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特許7317912炉口部構造、基板処理装置、および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】炉口部構造、基板処理装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230724BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20230724BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 B
C23C16/44 B
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021153668
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023045325
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 誠世
(72)【発明者】
【氏名】阿部 賢卓
(72)【発明者】
【氏名】原田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】越 保信
(72)【発明者】
【氏名】野原 慎吾
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-266337(JP,A)
【文献】特開2021-052092(JP,A)
【文献】特開2002-334868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/318
C23C 16/44
H01L 21/3065
H01L 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管の下部に設けられる第1突部と第1シール部材を介して接続され、前記反応管を下から支持するように構成される上側インレット部と、
該上側インレット部と第2シール部材を介して接続される下側インレット部と、
該上側インレット部と連結し、前記第1突部を上から固定する固定リングと、
前記反応管の下端に設けられ、前記上側インレット部の内壁の少なくとも一部を覆うことが可能なように構成される第2突部と、
を備えた炉口部構造。
【請求項2】
前記上側インレット部は、前記反応管の下部に設けられる排気管の下方に配置され、
前記上側インレット部及び前記固定リングのそれぞれの内部に設けられる流路に冷却媒体を流通させることにより前記第1突部を冷却可能に構成される請求項1記載の炉口部構造。
【請求項3】
前記第2突部は、前記下側インレット部に当接しないように、前記上側インレット部の内壁を覆うように下側に突出するよう構成されている請求項1記載の炉口部構造。
【請求項4】
前記冷却媒体は、液体である請求項2記載の炉口部構造。
【請求項5】
前記下側インレット部には、外壁を加熱する加熱部が設けられる請求項1記載の炉口部構造。
【請求項6】
前記反応管は、前記排気管が設けられる部分の厚さを、他の部分よりも大きく構成している請求項2記載の炉口部構造。
【請求項7】
前記下側インレット部と第3シール部材を介して接続される蓋体が設けられ、
前記反応管、前記上側インレット部、前記下側インレット部、前記蓋体で囲まれる空間は、前記第1シール部材、前記第2シール部材および前記第3シール部材により減圧可能に密閉される請求項1記載の炉口部構造。
【請求項8】
前記上側インレット部と前記固定リングの断面形状は、コの字形状で構成される請求項1記載の炉口部構造。
【請求項9】
前記上側インレット部の前記流路は、前記第1突部の下側に配置され、
前記固定リングの前記流路は、前記第1突部の上側に配置されるように構成される請求項2記載の炉口部構造。
【請求項10】
前記反応管は、基板を処理する処理室を内部に設ける内管と、前記内管の外側に前記内管を囲うように設けられる外管と、を有し、
前記上側インレット部は、前記外管を支持し、
前記下側インレット部は、前記内管を支持するように構成される請求項1記載の炉口部構造。
【請求項11】
前記下側インレット部の内壁には、コーティング処理が行われる請求項1記載の炉口部構造。
【請求項12】
反応管の下部に設けられる第1突部と第1シール部材を介して接続され、前記反応管を下から支持するように構成される上側インレット部と、
該上側インレット部と第2シール部材を介して接続される下側インレット部と、
該上側インレット部と連結し、前記第1突部を上から固定する固定リングと、
前記反応管の下端に設けられ、前記上側インレット部の内壁の少なくとも一部を覆うことが可能なように構成される第2突部と、を備えた炉口部構造を備えた基板処理装置。
【請求項13】
前記上側インレット部は、前記反応管の下部に設けられる排気管の下方に配置され、
前記上側インレット部及び前記固定リングのそれぞれの内部に設けられる流路に冷却媒体を流通させることにより前記第1突部を冷却可能に構成される、請求項12記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記反応管は、基板を処理する処理室を内部に設ける内管と、前記内管の外側に前記内管を囲うように設けられる外管と、を有し、
前記上側インレット部は、前記外管を支持し、
前記下側インレット部は、前記内管を支持するように構成される、請求項12記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記下側インレット部の外壁には、該外壁を加熱する加熱部が設けられる、請求項12記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記下側インレット部の外壁には、温度センサが設けられ、予め設定される温度を検知することが可能に構成される請求項15記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記予め設定される温度より低い温度になると、前記温度センサからの信号により前記加熱部を実行可能に構成されている制御部を有する請求項16記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記外管の外側に処理室を加熱する加熱機構を備え、
前記加熱機構の設定温度が第1の温度以上に調整可能に構成される請求項14記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記上側インレット部および前記固定リングに個別に冷却媒体を供給する冷媒供給部を有する請求項12記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記加熱機構の設定温度が前記第1の温度以上であれば、前記下側インレット部の外壁に設けられるインレットヒータをオフにし、
前記加熱機構の設定温度が前記第1の温度より小さければ、前記インレットヒータをオンにし、
前記炉口部構造を構成する各部品の温度を所定の温度範囲に制御することが可能な制御部を有する請求項18記載の基板処理装置。
【請求項21】
前記外管の外側に処理室を加熱する加熱機構と、
該加熱機構の設定温度と前記上側インレット部の予め指定された部分および前記下側インレット部の予め指定された部分の温度との相関関係を示すデータを記憶する記憶部と、
前記加熱機構の設定温度に応じて前記下側インレット部に設けられるインレットヒータを制御することが可能な制御部と、を有する請求項14記載の基板処理装置。
【請求項22】
反応管と、
前記反応管の下部に設けられる第1突部と第1シール部材を介して接続され、前記反応管を下から支持するように構成される上側インレット部と、
該上側インレット部と第2シール部材を介して接続される下側インレット部と、
該上側インレット部と連結し、前記第1突部を上から固定する固定リングと、
前記反応管の下端に設けられ、前記上側インレット部の内壁の少なくとも一部を覆うことが可能なように構成される第2突部と、
を備えた炉口部構造との内部に形成される処理室に基板を搬入する工程と、
前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炉口部構造、基板処理装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理が行われることがある(例えば特許文献1,2参照)。この場合に、炉口部を構成する部品を発生源とするパーティクルや金属汚染が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-266337号公報
【文献】国際公開第2016/125626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、炉口部を構成する部品を発生源とする基板の金属汚染を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
反応管の下部に設けられる第1突部と第1シール部材を介して接続され、前記反応管を下から支持するように構成される上側インレット部と、
該上側インレット部と第2シール部材を介して接続される下側インレット部と、
該上側インレット部と連結し、前記第1突部を上から固定する固定リングと、
を備え、
前記上側インレット部は、前記反応管の下部に設けられる排気管の下方に配置され、
前記上側インレット部及び前記固定リングのそれぞれの内部に設けられる流路に冷却媒体を流通させることにより前記第1突部を冷却可能に構成される、
技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、炉口部を構成する部品を発生源とする基板の金属汚染を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図である。
図2】本開示の実施形態で好適に用いられる反応管の下端であって、炉口部周辺を示す断面図である。
図3】本開示の実施形態で好適に用いられる反応管の下端であって、排気管の接続の炉口部周辺を示す断面図である。
図4】本開示の実施形態で好適に用いられる固定リングと上側インレット部を説明する斜視図である。
図5】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系を示すブロック図である。
図6】比較例に係る下側インレット部の外壁の温度を示すグラフである。
図7】比較例に係る下側インレット部の下側に対応するシールキャップの下部分の温度を示すグラフである。
図8】本開示に係る下側インレット部の外壁の温度を示すグラフである。
図9】本開示に係る下側インレット部の下側に対応するシールキャップの下部分の温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施態様>
以下、本開示の実施態様について、主に、図1図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
図1に示されるように、基板処理装置100の処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベースに支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、アウターチューブ(外管とも言う)2031とアウターチューブ2031の内部に設けられたインナーチューブ(内管とも言う)2032とから構成される。反応管203(2031,2032)は、例えば石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料から構成される。アウターチューブ2031は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ2031は、インナーチューブ2032の外側にインナーチューブ2032を囲うように設けられる。アウターチューブ2031の下方(下端)には、外周側全周に突出した突出部(第1突部またはフランジとも言う)203Aと、この突出部203Aよりも下方に延伸した延伸部(第2突部とも言う)203Bが形成されている。インナーチューブ2032は、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ2032の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200を、基板保持具としてのボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0011】
反応管203の下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、圧力検出器としての圧力センサ245及び圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づきAPCバルブ243の開度を調整することで、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ243は弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調整して処理室201内の圧力を調整することができるよう構成されている開閉弁である。
【0012】
図1に示す様に、反応管203の下部には、反応管203と同心円状に形成された炉口部(インレットまたはマニホールドという場合もある)209が配設されている。炉口部209は、例えば、ステンレス(SUS材)、ニッケル(Ni)合金等の金属から構成される。炉口部209は、上側インレット部2091と下側インレット部2092とから構成され、各々は上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0013】
また、図1では、第1ノズル233aと第2ノズル233bと第3ノズル233cは、1本のノズルと示されている。そして、第1ノズル233a(第2ノズル233bと第3ノズル233c)は、それぞれ水平部と垂直部とを有するL字形状であり、水平部が炉口部209の側壁に接続され、垂直部がインナーチューブ2032の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、インナーチューブ2032の下部より上部の内壁に沿って、ウエハ200の積載方向に向かって立ち上がるように設けられている。第1ノズル233a(第2ノズル233b、第3ノズル233c)の垂直部の側面には、処理ガスを供給する供給孔である第1ガス供給孔248a(第2ガス供給孔248b、第3ガス供給孔248c)がそれぞれ設けられている。
【0014】
本実施形態では、第1ノズル233aには、第1の処理ガスを供給するガス供給部232aが接続され、第2ノズル233bには、第2の処理ガスを供給するガス供給部232bが接続される。第3ノズル233cには、第3の処理ガスを供給するガス供給部232cが接続される。
【0015】
上側インレット部2091は、アウターチューブ2031の下端部に設けられた突出部(第1突部またはフランジとも言う)203Aを下側から支持するように設けられている。上側インレット部2091の上面とアウターチューブ2031の突出部203Aの下面との間には、第1シール部材としてのOリング220aが設けられている。上側インレット部2091は、反応管203の下部に設けられる排気管231の下方に配置されている。
【0016】
下側インレット部2092は上面2092cを有し、下側インレット部2092の上面2092cは、上側インレット部2091の下端部およびインナーチューブ2032の下端部を下側から支持するように設けられている。上側インレット部2091の下面と下側インレット部2092の上面2092cとの間には、第2シール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0017】
固定リング(リング部とも言う)229が、上側インレット部2091の上側およびアウターチューブ2031の突出部203Aの上側に設けられている。上側インレット部2091の上側に設けられた固定リング229が、上側インレット部2091と連結し、突出部203Aを上から固定するように構成されている。上側インレット部2091と固定リング229の接続部の断面形状は、コの字形状(横向きのU字形状)である。これにより、アウターチューブ2031が安定的に固定されている。
【0018】
上側インレット部2091と固定リング229のそれぞれの内部には、液体(例えば、水)などの冷却媒体を流通させることが可能な流路240,241(第1流路240,第2流路241)が設けられる。流路240,241に冷却媒体を流通させることにより突出部203Aを冷却可能に構成されている。これにより、炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091,下側インレット部2092等)の温度を所定の温度範囲にする構成を提供することができる。また、冷却媒体を液体にすることで、空冷(空気などの気体による冷却)と比較して反応管203や炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091,下側インレット部2092等)の温度を効率よく冷却することができる。また、第1シール部材220aは、流路240に流れる冷却媒体により、熱から保護されるように構成されている。
【0019】
流路240,241は、アウターチューブ2031の突出部203Aを上下から挟むように配置されている。つまり、上側インレット部2091の流路241は、突出部203Aの下側に配置され、固定リング229の流路241は、突出部203Aの上側に配置される。流路240,241が反応管203の第1突部である突出部203Aを挟み込むように構成されるので、冷却媒体が突出部203Aの上下に配置されている構成とされる。反応管203の突出部203Aとの接触面積を大きくすることができ、反応管203を効率よく冷却することができる。
【0020】
図2に示す様に、アウターチューブ2031の下端部には、上側インレット部2091の内壁2091bの少なくとも一部を覆うことが可能なように構成された突出部(第2突部とも言う)203Bが設けられている。突出部203Bは、下側インレット部2092の上面2092cに当接しないように、かつ、上側インレット部2091の内壁2091bを覆うように、アウターチューブ2031の下端部に突出するよう構成されている。これにより、減圧状態の反応管203の構成を有する処理空間で生成されてしまう副生成物が上側インレット部2091の内壁2091bに付着するのを抑制することができる。また、突出部203Bと上側インレット部2091の内壁2091bとの間の距離を小さく(または、狭く)することにより、上側インレット部2091の内壁2091bの余分な温度低下を抑制することができるので、上側インレット部2091の内壁2091bに副生成物が付着するのを抑制することができる。
【0021】
突出部203Bを上側インレット部2091の内壁2091bに接近させて、上側インレット部2091の内壁2091bの表面の温度を温めるように構成されている。また、突出部203Bを下側インレット部2092に接近させて、上側インレット部2091の内壁2091bの表面と(排気)ガスとの接触を抑えるように構成されている。
【0022】
下側インレット部2092の下方(下端)には、下側インレット部2092の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ(蓋体とも言う)219が設けられている。シールキャップ219は、下側インレット部2092の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、下側インレット部2092の下端(下側インレット部2092の下面2092d)と当接する第3シール部材としてのOリング220cが設けられている。反応管203、上側インレット部2091、下側インレット部2092、蓋体219で囲まれる空間は、第1シール部材220a、第2シール部材220bおよび第3シール部材220cにより減圧可能に密閉される。これにより、反応管203と炉口部209(2091,2092)とシールキャップ219により反応容器が形成される。
【0023】
インレットヒータ207aと、温度センサ(温度スイッチとも言う)208とが下側インレット部2092の外壁2092aの外側に設けられている。インレットヒータ207aは、下側インレット部2092の外壁2092aを加熱するための加熱部として利用される。温度センサ208は、下側インレット部2092の外壁2092aの温度を計測するために利用される。インレットヒータ207aにより、下側インレット部2092の外壁2092aを加熱することができるので、冷却媒体により冷却される上側インレット部2091からの影響による下側インレット部2092の過冷却を抑制することが可能になる。また、下側インレット部2092の(外壁2092aを加熱しつつ)外壁2092aの温度を温度センサ208により検知することにより、下側インレット部2092トの過冷却を検知することが可能なので、冷却媒体(例えば、液体)により冷却される上側インレット部2091からの影響による下側インレット部2092の過冷却を抑制することができる。なお、シールキャップ219を加熱するシールキャップヒータがシールキャップ219の下側に設けられた構成とされてもよい。
【0024】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通して、ボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。ボート217及びシールキャップ219は、反応管203の外部に配置された昇降機構としてのボートエレベータ215によって、垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。ボート217は、例えば石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等からなる。
【0025】
なお、ボート217の下部には、例えば石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱材料からなる断熱部材218が設けられており、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるように構成されている。
【0026】
図3に示すように、反応管203のアウターチューブ2031の下端部には、排気管231が設けられる。アウターチューブ2031において、排気管231が設けられる部分のアウターチューブ2031の厚さt1は、アウターチューブ2031の排気管231が設けられる部分以外の他の部分の厚さt2よりも大きく構成している(t1>t2)。また、排気管231の下部には対応する部分、つまり、アウターチューブ2031の突出部203Aの上側には、を固定リング229が設けられていない構成とされる。これにより、反応管203に排気管231を設けることができるので、炉口部209を構成する金属部品(固定リング229)を低減することができるため、金属汚染のリスクを抑制することが可能になる。
【0027】
図4に示すように、固定リング229は、排気管231が設けられる領域部分231Rが削除されたC字形状の構成とされている。固定リング229には、冷却媒体を供給される冷媒供給部IN1と、冷媒供給部IN1から供給された冷却媒体が出力される連結出力部OUT1と、連結出力部OUT1に連結された連結入力部IN2と、入力部IN2に供給された冷却媒体が出力される冷媒排出部OUT2と有する。一方、上側インレット部2091は、冷却媒体を供給される冷媒供給部IN3と、冷媒供給部IN3から供給された冷却媒体が出力される冷媒排出部OUT3と、を有する。つまり、上側インレット部2091および固定リング229のそれぞれには、個別に冷却媒体を供給する冷媒供給部IN1,IN3が設けられている。このように構成することで、炉口部を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092等)を所定の温度範囲にする構成を提供することができる。
【0028】
(コントローラ)
図5に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)280a、RAM(Random Access Memory)280b、記憶装置280c、I/Oポート280dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM280b、記憶装置280c、I/Oポート280dは、内部バス280eを介して、CPU280aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0029】
記憶装置280cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置280c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM280bは、CPU280aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0030】
I/Oポート280dは、上述したガス供給部232a、232b、232cを流れるガスの流量をそれぞれ制御する流量制御装置としての不図示のMFC(マスフローコントローラ)及び開閉バルブ、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207,207a、温度センサ208、回転機構267、ボートエレベータ215等に接続されている。
【0031】
CPU280aは、記憶装置280cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU280aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、APCバルブ243、ヒータ207、207a、真空ポンプ246、回転機構267、ボートエレベータ215等の動作を制御する。CPU280aは、温度センサ208からの信号によりインレットヒータ207aの制御を実行可能に構成されている。CPU280aは、温度センサ208の検出温度に基づいて、インレットヒータ207aのオン及びオフを制御する。
【0032】
記憶部280cは、加熱機構であるヒータ207の設定温度(処理温度)と上側インレット部2091の予め指定された部分および下側インレット部2092の予め指定された部分の温度との相関関係を示すデータを記憶する。ヒータ207の設定温度は第1の温度(420℃)以上に調整可能にされている。
【0033】
そして、CPU280aは、その相関関係を示すデータを参照し、ヒータ207の設定温度に応じて、下側インレット部2092に設けられるインレットヒータ207aを制御する。ヒータ207の設定温度が、例えば、第1の温度(T1)以上であれば、下側インレット部2092の外壁2092aに設けられるインレットヒータ207aをオフにする。一方、ヒータ207の設定温度が第1の温度(T1)より小さければ、インレットヒータ207aをオンにし、炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092)の温度を所定の温度範囲に制御することができる。また、外壁2092aを加熱することができるので、冷却媒体による上側インレット部2091及び下側インレット部2092の内壁の過冷却を抑制する構成を提供することができる。
【0034】
ここで、所定の温度範囲とは、炉口部209を構成する各部品に副生成物が付着しない(副生成物の気化温度)温度以上であり、炉口部209を構成する各部品に金属汚染が生じない温度以下である。例えば、所定の温度範囲は、180℃以上、350℃以下の温度範囲とすることができる。したがって、炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092等)を所定の温度範囲にする構成を提供することができる。
【0035】
また、本実施形態では、炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092等)の温度を所定の温度範囲にする構成を有するので、二重反応管203(2031,2032)の構成を有する処理空間で生成されてしまう副生成物の付着を抑制できる。
【0036】
コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、この外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態のコントローラ280を構成することができる。但し、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。記憶装置280cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置280c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。加熱機構であるヒータ207の設定温度(処理温度)と上側インレット部2091の予め指定された部分および下側インレット部2092の予め指定された部分の温度との相関関係を示すデータは、外部記憶装置123に記憶させて、コントローラ280(CPU280a)に参照させる構成としても良い。
【0037】
次に、図6から図9を用いて、下側インレット部2092の外壁2092aの温度および下側インレット部2092の下側に対応するシールキャップ219の下部分(外側)の温度について、比較例と本開示の構成例とについて説明する。ここで、図6図7は、下側インレット部2092の外壁2092aにインレットヒータ207aが設けられない場合である。図8図9は、下側インレット部2092の外壁2092aにインレットヒータ207aが設けられた場合である。
【0038】
図6から図9では、炉内ヒータと示されているヒータ207の設定温度がT0(350℃)からT2(850℃)の場合で、かつ、冷却媒体としての冷却水の温度が50℃一定とした場合の各部(下側インレット部2092の外壁2092a、下側インレット部2092の下側に対応するシールキャップ219の下部分)の温度を示している。図8図9において、インレットヒータ207aの設定温度は180℃とされており、炉内ヒータ207の設定温度がT0からT1の時のみ(つまり、ヒータ207の設定温度が第1の温度としてのT1以下の場合)、インレットヒータ207aがオン状態に制御され、炉内ヒータ207の設定温度が第1の温度としてのT1以上の時はインレットヒータ207aがオフ状態に制御される場合である。
【0039】
図6に示すように、下側インレット部2092の外壁2092aの温度は、ヒータ207の設定温度がt1以下では、冷やしすぎによる温度低下(180℃以下)とされており、副生成物付着のリスクがある。一方、下側インレット部2092の外壁2092aの温度は、ヒータ207の設定温度がt2の場合でも、金属汚染の発生する温度(350℃)より低く抑えられるので、金属汚染リスクは低減されている。
【0040】
図7に示すように、シールキャップ219の下部分の温度は、ヒータ207の設定温度がt3以下では、冷やしすぎによる温度低下(180℃以下)とされており、副生成物付着のリスクがある。また、シールキャップ219の下部分の温度は、ヒータ207の設定温度が約t4以上で、金属汚染の発生する温度(350℃)より高くなるので、金属汚染リスクがある。
【0041】
図8に示すように、下側インレット部2092の外壁2092aの温度は、インレットヒータ207aなどを使用して、ヒータ207の設定温度がT0~T2の範囲では、所定の温度範囲、つまり、副生成物が付着しない(副生成物の気化温度:ここでは180℃)温度以上であり、金属汚染が生じない温度以下(ここでは350℃以下)の温度範囲にされている。したがって、下側インレット部2092の接ガス部(内壁)も同様に、ヒータ207の設定温度がT0~T2の範囲では、所定の温度範囲にされており、副生成物付着のリスクが低減され、また、金属汚染リスクも低減されている。下側インレット部2092の接ガス部(内壁)に、コーティング処理を行ってコーティング膜を形成するのが好ましい。このように、下側インレット部2092の接ガス部(内壁)にコーティング膜を形成すれば、さらに、下側インレット部2092の接ガス部(内壁)に対する副生成物の付着を防止することができる。ここで、下側インレット部2092の接ガス部(内壁)とは、反応管203と炉口部209(2091,2092)とシールキャップ219により形成された反応容器の内壁において、ガスが接する部分の内壁を示している。
【0042】
図9に示すように、シールキャップ219の下部分の温度は、インレットヒータ207aなどを使用して、ヒータ207の設定温度がT0~T2’の範囲では、所定の温度範囲にされている。
【0043】
図8図9に示すように、インレットヒータ207aなどを使用して、ヒータ207の設定温度がT0~T2’の範囲では、下側インレット部2092の外壁2092aの温度やシールキャップ219の下部分の温度を、所定の温度範囲にすることができるので、副生成物の付着および金属汚染を低減できる。
【0044】
(基板処理工程)
続いて、本開示の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。導体装置の製造方法では、図1に示すCVD装置である基板処理装置100を準備(基板処理装置の準備工程)して、基板200を基板処理装置100の処理室201に搬入(基板の処理室への搬入工程)し、処理室201内において、ウエハ200にアンモニアアニール処理をし、その後、連続して窒化シリコン(Si)を成膜する処理を行う工程(基板の処理工程)を一例として説明する。
【0045】
複数枚のウエハ200はボート217に互いに平行で中心線が揃った状態にウエハ移載装置によって装填(ウエハチャージング)される。図1に示されるように、複数枚のウエハ200が装填されたボート217は、シールキャップ219のボートエレベータ215による上昇に伴って炉口部209から処理室201に搬入されて行き、シールキャップ219に支持されたままの状態で処理室201に存置される(ボートローディング)。
【0046】
この時、処理室201の温度が所定の温度に均一または所定の温度分布になるように、ヒータ207によって加熱される。この状態で、シールキャップ219のOリング220cは炉口部209を気密シールした状態になる。この際、冷却水が流路241、240にそれぞれ流通され、上側インレット部2091や固定リング229が冷却される。このとき、コントローラ280は、ヒータ207の設定温度や温度センサ208からの温度検出結果に基づいて、インレットヒータ207aを制御して、下側インレット部2092およびシールキャップ219の外周縁辺部の温度を予め設定された所定値に維持する。
【0047】
続いて、処理室201の圧力が所定の圧力(数十Pa~大気圧付近)に排気管231によって排気される。また、処理室201の温度が所定の温度に均一または所定の温度分布になるように、ヒータ207によって昇温される。この際、冷却水が流路241、240にそれぞれ流通され、上側インレット部2091、固定リング229、下側インレット部2092が冷却される。コントローラ280は、ヒータ207の設定温度や温度センサ208からの温度検出結果に基づいて、インレットヒータ207aを制御して、下側インレット部2092およびシールキャップ219の外周縁辺部の温度を予め設定された所定値に維持する。
【0048】
処理室203の温度や圧力が安定すると、アニール用ガスがインナーチューブ2032の処理室24にガス供給部232aを通じて供給される。少なくともアニール処理中は、ボート217が回転機構267によって回転される。
【0049】
供給されたアニール用ガスはインナーチューブ2032の処理室201を上昇し、上端開口からインナーチューブ2032とアウターチューブ2031との隙間によって形成された排気路に流出して排気管231から排気される。アニール用ガスが処理室201に充填された状態で、ウエハ200の表面がアニール処理される。
【0050】
アニール処理が実施される予め設定された処理時間が経過すると、続いて、処理室201が所定の真空度(数十~数万Pa)に排気される。
【0051】
処理室201の温度が所定の温度に均一または所定の温度分布になるように、ヒータユニット207によって降温される。この際、冷却水が流路241、240にそれぞれ流通され、上側インレット部2091、固定リング229、下側インレット部2092が冷却される。このとき、コントローラ280は、ヒータ207の設定温度や温度センサ208からの温度検出結果に基づいて、インレットヒータ207aを制御して、下側インレット部2092およびシールキャップ219の外周縁辺部の温度を予め設定された所定値に維持する。
【0052】
処理室201の温度や圧力が安定すると、成膜ガスがインナーチューブ2032の処理室201にガス供給部232b、232aを通じて供給される。処理中には、ボート217が回転機構267によって回転される。
【0053】
供給された成膜ガスはインナーチューブ2032の処理室201を上昇し、上端開口からインナーチューブ2032とアウターチューブ2031との隙間によって形成された排気路に流出して排気管231から排気される。成膜ガスは処理室201を通過する際にウエハ200の表面に接触する。このウエハ200との接触に伴う成膜ガスによる熱反応により、ウエハ200の表面には膜が堆積(デポジション)する。
【0054】
膜が所望の膜厚だけ堆積する予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給部232cから処理室201へ置換ガスとして、例えば、窒素ガス等の不活性ガスが供給され、成膜ガスと反応ガスとを処理室201から排気し、不活性ガスに置換する。完全に置換され、処理室201が大気圧状態になると、シールキャップ219が下降されて炉口部209が開口されるとともに、ボート217に保持された状態でウエハ200群が炉口部209から反応管203の真下の待機室に搬出(ボートアンローディング)される。
【0055】
本実施形態によれは、以下の1または複数の効果を得ることができる。
【0056】
(1)上側インレット部2091及び固定リング229のそれぞれの内部に設けられる流路240,241に冷却媒体を流通させることにより第1突部203Aを冷却可能に構成した。これにより、炉口部を構成する各部品(上側インレット部2091及び下側インレット部2092)の温度を所定の温度範囲にする構成を提供することができる。
【0057】
(2)反応管203(アウターチューブ2031)の下端は、上側インレット部2091の内壁2091bの少なくとも一部を覆うことが可能なように構成される第2突部203Bを有する。また、第2突部203Bは、下側インレット部2092に当接しないように、上側インレット部2092の内壁2091bを覆うように、反応管203(アウターチューブ2031)の下側に突出するよう構成されている。これにより、上側インレット部2091の内壁2091bに副生成物が付着するのを抑制することができる。特に、第2突部203Bと内壁2091bとの間を小さく(または、狭く)することにより、内壁2091bの余分な温度低下を抑制することができるので、上側インレット部2091の内壁2091bに副生成物が付着するのを抑制することができる。
【0058】
(3)流路240,241に流通させる冷却媒体は、水などの液体で構成する(水冷)。冷却媒体を液体にすることで、空冷(気体による冷却)と比較して反応管203の温度を効率よく冷却することができる。
【0059】
(4)下側インレット部2092には、下側インレット部2092の外壁2092aを加熱する加熱部(ヒータ207a)が設けられる。外壁2092aを加熱することができるので、冷却媒体(例えば、液体)により冷却される上側インレット部2091からの影響による下側インレット部2092の過冷却を抑制することが可能になる。
【0060】
(5)反応管203(アウターチューブ2031)は、排気管231が設けられる部分の厚さ(t1)を、他の部分の厚さ(t2)よりも大きく構成している(t1>t2)。これにより、反応管203に排気管231を設けることができるので、炉口部209を構成する金属部品(C字形状の固定リング229)を低減することができるため、金属汚染のリスクを抑制することが可能になる。
【0061】
(6)下側インレット部2092と第3シール部材220cを介して接続される蓋体219が設けられ、反応管203、上側インレット部2091、下側インレット2092、蓋体219で囲まれる空間は、第1シール部材220a、第2シール部材220bおよび第3シール部材220cにより減圧可能に密閉される。炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット2092)の温度を所定の温度範囲にする構成を有するので、減圧状態の処理空間で生成されてしまう副生成物の付着を抑制できる。
【0062】
(7)上側インレット部2091とリング部(固定リング229)の断面形状は、コの字形状(横向きのU字形状)である。また、上側インレット部2091の流路240は、第1突部203Aの下側に配置され、固定リング229の流路241は、第1突部203Aの上側に配置される。これにより、流路240、241が反応管203(アウターチューブ2031)の第1突部203Aを挟み込むように配置して構成する。このため、冷却媒体が第1突部203Aの上下に配置されているので、反応管203との接触面積を大きくすることができ、効率よく反応管203を冷却することができる。
【0063】
(8)反応管203は、基板200を処理する処理室201を内部に設けるインナーチューブ(内管)2032と、内管2032の外側に内管2032を囲うように設けられるアウターチューブ(外管)2031と、を有する。上側インレット部2091は、アウターチューブ(外管)2031を支持し、下側インレット部2092は、インナーチューブ(内管)2032を支持するように構成される。炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092)の温度を所定の温度範囲にする構成を有するので、二重反応管の構成を有する処理空間で生成されてしまう副生成物の付着を抑制できる。
【0064】
(9)下側インレット部2092の内壁には、コーティング処理が行われる。炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092)の内壁(接ガス部)をコーティングするので、副生成物の付着を抑制できる。
【0065】
(10)反応管203は、基板200を処理する処理室201を内部に設けるインナーチューブ(内管)2032と、内管2032の外側に内管2032を囲うように設けられるアウターチューブ(外管)2031と、を有する。上側インレット部2091は、アウターチューブ(外管)2031を支持し、下側インレット部2092は、インナーチューブ(内管)2032を支持するように構成される。炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092)の温度を所定の温度範囲にする構成を有するので、二重反応管の構成を有する処理空間で生成されてしまう副生成物の付着を抑制できる。
【0066】
(11)下側インレット部2092には、下側インレット部2092の外壁2092aを加熱する加熱部(ヒータ208)が設けられる。外壁2092aを加熱することができるので、冷却媒体(例えば、液体)により冷却される上側インレット部2091からの影響による下側インレット部2092の過冷却を抑制することが可能になる。
【0067】
(12)下側インレット部2092の外壁2092aには、温度センサ(温度スイッチ)208が設けられ、予め設定される温度(例えば、加熱部207aの設定温度:180℃)を検知することが可能に構成される。また、基板処理装置100は、下側インレット部2092の外壁2092aの温度が、予め設定される温度(例えば、加熱部207aの設定温度:180℃)より低い温度になると、温度センサ208からの信号により加熱部207aを用いた加熱を実行可能に構成されている制御部280を更に有する。下側インレット部2092の(外壁2092aを加熱しつつ)外壁2092aの温度を検知することにより、下側インレット部2092の過冷却を検知することが可能なので、冷却媒体(例えば、液体)により冷却される上側インレット部2091からの影響による下側インレット部2092の過冷却を抑制することができる。
【0068】
(13)外管2031の外側に処理室201を加熱する加熱機構207を備え、加熱機構207の設定温度が第1の温度(T1)以上に調整可能に構成される。また、上側インレット部2091およびリング部(固定リング229)に個別に冷却媒体を供給する冷媒供給部(IN1,IN3:図4参照)を有する。加熱機構207の設定温度が第1の温度以上であれば、炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092等)を所定の温度範囲(ここでは、180℃~350℃)にする構成を提供することができる。
【0069】
(14)加熱機構207の設定温度が第1の温度(T1)以上であれば、下側インレット部2092の外壁2092aに設けられるインレットヒータ207aをオフにし、加熱機構207の設定温度が第1の温度(T1)より小さければ、インレットヒータ207aをオンにし、炉口部209を構成する各部品(上側インレット部2091、下側インレット部2092等)の温度を所定の温度範囲(ここでは、180℃~350℃)に制御する制御部280を有する。加熱機構207の設定温度が第1の温度(T1)以上の場合、炉口部209を構成する各部品(上側インレット、下側インレット等)を所定の温度範囲(ここでは、180℃~350℃)にする構成を提供することができる。また、インレットヒータ207aで外壁2092aを加熱することができるので、冷却媒体による上側インレット部2091及び下側インレット部2092の内壁の過冷却を抑制する構成を提供することができる。
【0070】
以上、本開示を実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0071】
本開示は、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置でも適用できる。また、成膜処理には、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、またはその両方を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等を含む。本開示は、成膜処理に限定されず、更に、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理にも適用できる。
【0072】
以下、本開示の好適な実施態様の特徴を付記する。
【0073】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
反応管の下部に設けられる第1突部と第1シール部材を介して接続され、前記反応管を下から支持するように構成される上側インレット部と、
該上側インレット部と第2シール部材を介して接続される下側インレット部と、
該上側インレット部と連結し、前記第1突部を上から固定する固定リングと、
を備え、
前記上側インレット部は、前記反応管の下部に設けられる排気管の下方に配置され、
前記上側インレット部及び前記固定リングのそれぞれの内部に設けられる流路に冷却媒体を流通させることにより前記第1突部を冷却可能に構成される、
炉口部構造が提供される。
【0074】
(付記2)
好ましくは、付記1において、
前記反応管の下端に設けられ、前記上側インレット部の内壁の少なくとも一部を覆うことが可能なように構成される第2突部を有する。
【0075】
(付記3)
好ましくは、付記2において、
前記第2突部は、前記下側インレット部に当接しないように、前記上側インレット部の内壁を覆うように下側に突出するよう構成されている。
【0076】
(付記4)
好ましくは、付記1において、
前記冷却媒体は、液体である。
【0077】
(付記5)
好ましくは、付記1において、
前記下側インレット部には、外壁を加熱する加熱部が設けられる。
【0078】
(付記6)
好ましくは、付記1において、
前記反応管は、前記排気管が設けられる部分の厚さを、他の部分よりも大きく構成している。
【0079】
(付記7)
更に、好ましくは、付記1において、
前記下側インレット部と第3シール部材を介して接続される蓋体が設けられ、
前記反応管、前記上側インレット部、前記下側インレット部、前記蓋体で囲まれる空間は、前記第1シール部材、前記第2シール部材および前記第3シール部材により減圧可能に密閉される。
【0080】
(付記8)
好ましくは、付記1において、
前記上側インレット部と前記固定リングの(接続部の)断面形状は、コの字形状である。
【0081】
(付記9)
好ましくは、付記8において、
前記上側インレット部の前記流路は、前記第1突部の下側に配置され、
前記固定リングの前記流路は、前記第1突部の上側に配置される。
【0082】
(付記10)
好ましくは、付記1において、
前記反応管は、基板を処理する処理室を内部に設けるインナーチューブ(内管)と、前記内管の外側に前記内管を囲うように設けられるアウターチューブ(外管)と、を有し、
前記上側インレット部は、前記アウターチューブ(外管)を支持し、
前記下側インレット部は、前記インナーチューブ(内管)を支持するように構成される。
【0083】
(付記11)
好ましくは、付記1において、
前記下側インレット部の内壁には、コーティング処理が行われる。
【0084】
(付記12)
本開示の他の一態様によれば、
付記1の炉口部構造を備えた基板処理装置が提供される。
【0085】
(付記13)
好ましくは、付記12において、
前記反応管は、基板を処理する処理室を内部に設けるインナーチューブ(内管)と、
前記内管の外側に前記内管を囲うように設けられるアウターチューブ(外管)と、を有し、
前記上側インレット部は、前記アウターチューブ(外管)を支持し、
前記下側インレット部は、前記インナーチューブ(内管)を支持するように構成される。
【0086】
(付記14)
好ましくは、付記12において、
前記下側インレット部の外壁には、該外壁を加熱する加熱部が設けられる。
【0087】
(付記15)
更に好ましくは、付記14において、
前記下側インレット部の外壁には、温度センサ(温度スイッチ)が設けられ、
予め設定される温度(例えば、前記加熱部の設定温度)を検知することが可能に構成される。
【0088】
(付記16)
更に好ましくは、付記15において、
前記予め設定される温度(例えば、前記加熱部の設定温度)より低い温度になると、前記温度センサからの信号により前記加熱部を実行可能に構成されている制御部を更に有する。
【0089】
(付記17)
好ましくは、付記13において、
前記外管の外側に処理室を加熱する加熱機構を備え、
前記加熱機構の設定温度が第1の温度以上に調整可能に構成される。
【0090】
(付記18)
更に好ましくは、付記17において、
前記上側インレット部および前記リング部(固定リング)に個別に冷却媒体を供給する冷媒供給部を有する。
【0091】
(付記19)
更に好ましくは、付記17において、
前記加熱機構の設定温度が前記第1の温度以上であれば、前記下側インレット部の外壁に設けられるインレットヒータをオフにし、
前記加熱機構の設定温度が前記第1の温度より小さければ、前記インレットヒータをオンにし、
前記炉口部を構成する各部品(上側インレット部、下側インレット部)の温度を所定の温度範囲に制御することが可能な制御部を有する。
【0092】
(付記20)
更に好ましくは、付記13において、
前記外管の外側に処理室を加熱する加熱機構と、
該加熱機構の設定温度(処理温度)と前記上側インレット部の予め指定された部分および前記下側インレット部の予め指定された部分の温度との相関関係を示すデータを記憶する記憶部と、
前記加熱機構の設定温度に応じて前記下側インレット部に設けられるインレットヒータを制御することが可能な制御部と、を有する。
【0093】
(付記21)
本開示のさらに他の一態様によれば、
付記12の基板処理装置を準備する工程と、
基板を少なくとも前記反応管、前記炉口部構造の内部に構成される処理室に搬入する工程と、
前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0094】
100:基板処理装置
203:反応管
209:炉口部
2091:上側インレット部
2092:下側インレット部
229:固定リング(リング部)
図1
図2
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図9