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特許7316780有機電解液、及びそれを含むリチウム電池
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  • 特許-有機電解液、及びそれを含むリチウム電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】有機電解液、及びそれを含むリチウム電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20230721BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230721BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230721BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/36 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018229869
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2019121597
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0181517
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朴 仁仙
(72)【発明者】
【氏名】高 明天
(72)【発明者】
【氏名】金 東泳
(72)【発明者】
【氏名】朴 銀河
(72)【発明者】
【氏名】張 智賢
(72)【発明者】
【氏名】鄭 然知
【審査官】式部 玲
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-527823(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076327(WO,A1)
【文献】特開2005-228683(JP,A)
【文献】特開2016-219419(JP,A)
【文献】特開2011-096638(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129346(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/016733(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0020069(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110915037(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0014280(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第103493281(CN,A)
【文献】国際公開第2011/040447(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102549829(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0567
H01M 10/0569
H01M 10/0568
H01M 10/052
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/38
H01M 4/48
H01M 4/587
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム塩と、有機溶媒と、下記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物と、を含み、
下記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量が、有機電解液総重量を基準に、0.01wt%ないし10wt%であることを特徴とする、有機電解液:
【化1】
前記化学式1で、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、互いに独立して、水素原子、フッ素原子、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-Cアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10シクロアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アリール基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10ヘテロアリール基、あるいはハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アルケニル基であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15のうち1以上がフッ素原子であり、
フェニル基のうち少なくとも一つがフッ素不在である。
【請求項2】
前記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物が、下記化学式2及び3によってそれぞれ表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の一以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機電解液:
【化2】
前記式で、
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、互いに独立して、水素原子、フッ素原子、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-Cアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10シクロアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アリール基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10ヘテロアリール基、あるいはハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アルケニル基であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10のうち1以上がフッ素原子である。
【請求項3】
前記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物が、下記化学式4ないし15のいずれか一つで表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【化3A】
【化3B】
【化3C】
【請求項4】
前記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量が、有機電解液総重量を基準に、0.01wt%ないし2wt%であることを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【請求項5】
前記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量が、有機電解液総重量を基準に、0.5wt%ないし2wt%であることを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【請求項6】
下記化学式16ないし21で表示される化合物のうち1以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電解液:
【化4】
前記式で、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12及びX13は、互いに独立して、水素またはハロゲンであり、X及びXのうち1以上が、Fである。
【請求項7】
前記化学式16で表示される環状カーボネート化合物の含量が、有機溶媒総体積を基準に、10vol%以下であり、且つ/または、
前記化学式17ないし21の一つ以上で表示される化合物の含量が、有機電解液総重量を基準に、3wt%以下であることを特徴とする、請求項6に記載の有機電解液。
【請求項8】
前記有機溶媒が、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルプロピオネート、エチルブチレート、アセトニトリル(AN)、スクシノニトリル(SN)、アジポニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ガンマ-バレロラクトン、ガンマ-ブチロラクトン及びテトラヒドロフランでのうちから選択された1以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【請求項9】
前記有機電解液が、下記化学式4ないし15のいずれか一つで表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物0.01ないし2.0wt%、下記化学式17aで表示される化合物0.1ないし2.0wt%%、化学式19aで表示される化合物0.1ないし1.0wt%、及び化学式21aで表示される化合物0.1ないし1.0wt%を含み、前記有機溶媒が、下記化学式16aで表示される化合物1ないし10vol%を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【化5A】
【化5B】
【化5C】
【請求項10】
前記リチウム塩がLiPF、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(FN、LiCSO、LiN(SOCFCF、及び化学式30ないし33で表示される化合物のうちから選択された1以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【化6】
【請求項11】
前記リチウム塩の濃度が、0.01ないし5.0Mであることを特徴とする請求項1に記載の有機電解液。
【請求項12】
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
前記正極と負極との間に配置される請求項1ないし11のうちいずれか1項に規定の有機電解液と、を含み、
前記正極活物質が、ニッケル、及び1以上の他の遷移金属を含むリチウム遷移金属酸化物を含み、前記ニッケル含量が、遷移金属の全体モル数に対して、80mol%以上であるリチウム電池。
【請求項13】
前記リチウム遷移金属酸化物が、下記化学式22で表示されることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池:
(化22)
LiNiCo2-b
前記化学式22で、
1.0≦a≦1.2、0≦b≦0.2、0.8≦x<1、0<y≦0.3、0<z≦0.3、x+y+z=1であり、Mは、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びボロン(B)からなる群から選択された1以上であり、Aは、F、S、Cl、Br、またはそれらの組み合わせである。
【請求項14】
前記リチウム遷移金属酸化物が、下記化学式23あるいは24で表示される化合物であることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池:
(化23)
LiNiCoMn
(化24)
LiNiCoAl
前記式で、0.8≦x≦0.95、0<y≦0.2、0<z≦0.1である。
【請求項15】
前記負極活物質が、シリコン系化合物、炭素系化合物、該シリコン系化合物と該炭素系化合物との複合体、及びシリコン酸化物(SiO、0<x<2)のうちから選択された1以上を含むことを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池。
【請求項16】
前記シリコン系化合物と該炭素系化合物との複合体が、シリコンナノ粒子を含むことを特徴とする請求項15に記載のリチウム電池。
【請求項17】
前記シリコン系化合物と該炭素系化合物との複合体の大きさが、5μmないし20μmであり、シリコンナノ粒子の大きさが、200nm以下であることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。
【請求項18】
45℃における200サイクル充放電後の容量維持率が、70%以上であることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池。
【請求項19】
45℃で200サイクル充放電前後のDCIR上昇率が20%以下であることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池。
【請求項20】
電池単位体積当たりエネルギー密度が、500Wh/L以上であることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電解液、及びそれを含むリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池は、ビデオカメラ、携帯電
話、ノート型コンピュータのような携帯用電子機器の駆動電源として使用される。再充電が可能なリチウム二次電池は、既存の鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較し、単位重量当たりエネルギー密度が3倍以上高く、高速充電が可能である。
エネルギー密度が高いリチウム二次電池を製造するために、増大された放電容量を提供する正極活物質が使用される。増大された放電容量を有する正極活物質は、相対的に電気化学的安定性が低い。従って、リチウム二次電池の充放電過程において、正極活物質と電解質との副反応が発生し、リチウム二次電池の安定性が低下する。従って、増大された放電容量を提供する正極活物質を含むリチウム二次電池の安定性を改善させる方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、新たな有機電解液、及びそれを含むリチウム電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様により、
リチウム塩と、有機溶媒と、下記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物と、を含み、
下記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物を含む有機電解液が提供される:
【0005】
【化1】
【0006】
前記化学式1で、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、互いに独立して、水素原子、フッ素原子、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-Cアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10シクロアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アリール基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10ヘテロアリール基、あるいはハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アルケニル基であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15のうち1以上がフッ素原子であり、
フェニル基のうち少なくとも一つがフッ素不在(free)である。
【0007】
他の一実施態様により、
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
前記正極と負極との間に配置される前述の有機電解液と、を含み、
前記正極活物質が、ニッケル、及び1以上の他の遷移金属を含むリチウム遷移金属酸化物を含み、前記ニッケル含量が、遷移金属の全体モル数に対して、80mol%以上であるリチウム電池が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非対称構造を有するホスフェート系化合物を含む有機電解液を採用することにより、リチウム電池の副反応が抑制されて寿命特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実施態様によるリチウム電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で説明される本創意的思想(present inventive concept)は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、特定実施例を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それは、本創意的思想を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本創意的思想の技術範囲に含まれる全ての変換、均等物または代替物を含むものであると理解されなければならない。
【0011】
以下で使用される用語は、ただ特定の実施例について説明するために使用されたものであり、本創意的思想を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。以下において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料、またはそれらの組み合わせが存在するということを示すものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。以下で使用される「/」は、状況により、「及び」にも解釈され、「または」にも解釈される。
【0012】
図面において、多くの構成要素、層及び領域を明確に表現するために、直径、長さ、厚みを拡大したり縮小したりして示した。明細書全体を通じて、類似部分については、同一図面符号を付した。明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が、他の部分の「上」または「上部」にあるとするとき、それは、他部分の真上にある場合だけではなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。明細書全体において、第1、第2のような用語は、多様な構成要素についての説明に使用されるるが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。図面において、構成要素の一部が省略されもするが、それは、発明の特徴に対する理解の一助とするためのものであり、省略された構成要素を排除する意図ではない。
【0013】
以下、例示的な実施態様による有機電解液、及びそれを採用したリチウム電池について、さらに詳細に説明する。
【0014】
一実施態様による有機電解液は、リチウム塩と、有機溶媒と、下記化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物と、を含む:
【0015】
【化2】
【0016】
前記化学式1で、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、互いに独立して、水素原子、フッ素原子、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-Cアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10シクロアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アリール基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10ヘテロアリール基、あるいはハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アルケニル基であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15のうち1以上がフッ素原子であり、フェニル基のうち少なくとも一つがフッ素不在(フリー:free)である。
【0017】
化学式1で表示されるフッ素非置換のフェニル基を含むフッ素含有ホスフェート化合物は、正極活物質が含むリチウム遷移金属酸化物の遷移金属に安定的に結合または配位され、有機電解液内に残留するプロトンのスカベンジャー(scavenger)役割を行うことができる。従って、化学式1で表示されるホスフェート化合物は、有機電解液と接触する正極活物質からの遷移金属溶出を抑制し、有機電解液の副反応を抑制することができる。結果として、化学式1で表示されるホスフェート化合物を含む有機電解液を採用したリチウム電池の寿命特性が向上し、副反応によるガス発生が抑制される。化学式1で表示されるホスフェート化合物が、フッ素原子を含むことにより、高電圧においても酸化が抑制されるので、長期間の充放電後にも、化学式1で表示されるホスフェート化合物が正極内に残留しながら、リチウム電池の劣化を防止することができる。化学式1で表示されるホスフェート化合物は、少なくとも1つの非置換フェニル基を有する非対称(asymmetric)構造を有することにより、対称構造を有するホスフェート系化合物に比べ、向上された寿命特性と、内部抵抗低下とを提供する。例示的な1つの有機電解液は、対称構造を有するホスフェート化合物を含まない。
【0018】
有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、10wt%以下、8wt%以下、5wt%以下、4wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、1.5wt%以下あるいは1wt%以下である。該有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、0.01wt%ないし10wt%、0.01wt%ないし8wt%、0.01wt%ないし5wt%、0.01wt%ないし4wt%、0.01wt%ないし3wt%、0.01wt%ないし2wt%、0.01wt%ないし1.5wt%、あるいは0.01wt%ないし1wt%である。例えば、該有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、0.1wt%ないし2wt%である。
【0019】
該有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物は、例えば、下記化学式2ないし3によってそれぞれ表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の一以上である:
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
前記化学式で、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、互いに独立して、水素原子、フッ素原子、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-Cアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10シクロアルキル基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アリール基、ハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10ヘテロアリール基、あるいはハロゲンで置換されたか、もしくは置換されていないC-C10アルケニル基であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10のうち1以上がフッ素原子である。
【0023】
該有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物は、例えば、下記化学式4ないし9のいずれか一つで表示される化合物である:
【0024】
【化5】
【0025】
該有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物は、例えば、下記化学式10ないし15のいずれか一つで表示される化合物である:
【0026】
【化6】
【0027】
該有機電解液において、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量は、有機電解液総重量を基準に、0.001wt%ないし2wt%、0.01wt%ないし2wt%、0.1wt%ないし2wt%、あるいは0.5wt%ないし2wt%である。化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量が、そのような範囲を有することにより、優れた寿命特性を有するリチウム電池が提供される。従って、寿命特性の実質的な変化なしに、ガス発生が抑制される。化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量が過度に少なければ、寿命特性向上が微々たるものであり、化学式1で表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物の含量が過度に多ければ、高率特性が低下してしまう。
【0028】
例示的な1つの有機電解液は、下記化学式16ないし21で表示される化合物のうち1以上をさらに含む:
【0029】
【化7】
【0030】
前記化学式で、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12及びX13は、互いに独立して、水素またはハロゲンであり、X及びXのうち1以上がFである。
【0031】
該有機電解液が、化学式16で表示される環状カーボネート化合物をさらに含むことにより、リチウム電池の寿命特性及び抵抗抑制効果がさらに向上する。例えば、化学式16で表示される環状カーボネート化合物において、Xは、水素であり、Xは、Fである。
【0032】
化学式16で表示される環状カーボネート化合物の含量は、例えば、有機溶媒総体積を基準に、10vol%以下、9vol%以下、0.1ないし8vol%以下、7vol%以下、6vol%以下あるいは5vol%以下である。化学式16で表示される環状カーボネート化合物の含量は、例えば、有機溶媒総体積を基準に、0.1ないし10vol%、0.1ないし9vol%、0.1ないし8vol%、0.1ないし7vol%、0.1ないし6vol%、あるいは0.1ないし5vol%である。化学式16で表示される環状カーボネート化合物の含量が、そのような範囲を有することにより、リチウム電池の寿命特性及び抵抗抑制効果がさらに向上する。
【0033】
該有機電解液が、化学式17及び/または18で表示される環状カーボネート化合物をさらに含むことにより、リチウム電池の寿命特性及び抵抗抑制効果がさらに向上する。例えば、化学式17及び/または18で表示される環状カーボネート化合物において、X及びXは、水素である。化学式17及び/または18で表示される環状カーボネート化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、3wt%以下、2.5wt%以下、2wt%以下あるいは1.5wt%以下である。化学式17及び/または18で表示される環状カーボネート化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、0.1ないし3wt%、0.1ないし2.5wt%、0.1ないし2wt%、あるいは0.1ないし1.5wt%である。化学式17及び/または18で表示される環状カーボネート化合物の含量が、そのような範囲を有することにより、リチウム電池の寿命特性及び抵抗抑制効果がさらに向上する。
【0034】
該有機電解液が、化学式19及び/または20で表示される環状酸無水物(acid anhydride)化合物をさらに含むことにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。例えば、化学式18で表示される環状酸無水物化合物において、X、X、X、及びXは、水素である。化学式19及び/または20で表示される環状酸無水物化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、3wt%以下、2.5wt%以下、2wt%以下あるいは1.5wt%以下である。化学式19及び/または20で表示される環状酸無水物化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、0.1ないし3wt%、0.1ないし2.5wt%、0.1ないし2wt%、あるいは0.1ないし1.5wt%である。化学式19及び/または20で表示される環状酸無水物化合物の含量が、そのような範囲を有することにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。
【0035】
該有機電解液が、化学式21で表示される環状ジスルポネート(disulfonate)化合物をさらに含むことにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。例えば、化学式21で表示される環状ジスルポネート化合物において、X10、X11、X12及びX13は、水素である。
【0036】
化学式21で表示される環状ジスルポネート化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、3wt%以下、2.5wt%以下、2.0wt%以下あるいは1.5wt%以下である。化学式21で表示される環状ジスルポネート化合物の含量は、例えば、有機電解液総重量を基準に、0.1ないし3wt%、0.1ないし2.5wt%、0.1ないし2wt%、あるいは0.1ないし1.5wt%である。化学式21で表示される環状ジスルポネート化合物の含量が、そのような範囲を有することにより、リチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。
【0037】
該有機溶媒は、例えば、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒及びケトン系溶媒のうちから選択された1以上を含む。
【0038】
該カーボネート系溶媒として、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)などが使用され、エステル系溶媒として、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、エチルブチレート、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、ジメチルアセテート、ガンマブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、ガンマバレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用され、エーテル系溶媒として、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用され、ケトン系溶媒として、シクロヘキサノンなどが使用され、ニトリル系溶媒として、アセトニトリル(AN)、スクシノニトリル(SN)、アジポニトリルなどが使用されるが、必ずしもそれらに限定されるものではない。その他溶媒として、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランなどが使用されるが、必ずそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、有機溶媒として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0039】
該有機溶媒は、例えば、鎖状カーボネート50ないし95vol%、及び環状カーボネート5ないし50vol%、鎖状カーボネート55ないし95vol%、及び環状カーボネート5ないし45vol%、鎖状カーボネート60ないし95vol%、及び環状カーボネート5ないし40vol%、鎖状カーボネート65ないし95vol%、及び環状カーボネート5ないし35vol%、あるいは鎖状カーボネート70ないし95vol%、及び環状カーボネート5ないし30vol%を含む混合溶媒である。例えば、該有機溶媒は、3種以上の有機溶媒の混合溶媒である。
【0040】
該有機電解液は、例えば、化学式4ないし15のいずれか一つで表示されるフッ素含有ホスフェート系化合物0.01ないし2.0wt%、化学式17aで表示される化合物0.1ないし2.0wt%、化学式19aで表示される化合物0.1ないし1.0wt%、及び化学式21aで表示される化合物0.1ないし1.0wt%を含み、該有機溶媒が下記化学式16aで表示される化合物1ないし10vol%を含む:
【0041】
【化8】
【0042】
該リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(FSON、LiCSO、LiN(SOCFCF、及び化学式30ないし33で表示される化合物のうちから選択された1以上を含むが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、リチウム塩を使用することができるものであるならば、いずれも可能である:
【0043】
【化9】
【0044】
例示的な1つの有機電解液は、LiFSIを含まない。
該有機電解液が含むリチウム塩の濃度は、0.01ないし5.0M、0.05ないし5.0M、0.1ないし5.0M、あるいは0.1ないし2.0Mであるが、必ずしもそのような範囲に限定されるものではなく、必要によって適切な濃度が使用される。そのような濃度範囲内において、さらに向上した電池特性が得られる。
【0045】
他の一実施態様によるリチウム電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極と負極との間に配置される前述の有機電解液と、を含み、前記正極活物質が、ニッケル、及び1以上の他の遷移金属を含むリチウム遷移金属酸化物を含み、前記ニッケル含量が、遷移金属の全体モル数に対して、80mol%以上である。
【0046】
ニッケル、及び1以上の他の遷移金属を含み、ニッケル含量が、遷移金属の全体モル数に対して、80mol%以上であるリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として使用することにより、高出力及び高容量を有するリチウム電池の作製が可能である。一般的には、リチウム電池において、高ニッケル含量のリチウム遷移金属酸化物は、表面構造が不安定であり、電池の充放電過程において、副反応によるガス発生が増大し、ニッケルのような遷移金属の溶出がさらに激しくなる。従って、リチウム電池の寿命特性が低下してしまう。それに反し、前述の一実施態様によるリチウム電池は、前述のフッ素非置換のフェニル基を有するフッ素含有ホスフェート系化合物含量が、有機電解液総重量を基準に、2wt%以下に限定されることにより、リチウム電池の寿命特性が向上し、内部抵抗が低下し、副反応によるガス発生が抑制される。
【0047】
該正極活物質は、ニッケル、及び他の遷移金属を含むリチウム遷移金属酸化物を含む。該ニッケル、及び他の遷移金属を含むリチウム遷移金属酸化物において、ニッケル含量は、遷移金属の全体モル数に対して、80mol%以上、82mol%以上、85mol%以上、87mol%以上あるいは90mol%以上である。
【0048】
リチウム遷移金属酸化物は、例えば、下記化学式22で表示される化合物である:
(化22)LiNiCo2-b
化学式23で、1.0≦a≦1.2、0≦b≦0.2、0.8≦x<1、0<y≦0.3、0<z≦0.3、x+y+z=1であり、Mは、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びボロン(B)からなる群から選択された1以上であり、Aは、F、S、Cl、Br、またはそれらの組み合わせである。例えば、0.8≦x<1、0<y≦0.2、0<z≦0.2;0.83≦x<0.97、0<y≦0.15、0<z≦0.15;または0.85≦x<0.95、0<y≦0.1、0<z≦0.1である。
【0049】
該リチウム遷移金属酸化物は、例えば、下記化学式23あるいは24で表示される化合物である:
(化23)
LiNiCoMn
(化24)
LiNiCoAl
【0050】
前記化学式で、0.8≦x≦0.95、0<y≦0.2、0<z≦0.1である。例えば、0.82≦x≦0.95、0<y≦0.15、0<z≦0.15である。例えば、0.85≦x≦0.95、0<y≦0.1、0<z≦0.1である。
【0051】
該リチウム遷移金属酸化物は、例えば、LiNi0.7Co0.2Mn0.1、LiNi0.88Co0.08Mn0.04、LiNi0.8Co0.15Mn0.05、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.88Co0.1Mn0.02、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Mn0.2またはLiNi0.88Co0.1Al0.02である。
【0052】
該負極活物質は、シリコン系化合物、炭素系化合物、該シリコン系化合物と該炭素系化合物との複合体、及びシリコン酸化物(SiO、0<x<2)のうちから選択された1以上を含む。該シリコン系化合物は、例えば、シリコンナノ粒子である。該炭素系化合物は、例えば、黒鉛である。
【0053】
該シリコン系化合物と該炭素系物質との複合体は、例えば、シリコンナノ粒子を含む。該シリコン系化合物と炭素系物質との複合体は、例えば、シリコンナノ粒子が炭素系化合物上部に配置された構造を有する複合体、シリコン粒子が炭素系化合物の表面と内部とに含まれた複合体、あるいはシリコン粒子が炭素系化合物にコーティングされ、炭素系化合物内部に含まれた複合体である。該シリコン系化合物と該炭素系物質との複合体は、例えば、炭素系化合物粒子上に、大きさ約200nm以下のシリコンナノ粒子を分散させた後、カーボンコーティングして得られる活物質、あるいはシリコン(Si)粒子が、グラファイトの上部及び内部に存在する活物質である。
【0054】
本明細書において、「大きさ」は、粒子が球形である場合、平均径を示し、粒子が非球形である場合には、平均長軸長を示す。粒子の大きさは、例えば、粒子サイズ分析機(PSA:particle size analyzer)を利用して測定する。
【0055】
該シリコン系化合物と該炭素系化合物との複合体の二次粒子サイズは、例えば、5μmないし20μm、大きさは、5μmないし18μm、7μmないし18μm、7μmないし15μm、あるいは10μmないし13μmである。該シリコン系化合物と該炭素系化合物との複合体の二次粒子サイズは、例えば、二次粒子平均径である。該シリコンナノ粒子の大きさは、例えば、5nm以上、10nm以上、20nm以上、50nm以上あるいは70nm以上である。該シリコンナノ粒子の大きさは、例えば、300nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、50nm以下、20nm以下、10nm以下である。該シリコンナノ粒子の大きさは、例えば、10nmないし250nmである。該シリコンナノ粒子の大きさは、例えば、平均径である。
【0056】
リチウム電池の、45℃での200サイクル充放電後の容量維持率は、例えば、70%以上、75%以上、78%以上である。リチウム電池の、25℃での200サイクル充放電後のDCIR(direct current internal resistance)上昇率は、例えば、20%以下、18%以下、15%以下、12%以下、10%以下、5%以下、例えば、5ないし20%である。該リチウム電池が、45℃における200サイクル充放電後、優れた容量維持率と、低いDCIR上昇率とを提供することにより、リチウム電池のサイクル特性が向上する。
【0057】
該リチウム電池の電池単位体積当たりエネルギー密度が、例えば、500Wh/L以上、550Wh/L以上、600Wh/L以上、650Wh/L以上あるいは700Wh/L以上である。該リチウム電池が500Wh/L以上の高いエネルギー密度を提供することにより、高い出力を提供する。
【0058】
前述のリチウム電池は、その形態が特別に制限されるものではなく、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウム硫黄電池などを含む。
【0059】
例示的な1つのリチウム電池は、次のような方法によって製造される。
まず、正極が準備される。
例えば、正極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒を混合し、正極活物質組成物を準備する。該正極活物質組成物を、正極集電体上に直接コーティング及び乾燥させ、正極活物質層が形成された正極極板を製造する。代案としては、正極活物質組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、該支持体から剥離して得るフィルムを正極集電体上にラミネーションし、正極活物質層が形成された正極極板を製造する。該正極は、前述の形態に限定されるものではなく、そのような形態以外の多様な形態を有する。
【0060】
該正極活物質は、前述のニッケルリーチリチウム複合酸化物以外に、一般的なリチウム含有金属酸化物を共に使用することが可能である。該リチウム含有金属酸化物は、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせのうちから選択される金属と、リチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものを使用することができる。
一般的なリチウム含有金属酸化物の具体的な例としては、Li1-bB’(前記式で、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li1-bB’2-c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2-bB’4-c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoB’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiI’O;LiNiVO;Li3-f(PO(0≦f≦2);Li3-fFe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうちいずれか一つによって表現される化合物である。
【0061】
前述の化学式で、Aは、Ni、Co、Mn、あるいはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、あるいはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、あるいはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、あるいはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、あるいはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、あるいはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、あるいはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、あるいはそれらの組み合わせである。
【0062】
例示的な1つのリチウム含有金属酸化物は、前述の化合物表面に、コーティング層が追加された複合化物、あるいは前述の化合物と、コーティング層を有する化合物との混合物である。該コーティング層は、例えば、コーティング元素のオキシド、コーティング物質のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、あるいはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含む。そのようなコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。該コーティング層が含むコーティング元素は、例えば、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物である。該コーティング層形成工程は、前述の化合物と、コーティング層をなす化合物とを構成する元素を使用し、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法であるならば、いずれも可能である。該コーティング方法は、例えば、スプレーコーティング、浸漬法などである。該コーティング方法は、当該分野の当業者に周知内容であるので、詳細な説明は、省略する。
【0063】
一般的なリチウム含有金属酸化物は、例えば、LiNiO、LiCoO、LiMn2x(x=1、2)、LiNi1-xMn(0<x<1)、LiNi1-x-yCoMn(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFePOなどである。
【0064】
該導電剤は、リチウム電池に化学的変化を誘発せずに、導電性を有したものであるならば、特別に制限されるものではない。該導電剤は、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素ファイバや金属ファイバなどの導電性ファイバ;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などである、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、導電剤で使用するものであるならば、いずれも可能である。該導電剤の含量は、正極活物質組成物の総重量を基準にして、例えば、1ないし20重量%である。
【0065】
該バインダは、正極活物質と、導電剤のような添加剤との結合、及び集電体と正極活物質との結合に一助となる成分である。該バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアニリン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、多様な共重合体などであるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、バインダとして使用するものであるならば、いずれも可能である。該バインダの含量は、正極活物質組成物総重量を基準にして、例えば、1ないし30重量%である。
【0066】
該溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で溶媒として使用するものであるならば、いずれも可能である。該溶媒の含量は、例えば、正極活物質100重量部を基準に、10ないし100重量部である。そのような含量範囲の溶媒を含むことにより、活物質層形成がさらに容易である。
【0067】
正極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用されるレベルである。該リチウム電池の用途及び構成により、導電剤、バインダ及び溶媒のうち1以上が、省略可能である。
【0068】
例示的な1つの正極において、N-メチルピロリドンを溶媒として使用し、PVdFまたはPVdF共重合体をバインダとして使用し、カーボンブラック、アセチレンブラックを導電剤として使用する。例示的な1つの正極において、正極活物質94重量%、バインダ3重量%、導電剤3重量%を粉末状態で混合した後、固形分が70重量%になるように、NMPを入れてスラリーにした後、該スラリーをコーティング、乾燥、圧延して正極を作製する。
【0069】
該正極集電体の厚みは、例えば、3μmないし50μmである。該正極集電体は、リチウム電池に化学的変化を誘発せずに、高い導電性を有するものであるならば、特別に制限されるものではない。該正極集電体は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、あるいはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン・ニッケル・チタン・銀などで表面処理したものなどである。該正極集電体は、その表面に、微細な凹凸を形成し、正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0070】
該正極活物質組成物のローディングレベル(loading level)は、例えば、30mg/cm以上、35mg/cm以上あるいは40mg/cm以上である。該正極密度は、例えば、3g/cc以上あるいは3.5g/cc以上である。エネルギー密度を重視する正極は、例えば、ローディングレベル35mg/cm以上50mg/cm以下、正極密度は、3.5g/cc以上4.2g/cc以下である。例えば、該正極は、ローディングレベル37mg/cc、正極密度3.6g/ccであり、両面コーティングされた正極極板である。
【0071】
前述の正極活物質のローディングレベル、及び正極密度の範囲を満足する場合、そのような正極活物質を含むリチウム電池は、500wh/L以上の高いセルエネルギー密度を発揮する。そのようなリチウム電池において、45℃における200サイクル充放電後、DCIR上昇率は、20%以下である。
【0072】
次に、負極が準備される。
例えば、負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒を混合し、負極活物質組成物を準備する。該負極活物質組成物を負極集電体上に直接コーティング及び乾燥させ、負極活物質層が形成された負極極板を製造する。代案としては、該負極活物質組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、該支持体から剥離して得るフィルムを負極集電体上にラミネーションし、負極活物質層が形成された負極極板を製造する。該負極は、前述の形態に限定されるものではなく、そのような形態以外の多様な形態を有する。
【0073】
該負極活物質は、例えば、シリコン系化合物、シリコン酸化物(SiO(0<x<2)、あるいはシリコン系化合物と炭素系物質との複合体である。ここで、シリコン粒子のサイズは、300nm以下、例えば、10ないし250nmである。用語サイズは、シリコン粒子が球形である場合には、平均粒径を示し、シリコン粒子が非球形である場合には、平均長軸長を意味する。
【0074】
該シリコン粒子のサイズが前記範囲であるとき、寿命特性にすぐれ、一実施態様による電解質を使用した場合、リチウム二次電池の寿命がさらに一層改善される。
【0075】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物でもある。前記結晶質炭素は、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛でもあり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどでもある。
【0076】
該シリコン系化合物と該炭素系物質との複合体は、例えば、シリコン粒子が黒鉛上部に配置された構造を有する複合体、またはシリコン粒子が黒鉛の上部及び内部に含まれた複合体である。そのような複合体は、例えば、黒鉛粒子上に、平均粒径が約200nm以下、例えば、100ないし200nm、具体的には、150nmであるSi粒子を分散させた後、カーボンコーティングした活物質、またはシリコン(Si)粒子が、黒鉛の上部及び内部に存在する活物質を有することができる。そのような複合体は、商品名SCN1(Si particle on graphite)またはSCN2(Si particle inside as well as on graphite)として入手可能である。SCN1は、黒鉛粒子上に、平均粒径が約150nmであるSi粒子を分散させた後、カーボンコーティングした活物質である。SCN2は、平均粒径が約150nmであるSi粒子が、黒鉛の上部及び内部に存在する活物質である。
【0077】
該負極活物質は、前述の負極活物質以外に、一般的な負極活物質と共に使用可能であるものも可能である。
【0078】
従来の一般的な負極活物質は、例えば、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などである。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、あるいはそれらの組み合わせでもある。例えば、従来の一般的な負極活物質として使用される金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などである。
【0079】
該負極活物質組成物として使用する導電剤及びバインダは、前述の正極活物質組成物に使用される導電剤及びバインダと同一であるか、あるいは前述の正極活物質組成物に使用される導電剤及びバインダのうちから選択される。
【0080】
負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用するレベルである。リチウム電池の用途及び構成により、導電剤、バインダ及び溶媒のうち1以上が、省略可能である。
【0081】
該負極活物質組成物において、溶媒として水を使用する。例示的な1つの負極において、水を溶媒として使用し、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、アクリレート系重合体及び/またはメタクリレート系重合体、AG(alginate)をバインダとして使用し、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイトを導電剤として使用する。例示的な1つの負極において、負極活物質94重量%、バインダ3重量%、導電剤3重量%を粉末状態で混合した後、固形分が約70重量%になるように水を入れてスラリーにした後、該スラリーをコーティング、乾燥、圧延し、負極を作製する。
【0082】
該負極集電体の厚みは、例えば、3μmないし50μmである。該負極集電体は、リチウム電池に化学的変化を誘発せずに、導電性を有したものであるならば、特別に制限されるものではない。該負極集電体は、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に、カーボン・ニッケル・チタン・銀などで表面処理したもの、アルミニウム・カドミウム合金などである。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成し、負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0083】
該負極活物質組成物のローディングレベルは、該正極活物質組成物のローディングレベルによって設定される。該負極活物質組成物g当たり容量により、12mg/cm以上、15mg/cm以上、18mg/cm以上、例えば、21mg/cm以上である。該負極密度は、1.5g/cc以上、例えば、1.6g/cc以上である。エネルギー密度を重視する負極は、例えば、負極密度1.65g/cc以上1.9g/cc以下である。
【0084】
前述の負極活物質のローディングレベル及び電極密度の範囲を満足する場合、そのような負極活物質を含む電池は、500wh/L以上の高いセルエネルギー密度を発揮する。
【0085】
次に、正極と負極との間に挿入される分離膜が準備される。
該分離膜は、リチウム電池で一般的に使用されるものであるならば、いずれも使用可能である。電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液含湿能にすぐれるものが使用される。例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組み合わせ物のうちから選択されたものであり、不織布または織布の形態でもよい。例えば、該リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなワインディング可能な分離膜が使用され、リチウムイオンポリマー電池には、電解質含浸能にすぐれる分離膜が使用される。
【0086】
該分離膜は、例えば、下記方法によって製造される。
高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合し、分離膜組成物を準備する。該分離膜組成物を電極上部に、直接コーティング及び乾燥させて分離膜を形成する。代案としては、分離膜組成物を支持体上に、キャスティング及び乾燥させた後、支持体から剥離させた分離膜フィルムを、電極上部にラミネーションして分離膜を形成する。
【0087】
該分離膜製造に使用される高分子樹脂は、特別に限定されるものではなく、電極極板のバインダとして使用される物質であるならば、いずれも使用可能である。該高分子樹脂は、例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物などである。
【0088】
次に、正極と負極との間に配置される電解質として、前述の有機電解液が準備される。
【0089】
例示的な1つの電解質は、前述の有機電解液以外に、非水電解液、有機固体電解質及び/または無機固体電解質を追加して含む。
【0090】
該有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用される。
【0091】
該無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどが使用される。
【0092】
図1を参照すれば、リチウム電池1は、正極3、負極2及び分離膜4を含む。正極3、負極2及び分離膜4がワインディンされるか、あるいは折り畳まれ、電池ケース5に収容される。次に、電池ケース5に電解質が注入され、キャップ(cap)アセンブリ6に密封され、リチウム電池1が完成される。電池ケース5は、円筒状外に、図面に図示されていないが、角形、薄膜型などである。該リチウム電池は、例えば、リチウム二次電池である。該リチウム電池は、例えば、大型薄膜型電池またはリチウムイオン電池である。
【0093】
例えば、正極及び負極の間に分離膜が配置され、電池構造体が形成される。そのような電池構造体がバイセル構造に積層された後、電解質に含浸され、得られた結果物がパウチに収容されて密封され、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0094】
また、該電池構造体が複数個積層されて電池パックを形成し、そのような電池パックが、高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用される。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両などに使用される。
【0095】
一実施態様によるリチウム電池は、一般的なニッケルリッチリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として採用したリチウム電池と比較し、DCIR上昇率が顕著に低下し、優れた電池特性を発揮する。
【0096】
正極、負極、電解質を適用したリチウム電池の作動電圧は、例えば、下限は、2.5-2.8Vであり、上限は、4.1-4.4Vであり、エネルギー密度は、500wh/L以上と優れている。
【0097】
該リチウム電池は、例えば、電池的モータによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(EV:electric vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid electric vehicle)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力保存用システムなどに使用されるが、それらに限定されるものではない。
【0098】
本明細書において、用語「アルキル基」は、完全飽和された分枝型または非分枝型(または、直鎖または線形)炭化水素基をいう。
【0099】
「アルキル基」の非制限的な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、n-ヘプチル基などである。
「アルキル基」のうち1以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC-C20アルキル基(例:CCF、CHCF、CHF、CClなど)、C-C20アルコキシ基、C-C20アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基やその塩、スルホニル基、スルファモイル(sulfamoyl)基、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、C-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C20アルキニル基、C-C20ヘテロアルキル基、C-C20アリール基、C-C20アリールアルキル基、C-C20ヘテロアリール基、C-C20ヘテロアリールアルキル基、C-C20ヘテロアリールオキシ基、C-C20ヘテロアリールオキシアルキル基またはC-C20ヘテロアリールアルキル基にも置換される。
【0100】
本明細書において、「シクロアルキル基」は、環を形成するアルキル基をいう。
本明細書において、用語「ハロゲン基」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を含む。
本明細書において、用語「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を示し、アルキル基は、前述の通りである。アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、2-プロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などである。アルコキシ基のうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同一置換基によっても置換される。
【0101】
本明細書において、用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を有する分枝型または非分枝型の炭化水素基をいう。該アルケニル基の非制限的な例としては、ビニル基、アリール基、ブテニル基、プロペニル基、イソブテニル基などであり、アルケニル基のうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同一置換基によっても置換される。
【0102】
本明細書において、用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素・炭素三重結合を有する分枝型または非分枝型の炭化水素基をいう。「アルキニル基」の非制限的な例としては、エチニル基、ブチニル基、イソブチニル基、イソプロピニル基などである。
【0103】
「アルキニル基」のうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同一置換基によっても置換される。
【0104】
本明細書において、用語「アリール基」は、芳香族環が1以上の炭素環に選択的に融合された基も含む。「アリール基」の非制限的な例として、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基などである。また「アリール基」のうち1以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基で置換可能である。
【0105】
本明細書において、用語「ヘテロアリール基」は、N、O、PまたはSのうちから選択された1以上のヘテロ原子を含み、残り環原子が炭素である単環式(monocyclic)または二環式(bicyclic)の有機基を意味する。ヘテロアリール基は、例えば、1-5個のヘテロ原子を含み、5-10環メンバー(ring member)を含む。SまたはNは、酸化され、さまざまな酸化状態を有することができる。
【0106】
ヘテロアリール基の例としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,2,5-オキサジアゾリル基、1,3,4-オキサジアゾリル基、1,2,3-チアジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、1,2,5-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、イソチアゾール-3-イル基、イソチアゾール-4-イル基、イソチアゾール-5-イル基、オキサゾール-2-イル基、オキサゾール-4-イル基、オキサゾール-5-イル基、イソオキサゾール-3-イル基、イソオキサゾール-4-イル基、イソオキサゾール-5-イル基、1,2,4-トリアゾール-3-イル基、1,2,4-トリアゾール-5-イル基、1,2,3-トリアゾール-4-イル基、1,2,3-トリアゾール-5-イル基、テトラゾリル基、ピリド-2-イル基、ピリド-3-イル基、2-ピラジン-2-イル基、ピラジン-4-イル基、ピラジン-5-イル基、2-ピリミジン-2-イル基、4-ピリミジン-2-イル基あるいは5-ピリミジン-2-イル基などである。
【0107】
「ヘテロアリール基」は、ヘテロ芳香族環が、1以上のアリール基、脂環族(cyclyaliphatic)あるいはヘテロ環に選択的に融合された場合を含む。
【0108】
以下、実施例及び比較例を介して、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、該実施例は、本発明を例示するためのものであり、それらだけで本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例
【0109】
(有機電解液の製造)
実施例1:1.15M LiPF 、FPPA1 1wt%
下記化学式16aで表示される化合物(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)を、それぞれ5:20:35:40の体積比で混合した非水系有機溶媒に、下記化学式17aで表示される化合物(VC)1.5wt%、下記化学式19aで表示される化合物(MA)0.3wt%、下記化学式21aで表示される化合物(MMDS)0.2wt%、及び下記化学式5で表示される化合物(FPPA1)1wt%をそれぞれ添加し、リチウム塩としては、1.15M LiPFを使用して有機電解液を製造した。
【0110】
【化10】
【0111】
実施例2:1.15M LiPF 、FPPA2 1wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式10で表示される化合物(FPPA2)1wt%を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0112】
【化11】
【0113】
実施例3:1.15M LiPF 、FPPA2 2wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式10で表示される化合物(FPPA2)2wt%を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0114】
【化12】
【0115】
比較例1:1.15M LiPF 、 no additive
前記化学式5で表示される化合物を添加しないことを除いては、実施例1と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0116】
比較例2:1.15M LiPF 、TFEP 2wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式25で表示される化合物2wt%を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0117】
【化13】
【0118】
比較例3:1.15M LiPF 、TFPP 2wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式26で表示される化合物2wt%を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0119】
【化14】
【0120】
実施例4:1.15M LiPF 、FPPA2 1wt%
下記化学式16aで表示される化合物(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)を、それぞれ5:20:35:40の体積比で混合した非水系有機溶媒に、下記化学式17aで表示される化合物(VC)1.5wt%、及び下記化学式10で表示される化合物(FPPA2)1wt%を添加し、リチウム塩としては、1.15M LiPFを使用し、有機電解液を製造した。
【0121】
【化15】
【0122】
実施例5:1.15M LiPF 、FPPA4 1wt%
前記化学式10で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式15で表示される化合物(FPPA4)1wt%を使用したことを除いては、実施例4と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0123】
【化16】
【0124】
比較例4:1.15M LiPF 、TMP 1wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式27で表示される化合物(TMP)1wt%を使用したことを除いては、実施例4と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0125】
【化17】
【0126】
比較例5:1.15M LiPF 、TEP 1wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式28で表示される化合物(TEP)1wt%を使用したことを除いては、実施例4と同一方法で、有機電解液を製造した。
【0127】
【化18】
【0128】
比較例6:1.15M LiPF 、TFPP 1wt%
前記化学式5で表示される化合物1wt%の代わりに、下記化学式29で表示される化合物1wt%を使用したことを除いては、実施例4と同一方法で、有機電解液の製造を試みたが、
化学式29で表示される化合物が、有機溶媒に溶けずに沈澱され、有機電解液製造が不可能であった。
【0129】
【化19】
(リチウム電池(full cell)の製造)
【0130】
実施例6:リチウム二次電池(フルセル)の製造、炭素-シリコン複合負極(SCN)
(正極の製造)
正極活物質として、LiNi0.88Co0.10Mn0.02 95.0重量%、導電剤として、デンカブラック(Denka black)2.5重量%、及びバインダとしてPVDF(Solef6020、Solvay社製)2.5重量%を混合し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に、固形分が60%になるように投入した後、機械式撹拌機を使用し、30分間分散させ、正極活物質組成物を製造した。該正極活物質組成物を、3ロールコータ(3-roll coater)を使用し、厚み12μmのアルミニウムホイル集電体上に、ローディングレベル37mg/cmになるように両面コーティングし、100℃の熱風乾燥機で、0.5時間乾燥させた後、真空、120℃の条件で、4時間さらに一度乾燥させ、圧延(roll press)し、集電体上に3.6g/ccの密度を有する正極活物質層が形成された正極を製造した。
【0131】
(負極の製造)
負極活物質として、黒鉛粉末(MC20、純度99.9%以上、Mitsubishi Chemical製)85重量部に、炭素粒子とシリコンナノ粒子とが機械化学的に(mechanochemically)複合化され、黒鉛の上部及び内部に、シリコンナノ粒子が配置された炭素・シリコン複合体(BTR社製)約15重量部を混合した混合物97重量%、バインダとして、AGバインダ4重量%を混合し、水溶媒に固形分が50%になるように投入した後、機械式撹拌機を使用し、60分間分散させ、負極活物質組成物を製造した。該負極活物質組成物を、3ロールコータを使用し、厚み10μmの銅ホイル集電体上に、ローディングレベル21.87mg/cmになるように両面コーティングし、100℃の熱風乾燥機で、0.5時間乾燥させた後、真空、120℃の条件で、4時間さらに一度乾燥させ、圧延し、集電体上に、1.65g/ccの密度を有する負極活物質層が形成された負極を製造した。炭素・シリコン複合体が含むSiナノ粒子の平均径は、約150nmであり、炭素・シリコン複合体の二次粒子平均径は、約5μmであった。
【0132】
(リチウム電池の組み立て)
製造された正極、前記負極、ポリエチレンセパレータ、及び電解液として実施例1で製造された電解液を使用し、18650円筒状リチウム電池を製造した。
【0133】
実施例7及び8
実施例1で製造された有機電解液の代わりに、実施例2及び3で製造された有機電解液をそれぞれ使用したことを除いては、実施例6と同一方法で、リチウム電池を製造した。
【0134】
比較例7ないし9
実施例1で製造された有機電解液の代わりに、比較例1ないし3で製造された有機電解液をそれぞれ使用したことを除いては、実施例6と同一方法で、リチウム電池を製造した。
【0135】
実施例9:リチウム二次電池(フルセル)の製造、負極黒鉛(Gr)
負極活物質として、炭素・シリコン複合体の代わりに、黒鉛粉末(MC20、純度99.9%以上、Mitsubishi Chemical製造)を使用し、実施例1で製造された有機電解液の代わりに、実施例4で製造された有機電解液を使用したことを除いては、実施例6と同一方法で、リチウム電池を製造した。
【0136】
実施例10
実施例4で製造された有機電解液の代わりに、実施例5で製造された有機電解液を使用したことを除いては、実施例9と同一方法で、リチウム電池を製造した。
【0137】
比較例10及び11
実施例4で製造された有機電解液の代わりに、比較例4及び5で製造された有機電解液をそれぞれ使用したことを除いては、実施例9と同一方法で、リチウム電池を製造した。
【0138】
評価例1:高温(45℃)充放電特性評価
実施例6ないし8、及び比較例7ないし9で製造されたリチウム電池に対して、45℃で、0.2Cレートの電流で、電圧が3.6V(対Li)に至るまで定電流充電し、次に、放電時、電圧が2.8V(対Li)に至るまで、0.2Cレートの定電流で放電した(化成段階、最初サイクル)。
【0139】
化成段階の最初サイクルを経たリチウム電池に対して、45℃で、0.2Cレートの電流で、電圧が4.3V(対Li)に至るまで定電流充電し、次に、放電時、電圧が2.8V(対Li)に至るまで、0.2Cレートの定電流で放電した(化成段階、2回目サイクル)。
【0140】
化成段階の2回目サイクルを経たリチウム電池に対して、45℃で、0.5Cレートの電流で、電圧が4.3V(対Li)に至るまで定電流充電し、次に、定電圧モードで4.3Vを維持しながら、0.05Cレートの電流でカットオフ(cut-off)した。次に、放電時、電圧が2.8V(対Li)に至るまで、0.2Cレートの定電流で放電した。そのような充放電サイクルを1回さらに行った(化成段階、3回目サイクル)。
【0141】
化成段階を経たリチウム電池に対して、45℃で、0.5Cレートの電流で、電圧が4.3V(対Li)に至るまで定電流充電し、次に、定電圧モードで4.3Vを維持しながら、0.05Cレートの電流でカットオフした。次に、放電時、電圧が2.8V(対Li)に至るまで、1.0Cレートの定電流で放電した。そのような充放電サイクルを200回反復した。
【0142】
全ての充放電サイクルにおいて、1つの充電/放電サイクル後、10分間の休止時間を置いた。
【0143】
充放電実験結果の一部を、下記表1に示した。200回目サイクルでの容量維持率は、下記数式1によって定義される。
【0144】
(数1)
容量維持率=[200回目サイクルでの放電容量/最初サイクルでの放電容量]×100
【0145】
【表1】
【0146】
表1から分かるように、フッ素非置換のフェニル基を含むホスフェート系化合物を使用した有機電解液を採用した実施例6ないし8のリチウム電池は、添加剤を含まない比較例6のリチウム電池、及びフッ素含有アルキル基を含むホスフェート系化合物を使用した有機電解液を採用した比較例7のリチウム電池に比べ、高温での寿命特性が向上した。また、実施例6ないし8のリチウム電池は、比較例9のリチウム電池に比べても、高温での寿命特性が向上した。
【0147】
また、WO2006-016733の表1から分かるように、トリフルオロエチルホスフェート(TFEP)は、トリフルオロフェニルホスフェート(TFPP)に比べ、向上した寿命特性を提供した。
実施例6で製造されたリチウム電池のエネルギー密度は710Wh/Lであった。
【0148】
評価例2:高温(45℃)直流抵抗(DC-IR)評価
評価例1において、高温充放電を実施する前(0サイクルまたは初期)、及び200サイクル充放電後、実施例6ないし8、及び比較例7ないし9のリチウム電池に対する高温(45℃)での直流抵抗(DC-IR)を下記方法で測定した。
最初サイクルにおいて、0.5Cの電流で、SOC(state of charge)50%の電圧まで充電した後、0.02Cでカットオフした後、10分休止させた後、
0.5Cで30秒間定電流放電した後、30秒休止させた後、0.5Cで30秒定電流充電させて10分休止させ、
1.0Cで30秒間定電流放電した後、30秒休止させた後、0.5Cで1分定電流充電させて10分休止させ、
2.0Cで30秒間定電流放電した後、30秒休止させた後、0.5Cで2分定電流充電させて10分休止させ、
3.0Cで30秒間定電流放電した後、30秒休止させた後、0.5Cで2分定電流充電させて10分休止させた。
それぞれのCレート別に、30秒間の平均電圧降下値が直流電圧値である。測定された直流電圧から直流抵抗を計算し、直流抵抗上昇率を計算し、結果の一部を下記表2に示した。
直流抵抗上昇率は、下記数式2から計算される。
【0149】
(数2)
直流抵抗上昇率=[(200回目サイクル後の直流抵抗-初期直流抵抗)/初期直流抵抗]×100
【0150】
【表2】
【0151】
表2から分かるように、実施例6ないし8のリチウム電池は、比較例7ないし8のリチウム電池に比べ、直流抵抗上昇率が顕著に低下した。
【0152】
評価例3:高温(60℃)ガス発生量評価
実施例9及び10、及び比較例10及び11で製造されたリチウム電池に対し、常温(25℃)で、最初サイクルで、0.2Cの速度(rate)で3.6Vまで定電流充電し、0.2Cの速度で2.8Vまで定電流放電した(化成段階、最初サイクル)。
【0153】
化成段階の最初サイクルを経たリチウム電池に対して、25℃で、0.2Cレートの電流で、電圧が4.3V(対Li)に至るまで定電流充電し、次に、放電時、電圧が2.8V(対Li)に至るまで、0.2Cレートの定電流で放電した(化成段階、2回目サイクル)。
【0154】
化成段階の2回目サイクルを経たリチウム電池に対して、25℃で、0.5Cレートの電流で、電圧が4.3V(対Li)に至るまで定電流充電し、次に、定電圧モードで、4.3Vを維持しながら、0.05Cレートの電流でカットオフした。次に、放電時、電圧が2.8V(対Li)に至るまで、0.2Cレートの定電流で放電した。そのような充放電サイクルを1回さらに行った(化成段階、3回目サイクル)。
【0155】
4回目サイクルで、0.5Cの速度で、4.30Vまで充電し、次に、4.30Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電した後、前記充電された電池を60℃オーブンに10日間保管した後、前記電池を取り出し、2.8Vまで放電させた後、ジグ(jig)に入れて壊した後、内部ガス圧変化を体積に換算し、ガス発生量を測定した。評価結果の一部を、下記表3に示した。
【0156】
【表3】
【0157】
表3から分かるように、実施例9及び10のリチウム電池は、比較例10及び11のリチウム電池に比べ、ガス発生量が減少した。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の、有機電解液、及びそれを含むリチウム電池は、例えば、駆動電源関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0159】
1 リチウム電池
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 電池ケース
6 キャップアセンブリ
図1