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特許7316824アプリケーションプログラム、コンピュータシステム、サーバシステムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム、コンピュータシステム、サーバシステムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/493 20140101AFI20230721BHJP
【FI】
A63F13/493
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019072636
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020168267
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 康師
(72)【発明者】
【氏名】恩田 明生
(72)【発明者】
【氏名】村井 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】堤 悠介
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-143575(JP,A)
【文献】特開2016-021756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F9/24
13/00-13/98
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォアグラウンド状態から、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態に状態遷移がなされた一時操作不可能状態にあるアプリケーションプログラムを、再び前記フォアグラウンド状態にする状態遷移制御を実行可能なコンピュータシステムが実行する前記アプリケーションプログラムであって、
前記一時操作不可能状態から前記フォアグラウンド状態への状態遷移指示がなされた場合に、前記フォアグラウンド状態とするときの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを、前記フォアグラウンド状態に遷移する前に判定する事前判定手段、
前記事前判定手段により肯定判定された場合に、所定の直接遷移回避制御を行う回避制御手段、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのアプリケーションプログラム。
【請求項2】
最後に前記フォアグラウンド状態であったときの前記視聴状況を再開するための再開用データを記憶する制御を行う再開用データ記憶制御手段、
として前記コンピュータシステムを更に機能させ、
前記事前判定手段は、前記回避推奨条件を満たすか否かを前記再開用データに基づいて判定する、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項3】
前記再開用データには、最後に前記フォアグラウンド状態であったときの前記視聴状況が前記回避推奨条件を満たすか否かのフラグ情報が含まれている、
請求項2に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項4】
前記事前判定手段は、前記視聴画面に表示する画像の色情報に基づいて、前記回避推奨条件を満たすかを判定する、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項5】
前記回避制御手段は、前記視聴画面に表示する画像を加工することで前記直接遷移回避制御を行う画像加工手段を有する、
請求項1~4の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項6】
前記回避制御手段は、前記視聴画面に表示する画像の一部又は全部を差し替えることで前記直接遷移回避制御を行う差替手段を有する、
請求項1~5の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項7】
前記回避制御手段は、前記視聴画面の手前に所定のウィンドウを重畳表示することで前記直接遷移回避制御を行う重畳ウィンドウ表示制御手段を有する、
請求項1~6の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項8】
前記回避制御手段は、前記視聴画面の明るさを低減することで前記直接遷移回避制御を行う画面明度低減制御手段を有する、
請求項1~7の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項9】
前記回避制御手段は、最後に前記フォアグラウンド状態であったときから所定の短時間条件を満たす間の前記直接遷移回避制御の実行を抑止する、
請求項1~8の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項10】
前記事前判定手段は、前記視聴音声の音声内容に基づいて、前記回避推奨条件を満たすか否かを判定する、
請求項1~9の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項11】
前記回避制御手段は、前記視聴音声を差し替えることで前記直接遷移回避制御を行う音声差替手段を有する、
請求項10に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項12】
前記回避制御手段は、前記視聴音声の音量を低減することで前記直接遷移回避制御を行う音量低減制御手段を有する、
請求項10又は11に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータシステムは、ユーザが出力状態を設定変更可能な視聴覚デバイスを搭載した携帯型の電子機器であり、
前記事前判定手段は、前記視聴覚デバイスの出力状態が所定の判定不要状態にある場合には前記回避推奨条件を満たさないと判定し、前記判定不要状態にない場合に前記視聴状況が前記回避推奨条件を満たすか否かの判定を行う、
請求項1~12の何れか一項に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項14】
フォアグラウンド状態から、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態に状態遷移がなされた一時操作不可能状態にあるアプリケーションプログラムを、再び前記フォアグラウンド状態にする状態遷移制御を実行可能なコンピュータシステムであって、
前記一時操作不可能状態の前記アプリケーションプログラムを前記フォアグラウンド状態とする状態遷移制御において、前記フォアグラウンド状態とする前記アプリケーションプログラムの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを、前記フォアグラウンド状態に遷移させる前に判定する事前判定手段と、
前記事前判定手段により肯定判定された場合に、所定の直接遷移回避制御を行う回避制御手段と、
を備えたコンピュータシステム。
【請求項15】
フォアグラウンド状態から、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態に状態遷移がなされた一時操作不可能状態にあるアプリケーションプログラムを、再び前記フォアグラウンド状態にする状態遷移制御を実行可能なユーザ端末と通信を行い、前記ユーザ端末において出力される視聴画面および視聴音声を制御するサーバシステムであって、
前記ユーザ端末から、前記一時操作不可能状態の前記アプリケーションプログラムを前記フォアグラウンド状態とする状態遷移制御を行う旨の通知を受信する通知受信手段と、
前記通知の受信に応じて、前記ユーザ端末において前記フォアグラウンド状態とする前記アプリケーションプログラムの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを判定する事前判定手段と、
前記事前判定手段により肯定判定された場合に、前記ユーザ端末において前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避するための所定の直接遷移回避制御を行う回避制御手段と、
を備えたサーバシステム。
【請求項16】
フォアグラウンド状態から、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態に状態遷移がなされた一時操作不可能状態にあるアプリケーションプログラムを、再び前記フォアグラウンド状態にする状態遷移制御を実行可能なコンピュータシステムが実行する制御方法であって、
前記一時操作不可能状態の前記アプリケーションプログラムを前記フォアグラウンド状態とする状態遷移制御において、前記フォアグラウンド状態とする前記アプリケーションプログラムの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを、前記フォアグラウンド状態に遷移させる前に判定する事前判定ステップと、
前記事前判定ステップにおいて肯定判定された場合に、所定の直接遷移回避制御を行う回避制御ステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムに、ゲームを実行させるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ペアレンタルコントロールは、健全な子供の育成のために考慮されるべき重要な技術である。例えば、特許文献1には、同じ携帯端末装置を親子で使用する場合に、子供が親のアカウントを用いて装置を使用可能にしたとしても、操作入力の傾向を分析することで、使用者が子供であることを検出し、適切なペアレンタルコントロールを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-182505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日常のなかで、親が使っている携帯端末の画面を子供がのぞき込むことはよくあることである。しかし、親としては予期せぬのぞき込みであっても子供には見せたくない画像や見られたくない画像(以下総称して「制約画像」という)があるときがあり、そのときの対策には心配りが必要である。
【0005】
例えば、制約画像が表示されるアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリ」と呼称する。)を起動させ、それをフォアグラウンドで使用しているときは、子供が近くにいない場合とするなどの対策が考えられる。
【0006】
しかし、端末のスリープモードから復帰するタイミングや、制約画像が表示される第1アプリから別の第2アプリに表示を切り替えた後に再び第1アプリをフォアグラウンドとするタイミング、などでは、制約画像がいきなり表示されてしまって、子供に見られてしまうことが起こり得る。
【0007】
このような、ユーザにとって心の準備ができていないときに、制約画像が不意に表示されてしまうおそれを回避したいという願いは、ペアレンタルコントロールに限らず様々な場面で考えられる。例えば、電車内や人混みの中などの端末の画面を他人がのぞき込める状況下において、個人情報や、プライベートな写真、個人的な趣味趣向の静止画や動画などが不意に表示される場面も同様と考えられる。また、見られたくない対象も、制約画像などの画像に限らず音声やテキストも同様に考えられる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、フォアグラウンドになるアプリによって制約画像や制約音声等が不意に出力されてしまうおそれを回避するための新しい技術を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するための第1の発明は、未起動状態、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態のアプリケーションプログラムを操作可能となるフォアグラウンド状態にする状態遷移制御を行うコンピュータシステムが実行する前記アプリケーションプログラムであって、前記操作不可能状態から前記フォアグラウンド状態への状態遷移指示がなされた場合に、前記フォアグラウンド状態とするときの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを、前記フォアグラウンド状態に遷移する前に判定する事前判定手段(例えば、図7の端末処理部200、事前判定部212、図11の事前判定処理)、前記事前判定手段により肯定判定された場合に、所定の直接遷移回避制御を行う回避制御手段(例えば、図7の端末処理部200、回避制御部220、図12の直接遷移回避制御)、として前記コンピュータシステムを機能させるためのアプリケーションプログラムである。
【0010】
また、第2の発明は、最後に前記フォアグラウンド状態であったときの前記視聴状況を再開するための再開用データを記憶する制御を行う再開用データ記憶制御手段(例えば、図7の端末処理部200、再開用データ記憶制御部240、図10の再開用データ570)、として前記コンピュータシステムを更に機能させ、前記事前判定手段は、前記回避推奨条件を満たすか否かを前記再開用データに基づいて判定する、第1の発明のアプリケーションプログラムである。
【0011】
ここで言う「中断状態」とは、一旦起動した後に、実行状況を再現可能なデータを、メモリから別の記憶領域に退避・保存した後に終了された状態である。保存したデータを再びメモリに読み込むことにより、終了前の実行状況に復元可能なので、ユーザから見ると終了したのではなく、中断している状態に見える。スリープ状態と読み替えてもよい。
【0012】
また「バックグラウンド」とは、当該アプリに係る出力がなされていないために、ユーザによる操作が不可能な状態である。表示出力に着目すれば、例えば、アプリに係る表示がなされていない状態は勿論、最小化されている場合を含む。コンピュータの内部処理の観点からすると、実行が一時停止された待機状態になっているが、ユーザから見れば当該アプリの表示等がなされないので、操作できない状態になっている。
【0013】
反対に「フォアグラウンド」とは、当該アプリ(当該アプリケーションプログラム)に係る出力がなされており、ユーザによる操作が可能な状態である。表示出力に着目すれば、例えば、アプリに係る表示が前面に表示され、何が表示されているかをユーザや、画面をのぞき見する他者が認識できる状態にある。
【0014】
第1または第2の発明によれば、未起動状態、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態からフォアグラウンド状態にアプリが状態遷移する前に、当該アプリの表示や当該アプリの音声が、回避推奨条件を満たすか否かを判定する。言い換えると、そのままフォアグラウンドへ状態遷移して画像や音声を出力して問題無いか、画像について言えば、制約画像であるか否かを判定する。そして、回避推奨条件が満たされる場合、直接遷移回避制御を行って、当該アプリ本来の表示や音声を出力しないように制御される。これにより、フォアグラウンドになるアプリによって制約画像や制約音声などが不意に出力されてしまうおそれを回避することが可能となる。
【0015】
第3発明の発明は、前記再開用データには、最後に前記フォアグラウンド状態であったときの前記視聴状況が前記回避推奨条件を満たすか否かのフラグ情報が含まれている(例えば、図18の回避推奨フラグ578)、第2の発明のアプリケーションプログラムである。
【0016】
第3の発明によれば、最後にフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態に遷移するときに、回避推奨条件を満たすかの判定を行って、その結果をフラグ情報として再開用データに含めることができる。よって、次に、フォアグラウンド状態に遷移する際に、回避推奨条件を満たしているかの判定をフラグ情報を参照することで簡単にできるので、バックグラウンド状態からフォアグラウンド状態への遷移を素早く実現できる。
【0017】
第4の発明は、前記事前判定手段が、前記視聴画面に表示する画像の色情報に基づいて、前記回避推奨条件を満たすかを判定する、第1の発明のアプリケーションプログラムである。
【0018】
第4の発明によれば、色に着目して視聴画面が回避推奨条件を満たすかを判定できる。
【0019】
画像に係る直接遷移回避制御の内容は適宜設定可能である。
例えば、第5の発明として、前記回避制御手段が、前記視聴画面に表示する画像を加工することで前記直接遷移回避制御を行う画像加工手段(例えば、図7の画像加工処理部221)を有する、第1~第4の何れかの発明のアプリケーションプログラムを構成可能である。
【0020】
なお、ここで言う「加工」は、元の画像を認識し難くするまたは認識できなくする画像処理である。例えば、ノイズの混入、モザイク処理、ポジ/ネガ反転、ぼかし、などを適宜採用することができる。
【0021】
また、第6の発明として、前記回避制御手段が、前記視聴画面に表示する画像の一部又は全部を差し替えることで前記直接遷移回避制御を行う差替手段(例えば、図7の画像差替部222)を有する、第1~第5の何れかの発明のアプリケーションプログラムを構成することとしてもよい。
【0022】
また、第7の発明として、前記回避制御手段が、前記視聴画面の手前に所定のウィンドウを重畳表示することで前記直接遷移回避制御を行う重畳ウィンドウ表示制御手段(例えば、図7の重畳ウィンドウ表示制御部223)を有する、第1~第6の何れかの発明のアプリケーションプログラムを構成することとしてもよい。
【0023】
また、第8の発明として、前記回避制御手段が、前記視聴画面の明るさを低減することで前記直接遷移回避制御を行う画面明度低減制御手段(例えば、図7の画面明度低減制御部224)を有する、第1~第7の何れかの発明のアプリケーションプログラムを構成することとしてもよい。
【0024】
また、第9の発明として、前記回避制御手段が、最後に前記直接遷移回避制御を行った後、所定の短時間条件を満たす間の前記直接回避制御の実行を抑止する、第1~第8の何れかの発明のアプリケーションプログラムを構成することとしてもよい。
【0025】
第10の発明は、前記事前判定手段が、前記視聴音声の音声内容に基づいて、前記回避推奨条件を満たすか否かを判定する、第1~第9の何れかの発明のアプリケーションプログラムである。
【0026】
第10の発明によれば、音声内容についても回避推奨条件を満たすかの判定対象とすることができる。つまり、フォアグラウンド状態へ遷移して直ぐの音声内容が周囲の他人に聞かれたくない内容であれば、直接遷移回避制御により出力されないようにできる。
【0027】
音声に係る直接遷移回避制御の内容は適宜設定可能である。
例えば、第11の発明として、前記回避制御手段が、前記視聴音声を差し替えることで前記直接遷移回避制御を行う音声差替手段(例えば、図7の音声差替部225)を有する、第10の発明のアプリケーションプログラムを構成することとしてもよい。
【0028】
また、第12の発明として、前記回避制御手段が、前記視聴音声の音量を低減することで前記直接遷移回避制御を行う音量低減制御手段(例えば、図7の音量低減制御部226)を有する、第10又は第11の発明のアプリケーションプログラムを構成することとしてもよい。
【0029】
第13の発明は、前記コンピュータシステムが、ユーザが出力状態を設定変更可能な視聴覚デバイスを搭載した携帯型の電子機器であり、前記事前判定手段が、前記視聴覚デバイスの出力状態が所定の判定不要状態にある場合には前記回避推奨条件を満たさないと判定し、前記判定不要状態にない場合に前記視聴状況が前記回避推奨条件を満たすか否かの判定を行う、第1~第12の何れかの発明のアプリケーションプログラムである。
【0030】
第13の発明によれば、出力状態が所定の判定不要状態であれば、そもそも直接遷移回避制御を行う必要がないため、回避推奨条件の判定を省略し、フォアグラウンド状態への遷移をスムーズに実現できる。
【0031】
第14の発明は、未起動状態、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態のアプリケーションプログラムを操作可能となるフォアグラウンド状態にする状態遷移制御を行うコンピュータシステムであって、前記操作不可能状態の前記アプリケーションプログラムを前記フォアグラウンド状態とする状態遷移制御において、前記フォアグラウンド状態とする前記アプリケーションプログラムの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを、前記フォアグラウンド状態に遷移させる前に判定する事前判定手段と、前記事前判定手段により肯定判定された場合に、所定の直接遷移回避制御を行う回避制御手段と、を備えたコンピュータシステムである。
【0032】
第14の発明によれば、第1の発明と同様の効果が得られるコンピュータシステムを実現できる。
【0033】
第15の発明は、未起動状態、中断状態又はバックグラウンド状態である操作不可能状態のアプリケーションプログラムを操作可能となるフォアグラウンド状態にする状態遷移制御を行うユーザ端末と通信を行い、前記ユーザ端末において出力される視聴画面および視聴音声を制御するサーバシステムであって、前記ユーザ端末から、前記バックグラウンド状態の前記アプリケーションプログラムを前記フォアグラウンド状態とする状態遷移制御を行う旨の通知を受信する通知受信手段と、前記通知の受信に応じて、前記ユーザ端末において前記フォアグラウンド状態とする前記アプリケーションプログラムの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを判定する事前判定手段と、前記事前判定手段により肯定判定された場合に、前記ユーザ端末において前記フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避するための所定の直接遷移回避制御を行う回避制御手段と、を備えたサーバシステムである。
【0034】
第15の発明によれば、第1の発明と同様の効果を有するサーバシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】ユーザ端末の構成例を示す正面図。
図2】ユーザ端末におけるアプリの状態遷移を示す概念図。
図3】アプリの起動に係り、オペレーティングシステムとアプリとの間で渡されるデータと、それに基づくアプリ側で実行する処理について説明するための図。
図4】アプリ切替に係り、オペレーティングシステムとアプリとの間で渡されるデータと、それに基づくアプリ側で実行する処理について説明するための図。
図5】直接遷移回避制御とそれに係る事前判定について説明するための図。
図6】直接遷移回避制御について説明するための図)。
図7】第1実施形態におけるユーザ端末の機能構成例を示す機能ブロック図。
図8】第1実施形態における端末記憶部が記憶するプログラムやデータの例を示す図。
図9】アプリ初期設定データのデータ構成例を示す図。
図10】アプリ管理データのデータ構成例を示す図。
図11】事前判定処理の流れを説明するためのフローチャート。
図12】直接遷移回避制御の流れを説明するためのフローチャート。
図13】コンテンツ提供システムの構成例を示す図。
図14】第2実施形態におけるサーバシステムの機能構成例を示す機能ブロック図。
図15】第2実施形態におけるサーバ記憶部が記憶するプログラムやデータの例を示す図。
図16】第2実施形態におけるユーザ端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
図17】事前判定を実施するタイミングの変形例を説明するための図。
図18】再開用データの変形例のデータ構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態の一例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0037】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態におけるユーザ端末1500の構成例を示す正面図である。
ユーザ端末1500は、オペレーティングシステム(OS)の上でアプリケーションプログラム(以下適宜「アプリ」という)を実行するコンピュータシステムである。アプリの種類は問わない。例えば、アプリがゲームプログラムであれば、ユーザ端末1500は、ゲーム装置として機能することになる。なお、本実施形態のユーザ端末1500は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる装置であるが、携帯型のコンピュータであれば、携帯型ゲーム装置や、タブレット型コンピュータ、などでもよい。
【0038】
具体的には、ユーザ端末1500は、方向入力キー1502と、ボタンスイッチ1504と、画像表示デバイス兼接触位置入力デバイスとして機能するタッチパネル1506と、内蔵バッテリー1509と、スピーカ1510と、マイク1512と、イヤホン接続端子1514と、カメラ1520と、制御基板1550と、コンピュータ読み出し可能な記憶媒体であるメモリカード1540からデータを読み書きできるメモリカード読取装置1542と、を備える。
【0039】
スピーカ1510と、イヤホン接続端子1514は、所定の音量調整操作によってユーザが出力状態を設定変更可能な視聴覚デバイスの1つである。
【0040】
その他、ユーザ端末1500は、図示されていない電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。また、アプリの購入やゲームプレイに使用するアイテムの購入等の対価支払いに利用するICカード型のクレジットカードやプリペイドカードに対して非接触にデータの読み書きが行えるICカード読取装置などを設けるとしてもよい。
【0041】
制御基板1550は、CPU(Central Processing Unit)1551やGPU(Graphics Processing Unit),DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1552、ネットワークに接続する携帯電話基地局や無線LAN基地局などと無線通信するための無線通信モジュール1553、インターフェース回路1557、などを搭載する。
【0042】
インターフェース回路1557には、タッチパネル1506のドライバ回路、方向入力キー1502およびボタンスイッチ1504からの信号を受信する回路、スピーカ1510やイヤホン接続端子1514へ音声信号を出力する出力アンプ回路、マイク1512で集音した音声の信号を生成する入力信号生成回路、メモリカード読取装置1542への信号入出力回路、などが含まれている。
【0043】
制御基板1550に搭載されているこれらの要素は、バス回路などを介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受信が可能に接続されている。なお、制御基板1550の一部又は全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)にて構成してもよい。そして、制御基板1550は、ユーザ端末としての機能を実現させるためのプログラムや各種データをICメモリ1552に記憶する。
【0044】
なお、本実施形態では、ユーザ端末1500はアプリケーションプログラムや当該プログラムの実行に係り必要とされる各種設定データを、所定のサーバシステムからダウンロードする構成としているが、別途入手したメモリカード1540などの記憶媒体から読み出す構成としてもよい。
【0045】
図2は、ユーザ端末1500におけるアプリの状態遷移を示す概念図である。
ユーザ端末1500が実行するオペレーティングシステムは、マルチタスク型である。
アプリは、当初、未起動状態J1にある。ユーザが起動操作する或いはオペレーティングシステムが自動起動することで、ひとまずアプリはバックグラウンド状態J2に状態遷移し、マルチタスク処理の対象として管理されることとなる。
【0046】
バックグラウンド状態J2は、当該アプリのプロセスは実行を開始しているが、当該アプリに係る出力がユーザ操作可能に出力されていない状態であり、故に当該アプリへのユーザによる操作は不可能な状態である。オペレーティングシステムおよびユーザ端末1500のハードウェアリソースの条件によっては、当該アプリのプロセス実行が待機状態とされている場合もこれに相当する。
【0047】
バックグラウンド状態J2における表示出力に着目すれば、例えば、アプリに係る表示がなされていない状態は勿論、何が表示されているか認識されない程に小面積で表示されている(最小化されている)状態である。ユーザから見れば当該アプリの表示等がなされないので、操作できない状態になっている。
【0048】
アプリを起動する場合と、スリープが解除される場合と、別アプリから当該アプリへと操作対象が切り替えられる「アプリ切替」の場合とにおいて、アプリはバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3へ状態遷移する。
【0049】
フォアグラウンド状態J3は、当該アプリに係る出力がユーザ操作可能に出力されている状態であり、故に当該アプリへのユーザによる操作が可能な状態である。表示出力に着目すれば、例えば、アプリに係る表示がタッチパネル1506にて最前面に表示されている。なお、ここで言う「最前面に表示されている」状態は、1画面中をスプリットして複数のアプリが最前面に見える状態も含む。その時のタッチパネル1506における表示サイズ(表示面積占有率)は、表示内容をユーザが認識可能になるサイズであれば特には問わない。
【0050】
ユーザが、当該アプリから別のアプリへとアプリ切替の操作を行ったり、オペレーティングシステムの制御により当該アプリの表示の最小化を行った場合、当該アプリはフォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ状態遷移する。
【0051】
更に、省電力化やリソースの確保を目的とする場合(例えば、ユーザ操作に基づいてまたは自動でユーザ端末1500それ自体がスリープモードに移行する場合、など)、オペレーティングシステムは、アプリをバックグラウンド状態J2から中断状態J4へ状態遷移する。
【0052】
「中断状態」は、当該アプリに係るプロセスの実行状態を復元可能なデータを別途保存して、実質的にアプリの実行を終了させている状態を言う。
【0053】
ユーザが当該アプリを再び操作するためにアプリ切替の操作入力を行った場合や、スリープ解除が行われた場合、アプリは中断状態J4からバックグラウンド状態J2を経て再びフォアグラウンド状態J3へ戻る。
【0054】
勿論、ユーザによるアプリ終了操作の入力、またはオペレーティングシステムの自動処理により、バックグラウンド状態J2からでも、フォアグラウンド状態J3からでも、中断状態J4からでも、アプリを終了させた未起動状態J1とすることができる。
【0055】
図3は、図2で示した状態遷移に係り、オペレーティングシステムとアプリとの間で渡されるデータと、それに基づくアプリ側で実行する処理について説明するための図であって、アプリの起動のシチュエーションについて説明する図である。
【0056】
アプリの状態遷移に係り、オペレーティングシステムは、アプリ毎に遷移状況を示す状態値を記憶管理する。本実施形態では、状態値は図2を参照して説明した各状態に対応する「未起動」「初期起動」「BG(バックグラウンド)」「FG(フォアグラウンド)」「中断」の何れかとされる。
【0057】
オペレーティングシステムは、アプリの状態を遷移させる際に、状態遷移させる対象のアプリに状態遷移指示(オペレーティングシステムの仕様によっては状態遷移イベントの発行、状態遷移プロセスの実行、に相当する。)を行う。そしてその際、オペレーティングシステムは、アプリに対して状態値を渡し、アプリは渡された状態値に基づいて実行するプロセスを変化させ、状態遷移する。
【0058】
具体的には、アプリを起動する場合、オペレーティングシステムは起動に係る状態遷移指示を行う。オペレーティングシステムは、当該状態遷移指示において、現在のアプリの状態を示す状態値「未起動」をアプリに渡して、当該アプリの初期起動をタスクの1つとして登録する。オペレーティングシステムが、タスク管理状況を表示できる場合、これにより当該アプリはタスク表示の対象となる。
【0059】
一方、アプリは、状態遷移指示によりオペレーティングシステムから状態値「未起動」を渡されて起動されるため、初期起動と判断して起動にともなう初期化を行い、バックグラウンド状態J2へ遷移する。バックグラウンド状態J2へ遷移したら、当該タスクが完了したため、オペレーティングシステムは、管理している当該アプリの状態値を「初期起動」に変更する。
【0060】
オペレーティングシステムは、起動対象のアプリがバックグラウンド状態J2に移行すると、続いてバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への状態遷移指示をする。この際、オペレーティングシステムは、当該アプリの現在の状態を示す状態値「初期起動」をアプリへ渡して、フォアグラウンド状態J3へ遷移させるタスクとする。
【0061】
アプリは、状態遷移指示によりオペレーティングシステムから状態値「初期起動」を渡されたので、初期化を継続し、アプリに係る出力制御を実行するに至り、フォアグラウンド状態J3に遷移する。フォアグラウンド状態J3へ遷移したら、当該タスクが完了したため、オペレーティングシステムは、管理している当該アプリの状態値を「FG」に変更する。
【0062】
図4は、図2で示した状態遷移に係り、オペレーティングシステムとアプリとの間で渡されるデータと、それに基づくアプリ側で実行する処理について説明するための図であって、アプリ切替のシチュエーションについて説明する図である。
【0063】
アプリの最小化や、スリープ解除、アプリ切替を行う際(以下、包括してアプリ切替と言う。)、オペレーティングシステムは、アプリ切替に係る状態遷移指示を行う。その際、当該アプリの現在の状態を示す状態値「FG」を当該アプリに渡して、バックグラウンド状態J2への遷移をタスクとして登録する。
【0064】
アプリは、状態値「FG」を渡されてバックグラウンド状態J2への遷移をするために、当該アプリの表示(視聴画面)および音声(視聴音声)の出力状況である視聴状況を再現するために必要な各種データと、最後にフォアグラウンド状態J3であった最終フォアグラウンド状態時刻と、を再開用データとして記憶する制御を行って、バックグラウンド状態J2へ遷移する。バックグラウンド状態J2へ遷移したら、オペレーティングシステムは、管理している当該アプリの状態値を「BG」に変更する。
【0065】
なお、アプリが再開用データの記憶制御は行なわず、オペレーティングシステムが再開用データの記憶制御を行うとしてもよい。
【0066】
「再開用データ」の内容は、アプリケーションプログラムが実現する機能により適宜設定可能である。例えば、アプリケーションプログラムがゲームであれば、ゲーム画面のレンダリングを再開できるように、仮想3次元空間の状態を保存するデータが、これに該当する。静止画や動画を表示している状態における静止画や動画の識別情報およびアクセス情報、音声を出力している状態における音声ファイルの識別情報やアクセス情報、キャラクタの台詞を読み上げ処理する状態におけるシーンIDや台詞ID、台詞テキスト、などがこれに該当する。
【0067】
アプリを中断状態J4にする場合は、オペレーティングシステムが、中断に係る状態遷移指示を行う。その際、当該アプリの現在の状態を示す状態値「BG」を当該アプリへ渡し、中断状態J4への遷移をタスクとして登録する。
【0068】
アプリは、オペレーティングシステムから状態値「BG」を渡されて中断状態J4への遷移をするために、実行状態を復元できるようにICメモリ1552の内容をメモリ内容復元データとして別途保存する記憶制御を行う。そして中断状態J4へ遷移する。中断状態J4へ遷移したら、オペレーティングシステムは、管理している当該アプリの状態値を「中断」に変更する。なお、アプリがメモリ内容復元データの記憶制御は行なわず、オペレーティングシステムがメモリ内容復元データの記憶制御を行うとしてもよい。
【0069】
アプリを中断状態J4からフォアグラウンド状態J3まで戻すには、フォアグラウンドへの復帰に係る状態遷移指示を実行し、一旦バックグラウンド状態J2を経由してフォアグラウンド状態J3まで戻す。
具体的には、オペレーティングシステムが、フォアグラウンドへの復帰に係る状態遷移指示の一環として、バックグラウンド状態への復元に係る状態遷移指示を実行し、その際現在の状態値「中断」をアプリへ渡し、当該アプリをバックグラウンド状態J2へ遷移させるタスクを登録する。アプリは、オペレーティングシステムから状態値「中断」を渡されると、メモリ内容復元データを読み込んで実行状態を復元して、バックグラウンド状態J2へ復帰する。バックグラウンド状態J2へ遷移したら、オペレーティングシステムは、管理している当該アプリの状態値を「BG」に変更する。
なお、メモリ内容復元データの読み込みは、オペレーティングシステムが実行するとしてもよい。
【0070】
アプリがバックグラウンド状態J2へ復帰すると、オペレーティングシステムは、フォアグラウンドへの復帰に係る状態遷移指示の一環として、バックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への状態遷移指示をする。この際、オペレーティングシステムは、アプリへ現在の状態値「BG」を渡し、当該アプリをフォアグラウンド状態J3へ遷移させるタスクを登録する。
【0071】
アプリは、オペレーティングシステムから状態値「BG」を渡されると、再開用データを読み込んで、当該アプリに係る視聴状況を再開して、フォアグラウンド状態J3へ遷移する。フォアグラウンド状態J3へ遷移したら、オペレーティングシステムは、管理している当該アプリの状態値を「FG」に変更する。
【0072】
さて、本実施形態では、アプリをフォアグラウンドに復帰させるタイミングで、当該アプリに係る出力が、他者に知られたくない内容である場合に、それを知られないようにするために、図3で説明したアプリ起動に伴うバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への遷移と、図4で説明したアプリ切替に伴うバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への遷移と、のタイミングにおいて、知られたくない内容をフォアグラウンド状態J3に復帰直後に出力しないように制御する「直接遷移回避制御」を実行する。
【0073】
図5図6は、直接遷移回避制御とそれに係る事前判定について説明するための図である。
本実施形態のアプリは、図3で説明したアプリ起動に伴うバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への遷移と、図4で説明したアプリ切替に伴うバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への遷移と、のタイミングにおいて、「事前判定」と、その判定結果に基づく「直接遷移回避制御」と、を実行する。
【0074】
「事前判定」は、ユーザ端末1500の視聴覚デバイスの状態が判定不要状態に該当しない場合に、実行される。
【0075】
ここで言う「視聴覚デバイス」とは、タッチパネル1506や、スピーカ1510、イヤホン接続端子1514の状態である(図1参照)。本実施形態では、音声はスピーカ1510かイヤホン接続端子1514に接続されたイヤホンかのどちらかにのみ出力される。具体的には、ユーザ端末1500は、イヤホン接続端子1514にイヤホンが接続されていることが検出されると、スピーカ1510からの音声出力をOFF(出力回路のOFFは勿論、音量を「0」にすることも含まれる。)にする。
【0076】
「視聴覚デバイスの状態が判定不要状態」であるとは、例えばタッチパネル1506であれば、画面の明度が所定の認識不可能レベルまで落とされている場合がこれに該当する。また、イヤホン接続端子1514にイヤホンが接続されている場合、スピーカ1510からの音声出力がOFFまたは極く近くのユーザ本人にのみ音が届く程度の低音量である場合、がこれに該当する。
【0077】
オペレーティングシステムは、視聴覚デバイスの状態をアプリに提供する。或いは、オペレーティングシステムは、アプリから視聴覚デバイスの状態の参照リクエストを受けると、視聴覚デバイスの状態を示すデータをアプリに渡す。
【0078】
アプリケーションプログラムは、図3で説明したアプリ起動に伴うバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への遷移のタイミングと、図4で説明したアプリ切替に伴うバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3への遷移のタイミングとにおいて、視聴覚デバイスの状態が判定不要状態であるかの1次判定を行う。
【0079】
そして、1次判定の結果が否定の場合、アプリケーションプログラムは、所定の回避推奨条件が満たされているかを2次判定する。
【0080】
2次判定は、オペレーティングシステムから渡された状態値が「初期起動」の場合には、アプリのスプラッシュ画像を判定対象画像とし、スプラッシュ音声を判定対象音声とする。渡された状態値が「BG」の場合には、フォアグラウンド状態J3へ状態遷移してから所定時間内に再開用データから生成されるアプリの表示である視聴画像を判定対象画像とし、フォアグラウンド状態J3へ状態遷移してから所定時間内に出力される視聴音声の内容(視聴音声を合成するためのテキスト、視聴音声を音声認識して得られる単語、など)を判定対象音声とする。そして、次のサブ判定(回避推奨条件を満たしているかの判定)の何れかが満たされている場合に、アプリケーションプログラムは、事前判定の結果を肯定とする。
【0081】
第1のサブ条件は、「判定対象画像に見られたくない画像が含まれている、または判定対象画像が見られたくない画像に類似している」である。具体的には、判定対象画像の配色パターンの分析処理や、判定対象画像の画像認識処理により当該サブ条件を満たすかの判定をすることができる。以下では、「見られたくない画像」「見せたくない画像」のことを総称して「制約画像」という。
【0082】
判定対象画像の配色パターンの分析処理で第1のサブ条件を満たすかの判定をする場合には、第1のサブ条件を言い換えると「判定対象画像は、制約画像の配色に類似している」となる。例えば、画像の配色(画像を構成する色の種類(色情報)と、各色が画像に示す占有位置や占有率などのパターン)の割合が、予め登録されている「制約画像」に多く見られる配色割合に該当する場合である。例えば、人間の皮膚に近い色がある程度含まれ、且つ、血に近い赤系の色が含まれる配色は、血しぶきが飛び散るような暴力的な画像である可能性が高いので、これを「制約画像」に類似する・該当すると判定する。つまり、判定対象画像の色情報に基づいて、回避推奨条件を満たすかを判定することになる。同様にして、ペアレンタルコントロールに抵触するような子供に見せたくない性的画像も事前判定にて検出することができる。
【0083】
判定対象画像の画像認識処理で第1のサブ条件を満たすかの判定をする場合には、例えば、制約画像に用いられる特定のシンボルマーク、図形、画像、などを予め登録した画像辞書データを用いて判定対象画像を画像認識処理する。そして、アプリケーションプログラムは、登録されている画像が含まれているか、登録されている画像との類似性が基準値より高い場合に、第1のサブ条件が満たされたと判定する。登録画像を適切に選択することで、タブー視される図形や、マーク、ペアレンタルコントロールに抵触するような子供に見せたくない性的画像や残虐画像も事前判定にて検出することができる。
【0084】
なお、配色パターンの分析機能や画像認識機能をオペレーティングシステムが提供可能な構成では、アプリが分析処理や画像認識処理を実行するのではなく、オペレーティングシステムにそれらの処理をリクエストするとしてもよい。
【0085】
第2のサブ条件は「判定対象音声やその音声内容に聞かれたくない音声や音声内容が含まれている、または判定対象音声やその音声内容が聞かれたくない音声や音声内容に類似している」である。例えば、爆発音や破壊音、悲鳴、嗚咽、奇声、などの音声解析処理や、音声認識処理により判定ができる。以下では、「聞かれたくない音声」「聞かせたくない音声」のことを総称して「制約音声」といい、「聞かれたくない音声内容」「聞かせたくない音声内容」のことを総称して「制約音声内容」という。
【0086】
なお、音声解析や音声認識の機能をオペレーティングシステムが提供可能な構成では、アプリが音声解析処理や音声認識処理を実行するのではなく、オペレーティングシステムにそれらの処理をリクエストするとしてもよい。
【0087】
第3のサブ条件は、「周囲にユーザ以外に画像を見たり音声を聞く他者がいる」である。例えば、カメラ1520(図1参照)で撮影した画像から人を画像認識処理して、タッチパネル1506を見ることができる範囲にユーザ本人以外の他者が存在すれば、第3のサブ条件を肯定判定する。また例えば、マイク1512で集音した音声を音声分析して、スピーカ1510から放音された音を聞くことができる範囲にユーザ本人以外の他者が存在すると見なせる場合、第3のサブ条件を肯定判定する。
【0088】
なお、第1~第3のサブ条件は、必ずしも全て判定する必要は無い。適宜省略する事もできる。或いは逆に、別のサブ条件を追加することもできる。
【0089】
さて、サブ条件の何れもが否定判定である場合、アプリは、回避推奨条件が満たされていないと判断し、そのまま再開用データに基づく画像表示や音声出力を実行する。しかし、何れかのサブ条件が肯定判定された場合、アプリは、回避推奨条件が満たされたとみなし、直接遷移回避制御を実行する。
【0090】
図6は、直接遷移回避制御について説明するための図である。
アプリは、直接遷移回避制御として、視聴画像が回避推奨条件を満たす場合には、第1~第4の直接遷移回避制御のうち少なくとも1つを実行し、視聴音声(視聴音声内容)が回避推奨条件を満たす場合には、第5の直接遷移回避制御と、第6の直接遷移回避制御とのうち少なくともどちらかを実行する。
【0091】
第1の直接遷移回避制御は、再開用データに基づく視聴画像に画像加工処理を施すことである。ここで言う画像加工処理の内容は、画像で表示されている内容を認識できなくする内容である。例えば、ブロックパターン化処理、モザイク処理、ノイズ混入処理、ぼかし処理などである。
【0092】
第2の直接遷移回避制御は、再開用データに基づく視聴画像をダミー画像へ差し替えることである。ダミー画像の内容は、制約画像に該当しなければ、適宜設定可能である。ダミー画像は、予め用意されている複数種類のなかからランダムに選択されるとしてもよいし、その都度ランダムに生成するとしてもよい。
【0093】
第3の直接遷移回避制御は、別アプリのウィンドウを重畳表示することである。この場合の別アプリは、バックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3へ遷移させることで、結果的に当該別アプリの表示が最前面に表示されることをもって実現してもよい。或いは、別アプリを自動起動させて、結果的に当該別アプリの表示が最前面に表示されることをもって実現してもよい。
【0094】
第4の直接遷移回避制御は、タッチパネル1506の画面の明るさを強制的に低減させることである。当該回避制御を実現するために、アプリからオペレーティングシステムへ画面の明るさを変更するリクエストをして、オペレーティングシステムがこれに応じる、或いはタッチパネル1506の画面の明るさをアプリから制御できるAPIを用意しておくこととする。
【0095】
第5の直接遷移回避制御は、視聴音声をダミー音声へ差し替えることである。ダミー音声の内容は、聞かれてもよい音声(音声内容)であれば適宜設定可能である。ダミー音声は、複数種類用意されていて、何れかをランダムに選択されて使用される。或いは、その都度にランダムに生成するとしてもよい。
【0096】
第6の直接遷移回避制御は、スピーカ1510の音量の強制低減であって、音量をユーザ端末1500の周囲に居る他者に聞かれない程度に低減する(音量「0」を含む)、或いは音声出力そのものをOFFにすることである。
【0097】
なお、直接遷移回避制御の内容は、これ以外にも適宜設定可能である。
【0098】
図7は、本実施形態におけるユーザ端末1500の機能構成例を示す機能ブロック図である。ユーザ端末1500は、操作入力部100と、音声入力部102と、撮影部104と、端末処理部200と、音出力部390と、画像表示部392と、通信部394と、端末記憶部500と、を備える。
【0099】
操作入力部100は、ユーザによってなされた各種の操作入力に応じた操作入力信号を端末処理部200に出力する。例えば、プッシュスイッチや、ジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサ、ジャイロ、などによって実現できる。図1の方向入力キー1502や、ボタンスイッチ1504、タッチパネル1506、がこれに該当する。
【0100】
音声入力部102は、ユーザが発する音や環境音を集音し、音声信号を端末処理部200へ出力する。図1の例では、マイク1512がこれに該当する。
【0101】
撮影部104は、撮影対象からの光を受光して電気信号に変換し、デジタル画像データを生成し、端末処理部200へ出力する。例えば、レンズ、メカシャッター、シャッタードライバ、CCDイメージセンサモジュールやCMOSイメージセンサモジュールといった光電変換素子、光電変換素子から電荷量を読み出し画像データを生成するデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ICメモリなどで実現される。図1のカメラ1520がこれに該当する。
【0102】
端末処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や端末記憶部500を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号、等に基づいて各種の演算処理を実行して、ユーザ端末1500の動作を制御する。図1の制御基板1550がこれに該当する。
【0103】
そして、本実施形態における端末処理部200は、状態遷移管理部210と、事前判定部212と、回避制御部220と、再開用データ記憶制御部240と、計時部280と、音生成部290と、画像生成部292と、通信制御部294と、を有する。
【0104】
状態遷移管理部210は、アプリの状態遷移に係る各種制御を実行する。例えば、各種の状態遷移指示の実行や、アプリ毎の状態値の記憶管理がこれに含まれる(図3参照)。
【0105】
事前判定部212は、操作不可能状態からフォアグラウンド状態への状態遷移指示がなされた場合に、フォアグラウンド状態とするときの視聴画面および/又は視聴音声の状況である視聴状況が、フォアグラウンド状態に直接遷移することを回避すべき状況であることを示す回避推奨条件を満たすか否かを、フォアグラウンド状態に遷移する前に判定する(図5参照)。
【0106】
具体的には、事前判定部212は、視聴覚デバイスの出力状態が所定の判定不要状態にある場合には回避推奨条件を満たさないと判定し、判定不要状態にない場合に視聴状況が回避推奨条件を満たすか否かの判定を行う。その際、事前判定部212は、回避推奨条件を満たすか否かを、フォアグラウンド状態から操作不可能状態に遷移する前に保存された再開用データに基づいて判定する。特に音声については、事前判定部212は、視聴音声の音声内容に基づいて、回避推奨条件を満たすか否かを判定する。
【0107】
回避制御部220は、事前判定部212により肯定判定された場合に、所定の直接遷移回避制御を行う(図6参照)。具体的には、回避制御部220は、画像加工処理部221と、画像差替部222と、重畳ウィンドウ表示制御部223と、画面明度低減制御部224と、音声差替部225と、音量低減制御部226と、抑止制御部227と、を有する。
【0108】
画像加工処理部221は、視聴画面に表示する画像を加工することで直接遷移回避制御を行う。
画像差替部222は、視聴画面に表示する画像の一部又は全部を差し替えることで直接遷移回避制御を行う。
重畳ウィンドウ表示制御部223は、視聴画面の手前に所与のウィンドウを重畳表示することで直接遷移回避制御を行う。
画面明度低減制御部224は、視聴画面の明るさを低減することで直接遷移回避制御を行う。
音声差替部225は、視聴音声を差し替えることで直接遷移回避制御を行う。
音量低減制御部226は、視聴音声の音量を低減することで直接遷移回避制御を行う。
抑止制御部227は、最後に直接遷移回避制御を行った後、所定の短時間条件を満たす間の直接回避制御の実行を抑止する。
【0109】
再開用データ記憶制御部240は、アプリが少なくとも最後にフォアグラウンド状態であったときの視聴状況を再開するための再開用データを記憶する制御を行う。
【0110】
計時部280は、システムクロックを利用して現在日時や制限時間等の計時を行う。
【0111】
音生成部290は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、音声合成ICなどのプロセッサ、音声ファイルを再生可能なオーディオコーデック等によって実現され、楽曲や効果音、各種操作音の音信号を生成し、音出力部390に出力する。
【0112】
音出力部390は、音生成部290から入力される音信号に基づいて音出力(放音)する装置によって実現される。図1のスピーカ1510がこれに該当する。
【0113】
画像生成部292は、各種画像データの生成および画像表示部392にそれらの画像を表示させるための画像信号の生成出力などの制御を行う。
【0114】
画像表示部392は、画像生成部292から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。本実施形態では、図1のタッチパネル1506がこれに該当する。
【0115】
通信制御部294は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部394を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0116】
通信部394は、ネットワークと接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1の無線通信モジュール1553がこれに該当する。
【0117】
端末記憶部500は、端末処理部200にユーザ端末1500を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや、各種データ等を記憶する。また、端末処理部200の作業領域として用いられ、端末処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。こうした機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。図1の制御基板1550が搭載するICメモリ1552やメモリカード1540がこれに該当する。オンラインストレージを利用する構成も可能である。
【0118】
図8は、端末記憶部500が記憶するプログラムやデータの例を示す図である。端末記憶部500は、オペレーティングシステムプログラム505と、アプリケーションプログラム507と、アプリ初期設定データ510と、回避推奨条件辞書データ548と、アプリ管理データ560と、アプリ別のメモリ内容復元データ590と、視聴覚デバイス状態データ610と、現在日時800と、を記憶する。勿論、これら以外のプログラムやデータも適宜記憶することができる。
【0119】
オペレーティングシステムプログラム505は、端末処理部200に状態遷移管理部210などのオペレーティングシステムとしての各種機能を実現させる。
【0120】
アプリケーションプログラム507とアプリ初期設定データ510は、セットで、別途アプリ提供サーバなどからダウンロードして端末記憶部500に保存される。
【0121】
アプリケーションプログラム507(アプリ)は、端末処理部200に、事前判定部212、回避制御部220、再開用データ記憶制御部240、としての機能を実現させる。
【0122】
アプリ初期設定データ510は、アプリケーションプログラム507毎に用意され、対応するアプリの実行に必要な各種初期設定データや定義データを格納する。
アプリ初期設定データ510は、例えば図9に示すように、固有のアプリID511と、アプリR指定513と、R指定時間範囲リスト515と、ダミー画像データ520と、ダミー音声データ522と、ダミーテキストデータ524と、を含む。対応するアプリがゲームであれば、更に、キャラクタ初期設定データ530と、シーン初期設定データ532と、を含む。
【0123】
アプリR指定513は、当該アプリに設定されている年齢制限等級であり、当該アプリに制約画像や制約音声が有るか否かを示す識別情報である。R指定は年齢制限等級を指し、制約画像や制約音声の有無に基づく等級を意味する。
R指定時間範囲リスト515は、当該アプリの実行開始からの経過時間の範囲と、当該範囲においてアプリが出力する画像や音声内容の年齢制限等級と、の対応づけのリストである。例えば、特定のシーンに限定的に年齢制限等級が必要な場合に、当該リスト515が利用される。
【0124】
ダミー画像データ520と、ダミー音声データ522と、ダミーテキストデータ524と、は直接遷移回避制御において、本来出力されるべき画像や音声、音声内容となるテキストに差し替えて用いられるダミーデータである。それぞれ複数種類用意されて、ランダムに選択されて直接遷移回避制御にて使用される。
【0125】
キャラクタ初期設定データ530は、当該アプリに登場するキャラクタ毎に用意されており、当該キャラクタに係る各種設定データを格納する。キャラクタ初期設定データ530は、例えば、キャラクタ種類、モデルデータ、音声データ、キャラクタR指定、などを格納する。
【0126】
シーン初期設定データ532は、アプリで表示されるシーン毎に用意され、当該シーンの画像や音声を生成・出力するための素材や制御のための各種データを格納する。例えば、1つのシーン初期設定データ532は、固有のシーンIDと、登場キャラクタ種類リストと、キャラ別動作設定データと、シーンR指定と、を格納する。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0127】
図8に戻って、回避推奨条件辞書データ548は、アプリがフォアグラウンド状態J3に戻ったときに出力される視聴画像や視聴音声(視聴音声の内容)を、回避推奨条件を満たすか否か判定する基準を定義する。当該辞書データは、配色パターンの分析処理や画像認識処理で使用される辞書データであり、音声解析処理や音声認識処理で使用される辞書データである。
【0128】
アプリ管理データ560は、アプリを実行する毎に作成され、当該アプリの実行に係る各種初期設定データを格納する。1つのアプリ管理データ560は、例えば図10に示すように、管理対象アプリID561と、状態値562と、進行制御データ563と、視聴画像出力制御データ564と、視聴画像データ565と、視聴音声出力制御データ566と、視聴音声データ567と、再開用データ570と、を含む。
【0129】
進行制御データ563は、アプリの全体進行に係るデータを格納する。例えば、実行中のシーンID、経過時間などである。アプリがゲームであれば、ゲームシナリオの進行制御に関する情報を適宜含めることができる。
【0130】
視聴画像出力制御データ564は、視聴画像データ565を生成するための制御データである。例えば、アプリの視聴画像を、3DCGを元に作成する場合、仮想3次元空間と、そこに配置されているキャラクタ等のオブジェクトの制御データ、レンダリングの視点となる仮想カメラの制御データ、などを格納する。
【0131】
視聴音声出力制御データ566は、視聴音声データ567を生成するための制御データである。デコード中のデータ、音声合成の元になる台詞などの音声内容のテキストデータ、などを格納する。
【0132】
進行制御データ563、視聴画像出力制御データ564、視聴画像データ565、視聴音声出力制御データ566、視聴音声データ567は、ICメモリ1552のうちのレジスタやSRAMに記憶される。
フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ状態遷移する際には、これらは再開用データ570として別途、ICメモリ1552のうちの主記憶装置や外部記憶装置に保存される。
【0133】
再開用データ570は、フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ状態遷移指示を受け、オペレーティングシステムから渡された状態値が「FG」の場合に、アプリにより作成される。勿論、オペレーティングシステムにより作成される構成も可能である。そして、再開用データ570は、例えば、フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ状態遷移する際の現在日時800である最終フォアグラウンド状態時刻571と、視聴画像出力制御データ574と、視聴画像データ575と、視聴音声出力制御データ576と、視聴音声データ577と、を含む。
【0134】
図8に戻って、アプリ別のメモリ内容復元データ590は、例えば、アプリ管理データ560の写しまたは退避データであって、バックグラウンド状態J2から中断状態J4へ状態遷移するアプリ毎に用意され、ICメモリ1552のうちの外部記憶装置に保存される。
【0135】
視聴覚デバイス状態データ610は、ユーザ端末1500が装備する視聴覚デバイスの状態を表す値を格納する。具体的には、視聴覚デバイス状態データ610は、端末処理部200により管理されており、タッチパネル1506の画面の明るさ、タッチパネル1506のON/OFF、イヤホン接続端子1514への接続の有無、音量、などの値を格納する。
【0136】
図11は、事前判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
本実施形態では、事前判定処理は、端末処理部200で実行中のアプリケーションプログラム507が、アプリ切替に係る状態遷移指示を受けることにより実行される。
【0137】
同処理において、アプリは、先ず視聴覚デバイス状態の情報を取得する(ステップS20)。具体的には、視聴覚デバイス状態データ610を参照する。
視聴覚デバイス状態が判定不要状態に「該当する」場合(ステップS22のTRUE)、ハードウェアの状態から見て、これから再開される視聴画像や視聴音声が確実にユーザや、その周辺に居る他者に見られたり聞かれたりする状況では「ない」、言い換えると直接遷移回避制御が必要とされるハードウェア状態になく、回避推奨条件を判定する必要すらない、と判断できる。よって、ステップS22が肯定判定の場合(ステップS22のTRUE)、アプリは「回避推奨条件を満たさない」と判定して(ステップS50)、事前判定処理を終了する。
【0138】
反対に、視聴覚デバイス状態が判定不要状態に「該当しない」場合(ステップS22のFALSE)、これから再開される視聴画像や視聴音声が確実にユーザや、その周辺に居る他者に見られたり聞かれたりする状況にあり、直接遷移回避制御が必要とされる状況にあると判断できる。よって、ステップS22が否定の場合(ステップS22のFALSE)、アプリは、次に最終フォアグラウンド状態時刻571(図10参照)から所定の短時間条件を満たすか判定する(ステップS24)。
【0139】
ここで言う「短時間条件」は、ユーザが間違ってアプリ切替操作をしてしまったときに、ユーザは比較的短い時間で元のアプリをフォアグラウンド状態J3へ戻すように再びアプリ切替操作を行うとの前提で決められる「比較的短い時間」であることを意味する。
【0140】
そして、短時間条件を満たす場合には(ステップS24のYES)、アプリは、アプリ切替操作のミスと見なして、「回避推奨条件を満たさない」と判定して(ステップS50)、事前判定処理を終了する。
【0141】
対して、短時間条件を満たさない場合(ステップS24のNO)、アプリは、次に再開用データ570(図10参照)に基づき再開された出力で表示される視聴画像が、画像に係る回避推奨条件を満たすかを判定して、肯定の場合に(ステップS30のTRUE)、「回避推奨条件を満たす」と判定して(ステップS52)、事前判定処理を終了する。
【0142】
画像に係る回避推奨条件が満たされていなくとも、再開された出力で表示される視聴音声(視聴音声の内容)が、音声に係る回避推奨条件が満たされているかを更に判定し、肯定の場合に(ステップS32のTRUE)、「回避推奨条件を満たす」と判定して(ステップS52)、事前判定処理を終了する。
【0143】
また、画像に係る回避推奨条件と、音声に係る回避推奨条件とが、共に満たされていない場合、アプリは、環境情報の取得を行う(ステップS34)。具体的には、アプリが、カメラ1520でタッチパネル1506の正面方向を撮影するようにオペレーティングシステムにリクエストして、或いは別途、撮影アプリを呼び出して撮影を実行させて、撮影画像データを取得する。
【0144】
なお、環境情報には、適宜、環境音の情報を含めてもよい。その場合、また、アプリが、マイク1512で環境音を集音するように、オペレーティングシステムにリクエストして、或いは別途、録音アプリを呼び出して環境音のキャプチャを実行させて、録音データを取得する。
【0145】
そして、アプリは、取得した環境情報から、周囲にユーザ以外の他者が存在するかを判定する。具体的には、アプリは、撮影した画像から人間の画像認識処理を行って、正面方向に複数人が存在する場合には、「周囲にユーザ以外の他者が存在する」と判断して(ステップS36のTRUE)、「回避推奨条件を満たす」と判定して(ステップS52)、事前判定処理を終了する。
【0146】
対して、正面方向に複数人が存在しない場合には、「周囲にユーザ以外の他者が存在しない」と判断して(ステップS36のFALSE)、「回避推奨条件を満たさない」と判定して(ステップS54)、事前判定処理を終了する。
【0147】
図12は、直接遷移回避制御の流れを説明するためのフローチャートである。
本実施形態では、直接遷移回避制御は、端末処理部200で実行中のアプリケーションプログラム507(アプリ)が、状態遷移指示を受けて事前判定処理を実行した後に実行される。
【0148】
直接遷移回避制御において、アプリは、第1~第6の直接遷移回避制御(図6参照)のうち、適当な制御を選択して、これから実行する直接遷移回避の内容を決定する(ステップS70)。
【0149】
次に、アプリは、決定した直接遷移回避制御を開始し、制御タイマーでの所定時間の計時を開始する(ステップS72)。
そして、制御タイマーでの計時が完了するまで、またはユーザによる所定の遷移許可操作入力を検出すると(ステップS74)、直接遷移回避制御を停止し(ステップS76)、再開用データ570に基づく、本来の視聴画像の表示や、本来の視聴音声の放音を開始して(ステップS78)、直接遷移回避制御を終了する。
【0150】
以上、本実施形態によれば、アプリをフォアグラウンドに復帰させるタイミングで、復帰時のアプリに係る出力が、他者に知られたくない内容である場合に、それを知られないようにできる。フォアグラウンドになるアプリによって制約画像や制約音声などが不意に出力されてしまうおそれを回避することができる。
【0151】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態と第1実施形態とを比較すると、第1実施形態では、事前判定や直接遷移回避制御の実行主体がユーザ端末1500であったが、本実施形態では、ユーザ端末1500が通信接続しているサーバシステムが実行主体となる点が異なる。なお、以降では、主に第1実施形態との差異について述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同じ符号を付与して重複する説明は省略する。
【0152】
図13は、コンテンツ提供システムの構成例を示す図である。コンテンツ提供システム1000は、ネットワーク9を介して相互にデータ通信が可能に接続されたサーバシステム1100と、ユーザ端末1500Bとを含み、ユーザがユーザ端末1500Bでコンテンツを楽しむコンピュータシステムである。
【0153】
「コンテンツ」は、第1実施形態で言うところのアプリの実行の結果によって実現される。コンテンツの内容は、ゲーム、電子書籍、動画、静止画、など特には問わない。当然、コンテンツの内容によって、コンテンツの視聴形態も変わる。例えば、ゲームであれば、コンテンツの視聴は実質的にゲームプレイを伴うことになるが、以降は包括して「コンテンツの視聴」と言う。
【0154】
ネットワーク9は、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、ネットワーク9とは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0155】
サーバシステム1100は、例えば、キーボード1106と、タッチパネル1108と、ストレージ1140とを有し、本体装置には制御基板1150を搭載する。
【0156】
制御基板1150には、CPU(Central Processing Unit)1151やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1152、通信装置1153が搭載されている。なお、制御基板1150の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)により実現するとしてもよい。
【0157】
そして、サーバシステム1100は、制御基板1150が所定のプログラムおよびデータに基づいて演算処理することにより、所定のユーザ登録手続きを経たユーザが使用するユーザ端末1500Bにてコンテンツを視聴可能にする。
【0158】
なお、図13では、ユーザ端末1500Bを1台のみ描いているが、実際のシステム運用においては、同時に複数のユーザ端末1500Bがサーバシステム1100にアクセス可能である。
【0159】
また、サーバシステム1100を、1台のサーバ装置であるかのように描いているが、複数の装置で実現する構成であってもよい。例えば、サーバシステム1100は各機能を分担する複数のブレードサーバを搭載して相互に内部バスを介してデータ通信可能に接続した構成であってもよい。また、サーバシステム1100を構成するハードウェアの設置場所は問わない。離れた場所に設置された独立した複数のサーバを、ネットワーク9を介してデータ通信させることで、全体としてサーバシステム1100として機能させる構成であってもよい。
【0160】
サーバシステム1100は、制御基板1150が所定のプログラム及びデータに基づいて演算処理することにより、ユーザ登録等に係るユーザ管理機能と、ユーザがユーザ端末1500Bでコンテンツを視聴するのに必要なデータを提供してユーザ端末1500Bでのコンテンツ視聴を管理するコンテンツ視聴管理機能と、を実現する。つまり、本実施形態におけるコンテンツの視聴は、一種のクライアント・サーバー型として実現される。
【0161】
図14は、本実施形態におけるサーバシステム1100の機能構成例を示す機能ブロック図である。サーバシステム1100は、操作入力部100sと、サーバ処理部200sと、音出力部390sと、画像表示部392sと、通信部394sと、サーバ記憶部500sとを備える。
【0162】
操作入力部100sは、サーバの管理のための各種操作を入力するための手段である。図13のキーボード1106がこれに該当する。
【0163】
サーバ処理部200sは、例えばCPUやGPU、ASIC、FPGA等の演算回路となるプロセッサの他、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100sやサーバ記憶部500sを含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100sからの操作入力信号、ユーザ端末1500Bなどから受信したデータ、等に基づいて各種の演算処理を実行して、サーバシステム1100の動作を統合的に制御する。
【0164】
そして、サーバ処理部200sは、ユーザ管理部202と、コンテンツ提供制御部211と、計時部280sと、音生成部290sと、画像生成部292sと、通信制御部294sとを含む。勿論、これら以外の機能部も適宜含めることができる。
【0165】
ユーザ管理部202は、ユーザ登録手続きに係る処理及びユーザアカウントに紐付けられる各ユーザの情報の記憶管理を行う。
【0166】
コンテンツ提供制御部211は、ユーザ端末1500Bへのコンテンツ提供に係る各種制御を行う。すなわち、コンテンツの視聴として何を表示させ何を音出力させるかの選択と、それらをユーザ端末1500Bにて実現させるためのデータの生成はサーバシステム1100にて実行される。言い換えると、第1実施形態において、アプリが実行していた制御を、サーバシステム1100が実行することになる。故に、本実施形態では、コンテンツ提供制御部211が、事前判定部212と、回避制御部220と、再開用データ記憶制御部240と、を有することとなる。
【0167】
計時部280sは、システムクロックを利用して現在日時や制限時間等の計時を行う。
【0168】
音生成部290sは、音声データの生成やデコードをするICやソフトウェアの実行により実現され、サーバのシステム管理や操作音、コンテンツの視聴に係るBGMや効果音などの音声データを生成或いはデコードする。そして、システム管理に関する音声信号は音出力部390sへ出力する。
【0169】
音出力部390sは、音声信号を放音する。図13の例では本体装置やタッチパネル1108が備えるスピーカ(不図示)がこれに該当する。
【0170】
画像生成部292sは、画像の生成を行い、生成した画像を画像表示部392sに表示させるための信号を出力する。本実施形態では、サーバのシステム管理に関する画像や、コンテンツに係る画像をユーザ端末1500Bで表示させるためのデータ、などを生成する機能を担う。
【0171】
通信制御部294sは、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部394sを介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0172】
通信部394sは、ネットワーク9と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。図13の例では通信装置1153が該当する。
【0173】
サーバ記憶部500sは、サーバ処理部200sにサーバシステム1100を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや各種データ等を記憶する。また、サーバ処理部200sの作業領域として用いられ、サーバ処理部200sが各種プログラムに従って実行した演算結果などを一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスク、オンラインストレージなどによって実現される。図13の例では本体装置1101が搭載するICメモリ1152やハードディスクなどの記憶媒体、及びストレージ1140がこれに該当する。
【0174】
図15は、本実施形態におけるサーバ記憶部500sが記憶するプログラムやデータの例を示す図である。本実施形態におけるサーバ記憶部500sは、サーバプログラム501と、配信用クライアントプログラム503と、アプリ初期設定データ510と、回避推奨条件辞書データ548と、アプリ管理データ560と、ユーザ管理データ600と、現在日時800と、を記憶する。
【0175】
サーバプログラム501は、サーバ処理部200sが読み出して実行することで、ユーザ管理部202と、コンテンツ提供制御部211と、の機能を実現させるためのプログラムである(図14参照)。
【0176】
配信用クライアントプログラム503は、ユーザ端末1500Bへ提供されるクライアントプログラムのオリジナルである。
【0177】
本実施形態におけるアプリ管理データ560は、ユーザ端末1500Bからコンテンツの提供リクエスト、すなわちコンテンツを提供するためのアプリケーションプログラムの実行がリクエストされると、ユーザ端末1500B別に作成される。
【0178】
ユーザ管理データ600は、登録ユーザ毎に用意され、固有の識別情報であるユーザアカウント601と紐付けられる各種データを格納する。
【0179】
図16は、本実施形態におけるユーザ端末1500Bの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。ユーザ端末1500Bは、操作入力部100と、音声入力部102と、撮影部104と、端末処理部200と、音出力部390と、画像表示部392と、通信部394と、端末記憶部500とを備える。そして、本実施形態の端末処理部200は、状態遷移管理部210と、クライアント実行部260と、計時部280と、音生成部290と、画像生成部292と、通信制御部294と、を備える。
【0180】
クライアント実行部260は、コンテンツ視聴に係るクライアントとしての機能を実現する。具体的には、コンテンツの視聴に係る各種のリクエストをサーバシステム1100へ送信し、サーバシステム1100からリクエストに応じて提供されたデータに基づいて視聴画像を表示させる制御や、視聴音声を放音させる制御、などを実行する。
【0181】
そして、クライアント実行部260は、状態遷移通知部262を有する。
状態遷移通知部262は、ユーザ端末1500Bにおいてクライアント(アプリ)への状態遷移指示がなされた場合に、当該指示があった旨のサーバシステム1100向けの通知制御を行う。具体的には、ユーザアカウント(または端末識別情報)と、オペレーティングシステムから渡された状態値と、共に所定のフォアグラウンド状態J3への状態遷移対応リクエストをサーバシステム1100へ送信する。サーバシステム1100は、当該状態遷移対応リクエストを受信すると、当該リクエストとともに受信した状態値が「BG」である場合に、事前判定処理および直接遷移回避制御を実行する。
【0182】
ユーザ端末1500Bの端末記憶部500は、オペレーティングシステムプログラム505と、クライアントプログラム504と、を記憶する。勿論、これら以外のプログラムやデータも適宜記憶することができる。
【0183】
クライアントプログラム504は、端末処理部200が読み出して実行することによってクライアント実行部260としての機能を実現させるためのアプリケーションソフトウェアである。本実施形態では、サーバシステム1100から提供される配信用クライアントプログラム503(図14参照)のコピーとする。
【0184】
なお、クライアントプログラム504は、クライアント・サーバー方式によるコンテンツ提供の技術手法(例えば、オンラインゲームを実現する技術手法など)に応じて専用のクライアントプログラムであってもよいし、ウェブブラウザプログラム及びインタラクティブな画像表示を実現するプラグインなどにより構成するとしてもよい。
【0185】
サーバシステム1100が実行する場合の事前処理の流れは、図11で示したのと同様であり、図11の説明における実行主体を「アプリ」から「サーバシステム」へ読み替えればよい。但し、ステップS20の視聴覚デバイス状態データ610の取得など、ユーザ端末1500B側でしか管理されないデータについては、適宜、サーバシステム1100がユーザ端末1500Bへ提供リクエストを送信し、ユーザ端末1500Bがこれに応じるものとする。また、サーバシステム1100が実行する場合の直接遷移回避制御の流れは、図12で示したのと同様であり、図12の説明における実行主体を「アプリ」から「サーバシステム」へ読み替えればよい。
【0186】
以上、本実施形態によれば、クライアント・サーバー型のコンテンツ提供であっても、第1実施形態と同様に、(ユーザ端末1500Bから見た)アプリをフォアグラウンドに復帰させるタイミングで、復帰時のアプリに係る出力が、他者に知られたくない内容である場合に、それを知られないようにできる。フォアグラウンドになるアプリによって制約画像や制約音声などが不意に出力されてしまうおそれを回避することができる。
【0187】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0188】
(変形例その1)
第1実施形態では、事前判定部212と、回避制御部220と、再開用データ記憶制御部240と、をアプリの機能として実現したが、これらの1つまたは複数を、オペレーティングシステムの機能として実現した構成も可能である。
【0189】
(変形例その2)
また、上記実施形態では、事前判定処理を、バックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3へと状態遷移するタイミングで実行する例を示したが、フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へと状態遷移するタイミングで実行する構成も可能である。
【0190】
具体的には、図17に示すように、フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へと状態遷移するタイミングで、保存したばかりの再開用データ570に基づいて、第1段階目の事前判定(第1事前判定)を実行し、その結果を、図18に示すように、回避推奨フラグ578として、再開用データ570に追加する。
【0191】
回避推奨フラグ578は、フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ状態遷移する時点において、事前判定した場合の判定結果(1=回避推奨条件を満たす、0=回避推奨条件を満たさない)である。
【0192】
図17に戻って、フォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ状態遷移するタイミングでは、第2段階目の事前判定(第2事前判定)として、回避推奨フラグ578を参照して、当該フラグが「回避推奨条件を満たす」を示していれば、直接遷移回避制御を実行し、当該フラグが「回避推奨条件を満たさない」を示していれば、再開用データ570に基づくアプリの出力を実行する。
【0193】
(変形例その3)
また、上記実施形態では、事前判定処理を実行するアプリは、自身に係る再開用データ570を参照する構成としたが、これに限らない。
例えば、アプリ切替により、第1のアプリがバックグラウンド状態J2からフォアグラウンド状態J3へ状態遷移するシチュエーションにおいて、第1のアプリが、第1のアプリの直前にフォアグラウンド状態J3からバックグラウンド状態J2へ遷移された第2のアプリの再開用データ570を参照する構成も可能である。
【0194】
この場合、第1のアプリは、参照した再開用データ570の回避推奨フラグ578が「1(回避推奨条件を満たす)」であれば、第2のアプリによって、既に回避推奨条件が満たされるような視聴画像や視聴音声が出力された状態(直接遷移回避制御が意味を成さない状態)であると判断し、視聴画像の画像解析や視聴音声の音声分析はスキップして、「回避推奨条件を満たさない」と判定するとしてもよい。そもそも回避推奨条件を満たす第2のアプリを視聴していたのであるから、次にフォアグラウンド状態へ切り替える第1のアプリについては回避推奨条件を満たさないと判定する(判定不要との判定とも言える)のである。
【0195】
(変形例その4)
例えば、第2実施形態では、クライアント・サーバー型のコンピュータシステムにてオンラインゲームを実現する例を挙げたが、複数のユーザ端末1500Bをピアツーピア接続したコンピュータシステムにおいて実現するとしてもよい。その場合、何れかのユーザ端末1500Bに第2実施形態のサーバシステム1100としての機能を担わせる。或いは、複数のユーザ端末1500Bで機能を分担して担う構成としてもよい。
【0196】
(変形例その5)
また、事前判定処理は、アプリ初期設定データ510(図9参照)のアプリR指定513や、R指定時間範囲リスト515、キャラクタ初期設定データ530のキャラクタR指定、シーン初期設定データ532のシーンR指定、などを用いて、回避推奨条件を満たすか判定する構成も可能である。具体的には、事前判定処理にて、これらのデータを参照し、所定の年齢制限等級を超える(制限年齢が上の意)場合に回避推奨条件を満たすと判定してもよい。
【0197】
(変形例その6)
事前判定の対象となる視聴画像や視聴音声は、「フォアグラウンド状態J3へ状態遷移してから所定時間内」とされるが、ここで言う「所定時間」は適宜設定可能である。例えば、フォアグラウンド状態J3へ状態遷移して最初に表示される画像や、最初に出力される音声のみに判定対象を限定するように所定時間を設定することとしてもよい。
【0198】
また、「フォアグランド状態J3へ状態遷移したその時点を終期とし、当該終期から遡った所定時間前を始期とする当該期間の間」を事前判定の対象としてもよい。その場合、フォアグランド状態J3へ状態遷移する際に事前判定を行うこととしてもよいし、上述した「変形例その2」で説明した第1事前判定において判定することとしてもよい。また、「フォアグランド状態J3へ状態遷移したその時点から遡った所定の第1の時間前を始期とし、フォアグランド状態J3へ状態遷移してから所定の第2の時間経過した時点を終期とする当該終期の間」を事前判定の対象としてもよい。
【0199】
(変形例その7)
また、直接遷移回避制御を行わずにフォアグランド状態に状態遷移する場合、言い換えるとアプリを再開する再開タイミングは、最後にフォアグラウンド状態であったときの視聴状況を再開するタイミングであれば任意に定めることができる。最後にフォアグランド状態であったときの終止タイミングに限るものではない。例えば、アプリがゲームの場合には、最後にフォアグランド状態であったときの終止タイミングから、過去に所定時間(或いは所定フレーム)だけ戻った時点を、フォアグランド状態に戻ったときの再開タイミングとしてもよい。例えば、シナリオ形式のRPGなどでは、最後にフォアグランド状態であったときの終止タイミングが台詞の途中であれば、再開タイミングを当該台詞の開始タイミングとする。また例えば、リズムゲームであれば、最後にフォアグランド状態であったときの終止タイミングが、プレイする楽曲のサビ(曲開始からの特定の経過時間範囲)に該当する場合には、再開タイミングをサビの開始タイミングとする。勿論、サビか否かにかかわらず、最後にフォアグランド状態であったときの終止タイミングから所定時間過去のタイミングを再開タイミングとしてもよい。
【0200】
より具体的には、サーバシステム1100は、進行制御データ563(図10参照)として、常に所定時間分の間のデータを時系列に含むような履歴形式のデータとして記録する。フォアグランド状態に戻る再開タイミングとして決定する機能の追加とともに、或いは、当該機能追加の代わりとして、再開用データ570に、最後にフォアグランド状態であったときの終止タイミングから所定時間過去に遡ったタイミングまで(或いは遡ったタイミング)の制御進行データ563を含める構成とする。
【符号の説明】
【0201】
200…端末処理部
200s…サーバ処理部
210…状態遷移管理部
211…コンテンツ提供制御部
212…事前判定部
220…回避制御部
221…画像加工処理部
222…画像差替部
223…重畳ウィンドウ表示制御部
224…画面明度低減制御部
225…音声差替部
226…音量低減制御部
227…抑止制御部
240…再開用データ記憶制御部
260…クライアント実行部
262…状態遷移通知部
500…端末記憶部
501…サーバプログラム
504…クライアントプログラム
507…アプリケーションプログラム
510…アプリ初期設定データ
520…ダミー画像データ
522…ダミー音声データ
548…回避推奨条件辞書データ
560…アプリ管理データ
562…状態値
570…再開用データ
571…最終フォアグラウンド状態時刻
574…視聴画像出力制御データ
575…視聴画像データ
576…視聴音声出力制御データ
577…視聴音声データ
578…回避推奨フラグ
590…メモリ内容復元データ
610…視聴覚デバイス状態データ
1000…コンテンツ提供システム
1100…サーバシステム
1500…ユーザ端末
J1…未起動状態
J2…バックグラウンド状態
J3…フォアグラウンド状態
J4…中断状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18