(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】映像修正装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230720BHJP
H04N 5/262 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
H04N23/60 100
H04N23/60 500
H04N5/262
(21)【出願番号】P 2019111199
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三須 俊枝
(72)【発明者】
【氏名】三ツ峰 秀樹
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/164288(WO,A1)
【文献】特開2006-260338(JP,A)
【文献】特開2010-093713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 5/262- 5/28
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影された映像を記録する映像記録部と、
前記映像が撮影された際の前記カメラの姿勢を示す構図データを検出する検出部と、
前記映像が撮影された各時点に対応付けて前記検出部により検出された構図データを記録する構図記録部と、
前記検出部により検出された現在の構図データと、前記構図記録部により記録されている当該各時点に対応付けられた過去の構図データとに基づいて、前記映像記録部に記録されている当該各時点の過去の映像を幾何変換する画像幾何変換部と、
前記画像幾何変換部により幾何変換された映像を表示させる映像表示部と、
前記幾何変換された映像の少なくとも一部を切り出す映像切出部と、を備え、
前記映像表示部は、
前記映像切出部が予め定めたサイズに切り出した第1映像を表示させ、
前記映像切出部は、
前記第1映像に含まれ、且つ前記サイズより小さい第2映像を外部装置に出力する
映像修正装置。
【請求項2】
前記画像幾何変換部は、
前記現在の構図データと、
前記構図記録部に記録され、現在の時刻から所定の時間だけ遡った前記過去の構図データとに基づいて、
前記過去の映像を幾何変換する
請求項
1に記載の映像修正装置。
【請求項3】
前記映像記録部は、
制御信号に応じて、前記所定の時間だけ遡った前記過去の映像を出力し、
前記構図記録部は、
制御信号に応じて、前記所定の時間だけ遡った前記過去の構図データを出力する
請求項
2に記載の映像修正装置。
【請求項4】
切替信号に応じて、前記映像、又は前記幾何変換された映像のうちの何れか一方を、前記映像表示部に出力する切替部を有する
請求項
2、又は
3に記載の映像修正装置。
【請求項5】
前記幾何変換された映像、前記第1映像、又は前記第2映像の少なくとも何れか1つを記録する修正映像記録部と、
前記検出部による現在の姿勢を記録する修正姿勢記録部と、を備える
請求項
1乃至
4の何れか1項に記載の映像修正装置。
【請求項6】
映像が撮影された際のカメラの姿勢を示す構図データを検出する検出部により検出された現在の構図データと、
前記映像が撮影された各時点に対応付けて前記検出部により検出された構図データを記録する構図記録部に記録されている、当該各時点に対応付けられた過去の構図データと、に基づいて、
前記カメラで撮影された映像を記録する映像記録部に記録されている当該各時点の映像を幾何変換し、
映像表示部により、幾何変換された映像を表示させ
、
映像切出部により、前記幾何変換された映像の少なくとも一部を切り出し、
前記映像表示部は、
前記映像切出部が予め定めたサイズに切り出した第1映像を表示させ、
前記映像切出部は、
前記第1映像に含まれ、且つ前記サイズより小さい第2映像を外部装置に出力する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像修正装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラ(カメラ)により撮影された映像の構図を、撮影後に修正する技術が知られている。例えば、特許文献1には、撮影された映像に含まれる被写体、当該映像のフレーム間での動き、及び当該映像が撮影された際のカメラの姿勢等に基づいて切り出し枠を決定し、切り出し枠を用いて、撮影された映像から一部を切り出して新たな映像を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、映像の構図が適切でない場合がある。本発明は、映像の構図を適切に修正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る映像修正装置は、カメラで撮影された映像を記録する映像記録部と、前記映像が撮影された際の前記カメラの姿勢を示す構図データを検出する検出部と、前記映像が撮影された各時点に対応付けて前記検出部により検出された構図データを記録する構図記録部と、前記検出部により検出された現在の構図データと、前記構図記録部により記録されている当該各時点に対応付けられた過去の構図データとに基づいて、前記映像記録部に記録されている当該各時点の過去の映像を幾何変換する画像幾何変換部と、前記画像幾何変換部により幾何変換された映像を表示させる映像表示部と、前記幾何変換された映像の少なくとも一部を切り出す映像切出部と、を備え、前記映像表示部は、前記映像切出部が予め定めたサイズに切り出した第1映像を表示させ、前記映像切出部は、前記第1映像に含まれ、且つ前記サイズより小さい第2映像を外部装置に出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、映像の構図を適切に修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る映像修正装置の構成例を説明する図である。
【
図2】実施形態に係る映像修正装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る映像修正装置のカメラワーク変更部の構成例のブロック図である。
【
図4】撮影映像と表示映像と出力映像の関係を説明する図である。
【
図5】構図変更過去映像と表示映像と出力映像の関係を説明する図である。
【
図6】ビューファインダの表示画面に表示された表示映像の一例を説明する図である。
【
図7】実施形態に係る映像修正装置のカメラワーク変更部による処理例を示す図である。
【
図8】変形例に係る映像修正装置のカメラワーク変更部の構成例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
実施形態では、カメラにより撮影され、記録部に記録された映像の構図を撮影後に修正する映像修正装置1について説明する。なお、実施形態の説明では、時刻tにおける映像(映像フレーム)を、この映像を表す記号の後に(t)を付して示す。一例として、時刻tにおけるカメラ映像Qを、カメラ映像Q(t)として示す。
【0010】
実施形態では、現在のカメラの構図データと、すでに撮影されたカメラ映像に対応付けて記録されている過去の構図データとに基づいて、過去映像を幾何変換し、過去映像の構図を修正する。なお、当該構図データには、例えば、ユーザによるカメラの撮影操作に応じて変化するカメラのヨー角、ピッチ角、及びロール角の少なくとも1つを含む姿勢の情報が含まれる。
【0011】
<装置の全体構成>
まず、実施形態に係る映像修正装置1の全体構成を説明する。
図1は、実施形態に係る映像修正装置1の構成の一例を説明する図である。
図2は、映像修正装置1の構成例を示すブロック図であり、映像修正装置1は、カメラ2と、雲台3と、検出部4と、カメラワーク変更部5と、ビューファインダ6と、切替スイッチ7と、タリーライト8とを備えて構成され、雲台3は、さらにズームデマンド31及びフォーカスデマンド32を備える。
【0012】
雲台3に固定されたカメラ2は、被写体を撮影したカメラ映像を雲台3に設けたカメラワーク変更部5に出力する。また、カメラ2は、ビューファインダ6を備えている。
【0013】
雲台3は、三脚33に姿勢を変化可能に取り付けられ、撮影操作に応じて姿勢が変化する機構部材である。雲台3の姿勢が変化することで、雲台3に固定されたカメラ2の姿勢が変化する。雲台3の姿勢は、雲台3に設けられた検出部4により検出される。
【0014】
撮影操作者は、ズームデマンド31及びフォーカスデマンド32を用いて、雲台3の姿勢を変化させ、カメラ2の姿勢を変化させることができる。
【0015】
検出部4は、撮影操作者がズームデマンド31及びフォーカスデマンド32を用いて行った撮影操作に応じたカメラ2の姿勢、又はズーム量の少なくとも何れか一方を検出する。カメラ2の姿勢とは、三脚33に固定された座標系とカメラ2に固定された座標系との間の回転を規定するパラメータであって、例えば、回転行列、方向余弦、オイラー角、オイラーパラメータ(クォータニオン)などである。例えば、前記オイラー角による姿勢表現の一つとして、
図1に矢印で示したZ軸(パン軸)回りの回転角を示すヨー角と、X軸(チルト軸)回りの回転角を示すピッチ角と、Y軸(ロール軸)回りの回転角を示すロール角とを含むものがある。検出部4は、撮影操作にかかるカメラ2の姿勢を決定するパラメータの少なくとも1つ(例えば、「ヨー角、ピッチ角、及びロール角の少なくとも1つ」)を検出し、映像の構図データとしてカメラワーク変更部5に出力する。ここで、映像の構図とは、映像の中の被写体の大きさや、位置及び角度の構成をいう。
カメラワーク変更部5は、検出部4が検出した現在の構図データと、過去映像に対応付けて記録されている過去の構図データとに基づき、過去映像に幾何変換画像処理を施すものである。そして、カメラワーク変更部5は、幾何変換処理が施された後の構図変更過去映像をビューファインダ6及び外部装置に出力する。
【0016】
映像表示部の一例としてのビューファインダ6は、カメラワーク変更部5から入力した構図変更過去映像を表示させる。
【0017】
撮影操作者は、ビューファインダ6に表示される構図変更過去映像を視認しながら、あたかも現実のカメラで撮影した映像を視認しているかのように、撮影操作で過去映像の構図を修正することができる。
【0018】
切替スイッチ7は、ズームデマンド31に設けられたプッシュボタン等である。切替スイッチ7は、カメラワーク変更部5に含まれる切替器に接続される。撮影操作者により切替スイッチ7のプッシュボタンが押下されると切替器が作動し、ビューファインダ6に表示される映像が、カメラ2による撮影映像、又はカメラワーク変更部5による構図変更過去映像の何れか一方に切替る。
【0019】
切替スイッチ7として、テレビジョン放送の撮影等で用いられるリターンスイッチを使用してもよい。リターンスイッチは、放送用カメラのズームデマンド等に設けられ、カメラモニターに表示される映像を、カメラによる撮影映像、又はテレビ受像機に配信された後の映像の何れか一方に切り替えるものである。
【0020】
但し、切替スイッチ7はカメラ2の撮影操作者が押下するものに限定されるものではない。映像修正装置1から離れた位置に、撮影操作者以外の者が押下可能な切替スイッチ7を設けてもよい。この場合は、撮影操作者以外の者の判断により映像の切替が行われ、撮影操作者には映像が切り替わることが事前に通知される。
【0021】
また、切替信号は切替スイッチ7によるものに限定されず、映像修正装置1の撮影操作や、映像スイッチャ等の外部装置の切替操作に連動して切替信号が出力されるようにしてもよい。さらに、映像修正装置1に接続された外部装置で実行される人工知能等のプログラムが切替信号を制御するようにしてもよい。
【0022】
タリーライト8は、カメラ2に取り付けられ、カメラワーク変更部5に含まれる切替電気回路に電気的に接続された表示灯である。切替スイッチ7等による切替信号に応じて、タリーライト8は点灯する色を異ならせる。一例として、ビューファインダ6に表示される映像がカメラ2によるカメラ映像である場合、タリーライト8は赤色に点灯する。一方、ビューファインダ6に表示される映像が構図変更過去映像である場合、タリーライト8は黄色に点灯する。
【0023】
カメラ2の撮影操作者以外の者は、タリーライト8の点灯の色を視認し、ビューファインダ6に表示される映像がカメラ2によるカメラ映像か構図変更過去映像かを認識する。
【0024】
図2に戻って、実施形態に係る映像修正装置1の構成の説明を続ける。
図2において、検出部4は、パンロータリエンコーダ41と、チルトロータリエンコーダ42と、ロールロータリエンコーダ43と、ズーム量センサ44とを備えるものである。
【0025】
パンロータリエンコーダ41は、雲台3のパン軸回り(
図1のZ軸回り)の回転角(ヨー角)を検出する。また、チルトロータリエンコーダ42は、雲台3のチルト軸回り(
図1のX軸回り)の回転角(ピッチ角)を検出し、ロールロータリエンコーダ43は、雲台3のロール軸回り(
図1のY軸回り)の回転角(ロール角)を検出する。これらの検出値はカメラワーク変更部5に出力される。
【0026】
<カメラワーク変更部5の機能構成>
次に、
図3は、実施形態に係るカメラワーク変更部5のブロック図である。
図3に示すように、カメラワーク変更部5は、映像記録部101と、構図記録部102と、画像幾何変換部103と、切替部104と、映像切出部105とを備える。
【0027】
カメラワーク変更部5はコンピュータにより構築され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、切替電気回路、各種の入出力I/F(Interface)等を備える。CPUが、RAMをワークエリア(作業領域)として、ROMに格納された所定のプログラムを実行すること等により、後述するカメラワーク変更部5の各機能ブロックが実現される。なお、CPUで行う処理の一部、又は全部を、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のワイヤードロジックによるハードウェアで実現してもよい。
【0028】
カメラワーク変更部5は、映像記録部101と、構図記録部102と、画像幾何変換部103と、切替部104と、映像切出部105とを備える。
【0029】
カメラワーク変更部5は検出部4に備えた検出用I/Fを介して検出部4に電気的に接続され、検出部4により検出されたカメラ2の構図データを入力する。また、カメラワーク変更部5は、雲台3に備えたカメラ用I/Fを介してカメラ2に電気的に接続され、カメラ2によるカメラ映像を入力する。
【0030】
カメラワーク変更部5に含まれる切替部104は、検出部4に備えた信号入力用I/Fを介して切替スイッチ7に電気的に接続され、切替スイッチ7による切替信号を入力する。切替部104は、切替信号に応じて切替器を作動させ、ビューファインダ6に表示される映像を切替える。
【0031】
また、カメラワーク変更部5は、信号入力用I/Fを介してPC(Personal Computer)等の外部装置に電気的に接続され、現在時刻から遡った遡及時間を示す制御信号を外部装置から入力する。さらに、カメラ2によるカメラ映像、又は構図変更過去映像の何れか一方を外部装置に出力することができる。なお、画像幾何変換部103、及び映像切出部105は、CPUが所定のプログラムを実行すること等により実現される。
【0032】
映像記録部101は、カメラ2によるカメラ映像Q(t)を入力し、カメラ映像Q(t)を時々刻々と記録する。なお、映像記録部101は、カメラ2による撮影の間にカメラ映像を常時記録するようにすると、映像記録部101からのカメラ映像の読み出しが容易になるため、好適である。
【0033】
映像記録部101は、遡及時間uを示す制御信号に応じて、現在の時刻tから遡及時間uだけ遡った過去の時刻t-uにおける過去映像Q(t-u)を画像幾何変換部103に出力する。ここで、遡及時間uは「所定の時間」の一例である。
【0034】
構図記録部102は、カメラ映像Q(t)の撮影時に検出部4が検出した構図データA(t)をカメラ映像Q(t)に同期して時々刻々と記録する。
【0035】
構図記録部102は、遡及時間uを示す制御信号に応じて、現在の時刻tから遡及時間uだけ遡った過去の時刻t-uにおける過去構図データA(t―u)を画像幾何変換部103に出力する。
【0036】
なお、映像記録部101がカメラ映像Q(t)と共にタイムコードを記録し、また、構図記録部102が構図データA(t)と共にタイムコードを記録する場合、制御信号としてタイムコードを示す信号を用いてもよい。遡及時間uには、数秒や数分、数時間、数日等のさまざまな長さの単位の時間を設定できる。
【0037】
カメラ2の撮影操作者以外の者が、映像修正装置1から離れた位置に設けられた切替スイッチ7を押下する場合、撮影操作者以外の者が外部装置を操作して遡及時間uを制御できる。この場合、遡及時間uと切替スイッチ7による切替のタイミングは、撮影操作者以外の者により判断される。
【0038】
画像幾何変換部103は、構図データA(t)と、過去構図データA(t-u)とに基づき、過去映像Q(t-u)に対して幾何変換画像処理を実行するものである。以下、画像幾何変換部103による幾何変換画像処理の詳細を説明する。
【0039】
構図データA(t)及び過去構図データA(t-u)は、上述したように、雲台3の姿勢とカメラ2の撮影画角の情報を含む。例えば、姿勢は、オイラー角、オイラーパラメータ、回転行列である姿勢変換行列等を用いて表現される。また、オイラー角を用いる場合には、パン角(アジマス角、ヨー角、又は方位角)、チルト角(エレベーション角、ピッチ角、又は仰角)、及びロール角といったパラメータが用いられる。一方、撮影画角に関する情報は、角度や焦点距離等により表現される。
【0040】
さらに、雲台3の姿勢とカメラ2の撮影画角の情報を併せ、予め定められた所定の基準姿勢と基準撮影画角におけるカメラ映像を射影変換するホモグラフィ行列により構図データを表現してもよい。
【0041】
本実施形態では、構図データを3行3列のホモグラフィ行列により表現するものとする。つまり、基準姿勢と基準撮影画角におけるカメラ映像をQ0(t)とし、カメラ映像Q0(t)の画素位置[x0、y0]Tを、構図データA(t)及び過去構図データA(t-u)におけるカメラ映像Q(t)の画素位置[x、y]Tに射影変換するホモグラフィ行列により、構図データA(t)及び過去構図データA(t-u)を表現する。なお、上記の上付き文字Tは転置行列を意味している。
【0042】
以下の(1)式は、カメラ映像Q0(t)の画素位置[x0、y0]Tをカメラ映像Q(t)の画素位置[x、y]Tに射影変換するための変換式を示している。
【0043】
【0044】
但し、(1)式において、σはスケールを表す定数である。
【0045】
画像幾何変換部103は、現在の時刻tから遡及時間uだけ遡った過去の時刻t-uにおける過去映像Q(t-u)を映像記録部101から入力する。また、過去の時刻t-uにおける過去構図データA(t-u)を構図記録部102から入力し、現在の時刻tに検出部4が検出した構図データA(t)を検出部4から入力する。画像幾何変換部103は、これらを用い、以下の(2)式により、構図変更過去映像J(t-u)を算出する。
【0046】
【0047】
但し、(2)式において、sはスケールを表す定数である。ここで、(2)式の射影変換は、「幾何変換」の一例である。
【0048】
画像幾何変換部103は、構図変更過去映像J(t-u)を切替部104に出力する。
【0049】
切替部104は、切替器により実現され、切替スイッチ7から入力した切替信号に応じて、カメラ2によるカメラ映像、又は構図変更過去映像のうちの何れか一方を、映像切出部105に出力する。
【0050】
より詳しくは、切替部104は、カメラ2によるカメラ映像Q(t)を入力し、また、画像幾何変換部103から構図変更過去映像J(t-u)を入力する。そして、切替スイッチ7から入力した切替信号kに応じて、出力モードを撮影モード(k=0)、又は修正モード(k=1)の何れか一方に切り替える。
【0051】
出力モードが撮影モードである場合、切替部104は、選択映像K(t)としてカメラ映像Q(t)を、映像切出部105に出力する。一方、出力モードが修正モードである場合、切替部104は、選択映像K(t)として、構図変更過去映像J(t-u)を、映像切出部105に出力する。以下の(3)式は、切替信号kに応じて切替部104が出力する選択映像K(t)を示している。
【0052】
【0053】
映像切出部105は、出力モードが撮影モードである場合、カメラ映像Q(t)の少なくとも一部を切り出す画像処理を実行する。そして、切り出した映像をビューファインダ6に表示させる表示映像V(t)として、ビューファインダ6に出力する。また、切り出した映像を外部装置に出力する出力映像U(t)として、映像送信装置等の外部装置に出力する。
【0054】
また、映像切出部105は、出力モードが修正モードである場合、構図変更過去映像J(t-u)の少なくとも一部を切り出す画像処理を実行する。そして、切り出した映像をビューファインダ6に表示させる表示映像V(t-u)として、ビューファインダ6に出力する。また、切り出した映像を外部装置に出力する出力映像U(t-u)として、外部装置に出力する。
【0055】
ここで、表示映像V(t-u)と出力映像U(t-u)のサイズ(切出範囲)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。但し、出力映像U(t-u)が表示映像V(t-u)に含まれ、また、表示映像V(t-u)より小さいサイズの映像になるように、選択映像K(t)から出力映像U(t-u)を切り出すと、より好適である。この場合、出力映像U(t-u)は表示映像V(t-u)よりサイズが小さいため、表示映像V(t-u)内の一部の範囲が切出されることになる。そのため、カメラ2の撮影操作者は、表示映像V(t-u)を視認しながら、表示映像V(t-u)内の所望の範囲を撮影操作で切出すことができる。
【0056】
つまり、表示映像V(t-u)内で出力映像U(t-u)の範囲を選択する余裕(のり代)ができる。この余裕がないと、撮影操作に応じて表示映像V(t-u)に無効領域が含まれた場合に、無効領域がそのまま含まれた出力映像U(t-u)が出力される。これに対し、余裕を持たせることで無効領域が含まれないように出力映像U(t-u)の範囲を選択することが可能になる。ここで、表示映像V(t-u)は「第1映像」の一例であり、出力映像U(t-u)は「第2映像」の一例である。
【0057】
なお、上述した例では、修正モードにおける表示映像V(t-u)と出力映像U(t-u)のサイズについて述べたが、撮影モードにおける表示映像V(t)と出力映像U(t)のサイズにおいても同様である。
【0058】
ビューファインダ6は、映像切出部105から入力した表示映像V(t)又はV(t-u)を表示させる。
【0059】
<カメラワーク変更部5の映像処理の具体例>
次に、カメラワーク変更部5の映像処理の具体例について説明する。まず、
図4~
図6を参照して、カメラ映像Q(t)、表示映像V(t)、出力映像U(t)、過去映像Q(t-u)、構図変更過去映像J(t-u)、表示映像V(t-u)、及び出力映像U(t-u)の関係を説明する。ここで、
図4~6は、競技場でサッカーの試合を撮影した場合を示す。
【0060】
図4は、カメラ映像Q(t)と、表示映像V(t)と、出力映像U(t)の関係の一例を説明する図である。
図4において、カメラ映像Q(t)は、カメラ2により撮影された映像である。カメラ映像Q(t)は、映像記録部101に記録される。一例として、カメラ映像Q(t)は、横×縦が7680×4320画素の8K映像である。なお、
図4のカメラ映像Q(t)を示したが、過去映像Q(t-u)も、読み出される時刻を除いて、カメラ映像Q(t)と同様である。
【0061】
表示映像V(t)は、ビューファインダ6に表示される映像である。
図4に示すように、表示映像V(t)は、カメラ映像Q(t)の一部の範囲に該当する。但し、カメラ映像Q(t)の全部の範囲であってもよい。出力モードが撮影モード(k=0)の時に、選択映像K(t)として、カメラ映像Q(t)が映像切出部105に出力される。映像切出部105は、選択映像K(t)から表示映像V(t)を切り出す。一例として、表示映像V(t)は、横×縦が3840×2160画素の4K映像である。
【0062】
出力映像U(t)は、外部装置に出力される映像である。
図4に示すように、出力映像U(t)は、表示映像V(t)の一部の範囲に該当する。但し、表示映像V(t)の全部の範囲であってもよい。出力モードが撮影モードの時に、選択映像K(t)としてカメラ映像Q(t)が映像切出部105に出力される。映像切出部105は、選択映像K(t)から出力映像U(t)を切り出す。一例として、出力映像U(t)は、横×縦が1920×1080画素の2K映像(ハイビジョン映像)である。
【0063】
なお、
図4では、表示映像V(t)を示す範囲を一点鎖線の四角形で示し、出力映像U(t)を示す範囲を破線の四角形で示したが、これらの図形は、
図4において映像の範囲を説明するためのものであり、映像に表示される図形ではない。
【0064】
図5は、構図変更過去映像J(t-u)と、表示映像V(t-u)と、出力映像U(t-u)の関係の一例を説明する図である。
図5において、構図変更過去映像J(t-u)は、映像記録部101が出力した過去映像Q(t-u)に対し、画像幾何変換部103が射影変換した後の映像である。構図変更過去映像J(t-u)は、横×縦が7680×4320画素の8K映像である。
【0065】
図5に示すように、射影変換により、構図変更過去映像J(t-u)内で、過去映像Q(t-u)の位置及び傾きが変化している。構図変更過去映像J(t-u)内の有効領域51は、射影変換された過去映像Q(t-u)の一部の範囲に該当する。一方、格子ハッチングで示した無効領域52は、射影変換により過去映像Q(t-u)から外れた範囲(映像フレーム外の範囲)に該当する。なお、無効領域52とは、画素輝度値が規定されない領域である。
【0066】
表示映像V(t-u)は、構図変更過去映像J(t-u)の一部、又は全部の範囲に該当する。出力モードが修正モード(k=1)の時に、選択映像K(t)として、構図変更過去映像J(t-u)が映像切出部105に出力される。映像切出部105は、選択映像K(t)から表示映像V(t-u)を切り出す。表示映像V(t-u)は横×縦が3840×2160画素の4K映像である。
【0067】
射影変換による過去映像Q(t-u)の位置や傾きの変化に応じて、表示映像V(t-u)も位置や傾きが変化する。この射影変換は、上述したように、撮影操作に応じた姿勢等を検出部4が検出した構図データA(t)と、構図記録部102が出力した過去構図データA(t-u)とに基づくものである。撮影操作者は、撮影操作に応じて変化する表示映像V(t-u)を、ビューファインダ6により視認しながら、映像の構図の修正を行うことができる。
【0068】
図5では、表示映像V(t-u)の一部に無効領域52が含まれているが、撮影操作によって、表示映像V(t-u)に無効領域52が含まれないようにすることができる。或いは、映像切出部105が無効領域52を検知して、無効領域52が含まれないように、構図変更過去映像J(t-u)における切出範囲を変えるようにしてもよい。
【0069】
出力映像U(t-u)は、表示映像V(t-u)の一部、又は全部の範囲に該当する。切替部104に入力される切替信号k=1の時に、選択映像K(t)として、構図変更過去映像J(t-u)が映像切出部105に出力される。映像切出部105は、選択映像K(t)から出力映像U(t-u)を切り出す。出力映像U(t-u)は、横×縦が1920×1080画素の2K映像である。
【0070】
この場合、撮影モード(k=0)の時の出力映像U(t)の範囲が、修正モード(k=1)の時の出力映像U(t-u)の範囲を包含すると好適である。このようにすることで、撮影モードの時、すなわち無効領域が生じない時に、映像範囲全体を有効活用して解像感のある出力映像U(t)を出力することができる。また一方で、修正モードの時、すなわち無効領域が存在し得る時に、無効領域が出力映像U(t-u)に生じにくくすることができる。
【0071】
なお、
図4と同様に、
図5では表示映像V(t-u)を示す範囲を一点鎖線の四角形で示し、出力映像U(t-u)を示す範囲を破線の四角形で示したが、これらの図形は、
図5において映像の範囲を説明するためのものであり、映像に表示される図形ではない。
【0072】
次に、
図6は、ビューファインダ6の表示画面6aに表示された表示映像V(t-u)の一例を説明する図である。
図6に示すように、表示画面6a内に、表示映像V(t-u)が表示されている。
図6における表示映像V(t-u)は、
図5における表示映像V(t-u)を切出して示したものである。撮影操作者はビューファインダ6により、
図6に示すような表示映像V(t-u)を視認することができる。
【0073】
図6に示すように、出力映像U(t-u)は表示映像V(t-u)内に含まれている。ビューファインダ6の表示画面6aに、出力映像U(t-u)の範囲を示すマーカーを表示させてもよい。
図6に破線で示した四角形は、このようなマーカーを示している。マーカーを表示させることで、撮影操作者は表示映像V(t-u)内での出力映像U(t-u)の範囲を認識しながら撮影操作を行うことができ、映像の構図をより修正し易くなる。
【0074】
マーカーを表示した映像を表示映像V(t-u)に重畳させて撮影操作者に視認させてもよいし、ビューファインダ6の表示画面6aに印刷やエッチングで形成して視認させてもよい。また、表示画面6aに被せる透明又は半透明の板に、印刷またはエッチングでマーカーを形成してもよいし、表示画面6aにマーカーを光学的に投影してもよい。また、表示画面6aに透過型ディスプレイを被せ、透過型ディスプレイにマーカーを表示させてもよい。
【0075】
一方、
図6に示すように、撮影操作によっては、表示映像V(t-u)に無効領域61が含まれる場合がある。この場合は、無効領域61に、無効領域警告を表示させることが好適である。ここで、無効領域警告とは、無効領域が表示映像V(t-u)に含まれることを撮影操作者に認識させるために、表示映像V(t-u)に表示させた警告表示をいう。一例として、無効領域警告は、表示映像V(t-u)に含まれる無効領域61を所定の色又は輝度のべた塗りで塗り潰した表示である。或いは、ハッチングや市松格子模様等の幾何学的なパターン、又は点滅や所定パターンの移動等による時間的に変化するパターンを表示するものであってもよい。無効領域警告を表示させることで、撮影操作者は、表示映像V(t-u)に無効領域61が含まれていることを、より認識し易くなる。
【0076】
<カメラワーク変更部5の動作>
次に、カメラワーク変更部5の動作について説明する。
図7は、カメラワーク変更部5による処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS71において、映像記録部101及び構図記録部102のそれぞれは、遡及時間uを示す制御信号を入力する。
【0078】
続いて、ステップS72において、映像記録部101は、カメラ2によるカメラ映像Q(t)を入力する。
【0079】
続いて、ステップS73において、映像記録部101は、入力したカメラ映像Q(t)を時々刻々と記録する。
【0080】
続いて、ステップS74において、構図記録部102は、検出部4による構図データA(t)を入力する。
【0081】
続いて、ステップS75において、構図記録部102は、入力した構図データA(t)を、カメラ映像Q(t)の記録に同期して時々刻々と記録する。
【0082】
続いて、ステップS76において、映像記録部101は、現在の時刻tから遡及時間uだけ遡った過去の時刻t-uにおける過去映像Q(t-u)を画像幾何変換部103に出力する。
【0083】
続いて、ステップS77において、構図記録部102は、現在の時刻tから遡及時間uだけ遡った過去の時刻t-uにおける過去構図データA(t―u)を画像幾何変換部103に出力する。
【0084】
ここで、ステップS72~S73の処理と、ステップS74~S75の処理は、適宜順番を入れ替えても良い。また、ステップS72~S73の処理と、ステップS74~S75の処理とが並行して行われてもよい。同様に、ステップS76の処理と、ステップS77の処理は、適宜順番を入れ替えても良く、ステップS76の処理と、ステップS77の処理とが並行して行われてもよい。
【0085】
続いて、ステップS78において、画像幾何変換部103は、検出部4から入力した構図データA(t)と、構図記録部102から入力した過去構図データA(t-u)とに基づき、映像記録部101から入力した過去映像Q(t-u)を射影変換する。そして、画像幾何変換部103は、処理後の構図変更過去映像J(t-u)を切替部104に出力する。
【0086】
続いて、ステップS79において、切替部104は、切替スイッチ7から入力した切替信号kに応じて、出力モードを撮影モード(k=0)、又は修正モード(k=1)の何れか一方に切り替える。
【0087】
ステップS79で、出力モードが修正モードである場合(ステップS79、Yes)、切替部104は、選択映像K(t)として構図変更過去映像J(t-u)を映像切出部105に出力し、ステップS80に移行する。
【0088】
ステップS80において、映像切出部105は、切替部104から入力した構図変更過去映像J(t-u)の少なくとも一部を切り出す画像処理を実行する。そして、構図変更過去映像J(t-u)から切りした表示映像V(t-u)をビューファインダ6に出力し、構図変更過去映像J(t-u)から切出した出力映像U(t-u)を外部装置に出力する。
【0089】
続いて、ステップS81において、ビューファインダ6は、表示映像V(t-u)を表示させる。
【0090】
続いて、ステップS82において、映像切出部105は、出力映像U(t-u)を外部装置に出力する。
【0091】
一方、ステップS79で、出力モードが修正モードでない場合(ステップS79、No)、切替部104は、選択映像K(t)としてカメラ映像Q(t)を映像切出部105に出力し、ステップS83に移行する。
【0092】
ステップS83において、映像切出部105は、切替部104から入力したカメラ映像Q(t)の少なくとも一部を切り出す画像処理を実行する。そして、カメラ映像Q(t)から切り出した表示映像V(t)をビューファインダ6に出力し、カメラ映像Q(t)から切出した出力映像U(t)を外部装置に出力する。
【0093】
続いて、ステップS84において、ビューファインダ6は、表示映像V(t)を表示させる。
【0094】
続いて、ステップS85において、映像切出部105は、出力映像U(t)を外部装置に出力する。
【0095】
このようにして、映像修正装置1は、カメラにより撮影され、記録部に記録された映像の構図を、撮影後に修正することができる。
【0096】
<カメラワーク変更部5の作用効果>
以上説明してきたように、本実施形態では、映像記録部101が出力した過去映像Q(t-u)が撮影された際の過去構図データA(t-u)と、検出部4により検出された現在の構図データA(t)とに基づき、過去映像Q(t-u)を射影変換する。そして、構図変更過去映像J(t)をビューファインダ6に表示させる。カメラ2の撮影操作者は、構図変更過去映像J(t)の一部を切り出した表示映像V(t-u)をビューファインダ6で視認しながら撮影操作を行えるため、あたかも現実のカメラにより撮影操作を行っているような操作感覚で、過去映像Q(t-u)の構図を修正することができる。また、過去構図データA(t-u)に対する現在の構図データA(t)の変化から、過去映像Q(t-u)の構図を修正するため、過去の時刻t-uにおける過去映像Q(t-u)(プレイバック映像)の構図を、より正確に修正することができる。これらにより、カメラ2の撮影操作者の意図を、映像の構図の修正に適切に反映させることができる。
【0097】
また、本実施形態では、カメラ2によるカメラ映像Q(t)を映像記録部101に記録し、カメラ映像Q(t)が撮影された際の構図データA(t)を構図記録部102に記録する。そして、過去の時刻t-uにおける過去映像Q(t-u)及び過去構図データA(t-u)を読み出し、過去構図データA(t-u)と、構図データA(t)とに基づいて、過去映像Q(t-u)を射影変換する。これにより、カメラ2によるカメラ映像Q(t)を記録しながら、カメラ2の撮影操作者は、過去映像Q(t-u)の構図を修正することができる。
【0098】
一例として、カメラ2の撮影操作者がスポーツ競技等の撮影を行う場合において、遡及時間uを5秒とすると、カメラ2の撮影操作者は、現実のシーンを目にしながら5秒前の過去映像Q(t-5)の構図を修正することができる。そのため、競技者や競技で使用されるボールが動く方向を現実のシーンを視認して事前準備したうえで、競技者やボールが映像内に含まれるように、過去映像Q(t-5)の構図を修正することができる。これにより、競技者やボールを映像から外すことなく、競技の中で重要となる決定的なシーンを画角に収めることが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では、画像幾何変換部103による構図変更過去映像J(t-u)の少なくとも一部を切り出す画像処理を実行し、ビューファインダ6は、所定サイズの表示映像V(t-u)を表示させ、映像切出部105は、表示映像V(t-u)に含まれ、且つ所定サイズより小さい出力映像U(t-u)を出力する。
【0100】
出力映像U(t-u)は表示映像V(t-u)よりサイズが小さいため、表示映像V(t-u)内の一部の範囲が切出されることになる。そのため、撮影操作者は、表示映像V(t-u)を視認しながら、表示映像V(t-u)内の所望の範囲を選択して切出すことができる。つまり、表示映像V(t-u)内で出力映像U(t-u)の範囲を選択する余裕ができ、撮影操作に応じて表示映像V(t-u)に無効領域が含まれた場合でも、この無効領域が含まれないように出力映像U(t-u)の範囲を選択することが可能になる。
【0101】
さらに、本実施形態では、カメラによるカメラ映像Q(t)、又は構図変更過去映像J(t-u)のうちの何れか一方を出力する切替部104を備え、また、遡及時間uを示す制御信号を入力する。これにより、現在のカメラ映像Q(t)と、映像の構図が修正された構図変更過去映像J(t-u)の表示及び出力を適宜変更でき、また、遡及時間uを適宜変更することができる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。以下において、変形例を説明する。
【0103】
(変形例)
変形例に係る映像修正装置1aについて説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0104】
図8は、変形例に係る映像修正装置1aの備えるカメラワーク変更部5a(コンピュータ)の構成の一例を概念的な機能ブロックで示す図である。
図8に示すように、カメラワーク変更部5aは、映像記録部101aと、構図記録部102aと、画像幾何変換部103aとを備える。
【0105】
画像幾何変換部103aは、入力した構図データA(t)及び過去構図データA(t-u)に基づき、過去映像Q(t-u)を射影変換する。そして構図変更過去映像J(t-u)を、切替部104及び映像記録部101aに出力し、また、過去構図データA(t-u)を構図記録部102aに出力する。
【0106】
「修正映像記録部」の一例としての映像記録部101aは、構図変更過去映像J(t-u)を記録する。また、「修正姿勢記録部」の一例としての構図記録部102aは、画像幾何変換部103aから入力した過去構図データA(t-u)を記録する。
【0107】
このように、本変形例では、映像記録部101aと、構図記録部102aと、画像幾何変換部103aとを備えることで、映像の構図が修正された構図変更過去映像J(t-u)及び過去構図データA(t-u)を記録し、保存することができる。この場合、カメラ映像Q(t)に上書きするように構図変更過去映像J(t-u)を記録し、構図データA(t)に上書きするように過去構図データA(t-u)を記録すると、記憶装置の記憶容量を削減できるため、好適である。
【0108】
また、上述した例では、構図変更過去映像J(t-u)を映像記録部101aが記録するものを説明したが、映像記録部101aは、映像切出部105が出力した表示映像V(t-u)、又は出力映像U(t-u)を記録してもよい。換言すると、映像記録部101aは、構図変更過去映像J(t-u)、表示映像V(t-u)、又は出力映像U(t-u)の少なくとも何れか1つを記録することができる。
【0109】
以上、変形例について説明したが、上述したもの以外にも、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。また、上述した実施形態、変形例の一部又は全部を組み合わせることも可能である。
【0110】
なお、実施形態では、映像記録部101及び構図記録部102を映像修正装置1が備える例を示したが、これらの記録部は映像修正装置1の外部に設けられていてもよい。映像修正装置1の外部の装置として、クラウドストレージサーバ等が挙げられる。
【0111】
また実施形態は、プログラムも含む。プログラムは、映像が撮影された際のカメラの姿勢を示す構図データを検出する検出部により検出された現在の構図データと、前記映像が撮影された各時点に対応付けて前記検出部により検出された構図データを記録する構図記録部に記録されている、当該各時点に対応付けられた過去の構図データと、に基づいて、前記カメラで撮影された映像を記録する映像記録部に記録されている当該各時点の映像を、幾何変換し、幾何変換された映像を表示させる、処理をコンピュータに実行させる。このようなプログラムにより、上述した映像修正装置と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 映像修正装置
2 カメラ
3 雲台
31 ズームデマンド
32 フォーカスデマンド
33 三脚
4 検出部
41 パンロータリエンコーダ
42 チルトロータリエンコーダ
43 ロールロータリエンコーダ
44 ズーム量センサ
5 カメラワーク変更部
6 ビューファインダ(映像表示部の一例)
7 切替スイッチ
8 タリーライト
101 映像記録部
101a 映像記録部(修正映像記録部の一例)
102 構図記録部
102a 構図記録部(修正姿勢記録部の一例)
103 画像幾何変換部
104 切替部
105 映像切出部
Q(t) カメラ映像
Q(t-u) 過去映像
J(t-u)構図変更過去映像
V(t)、V(t-u) 表示映像(第1映像の一例)
U(t)、U(t-u) 出力映像(第2映像の一例)
A(t) 構図データ
A(t-u) 過去構図データ