(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
G01N35/00 A
(21)【出願番号】P 2022074668
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2021071026の分割
【原出願日】2018-02-15
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2017042328
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】藪谷 千枝
(72)【発明者】
【氏名】山田 巧
(72)【発明者】
【氏名】飯島 昌彦
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108010(JP,A)
【文献】特開2006-053164(JP,A)
【文献】特開2004-028932(JP,A)
【文献】特開2008-070115(JP,A)
【文献】特開2010-249757(JP,A)
【文献】特開2011-117981(JP,A)
【文献】国際公開第2006/107016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試薬を用いてそれぞれが異なる種類の分析を行う少なくとも2つ以上の異なる測定ユニットと、前記測定ユニットを制御する制御部と、を備えた自動分析装置において、
当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれのコントロール測定に係る複数のコントロール測定項目の一覧を示すとともに、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達したコントロール測定項目についてはコントロール測定の実施を推奨するように強調表示が可能なコントロール測定画面を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれの使用要否を選択可能なユニット使用要否選択部において、当該2つ以上の測定ユニットのうちの少なくとも1つの測定ユニットの使用が選択されなかった場合には、
当該使用が選択されなかった測定ユニットのコントロール測定項目は、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達したコントロール測定項目であっても強調表示しないように前記表示部を制御
可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試薬を用いてそれぞれが異なる種類の分析を行う少なくとも2つ以上の異なる測定ユニットと、前記測定ユニットを制御する制御部と、を備えた自動分析装置において、
当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれのコントロール測定に係る複数のコントロール測定項目の一覧を示すとともに、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達したコントロール測定項目についてはコントロール測定の実施を推奨するように強調表示が可能なコントロール測定画面を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれの使用要否を選択可能なユニット使用要否選択部において、当該2つ以上の測定ユニットのうちの少なくとも1つの測定ユニットの使用が選択された場合には、
当該使用が選択された測定ユニットのコントロール測定項目についてのみ、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達したコントロール測定項目を強調表示するように前記表示部を制御
可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、使用が選択されなかった測定ユニットのコントロール測定項目について、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達した場合に強調表示するか否かをオペレーターの操作に応じて切り換え可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試薬を用いてそれぞれが異なる種類の分析を行う少なくとも2つ以上の異なる測定ユニットと、前記測定ユニットを制御する制御部と、を備えた自動分析装置において、
当該試薬ディスクに設置されている複数の試薬容器の位置を示すとともに、試薬の残量が予め定めた基準量に達した試薬容器については試薬交換の実施を推奨するように強調表示が可能な試薬ディスクオーバービュー画面を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれの使用要否を選択可能なユニット使用要否選択部において、当該2つ以上の測定ユニットのうちの少なくとも1つの測定ユニットの使用が選択されなかった場合には、
当該使用が選択されなかった測定ユニットでの分析に用いる試薬の試薬容器は、試薬の残量が予め定めた基準量に達した試薬容器であっても強調表示しないように前記表示部を制御
可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試薬を用いてそれぞれが異なる種類の分析を行う少なくとも2つ以上の異なる測定ユニットと、前記測定ユニットを制御する制御部と、を備えた自動分析装置において、
当該試薬ディスクに設置されている複数の試薬容器の位置を示すとともに、試薬の残量が予め定めた基準量に達した試薬容器については試薬交換の実施を推奨するように強調表示が可能な試薬ディスクオーバービュー画面を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれの使用要否を選択可能なユニット使用要否選択部において、当該2つ以上の測定ユニットのうちの少なくとも1つの測定ユニットの使用が選択された場合には、
当該使用が選択された測定ユニットでの分析に用いる試薬の試薬容器についてのみ、試薬の残量が予め定めた基準量に達した試薬容器を強調表示するように前記表示部を制御
可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、使用が選択されなかった測定ユニットでの分析に用いる試薬の試薬容器について、試薬の残量が予め定めた基準量に達した場合に強調表示するか否かをオペレーターの操作に応じて切り換え可能であることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などのサンプルに含まれる成分量を分析する自動分析装置であって、特に生化学分析項目と血液凝固時間項目を測定可能な自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者から採取した血液や尿等の検体を扱う検体検査は生化学検査・免疫検査・血液凝固検査など複数の検査分野に分類され、これら複数の検査結果を総合して診断や治療効果の確認を行う。
【0003】
例えば、血液や尿などの成分を分析する検査としては、試薬とサンプルを反応させ、糖、脂質、蛋白、酵素などの成分を測定する生化学検査と細菌やウィルスが体内に入った時に作られる抗体やホルモン、腫瘍マーカーなどを抗原抗体反応により測定する免疫検査が知られている。生化学検査は、サンプルと試薬を混合し、化学反応による色の変化を透過光により測定する生化学自動分析装置を用いて測定し、免疫検査は、サンプルに含まれる抗原に発光体を結合させた抗体を添加して抗原抗体反応を起こさせ、結合しなかった抗体を洗浄した後、結合した抗体による発光量を測定する免疫検査装置で測定するのが一般的である。しかし、近年は測定機器や測定試薬の発達により、生化学自動分析装置でも免疫比濁法やラテックス凝集法などの測定方法を透過光または散乱光により感度良く測定できるようになり、一部の腫瘍マーカーやホルモンなどが測定可能になったことで、従来は別々の装置を必要としていた検査項目に関しても単独の装置で対応できる場合があり、両者の差が小さくなってきている。
【0004】
また、血液凝固検査には、ATIIIなどの血液凝固反応の制御因子、PICなど線溶の段階で働く酵素、DダイマーやFDPなど線溶反応による副産物などを、吸光度の変化により測定する検査と、検体中に含まれる血液凝固因子を活性化させて血液凝固反応を進行させ、析出したフィブリンを測定するPT、APTT、フィブリノーゲンなどの止血機能の検査であって、血液凝固時間を測定する検査(以下、単に止血機能検査、血液凝固時間測定等ということがある)がある。近年では、これらの血液凝固検査項目を網羅できるように吸光度測定と血液凝固時間測定の両方に対応した血液凝固検査装置も登場している。
【0005】
特許文献1には、生化学検査、免疫検査、止血機能検査等、測定原理の異なる複数の測定ユニットを1台に集約した装置に関し、試薬供給ユニットや試薬搬送手段等の、装置内の部品の一部を共用化することで省スペース化することについて説明されている。
【0006】
また、特許文献2には、搬送ラインを介して複数の分析ユニットが接続された自動分析システムにおいて、オペレーションに必要な操作をそのときの装置の状況を反映して画面に表示するとともに、準備動作の必要な分析ユニットを色分け等により区別して表示することで、装置の操作に不慣れなオペレーターであっても、準備動作の必要な分析ユニットに対して間違いなく準備動作を実行できる技術について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2006/107016号
【文献】特開2004-28932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
測定項目の異なる複数種類の分析を単独の装置やシステムによって測定する場合には、個々の装置や測定ユニットにおいて、種々のメンテナンス、試薬・消耗品の交換、キャリブレーション、精度管理などの様々な準備が必要となるため、煩雑で長時間を要する作業が発生する。特に、1台に複数の機能を集約した装置では、夜間に装置に不慣れなオペレーターが使用する場面も多く、これらの準備を実施する際には、作業の簡素化が求められる。例えば、何らかの理由によって、個々の測定ユニットのうちのいずれかが使用できないような場合には、無駄な作業を極力発生させないようにする必要がある。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1、2のいずれにおいても、いずれかの測定ユニットを使用できない状況下における作業の効率化については何ら考慮されていない。そのため、特許文献1のように、試薬や検体を1つのシステムで共通に管理し、分析項目に応じて、複数の異なる分析ユニットのそれぞれに振り分けている分析装置において、特許文献2のように準備動作の必要な分析ユニットを色分け等により区別して表示した場合、何らかの理由によっていずれかの分析ユニットを使用しない場合であっても、このような事情が反映されていないので、不要な試薬の準備等を促し、結果的に無駄な作業を発生させてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための一態様として、試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試薬を用いてそれぞれが異なる種類の分析を行う少なくとも2つ以上の異なる測定ユニットと、前記測定ユニットを制御する制御部と、を備えた自動分析装置において、当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれのコントロール測定に係る複数のコントロール測定項目の一覧を示すとともに、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達したコントロール測定項目についてはコントロール測定の実施を推奨するように強調表示が可能なコントロール測定画面を表示する表示部を備え、前記制御部は、当該2つ以上の測定ユニットのそれぞれの使用要否を選択可能なユニット使用要否選択部において、当該2つ以上の測定ユニットのうちの少なくとも1つの測定ユニットの使用が選択されなかった場合には、当該使用が選択されなかった測定ユニットのコントロール測定項目は、前回の実施から経過した時間が予め定めた基準期間に達したコントロール測定項目であっても強調表示しないように前記表示部を制御する自動分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
上記一態様によれば、各々が複数の機能を担う複数の分析ユニットを備える複合型の自動分析装置において、分析ユニット毎に使用の要否を選択し、使用しない分析ユニットに関しては試薬の準備を推奨しないように表示に反映することでオペレーターに情報を提供しているため、不要な試薬の準備を発生させないことにより、試薬を不用意に開封することがなくなり、蒸発やpHの変化による試薬の劣化を防ぐことができる。
【0012】
また、キャリブレーションやコントロールの測定、メンテナンスにおいても、不要な実施を防いで測定を実施するのに適したタイミングで実施することで、より適切な条件下で分析することができ、高精度で信頼性の高い分析結果を得ることに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態に係る複合型の自動分析装置の基本構成を示す図。
【
図2(a)】本実施の形態に係る自動分析装置のシステムオーバービュー画面の一例を示す図。
【
図2(b)】本実施の形態に係る自動分析装置のシステムオーバービュー画面の一例を示す図。
【
図2(c)】本実施の形態に係る自動分析装置のシステムオーバービュー画面の一例を示す図。
【
図3(a)】本実施の形態に係る自動分析装置のメンテナンス画面の一例を示す図。
【
図3(b)】本実施の形態に係る自動分析装置のメンテナンス画面の一例を示す図。
【
図4】本実施の形態に係る自動分析装置のユニットマスク時の表示設定画面の一例を示す図。
【
図5】本実施の形態に係る自動分析装置のメンテナンス周期の設定画面の一例を示す図。
【
図6(a)】本実施の形態に係る自動分析装置の試薬ディスクオーバービュー画面の一例を示す図。
【
図6(b)】本実施の形態に係る自動分析装置の試薬ディスクオーバービュー画面の一例を示す図。
【
図7】本実施の形態に係る自動分析装置の試薬交換印字情報画面の一例を示す図。
【
図8】本実施の形態に係る自動分析装置のキャリブ・QC画面の一例を示す図。
【
図9】本実施の形態に係る自動分析装置のキャリブレーションの推奨画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、全体を通して、各図における同一の機能を有する各構成部分については原則として同一の符号を付すようにし、説明を省略することがある。
【0015】
〈装置の全体構成〉
図1は、本実施の形態に係る複合型自動分析装置の基本構成を示す。ここでは、自動分析装置の一態様として、生化学分析と、血液凝固分析(血液凝固線溶マーカー、血液凝固時間測定)を行う複合型の自動分析装置の例について説明する。本例において、自動分析装置は、生化学分析・血液凝固線溶マーカー分析を行う吸光光度計、散乱光度計、血液凝固時間測定を行う散乱光度計、電解質分析を行うISEユニットを備えている。
【0016】
より具体的には、本図に示すように、自動分析装置1は、主として、反応ディスク10、サンプルディスク20、第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2、吸光光度計40、散乱光度計45、血液凝固時間測定ユニット50、ISEユニット60、およびコンピューター70等から構成されている。
【0017】
反応容器保持部である反応ディスク10は、左右方向に間欠回転可能なディスク状のユニットであり、反応ディスク10上には透光性材料からなる多数の反応セル11を周方向に沿って複数個配置できる。反応セル11は、恒温槽12により所定温度(例えば37℃)に維持されている。
【0018】
検体容器保持部であるサンプルディスク20上には、血液、尿等の生体サンプルを収容する多数の検体容器21を、本図に示す構成の例では内側、外側の二つの円に対し、それぞれ周方向に沿って配置できる。
【0019】
サンプルディスク20の近傍には、サンプル分注機構22が配置されている。サンプル分注機構22は、サンプルディスク20上の分注(吸引)位置に位置する検体容器21から所定量のサンプルを吸引し、そのサンプルを反応ディスク10上の分注(吐出)位置10aにある反応セル11内に吐出する。
【0020】
試薬容器保持部である、第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2には、試薬識別情報を表示したラベルが貼られた複数の第1試薬ボトル31-1、第2試薬ボトル31-2が、第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2の周方向に沿ってそれぞれ配置される。試薬識別情報にはバーコードやRFIDなどがあるが、ここでは一例としてバーコードを用いる場合について説明する。これらの第1試薬ボトル31-1、第2試薬ボトル31-2には、自動分析装置1により分析される分析項目に対応する試薬液が収容されている。
【0021】
第1試薬バーコード読み取り装置32-1、第2試薬バーコード読み取り装置32-2は、試薬登録時に第1試薬ボトル31-1、第2試薬ボトル31-2の外壁に付されている試薬バーコードを読み取る。読み取られた試薬情報は、第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2上のポジションの情報とともにメモリー77に登録される。また、第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2の近傍には、第1試薬分注機構33-1、第2試薬分注機構33-2がそれぞれ配置されている。試薬分注時には、これらが備えるピペットノズルにより、第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2上のそれぞれの分注(吸引)位置30-1a、30-2aに位置する、検査項目に応じた第1試薬ボトル31-1、第2試薬ボトル31-2から試薬を吸入し、反応ディスク10上の分注(吐出)位置10b、10cにそれぞれ位置する該当する反応セル11内へ吐出する。反応ディスク10は恒温槽12に格納されており、約37℃の一定温度に保たれている。
【0022】
ここで、吸光光度計40は反応ディスク10の外周側に配置されている。反応ディスク10の内周側の中心部付近に配置された光源41(吸光光度計用)から照射された光が、反応セル11を通って吸光光度計40で測定されることによって測定される。このように、反応ディスク10を間に介して対向するように配置される吸光光度計40と光源41(吸光光度計用)とから構成される測定部を、第1の測定部とする。
【0023】
また、散乱光度計45も反応ディスク10の外周側に配置されている。反応ディスク10の内周側の中心部付近に配置された光源46(散乱光度計用)から照射された光が、反応セル11を介して散乱し散乱光度計45で測定されることによって測定される。このように、反応ディスク10を間に介して対向するように配置される散乱光度計45と光源46(散乱光度計用)とから構成される測定部を、第2の測定部とする。
【0024】
サンプルと試薬との混合液である反応液を収容した各反応セル11は、反応ディスク10の回転動作中に吸光光度計40、散乱光度計45の前を横切る度に測光される。サンプル毎に測定された透過光、散乱光のアナログ信号は、A/D(アナログ/デジタル)変換器72、73に入力される。使用済みの反応セル11は、反応ディスク10の近傍に配置された反応セル洗浄機構34により、内部が洗浄されて繰り返しの使用を可能にする。
【0025】
次に、
図1の自動分析装置1における制御系及び信号処理系について簡単に説明する。コンピューター70は、インターフェイス71を介して、A/D変換器72~75や制御用コンピューター76に接続されている。コンピューター70は、各機構の制御用コンピューター76に対して指令となる信号を送信し、サンプル分注機構22や試薬分注機構試薬33-1、33-2等の各機構動作を制御する。A/D変換器72~75によってデジタル信号に変換された測光値は、コンピューター70に取り込まれる。
【0026】
またインターフェイス71には、記憶装置であるメモリー77が接続されており、試薬識別情報、検体識別情報、分析パラメータ、分析項目依頼内容、キャリブレーション結果、分析結果等の情報が記憶される。
【0027】
なお、本図において制御用コンピューター76は各々の構成部に接続され、自動分析装置の全体を制御するものとして記載しているが、構成部毎に各々独立して制御できる制御部を備えた構成とすることもできる。
【0028】
次に、
図1の自動分析装置1の吸光光度計40で測定する項目を第1の測定項目、散乱光度計45で測定する項目を第2の測定項目として、第1および第2の測定項目を分析する際の分析動作について説明する。自動分析装置1によって分析可能な項目に関する分析パラメータは、予めオペレーターにより操作画面68を介して入力され、メモリー67に記憶されている。各サンプルに対して依頼、指示された検査項目を分析するために、サンプル分注機構22は、分析パラメータに従って、分注位置10aにて検体容器21から反応セル11へ所定量のサンプルを分注する。
【0029】
サンプルが分注された反応セル11は、反応ディスク10の回転によって移送され、分注(試薬受け入れ)位置10bまたは10cにて停止する。第1試薬分注機構33-1、第2試薬分注機構33-2は、該当する検査項目の分析パラメータにしたがって、反応セル11に所定量の試薬液を分注する。ここで、サンプルと試薬の分注順序は、上述した例とは逆に、サンプルより試薬が先であってもよい。
【0030】
この反応セル11が測光位置を横切る際、吸光光度計40、散乱光度計45により測光され、A/D変換器(吸光光度計用)72、及び、A/D変換器(光散乱光度計用)73によって、光強度の変化によって得られる電圧変化がデジタル変換される。その後、変換されたデータはインターフェイス71を経由して、コンピューター70に取り込まれる。このようなターンテーブル方式の反応ディスク10を用いた構成によれば、ディスクの回転動作によって連続して検体を分注することができるため、高い処理能力を得ることができる。
【0031】
次に、コンピューター70では、上述の通り信号値に変換された数値のデータと、検査項目毎に指定された分析法によって予め測定、記憶されている検量線のデータと、に基づき、濃度データを算出し、操作画面78に出力する。
【0032】
なお、上述した濃度データの算出は、コンピューター70に代えて、制御用コンピューター76において行うことも可能である。
【0033】
続いて、
図1の自動分析装置1の凝固時間ユニットで測定する項目を第3の測定項目として、第3の測定項目を分析する際の分析動作について説明する。ここで、凝固時間検出部50から構成される測定部を、第3の測定部とする。反応容器収容部53に収容された反応容器(ディスポーザブル反応容器)52は、反応容器移送機構55によりサンプル分注ステーション54に移送される。サンプル分注機構22は、検体容器21からサンプルを吸引し、上述の通りサンプル分注ステーション54に移送されたディスポーザブル反応容器52に分注する。
【0034】
次に、サンプルが分注された反応容器(ディスポーザブル反応容器)52は、反応容器移送機構55によって凝固時間検出部50へ運ばれ、37℃へ昇温される。一方、第1試薬ディスク30-1にて保冷された試薬は、第1試薬分注機構33-1により、検査項目に応じた第1試薬ボトル32-1から吸入され、反応ディスク10上に設置された該当する空の反応セル11内へ吐出され、約37℃に昇温される。なお、ここでは一例として、第1試薬ディスク30-1に配置された第1試薬ボトル32-1内の試薬を分析に用いる場合について説明したが、分析の条件によっては、第2試薬ディスク30-2に配置された第2試薬ボトル32-2内の試薬を第3の測定項目に使用することもできる。
【0035】
一定時間経過後、上述の通り昇温された反応セル11内に収容される試薬は、試薬昇温機能付き試薬分注機構56によって吸引されたのち、この機構内にてさらに昇温(例えば40℃)される。ここで、上述の通り37℃に昇温された、サンプルを収容する反応容器(ディスポーザブル反応容器)52は、反応容器移送機構55によって後述する凝固時間検出部50内の測定チャンネル51に移送される。その後、試薬昇温機能付き試薬分注機構56は、昇温された試薬を反応容器(ディスポーザブル反応容器)52に吐出する。この試薬の吐出により、反応容器(ディスポーザブル反応容器)52内にてサンプルと試薬との血液凝固反応が開始する。
【0036】
第3の測定部である凝固時間検出部50は、各々が図示しない光源と受光部から構成された測定チャンネル51を複数備えており、上述のようにして試薬が吐出された後、受光部は所定の短い測定時間間隔(例えば0.1秒)ごとに透過光または散乱光に基づく測定データを収集する。収集された測定データは、A/D変換器(凝固時間ユニット用)74により、光強度の変化によって得られる電圧変化をデジタル変換し、インターフェイス71を経由して、コンピューター70に取り込まれる。コンピューター70は、このように変換された数値のデータを用いて、血液凝固時間を求める。その後、求めた血液凝固時間と、検査項目によって予め作成、記憶しておいた検量線のデータと、に基づき、目的の検査項目の濃度データを求め、コンピューター70の操作画面78に出力される。また、使用済の反応容器(ディスポーザブル反応容器)52は、反応容器移送機構55によって移送され、反応容器廃棄部57に廃棄される。ここで、上述した血液凝固時間、濃度データは、制御用コンピューター76により算出することもできる。
【0037】
続いて、
図1の自動分析装置1のISEユニット60で測定する項目を第4の測定項目として、第4の測定項目を分析する際の分析動作について説明する。ここで、ISEユニット60から構成される測定部を、第4の測定部とする。サンプル分注機構22は、ISE希釈槽61に所定量のサンプルを分注する。ISE希釈槽61には希釈液が分注されたあと、内部標準液試薬とともにNa電極62、K電極63、C1電極64、および比較電極65を通過する時に測定され、A/D変換器(ISEユニット用)75にて変換され、比較電極65に対する起電力として記録される。
【0038】
ここで、自動分析装置1の制御用コンピューター76では、吸光光度計40、光散乱光度計45、凝固時間検出部50、ISEユニット60に対し、各々のユニットごとに温度制御基板やモーターコントローラーを個別に制御することを特徴とする。また、測定データにおいてもそれぞれ異なるA/D変換器72~75と接続され、独立に制御することを特徴とする。すなわち、いずれかの機構を使用しない場合、特定のユニットを使用しない設定を選択することによって、必要なユニットだけを動作させることができる。
【0039】
次に自動分析装置1を用いて検査を実施する際の測定の流れを説明する。オペレーターは、装置の電源投入後、その日の分析実施に必要な準備を実施する。この準備に際し、オペレーターは操作画面78に表示されるシステムオーバービュー画面を参照して操作を進める。
【実施例1】
【0040】
図2は、本実施の形態に係る自動分析装置のシステムオーバービュー画面の一例を示す図であって、
図1における自動分析装置の操作画面78に表示される画面である。
【0041】
システムオーバービュー画面は、主としてワークフロー表示領域201と、オーバービュー表示領域202と、から構成される。
【0042】
ワークフロー表示領域201は、検査を実施するために必要な測定前の準備から測定後の結果の収集までを含めた一連の必要な操作のフローを示す領域である。主に、メンテナンスボタン203、測定結果の保存と削除ボタン204、試薬・消耗品準備ボタン205、キャリブ・QCボタン206、サンプルディスクモニターボタン207、QC結果の蓄積ボタン208が配置され、オペレーターはこのボタンの順に従って操作を行う。なお、ここでQCとはQualityControlのことを示し、コントロール試料の測定を実施することで、キャリブレーション後に結果を確認して問題がないかを判定したり、定期的に装置の状態や試薬の状態に問題がないかを確認したりするために使用する。
【0043】
図2に示すように、
図1における操作画面78にはメモリー77に記憶されているメンテナンス実施状況や現在搭載されている試薬の残量、キャリブレーション・コントロール試料の測定の実施状況などの情報をワークフロー表示領域201に反映する。ここで、操作画面78では、メンテナンスの周期やキャリブレーション・コントロール試料の測定における有効期限試薬・消耗品の準備レベルをあらかじめ設定可能であり、設定値に達した場合(すなわち、例えば有効期限が設定値よりも近付いている場合や、消耗品の準備レベルが設定値よりも低くなった場合)にはメンテナンスボタン203や試薬・消耗品準備ボタン205、キャリブ・QCボタン206の状態を変化させ、色やマーク等で区別することによってオペレーターに準備の必要性を通知する。
【0044】
オーバービュー表示領域202は、ユニット使用要否選択エリア209と使用状況表示エリア210から成る。ユニット使用要否選択エリア209では、使用するユニットに対応するチェックボックスにチェックを入れることによって、該当するユニットを使用可能に設定する。
図2(a)は、すべてのユニットのチェックボックスが有効(レ)となっており、すべてのユニットが使用可能な状態を示している。
図2(b)では、ISEユニットにチェックマークが入っておらず、凝固時間ユニット、吸光光度計、光散乱光度計にはチェックが入っている。これは、ISEユニットのみを使用しない設定(ISEユニット以外の全てのユニットを使用する)を選択したことを示している。このように、特定のユニットを使用しない設定を選択することをユニットマスクと呼ぶ。ユニットマスクにより、使用状況表示エリア210では、ISEユニットには使用不可のマークを付記している。同様に、
図2(c)では、ユニット使用要否選択エリア209において凝固時間ユニットにチェックマークが入っておらず、ISEユニット、吸光光度計、光散乱光度計にはチェックが入っている。すなわち、凝固時間ユニットをマスクした状態であり、この状態では、使用状況表示エリア210では、凝固時間ユニットの使用不可を示すマークを付記する、色分けするなどの方法によって容易に認識できる。
【0045】
続いて、ワークフロー表示領域201における、各ボタンの機能や表示色について
図3から
図8を用いて説明する。
【0046】
〈メンテナンスボタン〉
メンテナンスボタン203は、あらかじめ設定された各メンテナンス項目の期限情報と、前回のメンテナンス実施からの経過時間とを管理し、これらの情報に基づいて、メンテナンスの実施を促すように、メンテナンスボタンを黄色(注意レベル)または赤色(警告レベル)に表示する。
図3は、本実施の形態に係る自動分析装置のメンテナンス画面の一例を示す。
図3(a)では、すべてのメンテナンスを表示するモード301が設定されている。この時、ISEに関するメンテナンスであるISEプライムは前回の実施から時間が経過し、メンテナンスが必要な状態である。この場合、メンテナンスリストではNo.7のISEプライムの項目が着色されて、ユーザーにメンテナンスの実施を推奨する。このとき、例えば、
図2(b)にて上述したようにISEユニットをマスクしている状態では、ISEユニットは使用しないため、本ユニットに係わるメンテナンスを実施する必要がない。すなわち、このような状態であるにもかかわらず、
図2(b)のメンテナンスボタン203を着色してメンテナンスの実行を推奨してしまうと、オペレーターにとって不必要な準備等の作業が発生することになる。そこで、
図3(b)のように、マスクしたユニットで実施するメンテナンスの推奨を表示しないモード302を選択することによって、ユーザーが不必要なメンテナンスを実施することがないよう、メンテナンスリストのNo.7のISEプライムの項目を着色せずに、推奨を解除する。このとき、
図2(b)のワークフロー表示領域201においても、メンテナンスボタン203は、ISEプライムの項目に起因して着色されることはない。
図3(a)、(b)では、ラジオボタンによって選択した例を示しているが、タブによる切り替えや、プルタブによる選択など、その他の選択方法についても適用可能である。ここで、
図4は、本実施の形態に係る自動分析装置のユニットマスク時の表示設定画面の一例を示す。本図に示すように、
図3のメンテナンス画面とは別の画面にて、マスクしたユニットに関するメンテナンスやキャリブレーション、QC等の情報の表示の要否を設定しておくこともできる。
図4では、各項目についてそれぞれ表示の要否を設定する画面の一例を示しているが、全ての項目について統一した表示形式を一括で選択するように設定する画面とすることもできる。
【0047】
図5は、本実施の形態に係る自動分析装置におけるメンテナンス周期の設定画面の一例を示す。メンテナンス周期の設定画面は、主としてメンテナンスリスト501、メンテナンス名選択エリア502、周期入力エリア503、注意レベル設定エリア504から構成される。オペレーターは、メンテナンス毎に適した実施の周期を設定する。
【0048】
例えば、
図5における反応セル交換周期について、予め1カ月に一度とし、設定日数の80%を経過した時点で注意レベルを色等で表示するように設定している。期限設定後、登録ボタン505を押すと設定が登録され、取消ボタン506を押すと登録された設定内容が取り消される。すなわち、この場合では、設定日数の80%を経過した時点である、反応セル交換後24日を経過した時、および、設定日数に到達した時点である、1カ月を経過した時に、
図2におけるメンテナンスボタン203の表示色がそれぞれ黄色、赤色等に変化する。期限を設定したいメンテナンス項目は、
図5に示すメンテナンスリスト501から選択することができ、選択されたメンテナンス項目に関して、メンテナンス名選択エリア502に有効期限を日、週、または月単位で設定することができる。そして、設定した周期に対する注意レベルを、経過期間の注意レベル設定値欄504において、例えばパーセンテージ(%)等で設定することができる。
【0049】
〈試薬・消耗品準備ボタン〉
図2における試薬・消耗品準備ボタン205で、現在装置上に設置されている試薬・消耗品のデータベースに基づき、現在残量が0の分析項目が存在する場合には、試薬・消耗品準備ボタンを色またはマークで識別して表示する。同様にしてあらかじめ設定された注意レベルに対し、現在の残量が注意レベルの残量よりも少ない分析項目が存在する場合には、試薬・消耗品準備ボタン205を警告表示とは異なる色または異なるマークで識別して表示する。通常、測定依頼件数は項目毎に異なるため、試薬注意レベルは測定項目毎に個別に設定できることが望ましい。
【0050】
ここで、
図6は本実施の形態に係る自動分析装置の試薬ディスクオーバービュー画面の一例を示す。
図6(a)は、全ての試薬情報を表示するように設定された画面、
図6(b)は、マスクされたユニットに関する試薬情報は表示しないように設定された画面を示す。試薬ディスクオーバービュー画面は、分析用試薬情報表示部601-1および601-2、洗剤情報表示部602、表示切り替えエリア603、試薬交換情報印字ボタン604とから構成される。
【0051】
分析用試薬情報表示部601は自動分析装置1における第1試薬ディスク30-1、第2試薬ディスク30-2を模式的に示した図であり、試薬ディスク内に搭載された残量を容易に判別できるように、例えば試薬ボトル内の残量が0の場合には赤色、あらかじめ設定された注意レベル以下であれば黄色といったような表示色や、模様のパターン等で区別している。洗剤情報表示部602は、システムで使用する洗剤を示し、分析用試薬情報表示部601と同様に、残量が0であれば赤色、残量が設定値以下であれば黄色というような表示色や、模様のパターン等によって状態を判別している。
【0052】
ここで、601-1、602-2のポジション10から12には凝固時間ユニットで使用する試薬が設置されているものとする。この場合、
図6(a)のように、表示切り替えエリア603にて全ての試薬情報を表示するように設定されていれば、試薬ディスクに搭載された試薬情報の全てを表示する。しかし、
図2(c)にて上述したように、凝固時間ユニットがマスクされている場合には、601-1、602-2のポジション10から12の試薬は分析には必要ないため、準備する必要がない。
【0053】
従来のように、試薬ディスク内に設置されている試薬を一括で管理すると、
図2(c)のように凝固時間ユニットがマスクされている場合でもすべての試薬の情報が表示されてしまい、ユーザーに不要な準備を推奨してしまっていた。これに対し、本実施の形態では、項目毎に測定するユニットの情報を反映させた表示とすることで、試薬情報と測定ユニットを結び付けて管理することができる。ここで、試薬情報と測定するユニットの情報を結び付けるための方法には、項目コードを測定ユニットごとに結び付ける(項目コードは試薬情報に結びついている)、操作画面の分析パラメータ画面で項目毎に測定ユニットを指定する、試薬バーコードに記載する等の方法がある。
【0054】
測定ユニットと関連付けられた試薬は、対象の測定ユニットが使用可能であれば、試薬交換の推奨を行う。一方で、特定の測定ユニットが使用不可の場合(マスクされた場合)、マスクされた測定ユニットに係る試薬交換の実施は推奨しないように構成されている。例えば、
図6(b)では、表示切り替えエリア603において、マスクするユニットで使用する試薬については表示しないように設定しているため、凝固時間ユニットで測定する試薬の情報を表示しない。
【0055】
この場合、
図2(c)における試薬・消耗品準備ボタン205も、赤色に着色される等により識別表示されることがないので、オペレーターは不必要な準備作業を実施するおそれがなくなり、必要な準備作業だけを間違いなく実施することが出来る。
【0056】
図7は、本実施の形態に係る自動分析装置の試薬交換情報印字画面の一例を示す図である。本図に示すように、試薬交換情報を印字する際にも、マスクされているユニットで使用する試薬の印刷要否を選択することができる。なお、本実施の形態において、試薬交換情報の印字画面は、
図6に示す試薬交換情報印字ボタン606をクリックすることにより表示することができる構成としているが、これに限られるものではない。
【0057】
〈キャリブ・QCボタン〉
図8は、本実施の形態に係る自動分析装置のキャリブ・QC画面の一例を示す図である。
図2に示したキャリブ・QCボタン206は、キャリブレーションの実施状況、コントロールの測定状況を示すボタンであり、キャリブ・QCボタン206をクリックすることで、本図に示す画面を表示する。
【0058】
キャリブレーションに関して、現在装置上に設置されている試薬情報のデータベースに基づき、装置上に設置されている試薬の中に、キャリブレーションが未実施の場合や、キャリブレーションの有効期限が切れている場合、あるいは、コントロールの測定が失敗している場合等では、キャリブレーションの実施またはコントロールの再測定が必要となるため、
図2において、キャリブ・QCボタンを色等で識別表示することでキャリブレーションの実施やコントロールの再測定をオペレーターに推奨することができる。キャリブレーションが推奨されている場合は、キャリブ・QCボタン206をクリックすることで、
図8の画面に進むと、推奨項目一括依頼ボタン801が例えば黄色に着色される等識別表示されている。オペレーターは、ここで推奨項目一括依頼ボタン801をクリックすることにより、キャリブレーションの推奨がある項目について簡便に実行を依頼することができる。
【0059】
同様に、コントロール測定に関しても、現在装置上に設置されている試薬情報のデータベースに基づき、装置上に設置されている試薬の中に、コントロールの有効期限が切れている場合などにコントロールの測定を推奨する機能を持つ。この場合も、コントロールの測定が推奨されている場合には、
図2において、キャリブ・QCボタンを色等で識別表示する。QCが推奨されている場合は、キャリブ・QCボタン206をクリックすることで、
図8の画面に進むと、推奨項目一括依頼ボタン802が例えば黄色に着色される等識別表示されている。オペレーターは、ここで推奨項目一括依頼ボタン802をクリックすることにより、コントロール測定の推奨がある項目について簡便に実行を依頼することができる。
【0060】
ここで、上述したように、
図2のシステムオーバービュー画面においてキャリブ・QCボタン206を色等で識別表示することで、オペレーターはキャリブレーションや、コントロールの測定が推奨されていることを容易に認識することができる。
【0061】
しかし、例えば
図2(c)に示すように凝固時間ユニットがマスクされている場合には、凝固時間項目に対するキャリブレーションやコントロールの測定を実施する必要がない。この時に一括依頼をしてしまうと、凝固時間項目の試薬が無駄に消費されてしまうため、マスクされているユニットで測定する項目のキャリブレーションとコントロールを推奨しないように設定することができる。
【0062】
図9は、本実施の形態に係る自動分析装置のキャリブレーションの推奨画面の一例を示す。試薬交換時やコントロールの測定に失敗した場合には推奨要因901欄において項目毎に表示色を変色させることでユーザーにキャリブレーションの推奨を表示する。しかし、
図2(c)で凝固時間ユニットがマスクされている場合には、凝固時間項目(本図においては項目名PT)のキャリブレーションは実施の必要がないため、推奨要因があった場合でも表示色の変色は行わない。例えば、
図8におけるキャリブレーションの推奨項目一括依頼ボタン801等を選択することにより本画面に遷移するように構成することができる。
【0063】
ここで、上述した実施の形態では、オーバービュー表示領域202における、ユニット使用要否選択エリア209にて選択した、あるいは選択しなかった測定ユニットに関する情報を、ワークフロー表示領域201における表示や、ワークフロー表示領域201の各ボタンから移行される画面への表示に対応させる例について示したが、ユーザーが項目毎に個別にマスクを実施した場合でも、使用しない項目の試薬情報、キャリブレーションやコントロール測定の推奨を行わないような構成とすることもできる。また、上述した形態では、メンテナンス画面(
図3)、ユニットマスク時の表示設定画面(
図4)、試薬ディスクオーバービュー画面(
図6)、キャリブレーションの推奨画面(
図9)等の画面でユニットマスク時の表示設定を反映するか否かを選択する形態としたが、ユニットマスク時の表示設定を選択することなくユニットマスク画面の表示設定を反映する(ユニットマスクの設定にかかわらず全情報を表示するモードを有さない)ように構成することもできる。
【0064】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えたものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…自動分析装置、10…反応ディスク、10a、10b、10c…分注(吐出)位置、11…反応セル、12…恒温槽、20…サンプルディスク(検体ディスク)、20a…分注(吸引)位置、21…検体容器、22…サンプル分注機構、23…サンプルバーコード読み取り装置(サンプルバーコードリーダー)、24…検体識別子、30…試薬ディスク、30-1…第1試薬ディスク、30-2…第2試薬ディスク、30-1a、30-2a…分注(吸引)位置、31…試薬ボトル、31-1…第1試薬ボトル、31-2…第2試薬ボトル、32…試薬バーコード読み取り装置(試薬バーコードリーダー)、32-1…第1試薬バーコード読み取り装置、32-2…第2試薬バーコード読み取り装置、33…試薬分注機構、34…反応セル洗浄機構、40…吸光光度計、41…光源(吸光光度計用)、45…散乱光度計、46…光源(散乱光度計用)、50…凝固時間検出部、51…測定チャンネル、52…反応容器(ディスポーザブル反応容器)、53…反応容器収納部
54…サンプル分注ステーション、55…反応容器移送機構、56…昇温機能付き試薬分注機構、57…反応容器廃棄部、60…ISEユニット、61…ISE希釈槽、62…Na電極、63…K電極、64…C1電極、65…比較電極、70…コンピューター、71…インターフェイス、72…A/D変換器(吸光光度計用)、73…A/D変換器(光散乱光度計用)、74…A/D変換器(凝固時間ユニット用)、75…A/D変換器(ISEユニット用)、76…制御用コンピューター、77…メモリー、78…操作画面、79…キーボード