(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】除骨装置および除骨方法
(51)【国際特許分類】
A22C 17/00 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A22C17/00
(21)【出願番号】P 2022512888
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014511
(87)【国際公開番号】W WO2021199140
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 輝
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】桜山 浩之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第91/011912(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉ブロックから除骨すべき骨を取り除く除骨装置であって、
食肉ブロックを上流側から下流側へ移載する移載機構と、
第1把持部および第2把持部、および、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙を開閉する開閉アクチュエータを有し、前記食肉ブロック中の骨の一部が前記第1把持部および前記第2把持部の前記間隙に導入される把持機構と、
前記把持機構を移動させることにより、前記食肉ブロックから、前記把持機構により前記骨の一部が把持された前記骨を食肉ブロックから引き剥がす駆動機構とを
具備し、
前記移載機構に沿って配置され、互いの間に間隙を空けて配置された第1ガイド部および第2ガイド部を有し、前記移載機構で搬送される前記食肉ブロック中の前記骨の一部を、前記間隙を通して前記第1把持部および前記第2把持部の前記間隙に案内するガイド機構を具備する除骨装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記第1把持部および前記第2把持部よりも前記移載機構に近接して配置された押圧体、および、前記押圧体を前記移載機構へ接近させる押圧アクチュエータとを具備し、前記食肉ブロックから前記骨を引き剥がす際に、前記食肉ブロックを前記押圧体で押さえつける押圧機構を具備する請求項1に記載の除骨装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記把持機構を前記移載機構の搬送面と垂直な方向へ移動させる垂直アクチュエータと、前記把持機構を前記移載機構の幅方向へ移動させる水平アクチュエータとを具備する請求項
1または2に記載の除骨装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記垂直アクチュエータおよび前記水平アクチュエータのそれぞれの移動速度を制御することにより、前記移載機構の搬送方向と直交する仮想面内における前記把持機構の移動軌跡を予めプログラムするためのコントローラを具備する請求項
3に記載の除骨装置。
【請求項5】
前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の前記移載機構からのそれぞれの高さを調整するガイド位置調整機構と、
前記第1把持部および前記第2把持部の前記移載機構からのそれぞれの高さを調整する把持位置調整機構とを具備する請求項
1~4のいずれか1項に記載の除骨装置。
【請求項6】
前記第1ガイド部は、前記第2ガイド部よりも、前記移載機構に近い側に位置し、前記第1ガイド部の上流側の端部には、前記第2ガイド部よりも上流側に延長されたガイドバーが設けられている請求項
1~5のいずれか1項に記載の除骨装置。
【請求項7】
前記移載機構は、上流側から下流側へ向けて配列され、それぞれ独立動作可能とされた第1コンベア、第2コンベア、および第3コンベアを有し、
前記第1ガイド部および前記第2ガイド部は、前記第2コンベアに沿って配置されており、
前記第1把持部および前記第2把持部は、前記第3コンベアに沿って配置されている請求項
1~6のいずれか1項に記載の除骨装置。
【請求項8】
前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の間隙の距離を調整するガイド間隙量調整機構と、
前記第1把持部および前記第2把持部の間隙の距離を調整する把持間隙量調整機構とを具備する請求項
1~7のいずれか1項に記載の除骨装置。
【請求項9】
前記第1ガイド部と平行に配置された旋回軸と、前記旋回軸を中心として前記第2ガイド部を旋回可能に支持するアームとを有する第2ガイド旋回機構を具備する請求項
1~8のいずれか1項に記載の除骨装置。
【請求項10】
食肉ブロックから除骨すべき骨を取り除く除骨装置であって、
食肉ブロックを上流側から下流側へ移載する移載機構と、
第1把持部および第2把持部、および、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙を開閉する開閉アクチュエータを有し、前記食肉ブロック中の骨の一部が前記第1把持部および前記第2把持部の前記間隙に導入される把持機構と、
前記把持機構を移動させることにより、前記食肉ブロックから、前記把持機構により前記骨の一部が把持された前記骨を食肉ブロックから引き剥がす駆動機構とを具備し、
前記駆動機構は、前記把持機構を前記移載機構の搬送面と垂直な方向へ移動させる垂直アクチュエータと、前記把持機構を前記移載機構の幅方向へ移動させる水平アクチュエータとを具備する除骨装置。
【請求項11】
食肉ブロックから除骨すべき骨を取り除く除骨方法であって、
食肉ブロックを移載する移載機構によって食肉ブロックを上流側から下流側へ搬送する工程と、
第1把持部および第2把持部の間隙に、食肉ブロック中の骨の一部を導入する工程と、
前記一部を前記間隙で把持した前記第1把持部および前記第2把持部を移動させることにより、前記食肉ブロックから前記骨を引き剥がす工程
と、
前記移載機構で搬送される前記骨の一部を、前記移載機構に沿って配置された第1ガイド部および第2ガイド部の間隙を通して、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に案内する工程を具備する除骨方法。
【請求項12】
前記食肉ブロックは豚肩肉であり、前記骨は肩甲骨であり、前記一部は前記肩甲骨の骨頭または骨頭の直下部分である請求項
11に記載の除骨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚肉ブロックなどの食肉ブロックから、肩甲骨などの除骨すべき骨を取り除くための除骨装置および除骨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
豚肉ブロックなどの食肉ブロックから、肩甲骨などの除骨すべき骨を取り除く作業は、熟練を要するうえに重労働であるため、自動化が求められている。
特許文献1は従来の除骨装置の一例を示し、この除骨装置では、クランパーで豚肉ブロックを吊り下げて搬送しつつ、肩甲骨のくびれ部を門型チャックにより把持した後、肩甲骨を引き剥がしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置を実現するには、前記クランパーに豚肉ブロックを吊り下げた状態で豚肉ブロックをX線撮影し、画像解析にて豚肉ブロック内の骨の位置を計測し、骨の位置に合わせて豚肉ブロックを折り曲げ、ロボットの先端に取り付けられたハンドツールを用いて肩甲骨を把持し、肩甲骨を豚肉ブロックから引き剥がす動作が必要であった。
【0005】
上記のように、特許文献1の装置では、姿勢の自由度が高い吊り下げた状態で豚肉ブロックの形状や骨の配置に対応して動作をコントロールする必要があるため、X線撮影による骨位置測定が必要であるが、豚肉ブロックの肉の付き具合によってはX線の透過が不十分となり、画像解析による骨位置測定が正確に行えない場合があった。
【0006】
また、豚肉ブロックの形状やサイズが通常と異なっていたり、肉が通常よりも柔らかい軟弱体の豚肉ブロックでは、骨の位置に合わせて豚肉ブロックを折り曲げる動作がうまく行えない、あるいは、肩甲骨の位置がずれてロボットのハンドツールが正確に把持できない場合があった。そのような場合、作業員が手動で機械各部を調整し、除骨動作が円滑に行われるように調整する手間がかかった。
【0007】
本発明は、食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行える除骨装置および除骨方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 本発明の一態様は、食肉ブロック(例えば豚腕肉ブロックなどの豚肉ブロック)から除骨すべき骨(把持すべき骨の一部として、例えばくびれ部や骨頭を有する骨、例えば肩甲骨)を取り除く除骨装置であって、
食肉ブロックを上流側から下流側へ移載する移載機構と、
第1把持部および第2把持部、および、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙を開閉する開閉アクチュエータを有し、前記食肉ブロック中の骨の一部が前記第1把持部および前記第2把持部の前記間隙に導入される把持機構と、
前記把持機構を移動させることにより、前記食肉ブロックから、前記把持機構により前記骨の一部が把持された前記骨を食肉ブロックから引き剥がす駆動機構とを具備し、
前記移載機構に沿って配置され、互いの間に間隙を空けて配置された第1ガイド部および第2ガイド部を有し、前記移載機構で搬送される前記食肉ブロック中の前記骨の一部を、前記間隙を通して前記第1把持部および前記第2把持部の前記間隙に案内するガイド機構を具備する。
【0009】
この除骨装置では、前記移載機構に食肉ブロックを載せて搬送することにより、この食肉ブロック中の骨の一部を、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に導入する。前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に前記一部が入ったら、前記駆動機構により、前記把持機構を移動させ、前記骨を食肉ブロックから引き剥がす。
【0010】
したがって、この除骨装置によれば、前記移載機構に食肉ブロックを載せて搬送することにより、前記一部が前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に安定して導入されるから、前記食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行える。前記把持機構の移動方向は、骨を食肉ブロックから引きはがせる方向であればどの方向でもよい。例えば、前記移載機構から離れる方向であってもよい。
また、前記移載機構に食肉ブロックを載せて、この食肉ブロック中の骨の一部を、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の間隙を通して配置すると、移載機構による搬送につれて、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の間隙を通して前記一部が案内されながら食肉ブロックが移動し、前記一部は前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に導入される。
したがって、この除骨装置によれば、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の案内によって、前記一部が前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に安定して導入されるから、前記食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、より一層、安定して除骨動作が行える。
【0011】
[2] 前記[1]の装置において、前記駆動機構は、前記第1把持部および前記第2把持部よりも前記移載機構に近接して配置された押圧体、および、前記押圧体を前記移載機構へ接近させる押圧アクチュエータとを具備し、前記食肉ブロックから前記骨を引き剥がす際に、前記食肉ブロックを前記押圧体で押さえつける押圧機構を具備していてもよい。
【0012】
この場合、前記把持機構を前記駆動機構が動かして、前記食肉ブロックから前記骨を引き剥がす際に、前記食肉ブロックを前記押圧体で前記移載機構へ押さえつけるから、骨を引き剥がす際に食肉ブロックが持ち上がることがなく、安定した引き剥がし動作が行える利点を有する。また、前記押圧体で前記食肉ブロックを前記移載機構へ押さえつけることにより、前記食肉ブロックの位置や形状を規格化することもでき、この点からも処理の安定化に寄与する。
【0013】
[3] 前記[1]または[2]の装置において、前記押圧体は、食肉ブロック内に残る骨の骨頭を押さえるものであってもよい。
【0014】
この場合には、硬い骨頭を押さえるから効果的に食肉ブロックの固定が行える。
【0016】
[4] 前記[1]~[3]の装置において、前記駆動機構は、前記把持機構を前記移載機構の搬送面と垂直な方向へ移動させる垂直アクチュエータと、前記把持機構を前記移載機構の幅方向へ移動させる水平アクチュエータとを具備していてもよい。
【0017】
この場合、前記把持機構の動作は、前記垂直アクチュエータによる上昇と、前記水平アクチュエータによる前記移載機構の幅方向への水平動を合成した移動方向および移動速度となるので、前記骨と前記食肉ブロックの結合の特徴に合わせた効率的な骨の引き剥がし動作が可能となり、食肉が損傷したり、引き剥がし中に骨が折れたりすることなく、安定した処理が行える。
【0018】
[5] 前記[4]の装置において、前記駆動機構は、前記垂直アクチュエータおよび前記水平アクチュエータのそれぞれの移動速度を制御することにより、前記移載機構の搬送方向と直交する仮想面内における前記把持機構の移動軌跡を予めプログラムするためのコントローラを具備していてもよい。
【0019】
この場合、前記コントローラによって、仮想面内における前記把持機構の移動軌跡および各位置での速度を予めプログラムすることが可能となるから、食肉ブロックの特徴に合わせて効率的な除骨処理が可能である。前記コントローラは、食肉ブロックの形状やサイズを入力する入力部を有し、この入力部からの信号に応じて前記移載機構の搬送方向と直交する仮想面内における前記把持機構の移動軌跡を変更してもよい。前記入力部からの信号は、移載機構で移送される食肉ブロックの形状やサイズを計測するセンサからの出力であってもよいし、作業員の判断で切り替えるスイッチ等により選択した信号であってもよい。
【0020】
[6] 前記[1]~[5]の装置において、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の前記移載機構からのそれぞれの高さを調整するガイド位置調整機構と、前記第1把持部および前記第2把持部の前記移載機構からのそれぞれの高さを調整する把持位置調整機構とを具備していてもよい。
【0021】
この場合、例えば食肉ブロックの形状やサイズが許容範囲を超えて異なる場合にも、ガイド位置調整機構によって前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の前記移載機構からのそれぞれの高さを調整し、前記把持位置調整機構により前記第1把持部および前記第2把持部の前記移載機構からのそれぞれの高さを調整することができるから、さらに広い範囲において食肉ブロックの形状やサイズが異なる場合にも、安定した除骨作業が行える。
【0022】
[7] 前記[1]~[6]の装置において、前記第1ガイド部は、前記第2ガイド部よりも、前記移載機構に近い側に位置し、前記第1ガイド部の上流側の端部には、前記第2ガイド部よりも上流側に延長されたガイドバーが設けられていてもよい。
【0023】
この場合、前記ガイドバーに骨の一部を載せることにより、骨の一部は前記ガイドバーに沿って滑り、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部の間隙に円滑に案内される。したがって、除骨作業がさらに円滑に行える利点を有する。
【0024】
[8] 前記[1]~[7]の装置において、前記移載機構は、上流側から下流側へ向けて配列され、それぞれ独立動作可能とされた第1コンベア、第2コンベア、および第3コンベアを有し、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部は、前記第2コンベアに沿って配置されており、前記第1把持部および前記第2把持部は、前記第3コンベアに沿って配置されていてもよい。
【0025】
この場合、前記第1コンベアで食肉ブロックの搬送のタイミングを調整し、前記第2コンベアで前記第1ガイド部および前記第2ガイド部から前記第1把持部および前記第2把持部への受け渡しタイミングを調整し、前記第3コンベアで引き剥がし作業の位置とタイミングを調整することができ、各動作を最適なタイミングで調和させることが容易になる。
【0026】
[9] 前記[1]~[8]の装置において、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の間隙の距離を調整するガイド間隙量調整機構と、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙の距離を調整する把持間隙量調整機構とを具備していてもよい。
【0027】
この場合、例えば食肉ブロックの骨の太さやサイズが許容範囲を超えて異なる場合にも、前記ガイド間隙量調整機構および/または前記把持間隙量調整機構を動作させて前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の間隙の距離および/または前記第1把持部および前記第2把持部の間隙の距離を調整することにより、さらに広い範囲において食肉ブロックの形状やサイズが異なる場合にも、安定した除骨作業が行える。
【0028】
[10] 前記[1]~[9]の装置において、前記第1ガイド部と平行に配置された旋回軸と、前記旋回軸を中心として前記第2ガイド部を旋回可能に支持するアームとを有する第2ガイド旋回機構を具備していてもよい。
【0029】
この場合、前記第2ガイド旋回機構により前記第2ガイド部を前記旋回軸を中心として旋回させることにより、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部の間を大きく開き、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0030】
[11] 本発明の他の態様に係る食肉ブロックから除骨すべき骨を取り除く除骨方法であって、
食肉ブロックを移載する移載機構によって食肉ブロックを上流側から下流側へ搬送する工程と、
第1把持部および第2把持部の間隙に、食肉ブロック中の骨の一部を導入する工程と、
前記一部を前記間隙で把持した前記第1把持部および前記第2把持部を移動させることにより、前記食肉ブロックから前記骨を引き剥がす工程とを具備する。
【0031】
この除骨方法では、前記移載機構に食肉ブロックを載せて搬送することにより、この食肉ブロック中の骨の一部を、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に導入する。前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に前記一部が入ったら、前記駆動機構により、前記把持機構を前記移載機構から離れる方向へ移動させ、前記骨を食肉ブロックから引き剥がす。
【0032】
したがって、この除骨方法によれば、前記移載機構に食肉ブロックを載せて搬送することにより、前記一部が前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に安定して導入されるから、前記食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行える。
【0033】
また、この方法は、前記移載機構で搬送される前記骨の一部を、前記移載機構に沿って配置された第1ガイド部および第2ガイド部の間隙を通して、前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に案内する工程を具備する。
【0034】
この方法によれば、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部の案内によって、前記一部が前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に安定して導入されるから、前記食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行える。
【0035】
[12] 上述した装置[1]~[10]および方法[11]において、前記食肉ブロックは豚肩肉の豚肉ブロックであってもよく、前記骨は肩甲骨であってもよく、前記一部は前記肩甲骨の骨頭の直下部分であってもよい。ただし、本発明は豚肩肉や豚肉ブロックに限定されず、他の動物の食肉ブロックであってもよい。また、骨は肩甲骨に限定されず端部に一部を有する骨であれば同様に適用可能である。
さらに、後述する実施形態のように、上述した装置[1]~[10]、方法[11]、および[12]の構成は、相互に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明の除骨装置および除骨方法によれば、前記移載機構に食肉ブロックを載せて搬送することにより、前記一部が前記第1把持部および前記第2把持部の間隙に安定して導入されるから、前記食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行えるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態に係る除骨装置の斜視図である。
【
図2】同除骨装置のコンベア(移載機構)を示す斜視図である。
【
図3】同除骨装置のガイド機構、把持機構、および駆動機構を示す正面図である。
【
図4】同除骨装置のガイド機構を示す斜視図である。
【
図5】同除骨装置のガイド機構を示す側面図である。
【
図6】同除骨装置の把持機構および駆動機構を示す側面図である。
【
図7】同除骨装置の把持機構および駆動機構を示す斜視図である。
【
図8】同除骨装置の把持機構および駆動機構を示す斜視図である。
【
図9】同除骨装置のガイド機構を開いた状態を示す側面図である。
【
図10】同除骨装置のガイド機構により骨の一部として、例えばくびれ部を案内する状態を示す側面図である。
【
図11】同除骨装置の把持機構によりくびれ部を把持した状態を示す側面図である。
【
図12】同除骨装置の把持機構によりくびれ部を把持して食肉ブロックを押圧体で押さえた状態を示す側面図である。
【
図13】同除骨装置の把持機構により肩甲骨を引き剥がした状態を示す側面図である。
【
図14】同除骨装置の把持機構により肩甲骨を放した状態を示す側面図である。
【
図15】同除骨装置が肩甲骨を引き剥がす際の、把持機構の移動軌跡の一例を示すグラフである。
【
図16】同除骨装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】同除骨装置で除骨できる食肉ブロックの一例を示す平面図である。
【
図18】同除骨装置で除骨できる食肉ブロックの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。この実施形態は、例えば
図17および
図18に示す食肉ブロックBを処理する。この食肉ブロックBは、豚屠体の背割り半截ブロックから、肩ロース部およびスペアリブを除去した豚肩肉ブロックであり、一端に腕部B1を有し、腕骨B2、上腕骨B3、および肩甲骨B4を含んでいる。肩甲骨B4は一端に膨らんだ骨頭B5を有し、他端は三角形状に広がっており、骨頭B5の直下が径の細いくびれ部B6である。本実施形態の除骨装置1は、骨の一部として、くびれ部B6を掴んで食肉ブロックBから引き剥がすものであり、除骨装置1にかける前処理として、骨頭B5およびくびれ部B6の周囲Cをナイフで切って骨頭B5およびくびれ部B6を露出させておくことが必要である。ただし、本発明は豚肩肉や豚肉ブロックに限定されず、他の動物の食肉ブロックであってもよい。骨は肩甲骨に限定されず、他のいかなる骨でも同様に適用可能である。把持すべき骨の「一部」は、くびれ部や骨頭であってもよいし、骨の一端部や中央部であっても本発明の実施は可能である。
【0039】
図1は本発明の一実施形態に係る除骨装置1を示し、この除骨装置1は、直方体状をなすフレーム2と、それぞれ水平かつ一列に順に配置された第1コンベア4、第2コンベア6、および第3コンベア8とを有する。第1コンベア4、第2コンベア6、および第3コンベア8が、移載機構を構成している。第1コンベア4はフレーム2の外に配置され、第2コンベア6および第3コンベア8はフレーム2の内側に配置されている。第1コンベア4、第2コンベア6、および第3コンベア8は個別に動作可能であり、いずれも食肉ブロックを上流側(
図1中右側)から下流側(
図1中左側)へ搬送する。フレーム2の内側には、第2コンベア6の上方に、ガイド機構10が配置され、第3コンベア8の上方に、肩甲骨B4を把持する把持機構12が配置されている。フレーム2の上面には、把持機構12を駆動する駆動機構16が配置されている。以下、これらの構成を詳細に説明する。
【0040】
図2は、第1コンベア4、第2コンベア6、および第3コンベア8を示し、これらコンベアはいずれも、搬送方向に延びる複数の支持板18と、ローラ20、22とを有している。ローラ20、22には、図示しない無端状のローラベルトが巻回され、このローラベルトを走行させる。ローラベルトは定期的に交換され、洗浄される。
【0041】
第1コンベア4の末端には距離センサ24が設置され、第2コンベア6の先端には距離センサ26が設置され、第2コンベア6の末端には一対の通過センサ28が設置されている。第3コンベア8の先端には距離センサ30が設置され、末端には距離センサ32が設置されている。距離センサ24,26,30,32は直前を食肉ブロックBが通過する際に、食肉ブロックBとの距離を測定して、正常な姿勢で通過したことを検出する。通過センサ28は、食肉ブロックBの姿勢に拘わらず食肉ブロックBの通過を検出する。いずれのセンサも図示しない制御盤に接続され、それらの信号が後述する動作制御に用いられている。第3コンベア8の側面には、ガイド14が固定され、食肉ブロックBから除去された肩甲骨B4を受け止めて図示しない容器に導く。
【0042】
図3はコンベヤ4,6,8と、ガイド機構10と、把持機構12との関係を示している。第2コンベア6の上方には、細長いレール状をなす第1ガイド部34と第2ガイド部36が、互いの長手方向をコンベア搬送方向と平行にして配置されている。第1ガイド部34は、第2ガイド部36よりも下側に位置する。第1ガイド部34と第2ガイド部36はほぼ同じ長さを有するが、第1ガイド部34の上流側の先端には、ガイドバー35が取り付けられている。ガイドバー35は第1ガイド部34の延長方向に延び、先端は安全のためループ状に丸められている。ガイドバー35は、作業員がこのうえに食肉ブロックBのくびれ部B6を載せて、くびれ部B6が第1ガイド部34と第2ガイド部36の間に円滑に導入されるように案内するものである。
【0043】
図5に示すように、第1ガイド部34の下端部34Aと、第2ガイド部36の下端部の間には、これらの全長に亘ってほぼ同一距離の間隙が空けられており、第2コンベア6で搬送される食肉ブロックB中の肩甲骨B4のくびれ部B6を挟んで、前記間隙を通して案内する。第1ガイド部34と第2ガイド部36の間隙は、くびれ部B6の太さよりも僅かに大きく、かつ、肩甲骨B4の骨頭B5の直径よりも小さく設定される。これにより、くびれ部B6が抜けることなく、第1ガイド部34および第2ガイド部36の全長に亘って滑らかに案内される。第1ガイド部34および第2ガイド部36の下端は肉を傷つけないように丸められている。
【0044】
図5に示すように、第1ガイド部34の下端部34Aは、第2ガイド部36に近い方が下がるように傾斜しており、くびれ部B6の下面を支えるようになっている。第1ガイド部34の上端は垂直に起立し、その前面に、水平な回動軸46が軸回り回転可能に取り付けられている。回動軸46には、複数のアーム53を介して第2ガイド部36が取り付けられており、回動軸46が回動すると第2ガイド部36が第1ガイド部34に対して開閉する。アーム53は、第2ガイド部36の高さおよび角度を微調整する機能を有する。
【0045】
回動軸46の端部にはレバー50を介してハンドル48が固定され、作業員がハンドル48を動かすと、
図9に示すように、第2ガイド部36が跳ね上がった位置に移動し、かつ、跳ね上がった位置で固定可能となっている。このように第2ガイド部36を跳ね上げた状態であれは、ガイド機構10の洗浄が容易に行える利点を有する。
【0046】
図4に示すように、第1ガイド部34の上端は、垂直に配置された昇降板38に固定され、昇降板38は、フレーム2に取り付けられた一対のリニアガイド44を介して、昇降可能に支持されている。フレーム2の上に水平板45が固定され、その上に昇降ユニット40が設けられ、サーボモータ42により昇降板38を任意の位置まで昇降できるようになっている。サーボモータ42は、図示しないスイッチおよび制御盤に接続され、作業員がスイッチを操作するか、制御盤がサーボモータ42を動作させることにより、食肉ブロックBの形状やサイズに合わせて、第1ガイド部34および第2ガイド部36の高さ位置が調整できる。
【0047】
図3に示すように、把持機構12は、第1ガイド部34および第2ガイド部36の下流側に配置された、第1把持部54および第2把持部56、および、第1把持部54および第2把持部56の間隙を開閉する開閉アクチュエータ64を有する。第1把持部54および第2把持部56は、その長手方向が第1ガイド部34および第2ガイド部36の長手方向にほぼ一致し、第1ガイド部34および第2ガイド部36により案内されたくびれ部B6を、第1把持部54および第2把持部56の間隙に円滑に受け入れる。第1把持部54および第2把持部56の下端は肉を傷つけないように断面が丸められている。
【0048】
図6に示すように、第1把持部54の下端部54Aは、第2把持部56に近い方が下がるように傾斜しており、くびれ部B6の下面を支えられるようになっている。第1把持部54の上端は垂直に起立し、垂直に延びる昇降板66に固定されている。昇降板66は一対のリニアガイド70を介してフレーム2に昇降可能に取り付けられている。
【0049】
図8に示すように、昇降板66の下端部の全面には、水平な回動軸60が軸回り回転可能に取り付けられている。回動軸60の両端部には、一対のアーム62を介して第2把持部56が取り付けられており、回動軸60が回動すると第2把持部56が第1把持部54に対して開閉する。アーム62は、第2把持部56の高さおよび角度を微調整する機能を有する。回動軸60の中央には開閉アクチュエータ64のシャフトが偏心して連結され、開閉アクチュエータ64の本体は昇降板66に固定されている。開閉アクチュエータ64を作動させると回動軸60が回動し、第2把持部56が第1把持部54に対して開閉する。第2把持部56が閉じた位置では、第2把持部56と第1把持部54の間に、くびれ部B6が一定の力で弾力的に挟まれて、固定されるようになっている。開閉アクチュエータ64は図示しない制御盤に接続されている。
【0050】
図3に示すように、フレーム2の上面には、水平フレーム71が固定され、水平フレーム71上にリニアガイド74を介して、スライド台72が水平に配置されて、スライド台72は第3コンベア8の幅方向に移動可能にされている。スライド台72の上には、サーボモータ69を備えた垂直アクチュエータ68が取り付けられ、そのシャフトが昇降板66に連結されている。
【0051】
図7に示すように、スライド台72には、サーボモータ77を備えた水平アクチュエータ76のシャフトが連結され、水平アクチュエータ76は水平フレーム71に固定されている。垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76はそれぞれ制御盤に接続され、垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76それぞれの移動速度を制御することにより、コンベアの搬送方向と直交する仮想面内における把持機構12の移動軌跡および各点での速度を予めプログラムできるようになっている。
【0052】
図8に示すように、第1把持部54の下端部54Aの下面に沿って、長細い板状の押圧体58が配置されている。押圧体58は下端部54Aの下面とほぼ平行に延びる形状を有し、第1把持部54および第2把持部56よりも上流側および下流側へ延長された長さを有する。押圧体58の上流側の端部は、
図3に示すように、第1ガイド部34の下流側端部の下方にまで延びている。
【0053】
押圧体58の両端はそれぞれ、昇降体78の下端に連結され、昇降体78は、フレーム2に固定された一対のリニアガイド80により昇降可能に支持されている。昇降体78には、サーボモータ84で駆動される押圧機構82のシャフトが連結され、押圧機構82はフレーム2上に固定されている。サーボモータ84を作動させると、押圧体58は第1把持部54の下端部54Aの下面に当接する位置から、第3コンベア8上に配置された食肉ブロックBを第3コンベア8へ押さえつける位置までの間で昇降可能である。
【0054】
次に、除骨装置1を用いた除骨方法を説明する。この方法では、
図16のフローチャートに沿って、一つの食肉ブロックB毎に、工程S1から工程S9を繰り返すものであり、以下の動作は予め、前述した制御盤(図示略)にプログラムされ、除骨装置1は、工程S1および工程S2を除く工程S3から工程S9までを自動で行う。以下に、各工程を順に説明する。
【0055】
工程S1では、作業員が食肉ブロックBに除骨装置1へ導入するための前処理を行う。
図17および
図18に示すように、豚屠体の背割り半截ブロックから肩ロース部およびスペアリブを除去した豚肩肉ブロックが素材として搬入される。作業員は、食肉ブロックBの骨頭B5およびくびれ部B6の周囲Cをナイフで切って、骨頭B5およびくびれ部B6を軽く持ち上げて、食肉ブロックBから露出させた状態とする。この作業は軽い力で行え、熟練も要さない。前処理した食肉ブロックBを、腕部B1を除骨装置1の後方へ向けた状態で、第1コンベア4に次々と載せる。食肉ブロックBは第1コンベア4により下流へ運ばれる。
【0056】
工程S2では、作業員が第1コンベア4の下流側に運ばれた食肉ブロックBをつかみ、前処理によって食肉ブロックBから露出しているくびれ部B6を、水平なガイドバー35に載せる。すると、食肉ブロックBは下流側へ運ばれるに伴い、
図10に示すように、くびれ部B6が第1ガイド部34と第2ガイド部36の間隙に滑り込む。この時、距離センサ24および距離センサ26が、食肉ブロックBが正常な姿勢で案内されているかを確認し、食肉ブロックBが搬送方向に対し斜めに傾くなどの姿勢異常を検出したら、第1コンベア4を停止する。
【0057】
工程S3では、距離センサ24により食肉ブロックBが正常な姿勢で運ばれてきたことを確認したら、第2コンベア6を作動させ、第1コンベア4よりも速い搬送速度で食肉ブロックBを下流側へ搬送し、次の食肉ブロックBとの間を切り離す。ここで食肉ブロックB間の距離を空けさせることにより、第1把持部54と第2把持部56によって一つずつのくびれ部B6を確実に把持できるようにする。
【0058】
工程S4では、通過センサ28により、食肉ブロックBが通過したことを確認したら、第3コンベア8を作動させる。すると、第1ガイド部34および第2ガイド部36に沿って移動してきたくびれ部B6は、
図11に示すように、第1把持部54と第2把持部56の間隙に滑り込み、第1把持部54と第2把持部56にくびれ部B6が案内されながら、下流側へ移動する。距離センサ30により食肉ブロックBが正常な姿勢で通過したかを確認し、もしも食肉ブロックBが搬送方向に対し斜めに傾くなどの姿勢異常を検出したら、第3コンベア8を停止する。異常がなければ、食肉ブロックBを第1把持部54の長手方向の中央まで移動し、そこで第3コンベア8を停止する。
【0059】
工程S5では、開閉アクチュエータ64を作動させ、第2把持部56を第1把持部54に接近させて、くびれ部B6を第1把持部54と第2把持部56でしっかり把持して固定する。
【0060】
工程S6では、サーボモータ84を動作させ、
図12に示すように、昇降体78を降下させて、押圧体58を下げ、押圧体58で特に上腕骨B3の骨頭B7を押し下げて、食肉ブロックBを第3コンベア8に押しつけて固定する。押圧体58が骨頭B7を押し下げることにより、押圧体58が肉に沈み込むことなく、効果的に食肉ブロックBの固定が行える。
【0061】
工程S7では、垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76を動作させ、
図13に示すように、把持機構12を上に引き上げると共にコンベア搬送方向と直交する方向へ移動させる。これにより、肩甲骨B4は食肉ブロックBから引き剥がされて、持ち上げられる。この時、
図15に示すように、把持機構12は垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76の各動作を合成した移動方向および移動速度で移動されることになるから、垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76の各動作を予め最適条件に設定することにより、肩甲骨B4と食肉ブロックBの結合の特徴に合わせた効率的な骨の引き剥がし動作が可能となり、無理な方向への引き剥がしで食肉が損傷したり、引き剥がし中に骨が折れたりすることなく、安定した処理が行える。
【0062】
図15は、本発明者らが種々の条件を試した中で、よい引き剥がし結果が得られた例における、垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76の動作条件を示すグラフである。但し、本発明がこの条件に限定されることはない。
【0063】
工程S8では、把持機構12に吊された肩甲骨B4がガイド14の上方まで来た時点で、開閉アクチュエータ64を作動させて、
図14に示すように、第1把持部54と第2把持部56を開く。すると、くびれ部B6は解放されるから、肩甲骨B4がガイド14(
図1参照)内に落ちて、図示しない回収容器で回収される。
【0064】
工程S9では、押圧機構82、垂直アクチュエータ68および水平アクチュエータ76を全て初期位置に戻し、第1把持部54および第2把持部56を元の位置に戻す。押圧体58を持ち上げて食肉ブロックBを解放し、第3コンベア8を作動させて食肉ブロックBを次工程へ運び、1サイクルが終了する。
【0065】
以上説明したように、この除骨装置によれば、移載機構(第1コンベア4、第2コンベア6、および第3コンベア8)に食肉ブロックBを載せて搬送することにより、この食肉ブロックB中の骨のくびれ部B6が第1把持部54および第2把持部56の間隙に安定して導入されるから、食肉ブロックBの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行える。
【0066】
また、第1ガイド部34および第2ガイド部36の案内によって、くびれ部B6が第1把持部54および第2把持部56の間隙に高い信頼性を以て安定して導入されるから、食肉ブロックBの形状やサイズ、肉や骨の筋の柔らかさが異なっている場合にも、より一層安定して除骨動作を行うことができる。
【0067】
また、把持機構12の動作は、垂直アクチュエータ68による上昇と、水平アクチュエータ76によるコンベア幅方向への水平動を合成した移動方向、移動速度、及び駆動トルクとなるので、肩甲骨B4と食肉ブロックBの結合の特徴に合わせた効率的な骨の引き剥がし動作が可能となり、食肉が損傷したり、引き剥がし中に骨が折れたりすることなく、安定した処理が行える。
【0068】
また、制御盤(コントローラ)によって、仮想面内における把持機構12の移動軌跡および各位置での速度を予めプログラムすることが可能であるから、食肉ブロックの特徴に合わせて効率的な除骨処理が可能である。前記制御盤は、食肉ブロックの形状やサイズを入力する入力部を有し、この入力部からの信号に応じて仮想面内における把持機構12の移動軌跡を変更してもよい。前記入力部からの信号は、コンベアで移送される食肉ブロックの形状やサイズを計測するセンサからの出力であってもよいし、作業員の判断で切り替えるスイッチ等により選択した信号であってもよい。
【0069】
また、把持機構12により肩甲骨B4を引き剥がす際に、食肉ブロックBを押圧体58で押さえつけるから、肩甲骨B4を引き剥がす際に食肉ブロックBが持ち上がったり姿勢が変わることがなく、安定した引き剥がし動作が行える利点を有する。また、押圧体58で骨頭B7を押さえつけることにより、効果的な押さえ込みが可能となる。
【0070】
また、例えば食肉ブロックの形状やサイズが許容範囲を超えて異なる場合にも、昇降ユニット40によって第1ガイド部34および第1ガイド部34の高さを調整し、垂直アクチュエータ68により第1把持部54および第2把持部56の高さを調整することができるから、広い範囲において食肉ブロックの形状やサイズが異なる場合にも、安定した除骨作業が行える。
【0071】
また、ガイドバー35にくびれ部B6を載せることにより、くびれ部B6が第1ガイド部34および第2ガイド部36の間隙に円滑に案内されるから、除骨作業がさらに円滑に行えて、作業員の負担も小さい。
【0072】
また、第1コンベア4で食肉ブロックBの搬送のタイミングを調整し、第2コンベア6でガイド機構10から把持機構12への受け渡しタイミングを調整し、第3コンベア8で引き剥がし作業の位置とタイミングを調整することができるから、各動作を最適なタイミングで調和させることが容易である。
【0073】
また、例えば食肉ブロックの骨の太さやサイズが許容範囲を超えて異なる場合にも、アーム53の調整機構および/またはアーム62の調整機構を調整して第1ガイド部34と第2ガイド部36の間隙量および/または第1把持部54および第2把持部56の間隙量を調整することにより、さらに広い範囲において食肉ブロックの形状やサイズが異なる場合にも、安定した除骨作業が行える。
【0074】
また、ハンドル48の操作により、第2ガイド部36を回動軸46を中心として旋回させることにより、第1ガイド部34と第2ガイド部36の間を大きく開き、メンテナンスを容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の除骨装置および除骨方法によれば、食肉ブロックの形状やサイズ、柔らかさが異なっている場合にも、安定して除骨動作が行えるという優れた効果を奏するから、本発明は産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1:除骨装置、2:フレーム、4:第1コンベア(移載機構の一部)、
6:第2コンベア(移載機構の一部)、8:第3コンベア(移載機構の一部)、
10:ガイド機構、12:把持機構、14:ガイド、
16:駆動機構、18:支持板、2:フレーム、20:ローラ、22:ローラ、
24:距離センサ、26:距離センサ、28:通過センサ、30:距離センサ、
32:距離センサ、34:第1ガイド部、34A:下端部、35:ガイドバー、
36:第2ガイド部、38:昇降板、4:第1コンベア、40:昇降ユニット、
42:サーボモータ、44:リニアガイド、45:水平板、46:回動軸、
48:ハンドル、50:レバー、52:連結部、53:アーム、
54:第1把持部、54A:下端部、56:第2把持部、58:押圧体、
6:第2コンベア、60:回動軸、62:アーム、64:開閉アクチュエータ、
66:昇降板、68:垂直アクチュエータ、69:サーボモータ、
70:リニアガイド、71:水平フレーム、72:スライド台、
74:リニアガイド、76:水平アクチュエータ、77:サーボモータ、
78:昇降体、8:第3コンベア、80:リニアガイド、82:押圧機構、
84:サーボモータ、B:食肉ブロック、B1:腕部、B2:腕骨、
B3:上腕骨、B4:肩甲骨、B5:骨頭、B6:くびれ部(把持すべき一部)、B7:骨頭。