(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法および重合性化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 277/82 20060101AFI20230725BHJP
C08F 20/38 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C07D277/82
C08F20/38
(21)【出願番号】P 2019569141
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2019003020
(87)【国際公開番号】W WO2019151263
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2018018688
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018133690
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】奥山 久美
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭
(72)【発明者】
【氏名】美馬 孝則
(72)【発明者】
【氏名】佐貫 加奈子
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-190818(JP,A)
【文献】特開2017-206460(JP,A)
【文献】国際公開第2017/199862(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169839(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/154588(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068860(WO,A1)
【文献】特開2016-190828(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159193(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/136533(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/114211(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/129654(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/025793(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/057884(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010325(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/180217(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/046781(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/147904(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 277/82
C08F 20/38
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非プロトン性極性溶媒を少なくとも1種含む有機溶媒中、下記式(I)
【化1】
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、-CH
2-、-CHR
11-、-CR
11R
12-、または、-NR
11-を表す。ここで、R
11、R
12は、それぞれ独立して、水素原子、または
、炭素数1~10のアルキル基を表す。
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、
メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、-OCF
3、-C(=O)-O-R
13、または、-O-C(=O)-R
13を表す。ここで、R
13は、水素原子、または
、炭素数1~10のアルキル基を表す。R
1~R
4は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する少なくとも1つのC-R
1~C-R
4は窒素原子に置き換えられていてもよい。)
で表されるヒドラジノ化合物を、
水溶液のpHが8以上14以下となるリン酸系化合物の存在下、
式(III):R-Hal(Halは、塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表し、Rは、
Ra-Y-Ga-またはGb-を表
し、
Raは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基を表し、
Yは、化学的な単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-O-CRbRc-、-CRcRb-O-、-O-CH
2
-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
14
-C(=O)-、-C(=O)-NR
14
-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2
-CH
2
-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2
-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2
-CH
2
-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14
-、-NR
14
-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2
-S-、-S-CH
2
-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-O-を表し、ここで、R
14
は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6~12の芳香族炭化水素環基、または、炭素数3~12の芳香族複素環基を表し、
Gaは、(i)炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2
-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
15
-C(=O)-、-C(=O)-NR
15
-、-NR
15
-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基であり、ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除き、ここで、R
15
は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、
Gbは、(i)水酸基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子からなる置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、および、(ii)水酸基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子からなる置換基を有していてもよい炭素数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2
-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
15
-C(=O)-、-C(=O)-NR
15
-、-NR
15
-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基であり、ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除き、
ここで、R
15
は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。)で表される化合物と反応させ
、
前記リン酸系化合物は、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸一水素塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩基である、下記式(II)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法。
【化2】
(式中、X、R、R
1~R
4は、前記と同じ意味を表す。)
【請求項2】
前記リン酸系化合物がアルカリ金属リン酸塩である、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属リン酸塩が、リン酸三カリウム、または、リン酸三ナトリウムである、請求項
2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記リン酸系化合物を、前記ヒドラジノ化合物に対し、1.0当量以上3.0当量以下用いる、請求項1~
3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
反応終了後、反応液に酸性のプロトン性溶媒を添加して、前記反応液と前記酸性のプロトン性溶媒との混合液のpHを8以下にする工程を有する、請求項1~
4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記酸性のプロトン性溶媒が酸性水溶液である、請求項
5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記酸性水溶液のpHが1.5以上7未満である、請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
R
1~R
4の全てが水素原子である、請求項1~
7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
Xが硫黄原子である、請求項1~
8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記非プロトン性極性溶媒が、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、および、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~
9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれかに記載の製造方法により製造した1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と、下記式(V)で表される化合物とを反応させる工程を含む、下記式(VI)で表される重合性化合物の製造方法。
【化3】
(式中、Qは、水素原子、または
、炭素数1~6のアルキル基を表す。
Arは
、芳香族炭化水素環基、または
、芳香族複素環基を表し、
Y
1~Y
8は、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
16-C(=O)-、-C(=O)-NR
16-、-CF
2-O-、-O-CF
2-、-CH
2-CH
2-、-CF
2-CF
2-、-O-CH
2-CH
2-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-、-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH
3)-、-C(CH
3)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表す。ここで、R
16は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1、A
2、B
1およびB
2は、それぞれ独立して
、環状脂肪族基、または
、芳香族基を表す。
G
1およびG
2は、それぞれ独立して、(i)炭素数1~30の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
17-C(=O)-、-C(=O)-NR
17-、-NR
17-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
17は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、G
1およびG
2の前記有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
P
1およびP
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、または、メチル基で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
nおよびmは、それぞれ独立して、0または1を表す。〕
【化4】
(式中、R
1~R
4、R、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
【請求項12】
請求項1~
10のいずれかに記載の製造方法により製造した1,1-ジ置換ヒドラジン化合物から誘導される、下記式(VI)で表される重合性化合物の製造方法。
【化5】
(式中、R
1~R
4、R
、Xは
、それぞれ前記と同じ意味を表
し、
Qは、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、
Arは、芳香族炭化水素環基、または、芳香族複素環基を表し、
Y
1
~Y
8
は、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-O-CH
2
-、-CH
2
-O-、-O-CH
2
-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
16
-C(=O)-、-C(=O)-NR
16
-、-CF
2
-O-、-O-CF
2
-、-CH
2
-CH
2
-、-CF
2
-CF
2
-、-O-CH
2
-CH
2
-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2
-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2
-、-CH
2
-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2
-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2
-CH
2
-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH
3
)-、-C(CH
3
)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、ここで、R
16
は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1
、A
2
、B
1
およびB
2
は、それぞれ独立して、環状脂肪族基、または、芳香族基を表し、
G
1
およびG
2
は、それぞれ独立して、(i)炭素数1~30の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2
-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
17
-C(=O)-、-C(=O)-NR
17
-、-NR
17
-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基であり、ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除き、ここで、R
17
は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、G
1
およびG
2
の前記有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよく、
P
1
およびP
2
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、または、メチル基で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表し、
nおよびmは、それぞれ独立して、0または1を表す。)
【請求項13】
前記式(VI)で表される重合性化合物が、下記式(VII-1)で表される重合性化合物である、請求項
11または12に記載の重合性化合物の製造方法。
【化6】
(式中、R
1~R
4、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、
Ra、Y、Ga、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
)
【請求項14】
前記式(VI)で表される重合性化合物が、下記式(VII-2)で表される重合性化合物である、請求項
11または12に記載の重合性化合物の製造方法。
【化7】
(式中、R
1~R
4、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、
Gb、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的生成物である1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を効率的に製造することが可能な1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法に関するものである。
また、本発明は、本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法により効率的に製造された1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を用いて重合性化合物を製造する重合性化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1,1-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール等の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物は、各種工業原料や、医薬、農薬などの製造中間体として有用である。
従来の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法としては、例えば、(i)「2-クロロベンゾチアゾールとメチルヒドラジンとの反応によって、2-(1-メチルヒドラジノ)ベンゾチアゾールを得る方法」(例えば、特許文献1参照)、(ii)「2-(N-メチルアミノ)ベンゾチアゾール等を、亜硝酸を用いてニトロソ体とし、次いで還元剤を用いて還元することによって、2-(1-メチルヒドラジノ)ベンゾチアゾールを得る方法」(例えば、特許文献1参照)、(iii)「原料にヒドラジノベンゾチアゾールを用い、塩基として炭酸カリウム、炭酸セシウム、または、ヘキサメチルジシラザンを用いた、多種の1,1-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,1-ジ置換体)を合成する方法」(例えば、特許文献2参照)、などがある。
【0003】
しかしながら、従来の1,1-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾールの製造方法は、高価な試薬を大量に用いて反応を行い、その後カラム精製により、副生成物である1,2-ジ置換体を除去する工程を含むものであって、工業的に実施するにはコスト面で大きな課題を有していた。
【0004】
そこで、上記課題を解決すべく、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒からなる混合溶媒中、特定量の、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および、アルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種の塩基の存在下、所定のヒドラジノ化合物を、所定のハロゲン化合物と反応させることにより、目的とする1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を得ることがなされていた(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭61-151181号公報
【文献】国際公開第12/147904号
【文献】特開2016-190818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、高い収率で1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を得ることが求められている。しかしながら、特許文献1~3に記載されたような、従来の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法には、高い収率で1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を得る点で改善する余地があった。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、目的生成物である1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を効率的に製造することが可能な1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法により効率的に製造された1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を用いて重合性化合物を製造する重合性化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、非プロトン性極性溶媒を少なくとも1種含む有機溶媒中、所定のヒドラジノ化合物を、所定のリン酸系化合物の存在下、R-Halで表される化合物と反応させれば、目的生成物である1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を効率的に製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記に示す1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法および重合性化合物の製造方法が提供される。
【0009】
〔1〕 非プロトン性極性溶媒を少なくとも1種含む有機溶媒中、下記式(I)
【化1】
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、-CH
2-、-CHR
11-、-CR
11R
12-、または、-NR
11-を表す。ここで、R
11、R
12は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、-OCF
3、-C(=O)-O-R
13、または、-O-C(=O)-R
13を表す。ここで、R
13は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。R
1~R
4は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する少なくとも1つのC-R
1~C-R
4は窒素原子に置き換えられていてもよい。)
で表されるヒドラジノ化合物を、
水溶液のpHが8以上14以下となるリン酸系化合物の存在下、
式(III):R-Hal(Halは、塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~60の有機基を表す。)で表される化合物と反応させる、下記式(II)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法。
【化2】
(式中、X、R、R
1~R
4は、前記と同じ意味を表す。)
【0010】
〔2〕 前記リン酸系化合物は、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸一水素塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩基である、前記〔1〕に記載の製造方法。
【0011】
〔3〕 前記リン酸系化合物がアルカリ金属リン酸塩である、前記〔2〕に記載の製造方法。
【0012】
〔4〕 前記アルカリ金属リン酸塩が、リン酸三カリウム、または、リン酸三ナトリウムである、前記〔3〕に記載の製造方法。
【0013】
〔5〕 前記リン酸系化合物を、前記ヒドラジノ化合物に対し、1.0当量以上3.0当量以下用いる、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
【0014】
〔6〕 反応終了後、反応液に酸性のプロトン性溶媒を添加して、前記反応液と前記酸性のプロトン性溶媒との混合液のpHを8以下にする工程を有する、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
〔7〕 前記酸性のプロトン性溶媒が酸性水溶液である、前記〔6〕に記載の製造方法。
【0016】
〔8〕 前記酸性水溶液のpHが1.5以上7未満である、前記〔7〕に記載の製造方法。
【0017】
〔9〕 R1~R4の全てが水素原子である、前記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
〔10〕 Xが硫黄原子である、前記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
〔11〕 前記非プロトン性極性溶媒が、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、および、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の製造方法。
【0020】
〔12〕 前記式(III)で表される化合物が下記式(IV-1)である、前記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の製造方法。
【化3】
(式中、Raは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基を表し、
Yは、化学的な単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-O-CRbRc-、-CRcRb-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
14-C(=O)-、-C(=O)-NR
14-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14-、-NR
14-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-S-、-S-CH
2-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-O-を表す。ここで、R
14は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6~12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3~12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Gaは、(i)炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
15-C(=O)-、-C(=O)-NR
15-、-NR
15-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
15は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
Halは、塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表す。)
【0021】
〔13〕 前記式(III)で表される化合物が下記式(IV-2)である、前記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の製造方法。
【化3-2】
(式中、Gbは、(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、および、(ii)置換基を有していてもよい炭素数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
15-C(=O)-、-C(=O)-NR
15-、-NR
15-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
ここで、R
15は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
Halは、塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表す。)
【0022】
〔14〕 前記〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の製造方法により製造した1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と、下記式(V)で表される化合物とを反応させる工程を含む、下記式(VI)で表される重合性化合物の製造方法。
【化4】
(式中、Qは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Y
1~Y
8は、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
16-C(=O)-、-C(=O)-NR
16-、-CF
2-O-、-O-CF
2-、-CH
2-CH
2-、-CF
2-CF
2-、-O-CH
2-CH
2-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-、-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH
3)-、-C(CH
3)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表す。ここで、R
16は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1、A
2、B
1およびB
2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
G
1およびG
2は、それぞれ独立して、(i)炭素数1~30の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
17-C(=O)-、-C(=O)-NR
17-、-NR
17-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
17は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、G
1およびG
2の前記有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
P
1およびP
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、または、メチル基で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
nおよびmは、それぞれ独立して、0または1を表す。〕
【化5】
(式中、R
1~R
4、R、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
【0023】
〔15〕 前記〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の製造方法により製造した1,1-ジ置換ヒドラジン化合物から誘導される、下記式(VI)で表される重合性化合物の製造方法。
【化6】
(式中、R
1~R
4、R、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
【0024】
〔16〕 前記式(VI)で表される重合性化合物が、下記式(VII-1)で表される重合性化合物である、前記〔14〕または〔15〕に記載の重合性化合物の製造方法。
【化7】
(式中、R
1~R
4、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
Raは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基を表し、
Yは、化学的な単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-O-CRbRc-、-CRcRb-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
14-C(=O)-、-C(=O)-NR
14-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14-、-NR
14-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-S-、-S-CH
2-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-O-を表す。ここで、R
14は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6~12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3~12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Gaは、(i)炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
15-C(=O)-、-C(=O)-NR
15-、-NR
15-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
15は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
【0025】
〔17〕 前記式(VI)で表される重合性化合物が、下記式(VII-2)で表される重合性化合物である、前記〔14〕または[15]に記載の重合性化合物の製造方法。
【化7-2】
(式中、R
1~R
4、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、nおよびmは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
Gbは、(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、および、(ii)置換基を有していてもよい炭素数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH
2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR
15-C(=O)-、-C(=O)-NR
15-、-NR
15-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
15は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、目的生成物である1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を効率的に製造することが可能な1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法により効率的に製造された1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を用いて重合性化合物を製造する重合性化合物の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換の、または、置換基を有する」の意味である。また、一般式中に含まれるアルキル基や芳香族炭化水素環基等の有機基が置換基を有する場合、当該置換基を有する有機基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基が置換基を有する場合、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基の炭素数には、このような置換基の炭素数を含まないものとする。一方、「Ra中の環構造に含まれるπ電子の数」、「Ra1中の環構造に含まれるπ電子の数」、および「Ra2中の環構造に含まれるπ電子の数」には、置換基に含まれている環構造のπ電子も含まれるものとする。さらに、本発明において、「アルキル基」とは、鎖状(直鎖状または分岐状)の飽和炭化水素基を意味し、「アルキル基」には、環状の飽和炭化水素基である、「シクロアルキル基」は含まれないものとする。
【0028】
(式(II)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法)
以下、本発明の式(II)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法を詳細に説明する。
本発明の式(II)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法は、下記式(I)で表されるヒドラジノ化合物(以下、「ヒドラジノ化合物(I)」ということがある。)を、水溶液のpHが8以上14以下となるリン酸系化合物の存在下、非プロトン性極性溶媒を少なくとも1種含む有機溶媒中、式(III):R-Halで表される化合物(以下、「化合物(III)」ということがある。)と反応させる、ことを特徴とする。
ここで、本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法により製造される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物は、例えば、本発明の重合性化合物を調製する際に用いることができる。
【0029】
【0030】
<X>
式(I)および式(II)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、-CH2-、-CHR11-、-CR11R12-、または、-NR11-を表す。これらの中でも、本発明の効果がより得られやすい点で、酸素原子、硫黄原子、-CH2-が好ましく、酸素原子、硫黄原子がより好ましく、硫黄原子が特に好ましい。
ここで、R11、R12は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。これらの中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。
なお、Xが-CR11R12-である場合、R11およびR12は、同一でも相異なってもよい。
【0031】
R11、R12の、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基の炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、3-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0032】
R11、R12の、炭素数1~10のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、等のハロゲン原子;シアノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;水酸基;などが挙げられる。
なお、R11、R12の、炭素数1~10のアルキル基は、複数の置換基を有してもよい。R11、R12の、炭素数1~10のアルキル基が、複数の置換基を有する場合は、それぞれの置換基が同じであっても異なっていてもよい。
【0033】
<R1~R4>
式(I)および式(II)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の少なくとも1個の水素原子が硫黄原子で置換された炭素数1~6のアルキルチオ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基等のジ置換アミノ基;-OCF3;-C(=O)-O-R13;または、-O-C(=O)-R13を表す。ここで、R13は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表し、メチル基、エチル基が好ましい。R13の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基は、R11、R12の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基と同じ意味を表し、その好適例も同じである。
これらの中でも、R1~R4が、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基であることが好ましく、R1~R4の全てが水素原子であることがより好ましい。
【0034】
R1~R4は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する少なくとも1つのC-R1~C-R4は窒素原子に置き換えられていてもよい。C-R1~C-R4のうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基の具体例を下記に示す。但し、C-R1~C-R4のうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基はこれに限定されるものではない。
【0035】
【化9】
〔各式中、Xは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じであり、R
1~R
4は、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。〕
【0036】
<Hal>
式(III)中、Halは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。これらの中でも、本発明の効果がより得られやすい点で、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0037】
<R>
式(II)および式(III)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~60の有機基を表し、Ra-Y-Ga(GaがHalと結合する。)で表されるものであること(即ち、式(III):R-Halが式(IV-1):Ra-Y-Ga-Halであること)、Gbで表されるものであること(即ち、式(III):R-Halが式(IV-2):Gb-Halであること)、が好ましい。
【0038】
Rの、置換基を有していてもよい炭素数1~60の有機基の炭素数1~60の有機基としては、特に制限はなく、例えば、(i)炭素数1~60のアルキル基;(ii)炭素数2~60のアルケニル基;(iii)炭素数2~60のアルキニル基;等が挙げられる。
【0039】
<<(i)炭素数1~60のアルキル基>>
炭素数1~60のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果がより得られやすい点で、炭素数1~12のアルキル基が好ましく、n-ブチル基、n-へキシル基、n-オクチル基がより好ましく、n-へキシル基が特に好ましい。
【0040】
<<(ii)炭素数2~60のアルケニル基>>
炭素数2~60のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基、等が挙げられ、炭素数2~12のアルケニル基が好ましい。
【0041】
<<(iii)炭素数2~60のアルキニル基>>
炭素数2~60のアルキニル基としては、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基、等が挙げられ、炭素数2~12のアルキニル基が好ましい。
【0042】
Rの、炭素数1~60の有機基の置換基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等の、炭素数1~6のアルコキシ基で置換された炭素数1~6のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;等が挙げられる。
【0043】
<<Ra>>
Raは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基を表す。
これらの中でも、本発明の効果がより得られやすい点で、炭素数6~30の芳香族炭化水素環基がより好ましい。
【0044】
-芳香族炭化水素環-
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果がより得られやすい点で、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましい。
【0045】
-芳香族複素環-
芳香族複素環としては、例えば、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[b]チオフェン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環としては、フラン環、ピラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環等の単環の芳香族複素環;およびベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、ベンゾ[b]チオフェン環、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン環、ベンゾ[c]チオフェン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピラジン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の縮合環の芳香族複素環;が好ましい。
【0046】
Raが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~6アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF3;-C(=O)-Rx;-C(=O)-O-Rx;-O-C(=O)-Rx;および-SO2Rb;等が挙げられる。ここで、Rxは「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」、「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」、または、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基」を表す。また、Rbは、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;または、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基等の、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基を表す。
これらの中でも、Raが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
なお、Raは、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Raが複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0047】
-Rx-
--(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基--
Rxの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」の「炭素数1~20のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられる。
なお、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」の炭素数は、1~12であることが好ましく、1~10であることがさらに好ましい。
【0048】
--(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基--
Rxの、「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」の「炭素数2~20のアルケニル基」としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
なお、「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」の炭素数は、2~12であることが好ましい。
【0049】
Rxの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」の「炭素数1~20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」の「炭素数2~20のアルケニル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチアゾール-2-イルチオ基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;などが挙げられる。これらの中でも、Rxの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」の「炭素数1~20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」の「炭素数2~20のアルケニル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチアゾール-2-イルチオ基、等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基が好ましい。
なお、Rxの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」の「炭素数1~20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」の「炭素数2~20のアルケニル基」は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rxの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」の「炭素数1~20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」の「炭素数2~20のアルケニル基」が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0050】
--(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基--
Rxの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」の「炭素数3~12のシクロアルキル基」としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
Rxの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」の「炭素数3~12のシクロアルキル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;などが挙げられる。これらの中でも、Rxの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」の「炭素数3~12のシクロアルキル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。
なお、Rxの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」の「炭素数3~12のシクロアルキル基」は、複数の置換基を有していてもよい。
Rxの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」の「炭素数3~12のシクロアルキル基」が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0051】
--(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~18の芳香族炭化水素環基--
Rxの、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」の「炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基がより好ましい。
Rxの「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;-OCF3;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;などが挙げられる。これらの中でも、Rxの「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~12の芳香族炭化水素環基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;-OCF3;から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
なお、Rxの、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」の「炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」は、複数の置換基を有していてもよい。Rxの、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」の「炭素数5~18の芳香族炭化水素環基」が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0052】
ここで、Raの芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基自体の炭素数を意味する。
Raが、複数の芳香族炭化水素環および/または複数の芳香族複素環を有する場合は、それぞれが同じであっても異なっていてもよい。
【0053】
前記Raは、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」であることが好ましい。
【0054】
Raの、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の好ましい具体例を以下に示す。但し、本発明は以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「-」は環の任意の位置からのび、Yとの結合手を表す。
【0055】
1)少なくとも一つの炭素数6~30の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭化水素環基の具体例としては、下記式(1-1)~(1-21)で表される構造が挙げられ、式(1-8)~(1-21)等で表される炭素数6~18の炭化水素環基が好ましい。なお、下記式(1-1)~(1-21)で表される基は置換基を有していてもよい。
【化10】
【化11】
【0056】
2)炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、下記式(2-1)~(2-51)で表される構造等が挙げられ、式(2-11)~(2-51)等で表される炭素数2~16の複素環基が好ましい。なお、下記式(2-1)~(2-51)で表される基は置換基を有していてもよい。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
〔各式中、Aは、-CH
2-、-NR
c-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO
2-を表し、
BおよびDは、それぞれ独立して、-NR
c-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO
2-を表し、
Eは、-NR
c-、酸素原子または硫黄原子を表す。
ここで、R
cは、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、-SO-、-SO
2-は、それぞれ隣接しないものとする。)〕
【0057】
上述した中でも、Raは、上記式(1-8)、式(1-11)、式(1-12)、式(1-13)、式(1-14)、式(1-15)、式(1-20)、式(2-9)~式(2-11)、式(2-24)~式(2-33)、式(2-35)~式(2-43)、式(2-47)および、式(2-49)~(2-51)で表される基のいずれかであることが好ましい。
【0058】
なお、Ra中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
【0059】
さらに、Raが下記(i-1)~(i-6)のいずれかであることが好ましい。なお、下記式(i-1)~(i-6)で表される基は置換基を有していてもよい。
【化16】
(式(i-4)中、Jは、-CH
2-、-NR
d-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO
2-を表し、R
dは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)
【0060】
なお、Raの、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」は、1以上の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
【0061】
Raの、「炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」が有する置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~6アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF3;-C(=O)-Rx;-C(=O)-O-Rx;-O-C(=O)-Rx;-SO2Rb;などが挙げられる。ここでRxおよびRbは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
【0062】
<<Y>>
Yは、化学的な単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-O-CRbRc-、-CRbRc-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR
14-C(=O)-、-C(=O)-NR
14-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14-、-NR
14-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-S-、-S-CH
2-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-O-を表す。ここで、R
14は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6~12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3~12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Yとしては、これらの中でも、本発明の効果がより得られやすい点で、化学的な単結合、-O-、-O-CRbRc-、-CRbRc-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14-、-NR
14-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-S-、-S-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、が好ましく、化学的な単結合、-O-、-O-CRbRc-、-CRcRb-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH
2-CH
2-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14-、-NR
14-C(=O)-O-、-S-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-S-がより好ましく、化学的な単結合、-O-、-O-CRbRc-、-CRcRb-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-、-C(=O)-O-CRbRc-、-CRcRb-O-C(=O)-、-O-C(=O)-CRbRc-、-CRcRb-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
14-、-NR
14-C(=O)-O-、-S-CH
2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH
2-S-が特に好ましい。
ここで、R
14は、(i)水素原子、または、(ii)メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基を表し、これらの中でも、R
14は、水素原子が好ましい。
Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6~12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3~12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Rc、Rbは、互いに同一であってもよく、相異なっていてもよい。
RbおよびRcの、炭素数6~12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3~12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基、の具体例としては、前記Raと同様のもののうちそれぞれ規定された炭素数のものが挙げられる。Rb、Rcの有する置換基としては、前記Raが有する置換基と同様のものが挙げられ、その好ましいものも同様である。また、複数の置換基を有する時には、同一であっても、相異なっていても構わない。
Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6~12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基が好ましく、さらに、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはナフチル基が好ましく、さらに、RcおよびRbの両方が同時に水素原子である組み合わせ、水素原子とフェニル基である組み合わせ、または、水素原子とナフチル基の組み合わせが特に好ましい。
Ra-Y-の好ましい組み合わせとしては、
Raが、前記一般式(i-1)~(i-6)から選択され、Yが、化学的な単結合、-O-Z、-O-CRbRc-Z、-CRbRc-O-Z、-O-CH
2-CH
2-Z、-CH
2-CH
2-O-Z、-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-Z、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-CH
2-CH
2-Z、-C(=O)-O-CRbRc-Z、-CRbRc-O-C(=O)-Z、-O-C(=O)-CRbRc-Z、-CRbRc-C(=O)-O-Z、-NR
14-C(=O)-O-Z、-S-CH
2-C(=O)-O-Zから選択される組み合わせが好ましく、
Raが、前記一般式(i-1)~(i-6)から選択され、Yが、化学的な単結合、-O-Z、-CRbRc-O-Z、-CH
2-CH
2-O-Z、-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-Z、-CH
2-CH
2-C(=O)-O-Z、-CRbRc-O-C(=O)-Z、-CRbRc-C(=O)-O-Z、-NR
14-C(=O)-O-Z、-S-CH
2-C(=O)-O-Zから選択される組み合わせがより好ましく、
更に、Ra-Y-は、下記式(ii-1)~(ii-45)のいずれかであることが特に好ましく、(iii-1)~(iii-46)のいずれかであることが最も好ましい。
Rb、Rcは前記と同じ意味を表し、ZはGaと結合する方向を示している。また、下記式(ii-1)~(ii-45)で表される基、および、(iii-1)~(iii-46)で表される基中の●は、Gaとの結合部位を示す。
下記式(ii-1)~(ii-45)で表される基および(iii-1)~(iii-46)で表される基は置換基を有していてもよい。
なお、下記式(ii-26)~(ii-32)および下記式(iii-26)~(iii-32)中、Jは、-CH
2-、-NR
d-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO
2-を表し、R
dは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。
【化17】
【化18】
【0063】
<<Ga>>
Gaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基であり、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3~20の2価の有機基である。
Gaは、より好ましくは、(i)炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR15-C(=O)-、-C(=O)-NR15-、-NR15-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
ここで、R15は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。これらの中でも、水素原子、または、メチル基が好ましい。また、Gaの前記有機基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;が挙げられる。
Gaの上記置換基としては、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
ここで、Gaに関し、前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。また、前記「2価の脂肪族炭化水素基」の炭素数は、3~20であることが好ましく、3~18であることがより好ましい。そして、前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、炭素数2~20の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2~18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2~18のアルキレン基であることがより好ましい。
【0064】
Gaの炭素数は、炭素数4~16が好ましく、炭素数5~14が更に好ましく、炭素数6~12が特に好ましく、炭素数6~10が最も好ましい。
【0065】
Gaの構造としては、炭素数4~16の無置換のアルキレン基が好ましく、炭素数5~14の無置換のアルキレン基がより好ましく、炭素数6~12の無置換のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数6~10の無置換のアルキレン基が特に好ましく、n-ヘキシレン基、n-オクチレン基が最も好ましい。
【0066】
なお、Gaの炭素数が3以上の場合、Gaの両末端は-CH2-であること(Gaの両末端が置換されていないこと)が好ましい。また、「(ii)炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR15-C(=O)-、-C(=O)-NR15-、-NR15-、または、-C(=O)-に置換された基」において、-O-および-S-は、脂肪族炭化水素基中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-O-O-および-S-S-の構造を形成しない)ことが好ましく(つまり、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くことが好ましく)、
-C(=O)-は、脂肪族炭化水素基中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-C(=O)-C(=O)-の構造を形成しない)ことが好ましい。
炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR15-C(=O)-、-C(=O)-NR15-、-NR15-、または、-C(=O)-に置換される場合、-O-で置換されることが最も好ましく、炭素数2ごとに-O-に置換される、いわゆるエチレンオキシを繰り返し単位とし、Gaの両末端は-CH2-であることが好ましい。
【0067】
Gaとしては、(i)「炭素数1~18、好ましくは炭素数3~18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基であり、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くこと」が好ましく、(ii)「炭素数3~18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であること」がより好ましく、(iii)「炭素数3~18のアルキレン基」がさらに好ましく、(iv)「炭素数4~16の無置換のアルキレン基」がさらにより好ましく、(v)「炭素数5~14の無置換のアルキレン基」がさらにより好ましく、(vi)「炭素数6~12の無置換のアルキレン基」がさらにより好ましく、(vii)「炭素数6~10の無置換のアルキレン基」が特に好ましく、「n-ヘキシレン基、n-オクチレン基」が最も好ましい。
【0068】
<<Gb>>
Gbは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の有機基であり、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3~20の有機基である。
Gbは、より好ましくは、(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、および、(ii)置換基を有していてもよい炭素数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR15-C(=O)-、-C(=O)-NR15-、-NR15-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
ここで、R15は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。これらの中でも、水素原子、または、メチル基が好ましい。
また、Gbの前記有機基が有する置換基としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;が挙げられる。
ここで、Gbに関し、前記「脂肪族炭化水素基」は、鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基、であることがより好ましい。また、前記「脂肪族炭化水素基」の炭素数は、3~20であることが好ましく、3~18であることがより好ましい。そして、前記「脂肪族炭化水素基」は、炭素数2~20の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2~18の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2~18のアルキル基(例えば、n-ヘキシル基)、アルキニル基(例えば、2-ブチニル基)、またはアルケニル基(例えば、1-ブテニル基)であることがより好ましい。
【0069】
Gbの炭素数は、炭素数4~16が好ましく、炭素数4~14が更に好ましく、炭素数4~12が特に好ましく、炭素数4~10が最も好ましい。
【0070】
Gbの構造としては、炭素数4~16の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が好ましく、炭素数4~14の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基がより好ましく、炭素数4~12の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基がさらに好ましく、炭素数4~10の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が特に好ましく、炭素数4~10の無置換のアルキル基がさらに特に好ましく、n-ヘキシル基が最も好ましい。
【0071】
なお、Gbの炭素数が3以上の場合、Gbの片末端(Halとの結合側)は-CH2-であること(Gbの片末端が置換されていないこと)が好ましい。また、「(ii)炭素数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR15-C(=O)-、-C(=O)-NR15-、-NR15-、または、-C(=O)-に置換された基」において、-O-および-S-は、脂肪族炭化水素基中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-O-O-および-S-S-の構造を形成しない)ことが好ましく(つまり、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くことが好ましく)、-C(=O)-は、脂肪族炭化水素基中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-C(=O)-C(=O)-の構造を形成しない)ことが好ましい。
炭素数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR15-C(=O)-、-C(=O)-NR15-、-NR15-、または、-C(=O)-に置換される場合、-O-で置換されることが最も好ましく、炭素数2ごとに-O-に置換される、いわゆるエチレンオキシを繰り返し単位とし、Gbの片末端(Halとの結合側)は-CH2-であることが好ましい。
【0072】
Gbとしては、(i)「置換基を有していてもよい炭素数1~18、好ましくは炭素数3~18の鎖状の脂肪族炭化水素基、および、置換基を有していてもよい炭素数3~18の鎖状の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基であり、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くこと」が好ましく、(ii)「置換基を有していてもよい炭素数3~18の鎖状の脂肪族炭化水素基であること」がより好ましく、(iii)「置換基を有していてもよい炭素数3~18の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらに好ましく、(iv)「炭素数4~16の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらにより好ましく、(v)「炭素数4~14の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらにより好ましく、(vi)「炭素数4~12の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらにより好ましく、(vii)「炭素数4~10の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」が特に好ましく、炭素数4~10の無置換のアルキル基がさらに特に好ましく、「n-ヘキシル基」が最も好ましい。
【0073】
<ヒドラジノ化合物(I)と化合物(III)との反応>
ヒドラジノ化合物(I)と化合物(III)との反応は、非プロトン性極性溶媒を少なくとも1種含む有機溶媒(以下、単に「有機溶媒」ということがある。)中で行う。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はないが、前記化合物(I)1g当たり、0.1mL以上であることが好ましく、0.5mL以上であることがより好ましく、1mL以上であることが特に好ましく、また、50mL以下であることが好ましく、20mL以下であることがより好ましく、15mL以下であることが特に好ましい。
【0074】
反応温度は、通常、-10℃以上、用いる溶媒の沸点以下であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上が特に好ましく、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分間から数時間である。
また、反応は、窒素気流中等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0075】
<非プロトン性極性溶媒>
非プロトン性極性溶媒は、プロトン供与性を有さない極性溶媒であり、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒;ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルアニリン等のアミン系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のウレア系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;等が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
これらの中でも、非プロトン性極性溶媒としては、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、ウレア系溶媒を用いるのが好ましく、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドを用いるのがより好ましく、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンを用いるのが特に好ましい。
【0077】
ヒドラジノ化合物(I)と化合物(III)の使用割合としては、モル比で、1:1~1:2であることが好ましく、1:1~1:1.5であることがより好ましく、1:1~1:1.3であることが更に好ましく、1:1~1:1.25であることがより好ましい。このような使用割合で反応を行うことにより、目的物を収率よく得ることができる。
【0078】
ヒドラジノ化合物(I)と化合物(III)との反応は、リン酸系化合物の存在下、前記有機溶媒中で行われる。
具体的には、(α)ヒドラジノ化合物(I)を前記有機溶媒に溶解し、ここに、リン酸系化合物と化合物(III)を添加し、全容を撹拌する方法、(β)化合物(III)を前記有機溶媒に溶解し、ここに、ヒドラジノ化合物(I)とリン酸系化合物とを添加し、全容を撹拌する方法、(γ)ヒドラジノ化合物(I)および化合物(III)を前記有機溶媒に溶解し、ここに、リン酸系化合物を添加し、全容を撹拌する方法等が挙げられ、(α)または(β)の方法が好ましい。
【0079】
(α)の方法においては、ヒドラジノ化合物(I)の有機溶媒溶液に、化合物(III)およびリン酸系化合物を同時に添加してもよいし、ヒドラジノ化合物(I)の有機溶媒溶液に、化合物(III)を添加した後、リン酸系化合物を添加してもよいが、ヒドラジノ化合物(I)の有機溶媒溶液に、リン酸系化合物を添加した後、化合物(III)を添加することが好ましい。
また、化合物(III)は、そのまま添加してもよいし、化合物(III)を有機溶媒に溶解させたものを添加してもよい。
さらに、リン酸系化合物は、固体状態のものを添加してもよいし、リン酸系化合物を有機溶媒に溶解(懸濁)させたものを添加してもよい。
(β)の方法においては、化合物(III)の有機溶媒溶液に、ヒドラジノ化合物(I)およびリン酸系化合物を同時に添加してもよいし、化合物(III)の有機溶媒溶液に、ヒドラジノ化合物(I)を添加した後、リン酸系化合物を添加してもよいが、化合物(III)の有機溶媒溶液に、ヒドラジノ化合物(I)を添加した後、リン酸系化合物を添加することが好ましい。
また、ヒドラジノ化合物(I)は、そのまま添加してもよいし、ヒドラジノ化合物(I)を有機溶媒に溶解させたものを添加してもよい。
さらに、リン酸系化合物は、固体状態のものを添加してもよいし、リン酸系化合物を有機溶媒に溶解(懸濁)させたものを添加してもよい。
また、いずれの方法においても、ヒドラジノ化合物(I)あるいは、化合物(III)は、必要に応じて適宜、滴下して加えても構わない。
【0080】
<リン酸系化合物>
リン酸系化合物としては、水溶液のpHが8以上14以下となるものである限り、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸一水素塩、などが挙げられる。
これらの中でも、反応速度、収率の点で、アルカリ金属リン酸塩が好ましく、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウムがより好ましく、リン酸三カリウムが特に好ましい。
前記リン酸系化合物の水溶液のpHとしては、8以上14以下である限り特に制限はないが、反応速度、収率の点で、8.5以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、また、反応速度、収率の点で、13.5以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましい。
【0081】
リン酸系化合物の使用量としては、特に制限はないが、目的物を高収率で得ることができる点で、上述の式(I)で表されるヒドラジノ化合物に対して、1.0当量以上であることが好ましく、1.1当量以上であることがより好ましく、1.2当量以上であることが特に好ましく、また、2.0当量以下であることが好ましく、1.8当量以下であることがより好ましく、1.5当量以下であることが特に好ましい。
【0082】
<後処理操作>
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことによって、目的物を単離することができる。本発明においては、反応液にプロトン性溶媒を添加する工程を有することが好ましく、反応液に酸性のプロトン性溶媒を添加して、前記反応液と前記酸性のプロトン性溶媒との混合液のpHを8以下にする工程を有することがより好ましい。これにより、容易に、高収率で高純度の目的物を得ることができる。
なお、本発明において、式(III)で表される化合物(R-Hal)として式(IV-1)で表される化合物(Ra-Y-Ga-Hal)を用いる場合には特に、上述した工程を実施することが好ましい。
【0083】
用いるプロトン性溶媒としては、目的とする1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の貧溶媒であるプロトン性溶媒であれば、特に制限されない。例えば、水;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;メチルセロソルブ、ジメトキシプロパノール等のオキシアルコール化合物類;及び、これら2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、水を用いるのが特に好ましい。
酸性のプロトン性溶媒として酸性水溶液を用いた場合、pHが1.5以上7未満である酸性水溶液であることが好ましく、pHが1.7以上7未満である酸性水溶液であることがより好ましく、pHが1.8以上7未満である酸性水溶液であることが特に好ましい。
前記酸性水溶液としては、特に制限はなく、例えば、クエン酸水溶液;酢酸水溶液;酢酸と酢酸ナトリウム、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウムと水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウムと水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウムとクエン酸等の、混合系の緩衝溶液;などが挙げられる。これらの中でも、低コストであることからクエン酸水溶液であることが好ましい。
【0084】
目的とする化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
【0085】
本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法によれば、入手容易なヒドラジノ化合物(I)を原料とし、安価な試薬を用いて、高い反応選択性で、高収率で、安全に、目的とする1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造することができる。
【0086】
(式(VI)で表される重合性化合物の製造方法)
以下、本発明の式(VI)で表される重合性化合物の製造方法を詳細に説明する。
本発明の式(VI)で表される重合性化合物の製造方法は、上述した本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法により製造した1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と、下記式(V)で表される化合物(以下、「化合物(V)」ということがある。)とを反応させる工程を含む、ことを特徴とする。
また、本発明の式(VI)で表される重合性化合物の製造方法は、上述した本発明の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法により製造した1,1-ジ置換ヒドラジン化合物から誘導される、ことを特徴とする。
【化19】
【化20】
【0087】
<式(V)で表される化合物、式(VI)で表される重合性化合物>
<<Q>>
式(V)および式(VI)中、Qは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基の炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、置換基としては、フェニル基、ナフタレン基等の、炭素数6~12の芳香族炭化水素基が挙げられる。
これらの中でも、Qは、水素原子であることが好ましい。
【0088】
<<Ar>>
式(V)および式(VI)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
これらの中でも、Arは、芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
【0089】
-芳香族炭化水素環基-
芳香族炭化水素環基は、前記Raの「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の「芳香族炭化水素環」と同じ意味を表し、その好適例も前記Raの「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の「芳香族炭化水素環」の好適例と同じであり、その置換基も前記Raの「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の「芳香族炭化水素環」の置換基と同じである。
【0090】
-芳香族複素環基-
芳香族複素環基は、前記Raの「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の「芳香族複素環」と同じ意味を表し、その好適例も前記Raの「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の「芳香族複素環基」の好適例と同じであり、その置換基も前記Raの「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の「芳香族複素環」の置換基と同じである。
【0091】
<<Y1~Y8>>
式(V)および式(VI)中、Y1~Y8は、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-O-CH2-、-CH2-O-、-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR16-C(=O)-、-C(=O)-NR16-、-CF2-O-、-O-CF2-、-CH2-CH2-、-CF2-CF2-、-O-CH2-CH2-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH2-、-CH2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH2-、-CH2-CH2-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH2-CH2-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH3)-、-C(CH3)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表す。ここで、R16は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表す。これらの中でも、水素原子、または、メチル基が好ましい。
これらの中でも、Y1~Y8は、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-O-C(=O)-O-であることが好ましい。
【0092】
<<A1、A2、B1およびB2>>
式(V)および式(VI)中、A1、A2、B1およびB2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
これらの中でも、A1、A2、B1およびB2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数5~20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素数2~20の芳香族基が好ましい。
【0093】
環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、1,4-シクロヘプタン-1,4-ジイル、シクロオクタン-1,5-ジイル等の炭素数5~20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン-1,5-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル等の炭素数5~20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、環状脂肪族基としては、置換されていてもよい炭素数5~20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、特に、1,4-シクロヘキシレン基が好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0094】
芳香族基の具体例としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等の、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピラジン-2,5-ジイル等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、芳香族基としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、特に、1,4-フェニレン基が好ましい。
【0095】
環状脂肪族基および芳香族基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;などが挙げられる。前記環状脂肪族基、炭素数5~20の環状脂肪族基、芳香族基、炭素数2~20の芳香族基は、上述した置換基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合は、各置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0096】
A1およびA2は置換基を有していてもよい環状脂肪族基であり、B1およびB2は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
A1およびA2が、それぞれ独立して、式(a)で表される置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基であり、B1およびB2が、式(b)で表される置換基を有していてもよい、1,4-フェニレン基である組み合わせ、A1およびA2がそれぞれ独立して、式(b)で表される置換基を有していてもよい、1,4-フェニレン基であり、n及びmがそれぞれ独立して0である組み合わせである組み合わせがより好ましい。
【0097】
【化21】
前述した式(a)および(b)中、R
0は、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;-OCF
3;-C(=O)-O-R
x;または-O-C(=O)-R
xを表し、R
xは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
R
0としては、溶解性向上の観点から、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1~6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;が好ましい。なお、R
0が複数の場合は、複数のR
0は互いに同一でも異なっていてもよい。さらに、p1は、0~4の整数を表し、0であることが好ましい。
【0098】
<<G1およびG2>>
式(V)および式(VI)中、G1およびG2は、それぞれ独立して、炭素数1~30の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR17-C(=O)-、-C(=O)-NR17-、-NR17-、または、-C(=O)-に置換された基のいずれかの有機基であり、ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R17は、水素原子、または、炭素数1~6のアルキル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。G1およびG2の前記有機基に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;またはフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子に置換されていてもよい。
【0099】
なお、G1およびG2は、それぞれ独立して、炭素数が3以上の場合、G1およびG2の両末端は-CH2-であること(G1およびG2の両末端が置換されていないこと)が好ましい。また、「炭素数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR17-C(=O)-、-C(=O)-NR17-、-NR17-、または、-C(=O)-に置換された基」において、-O-および-S-は、脂肪族炭化水素基中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-O-O-および-S-S-の構造を形成しない)ことが好ましく(つまり、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くことが好ましく)、-C(=O)-は、脂肪族炭化水素基中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-C(=O)-C(=O)-の構造を形成しない)ことが好ましい。なお、R17は、前記と同じであり、その好適例も前記と同じである。
【0100】
G1およびG2としては、それぞれ独立して、(i)「炭素数1~18の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~18の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR17-C(=O)-、-C(=O)-NR17-、-NR17-、または、-C(=O)-(好ましくは、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-)に置換された基、のいずれかの有機基であること」が好ましく、(ii)「置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキレン基であること」がより好ましい。なお、R17は、前記と同じであり、その好適例も前記と同じである。
G1およびG2の前記有機基に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;または;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子に置換されていてもよい。
炭素数1~18のアルキレン基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;または;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;が挙げられる。
【0101】
<<P1およびP2>>
式(V)および式(VI)中、P1およびP2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはメチル基で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルケニル基の炭素数2~10のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。P1およびP2は、それぞれ独立して、CH2=CH-(ビニル基)、CH2=C(CH3)-、または、CH2=C(Cl)-であることが好ましく、CH2=CH-(ビニル基)であることがより好ましい。
【0102】
<<nおよびm>>
式(V)および式(VI)中、nおよびmは、それぞれ独立して、0または1であり、それぞれ独立して、1がより好ましい。
nおよびmの両方が1である場合、前述した式(V)および式(VI)中のB1およびB2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数5~20の環状脂肪族基であることがより好ましい。
【0103】
<<式(VI)で表される重合性化合物>>
また、式(VI)で表される重合性化合物の主鎖部分は、特に限定されるものではないが、Arを中心とした対象構造を有する(即ち、Y1とY2、A1とA2、Y3とY4、B1とB2、nとm、Y5とY6、G1とG2、Y7とY8、P1とP2が、それぞれ同一である(Arを中心として対象である))ことが好ましい。
【0104】
式(VI)で表される重合性化合物は、下記式(VII-1)および(VII-2)のいずれかで表される重合性化合物であることが好ましく、下記式(III-1)、(III-2)、(III-3)および(III-4)のいずれかで表される重合性化合物であることがより好ましく、下記式(III-1)であることが特に好ましい。
【化22】
(式中、R
1~R
4、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、n、m、Ra、Y、および、Gaは、それぞれ前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
【化22-2】
(式中、R
1~R
4、Ar、Q、X、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、n、m、および、Gbは、それぞれ前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。)
【化23】
【化24】
【化24-2】
【化24-3】
(式(III-1)および(III-2)中、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、Y、R
1~R
4、Q、R
0、n、m、およびp1は前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。pおよびp2は、p1と同じ意味を表し、その好適例もp1の好適例と同じである。
【0105】
式(III-1)および(III-2)において、Gaは、置換基を有していてもよい炭素数1~18、好ましくは炭素数3~18のアルキレン基、および、炭素数3~18のアルキレン基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基を表し、ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Gaの前記有機基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
なお、式(III-1)および(III-2)において、Gaの炭素数が3以上の場合、Gaの両末端は-CH2-であること(Gaの両末端が置換されていないこと)が好ましく、また、-C(=O)-は、Ga中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-C(=O)-C(=O)-の構造を形成しない)ことが好ましい。
さらに、式(III-1)および(III-2)において、Gaは、炭素数4~16の無置換のアルキレン基が好ましく、炭素数5~14の無置換のアルキレン基がより好ましく、炭素数6~12の無置換のアルキレン基が特に好ましく、炭素数6~10の無置換のアルキレン基が最も好ましい。
式(III-1)および(III-2)において、Ra1およびRa2は、それぞれ独立して、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の一方を有する、炭素数2~30の環状基であり、
式(III-1)および(III-2)において、Ra1中の環構造に含まれるπ電子の数が8以上であることが好ましく、Ra2中の環構造に含まれるπ電子の数が4以上であることが好ましく、Ra1中の環構造に含まれるπ電子の数が8以上であることがより好ましく、Ra2中の環構造に含まれるπ電子の数が6以上であることがより好ましい。
式(III-1)および(III-2)において、Ra1およびRa2の好適例は、前記Raの好適例と同じである。
【0106】
式(III-1)における、Ga、Y、Ra1の組み合わせとしては、
(I)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基、および、炭素数3~18のアルキレン基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、のいずれかの有機基であり、
Yが、化学的な単結合、-O-Z、-O-CRbRc-Z、-CRbRc-O-Z、-O-CH2-CH2-Z、-CH2-CH2-O-Z、-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-Z、-CH2-CH2-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-CH2-CH2-Z、-C(=O)-O-CRbRc-Z、-CRbRc-O-C(=O)-Z、-O-C(=O)-CRbRc-Z、-CRbRc-C(=O)-O-Z、-NR14-C(=O)-O-Z、または、-S-CH2-C(=O)-O-Zであり、(ただし、R14、Rb、Rcは前記と同じ意味を表し、ZはGaと結合する方向を示している。)
Ra1が、環構造に含まれるπ電子の数が8以上の環状基である、組み合わせが好ましく、
(II)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基、および、炭素数3~18のアルキレン基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-C(=O)-または、-S-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、のいずれかの有機基であり、
Yが、化学的な単結合、-O-Z、-CRbRc-O-Z、-CH2-CH2-O-Z、-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-Z、-CH2-CH2-C(=O)-O-Z、-CRbRc-O-C(=O)-Z、-CRbRc-C(=O)-O-Z、-NR14-C(=O)-O-Z、または、-S-CH2-C(=O)-O-Zであり、(ただし、R14、Rb、Rcは前記と同じ意味を表し、ZはGaと結合する方向を示している。)
Ra1が、環構造に含まれるπ電子の数が8以上の環状基である、組み合わせがより好ましく、
(III)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基であり、
Ra1-Y-として、前記式(ii-1)~(ii-35)である組み合わせが更に好ましく、(ただし、基中のJは、-CH2-、-NRd-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO2-を表し(Rdは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す)、基中の●は、Gaとの結合部位を示す。)
(IV)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基であり、Ra1-Y-として、前記式(iii-1)~(iii-33)、(iii-44)~(iii-46)である組み合わせが特に好ましい。(ただし、基中のJは、-CH2-、-NRd-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO2-を表し(Rdは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す)、基中の●は、Gaとの結合部位を示す。)
【0107】
式(III-2)における、Ga、Y、Ra2の組み合わせとしては、
(I)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基、および、炭素数3~18のアルキレン基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、のいずれかの有機基であり、
Yが、化学的な単結合、-O-Z、-O-CRbRc-Z、-CRbRc-O-Z、-O-CH2-CH2-Z、-CH2-CH2-O-Z、-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-Z、-CH2-CH2-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-CH2-CH2-Z、-C(=O)-O-CRbRc-Z、-CRbRc-O-C(=O)-Z、-O-C(=O)-CRbRc-Z、-CRbRc-C(=O)-O-Z、-NR14-C(=O)-O-Z、または、-S-CH2-C(=O)-O-Zであり、(ただし、R14、Rb、Rcは前記と同じ意味を表し、ZはGaと結合する方向を示している。)
Ra2が、環構造に含まれるπ電子の数が6以上の環状基である、組み合わせが好ましく、
(II)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基、および、炭素数3~18のアルキレン基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-C(=O)-または、-S-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、のいずれかの有機基であり、
Yが、化学的な単結合、-O-Z、-CRbRc-O-Z、-CH2-CH2-O-Z、-C(=O)-O-Z、-O-C(=O)-Z、-CH2-CH2-C(=O)-O-Z、-CRbRc-O-C(=O)-Z、-CRbRc-C(=O)-O-Z、-NR14-C(=O)-O-Z、または、-S-CH2-C(=O)-O-Zであり、(ただし、R14、Rb、Rcは前記と同じ意味を表し、ZはGaと結合する方向を示している。)
Ra2が、環構造に含まれるπ電子の数が6以上の環状基である、組み合わせがより好ましく、
(III)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基であり、
Ra2-Y-として、前記式(ii-1)~(ii-45)であることが更に好ましく、(ただし、基中のJは、-CH2-、-NRd-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO2-を表し(Rdは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す)、基中の●は、Gaとの結合部位を示す。)
(IV)Gaが、炭素数1~18(好ましくは炭素数3~18)のアルキレン基であり、Ra2-Y-として、前記式(iii-1)~(iii-46)であることが特に好ましい。(ただし、基中のJは、-CH2-、-NRd-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO2-を表し(Rdは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す)、基中の●は、Gaとの結合部位を示す。)
【0108】
ここで、上記式(III-1)で表される重合性化合物としては、下記式(iii-1)で表される重合性化合物であることが好ましく、下記式(iii-2)で表される重合性化合物であることがより好ましく、下記式(1)~(21)のいずれかであることが特に好ましい。
【化25】
(式(iii-1)中、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、R
1~R
4、Q、Ga、Y、Ra
1、R
0、m、nおよびpは前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。)
【化26】
(式(iii-2)中、R
1~R
4、Q、Ga、Y、およびRa
1は前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。kおよびlは、それぞれ独立して、1~18の整数を表す。)
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【0109】
式(III-3)および(III-4)において、Gbは、置換基を有していてもよい炭素数1~18、好ましくは炭素数3~18の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基、および、炭素数3~18の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基に含まれる-CH2-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基、のいずれかの有機基を表し、ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Gbの前記有機基が有する置換基としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;シアノ基;;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
なお、式(III-3)および(III-4)において、Gbの炭素数が3以上の場合、Gbの片末端(Halとの結合側)は-CH2-であること(Gbの片末端が置換されていないこと)が好ましく、また、-C(=O)-は、Gb中の連続した-CH2-を置換しない(すなわち、-C(=O)-C(=O)-の構造を形成しない)ことが好ましい。
さらに、式(III-3)および(III-4)において、Gbは、炭素数4~16の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が好ましく、炭素数5~14の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基がより好ましく、炭素数6~12の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が特に好ましく、炭素数6~10の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が最も好ましい。
【0110】
ここで、上記式(III-3)で表される重合性化合物としては、下記式(iii-3)で表される重合性化合物であることが好ましく、下記式(iii-4)で表される重合性化合物であることがより好ましく、下記式(22)~(29)のいずれかであることが特に好ましい。
【化47-2】
(式(iii-3)中、Y
1~Y
8、A
1、A
2、B
1、B
2、G
1、G
2、P
1、P
2、R
1~R
4、Q、Gb、R
0、m、nおよびpは前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。)
【化47-3】
(式(iii-4)中、R
1~R
4、Q、およびGbは前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。kおよびlは、それぞれ独立して、1~18の整数を表す。)
【化47-4】
【化47-5】
【化47-6】
【化47-7】
【化47-8】
【化47-9】
【化47-10】
【化47-11】
【0111】
上述した式(VI)で表される重合性化合物は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、国際公開第12/141245号、国際公開第12/147904号、国際公開第13/046781号、国際公開第13/180217号、国際公開第14/061709号、国際公開第14/065176号、国際公開第14/126113号、国際公開第15/025793号、国際公開第15/064698号、国際公開第15-140302号、国際公開第15/129654号、国際公開第15/141784号、国際公開第16/159193号、国際公開第17-134139号、国際公開第17/150622号)等に記載の方法を参照して合成できる。
【0112】
<1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と化合物(V)との反応>
1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と化合物(V)との反応は、例えば、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;エタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;などの一般的に有機合成に使用される有機溶媒中で行う。また、これら2種類以上をを混合して用いても構わない。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はないが、前記1,1-ジ置換ヒドラジン化合物1g当たり、0.1mL以上であることが好ましく、0.5mL以上であることがより好ましく、1mL以上であることが特に好ましく、また、50mL以下であることが好ましく、40mL以下であることがより好ましく、20mL以下であることがさらにより好ましく、15mL以下であることが特に好ましい。
【0113】
反応温度は、通常、-10℃以上用いる溶媒の沸点以下であり、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、45℃以上であることが特に好ましく、100℃以下であることが好ましく、80℃以下がより好ましく、60℃以下が特に好ましい。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分間から数時間である。
また、反応は、窒素気流中等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0114】
1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と化合物(V)の使用割合としては、モル比で、1:0.5~1:2であることが好ましく、1:0.5~1:1.5であることがより好ましく、1:0.5~1:1であることが特に好ましい。このような使用割合で反応を行うことにより、目的物を収率よく得ることができる。
【0115】
1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と化合物(V)との反応は、酸を存在させることにより反応速度を向上させることができる。例えば、(±)-10-カンファースルホン酸等のスルホン酸系化合物や塩酸水溶液等の無機酸の水溶液存在下、前記有機溶媒中で行われる。
具体的には、(α)1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を前記有機溶媒に溶解し、ここに、化合物(V)と、スルホン酸系化合物または無機酸の水溶液とを添加し、全容を撹拌する方法、(β)化合物(V)を前記有機溶媒に溶解し、ここに、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と、スルホン酸系化合物または機酸の水溶液とを添加し、全容を撹拌する方法、(γ)1,1-ジ置換ヒドラジン化合物および化合物(V)を前記有機溶媒に溶解し、ここに、スルホン酸系化合物または無機酸の水溶液を添加し、全容を撹拌する方法、(δ)化合物(V)を生成させる反応を実施した後、そのまま反応液に、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物と、スルホン酸系化合物または無機酸の水溶液とを添加し、全容を撹拌する方法等が挙げられ、(γ)、(δ)の方法が好ましく、(δ)の方法がより好ましい。
【0116】
(γ)の方法においては、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物および化合物(V)を前記有機溶媒に同時に添加してもよいし、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の溶液に、化合物(V)を添加してもよいし、化合物(V)の有機溶液に、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を添加してもよいが、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物および化合物(V)を有機溶媒に同時に添加することが好ましい。
また、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物は、そのまま添加してもよいし、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を前記有機溶媒に溶解させたものを添加してもよい。
また、化合物(V)は、そのまま添加してもよいし、化合物(V)を前記有機溶媒に溶解させたものを添加してもよい。
(δ)の方法においては、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を反応液に固体のまま加えても良いし、前記有機溶媒に溶解させて加えても構わないが、固体のまま添加することが好ましい。
さらに、いずれの方法においても、スルホン酸系化合物は、固体状態のものを添加してもよいし、スルホン酸系化合物を混合溶媒に溶解(懸濁)させたものを添加してもよい。
そして、いずれの方法においても1,1-ジ置換ヒドラジン化合物および化合物(V)およびスルホン酸系化合物あるいは無機酸の水溶液は、必要に応じて適宜、滴下して加えても構わない。
【0117】
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことによって、目的物を単離することができる。本発明においては、例えば、反応液を水に投入し、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウム等で乾燥し、硫酸ナトリウム等をろ別し、ろ液から有機溶媒を減圧留去して得た固体をカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、容易に、高収率で高純度の目的物を得ることができる。また、反応液を水に投入し、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出して、その有機層を冷却したり、貧溶剤を加えたりすることにより、目的物を析出させる方法によれば、より簡便に、高収率で高純度の目的物を得ることもできる。
【0118】
目的とする重合性化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
【0119】
本発明の重合性化合物の製造方法によれば、入手容易なヒドラジノ化合物(I)を出発原料とし、安価な試薬を用いて、高い反応選択性で、高収率で、安全に、目的とする重合性化合物を製造することができる。
【0120】
本発明の重合性化合物の製造方法により製造された重合性化合物は、例えば、光学フィルム等を構成する高分子を調製する際に有利に用いることができる。
【0121】
<光学フィルム>
光学フィルムは、光学的な機能を有する層を含む。光学的な機能とは、単なる透過、反射、屈折、複屈折などを意味する。ここで、光学フィルムは、光学異方体、液晶表示素子用配向膜、カラーフィルター、ローパスフィルター、光偏光プリズム、各種光フィルター等に用いることができる。
【実施例】
【0122】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0123】
(実施例1:化合物1の合成)
<ステップ1:中間体Aの合成>
【化48】
【0124】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、1-ナフチル酢酸500.5g(2.69mol)をトルエン1049gに加えた。さらに、6-クロロ-1-ヘキサノール349.5g(2.56mol)、パラトルエンスルホン酸1水和物48.6g(0.26mol)を加えて、溶液を調製した。ディーンスターク装置を用いて、調製した溶液を加熱し、生成する水を反応系外に排出しながら共沸脱水(内温約95℃)を2時間行った。反応終了後、25℃まで冷却した反応液に、5.8質量%の重曹水742gを加えて、分液して洗浄した。分液後、さらに有機層を水500gで洗浄した。洗浄後、有機層にろ過助剤(商品名:ロカヘルプ#479、三井金属鉱業社製)7gを加え、室温下にて30分間撹拌し、ろ過を行い、ろ過助剤を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて溶媒を留去して、中間体Aを含む淡茶色オイルを755g得た。高速液体クロマトグラフによる定量により、この中間体Aを含む淡茶色オイルには中間体Aが93.0質量%含まれていることが分かった。この淡茶色オイルの精製は行わず、そのまま次の反応(ステップ2:化合物1の合成)に用いた。
【0125】
【0126】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ステップ1で合成した中間体Aを含む淡茶色オイル59.52g(中間体A正味の量として、55.35g(0.182mol))およびN-メチル-2-ピロリドン235gを投入し、均一な溶液とした。その均一な溶液に、2-ヒドラジノベンゾチアゾール25.0g(0.151mol)を加えた。次いで、リン酸三カリウム48.18g(0.227mol)を加え、全容を100℃で3時間攪拌した。高速液体クロマトグラフによる定量により、この段階では、下記のヒドラジド化合物Aが少量含まれていることが分かった。反応終了後、60℃に降温した反応液に酢酸エチル312.5gを加えた後、60℃を維持して、ろ過を行った。ろ液である有機層を0.5mol/Lのクエン酸水溶液(pH:1.9)250gにゆっくり滴下して、内温60℃で30分間撹拌した後、水層を抜き出した。その際のpHは6.8であった。さらに、有機層に9.1質量%の塩化ナトリウム水溶液275gを加え、内温60℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を抜き出した。
次いで、有機層に4.76質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液262.5gを加え、内温60℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を抜き出した。さらに、有機層に水250gを加え、内温60℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を抜き出した。得られた有機層を徐々に0℃まで冷却して、0℃にて30分間撹拌した。生じた固体をろ過によって取得した。その後、取得した固体に酢酸エチル150gを加えて、60℃まで昇温して均一溶液として、30分間撹拌した。その後、酢酸エチル溶液を徐々に0℃まで冷却して、0℃にて1時間撹拌した。生じた固体をろ過によって取得して、減圧乾燥させることで、化合物1を白色固体として36.9g得た。収率は56.4モル%であった。高速液体クロマトグラフによる定量により、この段階では、下記のヒドラジド化合物Aが含まれていないことが分かった。
【化50】
【0127】
(実施例2:化合物1の合成)
<ステップ1:中間体Aの合成>
【化51】
【0128】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、1-ナフチル酢酸500.5g(2.69mol)をトルエン1049gに加えた。さらに、6-クロロ-1-ヘキサノール349.5g(2.56mol)、パラトルエンスルホン酸1水和物48.6g(0.26mol)を加えて、溶液を調製した。ディーンスターク装置を用いて、調製した溶液を加熱し、生成する水を反応系外に排出しながら共沸脱水(内温約95℃)を2時間行った。反応終了後、25℃まで冷却した反応液に、5.8質量%の重曹水742gを加えて、分液して洗浄した。分液後、さらに有機層を水500gで洗浄した。洗浄後、有機層にろ過助剤(商品名:ロカヘルプ#479、三井金属鉱業社製)7gを加え、室温下にて30分間撹拌し、ろ過を行い、ろ過助剤を除去した。有機層をロータリーエバポレーターにて溶媒を留去して、中間体Aを含む淡茶色オイル755gを得た。高速液体クロマトグラフによる定量により、この中間体Aを含む淡茶色オイルには中間体Aが93.0質量%含まれていることが分かった。この淡茶色オイルを減圧蒸留して、淡黄色オイルとしての中間体Aを508g得た。収率は65.1モル%であった。
【0129】
<<ステップ2:化合物1の合成>>
【化52】
実施例1のステップ2において、中間体Aを含む淡茶色オイル59.52g(中間体A正味の量として、55.35g(0.182mol))を用いる代わりに、実施例2のステップ1で合成した淡黄色オイルとしての中間体A55.35g(0.182mol)を用いたこと以外は、実施例1のステップ2と同様の操作を行い、化合物1を白色固体として42.0g得た。収率は64.2モル%であった。
【0130】
【0131】
実施例1のステップ2において、リン酸三カリウム48.18g(0.227mol)を用いる代わりに、ナトリウムエトキシド15.45g(0.227mol)を用い、また、実施例1のステップ2において、反応温度を100℃から60℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、化合物1を含む淡黄色固体23.27gを得た。得られた淡黄色固体を高速液体クロマトグラフで定量したところ、12.24gの化合物1が含まれていることが分かった。化合物1の収率は18.7モル%であった。高速液体クロマトグラフによる定量により、化合物1以外には、主に2つの不純物(下記の水酸基含有化合物Aおよびヒドラジド化合物A)が含まれていることが分かった。
【0132】
【0133】
【0134】
(比較例2:化合物1の合成)
実施例1のステップ2において、リン酸三カリウム48.18g(0.227mol)を用いる代わりに、水酸化カリウム12.73g(0.227mol)を用い、また、実施例1のステップ2において、反応温度を100℃から60℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、化合物1を含む淡黄色固体35.31gを得た。得られた淡黄色固体を高速液体クロマトグラフで定量したところ、16.96gの化合物1が含まれていることが分かった。化合物1の収率は25.9モル%であった。高速液体クロマトグラフによる定量により、化合物1以外には、主に2つの不純物(下記の水酸基含有化合物Aおよびヒドラジド化合物A)が含まれていることが分かった。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
<ステップ1:中間体Bの合成>
【化59】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、トランス-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.40mol)をシクロペンチルメチルエーテル600gに加えて、氷浴下にて5℃に冷却した。この溶液に、4-(6-アクリロイルオキシ-ヘクス-1-イルオキシ)フェノール(DKSH社製)100g(0.38mol)、2,6-ジターシャーリーブチル-4-メチルフェノール1.67g、および、テトラヒドロフラン(THF)230gを加えた。そこへ、強撹拌下にて、トリエチルアミン40.2g(0.40mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、5℃にて、1時間反応を行った。反応終了後、水250gを加えた後、50℃に昇温して4時間撹拌した。その後、水層を抜き出して得られた有機層に1mol/L濃度の酢酸/酢酸ナトリウム緩衝水溶液416gを加えて30分撹拌した後、水層を抜き出した。更に、有機層を水250gで洗浄して得られた有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(容積比))により精製することで、中間体Bを白色固体として75g得た。収率は47.4モル%であった。中間体Bの構造は
1H-NMRで同定した。
1H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0139】
1H-NMR(500MHz,DMSO-d6,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48-2.56(m,1H)、2.18-2.26(m,1H)、2.04-2.10(m,2H)、1.93-2.00(m,2H)、1.59-1.75(m,4H)、1.35-1.52(m,8H)。
【0140】
<ステップ2:中間体Cの合成>
【化60】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体B:10.00g(23.90mmol)、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.32g(9.56mmol)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン234mg(1.92mmol)をクロロホルム80mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.2g(25.36mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、23℃にて3時間撹拌した。反応終了後、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみからクロロホルム:THF=9:1(容積比)にグラジエント)により精製することで、中間体Cを白色固体として6.80g得た。収率は75.7モル%であった。中間体Cの構造は
1H-NMRで同定した。
1H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0141】
1H-NMR(500MHz,DMSO-d6,TMS,δppm):10.02(s,1H)、7.67(d,1H,J=3.0Hz)、7.55(dd,1H,J=3.0Hz,8.5Hz)、7.38(d,1H,J=8.5Hz)、6.99-7.04(m,4H)、6.91-6.96(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56-2.81(m,4H)、2.10-2.26(m,8H)、1.50-1.76(m,16H)、1.33-1.49(m,8H)。
【0142】
<ステップ3:重合性化合物1の合成>
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、前記実施例1で合成した化合物1:3.6g(8.31mmol)、および、前記ステップ2で合成した中間体C:6.00g(6.39mmol)を、エタノール12.0mLおよびTHF120mLに溶解させた。この溶液に、(±)-10-カンファースルホン酸0.30g(1.28mmol)を加え、全容を50℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル200mLで2回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=95:5)により精製し、黄色固体として重合性化合物1を7.8g得た。収率は90.2モル%であった。目的物(重合性化合物1)の構造は1H-NMRで同定した。1H-NMRスペクトルデータを下記に示す。
【0143】
1H-NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.97(dd,1H,J=0.5Hz,8.5Hz)、7.80(ddd,1H,J=0.5Hz,0.5Hz,8.0Hz)、7.73-7.76(m,2H)、7.67-7.71(m,2H)、7.61(s,1H)、7.49(ddd,1H,J=1.0Hz,6.5Hz,8.5Hz)、7.42(ddd,1H,J=1.5Hz,7.0Hz,7.0Hz)、7.33-7.39(m,3H)、7.18(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.10-7.14(m,2H)、6.95-7.01(m,4H)、6.85-6.90(m,4H)、6.405(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.402(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.127(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.124(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.822(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.819(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.16-4.22(m,6H)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.03(s,2H)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.93(t,2H,J=6.5Hz)、2.56-2.67(m,4H)、2.28-2.36(m,8H)、1.59-1.83(m,20H)、1.42-1.56(m,8H)、1.24-1.36(m,4H)。
【0144】
非プロトン性極性溶媒を少なくとも1種含む有機溶媒中、式(I)で表されるヒドラジノ化合物を、所定のリン酸系化合物の存在下、式(III):R-Halで表される化合物と反応させた実施例1および2の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法(収率:56.4モル%~64.2モル%)は、所定のリン酸系化合物を用いていない比較例1および2の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法(収率:18.7モル%~25.9モル%)と比較して、目的生成物である1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を効率的に製造することができたことが分かった。
【0145】
(実施例4:化合物2の合成)
【化61】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール100g(0.605mol)をN,N-ジメチルホルムアミド750gに加えた。次いで、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を加えた。この溶液にリン酸三カリウム192.72g(0.908mol)を加え、全容を100℃で3時間攪拌した。高速液体クロマトグラフによる定量により、この段階では、下記の1,2置換された化合物Bが少量含まれていることが分かった。反応終了後、60℃に降温した反応液にトルエン750g、水750gを加えた後、60℃を維持して、15分間撹拌した。反応液を静置すると、三層に分離した。下層の二層を抜き出した。得られたトルエン層に10質量%の塩化ナトリウム水溶液430gを加えて60℃を維持して、15分間撹拌した。水層を分液した後、得られた有機層を減圧下にて濃縮を行い、トルエン560gを抜き出した。濃縮後の有機層を60℃に昇温し、水500gを加えて、強撹拌しながら徐々に冷却した。0℃に到達した後、そのままの温度で1時間強撹拌した。このスラリー溶液をろ過した。得られた湿固体を5℃以下に冷却した水/メタノール=1/4(質量比)の混合溶媒500gを用いてかけ洗いして洗浄した。得られた湿固体を真空乾燥機で減圧乾燥させることで、化合物2を白色固体として132.8g得た。収率は88モル%であった。高速液体クロマトグラフによる定量により、この段階では、下記の1,2置換された化合物Bが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化62】
【0146】
(実施例5:化合物3の合成)
【化63】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を5-ブロモバレロニトリル117.6g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物3を126.7g得た。収率は85モル%であった。
全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Cが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Cが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化64】
【0147】
(実施例6:化合物4の合成)
【化65】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)をブチル2-クロロエチルエーテル99.2g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物4を139.7g得た。収率は87モル%であった。
全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Dが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Dが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化66】
【0148】
(実施例7:化合物5の合成)
【化67】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を4-ブロモ-1-ブテン98.01g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物5を115.4g得た。収率は87モル%であった。
全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Eが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Eが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化68】
【0149】
(実施例8:化合物6の合成)
【化69】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を1-ブロモ-2-ブチン96.55g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物6を107.0g得た。収率は87モル%であった。
全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Fが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Fが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化70】
【0150】
(実施例9:化合物7の合成)
【化71】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を1-ブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)エタン132.9g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物7を134.2g得た。収率は83モル%であった。全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Gが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Gが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化72】
【0151】
(実施例10:化合物8の合成)
【化73】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)をエチレングリコールモノ-2-クロロエチルエーテル90.4g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物8を127.2g得た。収率は83モル%であった。全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Hが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Hが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化74】
【0152】
(実施例11:化合物9の合成)
【化75】
前記実施例4において、1-ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を6-クロロ-1-ヘキサノール99.2g(0.726mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして、白色固体として化合物9を134.9g得た。収率は84モル%であった。全容を100℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、下記の1,2置換された化合物Iが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、下記の1,2置換された化合物Iが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【化76】
【0153】
(比較例3:化合物2の合成)
【化77】
前記実施例4において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、白色固体として化合物2を120.7gを得た。収率は80モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Bが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Bが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0154】
(比較例4:化合物3の合成)
【化78】
前記実施例5において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例5と同様の操作を行い、白色固体として化合物3を119.2gを得た。収率は80モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Cが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Cが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0155】
(比較例5:化合物4の合成)
【化79】
前記実施例6において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例6と同様の操作を行い、白色固体として化合物4を126.8gを得た。収率は79モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Dが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Dが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0156】
(比較例6:化合物5の合成)
【化80】
前記実施例7において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例7と同様の操作を行い、白色固体として化合物5を107.5gを得た。収率は81モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Eが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Eが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0157】
(比較例7:化合物6の合成)
【化81】
前記実施例8において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例8と同様の操作を行い、白色固体として化合物6を99.6gを得た。収率は81モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Fが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Fが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0158】
(比較例8:化合物7の合成)
【化82】
前記実施例9において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例9と同様の操作を行い、白色固体として化合物7を110.0gを得た。収率は68モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Gが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Gが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0159】
(比較例9:化合物8の合成)
【化83】
前記実施例10において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例10と同様の操作を行い、白色固体として化合物8を101.2gを得た。収率は66モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Hが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Hが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0160】
(比較例10:化合物9の合成)
【化84】
前記実施例11において、リン酸三カリウム192.72g(0.908mol)をナトリウムエトキシド61.79g(0.908mol)を用い、また、反応温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例11と同様の操作を行い、白色固体として化合物9を96.3gを得た。収率は60モル%であった。全容を80℃で3時間攪拌した段階では、高速液体クロマトグラフによる定量により、前記の1,2置換された化合物Iが少量含まれていることが分かったが、最終的な白色固体を取得した段階では、前記の1,2置換された化合物Iが含まれていないことが分かった。高速液体クロマトグラフによる純度は、99%以上であった。
【0161】
(実施例12:重合性化合物2の合成)
【化85】
<ステップ1:中間体Dの合成>
【化86】
国際公開第17/150622号に記載の方法で合成した。
【0162】
<ステップ2:中間体Eの合成>
【化87】
国際公開第16/159193号に記載の方法を適用して以下のようにして合成した。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)とシクロペンチルメチルエーテル600g、テトラヒドロフラン230gを加えた。そこへ、前記ステップ1で合成した中間体D100.0g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン40.20g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、30分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を10℃以下にて1時間さらに攪拌した。得られた反応液に、蒸留水250gを加えて50℃にて2時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。新たな蒸留水250gを加えて50℃にてさらに2時間洗浄を行った。この操作を合計で3回行った。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)416gを用いて40℃にて30分洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。新たな濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)416gを用いて40℃にて30分洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。この操作を合計で5回行った。
さらに、得られた有機層に蒸留水250gを加えて40℃で30分洗浄した。水層を抜き出して得られた有機層を撹拌しながら徐々に0℃まで冷却し、0℃で1時間撹拌した後、析出した固体をろ別した。ろ液にノルマルヘキサン1400gを1時間かけて滴下した。
その後、0℃で1時間撹拌して、固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体を105.7g得た。得られた結晶をHPLCにて分析を行い、検量線にて中間体Eの定量を行ったところ、目的物である中間体Eが、91.3質量%で含まれていることが分かった。
【0163】
<ステップ3:重合性化合物2の合成>
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:32.86g(中間体E正味として30g(71.7mmol))及びクロロホルム300g、N,N-ジメチルホルムアミド10.5g(143.4mmol)を加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.81g(82.44mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにてクロロホルム225gを抜き出して濃縮して、クロロホルム溶液として中間体Eの酸クロライドを合成した。
別途用意した、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド4.5g(32.58mmol)、トリエチルアミン19.78g(195.5mmol)を150gのクロロホルムに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液の全量を反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5~10℃で1時間撹拌した。反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、1.0規定の塩酸水溶液120gを加えた。その後、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。 反応終了後、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)、2,6-ジターシャリーブチル-パラ-クレゾール0.3gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して4時間反応を行った。
反応終了後、水層を抜き出した。更に有機層に蒸留水105gを投入して有機層を40℃にて30分撹拌して洗浄した。水層を抜き出した後、有機層を25℃に冷却して、ロカヘルプ#479を1.5g加えて30分撹拌した。その後、1gのロカヘルプ#479を敷いた桐山ロートでろ過を行い、ロカヘルプ#479を除去した。得られた有機層からロータリーエバポレータにてクロロホルムを180g抜き出して、濃縮を行った。得られた有機層にヘキサン210gを1時間かけて加えて固体を析出させ、ろ過により淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体を25℃にてテトラヒドロフラン120gに溶解させて、ロカヘルプ#479を1.5g加えて30分撹拌した。その後、1gのロカヘルプ#479を敷いた桐山ロートでろ過を行い、ロカヘルプ#479を除去した。得られた有機層に15℃にて165gのメタノールをゆっくりと滴下して、固体を析出させ、ろ過を行い、固体を得た。得られた固体を真空乾燥機にて乾燥して重合性化合物2を淡黄色固体として、34.3g得た。収率は90モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0164】
(実施例13:重合性化合物3の合成)
【化88】
<ステップ1:重合性化合物3の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例5で合成した化合物3:10.44g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物3を淡黄色固体として、33.5g得た。収率は88モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0165】
(実施例14:重合性化合物4の合成)
【化89】
<ステップ1:重合性化合物4の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例6で合成した化合物4:11.25g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物4を淡黄色固体として、34.4g得た。収率は89モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0166】
(実施例15:重合性化合物5の合成)
【化90】
<ステップ1:重合性化合物5の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例7で合成した化合物5:9.30g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物5を淡黄色固体として、31.6g得た。収率は85モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0167】
(実施例16:重合性化合物6の合成)
【化91】
<ステップ1:重合性化合物6の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例8で合成した化合物6:8.62g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物6を淡黄色固体として、30.4g得た。収率は83モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0168】
(実施例17:重合性化合物7の合成)
【化92】
<ステップ1:重合性化合物7の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例9で合成した化合物7:11.34g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物7を淡黄色固体として、34.1g得た。収率は88モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0169】
(実施例18:重合性化合物8の合成)
【化93】
<ステップ1:重合性化合物8の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例10で合成した化合物8:10.74g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物8を淡黄色固体として、33.3g得た。収率は87モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0170】
(実施例19:重合性化合物9の合成)
【化94】
<ステップ1:重合性化合物9の合成>
前記実施例12のステップ3において、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)を、前記実施例11で合成した化合物9:11.25g(42.4mmol)に変更した以外は、実施例12と同様にして、重合性化合物9を淡黄色固体として、34.0g得た。収率は88モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0171】
(実施例20:重合性化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))、クロロホルム100g、およびジメチルホルムアミド(DMF)3.49gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル3.27g(27.48mmol)を反応温度が10℃以下になるように制御して滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が四分の1になるまで濃縮した。その後、クロロホルム25gを加えて、中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を得た。別途、温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.50g(10.86mmol)、および塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)を、50gのクロロホルムに溶解させ、10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を、反応液内温を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下に保持しながらさらに1時間反応を行った。その後さらに、1.0規定の塩酸水溶液40gを加えて、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。
反応終了後、さらに、10℃以下のまま、得られた反応液に、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を加えた。その後、反応液を40℃に昇温して4時間反応を行った。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。得られた有機層にロカヘルプ#479(三井金属鉱業社製)0.50gを加え、30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、総質量の約80%をエバポレーターにて抜き出して濃縮した。この溶液にTHF20gを加えた後、1時間攪拌した。次いで、この溶液にn-ヘキサン80gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。得られた結晶にTHF108g、ロカヘルプ#479:1.8g、および2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール100mgを加えて30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、エバポレーターにてTHF36gを留去した。
得られた溶液にメタノール117gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。
その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。ろ過物をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、重合性化合物1を13.5g得た。単離収率は91.8モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0172】
(実施例21:重合性化合物2の合成)
前記実施例20において、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例20と同様の操作を行って重合性化合物2を11.6g得た。単離収率は91.3モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0173】
(実施例22:重合性化合物1の合成)
<ステップ1:混合物Aの合成>
【化95】
【0174】
国際公開第16/159193号に記載の方法を適用して以下のようにして合成した。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)とシクロペンチルメチルエーテル600g、テトラヒドロフラン230gを加えた。そこへ、実施例12のステップ1で合成した中間体D100.0g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン40.20g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、30分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を10℃以下にて1時間さらに攪拌した。得られた反応液に、蒸留水250gを加えて50℃にて2時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。新たな蒸留水250gを加えて50℃にてさらに2時間洗浄を行った。この操作を合計で3回行った。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)416gを用いて40℃にて30分洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。新たな濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)416gを用いて40℃にて30分洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。この操作を合計で5回行った。さらに、得られた有機層に蒸留水250gを加えて40℃にて30分洗浄した後、水層を抜き出した。得られた有機層にノルマルヘキサン1300gを40℃にて1時間かけて滴下した。その後、0℃に冷却して、更に1時間撹拌して、固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体を142.0g得た。得られた結晶をHPLCにて分析を行い、検量線にて中間体Eの定量を行ったところ、中間体Eが、68.5質量%で含まれていることが分かった。
【0175】
<ステップ2:重合性化合物1の合成>
前記実施例20において、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を前記ステップ1で合成した混合物A:14.6g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代えたこと以外は、実施例20と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.35g得た。単離収率は90.7モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0176】
(実施例23:重合性化合物2の合成)
前記実施例20において、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例22のステップ1で合成した混合物A:14.6g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を、前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例20と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、11.5g得た。収率は90.5モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0177】
(実施例24:重合性化合物2の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:32.86g(中間体E正味として30g(71.7mmol))及びクロロホルム300g、N,N-ジメチルホルムアミド10.5g(143.4mmol)を加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.81g(82.44mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにてクロロホルム225gを抜き出して濃縮した。その後、新たなクロロホルム75gを加えて中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を得た。
別途用意した、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド4.5g(32.58mmol)、トリエチルアミン19.78g(195.5mmol)を150gのクロロホルムに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液の全量を反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5~10℃で1時間撹拌した。反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、1.0規定の塩酸水溶液120gを加えた。その後、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。 反応終了後、前記実施例4で合成した化合物2:10.58g(42.4mmol)、2,6-ジターシャリーブチル-パラ-クレゾール0.3gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して4時間反応を行った。
反応終了後、水層を抜き出した。更に有機層に蒸留水105gを投入して有機層を40℃にて30分撹拌して洗浄した。水層を抜き出した後、有機層を25℃に冷却して、ロカヘルプ#479を1.5g加えて30分撹拌した。その後、1gのロカヘルプ#479を敷いた桐山ロートでろ過を行い、ロカヘルプ#479を除去した。得られた有機層からロータリーエバポレータにてクロロホルムを180g抜き出して、濃縮を行った。得られた有機層にヘキサン210gを1時間かけて加えて固体を析出させ、ろ過により淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体を25℃にてテトラヒドロフラン120gに溶解させて、ロカヘルプ#479を1.5g加えて30分撹拌した。その後、1gのロカヘルプ#479を敷いた桐山ロートでろ過を行い、ロカヘルプ#479を除去した。得られた有機層に15℃にて165gのメタノールをゆっくりと滴下して、固体を析出させ、ろ過を行い、固体を得た。得られた固体を真空乾燥機にて乾燥して重合性化合物2を淡黄色固体として、34.3g得た。収率は90モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0178】
(実施例25:重合性化合物2の合成)
前記実施例24において、前記実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:32.86g(中間体E正味として30g(71.7mmol))を、前記実施例22のステップ1で合成した混合物A:43.8g(中間体E正味として30g(71.7mmol))に変更した以外は、実施例24と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、34.5g得た。収率は90.5モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0179】
(実施例26:重合性化合物2の合成)
<ステップ1:中間体Eの合成>
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例12のステップ1で合成した中間体D:100g(0.378mol)、2,6-ジターシャリーブチル-パラ-クレゾール1.67gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、蒸留水250gを加えて50℃にて2時間洗浄を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに蒸留水250gを加えて50℃にて2時間洗浄を行った。この操作を合計で3回実施した。得られた有機層を40℃に冷却した後、メタノール200gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。この洗浄液と一緒にしたろ液をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、蒸留水250gを加えて、40℃にて30分間洗浄を行った。この操作を合計で2回実施し、分液して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体98.55gを得た。得られた白色固体を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体に対する中間体Eの含量は、92.6質量%であった。中間体Eの収率は、化合物D基準で、57.7モル%であった。
【0180】
<ステップ2:重合性化合物2の合成>
前記実施例24において、前記実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:32.86g(中間体E正味として30g(71.7mmol))を、前記ステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:32.40g(中間体E正味として30g(71.7mmol))に変更した以外は、実施例24と同様にして、重合性化合物2を淡黄色固体として、34.6g得た。収率は90.7モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0181】
(実施例27:重合性化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))、クロロホルム100g、およびジメチルホルムアミド(DMF)3.49gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル3.27g(27.48mmol)を反応温度が10℃以下になるように制御して滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにてクロロホルムを75g抜き出して濃縮した。その後、新たなクロロホルム25gを加えて、中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を得た。別途、温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.50g(10.86mmol)、および塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)を、50gのクロロホルムに溶解させ、10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を、反応液内温を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下に保持しながらさらに1時間反応を行った。その後さらに、1.0規定の塩酸水溶液40gを加えて、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。
反応終了後、さらに、10℃以下のまま、得られた反応液に、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を加えた。その後、反応液を40℃に昇温して4時間反応を行った。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。得られた有機層にロカヘルプ#479(三井金属鉱業社製)0.50gを加え、30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、60gのクロロホルムをエバポレーターにて抜き出して濃縮した。この溶液にTHF20gを加えた後、1時間攪拌した。次いで、この溶液にn-ヘキサン80gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。得られた結晶にTHF108g、ロカヘルプ#479:1.8g、および2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール100mgを加えて30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、エバポレーターにてTHF36gを留去した。得られた溶液にメタノール117gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。ろ過物をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、重合性化合物1を13.5g得た。単離収率は91.8モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0182】
(実施例28:重合性化合物2の合成)
前記実施例27において、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例26のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.80g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を、前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例27と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、11.47g得た。単離収率は90.2モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0183】
(実施例29:重合性化合物2の合成)
前記実施例27において、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例22のステップ1で合成した混合物A:14.6g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)を、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代え、且つ、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を、前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例27と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、11.57g得た。単離収率は91.0モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0184】
(実施例30:重合性化合物2の合成)
前記実施例27において、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)を、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代え、且つ、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を、前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例27と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、11.63g得た。単離収率は91.5モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0185】
(実施例31:重合性化合物2の合成)
前記実施例27において、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例26のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.80g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)を、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代え、且つ、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を、前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例27と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、11.69g得た。単離収率は92.0モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0186】
(実施例32:重合性化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))、クロロホルム100g、およびジメチルホルムアミド(DMF)3.49gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル3.27g(27.48mmol)を反応温度が10℃以下になるように制御して滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにてクロロホルムを75g抜き出して濃縮した。その後、クロロホルム25gを加えて、中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を得た。別途、温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.50g(10.86mmol)、および塩基としての塩基としてのトリエチルアミン6.59g(65.17mmol)を、50gのクロロホルムに溶解させ、10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した中間体Eの酸クロライドのクロロホルム溶液を、反応液内温を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下に保持しながらさらに1時間反応を行った。その後さらに、1.0規定の塩酸水溶液40gを加えて、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。
反応終了後、さらに、10℃以下のまま、得られた反応液に、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を加えた。その後、反応液を40℃に昇温して5時間反応を行った。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。得られた有機層にロカヘルプ#479(三井金属鉱業社製)0.50gを加え、30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。ろ別した、ロカヘルプ#479をクロロホルム5gで洗浄して、先に得たろ液と一緒にして、有機層を得た。
別途、温度計を備えた3口反応器に窒素気流中、25℃にてメタノール200gを加えた。このメタノールに、先に得た有機層を25℃にて、30分かけて、ゆっくりと滴下した。滴下終了後、そのまま30分撹拌した。その後、析出した固体をろ過して、固体を得た。得られた固体を真空乾燥機にて乾燥して重合性化合物1を淡黄色固体として、13.49g得た。収率は91.7モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0187】
(実施例33:重合性化合物1の合成)
前記実施例32において、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代えたこと以外は、実施例32と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.53g得た。単離収率は92.0モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0188】
(実施例34:重合性化合物1の合成)
前記実施例32において、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例26のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.80g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代えたこと以外は、実施例32と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.55g得た。単離収率は92.1モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0189】
(実施例35:重合性化合物1の合成)
前記実施例32において、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例26のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.80g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、塩基としてのトリエチルアミン6.59g(65.17mmol)を、塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)に代えたこと以外は、実施例32と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.65g得た。単離収率は92.8モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0190】
(実施例36:重合性化合物1の合成)
前記実施例32において、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのトリエチルアミン6.59g(65.17mmol)を、塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代えたこと以外は、実施例32と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.58g得た。単離収率は92.3モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0191】
(実施例37:重合性化合物1の合成)
前記実施例32において、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのトリエチルアミン6.59g(65.17mmol)を、塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代えたこと以外は、実施例32と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.64g得た。単離収率は92.7モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0192】
(実施例38:重合性化合物1の合成)
前記実施例32において、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例26のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.80g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのトリエチルアミン6.59g(65.17mmol)を、塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代えたこと以外は、実施例32と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.75g得た。単離収率は93.5モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0193】
(実施例39:重合性化合物1の合成)
<ステップ1:中間体Eの合成>
前記実施例26のステップ1において、ノルマルヘキサン1200gをノルマルヘプタン1200gに代え、且つ、ろ過物のノルマルヘキサンでの洗浄を、ろ過物のノルマルヘプタンでの洗浄に代えたこと以外は、実施例26のステップ1と同様の操作を行って、中間体としての白色固体97.95gを得た。得た白色固体を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体に対する中間体Eの含量は、92.9質量%であった。中間体Eの収率は、化合物D基準で、57.5モル%であった。
<ステップ2:重合性化合物1の合成>
前記実施例32において、前記実施例22のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物A:14.60g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.76g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのトリエチルアミン6.59g(65.17mmol)を、塩基としての2,6-ルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代えたこと以外は、実施例30と同様の操作を行って、重合性化合物1を淡黄色固体として、13.80g得た。単離収率は93.8モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。
【0194】
(実施例40:重合性化合物2の合成)
前記実施例27において、実施例12のステップ2で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.95g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))を、前記実施例39のステップ1で合成した中間体Eを主成分とする混合物:10.76g(中間体E正味として10.00g(23.90mmol))に代え、且つ、塩化チオニルの添加量を3.27g(27.48mmol)から2.93g(24.63mmol)に変え、且つ、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)を、塩基としてのルチジン6.98g(65.17mmol)及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン14.6mg(0.12mmol)の併用に代え、且つ、前記実施例1のステップ2で合成した化合物1:6.12g(14.12mmol)を、前記実施例4で合成した化合物2:3.52g(14.12mmol)に代えたこと以外は、実施例27と同様の操作を行って、重合性化合物2を淡黄色固体として、11.72g得た。単離収率は92.2モル%(2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。