IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

特許7316099シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム
<>
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図1
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図2
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図3
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図4
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図5
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図6
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図7
  • 特許-シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】シングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/34 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
H04L27/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019098157
(22)【出願日】2019-05-25
(65)【公開番号】P2020195016
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】山岸 史弥
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 敬文
(72)【発明者】
【氏名】山里 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】岡部 聡
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182683(JP,A)
【文献】山岸 史弥 他,移動環境を考慮したSC-FDE方式ミリ波SHVワイヤレスカメラのブースト比の検討,映像情報メディア学会技術報告,(一社)映像情報メディア学会,2019年03月08日,Vol.43 No.10,p.25~28
【文献】津持 純 他,ミリ波帯4K・8K-FPUの開発,NHK技研R&D No.165 ,日本放送協会,2017年09月15日,p.28~38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値を検出する最適値検出装置であって、
前記送信装置から出力される変調信号に対して負荷を調整することにより、前記受信装置における受信C/Nを可変制御するC/N制御器と、
前記送信装置に対してデータシンボルの平均振幅に対するユニークワードよりなるパイロット信号の振幅の比を表わすブースト比関するパラメータの設定を可変制御するとともに、前記受信装置に対して前記ブースト比の設定情報を通知し、前記受信装置からのビット誤り率情報を基に、前記C/N制御器に対しC/N設定の可変設定を行いながら当該可変制御する各パラメータにおける所要C/Nを求め、最小となる所要C/Nに対応するパラメータを最適値として検出するパラメータ制御器と、を備え
前記パラメータ制御器は、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値としてブースト比の最適値を検出する手段を有し、当該ブースト比の最適値を検出する測定のために当該測定に先立って予め定めた最小値及び最大値で規定されるブースト比の測定範囲を所定のステップに分割するものとし、当該測定時には当該分割したステップの順番に従ってブースト比を可変しながら所要C/Nを算出する過程で、今回値として或るステップにおけるブースト比について算出した所要C/Nが、1ステップ前のブースト比について算出した所要C/N以上となった時点で、当該1ステップ前のブースト比を最適値として決定し、当該今回値のステップに続くステップ以降のブースト比の可変測定を不要とするように制御することを特徴とする最適値検出装置。
【請求項2】
前記C/N制御器は、通信ケーブルを利用して前記送信装置と前記受信装置との間、或いは前記受信装置内に有線接続され、前記送信装置から出力される変調信号を可変減衰させる可変減衰器、又は疑似乱数による白色雑音を可変付加する雑音可変付加器、或いは前記可変減衰器及び前記雑音可変付加器を併用して構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の最適値検出装置。
【請求項3】
前記パラメータ制御器は、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値として、ブースト比の最適値に加えて、変調方式毎のマッピングの振幅及び位相の最適値を検出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の最適値検出装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1からのいずれか一項に記載の最適値検出装置におけるパラメータ制御器として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送又は通信等の無線伝送システムで使用可能なシングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に関し、特に、周波数領域でのチャネル等化を可能とするシングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値検出装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送や通信等の固定伝送の無線伝送システムでは、一つの搬送波を用いるシングルキャリア方式が広く用いられている。近年、シングルキャリア方式の中でも、周波数領域でチャネル等化(伝搬路で生じた振幅・位相の変化を元に戻す処理)を行うSC-FDE(Single Carrier-Frequency Domain Equalization)方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
SC-FDE方式は、ブロック単位でチャネル推定とチャネル等化を行うことができるため、同じく周波数領域でチャネル等化を行うOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式のように、移動伝送時の高速なチャネル変動にも追従させることができ、時間領域でチャネル等化を行うよりもチャネル変動に対する等化が容易になり耐性が強化される。また、SC-FDE方式では、OFDM方式と同じようにガードインターバルを設けて、マルチパス環境におけるブロック間干渉を防ぐことができる。特に、SC-FDE方式では、ブロックの先頭を検出するブロック同期を行って、パイロット信号として用いられるチャネル推定用のユニークワード(UW: Unique Word(固定パターンの信号))及びデータを抽出し、フーリエ変換により当該ユニークワード及びデータを周波数領域に変換する。次に、周波数領域に変換されたUWを用いてチャネル推定を行い、得られたチャネル情報から周波数領域のデータに対してZF(Zero-Forcing)やMMSE(Minimum Mean Square Error)基準による等化を行う。その後、逆フーリエ変換によりデータを時間領域の信号に戻して、シンボル判定等の処理を行う。
【0004】
また、シングルキャリア方式では、OFDM方式と比較して一般に、送信信号のピーク電力と平均電力の比であるPAPR(Peak to Average Power Ratio)が小さい。そのため、電力増幅器を非線形領域で動作させた場合の歪に対して、OFDM方式よりも耐性が高く、送信信号の歪を抑えつつ送信電力を大きくできるため、より伝送距離を伸ばすことが可能である。
【0005】
一方で、OFDM方式では、受信品質を向上させる方法の1つとして、スキャッタードパイロットを含めた全キャリアの平均電力が一定の条件で、パイロット信号とデータシンボルの電力配分を調整する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。例えば、この方法を用いたOFDM方式のスキャッタードパイロット信号の振幅レベルは、ARIB標準規格で規定されている(例えば、非特許文献2参照)。そして、SC-FDE方式においても、UW(パイロット信号)の振幅レベルを調整することで、チャネル推定の精度が向上し所要C/Nを低減することが可能である(例えば、非特許文献3参照)。
【0006】
データシンボルに対するUWの振幅比(ブースト比)には最適値が存在し、その値を調整することで所要C/Nを低減することが可能である。ただし、SC-FDE方式において、UWの振幅レベルの最適値は、送信装置に用いる電力増幅器の特性によって異なる。そこで、送信装置に使用する電力増幅器を異なるものに交換する場合や、使用する周波数帯で大きく特性が変わる電力増幅器を用いる場合では、最適なUWの振幅レベルが変わってしまうため、その都度、シミュレーションで最適値を求める必要がある。一方で、同一の電力増幅器を用いた固定伝送時及び移動伝送時においては、UWの振幅レベルの最適値は、ほとんど変化しないことが分かっている(例えば、非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-6796号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】高田政幸、土田健一、中原俊二、黒田徹、“地上ディジタル放送におけるOFDMシンボル長とスキャッタードパイロットによる伝送特性”、映像情報メディア学会誌、Vol.52, No.11, pp.1658~1665, 1998.
【文献】“テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形ミリ波帯デジタル無線伝送システム”, 標準規格, ARIB STD-B43 2.1版, 2018年1月22日改定
【文献】山岸 史弥、松崎 敬文、山里 亜希子、岡部 聡、居相 直彦、“ミリ波SHVワイヤレスカメラの実現に向けたSC-FDE方式におけるパイロット信号のブースト比の検討”、映像情報メディア学会、冬季大会、11C-2,2018年12月発表.
【文献】山岸 史弥、松崎 敬文、山里 亜希子、岡部 聡、居相 直彦、“移動環境を考慮したSC-FDE方式ミリ波SHVワイヤレスカメラのブースト比の検討”、映像情報メディア学会、BCT研究会、技術報告、ITE Technical Report, Vol.43, No.10, BCT2019-42, 2019年3月発表.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、データシンボルの平均振幅に対するUWの振幅の比を表わすブースト比には最適値が存在し、その値を調整することで所要C/Nを低減することが可能である。しかし、この最適値は、送信装置に用いる電力増幅器の特性(歪特性、周波数特性)に依存しているため、送信装置に使用する電力増幅器を異なるものに交換する場合や、使用する周波数帯で大きく特性が変わる電力増幅器を用いる場合では、最適なUWの振幅レベルが変わってしまうため、その都度、シミュレーションで最適値を求める必要がある。
【0010】
また、ブースト比の最適値は、受信装置におけるチャネルの推定方法の違いによっても変わる場合がある。更には、マッピングパラメータ自体の最適値も電力増幅器の特性(歪特性、周波数特性)に依存して変わる場合がある。そのため、UWのブースト比パラメータの最適値、更にはマッピングパラメータの最適値を得るためには、送信装置に用いる電力増幅器を変更したり、個体差の大きな電力増幅器を用いたりする場合だけでなく、受信機側のチャネル推定方法を変更する場合や、マッピングパラメータの違いによっても事前に膨大なシミュレーションを行う必要があり、開発コストの増加と生産効率の低下につながる。
【0011】
従って、シミュレーションに依ることなく、且つ高精度に、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置におけるパラメータ(ブースト比パラメータ及びマッピングパラメータ)の最適値を検出する技法が望まれる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、シミュレーションに依ることなく、且つ高精度に、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータ(ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータ)の最適値を検出する最適値検出装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の最適値検出装置は、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値を検出する最適値検出装置であって、前記送信装置から出力される変調信号に対して負荷を調整することにより、前記受信装置における受信C/Nを可変制御するC/N制御器と、前記送信装置に対してデータシンボルの平均振幅に対するユニークワードよりなるパイロット信号の振幅の比を表わすブースト比関するパラメータの設定を可変制御するとともに、前記受信装置に対して前記ブースト比の設定情報を通知し、前記受信装置からのビット誤り率情報を基に、前記C/N制御器に対しC/N設定の可変設定を行いながら当該可変制御する各パラメータにおける所要C/Nを求め、最小となる所要C/Nに対応するパラメータを最適値として検出するパラメータ制御器と、を備え、前記パラメータ制御器は、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値としてブースト比の最適値を検出する手段を有し、当該ブースト比の最適値を検出する測定のために当該測定に先立って予め定めた最小値及び最大値で規定されるブースト比の測定範囲を所定のステップに分割するものとし、当該測定時には当該分割したステップの順番に従ってブースト比を可変しながら所要C/Nを算出する過程で、今回値として或るステップにおけるブースト比について算出した所要C/Nが、1ステップ前のブースト比について算出した所要C/N以上となった時点で、当該1ステップ前のブースト比を最適値として決定し、当該今回値のステップに続くステップ以降のブースト比の可変測定を不要とするように制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の最適値検出装置において、前記C/N制御器は、通信ケーブルを利用して前記送信装置と前記受信装置との間、或いは前記受信装置内に有線接続され、前記送信装置から出力される変調信号を可変減衰させる可変減衰器、又は疑似乱数による白色雑音を可変付加する雑音可変付加器、或いは前記可変減衰器及び前記雑音可変付加器を併用して構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の最適値検出装置において、前記パラメータ制御器は、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータの最適値として、ブースト比の最適値に加えて、変調方式毎のマッピングの振幅及び位相の最適値を検出することを特徴とする。
【0018】
更に、本発明のプログラムは、コンピュータを、本発明の最適値検出装置におけるパラメータ制御器として機能させるためのプログラムとして構成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シミュレーションに依ることなく、且つ高精度に、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータ(ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータ)の最適値を検出することができる。特に、電力増幅器を出力バックオフの小さい領域(非線形領域)で運用するSC-FDE方式において、特性が異なる電力増幅器に交換する場合や、歪特性や周波数特性の偏差が大きい電力増幅器を用いる場合、或いは誤り訂正符号やチャネル推定手法を変更したりした場合に、ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータの最適値を容易に求めることが可能となり、開発コストを大幅に削減することができ、更に送信装置及び受信装置の実機を用いて自動検出するため、当該最適値を高精度に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置を設置した測定システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置により測定対象とする、従来からの典型的なSC-FDE方式の送信装置及び受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】(a)は送信ブロック(SC-FDEブロック)の一例を示す図であり、(b)はデータシンボルの平均振幅に対するUWの振幅の比を表わすブースト比を示す複素平面図である。
図4】本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置におけるパラメータ制御器の実施例1の制御フローを示すフローチャートである。
図5】本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置におけるパラメータ制御器に係る所要C/Nの算出法を示す図である。
図6】(a)は本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置におけるパラメータ制御器に係るブースト比パラメータの最適値の測定例を示す図であり、(b)は従来からの典型的なSC-FDE方式のブースト比パラメータの最適値の検出に係るシミュレーション例を示す図である。
図7】本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置におけるパラメータ制御器の実施例2の制御フローを示すフローチャートである。
図8】(a)は16APSKのマッピングパラメータを示す図であり、(b)は32APSKのマッピングパラメータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータ(以下、「SCパラメータ」と称する。)の最適値検出装置3を詳細に説明する。
【0022】
〔SCパラメータの最適値検出装置3を設置した測定システム〕
図1は、本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3を設置した測定システムの概略構成を示すブロック図である。
【0023】
SCパラメータの最適値検出装置3は、C/N制御器31、及びパラメータ制御器32から構成される。
【0024】
C/N制御器31は、本発明に係るSCパラメータの最適値の測定のために、通信ケーブル4を利用して送信装置1と受信装置2との間に有線接続され、送信装置1から出力される変調信号のC/Nを制御した上で、受信装置2に転送するように構成されている。より具体的には、C/N制御器31は、パラメータ制御器32からC/N設定信号を基に、送信装置1から出力される変調信号に対して負荷を調整することにより、受信装置2における受信C/Nを可変制御する。例えば、C/N制御器31は、送信装置1から出力される変調信号を可変減衰させる可変減衰器、又は疑似乱数による白色雑音を可変付加する雑音可変付加器、或いは可変減衰器及び雑音可変付加器を併用して構成される。尚、後述する各実施例では、C/N制御器31を可変減衰器で構成した例を説明する。
また、本実施例では送信装置1と受信装置2の間にC/N制御部31を有線接続する例を説明するが、図2(b)を参照して後術する受信装置2内(例えば、周波数変換部21とAD変換部22の間)に有線接続することも可能である。
【0025】
パラメータ制御器32は、後述する各実施例で詳細に説明するが、測定条件の設定を外部から行い、送信装置1に対してSCパラメータ設定信号によりブースト比と変調方式毎のマッピングの振幅及び位相のいずれか一方、又は双方に関するSCパラメータの設定を可変制御するとともに、受信装置2に対してブースト比の設定情報を通知し、受信装置2からのビット誤り率情報を基に、C/N設定信号によりC/N制御器31に対しC/N設定の可変設定を行いながら当該可変制御する各SCパラメータ(ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータ)における所要C/Nを求め、最小となる所要C/Nに対応するSCパラメータを最適値として検出する。
【0026】
送信装置1は、図2(a)を参照して後述するように、パラメータ制御器32からの制御によりブースト比、変調方式毎のマッピングの振幅及び位相に関するSCパラメータを可変設定する機能を備える。
【0027】
受信装置2は、図2(b)を参照して後述するように、パラメータ制御器32からのブースト比の設定情報を基に送信装置1から受信した変調信号を処理し、伝送されるデータのビット誤り率を算出し、ビット誤り率情報としてパラメータ制御器32に送信する機能を備える。
【0028】
〔測定対象とする従来からの典型的なSC-FDE方式の送信装置及び受信装置〕
図2(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3により測定対象とする、従来からの典型的なSC-FDE方式の送信装置1及び受信装置2の概略構成を示すブロック図である。以下、送信装置1及び受信装置2について順に、簡潔に説明する。
【0029】
(送信装置)
図2(a)に示す送信装置1は、周波数領域でチャネル等化を行うシングルキャリア方式(SC-FDE方式)の送信装置として構成され、送信前処理部10、マッピング部11、送信ブロック生成部12、直交変調部13、DA変換部14、周波数変換部15、及び電力増幅部16を備える。
【0030】
送信前処理部10は、伝送すべき情報ビット系列(以下、包括的に「データ」と称する)に対して、エネルギー拡散処理、誤り訂正のための誤り訂正符号化処理、及びインターリーブ処理等の前処理を行うことで符号化ビット系列を構成し、マッピング部11に出力する。この前処理は、任意のエネルギー拡散処理、誤り訂正符号化処理、及びインターリーブ処理等を適用することができる。
【0031】
マッピング部11は、送信前処理部10によって前処理が行われた符号化ビット系列に対して、16APSK、32APSK及び64APSK等の、外部からのマッピングパラメータ設定で信号点配置が定められた振幅位相変調のシンボルにマッピングを行う。尚、従来から、振幅位相変調の振幅及び位相の設定値を示すマッピングパラメータは外部設定可能であり、マッピングパラメータの例は、図8を参照する実施例2で詳細に説明する。
【0032】
送信ブロック生成部12は、所定シンボル数のブロック単位となるよう、SC-FDE方式のシンボルブロック(以下、「SC-FDEブロック」とも称する)を構成し、このSC-FDEブロック内に、伝送するデータを格納するよう構成される。
【0033】
尚、送信ブロック生成部12は、SC-FDEブロック内にユニークワード(UW)を挿入する機能を有し、UWは送受間で既知の固定パターンにより任意に構成される。ここで、UWの当該符号は、Frank-Zadoff符号やChu符号等の時間領域及び周波数領域における振幅が一定のCAZAC系列を用いることができる。このようなCAZAC系列の符号は、時間領域及び周波数領域における振幅が一定であるとともに、周期的自己相関特性が優れている。
【0034】
また、送信ブロック生成部12は、SC-FDEブロック内にユニークワード(UW)を挿入する際に、データシンボルの平均振幅に対するUWの振幅の比を表わすブースト比が設定される。尚、従来から、ブースト比パラメータは外部設定可能である。
【0035】
図3(a)は送信ブロック(SC-FDEブロック)の一例を示す図であり、図3(b)はデータシンボルの平均振幅に対するUWの振幅の比を表わすブースト比を示す複素平面図(振幅及び位相の信号点座標が含まれる直交する同相成分軸(I軸)及び直交位相成分軸(Q軸)のIQ座標図)である。図3(a)に示すように、送信ブロック生成部12は、一対のUWをガードインターバル(GI)として機能させ、ブロック単位でデータシンボル(図示する“DATA”)を送信するように構成される。これにより、OFDM方式と同じようにマルチパス環境におけるブロック間干渉を防ぐことができる。そして、図3(b)に示すように、送信ブロック生成部12は、データシンボルの平均振幅に対するUWの振幅の比を表わすブースト比が設定する。通常、ブースト比は1.0以上2.0以下で設定される。尚、当該ブロック内に、受信装置2側における等化対象シンボルとなる領域内で伝送制御信号(TMCCシンボル)が配置される。また、TMCCシンボルの前段、又はデータシンボルの後段にスタッフィング領域を設けることもある。通常、TMCC信号には使用する変調方式等の伝送パラメータが格納されるが、TMCC信号の空き領域内に、本発明に係るSCパラメータの最適値の測定の便宜上、必要であれば、マッピングパラメータやブースト比パラメータを格納させてもよい。
【0036】
図2(a)を参照するに、送信ブロック生成部12により構成されたSC-FDEブロックは、通常、SC-FDEブロックのシンボルについて2倍アップサンプリングを行われ、2倍アップサンプリングされたSC-FDEブロックのシンボルに対し帯域制限フィルタ(ルートロールオフフィルタ)処理を施し波形整形を行った後、直交変調部13に出力される。
【0037】
直交変調部13は、波形整形された2倍アップサンプリング後のSC-FDEブロックのシンボルに対しデジタル直交変調処理を施し、後段のDA変換部14におけるデジタル/アナログ変換によるアパーチャ効果を予め補正するアパーチャ補正を行って、そのアパーチャ補正後のデジタル信号(デジタル変調信号)をDA変換部14に出力する。
【0038】
DA変換部14は、当該アパーチャ補正後のデジタル信号(デジタル変調信号)をアナログ信号(アナログ変調信号)に変換し、周波数変換部15へ出力する。
【0039】
周波数変換部15は、入力されたアナログ信号(アナログ変調信号)の周波数を無線周波数帯に周波数変換して変調信号を生成し、電力増幅部16へ出力する。
【0040】
電力増幅部16は、入力された変調信号を規定の電力になるよう増幅して外部出力する。ここで、電力増幅部16は、非線形歪を持つ入出力特性を有する電力増幅器で構成するのが一般的であり、振幅位相変調の最外周の信号点の振幅を当該電力増幅器の非線形域(高出力域)で動作させるように運用される。このため、マッピングパラメータやブースト比パラメータの最適値は、電力増幅部16を構成する電力増幅器の特性に依存したものとなる。尚、電力増幅部16の出力である変調信号は、通常、アンテナを介して受信装置2へと伝送されるが、上述したように、本発明に係るSCパラメータの最適値の測定では、C/N制御器31を介して有線接続された受信装置2へと伝送される。
【0041】
(受信装置)
図2(b)に示す受信装置2は、送信装置1から伝送された変調信号を受信し、周波数領域でチャネル等化を行うシングルキャリア方式(SC-FDE方式)の受信装置として構成され、周波数変換部21、AD変換部22、直交復調部23、ブロック同期部24、チャネル推定・等化部25、シンボル判定部26、及び復号部27を備える。
【0042】
周波数変換部21は、送信装置1から変調信号を受信すると中間周波数に周波数変換し、この中間周波信号をAD変換部22に出力する。
【0043】
AD変換部22は、周波数変換部21から入力されたアナログ中間周波信号をデジタル中間周波信号へ変換し、直交復調部23へ出力する。
【0044】
直交復調部23は、AD変換部22から得られるデジタル中間周波信号から複素ベースバンド信号を生成し、帯域制限フィルタ(ルートロールオフフィルタ)処理を施してブロック同期部24に出力する。
【0045】
ブロック同期部24は、入力された複素ベースバンド信号のIQ信号を基にSC-FDEブロックの同期タイミングを検出して同期確保し、図3(a)に示す先頭のUWの部分に関する時間領域の信号と、その後の等化対象シンボルに関する時間領域の信号をそれぞれ2倍速にて抽出し、チャネル推定・等化部25に出力する。尚、ブロック同期部24は、その同期タイミングの位相差情報から周波数ずれを補正するよう前述した直交復調部23を制御する。
【0046】
チャネル推定・等化部25は、ブロック同期部24から得られる2倍速分の時間領域の信号に対してフーリエ変換を行うことにより当該時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、この変換後に得られる周波数領域のUWに対して予め既知の周波数領域のUWを参照信号として用いてチャネル推定を行う。そして、チャネル推定・等化部25は、このチャネル推定によって得られた伝搬路情報を基に周波数領域でのチャネル等化処理を行った後、その等化処理後の周波数領域の信号に対して逆フーリエ変換を行うことにより時間領域の信号を生成し、シンボル判定部26に出力する。
【0047】
ところで、データシンボルの平均振幅に対するUWの振幅の比を表わすブースト比の設定値は、送信装置1及び受信装置2の送受間で既知とされて運用されるが、従来から、ブースト比パラメータは外部設定可能である。そこで、本発明に係るSCパラメータの最適値の測定では、上述したように、送信装置1及び受信装置2の双方に対して、ブースト比パラメータを外部設定により可変制御するものとしている。
【0048】
シンボル判定部26は、当該時間領域の信号からデータの信号を抽出するとともに、送信装置1と対応する変調方式の理想信号点を基にデマッピングして尤度計算を実行することによりシンボル判定を行い、該シンボル判定の結果に応じて、シンボルを構成する情報ビット系列(誤り訂正の符号化が施されているデータ)を形成し、復号部27へ出力する。尚、従来から、この尤度計算の過程でビット誤り率を算出することができ、ビット誤り率情報として外部に出力させることができる。
【0049】
復号部27は、送信装置1に対応したデインターリーブ処理、誤り訂正復号処理、及びエネルギー逆拡散処理等を行い、シンボル判定部26から得られる情報ビット系列(誤り訂正の符号化が施されているデータ)を復号し出力する。尚、ビット誤り率情報は、復号部27から外部に出力させることもできる。
【0050】
従って、図1に示す本実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3は、従来からの典型的なSC-FDE方式の送信装置1及び受信装置2の各実機を測定対象として、ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータの最適値を自動算出するように構成される。以下、ブースト比パラメータの最適値を自動算出する際の制御例を実施例1とし、マッピングパラメータの最適値及びブースト比パラメータの最適値を自動算出する際の制御例を実施例2として、順に説明する。
【0051】
(実施例1)
図4は、本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3におけるパラメータ制御器32の実施例1の制御フローを示すフローチャートである。
【0052】
まず、操作者は、パラメータ制御器32に対し実施例1に係る測定条件の設定を行う(S1)。
実施例1の測定条件として、以下を外部設定する。
・ブースト比の最小値(例:1.0)、最大値(例:2.0)、及びステップ数(例:0.1)
・C/N設定の最小値(例:10dB)、最大値(例:30dB)、及びステップ数(例:1dB)
・所要ビット誤り率(例:1.0×10-4
・変調方式は、マッピングを固定した16,32,64APSK等の使用が予定されるものに設定。
【0053】
S1にて測定条件の設定後、パラメータ制御器32は、動作を開始して、まず、送信装置1、受信装置2、及びC/N制御器3に対し、初期値(ブースト比を最小値、C/N設定を最小値)を設定し、送信装置1から受信装置2にデータ伝送させる(S2)。
【0054】
続いて、パラメータ制御器32は、送信装置1から受信装置2に伝送されるデータについて、受信装置2からビット誤り率情報を取得する(S3)。
【0055】
次に、パラメータ制御器32は、受信装置2から取得したビット誤り率情報から、そのビット誤り率が、測定条件として設定した「所要ビット誤り率」以下であるか否かを判定する(S4)。
【0056】
ビット誤り率が「所要ビット誤り率」以下でないとき(S4:NO)、パラメータ制御器32は、C/N設定を1ステップ分だけ上げてC/N制御器31に設定して、ビット誤り率の再取得する(S5)。
【0057】
一方、ビット誤り率が「所要ビット誤り率」以下であるとき(S4:YES)、パラメータ制御器32は、当該ブースト比における所要C/Nを算出し、所定の記憶部(図示略)に保持する(S6)。即ち、パラメータ制御器32は、当該ブースト比において、受信装置2から得られるビット誤り率が「所要ビット誤り率」以下になるまで繰り返し、所要ビット誤り率以下になった段階で所要C/Nを計算する。
【0058】
(所要C/Nの算出法)
図5は、本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3におけるパラメータ制御器32に係る所要C/Nの算出法を示す図である。図5に示すように、所要C/Nの算出には、制御フローの測定ループ中で所要ビット誤り率(BER)が設定値以下になったときのC/Nの数値(n)及びそのビット誤り率の数値BER(n)と、そのひとつ前のC/Nの数値(n-1)及びそのビット誤り率の数値BER(n-1)を用いて、このBER(n)及びBER(n)の2点より1次関数を求め、この1次関数に測定条件として設定した「所要ビット誤り率」を代入することで所要C/Nを算出する。
【0059】
図4を参照するに、或るブースト比における所要C/Nの算出後、パラメータ制御器32は、所要C/Nを算出したブースト比が最小値であるか否かを判定し(S7)、ブースト比が最小値である場合(S7:YES)、送信装置1及び受信装置2に対してはブースト比を1ステップ分だけ上げて設定し(S9)、C/N制御器31に対してはC/N設定を最小値に設定し(S10)、その1ステップ分だけ上げたブースト比で、再度、所要C/Nを計算する(S3~S6)。
【0060】
また、ブースト比が最小値でない場合(S7:NO)、パラメータ制御器32は、今回算出した所要C/Nが、1ステップ前のブースト比について算出した所要C/Nより値が小さいか否かを判定し(S8)、小さいと判定したときも(S8:YES)、送信装置1及び受信装置2に対してはブースト比を1ステップ分だけ上げて設定し(S9)、C/N制御器31に対してはC/N設定を最小値に設定し(S10)、その1ステップ分だけ上げたブースト比で、再度、所要C/Nを計算する(S3~S6)。
【0061】
そして、パラメータ制御器32は、ブースト比が最小値でなく(S7:NO)、且つ今回算出した所要C/Nが、1ステップ前のブースト比について算出した所要C/N以上となるまで(S8:NO)、上記のループの測定を繰り返す。
【0062】
今回算出した所要C/Nが、1ステップ前のブースト比について算出した所要C/N以上となった時点で(S8:NO)、パラメータ制御器32は、1ステップ前のブースト比を最適値として決定し、外部出力するか、又は所定の記憶部(図示略)に保持して処理を終了する(S11)。
【0063】
これにより、変調方式及びそのマッピングを固定した測定条件下で、測定対象の送信装置1及び受信装置2に対するブースト比の最適値を精度よく検出することができる。
【0064】
例えば、図6(a)はパラメータ制御器32に係るブースト比パラメータの最適値の測定例を示す図である。図6(a)に示す例では、ブースト比1.0から順に0.1ステップずつ計測した結果、ブースト比1.4まで測定した時点でブースト比1.3が最適値であると判別できるため、ブースト比1.5以降の測定を不要とすることができる。一方、図6(b)は従来からの典型的なSC-FDE方式のブースト比パラメータの最適値の検出に係るシミュレーション例を示す図である。通常、シミュレーション上では上記の測定条件に相当する計算条件内で全て計算した上で最適値を判別するため、効率が良いとは云えず、更に、実機によるものではないことから、ある程度の相関誤差を許容するものとなる。このため、本実施形態に係るシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3では、効率的、且つ精度よくブースト比の最適値を検出できる。
【0065】
(実施例2)
図7は、本発明による一実施形態のシングルキャリア方式パラメータの最適値検出装置3におけるパラメータ制御器32の実施例2の制御フローを示すフローチャートである。
【0066】
まず、操作者は、パラメータ制御器32に対し実施例2に係る測定条件の設定を行う(S21)。
実施例2の測定条件として、以下を外部設定する。
・ブースト比の最小値(例:1.0)、最大値(例:2.0)、及びステップ数(例:0.1)
・C/N設定の最小値(例:10dB)、最大値(例:30dB)、及びステップ数(例:1dB)
・所要ビット誤り率(例:1.0×10-4
・変調方式の選択(例:16,32,64APSK)
・選択した変調方式の振幅に関する最小値(例:正規化値に対する相対値0.1)、最大値(例:正規化値1.0)、及びステップ数(例:相対値0.1)、並びに、位相に関する最小値(例:0度)、最大値(例:90度)、及びステップ数(0.5度)
【0067】
上述したように、送信装置1におけるマッピング部11は、16APSK、32APSK及び64APSK等の変調方式における信号点配置を外部から設定可能であり、変調方式の情報はTMCC信号に埋め込まれる。受信装置2側では、当該変調方式の理想信号点で作動し、対応するビット誤り室情報をパラメータ制御器32に出力する。
【0068】
そこで、本実施例のパラメータ制御器32は、マッピングパラメータを送信装置1に設定しながら、最適値の検出を行う。最適値の測定に係るマッピングパラメータは、各変調方式における内周及び最外周上の信号点数は固定とし、且つ内周上の信号点間の相対位相角、及び最外周上の信号点間の相対位相角も固定とし、内周及び最外周の各振幅と、内周及び最外周のI軸から左回りで最初の信号点の位相角と、を可変設定するパラメータとする。
【0069】
例えば、図8(a)は16APSKのマッピングパラメータを示す図であり、図8(b)は32APSKのマッピングパラメータを示す図である。
【0070】
図8(a)に示す16APSKでは、内周の振幅R1と、最外周の振幅R2と、内周のI軸から左回りで最初の信号点の位相角φ1と、最外周のI軸から左回りで最初の信号点の位相角φ2と、を最適値の測定に用いる可変設定のマッピングパラメータとする。内周の信号点数は4個で固定とし、最外周の信号点数も12個で固定とする。また、内周上の信号点間の相対位相角は90度で固定とし、最外周上の信号点間の相対位相角も30度で固定とする。
【0071】
図8(b)に示す32APSKでは、第1内周の振幅R1と、第2内周の振幅R2と、最外周の振幅R3と、第1内周のI軸から左回りで最初の信号点の位相角φ1と、第2内周のI軸から左回りで最初の信号点の位相角φ2と、最外周のI軸から左回りで最初の信号点の位相角φ3と、を最適値の測定に用いる可変設定のマッピングパラメータとする。第1内周の信号点数は4個で固定とし、第2内周の信号点数も12個で固定とし、最外周の信号点数も16個で固定とする。また、第1内周上の信号点間の相対位相角は90度で固定とし、第2内周上の信号点間の相対位相角は30度で固定とし、最外周上の信号点間の相対位相角も22.5度で固定とする。
【0072】
S21にて測定条件の設定後、パラメータ制御器32は、動作を開始して、送信装置1、受信装置2、及びC/N制御器31に対し、選択した変調方式における振幅及び位相の全ての組み合わせを設定しながら、第1実施形態と同様に、当該変調方式における振幅及び位相の組み合わせ毎に、所要C/Nを算出し、ブースト比の最適値を仮決定する(S22)。
【0073】
続いて、パラメータ制御器32は、当該変調方式における振幅及び位相の全ての組み合わせにおける仮決定したブースト比の最適値のうち、最も所要C/Nが低いブースト比、並びに当該変調方式における振幅及び位相を、最適値として最終決定して所定の記憶部(図示略)に保存する(S23)。
【0074】
(実施例3)
実施例3として、図示を省略するが、上述した実施例2においてブースト比パラメータを固定値として設定し、マッピングパラメータの最適値のみを測定する制御とすることもできる。
【0075】
従って、本実施形態に係るSCパラメータの最適値検出装置3によれば、シミュレーションに依ることなく、且つ高精度に、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータ(ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータ)の最適値を検出することができるようになる。
【0076】
以上の実施形態におけるSCパラメータの最適値検出装置3におけるパラメータ制御器32は、コンピュータにより構成することができ、パラメータ制御器32の各処理を機能させるためのプログラムを好適に用いることができる。具体的には、パラメータ制御器32の各処理を制御するための制御部をコンピュータ内の中央演算処理装置(CPU)で構成でき、且つ、各処理を動作させるのに必要となるプログラムを構成することができる。即ち、そのようなコンピュータに、CPUによって該プログラムを実行させることにより、パラメータ制御器32の各処理の機能を実現させることができる。更に、パラメータ制御器32の各処理の機能を実現させるためのプログラムを、コンピュータに係る記憶部(図示略)に格納させることができる。そのような記憶部は、コンピュータ内部のRAM又はROMなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)で構成させることもできる。更に、そのようなコンピュータに、パラメータ制御器32の各処理を機能させるためのプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録することができる。また、パラメータ制御器32の各処理をハードウェア又はソフトウェアの一部として構成させ、各々を組み合わせて実現させることもできる。
【0077】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述した例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、周波数領域で等化処理を行うSC-FDE方針を例に説明したが、時間領域で等化処理を行うシングルキャリア方式にも適用である。従って、本発明に係る最適値検出装置及びプログラムは、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、シミュレーションに依ることなく、且つ高精度に、シングルキャリア方式の送信装置及び受信装置に係るパラメータ(ブースト比パラメータ又はマッピングパラメータ)の最適値を検出することができるので、シングルキャリア方式に基づいた放送又は通信等の無線伝送システムに有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 送信装置
2 受信装置
3 SCパラメータの最適値検出装置
4 通信ケーブル
10 送信前処理部
11 マッピング部
12 送信ブロック生成部
13 直交変調部
14 DA変換部
15 周波数変換部
16 電力増幅部
21 周波数変換部
22 AD変換部
23 直交復調部
24 ブロック同期部
25 チャネル推定・等化部
26 シンボル判定部
27 復号部
31 C/N制御器
32 パラメータ制御器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8