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特許7318114プラズマ安定性を改善するための同調方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】プラズマ安定性を改善するための同調方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
H05H1/46 R
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022511251
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2019048619
(87)【国際公開番号】W WO2021040707
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, シュウキアン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チェンホア
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, テギョン
【審査官】松平 佳巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149366(JP,A)
【文献】特表2003-529216(JP,A)
【文献】特開2011-181959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0314132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマプロセス中に同調する方法であって、
コントローラによって、複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークから同調パラメータ情報を受信することであって、前記複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークが、高周波(RF)電源を、電極の複数の接続点のうちの1つに結合する、同調パラメータ情報を受信することと、
前記コントローラによって受信された前記同調パラメータ情報に基づいて、前記複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスを決定することと、
前記複数の整合ネットワークのうちの1つを、前記複数の整合ネットワークのそれぞれの残りの整合ネットワークを同時に固定している間に、同調することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記同調パラメータ情報が、インピーダンス同調に使用される、電圧情報、電流情報、および位相角情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同調パラメータ情報が、周波数同調に使用される周波数情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の接続点が、4つの接続点を含み、前記複数の整合ネットワークが、4つの整合ネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電極が、シャワーヘッドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プラズマプロセス中に同調する方法であって、
コントローラによって、複数の整合ネットワークから物理的形状情報を受信することであって、前記複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークが、高周波(RF)電源を、電極の複数の接続点のうちの1つに結合する、物理的形状情報を受信することと、
前記コントローラによって受信された前記物理的形状情報に基づいて、前記複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスを決定することと、
前記複数の整合ネットワークのうちの一対を、前記複数の整合ネットワークのそれぞれの残りの整合ネットワークを同時に固定している間に、共に同調することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記物理的形状情報が、前記複数の接続点の各々の互いに対する配置情報を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の接続点が、4つの接続点を含み、前記複数の整合ネットワークが、4つの整合ネットワークを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
互いに対角に間隔を空けられた一対の接続点を有する前記4つの整合ネットワークのうちの一対が、最初に同調される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
互いにX方向に間隔を空けられた一対の接続点を有する前記4つの整合ネットワークのうちの一対が、最初に同調される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
互いにY方向に間隔を空けられた一対の接続点を有する前記4つの整合ネットワークのうちの一対が、最初に同調される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
プラズマプロセス中に同調する方法であって、
コントローラによって、複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークから同調パラメータ情報および物理的形状情報を受信することであって、前記複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークが、高周波(RF)電源を、電極の複数の接続点のうちの1つに結合する、同調パラメータ情報および物理的形状情報を受信することと、
前記コントローラによって受信された前記物理的形状情報および前記同調パラメータ情報に基づいて、前記複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスを決定することと、
前記複数の整合ネットワークのうちの一対を、前記複数の整合ネットワークのそれぞれの残りの整合ネットワークを同時に固定している間に、共に同調することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記同調パラメータ情報が、インピーダンス同調に使用される、電圧情報、電流情報、および位相角情報を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記同調パラメータ情報が、周波数同調に使用される周波数情報を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記物理的形状情報が、前記複数の接続点の各々の互いに対する配置情報を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の接続点が、4つの接続点を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の整合ネットワークが、4つの整合ネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の接続点が、4つの接続点を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の整合ネットワークが、4つの整合ネットワークを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の接続点が、4つの接続点を含み、前記複数の整合ネットワークが、4つの整合ネットワークを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本明細書で説明されている実施形態は、一般に、半導体プロセス内での同調方法に関し、より詳細には、プラズマ安定性を改善するための半導体プロセス内での同調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマチャンバは一般に、半導体、ディスプレイ、および太陽電池などの電子デバイスを製造するためのプロセスを実行するために使用される。そのようなプラズマ製造プロセスは、基板表面上への半導体、導体、もしくは誘電体層のプラズマ励起化学気相堆積(PECVD)、または基板表面上のそれらの層の選択された部分のエッチングを含む。プラズマ製造プロセスが、基板表面の全面にわたって高い空間均一性を伴い実行されることが重要である。堆積プロセスは、堆積された材料が、基板表面上のすべての位置で、均一な厚さおよび品質を有するように、実行されるべきである。同様に、エッチングプロセスは、それらすべての位置で、材料を均一な速度でエッチングするべきである。
【0003】
多くの半導体デバイスの製造段階中に使用されるような、従来の高周波(RF)プラズマプロセスでは、RFエネルギは、RFエネルギ源により基板プロセスチャンバに供給される。RFエネルギ源のインピーダンスとプロセスチャンバ内に形成されるプラズマとの間のミスマッチにより、RFエネルギは、RFエネルギ源に戻るように反射され、RFエネルギの非効率的な使用およびエネルギの浪費をもたらし、プロセスチャンバまたはRFエネルギ源への潜在的な損傷、ならびに基板プロセスに関する潜在的な非一貫性および/または非再現性の課題の原因となる。そのため、RFエネルギは、多くの場合、プラズマのインピーダンスをRFエネルギ源のインピーダンスにより厳密に整合させることによって、反射されるRFエネルギを最小化するように動作する、一定のまたは可変の整合ネットワークを通して、プロセスチャンバ内のプラズマに結合される。
【0004】
整合ネットワークは、RF源の出力が、プラズマに結合されたエネルギ量を最大化する(例えば、「同調(チューニング:tuning)」と呼ばれる)ようにプラズマに効率的に結合されることを、試み、確実にする。しかしながら、従来のプロセスでは、1つのみのRF整合ネットワークが、多くの場合使用されている。1つのRF整合ネットワークを使用している場合、特にディスプレイおよび太陽光用途用などの大きな基板チャンバには、多くの場合プラズマ不均一性が、課題である。多くの場合、複数の供給と共に複数のRF整合ネットワークの使用を試みるプロセスは、多くの場合整合ネットワーク間に発生するような、プラズマ安定性の問題をもたらす。位相制御などの現在の手法は、すべての干渉課題に対処せず、多くの場合、同調時に劣悪な結果をもたらす。
【0005】
したがって、当技術分野において、プラズマ安定性を改善する、半導体プロセス内の同調方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で説明されている1つまたは複数の実施形態は、一般に、プラズマ安定性を改善するための、半導体プロセス内の同調方法に関する。
【0007】
ある実施形態では、プラズマプロセス中の同調方法は、コントローラによって、複数の整合ネットワーク(matching network)のうちの各整合ネットワークから同調パラメータ情報を受信することであって、複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークが、高周波(RF)電源を、電極の複数の接続点のうちの1つに結合する、同調パラメータ情報を受信することと、コントローラによって受信された同調パラメータ情報に基づいて、複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスを決定することと、複数の整合ネットワークのうちの1つを、複数の整合ネットワークのそれぞれの残りの整合ネットワークを同時に固定している間に、同調することと、を含む。
【0008】
別の実施形態では、プラズマプロセス中の同調方法は、コントローラによって、複数の整合ネットワークから物理的形状情報を受信することであって、複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークが、高周波(RF)電源を、電極の複数の接続点のうちの1つに結合する、物理的形状情報を受信することと、コントローラによって受信された物理的形状情報に基づいて、複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスを決定することと、複数の整合ネットワークのうちの一対を、複数の整合ネットワークのそれぞれの残りの整合ネットワークを同時に固定している間に、共に同調することと、を含む。
【0009】
別の実施形態では、プラズマプロセス中の同調方法は、コントローラによって、複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークから同調パラメータ情報および物理的形状情報を受信することであって、複数の整合ネットワークのうちの各整合ネットワークが、高周波(RF)電源を、電極の複数の接続点のうちの1つに結合する、同調パラメータ情報および物理的形状情報を受信することと、コントローラによって受信された物理的形状情報および同調パラメータ情報に基づいて、複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスを決定することと、複数の整合ネットワークのうちの一対を、複数の整合ネットワークのそれぞれの残りの整合ネットワークを同時に固定している間に、共に同調することと、を含む。
【0010】
本開示の特徴の上述の方法が、詳細に理解され得るように、上で簡潔に用尺されている本開示の、さらに詳細な説明が、添付図面に例解されているうちのいくつかの、実施形態を参照することによって、なされ得る。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態を例解するだけであり、したがって、本開示が、他の同等に効果的な実施形態を許容し得るため、その範囲を限定すると考慮されるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、プロセスシステムの概略側面断面図である。
図2】本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、プロセスシステムの概略上面図である。
図3】本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、プロセスシステムの概略上面図である。
図4】本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、方法のフローチャートである。
図5】本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、スミスチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を支援するために、同一の参照符号は、可能な場所では、図に共通の同一構成要素を指定するように、使用されている。ある実施形態の構成要素および特徴は、有益には、さらなる詳述なしに、他の実施形態に組み込まれ得ることが意図されている。
【0013】
以下の説明では、多数の具体的な詳細が、本開示の実施形態のより完全な理解を提供するために、表明されている。しかしながら、本開示の実施形態のうちの1つまたは複数は、これらの具体的な詳細のうちの任意の1つ以上なしで、実践され得ることが、当業者には明確であろう。他の事例では、よく知られた特徴が、本開示の実施形態のうちの1つまたは複数を不明瞭にすることを避けるために、説明されている。
【0014】
本明細書で説明されている実施形態は一般に、プラズマ安定性およびプロセス結果を改善するために、半導体プロセス中に高周波(RF)電力を送達する方法に関する。これらの実施形態では、複数の整合ネットワークが、プラズマプロセスチャンバのプロセス領域に電力を望ましく送達するために配設される。整合ネットワークの各々は、プラズマプロセスチャンバに電気的に結合された電極上に配置された複数の接続点のうちの1つに、高周波(RF)源を結合する。一部の実施形態では、コントローラは、整合ネットワークのうちの1つまたは複数の整合パラメータを調整し、プラズマプロセスチャンバのプロセス領域への電力の送達を制御するために、整合同調パラメータ情報、ならびに電極の物理的形状情報および/または電極上の接続点形状情報を利用し得る。いくつかの実施形態では、同調パラメータ情報は、以下で説明されるように、電源電力レベルのインピーダンスおよび負荷電力レベルのインピーダンスを決定するためなどの、インピーダンス整合用に使用される、電圧/電流(V/I)の振幅および位相情報であり得る。さらに、受信された同調パラメータ情報は、やはり以下で説明される、周波数整合に使用される駆動される周波数情報であり得る。いくつかの実施形態では、物理的形状情報は、互いに対する電極上の複数の接続点の位置に基づき得る。受信された同調パラメータ情報および物理的形状情報に基づいて、コントローラは、複数の整合ネットワークのうちの1つまたは複数のための同調シーケンスを決定する。したがって、整合ネットワークのうちの1つまたは複数内で制御されている整合パラメータのうちのいくつかは、調整される一方で、他の整合ネットワーク内で制御されている整合パラメータは、一定の点または位置に固定される。いくつかの実施形態では、ある整合ネットワーク内の整合パラメータが調整される一方で、残りの整合ネットワークは、同時に一定の点または位置に固定される。他の実施形態では、整合ネットワーク対の各々内の整合パラメータが同調される一方で、残りの整合ネットワークは、同時に一定の点または位置に固定される。
【0015】
複数の整合ネットワークを使用することは、プロセスチャンバの処理容積内のより均一なプラズマにつながる。改善されたプラズマ均一性は、より少ない基板欠陥およびより良好なデバイス特性につながる。さらに、これらの実施形態では、シーケンス中に整合ネットワークの各々内の整合パラメータを調整する能力は、電気的干渉が整合ネットワークによる電力送達に影響を及ぼすことを減少させる、または防止する。したがって、当技術分野での従来の手法と比較して、より良好なプロセス結果が、これらの実施形態で達成される。
【0016】
図1は、本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、プロセスシステム100の側断面図である。プロセスシステム100は、プロセスチャンバ102内の基板支持体106上で支持されている基板108を含む。プロセスチャンバ102は、半導体デバイス、ディスプレイデバイス(例えば、TFT)、太陽電池、または固体発光ダイオード(LED)などの電子デバイスを基板108上で製造するためのプラズマプロセスの影響下に、基板108を置くことが意図されている。プロセスチャンバ102内で処理され得る基板108の例は、フラットパネルディスプレイが製造される長方形ガラス基板、または集積回路が製造される円形状の半導体基板を含む。
【0017】
プロセスチャンバ102は、処理容積110を囲むアルミニウムなどの、導電性の側壁103、底部壁105、および上部壁107を有する。通常、チャンバ壁のすべての部分は、電気的に共に接続され、電気的に接地される。基板108上でのプラズマプロセスを実行中、1つまたは複数のプロセスガスが、ガス源(図示せず)からプロセスチャンバ102内に供給される。プロセスガスは、このとき、これらの実施形態では電極104として機能するシャワーヘッドの多数の開口を通して処理容積110内に供給される。
【0018】
図1で示されているように、電源120、122、124、126、の各々の出力が、対応する整合ネットワーク112、114、116、118を通して、電極104上の対応する接続点128、130、132、134に接続されている。RF電力は、それぞれの電源120、122、124、126の出力から、電極104上の対応する接続点128、130、132、134に流れる。RF電力は、電極104と基板支持体106との間の処理容積110内のプラズマを形成するために、電極104から結合されている。整合ネットワーク112、114、116、118の各々は、所望される整合を提供し、プロセスチャンバの処理領域にRF電力を所望通りに送達するために、1つまたは複数の可変コンデンサおよび/またはインダクタを含む回路を含み得る。4つの電源、整合ネットワーク、および接続点が、図1に示されているが、他の任意の数の電源、整合ネットワーク、および接続点が使用され得、例えば、2つ、3つ、5つ、または10などの電源、整合ネットワーク、および接続点が使用される。
【0019】
これらの実施形態では、コントローラ136は、電源120、122、124、126からのRF電力の配達タイミング、および整合ネットワーク112、114、116、118での整合パラメータの同調を制御する。コントローラ136は、RF電力を送達し、プロセスチャンバ内のプラズマを生成および/または維持するための、整合ネットワーク112、114、116、118の能力の有効性を決定するために使用される。プロセス中、コントローラ136は、各整合ネットワーク112、114、116、118から同調パラメータ情報を受信し、受信された同調パラメータ情報および接続点形状の知識情報に基づいて、整合ネットワーク112、114、116、118用の同調シーケンスを決定する。同調パラメータ情報の例は、電圧および電流を測定することに基づく、それぞれの整合ネットワーク112、114、116、118から反射された電力である。反射された電力が、指標として使用される場合、大きな反射力が、不整合状況を示す。したがって、コントローラ136はまず、最大反射電力を受信する、整合ネットワーク112、114、116、118のうちの1つまたは一対への同調信号を生成し得る。
【0020】
整合ネットワーク112、114、116、118のうちの1つのまたは一対を同時に同調している間に、コントローラ136は、残りの整合ネットワーク112、114、116、118を固定するように構成されている。整合ネットワーク112、114、116、118のうちの1つのまたは一対を一度に同調することは、整合ネットワーク112、114、116、118が互いに分離されているため、干渉が、整合ネットワーク112、114、116、118間に発生することを、有利に減少させまたは防止する。したがって、コントローラ136は、目下同調されている、所望される整合ネットワーク112、114、116、118用の同調パラメータ情報のみを処理し、他の回路からの同調パラメータ情報を監視することを維持する。したがって、コントローラ136は、改善された結果につながる、より正確な示度を受信する。
【0021】
これらの実施形態では、プロセスシステム100は、プラズマ安定性を改善するための同調方法として、インピーダンス同調を使用し得る。例えば、整合ネットワーク112、114、116、118の各々は、所望される送達電力を供給するために、反射された電力を補償するために所望される前方への電力を生成する、電源120、122、124、126によって、同調され得る。各整合ネットワーク112、114、116、118でのV/Iプローブ/センサ(図示せず)は、負荷電力レベルインピーダンス(Z)を検出し得る。例えば、Z(整合ネットワーク112、114、116、118の各々の入力側から測定される)は、50オームに調整(または同調)され得る。したがって、Zのさらなる同調が実行され、その結果、Zのインピーダンスが電源電力インピーダンス(Z)に実質的に共役する。したがって、整合ネットワーク112、114、116、118は、Zのインピーダンスを精密に同調し、その結果、ZおよびZのインピーダンスは、実質的に共役する。
【0022】
これらの実施形態では、「実質的に」は、測定されたインピーダンスが、正確に等しくないが、一定の閾値範囲内にあり得る状況を含むことが意図されている。いくつかの実施形態では、閾値は、ZおよびZのSWRの半径の指定されたまたは所定の割合であり得る。閾値は、ZとZとの間のSWR誤差を制御し得る。つまり、Z(典型的には50オームに等しい)およびZの差が、閾値範囲内である場合、同調が停止され得る。ZSWRが、一定の閾値内でZSWRと等しくない場合、またはZおよびZのSWRデルタが、一定の閾値を超えて変化する場合、RF整合は、ZとZとの差が閾値範囲内になるまで、同調を再開し得る。上述したインピーダンス同調を使用する例は、整合ネットワーク112、114、116、118の各々と共に使用され得、各整合ネットワーク112、114、116、118に、1つずつシーケンスで、または対のシーケンスで適用され得る。
【0023】
インピーダンス同調に加えて、プロセスシステム100はまた、プラズマ安定性を改善するための同調方法として、周波数同調を使用し得る。例えば、第1のRF電力が、電源120、122、124、126のうちの1つによって、プロセスチャンバ102に供給され得る。第1の周波数が、第1のRF電力に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、第1の周波数は、第1のRF電力での最新の既知の同調された周波数として、コントローラ136内に保存され得る。その後、第1の周波数は、電源120、122、124、126のうちの1つと、Zとの間で第1のRF電力での所望されるインピーダンスを達成する、第1のRF電力レベルでの新たな同調された状態を達成するために、コントローラ136によって、第2の周波数に調整され得る。詳細には、第1の周波数は、電源120、122、124、126のうちの1つからの反射された電力を低減し、整合ネットワーク112、114、116、118のうちの1つの新たな同調された状態を達成するために、第2の周波数に調整され得る。反射された電力は、通常、同調された状態を達成するために、電源120、122、124、126のうちの1つによって供給される前方への電力の約0%の目標に向けて低減される。上述した周波数同調を使用する例は、整合ネットワーク112、114、116、118の各々と共に使用され得、各整合ネットワーク112、114、116、118に、1つずつシーケンスで、または対のシーケンスで適用され得る。
【0024】
図2は、本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、プロセスシステム200の概略図である。図2で示されているように、電源212、214、216、218の各々の対応する出力が、対応する整合ネットワーク204、206、208、210を通して、誘電体窓202上の対応する接続点220、222、224、226に接続されている。これらの実施形態では、RF電力は、誘電体窓202の下方に配置されているプロセスチャンバ(図示せず)内のプラズマに誘導結合されている。そのため、各接続点220、222、224、226は、それぞれの誘導コイル228、230、232、234を含む。RF電力は、それぞれの電源212、214、216、218の出力から誘電体窓202上の対応する接続点220、222、224、226に流れる。図1で説明された実施形態と同様に、整合ネットワーク204、206、208、210の各々は、所望される整合を提供するための、1つまたは複数の可変コンデンサおよび/またはインダクタを含む回路であり得る。4つの電源、整合ネットワーク、および接続点が、図2に示されているが、他の任意の数の電源、整合ネットワーク、および接続点が使用され得る。
【0025】
これらの実施形態では、図1で説明された実施形態と同様に、コントローラ236が、電源212、214、216、218をアクティブおよび非アクティブにするタイミング、ならびに整合ネットワーク204、206、208、210の同調を制御する。コントローラ236は、整合ネットワーク204、206、208、210の能力の有効性を決定し、プラズマを整合するために使用される。コントローラ236は、各整合ネットワーク204、206、208、210から同調パラメータ情報を受信し、受信された同調パラメータ情報に基づいて、整合ネットワーク204、206、208、210用の同調シーケンスを決定する。同調パラメータ情報の例は、電圧および電流ならびにその位相角を測定することに基づく、それぞれの整合ネットワーク204、206、208、210から反射された電力である。反射された電力が、指標として使用される場合、大きな反射力が、不整合状況を示す。したがって、コントローラ236はまず、最大反射電力を受信する、整合ネットワーク204、206、208、210のうちの1つまたは一対への同調信号を生成し得る。整合ネットワーク204、206、208、210のうちの1つのまたは一対を同時に同調している間に、コントローラ236は、残りの整合ネットワーク204、206、208、210を固定するように構成されている。整合ネットワーク204、206、208、210のうちの1つのまたは一対を一度に同調することは、干渉が、整合ネットワーク204、206、208、210間に発生することを、有利に減少させまたは防止する。
【0026】
図3は、本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、プロセスシステム300の概略図である。図3で示されているように、電源312、314、316、318の各々の対応する出力が、対応する整合ネットワーク304、306、308、310を通して、電極302上の対応する接続点320、322、324、326に接続されている。これらの実施形態では、RF電力は、電極302の下方に配置されているプロセスチャンバ(図示せず)内のプラズマに容量結合されている。RF電力は、それぞれの電源312、314、316、318の出力から、電極302上の対応する接続点320、322、324、326に流れる。図1図2で説明された実施形態と同様に、整合ネットワーク304、306、308、310の各々は、所望される整合を提供するための、1つまたは複数の可変コンデンサおよび/またはインダクタを含む回路であり得る。4つの電源、整合ネットワーク、および接続点が、図3に示されているが、他の任意の数の電源、整合ネットワーク、および接続点が使用され得る。
【0027】
これらの実施形態では、図1図2で説明された実施形態と同様に、コントローラ328が、電源312、314、316、318をアクティブおよび非アクティブにするタイミング、ならびに整合ネットワーク304、306、308、310の同調を制御する。コントローラ328は、整合ネットワーク304、306、308、310の能力の有効性を決定し、プラズマを整合するために使用される。コントローラ328は、各整合ネットワーク304、306、308、310から同調パラメータ情報を受信し、受信された同調パラメータ情報に基づいて、整合ネットワーク304、306、308、310用の同調シーケンスを決定する。同調パラメータ情報の例は、電圧および電流ならびにその位相角に基づく、それぞれの整合ネットワーク304、306、308、310から反射された電力である。反射された電力が、指標として使用される場合、大きな反射力が、不整合状況を示す。したがって、コントローラ328はまず、最大反射電力を受信する、整合ネットワーク304、306、308、310のうちの1つまたは一対への同調信号を生成し得る。整合ネットワーク304、306、308、310のうちの1つのまたは一対を同時に同調している間に、コントローラ328は、残りの整合ネットワーク304、306、308、310を固定するように構成されている。整合ネットワーク304、306、308、310のうちの1つのまたは一対を一度に同調することは、干渉が、整合ネットワーク304、306、308、310間に発生することを、有利に減少させまたは防止する。
【0028】
図4は、本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、方法400のフローチャートである。これらの実施形態では、方法400は、図1図3で説明されているシステムおよびデバイスを使用して実行されるが、これらのシステムおよびデバイスには限定はされず、他の同様のシステムおよびデバイスを使用して実行され得る。
【0029】
ブロック402では、複数の接続点を有する電極が提供される。電極は、図1図3で上述されている電極104、202、または302であり得る。複数の接続点は、図1で説明された接続点128、130、132、134、図2で説明された接続点220、222、224、226、または図3で説明された接続点320、322、324、326であり得る。
【0030】
ブロック404では、複数の整合ネットワークが提供される。整合ネットワークは、図1で説明された整合ネットワーク112、114、116、118、図2で説明された整合ネットワーク204、206、208、210、または図3で説明された整合ネットワーク304、306、308、310であり得る。これらの実施形態では、各整合ネットワークは、RF電源を接続点のうちの1つに結合する。RF電源は、図1で説明された電源120、122、124、126、図2で説明された電源212、214、216、218、または図3で説明された電源312、314、316、318であり得る。
【0031】
ブロック406では、複数の接続点の物理的形状情報が、コントローラによって受信される。コントローラは、図1図3で上述されているコントローラ136、236、または328であり得る。コントローラによって受信された物理的形状情報は、接続点の各々の互いに対する配置に関し得る。例えば、接続点のうちの各々の間の間隔に関する情報が、コントローラによって受信され得る。
【0032】
ブロック408では、整合ネットワークの各々からの同調パラメータ情報が、コントローラによって受信される。これらの実施形態では、受信された同調パラメータ情報は、上述されたZおよびZを決定するためのV/I情報などの、インピーダンス整合に使用されるV/I情報であり得る。さらに、受信された同調パラメータ情報は、上述されている周波数整合に使用される周波数情報であり得る。
【0033】
ブロック410では、複数の整合ネットワーク用の同調シーケンスが、コントローラによって受信された、物理的形状情報および/または同調パラメータ情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、コントローラによって受信された物理的形状情報に基づいて、コントローラは、どの整合ネットワークまたは整合ネットワーク群が最初に整合されるかを決定し得る。例えば、コントローラは、互いに最も離れて配置されている接続点を有する整合ネットワーク対が、最初に共に同調されることを決定し得る。最も離れて間隔を空けられている整合ネットワークを同調することは、干渉が整合ネットワーク間に発生することを、有利に減少させまたは防止する。したがって、図2で示されている、接続点220および226を有する整合ネットワーク204および210、ならびに接続点222および224を有する整合ネットワーク206および208、または図3で示されている、接続点320および326を有する整合ネットワーク304および310、ならびに接続点322および324を有する整合ネットワーク306および308などの、電極上で互いに対角に配置されている整合ネットワーク対が、最初に共に同調され得る。
【0034】
別の例では、図2で示されている、接続点220および222を有する整合ネットワーク204および206、ならびに接続点224および226を有する整合ネットワーク208および210、または図3で示されている、接続点320および322を有する整合ネットワーク304および306、ならびに接続点324および326を有する整合ネットワーク308および310などの、互いにX方向に離れて配置されている整合ネットワーク対が、最初に共に同調され得る。
【0035】
別の例では、図2で示されている、接続点220および224を有する整合ネットワーク204および208、ならびに接続点222および226を有する整合ネットワーク206および210、または図3で示されている、接続点320および324を有する整合ネットワーク304および308、ならびに接続点322および326を有する整合ネットワーク306および310などの、互いにY方向に離れて配置されている整合ネットワーク対が、最初に共に同調され得る。最初の整合ネットワーク対を同調した後、次の整合ネットワーク対が、整合ネットワークのすべてが同調されるまで、次に同調され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、コントローラによって受信された同調パラメータ情報に基づいて、コントローラは、どの整合ネットワークまたは整合ネットワーク群が最初に整合されるかを決定し得る。例えば、ZとZとの間の差などの同調パラメータ情報が、どの整合ネットワークまたは整合ネットワーク群が最初に整合されるかを決定するために使用され得る。さらに、周波数の差などの同調パラメータ情報が、どの整合ネットワークまたは整合ネットワーク群が最初に整合されるかを決定するために使用され得る。例えば、インピーダンスでの最大差を有する、図2で示されている整合ネットワーク204、206、208、210、または図3で示されている整合ネットワーク304、306、308、310が、最初に同調され得る。第1の整合ネットワークを同調した後、インピーダンスでの最大差を有する次の整合ネットワークが、次に同調され得る。このプロセスが、整合ネットワークのすべてが整合されるまで、繰り返され得る。他の実施形態では、コントローラによって受信された同調パラメータ情報および物理的形状情報の両方が、整合ネットワークの同調シーケンスを決定し得る。
【0037】
ブロック412では、1つの整合ネットワークまたは一対の整合ネットワークが、残りの整合ネットワークが同時に固定されている間に、同調される。したがって、各整合ネットワークまたは整合ネットワーク対は、他の整合ネットワークからの干渉なしで、同調される。上述したように、整合ネットワークの各々をシーケンスで同調する能力が、干渉が整合ネットワーク間に発生することを減少させまたは防止し、より少ない基板欠陥およびより良好なデバイス特性をもたらす、改善されたプラズマ均一性を導く。
【0038】
図5は、本明細書で示されている少なくとも1つの実施形態による、スミスチャート500である。スミスチャート500は、当技術分野における従来の手法および方法の結果である、従来の同調範囲502を例解している。比較すると、スミスチャート500は、インピーダンス506、および本明細書の方法400で説明されている実施形態の結果の狭められた同調範囲504を例解している。狭められた同調範囲504は、劣悪なインピーダンス整合を示すより大きな反射された電力を表している、従来の同調範囲502と比較して改善されたインピーダンス整合を示すより少ない反射された電力を表している。したがって、当技術分野における従来の手法および方法と比較して、より良好な結果が、これらの実施形態において達成されている。
【0039】
前述したものは、本開示の実施形態に向けられている一方で、本開示の他のさらなる実施形態が、その基本範囲から逸脱することなく工夫され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5