的な計測ツールMTは、リソグラフィ装置内に集積され得るトポグラフィ測定システム、レベルセンサ又は高さセンサであり、基板(又はウェハ)の上面のトポグラフィを測定するために配置される。基板のトポグラフィのマップは、高さマップとも称され、基板の高さを基板上の位置の関数として示すこれらの測定から生成され得る。この高さマップはその後、基板上の適正合焦位置でパターニングデバイスの空間像を提供するべく、基板へのパターンの転写の際に基板の位置を補正するために用いられ得る。この文脈において、「高さ」とは、基板に対して概して面外の寸法(Z軸とも称される)を指すことが理解されるであろう。典型的には、レベル又は高さセンサは(自身の光学系に対して)固定された場所で測定を実施し、基板とレベル又は高さセンサの光学系との間の相対移動が基板全体の各場所での高さ測定をもたらす。
【0063】
本技術分野において既知のレベル又は高さセンサLSの一例が
図4に概略的に示されている。同図は動作の原理のみを図示している。この例において、レベルセンサは、投影ユニットLSP及び検出ユニットLSDを含む光学系を備えている。投影ユニットLSPは、投影ユニットLSPの投影格子PGRによって付与される放射ビームLSBを提供する放射源LSOを備えている。放射源LSOは、例えば、スーパコンティニューム光源のような狭帯域又は広帯域放射源、偏光又は非偏光レーザビームのような偏光又は非偏光、パルス又は連続であってもよい。放射源LSOは、複数のLEDなど、異なる色又は波長範囲を有する複数の放射源を含んでいてもよい。レベルセンサLSの放射源LSOは、可視放射に限定されず、追加的又は代替的にはUV及び/又はIR放射並びに基板の表面からの反射に適した任意の範囲の波長を包含し得る。
【0064】
投影格子PGRは、周期的に変化する強度を有する放射ビームBE1をもたらす周期構造を備える周期的格子である。周期的に変化する強度を有する放射ビームBE1は、入射基板表面に垂直な軸(Z軸)に対して0度から90度、典型的には70度から80度の入射角ANGをもって、基板W上の測定場所MLOの方に誘導される。測定場所MLOで、パターン形成された放射ビームBE1は、基板Wによって反射され(矢印BE2によって示される)、検出ユニットLSDの方に誘導される。
【0065】
測定場所MLOにおける高さレベルを判定するために、レベルセンサは更に、検出格子DGRと、検出器DETと、検出器DETの出力信号を処理する処理ユニット(図示しない)とを備える検出システムを備えている。検出格子DGRは投影格子PGRと同一であってもよい。検出器DETは、受光した光を示す、例えば、光検出器のように受光した光の強度を示す、又はカメラのように受光した強度の空間的分布を表す、検出器出力信号を生成する。検出器DETは1つ以上の検出器タイプの任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0066】
三角測量技術によって、測定場所MLOにおける高さレベルを判定することができる。検出された高さレベルは、典型的には検出器DETによって測定された信号強度に関係しており、その信号強度は、とりわけ投影格子PGRの設計及び(斜め)入射角ANGに応じて決まる周期性を有する。
【0067】
投影ユニットLSP及び/又は検出ユニットLSDは、投影格子PGRと検出格子DGRとの間のパターン形成された放射ビームの経路に沿って、レンズ及び/又はミラーなど、更なる光学素子を含んでいてもよい(図示せず)。
【0068】
一実施形態においては、検出格子DGRは省略されてもよく、検出器DETは検出格子DGRがある位置に設置されてもよい。そのような構成は、投影格子PGRの像のより直接的な検出を提供する。
【0069】
基板Wの表面を効果的にカバーするために、レベルセンサLSは、測定ビームBE1のアレイを基板Wの表面上に投影し、それによってより大きな測定範囲をカバーする測定領域MLO又はスポットのアレイを生成するように構成されていてもよい。
【0070】
一般的なタイプの様々な高さセンサが、例えば、参照により組み込まれる米国特許第7265364号明細書及び米国特許第7646471号明細書に開示されている。可視又は赤外放射の代わりにUV放射を用いた高さセンサが、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2010233600A1号明細書に開示されている。参照により組み込まれる国際公開第2016102127A1には、多素子検出器を用いて、検出格子を必要とせずに、格子像の位置を検出及び認識する小型の高さセンサが記載されている。
【0071】
複合デバイスの製造において、典型的には多くのリソグラフィパターニングステップが実行され、それによって基板上の連続層内に機能的特徴が形成される。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な態様は、付与されたパターンを、以前の層において(同じ装置又は異なるリソグラフィ装置によって)定められたフィーチャに関して正しくまた正確に配置するための能力である。このために、アライメントマークの1つ以上のセットが基板に提供される。各マークは、その位置を、位置センサ、典型的には光学位置センサによって後に測定することが可能な構造である。位置センサは「アライメントセンサ」と呼ばれ、マークは「アライメントマーク」と呼ばれることがある。
【0072】
リソグラフィ装置は、1つまたは複数の(例えば、複数の)アライメントセンサを含むことができ、それによって、基板上に設けられたアライメントマークの位置を正確に測定することができる。アラインメント(または位置)センサは、回折や干渉などの光学現象を使用して、基板上に形成されたアラインメントマークから位置情報を取得し得る。現在のリソグラフィ装置で使用されているアライメントセンサの例は、米国特許6961115号に記載されている自己参照干渉計に基づいている。たとえば、米国特許公開2015261097A1号に開示されているように、位置センサのさまざまな拡張と変更が開発されている。これらすべての公表文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
マーク又はアライメントマークは、基板上に設けられているか又は基板内に(直接)形成されている層上又は層内に形成された一連のバー(bar)を含み得る。これらのバーは一定の間隔に配置されて格子ラインとして機能するので、マークは、周知の空間周期(ピッチ)を有する回折格子と見なすことができる。マークは、これらの格子ラインの配向に応じて、X軸又はY軸(X軸に対して実質的に垂直に配向されている)に沿った位置の測定を可能とするように設計できる。X軸及びY軸の双方に対して+45度及び/又は-45度に配列されたバーを含むマークは、援用により本願に含まれる米国特許公開2009/195768A号に記載されているような技法を用いて、X及びYを組み合わせた測定を可能とする。
【0074】
アライメントセンサは、各マークを放射スポットで光学的にスキャンして、正弦波のような周期的に変動する信号を得る。この信号の位相を解析して、アライメントセンサに対するマークの位置、従って基板の位置を決定する。アライメントセンサは、リソグラフィ装置の基準フレームに対して固定されている。いわゆる粗マーク及び微細マークを、異なる(粗及び微細)マーク寸法に関連付けて提供することで、アライメントセンサは、周期信号の異なるサイクルを区別すると共に、1サイクル内の正確な位置(位相)を識別することが可能となる。この目的のため、異なるピッチのマークを使用してもよい。
【0075】
また、マークの位置を測定することで、例えばウェーハグリッドの形態でマークが設けられている基板の変形に関する情報も提供できる。基板の変形は、例えば、基板を基板テーブルに静電クランプすること及び/又は基板を放射に露光する際に基板が加熱されることによって生じ得る。
【0076】
図5は、例えば、援用により本願に含まれる米国特許6961116号に記載されているような既知のアライメントセンサASの一実施形態の概略ブロック図である。放射源RSOは、1つ以上の波長の放射ビームRBを提供し、この放射ビームRBは、誘導(diverting)光学系によって、基板W上に位置付けられたマークAMのようなマーク上へ照明スポットSPとして誘導される。この例では、誘導光学系はスポットミラーSM及び対物レンズOLを含む。マークAMを照明する照明スポットSPは、マーク自体の幅よりもわずかに小さい直径とすることができる。
【0077】
マークAMによって回折された放射は、(この例では対物レンズOLを介して)情報保持ビームIBにコリメートされる。「回折される」という用語は、マークからのゼロ次回折(反射と呼ぶことができる)を含むことが意図される。例えば上記の米国特許6961116号に開示されているタイプの自己参照干渉計SRIは、ビームIBをそれ自体と干渉させ、その後ビームは光検出器PDによって受光される。放射源RSOによって2つ以上の波長が生成される場合は、追加の光学系(図示せず)を含ませて別個のビームを提供してもよい。光検出器は単一の要素とするか、又は所望の場合は多くの画素を含むことができる。光検出器はセンサアレイを含み得る。
【0078】
この例ではスポットミラーSMを含む誘導光学系が、マークから反射したゼロ次放射を阻止するよう機能することで、情報保持ビームIBがマークAMからの高次回折放射だけを含むようにしてもよい(これは測定に必須ではないが、信号対雑音比を改善する)。
【0079】
強度信号SIが処理ユニットPUに供給される。ブロックSRIにおける光学処理とユニットPUにおける計算処理の組み合わせによって、基準フレームに対する基板上のX及びYの位置の値が出力される。
【0080】
図示されているタイプの単一測定は、マークの1つのピッチに対応する特定範囲内のマークの位置を固定するだけである。これと関連付けてもっと粗い測定技法を用い
て、このマーク位置を含む正弦波の周期を識別する。マークが作製されている材料やマークの下及び/又は上に提供されている材料とは無関係に、精度の向上及び/又はマークのロバストな検出のため、様々な波長で、粗いレベル及び/又は微細レベルで同一のプロセスを繰り返すことができる。波長は、同時に処理されるように光学的に多重化及び逆多重化すること、及び/又は時分割もしくは周波数分割によって多重化することができる。
【0081】
この例では、アライメントセンサ及びスポットSPは固定状態のままであり、移動するのは基板Wである。従ってアライメントセンサは、基準フレームに堅固かつ高精度に搭載されながら、実質的に基板Wの移動方向と反対の方向にマークAMをスキャンすることができる。基板Wのこの移動は、基板Wが基板サポートに搭載されると共に基板位置決めシステムが基板サポートの移動を制御することによって制御される。基板サポート位置センサ(例えば干渉計)が、基板サポート(図示せず)の位置を測定する。一実施形態では、基板サポート上に1つ以上の(アライメント)マークが設けられている。基板サポート上に設けられたマークの位置を測定することにより、位置センサで決定される基板サポートの位置を較正できる(例えばアライメントシステムが接続されているフレームに対して)。基板上に設けられたアライメントマークの位置を測定することにより、基板サポートに対して基板の位置を決定できる。
【0082】
リソグラフィ装置LAおよびその関連するプロセスおよび方法は、非常に複雑である可能性があり、プロセスおよび/または装置に関連して大量の計測データが得られる。結果として、多くの異なるタイプの計測ツールMTを使用して、リソグラフィ装置LA、関連するプロセス、および/または製品に関連するデータを収集することができる。スキャトロメータ、レベルセンサLS、アライメントセンサASなどの上記の例を含む計測ツールは、計測ターゲットに関する情報を取得するために放射を使用することができる。この放射は電磁放射であってよい。
【0083】
計測ツールMTは、それらが画像ベースであろうと回折ベースであろうと、電磁スペクトル内の広い波長範囲からの1つまたは複数の放射波長を使用することができる。計測ツールMTは、1つまたは複数の特定の波長、波長の範囲、または2つの組み合わせを使用できる。波長の範囲は、狭帯域範囲または広帯域範囲であってよい。計測ツールMTは、対物レンズを使用して、ターゲットの照明、ターゲットからの回折および/または反射された放射の収集、およびターゲットのイメージングの1つまたは複数を実行できる。これらの対物レンズは、システムによって捕捉される放射の量を増やし、最大の画像解像度を作成するために、高い開口数(NA)を備えてよい。リソグラフィプロセスに必要とされるように、広い波長範囲にわたって機能するように設計された高NA対物レンズは、対物レンズで発生するさまざまな収差を補正するための複数のレンズ素子で構成され得る。レンズの数は、通常、15個以上であり得る。対物レンズ素子のいくつかは、ダブレットまたはトリプレットを形成するために一緒に接合され得る。一般に、ダブレット、トリプレット、および接合レンズには、いくつかの長所と短所がある。短所の例は、さまざまなガラスまたは結晶間の熱膨張係数の不一致である。そのような不一致は、機械的応力を引き起こす可能性があり、それは次に、変形および/または応力複屈折を引き起こし、透過光の偏光に不要な変化をもたらす可能性がある。ダブレット、トリプレット、またはそれ以上の合成レンズシステムの代替は、単一のレンズ素子を含む単レンズによって提供され得る。特に明記しない限り、本明細書に記載される単レンズは、イメージングまたは他の放射制御機能(例えば、放射収集)の主要部分を実行する単一素子レンズである。単レンズは、1つまたは複数の他のレンズと組み合わせて使用することができ、1つまたは複数の他のレンズが別個の光学機能を実行する場合、依然として単レンズと呼ばれることがある。1つまたは複数の他のレンズもまた、レンズの寸法および特性(例えば、焦点距離)に対して、例えば遠くに配置されることによって、単レンズから分離され得る。例えば、単レンズは、収差補償のために、および/または再コリメーションのために、第2のレンズと組み合わせることができる。別の例としては、テレスコープ対物単レンズとフィールドレンズを組み合わせたものがある。ダブレットまたはトリプレットは通常、一緒に接合される。ただし、場合によっては、エアスペースダブレットまたはトリプレットが参照されることがある。この場合、ダブレット/トリプレットを形成する素子が間隔を空けて配置される。そのような場合、組み合わされたレンズ素子は、レンズ素子の組み合わせが共通の光学機能を実行するので、ダブレットまたはトリプレットと見なされ得る。ダブレットおよびトリプレットが本明細書で論じられているが、3つを超えるレンズ素子が組み合わされ得る(例えば、一緒に接合される)ことが理解される。
【0084】
第1のタイプの収差は、色収差、または軸上色収差と呼ばれることがあり、これは、レンズ素子の材料の波長依存の性質(分散)の結果である。これは、主焦点距離の波長依存の変動につながる可能性がある。色収差は波長に依存するため、対物レンズが機能するために必要な波長範囲が大きくなると、収差に対処して補正するために必要なレンズ素子の量が増える可能性がある。光学システムで発生する可能性のある第2のタイプの収差には、軸上球面収差、軸外単色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪み、瞳孔収差、および瞳孔歪みが含まれる。軸外収差は、軸からの距離が大きくなるにつれて、より強い影響を与える可能性がある。結果として、導入された収差は、高NAの対物レンズにとって重要である可能性がある。2番目のタイプの収差は、レンズ素子を追加することによって修正することもできる。3番目のタイプの収差は球面色収差であり、4次以上の球面収差の波長依存の変化を含む場合がある。本明細書に記載されるように、補正は、収差の影響を除去するための完全な補正、ならびに収差の影響が低減されるが完全には除去されない収差の部分的な補正を含み得る。
【0085】
計測ツールMTの場合、例えばオーバーレイ計測の場合、対物レンズの複雑さおよびコストは、計測ツールMT、したがって対物レンズが動作しなければならない波長範囲のスペクトル幅の増加とともに増加し得る。対物レンズの複雑さには、素子の数と素子の形状が含まれ得る。複雑さは、1つまたは複数の素子の反射防止(AR)コーティングに関する課題と要件の観点からも表現できる。対物レンズなどの光学システム内の反射放射は、光学システムの効率を低下させ、ゴースト反射および/または迷放射線を封じ込めることによって光学システムの性能に悪影響を与える可能性があるため、ARコーティングが必要になる場合がある。広帯域波長動作範囲、つまり広いスペクトル幅を備えた計測ツールMTのARコーティングに関して、いくつかの課題が発生する可能性がある。最初の課題は、ARコーティングが波長に依存し、たとえば、1オクターブを超える放射周波数にまたがる動作範囲を超えてはならないことである。2番目の課題は、レンズ素子の数が増えると、それぞれが入射放射のごく一部を反射する可能性がある表面の量が増えるため、ARコーティングが必要になることである。光学システムのARコーティングの要件は、スペクトル幅とレンズ素子表面の量のいずれかまたは両方が増加するにつれてより厳しくなり、より複雑でよりコストのかかるARコーティングにつながる。
【0086】
計測ツールMTのすべてのイメージング要件を組み込むことにより、計測ツールMTの対物レンズに複雑な設計仕様が配置される。計測ツールMT内の光学システムの複雑さと関連コストを削減することが望ましいであろう。ここで提案する解決策は、多素子の対物レンズが単純化された光学システムに置き換えられた計測ツールMTを実装することである。簡略化された光学システムを使用するイメージングは、像を形成するために放射を制御および捕捉するために簡略化された光学システムを使用することを含み得る。イメージングプロセスの光学ステップに続いて、簡略化された光学システムによって捕捉された像の計算後処理を使用して、像を改善することができる。簡略化された光学システムは、例えば、単レンズであり得る。単レンズを使用することの欠点は、レンズの表面が2つしかないため、すべての単色収差と色収差を補正できないことである。しかしながら、上記のように光学系を使用してこれらの収差に対処する代わりに、例えばアルゴリズムを使用する計算補正ステップは、収差に対処するための解決策を提供し得る。
【0087】
収差の結果として、単純化された光学システムによってキャプチャされた像がぼやけることがある。計算アルゴリズムがこのぼやけに対処するために、収差が計算的に処理される関心領域にわたって実質的に一定であることが望ましい。これは、例えば、ほぼアイソプラナティック(isoplanatic)である関心領域を有することによって達成され得る。計算処理に基づいて像が分析される関心領域は、像平面内に配置され得る。関心領域は、光軸およびそれを取り囲む領域を含み得る。光軸に近い領域の場合、収差がほぼ一定であるためには、光軸からの半径方向の距離に比例する収差がない領域が必要である。残りの収差は、光軸からの半径距離の2次、3次、およびそれ以上の次数に比例する、つまり、光軸に近い領域で一定として近似できる。したがって、関心領域が十分に小さく、その結果、光軸に近くなる可能性がある場合、光軸からの半径方向距離に線形に依存する収差以外の収差は、関心領域全体で一定であると近似することができる。フィールド依存収差領域が回折限界波面収差のごく一部(例えば、約1/3から1/4の間)である場合、関心領域は十分に小さいと見なすことができる。二乗平均平方根(RMS)波面収差が0.072波長(λ)RMS以下(≦)の場合、均一に満たされたレンズは、回折限界になる可能性がある。例示のシステムでは、関心領域は直径約50μmであり、フィールド依存収差は≦0.020λRMSであり得る。
【0088】
関心領域がこの近似に準拠するのに十分に小さい場合、関心領域全体で一定の収差は、一次収差を除去することによって取得できる。これは、オブジェクトと像空間の角度の比例正弦値が一定であるアッベの正弦条件を満たすレンズによって実現できる。
【数1】
【0089】
アッベの正弦条件を正確に満たすレンズは、軸上球面収差を持たず、さらに軸外線形コマ収差を持たない。線形コマ収差は、光軸からの半径方向の距離に比例して変化する主要なコマ収差である。アッベの正弦条件を満たすレンズは、アプラナートまたはアプラナティックレンズ(無収差レンズ)と呼ばれることがある。アプラナティックレンズは、光軸の周りに一定の収差の小さな領域を作成するため、形成された像を計算で処理できるように、簡略化された光学システムで使用するのに適している場合がある。
【0090】
単一のレンズからなるアプラナティックレンズは、アプラナティックシングレットのアプラナティック単レンズと呼ばれることがある。アプラナティック単レンズは、単一波長に対してのみ正確にアプラナティックである可能性がある。アプラナティック単レンズは固有の分散を持っており、色収差と、高次の波長依存の球面収差の変化に関連する球面色収差を引き起こす。結果として、アプラナティック単レンズの使用が知られており、通常、単一波長または狭帯域アプリケーションで、色および/または球面色収差の影響が制限され、無視できる場合がある。ただし、広帯域波長範囲の場合、アプラナティック単レンズは、その広帯域範囲の少なくとも一部で非アプラナティックな作用を示す。広いスペクトル範囲(IRからDUV、またはEUVなど)で機能する計測ツールMTにアプラナティック単レンズを設ける場合、分散効果を制限するようにアプラナティック単レンズを設計する必要がある。
【0091】
アプラナティック波長は、一次球面収差と一次コマ収差の線形フィールド依存性の両方がゼロになる波長であることに注意すべきである。レンズの設計が既知の場合は、フィールド座標と波長の関数としてレンズによって誘発される波面収差の一次コマ収差と一次球面収差係数を数値的に計算することにより、アプラナティック波長を見つけることができる。このような幾何光学計算は、レイトレーシングとして知られる幾何光学法を使用して、レンズを通過する多数の光線の光路長を決定することによって行われる。このような分析は、Zemax OpticStudioやCodeVなどの市販のレイトレーシングコードで日常的に行われている。レンズの設計が不明なレンズの場合、アプラナティック波長は測定によって決定する必要がある。最も簡単な測定は、一次球面収差と一次コマ収差の線形フィールド依存性の両方がゼロになる波長を見つけるために、波長とフィールド座標の両方の関数として一次球面収差とコマ収差を測定することである。そのような測定は、例えばシャックハルトマンセンサとして知られている波面センサ、または波長範囲で動作するレンズテスト干渉計を使用して実行することができる。解析ソフトウェアを使用して、測定された波面データを一次および高次の収差係数に分解する。計測で離散波長のみを使用できる場合は、離散計測波長間の波長の計測データを補間することにより、アプラナティック波長を決定できる。
【0092】
特定のアプラナティック波長の正確なアプラナティック単レンズには、多くの可能な設計が存在する。レンズ特性の所定のセットのアプラナティック単レンズの場合、たとえば屈折率、主焦点距離、NA、およびレンズの厚さ、色収差は、異なるアプラナート設計に対して実質的に同じであってもよい。ただし、球面色収差にはばらつきがある。
【0093】
本明細書に開示されているのは、特定の広帯域波長範囲に対して球面色収差を最小化することができるアプラナティック単レンズの設計である。これにより、簡略化された光学システムのアプラナティック単レンズの設計を、リソグラフィ装置LAおよび関連する計測のための計測ツールMTに提供することができる。本明細書で説明されるのは、球面色収差を最小化するための、および/または提供されたレンズ特性のセットの色収差のバランスをとるための設計方法およびアプラナティック単レンズである。
【0094】
本明細書に記載されているのは、基板W上の構造の特性を決定するための計測ツールMTである。計測ツールMTは、波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備える。波長範囲は広帯域範囲であり得る。光学的検出システムは、放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え得る。アプラナティック単レンズは、波長範囲内のアプラナティック波長を有する場合がある。
【0095】
検出器へ放射を集束するアプラナティック単レンズを含む計測ツールの利点は、集束ステップが複雑な対物レンズによって実行される場合よりも単純な構成を有することである。
【0096】
アプラナティック単レンズは、放射を検出器に集束させるのに適しており、放射は、波長範囲のどこにでも入ることができる。アプラナティック単レンズは、反射防止コーティングなしで計測ツールMTに設けることができる。
【0097】
アプラナティック単レンズは、公称の単レンズ設計が完全にアプラナティックであるアプラナティック(無収差)波長を有するように設計されている。実際のレンズ設計は、製造公差のために公称設計から逸脱する場合がある。簡潔にするために、公称のアプラナティックレンズ設計は、単にアプラナティックレンズ設計と呼ばれる場合がある。波長範囲を超える他の波長の場合、アプラナティック単レンズはアプラナティック特性と動作に近づく可能性がある。
【0098】
光学的検出システムは、広帯域範囲にわたる放射を検出するように設計され、適している。しかしながら、計測ツールMTの光学的検出システムによって検出される放射は、計測ツールMTの波長範囲内の複数の波長を含み得る。複数の波長は、狭帯域放射範囲を含み得、および/または複数の個別の波長を含み得る。検出された放射が、計測ツールMTの波長範囲内から単一の波長のみを含むことも可能である。基板Wによって散乱された放射は、例えば、1nmから5nmの間の帯域幅を有する波長範囲を有し得る。アプラナティック単レンズによって受け取られた放射は、基板Wから散乱され得る。放射は、例えば、基板W上の構造によって反射または回折され得る。ここで、計測ツールMTは、基板W上のその構造の特性を決定するためのものである。
【0099】
図6は、アプラナティック単レンズAPSを含む計測ツールMTの一部を示している。放射源SRCは、基板W上の構造を照明するための放射を提供することができる。この放射100は、例えば、反射または回折によって、構造を含む基板Wから散乱する。散乱放射100は、前面FSおよび後面BSを含むアプラナティック単レンズAPSによって捕捉され得る。計測ツールの光学設定の幾何学的配置は、アプラナティック単レンズが基板Wの表面に垂直なその光軸と整列するようにできる。アプラナティック単レンズAPSは、放射100を検出器300に集束させる。光学検出システムは、散乱放射100が、アプラナティック単レンズAPSの光軸OAに沿って、またはその近くを伝播するように構成されてよい。レンズシステムのアプラナティックな特性により、検出器に集束された放射は、アプラナティック単レンズの光軸が基板Wの表面に対して垂直配向を有するシステムの場合、光軸OAの近くの領域において実質的に一定の収差を有し得る。アプラナティック単レンズの光軸が基板Wの表面に垂直でないシステムの場合、フィールドに依存するデフォーカスが導入される可能性がある。検出された放射は、計算処理のために提供され得る。
【0100】
アプラナティック単レンズAPSは、前面FSおよび後面BSを含み得る。前面および背面は両方とも、簡潔にするために、それぞれ軸上曲率半径rfおよびrbを含み得、これは、軸上曲率とも呼ばれ得る。アプラナティック単レンズの軸上の曲率は、アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内になるようにされる。アプラナティック単レンズAPSは、軸上の曲率rfおよびrb以外の複数のレンズ特性をさらに含む。最小球面色収差は、他の特性の同じセットを有するすべてのアプラナティック単レンズAPSに対して取得できる最小球面色収差として決定される。
【0101】
最小球面色収差値の20%以内の球面色収差を有するようにアプラナティック単レンズを設計することの利点は、それが計測ツールMTにおけるアプラナティック単レンズAPSの性能を改善し得ることである。そのようなアプラナティック単レンズは、上記のように、結果として生じるぼやけた像の数値的後処理による補正のために、関心領域における球面色収差を低減または最小化することさえできる。本明細書に記載の本発明の重要な態様は、アプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差値が存在するという発明者による認識、およびその最小に近づくための設計のその後の決定である。特定の特性セットを備えたアプラナティック単レンズの球面色収差の最小値の決定については、以下で詳しく説明する。
【0102】
一般に、レンズの設計および形状は、非球面傾斜角が最小になるように選択される。このような設計は、非球面の製造を容易にし、ARコーティングの均一性を高めるために選択できる。非球面傾斜角を最小化するための設計要件は、球面色収差が球面色収差の最小値から特定の範囲内に収まるように軸上の曲率を設計することに抵触する可能性がある。球面色収差を球面色収差最小値の20%の範囲内に収めるという設計上の選択は、既知の設計手法に基づく明らかな選択ではない。別の設計の選択では、球面色収差は、球面色収差の最小値の18%、16%、14%、12%、10%、8%、または6%の範囲内に収まり得る。
【0103】
図7は、前面FSおよび後面BSを有するアプラナティック単レンズAPSを示している。アプラナティック単レンズAPSの光軸と前面FSの交点で、前面の軸上の曲率半径r
fが示される。同様に、後面BSとアプラナティック単レンズAPSの光軸OAの交点で、後面の軸上の曲率半径r
bが示される。
図7では、後面BSの曲率半径は前面FSよりも短くなっている。
【0104】
アプラナティック単レンズAPSは、計測ツールMTにおいて設計および構成され得、その結果、計測ツールMTの通常の動作のために、前面FSは、最初に放射100を受け取る。次に、放射100は、アプラナティック単レンズAPSを伝播した後、後面BSに到達する。アプラナティック単レンズAPSの後面BSを通過した後、放射100は、検出器300に集束され得る。
【0105】
アプラナティック単レンズAPSは、両非球面(bi-aspheric)であり得る。すなわち、前面FSおよび後面BSが非球面曲率を有し得る。ただし、この場合の双非球面アプラナティック単レンズAPSには、前面FSと後面BSの一方または両方が球面曲率を持つアプラナティック単レンズAPS設計も含まれ得る。
【0106】
アプラナティック単レンズを設計するために、最小の球面色収差を提供する軸上の曲率を決定することができるように、レンズのいくつかの特性を定義および固定することが必要な場合がある。そのような特性はまた、計測ツールおよび/または光学的検出システムの要件に関連し、それらによって決定され得る。複数の他のレンズ特性は、2つ以上の材料、厚さ、開口数NA、主焦点距離であり得る焦点距離、および倍率を含み得る。
【0107】
材料は、屈折率、およびアプラナティック単レンズの関連する分散特性を決定し得る。厚さは、少なくとも光軸でのレンズの厚さを含むと理解される。軸上の厚さと両方のレンズ表面の曲率の理解に基づいて、軸から離れた位置での単レンズの厚さを決定できる。主な厚さは、アプラナティック単レンズの後面から焦点までの距離であると理解されている。単レンズの特性が明確に決定され得る他の焦点距離が、追加的にまたは代替的に(例えば、光軸に沿ったレンズの中央から、光軸に沿った前面から)提供され得る。
【0108】
屈折率、厚さ、主焦点距離、倍率、NA、およびアプラナティック単レンズがアプラナティズム(aplanatism)を有するアプラナティック波長の要件の組み合わせは、アプラナティック単レンズの前面および後面の形状を説明するのに十分な詳細を提供し得る。
【0109】
前面と後面の軸上の曲率は、コディントン(Coddington)形状係数として表すことができる。これはコディントン形状パラメータとも呼ばれる。コディントン形状係数Bは、前面の軸上曲率半径r
fおよび後面の軸上曲率半径r
bの逆数C
fおよびC
bで表すことができる。
【数2】
【0110】
コディントン形状係数Bの特定の定義が上に提供されているが、この形状係数の変形も使用できる。コディントン形状係数の変形には、係数の全体または一部に対して数学演算を実行すること、および/または形状係数に係数または項を追加することが含まれ得る。コディントン形状係数の代わりに、他の形状係数を使用することもできる。ただし、それらがアプラナティック単レンズの軸上の曲率を表す場合に限る。
【0111】
球面色収差は、球面色波面収差であり得る。球面色収差値は、球面色収差の二乗平均平方根(RMS)値として表すことができる。球面色収差は波長に依存し得る。前面FSおよび後面BSの曲率rfおよびrbを特定に選択するために、アプラナティック単レンズAPSの全波長範囲について、単一の値を使用して球面色収差を表すことができる。これは、波長範囲全体で絶対値で最高の球面色収差値を決定し、この値を選択して、対応する軸上の曲率および他のレンズ特性に対するアプラナティック単レンズAPSの球面色収差を表すことによって達成できる。
【0112】
アプラナティック単レンズAPSを構成する材料の分散により、アプラナティック単レンズAPSの主焦点距離は波長に依存する可能性がある。焦点距離のこの波長依存性は、軸上色収差または一次色収差と呼ばれることがある。異なる波長の球面色収差を決定する場合、例えば、物体、単レンズ、および/またはセンサを動かすことによって、測定値を軸上色収差について補正することができ、その結果、焦点画像について球面色収差を決定することができる。
【0113】
上記のように、アプラナティック単レンズは、単一の波長に対してのみ正確にアプラナティックであり得、本明細書では、アプラナティック単レンズAPSのアプラナティック波長と呼ばれる。アプラナティック単レンズAPSが計測ツールMTで使用されるように構成されている波長範囲の残りの波長では、アプラナティック単レンズAPSの特性はアプラナティズム(aplanatism)とは異なる。アプラナティック波長は、設計の一部として選択できる。つまり、他のレンズ特性のセットが与えられた場合、アプラナティック単レンズAPSの曲率をそれに応じて設計することにより、アプラナティック波長を設定できる。したがって、アプラナティック波長の選択を使用して、残りの波長の特性に影響を与えることができる。全波長範囲にわたってアプラナティック特性に可能な限り近い特性を有することが望ましい場合があるので、アプラナティック波長はこれを達成するように設定することができる。
【0114】
アプラナティック単レンズAPSのアプラナティック波長は、計測ツールMTの広帯域波長範囲から選択できる。アプラナティック波長の選択は、アプラナティック波長のいずれかの側の広帯域波長範囲にわたって球面色収差値のバランスをとるように選択することができる。アプラナティック波長は、広帯域波長範囲のアプラナティック波長より短い波長の最大球面色収差が、広帯域波長範囲の設計波長より長い波長の最大球面色収差の所定の範囲内に入る点で提供することができる。
【0115】
図8は、4次以上の球面色収差と、広帯域波長範囲にわたるアプラナティック単レンズの全波面の二乗平均平方根を示すグラフを示。収差値が提供される波長範囲は、グラフの横軸に示されている350nmから2000nmの範囲である。縦軸には、波長λの単位で収差が表されている。グラフの4本の実線は、ゼルニケフリンジ定義を使用して、4次4OSS、6次6OS、8次8OS、および10次10OSの球面色収差係数を表している。全RSM波面収差は破線で示されている。収差は二乗平均平方根として表されるため、すべての値は正である。
【0116】
グラフにおいて、アプラナティック波長は405nmであるように選択されている。 350nm~2000nmの波長範囲では、これにより、405nmより短い波長と405nmより長い波長のRMS収差値のバランスがとれる。全波面RMSの形状、特に4OS球面色収差の寄与により、収差の寄与は、アプラナティック波長のすぐ下の波長で急激に上昇する。波長範囲の短い方の端にある波長の高い収差値を回避するために、波長範囲の短い方の端に近い方のアプラナティック波長が選択される。
【0117】
アプラナティック波長より短い波長およびアプラナティック波長より長い波長の両方について最も高い球面色収差は、0.05波長と26波長との間のRMS値を有し得る。開口数が小さい小さなレンズ、たとえばNA=0.5およびf=2mmのCaF2レンズ(低分散)では、最高球面色収差値が低くなる可能性がある。サイズとNAが大きい高分散レンズでは、約26波長の最高球面色収差値が高くなる可能性があるす(例:NA=0.9およびf=20mm)。
【0118】
具体的には、
図8において、最短波長(350nm)での全球面色波面RMS値が、グラフが極大に達する700nm付近の全球面色波面RMSの値と同じになるように、すなわち、その値から所定の範囲内に収まるように、アプラナティック波長が選択される。設計波長が405nmよりも短くなるように選択された場合、短波長帯域の最大RMSは減少し、長波長の最大RMSは増加する。同様に、アプラナティック波長が405nmより長くなるように選択された場合、短波長の最大RMSは増加し、長波長の最大RMSは減少する。設計波長は、2つの最大値が互いに所定の範囲内に収まるように選択できる。一例では、所定の範囲は、RMS値に対して0.02波長に設定され得る。つまり、アプラナティック波長よりも短い波長と長い波長の最大RMS収差値は、0.02波長RMSの最大差を持つ可能性がある。場合によっては、例えば、特定の放射源に対応する波長が使用される場合、例えば、干渉法を使用するレンズ品質検証のために、0.02λRMSよりも大きい所定の値が選択され得る。一般に、所定の範囲は、球面色収差の最大値のごく一部(例えば、1%、2%、または5%)になるように選択することができる。例えば、26波長の球面色収差の最大値の場合、最大の所定の範囲は、26波長の1%から5%の間にあってよい。
【0119】
所定の範囲は、設計上の選択に基づいて決定することができる。あるいは、またはさらに、所定の範囲は、光学的検出システムの制限、例えば、理論的に計算された曲率に一致するようにレンズ表面の曲率を製造することによって決定され得る。
【0120】
図8において、アプラナティック波長より短い波長およびより長い波長の最大RMS値は、正確には等しくない。これは、例えば、最大値間のバランスが得られるアプラナティック波長の近くで選択できる便利な波長のためである可能性がある。波長は、その正確な波長で放射を提供するために利用できる簡単な照明源があるので便利かもしれない。代替的または追加的に、例えば共振のために、計測に特に関心のある波長が存在する可能性がある。アプラナティック波長でのレンズの正確なアプラナティック特性を利用できるように、特に関心のある便利な波長を選択することが有益であり得る。
【0121】
球面収差値を比較する場合、より高い値とより低い値の決定は、絶対値で、すなわち、値の大きさに基づいて行われ、収差の+または-符号を考慮しない。正/負の符号は、値の比較には考慮されません。これは、たとえば、RMS値を使用して実現できる。
【0122】
上記のように、アプラナティック単レンズは、球面色最小値とも呼ばれる最小球面色収差から20%以内の球面色収差を有するように設計することができる。球面色最小値は、指定された複数の他の特性およびアプラナティック波長ごとに決定することができる。レンズの所与の特性のセット、例えば、複数の他の特性(倍率、焦点距離、開口数、軸上の厚さ、および材料/屈折率)およびアプラナティック波長について、軸上の曲率を設計でき、そして、この最小値に近づくように設定できる。焦点距離が主焦点距離であり得ることが理解されよう。
【0123】
アプラナティック単レンズの軸上の曲率は、形状パラメータとも称される形状係数、例えば、コディントン係数で表すことができる。コディントン形状係数を使用して、前面FSおよび後面BSの表面の2つの軸上曲率r
fおよびr
bを単一の数値で表すことができる。本発明者は、例えば、薄レンズ近似を使用するか、または異なる形状係数を有する異なるアプラナティック単レンズの計測データを使用して、コディントン形状係数B(またはコディントン形状係数の変形)と波長範囲にわたる最大球面色収差との間の関係がほぼ二次式であることを示すことができることに気付いた。これを
図9に示す。ここでは、球面色収差がコディントン形状係数の関数として示されている。結果のグラフは、基本的に2次式の形状になる。測定点は、-0.55から-0.25の間の7つの異なるコディントン形状係数Bを持つ7つのアプラナティック単レンズに対応する。異なるアプラナティック単レンズはすべて、他のパラメータの同じセット:405nmのアプラナティック波長で屈折率n=1.442の材料CaF
2、倍率M=-15、主焦点距離f=5mm、軸上の厚さd=3mm、および開口数NA=0.5、を持っていた。
図9では、球面色収差の最小値は、B=-0.4付近の値を持つ形状係数に対応している。球面色収差は、波長範囲にわたる最大球面色収差値であるため、球面色最大値と呼ばれる。
図9では、波長範囲は350nm~2000nmであり、最大の球面色収差は700nmの波長付近で発生する(
図8を参照)。
【0124】
図9は、RMS収差値を示しており、これは常に正であり、放物線形状が絶対最小値を有することを意味する。ただし、負の収差値が含まれている場合でも、収差の大きさを考慮することができるため、球面色収差が最小値となる形状係数の値が常に存在する。二次形状のこの最小値(極値)は、球面色収差の最小値Sph
minを表す。
【0125】
球面色最小値が決定されると、アプラナティック単レンズAPSは、球面色最小値Sphminに対応する形状係数に近づく形状係数を有するように設計することができる。ただし、製造公差と測定誤差のために、最小の球面色収差に対応する形状係数に正確に一致するアプラナティック単レンズを生成できるとは限らない。したがって、設計要件により、アプラナティック単レンズの球面色収差が、球面色最小値Sphminの指定範囲、たとえば20%内に収まるように設定される場合がある。より厳しい設計要件では、球面色収差は、たとえば球面色最小値の6%以内に収まる必要がある場合がある。
【0126】
上記のように、球面色最小値Sphminの決定は、これらの特性を同じに保ち、前面FSと後面BSの軸上の曲率rfおよびrbを変化させることによって、アプラナティック単レンズの特定の特性のセットに関連して行うことができる。
【0127】
アプラナティック単レンズを構成する材料は、低分散材料、特殊低分散材料、超低分散材料、または極低分散材料であり得る。低分散材料は、アッベ数が63を超える材料であり得る。一部の実装では、アプラナティック単レンズの材料のアッベ数が70を超え得る。一部の実装では、アプラナティック単レンズの材料のアッベ数が90を超え得る。材料は、リン酸塩ガラスまたはフルオロリン酸塩ガラスであり得る。材料は、例えば、CaF2、BaF2、LiF、BaLiF3、SrF2、Lu3Al5O12、またはY3Al5O12のうちの1つであり得る。
【0128】
アプラナティック単レンズの開口数は、0.2から0.95の範囲であり得る。たとえば、開口数の値は0.5であってよい。屈折率が低い材料では、NAの最大値は低くなる。たとえば、CaF2ガラスの場合、アプラナティック単レンズの最大NAは約0.6を超えない可能性がある。屈折率が高い材料では、NAの最大値が高くなる可能性がある。
【0129】
アプラナティック単レンズの倍率は、-10から-100の範囲の大きさを有し得る。倍率は、例えば、-15の値を有し得る。
【0130】
アプラナティック単レンズの軸上の厚さは、1mmから10mmの間、例えば、3mmの値を有し得る。1mm未満の厚さの場合、レンズの自由作動距離は暗視野照明には小さすぎる可能性がある。厚いレンズ、例えば厚さが10mmを超えるレンズは、主焦点距離によっては、球面色収差値が高くなる可能性がある。
【0131】
主焦点距離は、1mmから20mmの間、例えば5mmの値を有することができる。
【0132】
アプラナティック単レンズは、計測ツールMTの一部を形成するように構成され得る。アプラナティック単レンズは、波長範囲にわたって動作するように構成することができる。波長範囲は、計測ツールの機能によって決定できる。アプラナティック単レンズが動作するように構成されている波長範囲は、深紫外線放射から赤外線放射までの波長を含み得る。波長範囲は、200nmから2000nmのスペクトル範囲内に含まれ得る。波長範囲は、例えば、350nmから2000nmを含み得る。
【0133】
アプラナティック単レンズは、反射防止コーティングなしで、使用中の計測ツールMTで動作するように構成され得る。アプラナティック単レンズは、計測ツールMTの対物レンズであってよい。計測ツールMTまたは他の装置とは別に、上記の特性のいずれかを含む、および/またはそれ自体で使用されるアプラナティック単レンズも提供され得る。
【0134】
計測ツールMTは、ウェハ検査ツール、具体的には多波長ウェハ検査ツールであり得る。計測ツールMTは、複数の波長を使用してオーバーレイを測定するために使用できる。計測ツールMTは、リソグラフィプロセスに関連する任意の特性を測定するために使用できる。計測ツールMTは、リソグラフィ装置LAの一部として含まれ得る。
【0135】
本明細書に記載されるようなアプラナティック単レンズの特性は、設計方法を使用して決定することができる。設計方法は、複数のレンズ特性を設定するか、さもなければ取得することから始めることができる。これらは、上記の他のレンズ特性:材料、主焦点距離、軸上の厚さ、倍率、および開口数などであり得る。次に、この方法は、アプラナティック単レンズのアプラナティック波長を設定することを含み、ここで、アプラナティック波長は、波長範囲内にある。この方法は、他の複数のレンズ特性およびアプラナティック波長に基づいて、アプラナティック単レンズの軸上曲率を選択することを含み得る。このステップに続いて、軸上の曲率、アプラナティック波長、および他の複数のレンズ特性に基づいて、アプラナティック単レンズの球面色収差を決定することができる。球面色収差は、選択された特性(軸上の曲率以外)を持つアプラナティック単レンズのス球面色最小値と比較できる。球面色収差が球面色最小値の周囲の20%の範囲外にある場合は、軸上の曲率の異なるセットを選択し、異なる設計に対して球面色収差の決定と比較を繰り返すことができる。この反復法は、軸上曲率の適切なセットが見つかるまで繰り返すことができる。この場合、球面色収差は球面色最小値に近づく。
【0136】
球面色収差を決定することは、アプラナティック単レンズの波長範囲にわたって球面色収差を決定することを含み得る。この方法は、球面色収差が波長範囲全体で釣り合っているかどうかを決定することを含み得る。球面色収差のバランスが取れていない場合は、異なるアプラナティック波長を設定し、本方法の後続のステップを繰り返すことができる。波長範囲全体でバランスが取れていることは、波長範囲内のアプラナティック波長のいずれかの側の最大球面色収差値が互いに所定の範囲内にあることによって定義することができる。この所定の範囲は、上記でより詳細に説明されるように、例えば、0.02波長RMSであり得る。
【0137】
図10は、本明細書に記載のアプラナティック単レンズAPSなどのレンズの設計パラメータを設計および決定する際のステップのフローチャートを示す。ステップ502において、レンズ特性を選択することができる。レンズパラメータの選択は、アプラナティック単レンズAPSの使用要件、たとえば、レンズが機能する波長範囲、必要な倍率とNA、スペースの可用性、材料の互換性および/または可用性などによって部分的または全体的に決定される。ステップ502で決定される特性は、レンズ材料、軸上の厚さd、焦点距離f、倍率M、および開口数を含み得る。ステップ504において、アプラナティック波長を設定することができる。アプラナティック波長の選択には、上記でより詳細に説明したように、球面色収差のバランスを考慮することが含まれる場合がある。このプロセスはまた、アプラナティック波長でのアプラナティック単レンズの材料の屈折率nを決定することを含み得る。
【0138】
ステップ506において、形状係数B、例えば、コディントン形状係数を選択することができる。形状係数Bの選択は、形状係数の近似計算に基づくことができ、例えば、以下でより詳細に説明される薄レンズ近似に基づくことができる。ステップ508において、アプラナティック単レンズの軸上曲率rfおよびrbを決定することができる。この決定は、形状係数B、屈折率n、焦点距離f、および軸上の厚さdに基づくことができる。これらのパラメータの値は、レンズメーカの式、および形状係数を軸上の曲率にリンクする方程式に入力できる。決定された曲率およびアプラナティック単レンズの特性に基づいて、さらなる計算を実行することができる。これらの計算には、例えば、主平面、アプラナティック単レンズの軸上表面までの物体および像の距離、およびアプラナティック単レンズの前面FSおよび後面BSの非球面形状の決定が含まれ得る。アプラナティック単レンズの前面FSおよび後面BSの非球面形状の計算は、G.D. Wasserman、E. Wolf、「On the theory of Aplanatic Aspheric Systems」、Proc. Phys. Soc. B、62、2、pp. 2-8(1949)に記載されているように、ワッサーマン-ウルフ法に基づくことができる。
【0139】
ステップ510において、選択され決定された特性を有するアプラナティック単レンズの球面色収差を決定することができる。球面色収差は、波長範囲全体で決定することができる。ステップ512において、この方法は、球面色収差が波長範囲にわたってバランスが取れているかどうかをチェックすることを含み得る。球面色収差のバランスが取れているかどうかをチェックすることは、アプラナティック波長のいずれかの側の最高の球面色収差値が所定の波長範囲内にあるかどうかを含むことができる。波長のバランスが取れていない場合514、方法はステップ504に戻り、そこで異なるアプラナティック波長を選択することができる。球面色収差のバランスが取れている場合516、アプラナティック波長は同じに保たれる。
【0140】
ステップ518において、本方法は、波長範囲にわたるアプラナティック単レンズの最大球面色収差値が、選択され決定された特性のセットの球面色最小値の所定の範囲内にあるかどうかをチェックし得る。所定の範囲内にない場合520、本方法は、ステップ506に戻り、異なる形状係数を選択することができる。最大球面色収差が所定の範囲内にある場合522、アプラナティック単レンズ設計の設計パラメータ値が見出され524、設計プロセスが終了し得る。
【0141】
薄いレンズの場合、球面色の最小値の存在は、分析的に近似的に導き出すことができる。レンズメーカの式から始める。
【数3】
ここで、fは主焦点距離、nは屈折率、dは軸上のレンズの厚さ、c
1とc
2はそれぞれレンズの前面と後面の(軸上の)曲率半径の逆数である。薄いレンズの場合、レンズメーカの式は、d=0と近似することにより次のように減らすことができる。
【数4】
【0142】
コディントン形状係数Bと共役パラメータCは、次のように導入できる。
【数5】
ここで、Mは倍率である。
【0143】
値が小さい開口数NAの場合、ザイデル球面収差の合計は次のように提供される。
【数6】
ここで、SIはザイデル収差の合計である。
【0144】
球面色収差は、分散によるアプラナティック波長の屈折率からの屈折率の変化によって引き起こされる球面収差である。結果として、屈折率に対するザイデル和の偏導関数は、球面色収差の指標となり得る。
【数7】
【0145】
この偏導関数は、コディントン形状係数Bで2次式であることが分かる。球面色収差の最小値を決定するために、Bの導関数を決定できる。
【数8】
この導関数は次のように解くことができる。
【数9】
その結果、次の解が得られる。
【数10】
【0146】
この解は、薄いレンズの球面色収差が最小である形状係数Bの値を表す。M=-15およびn=1.44(CaF2)を入力すると、B=-0.282が見つかる。これは、前面の曲率半径が後面の曲率半径よりも絶対的にわずかに大きい両凸面を備えた薄いレンズを表している。このBの値は、Bの値を決定するためのガイドとして使用して、実際の薄くないアプラナティック単レンズの球面色収差を最小限に抑えることができる。ただし、計算の近似、アプラナティック単レンズの潜在的な非球面性、およびアプラナティック単レンズの非ゼロの厚さのために、Bの値は、アプラナティック単レンズの球面収差を最小化する形状係数の近似にすぎない。
【0147】
さらなる実施形態は、以下の番号が付けられた項に開示されている。
1.基板上の構造の特性を決定するための計測ツールであって、
ある波長範囲にわたる放射を検出するための光学検出システムを備え、
前記光学検出システムは、
前記放射を検出器に集束させるためのアプラナティック単レンズを備え、
前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲内のアプラナティック波長を有する、 計測ツール。
2.前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差である、項1に記載の計測ツール。
3.前記複数の他のレンズ特性は、材料、厚さ、開口数、焦点距離、および倍率のうちの少なくとも2つを含む、項2に記載の計測ツール。
4.前記軸上曲率は、コディントン形状係数として表される、項2または3に記載の計測ツール。
5.前記球面色収差は、波面収差であり、球面色収差の二乗平均平方根(RMS)値を含む、項2から4のいずれかに記載の計測ツール。
6.前記アプラナティック単レンズの球面色収差は、波長に依存し、
前記波長範囲にわたって最も高い値を有する球面色収差が、アプラナティック単レンズの球面色収差を表すと見なされる、項2から5のいずれかに記載の計測ツール。
7.前記アプラナティック単レンズは、前記波長範囲に関してアプラナティック波長に対してアプラナティックであるように構成され、
前記アプラナティック波長は、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも短い波長の最高の球面色収差が、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも長い波長の最高の球面色収差の所定の範囲内に入る点で与えられる、項1から6のいずれかに記載の計測ツール。
8.前記最高の球面色収差は、0.05波長から26波長の間のRMS値を有している、項5に従属する場合の項7に記載の計測ツール。
9.前記所定の範囲は、0.02波長RMSである、項7または8に記載の計測ツール。
10.前記放射は、前記検出器が検出するように構成された広帯域波長範囲の複数の波長を含む、項1から9のいずれかに記載の計測ツール。
11.前記放射は、1nmから5nmの間の帯域幅を持つ波長範囲を含む、項1から10のいずれかに記載の計測ツール。
12.前記アプラナティック単レンズは、両非球面である、項1から11のいずれかに記載の計測ツール。
13.前記材料は、アッベ数が63より大きい低分散材料である、項3に従属する場合の項3から12のいずれかに記載の計測ツール。
14.前記低分散材料のアッベ数が90を超えている、項13に記載の計測ツール。
15.前記材料は、CaF2、BaF2、LiF、BaLiF3、SrF2、Lu3Al5O12、またはY3Al5O12のうちの1つである、項13に記載の計測ツール。
16.前記開口数は0.95未満、0.2を超え、任意選択で0.5である、項3に従属する場合の項3から15のいずれかに記載の計測ツール。
17.前記倍率は、10から100までの大きさである、項3に従属する場合の項3から16のいずれかに記載の計測ツール。
18.前記厚さの値は、1mmから10mmである、項3に従属する場合の項3から17のいずれかに記載の計測ツール。
19.前記主焦点距離の値は、1mmから20mmである、項3に従属する場合の項3から18のいずれかに記載の計測ツール。
20.広帯域波長範囲は、深紫外線放射から赤外線放射までの波長を含む、項1から19のいずれかに記載の計測ツール。
21.広帯域波長範囲は、200nmから2000nmの範囲を含む、項1から20のいずれかに記載の計測ツール。
22.前記アプラナティック単レンズは、使用時に反射防止コーティングを含まない、項1から21のいずれかに記載の計測ツール。
23.前記アプラナティック単レンズが対物レンズである、項1から22のいずれかに記載の計測ツール。
24.決定される特性がオーバーレイである、項1から23のいずれかに記載の計測ツール。
25.当該.計測ツールは、多波長計測センサである、項1から24のいずれかに記載の計測ツール。
26.ある波長範囲にわたる放射を受けるためのアプラナティック単レンズであって、
前記アプラナティック単レンズは、アプラナティック波長に対してアプラナティックであるように構成され、
前記アプラナティック単レンズは、
前記アプラナティック単レンズの球面色収差が最小球面色収差の20%以内である軸上曲率を有する前面および後面と、
複数の他のレンズ特性と、
を備え、
前記最小球面色収差は、同一の前記他のレンズ特性を有するすべてのアプラナティック単レンズに対して最小の球面色収差である、
アプラナティック単レンズ。
27.前記アプラナティック波長は、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも短い波長の最高の球面色収差が、広帯域波長範囲の前記アプラナティック波長よりも長い波長の最高の球面色収差の所定の範囲内に入る点で与えられる、項26に記載のアプラナティック単レンズ。
28.前記所定の範囲は、0.02波長RMSである、項26または27に記載のアプラナティック単レンズ。
29.最高の球面色収差は、0.05波長から26波長の間のRMS値を有している、項26から28のいずれかに記載のアプラナティック単レンズ。
30.項1から25のいずれかに記載の計測ツールを含むリソグラフィ装置。
31.ある波長範囲にわたって使用するように構成されたアプラナティック単レンズを設計する方法であって、
a)複数のレンズ特性を設定すること、
b)アプラナティック波長を設定すること、ここで前記アプラナティック波長は、前記波長範囲内にある、
c)前記複数のレンズ特性と前記アプラナティック波長に基づいて、アプラナティック単レンズの軸上曲率を選択すること、
d)前記軸上曲率、前記アプラナティック波長、および他の前記複数のレンズ特性に基づいて、前記波長範囲にわたるアプラナティック単レンズの球面色収差を決定すること、
e)前記球面色収差を所定の最小球面色収差値と比較すること、
を備え、前記球面色収差が前記所定の最小球面色収差値の20%の範囲外にある場合、ステップcで異なる軸上曲率を選択し、ステップdおよびeを繰り返す、方法。
32.球面色収差を決定することは、前記波長範囲にわたって球面色収差を決定することを含み、
前記球面色収差が前記波長範囲にわたってバランスが取れているかどうかを判断することと、
前記球面色収差が前記波長範囲にわたってバランスが取れていない場合は、異なるアプラナティック波長を設定することとをさらに備える、項31に記載の方法。
【0148】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特定の言及がなされ得るが、本明細書に記載されるリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることを理解するべきである。他の可能な用途には、統合光学システム、磁区メモリ、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのガイダンスと検出パターンの製造が含まれる。
【0149】
本明細書では、リソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0150】
上記では、光学リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用について具体的に言及してきたが、文脈が許せば、本発明は光学リソグラフィに限定されず、その他のアプリケーション、たとえばインプリントリソグラフィでも使用することができる。
【0151】
本発明の特定の実施形態が上記で説明されたが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。上記の説明は、限定ではなく例示を意図したものである。したがって、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に変更を加えることができることが当業者には明らかであろう。
【0152】
「計測装置/ツール/システム」または「検査装置/ツール/システム」に特に言及されているが、これらの用語は、同一または類似のタイプのツール、装置またはシステムを指す場合がある。 例えば、本発明の実施形態を含む検査または計測装置を使用して、基板またはウェハ上の構造の特性を決定することができる。例えば、本発明の実施形態を含む検査装置または計測装置を使用して、基板の欠陥または基板またはウェハ上の構造の欠陥を検出することができる。そのような実施形態では、基板上の構造の関心のある特性は、構造の欠陥、構造の特定の部分の欠如、または基板またはウェハ上の望ましくない構造の存在に関係し得る。