(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】薄膜形成方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/318 20060101AFI20230721BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20230721BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230721BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H01L21/318 M
H01L21/316 M
H01L21/31 B
C23C16/42
(21)【出願番号】P 2021133279
(22)【出願日】2021-08-18
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0175918
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】316008145
【氏名又は名称】ウォニク アイピーエス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WONIK IPS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】75,Jinwisandan-ro,Jinwi-myeon,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do,17709,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】韓 ▲そく▼俊
(72)【発明者】
【氏名】李 太浣
(72)【発明者】
【氏名】洪 榮俊
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-010497(JP,A)
【文献】特開2000-091337(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0059406(KR,A)
【文献】特開平10-173171(JP,A)
【文献】特開2014-187393(JP,A)
【文献】特開2019-102530(JP,A)
【文献】特開2007-019145(JP,A)
【文献】特開2001-189314(JP,A)
【文献】特開2002-151684(JP,A)
【文献】特開2009-071232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/336
H01L 21/365
H01L 21/469-21/475
H01L 21/86
H01L 27/10-27/105
H01L 29/76
H01L 29/772
H01L 29/78-29/786
H10B 10/00-10/10
H10B 63/00-63/10
H10B 69/00
H10B 99/00
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に酸化シリコン薄膜を形成する酸化シリコン薄膜形成段階と、
前記酸化シリコン薄膜上に第1酸化窒化シリコン薄膜を形成し、前記第1酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量を調節することができる第1工程条件を含んで第1酸化窒化シリコン薄膜を形成する第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階と、
前記第1酸化窒化シリコン薄膜上に第2酸化窒化シリコン薄膜を形成し、前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量を調節することができる第2工程条件を含んで第2酸化窒化シリコン薄膜を形成する第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階と、を含み、
前記第1酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも大きくなるように、前記第1工程条件と前記第2工程条件を調節
し、
前記第1工程条件と前記第2工程条件は、酸素(O)含有ガスの種類であり、
前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階に供給される第1酸素(O)含有ガスと前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階に供給される第2酸素(O)含有ガスが互いに異なる種類のガスであることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】
前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第1シリコン(Si)含有ガス供給段階、第1酸素(O)含有ガス供給段階及び第1窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第1サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、
前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第2シリコン(Si)含有ガス供給段階、第2酸素(O)含有ガス供給段階及び第2窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第2サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項3】
前記第1酸素(O)含有ガスは、亜酸化窒素(N
2O)であり、
前記第2酸素(O)含有ガスは、酸素(O
2)であることを特徴とする請求項
2に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記酸化シリコン薄膜形成段階と前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階との間に、前記酸化シリコン薄膜上に第3酸化窒化シリコン薄膜を形成し、前記第3酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量を調節することができる第3工程条件を含んで第3酸化窒化シリコン薄膜を形成する第3酸化窒化シリコン薄膜形成段階と、をさらに含み、
前記第3酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも小さくなるように、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件を調節し、
前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第1シリコン(Si)含有ガス供給段階、第1酸素(O)含有ガス供給段階及び第1窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第1サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、
前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第2シリコン(Si)含有ガス供給段階、第2酸素(O)含有ガス供給段階及び第2窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第2サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、
前記第3酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第3シリコン(Si)含有ガス供給段階、第3酸素(O)含有ガス供給段階及び第3窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第3サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項5】
前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件は、酸素(O)含有ガスの種類であり、
前記第1酸素(O)含有ガスは、亜酸化窒素(N
2O)であり、
前記第2酸素(O)含有ガスは、酸素(O
2)であり、
前記第3酸素(O)含有ガスは、酸素(O
2)と水素(H
2)の混合ガス及び酸素(O
2)のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項
4に記載の薄膜形成方法。
【請求項6】
前記第1酸化窒化シリコン薄膜内窒素(N)含有量は、20~40%であり、
前記第2酸化窒化シリコン薄膜内窒素(N)含有量は、10~20%であり、
前記第3酸化窒化シリコン薄膜内窒素(N)含有量は、10%以下となるように、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件を調節することを特徴とする請求項
4に記載の薄膜形成方法。
【請求項7】
前記酸化シリコン薄膜形成段階は、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われることを特徴とする請求項
4に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階の後に、
前記薄膜を熱処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項9】
前記熱処理する段階は、
窒素(N
2)、亜酸化窒素(N
2O)、一酸化窒素(NO)、水素(H
2)及びアンモニア(NH
3)のうち少なくとも一つのガスの雰囲気で行うことを特徴とする請求項
8に記載の薄膜形成方法。
【請求項10】
前記酸化シリコン薄膜形成段階、前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階、前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階、前記第3酸化窒化シリコン薄膜形成段階及び前記熱処理する段階は、インサイチュ(in-situ)で行われることを特徴とする請求項
8に記載の薄膜形成方法。
【請求項11】
前記酸素(O)含有ガスは、
酸素(O
2)、オゾン(O
3)、亜酸化窒素(N
2O)、一酸化窒素(NO)及び酸素(O
2)と水素(H
2)の混合ガスのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項12】
前記窒素(N)含有ガスは、アンモニア(NH
3)を含むことを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項13】
前記シリコン(Si)含有ガスは、シラン系ガス及びシロキサン系ガスのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項14】
前記酸化シリコン薄膜形成段階の後に、
酸素(O
2)と水素(H
2)の混合ガスを用いて前記酸化シリコン薄膜を熱処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項15】
前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件は、一つのサイクルに含まれた酸素(O)含有ガス供給段階回数であり、
前記第1サイクルは、前記第1シリコン(Si)含有ガス供給段階と前記第1酸素(O)含有ガス供給段階をn(nは自然数)回反復した後に前記第1窒素(N)含有ガス供給段階を行い、
前記第2サイクルは、前記第2シリコン(Si)含有ガス供給段階と前記第2酸素(O)含有ガス供給段階をm(mは自然数)回反復した後に前記第2窒素(N)含有ガス供給段階を行い、
前記第3サイクルは、前記第3シリコン(Si)含有ガス供給段階と前記第3酸素(O)含有ガス供給段階をl(lは自然数)回反復した後に前記第3窒素(N)含有ガス供給段階を行い、
l>m>nであることを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項16】
前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件は、
酸素(O)含有ガス供給時間、供給される酸素(O)含有ガスの圧力、供給される酸素(O)含有ガスの流量、窒素(N)含有ガス供給時間、供給される窒素(N)含有ガスの圧力、供給される窒素(N)含有ガスの流量、一つのサイクルに含まれた窒素(N)含有ガス供給段階回数及び工程温度のうち少なくとも一つ
を調節し、
前記第1酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも大きくなるようにし、前記第3酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも小さくなるように、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件を調節することを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項17】
前記薄膜は、ゲート酸化膜であることを特徴とする請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項18】
シリコン基板上に薄膜を形成する装置であって、
前記薄膜は、請求項
4ないし
7のいずれかに記載の薄膜形成方法で形成されることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成方法及び装置に関し、さらに詳しくは、ゲート酸化膜を形成する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NFETとPFETのように、電界効果トランジスタ(FET,Field Effect Transistor)は、通常、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)装置で発見される。MOSFET装置において、ゲート電極又はゲートは、ゲート酸化膜のような絶縁体又はゲート絶縁体上に形成されたドーピングされたポリシリコン又はメタル導電体を含み得る。また、ゲート電極スタック(stack)は、ゲート絶縁膜が形成される半導体層又は基板を含む。ゲート酸化膜下の基板領域は、チャネル領域であり、チャネル両側にソース/ドレイン対が基板内に形成される。
【0003】
半導体工程において、シリコン(Si)は、基板物質として利用され得る。シリコンゲルマニウム(SiGe)は、シリコンの代替剤として利用され、トランジスタがより素早くスイッチングし、高い性能を発揮できるようにする。例えば、SiGeは高周波装置で用いることができ、SiGe工程はナノ装置のPMOS性能を増加させる。
【0004】
SiGeはSiよりも大きい格子定数を有しており、酸化される際にSiよりも変形(dislocated)しやすい。その結果、SiGe表面で、酸化工程(oxidation process)の代替方法が使用される。
【0005】
そのため、酸化工程の代替方法によって形成されたゲート酸化膜が必要となる。このために、酸化シリコン薄膜の一部を窒化(Nitridation)処理して酸化シリコン薄膜表面に窒素(N)が含まれた酸化シリコン薄膜を有する構造のゲート酸化膜の研究が行われている。このような構造のゲート酸化膜の窒素(N)含有量を
図1に示した。酸化シリコン薄膜に窒素(N)を追加するようになると、誘電率の調整が容易になる。このようなゲート酸化膜は、酸化シリコン薄膜を形成した後、酸素雰囲気における熱処理、窒化処理のためのプラズマ処理、酸素雰囲気における熱処理、窒素雰囲気おける熱処理など複雑な熱処理とプラズマ処理を行わなければならず生産性が劣る問題点があった。また、上記の方法でゲート酸化膜を製造するようになるので、一つの装備においてインサイチュ(in-situ)でゲート酸化膜を製造することができない。
【0006】
そして、上記の方法でゲート酸化膜を形成する場合、
図1に示されたように、基板と酸化シリコン薄膜界面との間に窒素がパイルアップ(pile-up)して電気的特性が劣化する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するために提案されたものであり、誘電率の調整のために酸化窒化シリコン薄膜が含まれたゲート酸化膜を形成し、インサイチュ(in-situ)でゲート酸化膜を形成することができ、基板と酸化膜との界面に窒素がパイルアップされることを最小化する薄膜形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を解決するための、本発明に係る薄膜形成方法の一実施例は、基板上に酸化シリコン薄膜を形成する酸化シリコン薄膜形成段階と、前記酸化シリコン薄膜上に第1酸化窒化シリコン薄膜を形成し、前記第1酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量を調節することができる第1工程条件を含んで第1酸化窒化シリコン薄膜を形成する第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階と、前記第1酸化窒化シリコン薄膜上に第2酸化窒化シリコン薄膜を形成し、前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量を調節することができる第2工程条件を含んで第2酸化窒化シリコン薄膜を形成する第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階と、を含み、前記第1酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも大きくなるように、前記第1工程条件と前記第2工程条件を調節する。
【0009】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第1シリコン(Si)含有ガス供給段階、第1酸素(O)含有ガス供給段階及び第1窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第1サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第2シリコン(Si)含有ガス供給段階、第2酸素(O)含有ガス供給段階及び第2窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第2サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われてもよい。
【0010】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1工程条件と前記第2工程条件は、酸素(O)含有ガスの種類であり、前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階に供給される第1酸素(O)含有ガスと前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階に供給される第2酸素(O)含有ガスが互いに異なる種類のガスであってもよい。
【0011】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1酸素(O)含有ガスは、亜酸化窒素(N2O)であり、前記第2酸素(O)含有ガスは、酸素(O2)であってもよい。
【0012】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記酸化シリコン薄膜形成段階と前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階との間に、前記酸化シリコン薄膜上に第3酸化窒化シリコン薄膜を形成し、前記第3酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量を調節することができる第3工程条件を含んで第3酸化窒化シリコン薄膜を形成する第3酸化窒化シリコン薄膜形成段階と、をさらに含み、前記第3酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも小さくなるように、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件を調節し、前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第1シリコン(Si)含有ガス供給段階、第1酸素(O)含有ガス供給段階及び第1窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第1サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第2シリコン(Si)含有ガス供給段階、第2酸素(O)含有ガス供給段階及び第2窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第2サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、前記第3酸化窒化シリコン薄膜形成段階は、第3シリコン(Si)含有ガス供給段階、第3酸素(O)含有ガス供給段階及び第3窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第3サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われてもよい。
【0013】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件は、酸素(O)含有ガスの種類であり、前記第1酸素(O)含有ガスは、亜酸化窒素(N2O)であり、前記第2酸素(O)含有ガスは、酸素(O2)であり、前記第3酸素(O)含有ガスは、酸素(O2)と水素(H2)の混合ガス及び酸素(O2)のうち少なくとも一つであってもよい。
【0014】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1酸化窒化シリコン薄膜内窒素(N)含有量は、20~40%であり、前記第2酸化窒化シリコン薄膜内窒素(N)含有量は、10~20%であり、前記第3酸化窒化シリコン薄膜内窒素(N)含有量は、10%以下となるように、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件を調節することができる。
【0015】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記酸化シリコン薄膜形成段階は、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行ってもよい。
【0016】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階の後に、前記薄膜を熱処理する段階をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記熱処理する段階は、窒素(N2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、水素(H2)及びアンモニア(NH3)のうち少なくとも一つのガスの雰囲気で行ってもよい。
【0018】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記酸化シリコン薄膜形成段階、前記第1酸化窒化シリコン薄膜形成段階、前記第2酸化窒化シリコン薄膜形成段階、前記第3酸化窒化シリコン薄膜形成段階及び前記熱処理する段階は、インサイチュ(in-situ)で行ってもよい。
【0019】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記酸素(O)含有ガスは、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)及び酸素(O2)と水素(H2)の混合ガスのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0020】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記窒素(N)含有ガスは、アンモニア(NH3)を含んでもよい。
【0021】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記シリコン(Si)含有ガスは、シラン系ガス及びシロキサン系ガスのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0022】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記酸化シリコン薄膜形成段階の後に、酸素(O2)と水素(H2)の混合ガスを用いて前記酸化シリコン薄膜を熱処理する段階をさらに含んでもよい。
【0023】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件は、一つのサイクルに含まれた酸素(O)含有ガス供給段階回数であり、前記第1サイクルは、前記第1シリコン(Si)含有ガス供給段階と前記第1酸素(O)含有ガス供給段階をn(nは自然数)回反復した後に前記第1窒素(N)含有ガス供給段階を行い、前記第2サイクルは、前記第2シリコン(Si)含有ガス供給段階と前記第2酸素(O)含有ガス供給段階をm(mは自然数)回反復した後に前記第2窒素(N)含有ガス供給段階を行い、前記第3サイクルは、前記第3シリコン(Si)含有ガス供給段階と前記第3酸素(O)含有ガス供給段階をl(lは自然数)回反復した後に前記第3窒素(N)含有ガス供給段階を行い、l>m>nであってもよい。
【0024】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件は、酸素(O)含有ガス供給時間、供給される酸素(O)含有ガスの圧力、供給される酸素(O)含有ガスの流量、窒素(N)含有ガス供給時間、供給される窒素(N)含有ガスの圧力、供給される窒素(N)含有ガスの流量、一つのサイクルに含まれた窒素(N)含有ガス供給段階回数及び工程温度のうち少なくとも一つを調節し、前記第1酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも大きくなるようにし、前記第3酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量が前記第2酸化窒化シリコン薄膜内の窒素(N)含有量よりも小さくなるように、前記第1工程条件、前記第2工程条件及び前記第3工程条件を調節することであってもよい。
【0025】
本発明に係る薄膜形成方法の一部実施例において、前記薄膜は、ゲート酸化膜であってもよい。
【0026】
上記の技術的課題を解決するための、本発明に係る薄膜形成装置の一実施例は、シリコン基板上に薄膜を形成する装置であって、前記薄膜は、前記記載された薄膜形成方法で形成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、酸化シリコン薄膜形成、酸化窒化シリコン薄膜形成及び熱処理工程をすべてインサイチュ(in-situ)で行うことができるため生産性が増加する。すなわち、誘電率が調整される酸化窒化シリコン薄膜が含まれたゲート酸化膜をより簡単に形成できるようになる。また、本発明のように酸化シリコン薄膜と酸化窒化シリコン薄膜を共に蒸着によって形成する場合、基板と酸化膜との界面に窒素がパイルアップされる現象を最小化することができるため電気的特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は従来の方法でゲート酸化膜を形成した場合におけるゲート酸化膜内の窒素濃度を概略的に示した図面である。
【
図2】
図2は本発明に係る薄膜形成方法を行うための装置の一例を概略的に示した図面である。
【
図3】
図3は本発明に係る薄膜形成方法に対する一実施例の遂行過程を概略的に示したフローチャートである。
【
図4】
図4は
図3に示された実施例の遂行過程を説明するための図面である。
【
図5】
図5は
図3に示された実施例の遂行過程を説明するための図面である。
【
図6】
図6は
図3に示された実施例の遂行過程を説明するための図面である。
【
図7】
図7は
図3に示された実施例の遂行過程を説明するための図面である。
【
図8】
図8は本発明に係る薄膜形成方法において、酸化窒化シリコン薄膜を形成するための概略的なガス供給順序を説明するための図面である。
【
図9】
図9は本発明に係る薄膜形成方法において、酸化窒化シリコン薄膜を形成するための概略的なガス供給順序を説明するための図面である。
【
図10】
図10は本発明に係る薄膜形成方法で形成された薄膜内の窒素濃度を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明することとする。本発明の実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は様々な別の形態に変形されてもよく、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。むしろこれらの実施例は本開示をより忠実且つ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝えるために提供されるものである。
【0030】
図面において、例えば、製造技術及び/又は公差(tolerance)によって、図示された形状の変形が予想される場合がある。したがって、本発明の実施例は、本明細書に示された領域の特定の形状に制限されるものと解釈されてはならず、例えば、製造上もたらされる形状の変化を含まなければならない。同一の符号は、終始同一の要素を意味する。さらに、図面おける多様な要素と領域は、概略的に描かれたものである。したがって、本発明は添付の図面に描かれた相対的な大きさや間隔によって制限されない。
【0031】
図2は本発明に係る薄膜形成方法を行うための装置の一例を概略的に示した図面である。
図2に示された装置は、垂直型の配置式基板処理装置であり、本発明に係る酸化膜形成方法を実施するための基板処理装置の一例である。本発明に係る酸化膜形成方法を行う装置は、
図2に示された基板処理装置に限定されず、本発明の技術的思想が適用可能な他の基板処理装置を利用できることは当然であり、これにより本分野の通常の技術者に自明な程度の構成の追加や変更がなされる場合がある。
【0032】
図2を参照すると、本発明に係る薄膜形成方法を行うための装置の一例100は、反応容器110、120、マニホールド160、ボート140、キャップフランジ150及びヒータ130を備える。
【0033】
反応容器110、120は、インナチューブ120とアウタチューブ110とで構成され、石英などの耐熱性材料を含んでもよい。アウタチューブ110は、下部が開口した円筒状で形成され、内部に収容部が形成される。インナチューブ120は、アウタチューブ110の内部収容部に配置され、下部が開口した円筒状で形成され、内部にボート140が収容可能に構成され、インナチューブ120内部で基板処理が行われる基板処理空間を有する。インナチューブ120の側壁にはインナチューブ120内のガスを排気するための排気口122が形成される。アウタチューブ110の下部の側面にはアウタチューブ110内部を排気する排気ポート111が形成されており、排気ポート111は、ポンピング能力が備えられたポンプ(図示しない)と連結される。インナチューブ120内部には垂直方向に延びた温度センサ保護管183内部にプロファイル温度センサが配置される。
【0034】
アウタチューブ110は、マニホールド160の上面に位置し、アウタチューブ110の下端外周側に突出したアウタチューブ突出部113がアウタチューブ固定フランジ115によって固定される方式でアウタチューブ110がマニホールド160上面に固定される。インナチューブ120の下端外周側に突出したインナチューブ突出部125もマニホールド160の上面に位置する。
【0035】
マニホールド160にはインナチューブ120にガスを供給するための複数のガス供給ポート165が設置される。複数のガス供給ポート165は、酸化シリコン薄膜又は窒化酸化シリコン薄膜形成のためのシリコン含有ガス供給手段192、酸素含有ガス供給手段194、窒素含有ガス供給手段196及びパージガス供給手段197と連結されてもよい。また、ガス供給ポート165は、酸化シリコン薄膜又は酸化膜を熱処理するための熱処理ガス供給手段198と連結されてもよい。複数のガス供給ポート165は、マニホールド160内部で各々ガスノズル162と結合される。複数のガスノズル162は、インナチューブ120内部の上方に延長形成されてシリコン含有ガス、酸素含有ガス、窒素含有ガス、パージガス、熱処理ガスを供給する。ガスノズル162は、インナチューブ120の上部に長く延長形成されてガスを水平に噴射することができる噴射孔を有する形態で構成され、上下方向に積層されている基板に各々噴射されてもよい。
【0036】
シリコン含有ガス供給手段192は、基板上にシリコン(Si)を含有するガスを供給するものとして、例えば、SiH4、Si2H6、HCDS(Hexachlorodisilane)などのシラン系ガスやHCDSO(Hexachlorodisiloxane)などのシロキサン系ガスを供給してもよい。酸素含有ガス供給手段194は、基板上に酸素(O)を含有するガスを供給するものとして、例えば、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、酸素(O2)と水素(H2)の混合ガスなどのガスを供給してもよい。酸素(O2)と水素(H2)の混合ガスは、別途の酸素(O2)ガス供給手段、水素(H2)供給手段によって各々インナチューブ120内部に供給されてもよい。窒素含有ガス供給手段196は、基板上に窒素(N)を含有するガスを供給するものとして、例えば、アンモニア(NH3)などのガスを供給してもよい。パージガス供給手段197は、基板上にパージガスを供給するものとして、不活性ガス、例えば窒素(N2)を供給してもよい。熱処理ガス供給手段198は、熱処理雰囲気を組成するために供給するものとして、例えば、酸素(O2)、水素(H2)、窒素(N2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、アンモニア(NH3)などのガスを供給してもよい。ガス供給手段192、194、196、197、198のうち同一のガスが用いられる場合、一つのガス供給手段が2つ以上の目的で用いられてもよい。例えば、パージガスと熱処理ガスが共に窒素(N2)が用いられる場合、パージガス供給手段197と熱処理ガス供給手段198は、一つのみ設置されてもよく、酸素含有ガスと熱処理ガスが共に亜酸化窒素(N2O)が用いられる場合、酸素含有ガス供給手段194と熱処理ガス供給手段198は一つのみ設置されてもよい。
【0037】
ガス供給手段192、194、196、197、198は、各々ガス保管容器又は気化器、ガスライン、流量調節器などを備えてもよく、制御される信号を受信して、流量調節器又はガスバルブなどを介してガスを供給したり遮断することができ、供給されるガスの流量を調節することができる。
【0038】
反応容器110、120の下方には反応容器110、120の下部開口を開閉することができる円板状のキャップフランジ150が配置される。キャップフランジ150は、昇降手段(図示しない)に連結されて昇降する。反応容器110、120の下方に配置されたキャップフランジ150が上昇し、反応容器110、120下部に配置されているマニホールド160と密閉されることで、反応容器110、120の下部開口が密閉される。そして、キャップフランジ150が下降して、マニホールド160とキャップフランジ150が離間されることで、反応容器110、120の下部開口が開放される。キャップフランジ150の上面にはシーリング部材(図示しない)が配置される。キャップフランジ150が上昇してマニホールド160との間で密閉される時、シーリング部材は、キャップフランジ150とマニホールド160との間に介在されることでキャップフランジ150とマニホールド160との間を密閉する。
【0039】
ボート140は、キャップフランジ150上に配置され、複数の基板が上下方向に着座される基板積載部142と断熱部144とで構成される。断熱部144は、基板積載部142を支持し、反応容器110、120内部に伝達された熱がキャップフランジ150に伝達されにくくする構成及び材料を有する。基板積載部142は、上下方向に間隔をあけて複数の基板が着座されるように構成される。基板積載部142は、複数の基板を支持可能なように、複数のスロットが垂直に並んで形成された構造の上下方向に長い棒状の支柱141を複数備える。基板を安定して支持するために支柱141以外に補助支柱(図示しない)が追加でさらに備えられてもよい。ボート140は、キャップフランジ150を貫通して設置された回転軸155によって回転し、ボート140が回転するにつれボート140に配置される基板も回転するようになる。
【0040】
ヒータ130は、ヒータベース135上に設置されて支持され、アウタチューブ110を囲むように設置され、反応容器110、120を加熱することで、インナチューブ120内に装入されるボート140に配置される基板を加熱する。ヒータ130は、断熱壁体と断熱壁体の内周面に位置した熱線(図示しない)とで構成され、ヒータ130の断熱壁体内部には円筒状の空間を有する冷却流路(図示しない)が形成される。該冷却流路には急速冷却のための気体が供給される。
【0041】
図3は本発明に係る薄膜形成方法に対する一実施例の遂行過程を概略的に示したフローチャートであり、
図4ないし
図7は
図3に示された実施例の遂行過程を説明するための図面である。
図3に示された本発明に係る薄膜形成方法に対する一実施例は
図2に示された装置を用いて行ってもよいが、これに限定されない。
【0042】
図3と
図4ないし
図7を共に参照すると、本発明に係る薄膜形成方法に対する一実施例は、まず、
図4に示されたように基板310上に酸化シリコン薄膜320を形成する(S210)。酸化シリコン薄膜320は蒸着方法で形成され、蒸着方法に特に制限はないが、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)を用いて蒸着してもよい。シリコン(Si)含有ガスとしては、HCDSのようなシラン系ガスを使用してもよく、酸素(O)含有ガスとしては水素(H
2)と酸素(O
2)の混合ガスを使用してもよい。
【0043】
S210段階を行った後、酸化シリコン薄膜320を熱処理してもよい。この時、熱処理は、酸素(O2)と水素(H2)の混合ガス雰囲気で行うラジカル酸化(radical oxidation)方法で行ってもよい。このように酸化シリコン薄膜320をラジカル酸化させるようになると、酸化シリコン薄膜320の物性が向上する。
【0044】
次に、
図5に示されたように、酸化シリコン薄膜320上に第3酸化窒化シリコン薄膜330を形成する(S220)。次に、
図6に示されたように、第3酸化窒化シリコン薄膜330上に第1酸化窒化シリコン薄膜340を形成する(S230)。次に、
図7に示されたように、第1酸化窒化シリコン薄膜340上に第2酸化窒化シリコン薄膜350を形成する(S240)。
【0045】
第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)は、第1酸化窒化シリコン薄膜340内の窒素(N)含有量を調節することができる第1工程条件を含んで行われ、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)は、第2酸化窒化シリコン薄膜350内の窒素(N)含有量を調節することができる第2工程条件を含んで行われ、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)は、第3酸化窒化シリコン薄膜330内の窒素(N)含有量を調節することができる第3工程条件を含んで行われる。この時、第1酸化窒化シリコン薄膜340内の窒素(N)含有量が最も大きく、第3酸化窒化シリコン薄膜330内の窒素(N)含有量が最も小さく、第2酸化窒化シリコン薄膜350内の窒素(N)含有量は中間になるように第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件を調節してS220段階ないしS250段階を行う。例えば、第1酸化窒化シリコン薄膜340内の窒素(N)含有量は、20~40%程度になるように第1工程条件を調節してS230段階を行い、第2酸化窒化シリコン薄膜350内の窒素(N)含有量は、10~20%程度になるように第2工程条件を調節してS240段階を行い、第3酸化窒化シリコン薄膜330内の窒素(N)含有量は、10%以下となるように第3工程条件を調節してS220段階を行う。
【0046】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350は、すべて蒸着方法で形成されてもよく、蒸着方法に特に制限はないが、原子層堆積法を用いて蒸着してもよい。酸化シリコン薄膜320及び酸化窒化シリコン薄膜330、340、350すべて原子層堆積法を用いて蒸着してもよく、
図2に示された同一の装備でインサイチュ(in-situ)で蒸着してもよい。
【0047】
具体的には、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)は、第1シリコン(Si)含有ガス供給段階、第1酸素(O)含有ガス供給段階及び第1窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第1サイクルを反復して行う原子層堆積法(Atomic Layer Deposition,ALD)によって行われ、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)は、第2シリコン(Si)含有ガス供給段階、第2酸素(O)含有ガス供給段階及び第2窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第2サイクルを反復して行う原子層堆積法によって行われ、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)は、第3シリコン(Si)含有ガス供給段階、第3酸素(O)含有ガス供給段階及び第3窒素(N)含有ガス供給段階が少なくとも1回含まれた第3サイクルを反復して行う原子層堆積法によって行われる。シリコン(Si)含有ガスは、HCDSのようなシラン系ガスやHCDSOのようなシロキサン系ガスが使用されてもよく、酸素(O)含有ガスは、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、酸素(O2)と水素(H2)の混合ガスやこれらの組み合わせが使用されてもよく、窒素(N)含有ガスは、アンモニア(NH3)のようなガスが使用されてもよい。
【0048】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件の第1実施例は、酸素(O)含有ガスの種類であり、互いに異なる種類の酸素(O)含有ガスを用いて酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節することができる。例えば、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)では第1酸素(O)含有ガスとして亜酸化窒素(N2O)を使用し、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)では第2酸素(O)含有ガスとして酸素(O2)を使用し、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)では第3酸素(O)含有ガスとして酸素(O2)と水素(H2)の混合ガスを使用してもよい。酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件のうち窒素(N)含有量の変化を最も大きくすることができる工程条件は、酸素(O)含有ガスの種類を変更することである。
【0049】
以下では酸素(O)含有ガスの種類を変更する場合よりも酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量が小さい範囲で調節されるための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件に該当する。
【0050】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件の第2実施例は、酸素(O)含有ガス時間として、互いに異なる時間の間、酸素(O)含有ガスを供給して酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節することができる。例えば、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)における第1酸素(O)含有ガス供給時間が最も短く、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)における第2酸素(O)含有ガス供給時間は中間であり、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)における第3酸素(O)含有ガス供給時間は最も長くてもよい。
【0051】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件の第3実施例は、供給される酸素(O)含有ガスの圧力として、互いに異なる圧力で酸素(O)含有ガスを供給して酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節することができる。例えば、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)で供給される第1酸素(O)含有ガス圧力が最も小さく、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)で供給される第2酸素(O)含有ガス圧力は中間であり、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)で供給される第3酸素(O)含有ガス供給圧力は最も大きくてもよい。
【0052】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件の第4実施例は、供給される酸素(O)含有ガスの流量として、互いに異なる流量で酸素(O)含有ガスを供給して酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節することができる。例えば、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)で供給される第1酸素(O)含有ガス流量が最も小さく、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)で供給される第2酸素(O)含有ガス流量は中間であり、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)で供給される第3酸素(O)含有ガス供給流量は最も大きくてもよい。
【0053】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件の第5実施例は、一つのサイクルに含まれる酸素(O)含有ガス供給段階回数として、一つのサイクルあたり互いに異なる回数の酸素(O)含有ガス供給段階を有することで酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節することができる。例えば、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)で一つの第1サイクルあたりの第1酸素(O)含有ガス供給段階回数が最も小さく、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)で一つの第2サイクルあたりの第2酸素(O)含有ガス供給段階回数は中間であり、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)で一つの第3サイクルあたりの第3酸素(O)含有ガス供給段階回数は最も大きくてもよい。
【0054】
より具体的には、第1酸化窒化シリコン薄膜340形成段階(S230)における第1サイクルは、第1シリコン(Si)含有ガス供給段階と第1酸素(O)含有ガス供給段階をn(nは自然数)回反復した後に第1窒素(N)含有ガス供給段階を行い、第2酸化窒化シリコン薄膜350形成段階(S240)における第2サイクルは、第2シリコン(Si)含有ガス供給段階と第2酸素(O)含有ガス供給段階をm(mは自然数)回反復した後に第2窒素(N)含有ガス供給段階を行い、第3酸化窒化シリコン薄膜330形成段階(S220)における第3サイクルは、第3シリコン(Si)含有ガス供給段階と第3酸素(O)含有ガス供給段階をl(lは自然数)回反復した後に第3窒素(N)含有ガス供給段階を行ってもよい。この時、l>m>nとなるようにS220段階ないしS240が行われてもよい。
【0055】
このような概略的なガス供給順序を
図8及び
図9に示した。
【0056】
図8に示されたように、シリコン(Si)含有ガス、パージガス、酸素(O)含有ガス、パージガス、窒素(N)含有ガス、パージガスの順に供給することを一つのサイクルとして原子層蒸着方法を行ってもよく、この時、酸素含有ガスや窒素含有ガスの供給時間などを変更して酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節することができる。
【0057】
そして、
図9に示されたように、シリコン(Si)含有ガス、パージガス、酸素(O)含有ガス、パージガス、シリコン(Si)含有ガス、パージガス、酸素(O)含有ガス、パージガス、シリコン(Si)含有ガス、パージガス、酸素(O)含有ガス、パージガス、窒素(N)含有ガス、パージガスの順に供給することを一つのサイクルとして原子層蒸着方法を行ってもよい。
【0058】
図9に示されたガス供給順序のようにガスを供給するようになると、一つのサイクルあたり酸素(O)含有ガスが3回供給され、
図8に示されたガス供給順序のようにガスを供給するようになると、一つのサイクルあたりの酸素(O)含有ガスが1回供給される。これにより、
図8に示されたガス供給順に供給して酸化窒化シリコン薄膜を形成するようになると、
図9に示されたガス供給順に供給して酸化窒化シリコン薄膜を形成する場合に比べて窒素(N)含有量が増加するようになる。したがって、第1酸化窒化シリコン薄膜340を形成する段階(S230)は、
図8に示されたガス供給順にガスを供給し、第2酸化窒化シリコン薄膜350を形成する段階(S240)は、
図9に示されたガス供給順にガスを供給してもよい。
【0059】
それ以外に、酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節するための第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件として、窒素(N)含有ガス供給時間、供給される窒素(N)含有ガスの圧力、供給される窒素(N)含有ガスの流量、一つのサイクルに含まれた窒素(N)含有ガス供給段階回数及び工程温度のうち少なくとも一つであってもよい。
【0060】
酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素含有量を増加させるためには、窒素(N)含有ガス供給時間を増加させるか、供給される窒素(N)含有ガス圧力を増加させるか、供給される窒素(N)含有ガス流量を増加させるか、サイクルあたりの窒素(N)含有ガス供給回数を増加させる。
【0061】
そして、酸素(O)含有ガスを供給して酸化される反応の活性化エネルギーが窒素(N)含有ガスを供給して窒化される反応の活性化エネルギーよりもさらに大きい場合には、工程温度を減少させる時に酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量が増加し、酸素(O)含有ガスを供給して酸化される反応の活性化エネルギーが窒素(N)含有ガスを供給して窒化される反応の活性化エネルギーよりもさらに小さい場合には、工程温度を増加させる時に酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量が増加するようになる。
【0062】
反対に、酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を減少させるためには、窒素(N)含有ガス供給時間を減少させるか、供給される窒素(N)含有ガス圧力を減少させるか、供給される窒素(N)含有ガス流量を減少させるか、サイクルあたりの窒素(N)含有ガス供給回数を減少させる。
【0063】
そして、酸素(O)含有ガスを供給して酸化される反応の活性化エネルギーが窒素(N)含有ガスを供給して窒化される反応の活性化エネルギーよりも大きい場合には、工程温度を増加させる時に酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量が減少し、酸素(O)含有ガスを供給して酸化される反応の活性化エネルギーが窒素(N)含有ガスを供給して窒化される反応の活性化エネルギーよりも小さい場合には、工程温度を減少させる時に酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量が増加するようになる。
【0064】
上述のように、第1工程条件、第2工程条件及び第3工程条件を調節し、S220段階、S230段階及びS240段階を行うと、第1酸化窒化シリコン薄膜340内の窒素(N)含有量が最も大きく、次に第2酸化窒化シリコン薄膜350内の窒素(N)含有量が大きく、第3酸化窒化シリコン薄膜330内の窒素(N)含有量が最も小さくなるように酸化窒化シリコン薄膜330、340、350内の窒素(N)含有量を調節して、
図10に示されたように、酸化膜内の窒素(N)濃度を調節することができる。本発明のように、酸化シリコン薄膜320、酸化窒化シリコン薄膜330、340、350を蒸着方法で形成するようになると、
図2に示された装置でインサイチュで形成することができるだけでなく、酸化シリコン薄膜320と基板310との間の界面に窒素(N)がパイルアップされることを最小化することができる。
【0065】
次に、全体薄膜320、330、340、350を熱処理する(S250)。S250段階を通じて、全体薄膜320、330、340、350の密度を増加させるか(densification)、全体薄膜320、330、340、350表面の窒素(N)含有量を調節することができる。このため、S250段階は窒素(N
2)、亜酸化窒素(N
2O)、一酸化窒素(NO)、水素(H
2)及びアンモニア(NH
3)雰囲気で行ってもよい。そして、S250段階もS210段階ないしS240段階とインサイチュで行ってもよい。すなわち、S210段階ないしS250段階をすべて
図2に示された装置を用いてインサイチュで行ってもよい。このように形成された薄膜320、330、340、350はゲート酸化膜として使用されることができる。
【0066】
上述のように、本発明によれば、酸化シリコン薄膜形成、酸化窒化シリコン薄膜形成及び熱処理工程をすべてインサイチュ(in-situ)で行うことができるため生産性が増加する。すなわち、誘電率が調整される酸化窒化シリコン薄膜が含まれたゲート酸化膜をより容易に形成することができるようになる。また、本発明のように、酸化シリコン薄膜と酸化窒化シリコン薄膜を共に蒸着によって形成する場合、基板310と酸化シリコン薄膜320との界面に窒素がパイルアップされる現象を最小化することができるため電気的特性が向上してゲート酸化膜としての使用が好ましい。
【0067】
以上、本発明の実施例について図示して説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、そのような変更は請求の範囲の記載の範囲内とされる。