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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】光学式膜厚測定システムの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20230721BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20230721BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20230721BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230721BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B24B37/013
B24B49/12
B24B55/06
H01L21/304 622S
B08B3/02 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018243086
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020104191
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】温 中新
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信行
(72)【発明者】
【氏名】丸山 徹
(72)【発明者】
【氏名】横山 太一
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-525878(JP,A)
【文献】特表2005-526292(JP,A)
【文献】特許第6195754(JP,B2)
【文献】特開平11-204472(JP,A)
【文献】特開2001-088021(JP,A)
【文献】特開2005-057100(JP,A)
【文献】特開2018-075650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/013
B24B 49/12
B24B 55/06
H01L 21/304
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリーを用いた基板の研磨前または後に、研磨テーブル上の研磨パッに形成された通孔に液体供給ラインを通じてリンス液を供給して、前記通孔の下方に配置された光学センサヘッドを前記リンス液で洗浄し、
前記リンス液を前記通孔からドレインラインを通じて排出し、
前記液体供給ラインを流れる前記リンス液の流量を流量計により測定し、
前記ドレインライン内のスラリーまたは基板の研磨屑に起因して前記流量の測定値がしきい値よりも小さい場合は、動作制御部によりアラーム信号を生成する、方法。
【請求項2】
前記通孔を構造体で覆いながら、前記通孔にリンス液を供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記研磨テーブルを静止させた状態で、前記通孔を構造体で覆いながら、前記通孔にリンス液を供給する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記研磨テーブルを回転させた状態で、前記通孔を構造体で間欠的に覆いながら、前記通孔にリンス液を供給する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記構造体はウェーハである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記研磨テーブル内を延びる液体供給ラインを通じて前記リンス液を前記通孔に供給する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
スラリーを用いた基板の研磨前または後に、研磨テーブル上の研磨パッドの上方に配置された研磨パッド洗浄ノズルから、前記研磨パッに形成された通孔にリンス液を供給して、前記通孔の下方に配置された光学センサヘッドを前記リンス液で洗浄し、
前記リンス液を前記通孔からドレインラインを通じて排出する、方法。
【請求項8】
スラリーを用いた基板の研磨前または後に、研磨テーブル上の研磨パッドの上方に配置された研磨パッド洗浄ノズルの下面に向かってリンス液を噴射し、前記研磨パッド洗浄ノズルの下面から落下した前記リンス液を前記研磨パッドに形成された通孔に供給して、前記通孔の下方に配置された光学センサヘッドを前記リンス液で洗浄し、
前記リンス液を前記通孔からドレインラインを通じて排出する、方法。
【請求項9】
前記ドレインラインは、前記リンス液を前記通孔から吸引するためのドレインポンプに接続されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板を研磨しながら基板の膜厚を測定するために使用される光学式膜厚測定システムの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスには、SiOなどの絶縁膜を研磨する工程や、銅、タングステンなどの金属膜を研磨する工程などの様々な工程が含まれる。ウェーハの研磨は研磨装置を使用して行われる。研磨装置は、一般に、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ウェーハを研磨パットに押し付ける研磨ヘッドと、スラリーを研磨パッド上に供給するスラリー供給ノズルを備えている。研磨テーブルを回転させながら、研磨テーブル上の研磨パッドにスラリーが供給され、研磨ヘッドは、ウェーハを研磨パットに押し付ける。ウェーハは、スラリーの存在下で研磨パッドと摺接される。ウェーハの表面は、スラリーの化学的作用と、スラリーに含まれる砥粒の機械的作用との組み合わせにより平坦化される。
【0003】
ウェーハの研磨は、その表面を構成する膜(絶縁膜、金属膜、シリコン層など)の厚さが所定の目標値に達したときに終了される。研磨装置は、絶縁膜やシリコン層などの非金属膜の厚さを測定するために、一般に、光学式膜厚測定システムを備える。この光学式膜厚測定システムは、光源から発せられた光をウェーハの表面に導き、ウェーハからの反射光の強度を分光器で測定し、反射光のスペクトルを解析することで、ウェーハの膜厚を決定するように構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図12は、光学式膜厚測定システムの模式図である。光源500および分光器501は、光学センサヘッド510に接続されている。光学センサヘッド510は、研磨テーブル515内に配置されている。研磨パッド520には通孔521が形成されており、光学センサヘッド510は通孔521の下方に位置している。光源500から発せられた光は、光学センサヘッド510に送られ、光学センサヘッド510は、通孔521を通じて光をウェーハWに照射する。ウェーハWからの反射光は通孔521を通って光学センサヘッド510に受けられる。
【0005】
ウェーハWの研磨中は、スラリーが研磨パッド520上に供給される。スラリーは通孔521に流入し、光の進行を妨げる。そこで、光の通路を確保するために、純水が純水供給ライン530から研磨パット520の通孔521に供給される。通孔521は純水で満たされ、通孔521に侵入したスラリーおよび研磨屑は、純水とともにドレインライン540を通って排出される。通孔521に形成された純水の流れは、光の通路を確保し、精度の高い膜厚測定を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-235311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ドレインライン540がスラリーおよび/または研磨屑で詰まることがある。このような場合、純水が通孔521から排出されずに、研磨パッド520上に溢れ、研磨パッド520上のスラリーを希釈させる。スラリーの希釈は、ウェーハWの研磨不良を引き起こす可能性がある。また、スラリーおよび/または研磨屑が通孔521内に残留し、光学センサヘッド510に付着することがある。このような場合、分光器501に送られる反射光の全体の強度が低下し、正確な膜厚測定が妨げられてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、光学式膜厚測定システムに使用される光学センサヘッドを洗浄することで、光学式膜厚測定システムを正常に機能させることができる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、スラリーを用いた基板の研磨前または後に、研磨テーブル上の研磨パットに形成された通孔にリンス液を供給して、前記通孔の下方に配置された光学センサヘッドを前記リンス液で洗浄し、前記リンス液を前記通孔からドレインラインを通じて排出する方法が提供される。
【0010】
一態様では、前記通孔を構造体で覆いながら、前記通孔にリンス液を供給する。
一態様では、前記研磨テーブルを静止させた状態で、前記通孔を構造体で覆いながら、前記通孔にリンス液を供給する。
一態様では、前記研磨テーブルを回転させた状態で、前記通孔を構造体で間欠的に覆いながら、前記通孔にリンス液を供給する。
一態様では、前記構造体はウェーハである。
一態様では、前記研磨テーブル内を延びる液体供給ラインを通じて前記リンス液を前記通孔に供給する。
【0011】
一態様では、前記研磨パッドの上方に配置された研磨パッド洗浄ノズルから前記リンス液を前記通孔に供給する。
一態様では、前記研磨パッドの上方に配置された研磨パッド洗浄ノズルの下面に向かって前記リンス液を噴射し、前記研磨パッド洗浄ノズルの下面から落下した前記リンス液を前記通孔に供給する。
一態様では、前記ドレインラインは、前記リンス液を前記通孔から吸引するためのドレインポンプに接続されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スラリーを用いた研磨が行われていないときに、リンス液が通孔に供給され、リンス液はドレインラインを通って流れる。結果として、光学センサヘッドおよびドレインラインは、リンス液で洗浄され、光学式膜厚測定システムの正常な動作が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】研磨方法の一実施形態を実行することができる研磨装置を示す模式図である。
図2図1に示す研磨装置の詳細な構成の一実施形態を示す断面図である。
図3】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作の一実施形態を示す模式図である。
図4】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作の他の実施形態を示す模式図である。
図5】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図6】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図7】研磨装置の詳細な構成の他の実施形態を示す断面図である。
図8図7に示す光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作の一実施形態を示す模式図である。
図9】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作の他の実施形態を示す模式図である。
図10】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図11】光学センサヘッドおよびドレインラインを洗浄するフラッシング動作のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図12】光学式膜厚測定システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、研磨方法の一実施形態を実行することができる研磨装置を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、基板の一例であるウェーハWを研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド1と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2上にスラリーを供給するための液体供給ノズル5と、研磨パッド2の研磨面2aを洗浄するための研磨パッド洗浄ノズルとしてのアトマイザ8を備えている。
【0015】
研磨ヘッド1はヘッドシャフト10に連結されており、ヘッドシャフト10とともに研磨ヘッド1は矢印で示す方向に回転する。研磨テーブル3はテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6は研磨テーブル3および研磨パッド2を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0016】
アトマイザ8は、研磨パッド2の上方に配置されている。アトマイザ8は、不活性ガスなどの気体を送る気体供給ライン12と、純水を送る純水供給ライン13に接続されている。気体および純水は、気体供給ライン12および純水供給ライン13を通ってアトマイザ8に供給され、気体と純水からなる混合流体を形成する。アトマイザ8は、この混合流体を、ウェーハWの研磨後に研磨パッド2の研磨面2aに供給し、研磨面2aを洗浄する。
【0017】
研磨装置は、ウェーハWの膜厚を測定する光学的膜厚測定システム40を備えている。光学的膜厚測定システム40は、光学センサヘッド7と、光源44と、分光器47と、データ処理部9を備えている。光学センサヘッド7、光源44、および分光器47は研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3および研磨パッド2とともに一体に回転する。光学センサヘッド7の位置は、研磨テーブル3および研磨パッド2が一回転するたびに研磨パッド2上のウェーハWの表面を横切る位置である。光学センサヘッド7は、光源44および分光器47に接続されており、分光器47はデータ処理部9に接続されている。
【0018】
光源44は光学センサヘッド7に光を送り、光学センサヘッド7は光をウェーハWに向けて放つ。ウェーハWからの反射光は光学センサヘッド7に受けられ、分光器47に送られる。分光器47は反射光をその波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定する。分光器47は、反射光の強度の測定データをデータ処理部9に送る。データ処理部9は、反射光の強度の測定データから反射光のスペクトルを生成する。このスペクトルは、反射光の強度と波長との関係を示し、スペクトルの形状はウェーハWの膜厚に従って変化する。データ処理部9は、スペクトルに含まれる光学情報からウェーハWの膜厚を決定する。
【0019】
ウェーハWは次のようにして研磨される。研磨テーブル3および研磨ヘッド1を図1の矢印で示す方向に回転させながら、液体供給ノズル5からスラリーが研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに供給される。ウェーハWは研磨ヘッド1によって回転されながら、研磨パッド2上にスラリーが存在した状態で研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。ウェーハWの表面は、スラリーの化学的作用と、スラリーに含まれる砥粒による機械的作用により研磨される。
【0020】
ウェーハWの研磨中、光学センサヘッド7は、研磨テーブル3が一回転するたびに、研磨パッド2上のウェーハWの表面を横切りながら、ウェーハW上の複数の測定点に光を照射し、ウェーハWからの反射光を受ける。データ処理部9は、反射光の強度の測定データからウェーハWの膜厚を決定し、膜厚に基づいてウェーハWの研磨動作を制御する。例えば、データ処理部9は、ウェーハWの膜厚が目標膜厚に達した時点である研磨終点を決定する。
【0021】
ウェーハWの研磨終了後、ウェーハWは研磨パッド2から離れ、次工程に搬送される。その後、アトマイザ8による研磨パッド2の研磨面2aの洗浄が行われる。具体的には、研磨パッド2および研磨テーブル3を回転させながら、アトマイザ8は、気体と純水との混合流体を研磨パッド2の研磨面2aに供給する。混合流体は、研磨面2aからスラリーおよび研磨屑を除去する。
【0022】
図2は、図1に示す研磨装置の詳細な構成の一実施形態を示す断面図である。ヘッドシャフト10は、ベルト等の連結手段17を介して研磨ヘッドモータ18に連結されて回転されるようになっている。このヘッドシャフト10の回転により、研磨ヘッド1が矢印で示す方向に回転する。
【0023】
光学的膜厚測定システム40は、光源44から発せられた光をウェーハWの表面に導く投光用光ファイバーケーブル31と、ウェーハWからの反射光を受け、反射光を分光器47に送る受光用光ファイバーケーブル32を備えている。投光用光ファイバーケーブル31の先端および受光用光ファイバーケーブル32の先端は、研磨テーブル3内に位置している。投光用光ファイバーケーブル31の先端および受光用光ファイバーケーブル32の先端は、光をウェーハWの表面に導き、かつウェーハWからの反射光を受ける光学センサヘッド7を構成する。投光用光ファイバーケーブル31の他端は光源44に接続され、受光用光ファイバーケーブル32の他端は分光器47に接続されている。分光器47は、ウェーハWからの反射光を波長に従って分解し、所定の波長範囲に亘って反射光の強度を測定するように構成されている。
【0024】
研磨テーブル3には、その上面で開口する第1の孔50Aおよび第2の孔50Bを有している。また、研磨パッド2には、これら孔50A,50Bに対応する位置に通孔51が形成されている。孔50A,50Bと通孔51とは連通し、通孔51は研磨面2aで開口している。第1の孔50Aは液体供給ライン53に連結されており、第2の孔50Bはドレインライン54に連結されている。投光用光ファイバーケーブル31の先端および受光用光ファイバーケーブル32の先端から構成される光学センサヘッド7は、第1の孔50Aに配置されており、かつ通孔51の下方に位置している。
【0025】
光源44には、キセノンフラッシュランプなどのパルス点灯光源が使用される。投光用光ファイバーケーブル31は、光源44によって発せられた光をウェーハWの表面まで導く光伝送部である。投光用光ファイバーケーブル31および受光用光ファイバーケーブル32の先端は、第1の孔50A内に位置しており、ウェーハWの被研磨面の近傍に位置している。投光用光ファイバーケーブル31および受光用光ファイバーケーブル32の各先端から構成される光学センサヘッド7は、研磨ヘッド1に保持されたウェーハWを向いて配置される。研磨テーブル3が回転するたびにウェーハWの複数の測定点に光が照射される。本実施形態では、1つの光学センサヘッド7のみが設けられているが、複数の光学センサヘッド7が設けられてもよい。
【0026】
ウェーハWの研磨中は、光学センサヘッド7から光がウェーハWに照射され、光学センサヘッド7によってウェーハWからの反射光が受光される。分光器47は、各波長での反射光の強度を所定の波長範囲に亘って測定し、得られた測定データをデータ処理部9に送る。この測定データは、ウェーハWの膜厚に従って変化する膜厚信号である。データ処理部9は、波長ごとの光の強度を表わすスペクトルを測定データから生成し、さらにスペクトルからウェーハWの膜厚を決定する。
【0027】
ウェーハWの研磨中は、リンス液として純水が液体供給ライン53を介して第1の孔50Aに供給され、ウェーハWの下面と光学センサヘッド7との間の空間を満たす。純水は、さらに第2の孔50Bに流れ込み、ドレインライン54を通じて排出される。スラリーは純水と共に排出され、これにより光路が確保される。
【0028】
液体供給ライン53およびドレインライン54は、ロータリージョイント19に接続されており、さらに研磨テーブル3内を延びている。液体供給ライン53の一端は、第1の孔50Aに接続されている。液体供給ライン53の他端は、リンス液供給源としての純水供給源55に接続されている。純水供給源55は、研磨装置が設置される工場に設けられたユーティリティ供給源としての純水供給ラインであってもよい。リンス液としての純水は、液体供給ライン53を通って第1の孔50Aに供給され、さらに第1の孔50Aを通って通孔51に供給される。
【0029】
ドレインライン54の一端は、第2の孔50Bに接続されている。ドレインライン54は、純水を通孔51から吸引するためのドレインポンプ60に接続されている。通孔51に供給された純水は、第2の孔50Bを流れ、さらにドレインライン54を通って研磨装置の外に排出される。ドレインポンプ60は、動作制御部65に電気的に接続されており、ドレインポンプ60の動作は動作制御部65によって制御される。動作制御部65は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成されている。
【0030】
液体供給ライン53には開閉弁68が取り付けられている。この開閉弁68は、研磨テーブル3内に配置されており、かつロータリージョイント19と光学センサヘッド7との間に位置している。開閉弁68が開いているとき、純水は、液体供給ライン53を通って通孔51に供給される。一方、開閉弁68が閉じているとき、純水は通孔51に供給されない。純水の流量を制限するためのオリフィスを開閉弁68の上流または下流に設けてもよい。
【0031】
開閉弁68は、電磁弁または電動弁である。開閉弁68は、動作制御部65に電気的に接続されている。動作制御部65は、ウェーハWの研磨中、研磨テーブル3の回転に同期して開閉弁68を周期的に開閉する。具体的には、ウェーハWが通孔51の上にないときは、動作制御部65は開閉弁68を閉じ、ウェーハWが通孔51の上にあるときは、動作制御部65は開閉弁68を開く。
【0032】
ドレインライン54にはドレイン弁70が取り付けられている。ドレイン弁70は、電磁弁または電動弁である。ドレイン弁70は、動作制御部65に電気的に接続されており、ドレイン弁70の開閉動作は、動作制御部65によって制御される。開閉弁68およびドレイン弁70は、流量調整機能を持たない弁である。
【0033】
液体供給ライン53には、流量計73が取り付けられており、液体供給ライン53を流れる純水の流量は流量計73によって測定される。流量計73は動作制御部65に電気的に接続されており、流量の測定値は動作制御部65に送られるようになっている。
【0034】
本実施形態では、1つの流量計73によって液体供給ライン53を流れる純水の流量が測定されるが、本発明は本実施形態に限定されない。通孔51に供給すべき純水の流量が流量計73の有効測定範囲よりも小さい場合、あるいはロータリージョイント19の焼付きを防止するために大流量の純水をロータリージョイント19に流す必要がある場合は、2つの流量計を用いてもよい。具体的には、2つの流量計のうちの1つをロータリージョイント19の上流側に配置し、他方の流量計を、ロータリージョイント19の下流側において液体供給ライン53から分岐する分岐ラインに配置する。ロータリージョイント19の下流側に分岐ラインを配置する理由は、大流量の純水をロータリージョイント19に流すことでロータリージョイント19の焼付きを防止し、かつ過度な流量の純水が通孔51に供給されることを回避するためである。通孔51に供給される純水の流量は、上流側の流量計によって測定された流量と、下流側の流量計によって測定された流量との差である。
【0035】
ウェーハWの研磨中は、純水は液体供給ライン53から通孔51に供給され、スラリーおよび研磨屑を通孔51からドレインライン54を通じて除去する。しかしながら、ドレインライン54がスラリーおよび/または研磨屑で詰まることがある。このような場合、純水が通孔51から排出されずに、研磨パッド2上に溢れ、研磨パッド2上のスラリーを希釈させる。スラリーの希釈は、ウェーハWの研磨不良を引き起こす可能性がある。また、スラリーおよび/または研磨屑が通孔51内に残留し、光学センサヘッド7に付着することがある。このような場合、分光器47に送られる反射光の全体の強度が低下し、正確な膜厚測定が妨げられてしまう。
【0036】
そこで、以下に説明するように、研磨装置は、光学センサヘッド7およびドレインライン54にリンス液としての純水を供給して、光学センサヘッド7およびドレインライン54を洗浄するフラッシング動作を実行する。
【0037】
図3は、光学センサヘッド7およびドレインライン54を洗浄するフラッシング動作の一実施形態を示す模式図である。図3に示す実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハWの研磨の前に実行される。本実施形態では、フラッシング動作は、研磨に使用された研磨パッドを新たな研磨パッドに交換した後であって、かつウェーハを最初に研磨する前に実行される。フラッシング動作中、研磨テーブル3および研磨パッド2は、回転させず、静止した状態にある。
【0038】
研磨ヘッド1は、ウェーハWを研磨パッド2に押し付け、研磨パッド2の通孔51をウェーハWで覆う。本実施形態では、通孔51を覆うための構造体として、研磨すべき製品ウェーハであるウェーハWが使用されているが、ウェーハWに代えてダミーウェーハを用いてもよい。ダミーウェーハは、例えば、パターンのない膜が形成されたブランケットウェーハか、あるいは膜を有さないシリコンウェーハである。さらに、ウェーハWに代えて、ブロックまたはプレートなどの他の構造体を用いて通孔51を覆ってもよい。一実施形態では、ウェーハを保持していない研磨ヘッド1を構造体として用い、研磨ヘッド1の下面で通孔51を覆ってもよい。
【0039】
ウェーハWが通孔51を覆っている状態で、動作制御部65は、ドレインポンプ60を作動させ、さらに開閉弁68およびドレイン弁70を開く。白色で描かれている開閉弁68およびドレイン弁70は、開いている状態を表している。リンス液としての純水は、液体供給ライン53を通って研磨パッド2の通孔51に供給される。純水は、ウェーハWに衝突した後に光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。
【0040】
このように、本実施形態によれば、スラリーを用いた研磨が行われていないときに、リンス液としての純水が通孔51に供給され、純水はドレインライン54を通って流れる。結果として、光学センサヘッド7およびドレインライン54は、純水で洗浄され、光学的膜厚測定システム40の正常な動作が維持される。
【0041】
フラッシング動作中、動作制御部65は、流量計73から送られてくる流量の測定値、すなわち液体供給ライン53を流れる純水の流量が所定のしきい値以上であるか否かを監視する。純水の流量がしきい値よりも小さい場合は、ドレインライン54はスラリーおよび/または研磨屑で詰まっている可能性がある。よって、動作制御部65は、フラッシング動作中に液体供給ライン53を流れる純水の流量がしきい値よりも小さい場合は、アラーム信号を生成し、外部の表示装置などにアラーム信号を発信する。本実施形態によれば、動作制御部65は、フラッシング動作時の純水の流量に基づいて、ドレインライン54の詰まりを検出することができる。
【0042】
図4は、フラッシング動作の他の実施形態を説明するための模式図である。特に説明しない本実施形態の動作は、図3に示す実施形態の動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハの研磨後に研磨テーブル3を回転させながら行われる。より具体的には、ウェーハの研磨後に行われる研磨パッド2の研磨面2aの洗浄中に、フラッシング動作が行われる。
【0043】
ウェーハが研磨された後、研磨テーブル3および研磨パッド2が回転しながら、研磨パッド洗浄ノズルであるアトマイザ8は、純水と気体との混合流体を研磨パッド2の研磨面2aに供給し、研磨面2aを洗浄する。アトマイザ8による研磨パッド2の洗浄中は、開閉弁68は閉じられた状態に維持され、ドレイン弁70は開いた状態に維持される。黒色で描かれている開閉弁68は、閉じている状態を表し、白色で描かれているドレイン弁70は、開いている状態を表している。
【0044】
一実施形態では、アトマイザ8による研磨パッド2の洗浄中、動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期してドレイン弁70を周期的に開閉させてもよい。より具体的には、研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8の下に位置したとき、動作制御部65はドレイン弁70を開き、研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8から離れたときに、動作制御部65はドレイン弁70を閉じてもよい。
【0045】
アトマイザ8は、純水と気体との混合流体を、研磨パッド2の上方から通孔51に供給する。混合流体を構成する純水は、光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。なお、本実施形態では、液体供給ライン53を流れる純水の流量に基づくドレインライン54の詰まりの検出は実施されない。
【0046】
図5は、フラッシング動作の他の実施形態を説明するための模式図である。特に説明しない本実施形態の動作は、図3に示す実施形態の動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハWの研磨後に研磨テーブル3を回転させながら行われる。より具体的には、ウェーハWの研磨後に行われる水研磨中に、フラッシング動作が行われる。
【0047】
水研磨は、スラリーを用いたウェーハWの研磨の後に実行される。より具体的には、水研磨は、スラリーに代えて純水を液体供給ノズル5から研磨パッド2上に供給しながら、ウェーハWを研磨パッド2に摺接させる動作である。水研磨中は、ウェーハWは、スラリーを用いた研磨時によりも低い押圧力で研磨パッド2に押し付けられる。純水は、スラリーとは異なり、エッチング作用も砥粒も有していないので、水研磨中のウェーハWの研磨は実質的に進行しない。スラリーを用いたウェーハWの研磨の後に水研磨を行う目的は、ウェーハWの研磨された面からスラリーを除去することである。
【0048】
研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51はウェーハWにより間欠的に覆われる。動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期して開閉弁68およびドレイン弁70を周期的に開閉させる。より具体的には、通孔51がウェーハWで覆われているとき、動作制御部65は、開閉弁68およびドレイン弁70を開く。白色で描かれている開閉弁68およびドレイン弁70は、開いている状態を表している。一実施形態では、水研磨中は、ドレイン弁70は開いた状態に維持してもよい。
【0049】
通孔51がウェーハWで覆われているとき、リンス液としての純水は、液体供給ライン53を通って研磨パッド2の通孔51に供給される。純水は、ウェーハWに衝突した後に光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。なお、本実施形態では、液体供給ライン53を流れる純水の流量に基づくドレインライン54の詰まりの検出を実施してもよい。
【0050】
図6は、フラッシング動作の他の実施形態を説明するための模式図である。特に説明しない本実施形態の動作は、図3に示す実施形態の動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハの研磨後に研磨テーブル3を回転させながら行われる。より具体的には、ウェーハの研磨後に行われる研磨パッド2の研磨面2aの洗浄の後に、フラッシング動作が行われる。
【0051】
ウェーハが研磨された後、研磨テーブル3および研磨パッド2が回転しながら、研磨パッド洗浄ノズルであるアトマイザ8は、純水と気体との混合流体を研磨パッド2の研磨面2aに供給し、研磨面2aを洗浄する。その後、研磨テーブル3および研磨パッド2は回転させたままで、混合流体の研磨パッド2への供給を停止する。
【0052】
動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期して開閉弁68を周期的に開閉させる。より具体的には、研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8の下に位置したとき、動作制御部65は開閉弁68を開き、研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8から離れたときに、動作制御部65は開閉弁68を閉じる。フラッシング動作中は、ドレイン弁70は開かれた状態に維持される。
【0053】
一実施形態では、動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期して開閉弁68およびドレイン弁70を周期的に開閉させてもよい。より具体的には、研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8の下に位置したとき、動作制御部65は開閉弁68およびドレイン弁70を開き、研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8から離れたときに、動作制御部65は開閉弁68およびドレイン弁70を閉じてもよい。
【0054】
開閉弁68が開いているとき、純水は、液体供給ライン53からアトマイザ8の下面に向かって噴射される。純水は、アトマイザ8の下面に衝突して落下し、通孔51に流入する。純水は、光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。なお、本実施形態では、液体供給ライン53を流れる純水の流量に基づくドレインライン54の詰まりの検出は実施されない。
【0055】
図7は、研磨装置の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図2に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。液体供給ライン53の一部は、第1並列ライン53Aおよび第2並列ライン53Bから構成されている。これら並列ライン53A,53Bは研磨テーブル3内に配置されており、ロータリージョイント19と光学センサヘッド7との間に位置している。第1並列ライン53Aおよび第2並列ライン53Bの一端は互いに接続され、第1並列ライン53Aおよび第2並列ライン53Bの他端も互いに接続されている。したがって、液体供給ライン53を流れる純水は第1並列ライン53Aおよび第2並列ライン53Bに一旦分岐し、再度合流する。一実施形態では、第1並列ライン53Aおよび第2並列ライン53Bの一端は互いに接続され、第1並列ライン53Aおよび第2並列ライン53Bの他端は互いに接続されてなくてもよい。
【0056】
第1並列ライン53Aには第1開閉弁68Aが取り付けられている。第1開閉弁68Aが開いているとき、純水は第1並列ライン53Aを通って通孔51に供給される。一方、第1開閉弁68Aが閉じているとき、純水は第1並列ライン53Aを流れることができない。
【0057】
第2並列ライン53Bには第2開閉弁68Bおよびオリフィス71が取り付けられている。第2開閉弁68Bが開いているとき、純水は第2並列ライン53Bを通って通孔51に供給される。一方、第2開閉弁68Bが閉じているとき、純水は第2並列ライン53Bを流れることができない。オリフィス71は、第2並列ライン53Bを流れる純水の流量を制限するために設けられている。より具体的には、オリフィス71を通過できる純水の流量は、第1並列ライン53Aを流れる純水の流量よりも低い。一実施形態では、オリフィス71よりも高い流量の純水の通過を許容するオリフィスを第1並列ライン53Aに取り付けてもよい。
【0058】
第1開閉弁68Aおよび第2開閉弁68Bは、電磁弁または電動弁である。第1開閉弁68Aおよび第2開閉弁68Bは、動作制御部65に電気的に接続されている。動作制御部65は、ウェーハWの研磨中、研磨テーブル3の回転に同期して第1開閉弁68Aを周期的に開閉する。具体的には、ウェーハWが通孔51の上にないときは、動作制御部65は第1開閉弁68Aを閉じ、ウェーハWが通孔51の上にあるときは、動作制御部65は第1開閉弁68Aを開く。ウェーハWの研磨中、第2開閉弁68Bは開いた状態に維持される。一実施形態では、ウェーハWが通孔51の上にないときは、動作制御部65は第1開閉弁68Aを閉じ、かつ第2開閉弁68Bを開き、ウェーハWが通孔51の上にあるときは、動作制御部65は第1開閉弁68Aを開き、かつ第2開閉弁68Bを閉じてもよい。
【0059】
図8は、図7に示す光学センサヘッド7およびドレインライン54を洗浄するフラッシング動作の一実施形態を示す模式図である。図8に示す実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハWの研磨の前に実行される。より具体的には、フラッシング動作は、研磨に使用された研磨パッドを新たな研磨パッドに交換した後であって、かつウェーハを最初に研磨する前に実行される。フラッシング動作中、研磨テーブル3および研磨パッド2は、回転させず、静止した状態にある。
【0060】
研磨ヘッド1は、ウェーハWを研磨パッド2に押し付け、研磨パッド2の通孔51をウェーハWで覆う。本実施形態では、通孔51を覆うための構造体として、研磨すべき製品ウェーハであるウェーハWが使用されているが、ウェーハWに代えてダミーウェーハを用いてもよい。さらに、ウェーハWに代えて、ブロックまたはプレートなどの他の構造体を用いて通孔51を覆ってもよい。一実施形態では、ウェーハを保持していない研磨ヘッド1を構造体として用い、研磨ヘッド1の下面で通孔51を覆ってもよい。
【0061】
ウェーハWが通孔51を覆っている状態で、動作制御部65は、ドレインポンプ60を作動させ、さらに第1開閉弁68A、第2開閉弁68B、およびドレイン弁70を開く。一実施形態では、第2開閉弁68Bは閉じたままでもよい。リンス液としての純水は、液体供給ライン53を通って研磨パッド2の通孔51に供給される。純水は、ウェーハWに衝突した後に光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。
【0062】
このように、本実施形態によれば、スラリーを用いた研磨が行われていないときに、リンス液としての純水が通孔51に供給され、純水はドレインライン54を通って流れる。結果として、光学センサヘッド7およびドレインライン54は、純水で洗浄され、光学的膜厚測定システム40の正常な動作が維持される。
【0063】
動作制御部65は、フラッシング動作中に液体供給ライン53を流れる純水の流量がしきい値よりも小さい場合は、アラーム信号を生成し、外部の表示装置などにアラーム信号を発信する。
【0064】
図9は、フラッシング動作の他の実施形態を説明するための模式図である。特に説明しない本実施形態の動作は、図8に示す実施形態の動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハの研磨後に研磨テーブル3を回転させながら行われる。より具体的には、ウェーハの研磨後に行われる研磨パッド2の研磨面2aの洗浄中に、フラッシング動作が行われる。
【0065】
ウェーハが研磨された後、研磨テーブル3および研磨パッド2が回転しながら、研磨パッド洗浄ノズルであるアトマイザ8は、純水と気体との混合流体を研磨パッド2の研磨面2aに供給し、研磨面2aを洗浄する。アトマイザ8による研磨パッド2の洗浄中は、第1開閉弁68Aは閉じられた状態に維持され、第2開閉弁68Bおよびドレイン弁70は開いた状態に維持される。第2開閉弁68Bを開いた状態に維持する理由は、スラリーおよび研磨屑が純水供給側に流入することを防止するためである。
【0066】
一実施形態では、アトマイザ8による研磨パッド2の洗浄中、第1開閉弁68Aおよび第2開閉弁68Bの両方を閉じた状態に維持してもよい。さらに一実施形態では、アトマイザ8による研磨パッド2の洗浄中、動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期してドレイン弁70を周期的に開閉させてもよい。より具体的には、研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8の下に位置したとき、動作制御部65はドレイン弁70を開き、研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8から離れたときに、動作制御部65はドレイン弁70を閉じてもよい。
【0067】
アトマイザ8は、純水と気体との混合流体を、研磨パッド2の上方から通孔51に供給する。混合流体を構成する純水は、光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。なお、本実施形態では、液体供給ライン53を流れる純水の流量に基づくドレインライン54の詰まりの検出は実施されない。
【0068】
図10は、フラッシング動作の他の実施形態を説明するための模式図である。特に説明しない本実施形態の動作は、図8に示す実施形態の動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハWの研磨後に研磨テーブル3を回転させながら行われる。より具体的には、ウェーハWの研磨後に行われる水研磨中に、フラッシング動作が行われる。
【0069】
研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51はウェーハWにより間欠的に覆われる。動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期して第1開閉弁68Aおよびドレイン弁70を周期的に開閉させる。より具体的には、通孔51がウェーハWで覆われているとき、動作制御部65は、第1開閉弁68Aおよびドレイン弁70を開く。第2開閉弁68Bは、水研磨中は開いた状態に維持される。第2開閉弁68Bを開いた状態に維持する理由は、スラリーおよび研磨屑が純水供給側に流入することを防止するためである。一実施形態では、水研磨中はドレイン弁70は開いた状態に維持してもよい。
【0070】
通孔51がウェーハWで覆われているとき、リンス液としての純水は、液体供給ライン53を通って研磨パッド2の通孔51に供給される。純水は、ウェーハWに衝突した後に光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。なお、本実施形態では、液体供給ライン53を流れる純水の流量に基づくドレインライン54の詰まりの検出を実施してもよい。
【0071】
図11は、フラッシング動作の他の実施形態を説明するための模式図である。特に説明しない本実施形態の動作は、図8に示す実施形態の動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、フラッシング動作は、ウェーハの研磨後に研磨テーブル3を回転させながら行われる。より具体的には、ウェーハの研磨後に行われる研磨パッド2の研磨面2aの洗浄の後に、フラッシング動作が行われる。
【0072】
ウェーハが研磨された後、研磨テーブル3および研磨パッド2が回転しながら、研磨パッド洗浄ノズルであるアトマイザ8は、純水と気体との混合流体を研磨パッド2の研磨面2aに供給し、研磨面2aを洗浄する。その後、研磨テーブル3および研磨パッド2は回転させたままで、混合流体の研磨パッド2への供給を停止する。
【0073】
動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期して第1開閉弁68Aを周期的に開閉させる。より具体的には、研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8の下に位置したとき、動作制御部65は第1開閉弁68Aを開き、研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8から離れたときに、動作制御部65は第1開閉弁68Aを閉じる。第2開閉弁68Bおよびドレイン弁70は、フラッシング動作中は開かれた状態に維持される。
【0074】
一実施形態では、動作制御部65は、研磨テーブル3の回転に同期して第1開閉弁68Aおよびドレイン弁70を周期的に開閉させてもよい。より具体的には、研磨テーブル3の回転に伴って研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8の下に位置したとき、動作制御部65は第1開閉弁68Aおよびドレイン弁70を開き、研磨パッド2の通孔51がアトマイザ8から離れたときに、動作制御部65は第1開閉弁68Aおよびドレイン弁70を閉じてもよい。
【0075】
第1開閉弁68Aが開いているとき、純水は、液体供給ライン53からアトマイザ8の下面に向かって噴射される。純水は、アトマイザ8の下面に衝突して落下し、通孔51に流入する。純水は、光学センサヘッド7に接触し、光学センサヘッド7に付着したスラリーおよび研磨屑を除去する。さらに、ドレインポンプ60は、通孔51内の純水をドレインライン54を通じて吸引する。純水はドレインライン54を流れ、ドレインライン54の内側を洗浄する。なお、本実施形態では、液体供給ライン53を流れる純水の流量に基づくドレインライン54の詰まりの検出は実施されない。
【0076】
図3乃至図6図8乃至図11に示す各実施形態は、スラリーを用いた研磨動作以外の他の動作を行っているときにフラッシング動作を行う一例、あるいはスラリーを用いた一連の研磨工程が停止しているときにフラッシング動作を行う一例である。フラッシング動作を実施するタイミングは、スラリーを用いた研磨動作が行われていない限り、特に限定されない。
【0077】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 研磨ヘッド
2 研磨パッド
3 研磨テーブル
5 液体供給ノズル
6 テーブルモータ
7 光学センサヘッド
8 アトマイザ(研磨パッド洗浄ノズル)
9 データ処理部
10 ヘッドシャフト
12 気体供給ライン
13 純水供給ライン
17 連結手段
18 研磨ヘッドモータ
19 ロータリージョイント
31 投光用光ファイバーケーブル
32 受光用光ファイバーケーブル
40 光学的膜厚測定システム
44 光源
47 分光器
50A 第1の孔
50B 第2の孔
51 通孔
53 液体供給ライン
53A 第1並列ライン
53B 第2並列ライン
54 ドレインライン
55 純水供給源
60 ドレインポンプ
65 動作制御部
68 開閉弁
68A 第1開閉弁
68B 第2開閉弁
70 ドレイン弁
73 流量計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12