(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】映像表示装置および車両
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20230720BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20230720BHJP
G03B 21/62 20140101ALI20230720BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
H04N5/64 501D
B60P3/00 C
G03B21/62
G09F9/00 362
G09F9/00 359
(21)【出願番号】P 2020021290
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】393007053
【氏名又は名称】株式会社スピン
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲土▼屋 竜一
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴至
(72)【発明者】
【氏名】戸田 秀由
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰治
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 馨亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 智一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 努
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083551(JP,A)
【文献】特表2007-531034(JP,A)
【文献】特開2003-255876(JP,A)
【文献】実開昭61-101737(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
B60P 3/00
G03B 21/62
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両架装物であって、
ハーフミラー性能を有するフィルム状のスクリーンと、
前記スクリーンに投影される映像を表示する表示体と、
前記スクリーンを当該スクリーンの前後方向に傾斜した状態で保持する支持構造体と、
前記支持構造体を前記前後方向に移動させる第1移動機構と、
前記表示体を上下方向に移動させる第2移動機構とを備え、
前記第1移動機構によって、前記支持構造体が荷台内の収納位置から前記荷台の外側の外側位置に移動され、その後、前記第2移動機構によって、前記表示体が待機位置から再生位置へ移動され、
前記表示体に表示された前記映像の虚像が前記スクリーンよりも前記荷台側の空間に生成されるようにした
映像表示装置。
【請求項2】
前記支持構造体は、
前記スクリーンが係合される上側案内部および下側案内部と、
前記スクリーンに対して張力を付与する張力機構とを備え、
前記スクリーンにおいて、前記上側案内部と前記下側案内部との間が前記映像が投影される投影領域であり、
前記張力機構は、前記スクリーンの上端部を保持する上側スクリーン保持部であって、前記上側案内部に対して後方に位置される前記上側スクリーン保持部と、
前記スクリーンの下端部を保持する下側スクリーン保持部であって、前記下側案内部に対して後方に位置される前記下側スクリーン保持部と、
前記スクリーンに対して張力を付与するように前記上側スクリーン保持部を引っ張る上側駆動部および前記下側スクリーン保持部を引っ張る下側駆動部とを備え、
前記上側駆動部が前記上側スクリーン保持部を後方に引っ張るとともに、前記下側駆動部が前記下側スクリーン保持部を後方に引っ張ることによって、前記投影領域に対して張力を付与する
請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記支持構造体における前記荷台の奥側の位置に前記前後方向に回動可能な取付フレームを備え、
前記取付フレームは、前記上側駆動部および前記下側駆動部のうちで前記荷台の奥側に位置する駆動部が取り付けられており、
前記取付フレームは、前記支持構造体が前記収納位置に位置しているとき、前記支持構造体の前方側に折り畳まれるように回動され、前記支持構造体が前記外側位置に位置しているとき、前記支持構造体の後方側に展開されるように回動される
請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記上側案内部および前記下側案内部のうち少なくともどちらか1つは、少なくとも前記スクリーンとの接触部分に低摩擦層を備えている
請求項2または3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記上側案内部および前記下側案内部のうち少なくとも1つは、前記係合されているスクリーンに対してエアを噴射する噴射部を備える
請求項2ないし4のうち何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記第1移動機構は、前記荷台に設置される固定レールと、前記固定レールと連続し、前記荷台の外に延出される可動レールとを備え、
前記固定レールの前端部に対して前記可動レールの後端部が回動可能に連結されており、
前記可動レールは、前記支持構造体が前記収納位置に位置しているとき、前記荷台の前端部の位置で、前記固定レールに対して起立しており、前記支持構造体が前記収納位置から前記外側位置に移動される前に、前記固定レールに対して連続した状態となるように倒される
請求項1ないし5のうち何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のうち何れか1項に記載の映像表示装置を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペッパーズゴースト型の映像表示装置およびこれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1などのように、映像表示装置の中には、舞台などに設けられるペッパーズゴースト(視覚トリック)型ホログラフィック投影装置がある。このペッパーズゴースト型ホログラフィック投影装置は、ハーフミラーで構成されたスクリーンが上下方向に傾斜して舞台に設置される。そして、床面の液晶表示装置に表示された映像がスクリーンに投影されると、客席から見てスクリーンとは反対側に虚像が生成され、恰も舞台にキャラクタや演者が実在するように見える。
【0003】
また、特許文献1には、ペッパーズゴースト型ホログラフィック投影装置ではないが、トラックの荷台に設置された移動型の映像表示装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】“StudioTED”、[online]、株式会社スピン、[令和2年1月8日検索]、インターネット<URL:http://studioted.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1の映像表示装置は、舞台に設置されるものであり、移動式ではない。ペッパーズゴースト型の映像表示装置において、トラック等の車両によって移動可能なものが望まれる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両架装物となるペッパーズゴースト型の映像表示装置およびこれを備えた車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する映像表示装置は、車両架装物であって、ハーフミラー性能を有するフィルム状のスクリーンと、前記スクリーンに投影される映像を表示する表示体と、前記スクリーンを当該スクリーンの前後方向に傾斜した状態で保持する支持構造体と、前記支持構造体を前記前後方向に移動させる第1移動機構と、前記表示体を上下方向に移動させる第2移動機構とを備え、前記第1移動機構によって、前記支持構造体が荷台内の収納位置から前記荷台の外側の外側位置に移動され、その後、前記第2移動機構によって、前記表示体が待機位置から再生位置へ移動され、前記表示体に表示された前記映像の虚像が前記スクリーンよりも前記荷台側の空間に生成される。上記構成によれば、映像表示装置がトラック等の荷台に搭載されることで、イベント会場などの任意の場所に移動させることができる。
【0009】
上記映像表示装置において、前記支持構造体は、前記スクリーンが係合される上側案内部および下側案内部と、前記スクリーンに対して張力を付与する張力機構とを備え、前記スクリーンにおいて、前記上側案内部と前記下側案内部との間が前記映像が投影される投影領域であり、前記張力機構は、前記スクリーンの上端部を保持する上側スクリーン保持部であって、前記上側案内部に対して後方に位置される前記上側スクリーン保持部と、前記スクリーンの下端部を保持する下側スクリーン保持部であって、前記下側案内部に対して後方に位置される前記下側スクリーン保持部と、前記スクリーンに対して張力を付与するように前記上側スクリーン保持部を引っ張る上側駆動部および前記下側スクリーン保持部を引っ張る下側駆動部とを備え、前記上側駆動部が前記上側スクリーン保持部を後方に引っ張るとともに、前記下側駆動部が前記下側スクリーン保持部を後方に引っ張ることによって、前記投影領域に対して張力を付与することが好ましい。上記構成によれば、スクリーンにおける投影領域に張力が付与されるため、投影領域における皺の発生を抑制することができ、鮮明な虚像を生成することができる。
【0010】
上記映像表示装置において、前記支持構造体おける前記荷台の奥側の位置に前記前後方向に回動可能な取付フレームを備え、前記取付フレームは、前記上側駆動部および前記下側駆動部のうちで前記荷台の奥側に位置する駆動部が取り付けられており、前記取付フレームは、前記支持構造体が前記収納位置に位置しているとき、前記支持構造体の前方側に折り畳まれるように回動され、前記支持構造体が前記外側位置に位置しているとき、前記支持構造体の後方側に展開されるように回動されることが好ましい。上記構成によれば、支持構造体が収納される際に張力機構を折り畳むことで支持構造体の前後方向の奥行きを小さくすることができ、荷台に収納できる。
【0011】
上記映像表示装置において、前記上側案内部および前記下側案内部のうち少なくともどちらか1つは、少なくとも前記スクリーンとの接触部分に低摩擦層を備えていることが好ましい。上記構成によれば、張力機構によりスクリーンに張力が付与されるとき、スクリーンと上側案内部および下側案内部との摩擦を低減し、スクリーンを上側案内部および下側案内部に対して摺動させることができる。
【0012】
上記映像表示装置において、前記上側案内部および前記下側案内部のうち少なくとも1つは、前記係合されているスクリーンに対してエアを噴射する噴射部を備えることが好ましい。上記構成によれば、張力機構によりスクリーンに張力が付与されるとき、スクリーンと案内部の間にエア層によって隙間が生じ、スクリーンの上側案内部および下側案内部に対する摺動性を高めることができる。
【0013】
上記映像表示装置において、前記第1移動機構は、前記荷台に設置される固定レールと、前記固定レールと連続し、前記荷台の外に延出される可動レールとを備え、前記固定レールの前端部に対して前記可動レールの後端部が回動可能に連結されており、前記可動レールは、前記支持構造体が前記収納位置に位置しているとき、前記荷台の前端部の位置で、前記固定レールに対して起立しており、前記支持構造体が前記収納位置から前記外側位置に移動される前に、前記固定レールに対して連続した状態となるように倒されることが好ましい。上記構成によれば、第1移動機構の可動レールを、荷台の前端部の位置で起立させることにより映像表示装置を荷台に収納できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のような構成によれば、車両架装物となるペッパーズゴースト型の映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】映像表示装置が荷台に搭載されたトラックの斜視図であって、映像再生時の状態を示す図。
【
図2】ペッパーズゴースト型の映像表示装置によって虚像が生成される状態を概念的に示す斜視図。
【
図6】(a)は張力機構の概念的な側面図、(b)は、下側案内部にスクリーンが係合された状態を示す側面図、(c)は、エアが噴射部から噴射された状態を示す側面図。
【
図9】映像表示装置が荷台に収納された状態を示す側面図。
【
図10】荷台のウィングが開いた状態を示す斜視図。
【
図11】可動レールが荷台の外に倒された状態を示す斜視図。
【
図13】支持構造体が荷台の外に移動した状態を示す斜視図。
【
図14】
図13の状態から表示体が降下した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図14を用いて、実施形態としての映像表示装置を説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、映像表示装置10は、トラック1の荷台2に架装される車両架装物である。映像表示装置10は、ペッパーズゴースト型の映像表示装置であって、ハーフミラー性能を有するスクリーン20と、スクリーン20に投影される映像を表示する表示体30と、スクリーン20を保持する支持構造体40とを備えている。また、支持構造体40を荷台2の内外に移動させる第1移動機構60と、表示体30を上下に昇降させる第2移動機構70とを備えている。
【0017】
荷台2は、いわゆるウィングボディを備え、床面2aと、天面2bと、車両の前後方向の前面および後面と、車幅方向の一方の側面であってウィング3を構成する側面である側面2cと、他方の側面である側面2dと、側面2cおよび天面2bの一部で構成されるウィング3とを備えている。
【0018】
映像表示装置10を使用する場合、まず、ウィング3が荷台2の上方に開かれる。次に、第1移動機構60により支持構造体40が荷台2内の収納位置から荷台2の側方の外側位置に移動される。その後、第2移動機構70によって、表示体30が荷台2内に収納されたときの高さである待機位置から荷台2の床面2aよりも低い再生位置へ降下される。
【0019】
ここで映像表示装置10は、スクリーン20の正面が前方であり、スクリーン20に対して荷台2側が後方であり、スクリーン20の前方が客席4である。
図2に示すように、この状態で表示体30に映像が表示されると、表示体30に表示された映像がスクリーン20に投影される。スクリーン20の前方の客席4にいる観測者からは、スクリーン20を通してスクリーン20よりも荷台2側の空間2eに、表示体30に表示された映像の虚像5が生成される。観測者からは、恰も空間2eにキャラクタや演者が実在するように見える。このとき、映像表示装置10は、外光を遮断するために暗幕6などで覆われることで、虚像5がより鮮明に生成される。
【0020】
〔スクリーンの説明〕
スクリーン20は、ハーフミラーで構成されており、ここでは、矩形形状を有した樹脂フィルムである。スクリーン20は、上部領域21と、下部領域22と、上部領域21と下部領域22との間の投影領域23とを備える。投影領域23は、上側が客席4側となる前方に位置し、下側が荷台2側となる後方に位置することになり、上下方向に斜めに、例えば荷台2の床面2aに対して斜め45°に設置される。上部領域21は、投影領域23の上側において、投影領域23に対して後方に延びる部分であり、下部領域22は、投影領域23の下側において、投影領域23に対して後方に延びる部分である。なお、スクリーン20は、一例として、Eyeliner(登録商標)である。
【0021】
〔表示体の説明〕
表示体30は、フラットパネルディスプレイであって、例えば液晶表示パネル、有機ELパネルである。表示体30は、スクリーン20の下方において、表示体30における表示面31を上方に向けて第2移動機構70に設けられた保持フレーム71に配設される。表示面31は、投影領域23の下側に位置し、投影領域23は、表示面31に対して斜め45°である。
【0022】
〔支持構造体の説明〕
図3および
図4に示すように、支持構造体40は、車両の前後方向、すなわちスクリーン20の横方向に配置される一対の支持フレーム41を備えている。また、一対の支持フレーム41の間であって、支持フレーム41の上側に配置される上側案内部としての上側案内フレーム42および支持フレーム41の下側に配置される下側案内部としての下側案内フレーム43とを備えている。支持構造体40は、鋼材で構成されている。また、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43の近傍に配置される張力機構46を備えている。
【0023】
図4に示すように、各支持フレーム41は、荷台2の床面2aに対して平行でスクリーン20の前後方向に延びる前後フレーム41aと、前後フレーム41aの前端部から高さ方向に延びる縦フレーム41bと、縦フレーム41bの上端部および前後フレーム41aの後端部を接続する傾斜フレーム41cとを備えている。各支持フレーム41は、全体として直角三角形状を有している。前後フレーム41aには、支持構造体40を荷台2の内外に直線的に移動させる第1移動機構60の一部が設けられる。傾斜フレーム41cの間は、スクリーン20の投影領域23が位置される。縦フレーム41bには、客席4に面するように、スピーカ7が配置されている。また、縦フレーム41bには、その他の設備が設けられていてもよい。
【0024】
各支持フレーム41において、縦フレーム41bの上端部と傾斜フレーム41cの上端部とがなすコーナ部には、後方に向かって床面2aと平行に伸びる上側取付フレーム41dが設けられている。また、前後フレーム41aの後端部と傾斜フレーム41cの後端部とがなすコーナ部には、下側取付フレーム41eが設けられている。各上側取付フレーム41dの前端部には、上側案内部としての上側案内フレーム42が架け渡され、各下側取付フレーム41eには、下側案内部としての下側案内フレーム43が架け渡される。
【0025】
上側案内フレーム42は、円筒形状のパイプであって、支持フレーム41同士を上側で連結し、さらにスクリーン20の上側が係合される。具体的に、スクリーン20において、上側案内フレーム42に係合される位置が投影領域23と上部領域21との境界である。スクリーン20は、上部領域21と投影領域23とのなす角が略45°になるように折り返され、上側案内フレーム42よりも下側が投影領域23であって、上側案内フレーム42より後方に延在する領域が上部領域21となる。
【0026】
下側案内フレーム43も、円筒形状のパイプであって、支持フレーム41同士を下側取付フレーム41eを介して下側で連結し、さらにスクリーン20の下側が係合される。具体的に、スクリーン20において、下側案内フレーム43に係合される位置が投影領域23と下部領域22との境界である。スクリーン20は、下部領域22と投影領域23とのなす角が略135°になるように折曲され、下側案内フレーム43よりも上側が投影領域23であって、下側案内フレーム43より後方に延在する領域が下部領域22となる。
【0027】
図5および
図6に示すように、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43は、少なくともスクリーン20と接触する領域に低摩擦層44が設けられている。なお、
図5では、上側案内フレーム42の周辺部分を示しており、下側案内フレーム43の周辺部分は示していない。低摩擦層44は、一例としてフッ素樹脂である。低摩擦層44は、スクリーン20に対する摩擦を低減し、スクリーン20を上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に対して円滑に摺動させる。さらに、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43は、少なくともスクリーン20と接触する領域に、多数の微小孔で構成された噴射部45が設けられている。上側案内フレーム42および下側案内フレーム43には、圧縮エアが供給されており、噴射部45からは、圧縮エアが噴射される。これにより、高湿環境下や高温環境下で、スクリーン20が上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に張り付いているときに、間にエア層が形成されてスクリーン20を剥がすことができる。また、噴射部45の微小孔の形状および大きさは、特に限定されず、微小孔は、圧縮エアによって上側案内フレーム42および下側案内フレーム43からスクリーン20の全体が剥がされるように設けられる。
【0028】
〔張力機構の説明〕
張力機構46は、スクリーン20の上部領域21の上端部を保持する上側スクリーン保持部47aと、スクリーン20の下部領域22の下端部を保持する下側スクリーン保持部48aと、上側スクリーン保持部47aを引っ張る上側駆動部47bと、下側スクリーン保持部48aを引っ張る下側駆動部48bとを備えている。上側スクリーン保持部47aおよび上側駆動部47bならびに下側スクリーン保持部48aおよび下側駆動部48bは、同じ構成を有するため以下説明をまとめて行う。
【0029】
上側スクリーン保持部47aおよび下側スクリーン保持部48aは、それぞれ2枚のアルミバー49で構成され、2枚のアルミバー49でスクリーン20の端部を挟み込むように保持する。各アルミバー49は、断面が矩形形状を有した長尺部材であって、平面部で上部領域21や下部領域22を挟み込む。
【0030】
上側駆動部47bおよび下側駆動部48bは、ともにエアシリンダユニット50である。上側駆動部47bおよび下側駆動部48bは、シリンダ50aと、ピストン50bと、スクリーン保持部が接続される接続部50cとを備えている。シリンダ50aは、エアコンプレッサ51に接続されている。ピストン50bの先端には、接続部50cが設けられている。接続部50cは、V字形状を有しており、ボルト締結によって上側スクリーン保持部47aおよび下側スクリーン保持部48aをピストン50bの先端に固定する。上側駆動部47bは、上部領域21を後方に引っ張り、下側駆動部48bは、下部領域22を後方に引っ張り、投影領域23に張力を付与する。
【0031】
上側駆動部47bは、上側取付フレーム41dに設けられる。これに対して、下側駆動部48bは、傾斜フレーム41cの下端部に回動可能に設けられる下側取付フレーム41eに設けられる(
図4参照)。
【0032】
下側取付フレーム41eは、傾斜フレーム41cが回動軸部52を中心として回動可能に取り付けられている。傾斜フレーム41cには、下側取付フレーム41eを回動させるための駆動部となるフレーム駆動部53が設けられている。フレーム駆動部53は、電動モータ54を駆動源としている。下側取付フレーム41eは、フレーム駆動部53が駆動されることで、支持構造体40が荷台2に収納されるとき、傾斜フレーム41cの側に折り畳まれた状態となる。そして、支持構造体40が荷台2の外に移動されたとき、支持構造体40の後方に展開され、下側駆動部48bが下部領域22を後方に引っ張ることができる状態となる。下側取付フレーム41eに対して回動軸部52の反対側には、下側取付フレーム41eを安定して回転させるためのバランサ55が設けられている。
【0033】
なお、下側取付フレーム41eの上部には、下側駆動部48bを覆うようにステージ8が設けられる。このステージ8上には、実際の演者が立ったり、マイク、アンプ、スピーカ等の音響機器を設置したりすることができ、舞台として用いる事ができる。ステージ8は、ステージを構成する床部と、床部の裏面に立設される脚部とを備え、脚部は、先端が床面2aに当接したとき、床部が下側駆動部48bを覆うことができる高さを有している。ステージ8は、荷台2の床面2aであって側面2d側に回動可能に支持され、映像再生時には、床面2a上に下側駆動部48bを覆うように配置され、それ以外のときには、側面2dに沿うように立てられている。
【0034】
〔第1移動機構の説明〕
第1移動機構60は、荷台2の床面2aに設置される一対の固定レール61と、固定レール61の前端部に回動可能に取り付けられる可動レール62とを備えている(
図3および
図4参照)。第1移動機構60は、支持構造体40側に、前後フレーム41aに、駆動源となるモータ63によって回転される駆動ギヤ64aと、固定レール61および可動レール62上を走行する案内ローラ64bとを備えている。
【0035】
固定レール61は、荷台2の床面2aにおいて、前後方向に延びるレールであって、駆動ギヤ64aが噛合されるラックギヤ61aと、案内ローラ64bの周回方向に設けられた溝部が係合されるレール部61bとを備えている。可動レール62の後端部は、固定レール61の前端部とヒンジ65を介して回動可能に取り付けられている。ヒンジ65は、荷台2のウィング3が開いたとき、床面2aの前端部に位置する。
【0036】
可動レール62は、支持構造体40を収納するとき、床面2aの前端部において床面2aに対して垂直に起立した状態となり、支持構造体40を荷台2から移動させるとき、固定レール61と繋がり直線状となる。可動レール62の長さは、荷台2に起立した状態で収まるように、荷台2の高さよりも若干短い長さである。可動レール62も、固定レール61のラックギヤ61aと接続される同じピッチのラックギヤ62aと、固定レールのレール部61bと繋がるレール部62bが設けられている。
【0037】
縦フレーム41bには、吊上装置としてのウィンチ66が設けられており、可動レール62には、可動レール62を回動させる際にウィンチ66のフック66aが係合される係合片62cが設けられている。可動レール62は、荷台2のウィング3が開くと、支持構造体40を荷台2の外側に移動させる前に、ウィンチ66によって起立した状態から固定レール61と連続した状態になるように倒される。また、映像表示装置10を荷台2に収納する場合には、支持構造体40を荷台2に収納した後に、ウィンチ66によって引き上げられる。
【0038】
可動レール62の先端部には、支持脚67が設けられている。支持脚67は、可動レール62が荷台2内に収納されているとき、可動レール62内に設けられた溝部62dに可動レール62に沿うように格納されており、可動レール62が固定レール61と連続した状態に回動されると、可動レール62内の溝部62dから回動され、可動レール62と垂直、かつ、地面に当接するように固定される。
【0039】
〔第2移動機構の説明〕
第2移動機構70は、表示体30を保持する保持フレーム71と、保持フレーム71を昇降可能に保持する上下フレーム72と、保持フレーム71を昇降するための昇降駆動部74を備えている(
図3および
図4参照)。保持フレーム71は、矩形形状を有したフレームであって、上下フレーム72によって昇降が案内されている。保持フレーム71には、昇降チェーン73の一端部が接続されている。
【0040】
上下フレーム72は、支持フレーム41に固定される固定フレーム72aと、固定フレーム72aに案内されて上下方向に移動可能な昇降フレーム72bとを備えている。昇降駆動部74は、傾斜フレーム41cに設けられ、油圧シリンダユニット75を備えており、シリンダ75aが傾斜フレーム41cに設けられ、さらにシリンダシャフト75bによって昇降される移動部75cが案内軸75dによって支持されている。移動部75cには、昇降チェーン73の他端部が接続され、昇降チェーン73は、移動部75cと保持フレーム71との間が複数の案内ギヤ76によって案内されている。移動部75cが傾斜フレーム41cの上端側に移動したとき、保持フレーム71は、上下フレーム72とほぼ同じ高さの上昇位置に位置し、移動部75cが傾斜フレーム41cの下端側に移動したとき、降下位置に位置する。上昇位置は、可動レール62の間であって、可動レール62と同じ高さである。降下位置は、表示体30で映像が再生される再生位置である。
【0041】
表示体30は、第2移動機構70によって降下されるが、その降下量を調整することにより、空間2eの前後方向において虚像5が生成される位置を任意に調整することも可能である。
【0042】
〔制御ブロックの説明〕
図7に示すように、以上のように構成される映像表示装置10は、コントローラ90を備えている。コントローラ90は、第1移動機構60や第2移動機構70などの駆動部を制御するメカコントローラと、映像再生時において、表示体30や音響機器、照明装置などを制御する上演コントローラとで構成されている。コントローラ90は、マイコン、コンピュータなどの情報処理装置であって、操作ボタン、スライドスイッチ、ボリュームスイッチ、キーボード、マウスなどで構成される操作部91からの入力をもとに制御プログラムに従って映像表示装置10全体の動作を制御する。コントローラ90は、例えば荷台2の支持構造体40の近くの制御室に配設されている。操作部91も、メカコントローラへの入力系統と、上演コントローラへの入力系統とに分かれている。
【0043】
具体的に、コントローラ90は、メカコントローラとして、支持構造体40を荷台2の内外に移動させる第1移動機構60の駆動源となるモータ63を駆動制御するとともに、表示体30を昇降させる第2移動機構70の油圧シリンダユニット75を駆動制御する。さらに、コントローラ90は、張力機構46のうちの下側駆動部48bが取り付けられている下側取付フレーム41eを回動するフレーム駆動部53の電動モータ54を駆動制御する。
【0044】
さらに、コントローラ90は、メカコントローラとして、エアコンプレッサ51を制御する。張力機構46を構成する上側駆動部47bおよび下側駆動部48bは、エアシリンダユニット50で構成されており、さらに、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43が有する噴射部45は、エアコンプレッサ51から供給された圧縮エアを噴射する。スクリーン20が上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に張り付いているとき、コントローラ90は、エアコンプレッサ51の制御弁を開閉制御して、噴射部45より圧縮エアを噴射させ、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に対するスクリーン20の張り付きを解消する。この後、コントローラ90は、上側駆動部47bおよび下側駆動部48bを駆動して、スクリーン20に対して張力を付与する。
【0045】
さらに、コントローラ90は、上演コントローラとして、入出力部92、記憶部93、再生部94などを制御する。コントローラ90は、外部のネットワークやリムーバブル記録媒体とデータのやり取りを行う入出力部92と接続されている。入出力部92は、再生するコンテンツデータをダウンロードし、そのファイルをハードディスクドライブやソリッドステートドライブで構成された記憶部93に保存する。また、クラウド上に保存されたコンテンツデータをストリーミング再生するときは、記憶部93に一時的に記憶する。さらに、サーバからのライブデータや、デジタル放送の放送波などを受信する。
【0046】
再生部94は、記憶部93に保存されているデータに対して復号処理などを施し、コンテンツデータを再生する。また、ライブデータをサーバより受信し、ストリーミング再生する。再生部94は、表示体30やスピーカ7などと接続されており、表示体30で映像データを表示するとともに、音声データをスピーカ7から放音する。コンテンツデータとしては、例えばアーティストのコンサート演奏、イベント、映画などの映像データ、店舗や商品のプロモーション映像データ、スポーツなどのライブデータなどである。
【0047】
〔全体の動作(作用)の説明〕
映像表示装置10は、先ず、その準備として、スクリーン20が支持構造体40に設置される。このとき、上側駆動部47bと下側駆動部48bは駆動されず、スクリーン20の緊張を緩めた状態で、支持構造体40を荷台2の収納位置に設置する。この状態で、イベント会場に搬送される。
【0048】
図8に示すように、映像表示装置10の使用時の動作は、ステップS1からステップS7で構成されている。
図9に示すように、映像表示装置10は、搬送される際などには荷台2内に収納されている。映像表示装置10を使用する場合、
図10に示すように、まず、ウィング3が荷台2の上方に開放される。
【0049】
次に、
図11および
図12に示すように、第1移動機構60における可動レール62が、荷台2の前端部に垂直に起立した状態から、縦フレーム41bに設けられたウィンチ66に吊り下げられながらヒンジ65を回動の軸として荷台2の外側に回動される(ステップS1)。その後、可動レール62内に設けられた溝部62dに格納された支持脚67は、可動レール62の前端部を軸に回動され可動レール62と垂直、かつ、地面に当接するように固定される。
【0050】
次に、
図13に示すように、支持構造体40は、第1移動機構60によって、荷台2の内側の収納位置から荷台2の外側の外側位置に移動される(ステップS2)。具体的には、操作部91からの入力に従って、コントローラ90は、第1移動機構60におけるモータ63を駆動し駆動ギヤ64aを介して支持構造体40を固定レール61および可動レール62上を移動する。これにより、支持構造体40は収納位置から荷台2の外側の外側位置に移動される。
【0051】
次に、
図14に示すように、表示体30は、第2移動機構70によって待機位置から再生位置に降下される(ステップS3)。具体的には、コントローラ90は、操作部91からの入力に従って、第2移動機構70における油圧シリンダユニット75を駆動し、移動部75cを傾斜フレーム41cの上端側から下端側に移動する。これにより、保持フレーム71が降下されることにより、表示体30が待機位置から再生位置に降下される。
【0052】
次に、先に参照した
図1および
図4に示すように、下側取付フレーム41eは、傾斜フレーム41cに設けられたフレーム駆動部53によって傾斜フレーム41cの側に折り畳まれた状態から支持構造体40の後方に展開される(ステップS4)。具体的には、コントローラ90は、操作部91からの入力に従って、支持構造体40におけるフレーム駆動部53の電動モータ54を駆動し、下側取付フレーム41eを、傾斜フレーム41cの側に折り畳まれた状態から支持構造体40の後方に展開する。
【0053】
次に、スクリーン20は、張力機構46によって張力が付与される(ステップS5)。具体的には、高温環境下や高湿環境下で、スクリーン20が案内フレーム42、43に張り付いているときに、コントローラ90は、操作部91からの入力に従って、エアコンプレッサ51から案内フレーム42、43における噴射部45に圧縮エアを供給し、噴射部45からスクリーン20に対して圧縮エアを噴出する。これにより、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に張り付いているスクリーン20を剥がすことができる。その後、エアコンプレッサ51から上側駆動部47bおよび下側駆動部48bに圧縮エアが供給され、上側駆動部47bは、上側案内フレーム42を支点として上部領域21を後方に引っ張り、下側駆動部48bは、下側案内フレーム43を支点として下部領域22を後方に引っ張ることで、投影領域23に張力を付与する。
【0054】
次に、荷台2内にステージ8が設営され、支持構造体40および荷台2が暗幕6で覆われる(ステップS6)。具体的に、荷台2内には、ステージ8が回動可能に側面2dに立てかけられており、ステージ8は、倒すようにして、下側取付フレーム41eの上部に下側駆動部48bを覆うように設置される(
図4および
図9参照)。また、支持構造体40および荷台2は、スクリーン20の前面を除いて暗幕6で覆われる(
図1参照)。すなわち、暗幕6は、正面視でウィング3の先端から上側案内フレーム42の間、正面視で可動レール62から地面までの間、および、側面視でウィング3の先端から地面までの間に配置される。さらに、床面2aの前端部から地面まで車両のタイヤを覆うように配置される。これにより、表示体30から虚像5が生成される空間2eまでの光路への外光の浸入を抑制する。
【0055】
表示体30で映像を再生することにより、表示面31に表示された映像が、スクリーン20に投影される(ステップS7)。具体的には、コントローラ90は、操作部91からの入力に従って、入出力部92に入力されたデータや記憶部93に保存されたデータを再生部94で再生する。これにより、表示体30は、映像データを表示するとともに、スピーカ7は音声データを放音する。表示体30の表示面31に表示された映像は、スクリーン20に投影される。スクリーン20の前方からスクリーン20を見た場合、表示体30に表示された映像は、空間2eに虚像5として現れる。
【0056】
また、荷台2の側面2dの上部には、ロール状に巻かれたスクリーンが設置されており、映像再生時には、このスクリーンが引き出されて側面2dに沿うように展開される。この場合、上側取付フレーム41dにプロジェクタを設置し、表示体30に再生するコンテンツデータと同期させて、荷台2の側面2dのスクリーンに背景などを表示する。これにより、虚像5の後方に背景が表示されて奥行きを表現できるため、演出効果を高めることができる。また、照明装置も上側取付フレーム41dやステージ8に設置することができる。そして、照明も、コンテンツデータと同期させることでさらに演出効果を高めることができる。例えば、パブリックビューイングとしてスポーツなどの競技のライブデータや、アーティストのコンサート映像をリアルタイムで再生する。これにより、実際の競技会場の臨場感をイベント会場にも伝えることができる。
【0057】
さらに、荷台2のステージ8上には、マイク、アンプ、スピーカ、楽器など音響装置を設置することができ、実在の楽器奏者などの演者が実際に演奏を行う舞台として利用することができる。この場合、演者は、スクリーン20の裏側に立つことになる。これにより、例えば、実在の演者と虚像5とを共演させることができる。さらに、ステージ8上の実際の演者に対して花びらが散っている様子などの装飾的要素を虚像5で表すようにすることもできる。
【0058】
イベント終了後には、暗幕6を取り外し、上側駆動部47bと下側駆動部48bを停止し、スクリーン20の緊張を緩める。次に、第2移動機構70により表示体30を待機位置まで移動させ、下側取付フレーム41eを前方に回動させる。その後、第1移動機構60により、支持構造体40を外側位置から待機位置に移動させ、可動レール62を荷台2内に収納する。最後にウィング3を閉めて次の目的地に搬送する。
【0059】
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)映像表示装置10は、車両で移動することができる。具体的に、映像表示装置10は、スクリーン20を保持する支持構造体40を移動させる第1移動機構60と、表示体30を移動させる第2移動機構70とを備えている。したがって、映像表示装置10は、トラック等の荷台2に搭載されることで、イベント会場等の任意の場所に移動させることが可能である。
【0060】
(2)映像表示装置10は、第1移動機構60および第2移動機構70を有することから、設営作業および撤収作業を容易に行うことができる。
(3)映像表示装置10を使用する際、支持構造体40は、第1移動機構60により荷台2の内側の収納位置から外側の外側位置に移動され、スクリーン20の後方には空間2eが生じる。これにより、荷台2にステージ8を照明装置や音響装置を設けたり、舞台として使用して実在の演者を立たせたりすることができ、映像表示装置10における演出の自由度を高めることができる。
【0061】
(4)表示体30は、第2移動機構70によって降下されるが、その降下量を調整することにより、空間2eの前後方向において虚像5が生成される位置を任意に調整することができる。
【0062】
(5)支持構造体40は、スクリーン20の上部領域21が係合される上側案内フレーム42と、スクリーン20の下部領域22が係合される下側案内フレーム43と、スクリーン20に対して張力を付与する張力機構46とを備えている。したがって、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43を支点として張力機構46によってスクリーン20が引っ張られることで、スクリーン20における投影領域23に対して上下方向の張力が付与される。これにより、投影領域23における皺の発生が抑制されるため、鮮明な虚像5を生成することができる。
【0063】
(6)映像表示装置10をトラックなどで搬送する際には、張力機構46によってスクリーン20の緊張を緩めて収納される。したがって、映像表示装置10を使用しない場合は、スクリーン20に負荷をかけない状態で保管できるため、スクリーン20が傷みにくくなる。
【0064】
(7)映像表示装置10が車両で移動される際も、スクリーン20は、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に掛けられているため、映像表示装置10を使用する度にスクリーン20を着脱する必要がなく、繰り返し使用できる。そのため、会場での設営では、支持構造体40を展開し、スクリーン20を手動ではなく自動で、機械的に張架することで迅速に設営でき、設営作業の人員削減もできる。
【0065】
(8)下側取付フレーム41eは、傾斜フレーム41cの下端部の回動軸部52を回動支点として回動可能に取付けられている。したがって、支持構造体40が外側位置に位置しているとき、下側取付フレーム41eは、支持構造体40の後方に位置され、支持構造体40が収納位置に位置しているとき、下側取付フレーム41eは傾斜フレーム41cの側に折り畳まれた状態となる。これにより、支持構造体40が収納される際に下側取付フレーム41eを折り畳むことで支持構造体40の前後方向の奥行きを小さくして荷台2に収納できる。
【0066】
(9)上側案内フレーム42および下側案内フレーム43は、少なくともスクリーン20との接触部分に低摩擦層44を備えている。これにより、張力機構46によりスクリーン20に張力が付与されるとき、スクリーン20と上側案内フレーム42および下側案内フレーム43との摩擦を低減し、スクリーン20の上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に対する摺動性を高めることができる。これにより、スクリーン20が傷みにくくなることでスクリーン20の使用寿命が延び、繰り返し使用できる。
【0067】
(10)上側案内フレーム42および下側案内フレーム43は、係合されているスクリーン20に対して圧縮エアを噴射する噴射部45を備えている。これにより、張力機構46によりスクリーン20に張力が付与されるとき、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に張り付いているスクリーン20を剥がすことができるため、スクリーン20の上側案内フレーム42および下側案内フレーム43に対する摺動性を高めることができる。
【0068】
(11)可動レール62は、支持構造体40が収納位置に位置しているとき、荷台2の前端部の位置で固定レール61に対して起立した状態で保持され、支持構造体40が外側位置に移動される前に、固定レール61と連続した状態になるように荷台2の外に倒される。これにより、支持構造体40が収納位置から外側位置に移動される際の足場となるとともに、収納時には荷台2内に収納することができる。
【0069】
なお、上記映像表示装置10は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・映像表示装置10を搭載する車両は、トラックのように運転席など人が乗る部分であるキャブと、荷台2とが一体の車両であってもよいし、トラクタおよびトレーラのように運転席を有する牽引自動車と、荷台2となる被牽引自動車とで構成されていてもよい。
【0070】
・可動レール62の後端部と、固定レール61の前端部とがギヤ等によって連結されていてもよい。その場合、第1移動機構60には当該ギヤを駆動するためのモータが設けられ、コントローラ90によって当該モータの駆動および可動レール62の回動が制御される。
【0071】
・また、可動レール62は、固定レール61の前端部を回動軸として水平に回動するように設置してもよい。その場合、可動レール62の後端部と、固定レール61の前端部とが垂直軸などで連結され、可動レール62が荷台2に収納される際には、2本の固定レール61の間に収納される。
【0072】
・また、可動レール62は、固定レール61に対して前後方向にスライドするように可動してもよい。
・上側案内フレーム42および下側案内フレーム43において、スクリーン20の十分な摺動性が確保されている場合は、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43の何れにも噴射部45を設けなくてもよい。また、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43のうち、何れか一方だけに噴射部45を設けるようにしてもよい。
【0073】
・噴射部45は、高温環境下や高湿環境下などでスクリーン20が張り付いているときのみ使用してもよいし、張力機構46の使用前に必ず使用するようにしてもよい。すなわち、噴射部45は、高温環境下や高湿環境下などの場合に、目視検査などをして、操作部91によって適宜使用してもよいし、張力機構46の使用前に噴射部45が連動して使用されるようにコントローラ90によって制御されてもよい。
【0074】
・上側案内フレーム42および下側案内フレーム43のうち、何れか一方だけに低摩擦層44を設けるようにしてもよい。また、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43の何れにも低摩擦層44を設けなくてもよい。
【0075】
・上側案内フレーム42および下側案内フレーム43の全面に低摩擦層44を設けてもよい。
・上側案内部および下側案内部において、上側案内フレーム42および下側案内フレーム43は、それぞれ回転ローラであってもよい。
【0076】
・上側案内フレーム42が下側案内フレーム43よりも荷台2の奥側に位置するような構成としてもよい。すなわち、投影領域23において、下側が客席4側となる前方に位置し、上側が荷台2側となる後方に位置するような構成としてもよい。この場合、支持フレーム41において、縦フレーム41bが前後フレーム41aの後端部に位置し、傾斜フレーム41cが縦フレーム41bの上端部と前後フレーム41aの前端部とを接続する構成となる。そして、上側取付フレーム41dが縦フレーム41bの上端部において回動可能に支持され、上側案内フレーム42が上側取付フレーム41dの前端部に架け渡され、下側案内フレーム43が前後フレーム41aの前端部に位置する。また、表示体30が表示面31を下側に向けるようにしてスクリーン20の上方において昇降可能に固定される。このとき、表示体30の待機位置に対して再生位置が上方になる。
【0077】
・下側取付フレーム41eには、下側案内フレーム43および張力機構46における下側駆動部48bのうち、下側案内フレーム43を設けず下側駆動部48bが設けられる構成としてもよい。また、下側取付フレーム41eは、回動機構を設けずに支持構造体40の後方に展開された状態で傾斜フレーム41cに固定されていてもよい。張力機構46のみが折り畳み可能に支持される場合および回動機構を設けない場合には、前後フレーム41aの長さを短くするなどして支持構造体40の前後方向の奥行きを荷台2に収納可能な大きさにする必要がある。
【0078】
・張力機構46は、スクリーン20全体に張力が伝わるのであれば、上側駆動部47bおよび下側駆動部48bのうちどちらか一方のみを備える構成としてもよい。例えば、スクリーン20のサイズが小さい場合において、スクリーン20の両端部をそれぞれ上側スクリーン保持部47aおよび下側スクリーン保持部48aで保持し、下側スクリーン保持部48aを固定した状態で上側スクリーン保持部47aのみを上側駆動部47bで引っ張る構成としてもよい。特に、荷台2に対して奥側に位置する駆動部を省略した構成とした場合、支持構造体40の前後方向の奥行きを小さくすることができる。
【0079】
・張力機構46は、上側駆動部47bおよび下側駆動部48bの何れも設けなくてもよい。すなわち、スクリーン20を張架した状態で固定したままでもよい。
・表示体30は、プロジェクタ等の投影装置によってスクリーン20に投影される映像を投影されてもよい。すなわち、表示体30は、例えばスクリーンであって、プロジェクタ等によって表示面31に映像が投影され、表示面31に投影された映像がスクリーン20に投影されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…トラック
2…荷台
2e…空間
10…映像表示装置
20…スクリーン
30…表示体
40…支持構造体
42…上側案内フレーム
43…下側案内フレーム
46…張力機構
60…第1移動機構
62…可動レール
70…第2移動機構